JP4441948B2 - スペーサー用樹脂組成物、液晶表示装置用基板および液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置用基板上に形成されるスペーサー用樹脂組成物、スペーサーを有する液晶表示装置用基板、および該基板からなる液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来使用されている液晶表示装置は、液晶層の厚み(セルギャップ)を保持するため、一般に2枚の液晶表示装置用基板間にスペーサーとしてプラスチックビーズ、ガラスビーズ、またはガラス繊維を挟んで使用されている。
【0003】
図3は、従来のビーズ状スペーサーを用いた液晶表示装置の概略図であり、ブラックマトリックス4と青画素1、赤画素2、緑画素3が形成された上に、さらに電極層6a、および配向膜7が形成されたガラス基板5aと、電極層6b、および薄膜トランジスター9を形成したガラス基板5bに配向膜7を形成し、対向して張り合わせ、液晶10を注入したもので、注入口はシール剤8によりシールされ、ガラス基板間の距離はビーズ状スペーサー11により維持されている。このようなプラスチックビーズ等のビーズ状スペーサーを用いた液晶表示装置においては、スペーサーは散布によって配置されるため、スペーサーの位置を任意に定めることができず、液晶表示装置用基板上の表示領域(遮光部を除く画面内の光透過部)にもスペーサーが存在してしまう。その場合にはスペーサーによる光の散乱や透過によって、液晶表示装置の表示品位が低下するという問題がある。さらにスペーサーが液晶表示装置内に均一に散布されず、一部に偏るという現象が生じることがある。このような現象が生じると、スペーサーが集まった部分の表示品位が悪化し、またセルギャップの正確な保持の面でも問題があった。そこで、スペーサーを均一に散布する工程が必要となり、かつスペーサーの粒度分布を高精度に管理することが必要となることから、簡便で安定したスペーサーの作製方法が望まれている。
【0004】
これらの問題点に対して、特開昭56−140324号公報、特開昭63−82405号公報、特開平4−93924号公報、特開平5−196946号公報では、カラーフィルターの2色あるいは3色の色画素を積層した構造を形成し、スペーサーとして用いることが提案されている。
【0005】
また、特開平4−318816号公報には紫外線硬化樹脂からなる単一層をカラーフィルター上に別途形成し、スペーサーとして用いた液晶表示装置も提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、液晶表示装置の高開口率化やスペーサーと対向する基板の高集積化により、スペーサーサイズを小さくしたいという要望が高まっている。また、スペーサー近傍の液晶配向が乱れやすいことから、スペーサーの数を少なくしたいという要望も高い。しかしながら、上述の開示技術を用いて得られた液晶表示装置においては、特にスペーサーサイズが小さい場合や、スペーサーの数が少ない場合、スペーサー自身が潰れてしまい、スペーサーとして有効に機能しないことから表示品位が低下するという問題がある。
【0007】
また、通常、スペーサーは紫外線硬化樹脂をスペーサーの厚みに塗布した後に、スペーサー形成部分以外には光が照射されないフォトマスクを設けて露光し、現像する、いわゆるフォトリソグラフィーによって形成される。しかしながら、スペーサーが樹脂からのみ構成されていると、現像液に対する溶解性が著しく大きいため、現像速度をコントロールすることが困難であった。このため、微細なスペーサーを寸法精度よく、かつ安定して形成しにくいという問題があった。
【0008】
さらに、スペーサーをフォトリソグラフィーによって形成する際に、現像不良や残渣などによって、不必要な部分にもスペーサー材料が残る場合がある。特に表示領域に残る場合には、表示の色調変化を生じ、表示品位が低下するという問題があった。
【0009】
そこで本発明の目的は、寸法精度よく、かつ安定してスペーサーを形成し、さらに、形成されたスペーサーが潰れにくく、液晶表示装置の表示品位を向上するとともに、生産性を向上することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成から成る。
液晶表示装置用基板上に形成される少なくともフィラーを含有したスペーサー用樹脂組成物であって、350〜650nmの範囲にある波長λnmにおけるフィラー、および樹脂の屈折率をそれぞれnf(λ)、nr(λ) としたとき、|nf(λ)−nr(λ)|≦0.2 であり、フィラーがバライト粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、石膏、アスベスト、クレー、シリカ粉、微粉ケイ酸、珪藻土、タルク、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、およびサチン白の群から選ばれた少なくとも一種であり、かつ樹脂がアクリル系樹脂またはポリイミド系樹脂を含むことを特徴とするスペーサー用樹脂組成物。
【0011】
液晶表示装置用基板上に形成される少なくともフィラーを含有したスペーサー用樹脂組成物であって、350〜650nmの範囲にある波長λnmにおけるフィラー、および樹脂の屈折率をそれぞれnf(λ)、nr(λ)としたとき、|nf(λ)−nr(λ)|≦0.2であることを特徴とするスペーサー用樹脂組成物。
【0012】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明のスペーサー用樹脂組成物は、寸法精度よく、かつ安定してスペーサーを形成し、さらに、スペーサーの潰れを防止するためにフィラーを含むものである。
【0013】
本発明におけるフィラーとは、本発明の樹脂、およびその溶剤、および現像液に対して不溶性の性質を有する無機、および有機の粒子であって、350〜650nmの範囲にある波長λnmにおけるフィラー、および樹脂の屈折率をそれぞれnf(λ)、nr(λ)としたとき、|nf(λ)−nr(λ)|≦0.2である粒子を指す。一般に、スペーサーはフォトリソグラフィーによって形成されるが、現像不良や残渣などによって、不必要な部分にもスペーサーが残る場合がある。特に、表示領域に残る場合には、表示の色調変化を生じることから、スペーサーは350〜650nmの可視光波長領域で吸収が無く、透明であることが好ましい。したがって、フィラーと樹脂の屈折率を近づけ、|nf(λ)−nr(λ)|≦0.2以下とすることにより、着色のない透明なスペーサーを形成することができる。一方、|nf(λ)−nr(λ)|が0.2よりも大きく、スペーサー形成時に残渣が生じた場合、形成されたスペーサー自身が着色しているため、表示の色調変化が生じる。
【0014】
さらに、スペーサー用樹脂組成物を構成する樹脂として感光性の樹脂を用い、フォトリソグラフィー法によりスペーサーを形成する場合、|nf(λ)−nr(λ)| が0.2よりも大きいと、フィラーと樹脂との界面で生じる光散乱が大きくなるため、所望のマスクパターン形状を有するスペーサーを形成することが困難となる。また、散乱によってスペーサー底部の樹脂が十分に硬化しないため、所望の高さを有するスペーサーを形成することが困難となる。この点からも|nf(λ)−nr(λ)|≦0.2であることが好ましい。
【0015】
また、上述のようにスペーサーの着色防止、およびフォトリソグラフィー法によるスペーサー形成時の光散乱低減の点から、フィラーと樹脂の屈折率差は小さいほど好ましく、|nf(λ)−nr(λ)|≦0.1であることがさらに好ましい。
【0016】
また、粒子、および/またはスペーサー用樹脂組成物が白色などに着色していても、形成されたスペーサーが可視光波長領域で吸収が無いものであれば、本発明のフィラーとして用いることができる。一方、赤、青、緑、黒などの着色粒子は、得られたスペーサーが可視光波長領域で吸収を有し、着色していることから本発明におけるフィラーには含まれない。
【0017】
本発明におけるフィラーの具体例としては、バライト粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、石膏、アスベスト、クレー、シリカ粉、微粉ケイ酸、珪藻土、タルク、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、およびサチン白などの体質顔料を好ましく用いることができるがこれらに限定されない。
【0018】
