JP2004032329A - Msk復調回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】送信データの周波数が変化するようなMSK信号に対しても、正しく復調することが可能なMSK復調回路を提供する。
【解決手段】入力されたMSK信号に対し、PLL手段1によって送信データに同期するクロックを発振し、発振されたクロックに対して間隔計測手段2によって送信データの1ビット期間を計測する。間隔計測手段2の計測結果に基づいて、遅延手段3によってMSK信号を送信データの1ビット期間遅延させる。入力されたMSK信号と遅延手段3によって遅延させたMSK信号とを用いて、ゲート手段4、シフトレジスタ5、および判定手段6により該MSK信号の復調を行う
【選択図】 図1
【解決手段】入力されたMSK信号に対し、PLL手段1によって送信データに同期するクロックを発振し、発振されたクロックに対して間隔計測手段2によって送信データの1ビット期間を計測する。間隔計測手段2の計測結果に基づいて、遅延手段3によってMSK信号を送信データの1ビット期間遅延させる。入力されたMSK信号と遅延手段3によって遅延させたMSK信号とを用いて、ゲート手段4、シフトレジスタ5、および判定手段6により該MSK信号の復調を行う
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、MSK(Minimum Shift Keying)信号を復調するMSK復調回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
データの伝送などで使用する変調方式であるFSK(Frequency Shift Keying)の1種にMSKがある。このMSKは、変調される周波数のシフト幅が狭いために伝送帯域が狭くて済み、また受信側のフィルタも狭帯域で良いことから雑音を受けにくい等の利点がある。このMSKの復調方法としては、例えば特公平2−41938号公報において、入力であるMSK信号を送信データの1ビットに相当する時間だけ遅延させて検波する遅延検波方式が提案されている。
【0003】
図9は、特公平2−41938号公報に記載の遅延検波方式を用いた、従来のMSK復調回路の構成を示している。上記MSK復調回路は、図9に示すように、遅延手段100、ゲート手段110、および判定手段120によって構成されている。
【0004】
遅延手段100は、多段のシフトレジスタにより構成されており、各段のシフトレジスタには固定のクロックCKが供給されている。遅延手段100は、MSKによって変調される前の送信データの1ビットに相当する時間だけ入力信号を遅延して出力する。遅延手段100におけるシフトレジスタの段数、およびシフトレジスタに供給されるクロックCKは以下のようにして決定される。仮に、送信データの伝送速度を1200ボー(baud)とし、遅延手段100のシフトレジスタの段数を30段とする(この場合、送信データの1ビットがクロックCKの30ビットに相当する)と、1200×30の計算より、クロックCKは36KHzと設定される。これにより、遅延手段100を構成するシフトレジスタの出力段では、入力信号が送信データの1ビット分遅延されて出力される。
【0005】
ゲート手段110には、入力であるMSK信号と、該MSK信号を遅延手段100によって遅延させた信号とが入力される。ゲート手段110では、この両入力の排他的論理和をとり、その排他的論理和の出力を反転して後段の判定手段120に出力する。
【0006】
判定手段120は、シフトレジスタ121、シフトレジスタ121中の連続した所定ビットがすべて“1”であることを検出する1レベル検出手段122、シフトレジスタ121中の連続した所定ビットがすべて“0”であることを検出する0レベル検出手段123、および、これら両検出手段の出力でセット/リセットされるフリップフロップ手段124で構成されている。
【0007】
シフトレジスタ121は、ゲート手段110の出力信号とクロックCKとの入力を受け、該クロックCKに同期して、ゲート手段110からの出力信号中の連続した所定のビット数の信号を出力する。尚、ここで設定されている所定のビット数(N2とする)としては、遅延手段100を構成するシフトレジスタの段数をN1とした場合、N1/6<N2<2N1/3の間で設定されるものとする。
【0008】
1レベル検出手段122は、シフトレジスタ121から出力されるN2ビットの信号を入力されるAND回路であり、入力された全てのビットが“1”である場合のみ出力が“1”となる。0レベル検出手段123は、シフトレジスタ121から出力されるN2ビットの信号を入力されるNOR回路であり、入力された全てのビットが“0”である場合のみ出力が“1”となる。そして、フリップフロップ手段124は、1レベル検出手段122および0レベル検出手段123のそれぞれの出力をセット入力およびリセット入力とするRSフリップフロップである。
【0009】
図10は、上記構成の従来のMSK復調回路の動作を説明する波形図である。
【0010】
図10(a)は送信データであり、図10(b)はこの送信データに対応するMSK信号である。MSK信号は、送信データにおける1レベル期間(High期間)においては送信データの1ビット期間がMSK信号の1周期となるように周波数を変調し、0レベル期間(Low期間)においては送信データの1ビット期間がMSK信号の3/2周期となるように周波数を変調することによって生成されているものである。また、図10(c)は、遅延手段100によって送信データの1ビット分遅延されたMSK信号を表している。
【0011】
図10(d)は、ゲート手段110の出力を表している。すなわち、入力信号であるMSK信号と、このMSK信号を1ビット分遅延した信号との排他的論理和をとり、その出力を反転させたものである。
【0012】
図10(d)に示すゲート手段110の出力は、判定手段120における入力信号となる。判定手段120におけるシフトレジスタ121は、この入力信号のうちの連続したN2ビット数の信号を抽出して1レベル検出手段122および0レベル検出手段123に入力する。そして、この連続したN2ビット数の信号が全てのビットで“1”である時、1レベル検出手段122の出力が“1”となり、その期間でフリップフロップ手段124が“1”となる。また、この連続したN2ビット数の信号が全てのビットで“0”である時、0レベル検出手段123の出力が“1”となり、その期間でフリップフロップ手段124が“0”となる。
【0013】
一方、図10(d)に示すゲート手段110の出力において、排他的論理和により生じる短間隔のパルス期間は、N1/6ビットに相当するため、この間は、シフトレジスタ121から出力される連続したN2ビット数の信号において、全てのビットが“1”または“0”となることはなく、1レベル検出手段122および0レベル検出手段123は共にその出力が“0”となる。そして、フリップフロップ手段124は、セット入力およびリセット入力が共に“0”であるときには前の出力状態を維持するため、フリップフロップ手段124の出力、すなわち、判定手段120の出力は図10(e)に示すようになり、送信データが復調される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光ディスクにおいては光ディスク表面にウォブルと呼ばれる案内溝が設けられており、この案内溝を所定の周波数で蛇行させ、光ディスクの回転制御に利用したり、光ディスク上の絶対的もしくは相対的な位置情報を表すアドレス情報の記録を行ったりしている。近年、この案内溝を蛇行させてアドレス情報を記録する際、変調方式としてMSKを採用する方式が提案されている。
【0015】
光ディスクが所定の回転数に制御されている場合は、この案内溝から得られる周波数は適正な周波数となっている。しかしながら、光ディスク駆動装置を立ち上げて光ディスクの回転を起動した直後や、線速度一定に制御する光ディスク駆動装置でシーク動作を行った直後などでは、光ディスクの回転数が所定の回転数に達していない状態となる。このような場合、案内溝から得られる周波数は所定の値にはなっていない。
【0016】
これに対し、従来のMSK復調回路においては、送信データの周波数が一定であることを前提として復調処理を行っている。つまり、上述のMSK復調回路において、遅延手段100にて遅延される遅延時間は、入力されるクロックCKと遅延手段100を構成するシフトレジスタの段数とで決定される固定の値である。このため、送信データの周波数が変わった場合は、正しくデータを遅延させることができない。また、判定手段120においてもあらかじめ設定しておいたビット数が連続して初めて0レベルもしくは1レベルと判定する構成となっているが、送信データの周波数が変わった場合は、正しくデータの復調が行えない。
【0017】
このため、光ディスクの案内溝を蛇行させてアドレス情報を記録する際、その変調方式として従来のMSKを採用すると、光ディスクの起動後、その回転数が正規の回転数に達するまでは送信データの復調処理が行えないといった問題がある。言い換えれば、案内溝から得られる周波数が所定の周波数に達していない場合においてもMSKの復調ができれば、光ディスク再生装置の起動時間が短縮できることになる。
【0018】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、入力される信号の周波数が変化するようなMSK信号に対しても、正しく復調することが可能なMSK復調回路を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のMSK復調回路は、上記の課題を解決するために、送信データをMSK変調して得られたMSK信号の入力を受け、入力されたMSK信号と送信データの1ビット期間だけ遅延させたMSK信号とを用いて該MSK信号の復調を行うMSK復調回路において、入力されたMSK信号から、送信データの周波数を抽出する抽出手段と、周波数抽出手段によって抽出された周波数に基づいて送信データの1ビット期間を計測する計測手段と、計測手段によって計測された送信データの1ビット期間に基づき、MSK信号を遅延させる遅延手段と、入力されたMSK信号と遅延手段によって遅延させたMSK信号とを用いて該MSK信号の復調を行う復調手段とを備えていることを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、MSK復調回路がMSK信号の入力を受けると、抽出手段によって送信データの周波数が抽出され、さらに計測手段によって送信データの1ビット期間が計測される。そして、遅延手段では、計測手段によって計測された送信データの1ビット期間に基づき、MSK信号が遅延させられる。
【0021】
