JP2004052949A - 車両用動力伝達機構の制御装置 - Google Patents

車両用動力伝達機構の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】断続装置のμのバラツキ等の各部の個体差や経時変化などに拘らず、その断続装置の係合、解放時のショックを抑制しつつ速やかに係合或いは解放することができるようにする。
【解決手段】停車時に前進用クラッチ(断続装置)が所定のスリップ状態(t4 〜t5 )となるように、その前進用クラッチの油圧指令値pc1をフィードバック制御する停車時ニュートラル制御において、そのスリップ状態となった時の油圧指令値pc1をスリップ油圧学習値gpc1fbとして記憶し、制御開始時(t2 〜t3 )に、そのスリップ油圧学習値gpc1fbに所定値pc1sw2を加算したスリップ直前油圧指令値(gpc1fb+pc1sw2)まで油圧指令値pc1を速やかに低下させ、スリップ開始時のショックを抑制しながら停車時ニュートラル状態を速やかに達成する。
【選択図】   図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用動力伝達機構の制御装置に係り、特に、動力伝達を接続、遮断する断続装置を係合または解放する際の制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(a) 摩擦係合させられることにより動力を伝達する断続装置を備えている動力伝達機構と、(b) 停車時に前記断続装置の係合荷重を低下させてスリップさせ、動力伝達を低減する停車時ニュートラル手段と、を有する車両用動力伝達機構の制御装置が知られている。特開平5−79562号公報に記載されている装置はその一例で、所定のニュートラル制御実行条件を満足する場合には、フォワードクラッチ(断続装置)が滑り出す直前まで油圧(係合荷重)を一気に低下させるとともに、その後は油圧をゆっくりと低下させてフォワードクラッチを解放することにより、クラッチ解放に伴う駆動力変動などのショックを抑制しつつできるだけ速やかにニュートラル状態を達成するようになっている。また、このような停車時ニュートラル制御によれば、エンジン負荷が低減されて燃費が向上するとともに、クリープ力を適切に制御することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の停車時ニュートラル制御においては、断続装置の油圧を予め定められた一定値まで一気に低下させるため、断続装置の摩擦材のμ(摩擦係数)のバラツキ等の個体差や経時変化により、所定のスリップ状態まで解放する際にショックが発生したり解放までの時間(タイムラグ)が長くなったりする可能性があった。停車時ニュートラル制御だけでなく、断続装置の係合或いは解放に伴う駆動力変動等のショックを抑制しつつ、その断続装置を速やかに係合或いは解放するため、係合荷重を所定値まで一気に変化させる場合には、同様な問題が生じる。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、断続装置のμのバラツキ等の各部の個体差や経時変化などに拘らず、その断続装置の係合、解放時のショックを抑制しつつ速やかに係合或いは解放することができるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 摩擦係合させられることにより動力を伝達する断続装置を備えている動力伝達機構と、(b) 停車時に前記断続装置の係合荷重を低下させてスリップさせ、動力伝達を低減する停車時ニュートラル手段と、を有する車両用動力伝達機構の制御装置において、(c) 前記停車時ニュートラル手段による前記断続装置のスリップ制御に基づいて、その断続装置を所定のスリップ状態とするスリップ係合荷重を求め、そのスリップ係合荷重を利用してその断続装置を係合または解放する際の係合荷重を制御することを特徴とする。
【0006】
第2発明は、第1発明の車両用動力伝達機構の制御装置において、(a) 前記動力伝達機構は、前記断続装置と駆動力源との間に流体を介して動力を伝達する流体式動力伝達装置を備えており、(b) 前記停車時ニュートラル手段は、前記流体式動力伝達装置の入出力回転の速度比または速度差が所定値となるように、前記断続装置の係合荷重をフィードバック制御するもので、(c) そのフィードバック制御された係合荷重を前記スリップ係合荷重として記憶する学習手段を備えていることを特徴とする。
【0007】
第3発明は、第1発明または第2発明の車両用動力伝達機構の制御装置において、前記停車時ニュートラル手段は、前記スリップ係合荷重に基づいて前記断続装置がスリップする直前のスリップ直前係合荷重を求め、その断続装置の係合荷重をそのスリップ直前係合荷重まで速やかに低下させた後、低下速度を遅くしてスリップを開始させるものであることを特徴とする。
【0008】
第4発明は、第1発明〜第3発明の何れかの車両用動力伝達機構の制御装置において、前記断続装置が解放された遮断状態からその断続装置を係合させて駆動状態とする駆動切換時に、前記スリップ係合荷重に基づいてその断続装置の係合過渡時の係合荷重を制御する切換時係合制御手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
【発明の効果】
