JP2004035378A - 熱発泡性耐火材組成物 - Google Patents

熱発泡性耐火材組成物 Download PDF

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Fujio Kondo
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OSAKA YUSHI KOGYO KK
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KAWAGUCHI MAKKU KOGYO KK
OSAKA YUSHI KOGYO KK
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Abstract

【課題】火災時の受熱によって火災時の受熱によって発泡して遮炎断熱機能を発揮する熱発泡性耐火材組成物として、基材への塗工時に垂れ落ちを生じず、形成した耐火層の亀裂発生を防止でき、熱発泡性耐火材としての高い信頼性を備えるものを提供する。
【解決手段】水溶性アルカリ珪酸塩と無機質粉末とを主成分とし、平均繊維長0.5〜10mmの短繊維物質を含有する。
【選択図】        なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビル構築用の鉄骨を始めとする各種構造材、建物の内外壁や天井部、間仕切り、屋外通路壁、トンネル内壁、建具、器壁等の耐火被覆層ならびに耐火充填層形成に用いる熱発泡性耐火材組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市におけるビルの高層化や地下街の大規模化が進み、これに伴って防災対策の必要性が高まっており、特に火災への備えが重要になっている。しかるに、各種構造材に対する耐火被覆として旧来汎用されていたアスベストは粉塵吸入による発癌性の問題で使用できなくなっており、またロックウールについても同様の健康被害の懸念があって嫌忌すべきものになっている上、これらは耐火性能面でも充分ではなかった。
【0003】
そこで、前記のアスベストやロックウールに代わる耐火被覆材料として、火災時の受熱で発泡して断熱発泡層を形成し、遮炎・遮熱作用を発揮する熱発泡性耐火塗料が種々提案されている。このような熱発泡性耐火塗料には、水溶性アルカリ珪酸塩を主成分として硬化剤や骨材成分が配合され、含有水分の気化によって発泡を生じる無機系のもの、結合剤樹脂に炭化剤とポリリン酸アンモニウムの如き発泡剤が配合され、発泡と共に炭化層を形成する有機系のもの、水溶性シリケートとアルコキシシラン誘導体やオルガノシリカゾルとの反応物を主体としたもの、水溶性アルカリ珪酸塩と紫外線硬化型樹脂成分を混合したもの等があるが、これらの殆どは実用化しておらず、実際の使用例は有機系のものだけである。
【0004】
しかるに、上記使用実績のある有機系のものは、火災時に結合剤樹脂の溶融と共に発泡剤の分解によるガスが発生することにより、フォーム状に膨張した炭化層を生成するが、そのガス成分に有毒なアンモニアガスが高率で含まれるため、被災環境を却って害する懸念がある上、肝心な耐火性能も充分とは言えない。因みに、普通鋼の耐熱温度は350℃、耐火鋼でも600℃に過ぎず、それ以上の高温では軟化してしまうため、鉄骨構造として火災温度1000℃に耐えるためには極めて強力な熱遮断性を発揮する耐火被覆が必要である。
【0005】
