JP2003531566A - Nogo遺伝子のヌクレオチド配列およびタンパク質配列、ならびにそれに基づく方法 - Google Patents

Nogo遺伝子のヌクレオチド配列およびタンパク質配列、ならびにそれに基づく方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、遺伝子Nogo、それがコードするタンパク質産物、ならびにその誘導体および類似体に関する。Nogoタンパク質、誘導体および抗体の産生方法も提供する。本発明はさらに、治療用組成物ならびに診断および治療方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は米国仮出願第60/107,446号(1998年11月6日出願)に基づく優先権を
主張するものである。この仮出願はその全体を参照により本明細書に組み入れる
ものとする。
【0002】1. 序論 本発明はNogo遺伝子、特にそれがコードするタンパク質産物Nogo、ならびにそ
れらの誘導体および類似体に関する。Nogoタンパク質、誘導体、および抗体の生
産も提供する。本発明はさらに、治療用組成物、ならびに診断法および治療法に
関する。
【0003】2. 発明の背景 高等脊椎動物の中枢神経系(CNS)においては、損傷後の軸索の再生はほとん
ど起こらず、構造塑性が制限されている。CNSミエリンに関連した成長インヒビ
ターがおそらく重要な役割を果たしていると思われる。このことは、モノクロー
ナル抗体(mAb)のIN-1が強力な神経突起成長抑制性ミエリンタンパク質を中和
することによって、成体ラットにおいて脊髄または脳が損傷を受けた後、長期間
にわたり軸索の再生を促進し、補償的塑性を高めることから、証明される。
【0004】 数多くのin vitroおよびin vivoの観察により、反発性ならびに抑制性のシグ
ナルおよび因子の存在という神経突起成長調節の新しい態様が示されている(Ke
ynesおよびCook, 1995, Curr. Opin. Neurosci. 5:75-82)。これらのシグナル
の多くはタンパク質または糖タンパク質であると考えられた。それらの因子の同
定に向けた第一のブレイクスルーは、ヒヨコの脳由来の成長円錐崩壊誘導分子で
あるコラプシン(Collapsin)-1(現在はセマフォリン(Semaphorin)3A)と呼ばれて
いる)の精製およびcDNAクローニングであった。
【0005】 近年精製およびクローニングされた反発性誘導信号の第2の群は、現在エフリ
ン(Ephrin)類と呼ばれている。それらはEph受容体チロシンキナーゼファミリー
に対するリガンドである。エフリン-A5およびエフリン-A2は、ヒヨコ胚の視蓋に
おいて勾配的に発現され、それらの異所性発現および欠如は網膜軸索の内方向伸
長に対する誘導エラーを引き起こす。セマフォリンと同様、エフリンファミリー
には15〜20種があり、その各々が神経系において、およびそれ以外の場所で、複
合的かつ動的に発現される。これらの分子の多くは機能が未だ解析されないまま
である。
【0006】 軸索の成長を阻むことができ、発生中の神経系にて発現される誘導信号の第3
の群は、ネトリン(Netrin)類である。ネトリンは、そのオーソログ体である線虫
C. elegansのunc-6と同様に、初期脊髄における交連軸索に対する平板由来化学
誘引物質として精製された。ネトリン-1は、標的となるニューロンの成長円錐に
存在する受容体のタイプに応じた特定のニューロンタイプに対し、反発性作用を
有することがわかった(Tessier-Lavigneら, 1996, Science 274:1123-33)。
【0007】 すでに、成体CNS稀突起神経膠細胞およびミエリンと関連した強力な神経突起
成長抑制活性が、CanoniおよびSchwab(1988, J. Cell Biol. 106:1281-1288)
によって報告されている。その主な構成要素は、近年精製され、また本発明に係
る物質に近縁な高分子量膜タンパク質(NI-250、より小さい構成成分NI-35を伴
う、ラット)であり、中和mAbのIN-1と結合する(CanoniおよびSchwab, 1988, J
. Cell Biol. 106:1281-1288; 米国特許第5,684,133号;第5,250,414号; PCT公
報 WO 93/00427)。
【0008】 ミエリン関連神経突起成長インヒビターは、損傷を受けたCNS軸索の再生を妨
げる上で重要な役割を果たしている。ニワトリまたはラットで稀突起神経膠細胞
の発生およびミエリン形成を妨げると、CNS損傷後の再生許容期間が延長される
。実際、ミエリン形成は、CNSが高い構造塑性および高い再生可能性を示す発生
期の最後に合わせて同時期に起こる。
【0009】 NI-250およびNI-35はおそらくミエリン関連成長抑制物の主たる構成成分であ
ろう。このことは、脊髄損傷成体ラットに対するin vivoでのIN-1の適用によっ
て、長期間にわたる皮質脊髄軸索の再生が引き起こされ、運動機能および行動機
能の回復、特に移動運動に関する回復がなされたことから、証明される。視神経
およびコリン作動性中隔-海馬経路に対する同様の実験もまた、IN-1認識抗原で
あるNI-35/250のin vivoでの関連を示した(SchnellおよびSchwab, 1990, Natur
e 343:269-272; Bregmanら, 1995, Nature 378:498-501)。
【0010】 未損傷の神経線維系もまたIN-1による神経突起成長インヒビターの中和に応答
する。最近の実験では、選択的な皮質脊髄路損傷(錘体路切断)の後、無傷の神経
線維は脊髄および脳幹の中線を横切って出芽し、IN-1存在下での正確な動作のほ
ぼ完全な行動的回復を伴う両側神経支配パターンを確立することが結論として示
された(Z'Graggenら, 1998, J. Neuroscience 18(12):4744-4757)。
【0011】 神経突起成長抑制タンパク質をコードする遺伝子の単離は、ニューロン再生お
よびCNS腫瘍を含む様々な神経学的障害の治療に有用な製品を開発する上で多様
な機会をもたらす。
【0012】 上記の引用文献の引用は、それら引用文献が本発明の先行技術として利用可能
であるという容認事項とはみなされるべきではない。
【0013】3. 発明の概要 本発明は、Nogo遺伝子(ヒト、ラット、ウシのNogoと、他の種のNogo相同体)
のヌクレオチド配列、それがコードするタンパク質のアミノ酸配列、ならびにそ
の誘導体(例えば、断片)および類似体に関する。前記ヌクレオチド配列にハイ
ブリダイズ可能なまたは相補的な核酸も提供する。特定の実施形態において、No
goタンパク質はラット、ウシまたはヒトのタンパク質である。
【0014】 本発明はまた、Nogoと相互作用する遺伝子の同定方法に関する。
【0015】 Nogoは、神経成長調節タンパク質をコードすると共に該タンパク質と相互作用
する遺伝子で、本発明により提供され、本発明の方法により同定された遺伝子で
ある。
【0016】 本発明はさらに、機能的に活性である本発明のNogo誘導体および類似体に関す
る。すなわち、それらは天然のNogoタンパク質と関係した機能活性を1以上示す
ことができる。例えば、アミノ酸542と722の間に主要な抑制領域が同定されて
いる。かかる機能活性としては、神経細胞の神経突起成長抑制、繊維芽細胞また
は腫瘍性増殖を示す細胞の拡がりおよび移動の抑制、神経成長調節タンパク質と
相互作用するかまたは該相互作用について競合する能力、抗Nogo抗体と結合する
(または結合についてNogoと競合する)能力である抗原性、Nogoと結合する抗体
を生成する能力である免疫原性を挙げることができるが、これらに限定されない
。これらの抗体は、神経突起成長抑制能があるNogoまたはNogoの機能性断片もし
くは誘導体の機能を抑制することによって、神経突起の成長を誘導するか、また
は後根神経節の成長円錐崩壊を防止するという潜在能力を有する。
【0017】 本発明はさらに、Nogoタンパク質の1以上のドメイン、例えば、酸性でプロリ
ンに富むアミノ末端(例:配列番号2のアミノ酸31-58)、高度に保存されたカ
ルボキシ末端、やはりカルボキシ末端にある2つの疎水性領域(ラットNogoでは
35および36アミノ酸長;配列番号2のアミノ酸988-1023および1090-1125)を含
むNogoの断片(ならびにその誘導体および類似体)に関する。
【0018】 さらに、種々のNogo、Nogo誘導体および類似体に対する抗体も提供する。特に
例を挙げると、2つの抗体が誘導され、AS 472と名づけた第1の抗体は、配列番
号2のアミノ酸623-640に対応する合成ペプチドを免疫原として用いて誘導され
たものであり、AS Brunaと名づけた第2の抗体は、Nogoのカルボキシ末端である
配列番号2のアミノ酸762-1163に対して生成されたものである。
【0019】 Nogoタンパク質、その誘導体および類似体の(例えば、組換え法による)産生
方法も提供される。
【0020】 本発明はまた、Nogoタンパク質およびNogo核酸をベースとした治療法、診断法
ならびに組成物に関する。本発明の治療用化合物としては、Nogoタンパク質とそ
の類似体および誘導体(断片を含む)、Nogoタンパク質またはその類似体もしく
は誘導体をコードする核酸、およびNogoリボザイムまたはNogoアンチセンス核酸
が挙げられるが、これらに限らない。
【0021】 本発明はさらに、Nogoタンパク質、Nogo核酸および抗Nogo抗体をベースとした
治療法、診断法ならびに組成物に関する。本発明は、Nogo活性を促進する化合物
(例えば、Nogoタンパク質、その機能的に活性な類似体、および断片を含む誘導
体、Nogoタンパク質またはその類似体もしくは誘導体をコードする核酸、Nogoの
アゴニスト)を投与することによるCNSおよび神経に由来する腫瘍の治療法を提
供する。
【0022】 本発明はさらに、Nogo活性を妨げる化合物(例えば、ドミナントネガティブNo
go誘導体、Nogoに対する抗体、Nogoのアンチセンス核酸、Nogoリボザイムまたは
Nogoの活性部位と結合する化学基)を投与することによる、最終的に神経系の損
傷をもたらす疾患、障害または損傷の治療法を提供する。そのような疾患、障害
または損傷には、中枢神経系(CNS)の外傷(例えば、脊髄または脳の外傷)、梗
塞症、感染症、悪性疾患、毒薬への暴露、栄養欠乏症、病的腫瘍性症候群、変性
神経疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多発性硬
化症、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺など)が含まれるが、これらに限
らない。
【0023】 また、疾患のモデル動物、疾患への素因の診断法およびスクリーニング法、な
らびにNogoアゴニストおよびアンタゴニストの同定方法も本発明により提供され
る。
【0024】3.1 定義 本明細書において、遺伝子の名前に下線を施したりイタリック体を使用するこ
とはその遺伝子自体を示しており、これに対して、下線やイタリック体を用いて
いない遺伝子名はそれがコードするタンパク質産物を示している。例えば、イタ
リック体の「Nogo」はNogo遺伝子をさし、イタリック体でない「Nogo」はNogo遺
伝子のタンパク質産物を示す。
【0025】4. 図面の説明 (図面の説明については本明細書の最後を参照)5. 詳細な説明 本発明は、Nogo遺伝子のヌクレオチド配列およびそれらのコードタンパク質の
アミノ酸配列に関する。本発明はさらに、Nogoタンパク質の断片、ならびに他の
誘導体および類似体に関する。そのような断片または誘導体をコードする核酸も
また、本発明の範囲にある。本発明は、多くの異なる種のNogo遺伝子およびそれ
らのコードタンパク質を提供する。本発明のNogo遺伝子としては、ヒト、ラット
およびウシのNogoおよび他の種における関連遺伝子(相同体)が含まれる。Spil
lmanら, 1998, J. Biol. Chem. 273:19283-19293に開示されているウシのサブ配
列は、本発明の一部として権利請求されてはいない。特定の実施形態において、
Nogo遺伝子およびタンパク質は脊椎動物、より詳細には哺乳動物に由来するもの
である。本発明の好ましい実施形態では、Nogo遺伝子およびタンパク質はヒト起
源のものである。例えば、組換え方法による上記のタンパク質および誘導体の生
産が提供される。
【0026】 本発明により提供されるNogo遺伝子は、Nogoの3種のアイソフォーム(すなわ
ち、Nogo A、Nogo BおよびNogo C)をコードする核酸分子を包含する。遺伝子「
Nogo」についての言及は、特記しない限り、全3種のアイソフォームをコードす
る核酸分子を含むものとする。同様に、Nogoタンパク質についての言及は、特記
しない限り、Nogoの全3種のアイソフォームを含むものとする。本発明のNogoタ
ンパク質は、脊髄または脳におけるニューロンの再生を抑制し(すなわち、非許
容性基質特性)、後根神経節の神経突起の成長を阻害し、後根神経節の成長円錐
崩壊を誘導し、NIH 3T3細胞の伸展を阻止し、PC12神経突起の成長を阻止するこ
となどができる。
【0027】 Nogoタンパク質、それらの断片および誘導体は、全ての中枢神経系ミエリン物
質を含まない。特に、それらは、Nogoタンパク質が天然では結合している全ての
中枢神経系ミエリン物質を含まない。そのような物質としては、他のCNSミエリ
ンタンパク質、脂質および炭水化物を挙げることができる。本発明のNogoタンパ
ク質、それらの断片および誘導体はまた、好ましくは生物学的供試体からの精製
において用いられる試薬(例えば界面活性剤)を含まない。
【0028】 特定の実施形態において、本発明は、遺伝子操作した細胞内でのNogo遺伝子の
発現のような、当業界で公知の方法により調製される組換えNogoタンパク質、そ
れらの断片および誘導体を提供する。
【0029】 本発明はまた、機能的に活性である[すなわち、それらが全長(野性型)Nogo
タンパク質に関連する1つ以上の既知の機能的活性を示すことができる]本発明
のNogo誘導体および類似体に関する。そのような機能的活性としては、神経成長
調節タンパク質と相互作用する(または結合について競合する)能力、抗原性[
抗-Nogo抗体と結合する(または結合についてNogoと競合する)能力]、免疫原
性(Nogoに結合する抗体を生成する能力)、脊髄または脳におけるニューロンの
再生の抑制、基質への、神経細胞および腫瘍性細胞の成長、伸展および移動を抑
制する特性の付与、後根神経節の成長、錐体の崩壊を含む後根神経節の神経突起
