JP2004056561A - リングオシレータの発振周波数補正回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータの発振周波数を外部発振子を必要とせずに自動的に補正できるようにする。
【解決手段】半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータ1の発振経路内に介在させた遅延回路であって遅延量が互いに異なる複数の遅延素子を並列に接続した遅延回路2と、リングオシレータ1の出力信号Prを受けて発振周波数の進遅を細分化した複数の電圧レベル値に変換する周波数検知回路3と、周波数検知回路3が出力する複数の電圧レベル値を個別に閾値を超えるか否かで論理値を定め、その定めた論理値のデータビットを出力信号Pr毎にラッチするコンデンサ電圧ラッチ回路4と、コンデンサ電圧ラッチ回路4が出力する複数のデータビットの組み合わせに基づき遅延回路2内の1つの遅延素子をリングオシレータ1の構成素子として選択する選択回路5とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータ1の発振経路内に介在させた遅延回路であって遅延量が互いに異なる複数の遅延素子を並列に接続した遅延回路2と、リングオシレータ1の出力信号Prを受けて発振周波数の進遅を細分化した複数の電圧レベル値に変換する周波数検知回路3と、周波数検知回路3が出力する複数の電圧レベル値を個別に閾値を超えるか否かで論理値を定め、その定めた論理値のデータビットを出力信号Pr毎にラッチするコンデンサ電圧ラッチ回路4と、コンデンサ電圧ラッチ回路4が出力する複数のデータビットの組み合わせに基づき遅延回路2内の1つの遅延素子をリングオシレータ1の構成素子として選択する選択回路5とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、マイクロコンピュータなどの半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータの発振周波数を補正する発振周波数補正回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータは、インバータを奇数段直列に接続し、最終段の出力を初段に帰還させた発振回路であるが、その発振周波数は、電圧変化や周囲の温度変化に対し50%〜100%の変動を伴う。したがって、特にマイクロコンピュータに内蔵されるリングオシレータでは、発振周波数の補正が必要である。
【0003】
そこで、従来のマイクロコンピュータでは、温度変化による周波数変動の少ない発振子を接続してその発振周波数が測定できるようにし、測定した外部発振子の発振周波数と別に測定したリングオシレータの発振周波数とを用いてソフトウエア処理によってリングオシレータの発振周波数補正を行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のマイクロコンピュータでは、リングオシレータの発振周波数補正をソフトウエア処理によって実施しなければならず、補正処理自体が負荷となっていた。また、外部発振子にて高速動作をさせるために、補正処理中は消費電力が増加するという問題もあった。
【0005】
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータの発振周波数を外部発振子を必要とせずに自動的に補正でき、またその補正動作において消費電力の抑制が行えるリングオシレータの発振周波数補正回路を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明にかかるリングオシレータの発振周波数補正回路は、半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータにおいて、前記リングオシレータの発振経路内に介在させた遅延回路であって遅延量が互いに異なる複数の遅延素子を並列に接続した遅延回路と、前記リングオシレータの発振周波数の変動を検出する周波数検知回路であって、一方の信号電極が電源に接続され、駆動電極に前記リングオシレータの出力信号が印加されるトランジスタと、前記トランジスタの他方の信号電極と接地との間に設けられる抵抗素子と、前記抵抗素子に並列に接続されるコンデンサ回路であって直列に接続した複数のコンデンサからなり各接続端から電圧レベル値を示す分圧信号を出力するコンデンサ回路とを備える周波数検知回路と、前記周波数検知回路が出力する複数の電圧レベル値を個別に閾値を超えるか否かで論理値を定め、その定めた論理値のデータビットを前記リングオシレータの出力信号毎にラッチするラッチ回路と、前記ラッチ回路が出力する複数のデータビットの組み合わせに基づき前記遅延回路内の1つの遅延素子を前記リングオシレータの構成素子として選択する選択回路とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、リングオシレータの発振経路内に、遅延量が互いに異なる複数の遅延素子を並列に接続した遅延回路が設けられている。そして、周波数検知回路では、トランジスタがリングオシレータの出力信号を受けて一定期間の導通状態と非導通状態とを交互に繰り返している。トランジスタが導通状態であるときに、コンデンサ回路では、直列に接続した複数のコンデンサが充電され、各接続端から電圧レベル値を示す分圧信号が出力される。各分圧信号のレベルは、トランジスタが導通状態である期間が長いか短いか、つまりリングオシレータの発信周波数が低いか高いかによって変化する。ラッチ回路では、周波数検知回路が出力する複数の電圧レベル値を個別に閾値を超えるか否かで論理値を定め、その定めた論理値のデータビットがリングオシレータの出力信号毎にラッチされる。選択回路では、ラッチ回路が出力する複数のデータビットの組み合わせに基づき遅延回路内の1つの遅延素子がリングオシレータの構成素子として選択される。
【0008】
つぎの発明にかかるリングオシレータの発振周波数補正回路は、半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータにおいて、前記リングオシレータの各構成素子の電源端に接続される駆動電圧発生回路であって発生する駆動電圧が互いに異なる複数のレギュレータ回路を並列に接続した駆動電圧発生回路と、前記リングオシレータの発振周波数の変動を検出する周波数検知回路であって、一方の信号電極が電源に接続され、駆動電極に前記リングオシレータの出力信号が印加されるトランジスタと、前記トランジスタの他方の信号電極と接地との間に設けられる抵抗素子と、前記抵抗素子に並列に接続されるコンデンサ回路であって直列に接続した複数のコンデンサからなり各接続端から電圧レベル値を示す分圧信号を出力するコンデンサ回路とを備える周波数検知回路と、前記周波数検知回路が出力する複数の電圧レベル値を個別に閾値を超えるか否かで論理値を定め、その定めた論理値のデータビットを前記リングオシレータの出力信号毎にラッチするラッチ回路と、前記ラッチ回路が出力する複数のデータビットの組み合わせに基づき前記駆動電圧発生回路内の1つのレギュレータ回路を前記リングオシレータの各構成素子の駆動電源として選択する選択回路とを備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、リングオシレータの各構成素子の電源端は、半導体集積回路の動作電源に接続されるのではなく、発生する駆動電圧が互いに異なる複数のレギュレータ回路を並列に接続した駆動電圧発生回路に接続されている。そして、周波数検知回路では、トランジスタがリングオシレータの出力信号を受けて一定期間の導通状態と非導通状態とを交互に繰り返している。トランジスタが導通状態であるときに、コンデンサ回路では、直列に接続した複数のコンデンサが充電され、各接続端から電圧レベル値を示す分圧信号が出力される。各分圧信号のレベルは、トランジスタが導通状態である期間が長いか短いか、つまりリングオシレータの発信周波数が低いか高いかによって変化する。ラッチ回路では、周波数検知回路が出力する複数の電圧レベル値を個別に閾値を超えるか否かで論理値を定め、その定めた論理値のデータビットがリングオシレータの出力信号毎にラッチされる。選択回路では、ラッチ回路が出力する複数のデータビットの組み合わせに基づき駆動電圧発生回路内の1つのレギュレータ回路がリングオシレータの各構成素子の駆動電源として選択される。
【0010】
つぎの発明にかかるリングオシレータの発振周波数補正回路は、上記の発明において、前記ラッチ回路は、前記リングオシレータの出力信号と2値のイネーブル信号との論理和を取った信号に基づき、前記定めた論理値のデータビットをラッチすることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、上記の発明において、ラッチ回路では、リングオシレータの出力信号と2値のイネーブル信号との論理和を取った信号に基づき前記定めた論理値のデータビットをラッチする動作が行われる。つまり、ラッチ回路では、イネーブル信号の信号レベルを操作することによって、ラッチデータを更新するか否かを制御することができる。
