JP2004004651A - 樹脂ブラックマトリックス、カラーフィルター、液晶表示装置および黒色被膜組成物 - Google Patents

樹脂ブラックマトリックス、カラーフィルター、液晶表示装置および黒色被膜組成物 Download PDF

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長瀬 亮
Masahiro Yoshioka
吉岡 正裕
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Abstract

【課題】液晶表示装置およびカラーフィルターの薄型化、高性能化の要求にともない、樹脂ブラックマトリックスには、OD値を高く保ったままさらに薄膜化することが要求されている。
【解決手段】遮光材と樹脂を必須成分として含有する黒色被膜において、該黒色被膜の光学濃度(OD値)が、膜厚1.0μmあたり3.0以上で、かつガラスとの接触面積が5mmのときの密着強度が5.0MPa以上であることを特徴とする樹脂ブラックマトリックスを提供する。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、黒色被膜組成物、樹脂ブラックマトリックス、カラーフィルターおよび液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のカラーフィルターのブラックマトリクスとしては、金属以外に樹脂と遮光材からなる樹脂ブラックマトリクスが用いられている。樹脂とカーボンブラックからなる組成物を適当な溶剤に分散してペーストを作成し、該ペーストを液晶基板に塗布しパターニングすることによって樹脂ブラックマトリクスが形成される(例えば、特許文献1参照。) 特許文献1では、遮光剤と樹脂に加えて、補色顔料として青色、紫色等の顔料を加えた樹脂ブラックマトリクスにおいて、全波長領域に渡って反射率が低く、また、反射率の波長依存性も極めて小さい、いわゆるニュートラルブラックが形成されている。また、膜厚1μmあたりのOD値は2.3以上である。
【0003】
また、特許文献2は、光重合性化合物、光重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂、黒色顔料を含むブラックマトリクス形成材料において、前記黒色顔料が、樹脂で被覆されたカーボンブラック及び金属酸化物を含む少なくとも2種類の混合物であることを特徴とするものであり、膜厚1μmあたりのOD値は3.1以上を達成している。
【0004】
一方、特許文献3には、チタン酸窒化物と樹脂からなる樹脂ブラックマトリクスが記載されている。ここでは、チタン酸窒化物のCuKα線をX線源としたX線回折スペクトルのピーク強度から下記式により得られるR値が0.24以上であるチタン酸窒化物を使用することにより、樹脂ブラックマトリクスのOD値向上を達成している。(膜厚1μmあたりのOD値は4.0)
R=I/(I+1.8×(I+1.8×I
: 2θ=25°〜26°での最大回折線強度
: 2θ=27°〜28°での最大回折線強度
: 2θ=36°〜38°での最大回折線強度
また、特許文献4には、絶縁性膜で表面が被覆されたチタン酸窒化物粒子と樹脂からなる樹脂ブラックマトリクスが記載されている。ここでは、R値が0.28以上とすることで、OD値向上を達成している。(膜厚1μmあたりのOD値は2.5)
また、特許文献5には、チタン酸窒化物と樹脂からなる樹脂ブラックマトリクスが記載されている。ここでは、ハンターの色差式における明度指数L値が12.0以下であるチタン酸窒化物を使用することにより、樹脂ブラックマトリクスの
OD値向上を達成している。(膜厚1μmあたりのOD値は4.0)
しかしながら、特許文献1〜5においては、いずれも密着性に関する記載はない。
【0005】
【特許文献1】
特許第2861391号明細書(第1〜4頁)
【0006】
【特許文献2】
特開2000−147240号公報(第15〜17頁)
【0007】
【特許文献3】
特開2000−143985号公報(第2頁、第5〜7頁)
【0008】
【特許文献4】
特開2001−83315号公報(第8頁〜10頁)
【0009】
【特許文献5】
特開2001−40292号公報(第2頁、第5〜7頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
液晶表示装置およびカラーフィルターの薄型化、高性能化の要求にともない、樹脂ブラックマトリックスには、OD値を高く保ったままさらに薄膜化することが要求されている。これを満たすためには、樹脂ブラックマトリックスについて、遮光度の高い遮光材を用いるとともに遮光材の体積比率を増加させることが有効であるが、樹脂ブラックマトリックス中の樹脂比率を減少させるとブラックマトリックスとガラスとの密着力が低下し、カラーフィルターおよび液晶表示装置の品質が低下するという課題がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は以下の構成からなる。
(1)遮光材と樹脂を必須成分として含有する黒色被膜において、該黒色被膜の光学濃度(OD値)が、膜厚1.0μmあたり3.0以上で、かつガラスとの接触面積が5mmのときの密着強度が5.0MPa以上であることを特徴とする樹脂ブラックマトリックス。
(2)遮光材がチタン酸窒化物であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂ブラックマトリックス。
(3)チタン酸窒化物の平均粒子径が20nm〜300nmの範囲にあることを特徴とする(1)または(2)のいずれかに記載の樹脂ブラックマトリックス。
(4)樹脂のガラス転移温度(Tg)が200℃〜350℃の範囲にあることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂ブラックマトリックス。
(5)黒色被膜を形成するための黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときの電気伝導度が25℃で2000μS/m以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂ブラックマトリックス。