成長の抑制、in vitroでのNIH 3T3細胞の伸展の阻止、PC12神経突起の成長の阻
止、神経形成性の制限などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0030】 本発明はさらに、Nogoタンパク質の1つ以上のドメインを含むNogoの断片(な
らびにその誘導体および類似体)に関する。
【0031】 Nogoに対する抗体、その誘導体および類似体がさらに提供される。
【0032】 本発明はまた、Nogoタンパク質および核酸ならびに抗-Nogo抗体をベースとす
る治療方法および診断方法ならびに組成物に関する。本発明は、Nogoの活性を促
進する化合物[例えば、Nogoタンパク質ならびにそれらの機能的に活性な類似体
および誘導体(断片を含む)、Nogoタンパク質、類似体または誘導体をコードす
る核酸、Nogoのアゴニスト]を投与することによる、成長調節細胞または器官の
障害の治療を提供する。
【0033】 本発明はまた、Nogoの機能をアンタゴナイズまたは抑制する化合物(例えば、
抗体、Nogoアンチセンス核酸、Nogoアンタゴニスト誘導体)を投与することによ
る、神経系の損傷または障害の治療方法を提供する。
【0034】 障害に対する疾病素質の動物モデル、診断方法およびスクリーニング方法もま
た、本発明により提供される。
【0035】 開示内容を明確にするために(しかし、限定しようとするものではないが)、
本発明の詳細な説明を以下のサブセクションに分ける。
【0036】5.1 Nogo遺伝子の単離 本発明は、Nogo遺伝子または核酸のヌクレオチド配列に関する。1つの実施形
態において、Nogo核酸は、図1bに示すNogo Aとして同定された図2aのラットcDNA
配列(配列番号1)もしくはそのコード領域、または長さが1163アミノ酸のNogo
タンパク質をコードするヌクレオチド配列もしくはそれらの機能的断片もしくは
誘導体(例えば、図2aに示す配列番号2の配列を有するタンパク質)を含む。
【0037】 別の実施形態において、Nogo核酸は、Nogo Bをコードするヌクレオチド配列を
含むが、但し、Nogo Bタンパク質は、Nogo Aのカルボキシ末端の188アミノ酸に
融合しているアミノ末端の172アミノ酸に相当し、末端切断型の360アミノ酸のタ
ンパク質を生じる。Nogo Bの転写産物は、介在ヌクレオチドコード配列を除去す
る別のスプライシングによって生じる。
【0038】 本発明のさらに別の実施形態において、Nogo核酸は、Nogo Cをコードするヌク
レオチド配列を含むが、但し、Nogo Cタンパク質は、そのアミノ末端にNogo Aに
は存在しない11個のアミノ酸と、Nogo AおよびBのカルボシキ末端の188個のアミ
ノ酸とを含む。Nogo Cタンパク質は199個のアミノ酸を有する。Nogo Cをコード
する転写産物は、別のNogoプロモーターからの転写によって生じるものである。
【0039】 さらに別の特定の実施形態において、本発明はウシNogoの核酸配列(配列番号
28)を提供する。
【0040】 さらに別の特定の実施形態において、本発明は、ヒトNogoをコードするヌクレ
オチド配列およびヒトNogoタンパク質の断片(ラットのNogo A、Nogo BおよびNo
go Cのヒト同等物を含む)を提供する。ヒトNogoの核酸配列は、ラットNogo Aの
転写産物を鋳型として用い、ヒト発現配列タグ(EST)と共にスプライシングし
て連続する核酸配列を明らかにすることにより解明される。ラットおよびウシの
Nogoのアミノ酸配列はまた、ヒトNogoのアミノ酸配列が推定されるように、適切
な翻訳リーディングフレームについての情報を提供する。本発明はまた、ヒトNo
go遺伝子の断片のアミノ酸配列を提供する。
【0041】 本発明はまた、Nogo配列の少なくとも8ヌクレオチド(すなわち、ハイブリダ
イズし得る部分)からなる精製されたアミノ酸を提供する。別の実施形態では、
該核酸は、Nogo配列の少なくとも25の(連続した)ヌクレオチド、50ヌクレオチ
ド、100ヌクレオチド、150ヌクレオチド、20ヌクレオチド、500ヌクレオチド、7
00ヌクレオチドもしくは800ヌクレオチド、または全長Nogoコード配列からなる
。別の実施形態では、該核酸は、長さが35、200または500ヌクレオチドよりも小
さい。核酸は一本鎖であっても二本鎖であってもよい。本発明はまた、上記の配
列にハイブリダイズし得る、または相補的な核酸に関する。特定の態様では、No
go遺伝子の少なくとも10、25、50、100もしくは200ヌクレオチドまたは全コード
領域に相補的な配列を含む核酸が提供される。
【0042】 特定の実施形態において、低ストリンジェンシーの条件下でNogo核酸にハイブ
リダイズし得る核酸(例えば、配列番号2を有するもの、図2a)またはNogo誘導体
をコードする核酸にハイブリダイズし得る核酸が提供される。例として(しかし
、限定しようとするものではないが)、そのような低ストリンジェンシーな条件
を用いる手順は以下のとおりである(ShiloおよびWeinberg, 1981, Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 78:6789-6792も参照されたい):DNAを含むフィルターを、35
%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris-HCl(pH 7.5)、5mM EDTA、0.1% PVP、
0.1%フィコール、1% BSAおよび500μg/ml変性サケ***DNAを含有する溶液中
で40℃で6時間にわたって前処理する。ハイブリダイゼーションを、以下の変更
を加えた同じ溶液中で行う:0.02% PVP、0.02%フィコール、0.2% BSA、100μ
g/mlサケ***DNA、10%(wt/vol)硫酸デキストランおよび5〜20×106cpm 32
標識プローブを用いる。フィルターをハイブリダイゼーション混合物中で40℃で
18〜20時間にわたってインキュベートし、次に2×SSC、25mM Tris-HCl(pH 7.4
)、5mM EDTAおよび0.1% SDSを含有する溶液中で55℃で1.5時間洗浄する。こ
の洗浄溶液を新しい溶液と交換し、さらに60℃で1.5時間インキュベートする。
フィルターをブロット乾燥し、オートラジオグラフィーに暴露する。必要であれ
ば、フィルターを3回目として65〜68℃で洗浄し、フィルムに再暴露する。用い
得る低ストリンジェンシーの他の条件は当業界では周知である(例えば、セクシ
ョン6.1.1.の実施例において示されているような種間ハイブリダイゼーションに
用いられるもの)。
【0043】 別の特定の実施形態において、高ストリンジェンシーの条件下でNogo核酸にハ
イブリダイズし得る核酸が提供される。例として(しかし、限定しようとするも
のではないが)、そのような高ストリンジェンシーの条件を用いる手順は以下の
とおりである:DNAを含むフィルターのプレハイブリダイゼーションを、6×SSC
、50mM Tris-HCl(pH 7.5)、1mM EDTA、0.02% PVP、0.02%フィコール、0.02
% BSAおよび500μg/ml変性サケ***DNAからなるバッファー中で65℃で8時間〜
一夜にわたって行う。フィルターを、100μg/ml変性サケ***DNAおよび5〜20×
106cpmの32P標識プローブを含有するプレハイブリダイゼーション混合物中で65
℃で48時間ハイブリダイズさせる。フィルターの洗浄は、2×SSC、0.01% PVP
、0.01%フィコールおよび0.01% BSAを含有する溶液中で37℃で1時間行う。こ
れに続いて、0.1×SSC中で50℃にて45分間洗浄した後、オートラジオグラフィー
にかける。用い得る高ストリンジェンシーの他の条件は当業界では周知である。
【0044】 別の特定の実施形態では、中程度ストリンジェンーの条件下でNogo核酸にハイ
ブリダイズし得る核酸が提供される。例えば(しかし、限定しようとするもので
はないが)、そのような中程度ストリンジェンシーの条件を用いる手順は以下の
とおりである:DNAを含むフィルターを、6×SSC、5×Denhart溶液、0.5%SDS
および100μg/ml変性サケ***DNAを含有する溶液中で55℃で6時間にわたって前
処理する。ハイブリダイゼーションを同じ溶液中で行い、5〜20×106cpmの32
標識プローブを用いる。フィルターをハイブリダイゼーション混合物中で55℃で
18〜20時間インキュベートし、次に1×SSCおよび0.1% SDSを含有する溶液中で
60℃で30分間にわたり2回洗浄する。フィルターをブロット乾燥し、オートラジ
オグラフィーに暴露する。用い得る中程度ストリンジェンシーの他の条件は当業
界では周知である。フィルターの洗浄は、2×SSC、0.1% SDSを含有する溶液中
で37℃で1時間行う。そのようなストリンジェンシーの条件は、例えばラットま
たはウシのNogo cDNAクローンをプローブとして用いてヒトNogo cDNAを単離する
場合のように、別の種におけるNogo遺伝子配列を含む核酸分子を単離するのに好
適である。
【0045】 公表されている核酸配列データベースで報告されている多くのヒト発現配列タ
グ(EST)は、本発明のNogo遺伝子配列のセグメントと比較した場合に、高度の
配列同一性を示す。ヒトESTの以下の予備リストが同定され、それらのGenBank受
入れ番号により示す:ENTREZヌクレオチド照会プログラムを用いたAA158636(配
列番号35)、AA333267(配列番号36)、AA081783(配列番号37)、AA167765(配
列番号38)、AA322918(配列番号39)、AA092565(配列番号40)、AA081525(配
列番号41)およびAA081840(配列番号42)。本発明の以前には、上記のESTのい
ずれもが、アミノ酸配列に関して特性決定されておらず、これらのESTはin vivo
でコードすると思われる。該ヒトESTの推定アミノ酸配列を含むタンパク質の機
能については全く知られていなかった。さらに、AA158636のようなラットのNogo
cDNAの5′末端とアライメントするESTと、AA081840のようなラットのcDNAの3
′末端とアライメントする別のESTとは重複せず、同じヒトcDNA配列の一部では
ないと推定される。
【0046】 本発明のNogo遺伝子配列に基づけば、これらのヒトESTが、該ESTが得られた組
織内で発現されるヒトNogo遺伝子の部分であると考えられる。したがって、本発
明は、上記のヒトESTの2以上を含む核酸分子を包含する。該ESTは、同じヒト組
織内で発現されてもよいし、または異なるヒト組織内で発現されてもよい。好ま
しくは、本発明の核酸分子は、互いに重複しない、または第3またはそれ以上の
ヒトESTと重複しない少なくとも2つのヒトESTのヌクレオチド配列を含む。
【0047】 上記のヒトESTはここで、ウシおよびラットのNogo核酸のクローニングにより
ヒトNogo遺伝子の断片として同定されているので、該ヒトESTは、例えばヒトNog
oポリペプチドの発現、ハイブリダイゼーションアッセイおよびアンチセンス核
酸分子としてのNogo発現の抑制などのような(しかしそれらに限定されない)本
発明の種々の方法において、他のNogo核酸分子と比較してほぼ同様の機能を有す
ると考えられる。
【0048】 さらに、本発明は、ヒトNogoタンパク質の推定アミノ酸配列およびその断片を
提供し、それらを含む。図13に示すように、ラットNogoタンパク質のアミノ酸配
列(図2a、配列番号2)は、ヒトNogoタンパク質の推定アミノ酸配列(図13、配
列番号30)とアライメントする。したがって、本発明は、ヒトNogoの推定アミノ
酸配列(図13、配列番号30)もしくは少なくとも6個のアミノ酸残基からなるヒ
トNogoの推定アミノ酸配列のサブ配列、または以下のヒトNogo断片の推定アミノ
酸配列の1つ以上を含むヒトNogoタンパク質を包含する:MEDLDQSPLVSSS(ヒトN
ogo、配列番号43を有するアミノ酸1〜13に該当)、KIMDLKEQPGNTISAG(ヒトNog
o、配列番号44を有するアミノ酸187〜203に該当)、KEDEVVSSEKAKDSFNEKR(ヒト
Nogo、配列番号45を有するアミノ酸340〜358に該当)、QESLYPAAQLCPSFEESEATPS
PVLPDIVMEAPLNSAVPSAGASVIQPSS(ヒトNogo、配列番号46を有するアミノ酸570〜6
19に該当)。天然に存在するヒトNogoおよび組換えヒトNogo、ならびに上記のア
ミノ酸配列と実質的に類似するアミノ酸配列を有し、かつNogoタンパク質に対す
る抗体により結合することができるそれらの断片は、本発明の範囲にある。
【0049】 本発明はさらに、図13に示すアミノ酸配列(図13、配列番号30)と実質的に類
似するアミノ酸配列を有するヒトNogoタンパク質をコードする核酸分子を提供す
る。特定の実施形態では、図13に示すアミノ酸配列(配列番号30)と実質的に類
似するアミノ酸配列を有するヒトNogoタンパク質の断片をコードする核酸分子も
また考えられているが、但し、そのような核酸分子は上記のヒトESTのヌクレオ
チド配列を含まない。
【0050】 あるアミノ酸配列が、ヒトNogoタンパク質の推定アミノ酸配列と実質的に類似
していると見なされるのは、例えばBLASTコンピューター検索(Altschulら, 199
4, Nature Genet. 6:119-129)のような当業界で公知のコンピューター相同性プ
ログラムによりアライメントを行うコンピューターアルゴリズムを用いた時に、
それら2つの分子中のアミノ酸残基の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80
%、85%、90%、95%または97%より多くが同一である場合である。
【0051】 例として(しかし限定するものではないが)、有用なコンピューター相同性プ
ログラムとしては、以下のものが挙げられる:ベーシック・ローカル・アライメ
ント・サーチ・ツール(BLAST)(www.nobi.nlm.nih.gov)(Altschulら, 1990,
J. of Molec. Biol., 215:403-410, “The BLAST Algorithm”;Altshulら, 19
97, Nuc. Acids. Res. 25:3389-3402)、配列類似性の検索用に作られた帰納的
検索アルゴリズム(KarlinおよびAltschul 1990, Proc. Nat’l Acad.Sci. USA,
87:2264-68;1993, Proc. Nat’l Acad. Sci. USA, 90:5873-77の統計的方法を