【0012】
つぎの発明にかかるリングオシレータの発振周波数補正回路は、上記の発明において、前記周波数検知回路では、前記トランジスタの駆動電極に前記リングオシレータの出力信号と2値のイネーブル信号との論理和を取った信号が印加されることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、上記の発明において、周波数検知回路では、トランジスタの駆動電極にリングオシレータの出力信号と2値のイネーブル信号との論理和を取った信号が印加される。つまり、イネーブル信号の信号レベルを操作することによって、リングオシレータの出力信号の状態と無関係にトランジスタが非導通状態を維持するように制御し、抵抗素子に電流が流れないようにすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるリングオシレータの発振周波数補正回路の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるリングオシレータの発振周波数補正回路の構成を示す回路図である。図2は、図1に示すコンデンサ電圧ラッチ回路の具体的な構成例を示す回路図である。
【0016】
図1において、リングオシレータ1は、例えば5個のインバータで構成されるが、その発振経路の途中に遅延回路2が設けられている。遅延回路2は、並列に接続された複数の遅延素子(図示例では、4個の遅延素子2a,2b,2c,2d)で構成されている。4個の遅延素子2a,2b,2c,2d)は、互いに遅延量が異なり、選択回路5からの選択信号Sa,Sb,Sc,Sdによって個別に選択され、リングオシレータ1の構成要素の1つになるようになっている。
【0017】
リングオシレータ1の出力信号Prは、周波数検知回路3とコンデンサ電圧ラッチ回路4とに入力されている。周波数検知回路3は、充電用のトランジスタTpと、分圧信号発生用のコンデンサ回路3bと、充放電用の抵抗素子Rとを備えている。
【0018】
トランジスタTpは、Pチャネルトランジスタであって、ゲート電極にリングオシレータ1の出力信号Prが印加され、ソース電極が電源3aに接続されている。このトランジスタTpのドレイン電極とグランド(接地)との間に、並列に接続されたコンデンサ回路3bと抵抗素子Rとが設けられている。
【0019】
コンデンサ回路3bは、図示例では、直列に接続した4個のコンデンサ(容量素子)Cで構成されている。4個のコンデンサ(容量素子)Cは、それぞれ極板間の間隔が等しく、トランジスタTpのドレイン電極とグランド(接地)との電位差を4等分割し、3/4の電圧である分圧信号VoutAと、1/2の電圧であるVoutBと、1/4の電圧であるVoutCとをそれぞれ発生するようになっている。これらの分圧信号VoutA,VoutB,VoutCは、それぞれコンデンサ電圧ラッチ回路4に入力されている。
【0020】
コンデンサ電圧ラッチ回路4は、分圧信号VoutA,VoutB,VoutC毎に設けられ、それぞれラッチ信号Aout,Bout,Coutを選択回路5に出力する。図2では、分圧信号VoutAを受けてラッチ信号Aoutを発生する回路が示されている。分圧信号VoutBを受けてラッチ信号Boutを発生する回路、分圧信号VoutCを受けてラッチ信号Coutを発生する回路も同一の構成である。
【0021】
図2において、コンデンサ電圧ラッチ回路4は、インバータ21,24,27と、トランスミッションゲート22,25と、データラッチ回路23,26とを備えている。
【0022】
インバータ21は、コンデンサ回路3bからの分圧信号VoutAが閾値を超えるとき反転してトランスミッションゲート22に出力する。トランスミッションゲート22の出力は、インバータ23a,23bの逆並列接続で構成されるデータラッチ回路23に入力される。データラッチ回路23の出力は、インバータ24を介してインバータ26a,26bの逆並列接続で構成されるデータラッチ回路26に入力される。データラッチ回路26からラッチ信号Aoutが選択回路5に出力される。
【0023】
インバータ27は、リングオシレータ1の出力信号Prを反転した反転信号Prのバー(以下、「Pr−」と表記する)を発生する。出力信号Prは、トランスミッションゲート22のPチャネルトランジスタ22bのゲート電極と、トランスミッションゲート25のNチャネルトランジスタ25aのゲート電極とに印加されている。反転信号Pr−は、トランスミッションゲート22のNチャネルトランジスタ22aのゲート電極と、トランスミッションゲート25のPチャネルトランジスタ25bのゲート電極とに印加されている。
【0024】
すなわち、トランスミッションゲート22,25は、リングオシレータ1の出力信号Prに従ってデータラッチ回路23,26へのデータ受け渡しタイミングをコントロールしている。
【0025】
図1に戻って、選択回路5は、3入力のNANDゲート回路51,52,53,54と、インバータ55,56,57,58,59,60とを備え、遅延回路2が備える4個の遅延素子2a,2b,2c,2dの1つを選択するようになっている。
【0026】
NANDゲート回路51には、ラッチ信号VoutA,VoutB,VoutCが直接入力され、選択信号Saを遅延素子2aに出力している。すなわち、選択信号Saは、{VoutA,VoutB,VoutC}={111}のとき発生する。
【0027】
NANDゲート回路52には、ラッチ信号VoutA,VoutBが直接入力され、ラッチ信号VoutCがインバータ55を介して入力され、選択信号Sbを遅延素子2bに出力している。すなわち、選択信号Sbは、{VoutA,VoutB,VoutC}={110}のときに発生する。
【0028】
NANDゲート回路53には、ラッチ信号VoutAが直接入力され、ラッチ信号VoutB,VoutCがインバータ56,57を介して入力され、選択信号Scを遅延素子2cに出力している。すなわち、選択信号Scは、{VoutA,VoutB,VoutC}={100}のときに発生する。
【0029】
NANDゲート回路54には、ラッチ信号VoutA,VoutB,VoutCがインバータ58,59,60を介して入力され、選択信号Sdを遅延素子2dに出力している。すなわち、選択信号Sdは、{VoutA,VoutB,VoutC}={000}のときに発生する。
【0030】
次に、図1〜図4を参照して、以上のように構成される実施の形態1による発振周波数補正回路の動作について説明する。なお、図3は、図1に示すリングオシレータの出力信号による充放電動作を説明する図である。図4は、図1に示すリングオシレータの発振周波数と充放電動作との関係を説明する図である。
【0031】
まず、図1と図3を参照して、周波数検知回路3の基本的な動作について説明する。リングオシレータ1の出力信号Prは、図3(1)に示すように、高レベル(以下「Hレベル」という)の期間と低レベル(以下「Lレベル」という)の期間とが交互に繰り返すパルス信号である。
【0032】
周波数検知回路3では、PチャネルのトランジスタTpは、リングオシレータ1の出力信号PrがLレベルである期間内導通状態となり、Hレベルである期間内非導通状態となる。トランジスタTpが導通状態になると、トランジスタTpのドレイン電極からコンデンサ回路3bに充電電流が供給され、コンデンサ回路3bが充電される。また、トランジスタTpが非導通状態になると、コンデンサ回路3bの充電電荷が抵抗素子Rを通ってグランド(接地)に放電される。
【0033】
したがって、直列接続された4個のコンデンサ(容量素子)Cで構成されるコンデンサ回路3bの端子電圧、つまり、トランジスタTpの出力信号Vcは、例えば図3(2)に示すような充放電動作波形となる。
【0034】
ここで、トランジスタTpが導通状態になると、トランジスタTpの出力信号Vc、つまりコンデンサ回路3bの端子電圧は、抵抗素子Rの抵抗値とコンデンサ回路3bの容量値とで定まる時定数に従って、電源3aの電圧をトランジスタTpでの電圧と抵抗素子Rでの電圧とで分圧した電圧に向かって増大する。図3(2)では、増大した後に、電源3aの電圧をトランジスタTpでの電圧と抵抗素子Rでの電圧とで分圧した電圧で安定している場合が示されているが、実際には、コンデンサ回路3bの端子電圧(充電電荷量)は、抵抗素子Rの抵抗値とコンデンサ回路3bの容量値とで定まる時定数とトランジスタTpが導通状態にある期間の広狭とトランジスタTpの駆動能力とによって変化する。
【0035】
