JP2004055158A - カーボンナノチューブを用いた電子放出素子用電極材料およびその製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブを用いた電子放出素子用電極材料およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大量生産に向きコスト的に有利であり、また、フィールドエミッション型フラットパネルディスプレイの電極として使用した場合に、駆動電圧を低減しかつ表示画面を細かくすることができる、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子用電極材料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】カーボンナノチューブを用いた電子放出素子用電極材料は、基板3上の触媒粒子を核として成長したカーボンナノチューブ11が導電性フィルム8上に転写されることにより形成されている。導電性フィルム8は、導電層部分がパターン化されたもので、絶縁性の樹脂シート14と、シート14上に設けられた所定形状の導電体15とからなる。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子用電極材料およびその製造方法に関する。本発明による電子放出素子用電極材料は、フィールドエミッション型フラットパネルディスプレイの電極として好適である。
【0002】
【従来の技術】
フィールドエミッション(電界電子放出)は、針状エミッタの先端から高密度のトンネル電流を引き出すことにより得られるため、電子ビームは高輝度でそのエネルギー幅も狭い。この性質を利用して、低消費電力・高輝度・高視野角が実現できるフィールドエミッション型フラットパネルディスプレイ(FED)が開発されつつある。
【0003】
カーボンナノチューブは、シリコンやモリブデンで作られたスピント型エミッタやダイヤモンド薄膜などの従来の電子放出素材に比べて、電流密度、駆動電圧、頑健さ、寿命などの特性において総合的に優れており、FED用電子源として現在最も有望と目されている。これは、カーボンナノチューブが大きなアスペクト比(長さと直径の比)と鋭い先端とを持ち、化学的に安定で機械的にも強靱であり、しかも、高温での安定性に優れているなど、電界放出のエミッタ材料として有利な物理化学的性質を備えているからである。
【0004】
カーボンナノチューブを電子源とするFEDパネルの構造を図5に模式的に示す。図5において、(41)(42)は、上下一対のガラス板であり、下側のガラス板(42)の上面に陰極となる電極(43)が貼り付けられ、この陰極(43)にエミッターとなる多数のカーボンナノチューブ(44)が形成されている。また、上側のガラス板(41)の下面には、蛍光層(RGB)(45)が設けられ、この下面に、カーボンナノチューブの先端から放出される電子を受ける陽極となるアルミニウムフィルム(46)が貼り付けられている。また、両電極(43)(46)間には、これらと平行にグリッド(47)が設けられており、グリッド(47)と上ガラス板(41)との間には、グリッド(47)の横方向にのびる複数の支え板(48)がグリッド(47)と同じ間隔で配され、グリッド(47)と下ガラス板(42)との間には、グリッド(47)の縦方向にのびる複数の支え板(49)がグリッド(47)と同じ間隔で配されている。
【0005】
カーボンナノチューブFEDの実現までには、駆動電圧の低減と電子放出の均一化などいくつかの解決すべき課題があるが、スクリーン印刷によりカーボンナノチューブ陰極を形成したFEDパネルが試作されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
スクリーン印刷によりカーボンナノチューブ陰極を形成した上記従来のFEDパネルでは、一本一本のカーボンナノチューブの無機がバラバラであるため、電界を掛けた際に一本一本のカーボンナノチューブにかかる電界が不均一となり、その結果として電界放出が不均一となり、表示画面が粗くかつ輝度が不十分という問題があった。
【0007】