上述の情況に照らし、本発明者は先に、長期にわたる綿密な実験研究のもとに、鉄骨構造用の耐火被覆として充分な熱遮断性を発揮し得る画期的な無機系の耐火性コーティング剤を究明し、これを特願2001−354858号として出願中である。この耐火性コーティング剤は、水溶性アルカリ珪酸塩及びホルマイト系鉱物粉末と、これら以外のSiO2 付与成分とを必須成分として含有する水性ペーストからなり、その塗膜が火災時の受熱によって発泡して断熱発泡層を生成するが、発泡のタイミングとスピードの絶妙なバランスにより、塗膜全体に偏りなく生じた細かい気泡の安定した成長に伴って塗膜全体が均一に膨張し、均一で厚い発泡断熱層を生成する上、発泡後の流動点が高いために垂れ落ちを生じにくく、優れた熱遮断性を長く持続できるという特徴を備えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、前記耐火性コーティング剤においても、当然のことながら様々な面で改良の余地を残している。特に、このような耐火性コーティング剤による耐火被覆層は一般的に層厚5mm以上といった厚いものになるため、塗工時の垂れ落ちや塗工後の重力による変形を生じたり、塗膜自体の硬化収縮に伴う亀裂、硬化後の基材側の温度変化に伴う伸縮による亀裂、火災時の受熱に伴う割れ等を発生する場合がある。そして、上記の垂れ落ちや変形があると、耐火被覆層の厚みが不均一になって耐火断熱性能の低下を招いたり、外観が悪化することになり、また耐火被覆層に亀裂が存在すると、火炎時に亀裂を通して下地の基材に直接に高熱が及ぶことになるため、耐火被覆としての信頼性が得られず、また火災時の受熱に伴う割れが発生すると、やはり下地の基材に高熱が及んで耐火性の低下を招くことになる。
【0007】
本発明者は、上記の耐火性コーティング剤に係る技術を基本にして、更に性能や施工性を高めるべく鋭意検討を重ねた結果、水溶性アルカリ珪酸塩と無機質粉末とを主成分とする熱発泡性材料に短繊維物質を含有させた場合に、上記の垂れ落ちや変形、亀裂を防止でき、しかも火災時の割れも生じにくく熱発泡の均一性が向上することを見出し、本発明を達成したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1の発明は、水溶性アルカリ珪酸塩と無機質粉末とを主成分とし、平均繊維長0.5〜15mmの短繊維物質を含有してなる熱発泡性耐火材組成物に係る。しかして、このような熱発泡性耐火材組成物では、短繊維物質の存在により、基材に塗工した際に垂れ落ちや重力による変形を生じず、形成した耐火層の寸法安定性及び保形性がよく、施工性も向上すると共に、耐火層の硬化収縮に伴う亀裂や基材の温度変化に伴う伸縮による亀裂が防止される。しかも、火災時に耐火層が溶融発泡する際、気泡同士の合体が抑制され、この合体による空洞部の形成や合体した気泡の破裂が防止され、また受熱による割れも防止される。また、短繊維物質が適度な繊維長であることから、熱発泡性材料の各成分を混合する際、繊維同士の絡まり合いが抑制され、もって耐火層全体に短繊維物質を均一に含有させることができる。
【0009】
請求項2の発明は、上記請求項1の熱発泡性耐火材組成物において、前記短繊維物質が合成樹脂繊維からなる構成としている。この場合、火災時に耐火層中の合成樹脂繊維は高熱で炭化するが、この炭化物によって耐火層の断熱性がより向上することになる。
【0010】
請求項3の発明は、上記請求項2の熱発泡性耐火材組成物において、前記合成樹脂繊維がビニロン繊維であるものとしている。この場合、火災時に耐火層中のビニロン繊維は溶融して直ちに炭化するため、燃焼ガスを殆ど発生しない。
【0011】
請求項4の発明は、上記請求項1の熱発泡性耐火材組成物において、前記短繊維物質が非有機質繊維であるものとしている。この場合、火災時に耐火層が溶融発泡する際、原形を保った非有機質繊維によって溶融発泡層の垂れ落ちが防止されると共に、空洞の発生や加熱割れも確実に防止できる。
【0012】
請求項5の発明は、上記請求項1又は2の熱発泡性耐火材組成物において、前記短繊維物質が固化状態の耐火材組成物全量中の0.01〜2.0重量%を占める割合で含有されてなるものとしている。この場合、耐火層の火災時の溶融発泡性を阻害しない範囲で、短繊維物質の既述作用が充分に発現することになる。
【0013】
請求項6の発明は、上記請求項1〜5のいずれかの熱発泡性耐火材組成物において、前記水溶性アルカリ珪酸塩が固化状態の耐火材組成物全量中の30〜80重量%を占める割合で含有されてなる構成としている。この場合、耐火層の火災時の溶融発泡性とそれによる耐火断熱性能を良好に確保できる。