リングオシレータ1の発振周波数は、温度変化によって50%〜100%程度変動することが知られている。高温になるとリングオシレータを構成するインバータの遅延が増加するので、発振周波数が低くなる。つまり、リングオシレータ1の出力信号PrのLレベル期間が増大する。
【0036】
一方、トランジスタTpの駆動能力は、温度の上昇と共に減少する。温度変化によるトランジスタTpの駆動能力の変動幅は、60%程度である。しかし、抵抗素子Rの抵抗値は、温度が上昇すると60%程度増加するので、両者の変動特性が互いに相殺され、コンデンサ回路3bへの充電能力は変動しない。したがって、コンデンサ回路3bに充電される電荷量は、リングオシレータ1の出力信号PrがLレベルである期間の長さによって支配されることになる。
【0037】
つまり、分圧信号VoutA,VoutB,VoutCの大きさは、例えば図4に示すように、リングオシレータ1の出力信号PrがLレベルである期間の変化を反映して変化することになる。図4において、(A)は、リングオシレータ1の発信周波数が低周波数である場合、つまりリングオシレータ1の出力信号PrのLレベル期間が長い場合における充放電波形を示している。(B)は、リングオシレータ1の発信周波数が高周波数である場合、つまりリングオシレータ1の出力信号PrのLレベル期間が短い場合における充放電波形を示している。
【0038】
次に、図2を参照して、コンデンサ電圧ラッチ回路4の動作について説明する。図2において、分圧信号VoutAは、インバータ21を介してトランスミッションゲート22に入力される。トランスミッションゲート22では、リングオシレータ1の出力信号PrがLレベルである期間では、反転信号Pr−がHレベルとなり、Nチャネルトランジスタ22aが導通状態になるので、インバータ21の出力値がNチャネルトランジスタ22aを介してデータラッチ回路23に取り込まれる。データラッチ回路23のデータは、インバータ24を介してトランスミッションゲート25に入力される。
【0039】
そして、リングオシレータ1の出力信号PrがHレベルに立ち上がると、トランスミッションゲート25では、Nチャネルトランジスタ25aが導通状態になるので、インバータ24の出力値がNチャネルトランジスタ25aを介してデータラッチ回路26に取り込まれ、選択回路5に対してラッチ信号Aoutが保持出力される。
【0040】
ここで、インバータ21では、分圧信号VoutAが閾値を超えるレベルであれば、出力をLレベルにするが、閾値を超えるレベルでなければ、出力をHレベルにする。インバータ21が出力をLレベルにすると、データラッチ回路23,26には“0”がラッチされる。インバータ21が出力をHレベルにすると、データラッチ回路23,26には“1”がラッチされる。つまり、選択回路5に対して出力されるラッチ信号Aoutの値は、分圧信号VoutAの大きさによって、“0”の場合と“1”の場合とに変化する。
【0041】
これを図4を参照して説明する。図4(A)において、リングオシレータの発振周波数が低い場合には、(1)に示すように出力信号PrのLレベル期間が長いので、(2)に示すように、コンデンサ回路3bでは、十分に充電される。しかし、図4(B)において、リングオシレータの発振周波数が高い場合には、(1)に示すように出力信号PrのLレベル期間が短いので、(2)に示すように、コンデンサ回路3bでは、充電が不充分となる。この場合の分圧信号VoutA,VoutB,VoutCのレベルは、それぞれ、図4(A)の場合よりも低いものになる。なお、図4(A)の場合と図4(B)の場合とで、分圧信号VoutA,VoutB,VoutCの分圧割合は同じである。
【0042】
このように、分圧信号VoutA,VoutB,VoutCのそれぞれに対するコンデンサ電圧ラッチ回路4では、リングオシレータの発振周波数の高低変化に応じた値のラッチ信号Aout,Bout,Coutを出力することができる。コンデンサ回路3bでは、トランジスタTp側から順にHレベルとなるので、ラッチ信号Aout,Bout,Coutの値の組み合わせは、{000}{100}{110}{111}の4種類となる。
【0043】
選択回路5では、ラッチ信号Aout,Bout,Coutの値の組み合わせが{000}であるときは、NANDゲート回路54から選択信号Sdが出力され、遅延素子2dが選択される。ラッチ信号Aout,Bout,Coutの値の組み合わせが{100}であるときは、NANDゲート回路53から選択信号Scが出力され、遅延素子2cが選択される。ラッチ信号Aout,Bout,Coutの値の組み合わせが{110}であるときは、NANDゲート回路52から選択信号Sbが出力され、遅延素子2bが選択される。ラッチ信号Aout,Bout,Coutの値の組み合わせが{111}であるときは、NANDゲート回路51から選択信号Saが出力され、遅延素子2aが選択される。
【0044】
このように、遅延素子2a,2b,2c,2dのいずれか1つがリングオシレータ1の構成要素として接続される。その結果、選択された遅延素子によってリングオシレータ1の発振周波数が増減制御される。リングオシレータ1の発振周波数と遅延素子2a,2b,2c,2dとの関係は、具体的には、次のようになる。
【0045】
すなわち、リングオシレータ1の発振周波数が高くなるのに伴い、出力信号PrのLレベル期間が短くなると、コンデンサ回路3bでは不十分な充電に移行するので、分圧信号VoutC,VoutB,VoutAの順にインバータ21の閾値を超えることができなくなる。そのため、分圧信号VoutC,VoutB,VoutAの順に、データラッチ回路23,26に取り込まれる値は“1”となる。つまり、ラッチ信号Cout,Bout,Aoutの値の組み合わせは、周波数の早い方から{000}、{001}、{011}、{111}となる。その結果、選択回路5から出力される選択信号は、周波数の早い順にSd,Sc,Sb,Saと出力される。
【0046】
したがって、遅延素子2a,2b,2c,2dは、遅延量の大きいものから順に2d,2c,2b,2aとすることで、周波数が高くなれば遅延量の大きい遅延素子が選択される。また、逆に周波数が低くなれば遅延量の少ない遅延素子が選択されることになる。すなわち、温度変化による周波数変動が自動的に最小限に抑制される。
【0047】
このように、実施の形態1によれば、リングオシレータの温度による周波数変動を自動的に検知し、周波数に応じて接続する遅延素子を切り替え得るようにしたので、温度変化による周波数変動を自動的に補正することが可能となる。
【0048】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2によるリングオシレータの発振周波数補正回路の要部構成を示す回路図である。リングオシレータでは、動作電圧が低くなると発振周波数が低くなる傾向がある。実施の形態2では、この特性を利用してリングオシレータの発振周波数を補正する回路の他の構成例が示されている。
【0049】
すなわち、図5に示すように、この実施の形態2による発振周波数補正回路では、実施の形態1(図1、図2)に示した構成において、遅延回路2を省略して、リングオシレータ1を構成するインバータの電源電圧を制御する駆動電圧発生回路31が設けられている。駆動電圧発生回路31は、駆動電圧が互いに異なるレギュレータ回路31a,31b,31c,31dを備えている。レギュレータ回路31a,31b,31c,31dは、並列に接続され、図1に示した選択回路5からの選択信号Sa,Sb,Sc,Sdによって1つが選択されるようになっている。
【0050】
このように、実施の形態2では、リングオシレータ1を構成するインバータの電源端は、半導体集積回路の動作電源に直接接続されるのではなく、レギュレータ回賂31a,31b,31c,31dに接続され、駆動電圧が増減制御されるようになっている。
【0051】
実施の形態1にて説明したように、選択回路5では、選択信号がリングオシレータ1の発振周波数が高い順にSd,Sc,Sb,Saと出力される。したがって、レギュレータ回路は、31a,31b,31c,31dの順に駆動電圧を下げたものを用いる。
【0052】
このようにすれば、最も発振周波数が高い場合は、選択信号Sdが出力されるので、最も低い駆動電圧を出力するレギュレータ回路31dからリングオシレータ1の各インバータに駆動電圧が供給され、発振周波数を低くする補正が行われる。逆に、最も発振周波数が低い場合は、選択信号Saが出力されるので、最も高い駆動電圧を出力するレギュレータ回路31aからリングオシレータ1の各インバータに駆動電圧が供給され、発振周波数を高くする補正が行われる。
【0053】
したがって、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、温度変化による周波数変動を自動的に補正することが可能となる。
【0054】
実施の形態3.