スクリーン印刷法に代えて、シリコンやガラスの基板に触媒金属の薄膜をパターニングしておき、それを種結晶としてCVD法によりブラシ状にカーボンナノチューブを成長させ、これを電子放出素子に適用しようとする試みも行われているが、CVD法により成長したブラシ状カーボンナノチューブは互いに絡まり合いつつ横に曲がりながら成長することから、せっかく根元でパターニングにより電気的に絶縁がされていてもブラシ同士が接触してしまい、その結果、パターニングのピッチ幅をせまくできず表示画面が粗くなるという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、大量生産に向きコスト的に有利であり、また、フィールドエミッション型フラットパネルディスプレイの電極として使用した場合に、駆動電圧を低減しかつ表示画面を細かくすることができる、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子用電極材料およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは、シリコン基板上に成長させたブラシ状カーボンナノチューブを導電層部分がパターン化されたフィルムに転写することにより、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子用電極材料を得ることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明による電子放出素子用電極材料は、基板上の触媒粒子を核として成長したカーボンナノチューブが導電層部分がパターン化された導電性フィルム上に転写されることにより形成されているものである。
【0011】
また、本発明による電子放出素子用電極材料の製造方法は、基板上の触媒粒子を核として成長させたカーボンナノチューブを導電層部分がパターン化された導電性フィルム上に転写することを特徴とするものである。
【0012】
本明細書において、「フィルム」とは、厚さに基づいて規定される狭義のフィルムだけでなく、通常シートと呼ばれる厚手のものも含むこととする。
【0013】
上記電極材料およびその製造方法において、導電層は、例えば、銀などの金属の薄膜を樹脂製のフィルム上に蒸着することなどによって形成してもよく、また、カーボンナノチューブの束線を樹脂製のフィルム上に所定間隔で接着することによって形成してもよい。前者は、パターン化された導電性フィルムの作製が容易であるという利点を有し、後者は、パターン化された導電性フィルムの延伸が容易であり、延伸率を調整することにより、転写されたカーボンナノチューブ同士の間隔が容易であるという利点を有している。
【0014】
上記電極材料において、カーボンナノチューブの長さは、1〜150μmが好ましく、カーボンナノチューブ同士の間隔は、10〜1000nmが好ましい。
【0015】
上記電極材料の製造法においては、カーボンナノチューブを導電性フィルムにフィルム表面に対し実質上垂直方向に転写することが好ましく、また、転写の際の導電性フィルムの温度をその軟化温度以上で溶融温度以下にすることが好ましく、さらにまた、転写の後に、導電性フィルムをその軟化温度以下に冷却することが好ましい。
【0016】
本発明による、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子用電極材料の製造方法は、連続的に実施することもできる。
【0017】
カーボンナノチューブは、カーボン原子が網目状に結合してできた穴径ナノ(1ナノは10億分の1)メートルサイズの極微細な筒(チューブ)状の物質である。
【0018】
ブラシ状カーボンナノチューブは、公知の方法で作製できる。例えば、シリコン基板の少なくとも片面上に、ニッケル、コバルト、鉄などの金属の錯体を含む溶液をスプレーや刷毛で塗布した後、加熱して形成した皮膜上に、あるいは、クラスター銃で打ち付けて形成した皮膜上に、アセチレン(C)ガスを用いて一般的な化学蒸着法(CVD法)を施すことにより、直径12〜38nmのカーボンナノチューブが多層構造で基板上に垂直に起毛される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
まず、基板上に触媒粒子を形成し、触媒粒子を核として高温雰囲気で原料ガスからカーボンナノチューブを成長させる。基板は触媒粒子を支持するものであればよく、触媒粒子が濡れにくいものが好ましく、シリコン基板であってよい。触媒粒子はニッケル、コバルト、鉄などの金属粒子であってよい。これらの金属またはその錯体等の化合物の溶液をスプレーや刷毛で基板に塗布し、またはクラスター銃で基板に打ち付け、乾燥させ、必要であれば加熱し、皮膜を形成する。皮膜の厚みは、厚過ぎると加熱による粒子化が困難になるので、好ましくは1〜100nmである。次いでこの皮膜を好ましくは減圧下または非酸化雰囲気中で好ましくは650〜800℃に加熱すると、直径1〜50nm程度の触媒粒子が形成される。カーボンナノチューブの原料ガスとしては、アセチレン、メタン、エチレン等の脂肪族炭化水素が使用でき、とりわけアセチレンガスが好ましい。アセチレンの場合、多層構造で太さ12〜38nmのカーボンナノチューブが触媒粒子を核として基板上にブラシ状に形成される。カーボンナノチューブの形成温度は、好ましくは650〜800℃である。
【0021】