フィラーは、本発明の樹脂組成物中にも含有されるとともに、基板上に形成された後もフィラーとして含有される。
【0019】
フィラーの粒子径は平均1次粒子径が5〜40nmであることが好ましく、より好ましくは6〜35nm、さらに好ましくは8〜30nmである。
【0020】
フィラーはスペーサー用樹脂組成物中で、凝集してフィラーの2次粒子を形成する場合があり、この粒子径の平均を平均2次粒子径とすると、平均2次粒子径が小さくなるよう微分散させることが好ましく、2次粒子を形成せず1次粒子で安定性よく分散せしめるのがより好ましい。平均2次粒子径としては、5〜200nmが好ましく、より好ましくは6〜150nm、さらに好ましくは8〜100nmである。これより大きければスペーサー表面に凹凸が生じ、液晶配向の乱れにより表示不良を引き起こすため好ましくない。平均1次粒子径、平均2次粒子径の求め方としては、例えば透過型もしくは走査型電子顕微鏡等でフィラーを観察し、JIS−R6002に準じて平均粒子径を求める。
【0021】
本発明のスペーサー用樹脂組成物を構成する樹脂としては特に制限はないが、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等を含む感光性、または非感光性の材料が好ましく挙げられる。
【0022】
感光性の樹脂としては、光分解型樹脂、光架橋型樹脂、光重合型樹脂などのタイプがあり、特に、エチレン性不飽和結合を有するモノマー、オリゴマー、またはポリマーと紫外線照射によりラジカルを発生する開始剤とを含む感光性組成物、感光性ポリアミック酸組成物等が好適に用いられる。
【0023】
非感光性の樹脂としては、上記の各種樹脂などのうち、現像処理が可能なものが好ましく用いられるが、導電層の成膜工程や液晶表示装置の製造工程でかかる熱に耐えられるような耐熱性を有する樹脂が好ましく、また、液晶表示装置の製造工程で使用される有機溶剤への耐性を持つ樹脂が好ましく、中でもポリイミド系樹脂が特に好ましい。
【0024】
ここで、ポリイミド系樹脂としては、特に限定されるものではないが、通常次の一般式で表される構造単位を主成分とするポリイミド前駆体を、加熱、または適当な触媒によってイミド化したものが好適に用いられる。
【0025】
【化1】
【0026】
上記一般式においてnは0あるいは1〜4の数である。R1 は酸成分残基であり、R1 は少なくとも2個の炭素原子を有する3価または4価の有機基を示す。耐熱性の面から、R1 は環状炭化水素、芳香族環または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6から30の3価、または4価の基が好ましい。R1 の例として、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフタレン基、ペリレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルフォン基、ジフェニルプロパン基、ベンゾフェノン基、ビフェニルトリフルオロプロパン基、シクロブチル基、シクロペンチル基などから誘導された基が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0027】
R2 は少なくなくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基を示す。耐熱性の面から、R2 は環状炭化水素、芳香族環または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6から30の2価の基が好ましい。R2 の例として、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフタレン基、ペリレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルフォン基、ジフェニルプロパン基、ベンゾフェノン基、ビフェニルトリフルオロプロパン基、ジフェニルメタン基、シクロヘキシルメタン基などから誘導された基が挙げられるがこれらに限定されるものではない。上記一般式で表される構造単位を主成分とするポリマーはR1 、R2 がこれらのうち、各々1個から構成されていても良いし、各々2種以上から構成される共重合体であっても良い。
【0028】
また、アクリル系樹脂を含むスペーサーも好ましく使用される。このとき用いられるアクリル系樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレートなどのアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート、環状のアクリレートまたはメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、またはメタクリレートなどの内から3〜5種類程度のモノマーを用いて、分子量5000〜200000程度に重合した樹脂を用いるのが好ましい。アクリル系樹脂を含む場合、スペーサー用樹脂組成物が感光性か非感光性は制限されないが、スペーサーの微細加工のしやすさの点から感光性の材料が好ましく用いられる。感光性樹脂の場合には、アクリル系樹脂と光重合性モノマー、光重合開始剤とを配合した組成物が好ましく用いられる。
【0029】
光重合性モノマーとしては、2官能、3官能、多官能モノマーがあり、2官能モノマーとして、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールアクリレートなどがあり、3官能モノマーとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネートなどがあり、多官能モノマーとしてジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ、およびヘキサアクリレートなどがある。また、光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、チオキサントン、イミダゾール、トリアジン系などが単独もしくは混合で用いられる。
【0030】
また、エポキシ樹脂も好ましく用いることができ、具体的には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテルなどを硬化剤により硬化したものを用いることができる。
【0031】
スペーサー用樹脂組成物に使用される溶剤としては水、エタノール、メタノール、イソブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンなどのピロリドン類などが挙げられる。
【0032】
本発明において、スペーサー用樹脂組成物中のフィラーの含有率は、樹脂100重量部に対し、10〜400重量部が好ましく、より好ましくは30〜300重量部、さらに好ましくは50〜200重量部である。フィラーの含有量がこれより少ないとスペーサーの潰れ防止効果が不十分となり、またスペーサーをパターニングする際に現像速度が速くなり、生産性が低下するので好ましくない。また、フィラーの含有量がこれより多いと、スペーサー用樹脂組成物の塗布性が低下し、またフィラーの凝集が起こるため好ましくない。
【0033】
また、スペーサー用樹脂組成物の塗布性、およびスペーサー高さの均一性を良好にするため、スペーサー用樹脂組成物に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤の添加量は、樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.03〜1重量部がより好ましい。添加量が少なすぎると、塗布性、膜表面の平滑性が低下するため好ましくない。また、添加量が多すぎると、塗膜の強靱性が低下したり、フィラーが凝集するため好ましくない。
【0034】
界面活性剤の具体例としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類、アルキル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、フェノール、カルボキシ、メルカプト変性シリコーンオイルなどの変性シリコーンオイル類、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどの陰イオン界面活性剤、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン界面活性剤などが挙げられるが、これらに限定されない。また、上記のような界面活性剤を1種、または2種以上組み合わせて用いることができる。界面活性剤の添加は、フィラーの添加前後のどの時点でも行うことができる。しかし添加のタイミングによっては、フィラーの分散性が変わる場合があるので、適宜添加の手順を設定する必要がある。