図6、図7は、この発明の実施の形態3によるリングオシレータの発振周波数補正回路の要部構成を示す回路図である。この実施の形態3では、実施の形態1または実施の形態2において、2値のイネーブル信号を追加することによって消費電力を抑制しつつ発振周波数の補正を行う回路の構成例が示されている。なお、図6は、図1に示した周波数検知回路にイネーブル信号を適用する場合の回路図である。図7は、図2に示したコンデンサ電圧ラッチ回路にイネーブル信号を適用する場合の回路図である。
【0055】
すなわち、図6に示すように、この実施の形態3による発振周波数補正回路では、実施の形態1(図1、図2)または実施の形態2(図5)に示した構成において、周波数検知回路3におけるトランジスタTpの入力段にORゲート回路33を設け、トランジスタTpのゲート電極には、リングオシレータ1の出力信号Prとイネーブル信号Eとの論理和を取った信号が印加されるようにしている。
【0056】
この構成によれば、イネーブル信号EがHレベルの場合には、トランジスタTpは、ゲート電極にリングオシレータ1の出力信号Prの状態に関わらずHレベルが入力されるので、非導通状態となる。
【0057】
したがって、この構成によれば、イネーブル信号EがHレベルである間はトランジスタTpから抵抗素子Rを経てグランド(接地)に電流が流れることがないので、消費電力を抑えることが可能となる。
【0058】
また、図7に示すように、この実施の形態3による発振周波数補正回路では、実施の形態1(図1、図2)または実施の形態2(図5)に示した構成において、コンデンサ電圧ラッチ回路4に代えて、コンデンサ電圧ラッチ回路35が設けられている。
【0059】
コンデンサ電圧ラッチ回路35では、図2に示したコンデンサ電圧ラッチ回路4のインバータ27の入力段に、ORゲート回路36を設け、インバータ27には、リングオシレータ1の出力信号Prとイネーブル信号Eとの論理和を取った信号が入力されるようにしている。
【0060】
したがって、トランスミッションゲート22のNチャネルトランジスタ22aのゲート電極とトランスミッションゲート25のPチャネルトランジスタ25bのゲート電極とには、リングオシレータ1の出力信号Prとイネーブル信号Eとの論理和を取った信号PrEの反転信号PrE−が印加される。
【0061】
その結果、イネーブル信号EがHレベルである間は、トランスミッションゲート22のNチャネルトランジスタ22aが非導通状態を維持し、トランスミッションゲート25のPチャネルトランジスタ25bは導通状態となるので、データラッチ回路23にラッチされたデータは保持され、これによってデータラッチ回路26には、同一内容のデータが取り込まれ保持される。その結果、選択される遅延素子またはレギュレータ回路は不変となる。
【0062】
すなわち、イネーブル信号EがHレベルである間は、リングオシレータ1の状態は保持され、イネーブル信号EがLレベルである間は、リングオシレータ1の出力信号Pr毎に周波数が補正される。
【0063】
このように、実施の形態3によれば、実施の形態1または実施の形態2において、イネーブル信号をHレベルとLレベルに切り替えることによって、消費電力の抑制と発振周波数補正との2つの目的を効果的に達成することができる。また、イネーブル信号による操作をコンデンサ電圧ラッチ回路でのみ行う場合には、発信周波数の補正を常時行うか間欠的に行うかを選択することができる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、リングオシレータの発振経路内に、遅延量が互いに異なる複数の遅延素子を並列に接続した遅延回路が設けられている。そして、周波数検知回路では、トランジスタがリングオシレータの出力信号を受けて一定期間の導通状態と非導通状態とを交互に繰り返している。トランジスタが導通状態であるときに、コンデンサ回路では、直列に接続した複数のコンデンサが充電され、各接続端から電圧レベル値を示す分圧信号が出力される。各分圧信号のレベルは、トランジスタが導通状態である期間が長いか短いか、つまりリングオシレータの発信周波数が低いか高いかによって変化する。ラッチ回路では、周波数検知回路が出力する複数の電圧レベル値を個別に閾値を超えるか否かで論理値を定め、その定めた論理値のデータビットがリングオシレータの出力信号毎にラッチされる。選択回路では、ラッチ回路が出力する複数のデータビットの組み合わせに基づき遅延回路内の1つの遅延素子がリングオシレータの構成素子として選択される。したがって、半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータの発振周波数を外部発振子を必要とせずに自動的に補正することができる。
【0065】
つぎの発明によれば、リングオシレータの各構成素子の電源端は、半導体集積回路の動作電源に接続されるのではなく、発生する駆動電圧が互いに異なる複数のレギュレータ回路を並列に接続した駆動電圧発生回路に接続されている。そして、周波数検知回路では、トランジスタがリングオシレータの出力信号を受けて一定期間の導通状態と非導通状態とを交互に繰り返している。トランジスタが導通状態であるときに、コンデンサ回路では、直列に接続した複数のコンデンサが充電され、各接続端から電圧レベル値を示す分圧信号が出力される。各分圧信号のレベルは、トランジスタが導通状態である期間が長いか短いか、つまりリングオシレータの発信周波数が低いか高いかによって変化する。ラッチ回路では、周波数検知回路が出力する複数の電圧レベル値を個別に閾値を超えるか否かで論理値を定め、その定めた論理値のデータビットがリングオシレータの出力信号毎にラッチされる。選択回路では、ラッチ回路が出力する複数のデータビットの組み合わせに基づき駆動電圧発生回路内の1つのレギュレータ回路がリングオシレータの各構成素子の駆動電源として選択される。したがって、半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータの発振周波数を外部発振子を必要とせずに自動的に補正することができる。
【0066】
つぎの発明によれば、上記の発明において、ラッチ回路では、リングオシレータの出力信号と2値のイネーブル信号との論理和を取った信号に基づき前記定めた論理値のデータビットをラッチする動作が行われる。つまり、ラッチ回路では、イネーブル信号の信号レベルを操作することによって、ラッチデータを更新するか否かを制御することができるので、発振周波数補正を常時行うか間欠的に行うかを選択することができる。
【0067】
つぎの発明によれば、上記の発明において、周波数検知回路では、トランジスタの駆動電極にリングオシレータの出力信号と2値のイネーブル信号との論理和を取った信号が印加される。つまり、イネーブル信号の信号レベルを操作することによって、リングオシレータの出力信号の状態と無関係にトランジスタが非導通状態を維持するように制御し、抵抗素子に電流が流れないようにすることができる。したがって、消費電力を抑制することができる。ラッチ回路では、周波数検知回路にて消費電力を抑制する動作が行われる場合にはリングオシレータの状態を維持し、消費電力を抑制する動作が行われない場合にはリングオシレータの発信周波数を補正する動作が行えるので、消費電力を抑制しつつ発振周波数の補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1によるリングオシレータの発振周波数補正回路の構成を示す回路図である。
【図2】図1に示すコンデンサ電圧ラッチ回路の具体的な構成例を示す回路図である。
【図3】図1に示すリングオシレータの出力信号による充放電動作を説明する図である。
【図4】図1に示すリングオシレータの発振周波数と充放電動作との関係を説明する図である。
【図5】この発明の実施の形態2によるリングオシレータの発振周波数補正回路の要部構成を示す回路図である。
【図6】この発明の実施の形態3によるリングオシレータの発振周波数補正回路の要部構成を示す回路図(図1に示した周波数検知回路にイネーブル信号を適用する場合の回路図)である。
【図7】この発明の実施の形態3によるリングオシレータの発振周波数補正回路の要部構成を示す回路図(図2に示したコンデンサ電圧ラッチ回路にイネーブル信号を適用する場合の回路図)である。
【符号の説明】
1 リングオシレータ、2 遅延回路、2a,2b,2c,2d 遅延素子、3 周波数検知回路、Tp 充電用のトランジスタ、R 充放電用の抵抗素子、3b 分圧信号発生用のコンデンサ回路、C 直列接続されたコンデンサ(容量素子)、4,35 コンデンサ電圧ラッチ回路、5 選択回路、21,24,27,55〜60 インバータ、22,25 トランスミッションゲート、23,26 データラッチ回路、31 駆動電圧発生回路、31a,31b,31c,31d レギュレータ回路、33,36 ORゲート回路、51〜54 NANDゲート回路、Pr リングオシレータの出力信号、Vc 充電用トランジスタの出力信号、VoutA,VoutB,VoutC 分圧信号、Sa,Sb,Sb,Sd 選択信号、E イネーブル信号。
【発明の属する技術分野】
この発明は、マイクロコンピュータなどの半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータの発振周波数を補正する発振周波数補正回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータは、インバータを奇数段直列に接続し、最終段の出力を初段に帰還させた発振回路であるが、その発振周波数は、電圧変化や周囲の温度変化に対し50%〜100%の変動を伴う。したがって、特にマイクロコンピュータに内蔵されるリングオシレータでは、発振周波数の補正が必要である。