(6)黒色被膜を形成するための黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときのK濃度が150ppm以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の樹脂ブラックマトリックス。
(7)黒色被膜を形成するための黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときのNa濃度が100ppm以下であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の樹脂ブラックマトリックス。
(8)樹脂がポリイミド樹脂またはアクリル樹脂であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の樹脂ブラックマトリックス。
(9)(1)〜(8)記載の樹脂ブラックマトリックスを使用してなることを特徴とする液晶表示用カラーフィルター。
(10)(9)に記載のカラーフィルターを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
(11)遮光材と樹脂と溶剤とを必須成分として含有する黒色被膜組成物において、遮光剤がチタン酸窒化物であり、かつ、黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときの電気伝導度が25℃で2000μS/m以下であることを特徴とする黒色被膜組成物。
(12)黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときのK濃度が150ppm以下であることを特徴とする(11)に記載の黒色被膜組成物。
(13)黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときのNa濃度が100ppm以下であることを特徴とする(12)に記載の黒色被膜組成物。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂ブラックマトリックスとは基板上に形成された遮光性を有する黒色薄膜状形態を持ち、遮光剤と樹脂を必須成分として含有する。発明者らは、高遮光性かつ高密着性の薄膜樹脂ブラックマトリックスについて鋭意検討した結果、該樹脂ブラックマトリックスの光学濃度(OD値)が、膜厚1.0μmあたり3.0以上で、かつガラスとの接触面積が5mmのときの密着強度が5.0MPa以上である樹脂ブラックマトリックスの開発に成功した。
【0013】
本発明の樹脂ブラックマトリックスの光学濃度(optical density、OD値)は、波長380〜700nmの可視光域において膜厚1.0μmあたり3.0以上、好ましくは4.0以上である。
【0014】
本発明において、ガラスとの接触面積が5mmのときの樹脂ブラックマトリックスとガラスとの密着強度は5.0MPa以上、好ましくは7.0MPa以上である。
【0015】
ガラスと樹脂ブラックマトリックスの密着強度は、高温、高圧、高湿処理後も処理前と同様に高いことが好ましい。本発明において、121℃、2気圧、100%RHにおいて、3時間処理した樹脂ブラックマトリックスにおいて、ガラスとの接触面積が5mmのときの密着強度は2.0MPa以上である。ガラスとの密着強度が2.0MPaよりも小さいと、樹脂ブラックマトリックスがガラスから剥がれるという問題が生じる。
【0016】
本発明に用いられる遮光材としては、チタン酸窒化物、酸化チタン等の金属酸化物のほかにカーボンブラック、樹脂被覆カーボンブラック等が用いられ、好ましくは遮光性が優れているチタン酸窒化物が用いられる。チタン酸窒化物は一般にTiNxOy(ただし、0<x<2.0、0.1<y<2.0)の組成からなり、以下の方法で製造されるが、特にこれらに限定されるものではない。(1)二酸化チタンまたは水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報)。(2)二酸化チタンまたは水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報)。
【0017】
本発明の樹脂ブラックマトリックスにおけるチタン酸窒化物の平均粒子径は、20〜300nmの範囲にあることが望ましい。チタン酸窒化物の粒子径が300nmよりも大きいと、樹脂ブラックマトリックスのOD値が低下するとともに、平坦性が低下する。一方、チタン酸窒化物の平均粒子径が20nmより小さいとチタン酸窒化物の分散安定性が悪くなる傾向にあるが、分散安定性が良好で有れば同様に有用である。
【0018】
本発明に用いられる樹脂としては、感光性、非感光性のいずれも使用され、具体的にはエポキシ樹脂、アクリルエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シロキサンポリマ系樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素酸含有ポリイミド樹脂、ポリイミドシロキサン樹脂、ポリマレイミド樹脂等のポリイミド系樹脂が好ましく用いられる。チタン酸窒化物/樹脂の重量組成比は、85/15〜40/60の範囲が高い密着強度を有し、かつ高いOD値を有する上で好ましい。重量比率が80/20を越えると、チタン酸窒化物が多すぎるため樹脂ブラックマトリックスとガラスの密着強度が低下する。また、40/60未満となるとOD値が急激に低下する傾向となる。ただし、樹脂ブラックマトリックスの色度調整のために、OD値が低下しない程度にチタン酸窒化物の一部を補色顔料等に変えることも可能である。
【0019】
本発明の樹脂ブラックマトリックスに含有される樹脂のガラス転移温度(Tg)は、200℃〜350℃の範囲であることが好ましい。Tgが200℃よりも低いと耐熱性の問題がある。一方、樹脂ブラックマトリックスとガラスとの密着性を向上させるためには、樹脂ブラックマトリックスの熱処理温度を樹脂のTgより高くすることが有効であるが、チタン酸窒化物からなるを350℃より高い温度で熱処理を行うと、チタン酸窒化物の酸化が進行することにより樹脂ブラックマトリックスのODが低下する。そのため、樹脂のTgは350℃以下であることが好ましい。
