JP2004017342A - 光情報記録媒体 - Google Patents

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Osamu Akutsu
圷 収
Masaru Hatakeyama
畠山 大
Katsunori Oshima
大嶋 克則
Kenji Oishi
大石 健司
Satoshi Yamashita
山下 智
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Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

【課題】高出力の再生光に耐えることが可能なGeSbTe系の光情報記録媒体を提供する。
【解決手段】基板1上に、少なくとも反射層2、第一保護層3、相変化型光記録層4、第二保護層5をこの順に積層してなり、前記第二保護層5側からの光の照射により前記相変化型光記録層4を相変化させることにより情報の記録および消去を行なう光情報記録媒体10であって、
前記相変化型光記録層はVwGexSbyTezより構成され、
0.5≦w≦2
3.4≦x≦14.5
2.1≦y/z≦4
w +x+y+z=100(原子比)
であることを特徴とする。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光の照射により記録層を構成する原子の配列が変化して情報の記録および消去が行なわれる光情報記録媒体(光ディスク)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザビームの照射による情報の記録、再生及び消去可能な光メモリー媒体の一つとして、結晶−非晶質間、あるいは結晶1−結晶2の2つの結晶相間の転移を利用する、いわゆる相変化型光記録媒体がよく知られている。
【0003】
相変化記録方式に用いられる記録層材料としては、カルコゲン系合金薄膜を用いることが多い。その中で、GeSbTe系、AgInSbTe系合金薄膜は、書き換え可能な光ディスクとして実用化されている。
【0004】
記録原理は次の通りである。成膜直後の記録層は、非晶質状態で反射率は低い。まず、初めにレーザ光を照射して記録層を加熱し、ディスク全面を反射率の高い結晶状態にする。すなわち初期化を行う。通常この初期化は、数10〜100μm程度に絞ったレーザビームを回転する媒体に照射することにより行う。
【0005】
初期化した光ディスクにレーザ光を局所的に照射して、記録層を溶融、急冷し、アモルファス状態に相変化させる。相変化に伴い記録層の光学的性質(反射率、透過率、複素屈折率等)が変化して、情報が記録される。
【0006】
再生は、記録時より弱いレーザ光を照射して、結晶とアモルファスとの反射率差、または位相差を検出して行う。書き換えは、結晶化を引き起こす低エネルギーの消去パワーの上に重畳した記録ピークパワーを記録層に投入することにより、消去過程を経ることなくすでに記録された記録マーク上にオーバーライトする。
【0007】
前記したGeSbTe系で、実用化されている材料以外の系統では、SbとTeの共晶組成でも結晶−非結晶状態が転移することがわかっている。
【0008】
ところで、Sb70、Te30に第3元素、特にGeを加えた組成範囲を含む公知資料としては、特開平1−115685号公報、特開平1−251342号公報、特開平1−303643号公報等を挙げることができる。
【0009】
しかしながら、かかる公知の公開公報の内容によれば、本発明と一部その組成範囲として重なる部分はあるとしても、後述する如く、その具体的構成が異なるものであるから、かかる公知の公開公報の技術内容では、本発明が意図する十分な記録再生特性、コントラスト、かつ、再生光耐久性の高い、この種の光情報記録媒体を得ることは出来ないものである。
【0010】
一方、相変化材料を使った光ディスクの記録方法は、これまでDVD−ROMで使われている波長650nm付近の赤色レーザ光、またはそれよりも波長の長いレーザ光を用いて行なわれてきた。しかし、近年、波長400nm付近で発光する半導体レーザが市場に登場してきた。さらに対物レンズは、その開口数(NA)がより高くなりビームをより絞ることが出来るようになってきた。
【0011】
これは、より短い波長のレーザと、高いNAの対物レンズとを組み合せて使うことが出来れば、ビームスポット径が小さくなり、それだけ光ディスクの記録密度を上げることが出来るからである。そこで、青色レーザを用いた光ディスクシステムの検討が、各社で進められている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、青色レーザのシステムを使って従来の赤色レーザのシステムに比べて大きく性能が上回り、高密度記録を実現する光ディスクの研究・開発を行っている。このような光ディスクでは、波長の短い青色レーザに対応し、かつ、短いパルス幅でも十分に記録が可能であり、しかも、書き換えが出来ることが要求される。
【0013】
従来の材料のうち、共晶組成近傍のGeSbTe系の材料は、青色レーザのシステムである程度記録再生することが可能であることを、実験で確認している。また、記録再生特性を向上させるために、GeSbTe系材料の構成元素のうち、SbとTe量のバランスを調整することで結晶化速度を制御し、記録時の対応線速度を変えることが出来ることを実験で確認している。
【0014】
また、Geの量は記録材料の安定性に大きく影響し、適度な範囲の量であればビーム径が小さくエネルギー密度の高い青色レーザに対する再生耐久性を向上することが出来る。
【0015】
しかしながら、より高密度記録を行うためには、更なる記録再生特性の向上、すなわち、再生パワーのアップと、ジッタの減少化が必要であるが、記録材料としてGeSbTe系材料を使った光ディスクでは、その点に関し、特性上に限界がある。
【0016】
そこで本発明者等は、鋭意研究開発を進めた結果、相変化型光記録層としてのGeSbTe系の材料において、SbとTeのバランスを所定範囲に設定し、かつ、Geの量を特定し、更にこれらGeSbTe系の材料に、新規にバナジウム(V)を適当量添加することで、GeSbTeのみの記録材料に比べて、青色レーザを使ったシステムでの優れた記録再生特性を示す、再生光に対し強い耐久性を示す光ディスクを得ることができたものであり、かかる光ディスクを提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、基板1上に、少なくとも反射層2、第一保護層3、相変化型光記録層4、第二保護層5をこの順に積層してなり、前記第二保護層5側からの光の照射により前記相変化型光記録層4を相変化させることにより情報の記録および消去を行う光情報記録媒体10であって、
前記相変化型光記録層はVwGexSbyTezより構成され、
0.5≦w≦2
3.4≦x≦14.5
2.1≦y/z≦4
w +x+y+z=100(原子比)
であることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施例を添付図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施例は本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0019】
まず、本実施例になる光ディスクをより良く理解していただくために、その背景につき説明する。前記した公知の公開公報等でも理解できるように、初期化を行うには、かなり高出力のレーザが必要となるものである。そして、高出力のレーザにおいては、ビーム径が絞られているので少ないレーザパワーでもビーム光の密度は上がるものではあるが、数ミクロンのビーム径を走査しての初期化は、非常に時間を要していたものである。
【0020】
そこで、より低パワーで初期化が可能な共晶系ではないGeTeとGeSbを組み合せて作るGeSbTe系の材料が開発され、現在のDVD−RAM系の商品が誕生したものである。そして、この材料に少し遅れてAgInSbTe系の材料が開発され、CD−RWやDVD−RWの誕生となったものである。
【0021】
このAgInSbTe系材料は、RAMで使われるGeSbTeに比べてより強いレーザパワーが必要となる。そして、このあたりから、レーザの短波長化や高出力化が進み、初期化装置として高出力のレーザを搭載したものが登場してくるものである。
【0022】
このような、高出力のレーザを搭載した初期化装置の出現によって、従来初期化が困難であった共晶系のGeSbTeの材料開発が進み、現在に至っているものである。
【0023】
以下、本発明になる光ディスクの好適な一実施例について、図1を参照して説明する。なお本発明は、前記した如く以下に述べるような実施例の構造、使用物質に限定されるものではない。
【0024】
図1は、本実施例に係る光ディスクの基本構成の一実施例を示す断面図、図2は、記録時のストラテジのパターンを示す図、図3は、本実施例に係る光ディスクの基本構成における他の実施例を示す断面図、図4〜図10は、記録層へVを添加した記録層組成に対する再生光耐久性を示す図及び初期ジッタを示す図、図11は、V添加記録層組成において、各サンプルにおけるGeの量を示す説明図、図12は、同、Sb/Teの比を示す説明図、図13は、本実施例になる記録条件である記録パワーとストラテジを示す説明図、図14は、再生パワーを変化させた場合に於けるスチル開始直後と5分経過後の比較説明図である。
【0025】