【0003】
そこで、従来のマイクロコンピュータでは、温度変化による周波数変動の少ない発振子を接続してその発振周波数が測定できるようにし、測定した外部発振子の発振周波数と別に測定したリングオシレータの発振周波数とを用いてソフトウエア処理によってリングオシレータの発振周波数補正を行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のマイクロコンピュータでは、リングオシレータの発振周波数補正をソフトウエア処理によって実施しなければならず、補正処理自体が負荷となっていた。また、外部発振子にて高速動作をさせるために、補正処理中は消費電力が増加するという問題もあった。
【0005】
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータの発振周波数を外部発振子を必要とせずに自動的に補正でき、またその補正動作において消費電力の抑制が行えるリングオシレータの発振周波数補正回路を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明にかかるリングオシレータの発振周波数補正回路は、半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータにおいて、前記リングオシレータの発振経路内に介在させた遅延回路であって遅延量が互いに異なる複数の遅延素子を並列に接続した遅延回路と、前記リングオシレータの発振周波数の変動を検出する周波数検知回路であって、一方の信号電極が電源に接続され、駆動電極に前記リングオシレータの出力信号が印加されるトランジスタと、前記トランジスタの他方の信号電極と接地との間に設けられる抵抗素子と、前記抵抗素子に並列に接続されるコンデンサ回路であって直列に接続した複数のコンデンサからなり各接続端から電圧レベル値を示す分圧信号を出力するコンデンサ回路とを備える周波数検知回路と、前記周波数検知回路が出力する複数の電圧レベル値を個別に閾値を超えるか否かで論理値を定め、その定めた論理値のデータビットを前記リングオシレータの出力信号毎にラッチするラッチ回路と、前記ラッチ回路が出力する複数のデータビットの組み合わせに基づき前記遅延回路内の1つの遅延素子を前記リングオシレータの構成素子として選択する選択回路とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、リングオシレータの発振経路内に、遅延量が互いに異なる複数の遅延素子を並列に接続した遅延回路が設けられている。そして、周波数検知回路では、トランジスタがリングオシレータの出力信号を受けて一定期間の導通状態と非導通状態とを交互に繰り返している。トランジスタが導通状態であるときに、コンデンサ回路では、直列に接続した複数のコンデンサが充電され、各接続端から電圧レベル値を示す分圧信号が出力される。各分圧信号のレベルは、トランジスタが導通状態である期間が長いか短いか、つまりリングオシレータの発信周波数が低いか高いかによって変化する。ラッチ回路では、周波数検知回路が出力する複数の電圧レベル値を個別に閾値を超えるか否かで論理値を定め、その定めた論理値のデータビットがリングオシレータの出力信号毎にラッチされる。選択回路では、ラッチ回路が出力する複数のデータビットの組み合わせに基づき遅延回路内の1つの遅延素子がリングオシレータの構成素子として選択される。
【0008】
つぎの発明にかかるリングオシレータの発振周波数補正回路は、半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータにおいて、前記リングオシレータの各構成素子の電源端に接続される駆動電圧発生回路であって発生する駆動電圧が互いに異なる複数のレギュレータ回路を並列に接続した駆動電圧発生回路と、前記リングオシレータの発振周波数の変動を検出する周波数検知回路であって、一方の信号電極が電源に接続され、駆動電極に前記リングオシレータの出力信号が印加されるトランジスタと、前記トランジスタの他方の信号電極と接地との間に設けられる抵抗素子と、前記抵抗素子に並列に接続されるコンデンサ回路であって直列に接続した複数のコンデンサからなり各接続端から電圧レベル値を示す分圧信号を出力するコンデンサ回路とを備える周波数検知回路と、前記周波数検知回路が出力する複数の電圧レベル値を個別に閾値を超えるか否かで論理値を定め、その定めた論理値のデータビットを前記リングオシレータの出力信号毎にラッチするラッチ回路と、前記ラッチ回路が出力する複数のデータビットの組み合わせに基づき前記駆動電圧発生回路内の1つのレギュレータ回路を前記リングオシレータの各構成素子の駆動電源として選択する選択回路とを備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、リングオシレータの各構成素子の電源端は、半導体集積回路の動作電源に接続されるのではなく、発生する駆動電圧が互いに異なる複数のレギュレータ回路を並列に接続した駆動電圧発生回路に接続されている。そして、周波数検知回路では、トランジスタがリングオシレータの出力信号を受けて一定期間の導通状態と非導通状態とを交互に繰り返している。トランジスタが導通状態であるときに、コンデンサ回路では、直列に接続した複数のコンデンサが充電され、各接続端から電圧レベル値を示す分圧信号が出力される。各分圧信号のレベルは、トランジスタが導通状態である期間が長いか短いか、つまりリングオシレータの発信周波数が低いか高いかによって変化する。ラッチ回路では、周波数検知回路が出力する複数の電圧レベル値を個別に閾値を超えるか否かで論理値を定め、その定めた論理値のデータビットがリングオシレータの出力信号毎にラッチされる。選択回路では、ラッチ回路が出力する複数のデータビットの組み合わせに基づき駆動電圧発生回路内の1つのレギュレータ回路がリングオシレータの各構成素子の駆動電源として選択される。
【0010】
つぎの発明にかかるリングオシレータの発振周波数補正回路は、上記の発明において、前記ラッチ回路は、前記リングオシレータの出力信号と2値のイネーブル信号との論理和を取った信号に基づき、前記定めた論理値のデータビットをラッチすることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、上記の発明において、ラッチ回路では、リングオシレータの出力信号と2値のイネーブル信号との論理和を取った信号に基づき前記定めた論理値のデータビットをラッチする動作が行われる。つまり、ラッチ回路では、イネーブル信号の信号レベルを操作することによって、ラッチデータを更新するか否かを制御することができる。
【0012】
つぎの発明にかかるリングオシレータの発振周波数補正回路は、上記の発明において、前記周波数検知回路では、前記トランジスタの駆動電極に前記リングオシレータの出力信号と2値のイネーブル信号との論理和を取った信号が印加されることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、上記の発明において、周波数検知回路では、トランジスタの駆動電極にリングオシレータの出力信号と2値のイネーブル信号との論理和を取った信号が印加される。つまり、イネーブル信号の信号レベルを操作することによって、リングオシレータの出力信号の状態と無関係にトランジスタが非導通状態を維持するように制御し、抵抗素子に電流が流れないようにすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるリングオシレータの発振周波数補正回路の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるリングオシレータの発振周波数補正回路の構成を示す回路図である。図2は、図1に示すコンデンサ電圧ラッチ回路の具体的な構成例を示す回路図である。
【0016】
図1において、リングオシレータ1は、例えば5個のインバータで構成されるが、その発振経路の途中に遅延回路2が設けられている。遅延回路2は、並列に接続された複数の遅延素子(図示例では、4個の遅延素子2a,2b,2c,2d)で構成されている。4個の遅延素子2a,2b,2c,2d)は、互いに遅延量が異なり、選択回路5からの選択信号Sa,Sb,Sc,Sdによって個別に選択され、リングオシレータ1の構成要素の1つになるようになっている。
【0017】
リングオシレータ1の出力信号Prは、周波数検知回路3とコンデンサ電圧ラッチ回路4とに入力されている。周波数検知回路3は、充電用のトランジスタTpと、分圧信号発生用のコンデンサ回路3bと、充放電用の抵抗素子Rとを備えている。
【0018】
トランジスタTpは、Pチャネルトランジスタであって、ゲート電極にリングオシレータ1の出力信号Prが印加され、ソース電極が電源3aに接続されている。このトランジスタTpのドレイン電極とグランド(接地)との間に、並列に接続されたコンデンサ回路3bと抵抗素子Rとが設けられている。
【0019】
