JP2004051579A - ヒアルロン酸合成促進剤 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、「N−アセチル−D−グルコサミン残基又はそれを含む糖鎖のN−アセチル−D−グルコサミン残基」に「置換基を有することもあるベンジル基」が結合した、N−アセチル−D−グルコサミン含有糖ベンジルグリコシド誘導体を使用したヒアルロン酸合成促進剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
本明細書中で表記する糖及び糖残基は、特記しない限り全てD体である光学異性体を示すものとする。
【0003】
ヒアルロン酸はグリコサミノグリカンの一種であり、グルクロン酸(以下「GlcUA」とも記載する)とN−アセチルグルコサミン(以下「GlcNAc」とも記載する)とが1,3グリコシド結合で結合した二糖を繰り返し単位とし、これが1,4グリコシド結合で連なった基本骨格を有する。ヒアルロン酸は、保水性に極めて優れ、その水溶液は粘弾性を有する。その様な特殊な性質を生かし、関節炎のための医薬品や癒着防止材などの医療用具としてヒアルロン酸は応用されている。従って、ヒアルロン酸の合成を促進する物質は、生体のヒアルロン酸量を増加させたり、微生物によるヒアルロン酸合成を促進するために極めて有用である。
【0004】
生体組織または培養細胞でヒアルロン酸の合成を促進する物質の例としては、GlcNAc(特開2001−2551)や N−Methyl−L−Serine (Sakai S., Sayo T., Kodama S., Inoue S., Skin Pharmacol Appl Skin Physiol 1999;12:276−283) が知られている。一方、ヒアルロン酸の生体内での合成は種々のサイトカイン類により促進され、生体内でも特にヒアルロン酸含量が多い軟骨細胞や皮膚の繊維芽細胞でヒアルロン酸合成酵素(以下「HAS」とも記載する:HASには3種類のアイソザイムが存在することが知られており、各々HAS1、HAS2、及びHAS3と呼ばれている)によって合成がなされていることが知られている(Nishida Y., D’Souza AL., Thonar EJM., Knudson W, Arthritis & Rheumatism,vol.43., no.6, June, 2000,:酒井、佐用 FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 no.17 pp48−55 2000 )。しかし、このような生体由来物質以外の物質でヒアルロン酸の合成を大幅に促進する物質は知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ヒアルロン酸の合成を促進する物質は、上述のような用途を有するヒアルロン酸を効率よく製造するために有用であり、またそのようなヒアルロン酸合成を促進する物質を使用したヒアルロン酸合成促進剤を生体内に投与して所望の効果が得られれば、外的にヒアルロン酸の投与を行わなくても、患者の自然治癒力を生かした治療が可能となる。従って、そのような新たなヒアルロン酸合成促進剤が期待されていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するために、鋭意検討を行なった結果、驚くべきことにグリコシダーゼ基質として公知であった「『GlcNAc又はそれを含む糖鎖』と『置換基を有することもあるベンジル基』とがグリコシド結合で結合した、GlcNAc含有糖ベンジルグリコシド誘導体」が、ヒアルロン酸の合成を有意に促進することを見い出し、これをヒアルロン酸合成促進剤の有効成分として応用することにより本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は以下の通りである。
(1) 下記式1で表される化合物を有効成分として含有することを特徴とするヒアルロン酸合成促進剤。
【0008】
【化2】
【0009】
式中Acはアセチル基を示し、R1はH、単糖残基又は糖鎖残基を示し、XはO、S、NH、又はCH2を示し、R2はH、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、硫酸基、アルキル基、又はアシル基を示す。