このような車両用動力伝達機構の制御装置においては、停車時ニュートラル手段による断続装置のスリップ制御に基づいて、その断続装置を所定のスリップ状態とするスリップ係合荷重が求められるため、そのスリップ係合荷重によれば、断続装置のμのバラツキ等の各部の個体差や経時変化などに拘らず断続装置は所定のスリップ状態となる。このため、そのスリップ係合荷重を利用して断続装置を係合または解放する際の係合荷重を制御すれば、断続装置のμのバラツキ等の各部の個体差や経時変化などに拘らず断続装置を適切に係合或いは解放することが可能で、例えば断続装置の係合、解放に伴う駆動力変動等のショックを抑制しつつ速やかに係合或いは解放することができるようになる。
【0010】
第2発明では、流体式動力伝達装置の入出力回転の速度比または速度差が所定値となるように、停車時ニュートラル手段によって断続装置の係合荷重がフィードバック制御されるため、断続装置のμのバラツキ等の各部の個体差や経時変化などに拘らず常に断続装置が所定のスリップ状態とされ、エンジン負荷が低減されて燃費が向上するとともにクリープ力が適切に制御される。また、そのフィードバック制御された係合荷重がスリップ係合荷重として記憶されるため、フィードフォワード制御などに比較して所定のスリップ状態となるスリップ係合荷重の設定が容易である。
【0011】
第3発明の停車時ニュートラル手段は、スリップ係合荷重に基づいて断続装置がスリップする直前のスリップ直前係合荷重を求め、その断続装置の係合荷重をスリップ直前係合荷重まで速やかに低下させた後、低下速度を遅くしてスリップを開始させるため、断続装置の解放(スリップ)に伴う駆動力変動等のショックを抑制しつつ速やかにニュートラル状態を達成することができる。その場合に、スリップ係合荷重は、断続装置のμのバラツキ等の各部の個体差や経時変化などに拘らず断続装置を所定のスリップ状態とする係合荷重であるため、そのスリップ係合荷重に基づいて定められるスリップ直前係合荷重も各部の個体差や経時変化などに拘らず適切な値となり、個体差や経時変化に起因して係合荷重がスリップ直前係合荷重に達するまでの急変化時に断続装置の解放(スリップ)が開始してショックが発生したり、逆に解放(スリップ)が開始する時間が遅くなってニュートラル状態になるまでの時間(タイムラグ)が長くなったりすることが防止される。
【0012】
第4発明は、遮断状態から駆動状態とする駆動切換時に、切換時係合制御手段によって断続装置の係合過渡時の係合荷重を制御する場合で、その時の係合荷重を前記スリップ係合荷重に基づいて制御するため、断続装置のμのバラツキ等の各部の個体差や経時変化などに拘らず適切に係合制御することが可能で、例えば係合ショックを抑制しつつ速やかに駆動状態を達成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、燃料の燃焼で動力を発生する内燃機関等のエンジンを走行用の駆動力源として備えているとともに、そのエンジンの出力を流体を介して伝達する流体式動力伝達装置を有する車両に好適に適用されるが、電動モータなどの他の駆動力源を備えているハイブリッド車両などにも適用され得る。流体式動力伝達装置としては、トルク増幅作用を有するトルクコンバータが好適に用いられるが、流体継手などの他の流体式動力伝達装置を採用することもできる。
【0014】
断続装置は、例えばクラッチやブレーキ等の油圧シリンダによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置が好適に用いられるが、常にはダイヤフラムスプリングによって接続状態(係合状態)に保持されるとともにクラッチレリーズシリンダによって遮断(解放)される単板式の発進クラッチや、電磁力の作用で摩擦係合させられる電磁式摩擦係合装置などでも良い。
【0015】
動力伝達機構は、例えば遊星歯車式の前後進切換装置で、上記クラッチやブレーキ等の断続装置によって回転要素の連結状態が切り換えられることにより、動力伝達を遮断する遮断状態、前進走行が可能な前進駆動状態、および後進走行が可能な後進駆動状態、が成立させられるように構成される。動力伝達機構としては、複数の遊星歯車装置および複数のクラッチやブレーキ(断続装置)を有して、変速比が異なる複数の前進変速段を成立させることができる自動変速機でも良く、単に発進クラッチによって動力伝達が接続、遮断されるだけのものでも良いなど、種々の態様が可能で、停車時ニュートラル手段は、動力伝達を遮断できる断続装置をスリップ制御すれば良い。
【0016】
停車時ニュートラル手段による断続装置のスリップ制御は、例えば励磁電流のデューティ制御などで係合油圧(係合荷重)を連続的に変化させることができるソレノイド弁やリニアソレノイド弁などの係合荷重制御装置を用いて行われる。
【0017】
第2発明では、停車時ニュートラル手段が流体式動力伝達装置の入出力回転に基づいて断続装置の係合荷重をフィードバック制御するようになっているが、断続装置の構成部品など他の回転部材の回転速度やトルク、断続装置の伝達トルクなど、他の制御量に基づいて係合荷重をフィードバック制御することも可能である。また、上記流体式動力伝達装置の入出力回転の速度比や速度差などの制御量に基づいて、係合荷重のフィードフォワード値を逐次学習補正するフィードフォワード制御など、他の制御方法を採用することも可能で、その場合は学習補正値などからスリップ係合荷重を求めることができる。
【0018】
