JP2004066691A - 射出成形方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高価な装置を必要としないこと,粘度の高い成形材料であっても高速成形をおこなうことを可能にすること,成形の1サイクルに要する時間を短縮できること,を満足する射出成形方法および装置を提供する
【解決手段】射出成形方法を、計量工程,サックバック工程,ガス注入工程,ガス圧縮工程,射出工程および取出工程より構成する。サックバック工程において計量された成形材料と射出機構の先端部との間に空隙を形成し、ガス注入工程において空隙に所定の圧力の不活性ガスを注入し、ガス圧縮工程において射出機構を前進させて不活性ガスを圧縮することで、射出工程において射出機構の押圧力および圧縮された不活性ガスの圧力によって成形材料を成形型に射出する。
また、射出成形装置にノズル開閉弁,加熱筒,射出機構およびガス供給装置を設ける。ノズル開閉弁の閉状態において射出機構が空隙に注入された不活性ガスを圧縮可能な構成とするとともに、不活性ガスの圧縮に連動してノズル開閉弁の開動作をおこない射出機構による成形材料の成形型への射出をおこなう。
【選択図】図4
【解決手段】射出成形方法を、計量工程,サックバック工程,ガス注入工程,ガス圧縮工程,射出工程および取出工程より構成する。サックバック工程において計量された成形材料と射出機構の先端部との間に空隙を形成し、ガス注入工程において空隙に所定の圧力の不活性ガスを注入し、ガス圧縮工程において射出機構を前進させて不活性ガスを圧縮することで、射出工程において射出機構の押圧力および圧縮された不活性ガスの圧力によって成形材料を成形型に射出する。
また、射出成形装置にノズル開閉弁,加熱筒,射出機構およびガス供給装置を設ける。ノズル開閉弁の閉状態において射出機構が空隙に注入された不活性ガスを圧縮可能な構成とするとともに、不活性ガスの圧縮に連動してノズル開閉弁の開動作をおこない射出機構による成形材料の成形型への射出をおこなう。
【選択図】図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は射出成形の成形方法および成形装置に関し、詳しくは高速で射出を行うことができ、かつ射出成形の1サイクルに要する時間を短縮することのできる射出成形方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形の成形方法や成形装置は従来より種々のものが知られている。通常の射出成形機を用いて射出成形をおこなう場合、例えば溶融粘度が非常に高い難流動材料を成形材料として用いる場合では、非常に高い成形圧力を要するため通常の成形装置では成形圧力が不足して成形速度が遅くなり、成形材料が金型内に充填される前に固化する場合があり、良好な成形品が得られない場合がある。また、薄肉の成形品を得る場合も成形材料が短時間で冷却されるために成形材料が金型内に充填される前に固化する場合があり、この場合も良好な成形品が得られない場合がある。これらのことから、射出成形の成形速度を向上させて成形材料の固化前の金型を充填する高速成形が求められている。
【0003】
ここで、成形材料として一般には粘度の高いものが用いられるため、射出成形機の射出速度がその最高速度に達する前に射出が終了する場合がある。このため、成形材料の粘度を下げて射出成形の成形速度を向上させることが考えられている。特開2001−179779号公報や特表2001−519734号公報には、樹脂材料を成形材料として用いた場合に、炭酸ガスを超臨界流体としてこの成形材料に溶解させて樹脂の溶融粘度を下げる方法が記載されている。
【0004】
しかしこの方法によると樹脂の溶融粘度が下がるのみであるので、成形材料中に樹脂以外の材料を配合する場合には、成形材料全ての粘度を下げることはできない。このため、この方法は成形材料中の樹脂の割合が低い場合には実用的ではない。また、炭酸ガスなどの超臨界流体が樹脂に溶解するには長時間を要するため、射出成形の1サイクルに要する時間が非常に長くなり、製造コストが高くなる問題もある。
【0005】
一方、高圧で射出を行うために、アキュムレータ等の蓄圧装置を射出成形機に搭載する方法もあるが、これら蓄圧装置は加圧に至るまでの立ち上がりに時間を要することから、成形の1サイクルに要する時間が長くなる。また、これら蓄圧装置の加圧能力には限界があり、スクリュウ径の大きな中型以上の射出成形機に搭載する場合には、その加圧能力の限界により好適に使用できない場合がある。さらに、これらの問題が解決されたとしても装置の価格が非常に高くなるため、製造コストが高くなる問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、高価な装置を必要としないこと,粘度の高い成形材料であっても高速成形をおこなうことを可能にすること,成形の1サイクルに要する時間を短縮できること,を満足する射出成形方法および装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第1発明の射出成形方法は、加熱筒内にスクリュウを挿入配設し、該加熱筒の後部から供給した成形材料を該スクリュウの回転による剪断と該加熱筒からの加熱により可塑化溶融して該加熱筒の前方に移送しつつ計量し、計量された該成形材料を該スクリュウを含む射出シリンダにより該加熱筒の先端に位置するノズル部からノズル開閉弁を介して成形型に射出充填して成型品を得る射出成形方法において、上記ノズル開閉弁を閉状態とし、上記成形材料を上記加熱筒内に計量する計量工程と、上記計量工程後に上記スクリュウを所定量だけ後退させて、計量された上記成形材料と上記スクリュウの先端部との間に空隙を形成するサックバック工程と、ガス供給装置により該空隙に所定の圧力の不活性ガスを注入するガス注入工程と、該ガス注入工程後に、該空隙と該ガス供給装置とのガス流通を遮断するとともに上記スクリュウを前進させて該不活性ガスを圧縮するガス圧縮工程と、該ガス圧縮工程後に、上記ノズル開閉弁を開状態とし上記射出シリンダを上記加熱筒の上記ノズル部方向に前進させて上記射出シリンダの押圧力および圧縮された該不活性ガスの圧力によって上記成形材料を上記成形型に射出する射出工程と、所定の冷却時間経過後に、上記成形型より成型品を取出する取出工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決する本発明の第2発明の射出成形方法は、射出プランジャーが摺動配設された加熱筒に可塑化シリンダを並設し、該加熱筒と該可塑化シリンダとを該加熱筒の先端部で連通させて該可塑化シリンダで計量された成形材料を該加熱筒の先端に位置するノズル部からノズル開閉弁を介して成形型に射出充填して成型品を得る射出成形方法において、上記ノズル開閉弁を閉状態とし、上記可塑化シリンダで上記成形材料を計量し上記加熱筒の先端部に注入する計量工程と、上記計量工程後に上記射出プランジャーを所定量だけ後退させて、計量された成形材料と上記射出プランジャーの先端部との間に空隙を形成するサックバック工程と、ガス供給装置により該空隙に不活性ガスを注入するガス注入工程と、該ガス注入工程後に、該空隙と該ガス供給装置とを遮断するとともに上記射出プランジャーを前進させて該不活性ガスを圧縮するガス圧縮工程と、該ガス圧縮工程後に、上記ノズル開閉弁を開状態とし上記射出プランジャーを上記加熱筒の上記ノズル部方向に前進させて上記射出プランジャーの押圧力および圧縮された該不活性ガスの圧力によって上記成形材料を上記成形型に射出する射出工程と、所定の冷却時間経過後に、上記成形型より成型品を取出する取出工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の第1発明および第2発明の射出成形方法によると、射出シリンダや射出プランジャーの押圧力と不活性ガスの圧力とによって成形材料を成形型に射出することによって、溶融粘度の高い成形材料を高圧かつ高速で射出成形することが可能となる。
【0010】
そして、本発明の第1発明および第2発明の射出成形方法において、上記サックバック工程において形成される空隙の大きさは上記成形材料の計量値の30〜100%の体積であって、上記ガス注入工程において注入される不活性ガスの圧力は5MPa以上15MPa以下であることが好ましく、上記成形材料は、樹脂材料に充填材が70%以上配合されてなることが好ましい。
【0011】
また、上記課題を解決する本発明の第3発明の射出成形装置は、ノズル開閉弁により成形型に開閉可能に連通するノズルを有する加熱筒と、該加熱筒内を前後方向に摺動可能であり成形材料の計量位置と該計量位置より後方のサックバック位置とを取り得るスクリュウと、該加熱筒外部に配置され該サックバック位置にある該スクリュウの先端部と該加熱筒に計量された成形材料との間の空隙に不活性ガスを供給するガス供給装置とを有し、該ノズル開閉弁の閉状態において射出シリンダが該空隙に注入された該不活性ガスを圧縮可能であるとともに、該不活性ガスの圧縮に連動して該ノズル開閉弁の開動作をおこない射出シリンダによる該成形材料の該成形型への射出をおこなうことを特徴とする。
【0012】
そして、上記課題を解決する本発明の第4発明の射出成形装置は、ノズル開閉弁により成形型に開閉可能に連通するノズルを有する加熱筒と、該加熱筒内を前後方向に摺動可能であり成形材料の計量位置と該計量位置より後方のサックバック位置とを取り得る射出プランジャーと、該加熱筒と並設され該加熱筒の先端部で連通する可塑化シリンダと、該加熱筒外部に配置され該サックバック位置にある該射出プランジャーの先端部と該加熱筒内に計量された成形材料との空隙に不活性ガスを供給するガス供給装置とを有し、該射出プランジャーが該ノズル開閉弁の閉状態において該空隙に注入された該不活性ガスを圧縮可能であるとともに、該不活性ガスの圧縮に連動して該ノズル開閉弁の開動作をおこない該射出シリンダによる該成形材料の該成形型への射出をおこなうことを特徴とする。