図1に示す如く、本実施例になる光ディスク10は、基板1上に反射層2を、この反射層2上に第一保護層3を、この第一保護層3上に記録層4を、この記録層4上に第二保護層5を、この第二保護層5上に接着層6を介してカバーシート7を設けて構成したものである。本実施例になる光ディスク10は、基板1上に記録層3を有し、前記基板1とは異なる側からの光の照射によりこの記録層3を構成する原子の配列が変化して、情報の記録および消去が行われる光ディスクがその前提である。
【0026】
ここで、レーザビーム(光)は、カバーシート7側から入射するが、カバーシート7を設けず基板1側からレーザビームを入射しても良い。また、反射率が十分得られる場合には、前記した反射層2を設けない構成としてもよい。
【0027】
図3は、基板1側からレーザビームを入射する他の実施例の断面図であり、この他の実施例になる光ディスク20は、基板1上に第二保護層5を、この第二保護層5上に記録層4を、この記録層4上に第一保護層3を、この第一保護層3上に反射層2を、この反射層2上に保護コート8を設けて構成したものである。
【0028】
本実施例等における光ディスク10、20に用いる基板1としては、ガラス、プラスチック、ガラス上に光硬化性樹脂を設けたもの等のいずれであってもよいが、コストを含む生産性の面ではプラスチックが好ましく、中でもポリカーボネート樹脂が好ましい。
【0029】
記録層4の厚さとしては、特に限定するものではないが、3nm〜100nmである。特に記録、消去感度が高く、多数回の記録消去が可能であることから3nm以上30nm以下とすることが好ましい。
【0030】
誘電体層となる前記した第一、第二保護層3、5は、このように構成配置することによって、記録時に前記した基板1、記録層4などがレーザビームの照射熱によって変形し、記録特性が劣化することを防止するなど、基板1、記録層4を熱から保護する効果、光学的な干渉効果により、再生時の信号コントラストを改善する効果がある。
【0031】
さらに、記録層4の結晶化を促進して、消去率を向上させる効果もある。この第一、第二保護層3、5としては、ZnS−SiO、Si、Alなどの無機薄膜がある。
【0032】
特に、Si、Ge、Al、Ti、Zr、Taなどの金属、あるいは半導体の酸化物の薄膜、Si、Ge、Alなどの金属、あるいは半導体の窒化物の薄膜、Ti、Zr、Hf、Siなどの金属、あるいは半導体の炭化物の薄膜、ZnS、In、TaS、GeS等の金属、あるいは半導体の硫化物の薄膜、及びこれら化合物の2種類以上の混合物の膜が、耐熱性が高く、化学的に安定なことから好ましい。
【0033】
さらに、記録層4への保護層を構成する第一、第二保護層3、5としては、原子の拡散がないものが好ましい。これらの酸化物、硫化物、窒化物、炭化物は必ずしも化学量論的組成をとる必要はなく、屈折率等の制御のために組成を制御したり、混合して用いることも有効である。
【0034】
また、これらにMgFなどのフッ化物を混合してなる第一、第二保護層3、5も、膜(層)の残留応力が小さいことから好ましい。特にZnSとSiOの混合膜は、記録、消去の繰り返しによっても、記録感度、C/N、消去率などの劣化が起きにくいことから好ましい。第一、第二保護層3、5の厚さは、およそ5nm〜200nmである。
【0035】
また、第一保護層3の厚さは、C/N、消去率などの記録特性、安定に多数回の書換えが可能なことから5nm〜30nmが好ましい。第二保護層5は、記録層4や接着層6から剥離し難く、クラックなどの欠陥が生じ難いことから、30nm〜200nmが好ましい。第一、第二保護層3、5は、同一ではなく異なる化合物から構成されてもよい。
【0036】
反射層2の材質としては、光反射性を有するAl、Au、Agなどの金属、及びこれらを主成分とし、Ti、Cr、Pd、Cuなどの添加元素を含む合金、及びAl、Au、Agなどの金属にAl、Siなどの金属窒化物、金属酸化物、金属カルコゲン化物などの金属化合物を混合したものなどが挙げられる。Al、Au、Agなどの金属、及びこれらを主成分とする合金は、光反射性が高く、かつ熱伝導率を高くできることから好ましい。前記した反射層5の厚さとしては、おおむね5nm以上300nm以下である。
【0037】
本実施例の光ディスク10、20の記録に用いる光源としては、レーザ光(レーザビーム)を用いることが好ましく、主に近赤外域の波長830nmから紫外域の300nmの範囲にあるレーザ光である。1次光を2次高調波発生素子(SHG素子)を用いて短波長化した光源を利用することもできる。
【0038】
以下に本発明になる光ディスク10の一実施例を説明するが、その前に図2を参照して記録時のストラテジについて説明する。本発明になる光ディスク10への記録は、結晶状態の記録層4にレーザ光パルスなどを照射して加熱してから急冷した後に、アモルファスの記録マークを形成して行う。
【0039】
実用的には、結晶化を引き起こす低エネルギーの消去パワー(P2)の上に重畳した記録ピークパワー(P1)を記録層4に投入することにより、消去過程を経ることなくすでに記録された記録マーク上にオーバーライトする。このときの記録レーザパルスは、記録マーク長より短い複数のパルスに分割される。
【0040】
以下に具体的な実施例を示すが、前記した如く、本発明はこの実施例に限定されるものではない。本実施例では、波長405nmのレーザダイオード、開口数NA=0.85の光学レンズ(対物レンズ)を搭載したシバソク社製光ディスクドライブテスタ(LM330A)を用いて記録(1ビーム・オーバーライト)を行った。初期化装置は、シバソク社製イニシャライザ(LK201A)を使用した。
【0041】
以下に、実施例を説明するものであるが、前記した如く、共晶組成近傍のGeSbTe系の材料は、青色レーザを使用してのシステムで、ある程度記録再生することが可能であることが実験で確認されている。また、記録再生特性を向上させるために、GeSbTe系材料の構成元素のうち、SbとTe量のバランスを調整することで結晶化速度を制御し、記録時の対応線速度を変えることが出来ることも実験で確認されている。
【0042】
また、Geの量は記録材料の安定性に大きく影響し、適度な範囲の量であればビーム径が小さくエネルギー密度の高い青色レーザに対する再生耐久性を向上することが出来ることも、これ又実験で確認されているものである。
【0043】
そこで、後述する図15の比較例の説明において、前記したGeSbTeについて18個のサンプルの実験を行った結果、GeSbTeの組成量(原子比)と、Sb/Te比が所定の範囲にある場合には、次世代青色レーザに対応し、かつ、短いパルス幅でも充分に記録が可能であり、しかも書き換えが出来る範囲と思われる、再生劣化が0.2dB以下で、かつ、初期ジッタも9%以下の範囲を満足するサンプル12個を抽出した。
【0044】
しかしながら、これら12個のサンプルは、前記した如く次世代青色レーザに対応し、かつ、短いパルス幅でも充分に記録が可能であり、しかも書き換えが出来る範囲のものであるとしても、次世代青色レーザを使ってより高密度の記録を行うためには、前記した如く再生パワーのアップと、ジッタの低減化の点で満足できるものではなかった。すなわち、従来構成になる相変化型光記録層としてGeSbTe系の材料を用いた光ディスクは、耐久再生パワー出力としては、せいぜい0.36mW程度であるため、コントラストが取れず、従って、C/Nが悪くなり、ジッタの低減化にはつながらず、更なる記録再生特性の向上が必要なものであった。
【0045】
本発明は、かかる点を解決するために、前記した如く相変化型光記録層としてGeSbTe系の材料を元に新規にバナジウム(V)を適当量添加することで、GeSbTeのみの記録材料に比べて、青色レーザを使ったシステムでの優れた記録再生特性を示すと共に、再生光に対し強い耐久性を示す光ディスクを得ることができたものであり、以下その点につき具体的に説明する。
【0046】
なお、以下の本実施例の説明においては、前記した次世代青色レーザに対応し、かつ、短いパルス幅でも充分に記録が可能であり、しかも書き換えが出来る範囲に入っていた12個のサンプルをベースとし、この12個のうち更に7個を選択し、この選択した7個のサンプルにVを添加することによって、従来構成では到底奏し得ず、本実施例構成によって初めて特有の効果を奏し得た点につき説明する。
【0047】
まず、sampleNo.2につき図4を参照して説明する。なお、図4において、2は後述する図15のsampleNo.2を示し、2−v1〜2−v6は、このsampleNo.2に対し、Vの量を変えていった時の耐久再生パワーと、平均初期ジッタの状態を示すものである。
【0048】
(実施例1)
直径120mmのポリカーボネート基板1にまず、反射層2としてAg合金、第一保護層3としてZnS−SiO、さらに記録層4としてVGeSbTe、第二保護層5としてZnS−SiOを順にスパッタリング法により形成した。その後、UV硬化樹脂を接着層6として用い、その上にカバーシート7を貼りあわせた。この時の各層の膜厚は、反射層2を50nm、第一保護層3を10nm、記録層4を18nm、第二保護層5を50nmとした。
【0049】
また、記録層4の組成は、原子比でV0.5%、Ge3.4%、Sb72.7%、Te23.4%とした。貼り合わせ後、接着層6を十分硬化させるためにUV照射を行った。その後、レーザービームスポット径120μmのイニシャライザで初期化条件を線速度4m/s、送りピッチ40μmに固定し、レーザ出力570mWで初期化を行った。
【0050】