第3発明では、スリップ係合荷重に基づいて断続装置がスリップする直前のスリップ直前係合荷重を求めるようになっており、例えばスリップ係合荷重に所定値を加算したり所定割合だけ増大させたりしてスリップ直前係合荷重が求められるが、例えば油圧式摩擦係合装置の場合、油温が高いと一般に摩擦材の摩擦係数μが低下してスリップし易くなり、入力トルク(入力回転速度)が大きい時にもスリップし易くなるため、それ等の油温や入力トルク推定値(エンジンのアイドル回転速度など)をパラメータとしてスリップ直前係合荷重を補正することが望ましい。
【0019】
第4発明は、断続装置を係合させて遮断状態から駆動状態に切り換える駆動切換に関するものであるが、他の発明の実施に際しては、断続装置を解放して駆動状態から遮断状態に切り換える非駆動切換時に、前記スリップ係合荷重に基づいてその断続装置の解放過渡時の係合荷重を制御したり、断続装置を係合または解放して変速比が異なる変速段に切り換える変速時に、前記スリップ係合荷重に基づいてその断続装置の係合過渡時または解放過渡時の係合荷重を制御したりするなど、種々の態様が可能である。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用駆動装置10の骨子図である。この車両用駆動装置10は横置き型で、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用されるものであり、走行用の駆動力源としてエンジン12を備えている。内燃機関にて構成されているエンジン12の出力は、流体式動力伝達装置としてのトルクコンバータ14から前後進切換装置16、ベルト式無段変速機(CVT)18、減速歯車20を介して差動歯車装置22に伝達され、左右の駆動輪24L、24Rへ分配される。
【0021】
トルクコンバータ14は、エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車14p、およびタービン軸34を介して前後進切換装置16に連結されたタービン翼車14tを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。また、それ等のポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tの間にはロックアップクラッチ26が設けられており、油圧制御回路86(図2参照)の切換弁などによって係合側油室および解放側油室に対する油圧供給が切り換えられることにより、係合または解放されるようになっており、完全係合させられることによってポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tは一体回転させられる。上記ポンプ翼車14pには、ベルト式無段変速機18を変速制御したりベルト挟圧力を発生させたり、或いは各部に潤滑油を供給したりするための油圧を発生する機械式のオイルポンプ28が設けられている。
【0022】
前後進切換装置16は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置を主体として構成されており、トルクコンバータ14のタービン軸34はサンギヤ16sに一体的に連結され、ベルト式無段変速機18の入力軸36はキャリア16cに一体的に連結されている一方、キャリア16cとサンギヤ16sは前進用クラッチC1を介して選択的に連結され、リングギヤ16rは後進用ブレーキB1を介してハウジングに選択的に固定されるようになっている。前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は断続装置に相当するもので、何れも油圧シリンダによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置であり、前進用クラッチC1が係合させられるとともに後進用ブレーキB1が解放されることにより、前後進切換装置16は前進走行用の駆動状態となって一体回転させられ、前進方向の駆動力がベルト式無段変速機18側へ伝達される一方、後進用ブレーキB1が係合させられるとともに前進用クラッチC1が解放されることにより、前後進切換装置16は後進走行用の駆動状態となって、入力軸36はタービン軸34に対して逆方向へ回転させられるようになり、後進方向の駆動力がベルト式無段変速機18側へ伝達される。また、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が共に解放されると、前後進切換装置16は動力伝達を遮断する遮断状態(ニュートラル)になる。本実施例では、上記前後進切換装置16が動力伝達機構に相当する。
【0023】
上記前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は、油圧制御回路86のマニュアルバルブ120(図3参照)がシフトレバー77の操作に従って機械的に切り換えられることにより、係合、解放されるようになっている。シフトレバー77は、駐車用の「P」ポジション、後進走行用の「R」ポジション、動力伝達を遮断する「N」ポジション、前進走行用の「D」ポジションおよび「L」ポジションへ操作されるようになっており、「P」ポジションおよび「N」ポジションでは、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1内の作動油は何れもマニュアルバルブ120からドレーンされて共に解放される。「R」ポジションでは、モジュレータバルブ122によってモジュレータ油圧PMに調圧された作動油がマニュアルバルブ120から後進用ブレーキB1に供給されて係合させられるとともに、前進用クラッチC1内の作動油はマニュアルバルブ120からドレーンされて解放される。また、「D」ポジションおよび「L」ポジションでは、モジュレータ油圧PMに調圧された作動油がマニュアルバルブ120から前進用クラッチC1に供給されて係合させられるとともに、後進用ブレーキB1内の作動油はマニュアルバルブ120からドレーンされて解放される。