【0013】
本発明の第3発明および第4発明の射出成形装置によると、加熱筒外部に配置されたガス供給装置より射出機構と加熱筒内に計量された成形材料との間の空隙に不活性ガスを供給することが可能となり、射出シリンダや射出プランジャーの押圧力と不活性ガスの圧力とによって成形材料を成形型に射出することが可能となる。したがって、溶融粘度の高い成形材料を高圧かつ高速で射出成形することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる射出成形方法および射出成形装置は、樹脂材料やゴム材料等の通常の材料を含む成形材料の成形に用いることができる。
【0015】
本発明の第1発明および第2発明にかかる射出成形方法は、計量工程,サックバック工程,ガス注入工程,ガス圧縮工程,射出工程および取出工程を有する。
【0016】
第1発明における計量工程は、ノズル開閉弁を閉状態とし、成形材料を加熱筒内に計量する工程である。また、第2発明における計量工程は、ノズル開閉弁を閉状態とし、可塑化シリンダで成形材料を計量し加熱筒の先端部に注入する工程である。
【0017】
本発明において、第1発明は成型装置を所謂インラインスクリュウ型のものとした場合の射出成形方法であり、第2発明は成型装置を所謂プリプランジャー型のものとした場合の射出成形方法である。本明細書において第1発明のスクリュウおよび第2発明の射出プランジャーの同じ機能を説明する場合、このスクリュウおよび射出プランジャーを総称して射出機構と呼ぶ。
【0018】
第1発明および第2発明において、成形材料は可塑化した状態で所望の成型品を形成するのに適当な量が加熱筒内部の先端部分に量り取られる。このとき、加熱筒内部に配置された射出機構は加熱筒内でこの成形材料よりも後部に配置されることとなる。この計量工程において射出機構が配置される位置を射出機構の計量位置とする。また、この射出機構の計量位置は一回の成形に過不足なく適当な量の成形材料を加熱筒のノズルと射出機構との間隙に注入できるような射出機構の配置位置であり、所望する成型品の大きさや形状等によってそれぞれ異なる位置である。
【0019】
本発明の第1発明および第2発明の射出成型方法において、成形型,加熱筒および射出機構は通常のインラインスクリュウ型あるいはプリプランジャー型のものを用いることができるが、後述するガス注入工程において、空隙が形成された加熱筒内に不活性ガスを注入するためには、加熱筒または射出機構には加熱筒内と連通するガス注入口が設けられている必要がある。
【0020】
成形材料としては、熱可塑性樹脂,熱硬化性樹脂等の種々の溶融可能な樹脂材料を用いることができ、また、これらの材料に添加剤や充填材を加えたエンジニアリングプラスチック樹脂やスーパーエンジニアリングプラスチック樹脂等の溶融粘度が非常に高い難流動材料を用いることもできる。
【0021】
本発明において、樹脂材料の種類や樹脂材料とその他の材料との混合比は特に限定されるものではないが、成形材料は、樹脂材料に充填材が70%以上配合されてなることが好ましい。これは、後述するガス注入工程後の射出工程において良好な射出をおこなうためである。また、ここで、充填材とは樹脂材料に混合され樹脂材料に対する反応性のない例えば金属粉末等の材料のことである。
【0022】
第1発明および第2発明において、サックバック工程は、射出機構を計量位置よりさらに後退させ、射出機構と加熱筒に充填された成形材料との間に空隙を形成する工程である。射出機構がスクリュウの場合には、この射出機構を回転させずに後退させる(サックバック)ことで射出機構と成形材料との間に空隙を形成することができるし、射出機構が射出プランジャーの場合にはこの射出プランジャーをそのまま後退させることで射出機構と成形材料との間に空隙を形成することができる。ここで、ノズル開閉弁は閉状態となっていることから、ノズル部より加熱筒内部への空気の流入は遮断されている。また、加熱筒と射出機構とは完全に気密に配置されているものではないため、射出機構をサックバックさせるときには、加熱筒と射出機構とのごく僅かな間隙から空気が進入し、射出機構と成形材料との間に空隙が形成される。サックバックの距離、すなわち形成される空隙の大きさは、成形材料の溶融粘度,成形材料の1回あたりの射出量,成形装置の最高射出速度および後述する空隙に注入される不活性ガスの圧力等によって必要な大きさに適宜設定されるものである。また、このサックバックの距離は加熱筒の内径と関連して適宜設定されるものである。
【0023】
ガス注入工程は、空隙が形成された加熱筒内に所定の圧力の不活性ガスを注入する工程である。ここで、本発明における不活性ガスとは成形材料と反応しないガスをいう。成形材料と反応する酸素等の活性ガスを用いる場合、成形材料を射出成形する際に成形材料に変性が生じる場合があり、この場合、所望の形状および材質の成形品を得ることが困難になる場合があるが、不活性ガスを用いることでこれらの問題が回避される。ここで用いる不活性ガスとしては、価格や取り扱いの簡便性,あるいは成形材料の種類等によって通常の不活性ガスから適宜選択して用いることができるが、二酸化炭素,窒素,アルゴンから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。また、ここで不活性ガスの所定の圧力とは、成形材料の溶融粘度,成形材料の1回あたりの射出量,成形装置の最高射出速度および空隙の大きさ等と関連して適宜設定されるものである。
【0024】
第1発明および第2発明において、ガス圧縮工程は、ガス注入工程後に空隙とガス供給装置とを遮断するとともに射出機構を前進させて該不活性ガスを圧縮する工程である。ガス注入工程において不活性ガスは所定の圧力で空隙に注入されているものであるが、この不活性ガスはガス圧縮工程によってさらに圧縮される。
【0025】
このガス圧縮工程でのガス圧力は射出機構の押圧力とバランスする圧力となり、この押圧力をスクリュウ断面積で除した値となる。したがって、同じ射出機構駆動装置を用いる場合でもスクリュウやバレルを変更することにより不活性ガスの圧縮ガス圧力を適宜変更することが可能となる。
【0026】
本発明の第1発明および第2発明における射出工程は、ノズル開閉弁を開状態とし射出機構をノズル部方向に前進させて射出機構の押圧力および不活性ガスの圧力によって成形材料を成形型に射出する工程である。すなわち、本発明の射出工程においては、射出機構をノズル部方向に摺動させて射出機構の押圧力によって成形材料を成形型に射出する通常の射出工程に加えて、ガス注入工程において注入されガス圧縮工程によって圧縮された不活性ガスの圧力によっても成形型への射出を行うものである。したがって、射出機構の押圧力のみを用いた通常の射出成形と比較して成形材料には非常に大きな成形圧力がかかることとなり、成形材料の溶融粘度が高い場合であってもこの成形圧力の増大によって高速成形を行うことが可能となる。その作用機構を以下に説明する。
【0027】
通常射出成形では、射出成形装置が射出動作を開始して成形材料の射出速度が所定の速度に達するまでには、ある程度の時間、つまり立ち上がり時間が必要となる。本発明の射出成型方法において、加熱筒内の成形材料と射出機構との間に形成された空隙には不活性ガスが注入されている。ここで、不活性ガスは成形材料に比べて圧縮されやすいことから、ガス圧縮工程における射出機構の成形型方向への摺動は、注入された不活性ガスの分だけ容易におこなわれる。したがって、ガス圧縮工程による不活性ガスの圧縮の完了と連動させてノズル開閉弁を開状態とし、引き続き射出工程をおこなうことで、射出機構の摺動速度をあまり低下させることなく射出工程を開始させることができ、射出速度の立ち上がり時間は著しく短縮される。
【0028】
また、ガス圧縮工程において不活性ガスは射出機構によって一定の割合までは圧縮されるが、圧縮された不活性ガスは再度膨張しようとすることから反発力が生じる。ガス圧縮工程においてはノズル開閉弁が閉状態となっているため、この反発力は加熱筒内部,成形材料および射出機構に作用し、これらの剛性や押圧力と均衡を保った状態となっている。射出工程において、ノズル開閉弁が開状態となると、成形材料方向からの押圧力が解かれることから、成形材料方向に作用するこの反発力によって射出がおこなわれることとなる。
【0029】
また、このとき射出機構によるノズル部方向への押圧は継続しておこなわれているため、成形材料は射出機構の押圧力によっても成形型方向に押圧される。したがって、成形材料は射出機構の押圧力および不活性ガスの圧力によって成形型に射出され、成形速度は非常に向上する。ここで、射出機構の摺動速度を低下させないためにはガス圧縮工程と射出工程とは連動しておこなうものであることが好ましい。連動の方法としては既知の方法を用いることができ、たとえば、射出機構が所定値以上前進した場合にこれと連動してノズル開閉弁を開状態にする方法などが挙げられる。
【0030】
また、本発明の射出成形方法のガス注入工程において、不活性ガスは空隙に注入される。したがって、圧縮された不活性ガスによる圧力は成形材料全体にかかることとなり、成形材料の射出は均一かつ高速でおこなわれることとなる。
【0031】
本発明の第1発明および第2発明において、サックバック工程において形成される空隙の大きさは成形材料の計量値の30〜100%の体積であって、ガス注入工程において注入される不活性ガスの圧力は5MPa以上15MPa以下であることが好ましい。
【0032】