用いて有意性を帰納する)。5種の特定のBLASTプログラムが以下のタスクを実
行する: 1)BLASTPプログラムは、アミノ酸照会配列をタンパク質配列データベースと比
較する。
【0052】 2)BLASTNプログラムは、ヌクレオチド照会配列をヌクレオチド配列データベー
スと比較する。
【0053】 3)BLASTXプログラムは、ヌクレオチド照会配列(両鎖)の6フレーム概念的翻
訳産物(six-frame conceptual translation products)をタンパク質配列デー
タベースと比較する。
【0054】 4)TBLASTNプログラムは、タンパク質照会配列を、全6リーディングフレーム
を合せて翻訳したヌクレオチド配列データベース(両鎖)と比較する。
【0055】 5)TBLASTXプログラムは、ヌクレオチド照会配列の6フレーム翻訳産物を、ヌ
クレオチド紹介配列の6フレーム翻訳産物と比較する。
【0056】 当業者であれば理解されるように、TBLASTNプログラムは、所望の同一性(%
)を有する核酸を同定するのに特に有用であり、BLASTPプログラムは、所望の同
一性(%)を有するアミノ酸配列を同定するのに特に有用である。
【0057】 Smith-Waterman(データベース:ヨーロッパ・バイオインフォーマティクス・
インスティチュート wwwz.ebi.ac.uk/bic_sw/)(Smith-Waterman, 1981, J. of
Molec. Biol., 147:195-197)は、配列アライメント用の数理的に厳密なアルゴ
リズムである。
【0058】 FASTA(Pearsonら, 1988, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA, 85:2444-2448を参
照)は、Smith-Watermanアルゴリズムについてのヒューリスティックな近似であ
る。BLAST、Smith-WatermanおよびFASTAアルゴリズムの手順および利点の概略的
な解説については、Nicholasら, 1998, “A Tutorial on Searching Sequence D
atabases and Sequence Scoring Methods” (およびそこで引用されている文献
を参照されたい。
【0059】 ヒトNogo遺伝子、断片、天然に存在する突然変異体およびそれらの改変体を単
離または同定するために、ヒトNogoの推定アミノ酸配列またはヒトESTのヌクレ
オチド配列(ヒトNogoの該推定アミノ酸配列をコードする縮重配列を含む)を使
用することは、本発明の範囲にある。当業者には公知であるそのような使用とし
ては、DNAライブラリースクリーニングのための核酸プローブを調製するための
情報の使用、DNAの増幅、ヒト集団の遺伝的スクリーニング、および抗体を作製
するための合成ペプチドの調製が挙げられるが、それらに限定されない。そのよ
うな使用の幾つかの詳細な説明は、本明細書の後記のセクションにある。
【0060】 Nogoタンパク質の誘導体および類似体をコードする核酸ならびにNogoアンチセ
ンス核酸がさらに提供される。容易に明らかであり、本明細書中で用いられるよ
うに、「Nogoタンパク質の断片または部分をコードする核酸」とは、具陳するNo
goタンパク質の断片または部分だけをコードし、連続配列としてのNogoタンパク
質の他の隣接部分はコードしない核酸をいうものとする。ここにおいて、部分(
portion)とは1個以上のアミノ酸を意味する。
【0061】 同一または異なる種の他のNogo核酸の間で保存されている(それらに相同であ
る)領域を含むNogo核酸の断片もまた提供される。1以上のNogoドメインをコー
ドする核酸は例えば図2aに提供されており、ラットNogoの保存されているカルボ
キシ末端ドメイン(約180個のアミノ酸を有する)は、停止コドンの前のコード
配列の少なくとも540のヌクレオチドによりコードされる。ラットNogo A中の保
存されているカルボキシ末端ドメイン内の2つの疎水性ドメインのヌクレオチド
配列およびアミノ酸配列(すなわち、アミノ酸988〜1023およびアミノ酸1090〜1
125)もまた提供される。ラットNogo Aのアミノ末端の酸性ドメインのヌクレオ
チド配列およびアミノ酸配列(残基31〜58)もまた提供される。
【0062】 Nogoの種々の領域の機能的分析を行うために、Nogo遺伝子中の一連の欠失を作
製し、組換えDNA法により発現ベクターにクローニングし、融合タンパク質とし
て発現させた。Nogoタンパク質の断片をコードする核酸が提供され、例えば、配
列番号2のアミノ酸残基1〜171、172〜974、259〜542、542〜722、172〜259、7
22〜974もしくは975〜1162またはそれらの組合せをコードする核酸;ならびに配
列番号30のアミノ酸残基1〜131、132〜939、206〜501、501〜680、132〜206、6
80〜939および940〜1127またはそれらの組合せをコードする核酸が挙げられる。
欠失構築体の幾つかは、Nogoの末端切断部分ならびにヘキサヒスチジンタグおよ
び/またはT7タグをコードする追加のヌクレオチド配列を含む。配列番号2のア
ミノ酸残基172〜259、アミノ酸残基974〜1162またはアミノ酸残基172〜259と974
〜1162が欠けているが配列番号2の残部を含んでいる、または配列番号30のアミ
ノ酸残基132〜206、アミノ酸残基939〜1127またはアミノ酸残基132〜206と939〜
1127が欠けているが配列番号30の残部を含んでいる末端切断型のNogoタンパク質
をコードする核酸が提供される。代表的な欠失構築物の構造を図18に示す。これ
らの欠失構築物は、細胞に導入されると、Nogoの断片または末端切断部分を生じ
る。これらの突然変異体の生物学的活性は、セクション6.2.7の表2に記載され
ている種々の機能的アッセイで調べた。
【0063】 Nogo遺伝子のクローニングのための特定の実施形態は、以下のように特定の実
施例として示されているが、それに限定しようとするものではない。
【0064】 発現クローニング(当業界で一般的に知られている技法)の場合、当業界で公
知の方法により発現ライブラリーを構築する。例えば、(例えばヒトの)mRNAを
単離し、cDNAを作製し、発現ベクター(例えばバクテリオファージ誘導体)に連
結して、それが次いで導入される宿主細胞により発現できるようにする。次に種
々のスクリーニングアッセイを用いて、発現されたNogo産物を選択することがで
きる。1つの実施形態では、選択のために抗-Nogo抗体を用いることができる。
【0065】 別の実施形態では、選択の前に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、ゲ
ノムライブラリーまたはcDNAライブラリー中の所望の配列を増幅する。既知のNo
go配列に相当するオリゴヌクレオチドプライマーをPCRにおけるプライマーとし
て用いることができる。好ましい態様では、該オリゴヌクレオチドプライマーは
、異なる種のNogoの間で強く相同しているNogo保存セグメントの少なくとも一部
に相当する。合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、潜在的に関心
のある供給源(RNAまたはDNA)からの、好ましくはcDNAライブラリーからの配列
をPCRにより増幅してもよい。PCRは、例えばPerkin-Elmer Cetusサーマルサイク
ラーおよびTaqポリメラーゼ(Gene AmpTM)を用いることにより行うことができ
る。増幅しようとするDNAとしては、任意の真核種からのmRNAもしくはcDNAまた
はゲノムDNAを含み得る。PCR反応で用いるための幾つかの異なる縮重プライマー
を合成するために選択してもよい。また、PCR反応をプライムするのに用いられ
るハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを様々に変えて、既知のNo
goヌクレオチド配列と単離しようとする核酸相同体との間のより高度またはより
低度のヌクレオチド配列類似性を可能にすることもできる。種間ハイブリダイゼ
ーションの場合、低ストリンジェンシーの条件が好ましい。同種間ハイブリダイ
ゼーションの場合、中程度ストリンジェンシーの条件が好ましい。
【0066】 Nogo相同体のセグメントがうまく増幅された後、該セグメントは分子クローニ
ングし、配列決定し、相補的cDNAまたはゲノムクローンを単離するためのプロー
ブとして用いることができる。こうして、このことにより、後記に記載するよう
に、遺伝子の完全なヌクレオチド配列の決定、その発現の分析、および機能的分
析のためのそのタンパク質産物の生産が可能になる。このようにして、Nogoタン
パク質およびNogo類似体をコードする別の遺伝子が同定できる。
【0067】 上記の方法は、Nogoのクローンを得ることができる方法の以下の概略的説明を
限定しようとするものではない。
【0068】 どのような真核細胞も、Nogo遺伝子の分子クローニングのための核酸供給源と
して潜在的に役立ち得る。Nogoをコードする核酸配列は、脊椎動物、哺乳動物、
ヒト、ブタ、ネズミ、ウシ、ネコ、鳥類、ウマ、イヌ、ならびに別の霊長類供給
源、昆虫などから単離できる。該DNAは、クローニングしたDNA(例えばDNA「ラ
イブラリー」)から当業界で公知の標準的な手順により、化学的合成、cDNAクロ
ーニング、またはゲノムDNAもしくはその断片のクローニングにより得て、所望
の細胞から精製することができる(例えば、Sambrookら, 1989, Molecular Clon
ing, A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Co
ld Spring Harbor, New York;Glover, D.M.(編), 1985, DNA Cloning: A Pra
ctical Approach, MRL Press, Ltd., Oxford, U.K. Vol. I, IIを参照のこと)
。ゲノムDNAから誘導されたクローンは、コード領域に加えて、調節領域および
イントロンDNA領域を含んでもよく;cDNAから誘導されるクローンはエキソン配
列のみを含む。供給源がどのようなものであっても、該遺伝子は、該遺伝子の増
殖のための適切なベクターに分子クローニングしなければならない。
【0069】 ゲノムDNAからの遺伝子の分子クローニングでは、DNA断片を作製し、その中の
幾つかが所望の遺伝子をコードする。該DNAは、種々の制限酵素を用いて特定の
部位で切断することができる。あるいはまた、マンガンの存在下でDNAseを用い
て該DNAを断片化してもよいし、あるいは該DNAは例えば超音波により物理的に剪
断してもよい。次に、この線状化したDNA断片は、アガロースおよびポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動ならびにカラムクロマトグラフィーなど(しかしそれらに
限定されない)の標準的な方法によりサイズ別に分離することができる。
【0070】 該DNA断片が作製されたら、所望の遺伝子を含む特定のDNA断片の同定を幾つか
の方法で行う。例えば、ある量の(任意の種の)Nogo遺伝子もしくはその特定の
RNAの一部またはその断片(セクション6.1.1を参照)が入手可能であり、かつ精
製および標識できる場合には、作製されたDNA断片は標識したプローブへの核酸
ハイブリダイゼーションによりスクリーニングできる(Benton, W.およびDavis,
R., 1977, Science 196:180;Grunstein, M.およびHogness, D., 1975, Proc. N
atl. Acad. Sci. U.S.A. 72:3961)。該プローブに対して実質的な相同性を有す
るDNA断片がハイブリダイズする。また、適当な断片を、制限酵素消化、および
断片サイズを既知の制限地図(このようなものが入手可能である場合)に従って
予期されるものと比較することにより同定することも可能である。該遺伝子の特
性に基づいて更なる選択を行ってもよい。
【0071】 あるいはまた、該遺伝子の存在は、その発現産物の物理的、化学的または免疫
学的特性に基づくアッセイにより検出することができる。例えば、適切なmRNAを
ハイブリッド選択するcDNAクローンまたはDNAクローンを選択することができ、
これは、例えばNogoについて知られているのと類似または同一の電気泳動移動、
等電点電気泳動挙動、タンパク質分解消化地図、翻訳後修飾、酸もしくは塩基特
性、または抗原特性を有するタンパク質を産生する。Nogoに対する抗体は入手可
能であり、例えばIN-1およびIN-2(米国特許第5,684,133号)、AS BrunaおよびA
S472が挙げられる。AS BrunaおよびAS472の調製はセクション6.1.7に記載されて
いる。Nogoタンパク質は、標識した抗体の推定Nogo合成クローンへの結合により
、ELISA(固相酵素免疫検定法)タイプの手順において、または精製もしくは全
細胞の抽出物のウェスタンブロッティングにより同定できる。
【0072】 Nogo遺伝子はまた、核酸ハイブリダイゼーションおよびそれに続くin vitro翻
訳によるmRNAの選択によっても同定できる。この方法では、断片を用いて、ハイ
ブリダイゼーションにより相補的mRNAを単離する。そのようなDNA断片は、別の
種(例えばマウス、ヒト)の入手可能な精製Nogo DNAであってもよい。単離され
たmRNAの単離産物のin vitro翻訳産物を免疫沈降分析または機能的アッセイ(例
えば、in vitroでの凝集能力、受容体への結合;後記を参照)することにより該
mRNAが同定され、したがって、所望の配列を含む相補的DNA断片が同定される。
さらに、特定のmRNAは、細胞から単離されたポリソームの、Nogoタンパク質に対
して特異的に生起させた固定化抗体への吸着により選択することができる。放射
性標識したNogo cDNAは、選択した(吸着したポリソームからの)mRNAを鋳型と
して用いて合成することができる。次に、放射性標識したmRNAまたはcDNAをプロ
ーブとして用いて、他のゲノムDNA断片の中からNogo DNA断片を同定することが
できる。
【0073】 NogoゲノムDNAを単離するための別法としては、その遺伝子配列自体を既知の
配列から化学的に合成すること、またはcDNAをNogoタンパク質をコードするmRNA
にすることが挙げられるが、それらに限定されない。例えば、Nogo遺伝子のcDNA
クローニングのためのRNAは、Nogoを発現する細胞から単離することができる。
他の方法が可能であり、本発明の範囲内である。