(2) R1がH又はN−アセチルグルコサミン残基であることを特徴とする(1)記載のヒアルロン酸合成促進剤。
(3) XがOであることを特徴とする(1)又は(2)記載のヒアルロン酸合成促進剤。
(4) R2がHであることを特徴とする(1)乃至(3)何れか記載のヒアルロン酸合成促進剤。
(5) ヒアルロン酸合成酵素の活性を増強することを特徴とする(1)乃至(4)何れか記載のヒアルロン酸合成促進剤。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を発明の実施の形態により詳説する。
本発明促進剤は、下記式1で表されるGlcNAc含有糖ベンジルグリコシド誘導体を有効成分として含有することを特徴とするヒアルロン酸合成促進剤である。
【0011】
【化3】
【0012】
上記式中Acはアセチル基を示し、R1はH、単糖残基又は糖鎖残基を示し、XはO、S、NH、又はCH2を示し、R2はH、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、硫酸基、アルキル基、又はアシル基を示す。
【0013】
本発明促進剤の有効成分である「式1で示されるGlcNAc含有糖ベンジルグリコシド誘導体」を構成する糖残基又は糖鎖残基部分(上記式中「単糖残基又は糖鎖残基部分」と示した部分)は、GlcNAc残基自体又はそれを含む糖鎖残基である。この糖鎖残基はGlcNAc残基が含まれている限りに於いて特に限定はされないが、2糖から6糖の残基であることが好ましく、特に2糖の残基であることが好ましい(すなわちR1が単糖残基であることが好ましい)。そして最も好ましい糖鎖残基はR1がGlcNAcであるキトビオース(以下「(GlcNAc)2」とも記載する)である。式1における「単糖残基又は糖鎖残基部分」がキトビオースであるGlcNAc含有糖ベンジルグリコシド誘導体を使用した場合には、「単糖残基又は糖鎖残基部分」が他の糖鎖である糖ベンジルグリコシド誘導体を使用する場合に比して、より優れたヒアルロン酸合成促進作用を発揮する点で好ましい。
【0014】
さらに、より顕著なヒアルロン酸合成促進効果を発揮させるためには、上記式1中の「単糖残基又は糖鎖残基部分」は糖鎖残基よりも単糖残基の方が好ましい。すなわち、上記式中R1はH(水素原子)であることが最も好ましい。
上記式中R2の例としてはヒドロキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、硫酸基、アルキル基、アシル基、ケトン基、及びH(水素原子)が例示され、その中でも特にH(水素原子)が好ましい。R2がヒドロキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、硫酸基、アルキル基、アシル基、又はケトン基であるN−アセチルグルコサミン含有糖ベンジルグリコシド誘導体は、R2がHであるN−アセチルグルコサミン含有糖ベンジルグリコシド誘導体のベンジル基のHを常法に従ってヒドロキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、硫酸基、アルキル基、アシル基、又はケトン基に置換することで得ることが可能である。
【0015】
上記式1における、「単糖残基又は糖鎖残基部分」と「非置換又は置換ベンジル基部分」との結合は、「単糖残基又は糖鎖残基部分」のGlcNAc残基の1位炭素原子を介したグリコシド結合であり、これはα−グリコシド結合であってもβ−グリコシド結合であっても良く、何れにも限定はされない。また、グリコシド結合には例えば通常のグリコサミノグリカンの基本骨格に存在するO−グリコシド結合の他、O(酸素原子)部分がS(硫黄原子)、NH(イミノ基)、又はCH2(メチレン基)に各々置換したS−グリコシド結合、N−グリコシド結合、及びC−グリコシド結合も存在する。グリコシド結合はこれらの中でも特にO−グリコシド結合であることが好ましい。ヒアルロン酸の基本骨格中でのグリコシド結合はO−グリコシド結合であり、O−グリコシド結合を有するN−アセチルグルコサミン含有糖ベンジルグリコシド誘導体は顕著にヒアルロン酸合成を促進するからである。すなわち、上記式中、XはO、S、NH及びCH2が例示されるが、最も好ましくはOである。