ここで初期化のレーザ出力は、GeSbTeを使った後述する比較例と同じとなったが、VGeSbTeに最適化した結果である。その後、1−7変調された情報信号を5.28m/sで、図2に示す如く、ストラテジで1T=15.1nsecとし、後述する図13の記録条件一覧のsampleNo.2に示す如く、P1=5.2mW、P2=2.7mW、P3=0.1mW、P4=0.1mW、ストラテジ(T)をT1=0.4T、T2=0.4T、T3=0.6T、T4=0.6Tでグルーブに記録し、再生信号の振幅の中心でスライスしてクロック・トゥー・データ・ジッタ(clock to data jitter)を測定した。
【0051】
なお、図13のsampleNo.2〜sampleNo.17は、本実施例等を含む各実施例のsampleNo.2〜sampleNo.17と対応しているものである。
【0052】
ジッタは、タイムインターバルアナライザ(型式TA520:横河電機(株)製)により測定した。初回記録後の初期ジッタは、記録マークの始端で7.2%、記録マークの後端では7.0%であり、良好な記録が出来た(図4において、2−v1参照)。なお、初期ジッタ値とは、光ディスクそのもののジッタであって、次世代青色レーザ規格では、装置(ハード)側を含めてのジッタ値は、10%以下とされている。従って、少なくとも光ディスク単体での初期ジッタ値は、略7%程度に抑えられていることが好ましい。
【0053】
また、同一ディスクに前記したストラテジで2T長の単一信号を記録した。記録したトラックをスチル再生し、C/Nを測定した。この時、再生パワーを0.30mWから0.40mWまで0.01mW刻みで変えて、スチル再生開始直後と5分経過後のC/Nを測定した。ここで、スチル再生開始直後と5分経過後のC/N差が0.2dB以下の範囲内に収まる再生パワーの最大値を耐久再生パワーとした。C/Nは、スペクトラムアナライザをはじめとする測定誤差が0.2dB程度ある。
【0054】
再生光による劣化がある場合、C/Nの変化は、スチル再生1分程度で変化が殆ど確認できる。5分経過後には、C/N劣化量は0.2dBを確実に上回り、劣化したことを十分確認できる。そこで、再生光による劣化の判定基準をC/N差0.2dBとした。
【0055】
前記測定によると、この実施例1の光ディスクの開始直後のC/Nは、50.3dB、5分経過した後のC/Nは、50.3dBであった。C/Nの測定は、スペクトラムアナライザを用い、16個のデータを取り込みその平均値とした。
【0056】
このように、この実施例1の光ディスクにおいては、スチル再生開始直後のC/Nと5分経過後のC/Nは何等変化がなく、すなわち、再生劣化がなく安定した性能を有する光ディスクであることが分かる。
【0057】
ここで、再生光について説明する。記録するマークのうち、ジッタが最も悪いのは、記録するのが難しい最短マークである2Tマークである。これは、記録するときのレーザ照射時間、つまりマーク形成時間が最も短いため、マーク形成に手間取るからである。つまり、2Tマークのジッタを、例えば9%以下に抑えることが出来れば、全マークは確実に9%以下に抑えることができ、従って、総合したジッタを大きく低減する事が出来るからである。この2T単独のジッタが9%になるために必要なC/Nは、51.0dBであることが実験で分かっている。
【0058】
ここで、Vが含有されていないGeSbTeを相変化記録層とした場合には、劣化しないであろう0.3mWのパワーで再生すると、50.0dBのC/Nとなる。ここで、再生光を耐久パワー最大の0.36mWまで引き上げても、せいぜい50.0dBにとどまり、51.0dBには達しないことが実験的に確認されている。
【0059】
一方、Vが含有されているGeSbTeを相変化記録層とした本実施例の場合は、耐久再生パワーは0.38mW〜0.40mWである。これは、後述する如く、Vは高融点元素であり、熱的に非常に安定であること、相変化記録層を構成するGe、Sb、Teとは反応せず、また、隣接する保護層を形成する材料とも反応しない安定した物質であること、適量の添加により、記録膜中でこのVがアンカーとして働き、記録マーク形成時にマークエッジがより鋭くなることでジッタが低減すること、さらに、前記した如く高融点材料ということで熱的耐久性がよいため、再生光に対しより強いパワーまで耐えることができるからと思われる。
【0060】
そして、劣化しないであろう0.30mWのパワーで再生した場合、C/Nは最大で50.5dBであるが、0.38mWまで再生パワーを上げることでC/Nは51.0dBに到達することが出来たものである。すなわち、記録するのが難しい最短マークである2Tマークの形成時でも、この2T単独のジッタが9%に抑えることが出来るものである。
【0061】
ちなみに、再生パワーを0.38mWまで上げた場合のスチル再生開始直後のC/Nは51.2dB、5分経過後のC/Nは同じく51.2dBであった。すなわち、前記した2T単独のジッタが9%になるために必要なC/N条件を、充分に満足しているものであった。(図14参照)
【0062】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を1.0とした場合を2−v2として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、0.38、平均初期ジッタとして6.95と前記2−v1を上回る実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクは、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0063】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を1.5とした場合を2−v3として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.38、平均初期ジッタとして6.93と前記2−v2を更に上回る実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0064】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を2.0とした場合を2−v4として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.38、平均初期ジッタとして6.97と充分な実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0065】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を2.5とした場合を2−v5として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.38、平均初期ジッタとして8.00とsampleNo.2より悪い実験結果であった。すなわち、この例に於ける光ディスクは、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を満足しない光ディスクであることが分かる。
【0066】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を3.0とした場合を2−v6として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.38、平均初期ジッタとして9.12と前記2−v5より更に悪い実験結果であった。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を満足しない光ディスクであることが分かる。
【0067】
ここで、測定誤差として、0.2dB程度の誤差は生じるので、再生開始直後のC/N変化は、0.2dB以下であれば良好であると見なした。すなわち、スチル再生開始直後のC/Nと5分経過後のC/Nは実質的に変化がないということである。ここで、5分経過した後のC/N劣化が0.2dB以下で耐えられる再生パワーの強度を調べたところ、0.38mWまで耐久可能であった。このことより、実施例1になる光ディスク10は、再生光に対して、強い耐久性を示しており、次世代の規格を満足している光ディスクであることが理解できる。
【0068】
また、この2−v1〜2−v6より、Vの量は、0.5〜2.0の範囲のものが初期ジッタとして良好なものであるということが理解できる。
【0069】
次に、sampleNo.4につき図5を参照して説明する。なお、図5において、4は後述する図15のsampleNo.4を示し、4−v1〜4−v6は、このsampleNo.4に対し、Vの量を変えていった時の耐久再生パワーと、平均初期ジッタの状態を示すものである。
【0070】
(実施例2)
直径120mmのポリカーボネート基板1に、前記した実施例1と同様の方法で反射層2、第一保護層3、記録層4、第二保護層5を順次スパッタリング法により形成した。その後、UV硬化樹脂を接着層6として用い、その上にカバーシート7を貼りあわせた。この時の各層の膜厚は、反射層2を50nm、第一保護層3を10nm、記録層4を18nm、第二保護層5を50nmとした。
【0071】
また、記録層4の組成は、原子比でV0.5%、Ge4.3%、Sb64.5%、Te30.7%とした。貼り合わせ後、接着層6を十分硬化させるためにUV照射を行った。その後、レーザービームスポット径120μmのイニシャライザで初期化条件を線速度4m/s、送りピッチ40μmを固定し、レーザ出力570mWで初期化を行った。
【0072】