【0014】
請求項7の発明は、上記請求項1〜6のいずれかの熱発泡性耐火材組成物において、前記無機質粉末として微粒子状シリカを含む構成としている。この場合、耐火層の火災時の溶融発泡性とそれによる耐火断熱性能がより向上すると共に、耐火層の形成時の硬化が速くなる。
【0015】
請求項8の発明は、上記請求項7の熱発泡性耐火材組成物において、前記無機質粉末として、微粒子状シリカと共に、炭酸カルシウム粉末、水酸化アルミニウム粉末、焼成クレー、メタカオリン粉末より選ばれる少なくとも一種を含む構成としている。すなわち、炭酸カルシウムは熱分解によって炭酸ガスを放出し、水酸化アルミニウムは加熱の初期段階で水を発生し、共に耐火層3の熱発泡を補助する作用があり、また焼成クレーは熱伝導率が低いために耐火層3の断熱性を高める作用があり、更にメタカオリン粉末はSiO2 付与成分として効果的に機能し、これらの使用によって耐火層の耐火断熱性能が向上することになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る熱発泡性耐火材組成物は、既述のように水溶性アルカリ珪酸塩と無機質粉末とを主成分として短繊維物質を含有するものであり、硬化前の原料組成物では一般的にクリーム状ないしパテ状の水性ペースト形態であり、各種基材の表面に塗工して厚い耐火被覆層を形成したり、各種基材の中空部に注入して耐火充填層を形成できるが、その硬化時に亀裂を生じず、また硬化後に温度変化によって基材が伸縮しても亀裂を生じにくいため、耐火層としての高い信頼性が得られる。しかも、この熱発泡性耐火材組成物は、基材に塗工した際に垂れ落ちや重力による変形を生じにくく、形成層の寸法安定性及び保形性が良好であるから、均一な厚みで外観に優れ、且つ耐火断熱性能の局所的な偏りがない耐火被覆層を形成できると共に、その施工性も良好である。
【0017】
しかして、本発明の熱発泡性耐火材組成物よりなる耐火層は、火災時の受熱によって発泡して厚い断熱発泡層を生成するが、この発泡過程での気泡同士の合体を生じにくく、溶融物全体に生じた細かい気泡群が独立気泡のまま膨張してゆくため、断熱発泡層中に気泡の合体による大きな空洞部を生じたり、合体した気泡が破裂したり、加熱割れを生じることがなく、もって該断熱発泡層は全体的に均一な発泡状態となって極めて卓越した熱遮断性を発揮する。
【0018】
このような熱発泡性耐火材組成物の優れた特徴は専ら含有する短繊維物質に依拠しているが、該短繊維物質には平均繊維長が0.5〜15mmの範囲にあるものを用いる必要がある。すなわち、この平均繊維長が0.5mm未満のものでは、前記の亀裂防止、寸法安定性、垂れ止め、保形性等の作用が充分に発現しない。一方、該平均繊維長が15mmを越えるものでは、各成分を混合して原料組成物を調製する際に、繊維同士が絡み合って塊になり易く、短繊維物質が耐火層全体に均一に分散含有されないため、やはり前記作用が充分に発現しない。また、該短繊維物質の太さについては、特に制約はないが、繊維径(フィラメント径)で5〜100μmの範囲が好適であり、細過ぎては強度に乏しいために充分な配合効果が得られず、逆に太過ぎては硬く曲がりにくいために組成物素地に対する結着性が弱くなって前記作用を充分に発揮できない。
【0019】
上記の短繊維物質としては、特に制約はなく、合成樹脂繊維、非有機質繊維、動物性繊維、植物性繊維等の種々のものを使用可能であるが、特に合成樹脂繊維及び非有機質繊維が好適である。すなわち、合成樹脂繊維を含む耐火層では、火災時に合成樹脂繊維が高熱で炭化するが、この炭化物の高い断熱性によって耐火層自体の耐火断熱性能が向上する。また、非有機質繊維を含む耐火層では、高熱下でも非有機質繊維が原形を保つため、火災時の受熱で溶融発泡する際に溶融発泡層の垂れ落ちや気泡の合体による空洞部の発生が確実に防止されると共に、形成された断熱発泡層の加熱割れが防止され、もって耐火断熱性能がより向上することになる。
【0020】