従って、最も好ましい糖ベンジルグリコシド誘導体は、下記式2で示される物質である。
【0016】
【化4】
【0017】
式中、Acはアセチル基を示す。なお、波線部がα−O−グリコシド結合である上記物質を以下「GlcNAc−α−oBn」とも記載し、β−O−グリコシド結合である上記物質を以下「GlcNAc−β−oBn」とも記載する。
【0018】
本発明促進剤のヒアルロン酸合成促進活性は、本発明促進剤非共存下でのヒアルロン酸合成と比して単位時間あたりのヒアルロン酸合成量を増加させるものである限りにおいて特に限定はされないが、その中でも特に本明細書中の実施例1に記載された方法によってそのヒアルロン酸合成促進活性を測定した際に、対照と比して単位時間あたり20%以上のヒアルロン酸の合成量を増加させるものであることが好ましい。
【0019】
本発明促進剤の作用機序は特に限定はされないが、ヒアルロン酸合成酵素の活性を増強することによってヒアルロン酸合成を促進することが好ましい。本発明促進剤が活性を増強する酵素は特にHASであることが好ましく、HAS2であることが最も好ましいがこれに限定はされない。また本発明促進剤が活性を増強するHASの由来は特定されず、例えばヒト、マウス、ラットなどほ乳類由来のHASが好ましい例として挙げられるが、ヒアルロン酸を合成する酵素である限りにおいて原核生物由来のHASであっても良い。
【0020】
自然界では動物及び微生物においてヒアルロン酸の合成はHASが担っており、産業的には動物及び微生物により生産されるヒアルロン酸が利用されている。従ってこの活性を増強することでより効率的にヒアルロン酸を生産させることができ、またヒトを初めとする動物の生体へ投与することでヒアルロン酸の合成促進による各種の有益な効果を得ることができるからである。
【0021】
本発明促進剤がHASの活性を増強していることは、ヒアルロン酸合成をほとんど行わない培養細胞に対してHAS遺伝子を組み込み、その組換体におけるヒアルロン酸合成の変化を、本発明促進剤を添加して観察することで明らかとすることが可能である。そのような方法としては例えば本明細書中における実施例1及び2に記載した方法が挙げられる。
【0022】
in vitroでヒアルロン酸を合成させる場合の本発明促進剤の使用方法は、例えば培養細胞、微生物等の培養の際、その培地に本発明促進剤を添加する方法が挙げられる。このような場合においては、本発明促進剤を例えば100nM乃至1000mM、好ましくは1mM乃至500mM、最も好ましくは10mM乃至100mMで培地に添加する方法が挙げられる。このような濃度の範囲内においては本発明促進剤のヒアルロン酸合成促進効果が極めて顕著だからである。また、本発明促進剤は無細胞系でのヒアルロン酸合成の促進のためにも使用することも可能である。
【0023】
また本発明促進剤には、上述した式1のGlcNAc含有糖ベンジルグリコシド誘導体の他に、緩衝剤、水、薬学的に許容されうる補助剤(担体、賦形剤、希釈剤、pH調節剤、緩衝剤、張度調節剤、湿潤剤、安定化剤、無機塩類、界面活性剤、消泡剤、糖類、糖アルコールなど)、または他の薬効を有する薬剤、成長因子などと混合して複合的な作用を示す医薬組成物として、温血動物(ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、サル、チンパンジー、ウサギ、ラット、ハムスター、マウス等、好ましくはヒト、サル、チンパンジー、最も好ましくはヒト)へ、非経口的又は経口的に投与することが可能である。この場合においては、本発明促進剤を例えば10ng/kg乃至100mg/kg、好ましくは50ng/kg乃至80mg/kg、最も好ましくは100ng/kg乃至50mg/kgで血中に吸収される程度の量を投与することができる。
【0024】