こうして成長させたブラシ状カーボンナノチューブを導電性フィルムに転写する。転写の際、導電性フィルムの温度を導電性フィルムの軟化温度以上で溶融温度以下にすることにより、カーボンナノチューブを導電性フィルムに垂直方向に配向させることが容易になる。また、転写後は、導電性フィルムの温度を軟化温度以下に冷却することにより、カーボンナノチューブを導電性フィルムに固定できる。
【0022】
導電性フィルムは、例えば、絶縁性の樹脂シート上に所定幅の導電体を所定間隔で設けたものとされる。絶縁性の樹脂シートとしては、裏面にエチレンビニルアルコール層を有するポリエチレンフィルムが例示され、導電体としては、銀などの金属や金属性のカーボンナノチューブなどが例示される。銀は、例えば、蒸着によって絶縁シート上に形成され、カーボンナノチューブは、接着によって絶縁シート上に形成される。
【0023】
上記の工程(すなわち、基板への触媒の塗布、触媒粒子の形成、化学蒸着法によるブラシ状カーボンナノチューブの成長、カーボンナノチューブの導電性フィルムへの転写、その後のフィルム冷却)は一連の連続工程として行うことができる。連続工程としてを行う際の一実施形態を図1を参照して示す。
【0024】
(第一工程)
図1において、駆動ドラム(1)と従動ドラム(2)によって送り速度12m/hで回転される無端ベルト(3)(厚さ0.5mmの低抵抗N型半導体シリコン基板で構成)の上側上流部の触媒付着ゾーンにおいて、無端ベルト(3)の上面にFe錯体の溶液をスプレー(4)で塗布したのち、220℃に加熱することにより、無端ベルト(3)上に触媒粒子(12)を100nm間隔で散在するように形成させる。
【0025】
(第二工程)
次いで、無端ベルト(3)上の触媒粒子(12)を触媒付着ゾーン下流の化学蒸着ゾーンへ送る。化学蒸着ゾーンは、ベルト方向に移動方向に約2mの長さを有する加熱炉(5)と、その内部にて無端ベルト(3)の下に配された加熱器(7)とからなる。化学蒸着ゾーンにおいて、カーボンナノチューブの原料ガスとしてアセチレンガスを加熱炉(5)の頂部から流量30ml/minで加熱炉(5)内へ流入し、無端ベルト(3)上の触媒粒子(12)を下から熱媒体を循環する加熱器(7)で温度約720℃に加熱する。各触媒粒子が加熱炉(5)を通過する時間は15分程度とされる。触媒粒子(12)が加熱炉(5)内を移動するに連れて、触媒粒子(12)を核としてその上にブラシ状のカーボンナノチューブ(11)が生成し、上向きに成長する。成長したカーボンナノチューブは、太さ約12nmの多層構造であり、長さは約50μmとなる。
【0026】
(第三工程)
次いで、無端ベルト(3)上の各触媒粒子(12)のカーボンナノチューブ(11)がベルトの移動により化学蒸着ゾーンから従動ドラム(2)の位置、すなわち転写ゾーンへ達し、従動ドラム(2)の外側を回るに伴い徐々に横に倒れる時、カーボンナノチューブ(11)をその先端から導電性フィルム導電性フィルム(8)に押し付ける。導電性フィルム(8)は、導電層部分がパターン化されたもので、絶縁性の樹脂シート(14)と、シート(14)上に設けられた所定形状の導電体(15)とからなる。導電性フィルム(8)は、より好ましくは、図2に示すように、樹脂シートがポリエチレン層(14a)とその裏面に設けられたエチレンビニルアルコール層(14b)との二層構造とされ、導電体(15)が所定幅の銀皮膜とされる。そして、所定幅の銀皮膜がポリエチレン層(14a)上に所定間隔で設けられることにより、導電性フィルム(8)に多数の帯状導電体(15)が並列に配された導電パターンが形成される。この導電性フィルム(8)は、フィルム供給装置(9)から下向きに送られ、加熱器(10)で樹脂シート(14)の軟化温度以上かつ溶融温度以下(例えば100〜300℃)に加熱される。こうして導電性フィルム(8)にカーボンナノチューブ(11)を押し付けることにより、カーボンナノチューブ(11)が触媒粒子(12)から導電性フィルム(8)にフィルム表面に対し実質上垂直に転写される。
【0027】
(第四工程)
転写によりブラシ状カーボンナノチューブを植え付けた導電性フィルム(8)を、加熱器(10)の下に設けられた冷却器(13)でその軟化温度以下(例えば常温)に冷却する。そして、無端ベルト(シリコン基板)(3)が、冷却後にカーボンナノチューブ(11)から剥がされる。こうして得られたカーボンナノチューブ電極は巻取ドラム(6)に巻き取られる。
【0028】
前記カーボンナノチューブの構造は単層すなわち単一のチューブであってもよいし、多層すなわち同心状の複数の異径チューブであってもよい。カーボンナノチューブの直径は好ましくは1〜100nmである。
【0029】