上記の合成樹脂繊維としては、種々の材質のものを使用できるが、特にビニロン繊維(ポリビニルアルコール繊維)は火災時に溶融して直ちに炭化し、燃焼ガスを殆ど発生しないという利点がある。一方、非有機質繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、人工セラミック繊維等を好適に使用できる。
【0021】
短繊維物質の含有量は、固化状態の耐火材組成物全量中の0.01〜2.0重量%を占める割合がよく、少な過ぎては使用効果が充分に発現せず、逆に多過ぎては耐火層の火災時の溶融発泡性が阻害される懸念がある。しかして、材質が合成樹脂繊維である場合は、その比重が小さいために少ない重量でも量的には多くなるから、特に前記含有量を0.01〜0.2重量%の範囲にすることが推奨される。
【0022】
本発明の熱発泡性耐火材組成物における主成分の一つである水溶性アルカリ珪酸塩は、塗膜に熱発泡性をもたらすための基本成分であり、火災時の受熱によって溶融状態となって気化した含有水分を気泡化させて層内に留まらせ、もって耐火層の発泡層への転化を可能にするものである。また、原料組成物においても、その水溶液がベースとして他の配合成分を分散ないし溶存させる液媒体となる。従って、この水溶性アルカリ珪酸塩は、耐火材組成物の水を除く成分中の30〜80重量%を占める割合で用いることが好ましく、この割合が少な過ぎては充分な熱発泡性が得られず、逆に多過ぎても熱発泡が不均一になって生成する発泡層の断熱性能が低下する。
【0023】
このような水溶性アルカリ珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム等が挙げられるが、水ガラスとしての水溶液形態の市販品を好適に使用できる。しかして、この水溶性アルカリ珪酸塩は、M2 O・nSiO2 (Mはアルカリ金属)の構造式で表され、化合物の種類や水ガラスでのグレードによってM2 OとSiO2 のモル比に幅がある。
【0024】
上記の水溶性アルカリ珪酸塩と共に主成分として併用する無機質粉末としては、従来より無機及び有機コーティング剤の骨材や充填剤に使用されている種々の無機化合物及び天然鉱物の粉末を使用でき、例えば、ホワイトカーボンやコロイダルシリカの如き微粒子状シリカ、炭酸カルシウム粉末、水酸化アルミニウム粉末、酸化チタン粉末、セピオライトの如きホルマイト系鉱物粉末、バーミュキュライトの如き加水雲母類粉末、珪酸カルシウム粉末、天然ガラス粉末、パーライトの如き真珠岩類の粉末、カオリン類やシリマナイトの如きクレー及びこれらの焼成クレー、亜硫酸カルシウム粉末、中空状アルミノシリケート粒子等が挙げられ、これらは2種以上を併用可能である。
【0025】
上記の無機質粉末の中でも、微粒子状シリカは、耐火層の溶融発泡時の垂れ防止と、該耐火層形成時の硬化促進に寄与することから、特に好適なものとして推奨される。すなわち、水溶性アルカリ珪酸塩を含む無機質の熱発泡性材料では、水溶性アルカリ珪酸塩のSiO2 /M2 O(Mはアルカリ金属)のモル比でSiO2 の比率が高いほど発泡後の流動点(流動温度)は高くなる傾向があり、それだけ火災時の受熱から垂れ落ちを生じるまでに時間を要し、もって発泡層による優れた熱遮断効果が長く持続することが判明している。しかるに、例えばJIS−3号水ガラスの同モル比が3.2程度であるように、水溶性アルカリ珪酸塩単独ではSiO2 の比率を高くできないが、微粒子状シリカの使用によって該比率を高く設定することが可能となる。また、本発明の熱発泡性耐火材組成物は硬化前には一般的にクリーム状ないしパテ状の水性ペーストをなすが、その硬化は微粒子状シリカの存在によって速まることが認められており、それだけ耐火層形成の作業能率が向上することになる。
【0026】
しかして、微粒子状シリカの配合量は、水溶性アルカリ珪酸塩との合量におけるSiO2 /M2 O(Mはアルカリ金属)のモル比を3.7〜8とする割合に設定するのがよく、少な過ぎては使用効果が充分に発現せず、逆に多過ぎては原料組成物の硬化が速過ぎて使用困難になる。なお、他のSiO2 成分を含む化合物や鉱物では、後述するメタカオリン粉末を除いて、前記溶融発泡後の垂れ防止に寄与するSiO2 付与成分として作用しにくいことが判明している。