これにより、復調手段は、送信データの1ビット期間だけ遅延させたMSK信号を得ることができ、送信データの周波数が一定でない場合においても、入力されたMSK信号と送信データの1ビット期間だけ遅延させたMSK信号とを用いてMSK信号の復調を行うことができる。
【0022】
また、上記MSK復調回路では、上記抽出手段は、入力されたMSK信号から、送信データの1レベル期間に相当する信号を抽出する信号抽出手段と、信号抽出手段によって抽出されたMSK信号に対して位相ロックループをかけることにより、送信データの周波数を抽出する周波数抽出手段とを備えている構成とすることができる。
【0023】
周波数の未知の信号に対して、その周波数を検出するには位相ロックループが好適に用いられる。しかしながら、MSK信号においては、送信データの1レベルに相当する期間と0レベルに相当する期間とではその周波数が異なっているため、入力されたMSK信号全体について位相ロックループをかけても送信データの周波数を抽出することはできない。
【0024】
これに対し、上記の構成によれば、信号抽出手段によって入力されたMSK信号から、送信データの1レベル期間に相当する信号を抽出し、その抽出されたMSK信号に対して周波数抽出手段により位相ロックループをかけるため、該MSK信号から送信データの周波数を抽出することができる。
【0025】
また、上記MSK復調回路では、上記計測手段は、上記抽出手段によって抽出された送信データの周波数に基づき、送信データの1ビット期間を、固定周波数を有する基準クロックのクロック数によって計測する構成とすることができる。
【0026】
上記の構成によれば、送信データの1ビット期間を基準クロックのクロック数によって計測することにより、後段の制御において送信データの1ビット期間を用いる場合に上記基準クロックを使用することができる。
【0027】
また、上記MSK復調回路では、上記遅延手段は、上記基準クロックによって駆動する多段のシフトレジスタによって構成され、該シフトレジスタにMSK信号が入力されてから出力されるまでの段数を、上記計測手段によって計測されたクロック数に対応する段数とすることによってMSK信号を遅延させる構成とすることができる。
【0028】
上記の構成によれば、簡易な構成の遅延手段によって遅延させたMSK信号を得ることができる。
【0029】
また、本発明に係る光ディスク再生装置は、変調方式としてMSKを使用したアドレス情報を、案内溝を蛇行させることによって記録している光ディスクに対して再生を行うものであり、上述のMSK復調回路を用いて、上記アドレス情報の復調を行うことを特徴としている。
【0030】
上記の構成によれば、案内溝を蛇行させてMSK変調されたアドレス情報を記録している光ディスクの再生時において、その回転数が正規の回転数に達していない状態(送信データの周波数が所定値に達していない状態)においても、MSK変調されたアドレス情報を復調することができ、光ディスク再生装置の起動時間を短縮することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0032】
尚、以下の説明においては、送信データと該送信データを変調して得られるMSK信号との関係として、図10(a)および(b)に示すデータを例示するが、本発明のMSK復調回路によって復調可能なデータはこのような関係だけに限定されるものではない。すなわち、MSK方式であるためには、MSK信号において、送信データのデジタル値の“0”,“1”に対応する周波数を各々“f1”,“f2”、送信データの伝送レートをF(bps)とした場合、
(f1−f1)/F=0.5
という関係式を満たすものであればよい。
【0033】
図1は、本実施の形態におけるMSK復調回路の概略構成を示す図である。上記MSK復調回路は、図1に示すように、PLL(Phase−Locked Loop)手段1、間隔計測手段2、遅延手段3、ゲート手段4、シフトレジスタ5、および判定手段6によって構成されている。また、上記MSK復調回路は、該MSK復調回路によって復調されるMSK信号と水晶等による固定のクロックCKとが入力される。
【0034】
PLL手段(抽出手段)1は、入力されるMSK信号に対して位相ロックループ(PLL)をかけ、送信データに同期したクロックをPLL信号として出力するものである。図2は、PLL手段1の一構成例を示す。
【0035】
PLL手段1は、図2に示すように、ディレイ手段10、位相比較器11、LPF(Low Pass Filter)12、電圧制御発振器(VCO)13、エッジ検出手段14、カウント手段15、第1のラッチ手段16、第2のラッチ手段17、判定手段18、およびスイッチ手段19によって構成されている。尚、PLL手段1では、ディレイ手段10、エッジ検出手段14、カウント手段15、第1のラッチ手段16、第2のラッチ手段17、判定手段18、およびスイッチ手段19が特許請求の範囲に記載の信号抽出手段に相当し、位相比較器11、LPF12、および電圧制御発振器13が周波数抽出手段に相当する。
【0036】
PLL手段1に入力されるMSK信号は、ディレイ手段10とエッジ検出手段14とに入力される。エッジ検出手段14は、MSK信号の立ち上がり、もしくは立ち下がりのエッジを検出する。
【0037】
カウント手段15は、固定のクロックCKが入力されて、このクロックCKに従ってカウントアップすると共に、エッジ検出手段14の出力に応じて上記カウント値をリセットする。また、第1のラッチ手段16は、エッジ検出手段14の出力に応じてカウント手段15のカウント値を保持する。これにより、第1のラッチ手段16では、MSK信号における連続した1レベル期間(High期間)もしくは0レベル期間(Low期間)の間隔に相当するクロック数が保持される。
【0038】
第2のラッチ手段17は、判定手段18による後述の判定結果に基づいて、第1のラッチ手段に保持されるクロック数のうち、送信データにおける1レベル期間に相当するクロック数のみを選択的に保持するものである。
【0039】
判定手段18は、第1のラッチ手段16に保持されているカウント値と第2のラッチ手段17に保持されているカウント値を比較し、入力されたMSK信号が、送信データにおける1レベル期間に相当するものであるか、0レベル期間に相当するものであるかの判定を行うものである。すなわち、第2のラッチ手段17には、送信データにおける1レベル期間に相当するクロック数(その時点で最後に検出されたもの)が保持されているため、第2のラッチ手段17の保持されているカウント値に比較して、第1のラッチ手段16に保持されているカウント値が極端に小さい場合は、第1のラッチ手段16に保持されているカウント値は、送信データにおける0レベル期間に相当するものと判定される。これはつまり、MSK信号においては、送信データにおける1レベル期間においては送信データの1ビット期間がMSK信号の1周期となるように周波数が変調されているのに対し、送信データの0レベル期間においては送信データの1ビット期間がMSK信号の3/2周期となるように周波数が変調されているためである(図10(a)、(b)に示す例の場合)。
【0040】
判定手段18における判定は、例えば、第2のラッチ手段17に保持されているカウント値を第1のラッチ手段16に保持されているカウント値で割った値を、所定の閾値と比較することで行うことができる。すなわち、上記MSK信号においては、送信データの1レベル期間に相当する周期が送信データの0レベル期間に相当する周期の1.5倍となる(周波数は2/3倍)ため、上記閾値をこれより幾分小さい値(例えば1.3)に設定して、第2のラッチ手段17に保持されているカウント値を第1のラッチ手段16に保持されているカウント値で割った値が上記閾値より大きければ第1のラッチ手段16に保持されているカウント値が(すなわち、入力されたMSK信号)送信データにおける0レベル期間に相当し、小さければ1レベル期間に相当すると判定すればよい。
【0041】
判定手段18にて入力されたMSK信号が送信データの1レベル期間に相当する信号であると判定された場合、判定手段18は、第1のラッチ手段16の保持しているカウント値を第2のラッチ手段17にラッチさせる。一方、入力されたMSK信号が0レベル期間に相当する信号であると判定された場合は、第2のラッチ手段17に保持されている値は更新されない。これにより、第2のラッチ手段17は、送信データにおける1レベル期間に相当するクロック数のみを選択的に保持することができる。また、第2のラッチ手段17に保持されるカウント値は常に直前の送信データの1レベル期間に相当するカウント値となっているため、判定手段18では、送信データの周波数が変化するような場合でも、ほぼ正しく判定が行える。
【0042】
上述のように、エッジ検出手段14から判定手段18にかけての動作により、PLL手段1では、入力されたMSK信号に対して、送信データにおける1レベル期間と0レベル期間との区別が行える。これにより、判定手段18の出力は、図3(a)に示すような入力MSK信号に対し、送信データの1レベル期間に対してHigh、0レベル期間に対してLowとすれば図3(b)に示すような出力となる。
【0043】
判定手段18の出力は、第2のラッチ手段17だけでなくスイッチ手段19にも入力される。そして、判定手段18のHigh出力(送信データの1レベル期間)によって、第2のラッチ手段17におけるラッチ動作が行われると共に、スイッチ手段19がONとなり、ディレイ手段10の出力が位相比較器11に入力される。
【0044】
ここで、ディレイ手段10は、入力されたMSK信号を遅延させて位相比較器11に入力するものである。すなわち、判定手段18における出力は、その判定処理に係る時間をΔtとすると、PLL手段1へのMSK信号の入力からΔtの時間だけ送れて出力される(図3(b)参照)。このため、ディレイ手段10は、図3(c)に示すように、入力されたMSK信号をΔtの時間だけ遅延させることで、位相比較器11に対して送信データの1レベル期間に相当する信号のみを入力することができる。
【0045】
スイッチ手段19のON時には、位相比較器11は、ディレイ手段10から入力されるMSK信号とPLL出力との位相を比較し、その位相差に応じた電圧を出力する。位相比較器11の出力である位相誤差は、LPF12にて低域成分だけ抽出され、電圧制御発振器13に入力される。電圧制御発振器13は、入力電圧に応じた周波数の信号をPLL出力として出力する。このPLL出力は、PLL手段1の出力として間隔計測手段2に入力されると共に、位相比較器11に帰還され、位相比較期11から電圧制御発振器13にかけてのループにより上記PLL出力が安定する。尚、スイッチ手段19のOFF時には、PLL手段1の出力はホールドされる。これにより、PLL手段1では、送信データの1レベル期間に相当するMSK信号の周波数を送信データに同期したクロックとして出力することができる。
【0046】