非経口で本発明促進剤を投与する場合には、例えば本発明促進剤の溶液を注射剤として関節へ投与する方法が例示される。すなわち、関節中にはヒアルロン酸を豊富に含んだ関節液が存在するが、関節液中のヒアルロン酸が減少することで関節炎が起こると考えられている(文献:Balazs EA., Disorders of the Knee (Helfet AJ.) pp 61−74 J.B.Lippincott, 1982 ; Nakayama Y., Shirai Y., Yoshihara K., Uesaka S., j Nippon Med Sch., 67(2) pp 92−95, 2000)。そこで、現在は関節内にヒアルロン酸溶液を注射により投与して関節炎の緩和をする治療がなされているが、本発明促進剤を関節中に投与すると、患者自身の自然治癒力を増強して症状の緩和を図ることが可能となると考えられる。このような医薬として使用する場合の剤形としては、上記GlcNAc含有糖ベンジルグリコシド誘導体を医薬品に慣用される水性溶媒(例えば注射用蒸留水、緩衝液、生理食塩水、水性有機溶媒を含む水などが挙げられ、注射用蒸留水又は緩衝液が好ましい)に溶解した注射剤などが挙げられ、また錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、軟膏剤などが挙げられるが、目的の用途で使用可能である限り特に限定はされない。
【0025】
また更に、ヒアルロン酸が分娩時の子宮頚管熟化に関与していることが知られているが(文献:Marady E., Kanayama N., Kobayashi H., Hossain B., KhatunS., Liping S., Kobayashi T., Terao T., Hum Reprod., 1997 May 12(5) pp1080−1088)、例えば座剤として本発明促進剤を子宮頚管に投与することで、ヒアルロン酸合成を促進することができると考えられ、これによって分娩時の妊婦の負担軽減に役立てることも可能だと考えられる。
【0026】
本発明促進剤中のGlcNAc含有糖ベンジルグリコシド誘導体の配合量及び投与量は、その製剤の投与方法、剤形、患者の具体的症状、及び患者の体重に応じて適宜個別的に決定されるべき事項であり、特に限定はされない。なお、上記製剤の投与回数は1日1回程度でも可能であり、1日2〜4回、又はそれ以上の回数に分けて投与することも可能である。
【0027】
【実施例】
以下実施例により、本発明をより具体的に説明する。
調製例
HASのcDNA(J. Biol. Chem., 271(1996), 38, 22945−22948記載の方法で調製した)を組み込んだ組換体はJ. Biol. Chem., 274(1999), 25085−25092に記載された方法に従って、ラット由来の線維芽細胞株3Y1に導入して調製した。組換体におけるHASとFLAGとの融合タンパク質の発現は、抗FLAGペプチド抗体(M5:イーストマンコダック社製)を用いて常法により確認した。
【0028】
上記組換体の培養にはダルベッコの調整イーグル培地(以下「DMEM」)(10%牛胎児血清、0.5mg/mL G−418二流酸塩)を用い、5%CO2/空気、37℃条件下でコンフルエントになるまで培養して実験に使用した。
実施例1
ラット由来線維芽細胞株3Y1をダルベッコの調整イーグル培地(以下「DMEM」)(10%牛胎児血清)を用い、5%CO2/空気、37℃条件下でコンフルエントになるまで培養し、培地を、0.1mM〜10mMのGlcNAc−α−oBn(トロント・リサ−チ・ケミカルズ 社)、GlcNAc−β−oBn(シグマ社)、又は(GlcNAc)2−α−oBn((GlcNAc)2(キトビオース)にベンジルアルコールがα−o−グリコシド結合したキトビオース含有糖ベンジルグリコシド誘導体)(ともにトロント・リサ−チ・ケミカルズ 社)を含むDMEM(10%牛胎児血清)に交換して5% CO2/空気、37℃条件下で3日間培養した。その後、培地中のヒアルロン酸量をビオチン結合ヒアルロン酸結合タンパク質とストレプトアビジン結合西洋ワサビペルオキシダーゼを用いた固層染色法によって測定した。細胞数はMTT法に基づく市販キット試薬(例えばプロメガ社 Cell TiterTM 96 AQueous)によって測定した。細胞数と培地中のヒアルロン酸量とを各々比較した(図1)。
【0029】
その結果、GlcNAc−α−oBn、GlcNAc−β−oBn、及び10mMで(GlcNAc)2−α−oBnの試料において、培地中のヒアルロン酸量の顕著な増加が観察された。一方、MTT法で測定した細胞数には大きな変化は見られず各々の物質については10mM濃度までの細胞毒性は見られなかった。
【0030】
実施例2