【0035】
上記スペーサー用樹脂組成物には、必要に応じて別途添加剤を加えてもよい。添加剤としては紫外線吸収剤、分散剤、レベリング剤などの種々の添加剤がある。
【0036】
スペーサーの高さは、本来目的とするセルギャップにあわせて適宜調整するものであり、1〜9μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。スペーサーの高さが1μmよりも低いと、十分なセルギャップを確保しにくい。一方、9μmを超えると、液晶表示装置のセルギャップが大きくなりすぎて駆動に要する電圧が高くなり好ましくない。なお、スペーサーの高さとは、1個のスペーサーに着目し、カラーフィルターの開口部着色層と該スペーサーの最上表面との間の距離を意味する。基板上の表示部平坦部の高さにムラがある場合には、スペーサーの最上表面と各表示部平坦部との間の距離のうち、最大のものを指す。
【0037】
スペーサーの形状、すなわち、スペーサーを基板と平行な面で切断した場合の横断面の形状は、特に限定されないが、円、楕円、角が丸い多角形、十字、T字またはL字形が好ましい。また、積層によりスペーサーを形成する場合においても、それぞれの層のスペーサーの形状は、特に制限されないが、円、楕円、角が丸い多角形、十字、T字又はL字形が好ましく、これらを任意に積層しスペーサーを形成してよい。
【0038】
スペーサーによって保たれる2枚の液晶表示装置用基板間の間隔の画面内均一性を高める点から、画面内、および画面外の非表示領域にスペーサーを形成することが好ましいが、画面内、または画面外のどちらか一方の非表示領域に形成しても良い。
【0039】
本発明における、スペーサーの体積抵抗値は107 Ωcm以上であることが好ましい。突起の体積抵抗値が107 Ωcm未満であると、液晶に十分な電圧が印可されず表示不良を引き起こすので好ましくない。該体積抵抗値は109 Ωcm以上であることがさらに好ましい。
【0040】
スペーサー1個当たりの面積や配置場所は液晶表示装置の構造に大きく影響を受ける。固定されたスペーサーを有するカラーフィルターにおいて1画素中の非表示領域の面積の制約から、画面内でのスペーサー1個当たりのスペーサー面積は、10μm2〜1000μm2であることが好ましい。さらに好ましくは、10μm2〜250μm2である。ここでいうスペーサー面積とはカラーフィルター上に形成されたスペーサー最頂部であって、液晶表示装置を作製した際に対向基板に接触する部分の面積、もしくは対向基板上に作製されたスペーサーに接触する部分の面積を指す。1個当たりのスペーサーの面積が10μm2 よりも小さい場合は、精密なパターンの形成や積層が難しくなる。1個あたりのスペーサーの面積が1000μm2 よりも大きい場合は、スペーサーパターンの形成や積層は容易になるが、画面内のスペーサーは表示領域に現れてしまい表示不良の原因となる。一方、画面外のスペーサーを設ける場合には、画面外のスペーサーは表示領域に現れることが無いので、面積を、画面内のスペーサーのひとつ当たりの面積と等しいかもしくは大きくすることがスペーサーの形成を容易にする観点から好ましい。
【0041】
さらに本発明においてスペーサーは、パターンを積層する際には、対向するガラス基板への接触部の面積がスペーサーの底部の面積より小さくなるように設計することが望ましい。
【0042】
本発明のスペーサーの形成はフォトリソグラフィー法や転写法、印刷法、電着法、インクジェット法などの方法によって行われるのがよい。なかでもスペーサーを容易に設計通りの位置に形成できるのでフォトリソグラフィー法により形成するのが好ましい。フォトリソグラフィー法はスペーサー用樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥した後にスペーサーパターンを有するマスクを介し露光し、現像しパターニングを行う方法である。スペーサー用樹脂組成物を塗布する方法としては、ディップ法、ロールコーター法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤバーコーティング法などが好適に用いられ、この後、必要に応じてオーブンやホットプレートを用いて加熱乾燥(セミキュア)を行う。セミキュア条件は、使用する樹脂、溶媒、樹脂塗布量により異なるが、60〜200℃で1〜60分加熱することが好ましい。このようにして得られたスペーサー用樹脂被膜は、樹脂が非感光性の樹脂である場合は、その上にフォトレジスト膜を形成した後に、また、樹脂が感光性の樹脂である場合は、そのままかあるいは酸素遮断膜を形成した後に、露光、現像を行う。必要に応じて、フォトレジスト膜または酸素遮断膜を除去し、加熱乾燥(本キュア)する。本キュア条件は通常、150〜300℃で1〜60分加熱するのが一般的である。以上のプロセスにより、透明基板上にスペーサーが形成される。1回のパターニングで十分な高さを得ることが困難である場合には、スペーサーの形成する工程を複数回実施し、樹脂層を積層して十分な高さを得ることも可能である。
【0043】
また、転写法はあらかじめ基材上に感光性を付与した樹脂層を形成した転写基板を準備し、これを必要に応じ熱や圧力を加えつつ基板の上に重ね合わせ、露光・現像した後に、基材を剥離してスペーサーを基板上に形成する方法、もしくはあらかじめフォトリソグラフィー等にて転写基板上にスペーサーを形成しておいてから基板上に熱や圧力を加えてスペーサーを転写する方法である。
【0044】
次に本発明のスペーサーを用いた液晶表示装置用基板および液晶表示装置について説明する。
【0045】
液晶表示装置用基板は、液晶方式であればよく、必要に応じて基板上に電極や薄膜トランジスターや色画素を有するものであってもよい。具体的には、色画素を有するカラーフィルターやモノクロのフィルターを有するものであってもよいし、薄膜トランジスタ(TFT)付基板のような、トランジスターを複数個有する基板であってもよい。
【0046】
図を用いて本発明の液晶表示装置用基板および液晶表示装置についてさらに述べる。
【0047】
図1は本発明の液晶表示装置用基板の一例の概略図であり、ブラックマトリックス4と青画素1、赤画素2、緑画素3が形成された上に、さらに電極層6aが形成されたガラス基板5aであり、電極層6a上にパターニングされたスペーサー用樹脂組成物12が形成されている。
【0048】
図2は、図1の液晶表示装置用基板を用いた液晶表示装置の一例の概略図であり、図1に示す液晶表示装置用基板上にさらに配向膜7を形成した基板と、電極層6bおよび薄膜トランジスター9を形成したガラス基板5bに、配向膜7を形成した後、対向して張り合わせ、液晶を注入したもので、注入口はシール剤8によりシールされており、各基板間の距離はパターニングされたスペーサー12により維持されるものである。
【0049】
本発明の液晶表示装置用基板には必要に応じスペーサー形成前、またはスペーサー形成後に導電膜を形成してもよい。導電膜を形成する方法としては、ディッピング法、化学気層成長、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。本発明に使用される導電膜としては、抵抗値が低く、透明性が高く、カラー表示特性を損なわれないものが好ましい。代表的な透明導電膜の具体例として、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛、酸化スズ、およびその合金を用いることができる。このような透明導電膜の厚みは、0.01〜1μm、好ましくは0.03〜0.5μmである。透明導電膜の形成順は特に限定されないが、スペーサー形成前に透明導電膜を形成することが、スペーサー上に形成された透明導電膜と対向電極基板との短絡による表示不良を低減させる点で好ましい。
【0050】
一方、スペーサー形成後に透明導電膜を形成した場合、研磨や、レーザーアブレーションなどの方法によってスペーサーの頂部の導電層を除去することも、スペーサー頂部に形成された透明導電膜と対向電極基板との短絡による表示不良を低減させる点で好ましい。
【0051】