上述したように、空隙の大きさや不活性ガスの圧力は、成形材料の溶融粘度や射出機構の押圧力等によって適宜設定されるものであるが、サックバック工程において形成される空隙の大きさを成形材料の計量値の30〜100%の体積とし、ガス注入工程において注入される不活性ガスの圧力を5MPa以上15MPa以下とすることで射出時の不活性ガスの圧力を好適なものとすることができる。すなわち、空隙の大きさが成形材料の計量値の30%未満である場合には、成形材料の量に対する不活性ガスの量が不足することから、例えば溶融粘度が高い成形材料を用いる場合には、充分な射出圧力や射出速度が得られない場合がある。また、空隙の大きさが成形材料の100%を超える場合には、成形材料に対する不活性ガスの量が大きくなりすぎるため、射出時に不活性ガスが樹脂に混入し成形型にまで噴出する場合があり、成形品に悪影響を与える場合がある。そして、注入される不活性ガスの圧力が5MPaに満たない場合には射出時の圧縮ガス圧力が不足する場合があり、また、15MPaを超える場合には射出時に不活性ガスが噴出する場合がある。
【0033】
本発明の第1発明および第2発明において、上述したように、成形材料は樹脂材料に充填材が70%以上配合されてなることが好ましい。これは、成形材料の溶融粘度があまり低すぎると、射出工程に際して不活性ガスが成形材料を貫通し成形材料より優先的に射出される場合があり、この場合得られた成型品は肉厚の中央部が中空となった中空成型品となる場合があるためである。成形材料が、樹脂材料に充填材が70%以上配合されてなる場合、成形材料の溶融粘度は充填材によって非常に高いものとなり、射出工程においても不活性ガスがこの成形材料を貫通し優先的に射出されることが防止される。
【0034】
本発明の第1発明および第2発明において、取出工程は所定の冷却時間経過後に、成形型より成型品を取出する工程である。この取出工程は通常の工程によっておこなわれる。
【0035】
本発明の第3発明および第4発明の射出成形装置は、加熱筒と射出機構とガス供給機構とを有する。第3発明の射出成形装置はインラインスクリュウ型の射出成形装置であり、第4発明の射出成形装置はプリプランジャー型の射出成形装置である。
【0036】
加熱筒はノズル開閉弁により成形型に開閉可能に連通するノズルを有する。ノズルは、成形型との連通がノズル開閉弁によって開閉されるものであればよく、開閉弁は通常の開閉機構を用いることができる。ここで、ノズルより加熱筒内への空気の進入が考えられるサックバック時にはノズル開閉弁が閉状態をとることが必要であり、このノズル開閉弁は、成形型より加熱筒内への空気の進入を防止するためには閉状態においては気密に閉じられることが必要である。
【0037】
第3発明の射出成形装置においては、通常のインラインスクリュウ型の射出成形装置と同様に、成形材料はこの加熱筒後部よりスクリュウによって可塑化されつつ加熱筒前方に供給され計量される。また、第4発明の射出成形装置においては、通常のプリプランジャー型の射出成形装置と同様に、成形材料はこの加熱筒に並設された可塑化シリンダによって可塑化され計量された後に加熱筒先端部より加熱筒内に注入される。
【0038】
射出機構は、加熱筒内に計量された成形材料を成形型方向に射出する機能を持つもので、加熱筒内を前後方向に摺動可能に配置され成形材料の計量位置と、この計量位置より後方のサックバック位置を取り得るものである。計量位置は、上述したように所望の成形品の形状や大きさ等によって適宜決定されるものである。また、サックバック位置は、サックバックの距離すなわち形成される空隙の大きさによって決定され、成形材料の溶融粘度,成形材料の1回あたりの射出量,不活性ガスの圧力および成形装置の最高射出速度等によって必要な大きさに適宜設定されるものである。また、ここでいう射出機構は、既述の射出機構と同様に第3発明のスクリュウと第4発明の射出プランジャーを総称するものである。
【0039】
ガス供給装置は、加熱筒外部に配置され、不活性ガスをサックバック位置にある射出機構と加熱筒に計量された成形材料との間に形成された空隙に供給するものである。空隙に不活性ガスを供給するガス供給口はスクリュウやプランジャーの先端部に設けられてもよいし、また、加熱筒自体に設けられてもよい。
【0040】
またガス供給装置には、ガス圧縮工程時および射出工程時に生じる圧力によって成形材料がガス供給装置に逆流することを防止するガス開閉弁を設ける必要がある。このガス開閉弁は既知の開閉機構でガス供給装置と加熱筒内部とを遮断および開放するものである。
【0041】
本発明の第3発明および第4発明の射出成形装置は、ノズル開閉弁の開状態において射出機構が空隙に注入された不活性ガスを圧縮可能であるとともに、不活性ガスの圧縮に連動してノズル開閉弁の開動作をおこない射出シリンダによる成形材料の成形型への射出をおこなうものである。
【0042】
ノズル開閉弁は通常の開閉機構で加熱筒内部と成形型とを遮断および開放できるものであればよく、このノズル開閉弁の動作と射出機構の動作とを連動させることで、ノズル開閉弁の開状態と射出機構による不活性ガスの圧縮とを連動させることができる。また上述したように、既知の方法で不活性ガスの圧縮の完了を検知することで、不活性ガスの圧縮とノズル開閉弁の開動作とを連動させることができる。
【0043】
また本発明の射出成形装置に、保圧や型圧縮,プレス等の手段を併設することで上述した射出成形方法および装置にさらに射出プレス成形や射出圧縮成形,保圧成形等の工程や機能を追加しておこなうものとすることも可能である。
【0044】
さらに、本発明の射出成形方法および装置は、不活性ガスを超臨界流体として併用することもできる。この場合、成形材料中に不活性ガスを一部溶解させることができ、成形材料の粘度を低下させることができるため、射出成形をより高速でおこなうことができる。
【0045】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面を基にして説明する。
(実施例1)
本実施例1の射出成形方法および装置の概略を表す図を図1〜図5に示す。本実施例1の射出成形方法は、第3発明のインラインスクリュウ型の射出成形装置を用いた第1発明の射出成形方法である。本実施例1においてスクリュウが射出機構となる。
【0046】
本実施例1の射出成形装置1は、加熱筒2と,この加熱筒2内部に配置された射出機構3と,加熱筒2外部に配置されたガス供給装置4とを有し、ガス供給装置4には、不活性ガスの供給を切替するガス開閉弁14が設けられているものである。また、射出成形装置1としては、宇部興産機械製全電動射出成形機(350t射出成形機)にガス供給装置4を設けたものを用いた。
【0047】
加熱筒2には、成形型5と接する端部に成形型5に連通するノズル6が設けられている。このノズル6内の所定位置にはノズル6と成形型5との連通を開閉するノズル開閉弁7が設けられている。また、本実施例1の射出成形装置1は、射出成形とともに型圧縮をおこなうものである。本実施例1の射出成形装置1において、成形型5は駆動側成形型8と固定側成形型9とに分かれており、このうち駆動側成形型8は図示しない駆動装置によって固定側成形型9方向に移動可能となっている。
【0048】
さらに本実施例1の射出成形装置1において、ガス供給装置4より加熱筒2内に不活性ガスである二酸化炭素ガスを供給するガス供給口10は、加熱筒2自体に設けられ、後述する空隙が形成される位置と対応した位置に設けられたものである。
【0049】
本発明の実施例1において、射出成形方法は、計量工程,サックバック工程,ガス注入工程,ガス圧縮工程,射出工程および取り出し工程よりなる。
【0050】
(1)計量工程
本実施例1の計量工程において、加熱筒2内に配置されたスクリュウ11は、図示しない射出機構駆動装置によって図1中A位置にあたる計量位置に配置されている。また、スクリュウ11後部には図示しない材料供給装置が配置されている。この材料供給装置内には成形材料12が保持されており、この成形材料12はスクリュウ11の回転により、この材料供給装置より加熱筒2内部に送られ、加熱筒2の端部に位置するノズル6と、このスクリュウ11の端部であるスクリュウ11ヘッド13との間隙に計量される。このとき、ノズル開閉弁7は閉状態となっており、ガス開閉弁14もまた閉状態となっているため、加熱筒2内は成形型5やガス供給装置4との連通が閉じられた状態となっている。このため、加熱筒2内に計量された成形材料12の加熱筒2外部への漏出は防止されている。
【0051】
また、本実施例1において、成形材料12としてはアルミ粉末80重量%とPPS(ポリフェニレンサルファイド)との混合物を用いた。この成形材料12は、温度315℃,剪断速度が1000(1/s)のとき100000(Pa.s)の粘度を示すものであり高粘度の材料である。
【0052】
(2)サックバック工程
本実施例1のサックバック工程において、上述した計量工程で計量位置Aに配置されているスクリュウ11は、射出機構駆動装置によって計量位置Aよりさらに後退されて図2中B位置にあたるサックバック位置に配置される。これによって、上述した計量工程で計量された成形材料とスクリュウヘッドとの間には空隙15が計量された成形材料の体積の50%である53cm3で形成される。このとき、スクリュウ11の回転をおこなわず単に後退させることで、計量された成形材料12量の変動なくサックバックをおこなうことができる。また、本実施例のサックバック工程においてノズル開閉弁7およびガス開閉弁14は継続して閉状態に配置されている。このため、本サックバック工程においてノズル6と成形材料12との間には空隙が形成されることはなく、またガス供給装置4に成形材料12が逆流することはない。
【0053】
(3)ガス注入工程
本実施例1のガス注入工程において、上述したサックバック工程で形成された空隙15には100Kgfのガス圧力で不活性ガス16が注入される。すなわち、図2に示されるように、加熱筒2の計量位置Aとサックバック位置Bとの間にはガス供給口10が設けられている。ガス開閉弁14を開状態にし、加熱筒2外部に配置されたガス供給装置4より不活性ガス16を供給することで、このガス供給口10より加熱筒2内部の空隙に不活性ガス16が注入される。
【0054】
(4)ガス圧縮工程