ここで初期化のレーザ出力は、GeSbTeを使った後述する比較例と同じとなったが、VGeSbTeに最適化した結果である。その後、1−7変調された情報信号を5.28m/sで、図2に示す如く、ストラテジで1T=15.1nsecとし、後述する図13の記録条件一覧のsampleNo.4に示す如く、P1=5.2mW、P2=2.4mW、P3=0.1mW、P4=0.1mW、ストラテジTを、T1=0.4T、T2=0.4T、T3=0.6T、T4=0.6Tでグルーブに記録し、再生信号の振幅の中心でスライスしてクロック・トゥー・データ・ジッタ(clock to data jitter)を測定した。
【0073】
ジッタは、タイムインターバルアナライザ(型式TA520:横河電機(株)製)により測定した。初回記録後のジッタは、記録マークの始端で7.34%、記録マークの後端では7.30%であり、良好な記録が出来た。(図5において、4−v1参照)
【0074】
また、同一ディスクに前記したストラテジで2T長の単一信号を記録した。記録したトラックをスチル再生し、C/Nを測定した。この時、再生パワーを0.30mWから0.40mWまで変えて、スチル再生開始直後と5分経過後のC/Nを測定した。開始直後のC/Nは、50.1dB、5分経過した後のC/Nは、50.0dBであった。C/Nの測定は、スペクトラアナライザを用い、16個のデータを取り込みその平均値とした。
【0075】
さらに、再生パワーを0.38mWまで上げた場合のスチル再生開始直後のC/Nは51.1dB、5分経過後のC/Nは同じく51.1dBであった。すなわち、前記した2T単独のジッタが9%になるために必要なC/N条件を、充分に満足しているものであった。(図14参照)
【0076】
このように、この実施例2の光ディスクにおいては、スチル再生開始直後のC/Nと5分経過後のC/Nは殆ど変化がなく、すなわち、再生劣化がなく安定した性能を有する光ディスクであることが分かる。
【0077】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を1.0とした場合を4−v2として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、0.38、平均初期ジッタとして7.10と前記4−v1を上回る実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクは、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0078】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を1.5とした場合を4−v3として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.38、平均初期ジッタとして7.05と前記4−v2を更に上回る実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0079】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を2.0とした場合を4−v4として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.38、平均初期ジッタとして7.13と充分な実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0080】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を2.5とした場合を4−v5として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.38、平均初期ジッタとして8.65とsampleNo.4より悪い実験結果であった。すなわち、この例に於ける光ディスクは、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を満足しない光ディスクであることが分かる。
【0081】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を3.0とした場合を4−v6として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.38、平均初期ジッタとして9.82と前記4−v5より更に悪い実験結果であった。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を満足しない光ディスクであることが分かる。
【0082】
ここで、測定誤差として、0.2dB程度の誤差は生じるので、再生開始直後のC/N変化は、0.2dB以下であれば良好であると見なした。ここで、5分経過した後のC/N劣化が0.2dB以下で耐えられる再生パワーの強度を調べたところ、0.38mWまで耐久可能であった。このことより、実施例2になる光ディスク10は、再生光に対して強い耐久性を示しており、次世代の規格を満足している光ディスクであることが理解できる。
【0083】
また、この、4−v1〜4−v6より、Vの量は、0.5〜2.0の範囲のものが初期ジッタとして良好なものであるということが理解できる。
【0084】
次に、sampleNo.7につき図6を参照して説明する。なお、図6において、7は後述する図15のsampleNo7を示し、7−v1〜7−v6は、このsampleNo7に対し、Vの量を変えていった時の耐久再生パワーと、平均初期ジッタの状態を示すものである。
【0085】
(実施例3)
直径120mmのポリカーボネート基板1に、前記した実施例1と同様の方法で反射層2、第一保護層3、記録層4、第二保護層5を順次スパッタリング法により形成した。その後、UV硬化樹脂を接着層6として用い、その上にカバーシート7を貼りあわせた。この時の各層の膜厚は、反射層2を50nm、第一保護層3を10nm、記録層4を18nm、第二保護層5を50nmとした。
【0086】
また、記録層4の組成は、原子比でV0.5%、Ge4.6%、Sb75.9%、Te19.0%とした。貼り合わせ後、接着層6を十分硬化させるためにUV照射を行った。その後、レーザービームスポット径120μmのイニシャライザで初期化条件を線速度4m/s、送りピッチ40μmを固定し、レーザ出力570mWで初期化を行った。
【0087】
ここで初期化のレーザ出力は、GeSbTeを使った後述する比較例と同じとなったが、VGeSbTeに最適化した結果である。その後、1−7変調された情報信号を5.28m/sで、図2に示す如く、ストラテジで1T=15.1nsecとし、後述する図13の記録条件一覧のsampleNo7に示す如く、P1=5.2mW、P2=3.1mW、P3=0.1mW、P4=0.1mW、ストラテジTを、T1=0.5T、T2=0.5T、T3=0.8T、T4=0.8Tでグルーブに記録し、再生信号の振幅の中心でスライスしてクロック・トゥー・データ・ジッタ(clock to data jitter)を測定した。
【0088】
ジッタは、タイムインターバルアナライザ(型式TA520:横河電機(株)製)により測定した。初回記録後のジッタは、記録マークの始端で7.30%、記録マークの後端では7.10%であり、良好な記録が出来た。(図6において、7−v1参照)
【0089】
また、同一ディスクに前記したストラテジで2T長の単一信号を記録した。記録したトラックをスチル再生し、C/Nを測定した。この時、再生パワーを0.30mWから0.40mWまで変えて、スチル再生開始直後と5分経過後のC/Nを測定した。開始直後のC/Nは、50.2dB、5分経過した後のC/Nは、50.2dBであった。C/Nの測定は、スペクトラアナライザを用い、16個のデータを取り込みその平均値とした。
【0090】
さらに、再生パワーを0.38mWまで上げた場合のスチル再生開始直後のC/Nは51.2dB、5分経過後のC/Nは同じく51.1dBであった。すなわち、前記した2T単独のジッタが9%になるために必要なC/N条件を、充分に満足しているものであった。(図14参照)
【0091】
このように、この実施例3の光ディスクにおいては、スチル再生開始直後のC/Nと5分経過後のC/Nは殆ど変化がなく、すなわち、再生劣化がなく安定した性能を有する光ディスクであることが分かる。
【0092】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を1.0とした場合を7−v2として実験を行ったが耐久再生パワーとして、0.38、平均初期ジッタとして7.15と前記7−v1を上回る実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクは、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0093】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を1.5とした場合を7−v3として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.38、平均初期ジッタとして7.07と前記7−v2を更に上回る実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0094】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を2.0とした場合を7−v4として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.38、平均初期ジッタとして7.18と充分な実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0095】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を2.5とした場合を7−v5として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.38、平均初期ジッタとして8.25とsampleNo.7とほぼ同等の結果であった。すなわち、この例に於ける光ディスクは、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を満足しない光ディスクであることが分かる。