液晶表示装置用基板にスペーサー形成前、および/またはスペーサー形成後に、オーバーコート膜を形成しても良い。図4は本発明の液晶表示装置用基板の一例の概略図であり、スペーサー形成前にオーバーコート膜13を形成したものである。スペーサー形成前にオーバーコート膜を形成すると下地が平坦化されるため、スペーサーの形成が容易になるので好ましい。このようなオーバーコート膜の塗設は、液晶表示装置用基板の構造を複雑にし製造コストが高くなる点では不利であるが、スペーサー高さの制御、液晶表示装置用基板、およびスペーサー表面からの不純物のシミ出し防止、表面平坦化に有利であり、総合的な要求特性に鑑みてその採用の可否を判断すればよい。スペーサー部にオーバーコート膜を形成することで、スペーサーの一部はオーバーコート膜により構成されることになる。材質は特に限定されず、無機ガラス膜や、樹脂膜などが用いられる。具体的には、無機ガラス膜としては、テトラメトキシシランの縮合物やテトラエトキシシランの縮合物など、樹脂膜としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、ポリイミド系樹脂、などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
液晶表示装置の場合、スペーサーの形成のしやすさの点から、色画素を含んだ液晶表示装置用基板であるカラーフィルターが、固定されたスペーサーを有する液晶表示装置用基板として好ましい。
【0053】
以下、液晶表示装置用基板が色画素を含んだカラーフィルターの場合を例として本発明をさらに詳細に説明する。
【0054】
本発明のカラーフィルターは、基板上に必要に応じてブラックマトリックスを設け、さらにその上に少なくとも3原色から成る色画素を複数配列したものが好ましい。ここで言うブラックマトリックスは、各画素間に配列された遮光領域を示し、液晶表示装置の表示コントラストを向上させ、またTFTなどの能動素子に光が入射して誤動作することを防ぐために設けられる。
【0055】
カラーフィルターに用いられる基板としては、特に限定されるものではなく、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどの無機ガラス類、有機プラスチックのフィルムまたはシート等の透明基板が好ましく用いられる。
【0056】
ブラックマトリックスは、クロムやニッケル等の金属またはそれらの酸化物等や着色膜の重ね塗りで形成してもよいが、樹脂および遮光剤からなる樹脂ブラックマトリックスを形成することが製造コストや廃棄物処理コストの面から好ましい。この場合、ブラックマトリックスに用いられる樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの感光性または非感光性の材料が好ましく用いられる。樹脂ブラックマトリックス用樹脂は、画素や保護膜に用いられる樹脂よりも高い耐熱性を有する樹脂が好ましく、また、ブラックマトリックス形成後の工程で使用される有機溶剤に耐性を持つ樹脂が好ましいことから、ポリイミド系樹脂が特に好ましく用いられる。なお、好ましいポリイミド系樹脂としては、上記したスペーサーを形成するのに適した樹脂を挙げることができる。
【0057】
ブラックマトリックス用の遮光剤としては、カーボンブラック、チタンブラック(TiNxOy:ただし、0≦x1.5、0.1<y<1.8)、酸化マンガン、四酸化鉄等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉の他に、赤、青、緑色等の顔料の混合物等を用いることができる。この中でも、カーボンブラックは遮光性が優れており、特に好ましい。分散性の良い粒子径の小さいカーボンブラックは主として茶系統の色調を呈するので、カーボンブラックに対する補色の顔料を混合させて無彩色にするのが好ましい。
【0058】
ブラックマトリックス用の樹脂がポリイミド系樹脂の場合、黒色ペースト溶媒としては、通常、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系極性溶媒、γ−ブチロラクトンなどのラクトン系極性溶媒等が好適に使用される。
【0059】
カーボンブラックや、カーボンブラックに対して補色の顔料等の遮光剤を分散させる方法としては、例えば、ポリイミド前駆体溶液中に遮光剤や必要に応じて下記添加剤等を混合させた後、三本ロール、サンドグラインダー、ボールミルなどの分散機中で分散させる方法などがあるが、この方法に特に限定されない。また添加剤は、主にカーボンブラックの分散性向上、あるいは塗布性やレベリング性向上のため加えられる。
【0060】
樹脂ブラックマトリックスの製法としては、黒色ペーストを透明基板上に塗布、乾燥した後に、パターニングを行う。黒色ペーストを塗布する方法としては、ディップ法、ロールコーター法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤバーコーティング法などが好適に用いられ、この後、オーブンやホットプレートを用いて加熱乾燥(セミキュア)を行う。セミキュア条件は、使用する樹脂、溶媒、ペースト塗布量により異なるが、通常60〜200℃で1〜60分加熱することが好ましい。
【0061】
このようにして得られた黒色ペースト被膜は、樹脂が非感光性の樹脂である場合は、その上にフォトレジスト膜を形成した後に、また、樹脂が感光性の樹脂である場合は、そのままかあるいは酸素遮断膜を形成した後に、露光、現像を行う。必要に応じて、ポジ形フォトレジスト膜まは酸素遮断膜を除去し、また、加熱乾燥(本キュア)する。本キュア条件は、前駆体からポリイミド系樹脂を得る場合には、塗布量により若干異なるが、通常200〜300℃で1〜60分加熱すればよい。またアクリル系樹脂の場合には、本キュア条件は、通常150〜300℃で1〜60分加熱すればよい。以上のプロセスにより、基板上にブラックマトリックスが形成される。
【0062】
また、転写法によって樹脂ブラックマトリックスを形成してもよい。後述する着色層を重ねてブラックマトリックスを形成しても良い。
【0063】
樹脂ブラックマトリックスの膜厚は、好ましくは0.5〜2.0μm、より好しくは0.8〜1.5μmである。膜厚が0.5μmよりも薄い場合には、樹脂ブラックマトリックス上に樹脂層をさらに積層してスペーサーを作製する場合、十分な高さのスペーサーを形成することが難しくなり、また、遮光性が不十分になることからも好ましくない。一方、膜厚が2.0μmよりも厚い場合には、遮光性は確保できるものの、カラーフィルターの平坦性が犠牲になり易く、段差が生じやすい。
【0064】
樹脂ブラックマトリックスの遮光性は、OD値(透過率の逆数の常用対数)で表されるが、液晶表示装置の表示品位を向上させるためには、好ましくは1.6以上であり、より好ましくは2.0以上であり、さらに好ましくは3.0以上である。また、樹脂ブラックマトリックスの膜厚の好適な範囲を記したが、OD値の上限は、これとの関係で定められるべきである。
【0065】
樹脂ブラックマトリックス間には通常(20〜200)μm×(20〜300)μmの開口部が設けられるが、この開口部を少なくとも被覆するように3原色のそれぞれの色画素が複数配列される。すなわち、1つの開口部は、3原色のいずれか1つの色画素により被覆され、各色画素が複数配列される。
【0066】
カラーフィルターの場合、色画素は、少なくとも3原色、赤(R)、緑(G)、青(B)、またはシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の3層を包含するものであり、各色画素にはこれらの3色のいずれかの1つの着色層が設けられる。
【0067】
色画素に用いられる着色剤としては、有機顔料、無機顔料、染料等を好適に用いることができ、さらには、紫外線吸収剤、分散剤、レベリング剤等の種々の添加剤を添加してもよい。顔料としては、赤(R)としてPigment Red9、97、122、123、149、168、177、180、192、215など、緑(G)としてPigment Green7、36など、青(B)としてはPigment Blue15、22、60、64などが一般的に用いられる。分散剤としては界面活性剤、顔料の中間体、染料の中間体、高分子分散剤などの広範囲のものが使用される。
【0068】
色画素に用いられる樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの感光性又は非感光性の材料が採用できる。色画素を構成する樹脂には上記着色剤を分散させる点から、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂の採用が好ましく、ポリイミド系樹脂がより好ましく用いられる。