本実施例1のガス圧縮工程において、ガス供給装置4のガス開閉弁14は閉状態となり空隙とガス供給装置4とのガス流通は遮断される。また、上述したガス注入工程で空隙に注入された不活性ガス16はスクリュウ11の前進によって圧縮される。本実施例1において不活性ガス16は500Kgfのガス圧力にまで圧縮された。本ガス圧縮工程では、スクリュウ11の成形型5方向への移動に伴って、図3に示すように不活性ガス16の圧縮がおこなわれる。
【0055】
(5)射出工程
本実施例1の射出工程において、ノズル開閉弁7は開状態となり加熱筒2内部と成形型5とが連通される。上述したガス圧縮工程で空隙に圧縮された不活性ガス16が注入された状態で成形材料12の成形型5への射出がおこなわれる。このとき、駆動側成形型8は図示しない駆動装置の駆動力によって固定側成形型9方向に移動し、駆動側成形型8と固定側成形型9とは僅かに間隙を有しつつ対向して配置されることとなる。ここで、加熱筒2内の空隙に注入されている不活性ガス16は圧縮されていることから、再度膨張しようとする反発力が生じる。本射出工程において、ノズル開閉弁7が開状態となり加熱筒2内部は成形型5と連通し、スクリュウ11の成形型5方向への移動は継続しておこなわれているため、ここで生じた反発力は成形材料12方向に作用する。したがって、図4に示すような成形材料12の成形型5方向への射出はスクリュウ11の押圧力および不活性ガス16の圧力によっておこなわれることとなり、成形速度は高速なものとなる。また、射出後には、図5に示すように駆動側成形型8をさらに固定側成形型9方向に移動させることで、成形型5内に射出された成形材料12の圧縮がおこなわれる。
【0056】
(6)取出工程
本実施例1の取出工程において、圧縮成形により得られた成形品は、次の成形の計量工程がおこなわれる間に冷却され、駆動側成形型8が固定側成形型9に対して開く方向に移動することで取出される。
【0057】
(実施例2)
本実施例2の射出成形方法および装置は、射出成形装置がプリプランジャー式のものであり、射出機構が射出プランジャーである以外は、実施例1の装置と同様の装置であり、実施例1の方法と同様におこなわれた。本実施例2の射出成形装置および方法を模式的に表す図を図6に示す。
【0058】
本実施例2において、計量工程では射出プランジャー17は計量位置Aに配置され、成形材料18は材料供給装置19に設けられたスクリュウ20によって加熱筒21内部に供給される。そして、サックバック工程において射出機構駆動装置22によって射出プランジャー17はサックバック位置Bに後退し、射出プランジャー17と成形材料18との間には空隙23が形成される。
【0059】
(比較例)
本比較例の射出成形装置は、実施例1の射出成形装置にガス供給装置を設けなかった以外は実施例1と同様のものである。また、本比較例の射出成形方法は、実施例1の射出成形方法のうちサックバック工程とガス注入工程とをおこなわなかった以外は実施例1と同様の方法である。
【0060】
(射出速度試験)
本発明の射出成形方法および装置を用いた実施例1の射出成形のガス圧縮工程および射出工程における射出速度の変化を測定した。また、比較例の射出成形の射出工程における射出速度の変化を測定した。ここで測定は、射出機構(スクリュウ)の加熱筒内の移動速度を加熱筒内の各位置毎に測定することによっておこなった。射出機構の移動速度は、スクリュウを射出駆動するための動力元であるサーボモータの回転数と時間から演算することにより測定された。実施例1および比較例の射出成型方法および装置で得られた射出速度のスクリュウ位置毎の変化を表すグラフを図7に示す。図中実線で表される曲線は実施例1の射出成型方法および装置によって得られた曲線であり、図中破線で表される曲線は比較例の射出成型方法および装置によって得られた曲線である。
【0061】
図7中横軸は、加熱筒内に配置されたスクリュウの、スクリュウ前進端からの距離を示す。すなわちこの横軸は、図中上部に図示される射出成形装置の模式図と対応するように、左端がスクリュウ前進端となり右端がサックバック完了位置となる。実施例1の射出工程において、スクリュウはサックバック完了位置からスクリュウ前進端方向に移動することとなる。また比較例1の射出工程において、スクリュウは計量完了位置からスクリュウ前進端方向に移動することとなる。したがって、このグラフにおいては射出工程開始直後のスクリュウの移動速度はグラフ右側に示され、射出工程終了時のスクリュウの移動速度はグラフ左端に示されることとなる。また、この射出速度試験は射出工程時におこなわれたものであるので、実施例1においてはこの射出速度試験時には、加熱筒内左側には成形材料が保持された状態となっており、この成形材料とスクリュウ先端部との間の空隙には不活性ガスが注入された状態となっている。
【0062】
また、図7中縦軸はスクリュウ移動速度(mm/s)を示す。ここで、図中2点鎖線で示される速度である160(mm/s)は、本実施例1および比較例で用いた射出成形装置の移動速度の設定最高速度である。
【0063】
実施例の曲線によると、圧縮工程においてスクリュウの移動速度が設定最高速度(160mm/s)に達しており、立ち上がり時間が非常に短いものとなっている。これは、加熱筒内の空隙に不活性ガスが注入されていることから、スクリュウは圧縮されやすい不活性ガスを圧縮しつつ前進することとなり、成形材料を押圧する場合と比較して非常に容易に前進がおこなわれるためであると考えられる。
【0064】
さらに、このガス圧縮工程においてスクリュウがより前進すると、スクリュウの移動速度は設定最高速度を超えたものとなっている。これは、成形材料は粘度が高いものであり流動抵抗が大きいものであるのに対して、空隙に注入されている不活性ガスは非常に圧縮され易いため、通常の成形材料を射出成形する場合と比較してもスクリュウにかかる負荷が小さいものとなり、よって設定最高速度を超えるスクリュウの移動速度が得られるためであると考えられる。
【0065】
また、このガス圧縮工程においてスクリュウがさらに前進すると、スクリュウの移動速度は一旦低下する。これは、ガス圧縮工程においてノズル開閉弁は閉状態となっているため、ガスの圧縮には限度があるためである。
【0066】
ガス圧縮工程で不活性ガスが射出機構の押圧力とバランスする圧力にまで圧縮されると、ノズル開閉弁が開状態となり射出工程が開始する。射出工程が開始すると、スクリュウの移動速度は設定最高速度を超えるものとなり、上述したスクリュウの移動速度を超えるものとなる。
【0067】
これに対し比較例の曲線によると、射出速度試験開始後スクリュウの移動速度は緩やかに上昇し、このスクリュウの移動速度は設定最高速度に達することはない。このように、比較例の方法すなわち通常の射出成形方法で射出成形をおこなった場合には設定最高速度に達する速度で成形をおこなうことができないような粘度の高い成形材料を用いる場合であっても、本発明の射出成形方法および装置を用いることで高速成形をおこなうことが可能となる。
【0068】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明の射出成形方法および装置によると、射出速度の立ち上がり時間が著しく短縮され、射出圧力や射出機構の移動速度が向上することから、射出成形における成形速度を向上させることが可能となる。また、アキュムレータ等の高価な装置を必要とすることなく高粘度の成形材料を用いた射出成形を高速でおこなうことが可能となる。さらに、射出成形装置の立ち上がりに要する時間は非常に短いものとなることから、成形の1サイクルに要する時間を短縮することが可能となり、製造コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の射出成形方法および装置の概略を表す図である。
【図2】本発明の実施例1の射出成形方法および装置の概略を表す図である。
【図3】本発明の実施例1の射出成形方法および装置の概略を表す図である。
【図4】本発明の実施例1の射出成形方法および装置の概略を表す図である。
【図5】本発明の実施例1の射出成形方法および装置の概略を表す図である。
【図6】本発明の実施例2の射出成形装置および方法を模式的に表す図である。
【図7】本発明の実施例1および比較例の射出成型方法および装置で得られた射出速度のスクリュウ位置毎の変化を表すグラフである。
【符号の説明】
1:射出成形装置 2:加熱筒 3:射出機構 4:ガス供給装置 5:成形型6:ノズル 7:ノズル開閉弁 8:駆動側成形型 9:固定側成形型 10:ガス供給口 11:スクリュウ 12:成形材料 13:スクリュウヘッド 14:ガス開閉弁 15:空隙 16:不活性ガス
17:射出プランジャー 18:成形材料 19:材料供給装置 20:スクリュウ 21:加熱筒 22:射出機構駆動装置 23:空隙
【発明の属する技術分野】本発明は射出成形の成形方法および成形装置に関し、詳しくは高速で射出を行うことができ、かつ射出成形の1サイクルに要する時間を短縮することのできる射出成形方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形の成形方法や成形装置は従来より種々のものが知られている。通常の射出成形機を用いて射出成形をおこなう場合、例えば溶融粘度が非常に高い難流動材料を成形材料として用いる場合では、非常に高い成形圧力を要するため通常の成形装置では成形圧力が不足して成形速度が遅くなり、成形材料が金型内に充填される前に固化する場合があり、良好な成形品が得られない場合がある。また、薄肉の成形品を得る場合も成形材料が短時間で冷却されるために成形材料が金型内に充填される前に固化する場合があり、この場合も良好な成形品が得られない場合がある。これらのことから、射出成形の成形速度を向上させて成形材料の固化前の金型を充填する高速成形が求められている。
【0003】
ここで、成形材料として一般には粘度の高いものが用いられるため、射出成形機の射出速度がその最高速度に達する前に射出が終了する場合がある。このため、成形材料の粘度を下げて射出成形の成形速度を向上させることが考えられている。特開2001−179779号公報や特表2001−519734号公報には、樹脂材料を成形材料として用いた場合に、炭酸ガスを超臨界流体としてこの成形材料に溶解させて樹脂の溶融粘度を下げる方法が記載されている。