CVD法によりブラシ状カーボンナノチューブを作製するためには、種結晶として鉄などの金属触媒が必要であり、触媒上にカーボンナノチューブが成長するため基板とカーボンナノチューブの間の接着力が弱く、またキャパシターなどに使用する場合には酸、アルカリ等の電解液に浸漬されるために、使用中に基板からカーボンナノチューブが剥がれることがある。また、ブラシ状カーボンナノチューブは、互いに絡まり合いながら成長するために、直線性に乏しい。特開平10−203810号公報には直流グロー放電によってカーボンナノチューブを垂直配行させるなどの方法が提案されているが、これは工業的生産には向かない。さらに、ブラシ状カーボンナノチューブは、ブラシの先端面に凹凸があり水平でない。
【0030】
上記のような諸問題を解決するには、転写工程において、基板上に成長させたカーボンナノチューブを導電性フィルムに植え付ける際の導電性フィルムの温度を70〜140℃、好ましくは80〜120℃とし、導電性フィルムに植え付けたカーボンナノチューブから基板を剥がす際の温度を50〜0℃、好ましくは35〜0℃とするのがよい。導電性フィルムは、ポリエチレン層と同層を支持する層を少なくとも含む多層フィルムであることが好ましい。ポリエチレン層を支持する層は、耐熱性フィルムからなることが好ましい。耐熱性フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
【0031】
さらに、本発明により作製したカーボンナノチューブは、電界電子エミッタとして非常に優れた特性を有することが明らかとなった。すなわち、近年電子放出素材としてのカーボンナノチューブは、シリコンやモリブデンなどのマイクロエミッタに比べて、真空の制約が緩いこと、高い電流密度が得られること、頑健であることなど優れた特徴を有しているが、シリコン基板に成長したブラシ状カーボンナノチューブを使用すると、カーボンナノチューブの成長方向に対して垂直な方向においてもカーボンナノチューブが互いに絡まり合っているために電気が通じやすく電子を取り出す際の電圧が高いという問題があった。それに対して、本発明によると、カーボンナノチューブ同士が絡まらないために成長方向と垂直な方向において電気が通じにくく(導電性が悪く)、その結果として低い電界を掛けた場合にもカーボンナノチューブの先端から電子が放出しやすくなった。
【0032】
つぎに、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0033】
実施例1
(第一工程)
厚さが0.5mmで一辺が100mmの方形シリコン基板上に、Fe(CO)の溶液をスプレーで塗布したのち、220℃に加熱することにより鉄の皮膜を生成させた。
【0034】
(第二工程)
鉄皮膜のついた基板を化学蒸着装置に入れた。カーボンナノチューブの原料ガスとして、流量3ml/minのアセチレンと流量200ml/minのヘリウムガスとの混合ガスを温度720℃、時間15分、化学蒸着装置内に流した。この加熱により鉄皮膜は粒子化し、得られた触媒粒子を核としてブラシ状カーボンナノチューブが生成し、徐々に成長した。成長したカーボンナノチューブは、太さ12nmの多層構造であり、長さは50μmであった。
【0035】
(第三工程)
厚さが20μmで一辺が100mmの方形ポリエチレンフィルム(裏面にエチレンビニルアルコール層を有するもの)に幅100μmでパターン化した厚さ10nmの銀薄膜を蒸着することにより、表面をパターン化した導電性フィルムを作製した。
【0036】
(第四工程)
第二工程で作製したブラシ状カーボンナノチューブを、95℃に加熱した第三工程で得られたパターン化した導電性フィルムに、先端から押し付けることにより、カーボンナノチューブをフィルム表面に実質上垂直に転写した。
【0037】
(第五工程)
ブラシ状カーボンナノチューブを転写により植え付けた導電性フィルムを30℃に冷却後、シリコン基板を剥がすことによりパターン化した電子放出用電極材料を得た。
【0038】
このようにして作製した電子放出用電極材料を、図5に示したFEDパネル構造に用いた場合、表示画面が従来のものと比較して格段に細かくなった。これは、カーボンナノチューブが真っ直ぐに配向し、しかも、カーボンナノチューブを基板から剥がしたことによって先端が破れて鋭い縁を持ったことにより、電界集中がより強く起こるようになったためと考えられる。
【0039】
比較例
(第一工程)
厚さが0.5mmで一辺が100mmの方形シリコン基板上に、100μm幅で鉄膜をフォトリソグラフィーでパターン化したものを作製した。。
【0040】
(第二工程)
第一工程で作製したパターン化した鉄皮膜のついた基板を化学蒸着装置に入れた。カーボンナノチューブの原料ガスとして、流量3ml/minのアセチレンと流量200ml/minのヘリウムガスとの混合ガスを温度720℃、時間15分、化学蒸着装置内に流した。この加熱により鉄皮膜は粒子化し、得られた触媒粒子を核としてブラシ状カーボンナノチューブが生成し、徐々に成長した。成長したカーボンナノチューブは、太さ12nmの多層構造であり、長さは50μmであった。