【0027】
また、他の好適な無機質粉末として、炭酸カルシウム粉末、水酸化アルミニウム粉末、焼成クレー、メタカオリン粉末が挙げられる。これらの内、炭酸カルシウム粉末は、900℃程度で熱分解して炭酸ガスを発生し、これが耐火層の受熱による発泡時に気泡となるため、発泡助剤として機能する。水酸化アルミニウム粉末は、200〜300℃程度で水を発生し、これに伴って気化熱を奪って冷却効果をもたらすため、初期段階での耐火層の昇温抑制に寄与する。また、焼成クレーは、熱伝導率が低いため、耐火層の断熱作用を高める作用がある。更に、メタカオリン粉末は、カオリンを900℃程度で焼成したものであるが、前記の微粒子状シリカ以上にSiO2 付与成分として機能する。しかして、これらの好適な無機質粉末は、その1種又は2種以上を前記微粒子状シリカと併用することが特に推奨される。
【0028】
他の無機質粉末として、酸化チタン粉末は、一般的に白色顔料として知られるが、本発明の熱発泡性耐火材組成物においてはその充填性を高めると共に防黴作用があるため、好適なものである。その他、セピオライトの如きホルマイト系鉱物の粉末は、繊維状組織を有するため、耐火層の保湿と熱発泡前及び熱発泡後の亀裂防止に効果がある。バーミュキュライトの如き加水雲母類粉末は、層状粒子からなるために保湿機能に優れる。亜硫酸カルシウム粉末は、硬化促進剤として、耐火層の形成において水溶性アルカリ珪酸塩と反応して硬化を速める機能がある。更に、これら以外の無機質粉末として、珪酸カルシウム粉末、天然ガラス粉末、パーライトの如き真珠岩類の粉末、中空状アルミノシリケート粒子、シリマナイト粉末等が挙げられる。
【0029】
なお、本発明の先行技術である前記耐火性コーティング剤ではホルマイト系鉱物粉末と他のSiO2 付与成分という組み合わせを必須としているが、本発明組成物では該組み合わせは必須ではない。これは、本発明組成物にあっては短繊維物質が火災時の耐火層の均一な溶融発泡を促進するため、それだけ熱発泡条件が緩和されて使用する無機質粉末の選択肢が拡がることを意味する。
【0030】
本発明に係る熱発泡性耐火材組成物は、既述のように水溶性アルカリ珪酸塩と無機質粉末とを主成分として短繊維物質を含有するものであるが、必要に応じて他の各種添加剤を耐火層本来の特性を阻害しない少量範囲で使用することができる。このような添加剤としては、過度な乾燥による耐火層内の水分喪失を防ぐ保湿剤、水濡れの可能性がある部位に使用する場合の溶出を防止する撥水剤、基材表面に対する常温下もしくは高温下の接着性を高める接着性付与剤、着色剤、粘度調整剤等が挙げられる。
【0031】
本発明の熱発泡性耐火材組成物を調製するには、水溶性アルカリ珪酸塩の水溶液に上述した他の配合成分を添加混合すればよい。しかして、この混合にて調製される原料組成物は水性ペーストであるが、概してクリーム状ないしパテ状をなし、そのままでもスプレーガンによる吹き付け塗装、刷毛塗り塗装、スリットからの流延塗装等で基材表面に塗工したり、注入具を用いて基材の中空部に注入充填することが可能であるが、これら塗工や注入を容易にするために必要とあらば、適当な粘度になるように水を加えて希釈してもよい。また、塗工では所要の厚みに設定する上で重ね塗りを行うことも可能である。
【0032】
かくして基材の表面に塗工したり中空部に充填した熱発泡性耐火材組成物は、一定時間(通常48時間程度)放置することによって表面的に硬化し、更に日数を経て完全硬化して非常に強靱で硬い耐火層となる。この硬化は、余剰水分の蒸発と共に、水溶性アルカリ珪酸塩がバインダーとして働いて無機質粉末粒子をアルカリの作用で結着することによってなされる。
【0033】