尚、判定手段18では、送信データの1レベル期間に相当するMSK信号の1/2周期分の間隔を計測して判定を行うため、必ずしも常に誤りがなく検出されるものではない。しかしながら、位相比較器11で検出される位相誤差はLPF12にてフィルタリングされるため、たとえ判定誤りが多少生じても、送信データに同期したクロックを得ることは可能である。
【0047】
また、上記構成のPLL手段1では、送信データの周波数が急激に変化した場合は判定が困難となるが、通常、光ディスク等にMSK変調が記録されている場合、光ディスクには慣性があるため、回転数が送信データの周波数に比較して急激に変化することはない。
【0048】
間隔計測手段(計測手段)2は、PLL手段1からのPLL出力を受け、該PLL出力の1ビットに相当する周波数の間隔を計測する。この間隔計測手段2の一構成例を図4に示す。
【0049】
間隔計測手段2は、図4に示すように、カウント手段20およびラッチ手段21により構成されており、該間隔計測手段2にはPLL手段1からのPLL出力とクロックCKとが入力されている。カウント手段20は、クロックCKによりカウント値がアップもしくはダウンし、そのカウント値はPLL出力によりリセットされる。ラッチ手段21は、カウント手段20のカウント値をPLL出力の1周期毎にラッチして出力する。上記PLL出力は、送信データの1レベル期間に相当するMSK信号の周波数を有するものであるため、ラッチ手段21では送信データの1ビットに相当する間隔を計測した値が保持され出力されるものとなる。間隔計測手段2で計測された結果は、遅延手段3および判定手段6に出力される。
【0050】
このように、図4に示す構成の間隔計測手段2は、PLL出力の1周期の間隔を計測することで、送信データの1ビットに相当する間隔を計測する構成となっている。このため、MSK信号にノイズ等が混入しても、上記PLL出力が影響を受けない程度のノイズであればMSKの復調には何ら影響を受けない。
【0051】
遅延手段3は、間隔計測手段2の計測結果に応じて、送信データの1ビットに相当する時間だけ入力信号を遅延させる。ここで、先述したように送信データの周波数は変化するものであることが想定されているため、遅延手段3による遅延量も送信データの周波数の変化に応じて変更される必要がある。このような遅延量の変更を可能とするための遅延手段3の一構成例を図5に示す。
【0052】
遅延手段3は、図5に示すように、多段のシフトレジスタ30およびセレクタ31によって構成されている。シフトレジスタ30は、MSK信号を入力として、固定クロックCKにより駆動されるものである。シフトレジスタ30の段数は、送信データの周波数の変動域において最も周波数の低い時、すなわち、送信データの1ビットの周期が最も長くなる時において、その周期分の遅延が得られる段数に設定される。例えば、先の例において送信データにおける周波数が0.6kHzから2.4kHzの間で変化すると仮定すると、シフトレジスタを駆動するクロックCKは36kHzとしているため、周波数が最も小さい0.6kHzの時に1ビットの周期の遅延が得られるように、シフトレジスタ30の段数は60段必要となる。
【0053】
セレクタ31は、シフトレジスタ30の各段の出力を入力とし、間隔計測手段2の計測結果に応じてこれらの入力の一つを選択して出力する。例えば、間隔計測手段2の計測結果として、送信データにおける1ビットの間隔が固定クロックCKの32クロック分と計測された場合、セレクタ31はシフトレジスタ30の32段目の出力を選択して出力する。これにより、遅延手段3は、入力されるMSK信号に対し、常に送信データの1ビットの間隔に相当する時間だけ、入力を遅延することができる。
【0054】
ゲート手段4には、入力信号MSKと、遅延手段3の出力となる送信データの1ビット分だけ遅延されたMSK信号とが入力される。ゲート手段4は、これらの入力に対して排他的論理和がとり、さらにそれを反転させてシフトレジスタ5に出力する。本実施の形態に係るMSK復調回路では、ゲート手段4、シフトレジスタ5、および判定手段6が、特許請求の範囲に記載の復調手段に相当する。
【0055】
シフトレジスタ5は、このゲート手段4からの出力を入力とし、クロックCKで駆動される。シフトレジスタ5の段数は以下のように設定する。シフトレジスタ5の段数をN2とし、遅延手段3におけるセレクタ31が選択したシフトレジスタ30の出力段の段数をN1とした場合、従来の技術においても説明したように、ゲート手段4によって出力される信号に生じる不要なパルスの間隔はN1/6となる。また、N2を2N1/3以上に設定すると、後段の判定手段6においてデータ成分が検出できなくなる。このため、N1とN2との関係は、
N1/6<N2<2N1/3 ・・・ (1)
を満たすように設定する必要がある。
【0056】
尚、上記の(1)式は、送信データとMSK信号との周波数が図10(a)および(b)の関係となる場合に成立するものである。送信データとMSK信号との周波数の関係が変われば、N1とN2との関係式は上記(1)式とは異なるものとなるが、上記(1)式を導き出す場合と同様の考えでもって、その関係式を導くことが可能である。
【0057】
仮に、N2=N1/4と設定したとする。ここで、入力されるMSK信号の周波数により遅延手段3において遅延される遅延量は可変であり、上記N1の値もこれに応じて変化する。したがって、シフトレジスタ5は、遅延手段3におけるシフトレジスタ30の最大段数に対して(1)式を満足する段数を用意しておく必要がある。先の例の場合、N1の最大段数は60段であるので、N2は15段とする。
【0058】
上記のように設定されたシフトレジスタ5の各段の出力は、判定手段6に入力される。すなわち、シフトレジスタ5は、クロックCKに同期して、ゲート手段4からの出力信号中の連続したN2のビット数の信号を抽出して判定手段6に出力するものである。
【0059】
判定手段6では、シフトレジスタ5の連続した出力の全てのビットにおいて、0レベルもしくは1レベルになった時、その出力を0レベルもしくは1レベルとし、それ以外の場合は直前の出力を保持する。判定手段6の一構成例を図6に示す。
【0060】
判定手段6は、図6に示すように、第1の選択手段60、第2の選択手段61、第1のゲート手段62、第2のゲート手段63、およびフリップフロップ64によって構成されている。
【0061】
第1の選択手段60は、シフトレジスタ5の各段の出力を入力とし、シフトレジスタ5の出力段と同数の出力を有する。つまり、シフトレジスタ5が15段であれば、第1の選択手段60の出力は15本となる。そして、間隔計測手段2の計測結果に応じて、シフトレジスタ5の出力本数を選択し、それ以外の出力は1レベルに固定する。
【0062】
第1のゲート手段62はAND回路によって構成されており、第1の選択手段60からの入力が全てのビットにおいて1レベルであることを検出する1レベル検出手段として作用する。
【0063】
ここで、シフトレジスタ5の段数N2を15段と設定しているが、これは、遅延手段3におけるシフトレジスタ30の出力段の段数N1が60段の場合に、N2=N1/4となるように設定されているものであり、N1がこれより小さい場合には、シフトレジスタ5における全ての出力を判定手段6での判定に用いると、N2が上記(1)式を満たさず、判定手段6においてデータ成分が検出できなくなる。例えば、遅延手段3におけるシフトレジスタ30の出力段の段数N1が28段であったとすると、N2の範囲は上記(1)式より5以上14以下に設定される必要があり、N2を15段のままでは正確な判定ができないこととなる。
【0064】
このため、第1の選択手段60は、シフトレジスタ5からの15本の出力に対して、間隔計測手段2の計測結果に応じて出力本数を減少させる。例えば、間隔計測手段2の計測結果よりN1が32段であったとすると、(1)式よりN2は8段となり、第1の選択手段60は、シフトレジスタ5からの15本の出力に対して最初から8段分の出力を後段の第1のゲート手段62に出力すると共に、残りの7段分の出力は1レベルとして第1のゲート手段62に出力する。つまり、第1のゲート手段62に出力される最初の8ビットが連続で1レベルとなれば、第1のゲート手段62の出力が1レベルとなり、実質的に8ビットの出力についてのみ1レベル検出が行われることとなる。
【0065】
同様に、第2の選択手段61は、シフトレジスタ5の出力を間隔計測手段2の計測結果に応じて選択し、シフトレジスタ5の出力を選択した以外の出力は0レベルに固定する。第2のゲート手段63はNOA回路によって構成され、第2の選択手段61からの入力が全て0レベルの時のみ、出力が1レベルとなる。
【0066】
フリップフロップ64はRSフリップフロップであり、第1のゲート手段62および第2のゲート手段63のそれぞれの出力をセット入力およびリセット入力としている。このため、第1のゲート手段62の出力が1レベルであるときは、フリップフロップ64の出力(すなわち、本実施の形態におけるMSK復調回路の復調結果)が1レベルとなり、第2のゲート手段63の出力が1レベルであるときは、フリップフロップ64の出力が0レベルとなる。そして、第1のゲート手段62および第2のゲート手段63の出力が何れも0レベルである場合には、フリップフロップ64は前の出力状態を維持する。
【0067】
尚、上述の判定手段6では、第1および第2の選択手段によって、シフトレジスタ5からの出力本数N2を選択する構成となっている。これは、遅延手段3におけるシフトレジスタ30の出力段数N1が可変であり、N2を固定とするとN1の値によってはN1およびN2が上述の(1)式を満たさず、判定手段6において正確な判定ができなくなるためである。しかしながら、ある特定の条件下においては、判定手段6においてシフトレジスタ5からの出力本数を選択する構成を省略することも可能である。
【0068】
上述のように、クロックCKが36kHz、送信データにおける周波数が0.6kHzから2.4kHzの間で変化すると仮定した場合、シフトレジスタ30の出力段数N1における最大値N1maxおよび最小値N1minは、N1max=60、N1min=15である。この場合、N1maxおよびN1minの両方に対して上記(1)式を満たすN2の値は存在せず、判定手段6においてシフトレジスタ5からの出力本数N2を選択する構成が必要となる。
【0069】
これに対し、例えば、クロックCKが36kHz、送信データにおける周波数が0.6kHzから1.2kHzの間で変化すると仮定した場合、シフトレジスタ30の出力段数N1における最大値N1maxおよび最小値N1minは、N1max=60、N1min=30である。この場合、N1maxおよびN1minのそれぞれにおける(1)式は、
N1max/6=10<N2<30=2N1max/3
N1min/6=5<N2<15=2N1min/3
となり、N2の段数が11〜14段に設定されていれば、その段数が固定であってもシフトレジスタ30の出力段数N1の全範囲において上記(1)式を満たすことができる。