【0096】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を3.0とした場合を7−v6として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.38、平均初期ジッタとして9.34と前記7−v6より更に悪い実験結果であった。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を満足しない光ディスクであることが分かる。
【0097】
ここで、測定誤差として、0.2dB程度の誤差は生じるので、再生開始直後のC/N変化は、0.2dB以下であれば良好であると見なした。ここで、5分経過した後のC/N劣化が0.2dB以下で耐えられる再生パワーの強度を調べたところ、0.38mWまで耐久可能であった。このことより、実施例3になる光ディスク10は、再生光に対して、強い耐久性を示しており、次世代の規格を満足している光ディスクであることが理解できる。
【0098】
また、この7−v1〜7−v6より、Vの量は、0.5〜2.0の範囲のものが初期ジッタとして良好なものであるということが理解できる。
【0099】
次に、sampleNo.9につき図7を参照して説明する。なお、図7において、9は後述する図15のsampleNo9を示し、9−v1〜9−v6は、このsampleNo9に対し、Vの量を変えていった時の耐久再生パワーと、平均初期ジッタの状態を示すものである。
【0100】
(実施例4)
直径120mmのポリカーボネート基板1に、前記した実施例1と同様の方法で反射層2、第一保護層3、記録層4、第二保護層5を順次スパッタリング法により形成した。その後、UV硬化樹脂を接着層6として用い、その上にカバーシート7を貼りあわせた。この時の各層の膜厚は、反射層2を50nm、第一保護層3を10nm、記録層4を18nm、第二保護層5を50nmとした。
【0101】
また、記録層4の組成は、原子比でV0.5%、Ge6.2%、Sb68.7%、Te24.6%とした。貼り合わせ後、接着層6を十分硬化させるためにUV照射を行った。その後、レーザービームスポット径120μmのイニシャライザで初期化条件を線速度4m/s、送りピッチ40μmを固定し、レーザ出力570mWで初期化を行った。
【0102】
ここで初期化のレーザ出力は、GeSbTeを使った後述する比較例と同じとなったが、VGeSbTeに最適化した結果である。その後、1−7変調された情報信号を5.28m/sで、図2に示す如く、ストラテジで1T=15.1nsecとし、後述する図13の記録条件一覧のsampleNo9に示す如く、P1=5.2mW、P2=2.7mW、P3=0.1mW、P4=0.1mW、ストラテジTを、T1=0.4T、T2=0.4T、T3=0.6T、T4=0.6Tでグルーブに記録し、再生信号の振幅の中心でスライスしてクロック・トゥー・データ・ジッタ(clock to data jitter)を測定した。
【0103】
ジッタは、タイムインターバルアナライザ(型式TA520:横河電機(株)製)により測定した。初回記録後のジッタは、記録マークの始端で7.10%、記録マークの後端では7.00%であり、良好な記録が出来た。(図7において、9−v1参照)
【0104】
また、同一ディスクに前記したストラテジで2T長の単一信号を記録した。記録したトラックをスチル再生し、C/Nを測定した。この時、再生パワーを0.30mWから0.40mWまで変えて、スチル再生開始直後と5分経過後のC/Nを測定した。開始直後のC/Nは、50.2dB、5分経過した後のC/Nは、50.1dBであった。C/Nの測定は、スペクトラアナライザを用い、16個のデータを取り込みその平均値とした。
【0105】
さらに、再生パワーを0.38mWまで上げた場合のスチル再生開始直後のC/Nは51.2dB、5分経過後のC/Nは同じく51.2dBであった。すなわち、前記した2T単独のジッタが9%になるために必要なC/N条件を、充分に満足しているものであった。(図14参照)
【0106】
このように、この実施例4の光ディスクにおいては、スチル再生開始直後のC/Nと5分経過後のC/Nは殆ど変化がなく、すなわち、再生劣化がなく安定した性能を有する光ディスクであることが分かる。
【0107】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を1.0とした場合を9−v2として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、0.39、平均初期ジッタとして6.97と前記9−v1を上回る実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクは、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0108】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を1.5とした場合を9−v3として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.39、平均初期ジッタとして6.92と前記9−v2を更に上回る実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0109】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を2.0とした場合を9−v4として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.39、平均初期ジッタとして7.02と充分な実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0110】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を2.5とした場合を9−v5として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.39、平均初期ジッタとして8.37とsampleNo.9より悪い結果であった。すなわち、この例に於ける光ディスクは、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を満足しない光ディスクであることが分かる。
【0111】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を3.0とした場合を9−v6として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.39、平均初期ジッタとして9.43と前記9−v6より更に悪い実験結果であった。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を満足しない光ディスクであることが分かる。
【0112】
ここで、測定誤差として、0.2dB程度の誤差は生じるので、再生開始直後のC/N変化は、0.2dB以下であれば良好であると見なした。ここで、5分経過した後のC/N劣化が0.2dB以下で耐えられる再生パワーの強度を調べたところ、0.39mWまで耐久可能であった。このことより、実施例4になる光ディスク10は、再生光に対して、強い耐久性を示しており、次世代の規格を満足している光ディスクであることが理解できる。
【0113】
また、この9−v1〜9−v6より、Vの量は、0.5〜2.0の範囲のものが初期ジッタとして良好なものであるということが理解できる。
【0114】
次に、sampleNo.15につき図8を参照して説明する。なお、図8において、15は後述する図15のsampleNo.15を示し、15−v1〜15−v6は、このsampleNo.15に対し、Vの量を変えていった時の耐久再生パワーと、平均初期ジッタの状態を示すものである。
【0115】
(実施例5)
直径120mmのポリカーボネート基板1に、前記した実施例1と同様の方法で反射層2、第一保護層3、記録層4、第二保護層5を順次スパッタリング法により形成した。その後、UV硬化樹脂を接着層6として用い、その上にカバーシート7を貼りあわせた。この時の各層の膜厚は、反射層2を50nm、第一保護層3を10nm、記録層4を18nm、第二保護層5を50nmとした。
【0116】
また、記録層4の組成は、原子比でV0.5%、Ge8.7%、Sb69.2%、Te21.6%とした。貼り合わせ後、接着層6を十分硬化させるためにUV照射を行った。その後、レーザービームスポット径120μmのイニシャライザで初期化条件を線速度4m/s、送りピッチ40μmを固定し、レーザ出力570mWで初期化を行った。