本発明の熱発泡性耐火材組成物は、鉄骨の如き鋼材を始めとする各種構造材、建物の内外壁や天井部、間仕切り、屋外通路壁、トンネル内壁、建具、器壁等の耐火被覆層の形成、ならびに多重管の内外筒間や中空パネル等の中空部に充填する耐火充填層の形成に好適に使用できるが、その用途的及び形態的な制約はない。また、これら耐火被覆層や耐火充填層を形成する基材の材質についても特に制約はなく、不燃物及び可燃物のいずれでもよく、例えば、鉄を始めとする各種金属、スレート、コンクリート、木材、合板、紙管、ダンボール、圧縮板紙、合成樹脂、FRP等の広範な材質が対象となる。
【0034】
【実施例】
Figure 2004035378
上記成分を混合してクリーム状の水性ペーストを調製し、これを10cm角のH形鋼の全表面に、吹き付け塗装−放置乾燥を3回繰り返して厚さ約6mmの塗膜を形成し、室温下で10日間放置して完全硬化させることにより、耐火被覆層を形成した。
【0035】
実施例2
実施例1の配合組成におけるビニロン短繊維の配合量を0.02部に変更した以外は、実施例1と同様にして耐火被覆層を形成した。
【0036】
Figure 2004035378
上記成分を混合してクリーム状の水性ペーストを調製し、これを用いて実施例1と同様にして耐火被覆層を形成した。
【0037】
Figure 2004035378
上記成分を混合してクリーム状の水性ペーストを調製し、これを用いて実施例1と同様にして耐火被覆層を形成した。
【0038】
実施例5
JIS−3号水ガラス(実施例1と同)        ・・・74.0部
ホワイトカーボン(実施例4と同)           ・・・6.0部
セピオライト粉末(実施例4と同)           ・・・5.0部
メタカオリン粉末(実施例4と同)           ・・・5.0部
パーライト粉末(実施例4と同)            ・・・5.0部
酸化チタン粉末(実施例1と同)            ・・・5.0部
カーボン短繊維(実施例4と同)            ・・・0.1部
上記成分を混合してクリーム状の水性ペーストを調製し、これを用いて実施例1と同様にして耐火被覆層を形成した。
【0039】
比較例1
実施例1の配合組成におけるビニロン短繊維を配合しなかった以外は、実施例
と同様にして耐火被覆層を形成した。
【0040】
比較例2
実施例3の配合組成におけるガラス短繊維を配合しなかった以外は、実施例3と同様にして耐火被覆層を形成した。
【0041】
比較例3
実施例5の配合組成におけるカーボン短繊維を配合しなかった以外は、実施例5と同様にして耐火被覆層を形成した。
【0042】
以上の実施例及び比較例にて耐火被覆層を形成したH形鋼の各10点について、塗工10日後の耐火被覆層の状態を観察した。その結果、実施例1〜5のH形鋼では、各10点の全てで耐火被覆層の変形や亀裂が認められなかった。しかるに、比較例1のH形鋼の3点、比較例2のH形鋼の5点、比較例3のH形鋼の2点には、耐火被覆層にコーナー部に沿う亀裂が認められた。
【0043】
〔耐火性試験〕
実施例1,3,5で耐火被覆層を形成したH形鋼の各1点と、比較例1〜3で耐火被覆層を形成したH形鋼中の前記亀裂を生じなかったもの各1点を試験用サンプルとし、ISO−834に基づく耐火性能評価試験方法に準じ、当該試験用サンプルを試験炉内に塗膜形成面が垂直になるように配置し、この試験炉内をガスバーナーにて直火で加熱すると共に、熱電対を介してH形鋼の温度と炉内の温度を加熱開始から60分まで測定すると共に、測定後に試験炉から取り出したサンプルの表面状態を観察したところ、次の表1に示す結果が得られた。なお、表中の『実』は実施例、『比』は比較例を意味する。
【0044】
【表1】
Figure 2004035378
【0045】
表1の結果から、耐火被覆層に短繊維物質を含有する実施例1,3,5のH形鋼は、炉内温度が900℃に至っても100℃前後の低温を保っており、優れた断熱作用を示すことが明らかである。これに対し、耐火被覆層に短繊維物質を含有しない比較例1〜3のH形鋼は、いずれも硬化段階での亀裂がないにもかかわらず急激な温度上昇を生じており、試験後の平面部に割れが認められることから、加熱途上で生じた割れを通してH形鋼自体に高熱が及んでいるものと推測される。なお、この耐火性試験において、いずれの耐火被覆層も加熱開始から約10分後に発泡による膨張が始まり、15分後には膨張によって熱電対が埋まり、試験後の接炎位置の層厚は元の層厚の3倍弱に達していた。