【0020】
本発明において、樹脂ブラックマトリックスを形成するための黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときの電気伝導度は、25℃で2000μS/m以下、好ましくは1000μS/mである。全固形分9重量%のときの電気伝導度が2000μS/m以上であると、Na、K、Mg、Ca等のアルカリ金属が多量含まれており、樹脂の硬化阻害されるため、樹脂ブラックマトリックスとガラスとの密着強度が低下する。
【0021】
本発明において、樹脂ブラックマトリックスを形成するための黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときのNa濃度は、100ppm以下、好ましくは50ppm以下である。黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときのNa濃度が100ppm以上であると、樹脂の硬化が阻害されるため樹脂ブラックマトリックスとガラスとの密着強度が低下する。
【0022】
本発明において、 樹脂ブラックマトリックスを形成するための黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときのK濃度は、150ppm以下である。黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときのK濃度が150ppm以上であると、樹脂の硬化が阻害されるため樹脂ブラックマトリックスとガラスとの密着強度が低下する。
【0023】
本発明において、黒色樹脂組成物中のK、Naなどのアルカリ金属を除去する具体的な方法例としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換や純水洗浄などが挙げられる。アルカリ金属を除去するイオン交換樹脂としては、スチレン系、メタクリル酸系、アクリル酸系の高分子に、スルホン酸、カルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の官能基を導入した陽イオン交換樹脂が挙げら、イオン交換の方法は、チタン酸窒化物をイオン交換してもよいし、黒色被膜組成物をイオン交換してもよい。一方、純水洗浄としては、チタン酸窒化物と純水を混合し撹拌後、ろ過によりアルカリ金属を含む水溶液を除去し、さらに純水で洗浄することでアルカリ金属を含む水溶液を除去した後、乾燥することにより、アルカリ金属が除去されたチタン酸窒化物および黒色被膜組成物を得ることができる。
【0024】
樹脂のうちポリイミド樹脂は、樹脂の前駆体樹脂とチタン酸窒化物から製造される塗液が保存安定性に優れること、得られたブラックマトリックスが平坦性、塗布性、耐熱性の点ですぐれていること、などの特徴を有するので好ましく用いられる。以下、ポリイミド樹脂を使用した場合について具体的に述べる。
【0025】
本発明で使用されるポリイミド樹脂は例えば、前駆体としてのポリアミック酸を加熱開環イミド化することによって形成される。ポリアミック酸は、通常次の一般式(1)で表される構造単位を主成分とする。
【0026】
【化1】
Figure 2004004651
【0027】
ここで上記式(1)中のnは1〜4の数である。Rは酸成分残基であり、Rは少なくとも2個の炭素原子を有する3価または4価の有機基を示す。耐熱性の面から、Rは環状炭化水素、芳香族環または芳香族複素環含有し、かつ炭素数6から30の3価または4価の基が好ましい。Rの例として、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフタレン基、ペリレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルフォン基、ジフェニルプロパン基、ベンゾフェノン基、ビフェニルトリフルオロプロパン基、シクロブチル基、シクロペンチル基などから誘導された基が挙げられるがこれに限定されるものではない。Rは少なくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基を示す。耐熱性の面から、Rは環状炭化水素、芳香族環または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6から30の2価の基が好ましい。Rの例として、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフタレン基、ペリレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルフォン基、ジフェニルプロパン基、ベンゾフェノン基、ビフェニルトリフルオロプロパン基、ジフェニルメタン基、シクロヘキシルメタン基などから誘導された基が挙げられるがこれに限定されるものではない。上記式(1)で表される構造単位を主成分とするポリマーはR、Rがこれらの内各々1個から構成されていても良いし、各々2種以上から構成される共重合体であっても良い。
【0028】
樹脂のうちアクリル系樹脂は、樹脂とチタン酸窒化物から製造される塗液が保存安定性に優れること、パターン形成が容易であること、などの特徴を有するので好ましく用いられる。
【0029】
以下、アクリル樹脂を使用した場合について具体的に述べる。