コンデンサ回路3bは、図示例では、直列に接続した4個のコンデンサ(容量素子)Cで構成されている。4個のコンデンサ(容量素子)Cは、それぞれ極板間の間隔が等しく、トランジスタTpのドレイン電極とグランド(接地)との電位差を4等分割し、3/4の電圧である分圧信号VoutAと、1/2の電圧であるVoutBと、1/4の電圧であるVoutCとをそれぞれ発生するようになっている。これらの分圧信号VoutA,VoutB,VoutCは、それぞれコンデンサ電圧ラッチ回路4に入力されている。
【0020】
コンデンサ電圧ラッチ回路4は、分圧信号VoutA,VoutB,VoutC毎に設けられ、それぞれラッチ信号Aout,Bout,Coutを選択回路5に出力する。図2では、分圧信号VoutAを受けてラッチ信号Aoutを発生する回路が示されている。分圧信号VoutBを受けてラッチ信号Boutを発生する回路、分圧信号VoutCを受けてラッチ信号Coutを発生する回路も同一の構成である。
【0021】
図2において、コンデンサ電圧ラッチ回路4は、インバータ21,24,27と、トランスミッションゲート22,25と、データラッチ回路23,26とを備えている。
【0022】
インバータ21は、コンデンサ回路3bからの分圧信号VoutAが閾値を超えるとき反転してトランスミッションゲート22に出力する。トランスミッションゲート22の出力は、インバータ23a,23bの逆並列接続で構成されるデータラッチ回路23に入力される。データラッチ回路23の出力は、インバータ24を介してインバータ26a,26bの逆並列接続で構成されるデータラッチ回路26に入力される。データラッチ回路26からラッチ信号Aoutが選択回路5に出力される。
【0023】
インバータ27は、リングオシレータ1の出力信号Prを反転した反転信号Prのバー(以下、「Pr−」と表記する)を発生する。出力信号Prは、トランスミッションゲート22のPチャネルトランジスタ22bのゲート電極と、トランスミッションゲート25のNチャネルトランジスタ25aのゲート電極とに印加されている。反転信号Pr−は、トランスミッションゲート22のNチャネルトランジスタ22aのゲート電極と、トランスミッションゲート25のPチャネルトランジスタ25bのゲート電極とに印加されている。
【0024】
すなわち、トランスミッションゲート22,25は、リングオシレータ1の出力信号Prに従ってデータラッチ回路23,26へのデータ受け渡しタイミングをコントロールしている。
【0025】
図1に戻って、選択回路5は、3入力のNANDゲート回路51,52,53,54と、インバータ55,56,57,58,59,60とを備え、遅延回路2が備える4個の遅延素子2a,2b,2c,2dの1つを選択するようになっている。
【0026】
NANDゲート回路51には、ラッチ信号VoutA,VoutB,VoutCが直接入力され、選択信号Saを遅延素子2aに出力している。すなわち、選択信号Saは、{VoutA,VoutB,VoutC}={111}のとき発生する。
【0027】
NANDゲート回路52には、ラッチ信号VoutA,VoutBが直接入力され、ラッチ信号VoutCがインバータ55を介して入力され、選択信号Sbを遅延素子2bに出力している。すなわち、選択信号Sbは、{VoutA,VoutB,VoutC}={110}のときに発生する。
【0028】
NANDゲート回路53には、ラッチ信号VoutAが直接入力され、ラッチ信号VoutB,VoutCがインバータ56,57を介して入力され、選択信号Scを遅延素子2cに出力している。すなわち、選択信号Scは、{VoutA,VoutB,VoutC}={100}のときに発生する。
【0029】
NANDゲート回路54には、ラッチ信号VoutA,VoutB,VoutCがインバータ58,59,60を介して入力され、選択信号Sdを遅延素子2dに出力している。すなわち、選択信号Sdは、{VoutA,VoutB,VoutC}={000}のときに発生する。
【0030】
次に、図1〜図4を参照して、以上のように構成される実施の形態1による発振周波数補正回路の動作について説明する。なお、図3は、図1に示すリングオシレータの出力信号による充放電動作を説明する図である。図4は、図1に示すリングオシレータの発振周波数と充放電動作との関係を説明する図である。
【0031】
まず、図1と図3を参照して、周波数検知回路3の基本的な動作について説明する。リングオシレータ1の出力信号Prは、図3(1)に示すように、高レベル(以下「Hレベル」という)の期間と低レベル(以下「Lレベル」という)の期間とが交互に繰り返すパルス信号である。
【0032】
周波数検知回路3では、PチャネルのトランジスタTpは、リングオシレータ1の出力信号PrがLレベルである期間内導通状態となり、Hレベルである期間内非導通状態となる。トランジスタTpが導通状態になると、トランジスタTpのドレイン電極からコンデンサ回路3bに充電電流が供給され、コンデンサ回路3bが充電される。また、トランジスタTpが非導通状態になると、コンデンサ回路3bの充電電荷が抵抗素子Rを通ってグランド(接地)に放電される。
【0033】
したがって、直列接続された4個のコンデンサ(容量素子)Cで構成されるコンデンサ回路3bの端子電圧、つまり、トランジスタTpの出力信号Vcは、例えば図3(2)に示すような充放電動作波形となる。
【0034】
ここで、トランジスタTpが導通状態になると、トランジスタTpの出力信号Vc、つまりコンデンサ回路3bの端子電圧は、抵抗素子Rの抵抗値とコンデンサ回路3bの容量値とで定まる時定数に従って、電源3aの電圧をトランジスタTpでの電圧と抵抗素子Rでの電圧とで分圧した電圧に向かって増大する。図3(2)では、増大した後に、電源3aの電圧をトランジスタTpでの電圧と抵抗素子Rでの電圧とで分圧した電圧で安定している場合が示されているが、実際には、コンデンサ回路3bの端子電圧(充電電荷量)は、抵抗素子Rの抵抗値とコンデンサ回路3bの容量値とで定まる時定数とトランジスタTpが導通状態にある期間の広狭とトランジスタTpの駆動能力とによって変化する。
【0035】
リングオシレータ1の発振周波数は、温度変化によって50%〜100%程度変動することが知られている。高温になるとリングオシレータを構成するインバータの遅延が増加するので、発振周波数が低くなる。つまり、リングオシレータ1の出力信号PrのLレベル期間が増大する。
【0036】
一方、トランジスタTpの駆動能力は、温度の上昇と共に減少する。温度変化によるトランジスタTpの駆動能力の変動幅は、60%程度である。しかし、抵抗素子Rの抵抗値は、温度が上昇すると60%程度増加するので、両者の変動特性が互いに相殺され、コンデンサ回路3bへの充電能力は変動しない。したがって、コンデンサ回路3bに充電される電荷量は、リングオシレータ1の出力信号PrがLレベルである期間の長さによって支配されることになる。
【0037】
つまり、分圧信号VoutA,VoutB,VoutCの大きさは、例えば図4に示すように、リングオシレータ1の出力信号PrがLレベルである期間の変化を反映して変化することになる。図4において、(A)は、リングオシレータ1の発信周波数が低周波数である場合、つまりリングオシレータ1の出力信号PrのLレベル期間が長い場合における充放電波形を示している。(B)は、リングオシレータ1の発信周波数が高周波数である場合、つまりリングオシレータ1の出力信号PrのLレベル期間が短い場合における充放電波形を示している。
【0038】
次に、図2を参照して、コンデンサ電圧ラッチ回路4の動作について説明する。図2において、分圧信号VoutAは、インバータ21を介してトランスミッションゲート22に入力される。トランスミッションゲート22では、リングオシレータ1の出力信号PrがLレベルである期間では、反転信号Pr−がHレベルとなり、Nチャネルトランジスタ22aが導通状態になるので、インバータ21の出力値がNチャネルトランジスタ22aを介してデータラッチ回路23に取り込まれる。データラッチ回路23のデータは、インバータ24を介してトランスミッションゲート25に入力される。
【0039】
そして、リングオシレータ1の出力信号PrがHレベルに立ち上がると、トランスミッションゲート25では、Nチャネルトランジスタ25aが導通状態になるので、インバータ24の出力値がNチャネルトランジスタ25aを介してデータラッチ回路26に取り込まれ、選択回路5に対してラッチ信号Aoutが保持出力される。
【0040】
ここで、インバータ21では、分圧信号VoutAが閾値を超えるレベルであれば、出力をLレベルにするが、閾値を超えるレベルでなければ、出力をHレベルにする。インバータ21が出力をLレベルにすると、データラッチ回路23,26には“0”がラッチされる。インバータ21が出力をHレベルにすると、データラッチ回路23,26には“1”がラッチされる。つまり、選択回路5に対して出力されるラッチ信号Aoutの値は、分圧信号VoutAの大きさによって、“0”の場合と“1”の場合とに変化する。
【0041】
これを図4を参照して説明する。図4(A)において、リングオシレータの発振周波数が低い場合には、(1)に示すように出力信号PrのLレベル期間が長いので、(2)に示すように、コンデンサ回路3bでは、十分に充電される。しかし、図4(B)において、リングオシレータの発振周波数が高い場合には、(1)に示すように出力信号PrのLレベル期間が短いので、(2)に示すように、コンデンサ回路3bでは、充電が不充分となる。この場合の分圧信号VoutA,VoutB,VoutCのレベルは、それぞれ、図4(A)の場合よりも低いものになる。なお、図4(A)の場合と図4(B)の場合とで、分圧信号VoutA,VoutB,VoutCの分圧割合は同じである。