【0070】
すなわち、送信データにおける周波数の全可変域において上記(1)式を満たすN2の値が存在する場合には、シフトレジスト5の出力本数を該N2の値とすることで、判定手段6においてシフトレジスタ5からの出力本数を選択する構成を省略することができる。この場合、判定手段6の構成は、図9に示した判定手段120と同様の構成とすることができる。
【0071】
以上のように、本実施の形態に係るMSK復調回路によれば、入力されるMSK信号の周波数が変化するような場合でも、送信データを誤検出することなくMSK信号の復調を行うことができる。
【0072】
続いて、図7および図8は、上記MSK復調回路を構成する各部の出力を示す波形図であり、この波形図を用いて本実施の形態におけるMSK復調回路の動作を説明する。
【0073】
図7は、送信データの周波数が正規の周波数よりも高い状態で入力される場合を示すものであり、この場合、図7(a)に示す送信データおよび図7(b)に示すMSK信号ともに、その周波数は高くなっている。
【0074】
図7(c)は、PLL手段1の出力波形であり、PLL手段1において、入力されてくるMSK信号のうち、送信データの1レベルに相当する期間にのみPLLをかけることによって、送信データの1ビットに相当する周波数と一致する周波数のパルス信号が得られる。そして、間隔計測手段2においてこのPLL手段1の出力のパルス間隔をクロックCKの数によって計測する。このパルス間隔を表すクロック数を仮にAとする。
【0075】
この場合、遅延手段3内のシフトレジスタ30によって、図7(d)に示されるようにAクロック分だけ遅延された信号が出力される。そして、ゲート手段4には、入力MSK信号と遅延手段3によって遅延されたMSK信号とが入力されこれらの排他的論理和が反転されて出力される。これにより、ゲート手段4における出力波形は図7(e)に示すものとなる。
【0076】
このゲート手段4の出力には、間隔A/6のパルスが入っている。しかしながら、判定手段6においては、間隔計測手段2の計測結果がAであるので、間隔A/4以下のパルスは検出しないように設定されている。このため、図7(f)に示す復調結果において、このパルスは出力されない。このようにして、送信データの復調を正しく行うことができる。
【0077】
次に、図8は送信データの周波数が図7の場合よりも低い場合の波形を表している。
【0078】
図7の場合と同様に、図8(b)に示すMSK信号の送信データの1レベルに相当する期間に対しPLLがかけられ、図8(a)に示す送信データの1ビットに同期するように図8(c)に示すパルス信号が得られる。そして、このPLL出力の間隔Bを計測する(仮にB>Aとする)。遅延手段3では、図8(d)に示すように、Bクロック分だけ遅延された信号が出力され、ゲート手段4にて排他的論理和の反転信号(図8(e)参照)が出力される。この排他的論理和の出力には、B/6の間隔のパルスが出力されているが、判定手段6においては、間隔計測手段2の出力がBであることより、B/4(>A/4)以下の間隔のパルスは出力されないように設定されている。このため、図8(f)に示される復調結果にこのパルスは出力されず、送信データが正しく復調される。
【0079】
このようにして、本実施の形態におけるMSK復調回路では、送信データの周波数が変化しても正しく送信データが復調される。
【0080】
以上のように、本実施の形態におけるMSK復調回路では、送信データに同期するようにPLLをかけ、このPLLの出力の間隔を計測し、この計測結果に応じて、MSK信号の遅延量を変化させる。
【0081】
また、データの判定においては、シフトレジスタのビットが連続して1レベルもしくは0レベルの場合にデータをそれぞれ1レベル、0レベルと判定に用いるが、この判定に用いるビット数をPLLの出力の間隔の計測結果によって変化させることができる。
【0082】
このため、入力されるMSK信号の周波数、言い換えれば、送信データの周波数が変化しても誤ってデータを判定することなく、常に正しく送信データの復調を行うことができる。
【0083】
また、送信データの1ビットに相当する間隔の計測には、送信データに同期させたPLLの出力を測定する構成としているため、MSK信号にノイズ等が混入しても、復調結果に影響を受けないMSK復調回路を得ることができる。さらに、本発明におけるMSK復調回路は全ての部分をデジタル回路で構成することが可能であり、該MSK復調回路の集積化を行うような場合に好適である。
【0084】
尚、本発明の復調回路は、例えば、光ディスク再生装置等において適用することが好適である。すなわち、光ディスクの案内溝を蛇行させてアドレス情報(本実施の形態に係る説明の送信データに相当する)を記録する際、該アドレス情報の変調方式とMSK方式を採用し、その復調に本発明のMSK復調回路を用いると、光ディスクの起動後、その回転数が正規の回転数に達する前に、言い換えれば、案内溝から得られる周波数が所定の周波数に達していない場合においてもMSKの復調ができ、光ディスク再生装置の起動時間が短縮できる。
【0085】
但し、本発明のMSK復調回路の適用は光ディスクの再生に限定されるものではない。例えば、光ディスク以外の用途としては、ハードディスクにMSK変調が用いられた場合は、ディスクの回転により読出信号の周波数が変動するため、本発明に係るMSK復調が適用可能である。
【0086】
【発明の効果】
本発明のMSK復調回路は、以上のように、入力されたMSK信号から、送信データの周波数を抽出する抽出手段と、周波数抽出手段によって抽出された周波数に基づいて送信データの1ビット期間を計測する計測手段と、計測手段によって計測された送信データの1ビット期間に基づき、MSK信号を遅延させる遅延手段と、入力されたMSK信号と遅延手段によって遅延させたMSK信号とを用いて該MSK信号の復調を行う復調手段とを備えている構成である。
【0087】
それゆえ、上記復調手段は、上記抽出手段、計測手段および遅延手段の処理により、送信データの1ビット期間だけ遅延させたMSK信号を得ることができ、送信データの周波数が一定でない場合においても、入力されたMSK信号と送信データの1ビット期間だけ遅延させたMSK信号とを用いてMSK信号の復調を行うことができるという効果を奏する。
【0088】
また、上記MSK復調回路では、上記抽出手段は、入力されたMSK信号から、送信データの1レベル期間に相当する信号を抽出する信号抽出手段と、信号抽出手段によって抽出されたMSK信号に対して位相ロックループをかけることにより、送信データの周波数を抽出する周波数抽出手段とを備えている構成とすることができる。
【0089】
それゆえ、信号抽出手段によって入力されたMSK信号から、送信データの1レベル期間に相当する信号を抽出し、その抽出されたMSK信号に対して周波数抽出手段により位相ロックループをかけるため、送信データの1レベルに相当する期間と0レベルに相当する期間とではその周波数が異なるMSK信号から送信データの周波数を抽出することができるという効果を奏する。
【0090】
また、上記MSK復調回路では、上記計測手段は、上記抽出手段によって抽出された送信データの周波数に基づき、送信データの1ビット期間を、固定周波数を有する基準クロックのクロック数によって計測する構成とすることができる。
【0091】
それゆえ、送信データの1ビット期間を基準クロックのクロック数によって計測することにより、後段の制御において送信データの1ビット期間を用いる場合に上記基準クロックを使用することができるという効果を奏する。
【0092】
また、上記MSK復調回路では、上記遅延手段は、上記基準クロックによって駆動する多段のシフトレジスタによって構成され、該シフトレジスタにMSK信号が入力されてから出力されるまでの段数を、上記計測手段によって計測されたクロック数に対応する段数とすることによってMSK信号を遅延させる構成とすることができる。
【0093】
それゆえ、簡易な構成の遅延手段によって遅延させたMSK信号を得ることができるという効果を奏する。
【0094】
また、本発明に係る光ディスク再生装置は、以上のように、変調方式としてMSKを使用したアドレス情報を、案内溝を蛇行させることによって記録している光ディスクに対して再生を行うものであり、上述のMSK復調回路を用いて、上記アドレス情報の復調を行う構成である。
【0095】
それゆえ、案内溝を蛇行させてMSK変調されたアドレス情報を記録している光ディスクの再生時において、その回転数が正規の回転数に達していない状態(送信データの周波数が所定値に達していない状態)においても、MSK変調されたアドレス情報を復調することができ、光ディスク再生装置の起動時間を短縮することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示すものであり、MSK復調回路の構成を示すブロック図である。
【図2】上記MSK復調回路におけるPLL手段の構成例を示すブロック図である。
【図3】上記MSK復調回路におけるPLL手段の動作例を示す波形図である。
【図4】上記MSK復調回路における間隔計測手段の構成例を示すブロック図である。
【図5】上記MSK復調回路における遅延手段の構成例を示すブロック図である。
【図6】上記MSK復調回路における判定手段の構成例を示すブロック図である。
【図7】図7(a)〜(f)は、上記MSK復調回路における動作例を説明する波形図である。
【図8】図8(a)〜(f)は、上記MSK復調回路における動作例を説明する波形図である。
【図9】従来のMSK復調回路の構成を示すブロック図である。
【図10】図10(a)〜(e)は、従来のMSK復調回路における動作例を説明する波形図である。
【符号の説明】
1 PLL手段(抽出手段)
2 間隔計測手段(計測手段)
3 遅延手段
4 ゲート手段(復調手段)
5 シフトレジスタ(復調手段)
6 判定手段(復調手段)
10 ディレイ手段(信号抽出手段)
11 位相比較器(周波数抽出手段)
12 LPF(周波数抽出手段)
13 電圧制御発振器(周波数抽出手段)
14 エッジ検出手段(信号抽出手段)
15 カウント手段(信号抽出手段)
16 第1のラッチ手段(信号抽出手段)
17 第2のラッチ手段(信号抽出手段)
18 判定手段(信号抽出手段)
19 スイッチ手段(信号抽出手段)
30 シフトレジスタ
CK クロック(基準クロック)
【発明の属する技術分野】
本発明は、MSK(Minimum Shift Keying)信号を復調するMSK復調回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
データの伝送などで使用する変調方式であるFSK(Frequency Shift Keying)の1種にMSKがある。このMSKは、変調される周波数のシフト幅が狭いために伝送帯域が狭くて済み、また受信側のフィルタも狭帯域で良いことから雑音を受けにくい等の利点がある。このMSKの復調方法としては、例えば特公平2−41938号公報において、入力であるMSK信号を送信データの1ビットに相当する時間だけ遅延させて検波する遅延検波方式が提案されている。