【0024】
図1に戻って、ベルト式無段変速機18は、前記入力軸36に設けられた有効径が可変の入力側可変プーリ42と、出力軸44に設けられた有効径が可変の出力側可変プーリ46と、それ等の可変プーリ42、46に巻き掛けられた伝動ベルト48とを備えており、可変プーリ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。可変プーリ42、46はそれぞれV溝幅が可変で、油圧シリンダを備えて構成されており、入力側可変プーリ42の油圧シリンダの油圧が油圧制御回路86によって制御されることにより、両可変プーリ42、46のV溝幅が変化して伝動ベルト48の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が連続的に変化させられる。また、出力側可変プーリ46の油圧シリンダの油圧は、伝動ベルト48が滑りを生じないように油圧制御回路86によって調圧制御される。
【0025】
図2は、図1のエンジン12やベルト式無段変速機18などを制御するために車両に設けられた制御系統を説明するブロック線図で、電子制御装置60には、エンジン回転速度センサ62、タービン回転速度センサ64、入力軸回転速度センサ65、車速センサ66、アイドルスイッチ付きスロットルセンサ68、冷却水温センサ70、油温センサ72、アクセル操作量センサ74、フットブレーキスイッチ76、レバーポジションセンサ78などが接続され、エンジン12の回転速度(エンジン回転速度)NE、タービン軸34の回転速度(タービン回転速度)NT、入力軸36の回転速度(入力軸回転速度)NIN、車速V、電子スロットル弁80の全閉状態(アイドル状態)およびその開度(スロットル弁開度)θTH、エンジン12の冷却水温TW 、ベルト式無段変速機18等の油圧制御回路86の油温TOIL 、アクセルペダル等のアクセル操作部材の操作量(アクセル操作量)Acc、常用ブレーキであるフットブレーキの操作の有無、シフトレバー77のレバーポジション(操作位置)PSH、などを表す信号が供給されるようになっている。タービン回転速度NTは、前進用クラッチC1が係合させられた前進走行時には入力軸回転速度NINと一致し、車速Vは、ベルト式無段変速機18の出力軸44の回転速度(出力軸回転速度)NOUTに対応する。また、アクセル操作量Accは運転者の出力要求量を表している。
【0026】
電子制御装置60は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン12の出力制御やベルト式無段変速機18の変速制御、ベルト挟圧力制御、ロックアップクラッチ26の係合、解放制御、などを実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用と変速制御用とに分けて構成される。エンジン12の出力制御は電子スロットル弁80、燃料噴射装置82、点火装置84などによって行われ、ベルト式無段変速機18の変速制御、ベルト挟圧力制御、およびロックアップクラッチ26の係合、解放制御は、何れも油圧制御回路86によって行われる。油圧制御回路86は、電子制御装置60により励磁されて油路を開閉するソレノイド弁や油圧制御を行うリニアソレノイド弁、それらのソレノイド弁から出力される信号圧に従って油路を開閉したり油圧制御を行ったりする開閉弁、調圧弁などを備えて構成されている。
【0027】
図3は、油圧制御回路86のうち前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1の係合、解放制御に関する部分の油圧回路図で、前記マニュアルバルブ120の他、ガレージシフトコントロールバルブ112、ガレージシフトバルブ114を備えている。ガレージシフトコントロールバルブ112は、軸方向へ移動可能なスプール112aおよびそのスプール112aを一方へ付勢する付勢手段としてのスプリング112bを備えており、電子制御装置60によってデューティ制御されるリニアソレノイド弁SLTの出力油圧をパイロット圧として、モジュレータ油圧PMを連続的に調圧制御してガレージシフト油圧PGを出力するようになっており、このガレージシフト油圧PGがガレージシフトバルブ114およびマニュアルバルブ120を経て前進用クラッチC1へ供給されることにより、前進用クラッチC1の係合過渡油圧などが制御される。
【0028】
ガレージシフトバルブ114は、軸方向へ移動可能なスプール114aおよびそのスプール114aを一方へ付勢する付勢手段としてのスプリング114bを備えており、通常の「D」ポジションでは、電子制御装置60によりソレノイド弁SLおよびDSUが共に励磁されて信号圧が出力されることにより、図の右半分に示すOFF状態に保持されてモジュレータ油圧PMをそのままマニュアルバルブ120側へ出力し、そのモジュレータ油圧PMにより前進用クラッチC1を係合状態に保持する。また、「R」ポジションでも、ガレージシフトバルブ114は図の右半分に示すOFF状態とされ、モジュレータ油圧PMがそのままマニュアルバルブ120側へ出力されて、そのモジュレータ油圧PMにより後進用ブレーキB1が係合状態に保持される。
【0029】