【0117】
ここで初期化のレーザ出力は、GeSbTeを使った後述する比較例と同じとなったが、VGeSbTeに最適化した結果である。その後、1−7変調された情報信号を5.28m/sで、図2に示す如く、ストラテジで1T=15.1nsecとし、後述する図13の記録条件一覧のsampleNo.15に示す如く、P1=5.2mW、P2=2.7mW、P3=0.1mW、P4=0.1mW、ストラテジTを、T1=0.4T、T2=0.4T、T3=0.6T、T4=0.6Tでグルーブに記録し、再生信号の振幅の中心でスライスしてクロック・トゥー・データ・ジッタ(clock to data jitter)を測定した。
【0118】
ジッタは、タイムインターバルアナライザ(型式TA520:横河電機(株)製)により測定した。初回記録後のジッタは、記録マークの始端で6.90%、記録マークの後端では6.80%であり、良好な記録が出来た。(図8において、15−v1参照)
【0119】
また、同一ディスクに前記したストラテジで2T長の単一信号を記録した。記録したトラックをスチル再生し、C/Nを測定した。この時、再生パワーを0.30mWから0.40mWまで変えて、スチル再生開始直後と5分経過後のC/Nを測定した。開始直後のC/Nは、50.5dB、5分経過した後のC/Nは、
50.5dBであった。C/Nの測定は、スペクトラアナライザを用い、16個のデータを取り込みその平均値とした。
【0120】
さらに、再生パワーを0.38mWまで上げた場合のスチル再生開始直後のC/Nは51.5dB、5分経過後のC/Nは同じく51.5dBであった。すなわち、前記した2T単独のジッタが9%になるために必要なC/N条件を、充分に満足しているものであった。(図14参照)
【0121】
このように、この実施例5の光ディスクにおいては、スチル再生開始直後のC/Nと5分経過後のC/Nは変化がなく、すなわち、再生劣化がなく安定した性能を有する光ディスクであることが分かる。
【0122】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を1.0とした場合を15−v2として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、0.39、平均初期ジッタとして6.90と前記15−v1とほぼ同等の実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクは、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0123】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を1.5とした場合を15−v3として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.39、平均初期ジッタとして6.85と前記15−v2を更に上回る実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0124】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を2.0とした場合を15−v4として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.39、平均初期ジッタとして6.90と充分な実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0125】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を2.5とした場合を15−v5として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.39、平均初期ジッタとして8.20とsampleNo.15より悪い結果であった。すなわち、この例に於ける光ディスクは、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を満足しない光ディスクであることが分かる。
【0126】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を3.0とした場合を15−v6として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.39、平均初期ジッタとして9.10と前記15−v6より更に悪い実験結果であった。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を満足しない光ディスクであることが分かる。
【0127】
ここで、測定誤差として、0.2dB程度の誤差は生じるので、再生開始直後のC/N変化は、0.2dB以下であれば良好であると見なした。ここで、5分経過した後のC/N劣化が0.2dB以下で耐えられる再生パワーの強度を調べたところ、0.39mWまで耐久可能であった。このことより、実施例5になる光ディスク10は、再生光に対して、強い耐久性を示しており、次世代の規格を満足している光ディスクであることが理解できる。
【0128】
また、この15−v1〜15−v6より、Vの量は、0.5〜2.0の範囲のものが初期ジッタとして良好なものであるということが理解できる。
【0129】
次に、sampleNo.16につき図9を参照して説明する。なお、図9において、16は後述する図15のsampleNo.16を示し、16−v1〜16−v6は、このsampleNo.16に対し、Vの量を変えていった時の耐久再生パワーと、平均初期ジッタの状態を示すものである。
【0130】
(実施例6)
直径120mmのポリカーボネート基板1に、前記した実施例1と同様の方法で反射層2、第一保護層3、記録層4、第二保護層5を順次スパッタリング法により形成した。その後、UV硬化樹脂を接着層6として用い、その上にカバーシート7を貼りあわせた。この時の各層の膜厚は、反射層2を50nm、第一保護層3を10nm、記録層4を18nm、第二保護層5を50nmとした。
【0131】
また、記録層4の組成は、原子比でV0.5%、Ge11.1%、Sb68.8%、Te19.6%とした。貼り合わせ後、接着層6を十分硬化させるためにUV照射を行った。その後、レーザービームスポット径120μmのイニシャライザで初期化条件を線速度4m/s、送りピッチ40μmを固定し、レーザ出力570mWで初期化を行った。
【0132】
ここで初期化のレーザ出力は、GeSbTeを使った後述する比較例と同じとなったが、VGeSbTeに最適化した結果である。その後、1−7変調された情報信号を5.28m/sで、図2に示す如く、ストラテジで1T=15.1nsecとし、後述する図13の記録条件一覧のsampleNo.16に示す如く、P1=5.2mW、P2=3.1mW、P3=0.1mW、P4=0.1mW、ストラテジTを、T1=0.5T、T2=0.5T、T3=0.8T、T4=0.8Tでグルーブに記録し、再生信号の振幅の中心でスライスしてクロック・トゥー・データ・ジッタ(clock to data jitter)を測定した。
【0133】
ジッタは、タイムインターバルアナライザ(型式TA520:横河電機(株)製)により測定した。初回記録後のジッタは、記録マークの始端で7.19%、記録マークの後端では7.17%であり、良好な記録が出来た。(図9において、16−v1参照)
【0134】
また、同一ディスクに前記したストラテジで2T長の単一信号を記録した。記録したトラックをスチル再生し、C/Nを測定した。この時、再生パワーを0.30mWから0.39mWまで変えて、スチル再生開始直後と5分経過後のC/Nを測定した。開始直後のC/Nは、50.2dB、5分経過した後のC/Nは、50.2dBであった。C/Nの測定は、スペクトラアナライザを用い、16個のデータを取り込みその平均値とした。
【0135】
さらに、再生パワーを0.38mWまで上げた場合のスチル再生開始直後のC/Nは51.1dB、5分経過後のC/Nは同じく51.1dBであった。すなわち、前記した2T単独のジッタが9%になるために必要なC/N条件を、充分に満足しているものであった。(図14参照)
【0136】
このように、この実施例6の光ディスクにおいては、スチル再生開始直後のC/Nと5分経過後のC/Nは変化がなく、すなわち、再生劣化がなく安定した性能を有する光ディスクであることが分かる。