【0074】 次に、同定され単離された遺伝子を適切なクローニングベクターに挿入する。
当業界で公知の多数のベクター−宿主系を用いることができる。適当なベクター
としては(しかし、それらに限定されない)、プラスミドまたは改変ウイルスが
挙げられるが、ベクター系は用いられる宿主細胞と適合性でなければならない。
そのようなベクターとしては、ラムダ誘導体のようなバクテリオファージ、また
はpBR322、pUCプラスミド誘導体もしくはBluescriptベクター(Stratagene)の
ようなプラスミドが挙げられるが、それらに限定されない。特定の実施形態では
、タンパク質発現の分析を簡易にするために、Nogoはエピトープタグを有するpc
DNA3にクローニングされる(セクション6.1.10)。
【0075】 クローニングベクターへの挿入は、例えば、該DNA断片を、相補的に付着性で
ある末端を有するクローニングベクターに連結することにより達成できる。しか
し、クローニングベクター中に該DNAを断片化するために用いられる相補的な制
限部位が存在しない場合には、該DNA分子の末端を酵素的に修飾してもよい。あ
るいはまた、ヌクレオチド配列(リンカー)をDNAの末端に連結することにより
、所望される任意の部位を作製してもよい。これらの連結されたリンカーは、制
限エンドヌクレアーゼ認識配列をコードする特定の化学的に合成されたオリゴヌ
クレオチドを含んでもよい。別の方法では、切断されたベクターおよびNogo遺伝
子をホモポリマーテイリングにより修飾してもよい。組換え分子は、形質転換、
トランスフェクション、インフェクション、エレクトロポレーションなどにより
宿主細胞に導入して、該遺伝子配列の多数コピーがつくられるようにすることが
できる。
【0076】 別の方法では、所望の遺伝子は、「ショットガン」法で適切なクローニングベ
クターに挿入した後で、同定し単離することができる。例えばサイズ分画による
該所望の遺伝子の濃化は、クローニングベクターに挿入する前に行うことができ
る。
【0077】 特定の実施形態では、単離されたNogo遺伝子、cDNAまたは合成DNA配列を組み
込んだ組換えDNA分子による宿主細胞の形質転換により、該遺伝子の多数コピー
の作製が可能になる。したがって、該遺伝子は、形質転換体を増殖させ、組換え
DNA分子を形質転換体から単離し、必要であれば挿入した遺伝子を単離した組換
えDNAから回収することにより、大量に得ることができる。
【0078】 本発明により提供されるNogo配列としては、天然のNogoタンパク質に見られる
のと実質的に同じアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、および機能的に
同等であるアミノ酸を有するアミノ酸配列をコードするもの、ならびにNogo誘導
体および類似体について後記のセクション6.2.1および6.2.2に記載されている他
のNogo誘導体または類似体をコードするものが挙げられる。
【0079】5.2 Nogo遺伝子の発現 Nogoタンパク質またはその機能的に活性な類似体もしくは断片もしくは他の誘
導体をコードするヌクレオチド配列(図1bおよび2a;第6.2.1節および第6.2.2節
を参照)を、好適な発現ベクター、すなわち挿入されたタンパク質コード配列の
転写および翻訳のために必要なエレメントを含有するベクター中に挿入すること
ができる。必要な転写および翻訳シグナルも、天然のNogo遺伝子および/または
その隣接領域により供給することもできる。コード配列はまた、結合パートナー
との公知の結合特性を有するよく知られている抗原または生体分子をコードする
配列(例えば、mycエピトープタグ、ヒスチジンタグ、T7エピトープタグなど、6
.2.6節および図11a-11cを参照)を用いてタグを付けすることができる。次いで
この追加した配列を用い、固相マトリックスに結合しているそれに対応するパー
トナーと結合基との相互作用を用いてNogoタンパク質、タンパク質断片、または
誘導体を精製できる。
【0080】 種々の宿主-ベクター系を利用してタンパク質コード配列を発現させることが
できる。これらは限定されるものでないが、ウイルス(例えば、ワクシニアウイ
ルス、アデノウイルスなど)に感染した哺乳類細胞系;ウイルス(例えば、バキ
ュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;酵母ベクターを含有する酵母、またはバ
クテリオファージ、DNA、プラスミドDNA、またはコスミドDNAを用いて形質転換
された細菌などの微生物を含む。ベクターの発現エレメントはその強度および特
異性が様々である。利用する宿主-ベクター系によって、多数の好適な転写およ
び翻訳エレメントのうちのいずれか1つを利用できる。特定の実施形態において
は、ヒトNogo遺伝子が発現されるか、またはヒトNogo遺伝子の機能的に活性な部
分をコードする配列(特定の例として、Nogo A、Nogo BまたはNogo C)が発現され
る(Fig 1b)。さらに他の実施形態においては、Nogoタンパク質のドメインを含
むNogoのフラグメントが発現される。
【0081】 本明細書において、ある細胞がある核酸によって「形質転換される」というの
は、その細胞が、例えばトランスフェクション、エレクトロポレーション、形質
導入などによって該細胞またはその祖先の中に核酸を導入した後、該細胞中に元
来存在しない核酸を含有する場合に用いる。
【0082】 配列番号30のアミノ酸残基1-131、132-939、206-501、501-680、132-206、680
-939、および940-1127からなるグループから選択されるアミノ酸配列を含むヒト
Nogo Aのフラグメントをコードするヌクレオチド配列も提供される。ヒトNogo A
の末端が切断された部分をコードするヌクレオチド配列も提供され、該末端切断
型タンパク質は配列番号30のアミノ酸残基132-206、アミノ酸残基939-1127、ま
たはアミノ酸残基132-206と939-1127を欠くが、配列番号30の他の残りの部分を
含む。
【0083】 DNA断片のベクターへの挿入について先に記載した方法のいずれかを使って好
適な転写/翻訳制御シグナルおよびタンパク質コード配列からなるキメラ遺伝子
を含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法は、in vitro組
換えDNAおよび合成技術およびin vivo組換え(遺伝子組換え)を含むことができ
る。Nogoタンパク質またはペプチドフラグメントをコードする核酸配列の発現を
第2の核酸配列により調節して、Nogoタンパク質またはペプチドを組換えDNA分子
により形質転換された宿主内で発現させることができる。例えば、Nogoタンパク
質の発現を当業界で公知の任意のプロモーター/エンハンサーエレメントによっ
て制御することができる。例示の実施形態は、第6.2.1節で論じるNogoの天然プ
ロモーターの1つ、P1またはP2の1つを使うことである。固有のプロモーターで
はないプロモーターを使うこともできる。Nogo発現を制御するために使用できる
プロモーターは、限定されるものでないが、以下のもの:SV40初期プロモーター
領域(BernoistおよびChambon, 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイ
ルス(Rous sarcoma virus)の3'の長い末端反復配列に含有されるプロモーター
(Yamamotoら, 1980, Cell 22:787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモー
ター(Wagnerら, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441-1445)、メタ
ロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら, 1982, Nature 296:39-42);β-
ラクタマーゼプロモーターのような原核細胞発現ベクター(Villa-Kamaroffら,
1978, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 75:3727-3731)、またはtacプロモータ
ー(DeBoerら, 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:21-25);「組換え細
菌からの有用なタンパク質」(Useful proteins from recombinant bacteria;S
cientific American, 1980, 242:74-94)も参照すること;ノパリンシンセター
ゼプロモーター領域を含む植物発現ベクター(Herrera-Estrellaら, Nature 303
:209-213)またはカリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター(Gardner
ら, 1981, Nucl. Acids Res. 9:2871)、および光合成酵素リブロース-ビスリン
酸カルボキシラーゼのプロモーター(Herrera-Estrellaら, 1984, Nature 310:1
15-120);Gal 4プロモーターのような酵母または他の真菌由来のプロモーター
エレメント、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグ
リセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター、お
よび組織特異性を示してトランスジェニック動物に利用されている以下の動物転
写制御領域;膵腺房細胞において活性を示すエラスターゼI遺伝子制御領域(Swi
ftら, 1984, Cell 38:639-646; Ornitzら, 1986, Cold Spring Harbor Symp. Qu
ant. Biol. 50:399-409;MacDonald, 1987, Hepatology 7:425-515);膵β細胞
で活性を示すインスリン遺伝子制御領域(Hanahan, 1985, Nature 315:115-122
)、リンパ系細胞において活性を示す免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grossche
dIら, 1984, Cell 38:647-658;Adamesら, 1985, Nature 318:533-538;Alexand
erら, 1987, Mol. Cell. Biol. 7:1436-1444)、精巣、***、リンパ系および肥
満細胞において活性を示すマウス乳腺腫瘍ウイルス制御領域(Lederら, 1986, C
ell 45:485-495)、肝臓において活性を示すアルブミン遺伝子制御領域(Pinker
tら, 1987, Genes and Devel. 1:268-276)、肝臓において活性を示すα-フェト
プロテイン遺伝子制御領域(Krumlaufら, 1985, Mol. Cell. Biol. 5:1639-1648
;Hammerら, 1987, Science 235:53-58);肝臓において活性を示すα-1-抗トリ
プシン遺伝子制御領域(Kelseyら, 1987, Genes and Devel. 1:161-171)、骨髄
細胞において活性を示すβ-グロブリン遺伝子制御領域(Morgramら, 1985, Natu
re 315:338-340;Kolliasら, 1986, Cell 46:89-94);脳の稀突起膠細胞(olig
odendrocyte cell)において活性を示すミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領
域(Readheadら, 1987, Cell 48:703-712);骨格筋において活性を示すミオシ
ン軽鎖-2遺伝子制御領域(Sani, 1985, Nature 314:283-286)、および視床下部
において活性を示す性腺刺激ホルモン放出ホルモン(gonadotropic releasing h
ormone)遺伝子制御領域(Masonら, 1986, Science 234:1372-1378)を含む。
【0084】 ある特定の実施形態においては、Nogoコード核酸、1つ以上の複製起点および
、場合によっては、1つ以上の選択マーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子)と
機能的に連結したプロモーターを含むベクターが使われる。
【0085】 ある特定の実施形態においては、発現構築物を、Nogoコード配列を3種のグル
タチオンS-トランスフェラーゼ発現ベクターであるpGEXベクター(SmithおよびJo
hnson, 1988, Gene 7:31-40)のそれぞれのEcoRI制限部位内にサブクローニング
して作製する。これにより、Nogoタンパク質産物が正しいリーディングフレーム
のサブクローンにより発現する。
【0086】 Nogo遺伝子インサートを含有する発現ベクターは、次の3種の一般的手法:(a
)核酸ハイブリダイゼーション、(b)「マーカー」遺伝子機能の存在するか否か、
(c)挿入した配列の発現、により同定することができる。第1の手法では、発現ベ
クターに挿入したNogo遺伝子の存在を、挿入されたNogo遺伝子と相同的な配列を
含むプローブを用いて核酸ハイブリダイゼーションにより検出できる。第2の手
法では、組換えベクター/宿主系は、ベクターのNogo遺伝子の挿入により生じる
、ある特定の「マーカー」遺伝子機能(例えば、チミジンキナーゼ活性、抗生物
質に対する耐性、形質転換された表現型、バキュロウイルスのオクルージョンボ
ディ(occlusion body)の形成、など)が存在するか否かに基づいて、同定し選
択できる。例えば、もしNogo遺伝子がベクターのマーカー遺伝子配列内に挿入さ
れれば、Nogo遺伝子インサートを含有する組換え体をマーカー遺伝子機能が存在
しないことにより同定できる。第3の手法では、組換え発現ベクターを、組換え
体により発現されるNogo生成物をアッセイすることにより同定できる。このよう
なアッセイは、例えば、in vitroアッセイシステムにおけるNogoタンパク質の物
理的または機能的特性(例えば抗Nogo抗体との結合)に基いてよい。
【0087】 特定の組換えDNA分子が同定および単離されれば、当業界で公知の複数の方法
を使ってこれを増やすことができる。適当な宿主系と増殖条件が確立されれば、
組換え発現ベクターを増やしかつ大量に調製することができる。先に説明した通