【0046】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、火災時の受熱によって発泡して遮炎断熱機能を発揮する熱発泡性耐火材組成物として、主成分の水溶性アルカリ珪酸塩と無機質粉末と共に特定繊維長の短繊維物質を含有することから、基材に塗工した際に垂れ落ちや重力による変形を生じにくく、形成した耐火層の寸法安定性及び保形性がよく、施工性も良好であると共に、該耐火層の硬化収縮に伴う亀裂や基材の温度変化に伴う伸縮による亀裂発生が防止され、しかも火災時に熱遮断性に優れた発泡層を形成でき、熱発泡性耐火材として高い信頼性を備えたものが提供される。
【0047】
請求項2の発明によれば、上記の熱発泡性耐火材組成物において、合成樹脂繊維からなる短繊維物質を含むことから、火災時の耐火層の断熱性がより向上するという利点がある。
【0048】
請求項3の発明によれば、上記の熱発泡性耐火材組成物において、短繊維物質としてビニロン繊維を含むことから、火災時に短繊維物質の燃焼ガスが殆ど発生しないという利点がある。
【0049】
請求項4の発明によれば、上記の熱発泡性耐火材組成物において、短繊維物質として非有機質繊維を含むとから、耐火層が溶融発泡する際に垂れ落ちを生じず、且つ形成される断熱発泡層の亀裂を防止でき、もって火災時の遮炎断熱性がより向上するという利点がある。
【0050】
請求項5の発明によれば、上記の熱発泡性耐火材組成物において、短繊維物質が特定の割合で含有されていることから、耐火層の火災時の溶融発泡性と短繊維物質による垂れ防止及び亀裂防止作用とが共に良好になるという利点がある。
【0051】
請求項6の発明によれば、上記の熱発泡性耐火材組成物において、アルカリ珪酸塩を特定割合で含むことから、耐火層の火災時の溶融発泡性とそれによる耐火断熱性能を良好に確保できるという利点がある。
【0052】
請求項7の発明によれば、上記の熱発泡性耐火材組成物において、無機質粉末として微粒子状シリカを含むことから、耐火層の火災時の溶融発泡性とそれによる耐火断熱性能がより向上すると共に、耐火層の形成時の硬化が速くなるという利点がある。
【0053】
請求項8の発明によれば、上記の熱発泡性耐火材組成物において、無機質粉末として微粒子状シリカと共に特定種のものを含むことから、耐火層の耐火断熱性能がより向上するという利点がある。

Claims (8)

  1. 水溶性アルカリ珪酸塩と無機質粉末とを主成分とし、平均繊維長0.5〜15mmの短繊維物質を含有してなる熱発泡性耐火材組成物。
  2. 前記短繊維物質が合成樹脂繊維からなる請求項1記載の熱発泡性耐火材組成物。
  3. 前記合成樹脂繊維がビニロン繊維である請求項2記載の熱発泡性耐火材組成物。
  4. 前記短繊維物質が非有機質繊維である請求項1記載の熱発泡性耐火材組成物。
  5. 前記短繊維物質が固化状態の耐火材組成物全量中の0.01〜2.0重量%を占める割合で含有されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の熱発泡性耐火材組成物。
  6. 前記水溶性アルカリ珪酸塩が固化状態の耐火材組成物全量中の30〜80重量%を占める割合で含有されてなる請求項1〜5のいずれかに記載の熱発泡性耐火材組成物。
  7. 前記無機質粉末として微粒子状シリカを含む請求項1〜6のいずれかに記載の熱発泡性耐火材組成物。
  8. 前記無機質粉末として、微粒子状シリカと共に、炭酸カルシウム粉末、水酸化アルミニウム粉末、焼成クレー、メタカオリン粉末より選ばれる少なくとも一種を含む請求項7記載の熱発泡性耐火材組成物。
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