一方、シフトレバー77が「N」ポジションから「D」ポジションへ操作されるガレージシフト(N→Dシフト)時には、ソレノイド弁SLのみが励磁されてソレノイド弁DSUが非励磁とされることにより、ガレージシフトバルブ114は図の左半分に示すON状態となり、ガレージシフトコントロールバルブ112から出力されるガレージシフト油圧PGをマニュアルバルブ120側へ出力する。ガレージシフト油圧PGはリニアソレノイド弁SLTの出力油圧に応じて調圧されるようになっており、前進用クラッチC1は、そのガレージシフト油圧PGの調圧制御で滑らかに係合させられる。また、「D」ポジションでの停車時で、所定のニュートラル制御実行条件を満足する場合には、上記N→Dシフト時と同様にソレノイド弁DSUが非励磁とされることにより図の左半分に示すON状態となり、ガレージシフトコントロールバルブ112から出力されるガレージシフト油圧PGをマニュアルバルブ120側へ出力することにより、リニアソレノイド弁SLTの出力油圧に応じて調圧されるガレージシフト油圧PGにより、前進用クラッチC1が所定のスリップ状態とされて動力伝達が低減される。上記リニアソレノイド弁SLTおよびガレージシフトコントロールバルブ112は、前進用クラッチC1の係合油圧であるガレージシフト油圧PGすなわち係合荷重を制御する係合荷重制御装置として機能している。また、N→Dシフトは、前後進切換装置16を遮断状態から駆動状態へ切り換える駆動切換である。なお、後進走行用の「R」ポジションにおいても、N→Rシフト時にガレージシフト油圧PGにより後進用ブレーキB1を滑らかに係合させたり、所定のニュートラル制御実行条件を満足する場合に後進用ブレーキB1をスリップ状態としたりすることが可能である。
【0030】
図4は、前記電子制御装置60の信号処理によって実行される各種の機能のうち、「D」ポジションすなわち前進走行用の駆動状態、における停車時に前進用クラッチC1を所定のスリップ状態とする停車時ニュートラル制御、およびガレージシフト時(駆動切換時)における前進用クラッチC1の係合過渡油圧(ガレージシフト油圧PG)の制御に関する部分を説明するブロック線図で、機能的に停車時ニュートラル手段100、学習手段106、および切換時係合制御手段108を備えており、停車時ニュートラル手段100はスウィープ手段102およびフィードバック制御手段104を備えている。
【0031】
図5は、上記停車時ニュートラル手段100および学習手段106の具体的な処理内容を説明するフローチャートで、ステップS2〜S4はスウィープ手段102によって実行され、ステップS5〜S7はフィードバック制御手段104によって実行され、ステップS8およびS9は学習手段106によって実行される。また、図6は、図5のフローチャートに従って停車時ニュートラル制御が行われた場合の各部の変化を示すタイムチャートの一例である。
【0032】
図5のステップS1では、停車時ニュートラル制御の実行開始条件が成立するか否か、具体的には例えば前後進切換装置16が前進走行用の駆動状態で、車速Vが略0で、且つフットブレーキが踏込み操作されているとともに、その状態が所定時間(例えば数秒程度)継続したか否かを判断する。前進走行用の駆動状態か否かは、例えばシフトレバー77の操作ポジションPSHが前進走行ポジション「D」または「L」であるか否かによって判断できる。そして、上記停車時ニュートラル制御の実行開始条件が成立した場合には、ステップS2以下の停車時ニュートラル制御を実行する。図6の時間t1 は、「D」または「L」ポジションでの走行時にフットブレーキが踏込み操作されて車速Vが0になった時間で、時間t2 は、所定時間が経過してステップS1の判断がYES(肯定)になった時間である。
【0033】
ステップS2では、先ず前記ソレノイド弁DSUを非励磁にしてガレージシフトバルブ114を図3の左半分に示すON状態とし、ガレージシフトコントロールバルブ112から出力されるガレージシフト油圧PGがマニュアルバルブ120を経て前進用クラッチC1に供給されるようにする。その後、スリップ油圧学習値gpc1fbに所定値pc1sw2を加算してスリップ直前油圧指令値(gpc1fb+pc1sw2)を求め、そのスリップ直前油圧指令値(gpc1fb+pc1sw2)まで比較的大きな変化率で油圧指令値pc1を速やかに低下させる第1スウィープ制御を実施する。前記リニアソレノイド弁SLTは、この油圧指令値pc1に応じて励磁電流のデューティ比DSLTが制御され、ガレージシフト油圧PGが油圧指令値pc1に従って変化させられる。スリップ油圧学習値gpc1fbは、フィードバック制御時にステップS9で記憶装置88(図2参照)に記憶されたもので、前進用クラッチC1が所定のスリップ状態となるスリップ係合荷重である。スリップ直前油圧指令値(gpc1fb+pc1sw2)は、前進用クラッチC1がスリップする直前のスリップ直前係合荷重であり、上記スリップ油圧学習値gpc1fbに加算する所定値pc1sw2は、前進用クラッチC1がスリップすることがないように予め定められて記憶装置88に記憶されている。また、油温TOIL が高いと摩擦係数μが低下してスリップし易くなり、入力トルクが大きい時にもスリップし易くなるため、所定値pc1sw2は、それ等の油温TOIL や入力トルク推定値(エンジン12のアイドル回転速度など)をパラメータとして、油温TOIL が高い程大きくなり、入力トルク推定値が大きい程大きくなるように定められている。所定値pc1sw2および第1スウィープの変化率は、ガレージシフト油圧PGのアンダーシュートで前進用クラッチC1が解放(スリップ)することがないように定められている。