【0042】
このように、分圧信号VoutA,VoutB,VoutCのそれぞれに対するコンデンサ電圧ラッチ回路4では、リングオシレータの発振周波数の高低変化に応じた値のラッチ信号Aout,Bout,Coutを出力することができる。コンデンサ回路3bでは、トランジスタTp側から順にHレベルとなるので、ラッチ信号Aout,Bout,Coutの値の組み合わせは、{000}{100}{110}{111}の4種類となる。
【0043】
選択回路5では、ラッチ信号Aout,Bout,Coutの値の組み合わせが{000}であるときは、NANDゲート回路54から選択信号Sdが出力され、遅延素子2dが選択される。ラッチ信号Aout,Bout,Coutの値の組み合わせが{100}であるときは、NANDゲート回路53から選択信号Scが出力され、遅延素子2cが選択される。ラッチ信号Aout,Bout,Coutの値の組み合わせが{110}であるときは、NANDゲート回路52から選択信号Sbが出力され、遅延素子2bが選択される。ラッチ信号Aout,Bout,Coutの値の組み合わせが{111}であるときは、NANDゲート回路51から選択信号Saが出力され、遅延素子2aが選択される。
【0044】
このように、遅延素子2a,2b,2c,2dのいずれか1つがリングオシレータ1の構成要素として接続される。その結果、選択された遅延素子によってリングオシレータ1の発振周波数が増減制御される。リングオシレータ1の発振周波数と遅延素子2a,2b,2c,2dとの関係は、具体的には、次のようになる。
【0045】
すなわち、リングオシレータ1の発振周波数が高くなるのに伴い、出力信号PrのLレベル期間が短くなると、コンデンサ回路3bでは不十分な充電に移行するので、分圧信号VoutC,VoutB,VoutAの順にインバータ21の閾値を超えることができなくなる。そのため、分圧信号VoutC,VoutB,VoutAの順に、データラッチ回路23,26に取り込まれる値は“1”となる。つまり、ラッチ信号Cout,Bout,Aoutの値の組み合わせは、周波数の早い方から{000}、{001}、{011}、{111}となる。その結果、選択回路5から出力される選択信号は、周波数の早い順にSd,Sc,Sb,Saと出力される。
【0046】
したがって、遅延素子2a,2b,2c,2dは、遅延量の大きいものから順に2d,2c,2b,2aとすることで、周波数が高くなれば遅延量の大きい遅延素子が選択される。また、逆に周波数が低くなれば遅延量の少ない遅延素子が選択されることになる。すなわち、温度変化による周波数変動が自動的に最小限に抑制される。
【0047】
このように、実施の形態1によれば、リングオシレータの温度による周波数変動を自動的に検知し、周波数に応じて接続する遅延素子を切り替え得るようにしたので、温度変化による周波数変動を自動的に補正することが可能となる。
【0048】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2によるリングオシレータの発振周波数補正回路の要部構成を示す回路図である。リングオシレータでは、動作電圧が低くなると発振周波数が低くなる傾向がある。実施の形態2では、この特性を利用してリングオシレータの発振周波数を補正する回路の他の構成例が示されている。
【0049】
すなわち、図5に示すように、この実施の形態2による発振周波数補正回路では、実施の形態1(図1、図2)に示した構成において、遅延回路2を省略して、リングオシレータ1を構成するインバータの電源電圧を制御する駆動電圧発生回路31が設けられている。駆動電圧発生回路31は、駆動電圧が互いに異なるレギュレータ回路31a,31b,31c,31dを備えている。レギュレータ回路31a,31b,31c,31dは、並列に接続され、図1に示した選択回路5からの選択信号Sa,Sb,Sc,Sdによって1つが選択されるようになっている。
【0050】
このように、実施の形態2では、リングオシレータ1を構成するインバータの電源端は、半導体集積回路の動作電源に直接接続されるのではなく、レギュレータ回賂31a,31b,31c,31dに接続され、駆動電圧が増減制御されるようになっている。
【0051】
実施の形態1にて説明したように、選択回路5では、選択信号がリングオシレータ1の発振周波数が高い順にSd,Sc,Sb,Saと出力される。したがって、レギュレータ回路は、31a,31b,31c,31dの順に駆動電圧を下げたものを用いる。
【0052】
このようにすれば、最も発振周波数が高い場合は、選択信号Sdが出力されるので、最も低い駆動電圧を出力するレギュレータ回路31dからリングオシレータ1の各インバータに駆動電圧が供給され、発振周波数を低くする補正が行われる。逆に、最も発振周波数が低い場合は、選択信号Saが出力されるので、最も高い駆動電圧を出力するレギュレータ回路31aからリングオシレータ1の各インバータに駆動電圧が供給され、発振周波数を高くする補正が行われる。
【0053】
したがって、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、温度変化による周波数変動を自動的に補正することが可能となる。
【0054】
実施の形態3.
図6、図7は、この発明の実施の形態3によるリングオシレータの発振周波数補正回路の要部構成を示す回路図である。この実施の形態3では、実施の形態1または実施の形態2において、2値のイネーブル信号を追加することによって消費電力を抑制しつつ発振周波数の補正を行う回路の構成例が示されている。なお、図6は、図1に示した周波数検知回路にイネーブル信号を適用する場合の回路図である。図7は、図2に示したコンデンサ電圧ラッチ回路にイネーブル信号を適用する場合の回路図である。
【0055】
すなわち、図6に示すように、この実施の形態3による発振周波数補正回路では、実施の形態1(図1、図2)または実施の形態2(図5)に示した構成において、周波数検知回路3におけるトランジスタTpの入力段にORゲート回路33を設け、トランジスタTpのゲート電極には、リングオシレータ1の出力信号Prとイネーブル信号Eとの論理和を取った信号が印加されるようにしている。
【0056】
この構成によれば、イネーブル信号EがHレベルの場合には、トランジスタTpは、ゲート電極にリングオシレータ1の出力信号Prの状態に関わらずHレベルが入力されるので、非導通状態となる。
【0057】
したがって、この構成によれば、イネーブル信号EがHレベルである間はトランジスタTpから抵抗素子Rを経てグランド(接地)に電流が流れることがないので、消費電力を抑えることが可能となる。
【0058】
また、図7に示すように、この実施の形態3による発振周波数補正回路では、実施の形態1(図1、図2)または実施の形態2(図5)に示した構成において、コンデンサ電圧ラッチ回路4に代えて、コンデンサ電圧ラッチ回路35が設けられている。
【0059】
コンデンサ電圧ラッチ回路35では、図2に示したコンデンサ電圧ラッチ回路4のインバータ27の入力段に、ORゲート回路36を設け、インバータ27には、リングオシレータ1の出力信号Prとイネーブル信号Eとの論理和を取った信号が入力されるようにしている。
【0060】
したがって、トランスミッションゲート22のNチャネルトランジスタ22aのゲート電極とトランスミッションゲート25のPチャネルトランジスタ25bのゲート電極とには、リングオシレータ1の出力信号Prとイネーブル信号Eとの論理和を取った信号PrEの反転信号PrE−が印加される。
【0061】
その結果、イネーブル信号EがHレベルである間は、トランスミッションゲート22のNチャネルトランジスタ22aが非導通状態を維持し、トランスミッションゲート25のPチャネルトランジスタ25bは導通状態となるので、データラッチ回路23にラッチされたデータは保持され、これによってデータラッチ回路26には、同一内容のデータが取り込まれ保持される。その結果、選択される遅延素子またはレギュレータ回路は不変となる。
【0062】
すなわち、イネーブル信号EがHレベルである間は、リングオシレータ1の状態は保持され、イネーブル信号EがLレベルである間は、リングオシレータ1の出力信号Pr毎に周波数が補正される。
【0063】
このように、実施の形態3によれば、実施の形態1または実施の形態2において、イネーブル信号をHレベルとLレベルに切り替えることによって、消費電力の抑制と発振周波数補正との2つの目的を効果的に達成することができる。また、イネーブル信号による操作をコンデンサ電圧ラッチ回路でのみ行う場合には、発信周波数の補正を常時行うか間欠的に行うかを選択することができる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、リングオシレータの発振経路内に、遅延量が互いに異なる複数の遅延素子を並列に接続した遅延回路が設けられている。そして、周波数検知回路では、トランジスタがリングオシレータの出力信号を受けて一定期間の導通状態と非導通状態とを交互に繰り返している。トランジスタが導通状態であるときに、コンデンサ回路では、直列に接続した複数のコンデンサが充電され、各接続端から電圧レベル値を示す分圧信号が出力される。各分圧信号のレベルは、トランジスタが導通状態である期間が長いか短いか、つまりリングオシレータの発信周波数が低いか高いかによって変化する。ラッチ回路では、周波数検知回路が出力する複数の電圧レベル値を個別に閾値を超えるか否かで論理値を定め、その定めた論理値のデータビットがリングオシレータの出力信号毎にラッチされる。選択回路では、ラッチ回路が出力する複数のデータビットの組み合わせに基づき遅延回路内の1つの遅延素子がリングオシレータの構成素子として選択される。したがって、半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータの発振周波数を外部発振子を必要とせずに自動的に補正することができる。