アクリル系樹脂は、感光性を付与して使用することができ、少なくとも、アクリル樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤から構成されるものである。アクリル樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレートやメチルメタクリレートなどのアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、または、環状のアクリレート、メタクリレート、あるいは、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなどの官能基を有するアクリレート、メタクリレートなどの中から、複数のものを選択して共重合させた樹脂のことである。なお、アクリル樹脂は、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、イタコン酸エステル、フマル酸エステルなどの他のモノマーを含んだ共重合体であっても良い。分子量は1000〜200000程度のものを使用することが好ましい。光重合性モノマーとしては、2官能、3官能、多官能モノマーを使用することができる。2官能モノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレートなどがあり、3官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどがあり、多官能モノマーとしては、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタおよびヘキサアクリレートなどがある。
【0030】
また、光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、チオキサントン、イミダゾール、トリアジン系の化合物が単独もしくは混合で用いることができるが、本発明のカラーフィルター製造方法においては、短タクトを達成するために、感度の高い光重合開始剤を使用することが好ましく、α−アミノアルキルフェノン系の光重合開始剤を使用することが好ましい。
【0031】
本発明のアクリル系樹脂には、エポキシ化合物とエポキシ硬化剤を添加しても良い。エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールノボラックエポキシ化合物、クレゾールノボラックエポキシ化合物、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル系エポキシ化合物、グリシジルアミン系エポキシ化合物、複素環式エポキシ化合物、フルオレン基含有エポキシ化合物などが使用できる。一方、硬化剤としては、アルコール、フェノール、アミン、酸無水物、カルボン酸、活性水素を有する化合物などの通常のものが使用できる。また、オニウム塩などのカチオン系の硬化触媒を使用しても良い。
【0032】
本発明の樹脂ブラックマトリックスの製法を以下に示す。樹脂ブラックマトリックスの塗液を基板上に、ディップ法、ロールコータ法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤーバーによる方法などによって塗布し、この後、オーブンやホットプレートを用いて加熱乾燥および硬化を行う。加熱条件は、使用する樹脂、溶媒、塗布量により異なるが、通常50〜400℃で、1〜300分加熱することが好ましい。
【0033】
こうして得られた塗布膜は、通常、フォトリソグラフィーなどの方法を用いてパターン加工される。すなわち、樹脂が非感光性の樹脂である場合には、その上にフォトレジストの被膜を形成した後に、また、樹脂が感光性の樹脂である場合は、そのままかあるいは酸素遮断膜を形成した後に露光現像を行い所望のパターンにする。その後、必要に応じて、フォトレジストまたは酸素遮断膜を除去した後、加熱し硬化させることで樹脂ブラックマトリックスが得られる。熱硬化条件は、樹脂により異なるが、前駆体からポリイミド系樹脂を得る場合には、通常、200〜350℃で1〜60分加熱するのが一般的である。
【0034】
樹脂ブラックマトリックスの膜厚としては、ブラックマトリックスとして使用可能な範囲であれば特に限定されない。
【0035】
本発明においては、この樹脂ブラックマトリックスを使用して液晶表示用カラーフィルターを製造することができる。本発明の樹脂ブラックマトリックスを液晶表示用カラーフィルターに用いる場合、通常の製造工程としては、例えば特公平2−1311号公報に示されているように、まず透明基板上にブラックマトリックス、次いで赤(R)、緑(G)、青(B)の色選択性を有する画素を形成させ、この上に必要に応じてオーバーコート膜を形成させるものである。なお、画素の具体的な材質としては、任意の光のみを透過するように膜厚制御された無機膜や、染色、染料分散あるいは顔料分散された着色樹脂膜などがある。また、画素の形成順は必要に応じて任意に変更可能である。
【0036】
本発明のカラーフィルターの画素に用いられる顔料には特に制限はないが、耐光性、耐熱性、耐薬品性に優れた物が望ましい。代表的な顔料の具体的な例をカラーインデックス(CI)ナンバーで示す。黄色顔料の例としてはピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、180、185などが挙げられる。橙色顔料の例としてはピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65などが挙げられる。赤色顔料の例としてはピグメントレッド9、97、122、123、144、149、166、168、177、190、192、209、215、216、224、242、254などが挙げられる。紫色顔料の例としてはピグメントバイオレット19、23、29、32、33、36、37、38などが挙げられる。青色顔料の例としてはピグメントブルー15(15:3、15:4、15:6など)、21、22、60、64などが挙げられる。緑色顔料の例としてはピグメントグリーン7、10、36、47などが挙げられる。なお、顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性基処理などの表面処理が施されている物を使用してもよい。
【0037】
着色樹脂膜として用いられる樹脂に特に制限は無く、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミドなどを使用することができる。製造プロセスの簡便さや、耐熱性、耐光性などの面から画素としては顔料分散された樹脂膜を用いることが好ましい。パターン形成の容易さの点からは顔料分散された感光性のアクリル樹脂を用いることが好ましい。しかし、耐熱性、耐薬品性の面からは、顔料分散されたポリイミド膜を用いることが好ましい。
【0038】