【0004】
しかしこの方法によると樹脂の溶融粘度が下がるのみであるので、成形材料中に樹脂以外の材料を配合する場合には、成形材料全ての粘度を下げることはできない。このため、この方法は成形材料中の樹脂の割合が低い場合には実用的ではない。また、炭酸ガスなどの超臨界流体が樹脂に溶解するには長時間を要するため、射出成形の1サイクルに要する時間が非常に長くなり、製造コストが高くなる問題もある。
【0005】
一方、高圧で射出を行うために、アキュムレータ等の蓄圧装置を射出成形機に搭載する方法もあるが、これら蓄圧装置は加圧に至るまでの立ち上がりに時間を要することから、成形の1サイクルに要する時間が長くなる。また、これら蓄圧装置の加圧能力には限界があり、スクリュウ径の大きな中型以上の射出成形機に搭載する場合には、その加圧能力の限界により好適に使用できない場合がある。さらに、これらの問題が解決されたとしても装置の価格が非常に高くなるため、製造コストが高くなる問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、高価な装置を必要としないこと,粘度の高い成形材料であっても高速成形をおこなうことを可能にすること,成形の1サイクルに要する時間を短縮できること,を満足する射出成形方法および装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第1発明の射出成形方法は、加熱筒内にスクリュウを挿入配設し、該加熱筒の後部から供給した成形材料を該スクリュウの回転による剪断と該加熱筒からの加熱により可塑化溶融して該加熱筒の前方に移送しつつ計量し、計量された該成形材料を該スクリュウを含む射出シリンダにより該加熱筒の先端に位置するノズル部からノズル開閉弁を介して成形型に射出充填して成型品を得る射出成形方法において、上記ノズル開閉弁を閉状態とし、上記成形材料を上記加熱筒内に計量する計量工程と、上記計量工程後に上記スクリュウを所定量だけ後退させて、計量された上記成形材料と上記スクリュウの先端部との間に空隙を形成するサックバック工程と、ガス供給装置により該空隙に所定の圧力の不活性ガスを注入するガス注入工程と、該ガス注入工程後に、該空隙と該ガス供給装置とのガス流通を遮断するとともに上記スクリュウを前進させて該不活性ガスを圧縮するガス圧縮工程と、該ガス圧縮工程後に、上記ノズル開閉弁を開状態とし上記射出シリンダを上記加熱筒の上記ノズル部方向に前進させて上記射出シリンダの押圧力および圧縮された該不活性ガスの圧力によって上記成形材料を上記成形型に射出する射出工程と、所定の冷却時間経過後に、上記成形型より成型品を取出する取出工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決する本発明の第2発明の射出成形方法は、射出プランジャーが摺動配設された加熱筒に可塑化シリンダを並設し、該加熱筒と該可塑化シリンダとを該加熱筒の先端部で連通させて該可塑化シリンダで計量された成形材料を該加熱筒の先端に位置するノズル部からノズル開閉弁を介して成形型に射出充填して成型品を得る射出成形方法において、上記ノズル開閉弁を閉状態とし、上記可塑化シリンダで上記成形材料を計量し上記加熱筒の先端部に注入する計量工程と、上記計量工程後に上記射出プランジャーを所定量だけ後退させて、計量された成形材料と上記射出プランジャーの先端部との間に空隙を形成するサックバック工程と、ガス供給装置により該空隙に不活性ガスを注入するガス注入工程と、該ガス注入工程後に、該空隙と該ガス供給装置とを遮断するとともに上記射出プランジャーを前進させて該不活性ガスを圧縮するガス圧縮工程と、該ガス圧縮工程後に、上記ノズル開閉弁を開状態とし上記射出プランジャーを上記加熱筒の上記ノズル部方向に前進させて上記射出プランジャーの押圧力および圧縮された該不活性ガスの圧力によって上記成形材料を上記成形型に射出する射出工程と、所定の冷却時間経過後に、上記成形型より成型品を取出する取出工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の第1発明および第2発明の射出成形方法によると、射出シリンダや射出プランジャーの押圧力と不活性ガスの圧力とによって成形材料を成形型に射出することによって、溶融粘度の高い成形材料を高圧かつ高速で射出成形することが可能となる。
【0010】
そして、本発明の第1発明および第2発明の射出成形方法において、上記サックバック工程において形成される空隙の大きさは上記成形材料の計量値の30〜100%の体積であって、上記ガス注入工程において注入される不活性ガスの圧力は5MPa以上15MPa以下であることが好ましく、上記成形材料は、樹脂材料に充填材が70%以上配合されてなることが好ましい。
【0011】
また、上記課題を解決する本発明の第3発明の射出成形装置は、ノズル開閉弁により成形型に開閉可能に連通するノズルを有する加熱筒と、該加熱筒内を前後方向に摺動可能であり成形材料の計量位置と該計量位置より後方のサックバック位置とを取り得るスクリュウと、該加熱筒外部に配置され該サックバック位置にある該スクリュウの先端部と該加熱筒に計量された成形材料との間の空隙に不活性ガスを供給するガス供給装置とを有し、該ノズル開閉弁の閉状態において射出シリンダが該空隙に注入された該不活性ガスを圧縮可能であるとともに、該不活性ガスの圧縮に連動して該ノズル開閉弁の開動作をおこない射出シリンダによる該成形材料の該成形型への射出をおこなうことを特徴とする。
【0012】
そして、上記課題を解決する本発明の第4発明の射出成形装置は、ノズル開閉弁により成形型に開閉可能に連通するノズルを有する加熱筒と、該加熱筒内を前後方向に摺動可能であり成形材料の計量位置と該計量位置より後方のサックバック位置とを取り得る射出プランジャーと、該加熱筒と並設され該加熱筒の先端部で連通する可塑化シリンダと、該加熱筒外部に配置され該サックバック位置にある該射出プランジャーの先端部と該加熱筒内に計量された成形材料との空隙に不活性ガスを供給するガス供給装置とを有し、該射出プランジャーが該ノズル開閉弁の閉状態において該空隙に注入された該不活性ガスを圧縮可能であるとともに、該不活性ガスの圧縮に連動して該ノズル開閉弁の開動作をおこない該射出シリンダによる該成形材料の該成形型への射出をおこなうことを特徴とする。
【0013】
本発明の第3発明および第4発明の射出成形装置によると、加熱筒外部に配置されたガス供給装置より射出機構と加熱筒内に計量された成形材料との間の空隙に不活性ガスを供給することが可能となり、射出シリンダや射出プランジャーの押圧力と不活性ガスの圧力とによって成形材料を成形型に射出することが可能となる。したがって、溶融粘度の高い成形材料を高圧かつ高速で射出成形することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる射出成形方法および射出成形装置は、樹脂材料やゴム材料等の通常の材料を含む成形材料の成形に用いることができる。
【0015】
本発明の第1発明および第2発明にかかる射出成形方法は、計量工程,サックバック工程,ガス注入工程,ガス圧縮工程,射出工程および取出工程を有する。
【0016】
第1発明における計量工程は、ノズル開閉弁を閉状態とし、成形材料を加熱筒内に計量する工程である。また、第2発明における計量工程は、ノズル開閉弁を閉状態とし、可塑化シリンダで成形材料を計量し加熱筒の先端部に注入する工程である。
【0017】
本発明において、第1発明は成型装置を所謂インラインスクリュウ型のものとした場合の射出成形方法であり、第2発明は成型装置を所謂プリプランジャー型のものとした場合の射出成形方法である。本明細書において第1発明のスクリュウおよび第2発明の射出プランジャーの同じ機能を説明する場合、このスクリュウおよび射出プランジャーを総称して射出機構と呼ぶ。
【0018】
第1発明および第2発明において、成形材料は可塑化した状態で所望の成型品を形成するのに適当な量が加熱筒内部の先端部分に量り取られる。このとき、加熱筒内部に配置された射出機構は加熱筒内でこの成形材料よりも後部に配置されることとなる。この計量工程において射出機構が配置される位置を射出機構の計量位置とする。また、この射出機構の計量位置は一回の成形に過不足なく適当な量の成形材料を加熱筒のノズルと射出機構との間隙に注入できるような射出機構の配置位置であり、所望する成型品の大きさや形状等によってそれぞれ異なる位置である。
【0019】
本発明の第1発明および第2発明の射出成型方法において、成形型,加熱筒および射出機構は通常のインラインスクリュウ型あるいはプリプランジャー型のものを用いることができるが、後述するガス注入工程において、空隙が形成された加熱筒内に不活性ガスを注入するためには、加熱筒または射出機構には加熱筒内と連通するガス注入口が設けられている必要がある。
【0020】
成形材料としては、熱可塑性樹脂,熱硬化性樹脂等の種々の溶融可能な樹脂材料を用いることができ、また、これらの材料に添加剤や充填材を加えたエンジニアリングプラスチック樹脂やスーパーエンジニアリングプラスチック樹脂等の溶融粘度が非常に高い難流動材料を用いることもできる。
【0021】
本発明において、樹脂材料の種類や樹脂材料とその他の材料との混合比は特に限定されるものではないが、成形材料は、樹脂材料に充填材が70%以上配合されてなることが好ましい。これは、後述するガス注入工程後の射出工程において良好な射出をおこなうためである。また、ここで、充填材とは樹脂材料に混合され樹脂材料に対する反応性のない例えば金属粉末等の材料のことである。
【0022】