り、使用できる該発現ベクターは、限定されるものでないが、以下のベクター:
(少数の例としては)ワクシニアウイルスまたはアデノウイルスのようなヒトまた
は動物ウイルス;バキュロウイルスのような昆虫ウイルス;酵母ベクター;バク
テリオファージベクター(例えばλ)、ならびにプラスミドおよびコスミドDNA
ベクター、またはそれらの誘導体を含む。
【0088】 さらに、挿入された配列の発現をモジュレートするかまたは所望の特定の様式
で遺伝子産物を改変しかつプロセシングする宿主細胞株を選ぶことができる。あ
る特定のプロモーターからの発現はある特定のインデューサーの存在下で上昇し
うるので、遺伝子操作したNogoタンパク質の発現を制御できる。さらに、種々の
宿主細胞は、翻訳および翻訳後プロセシングおよび改変(例えば、タンパク質の
グリコシル化、リン酸化)に特徴的かつ特異的な機構を有する。好適な細胞系ま
たは宿主系を選んで、発現される外来タンパク質の所望の改変とプロセシングを
保証することができる。例えば、細菌系における発現を使って、非グリコシル化
コアタンパク質生成物を産生することができる。酵母での発現はグリコシル化生
成物を産生するであろう。哺乳類動物細胞における発現を用いると、異種タンパ
ク質の「天然の」糖鎖形成が確実に可能である。さらに、種々のベクター/宿主
発現系は様々な程度でプロセシング反応に影響を与えうる。
【0089】 他の特定の実施形態においては、Nogoタンパク質、フラグメント、類似体、ま
たは誘導体は、融合体、またはキメラタンパク質産物((異なるタンパク質の)
異種タンパク質配列とペプチド結合を介して結合したタンパク質、フラグメント
、類似体、または誘導体を含む)として発現させることができる。このようなキ
メラ産物は、所望のアミノ酸配列をコードする好適な核酸配列を互いに当業界公
知の方法によって適当なコーディングフレームで連結し、そして当業界公知の方
法によりキメラ産物を発現することによって作製することができる。あるいは、
このようなキメラ産物は、タンパク質合成技術により(例えばペプチド合成機の
使用により)作ることができる。
【0090】 cDNAおよびゲノム配列は両方とも、クローニングおよび発現が可能である。
【0091】5.3 Nogo遺伝子産物の同定および精製 ある特定の態様においては、本発明は、抗原決定基を含む(すなわち、抗体に
より認識されうる)かまたはさもなくば機能的に活性なNogo(好ましくはヒトNo
go)およびそのフラグメントおよび誘導体のアミノ酸配列、ならびに以上をコー
ドする核酸配列を提供する。本明細書で使われる「機能的に活性な」Nogo物質は
、全長(野生型)NogoAタンパク質に関連する1つ以上の既知の機能活性を呈す
る物質を意味し、例えば以下の:非許容性の基質特性、後根神経節増殖錐体の崩
壊、NIH 3T3伸展阻害、神経突起成長阻害、Nogo基質またはNogo結合パートナー
との結合、抗原性(抗Nogo抗体との結合)、免疫原性など、が挙げられる。
【0092】 特定の実施形態においては、本発明は少なくとも6個のアミノ酸、10個のアミ
ノ酸、17個のアミノ酸、50個のアミノ酸、100個のアミノ酸、または少なくとも2
20個のアミノ酸から成るNogoタンパク質のフラグメントを提供する。他の実施形
態においては、該タンパク質は本質的に高度に保存されたNogoカルボキシ末端ド
メイン(NogoAのカルボキシ末端188個のアミノ酸)を含むかまたはそれから成る
。Nogoタンパク質の保存カルボキシ末端ドメイン、または疎水性カルボキシ末端
伸長部、またはアミノ末端酸性ドメイン、またはアミノ末端ポリプロリン領域ま
たはそれらの組合わせのいずれかを欠くフラグメント、またはこれらのフラグメ
ントを含むタンパク質も提供される。上記のものをコードする核酸が提供される
【0093】 Nogo遺伝子配列を発現する組換体が同定されれば、該遺伝子産物を分析できる
。この分析は、該産物の物理的または機能的特性に基づくアッセイによって達成
され、該産物の放射性標識およびその後のゲル電気泳動、イムノアッセイなどに
よる分析を含む。
【0094】 Nogoタンパク質が同定されれば、該タンパク質は標準的方法により単離し精製
することができ、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティ、お
よびサイズカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解度(differential
solubility)、またはタンパク質精製のための任意の他の標準技術を含む。機能
的特性は、後根神経節増殖錐体の崩壊、NIH3T3伸展阻害、視神経における神経突
起再生阻害(第6.2.4-6.2.5節を参照)を含む任意の適当なアッセイを用いて評
価できる。
【0095】 あるいは、組換え体により生成されるNogoタンパク質が同定されれば、該タン
パク質のアミノ酸は該組換え体に含有されるキメラ遺伝子のヌクレオチド配列か
ら推論できる。その結果、該タンパク質は当業界で公知の標準の化学的方法によ
り合成することができる(例えば、Hunkapiller, M.ら, 1984, Nature 310:105-
111参照のこと)。
【0096】 他の代わりの実施形態においては、天然のNogo Cは、天然の供給源から上記の
標準的方法(例えば、免疫アフィニティ精製)によって精製することができる。
【0097】 本発明の特定の実施形態においては、組換えDNA技術もしくは化学合成法によ
り、または固有タンパク質の精製により調製されたNogoタンパク質は、限定され
るものでないが、アミノ酸一次配列として、実質的に図2a(配列番号2)、図12
(配列番号29)のウシ、または図13のヒト(配列番号30)に記されたアミノ酸配
列の全てまたは部分、ならびにフラグメントおよび他の誘導体(限定されるもの
でないが図18に記されたものなど)、およびそれらの類似体を含有するものを含
み、それらに相同的なタンパク質を含む。好ましくは、本発明のNogoタンパク質
は通常会合しているCNSミエリン物質を全く含まない。
【0098】5.4 Nogo遺伝子とタンパク質の構造 Nogo遺伝子とタンパク質の構造は、当業界で公知の様々な方法により分析する
ことができ、以下の小節でこれらのうちのいくつかの方法を記載する。
【0099】5.4.1 遺伝子分析 Nogo遺伝子に対応するクローン化DNAまたはcDNAは、限定されるものでないが
、サザンハイブリダイゼーション(Southern, E.M., 1975, J. Mol. Biol. 98:5
03-517)、ノーザンハイブリダイゼーション(例えば、Freemanら, 1983, Proc.
Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:4094-4098を参照)、制限エンドヌクレアーゼマ
ッピング(Maniatis, T., 1982, Molecular Cloning(分子クローニング), A L
aboratory, Cold Spring Harbor, New York)、およびDNA配列分析を含む方法に
より分析することができる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR;米国特許第4,683,202
号、第4,683,195号、および第4,889,818号;Gyllensteinら, 1988, Proc. Natl.
Acad. Sci. U.S.A. 85:7652-7656;Ochmanら, 1988, Genetics 120:621-623;L
ohら, 1989, Science 243:217-220)とその後のNogo遺伝子特異的プローブによ
るサザンハイブリダイゼーションにより、様々な細胞型に由来するDNA中のNogo
遺伝子の検出が可能になる。PCR以外の増幅の方法は公知であり、同様に使うこ
とができる。ある実施形態においてはサザンハイブリダイゼーションを用いてNo
goの遺伝子連鎖を確認することができる。ノーザンハイブリダイゼーション分析
を使ってNogo遺伝子の発現を確認することができる。発生または活性の様々な状
態にある種々の細胞型をNogo遺伝子の発現に対して試験することができる。サザ
ンおよびノーザンハイブリダイゼーション両方のハイブリダイゼーション条件の
ストリンジェンシーを操作して、使用する特定のNogoプローブと所望の程度の関
連性をもつ核酸の検出を保証することができる。これらの方法の変法および当業
界で公知の他の方法を使うことができる。
【0100】 制限エンドヌクレアーゼマッピングを用いてNogo遺伝子の大まかな遺伝子構造
を確認できる。制限エンドヌクレアーゼ切断により生成した制限酵素地図をDNA
配列分析により確証することができる。
【0101】 DNA配列分析は、当業界で公知のいずれかの技術により実施することができ、
限定されるものでないが、マクサム・ギルバート法(MaxamおよびGilbert, 1980
, Meth. Enzymol. 65:499-560)、サンガー・ジデオキシ法(Sanger, F.ら, 197
7, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.74:5463)、T7 DNAポリメラーゼ(Taborおよ
びRichardson, 米国特許第4,795,699号)の使用、または自動DNAシーケンサー(
例えば、Applied Biosystems, Foster City, CA)の使用を含む。
【0102】5.4.2 タンパク質分析 Nogoタンパク質のアミノ酸配列は、DNA配列の推論により、あるいはまた、例
えば自動アミノ酸シーケンサーを用いるタンパク質の直接配列決定により導くこ
とができる。
【0103】 Nogoタンパク質配列はさらに、親水性分析により特性を決定することができる
(Hopp, T.およびWoods, K., 1981,Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:3824)
。親水性プロフィールを使ってNogoタンパク質の疎水性および親水性領域ならび
にこれらの領域をコードする遺伝子配列の対応領域を同定することができる。
【0104】 2次構造分析(Chou, P.およびFasman, G., 1974, Biochemistry 13:222)を
行って、特有の二次構造が推定されるNogoの領域を同定することもできる。
【0105】 遺伝子操作、翻訳、および2次構造予測、オープンリーディングフレーム予測
およびプロッティング、ならびに配列相同性の決定はまた、当業界で利用可能な
コンピューターソフトウエアプログラムを使って達成することができる。
【0106】 構造分析の他の方法を使用することもできる。これらは、限定されるものでな
いが、X線結晶学(Engstom, A., 1974, Biochem. Exp. Biol. 11:7-13)および
コンピューターモデリング(Fletterrick, R.およびZoller, M.(編), 1986, C
omputer Graphics and Molecular Modeling, in Current Communications in M
olecular Biology, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New
York)を含む。
【0107】5.5 Nogoタンパク質およびその誘導体に対する抗体の作製 本発明において、Nogoタンパク質、そのフラグメントまたは他の誘導体、また
はその類似体を免疫原として用いて、この免疫原と免疫特異的に結合する抗体を
作製することができる。このような抗体は、限定されるものでないが、ポリクロ
ーナル、モノクローナル、キメラ、1本鎖、Fabフラグメント、およびFab発現ラ
イブラリーを含む。ラットおよびウシNogoの組換えフラグメントに対する抗体が
作製され(第6.1.7節)、これらの抗体はまた他の種のエピトープとも交差反応
する。他の実施形態においては、親水性と同定されたNogoタンパク質のフラグメ
ントを抗体作製の免疫原として使う。
【0108】 当業界で公知の様々な方法を、Nogoタンパク質または誘導体または類似体に対
するポリクローナル抗体の作製に利用できる。特定の実施形態においては、図2a
の配列番号2、図12の配列番号29、図14の配列番号32、または図13の配列番号30
(それぞれ、ラットNogo A、ウシNogo、ラットNogo C、またはヒトNogo)の配列
またはそのサブ配列によりコードされるNogoタンパク質のエピトープに対するウ
サギポリクローナル抗体を取得することができる。抗体の作製のため、限定され
るものでないが、ウサギ、マウス、ラット他を含む様々な宿主動物を、固有のNo
goタンパク質、または合成物、あるいはそれらの誘導体(例えば、フラグメント
)を注入することにより免疫化できる。宿主によって、様々なアジュバントを用
いて免疫反応を増強することができ、該アジュバントは限定されるものでないが
、フロイント(Freund's)(完全および不完全)アジュバント、水酸化アルミニウ
ムのような無機質性ゲル、リゾレシチンのような表面活性物質、プルロニックポ
リオール(pluronic polyol)、ポリアニオン、ペプチド、油乳化剤、キーホー
ルリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(bacille Calme
tte-Guerin)およびコリネバクテリウムパルバム(corynebacterium parvum)の
ような潜在的に有用なヒトアジュバントを含む。
【0109】 Nogoタンパク質配列またはその類似体に対するモノクローナル抗体の調製にお
いては、継続的な細胞系の培養による抗体分子の作製を提供する任意の技術を利
用できる。例えば、元来、KohlerおよびMilstein (1975, Nature 256:495-497)
により開発されたハイブリドーマ技術、ならびにトリオーマ技術(trioma techn
ique)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら, 1983, Immunology Today 4:
72)、およびヒトモノクローナル抗体を作製するためのEBV-ハイブリドーマ技術
(Coleら, 1985, in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Lis
s, pp.77-96)が挙げられる。モノクローナル抗体は、最近の技術(PCT/US90/02
545)を使って無菌動物で作製することができる。本発明によれば、ヒト抗体の
使用が可能であり、かつ、ヒトハイブリドーマを用いることにより(Coteら, 19
83, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:2026-2030)またはヒトB細胞をEBVウイ
ルスでin vitro形質転換することにより(Coleら, 1985, in Monoclonal Antibo
dies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp.77-96)、ヒト抗体を取得
できる。実際、本発明によれば、Nogoに特異的なマウス抗体分子からの遺伝子を
適当な生物学的に活性なヒト抗体分子からの遺伝子と共にスプライシングするこ
とによる「キメラ抗体」を作製するために開発された技術(Morrisonら, 1984,
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.81:6851-6825;Neubergerら, 1984, Nature 312
:604-608;Takedaら, Nature 314:452-454)を使用できる(そのような抗体は本
発明の範囲内にある)。
【0110】 本発明によれば、1本鎖抗体の作製のために公開されている技術(米国特許第4
,946,778号)をNogo特異的1本鎖抗体の作製に適用できる。Fab発現ライブラリー
の構築のための記載の技術(Huseら, 1989, Science 246:1275-1281)を利用す
ると、Nogoタンパク質、誘導体、または類似体に対して所望の特異性をもつモノ
クローナルFabフラグメントの迅速かつ容易な同定が可能となる。
【0111】 分子のイディオタイプを含有する抗体フラグメントを公知の技術により作製で
きる。例えば、このようなフラグメントは、限定されるものでないが、抗体分子
のペプシン消化により作製できるF(ab')2フラグメント;F(ab')2フラグメントの
ジスルフィド架橋を還元することにより作製できるFab'フラグメント;抗体分子
をパパインおよび還元剤を用いて処理することにより作製されるFabフラグメン
ト、およびFvフラグメントを含む。
【0112】 抗体の作製において、所望の抗体のスクリーニングは、当業界で公知の技術、
例えばELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)により実施することができる。例え
ば、Nogoタンパク質の特定のドメインを認識する抗体を選択するには、作製した
ハイブリドーマを、そのドメインを含有するNogoフラグメントと結合する産物に
ついてアッセイしてよい。第1のNogo相同体と特異的に結合するが異種のNogo相
同体とは特異的に結合しない抗体を選択するために、第1のNogo相同体とのポジ
ティブな結合と第2のNogo相同体との結合の欠損に基づいて選択することができ
る。
【0113】 Nogoタンパク質のドメインに特異的な抗体も提供される。
【0114】 以上の抗体は、本発明のNogoタンパク質配列の局在化および活性に関する当業
界で公知の方法に使用でき、例えば、診断法において、これらのタンパク質を画
像化し、適当な生理学的サンプル中のそのレベルを測定することなどが挙げられ
る。
【0115】 抗Nogo抗体および該結合ドメインを含有するそのフラグメントは治療に有用で
ある。
【0116】5.6 Nogoタンパク質、誘導体および類似体 本発明はさらにNogoタンパク質ならびにNogoタンパク質の誘導体(限定される
ものでないが断片を含む)および類似体に関する。Nogoタンパク質誘導体および
タンパク質類似体をコードする核酸も提供される。ある実施形態においては、No
goタンパク質は、上記第5.1節に記載のNogo核酸によりコードされる。特定の態
様においては、Nogo A、Nogo B、またはNogo Cタンパク質および誘導体、または
類似体は動物(例えばマウス、ラット、ブタ、ウシ、イヌ、サル、ヒト、ハエ、
またはカエル)に由来し、これらは本発明の範囲内である。
【0117】 Nogoに関連する誘導体および類似体の作製と使用も本発明の範囲内である。特
定の実施形態においては該誘導体または類似体は機能的に活性があり、すなわち
全長、野生型Nogoタンパク質に関連する1つ以上の機能的活性を示す能力がある
。1つの例として、所望の免疫原性または抗原性を有する誘導体または類似体は
、例えば、イムノアッセイにおいて、免疫感作のため、Nogo活性阻害のためなど
に使うことができる。(例えば、Nogoの結合パートナーと結合して)目的の所望
のNogo特性を保持するかあるいはまた欠損させるかもしくは阻害する誘導体また
は類似体は、そのような特性および生理学的的に関連する現象の、それぞれ誘導
剤またはインヒビターとして使うことができる。特定の実施形態は、抗Nogo抗体
が結合できるNogo断片に関する。Nogoの誘導体または類似体は、当業界公知の方
法により所望の活性について試験でき、これは、限定されるものでないが、第6.
1.10節〜第6.1.12節に記載のアッセイを含む。
【0118】 Nogoの1つ以上の活性領域をマッピングするために、一連のNogo欠失突然変異
体を第6.2.7節に記載の組換えDNA技術により調製した。欠失突然変異体に存在す
るNogoの一部分を図18に示している。特定の実施形態においては、本発明はNogo
の断片、例えばNogo A(配列番号2)アミノ酸1-171、172-974、259-542、542-7
22、722-974、172-259、または975-1162、または以上の組合わせを含む(あるい
はまたそれらから成る)断片を提供する。非本質的であり生理学的活性に影響を
与えずにNogoから除去できると思われる領域である配列番号2のアミノ酸番号17
2-259および/または975-1162を欠くNogoの末端切断突然変異体も提供される。
配列番号30のアミノ酸番号1-131、132-939、206-501、501-680、132-206、680-9
39、または940-1127を含む(あるいはまたそれらから成る)ヒトNogo Aの対応す
る断片も提供される。配列番号30のアミノ酸番号132-206、アミノ酸残基939-112
7、またはアミノ酸残基132-206と939-1127を欠くヒトNogo Aの末端切断突然変異
体も提供される。
【0119】 特定の実施形態においては、該断片はCNSミエリン物質を全く含有せずかつ/
またはNogoの阻害活性を示す。非Nogo配列と融合した上記断片の1つ以上を含む
融合タンパク質も提供される。
【0120】 Nogo遺伝子は機能的に同等の分子を提供する置換、付加または欠失によりNogo
配列を改変して作製できる。ヌクレオチドコード配列の縮重によってNogo遺伝子
と実質的に同じアミノ酸配列をコードする他のDNA配列を、本発明の実施に使う
ことができる。これらは、限定されるものでないが、配列内の機能的に同等のア
ミノ酸残基をコードする異なるコドンの置換によって改変され、サイレントな変
化を生じているNogo遺伝子の全体または一部を含有するヌクレオチド配列を含む
。同様に、本発明のNogo誘導体は、限定されるものでないが、アミノ酸一次配列
として、機能的に同等のアミノ酸残基が配列内で他の残基と置換されてサイレン
トな変化を生じる改変された配列を含むNogoタンパク質のアミノ酸配列の全体ま
たは一部を含有する配列を含む。例えば、該配列内の1つ以上のアミノ酸残基を
機能的に同等になるように操作して、サイレントな改変を生じる類似の極性をも
つ他のアミノ酸により保存的に置換することができる。配列内のアミノ酸に対す
る置換体は該アミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択することができる
。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロシシン、
バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンを含む
。極性中性アミノ酸は、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン
、アスパラギン、およびグルタミンを含む。正荷電(塩基性)アミノ酸は、アル
ギニン、リシンおよびヒスチジンを含む。負荷電(酸性)アミノ酸はアスパラギ
ン酸およびグルタミン酸を含む。
【0121】 本発明の特定の実施形態においては、Nogoタンパク質の少なくとも10個の(連
続した)アミノ酸から成るNogoタンパク質の断片から成るかまたはこれを含むタ
ンパク質が提供される。他の実施形態においては、該断片はNogoタンパク質の少
なくとも17個または50個のアミノ酸からなる。特定の実施形態においては、この
断片は35個、100個または200個のアミノ酸より大きくはない。Nogoの誘導体また
は類似体は、限定されるものでないが、Nogoまたその断片と実質的に相同的であ
る(例えば、様々な実施形態においては、アラインメントを当業界で周知のコン
ピューター相同性プログラム、例えばBLASTコンピューター検索(Altschulら, 1
994, Nature Genet. 6:119-129)により実施してアラインさせた配列と比較した
場合に、同一サイズのアミノ酸配列にわたって少なくとも60%または70%または80
%または90%または95%の同一性を有する)領域を含むか、またはそれをコードす
る核酸がストリンジェントな、中度にストリンジェントな、または非ストリンジ
ェントな条件のもとでコーディングNogo配列とハイブリダイズする能力のある分
子を含む。
【0122】 例えば、標識または生物活性部分を含む他の部分との炭化水素結合を有するNo
go断片を含む分子も提供される。
【0123】 本発明のNogo誘導体および類似体は、当業界で公知の様々な方法により作製す
ることができる。その作製をもたらす操作は、遺伝子またはタンパク質レベルで
実施される。例えば、クローニングしたNogo遺伝子配列は、当業界で公知の多数
の方法(Maniatis, T., 1990, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2
版, Cold Spring Harbor, New York)のいずれかにより改変することができる。
該配列を、適当な部位で制限酵素を用いて切断し、続いて、もし所望であればさ
らなる酵素的改変を行い、単離し、そしてin vitroで連結する。Nogoの誘導体ま
たは類似体をコードする遺伝子の作製において、改変された遺伝子が、所望のNo
go活性をコードしている遺伝子領域内で翻訳停止シグナルにより中断されていな
いNogoと同じ翻訳読み枠内に残るように注意しなければならない。
【0124】 さらに、Nogoをコードする核酸配列を、in vitroまたはin vivoで突然変異さ
せて翻訳、開始および/もしくは終結配列を作製ならびに/または破壊するか、
あるいは、in vitro改変をさらに容易にするために、コード領域を変異させ、お
よび/または新しい制限エンドヌクレアーゼ切断部位を形成するかまたは予め存
在した部位を破壊する。限定されるものでないが、化学的突然変異、in vitro部
位特異的突然変異(Hutchinson, C.,ら, 1978, J. Biol. Chem 253:6551)、TAB
(登録商標)リンカー(Pharmacia)などの使用を含む当業界で公知の突然変異誘
発の任意の技術を使用することができる。
【0125】 Nogo配列の操作はまた、タンパク質レベルで行うこともできる。本発明の範囲
内に含まれるのは、翻訳中または翻訳後に例えばグリコシル化、アセチル化、リ
ン酸化、アミド化、公知の保護/ブロッキング基、タンパク質分解切断、抗体分
子との結合または他の細胞リガンドなどにより様々に改変したNogoタンパク質断
片または他の誘導体もしくは類似体である。多数の化学的改変は、限定されるも
のでないが、臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテア
ーゼ、NaBH4による特異的な化学的切断;アセチル化、ホルミル化、酸化、還元
;ツニカマイシンの存在での代謝合成;その他を含む公知の技術により実施する
ことができる。
【0126】 さらに、Nogoの類似体および誘導体を化学的に合成することができる。例えば
、所望のドメインを含むかまたはin vitroで所望の活性を媒介するNogoタンパク
質のある部分に対応するペプチドを、ペプチド合成機を使って合成することがで
きる。さらに、もし所望であれば、非古典的アミノ酸または化学的アミノ酸類似
体をNogo配列中に置換または付加により導入することができる。非古典的アミノ
酸は、限定されるものでないが、一般アミノ酸のD異性体、α-アミノイソ酪酸、
4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib
、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノル
バリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t-ブチ
ルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、
β-アラニン、フルオロ-アミノ酸、β-メチルアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、N
α-メチルアミノ酸のような設計されたアミノ酸、および一般的なアミノ酸類似
体を含む。さらに、該アミノ酸はD(右旋性)またはL(左旋性)であってよい。
【0127】 ある特定の実施形態においては、該Nogo誘導体は、Nogoタンパク質またはその
断片(好ましくは、少なくともNogoタンパク質の1つのドメインもしくはモチー
フ、または少なくともNogoタンパク質の10アミノ酸から成る)を含むキメラ、ま
たは融合タンパク質であり、そのアミノ-またはカルボキシ-末端でペプチド結合
を介して異なるタンパク質のアミノ酸配列に結合している。ある実施形態におい
ては、このようなキメラタンパク質は、該タンパク質をコードする核酸(異なる
タンパク質に対するコード配列にインフレームで結合したNogoコード配列を含む
)の組換え発現により作製される。このようなキメラ産物は、所望のアミノ酸配
列をコードする適当な核酸配列をお互いに当業界公知の方法により適当なコード
枠内で連結して作製し、そして当業界で公知の方法によりキメラ産物を発現する
ことができる。あるいはまた、このようなキメラ産物は、タンパク質合成技術、
例えばペプチド合成機の使用によって作製できる。任意の異種タンパク質をコー
ドする配列と融合したNogoの部分を含むキメラ遺伝子を構築できる。このような