【0069】
色画素を形成する方法としては、ブラックマトリックスを形成した基板上に着色剤を含む着色ペーストを塗布、乾燥した後に、パターニングを行う。着色剤を分散又は溶解させ着色ペーストを得る方法としては、溶媒中に樹脂と着色剤を混合させた後、三本ロール、サンドグラインダー、ボールミルなどの分散機中で分散させる方法などがあるが、この方法に特に限定されない。
【0070】
着色ペーストを塗布する方法としては、黒色ペーストの場合と同様、ディップ法、ロールコーター法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤーバーコーティング法等が好適に用いられ、この後、オーブンやホットプレートを用いて加熱乾燥(セミキュア)を行う。セミキュア条件は、使用する樹脂、溶媒、ペースト塗布量により異なるが通常60〜200℃で1〜60分加熱することが好ましい。
【0071】
このようにして得られた着色ペースト被膜は、樹脂が非感光性の樹脂である場合は、その上にフォトレジスト膜を形成した後に、また、樹脂が感光性の樹脂である場合は、そのままかあるいは酸素遮断膜を形成した後に、露光、現像を行う。必要に応じて、フォトレジスト膜または酸素遮断膜を除去し、加熱乾燥(本キュア)する。
【0072】
本キュア条件は、前駆体からポリイミド系樹脂を得る場合には、塗布量により若干異なるが、通常200〜300℃で1〜60分加熱すればよい。アクリル系樹脂の場合には、本キュア条件は、通常150〜300℃で1〜60分加熱すればよい。以上のプロセスにより、ブラックマトリックスを形成した基板上にパターニングされた着色層が形成される。また、ブラックマトリックスをいわゆる転写法で着色層を形成してもよい。
【0073】
ブラックマトリックスを形成した基板上に、上記のように、第1色目の着色層を全面にわたって形成した後に、不必要な部分をフォトリソグラフィ法により除去し、所望の第1色目の着色層の色画素パターンを形成する。同様の操作を繰り返し、第2色目の着色層の色画素パターン、第3色目の着色層の色画素パターンを形成する。
【0074】
カラーフィルターにスペーサーを形成する際に、十分な高さのスペーサーを実現するために、画素のうち少なくとも2色以上の着色層を積層したスペーサー上に、本発明の少なくともフィラーを含有するスペーサーを別途形成してもよい。着色層をスペーサーの一部とすることによって、本発明の少なくともフィラーを含有するスペーサーの高さを低くすることができ、スペーサの形成が容易になるためである。
【0075】
例えば、ブラックマトリックスを形成した基板上に第1色目の色画素の着色層で所望の第1色目の色画素のパターンを形成する際に、ブラックマトリックスの開口部を被覆する部分と、着色層の積層によりスペーサーを形成する部分に着色層を残す。第2色目、第3色目も同様な操作を繰り返し、ブラックマトリックスの開口部上には1層の着色層が形成され、スペーサーの一部が形成される。スペーサーとして十分なセルギャップを確保するためには、好ましくは2層から3層の色画素の着色層がスペーサー形成位置に積層されることが好ましい。
【0076】
また、透明導電膜を形成する場合、色画素の着色層の積層した後、透明導電膜を形成し、さらに本発明のスペーサー用樹脂組成物を用いて積層した層をスペーサーとすることがスペーサー上に形成された電極と対向電極基板との短絡を防ぐことができるため好ましい。
【0077】
また、オーバーコート膜を形成する場合、色画素の着色層を積層した後、オーバーコート膜を形成し、必要に応じて透明導電膜を形成し、さらに本発明のスペーサー用樹脂組成物を形成することが、駆動電圧の損出を少なくするとともに、スペーサー上に形成された電極と対向電極基板との短絡を防ぐことができるため好ましい。
【0078】
また、スペーサーの形成とともに、スペーサーとして機能しない高さ、言い換えればスペーサーより高さの低い積層物を形成しても良い。例えば、スペーサーが4層で形成される場合には3層、2層もしくは1層からなる積層物、スペーサーが3層で形成される場合には2層もしくは1層からなる積層物を形成しても良い。これらは、通常時は対向する基板と接することは無いが、液晶表示装置に圧力が加わった際に対向する基板と接することでセルギャップを確保して、液晶表示装置の表示品位の信頼性を高めることができる。
【0079】
開口部上の着色層とスペーサーを形成する着色層とは連続していても、また、分離されていてもよい。
【0080】
本発明の液晶表示装置用基板を用いて液晶表示装置を作製する場合には、適当な液晶の配向処理を施すことが好ましい。液晶の配向処理としては、配向膜を塗布する方法、ラビング処理を施す方法、紫外線光等の照射による光配向処理を施す方法等が挙げられる。本発明においては、例えば液晶表示装置用基板に適当な液晶配向処理を施した後、2枚の液晶表示装置用基板をエポキシ接着材等をシール剤として用いて対向して貼り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入する。液晶を注入後、注入口を封止し、さらに偏光板を基板の外側に貼り合わせ液晶表示装置を作製することができる。
【0081】
本発明の液晶表示装置に用いられる液晶としては特に限定されないが、ネマチック液晶や強誘電性液晶や反強誘電性液晶、無しきい値反強誘電性液晶等が好適に用いられる。
【0082】
本発明の液晶表示装置用基板および液晶表示装置は、パソコン、ワードプロセッサー、エンジニアリング・ワークステーション、ナビゲーションシステム、液晶テレビなどの表示画面に用いられ、また、液晶プロジェクション等にも好適に用いられる。また、光通信や光情報処理の分野において、液晶を用いた空間変調素子としても好適に用いられる。空間変調素子は、素子への入力信号に応じて、素子に入射する光の強度や位相、偏光方向等を変調させるもので、実時間ホログラフィーや空間フィルター、インコヒーレント/コヒーレント変換等に用いられるものである。
【0083】
【実施例】
以下、実施例、および比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例、および比較例で用いたフィラー、および樹脂の特性を表1に示す。なお、本発明においてOD値、膜厚、表面抵抗、セルギャップ、屈折率は次の方法で測定される値とする。
また、フィラー、および樹脂の屈折率の値は波長589nmでの値である。
(1)OD値
遮光性の指標となる光学濃度OD(optical density)値は顕微分光器(大塚電子(株)製 MCPD−2000)を用いて、波長430〜640nmの可視光領域において下記の関係式より求めた。
OD値 = log10(I0/I):ここでI0 は入射光強度、Iは透過光強度である。
(2)膜厚測定
膜厚は、表面粗さ測定器(東京精密(株)製 サーフコム1500A)を用いて求めた。
(3)表面抵抗
表面抵抗は表面抵抗測定機(三菱油化(株)製 “Loresta”または“Hiresta”)を用いて、4探針法によって表面抵抗値(シート抵抗)を測定し、膜厚を乗じて体積抵抗値を求めた。
(4)セルギャップ
液晶表示装置のセルギャップはLCDセルギャップ測定装置(大塚電子製、RETS−2000)によって求めた。
(5)樹脂の屈折率
樹脂の屈折率は膜のTE方向(膜面と平行な方向)の屈折率をnxy、膜のTM方向(膜面と垂直な方向)の屈折率をnzと定義し、(2nxy+nz)/3で求められる平均屈折率値を樹脂の屈折率とした。
【0084】
また、TE方向の屈折率nxyは、顕微分光器(大塚電子製MCPD−2000)を用いて測定した反射光の干渉波の振幅から計算した。
【0085】
一方、TM方向の屈折率nzは、エリプソメーター((株)島津製作所 AEP−100)を用いて透過モードで測定した複屈折率Δn(=nxy−nz)の値と、上記nxyの値から算出した。
【0086】
【表1】
【0087】
実施例1
(カラーフィルターの作製)
[ポリイミド前駆体溶液の作製]
γ−ブチロラクトンとN−メチル−2−ピロリドンの混合溶媒中で、ピロメリット酸二無水物(0.5モル当量)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(0.49モル当量)、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(0.95モル当量)、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサン(0.05モル当量)を60℃3時間反応させ、ポリイミド前駆体溶液(ポリマー濃度20重量%)を得た。