【0041】
このようにして作製した電子放出用電極材料を、図5に示したFEDパネル構造に用いた場合、画質が悪かった。これは、図3に示すように、ガラス基板(20)上に形成されたカーボンナノチューブ(21)同士が絡まり合ってカーボンナノチューブ(21)の先端で高い電流密度が得られないことおよび隣接する鉄触媒粒子から成長したカーボンナノチューブ(21)同士が接触するためと考えられる。
【0042】
実施例2
(第一工程)
厚さが0.5mmで一辺が100mmの方形シリコン基板上に、Fe(CO)の溶液をスプレーで塗布したのち、220℃に加熱することにより鉄の皮膜を生成させた。
【0043】
(第二工程)
鉄皮膜のついた基板を化学蒸着装置に入れた。カーボンナノチューブの原料ガスとして、流量3ml/minのアセチレンと流量200ml/minのヘリウムガスとの混合ガスを温度720℃、時間15分、化学蒸着装置内に流した。この加熱により鉄皮膜は粒子化し、得られた触媒粒子を核としてブラシ状カーボンナノチューブが生成し、徐々に成長した。成長したカーボンナノチューブは、太さ12nmの多層構造であり、長さは50μmであった。
【0044】
(第三工程)
100μmのピッチの樋形状に加工した幅100mm、長さ1000mm、厚さ0.1mmのポリエチレンフィルム(18)の樋(18a)部分にカーボンナノチューブ(17)の束を堆積させ、図4に示すように、このポリエチレンフィルム(18)をカーボンナノチューブ(17)の束を樹脂シート(16)側に向けて接着層(19)を介して貼り合わせることにより、表面をパターン化した導電性フィルム(8)を作製した。
【0045】
(第四工程)
第二工程で作製したブラシ状カーボンナノチューブを、95℃に加熱した第三工程で得られたパターン化した導電性フィルムに、先端から押し付けることにより、カーボンナノチューブをフィルム表面に実質上垂直に転写した。
【0046】
(第五工程)
ブラシ状カーボンナノチューブを転写により植え付けた導電性フィルムを30℃に冷却後、シリコン基板を剥がすことによりパターン化した電子放出用電極材料を得た。
【0047】
このようにして作製した電子放出用電極材料を、図5に示したFEDパネル構造に用いた場合、表示画面が従来のものと比較して格段に細かくなった。これは、カーボンナノチューブが真っ直ぐに配向し、しかも、カーボンナノチューブを基板から剥がしたことによって先端が破れて鋭い縁を持ったことにより、電界集中がより強く起こるようになったためと考えられる。さらに、本構造の電極は、延伸性を有するために曲面構造にも任意に対応できる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によると、導電帯を微細制御できることおよび高電流密度での使用が可能であるために、フラットパネルディスプレイのみならず超高周波デバイス、微小フィールドエミッタアレイを用いた電子ビーム露光にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カーボンナノチューブ電極の連続的な製造方法を示す概略図である。
【図2】実施例1の電極材料を模式的に示す断面図である。
【図3】比較例の電極材料を模式的に示す断面図である。
【図4】実施例2の電極材料を模式的に示す断面図である。
【図5】FEDパネルの構造を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
(8) :導電性フィルム
(9) :フィルム供給装置
(11):カーボンナノチューブ
(12):触媒粒子
(14):樹脂シート
(15):導電体
(16):樹脂シート
(17):カーボンナノチューブの束

Claims (4)

  1. 基板上の触媒粒子を核として成長したカーボンナノチューブが導電層部分がパターン化された導電性フィルム上に転写されることにより形成されている、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子用電極材料。
  2. 導電層は、カーボンナノチューブの束線によって形成されていることを特徴とする、請求項1記載の電子放出素子用電極材料。
  3. 基板上の触媒粒子を核として成長させたカーボンナノチューブを導電層部分がパターン化された導電性フィルム上に転写することを特徴とする、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子用電極材料の製造方法。
  4. 導電層をカーボンナノチューブの束線によって形成することを特徴とする、請求項3記載の電子放出素子用電極材料の製造方法。
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