本発明の液晶表示装置用基板カラーフィルターでは、画素間にブラックマトリックスが配置される。また、画素の額縁部にもブラックマトリックスが配置される。ブラックマトリックスの配置により、液晶表示装置のコントラストを向上させることができることに加え、光による液晶表示装置の駆動素子の誤作動を防止することができる。
【0039】
本発明の液晶表示装置用カラーフィルター上に固定されたスペーサーを形成してもよい。固定されたスペーサーとは、特開平4−318816号公報に示されるように液晶表示装置用基板の特定の場所に固定され、液晶表示装置を作製した際に対向基板と接するものである。これにより対向基板との間に、一定のギャップが保持され、このギャップ間に液晶が注入される。固定されたスペーサーを配することにより、液晶表示装置の製造工程において球状スペーサーを散布する行程や、シール剤内にロッド状のスペーサーを混練りする行程を省略することができる。
【0040】
固定されたスペーサーの形成は、フォトリソグラフィーや印刷、電着などの方法でよって行われる。スペーサーを容易に設計通りの位置に形成できるので、フォトリソグラフィーによって形成することが好ましい。また、該スペーサーはR、G、B画素の作製時に積層構造で形成してもR、G、B画素作製後に形成しても良い。
【0041】
本発明においては、オーバーコート膜を形成してなるカラーフィルターであることがより好ましい。オーバーコート膜の形成は樹脂ブラックマトリックス形成後、あるいは画素形成後、あるいは固定されたスペーサー配置後のいずれであっても良い。
【0042】
加熱硬化後の該オーバーコートの厚みは、凹凸のある基板上に塗布された場合、オーバーコート剤のレベリング性により、凹部(周囲より低い部分)では厚く、凸部(周囲より高い部分)では薄くなる傾向がある。本発明においてのオーバーコートの厚みには、特に制限がないが、0.01〜5μm、好ましくは0.03〜4μm、さらに好ましくは0.04〜3μmである。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき、さらに具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(測定法)
OD値:顕微分光器(大塚電子製MCPD2000)を用いて下記の関係式より求めたものである。
【0044】
OD値 = log10(I/I)
ここで、Iは入射光強度、Iは透過光強度である。なお、OD値は膜厚に比例するので、遮光性の大きさを本発明では1.0μmあたりのOD値として示している。
【0045】
密着強度:密着強度は以下のように求めたものである。無アルカリガラス上に膜厚1.0μmの樹脂ブラックマトリックスを形成させ、さらにブラックマトリックス上に膜厚7μmのシール剤を形成させ、カバーガラスを上から被せ、樹脂ブラックマトリックスとシール剤、シール剤とカバーガラスを十分に密着させた後、作製したサンプルをテンシロン(ORIENTEC製、RTM−100)を用いて、10mm/minの速さで引っ張り試験を行い、樹脂ブラックマトリックスとガラスが破断したときの破断強度と破断面積から以下の式により求めたものである。
【0046】
密着強度(MPa)=破断強度(kgf)*9.8/破断面積(m
なお、密着強度は破断面積が大きくなるほど小さくなる傾向があるため、本発明の密着強度は、破断面積5mmのときの値とした。
【0047】
高温高圧高湿試験後の密着強度:膜厚1.0μmの樹脂ブラックマトリックスを形成させた無アルカリガラスを121℃、2気圧、100%RHに設定されたオーブン中に3時間投入した後、シール剤、カバーガラスを密着させ、テンシロンにより引っ張り試験を行い求めたものである。
【0048】
チタン酸窒化物の平均粒子径:樹脂ブラックマトリックスの断面SEM観察により求めたものである。
【0049】
樹脂のTg:無アルカリ基板上に樹脂膜を作製し、示差走査熱量法を用いてガラス転移の中心温度をから求めたものである。
【0050】
黒色被膜組成物中のK、Na濃度:原子吸光分析法により求めたものである。
【0051】
黒色被膜組成物の電気伝導度:電気伝導度計(東亜電波工業(株)製CM−30S)により求めたものである。
【0052】
実施例1
(チタン酸窒化物の作製)
平均一次粒径が40nmの二酸化チタン粉末(4.0kg)を反応炉に投入し後、アンモニアガスを炉内線速度3cm/secで流し、炉内温度750℃で6時間の反応を行い、チタン酸窒化物A(3.2kg)を得た。
(ポリアミック酸溶液の作製)
γ−ブチロラクトン(2082.6g)とN−メチル−2ピロリドン(2082.6g)の混合溶媒中で、パラフェニレンジアミン(161.7g)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(138.2g)、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサン(28.6g)、3,3’,4,4’−オキシジフタル酸二無水物(711.7g)を80℃、3時間反応させた後、無水マレイン酸(1.1g)を添加し、更に80℃、1時間反応させることによって、前駆体であるポリアミック酸溶液A(ポリマー濃度20重量%)を得た。このポリアミック酸を無アルカリガラス基板上に塗布後、145℃でプリベークを行い、ポリイミド前駆体膜を形成した。次にこのポリイミド膜を290℃に加熱して熱硬化を行った。このポリイミド膜のTgを測定したところ273℃であった。
(チタンブラック分散液の作製)
チタン酸窒化物A(17.0g)に、ポリアミック酸溶液A(15.0g)、γ−ブチロラクトン(20.6g)、N−メチル−2ピロリドン(18.4g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(9.0g)をガラスビーズ100gとともにホモジナイザーを用いて、7000rpmで30分間分散処理後、ガラスビーズを濾過により除去し、全固形分濃度25重量%、チタン酸窒化物/ポリマー(重量比)=85/15のチタンブラック分散液Aを得た。
(チタンブラック分散液の陽イオン交換)
チタンブラック分散液A(50g)に、陽イオン交換樹脂3gを投入し3時間撹拌後、ろ過を行い、陽イオン交換樹脂を除去し、チタンブラック分散液Bを得た。
(黒色被膜組成物の作製)