【0137】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を1.0とした場合を16−v2として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、0.40、平均初期ジッタとして7.02と前記16−v1を上回る実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクは、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0138】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を1.5とした場合を16−v3として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.40、平均初期ジッタとして6.98と前記16−v2を更に上回る実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0139】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を2.0とした場合を16−v4として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.40、平均初期ジッタとして7.14と充分な実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0140】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を2.5とした場合を16−v5として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.40、平均初期ジッタとして8.48とサンプル16より悪い結果であった。すなわち、この例に於ける光ディスクは、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を満足しない光ディスクであることが分かる。
【0141】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を3.0とした場合を16−v6として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.40、平均初期ジッタとして9.72と前記16−v6より更に悪い実験結果であった。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を満足しない光ディスクであることが分かる。
【0142】
ここで、測定誤差として、0.2dB程度の誤差は生じるので、再生開始直後のC/N変化は、0.2dB以下であれば良好であると見なした。ここで、5分経過した後のC/N劣化が0.2dB以下で耐えられる再生パワーの強度を調べたところ、0.39mWまで耐久可能であった。このことより、実施例6になる光ディスク10は、再生光に対して、強い耐久性を示しており、次世代の規格を満足している光ディスクであることが理解できる。
【0143】
また、この16−v1〜16−v6より、Vの量は、0.5〜2.0の範囲のものが初期ジッタとして良好なものであるということが理解できる。
【0144】
次に、sampleNo.17につき図10を参照して説明する。なお、図10において、17は後述する図15のsampleNo.17を示し、17−v1〜17−v6は、このsampleNo.17に対し、Vの量を変えていった時の耐久再生パワーと、平均初期ジッタの状態を示すものである。
【0145】
(実施例7)
直径120mmのポリカーボネート基板1に、前記した実施例1と同様の方法で反射層2、第一保護層3、記録層4、第二保護層5を順次スパッタリング法により形成した。その後、UV硬化樹脂を接着層6として用い、その上にカバーシート7を貼りあわせた。この時の各層の膜厚は、反射層2を50nm、第一保護層3を10nm、記録層4を18nm、第二保護層5を50nmとした。
【0146】
また、記録層4の組成は、原子比でV0.5%、Ge14.5%、Sb64.8%、Te20.2%とした。貼り合わせ後、接着層6を十分硬化させるためにUV照射を行った。その後、レーザービームスポット径120μmのイニシャライザで初期化条件を線速度4m/s、送りピッチ40μmを固定し、レーザ出力570mWで初期化を行った。
【0147】
ここで初期化のレーザ出力は、GeSbTeを使った後述する比較例と同じとなったが、VGeSbTeに最適化した結果である。その後、1−7変調された情報信号を5.28m/sで、図2に示す如く、ストラテジで1T=15.1nsecとし、後述する図13の記録条件一覧のsampleNo.17に示す如く、P1=5.2mW、P2=2.7mW、P3=0.1mW、P4=0.1mW、ストラテジTを、T1=0.4T、T2=0.4T、T3=0.6T、T4=0.6Tでグルーブに記録し、再生信号の振幅の中心でスライスしてクロック・トゥー・データ・ジッタ(clock to data jitter)を測定した。
【0148】
ジッタは、タイムインターバルアナライザ(型式TA520:横河電機(株)製)により測定した。初回記録後のジッタは、記録マークの始端で7.09%、記録マークの後端では7.07%であり、良好な記録が出来た。(図10において、17−v1参照)
【0149】
また、同一ディスクに前記したストラテジで2T長の単一信号を記録した。記録したトラックをスチル再生し、C/Nを測定した。この時、再生パワーを0.30mWから0.40mWまで変えて、スチル再生開始直後と5分経過後のC/Nを測定した。開始直後のC/Nは、50.3dB、5分経過した後のC/Nは、50.2dBであった。C/Nの測定は、スペクトラアナライザを用い、16個のデータを取り込みその平均値とした。
【0150】
さらに、再生パワーを0.38mWまで上げた場合のスチル再生開始直後のC/Nは51.3dB、5分経過後のC/Nは同じく51.2dBであった。すなわち、前記した2T単独のジッタが9%になるために必要なC/N条件を、充分に満足しているものであった。(図14参照)
【0151】
このように、この実施例6の光ディスクにおいては、スチル再生開始直後のC/Nと5分経過後のC/Nは殆ど変化がなく、すなわち、再生劣化がなく安定した性能を有する光ディスクであることが分かる。
【0152】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を1.0とした場合を17−v2として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、0.40、平均初期ジッタとして6.97と前記17−v1を上回る実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクは、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0153】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を1.5とした場合を17−v3として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.40、平均初期ジッタとして7.03と17−v1を上回る実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0154】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を2.0とした場合を17−v4として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.40、平均初期ジッタとして7.07と充分な実験結果が得られた。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を充分満足する光ディスクであることが分かる。
【0155】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を2.5とした場合を17−v5として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.40、平均初期ジッタとして8.14とサンプル17より悪い結果であった。すなわち、この例に於ける光ディスクは、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を満足しない光ディスクであることが分かる。
【0156】
次に、Geの量とSb/Teの比を同じとし、SbとTeの量を若干変化させ、更に、Vの量を3.0とした場合を17−v6として実験を行ったが、耐久再生パワーとして、前記と同様の0.40、平均初期ジッタとして9.49と前記17−v5より更に悪い実験結果であった。すなわち、この例に於ける光ディスクも、再生パワー出力、初期ジッタとして、次世代の規格を満足しない光ディスクであることが分かる。
【0157】
ここで、測定誤差として、0.2dB程度の誤差は生じるので、再生開始直後のC/N変化は、0.2dB以下であれば良好であると見なした。ここで、5分経過した後のC/N劣化が0.2dB以下で耐えられる再生パワーの強度を調べたところ、0.40mWまで耐久可能であった。このことより、実施例7になる光ディスク10は、再生光に対して強い耐久性を示しており、次世代の規格を満足している光ディスクであることが理解できる。
【0158】
また、この17−v1〜17−v6より、Vの量は、0.5〜2.0の範囲のものが初期ジッタとして良好なものであるということが理解できる。
【0159】
なお、図11は、V添加記録層組成において、各サンプルにおけるGeの量を示す説明図、図12は、同、Sb/Teの比を示す説明図、図13は、本実施例になる記録条件である記録パワーとストラテジを示す説明図である。
【0160】
次に、本実施例になる記録層の各構成要素の性質について説明する。Vは、Ge、Sb、Teの融点が700K〜1200Kであるのに比べて、2000Kを越える高融点元素であり、熱的に非常に安定である。また、本実施例の光ディスクを構成する記録層に含有するGe、Sb、Teとは反応せず、また隣接する保護層を形成する材料とも反応しない安定した物質である。
【0161】