異種タンパク質コード配列は、例えば、ヘキサヒスチジンタグ、およびT7タグを
含む。特定の実施形態は、少なくとも6個のアミノ酸のNogoの断片を含むキメラ
タンパク質に関する。
【0128】 他の特定の実施形態においては、Nogo誘導体はNogoタンパク質との相同性領域
を含む分子である。
【0129】 ある好ましい実施形態においては、Nogo誘導体(例えば、断片)は天然には存
在しないタンパク質である。
【0130】 誘導体および類似体の他の特定の実施形態を、以下の小節および後段の実施例
に記載する。
【0131】5.6.1 1つ以上のNogoタンパク質のドメインを含有するNogoの誘導体 ある特定の実施形態においては、本発明は、Nogoタンパク質の1つ以上のドメ
インを含むかまたはそれから成るNogo誘導体および類似体、特にNogoフラグメン
トおよびそのフラグメントの誘導体に関し、限定されるものでないが、保存カル
ボキシ末端および疎水性ドメインまたはアミノ末端酸性またはポリプロリンリッ
チドメイン、以上のいずれかの機能的フラグメント(例えば結合した)、または
以上のいずれかの組合わせを含む。
【0132】 特定の実施形態は、ラットまたはウシNogoタンパク質の特定のフラグメントと
最も相同的なそれぞれのNogoタンパク質内のフラグメントであるNogoの特定のフ
ラグメントを含む分子に関する。Nogo相同体のドメインを含むフラグメントは、
第6.1.2.節、第6.1.8節、第6.1.9節、第6.1.10節、第6.1.11節、または第6.1.12
節に記載のタンパク質分析方法によって同定できる。
【0133】 他の特定の実施形態においては、Nogoタンパク質の1つ以上のドメイン(また
はその機能的部分)を含むがNogoタンパク質の1つ以上のドメイン(またはその
機能的部分)を欠損する分子が提供される。他の実施形態においては、Nogoタン
パク質の1つ以上のドメイン(またはその機能的部分)を含み、かつNogoタンパ
ク質の1つ以上の突然変異(例えば、欠失または点突然変異による)を有する(
例えば、突然変異ドメインは機能の低減を有するような)分子が提供される。
【0134】5.7 Nogoタンパク質、誘導体および類似体のアッセイ Nogoタンパク質、誘導体および類似体の機能的活性は、様々な方法によりアッ
セイすることができる。以下の節の機能アッセイの記載は限定を意味するもので
なく、かつ当業者に周知の他のアッセイを含むことができる。
【0135】5.7.1 Nogoのin vitro神経突起成長阻害アッセイ ある特定の実施形態においては、Nogoタンパク質、誘導体および類似体を、in
vitro組織培養を用いて、NIH 3T3伸展阻害またはPC12神経突起成長阻害につい
てアッセイできる(第6.1.10節)。
【0136】 他の実施形態においては、Nogoタンパク質、誘導体および類似体を用いて、No
goの存在により誘導される移植されたニワトリ後根神経節成長錐体の崩壊につい
てアッセイできる。同様に、Nogo機能を移植したニワトリ後根神経節の神経突起
成長阻害についてアッセイすることができる(Spillmanら, 1998, J. Biol. Che
m. 273:19283-19293)。
【0137】5.7.2 Nogoのin vivo機能的特性のアッセイ ある実施例においては、距離の長い皮質脊髄路(corticospinal tract)(CST
)の再生およびその挙動回復に対する動物モデルを使うin vivoの機能アッセイ
に、Nogoタンパク質、誘導体および類似体のアンタゴニストを使うことができる
【0138】 好ましい実施形態においては、げっ歯類動物の皮質脊髄路を外科切除または脊
髄挫傷により破壊した後、Nogoのアンタゴニストを該動物に投与する。神経の可
塑性(neural plasticity)、再生および機能回復を、処理していない対照動物
または対照抗体で処理した動物と比較して、解剖技術により(主に規定した神経
路の標識により)、構造的な可塑性または再生を観察する。機能回復は、該げっ
歯類動物により実施する歩行運動によりおよび電気生理学的技法による試験で測
定する(例えば、粘着紙試験、飼料ペレット到達動作、など)(Thallmairら, 1
998 Nat. Neuroscience 1(2):124-131)。
【0139】5.7.3 Nogoリガンド結合阻害およびそのアッセイ ある実施形態においては、抗Nogo抗体との結合に対して野生型Nogoと結合また
は競合する能力についてアッセイする場合、当業界で公知の様々なイムノアッセ
イを使うことができ、限定されるものでないが、ラジオイムノアッセイ、ELISA
(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫放射線
測定アッセイ、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、in situイムノアッセイ
(例えば金コロイド、酵素または放射性同位体標識を用いる)、ウェスタンブロ
ット、沈降反応、凝集アッセイ(例えば、ゲル凝集アッセイ、血球凝集アッセイ
)、補体結合アッセイ、免疫蛍光アッセイ、プロテインAアッセイ、および免疫
電気泳動アッセイ、その他の技術を使う競合および非競合アッセイシステムを含
む。ある実施形態においては、抗体結合を1次抗体の標識を検出することにより
検出する。他の実施形態においては、1次抗体を、1次抗体に対する2次抗体また
は試薬の結合を検出することにより検出する。さらなる実施形態においては2次
抗体を標識する。イムノアッセイの結合を検出するための多数の方法が当業界で
は公知であり、本発明の範囲内にある。
【0140】 他の実施形態においては、Nogo結合タンパク質を同定する場合、該結合を、例
えば当業界で周知の方法によりアッセイできる。他の実施形態においては、基質
に対するNogoの結合の生理学的相関をアッセイしてよい。
【0141】 当業者は他の方法を精通しているであろうし、それらは本発明の範囲内にある
【0142】5.8 治療用途 本発明は治療用組成物(本明細書では「治療薬」と呼ばれる)の投与による種々
の疾病および疾患の治療または予防を提供する。かかる「治療薬」としては限定
されるものではないが、Nogoタンパク質ならびにその類似体および誘導体(断片
を含む)(例えば上記のもの);それに対する抗体(例えば上記のもの);Nogoタン
パク質をコードする核酸、類似体または誘導体(例えば上記のもの);Nogoアンチ
センス核酸、ならびにNogoアゴニストおよびアンタゴニストが挙げられる。調節
解除された細胞増殖を伴う疾患、例えばCNS腫瘍はNogo機能を誘導する治療薬の
投与によって治療または予防される。神経突起増殖、分化または維持が欠如して
いるか、または望まれる疾患は、Nogo機能を阻害する治療薬の投与によって治療
される。上記は以下のサブセクションで詳細に記載される。
【0143】 一般に患者の種と同じ種起源または(抗体の場合には)種反応性の産物の投与が
好ましい。このように好ましい実施形態では、ヒトNogoタンパク質、誘導体もし
くは類似体、または核酸、またはヒトNogoタンパク質に対する抗体が治療上また
は予防上ヒト患者に投与される。
【0144】5.8.1 調節解除された細胞増殖を伴う疾患の治療および予防 調節解除された細胞増殖を伴う疾病および疾患はNogo機能を誘導する(すなわ
ち高める、または供給する)治療薬の投与によって治療または予防される。かか
る治療薬の例としては限定されるものではないが、Nogoタンパク質、機能上活性
な、特に神経突起伸長の阻害または細胞増殖の阻害(例えば、in vitroアッセイ
または動物モデルにおいて証明されたもの)に活性のある誘導体または断片、な
らびにNogoタンパク質断片をコードする核酸またはその機能上活性な誘導体もし
くは断片(例えば、遺伝子治療に用いられる)が挙げられる。Nogoタンパク質、そ
の誘導体または断片は、それと天然では結合している全てのCNSミエリン物質を
含まないことが好ましい。使用できるその他の治療薬、例えばNogoアゴニストは
in vitroアッセイまたは動物モデルを用いて同定することができ、その例は以下
に記載されている。
【0145】 特定の実施形態では、Nogo機能を誘導する治療薬は、(1)Nogoタンパク質のレ
ベルまたは機能が欠損しているか、または低下している疾病または疾患、例えば
、Nogoタンパク質が不足している、遺伝子が欠損している、生物学的に不活性も
しくは活性不十分または発現不十分である患者に;あるいは(2)in vitro(または
in vivo)アッセイ(以下参照) によりNogoアゴニスト投与が有用であると示され
た疾病または疾患に治療上(予防も含む)投与される。Nogoタンパク質のレベルま
たは機能の欠損または低下は例えば患者の組織サンプルを得(例えば生検組織か
ら)、RNAもしくはタンパク質レベル、発現したNogo RNAもしくはタンパク質の構
造および/または活性に関してin vitroでアッセイすることによって容易に検出
できる。このように、限定されるものではないが、キナーゼアッセイ、Nogoタン
パク質を検出および/または視覚化する免疫アッセイ(例えば、ウエスタンブロ
ット法、免疫沈降後のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動
、免疫組織化学など)、および/またはNogo mRNAを検出および/または視覚化す
ることによってNogo発現を検出するハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、
ノーザンアッセイ、ドットブロット法、in situハイブリダイゼーションなど)を
始めとする当技術分野で標準的な多くの方法が使用できる。
【0146】 治療または予防可能な、調節解除された細胞を伴う疾病および疾患としては、
限定されるものではないが、増殖性疾患、悪性腫瘍、神経系腫瘍などが挙げられ
る。これらの例は以下に詳細に示されている。
【0147】5.8.1.1 腫瘍性増殖 Nogo機能を促進する治療薬の投与によって治療または予防できる腫瘍性増殖お
よび関連疾患としては、限定されるものではないが、表1に挙げるものがある(か
かる疾患に関する総説としては、Fishmanら, 1985, Medicine,第2版, J.B. Lipp
incott Co., Philadelphiaを参照)。
【0148】
【表1】 腫瘍性増殖および関連疾患 固形癌 肉腫および癌腫 神経膠種および神経膠芽腫 星状細胞腫 髄芽腫 頭蓋咽頭腫 上衣腫 松果体腫 血管芽腫 聴神経腫 稀突起神経膠腫 髄膜腫 神経芽腫 網膜芽腫 特定の実施形態では、中枢神経系、脊髄または神経組織のいずれもの悪性また
は異常増殖変化(変質形成および異形成)、または過剰増殖性疾患が治療または予
防される。
【0149】5.8.1.2 前癌病変症状 Nogo活性を誘導する本発明の治療薬はまた、限定されるものではないが表1に
挙げられた疾患をはじめとする前癌病変症状を治療するため、および腫瘍形成状
態または悪性腫瘍状態への進行を予防するために投与することができる。かかる
予防または治療用途は腫瘍または癌へと進行することが知られている、または疑
われる症状、特に過形成、変質形成または最も好ましくは異形成からなる非腫瘍
性細胞増殖が起こっている症状に適用される(かかる異常増殖症状の総説に関し
ては、RobbinsおよびAngell, 1976, Bacic Pathology, 第2版, W.B Saunders Co
., Philadelphia, 68-79頁を参照)。過形成とは、構造または機能に著しい変化
を伴わずに組織または器官における細胞数の増加を伴う制御された細胞増殖の一
形態である。変質形成とは、あるタイプの成熟細胞または十分分化した細胞が別
のタイプの成熟細胞に置き換わる制御された細胞増殖の一形態である。変質形成
とは、上皮または結合組織細胞で起こり得る。不定形の変質形成はいく分無秩序
な変質形成上皮を伴う。異形成は癌の徴候である場合が多く、主として上皮に見
られ、これは個々の細胞に均一性を欠き、また細胞の構造的配向を欠いた最も無
秩序な形態の非腫瘍性細胞増殖である。異形成細胞はしばしば異常に大きく、濃
く染まる核を持ち、多型性を示す。異形成は特徴的には慢性刺激または炎症が存
在するところで起こる。
【0150】 過形成、変質形成または異形成として特徴づけられる異常な細胞増殖の存在の
他、またはそれに加えて、形質転換された表現型または悪性腫瘍表現型の1以上
の特徴の存在が、患者由来の細胞サンプルにin vivoまたはin vitroで提示され
た場合は、Nogo機能を誘導する治療薬の予防的/治療的投与が望ましいことを示
し得る。上記のような形質転換された表現型の特徴としては、形態変化、ルーズ
な基底層の結合、接触阻害の欠如、足場依存の欠如、プロテアーゼの放出、糖輸
送の増加、血清要求の低下、胎児抗原の発現、250,000ダルトンの細胞表面タン
パク質の消失などがある(形質転換または悪性表現型に関連する特徴については
上記84-90頁も参照)。
【0151】 その他の実施形態では、悪性腫瘍に関して以下の疾病素因因子のうち1以上を
示す患者が有効量の治療薬の投与によって治療される:Von Recklineghausenの
神経繊維腫症、または網膜芽腫(RobbinsおよびAngell, 1976, Basic Pathology,
第2版, W.B. Saunders Co., Philadelphia, 112-113頁など参照)。
【0152】 もう1つの特定の実施形態では、本発明の治療薬は腎臓、軟骨(胸骨の)、皮膚
、骨格筋、肺または脾臓の癌、黒色腫または肉腫への進行を予防するためにヒト
患者に投与される。
【0153】5.8.1.3 過剰増殖性および異形増殖性疾患 本発明のもう1つの実施形態では、Nogo活性を促進する治療薬を用いて過剰増
殖性または良性の異形増殖性疾患を治療または予防する。特定の実施形態は肝硬
変(瘢痕形成が正常な肝再生プロセスを追い越してしまった状態)の治療または予
防、ケロイド(肥厚瘢痕)形成(瘢痕形成プロセスが正常な再生を妨害している皮
膚の変質)、乾癬(皮膚の過剰な増殖および適切な細胞の運命の決定の遅延によっ
て特徴づけられる)、良性腫瘍、繊維症症状、および組織肥厚(例えば、前立腺肥
大) の治療に向けられる。
【0154】5.8.1.4 遺伝子治療 特定の実施形態では、Nogoタンパク質またはその機能的誘導体をコードする配
列を含んでなる核酸が遺伝子治療によりNogo機能を促進するために投与される。
遺伝子治療とは被験体に核酸を投与することによって行われる治療をさす。本発
明の本実施形態では、核酸は、それがコードしているNogo機能の促進によって治
療作用を媒介するタンパク質を産生する。