チタンブラック分散液B(18g)に、ポリアミック酸溶液A(2.7g)、γ−ブチロラクトン(14.7g)、N−メチル−2ピロリドン(12.6g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(4.8g)を添加し、全固形分濃度9重量%、チタン酸窒化物/ポリマー(重量比)=75/25の黒色被膜組成物Aを得た。この黒色被膜組成物Aの電気伝導度は780μS/mであり、Na濃度は9ppm、K濃度は58ppmであった。
(樹脂ブラックマトリックス用遮光膜の作製)
この黒色被膜組成物Aを無アルカリガラス基板上に塗布後、145℃でプリベークを行い、ポリイミド前駆体黒色被膜を形成した。次に該ポリイミド前駆体黒色着色膜を290℃に加熱して熱硬化を行い、ポリイミドに転換して樹脂ブラックマトリックス用遮光膜を形成した。得られた樹脂ブラックマトリックス用遮光膜の厚み1.0μmのときのOD値は4.2と高く、密着強度は9.6MPaと高かった。また、高温高圧高湿試験後の樹脂ブラックマトリックス用遮光膜密着強度は、2.5MPaと高かった。また、この樹脂ブラックマトリックス用遮光膜のチタン酸窒化物の平均粒子径は83nmであった。
【0053】
実施例2
実施例1で得たチタン酸窒化物A100gを純水1000g中に投入し、50℃の加熱化で3時間撹拌し、ろ過し、さらに純水で洗浄し、60℃のオーブンに24時間投入しチタン酸窒化物Bを得た。
【0054】
このチタン酸窒化物B(17.0g)に、実施例1で作製したポリアミック酸溶液A(15.0g)、γ−ブチロラクトン(20.6g)、N−メチル−2ピロリドン(18.4g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(9.0g)をガラスビーズ100gとともにホモジナイザーを用いて、7000rpmで30分間分散処理後、ガラスビーズを濾過により除去し、全固形分濃度25重量%、チタン酸窒化物/ポリマー(重量比)=85/15のチタンブラック分散液Cを得た。
【0055】
このチタンブラック分散液C(15.9g)に、ポリアミック酸溶液A(2.7g)、γ−ブチロラクトン(14.3g)、N−メチル−2ピロリドン(12.2g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(5.0g)を添加し、全固形分濃度9重量%、チタン酸窒化物/ポリマー(重量比)=75/25の黒色被膜組成物Bを得た。この黒色被膜組成物Bの電気伝導度は851μS/mであり、Na濃度は13ppm、K濃度は57ppmであった。
【0056】
この黒色被膜組成物Bを無アルカリガラス基板上に塗布後、145℃でプリベークを行い、ポリイミド前駆体黒色着色膜を形成した。次に該ポリイミド前駆体黒色着色膜を290℃に加熱して熱硬化を行い、ポリイミドに転換して樹脂ブラックマトリックス用遮光膜を形成した。得られた樹脂ブラックマトリックスの厚みは1.0μmのときのOD値は4.2と高く、密着強度は9.2MPaと高かった。また、高温高圧高湿試験後の樹脂ブラックマトリックス用遮光膜密着強度は、2.5MPaと高かった。また、この樹脂ブラックマトリックスのチタン酸窒化物の粒子径は84nmであった。
【0057】
実施例3
実施例1で作製した陽イオン交換後のチタンブラック分散液B(13.8g)に、実施例1で作製したポリアミック酸溶液A(5.3g)、γ−ブチロラクトン(13.9g)、N−メチル−2ピロリドン(11.8g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(5.3g)を添加し、全固形分濃度9重量%、チタン酸窒化物/ポリマー(重量比)=65/35の黒色被膜組成物Cを得た。この黒色被膜組成物Cの電気伝導度は706μS/mであり、Na濃度は13ppm、K濃度は49ppmであった。
【0058】
この黒色被膜組成物Cを無アルカリガラス基板上に塗布後、145℃でプリベークを行い、ポリイミド前駆体黒色着色膜を形成した。次に該ポリイミド前駆体黒色着色膜を290℃に加熱して熱硬化を行い、ポリイミドに転換して樹脂ブラックマトリックス用遮光膜を形成した。得られた樹脂ブラックマトリックス用遮光膜の厚みは1.0μmのときのOD値は3.6と高く、密着強度は16.3MPaと高かった。また、高温高圧高湿試験後の樹脂ブラックマトリックス用遮光膜密着強度は、5.2MPaと高かった。また、この樹脂ブラックマトリックス用遮光膜のチタン酸窒化物の粒子径は86nmであった。
【0059】
実施例4
(チタンブラック分散液の作製)
実施例2で純水で洗浄したチタン酸窒化物B(16.0g)に、アクリル共重合体溶液A(ダイセル化学工業株式会社製サイクロマーP、ACA−250)(8.0g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(56.0g)をガラスビーズ100gとともにホモジナイザーを用いて、7000rpmで30分間分散処理後、ガラスビーズを濾過により除去し、全固形分濃度25重量%、チタン酸窒化物/ポリマー(重量比)=83/17のチタンブラック分散液Dを得た。
(黒色被膜組成物の作製)
チタンブラック分散液D(17g)に、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート(2.0g)、光開始剤イルガキュア369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)(0.88g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(7.8g)を加え、全固形分濃度22重量%、チタン酸窒化物/ポリマー(重量比)=65/35の黒色被膜組成物Dを得た。この黒色被膜組成物Dの電気伝導度は70μS/mであり、Na濃度は23ppm、K濃度は122ppmであった。
【0060】
この黒色被膜組成物Dを無アルカリガラス基板上に塗布後、90℃で10分間加熱し、紫外線露光機を用いて、フォトマスクを介して露光した。露光後さらに、220℃で1時間加熱することにより樹脂ブラックマトリックス用遮光膜を形成した。得られた樹脂ブラックマトリックスの厚み1.0μmのときのOD値は3.8と高く、密着強度は6.0MPaと高かった。また、高温高圧高湿試験後の樹脂ブラックマトリックス用遮光膜密着強度は、2.1MPaと高かった。また、この樹脂ブラックマトリックスのチタン酸窒化物の粒子径は102nmであった。