【0003】
図9は、特公平2−41938号公報に記載の遅延検波方式を用いた、従来のMSK復調回路の構成を示している。上記MSK復調回路は、図9に示すように、遅延手段100、ゲート手段110、および判定手段120によって構成されている。
【0004】
遅延手段100は、多段のシフトレジスタにより構成されており、各段のシフトレジスタには固定のクロックCKが供給されている。遅延手段100は、MSKによって変調される前の送信データの1ビットに相当する時間だけ入力信号を遅延して出力する。遅延手段100におけるシフトレジスタの段数、およびシフトレジスタに供給されるクロックCKは以下のようにして決定される。仮に、送信データの伝送速度を1200ボー(baud)とし、遅延手段100のシフトレジスタの段数を30段とする(この場合、送信データの1ビットがクロックCKの30ビットに相当する)と、1200×30の計算より、クロックCKは36KHzと設定される。これにより、遅延手段100を構成するシフトレジスタの出力段では、入力信号が送信データの1ビット分遅延されて出力される。
【0005】
ゲート手段110には、入力であるMSK信号と、該MSK信号を遅延手段100によって遅延させた信号とが入力される。ゲート手段110では、この両入力の排他的論理和をとり、その排他的論理和の出力を反転して後段の判定手段120に出力する。
【0006】
判定手段120は、シフトレジスタ121、シフトレジスタ121中の連続した所定ビットがすべて“1”であることを検出する1レベル検出手段122、シフトレジスタ121中の連続した所定ビットがすべて“0”であることを検出する0レベル検出手段123、および、これら両検出手段の出力でセット/リセットされるフリップフロップ手段124で構成されている。
【0007】
シフトレジスタ121は、ゲート手段110の出力信号とクロックCKとの入力を受け、該クロックCKに同期して、ゲート手段110からの出力信号中の連続した所定のビット数の信号を出力する。尚、ここで設定されている所定のビット数(N2とする)としては、遅延手段100を構成するシフトレジスタの段数をN1とした場合、N1/6<N2<2N1/3の間で設定されるものとする。
【0008】
1レベル検出手段122は、シフトレジスタ121から出力されるN2ビットの信号を入力されるAND回路であり、入力された全てのビットが“1”である場合のみ出力が“1”となる。0レベル検出手段123は、シフトレジスタ121から出力されるN2ビットの信号を入力されるNOR回路であり、入力された全てのビットが“0”である場合のみ出力が“1”となる。そして、フリップフロップ手段124は、1レベル検出手段122および0レベル検出手段123のそれぞれの出力をセット入力およびリセット入力とするRSフリップフロップである。
【0009】
図10は、上記構成の従来のMSK復調回路の動作を説明する波形図である。
【0010】
図10(a)は送信データであり、図10(b)はこの送信データに対応するMSK信号である。MSK信号は、送信データにおける1レベル期間(High期間)においては送信データの1ビット期間がMSK信号の1周期となるように周波数を変調し、0レベル期間(Low期間)においては送信データの1ビット期間がMSK信号の3/2周期となるように周波数を変調することによって生成されているものである。また、図10(c)は、遅延手段100によって送信データの1ビット分遅延されたMSK信号を表している。
【0011】
図10(d)は、ゲート手段110の出力を表している。すなわち、入力信号であるMSK信号と、このMSK信号を1ビット分遅延した信号との排他的論理和をとり、その出力を反転させたものである。
【0012】
図10(d)に示すゲート手段110の出力は、判定手段120における入力信号となる。判定手段120におけるシフトレジスタ121は、この入力信号のうちの連続したN2ビット数の信号を抽出して1レベル検出手段122および0レベル検出手段123に入力する。そして、この連続したN2ビット数の信号が全てのビットで“1”である時、1レベル検出手段122の出力が“1”となり、その期間でフリップフロップ手段124が“1”となる。また、この連続したN2ビット数の信号が全てのビットで“0”である時、0レベル検出手段123の出力が“1”となり、その期間でフリップフロップ手段124が“0”となる。
【0013】
一方、図10(d)に示すゲート手段110の出力において、排他的論理和により生じる短間隔のパルス期間は、N1/6ビットに相当するため、この間は、シフトレジスタ121から出力される連続したN2ビット数の信号において、全てのビットが“1”または“0”となることはなく、1レベル検出手段122および0レベル検出手段123は共にその出力が“0”となる。そして、フリップフロップ手段124は、セット入力およびリセット入力が共に“0”であるときには前の出力状態を維持するため、フリップフロップ手段124の出力、すなわち、判定手段120の出力は図10(e)に示すようになり、送信データが復調される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光ディスクにおいては光ディスク表面にウォブルと呼ばれる案内溝が設けられており、この案内溝を所定の周波数で蛇行させ、光ディスクの回転制御に利用したり、光ディスク上の絶対的もしくは相対的な位置情報を表すアドレス情報の記録を行ったりしている。近年、この案内溝を蛇行させてアドレス情報を記録する際、変調方式としてMSKを採用する方式が提案されている。
【0015】
光ディスクが所定の回転数に制御されている場合は、この案内溝から得られる周波数は適正な周波数となっている。しかしながら、光ディスク駆動装置を立ち上げて光ディスクの回転を起動した直後や、線速度一定に制御する光ディスク駆動装置でシーク動作を行った直後などでは、光ディスクの回転数が所定の回転数に達していない状態となる。このような場合、案内溝から得られる周波数は所定の値にはなっていない。
【0016】
これに対し、従来のMSK復調回路においては、送信データの周波数が一定であることを前提として復調処理を行っている。つまり、上述のMSK復調回路において、遅延手段100にて遅延される遅延時間は、入力されるクロックCKと遅延手段100を構成するシフトレジスタの段数とで決定される固定の値である。このため、送信データの周波数が変わった場合は、正しくデータを遅延させることができない。また、判定手段120においてもあらかじめ設定しておいたビット数が連続して初めて0レベルもしくは1レベルと判定する構成となっているが、送信データの周波数が変わった場合は、正しくデータの復調が行えない。
【0017】
このため、光ディスクの案内溝を蛇行させてアドレス情報を記録する際、その変調方式として従来のMSKを採用すると、光ディスクの起動後、その回転数が正規の回転数に達するまでは送信データの復調処理が行えないといった問題がある。言い換えれば、案内溝から得られる周波数が所定の周波数に達していない場合においてもMSKの復調ができれば、光ディスク再生装置の起動時間が短縮できることになる。
【0018】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、入力される信号の周波数が変化するようなMSK信号に対しても、正しく復調することが可能なMSK復調回路を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のMSK復調回路は、上記の課題を解決するために、送信データをMSK変調して得られたMSK信号の入力を受け、入力されたMSK信号と送信データの1ビット期間だけ遅延させたMSK信号とを用いて該MSK信号の復調を行うMSK復調回路において、入力されたMSK信号から、送信データの周波数を抽出する抽出手段と、周波数抽出手段によって抽出された周波数に基づいて送信データの1ビット期間を計測する計測手段と、計測手段によって計測された送信データの1ビット期間に基づき、MSK信号を遅延させる遅延手段と、入力されたMSK信号と遅延手段によって遅延させたMSK信号とを用いて該MSK信号の復調を行う復調手段とを備えていることを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、MSK復調回路がMSK信号の入力を受けると、抽出手段によって送信データの周波数が抽出され、さらに計測手段によって送信データの1ビット期間が計測される。そして、遅延手段では、計測手段によって計測された送信データの1ビット期間に基づき、MSK信号が遅延させられる。
【0021】
これにより、復調手段は、送信データの1ビット期間だけ遅延させたMSK信号を得ることができ、送信データの周波数が一定でない場合においても、入力されたMSK信号と送信データの1ビット期間だけ遅延させたMSK信号とを用いてMSK信号の復調を行うことができる。
【0022】
また、上記MSK復調回路では、上記抽出手段は、入力されたMSK信号から、送信データの1レベル期間に相当する信号を抽出する信号抽出手段と、信号抽出手段によって抽出されたMSK信号に対して位相ロックループをかけることにより、送信データの周波数を抽出する周波数抽出手段とを備えている構成とすることができる。
【0023】
周波数の未知の信号に対して、その周波数を検出するには位相ロックループが好適に用いられる。しかしながら、MSK信号においては、送信データの1レベルに相当する期間と0レベルに相当する期間とではその周波数が異なっているため、入力されたMSK信号全体について位相ロックループをかけても送信データの周波数を抽出することはできない。
【0024】
これに対し、上記の構成によれば、信号抽出手段によって入力されたMSK信号から、送信データの1レベル期間に相当する信号を抽出し、その抽出されたMSK信号に対して周波数抽出手段により位相ロックループをかけるため、該MSK信号から送信データの周波数を抽出することができる。
【0025】
また、上記MSK復調回路では、上記計測手段は、上記抽出手段によって抽出された送信データの周波数に基づき、送信データの1ビット期間を、固定周波数を有する基準クロックのクロック数によって計測する構成とすることができる。
【0026】
上記の構成によれば、送信データの1ビット期間を基準クロックのクロック数によって計測することにより、後段の制御において送信データの1ビット期間を用いる場合に上記基準クロックを使用することができる。
【0027】