第1発明および第2発明において、サックバック工程は、射出機構を計量位置よりさらに後退させ、射出機構と加熱筒に充填された成形材料との間に空隙を形成する工程である。射出機構がスクリュウの場合には、この射出機構を回転させずに後退させる(サックバック)ことで射出機構と成形材料との間に空隙を形成することができるし、射出機構が射出プランジャーの場合にはこの射出プランジャーをそのまま後退させることで射出機構と成形材料との間に空隙を形成することができる。ここで、ノズル開閉弁は閉状態となっていることから、ノズル部より加熱筒内部への空気の流入は遮断されている。また、加熱筒と射出機構とは完全に気密に配置されているものではないため、射出機構をサックバックさせるときには、加熱筒と射出機構とのごく僅かな間隙から空気が進入し、射出機構と成形材料との間に空隙が形成される。サックバックの距離、すなわち形成される空隙の大きさは、成形材料の溶融粘度,成形材料の1回あたりの射出量,成形装置の最高射出速度および後述する空隙に注入される不活性ガスの圧力等によって必要な大きさに適宜設定されるものである。また、このサックバックの距離は加熱筒の内径と関連して適宜設定されるものである。
【0023】
ガス注入工程は、空隙が形成された加熱筒内に所定の圧力の不活性ガスを注入する工程である。ここで、本発明における不活性ガスとは成形材料と反応しないガスをいう。成形材料と反応する酸素等の活性ガスを用いる場合、成形材料を射出成形する際に成形材料に変性が生じる場合があり、この場合、所望の形状および材質の成形品を得ることが困難になる場合があるが、不活性ガスを用いることでこれらの問題が回避される。ここで用いる不活性ガスとしては、価格や取り扱いの簡便性,あるいは成形材料の種類等によって通常の不活性ガスから適宜選択して用いることができるが、二酸化炭素,窒素,アルゴンから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。また、ここで不活性ガスの所定の圧力とは、成形材料の溶融粘度,成形材料の1回あたりの射出量,成形装置の最高射出速度および空隙の大きさ等と関連して適宜設定されるものである。
【0024】
第1発明および第2発明において、ガス圧縮工程は、ガス注入工程後に空隙とガス供給装置とを遮断するとともに射出機構を前進させて該不活性ガスを圧縮する工程である。ガス注入工程において不活性ガスは所定の圧力で空隙に注入されているものであるが、この不活性ガスはガス圧縮工程によってさらに圧縮される。
【0025】
このガス圧縮工程でのガス圧力は射出機構の押圧力とバランスする圧力となり、この押圧力をスクリュウ断面積で除した値となる。したがって、同じ射出機構駆動装置を用いる場合でもスクリュウやバレルを変更することにより不活性ガスの圧縮ガス圧力を適宜変更することが可能となる。
【0026】
本発明の第1発明および第2発明における射出工程は、ノズル開閉弁を開状態とし射出機構をノズル部方向に前進させて射出機構の押圧力および不活性ガスの圧力によって成形材料を成形型に射出する工程である。すなわち、本発明の射出工程においては、射出機構をノズル部方向に摺動させて射出機構の押圧力によって成形材料を成形型に射出する通常の射出工程に加えて、ガス注入工程において注入されガス圧縮工程によって圧縮された不活性ガスの圧力によっても成形型への射出を行うものである。したがって、射出機構の押圧力のみを用いた通常の射出成形と比較して成形材料には非常に大きな成形圧力がかかることとなり、成形材料の溶融粘度が高い場合であってもこの成形圧力の増大によって高速成形を行うことが可能となる。その作用機構を以下に説明する。
【0027】
通常射出成形では、射出成形装置が射出動作を開始して成形材料の射出速度が所定の速度に達するまでには、ある程度の時間、つまり立ち上がり時間が必要となる。本発明の射出成型方法において、加熱筒内の成形材料と射出機構との間に形成された空隙には不活性ガスが注入されている。ここで、不活性ガスは成形材料に比べて圧縮されやすいことから、ガス圧縮工程における射出機構の成形型方向への摺動は、注入された不活性ガスの分だけ容易におこなわれる。したがって、ガス圧縮工程による不活性ガスの圧縮の完了と連動させてノズル開閉弁を開状態とし、引き続き射出工程をおこなうことで、射出機構の摺動速度をあまり低下させることなく射出工程を開始させることができ、射出速度の立ち上がり時間は著しく短縮される。
【0028】
また、ガス圧縮工程において不活性ガスは射出機構によって一定の割合までは圧縮されるが、圧縮された不活性ガスは再度膨張しようとすることから反発力が生じる。ガス圧縮工程においてはノズル開閉弁が閉状態となっているため、この反発力は加熱筒内部,成形材料および射出機構に作用し、これらの剛性や押圧力と均衡を保った状態となっている。射出工程において、ノズル開閉弁が開状態となると、成形材料方向からの押圧力が解かれることから、成形材料方向に作用するこの反発力によって射出がおこなわれることとなる。
【0029】
また、このとき射出機構によるノズル部方向への押圧は継続しておこなわれているため、成形材料は射出機構の押圧力によっても成形型方向に押圧される。したがって、成形材料は射出機構の押圧力および不活性ガスの圧力によって成形型に射出され、成形速度は非常に向上する。ここで、射出機構の摺動速度を低下させないためにはガス圧縮工程と射出工程とは連動しておこなうものであることが好ましい。連動の方法としては既知の方法を用いることができ、たとえば、射出機構が所定値以上前進した場合にこれと連動してノズル開閉弁を開状態にする方法などが挙げられる。
【0030】
また、本発明の射出成形方法のガス注入工程において、不活性ガスは空隙に注入される。したがって、圧縮された不活性ガスによる圧力は成形材料全体にかかることとなり、成形材料の射出は均一かつ高速でおこなわれることとなる。
【0031】
本発明の第1発明および第2発明において、サックバック工程において形成される空隙の大きさは成形材料の計量値の30〜100%の体積であって、ガス注入工程において注入される不活性ガスの圧力は5MPa以上15MPa以下であることが好ましい。
【0032】
上述したように、空隙の大きさや不活性ガスの圧力は、成形材料の溶融粘度や射出機構の押圧力等によって適宜設定されるものであるが、サックバック工程において形成される空隙の大きさを成形材料の計量値の30〜100%の体積とし、ガス注入工程において注入される不活性ガスの圧力を5MPa以上15MPa以下とすることで射出時の不活性ガスの圧力を好適なものとすることができる。すなわち、空隙の大きさが成形材料の計量値の30%未満である場合には、成形材料の量に対する不活性ガスの量が不足することから、例えば溶融粘度が高い成形材料を用いる場合には、充分な射出圧力や射出速度が得られない場合がある。また、空隙の大きさが成形材料の100%を超える場合には、成形材料に対する不活性ガスの量が大きくなりすぎるため、射出時に不活性ガスが樹脂に混入し成形型にまで噴出する場合があり、成形品に悪影響を与える場合がある。そして、注入される不活性ガスの圧力が5MPaに満たない場合には射出時の圧縮ガス圧力が不足する場合があり、また、15MPaを超える場合には射出時に不活性ガスが噴出する場合がある。
【0033】
本発明の第1発明および第2発明において、上述したように、成形材料は樹脂材料に充填材が70%以上配合されてなることが好ましい。これは、成形材料の溶融粘度があまり低すぎると、射出工程に際して不活性ガスが成形材料を貫通し成形材料より優先的に射出される場合があり、この場合得られた成型品は肉厚の中央部が中空となった中空成型品となる場合があるためである。成形材料が、樹脂材料に充填材が70%以上配合されてなる場合、成形材料の溶融粘度は充填材によって非常に高いものとなり、射出工程においても不活性ガスがこの成形材料を貫通し優先的に射出されることが防止される。
【0034】
本発明の第1発明および第2発明において、取出工程は所定の冷却時間経過後に、成形型より成型品を取出する工程である。この取出工程は通常の工程によっておこなわれる。
【0035】
本発明の第3発明および第4発明の射出成形装置は、加熱筒と射出機構とガス供給機構とを有する。第3発明の射出成形装置はインラインスクリュウ型の射出成形装置であり、第4発明の射出成形装置はプリプランジャー型の射出成形装置である。
【0036】
加熱筒はノズル開閉弁により成形型に開閉可能に連通するノズルを有する。ノズルは、成形型との連通がノズル開閉弁によって開閉されるものであればよく、開閉弁は通常の開閉機構を用いることができる。ここで、ノズルより加熱筒内への空気の進入が考えられるサックバック時にはノズル開閉弁が閉状態をとることが必要であり、このノズル開閉弁は、成形型より加熱筒内への空気の進入を防止するためには閉状態においては気密に閉じられることが必要である。
【0037】
第3発明の射出成形装置においては、通常のインラインスクリュウ型の射出成形装置と同様に、成形材料はこの加熱筒後部よりスクリュウによって可塑化されつつ加熱筒前方に供給され計量される。また、第4発明の射出成形装置においては、通常のプリプランジャー型の射出成形装置と同様に、成形材料はこの加熱筒に並設された可塑化シリンダによって可塑化され計量された後に加熱筒先端部より加熱筒内に注入される。
【0038】
射出機構は、加熱筒内に計量された成形材料を成形型方向に射出する機能を持つもので、加熱筒内を前後方向に摺動可能に配置され成形材料の計量位置と、この計量位置より後方のサックバック位置を取り得るものである。計量位置は、上述したように所望の成形品の形状や大きさ等によって適宜決定されるものである。また、サックバック位置は、サックバックの距離すなわち形成される空隙の大きさによって決定され、成形材料の溶融粘度,成形材料の1回あたりの射出量,不活性ガスの圧力および成形装置の最高射出速度等によって必要な大きさに適宜設定されるものである。また、ここでいう射出機構は、既述の射出機構と同様に第3発明のスクリュウと第4発明の射出プランジャーを総称するものである。
【0039】