【0061】
比較例1
実施例1で作製した陽イオン交換前のチタンブラック分散液A(18.0g)に、ポリアミック酸溶液A(2.7g)、γ−ブチロラクトン(14.7g)、N−メチル−2ピロリドン(12.6g)、3メチル−3メトキシブチルアセテート(4.8g)を添加し、全固形分濃度9重量%、チタン酸窒化物/ポリマー(重量比)=75/25の黒色被膜組成物Eを得た。この黒色被膜組成物Eの電気伝導度は2900μS/mであり、Na濃度は107ppm、K濃度は194ppmであった。
【0062】
この黒色被膜組成物Eを無アルカリガラス基板上に塗布後、145℃でプリベークを行い、ポリイミド前駆体黒色着色膜を形成した。次に該ポリイミド前駆体黒色着色膜を290℃に加熱して熱硬化を行い、ポリイミドに転換して樹脂ブラックマトリックス用遮光膜を形成した。得られた樹脂ブラックマトリックス用遮光膜の厚みは1.0μmのときのOD値は4.1と高かったものの、密着強度は4.0MPaと低かった。また、高温高圧高湿試験後の樹脂ブラックマトリックス用遮光膜は、1.8MPaと低かった。また、この樹脂ブラックマトリックス用遮光膜のチタン酸窒化物の粒子径は82nmであった。
【0063】
実施例5
(チタンブラック分散液の陽イオン交換)
チタンブラック分散液A(50g)に、陽イオン交換樹脂3gを投入し1時間撹拌後、ろ過を行い、陽イオン交換樹脂を除去し、チタンブラック分散液Eを得た。
(黒色被膜組成物F)
チタンブラック分散液Eを用いた以外は、実施例1と同様の方法で黒色被膜組成物Fを作製した。この黒色被膜組成物Fの電気伝導度は1950μS/mであり、Na濃度は45ppm、K濃度は145ppmであった。
(樹脂ブラックマトリックス用遮光膜の作製)
この黒色被膜組成物Fを無アルカリガラス基板上に塗布後、145℃でプリベークを行い、ポリイミド前駆体黒色被膜を形成した。次に該ポリイミド前駆体黒色着色膜を290℃に加熱して熱硬化を行い、ポリイミドに転換して樹脂ブラックマトリックス用遮光膜を形成した。得られた樹脂ブラックマトリックス用遮光膜の厚み1.0μmのときのOD値は4.2と高く、密着強度は5.4MPaと高かった。また、高温高圧高湿試験後の樹脂ブラックマトリックス用遮光膜密着強度は、2.1MPaと高かった。また、この樹脂ブラックマトリックス用遮光膜のチタン酸窒化物の平均粒子径は84nmであった。
【0064】
比較例2
(チタンブラック分散液の陽イオン交換)
チタンブラック分散液A(50g)に、陽イオン交換樹脂3gを投入し45分撹拌後、ろ過を行い、陽イオン交換樹脂を除去し、チタンブラック分散液Fを得た。
(黒色被膜組成物G)
チタンブラック分散液Fを用いた以外は、実施例1と同様の方法で黒色被膜組成物Gを作製した。この黒色被膜組成物Gの電気伝導度は2040μS/mであり、Na濃度は65ppm、K濃度は155ppmであった。
(樹脂ブラックマトリックス用遮光膜の作製)
この黒色被膜組成物Gを無アルカリガラス基板上に塗布後、145℃でプリベークを行い、ポリイミド前駆体黒色被膜を形成した。次に該ポリイミド前駆体黒色着色膜を290℃に加熱して熱硬化を行い、ポリイミドに転換して樹脂ブラックマトリックス用遮光膜を形成した。得られた樹脂ブラックマトリックス用遮光膜の厚み1.0μmのときのOD値は4.2と高かったが、密着強度は4.6MPaと低かった。また、高温高圧高湿試験後の樹脂ブラックマトリックス用遮光膜密着強度は、1.7MPaと高かった。また、この樹脂ブラックマトリックス用遮光膜のチタン酸窒化物の平均粒子径は82nmであった。
【0065】
実施例6
(樹脂ブラックマトリックスの作製)
実施例1と同様の方法でポリイミド前駆体黒色被膜を形成後、冷却し、ポジ型フォトレジストを塗布して、90℃で加熱乾燥してフォトレジスト被膜を形成した。これを紫外線露光機を用いて、フォトマスクを介して露光した。露光後、アルカリ現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリイミド前駆体黒色着色膜のエッチングを同時に行い、開口部を形成した。エッチング後、不要となったフォトリソグラフィーレジスト層をメチルセルソルブアセテートにて剥離した。エッチングされたポリイミド前駆体黒色着色膜を290℃に加熱して熱硬化を行い、ポリイミドに転換して樹脂ブラックマトリックスを形成した。
(画素の作製)
γ−ブチロラクトンとN−メチル−2−ピロリドンの混合溶媒中で、ピロメリット酸二無水物(0.5モル当量)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(0.49モル当量)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(0.95モル当量)、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサン(0.05モル当量)を反応させ、ポリアミック酸溶液(ポリマー濃度20重量%)を得た。このポリアミック酸溶液を200g取り出し、それにγ−ブチロラクトン186g、ブチルセロソルブ64gを添加して、ポリマー濃度10重量%の画素用ポリアミック酸溶液を得た。ピグメントレッド177(アントラキノンレッド)4g、γ−ブチロラクトン40g、ブチルセロソルブ6gをガラスビーズ100gとともにホモジナイザーを用いて、7000rpmで30分間分散処理後、ガラスビーズを濾過により除去し、顔料濃度8重量%の分散液を得た。顔料分散液30gに、前記のポリマー濃度10重量%の画素用ポリアミック酸溶液30gを添加混合し、赤色ペーストを得た。
【0066】
樹脂ブラックマトリックス上に赤色ペーストを塗布し、プリベークを行い、ポリイミド前駆体赤色着色膜を形成した。フォトリソグラフィーレジストを用い、前記と同様な手段により、赤色画素を形成し、290℃に加熱して熱硬化を行った。ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)3.6g、ピグメントイエロー83(ベンジンイエロー)0.4g、γ−ブチロラクトン32g、ブチルセロソルブ4gをガラスビーズ120gとともにホモジナイザーを用いて、7000rpmで30分間分散処理後、ガラスビーズを濾過により除去し、顔料濃度10重量%の分散液を得た。顔料分散液32gに、前記のポリマー濃度10重量%の画素用ポリアミック酸溶液30gを添加混合し、緑色カラーペーストを得た。