このポリイミド前駆体溶液200gに対し、γ−ブチロラクトン136g、ブチルセロソルブ64gを添加して得られたものをポリイミド前駆体溶液1(ポリマー濃度10重量%)とした。
【0088】
[ブラックマトリックスの作製]
カーボンブラック4g、N−メチル−2−ピロリドン40g、ブチルセロソルブ6gをガラスビーズ100gとともにホモジナイザーを用い、7000rpmで30分間分散処理後、ガラスビーズを濾過により除去し、顔料濃度8重量%の顔料分散液を得た。
【0089】
顔料分散液30gにポリイミド前駆体溶液1を28g添加混合し、黒色ペーストを作製した。この黒色ペーストを無アルカリガラス基板上にスピナーで塗布後、125℃20分セミキュアを行い、ポリイミド前駆体黒色着色膜を形成した。冷却後、ポジ型フォトレジスト(Shipley "Microposit" RC100 30cP)を塗布し、90℃10分加熱乾燥してフォトレジスト被膜を形成した。これを紫外線露光機(キヤノン(株)、PLA−501F)を用い、フォトマスクを介して露光した。露光後、アルカリ現像液(東京応化工業(株)、NMD−3)に浸漬し、フォトレジストの現像、およびポリイミド前駆体黒色着色膜のエッチングを同時に行い、開口部を形成した。エッチング後、不要となったフォトレジスト層をメチルセルソルブアセテートにて剥離した。エッチングされたポリイミド前駆体黒色着色膜を280℃30分キュアし、ポリイミドに転換して樹脂ブラックマトリクスを形成した。
【0090】
樹脂ブラックマトリックスは線幅20μm、開口部面積100μm×300μmとなるよう設計されており、膜厚は1μm、OD値は3.0であった。
【0091】
[画素の作製]
次に、赤、緑、青の顔料として各々 Pigment Red 177で示されるジアントラキノン系顔料、 Pigment Green 36で示されるフタロシアニングリーン系顔料、 Pigment Blue 15-4で示されるフタロシアニンブルー系顔料を用意した。上記ポリイミド前駆体溶液1と上記顔料を各々(ポリイミド前駆体:顔料)の重量比が6:4の割合で混合分散させて、赤、緑、青の3種類の着色ペーストを得た。
【0092】
この着色ペーストを用い、樹脂ブラックマトリックスと同様に、赤画素、緑画素、および青画素を着色画素部の膜厚がそれぞれ1.5μmとなるよう形成した。また、このとき、隣り合う着色膜層どうしは樹脂ブラックマトリックス上で重ならないよう形成した。
【0093】
[オーバーコート膜の形成]
更にポリイミドシロキサン前駆体溶液を基板上に塗布して、ポリイミドシロキサンからなるオーバーコート膜を膜厚1μmとなるよう形成した。
【0094】
[スペーサー用樹脂組成物およびスペーサーの作製]
1,4−ブタンジオ−ル−ビス(3−アミノプロピル)エ−テル163.4g(0.80モル)、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル120.2g(0.60モル)、3,3´−ジアミノジフェニルスルフォン124.1g(0.50モル)、および1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン24.9g(0.10モル)をN−メチル−2−ピロリドン1944g、およびγ−ブチロラクトン1944gとともに仕込み、これを攪拌しながら3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物315.8g(0.98モル)およびピロメリット酸二無水物218.0g(1.00モル)を添加し、83℃で3時間反応させた後、無水マレイン酸3.92g(0.04モル)を加えてさらに83℃で3時間反応させた。このようにして、ポリマー濃度20重量%、粘度1.3ポイズのポリイミド前駆体溶液2を得た。
また、ポリイミド前駆体溶液2を無アルカリ基板上に塗布した後、硬化してポリイミド膜を形成した結果、屈折率は1.58であった。
【0095】
下記の組成を有するスペーサー用樹脂組成物をホモジナイザーを用いて7000rpmで30分間分散した後、ガラスビーズを濾過した。この様にして得られたものをスペーサー用樹脂組成物1とした。
【0096】
スペーサー用樹脂組成物1
沈降性硫酸バリウム(屈折率1.64):45.0重量部
ポリイミド前駆体溶液2:142.5重量部
N−メチル−2−ピロリドン:115.0重量部
γ−ブチロラクトン:115.0重量部
3−メチル−3−メトキシブタノールアセテート:63.8重量部
ガラスビーズ:481.3重量部
このスペーサー用樹脂組成物1をオーバーコート膜までが形成されたカラーフィルター上にスピナーで塗布し、125℃20分セミキュアを行い、スペーサー用樹脂組成物膜を形成した。冷却後、ポジ型フォトレジスト(Shipley "Microposit" RC100 30cP)をスピナーで塗布し、90℃10分乾燥した。これを紫外線露光機(キヤノン(株)、PLA−501F)を用いて、フォトマスクを介して120mj/cm2露光し、アルカリ現像液(NMD−3、東京応化工業(株)製)でポジ型レジストの現像、およびスペーサー用樹脂組成物膜のエッチングを同時に行い、スペーサー部を形成した。さらに280℃30分加熱して熱硬化を行い、ポリイミドに転換してスペーサーを形成した。
スペーサーは画面内ブラックマトリックス上、額縁上、額縁周辺部のシール部上、およびシール部の外側に形成した。
図5は実施例1で作製した本発明の液晶表示装置用基板を示す部分断面図である。スペーサーは、スペーサー用樹脂組成物の単一層であり、高さは4μm、1個当たりのスペーサーの面積は100μm2 であった。
【0097】
また、スペーサー用樹脂組成物1を用い、無アルカリガラス基板上にスペーサーのみを形成したところ、体積抵抗値は109Ωcmであった。
【0098】
(カラー液晶表示装置の作製と評価)
このカラーフィルター上にポリイミド系の配向膜を設け、ラビング処理を施した。また、同様に対向する薄膜トランジスタを備えた液晶表示装置用基板についても、ポリイミド系の配向膜を設け、ラビング処理を施した。この2枚の基板をエポキシ接着材をシール剤として用いて貼り合わせた後に、シール部に設けられた注入口からネマチック液晶を注入した。液晶を注入後、注入口を封止し、さらに偏光板を基板の外側に貼り合わせ液晶表示装置を作製した。実施例1での液晶表示装置は横電界液晶駆動による表示装置である。
このような手法に基づき、100個の液晶表示装置を作製した。個々の液晶表示装置のセルギャップを測定した結果、平均値は4.06μm、標準偏差は0.016μmであり、セルギャップバラツキの少ないない液晶表示装置を得ることが出来た。
また、これらの液晶表示装置の表示品位を評価した結果、色ムラがなく良好な表示品位は良好であった。
表示品位確認後、液晶表示装置を解体しスペーサーを光学顕微鏡等を観察したがスペーサーの潰れは確認されなかった。
【0099】
実施例2
(カラーフィルターの作製)
[ブラックマトリックスの作製]
無アルカリガラス基板上に、クロム、およびその酸化物から成る遮光膜を真空蒸着法により形成した。これにフォトレジストを塗布し、加熱乾燥によりフォトレジストの被膜を形成した。これを紫外線露光機を用いて、フォトマスクを介して露光した。露光後、アルカリ現像液に浸漬し、フォトレジストの現像を行った。その後、酸現像液により遮光膜をエッチングし、エッチング後、不要となったフォトレジスト層を剥離し、ブラックマトリックスを形成した。
【0100】
また、ブラックマトリックスは線幅20μm、開口部面積100μm×300μm、OD値3.0となるよう設計した。
【0101】
[画素およびオーバーコート膜の作製]
ブラックマトリックスとして、クロム、およびその酸化膜からなる遮光膜を形成した以外は実施例1と全く同様にして、赤画素、緑画素、青画素、およびオーバーコート膜を形成した。また、実施例1と同様、隣り合う着色膜層どうしはブラックマトリックス上で重ならないように形成した。
【0102】
[透明導電膜の形成]
次に、スパッタリング法にてITOの透明電極を形成した。透明電極の膜厚は150nmであり、表面抵抗は20Ω/□であった。
【0103】
[スペーサー用樹脂組成物およびスペーサーの作製]
フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを100g仕込み、これをオイルバス中で80℃に保ち、窒素シール、攪拌を行いなからメタクリル酸メチル10gとステレン40g、メタクリル酸30gにN、N−アゾビスイソプチロニトリル2gを混合して、これを滴下ロートで30分かけて滴下した。この後、4時間反応を続けた後、ハイドロキノンモノメチルエーテルを1g添加してから常温に戻し重合を完了した。この様にして得られたものをアクリル1とした。つぎにこのアクリル1にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gを添加した後、これを75℃に保ちながらメタクリル酸グリシジル40gとトリエチルペンジルアンモニウムクロライド3gを添加し、3時間反応させた。このようにして得られたものをアクリル2とした。ここでメタクリル酸グリシジルの反応率は、反応前後のポリマ酸価の変化から求めたところ70%であった。したがって付加量は0.73当量であった。
【0104】
下記の組成を有するスペーサー用樹脂組成物をホモジナイザーを用いて7000rpmで30分間分散し、ガラスビーズを濾過した。このようにして得られたものをスペーサー用樹脂組成物2とした。
【0105】
スペーサー用樹脂組成物2
沈降性炭酸カルシウム(屈折率1.65):45重量部
アクリル2:50重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート:20重量部
α−アミノアセトフェノン:5重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:200重量部
ガラスビーズ:320重量部
透明導電膜までが形成されたカラーフィルター上に、このスペーサー用樹脂組成物を塗布し、100℃10分セミキュアを行い、スペーサー用樹脂組成物膜を得た。冷却後、紫外線露光機(キヤノン(株)、PLA−501F)を用いて、フォトマスクを介して300mj/cm2露光した。露光後、炭酸ソーダ1%水溶液で現像した、200℃、30分キュアした。
スペーサーは画面内ブラックマトリックス上、額縁上、額縁周辺部のシール部上に形成した。スペーサーはスペーサー用樹脂組成物からなる単一層であり、高さは4.5μm、表示画面部の1個当たりのスペーサーの面積は80μm2であった。
また、スペーサー用樹脂組成物2を用い、無アルカリガラス基板上にスペーサーのみを形成したところ、体積抵抗値は1010Ωcm、屈折率は1.51であった。
【0106】
(カラー液晶表示装置の作製と評価)
このカラーフィルターを用い、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。実施例2の液晶表示装置は2枚の液晶表示装置用基板にそれぞれ形成された電極間で駆動する表示方式のものである。
このような手法に基づき、100個の液晶表示装置を作製した。個々の液晶表示装置のセルギャップを測定した結果、平均値は4.48μm、標準偏差は0.025μmであり、セルギャップバラツキの少ない液晶表示装置を得ることが出来た。
また、これらの液晶表示装置の表示品位を評価した結果、色ムラがなく良好な表示品位は良好であった。
表示品位確認後、液晶表示装置を解体しスペーサーを光学顕微鏡等を観察したがスペーサーの潰れは確認されなかった。
【0107】
実施例3
(カラーフィルターの作製)
[ブラックマトリックスの作製]
実施例1で用いた黒色ペーストを用い、実施例1と同様にして無アルカリガラス基板上に樹脂ブラックマトリックスを作製した。樹脂ブラックマトリックスの膜厚は1.2μm、OD値は3.5であった。
【0108】
[画素の作製]
実施例1で用いた赤、青、緑の着色ペーストを用意した。
まず、ブラックマトリックス基板上に青ペーストを塗布し、120℃20分セミキュアした。この後、ポジ型レジスト(Shipley ”Microposit” RC100 30cp)を塗布後、80℃10分乾燥した。つぎに紫外線露光機(キヤノン(株)、PLA−501F)を用いて、フォトマスクを介して露光し、アルカリ現像液(NMD−3、東京応化工業(株)製)でポジ型レジストの現像、および青色着色膜のエッチングを同時に行った。その後、ポジ型レジストをメチルセロソルブアセテートで剥離し、さらに300℃30分間キュアした。青色画素部の膜厚は2.0μmであった。このパターニングにより青色画素部の形成とともに樹脂ブラックマトリックス上にスペーサーの1段目を形成した。スペーサーの1段目の面積は約150μm2 であった。
水洗後、同様にして赤色画素部の形成とともに樹脂ブラックマトリックス上にスペーサの2段目を形成した。スペーサーの2段目の面積は約130μm2 であり、赤色画素部の膜厚は1.8μmであった。
さらに水洗後同様にして、緑色画素部の形成した。ただし、緑色着色層ではスペーサー3段目は形成しなかった。緑色画素部の膜厚は1.8μmであった。
その後、スパッタリング法にてITOの透明電極を形成した。透明電極の膜厚は130nmであり、表面抵抗は22Ω/□であった。
【0109】
[スペーサー用樹脂組成物およびスペーサーの作製]
透明電極までが形成された基板上に、実施例1で用いたスペーサー用樹脂組成物を用いてスペーサーを形成し、カラーフィルターを得た。
図6は実施例3で作製した本発明の液晶表示装置用基板を示す部分断面図である。スペーサーは青色着色層1、赤色着色層2、およびスペーサー用樹脂組成物層12からなる3層積層体である。スペーサーの高さは4.3μm、表示画面部の1個当たりのスペーサーの面積は70μm2 であった。また、ブラックマトリックス上の青色着色層、および赤色着色層はそれぞれ開口部上の着色層と連続している。
【0110】
(カラー液晶表示装置の作製と評価)
実施例1と同様な製造工程を経て、100個の液晶表示装置を作製した。個々の液晶表示装置のセルギャップを測定した結果、平均値は4.33μm、標準偏差は0.032μmであり、セルギャップバラツキの少ない液晶表示装置を得ることが出来た。
また、これらの液晶表示装置の表示品位を評価した結果、色ムラがなく良好な表示品位は良好であった。
表示品位確認後、液晶表示装置を解体しスペーサーを光学顕微鏡等を観察したがスペーサーの潰れは確認されなかった。
【0111】
実施例4
(カラーフィルターの作製)
[ブラックマトリックスの作製]
実施例3と全く同様にして樹脂ブラックマトリックスを作製した。
【0112】
[画素の作製]
実施例3と同様にして青色画素部の形成とともに樹脂ブラックマトリックス上にスペーサーの1段目を形成した。スペーサーの1段目の面積は約200μm2 であり、青色画素部の膜厚は1.5μmであった。
水洗後、同様にして赤色画素部の形成とともに樹脂ブラックマトリックス上にスペーサの2段目を形成した。スペーサーの2段目の面積は約150μm2 であり、赤色画素部の膜厚は1.5μmであった。
さらに水洗後同様にして、緑色画素部の形成とともに、樹脂ブラックマトリックス上にスペーサーの3段目を形成した。スペーサーの3段目の面積は約100μm2 であり、緑色画素部の膜厚は1.5μmであった。
【0113】
[スペーサー用樹脂組成物およびスペーサーの作製]
緑色画素部までが形成された基板上に、実施例2で用いたスペーサー用樹脂組成物を用いてスペーサーを形成し、カラーフィルターを得た。
その後、スパッタリング法にてITOの透明電極を形成した。透明電極の膜厚は130nmであり、表面抵抗は22Ω/□であった。
図7は実施例4で作製した本発明の液晶表示装置用基板を示す部分断面図である。スペーサーは青色着色層1、緑色着色層3、赤色着色層2、およびスペーサー用樹脂組成物層12からなる4層積層体である。スペーサーの高さは5.0μm、表示画面部の1個当たりのスペーサーの面積は70μm2 であった。また、ブラックマトリックス上の青色着色層は開口部の青色着色層と連続しており、緑色着色層、および赤色着色層は開口部の着色層と分離している。
【0114】
(カラー液晶表示装置の作製と評価)
実施例1と同様な製造工程を経て、100個の液晶表示装置を作製した。個々の液晶表示装置のセルギャップを測定した結果、平均値は4.33μm、標準偏差は0.032μmであり、セルギャップバラツキの少ない液晶表示装置を得ることが出来た。
また、これらの液晶表示装置の表示品位を評価した結果、色ムラがなく良好な表示品位は良好であった。
表示品位確認後、液晶表示装置を解体しスペーサーを光学顕微鏡等を観察したがスペーサーの潰れは確認されなかった。
【0115】
比較例1
(カラーフィルターの作製)