【0034】
ステップS3では、油圧指令値pc1がスリップ直前油圧指令値(gpc1fb+pc1sw2)より低い値まで低下したか否かを判断し、pc1<(gpc1fb+pc1sw2)になったらステップS4で第2スウィープ制御を実行する。図6の時間t3 は、油圧指令値pc1がスリップ直前油圧指令値(gpc1fb+pc1sw2)に達してステップS3の判断がYESになった時間である。第2スウィープ制御では、前進用クラッチC1のスリップの開始に伴う駆動力変動(ショック)ができるだけ抑制されるように、比較的小さな変化率で油圧指令値pc1をゆっくりと低下させ、その油圧指令値pc1に応じてリニアソレノイド弁SLTのデューティ比DSLTが制御されることにより、ガレージシフト油圧PGが油圧指令値pc1に追従してゆっくりと低下させられる。
【0035】
ステップS5では、ガレージシフト油圧PGの低下で前進用クラッチC1が解放(スリップ)し始めたか否かを、例えばタービン回転速度NTが予め定められた所定値(例えば50rpm程度)以上になったか否か、等によって判断し、解放し始めたらステップS6で目標回転速度nttgetを設定するとともに、ステップS7で実際のタービン回転速度NTが目標回転速度nttgetとなるように、油圧指令値pc1すなわちデューティ比DSLTをフィードバック制御する。目標回転速度nttgetは、トルクコンバータ14の速度比e(=NT/NE)が、前進用クラッチC1が完全に解放された時よりも小さい所定値K(例えば0.9程度)となるように、エンジン回転速度NEおよび所定値Kを用いて次式(1) に従って求められる。これにより、前進用クラッチC1は所定のスリップ状態になり、そのスリップ状態に応じた動力伝達により所定のクリープが発生させられる。図6の時間t4 は、フィードバック制御によりタービン回転速度NTが目標回転速度nttgetと略一致させられるようになった時間である。
nttget=NE×K   ・・・(1)
【0036】
ステップS8では、フィードバック制御が安定状態か否かを、例えば目標回転速度nttgetとタービン回転速度NTとの偏差|nttget−NT|が予め定められた所定値fberr(例えば20〜30rpm程度)より小さいか否か、等によって判断し、安定状態でなければステップS10を実行するが、安定状態であればステップS9を実行し、その時の油圧指令値pc1をスリップ油圧学習値gpc1fbとして記憶装置88に記憶(上書き)する。ステップS10では、停車時ニュートラル制御の終了条件が成立するか否かを判断し、終了条件が成立するまでステップS7以下を繰り返す。なお、ステップS9の学習は、一連の停車時ニュートラル制御で1回行うだけでも良い。
【0037】
ステップS10の終了条件は、運転者が車両を発進させる可能性があるか否かで、例えばフットブレーキが解除操作されるかアクセルぺダルが踏込み操作された場合、或いはフットブレーキ操作によるブレーキ力(ペダル踏力など)が低下し始めた場合などであり、終了条件が成立した場合にはステップS11の復帰制御を実行する。図6の時間t5 は終了条件が成立した時間で、ステップS11の復帰制御では、前進用クラッチC1の急係合による駆動力変動(ショック)を抑制しながらができるだけ速やかに係合するように、油圧指令値pc1すなわちガレージシフト油圧PGを所定の変化率で上昇させることにより、その前進用クラッチC1を滑らかに係合させる。前進用クラッチC1はスリップ状態であるため、ニュートラル制御で完全に解放する場合に比較して、ショックを抑制しながら短時間で速やかに係合させることができる。
【0038】
ステップS12では、ガレージシフト油圧PGの上昇で前進用クラッチC1の係合が完了したか否かを、例えばタービン回転速度NTと入力軸回転速度NINとの偏差|NT−NIN|が予め定められた所定値(例えば50rpm程度)より小さくなったか否か、等によって判断する。入力軸回転速度NINの代わりに、出力軸回転速度NOUTに変速比γを掛け算した値を用いることもできる。そして、前進用クラッチC1の係合が完了した場合には、ステップS13で、ソレノイド弁DSUを励磁してガレージシフトバルブ114を図3の右半分に示すOFF状態とし、モジュレータ油圧PMがガレージシフトバルブ114からマニュアルバルブ120を経て前進用クラッチC1に供給されるようにするなどの終了処理を行い、一連の停車時ニュートラル制御を終了する。図6の時間t6 は、前進用クラッチC1の係合が完了してステップS12の判断がYESになった時間である。
【0039】
一方、前記切換時係合制御手段108によるガレージシフト時の係合過渡制御は、図7に示すフローチャートに従って信号処理を実行する。図7のステップR1では、レバーポジションセンサ78の信号に基づいてシフトレバー77が「N」ポジションから「D」ポジションへ操作されたN→Dシフトすなわち駆動切換か否かを判断し、N→Dシフトの場合はステップR2以下を実行する。図8は、図7のフローチャートに従って前進用クラッチC1の係合過渡油圧が制御された場合の油圧指令値pc1や回転速度NE、NTの変化を示すタイムチャートの一例で、時間t1 はN→Dシフトが為されてステップR1の判断がYESになった時間である。
【0040】