【0067】
赤色ペーストを用いた時と同様にして、緑色画素を形成し、290℃に加熱して熱硬化を行った。
【0068】
前記のポリマー濃度10重量%の画素用ポリアミック酸溶液60gと、ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー)2.8g、N−メチル−2−ピロリドン30g、ブチルセロソルブ10gをガラスビーズ150gとともにホモジナイザーを用い、7000rpmで30分間分散処理後、ガラスビーズを濾過により除去し、青色カラーペーストを得た。
【0069】
前記と同様の手順により、青色画素を形成し、290℃に加熱して熱硬化を行った。
(オーバーコートの作製)
ビニルトリメトキシシラン:562.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:700g、水:204.98gおよびシュウ酸:0.05gを混合した溶液を加熱することで加水分解反応を進行させた後、セロキサイド2021P:90g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:210g、およびアルミニウムトリス:0.6gを加えて、熱硬化性樹脂溶液を得た。この熱硬化性樹脂溶液を前記カラーフィルターにスピンコートし、100℃で5分、260℃で30分加熱することにより、厚さ1.0μmのオーバーコートとした。
【0070】
このようにして、得られたカラーフィルターについてオーバーコート層を含む額縁の樹脂ブラックマトリックスの厚み1.0μmのときのOD値は4.1と高く、密着強度は10.2MPaと高かった。また、得られたカラーフィルターの高温高圧高湿試験後の密着強度は、3.1MPaと高かった。
(カラー液晶表示素子の作製)
このカラーフィルター上にポリイミド系の配向膜を設け、ラビング処理を施した。また、同様に、TFT素子および対向する櫛形電極群からなる液晶表示素子用基板についても、ポリイミド系の配向膜を設け、ラビング処理を施した。この2枚の基板を額縁の樹脂ブラックマトリックスにかかるようにシール剤を塗布し貼り合わせた。次にシール部に設けられた注入口から液晶を注入した。液晶を注入後、注入口を封止し、さらに偏光板を基板の外側に貼り合わせることによってIPS方式の液晶表示装置を作製したところ、特に遮光性、密着性に優れた液晶表示装置を得ることができた。
【0071】
【発明の効果】
本構成によれば、高遮光性、高密着性共に優れた黒色被膜、樹脂ブラックマトリックス、カラーフィルターおよび液晶表示装置の製造が可能となった。

Claims (13)

  1. 遮光材と樹脂を必須成分として含有する黒色被膜において、該黒色被膜の光学濃度(OD値)が、膜厚1.0μmあたり3.0以上で、かつガラスとの接触面積が5mmのときの密着強度が5.0MPa以上であることを特徴とする樹脂ブラックマトリックス。
  2. 遮光材がチタン酸窒化物であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂ブラックマトリックス。
  3. チタン酸窒化物の平均粒子径が20nm〜300nmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の樹脂ブラックマトリックス。
  4. 樹脂のガラス転移温度(Tg)が200℃〜350℃の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂ブラックマトリックス。
  5. 黒色被膜を形成するための黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときの電気伝導度が25℃で2000μS/m以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂ブラックマトリックス。
  6. 黒色被膜を形成するための黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときのK濃度が150ppm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂ブラックマトリックス。
  7. 黒色被膜を形成するための黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときのNa濃度が100ppm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂ブラックマトリックス。
  8. 樹脂がポリイミド樹脂またはアクリル樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂ブラックマトリックス。
  9. 請求項1〜8記載の樹脂ブラックマトリックスを使用してなることを特徴とする液晶表示用カラーフィルター。
  10. 請求項9に記載のカラーフィルターを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
  11. 遮光材と樹脂と溶剤とを必須成分として含有する黒色被膜組成物において、遮光剤がチタン酸窒化物であり、かつ、黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときの電気伝導度が25℃で2000μS/m以下であることを特徴とする黒色被膜組成物。
  12. 黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときのK濃度が150ppm以下であることを特徴とする請求項11に記載の黒色被膜組成物。
  13. 黒色被膜組成物の全固形分9重量%のときのNa濃度が100ppm以下であることを特徴とする請求項12に記載の黒色被膜組成物。
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