また、上記MSK復調回路では、上記遅延手段は、上記基準クロックによって駆動する多段のシフトレジスタによって構成され、該シフトレジスタにMSK信号が入力されてから出力されるまでの段数を、上記計測手段によって計測されたクロック数に対応する段数とすることによってMSK信号を遅延させる構成とすることができる。
【0028】
上記の構成によれば、簡易な構成の遅延手段によって遅延させたMSK信号を得ることができる。
【0029】
また、本発明に係る光ディスク再生装置は、変調方式としてMSKを使用したアドレス情報を、案内溝を蛇行させることによって記録している光ディスクに対して再生を行うものであり、上述のMSK復調回路を用いて、上記アドレス情報の復調を行うことを特徴としている。
【0030】
上記の構成によれば、案内溝を蛇行させてMSK変調されたアドレス情報を記録している光ディスクの再生時において、その回転数が正規の回転数に達していない状態(送信データの周波数が所定値に達していない状態)においても、MSK変調されたアドレス情報を復調することができ、光ディスク再生装置の起動時間を短縮することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0032】
尚、以下の説明においては、送信データと該送信データを変調して得られるMSK信号との関係として、図10(a)および(b)に示すデータを例示するが、本発明のMSK復調回路によって復調可能なデータはこのような関係だけに限定されるものではない。すなわち、MSK方式であるためには、MSK信号において、送信データのデジタル値の“0”,“1”に対応する周波数を各々“f1”,“f2”、送信データの伝送レートをF(bps)とした場合、
(f1−f1)/F=0.5
という関係式を満たすものであればよい。
【0033】
図1は、本実施の形態におけるMSK復調回路の概略構成を示す図である。上記MSK復調回路は、図1に示すように、PLL(Phase−Locked Loop)手段1、間隔計測手段2、遅延手段3、ゲート手段4、シフトレジスタ5、および判定手段6によって構成されている。また、上記MSK復調回路は、該MSK復調回路によって復調されるMSK信号と水晶等による固定のクロックCKとが入力される。
【0034】
PLL手段(抽出手段)1は、入力されるMSK信号に対して位相ロックループ(PLL)をかけ、送信データに同期したクロックをPLL信号として出力するものである。図2は、PLL手段1の一構成例を示す。
【0035】
PLL手段1は、図2に示すように、ディレイ手段10、位相比較器11、LPF(Low Pass Filter)12、電圧制御発振器(VCO)13、エッジ検出手段14、カウント手段15、第1のラッチ手段16、第2のラッチ手段17、判定手段18、およびスイッチ手段19によって構成されている。尚、PLL手段1では、ディレイ手段10、エッジ検出手段14、カウント手段15、第1のラッチ手段16、第2のラッチ手段17、判定手段18、およびスイッチ手段19が特許請求の範囲に記載の信号抽出手段に相当し、位相比較器11、LPF12、および電圧制御発振器13が周波数抽出手段に相当する。
【0036】
PLL手段1に入力されるMSK信号は、ディレイ手段10とエッジ検出手段14とに入力される。エッジ検出手段14は、MSK信号の立ち上がり、もしくは立ち下がりのエッジを検出する。
【0037】
カウント手段15は、固定のクロックCKが入力されて、このクロックCKに従ってカウントアップすると共に、エッジ検出手段14の出力に応じて上記カウント値をリセットする。また、第1のラッチ手段16は、エッジ検出手段14の出力に応じてカウント手段15のカウント値を保持する。これにより、第1のラッチ手段16では、MSK信号における連続した1レベル期間(High期間)もしくは0レベル期間(Low期間)の間隔に相当するクロック数が保持される。
【0038】
第2のラッチ手段17は、判定手段18による後述の判定結果に基づいて、第1のラッチ手段に保持されるクロック数のうち、送信データにおける1レベル期間に相当するクロック数のみを選択的に保持するものである。
【0039】
判定手段18は、第1のラッチ手段16に保持されているカウント値と第2のラッチ手段17に保持されているカウント値を比較し、入力されたMSK信号が、送信データにおける1レベル期間に相当するものであるか、0レベル期間に相当するものであるかの判定を行うものである。すなわち、第2のラッチ手段17には、送信データにおける1レベル期間に相当するクロック数(その時点で最後に検出されたもの)が保持されているため、第2のラッチ手段17の保持されているカウント値に比較して、第1のラッチ手段16に保持されているカウント値が極端に小さい場合は、第1のラッチ手段16に保持されているカウント値は、送信データにおける0レベル期間に相当するものと判定される。これはつまり、MSK信号においては、送信データにおける1レベル期間においては送信データの1ビット期間がMSK信号の1周期となるように周波数が変調されているのに対し、送信データの0レベル期間においては送信データの1ビット期間がMSK信号の3/2周期となるように周波数が変調されているためである(図10(a)、(b)に示す例の場合)。
【0040】
判定手段18における判定は、例えば、第2のラッチ手段17に保持されているカウント値を第1のラッチ手段16に保持されているカウント値で割った値を、所定の閾値と比較することで行うことができる。すなわち、上記MSK信号においては、送信データの1レベル期間に相当する周期が送信データの0レベル期間に相当する周期の1.5倍となる(周波数は2/3倍)ため、上記閾値をこれより幾分小さい値(例えば1.3)に設定して、第2のラッチ手段17に保持されているカウント値を第1のラッチ手段16に保持されているカウント値で割った値が上記閾値より大きければ第1のラッチ手段16に保持されているカウント値が(すなわち、入力されたMSK信号)送信データにおける0レベル期間に相当し、小さければ1レベル期間に相当すると判定すればよい。
【0041】
判定手段18にて入力されたMSK信号が送信データの1レベル期間に相当する信号であると判定された場合、判定手段18は、第1のラッチ手段16の保持しているカウント値を第2のラッチ手段17にラッチさせる。一方、入力されたMSK信号が0レベル期間に相当する信号であると判定された場合は、第2のラッチ手段17に保持されている値は更新されない。これにより、第2のラッチ手段17は、送信データにおける1レベル期間に相当するクロック数のみを選択的に保持することができる。また、第2のラッチ手段17に保持されるカウント値は常に直前の送信データの1レベル期間に相当するカウント値となっているため、判定手段18では、送信データの周波数が変化するような場合でも、ほぼ正しく判定が行える。
【0042】
上述のように、エッジ検出手段14から判定手段18にかけての動作により、PLL手段1では、入力されたMSK信号に対して、送信データにおける1レベル期間と0レベル期間との区別が行える。これにより、判定手段18の出力は、図3(a)に示すような入力MSK信号に対し、送信データの1レベル期間に対してHigh、0レベル期間に対してLowとすれば図3(b)に示すような出力となる。
【0043】
判定手段18の出力は、第2のラッチ手段17だけでなくスイッチ手段19にも入力される。そして、判定手段18のHigh出力(送信データの1レベル期間)によって、第2のラッチ手段17におけるラッチ動作が行われると共に、スイッチ手段19がONとなり、ディレイ手段10の出力が位相比較器11に入力される。
【0044】
ここで、ディレイ手段10は、入力されたMSK信号を遅延させて位相比較器11に入力するものである。すなわち、判定手段18における出力は、その判定処理に係る時間をΔtとすると、PLL手段1へのMSK信号の入力からΔtの時間だけ送れて出力される(図3(b)参照)。このため、ディレイ手段10は、図3(c)に示すように、入力されたMSK信号をΔtの時間だけ遅延させることで、位相比較器11に対して送信データの1レベル期間に相当する信号のみを入力することができる。
【0045】
スイッチ手段19のON時には、位相比較器11は、ディレイ手段10から入力されるMSK信号とPLL出力との位相を比較し、その位相差に応じた電圧を出力する。位相比較器11の出力である位相誤差は、LPF12にて低域成分だけ抽出され、電圧制御発振器13に入力される。電圧制御発振器13は、入力電圧に応じた周波数の信号をPLL出力として出力する。このPLL出力は、PLL手段1の出力として間隔計測手段2に入力されると共に、位相比較器11に帰還され、位相比較期11から電圧制御発振器13にかけてのループにより上記PLL出力が安定する。尚、スイッチ手段19のOFF時には、PLL手段1の出力はホールドされる。これにより、PLL手段1では、送信データの1レベル期間に相当するMSK信号の周波数を送信データに同期したクロックとして出力することができる。
【0046】
尚、判定手段18では、送信データの1レベル期間に相当するMSK信号の1/2周期分の間隔を計測して判定を行うため、必ずしも常に誤りがなく検出されるものではない。しかしながら、位相比較器11で検出される位相誤差はLPF12にてフィルタリングされるため、たとえ判定誤りが多少生じても、送信データに同期したクロックを得ることは可能である。
【0047】
また、上記構成のPLL手段1では、送信データの周波数が急激に変化した場合は判定が困難となるが、通常、光ディスク等にMSK変調が記録されている場合、光ディスクには慣性があるため、回転数が送信データの周波数に比較して急激に変化することはない。
【0048】
間隔計測手段(計測手段)2は、PLL手段1からのPLL出力を受け、該PLL出力の1ビットに相当する周波数の間隔を計測する。この間隔計測手段2の一構成例を図4に示す。
【0049】
間隔計測手段2は、図4に示すように、カウント手段20およびラッチ手段21により構成されており、該間隔計測手段2にはPLL手段1からのPLL出力とクロックCKとが入力されている。カウント手段20は、クロックCKによりカウント値がアップもしくはダウンし、そのカウント値はPLL出力によりリセットされる。ラッチ手段21は、カウント手段20のカウント値をPLL出力の1周期毎にラッチして出力する。上記PLL出力は、送信データの1レベル期間に相当するMSK信号の周波数を有するものであるため、ラッチ手段21では送信データの1ビットに相当する間隔を計測した値が保持され出力されるものとなる。間隔計測手段2で計測された結果は、遅延手段3および判定手段6に出力される。
【0050】
このように、図4に示す構成の間隔計測手段2は、PLL出力の1周期の間隔を計測することで、送信データの1ビットに相当する間隔を計測する構成となっている。このため、MSK信号にノイズ等が混入しても、上記PLL出力が影響を受けない程度のノイズであればMSKの復調には何ら影響を受けない。
【0051】