ステップR2では、先ずソレノイド弁DSUを非励磁としたままソレノイド弁SLを励磁してガレージシフトバルブ114を図3の左半分に示すON状態とし、ガレージシフトコントロールバルブ112から出力されるガレージシフト油圧PGがマニュアルバルブ120を経て前進用クラッチC1に供給されるようにする。その後、予め定められた所定時間αだけ油圧指令値pc1すなわちガレージシフト油圧PGを高圧とするファーストフィル制御を行い、前進用クラッチC1の油圧シリンダ内に作動油を速やかに充填する。ファーストフィル制御は、前進用クラッチC1が係合トルクを発生する直前まで油圧シリンダのピストンを速やかに前進させるもので、上記所定時間αは、充填速度に影響する油温TOIL などをパラメータとして、例えば油温TOIL が低い程長い時間が定められるようになっている。
【0041】
ステップR3では、前記停車時ニュートラル制御で記憶したスリップ油圧学習値gpc1fbに所定値pc1stを加算して定圧待機指令値(gpc1fb+pc1st)を求め、油圧指令値pc1をその定圧待機指令値(gpc1fb+pc1st)に維持する定圧待機制御を実施する。この油圧指令値pc1に応じてリニアソレノイド弁SLTのデューティ比DSLTが制御されることにより、ガレージシフト油圧PGが油圧指令値pc1すなわち定圧待機指令値(gpc1fb+pc1st)に相当する油圧に制御される。定圧待機指令値(gpc1fb+pc1st)は、前進用クラッチC1の急係合による駆動力変動(ショック)を抑制しながらその前進用クラッチC1を係合させることができる係合荷重で、スリップ油圧学習値gpc1fbに加算する所定値pc1stは、前進用クラッチC1が少なくともスリップし始めるように予め定められて記憶装置88に記憶されている。また、油温TOIL が高いと摩擦係数μが低下してスリップし易くなり、入力トルクが大きい時にもスリップし易くなるため、所定値pc1stは、それ等の油温TOIL や入力トルク推定値(エンジン12のアイドル回転速度など)をパラメータとして、油温TOIL が高い程大きくなり、入力トルク推定値が大きい程大きくなるように定められている。なお、スリップ油圧学習値gpc1fbは、前進用クラッチC1が所定のスリップ状態となるスリップ係合荷重であるため、そのスリップ油圧学習値gpc1fbをそのまま定圧待機指令値として用いることも可能である。
【0042】
ステップR4では、前進用クラッチC1が係合(スリップ)を開始したか否かを、例えばタービン回転速度NTの変化、具体的には制御開始後の最大値NTmax からの低下幅(NTmax −NT)が所定値(例えば50rpm程度)より大きくなったか否か、等によって判断し、係合し始めた場合にはステップR5のスウィープ制御を実行する。図8の時間t2 は、前進用クラッチC1が係合し始めてステップR4の判断がYESになった時間であり、ステップR5のスウィープ制御は、前進用クラッチC1の急係合による駆動力変動(ショック)を抑制しながらができるだけ速やかに係合するように、油圧指令値pc1すなわちガレージシフト油圧PGを所定の変化率で上昇させることにより、その前進用クラッチC1を滑らかに係合させる。
【0043】
ステップR6では、ガレージシフト油圧PGの上昇で前進用クラッチC1の係合が完了したか否かを、例えばタービン回転速度NTと入力軸回転速度NINとの偏差|NT−NIN|が予め定められた所定値(例えば50rpm程度)より小さくなったか否か、等によって判断する。そして、前進用クラッチC1の係合が完了した場合には、ステップR7で、ソレノイド弁DSUを励磁してガレージシフトバルブ114を図3の右半分に示すOFF状態とし、モジュレータ油圧PMがガレージシフトバルブ114からマニュアルバルブ120を経て前進用クラッチC1に供給されるようにするなどの終了処理を行い、一連のガレージシフト制御を終了する。図8の時間t3 は、前進用クラッチC1の係合が完了してステップR6の判断がYESになった時間である。
【0044】
このように本実施例では、停車時ニュートラル手段100が、トルクコンバータ14の速度比eが所定値Kとなるように油圧指令値pc1をフィードバック制御するため、前進用クラッチC1の摩擦係数μや油圧シリンダのリターンスプリングの付勢力のバラツキ等の各部の個体差や経時変化などに拘らず常に前進用クラッチC1が所定のスリップ状態とされ、エンジン負荷が低減されて燃費が向上するとともにクリープ力が適切に制御される。また、そのフィードバック制御された油圧指令値pc1がスリップ油圧学習値gpc1fbとしてそのまま記憶装置88に記憶されるため、フィードフォワード制御などに比較して所定のスリップ状態となるスリップ係合荷重の設定が容易である。
【0045】
また、停車時ニュートラル手段100は、前進用クラッチC1が所定のスリップ状態となるスリップ油圧学習値gpc1fbに所定値pc1sw2を加算してスリップ直前油圧指令値(gpc1fb+pc1sw2)を求め、油圧指令値pc1をそのスリップ直前油圧指令値(gpc1fb+pc1sw2)まで第1スウィープ制御で速やかに低下させた後、第2スウィープ制御で低下速度を遅くしてスリップを開始させるため、前進用クラッチC1のスリップ開始に伴う駆動力変動等のショックを抑制しつつ速やかに停車時ニュートラル状態を達成することができる。その場合に、スリップ油圧学習値gpc1fbは、各部の個体差や経時変化などに拘らず前進用クラッチC1を所定のスリップ状態となるようにするフィードバック制御で得られた油圧指令値pc1であるため、そのスリップ油圧学習値gpc1fbに基づいて定められるスリップ直前油圧指令値(gpc1fb+pc1sw2)も各部の個体差や経時変化などに拘らず適切な値となり、個体差や経時変化に起因して、油圧指令値pc1がスリップ直前油圧指令値(gpc1fb+pc1sw2)に達するまでの急変化時に前進用クラッチC1がスリップし始めてショックが発生したり、逆にスリップし始める時間が遅くなって停車時ニュートラル状態になるまでの時間(タイムラグ)が長くなったりすることが防止される。