ガス供給装置は、加熱筒外部に配置され、不活性ガスをサックバック位置にある射出機構と加熱筒に計量された成形材料との間に形成された空隙に供給するものである。空隙に不活性ガスを供給するガス供給口はスクリュウやプランジャーの先端部に設けられてもよいし、また、加熱筒自体に設けられてもよい。
【0040】
またガス供給装置には、ガス圧縮工程時および射出工程時に生じる圧力によって成形材料がガス供給装置に逆流することを防止するガス開閉弁を設ける必要がある。このガス開閉弁は既知の開閉機構でガス供給装置と加熱筒内部とを遮断および開放するものである。
【0041】
本発明の第3発明および第4発明の射出成形装置は、ノズル開閉弁の開状態において射出機構が空隙に注入された不活性ガスを圧縮可能であるとともに、不活性ガスの圧縮に連動してノズル開閉弁の開動作をおこない射出シリンダによる成形材料の成形型への射出をおこなうものである。
【0042】
ノズル開閉弁は通常の開閉機構で加熱筒内部と成形型とを遮断および開放できるものであればよく、このノズル開閉弁の動作と射出機構の動作とを連動させることで、ノズル開閉弁の開状態と射出機構による不活性ガスの圧縮とを連動させることができる。また上述したように、既知の方法で不活性ガスの圧縮の完了を検知することで、不活性ガスの圧縮とノズル開閉弁の開動作とを連動させることができる。
【0043】
また本発明の射出成形装置に、保圧や型圧縮,プレス等の手段を併設することで上述した射出成形方法および装置にさらに射出プレス成形や射出圧縮成形,保圧成形等の工程や機能を追加しておこなうものとすることも可能である。
【0044】
さらに、本発明の射出成形方法および装置は、不活性ガスを超臨界流体として併用することもできる。この場合、成形材料中に不活性ガスを一部溶解させることができ、成形材料の粘度を低下させることができるため、射出成形をより高速でおこなうことができる。
【0045】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面を基にして説明する。
(実施例1)
本実施例1の射出成形方法および装置の概略を表す図を図1〜図5に示す。本実施例1の射出成形方法は、第3発明のインラインスクリュウ型の射出成形装置を用いた第1発明の射出成形方法である。本実施例1においてスクリュウが射出機構となる。
【0046】
本実施例1の射出成形装置1は、加熱筒2と,この加熱筒2内部に配置された射出機構3と,加熱筒2外部に配置されたガス供給装置4とを有し、ガス供給装置4には、不活性ガスの供給を切替するガス開閉弁14が設けられているものである。また、射出成形装置1としては、宇部興産機械製全電動射出成形機(350t射出成形機)にガス供給装置4を設けたものを用いた。
【0047】
加熱筒2には、成形型5と接する端部に成形型5に連通するノズル6が設けられている。このノズル6内の所定位置にはノズル6と成形型5との連通を開閉するノズル開閉弁7が設けられている。また、本実施例1の射出成形装置1は、射出成形とともに型圧縮をおこなうものである。本実施例1の射出成形装置1において、成形型5は駆動側成形型8と固定側成形型9とに分かれており、このうち駆動側成形型8は図示しない駆動装置によって固定側成形型9方向に移動可能となっている。
【0048】
さらに本実施例1の射出成形装置1において、ガス供給装置4より加熱筒2内に不活性ガスである二酸化炭素ガスを供給するガス供給口10は、加熱筒2自体に設けられ、後述する空隙が形成される位置と対応した位置に設けられたものである。
【0049】
本発明の実施例1において、射出成形方法は、計量工程,サックバック工程,ガス注入工程,ガス圧縮工程,射出工程および取り出し工程よりなる。
【0050】
(1)計量工程
本実施例1の計量工程において、加熱筒2内に配置されたスクリュウ11は、図示しない射出機構駆動装置によって図1中A位置にあたる計量位置に配置されている。また、スクリュウ11後部には図示しない材料供給装置が配置されている。この材料供給装置内には成形材料12が保持されており、この成形材料12はスクリュウ11の回転により、この材料供給装置より加熱筒2内部に送られ、加熱筒2の端部に位置するノズル6と、このスクリュウ11の端部であるスクリュウ11ヘッド13との間隙に計量される。このとき、ノズル開閉弁7は閉状態となっており、ガス開閉弁14もまた閉状態となっているため、加熱筒2内は成形型5やガス供給装置4との連通が閉じられた状態となっている。このため、加熱筒2内に計量された成形材料12の加熱筒2外部への漏出は防止されている。
【0051】
また、本実施例1において、成形材料12としてはアルミ粉末80重量%とPPS(ポリフェニレンサルファイド)との混合物を用いた。この成形材料12は、温度315℃,剪断速度が1000(1/s)のとき100000(Pa.s)の粘度を示すものであり高粘度の材料である。
【0052】
(2)サックバック工程
本実施例1のサックバック工程において、上述した計量工程で計量位置Aに配置されているスクリュウ11は、射出機構駆動装置によって計量位置Aよりさらに後退されて図2中B位置にあたるサックバック位置に配置される。これによって、上述した計量工程で計量された成形材料とスクリュウヘッドとの間には空隙15が計量された成形材料の体積の50%である53cm3で形成される。このとき、スクリュウ11の回転をおこなわず単に後退させることで、計量された成形材料12量の変動なくサックバックをおこなうことができる。また、本実施例のサックバック工程においてノズル開閉弁7およびガス開閉弁14は継続して閉状態に配置されている。このため、本サックバック工程においてノズル6と成形材料12との間には空隙が形成されることはなく、またガス供給装置4に成形材料12が逆流することはない。
【0053】
(3)ガス注入工程
本実施例1のガス注入工程において、上述したサックバック工程で形成された空隙15には100Kgfのガス圧力で不活性ガス16が注入される。すなわち、図2に示されるように、加熱筒2の計量位置Aとサックバック位置Bとの間にはガス供給口10が設けられている。ガス開閉弁14を開状態にし、加熱筒2外部に配置されたガス供給装置4より不活性ガス16を供給することで、このガス供給口10より加熱筒2内部の空隙に不活性ガス16が注入される。
【0054】
(4)ガス圧縮工程
本実施例1のガス圧縮工程において、ガス供給装置4のガス開閉弁14は閉状態となり空隙とガス供給装置4とのガス流通は遮断される。また、上述したガス注入工程で空隙に注入された不活性ガス16はスクリュウ11の前進によって圧縮される。本実施例1において不活性ガス16は500Kgfのガス圧力にまで圧縮された。本ガス圧縮工程では、スクリュウ11の成形型5方向への移動に伴って、図3に示すように不活性ガス16の圧縮がおこなわれる。
【0055】
(5)射出工程
本実施例1の射出工程において、ノズル開閉弁7は開状態となり加熱筒2内部と成形型5とが連通される。上述したガス圧縮工程で空隙に圧縮された不活性ガス16が注入された状態で成形材料12の成形型5への射出がおこなわれる。このとき、駆動側成形型8は図示しない駆動装置の駆動力によって固定側成形型9方向に移動し、駆動側成形型8と固定側成形型9とは僅かに間隙を有しつつ対向して配置されることとなる。ここで、加熱筒2内の空隙に注入されている不活性ガス16は圧縮されていることから、再度膨張しようとする反発力が生じる。本射出工程において、ノズル開閉弁7が開状態となり加熱筒2内部は成形型5と連通し、スクリュウ11の成形型5方向への移動は継続しておこなわれているため、ここで生じた反発力は成形材料12方向に作用する。したがって、図4に示すような成形材料12の成形型5方向への射出はスクリュウ11の押圧力および不活性ガス16の圧力によっておこなわれることとなり、成形速度は高速なものとなる。また、射出後には、図5に示すように駆動側成形型8をさらに固定側成形型9方向に移動させることで、成形型5内に射出された成形材料12の圧縮がおこなわれる。
【0056】
(6)取出工程
本実施例1の取出工程において、圧縮成形により得られた成形品は、次の成形の計量工程がおこなわれる間に冷却され、駆動側成形型8が固定側成形型9に対して開く方向に移動することで取出される。
【0057】
(実施例2)
本実施例2の射出成形方法および装置は、射出成形装置がプリプランジャー式のものであり、射出機構が射出プランジャーである以外は、実施例1の装置と同様の装置であり、実施例1の方法と同様におこなわれた。本実施例2の射出成形装置および方法を模式的に表す図を図6に示す。
【0058】
本実施例2において、計量工程では射出プランジャー17は計量位置Aに配置され、成形材料18は材料供給装置19に設けられたスクリュウ20によって加熱筒21内部に供給される。そして、サックバック工程において射出機構駆動装置22によって射出プランジャー17はサックバック位置Bに後退し、射出プランジャー17と成形材料18との間には空隙23が形成される。
【0059】
(比較例)
本比較例の射出成形装置は、実施例1の射出成形装置にガス供給装置を設けなかった以外は実施例1と同様のものである。また、本比較例の射出成形方法は、実施例1の射出成形方法のうちサックバック工程とガス注入工程とをおこなわなかった以外は実施例1と同様の方法である。
【0060】
(射出速度試験)
本発明の射出成形方法および装置を用いた実施例1の射出成形のガス圧縮工程および射出工程における射出速度の変化を測定した。また、比較例の射出成形の射出工程における射出速度の変化を測定した。ここで測定は、射出機構(スクリュウ)の加熱筒内の移動速度を加熱筒内の各位置毎に測定することによっておこなった。射出機構の移動速度は、スクリュウを射出駆動するための動力元であるサーボモータの回転数と時間から演算することにより測定された。実施例1および比較例の射出成型方法および装置で得られた射出速度のスクリュウ位置毎の変化を表すグラフを図7に示す。図中実線で表される曲線は実施例1の射出成型方法および装置によって得られた曲線であり、図中破線で表される曲線は比較例の射出成型方法および装置によって得られた曲線である。