実施例1と全く同様にしてオーバーコート膜までが形成されたカラーフィルターを作製した。
【0116】
[スペーサー用樹脂組成物およびスペーサーの作製]
下記の組成を有するスペーサー用樹脂組成物をホモジナイザーを用いて7000rpmで30分間分散した後、ガラスビーズを濾過した。このようにして得られたものをスペーサー用樹脂組成物3とした。
【0117】
スペーサー用樹脂組成物3
酸化チタン(屈折率2.71):45.0重量部
ポリイミド前駆体溶液2:142.5重量部
N−メチル−2−ピロリドン:115.0重量部
γ−ブチロラクトン:115.0重量部
3−メチル−3−メトキシブタノールアセテート:63.8重量部
ガラスビーズ:481.3重量部
実施例1と同様な工程を経て、カラーフィルター上にスペーサーを形成した。スペーサーはスペーサー用樹脂組成物の単一層であり、高さは4μm、1個当たりのスペーサー面積は100μm2 であった。
また、スペーサ用樹脂組成物3を用い、無アルカリガラス基板上にスペーサーのみを形成してたところ、体積抵抗値108 Ωcmであり、白色を呈していた。
【0118】
(カラー液晶表示装置の作製と評価)
このカラーフィルターを用い、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。実施例2の液晶表示装置は2枚の液晶表示装置用基板にそれぞれ形成された電極間で駆動する表示方式のものである。このような手法に基づき、一定の公知の製造工程を経て、100個の液晶表示装置を作製した。個々の液晶表示装置のセルギャップを測定した結果、平均値は4.55μm、標準偏差は0.040μmであり、セルギャップバラツキのない液晶表示装置を得ることが出来た。
しかしながら、これらの液晶表示装置の表示品位を評価した結果、開口部にスペーサー用樹脂組成物の白色残渣が生じており、色ズレが生じていた。
表示品位確認後、液晶表示装置を解体しスペーサーを光学顕微鏡等を観察したがスペーサーの潰れは確認されなかった。
【0119】
比較例2
(カラーフィルターの作製)
実施例2と全く同様にして、透明導電膜までが形成されたカラーフィルターを作製した。
【0120】
[スペーサー用樹脂組成物の作製]
下記の組成を有するスペーサー用樹脂組成物をホモジナイザーを用いて7000rpmで30分間分散し、ガラスビーズを濾過した。この様にして得られたものをスペーサー用樹脂組成物4とした。
【0121】
スペーサー用樹脂組成物4
亜鉛華(屈折率:2.029):45重量部
アクリル2:50重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート:20重量部
α−アミノアセトフェノン:5重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:200重量部
ガラスビーズ:320重量部
透明導電膜までが形成されたカラーフィルター上に、このスペーサー用樹脂組成物4を塗布し、100℃10分セミキュアを行い、スペーサー用樹脂組成物膜を得た。冷却後、紫外線露光機(キヤノン(株)、PLA−501F)を用いて、フォトマスクを介して300mj/cm2露光した。露光後、炭酸ソーダ1%水溶液で現像した、200℃、30分キュアした。
スペーサーは画面内ブラックマトリックス上、額縁上、額縁周辺部のシール部上に形成した。スペーサーはスペーサー用樹脂組成物からなる単一層であり、高さは4.5μm、表示画面部の1個当たりのスペーサーの面積は80μm2であった。
また、スペーサー用樹脂組成物4を用い、無アルカリガラス基板上にスペーサーのみを形成したところ、体積抵抗値は1010Ωcmであった。
【0122】
(カラー液晶表示装置の作製と評価)
このカラーフィルターを用い、実施例2と同様にして液晶表示装置を作製した。実施例2の液晶表示装置は2枚の液晶表示装置用基板にそれぞれ形成された電極間で駆動する表示方式のものである。
このような手法に基づき、100個の液晶表示装置を作製した。個々の液晶表示装置のセルギャップを測定した結果、平均値は4.48μm、標準偏差は0.10μmでり、セルギャップバラツキが大きな液晶表示装置となった。
また、これらの液晶表示装置の表示品位を評価した結果、セルギャップに大きなバラツキがあるため、干渉縞が生じており、表示品位の低下が見られた。
表示品位確認後、液晶表示装置を解体しスペーサーを光学顕微鏡等を観察した結果、セルギャップの大きなスペーサーに潰れが生じていた。
【0123】
【発明の効果】
本発明のスペーサーは、液晶表示装置用基板上に形成されるスペーサーであって、フィラーを含有するスペーサー用樹脂組成物を用いてスペーサーを形成するものであるため、本発明のスペーサーを有する液晶表示装置用基板を用いた液晶表示装置は、十分なセルギャップを実現すると共に、画面内で均一なセルギャップを保持し、外部からの力または衝撃が加わった場合に、パターニングされたスペーサーの潰れによる表示品位の低下が従来よりも発生しにくい。さらに液晶表示装置の生産性を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパターニングされたスペーサーを用いた液晶表示装置用基板の一例の概略図である
【図2】本発明のパターニングされたスペーサーを用いた液晶表示装置の一例の概略図である
【図3】従来のビーズ状スペーサーを用いた液晶表示装置の概略図である
【図4】本発明の液晶表示装置用基板の一例の概略図であり、スペーサー形成前にオーバーコート膜を形成したものである
【図5】実施例1で作製した本発明の液晶表示装置用基板を示す部分断面図
【図6】実施例3で作製した本発明の液晶表示装置用基板を示す部分断面図
【図7】実施例4で作製した本発明の液晶表示装置用基板を示す部分断面図
【符号の説明】
1:青画素
2:赤画素
3:緑画素
4:ブラックマトリックス
5a、5b:ガラス基板
6a、6b:電極層
7:配向膜
8:シール剤
9:薄膜トランジスター
10:液晶
11:ビーズ状スペーサー
12:パターニングされたスペーサー用樹脂組成物
13:オーバーコート膜
Claims (10)
- 液晶表示装置用基板上に形成される少なくともフィラーを含有したスペーサー用樹脂組成物であって、350〜650nmの範囲にある波長λnmにおけるフィラー、および樹脂の屈折率をそれぞれnf(λ)、nr(λ) としたとき、|nf(λ)−nr(λ)|≦0.2 であり、フィラーがバライト粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、石膏、アスベスト、クレー、シリカ粉、微粉ケイ酸、珪藻土、タルク、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、およびサチン白の群から選ばれた少なくとも一種であり、かつ樹脂がアクリル系樹脂またはポリイミド系樹脂を含むことを特徴とするスペーサー用樹脂組成物。
- 請求項1記載のスペーサー用樹脂組成物を用いて形成したスペーサーを有することを特徴とする液晶表示装置用基板。
- スペーサーの高さが1〜9μmであることを特徴とする請求項2記載の液晶表示装置用基板。
- スペーサーが画面内および/または画面外に形成されたことを特徴とする請求項2または3記載の液晶表示装置用基板。
- スペーサーの体積抵抗率が107Ωcm以上であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の液晶表示装置用基板。
- 請求項2〜5のいずれかに記載の液晶表示装置用基板において、スペーサーが樹脂の単一層からなることを特徴とする液晶表示装置用基板。
- 画素のうち少なくとも2色以上の着色層を積層したスペーサー上に、請求項2〜5のいずれかに記載のスペーサを別途形成したことを特徴とする液晶表示装置用基板。
- スペーサーの頂部に導電層が形成されていないことを特徴とする請求項2〜7記載の液晶表示装置用基板。
- 画面内のスペーサーが対向基板と接触する面積がスペーサー1個あたり10〜1000μm2であることを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の液晶表示装置用基板。
- 2枚の液晶表示装置用基板により液晶層を挟持した液晶表示装置において、請求項2〜9のいずれかに記載の液晶表示装置用基板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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