そのため、大量に入れてしまうと記録時の記録層への結晶−アモルファス間の相変化を阻害してしまうが、適当な量を添加することで、記録膜中でVがアンカーとして働き、記録マーク形成時にマークエッジがより鋭くなることでジッタが低減し、また、高融点材料ということから熱的耐久性が良いため、再生光に対し、より強いパワーまで耐えることができるとものと考えられる。
【0162】
(比較例)
直径120mmのポリカーボネート基板1に、まず、反射層2としてAg合金、第一保護層3としてZnS−SiO、さらに記録層4としてGeSbTe、第二保護層5としてZnS−SiOをこの順にスパッタリング法により形成した。その後、UV硬化樹脂を接着層6として、カバーシート7を貼りあわせた。この時の各層の膜厚は、反射層2を200nm、第一保護層3を9.5nm、記録層4を15nm、第二保護層5を36nmとした。
【0163】
また、記録層4の組成は、原子比でGe8.7%、Sb69.7%、Te21.6%とした。貼り合わせ後、接着層6を十分硬化させるためにUV照射を行った。その後、レーザービームスポット径120μmのイニシャライザで初期化条件を線速度4m/s、送りピッチ40μmを固定し、レーザ出力570mWで初期化を行った。
【0164】
その後、1−7変調された情報信号を線速度5.28m/sで、図2に示すストラテジで記録再生を行った。1T=15.1nsecとし、P1=5.2mW、P2=2.7mW、P3=0.1mW、P4=0.1mW、T1=0.4T、T2=0.4T、T3=0.6T、T4=0.6Tでグルーブに記録し、再生信号の振幅の中心でスライスしてクロック・トゥー・データ・ジッタ(clock to data jitter)を測定した。
【0165】
ジッタは、タイムインターバルアナライザ(型式TA520:横河電機(株)製)により測定した。初回記録後のジッタは、記録マークの始端で7.7%、記録マークの後端では7.9%であり、通常の記録が出来た。
【0166】
また、同一ディスクに前記したストラテジで2T長の単一信号を記録した。記録したトラックをスチル再生し、C/Nを測定した。この時、再生パワーをディスクが劣化しない値である0.30mWとし、スチル再生開始直後と5分経過後のC/Nを測定した。開始直後のC/Nは50.0dB、5分経過後のC/Nは変わらず50.0dBであった。
【0167】
ここで、再生パワーを耐久パワー最大の0.36mWまで引き上げても50.0dBにとどまり、前記した2T単独のジッタが0.9%になるために必要なC/Nの51.0dBに到達することはなかった。
【0168】
C/Nの測定はスペクトラムアナライザーを用い、16回データを取り込み、その平均値とした。ここで測定誤差として0.2dB程度の誤差は生じ得るので、再生劣化試験開始前後のC/N変化は0.2dB以下であれば良好であると見なした。
【0169】
また、前記した記録層4の組成以外の組成を検討した。検討した組成を図15に示す。
【0170】
この図15より明らかな如く、相変化型光記録層4としてGeSbTe系の材料を用い、青色レーザを使った光ディスクシステムに対応すると共に、再生光に対し強い耐久性を示す光ディスク10としては、Ge、Sb、Teの組成範囲は、原子比でGe3.4%以上14.5%以下、かつ、Sb/Teが2.1以上4以下であり、再生パワー0.30mWによるスチル再生でC/Nの劣化が0.2dB以内であり、初期ジッタが9%以下であることがわかる。
【0171】
なお、この好適な組成範囲は、劣化が始まる初期であることが種々実験した結果判明している。以下、その点につき詳述する。まず、Geの範囲について説明する。
【0172】
Geの量は、それを増加させるとコントラストの向上や、環境負荷の耐性が強くなるなどの効果が出てくる。最小値は3.4%(原子比)としたが、測定誤差を考慮すると、若干ずれることもある。なお、Geの量が少ない場合は、特にジッタが低減できないという実験結果が出ている。しかしながら、Geの量は多ければ多いほど良いというものではない。
【0173】
すなわち、Geの量はそれが増えた場合は、相対的にSbの量が減るために結晶化速度が遅くなる。すなわち、速い線速度での記録、書き換えが出来ないことにつながる。また、同じSb/Teの比でも、Sbの原子比(量)が少ない方が、結晶化速度が遅くなるという実験結果が出ている。従って、この場合は書き換えによる消し残りが出来てしまうことになる。
【0174】
一方、Geの量の増加は、結晶化速度を上昇させる。高い温度で結晶化させた記録膜は、記録しても再生劣化が非常に少ない高耐久性を示すが、結晶化温度を上げすぎると、初期化自体が困難になってしまうものである。実験可能な範囲では、14.5%(原子比)が上限となった。
【0175】
次に、Sb/Teの比について説明する。前記した如く、Sb/Teの比は、結晶化速度に影響する。この比が大きいと、結晶化速度は速くなり、より速い線速度で記録、書き換えが可能となる。逆に、この比が小さいと結晶化速度は遅くなる。本実施例では、遅い限界を2.1としたが、このあたりで初期化工程の結晶化が困難となったからである。また、2.1を切った場合、結晶化状態が不安定ということもあり、記録時のコントラストが悪くなることや、オーバーライトができなくなるなどの弊害も発生してしまうものである。
【0176】
一方、速い限界を4としたが、この比率が上がると結晶化し易いため、記録時にアモルファスマークの形成が十分に行われない。また、形成できたとしても記録したアモルファスマークが再生光に対する強度が悪く、記録したところをスチル再生した場合、記録したマークが消えていってしまうことになる。
【0177】
比較例で実験した、図15のsampleNO.15の組成は、それ自体は良好な特性を示し、再生パワーは0.35mWまで耐えることが出来たが、前記した如く、耐久再生パワーでは、せいぜい50.0dB止まりであるので、2T単独のジッタ9%以下は望む事は出来ないものである。すなわち、本発明が意図している、次世代の規格を満足する高出力の再生光に耐えることが可能で、より低いジッタでの記録が可能な光情報記録媒体を得ることができないものである。
【0178】
以上詳述したことから明らかなように、本実施例の構成によれば、GeSbTeのみの記録材料では到到底達成できない有利な特性結果が得られることが理解できる。
【0179】
【発明の効果】
本発明は、基板上に、少なくとも反射層、第一保護層、相変化型光記録層、第二保護層をこの順に積層してなり、前記第二保護層側からの光の照射により前記相変化型光記録層を相変化させることにより情報の記録および消去を行なう光情報記録媒体であって、前記相変化型光記録層はVwGexSbyTezより構成され、0.5≦w≦2 3.4≦x≦14.5、2、1≦y/z≦4、w+x+y+z=100(原子比)であるようにしたことにより、GeSbTe系の記録材料では達成することが出来なかった高出力の再生光に耐えることが可能になり、より低いジッタでの記録が可能な光情報記録媒体が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ディスクの基本構成の一実施例を示す断面図である。
【図2】記録時のストラテジのパターンを示す図である。
【図3】本発明に係る光ディスクの基本構成の他の実施例を示す断面図である。
【図4】記録層へVを添加した記録層組成に対する再生光耐久性を示す図及び初期ジッタを示す第1実施例の説明図である。
【図5】記録層へVを添加した記録層組成に対する再生光耐久性を示す図及び初期ジッタを示す第2実施例の説明図である。
【図6】記録層へVを添加した記録層組成に対する再生光耐久性を示す図及び初期ジッタを示す第3実施例の説明図である。
【図7】記録層へVを添加した記録層組成に対する再生光耐久性を示す図及び初期ジッタを示す第4実施例の説明図である。
【図8】記録層へVを添加した記録層組成に対する再生光耐久性を示す図及び初期ジッタを示す第5実施例の説明図である。
【図9】記録層へVを添加した記録層組成に対する再生光耐久性を示す図及び初期ジッタを示す第6実施例の説明図である。
【図10】記録層へVを添加した記録層組成に対する再生光耐久性を示す図及び初期ジッタを示す第7実施例の説明図である。
【図11】V添加記録層組成において、各サンプルにおけるGeの量を示す説明図である。
【図12】V添加記録層組成において、各サンプルにおけるSb/Teの比を示す説明図である。
【図13】本実施例になる記録条件である記録パワーとストラテジを示す説明図である。
【図14】再生パワーを変化させた場合に於けるスチル開始直後と5分経過後の比較説明図である。
【図15】比較例の記録層組成に対する再生劣化、記録再生特性等との関連を示す図である。
【符号の説明】
1  基板
2  反射層
3  第一保護層
4  記録層
5  第ニ保護層
6  接着層
7  カバーシート
8  保護コート
10  光情報記録媒体
20  光情報記録媒体

Claims (1)

  1. 基板上に、少なくとも反射層、第一保護層、相変化型光記録層、第二保護層をこの順に積層してなり、前記第二保護層側からの光の照射により前記相変化型光記録層を相変化させることにより情報の記録および消去を行う光情報記録媒体であって、
    前記相変化型光記録層はVwGexSbyTezより構成され、
    0.5≦w≦2
    3.4≦x≦14.5
    2.1≦y/z≦4
    w +x+y+z=100(原子比)
    であることを特徴とする光情報記録媒体。
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