【0046】
また、N→Dのガレージシフト時に前進用クラッチC1の係合過渡油圧を制御する切換時係合制御手段108は、ファーストフィル制御後の定圧待機制御で、スリップ油圧学習値gpc1fbに所定値pc1stを加算して定圧待機指令値(gpc1fb+pc1st)を求め、ガレージシフト油圧PGをその定圧待機指令値(gpc1fb+pc1st)に相当する油圧に制御して前進用クラッチC1の係合を開始させるため、前進用クラッチC1の係合開始に伴う駆動力変動等のショックを抑制しつつ前進用クラッチC1を速やかに係合させて前進駆動状態を達成することができる。その場合に、スリップ油圧学習値gpc1fbは、各部の個体差や経時変化などに拘らず前進用クラッチC1を所定のスリップ状態となるようにするフィードバック制御で得られた油圧指令値pc1であるため、そのスリップ油圧学習値gpc1fbに基づいて定められる定圧待機指令値(gpc1fb+pc1st)も各部の個体差や経時変化などに拘らず適切な値となり、個体差や経時変化に起因して前進用クラッチC1が急係合してショックが発生したり、逆に係合が遅くなって前進駆動状態が成立するまでの時間(タイムラグ)が長くなったりすることが防止される。
【0047】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車両用駆動装置の骨子図である。
【図2】図1の車両用駆動装置の制御系統を説明するブロック線図である。
【図3】図1の車両用駆動装置が備えている油圧制御回路のうち、前後進切換装置の前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1の油圧制御に関する部分を説明する回路図である。
【図4】図2の電子制御装置が備えている機能の要部を説明するブロック線図である。
【図5】図4の停車時ニュートラル手段の処理内容を具体的に説明するフローチャートである。
【図6】図5のフローチャートに従って停車時ニュートラル制御が行われた場合の各部の作動状態の変化を説明するタイムチャートの一例である。
【図7】図4の切換時係合制御手段の処理内容を具体的に説明するフローチャートである。
【図8】図7のフローチャートに従ってガレージシフト時に係合過渡油圧制御が行われた場合の各部の作動状態の変化を説明するタイムチャートの一例である。
【符号の説明】
12:エンジン(駆動力源)  14:トルクコンバータ(流体式動力伝達装置)  16:前後進切換装置(動力伝達機構)  60:電子制御装置  100:停車時ニュートラル手段  106:学習手段  108:切換時係合制御手段  C1:前進用クラッチ(断続装置)  gpc1fb:スリップ油圧学習値(スリップ係合荷重)  gpc1fb+pc1sw2:スリップ直前油圧指令値(スリップ直前係合荷重)  pc1:油圧指令値(係合荷重)

Claims (4)

  1. 摩擦係合させられることにより動力を伝達する断続装置を備えている動力伝達機構と、
    停車時に前記断続装置の係合荷重を低下させてスリップさせ、動力伝達を低減する停車時ニュートラル手段と、
    を有する車両用動力伝達機構の制御装置において、
    前記停車時ニュートラル手段による前記断続装置のスリップ制御に基づいて、該断続装置を所定のスリップ状態とするスリップ係合荷重を求め、該スリップ係合荷重を利用して該断続装置を係合または解放する際の係合荷重を制御する
    ことを特徴とする車両用動力伝達機構の制御装置。
  2. 前記動力伝達機構は、前記断続装置と駆動力源との間に流体を介して動力を伝達する流体式動力伝達装置を備えており、
    前記停車時ニュートラル手段は、前記流体式動力伝達装置の入出力回転の速度比または速度差が所定値となるように、前記断続装置の係合荷重をフィードバック制御するもので、
    該フィードバック制御された係合荷重を前記スリップ係合荷重として記憶する学習手段を備えている
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用動力伝達機構の制御装置。
  3. 前記停車時ニュートラル手段は、前記スリップ係合荷重に基づいて前記断続装置がスリップする直前のスリップ直前係合荷重を求め、該断続装置の係合荷重を該スリップ直前係合荷重まで速やかに低下させた後、低下速度を遅くしてスリップを開始させるものである
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用動力伝達機構の制御装置。
  4. 前記断続装置が解放された遮断状態から該断続装置を係合させて駆動状態とする駆動切換時に、前記スリップ係合荷重に基づいて該断続装置の係合過渡時の係合荷重を制御する切換時係合制御手段を備えている
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用動力伝達機構の制御装置。
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KR20120081113A (ko) 2009-09-30 2012-07-18 가부시키가이샤 닛폰 쇼쿠바이 입자상 흡수제 및 그 제조방법
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