遅延手段3は、間隔計測手段2の計測結果に応じて、送信データの1ビットに相当する時間だけ入力信号を遅延させる。ここで、先述したように送信データの周波数は変化するものであることが想定されているため、遅延手段3による遅延量も送信データの周波数の変化に応じて変更される必要がある。このような遅延量の変更を可能とするための遅延手段3の一構成例を図5に示す。
【0052】
遅延手段3は、図5に示すように、多段のシフトレジスタ30およびセレクタ31によって構成されている。シフトレジスタ30は、MSK信号を入力として、固定クロックCKにより駆動されるものである。シフトレジスタ30の段数は、送信データの周波数の変動域において最も周波数の低い時、すなわち、送信データの1ビットの周期が最も長くなる時において、その周期分の遅延が得られる段数に設定される。例えば、先の例において送信データにおける周波数が0.6kHzから2.4kHzの間で変化すると仮定すると、シフトレジスタを駆動するクロックCKは36kHzとしているため、周波数が最も小さい0.6kHzの時に1ビットの周期の遅延が得られるように、シフトレジスタ30の段数は60段必要となる。
【0053】
セレクタ31は、シフトレジスタ30の各段の出力を入力とし、間隔計測手段2の計測結果に応じてこれらの入力の一つを選択して出力する。例えば、間隔計測手段2の計測結果として、送信データにおける1ビットの間隔が固定クロックCKの32クロック分と計測された場合、セレクタ31はシフトレジスタ30の32段目の出力を選択して出力する。これにより、遅延手段3は、入力されるMSK信号に対し、常に送信データの1ビットの間隔に相当する時間だけ、入力を遅延することができる。
【0054】
ゲート手段4には、入力信号MSKと、遅延手段3の出力となる送信データの1ビット分だけ遅延されたMSK信号とが入力される。ゲート手段4は、これらの入力に対して排他的論理和がとり、さらにそれを反転させてシフトレジスタ5に出力する。本実施の形態に係るMSK復調回路では、ゲート手段4、シフトレジスタ5、および判定手段6が、特許請求の範囲に記載の復調手段に相当する。
【0055】
シフトレジスタ5は、このゲート手段4からの出力を入力とし、クロックCKで駆動される。シフトレジスタ5の段数は以下のように設定する。シフトレジスタ5の段数をN2とし、遅延手段3におけるセレクタ31が選択したシフトレジスタ30の出力段の段数をN1とした場合、従来の技術においても説明したように、ゲート手段4によって出力される信号に生じる不要なパルスの間隔はN1/6となる。また、N2を2N1/3以上に設定すると、後段の判定手段6においてデータ成分が検出できなくなる。このため、N1とN2との関係は、
N1/6<N2<2N1/3 ・・・ (1)
を満たすように設定する必要がある。
【0056】
尚、上記の(1)式は、送信データとMSK信号との周波数が図10(a)および(b)の関係となる場合に成立するものである。送信データとMSK信号との周波数の関係が変われば、N1とN2との関係式は上記(1)式とは異なるものとなるが、上記(1)式を導き出す場合と同様の考えでもって、その関係式を導くことが可能である。
【0057】
仮に、N2=N1/4と設定したとする。ここで、入力されるMSK信号の周波数により遅延手段3において遅延される遅延量は可変であり、上記N1の値もこれに応じて変化する。したがって、シフトレジスタ5は、遅延手段3におけるシフトレジスタ30の最大段数に対して(1)式を満足する段数を用意しておく必要がある。先の例の場合、N1の最大段数は60段であるので、N2は15段とする。
【0058】
上記のように設定されたシフトレジスタ5の各段の出力は、判定手段6に入力される。すなわち、シフトレジスタ5は、クロックCKに同期して、ゲート手段4からの出力信号中の連続したN2のビット数の信号を抽出して判定手段6に出力するものである。
【0059】
判定手段6では、シフトレジスタ5の連続した出力の全てのビットにおいて、0レベルもしくは1レベルになった時、その出力を0レベルもしくは1レベルとし、それ以外の場合は直前の出力を保持する。判定手段6の一構成例を図6に示す。
【0060】
判定手段6は、図6に示すように、第1の選択手段60、第2の選択手段61、第1のゲート手段62、第2のゲート手段63、およびフリップフロップ64によって構成されている。
【0061】
第1の選択手段60は、シフトレジスタ5の各段の出力を入力とし、シフトレジスタ5の出力段と同数の出力を有する。つまり、シフトレジスタ5が15段であれば、第1の選択手段60の出力は15本となる。そして、間隔計測手段2の計測結果に応じて、シフトレジスタ5の出力本数を選択し、それ以外の出力は1レベルに固定する。
【0062】
第1のゲート手段62はAND回路によって構成されており、第1の選択手段60からの入力が全てのビットにおいて1レベルであることを検出する1レベル検出手段として作用する。
【0063】
ここで、シフトレジスタ5の段数N2を15段と設定しているが、これは、遅延手段3におけるシフトレジスタ30の出力段の段数N1が60段の場合に、N2=N1/4となるように設定されているものであり、N1がこれより小さい場合には、シフトレジスタ5における全ての出力を判定手段6での判定に用いると、N2が上記(1)式を満たさず、判定手段6においてデータ成分が検出できなくなる。例えば、遅延手段3におけるシフトレジスタ30の出力段の段数N1が28段であったとすると、N2の範囲は上記(1)式より5以上14以下に設定される必要があり、N2を15段のままでは正確な判定ができないこととなる。
【0064】
このため、第1の選択手段60は、シフトレジスタ5からの15本の出力に対して、間隔計測手段2の計測結果に応じて出力本数を減少させる。例えば、間隔計測手段2の計測結果よりN1が32段であったとすると、(1)式よりN2は8段となり、第1の選択手段60は、シフトレジスタ5からの15本の出力に対して最初から8段分の出力を後段の第1のゲート手段62に出力すると共に、残りの7段分の出力は1レベルとして第1のゲート手段62に出力する。つまり、第1のゲート手段62に出力される最初の8ビットが連続で1レベルとなれば、第1のゲート手段62の出力が1レベルとなり、実質的に8ビットの出力についてのみ1レベル検出が行われることとなる。
【0065】
同様に、第2の選択手段61は、シフトレジスタ5の出力を間隔計測手段2の計測結果に応じて選択し、シフトレジスタ5の出力を選択した以外の出力は0レベルに固定する。第2のゲート手段63はNOA回路によって構成され、第2の選択手段61からの入力が全て0レベルの時のみ、出力が1レベルとなる。
【0066】
フリップフロップ64はRSフリップフロップであり、第1のゲート手段62および第2のゲート手段63のそれぞれの出力をセット入力およびリセット入力としている。このため、第1のゲート手段62の出力が1レベルであるときは、フリップフロップ64の出力(すなわち、本実施の形態におけるMSK復調回路の復調結果)が1レベルとなり、第2のゲート手段63の出力が1レベルであるときは、フリップフロップ64の出力が0レベルとなる。そして、第1のゲート手段62および第2のゲート手段63の出力が何れも0レベルである場合には、フリップフロップ64は前の出力状態を維持する。
【0067】
尚、上述の判定手段6では、第1および第2の選択手段によって、シフトレジスタ5からの出力本数N2を選択する構成となっている。これは、遅延手段3におけるシフトレジスタ30の出力段数N1が可変であり、N2を固定とするとN1の値によってはN1およびN2が上述の(1)式を満たさず、判定手段6において正確な判定ができなくなるためである。しかしながら、ある特定の条件下においては、判定手段6においてシフトレジスタ5からの出力本数を選択する構成を省略することも可能である。
【0068】
上述のように、クロックCKが36kHz、送信データにおける周波数が0.6kHzから2.4kHzの間で変化すると仮定した場合、シフトレジスタ30の出力段数N1における最大値N1maxおよび最小値N1minは、N1max=60、N1min=15である。この場合、N1maxおよびN1minの両方に対して上記(1)式を満たすN2の値は存在せず、判定手段6においてシフトレジスタ5からの出力本数N2を選択する構成が必要となる。
【0069】
これに対し、例えば、クロックCKが36kHz、送信データにおける周波数が0.6kHzから1.2kHzの間で変化すると仮定した場合、シフトレジスタ30の出力段数N1における最大値N1maxおよび最小値N1minは、N1max=60、N1min=30である。この場合、N1maxおよびN1minのそれぞれにおける(1)式は、
N1max/6=10<N2<30=2N1max/3
N1min/6=5<N2<15=2N1min/3
となり、N2の段数が11〜14段に設定されていれば、その段数が固定であってもシフトレジスタ30の出力段数N1の全範囲において上記(1)式を満たすことができる。
【0070】
すなわち、送信データにおける周波数の全可変域において上記(1)式を満たすN2の値が存在する場合には、シフトレジスト5の出力本数を該N2の値とすることで、判定手段6においてシフトレジスタ5からの出力本数を選択する構成を省略することができる。この場合、判定手段6の構成は、図9に示した判定手段120と同様の構成とすることができる。
【0071】
以上のように、本実施の形態に係るMSK復調回路によれば、入力されるMSK信号の周波数が変化するような場合でも、送信データを誤検出することなくMSK信号の復調を行うことができる。
【0072】
続いて、図7および図8は、上記MSK復調回路を構成する各部の出力を示す波形図であり、この波形図を用いて本実施の形態におけるMSK復調回路の動作を説明する。
【0073】
図7は、送信データの周波数が正規の周波数よりも高い状態で入力される場合を示すものであり、この場合、図7(a)に示す送信データおよび図7(b)に示すMSK信号ともに、その周波数は高くなっている。
【0074】
図7(c)は、PLL手段1の出力波形であり、PLL手段1において、入力されてくるMSK信号のうち、送信データの1レベルに相当する期間にのみPLLをかけることによって、送信データの1ビットに相当する周波数と一致する周波数のパルス信号が得られる。そして、間隔計測手段2においてこのPLL手段1の出力のパルス間隔をクロックCKの数によって計測する。このパルス間隔を表すクロック数を仮にAとする。
【0075】
この場合、遅延手段3内のシフトレジスタ30によって、図7(d)に示されるようにAクロック分だけ遅延された信号が出力される。そして、ゲート手段4には、入力MSK信号と遅延手段3によって遅延されたMSK信号とが入力されこれらの排他的論理和が反転されて出力される。これにより、ゲート手段4における出力波形は図7(e)に示すものとなる。
【0076】