【0065】
つぎの発明によれば、リングオシレータの各構成素子の電源端は、半導体集積回路の動作電源に接続されるのではなく、発生する駆動電圧が互いに異なる複数のレギュレータ回路を並列に接続した駆動電圧発生回路に接続されている。そして、周波数検知回路では、トランジスタがリングオシレータの出力信号を受けて一定期間の導通状態と非導通状態とを交互に繰り返している。トランジスタが導通状態であるときに、コンデンサ回路では、直列に接続した複数のコンデンサが充電され、各接続端から電圧レベル値を示す分圧信号が出力される。各分圧信号のレベルは、トランジスタが導通状態である期間が長いか短いか、つまりリングオシレータの発信周波数が低いか高いかによって変化する。ラッチ回路では、周波数検知回路が出力する複数の電圧レベル値を個別に閾値を超えるか否かで論理値を定め、その定めた論理値のデータビットがリングオシレータの出力信号毎にラッチされる。選択回路では、ラッチ回路が出力する複数のデータビットの組み合わせに基づき駆動電圧発生回路内の1つのレギュレータ回路がリングオシレータの各構成素子の駆動電源として選択される。したがって、半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータの発振周波数を外部発振子を必要とせずに自動的に補正することができる。
【0066】
つぎの発明によれば、上記の発明において、ラッチ回路では、リングオシレータの出力信号と2値のイネーブル信号との論理和を取った信号に基づき前記定めた論理値のデータビットをラッチする動作が行われる。つまり、ラッチ回路では、イネーブル信号の信号レベルを操作することによって、ラッチデータを更新するか否かを制御することができるので、発振周波数補正を常時行うか間欠的に行うかを選択することができる。
【0067】
つぎの発明によれば、上記の発明において、周波数検知回路では、トランジスタの駆動電極にリングオシレータの出力信号と2値のイネーブル信号との論理和を取った信号が印加される。つまり、イネーブル信号の信号レベルを操作することによって、リングオシレータの出力信号の状態と無関係にトランジスタが非導通状態を維持するように制御し、抵抗素子に電流が流れないようにすることができる。したがって、消費電力を抑制することができる。ラッチ回路では、周波数検知回路にて消費電力を抑制する動作が行われる場合にはリングオシレータの状態を維持し、消費電力を抑制する動作が行われない場合にはリングオシレータの発信周波数を補正する動作が行えるので、消費電力を抑制しつつ発振周波数の補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1によるリングオシレータの発振周波数補正回路の構成を示す回路図である。
【図2】図1に示すコンデンサ電圧ラッチ回路の具体的な構成例を示す回路図である。
【図3】図1に示すリングオシレータの出力信号による充放電動作を説明する図である。
【図4】図1に示すリングオシレータの発振周波数と充放電動作との関係を説明する図である。
【図5】この発明の実施の形態2によるリングオシレータの発振周波数補正回路の要部構成を示す回路図である。
【図6】この発明の実施の形態3によるリングオシレータの発振周波数補正回路の要部構成を示す回路図(図1に示した周波数検知回路にイネーブル信号を適用する場合の回路図)である。
【図7】この発明の実施の形態3によるリングオシレータの発振周波数補正回路の要部構成を示す回路図(図2に示したコンデンサ電圧ラッチ回路にイネーブル信号を適用する場合の回路図)である。
【符号の説明】
1 リングオシレータ、2 遅延回路、2a,2b,2c,2d 遅延素子、3 周波数検知回路、Tp 充電用のトランジスタ、R 充放電用の抵抗素子、3b 分圧信号発生用のコンデンサ回路、C 直列接続されたコンデンサ(容量素子)、4,35 コンデンサ電圧ラッチ回路、5 選択回路、21,24,27,55〜60 インバータ、22,25 トランスミッションゲート、23,26 データラッチ回路、31 駆動電圧発生回路、31a,31b,31c,31d レギュレータ回路、33,36 ORゲート回路、51〜54 NANDゲート回路、Pr リングオシレータの出力信号、Vc 充電用トランジスタの出力信号、VoutA,VoutB,VoutC 分圧信号、Sa,Sb,Sb,Sd 選択信号、E イネーブル信号。
Claims (4)
- 半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータにおいて、
前記リングオシレータの発振経路内に介在させた遅延回路であって遅延量が互いに異なる複数の遅延素子を並列に接続した遅延回路と、
前記リングオシレータの発振周波数の変動を検出する周波数検知回路であって、一方の信号電極が電源に接続され、駆動電極に前記リングオシレータの出力信号が印加されるトランジスタと、前記トランジスタの他方の信号電極と接地との間に設けられる抵抗素子と、前記抵抗素子に並列に接続されるコンデンサ回路であって直列に接続した複数のコンデンサからなり各接続端から電圧レベル値を示す分圧信号を出力するコンデンサ回路とを備える周波数検知回路と、
前記周波数検知回路が出力する複数の電圧レベル値を個別に閾値を超えるか否かで論理値を定め、その定めた論理値のデータビットを前記リングオシレータの出力信号毎にラッチするラッチ回路と、
前記ラッチ回路が出力する複数のデータビットの組み合わせに基づき前記遅延回路内の1つの遅延素子を前記リングオシレータの構成素子として選択する選択回路と、
を備えたことを特徴とするリングオシレータの発振周波数補正回路。 - 半導体集積回路に内蔵されるリングオシレータにおいて、
前記リングオシレータの各構成素子の電源端に接続される駆動電圧発生回路であって発生する駆動電圧が互いに異なる複数のレギュレータ回路を並列に接続した駆動電圧発生回路と、
前記リングオシレータの発振周波数の変動を検出する周波数検知回路であって、一方の信号電極が電源に接続され、駆動電極に前記リングオシレータの出力信号が印加されるトランジスタと、前記トランジスタの他方の信号電極と接地との間に設けられる抵抗素子と、前記抵抗素子に並列に接続されるコンデンサ回路であって直列に接続した複数のコンデンサからなり各接続端から電圧レベル値を示す分圧信号を出力するコンデンサ回路とを備える周波数検知回路と、
前記周波数検知回路が出力する複数の電圧レベル値を個別に閾値を超えるか否かで論理値を定め、その定めた論理値のデータビットを前記リングオシレータの出力信号毎にラッチするラッチ回路と、
前記ラッチ回路が出力する複数のデータビットの組み合わせに基づき前記駆動電圧発生回路内の1つのレギュレータ回路を前記リングオシレータの各構成素子の駆動電源として選択する選択回路と、
を備えたことを特徴とするリングオシレータの発振周波数補正回路。 - 前記ラッチ回路は、前記リングオシレータの出力信号と2値のイネーブル信号との論理和を取った信号に基づき、前記定めた論理値のデータビットをラッチすることを特徴とする請求項1または2に記載のリングオシレータの発振周波数補正回路。
- 前記周波数検知回路では、前記トランジスタの駆動電極に前記リングオシレータの出力信号と2値のイネーブル信号との論理和を取った信号が印加されることを特徴とする請求項3に記載のリングオシレータの発振周波数補正回路。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN101783180A (zh) * | 2010-01-12 | 2010-07-21 | 上海宏力半导体制造有限公司 | 校正信号产生电路 |
CN101140313B (zh) * | 2006-09-06 | 2010-09-01 | 国际商业机器公司 | 开关延迟历史效应的在线测量的集成电路器件及方法 |
US8305149B2 (en) | 2008-10-01 | 2012-11-06 | Fujitsu Limited | Semiconductor circuit apparatus and delay difference calculation method |
EP3461005A1 (de) | 2017-09-26 | 2019-03-27 | Siemens Aktiengesellschaft | Verfahren und system zur frequenzkorrektur eines ringoszillators |
WO2020240341A1 (ja) * | 2019-05-31 | 2020-12-03 | 株式会社半導体エネルギー研究所 | 半導体装置、または発振器 |
-
2002
- 2002-07-22 JP JP2002212423A patent/JP2004056561A/ja active Pending
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