調製例によって調製した組換体を直径15cmの培養皿4枚でコンフルエントになるまで培養した。培地を除去し、5mLのリン酸緩衝生理的食塩水(以下「PBS」と記載する)で細胞を2回洗浄し、その後HEPES緩衝液(0.25Mショ糖、0.5mMジチオスレイトール(以下「DTT」と記載する)を含む)1mLを加え、氷上でセルスクレーパーで細胞を掻き取った。掻き取った細胞をあわせ、氷冷しながら超音波で破砕した。破砕した細胞を4℃で105,000×gの超遠心分離を1時間行なった。超遠心分離をした後、上清を除去した。
【0031】
得られた沈殿に25mM HEPES緩衝液(5mM DTT、15mM MgCl2を含む)を550μL添加し、ピペットを使用して懸濁した。懸濁液をバイアルに45μLずつ分注し、そこに5mLの10倍濃度の被検物質の水溶液又は陰性対照の溶媒を添加した。
さらに2.5μCiのUDP(ウリジン二リン酸)−[14C]GlcUA、2mMのUDP−GlcNAc、及び0.1mMのUDP−GlcUA(何れもAmersham LIFE SCIENCE社製)を含む基質水溶液310μLを25μLずつ各バイアルに分注した。このバイアルを37℃で2時間インキュベートした。
反応後、展開液として65%エタノール/35%1M酢酸アンモニウム(pH5.5)を用いたペーパークロマトグラフィーを常法に従って行ない、試料をスポットした部分を切り出し、液体シンチレーターで14Cの放射能を測定した。
【0032】
その結果、被検物質として5mMのGlcNAc−α−oBnを添加した実験群及び5mM及び1mMのGlcNAc−β−oBnを添加した実験群において顕著にヒアルロン酸合成を促進する活性が観察された(図2)。それに対し、0.5mMで4メチルウンベリフェロン(4MU)を添加した陰性対照群ではヒアルロン酸合成が強く阻害された。
この結果から、GlcNAc−α−oBn及びGlcNAc−β−oBnはヒアルロン酸合成酵素の活性を促進していることが示唆された。
【0033】
また、GlcNAc−β−oBnの構成成分であるGlcNAc及びベンジルアルコールの各々のヒアルロン酸合成活性を、各々の物質が5mMとなる条件下で同様に測定した(図3)。その結果、GlcNAc及びベンジルアルコールにはヒアルロン酸合成促進活性が観察されず、GlcNAc−β−oBnにのみヒアルロン酸合成促進活性が観察された。
【0034】
また更に、GlcNAc−α−oBn、GlcNAc−β−oBnの代わりに、キトビオースの還元末端のGlcNAcにベンジルアルコールがグリコシド結合で結合したキトビオースベンジルグリコシド誘導体、N−アセチルガラクトサミンにベンジルアルコールがグリコシド結合で結合したN−アセチルガラクトサミンベンジルグリコシド誘導体、GlcNAc又はGlcUAに4MUがグリコシド結合した4MU−GlcNAc誘導体及び4MU−GlcUA誘導体(本発明促進剤の有効成分であるGlcNAcベンジルグリコシド誘導体と同様にグリコシダーゼの基質となる)を使用して同様の実験を行ったところ、ヒアルロン酸合成促進活性は観察されなかった。
【0035】
【発明の効果】
本発明により、新規なヒアルロン酸合成促進剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明促進剤が培養細胞のヒアルロン酸合成量に与える影響を観察した結果を示す図である。
【図2】本発明促進剤が細胞膜画分のヒアルロン酸合成量に与える影響を、放射性同位体取り込み量で測定した結果を示す図である。タンパク質量で補正した結果である。
【図3】本発明促進剤、GlcNAc、及びベンジルアルコールがヒアルロン酸合成量に与える影響を、細胞膜画分の放射性同位体取り込み量を測定した結果を示す図である。タンパク質量で補正した結果である。
Claims (5)
- R1がH又はN−アセチル−D−グルコサミン残基であることを特徴とする請求項1記載のヒアルロン酸合成促進剤。
- XがOであることを特徴とする請求項1又は2記載のヒアルロン酸合成促進剤。
- R2がHであることを特徴とする請求項1乃至3何れか一項記載のヒアルロン酸合成促進剤。
- ヒアルロン酸合成酵素の活性を増強することを特徴とする請求項1乃至4何れか一項記載のヒアルロン酸合成促進剤。
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