【0061】
図7中横軸は、加熱筒内に配置されたスクリュウの、スクリュウ前進端からの距離を示す。すなわちこの横軸は、図中上部に図示される射出成形装置の模式図と対応するように、左端がスクリュウ前進端となり右端がサックバック完了位置となる。実施例1の射出工程において、スクリュウはサックバック完了位置からスクリュウ前進端方向に移動することとなる。また比較例1の射出工程において、スクリュウは計量完了位置からスクリュウ前進端方向に移動することとなる。したがって、このグラフにおいては射出工程開始直後のスクリュウの移動速度はグラフ右側に示され、射出工程終了時のスクリュウの移動速度はグラフ左端に示されることとなる。また、この射出速度試験は射出工程時におこなわれたものであるので、実施例1においてはこの射出速度試験時には、加熱筒内左側には成形材料が保持された状態となっており、この成形材料とスクリュウ先端部との間の空隙には不活性ガスが注入された状態となっている。
【0062】
また、図7中縦軸はスクリュウ移動速度(mm/s)を示す。ここで、図中2点鎖線で示される速度である160(mm/s)は、本実施例1および比較例で用いた射出成形装置の移動速度の設定最高速度である。
【0063】
実施例の曲線によると、圧縮工程においてスクリュウの移動速度が設定最高速度(160mm/s)に達しており、立ち上がり時間が非常に短いものとなっている。これは、加熱筒内の空隙に不活性ガスが注入されていることから、スクリュウは圧縮されやすい不活性ガスを圧縮しつつ前進することとなり、成形材料を押圧する場合と比較して非常に容易に前進がおこなわれるためであると考えられる。
【0064】
さらに、このガス圧縮工程においてスクリュウがより前進すると、スクリュウの移動速度は設定最高速度を超えたものとなっている。これは、成形材料は粘度が高いものであり流動抵抗が大きいものであるのに対して、空隙に注入されている不活性ガスは非常に圧縮され易いため、通常の成形材料を射出成形する場合と比較してもスクリュウにかかる負荷が小さいものとなり、よって設定最高速度を超えるスクリュウの移動速度が得られるためであると考えられる。
【0065】
また、このガス圧縮工程においてスクリュウがさらに前進すると、スクリュウの移動速度は一旦低下する。これは、ガス圧縮工程においてノズル開閉弁は閉状態となっているため、ガスの圧縮には限度があるためである。
【0066】
ガス圧縮工程で不活性ガスが射出機構の押圧力とバランスする圧力にまで圧縮されると、ノズル開閉弁が開状態となり射出工程が開始する。射出工程が開始すると、スクリュウの移動速度は設定最高速度を超えるものとなり、上述したスクリュウの移動速度を超えるものとなる。
【0067】
これに対し比較例の曲線によると、射出速度試験開始後スクリュウの移動速度は緩やかに上昇し、このスクリュウの移動速度は設定最高速度に達することはない。このように、比較例の方法すなわち通常の射出成形方法で射出成形をおこなった場合には設定最高速度に達する速度で成形をおこなうことができないような粘度の高い成形材料を用いる場合であっても、本発明の射出成形方法および装置を用いることで高速成形をおこなうことが可能となる。
【0068】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明の射出成形方法および装置によると、射出速度の立ち上がり時間が著しく短縮され、射出圧力や射出機構の移動速度が向上することから、射出成形における成形速度を向上させることが可能となる。また、アキュムレータ等の高価な装置を必要とすることなく高粘度の成形材料を用いた射出成形を高速でおこなうことが可能となる。さらに、射出成形装置の立ち上がりに要する時間は非常に短いものとなることから、成形の1サイクルに要する時間を短縮することが可能となり、製造コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の射出成形方法および装置の概略を表す図である。
【図2】本発明の実施例1の射出成形方法および装置の概略を表す図である。
【図3】本発明の実施例1の射出成形方法および装置の概略を表す図である。
【図4】本発明の実施例1の射出成形方法および装置の概略を表す図である。
【図5】本発明の実施例1の射出成形方法および装置の概略を表す図である。
【図6】本発明の実施例2の射出成形装置および方法を模式的に表す図である。
【図7】本発明の実施例1および比較例の射出成型方法および装置で得られた射出速度のスクリュウ位置毎の変化を表すグラフである。
【符号の説明】
1:射出成形装置 2:加熱筒 3:射出機構 4:ガス供給装置 5:成形型6:ノズル 7:ノズル開閉弁 8:駆動側成形型 9:固定側成形型 10:ガス供給口 11:スクリュウ 12:成形材料 13:スクリュウヘッド 14:ガス開閉弁 15:空隙 16:不活性ガス
17:射出プランジャー 18:成形材料 19:材料供給装置 20:スクリュウ 21:加熱筒 22:射出機構駆動装置 23:空隙
Claims (8)
- 加熱筒内にスクリュウを挿入配設し、該加熱筒の後部から供給した成形材料を該スクリュウの回転による剪断と該加熱筒からの加熱により可塑化溶融して該加熱筒の前方に移送しつつ計量し、計量された該成形材料を該スクリュウを含む射出シリンダにより該加熱筒の先端に位置するノズル部からノズル開閉弁を介して成形型に射出充填して成型品を得る射出成形方法において、
前記ノズル開閉弁を閉状態とし、前記成形材料を前記加熱筒内に計量する計量工程と、
前記計量工程後に前記スクリュウを所定量だけ後退させて、計量された前記成形材料と前記スクリュウの先端部との間に空隙を形成するサックバック工程と、
ガス供給装置により該空隙に所定の圧力の不活性ガスを注入するガス注入工程と、
該ガス注入工程後に、該空隙と該ガス供給装置とのガス流通を遮断するとともに前記スクリュウを前進させて該不活性ガスを圧縮するガス圧縮工程と、
該ガス圧縮工程後に、前記ノズル開閉弁を開状態とし前記射出シリンダを前記加熱筒の前記ノズル部方向に前進させて前記射出シリンダの押圧力および圧縮された該不活性ガスの圧力によって前記成形材料を前記成形型に射出する射出工程と、
所定の冷却時間経過後に、前記成形型より成型品を取出する取出工程と、
を有することを特徴とする射出成形方法。 - 前記サックバック工程において形成される空隙の大きさは前記成形材料の計量値の30〜100%の体積であって、前記ガス注入工程において注入される不活性ガスの圧力は5MPa以上15MPa以下である請求項1に記載の射出成形方法。
- 前記成形材料は、樹脂材料に充填材が70%以上配合されてなる請求項1又は請求項2に記載の射出成形方法。
- 射出プランジャーが摺動配設された加熱筒に可塑化シリンダを並設し、該加熱筒と該可塑化シリンダとを該加熱筒の先端部で連通させて該可塑化シリンダで計量された成形材料を該加熱筒の先端に位置するノズル部からノズル開閉弁を介して成形型に射出充填して成型品を得る射出成形方法において、
前記ノズル開閉弁を閉状態とし、前記可塑化シリンダで前記成形材料を計量し前記加熱筒の先端部に注入する計量工程と、
前記計量工程後に前記射出プランジャーを所定量だけ後退させて、計量された成形材料と前記射出プランジャーの先端部との間に空隙を形成するサックバック工程と、
ガス供給装置により該空隙に不活性ガスを注入するガス注入工程と、
該ガス注入工程後に、該空隙と該ガス供給装置とを遮断するとともに前記射出プランジャーを前進させて該不活性ガスを圧縮するガス圧縮工程と、
該ガス圧縮工程後に、前記ノズル開閉弁を開状態とし前記射出プランジャーを前記加熱筒の前記ノズル部方向に前進させて前記射出プランジャーの押圧力および圧縮された該不活性ガスの圧力によって前記成形材料を前記成形型に射出する射出工程と、
所定の冷却時間経過後に、前記成形型より成型品を取出する取出工程と、
を有することを特徴とする射出成形方法。 - 前記サックバック工程において形成される空隙の大きさは前記成形材料の計量値の30〜100%の体積であって、前記ガス注入工程において注入される不活性ガスの圧力は5MPa以上15MPa以下である請求項4に記載の射出成形方法。
- 前記成形材料は、樹脂材料に充填材が70%以上配合されてなる請求項4又は請求項5に記載の射出成形方法。
- ノズル開閉弁により成形型に開閉可能に連通するノズルを有する加熱筒と、該加熱筒内を前後方向に摺動可能であり成形材料の計量位置と該計量位置より後方のサックバック位置とを取り得るスクリュウと、該加熱筒外部に配置され該サックバック位置にある該スクリュウの先端部と該加熱筒に計量された成形材料との間の空隙に不活性ガスを供給するガス供給装置とを有し、
該ノズル開閉弁の閉状態において射出シリンダが該空隙に注入された該不活性ガスを圧縮可能であるとともに、該不活性ガスの圧縮に連動して該ノズル開閉弁の開動作をおこない射出シリンダによる該成形材料の該成形型への射出をおこなうことを特徴とする射出成形装置。 - ノズル開閉弁により成形型に開閉可能に連通するノズルを有する加熱筒と、該加熱筒内を前後方向に摺動可能であり成形材料の計量位置と該計量位置より後方のサックバック位置とを取り得る射出プランジャーと、該加熱筒と並設され該加熱筒の先端部で連通する可塑化シリンダと、該加熱筒外部に配置され該サックバック位置にある該射出プランジャーの先端部と該加熱筒内に計量された成形材料との空隙に不活性ガスを供給するガス供給装置とを有し、
該射出プランジャーが該ノズル開閉弁の閉状態において該空隙に注入された該不活性ガスを圧縮可能であるとともに、該不活性ガスの圧縮に連動して該ノズル開閉弁の開動作をおこない該射出シリンダによる該成形材料の該成形型への射出をおこなうことを特徴とする射出成形装置。
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