このゲート手段4の出力には、間隔A/6のパルスが入っている。しかしながら、判定手段6においては、間隔計測手段2の計測結果がAであるので、間隔A/4以下のパルスは検出しないように設定されている。このため、図7(f)に示す復調結果において、このパルスは出力されない。このようにして、送信データの復調を正しく行うことができる。
【0077】
次に、図8は送信データの周波数が図7の場合よりも低い場合の波形を表している。
【0078】
図7の場合と同様に、図8(b)に示すMSK信号の送信データの1レベルに相当する期間に対しPLLがかけられ、図8(a)に示す送信データの1ビットに同期するように図8(c)に示すパルス信号が得られる。そして、このPLL出力の間隔Bを計測する(仮にB>Aとする)。遅延手段3では、図8(d)に示すように、Bクロック分だけ遅延された信号が出力され、ゲート手段4にて排他的論理和の反転信号(図8(e)参照)が出力される。この排他的論理和の出力には、B/6の間隔のパルスが出力されているが、判定手段6においては、間隔計測手段2の出力がBであることより、B/4(>A/4)以下の間隔のパルスは出力されないように設定されている。このため、図8(f)に示される復調結果にこのパルスは出力されず、送信データが正しく復調される。
【0079】
このようにして、本実施の形態におけるMSK復調回路では、送信データの周波数が変化しても正しく送信データが復調される。
【0080】
以上のように、本実施の形態におけるMSK復調回路では、送信データに同期するようにPLLをかけ、このPLLの出力の間隔を計測し、この計測結果に応じて、MSK信号の遅延量を変化させる。
【0081】
また、データの判定においては、シフトレジスタのビットが連続して1レベルもしくは0レベルの場合にデータをそれぞれ1レベル、0レベルと判定に用いるが、この判定に用いるビット数をPLLの出力の間隔の計測結果によって変化させることができる。
【0082】
このため、入力されるMSK信号の周波数、言い換えれば、送信データの周波数が変化しても誤ってデータを判定することなく、常に正しく送信データの復調を行うことができる。
【0083】
また、送信データの1ビットに相当する間隔の計測には、送信データに同期させたPLLの出力を測定する構成としているため、MSK信号にノイズ等が混入しても、復調結果に影響を受けないMSK復調回路を得ることができる。さらに、本発明におけるMSK復調回路は全ての部分をデジタル回路で構成することが可能であり、該MSK復調回路の集積化を行うような場合に好適である。
【0084】
尚、本発明の復調回路は、例えば、光ディスク再生装置等において適用することが好適である。すなわち、光ディスクの案内溝を蛇行させてアドレス情報(本実施の形態に係る説明の送信データに相当する)を記録する際、該アドレス情報の変調方式とMSK方式を採用し、その復調に本発明のMSK復調回路を用いると、光ディスクの起動後、その回転数が正規の回転数に達する前に、言い換えれば、案内溝から得られる周波数が所定の周波数に達していない場合においてもMSKの復調ができ、光ディスク再生装置の起動時間が短縮できる。
【0085】
但し、本発明のMSK復調回路の適用は光ディスクの再生に限定されるものではない。例えば、光ディスク以外の用途としては、ハードディスクにMSK変調が用いられた場合は、ディスクの回転により読出信号の周波数が変動するため、本発明に係るMSK復調が適用可能である。
【0086】
【発明の効果】
本発明のMSK復調回路は、以上のように、入力されたMSK信号から、送信データの周波数を抽出する抽出手段と、周波数抽出手段によって抽出された周波数に基づいて送信データの1ビット期間を計測する計測手段と、計測手段によって計測された送信データの1ビット期間に基づき、MSK信号を遅延させる遅延手段と、入力されたMSK信号と遅延手段によって遅延させたMSK信号とを用いて該MSK信号の復調を行う復調手段とを備えている構成である。
【0087】
それゆえ、上記復調手段は、上記抽出手段、計測手段および遅延手段の処理により、送信データの1ビット期間だけ遅延させたMSK信号を得ることができ、送信データの周波数が一定でない場合においても、入力されたMSK信号と送信データの1ビット期間だけ遅延させたMSK信号とを用いてMSK信号の復調を行うことができるという効果を奏する。
【0088】
また、上記MSK復調回路では、上記抽出手段は、入力されたMSK信号から、送信データの1レベル期間に相当する信号を抽出する信号抽出手段と、信号抽出手段によって抽出されたMSK信号に対して位相ロックループをかけることにより、送信データの周波数を抽出する周波数抽出手段とを備えている構成とすることができる。
【0089】
それゆえ、信号抽出手段によって入力されたMSK信号から、送信データの1レベル期間に相当する信号を抽出し、その抽出されたMSK信号に対して周波数抽出手段により位相ロックループをかけるため、送信データの1レベルに相当する期間と0レベルに相当する期間とではその周波数が異なるMSK信号から送信データの周波数を抽出することができるという効果を奏する。
【0090】
また、上記MSK復調回路では、上記計測手段は、上記抽出手段によって抽出された送信データの周波数に基づき、送信データの1ビット期間を、固定周波数を有する基準クロックのクロック数によって計測する構成とすることができる。
【0091】
それゆえ、送信データの1ビット期間を基準クロックのクロック数によって計測することにより、後段の制御において送信データの1ビット期間を用いる場合に上記基準クロックを使用することができるという効果を奏する。
【0092】
また、上記MSK復調回路では、上記遅延手段は、上記基準クロックによって駆動する多段のシフトレジスタによって構成され、該シフトレジスタにMSK信号が入力されてから出力されるまでの段数を、上記計測手段によって計測されたクロック数に対応する段数とすることによってMSK信号を遅延させる構成とすることができる。
【0093】
それゆえ、簡易な構成の遅延手段によって遅延させたMSK信号を得ることができるという効果を奏する。
【0094】
また、本発明に係る光ディスク再生装置は、以上のように、変調方式としてMSKを使用したアドレス情報を、案内溝を蛇行させることによって記録している光ディスクに対して再生を行うものであり、上述のMSK復調回路を用いて、上記アドレス情報の復調を行う構成である。
【0095】
それゆえ、案内溝を蛇行させてMSK変調されたアドレス情報を記録している光ディスクの再生時において、その回転数が正規の回転数に達していない状態(送信データの周波数が所定値に達していない状態)においても、MSK変調されたアドレス情報を復調することができ、光ディスク再生装置の起動時間を短縮することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示すものであり、MSK復調回路の構成を示すブロック図である。
【図2】上記MSK復調回路におけるPLL手段の構成例を示すブロック図である。
【図3】上記MSK復調回路におけるPLL手段の動作例を示す波形図である。
【図4】上記MSK復調回路における間隔計測手段の構成例を示すブロック図である。
【図5】上記MSK復調回路における遅延手段の構成例を示すブロック図である。
【図6】上記MSK復調回路における判定手段の構成例を示すブロック図である。
【図7】図7(a)〜(f)は、上記MSK復調回路における動作例を説明する波形図である。
【図8】図8(a)〜(f)は、上記MSK復調回路における動作例を説明する波形図である。
【図9】従来のMSK復調回路の構成を示すブロック図である。
【図10】図10(a)〜(e)は、従来のMSK復調回路における動作例を説明する波形図である。
【符号の説明】
1 PLL手段(抽出手段)
2 間隔計測手段(計測手段)
3 遅延手段
4 ゲート手段(復調手段)
5 シフトレジスタ(復調手段)
6 判定手段(復調手段)
10 ディレイ手段(信号抽出手段)
11 位相比較器(周波数抽出手段)
12 LPF(周波数抽出手段)
13 電圧制御発振器(周波数抽出手段)
14 エッジ検出手段(信号抽出手段)
15 カウント手段(信号抽出手段)
16 第1のラッチ手段(信号抽出手段)
17 第2のラッチ手段(信号抽出手段)
18 判定手段(信号抽出手段)
19 スイッチ手段(信号抽出手段)
30 シフトレジスタ
CK クロック(基準クロック)
Claims (5)
- 送信データをMSK変調して得られたMSK信号の入力を受け、入力されたMSK信号と送信データの1ビット期間だけ遅延させたMSK信号とを用いて該MSK信号の復調を行うMSK復調回路において、
入力されたMSK信号から、送信データの周波数を抽出する抽出手段と、
周波数抽出手段によって抽出された周波数に基づいて送信データの1ビット期間を計測する計測手段と、
計測手段によって計測された送信データの1ビット期間に基づき、MSK信号を遅延させる遅延手段と、
入力されたMSK信号と遅延手段によって遅延させたMSK信号とを用いて該MSK信号の復調を行う復調手段とを備えていることを特徴とするMSK復調回路。 - 上記抽出手段は、
入力されたMSK信号から、送信データの1レベル期間に相当する信号を抽出する信号抽出手段と、
信号抽出手段によって抽出されたMSK信号に対して位相ロックループをかけることにより、送信データの周波数を抽出する周波数抽出手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載のMSK復調回路。 - 上記計測手段は、上記抽出手段によって抽出された送信データの周波数に基づき、送信データの1ビット期間を、固定周波数を有する基準クロックのクロック数によって計測することを特徴とする請求項1記載のMSK復調回路。
- 上記遅延手段は、上記基準クロックによって駆動する多段のシフトレジスタによって構成され、該シフトレジスタにMSK信号が入力されてから出力されるまでの段数を、上記計測手段によって計測されたクロック数に対応する段数とすることによってMSK信号を遅延させることを特徴とする請求項3記載のMSK復調回路。
- 変調方式としてMSKを使用したアドレス情報を、案内溝を蛇行させることによって記録している光ディスクに対して再生を行うものであり、
上記請求項1ないし4の何れかに記載のMSK復調回路を用いて、上記アドレス情報の復調を行うことを特徴とする光ディスク再生装置。
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CN101304396B (zh) * | 2007-06-11 | 2012-04-25 | 杭州中科微电子有限公司 | 采用相轴检测的低功耗msk非相干数字解调方法和解调器 |
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