【0155】 当技術分野で利用可能な遺伝子治療のための方法はいずれも本発明に従って使
用できる。方法例が以下に記載されている。
【0156】 遺伝子治療法の一般的な総説に関しては、Goldspielら, 1993, Clinical Phar
macy 12:488-505; WuおよびWu, 1991, Biotherapy 3:87-95; Tolstoshev, 1993,
Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573-596; Mulligan, 1993, Science 260:9
29-932;ならびにMorganおよびAnderson, 1993, Ann. Rev. Biochem. 62:191-217
; May, 1993, TIBTECH 11(5):155-215を参照。使用可能な組換えDNA技術の分野
で一般に公知の方法はAusbelら(編), 1993, Current Protocols in Molecular
Biology, John Wiley & Sons, NY;およびKriegler, 1990, Gene Transfer and E
xpression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY.に記載されている。
【0157】 好ましい態様では、治療薬は好適な宿主内でNogoタンパク質またはその断片も
しくはキメラタンパク質を発現する発現ベクターの一部であるNogo核酸を含んで
なる。特にかかる核酸はNogoコード領域に機能し得る形で連結されたプロモータ
ーを有し、該プロモーターは誘導性または構造性であって、また組織特異的であ
ってもよい。もう1つの特定の実施形態では、Nogoコード領域と他のいずれかの
所望の配列が、そのゲノムの所望の位置において相同組換えを促進する領域付近
に並んでいる核酸分子が使用され、このようにしてNogo核酸の染色体内発現がも
たらされる(KollerおよびSmithies, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:893
2-8935; Zijlstraら, 1989, Nature 342:435-438)。
【0158】 患者への核酸の送達は直接的 (この場合、患者は核酸または核酸を含むベクタ
ーに直接曝される) であっても、あるいは間接的(この場合、まずin vitroで細
胞を形質転換し、次に患者へ移植する)であってもよい。これらの2つの試みは
それぞれin vivoまたはex vivoにおける遺伝子治療として公知である。
【0159】 特定の実施形態では、核酸はin vivoで直接投与され、そこで発現してコード
している産物を産生する。これは、例えば適当な核酸発現ベクターの一部として
それを構築し、それを投与して細胞内に存在させることによって達成される。例
えば欠陥のあるもしくは弱毒したレトロウイルスまたはその他のウイルスベクタ
ーを用いる感染によって(米国特許第4,980,286号参照)、あるいは裸のDNAの直接
注入によって、あるいはマイクロパーティクル衝撃(例えば、遺伝子ガン; Bioli
stic)、あるいは脂質もしくは細胞表面受容体もしくはトランスフェクション剤
での被覆、リポソーム、マイクロパーティクルもしくはマイクロカプセルへの封
入の使用によって、または受容体によって媒介されるエンドサイトーシスを受け
るリガンドに結合した状態でそれを投与することによるなどの当技術分野で公知
の多くの方法のいずれによっても達成できる(例えば WUおよびWu, 1987, J. Bio
l. Chem. 262:4429-4432を参照)(それは受容体を特異的に発現しているタイプの
細胞を標的とするのに使用できる)。もう1つの実施形態では、リガンドがエン
ドソームを破壊する膜融合性ウイルスペプチドを含む核酸-リガンド複合体が形
成されて、それにより核酸がリソソーム分解が避けられるようになる。さらにも
う1つの実施形態では、核酸は、その特異的受容体を標的とすることによって、
細胞特異的な取り込みおよび発現のための標的とすることができる(例えば、199
2年4月16日付けのPCT公開WO92/06180(Wuら); 1992年12月23日付けのWO92/22635(
Wilsonら); 1992年11月26日付けのWO92/20316(Findeisら); 1993年7月22日付け
のWO93/14188(Clarkeら); 1993年10月付けのWO93/20221(Young)参照)。あるいは
、この核酸は相同組換えにより発現のために細胞内に導入され、かつ宿主細胞DN
Aに組み込むことができる(KollerおよびSmithies, 1989, Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 86:8932-8935; Zijlstraら, 1989, Nature 342:435-438)。
【0160】 特定の実施形態では、Nogo核酸を含むウイルスベクターが使用される。例えば
、レトロウイルスベクターが使用できる(Millerら, 1993, Meth. Enzymol. 217:
581-599参照)。これらのレトロウイルスベクターはウイルスゲノムのパッケージ
ングおよび宿主細胞DNAへの組み込みには必要ではないレトロウイルス配列を欠
くように改変されている。遺伝子治療に使用されるNogo核酸は、患者への遺伝子
の送達を助けるベクターにクローニングする。レトロウイルスベクターについて
のさらなる詳細は、幹細胞をさらに化学療法耐性とするための造血幹細胞へmdr1
遺伝子を送達するレトロウイルスベクターの使用を記載しているBoesenら, 1994
, Biotherapy 6:291-302に見出すことができる。遺伝子治療におけるレトロウイ
ルスベクターの使用を示したその他の参照文献としては、Clowesら, 1994, J. C
lin. Invest. 93:644-651; Kiemら, 1994, Blood 83:1467-1473; Salmonsおよび
Gunzberg, 1993, Human Gene Therapy 4:129-141;ならびにGrossmanおよびWilso
n, 1993, Curr. Opin. in Genetics and Devel. 3:110-114がある。
【0161】 アデノウイルスも遺伝子治療に使用できるその他のウイルスベクターである。
アデノウイルスは特に中枢神経系に遺伝子を送達する魅力的なビヒクルである。
アデノウイルスは本来呼吸器上皮に感染し、そこで軽い疾病を引き起こす。アデ
ノウイルスに基づく送達系のその他の標的としては肝臓、呼吸器上皮、内皮細胞
および筋肉がある。アデノウイルスは非***細胞に感染し得るという利点を持つ
。KozarskyおよびWilson, 1993, Current Opinion in Genetics and Developmen
t 3:499-503はアデノウイルスに基づく遺伝子治療の総説を提供している。Bout
ら, 1994, Human Gene Therapy 5:3-10はアカゲザルの呼吸器上皮に遺伝子を導
入するアデノウイルスベクターの使用を実証している。遺伝子治療におけるアデ
ノウイルスの使用のその他の例としてはRosenfeldら, 1991, Science 252:431-4
34; Rosenfeldら, 1992, Cell 68:143-155;およびMastrangeliら, 1993, J. Cli
n. Invest. 91:225-234がある。
【0162】 アデノウイルスの他、アデノ随伴ウイルス(AAV)も遺伝子治療で用いることが
提案されている(Walshら, 1993, Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 204:289-300)。
【0163】 遺伝子治療に対するもう1つのアプローチとしては、エレクトロポレーション
、リポフェクション、リン酸カルシウムによって媒介されるトランスフェクショ
ンまたはウイルス感染などの方法によって組織培養物の細胞へ遺伝子を導入する
ことがある。通常、導入方法は細胞に選択マーカーを導入することを含む。次に
これらの細胞を選択下に置いて、導入された遺伝子を取り込んで発現している細
胞を単離する。次にこれらの細胞を患者に送達する。
【0164】 この実施形態では、核酸は得られた組換え細胞をin vivoで投与する前に細胞
に導入される。かかる導入は、限定されるものではないがトランスフェクション
、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、核酸配列を含むウイル
スまたはバクテリオファージベクターによる感染、細胞融合、染色体によって媒
介される遺伝子導入、マイクロセルによって媒介される遺伝子導入、スフェロプ
ラスト融合などをはじめとする当技術分野で公知のいずれの方法によっても行う
ことができる。細胞へ外来遺伝子を導入するためには当技術分野で多くの技術が
知られており(例えば、LoefflerおよびBehr, 1993, Meth. Enzymol. 217:599-61
8; Cohenら, 1993, Meth. Enzymol. 217:618-644; Cline, 1985, Pharmac. Ther
. 29:69-92参照)、受容細胞の必要な発達および生理学的機能が妨げられない限
り本発明に従って使用してもよい。この技術は細胞への核酸の安定した導入をも
たらし、その結果、核酸は細胞により発現可能となり、好ましくは受け継がれて
その後代細胞によって発現可能となる。
【0165】 得られる組換え細胞は当技術分野で公知の種々の方法によって患者に送達でき
る。好ましい実施形態では、上皮細胞は例えば皮下注射される。もう1つの実施
形態では、組換え皮膚細胞を皮膚移植として患者に適用してもよい。組換え血液
細胞(例えば造血幹細胞または始原細胞)は好ましくは静脈投与される。使用のた
めに意図される細胞の量は望まれる作用、患者の状態などによって異なり、当業
者ならば決定することができる。
【0166】 遺伝子治療を目的として核酸が導入できる細胞は所望の入手可能な細胞種のい
ずれをも包含し、限定されるものではないが、上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサ
イト、繊維芽細胞、筋細胞、肝細胞;Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファ
ージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球などの血球;種々の幹細胞または始原細
胞、特に造血肝細胞または始原細胞、例えば骨髄、臍帯血、末梢血、胎児肝臓な
どから得られるものが挙げられる。
【0167】 好ましい実施形態では、遺伝子治療に用いられる細胞は患者自己のものである
【0168】 遺伝子治療に組換え細胞が用いられる実施形態では、Nogo核酸は細胞またはそ
れらの後代によって発現可能なように細胞に導入され、この組換え細胞は次に治
療作用のためにin vivoで投与される。特定の実施形態では、幹細胞または始原
細胞が用いられる。単離可能であってin vitroで維持可能な幹細胞および/また
は始原細胞はいずれも本発明の本実施形態に従って使用可能であろう。かかる幹
細胞としては限定されるものではないが神経幹細胞が挙げられる(Stempleおよび
Anderson, 1992, Cell 71:973-985)。
【0169】 特定の実施形態では、遺伝子治療を目的として導入される核酸は、核酸の発現
が転写の適当なインデューサーの存在または不在をコントロールすることによっ
て制御可能なように、コード領域に機能し得る形で連結された誘導プロモーター
を含んでいる。
【0170】 Nogoタンパク質または機能的誘導体をコードする核酸を送達するためにさらな
る方法を適用することもできる。
【0171】5.8.2 Nogoが再生を阻害する疾患の治療および予防 神経突起伸長、増殖または再生が望まれる疾病および疾患はNogo機能を阻害す
る治療薬の投与によって治療される。終局的に神経系の損傷をもたらす疾病、疾
患または損傷としては、限定されるものではないが、中枢神経系(CNS)外傷(例え
ば、脊髄または脳損傷)、亀裂骨折、感染、悪性腫瘍、有毒物質への曝露、栄養
欠乏、準腫瘍症候群、および変性神経疾患(限定されるものではないがアルツハ
イマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多発性硬化症、筋萎縮性側索
硬化症および進行性上核不全麻痺を含む)が挙げられ、Nogo活性を阻害する化合
物(例えば、ドミナントネガティブNogo誘導体、Nogoに対する抗体、Nogoをコー
ドするアンチセンス核酸、NogoリボザイムまたはNogoの活性部位と結合する化学
群)を投与することにより治療される。
【0172】 使用できる治療薬としては限定されるものではないが、Nogoアンチセンス核酸
、および機能不全であり(例えば、Nogoコード配列内の異種(非Nogo配列)挿入に
よる)、相同組換えによる内因性Nogo機能を「ノックアウト」するのに使用され
るNogo核酸が挙げられる(例えば、Capecchi, 1989, Science 244:1288-1292参照
)。抗Nogo抗体(ならびに結合領域を含むその断片および誘導体)はNogoのアンタ
ゴニストとして使用できる。本発明の特定の実施形態では、Nogo配列が異なる遺
伝子配列に並んでいる(5'および3'双方)Nogo遺伝子の一部を含む核酸をNogoアン
タゴニストとして用いて相同組換えによるNogo不活性化を誘導する(Kollerおよ
びSmithies, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8932-8935; Zijlstraら, 1
989, Nature 342:435-438も参照)。Nogo機能を阻害するその他の治療薬は、例え
ばNogoと別のタンパク質との結合を阻害する、またはいずれかの公知のNogo機能
を阻害するそれらの能力に基づき、公知の通常のin vitroアッセイの使用によっ
て確認でき、遺伝子アッセイも使用できるが、好ましくはin vitroで、または細
胞培養物でアッセイするのがよい。。好ましくは好適なin vitroまたはin vivo
アッセイを利用して、特異的治療薬の作用、およびその投与が冒された組織の治
療に適用されるかどうかを決定する。
【0173】 特定の実施形態では、Nogo機能を阻害する治療薬は、(1)Nogoタンパク質のレ
ベルまたは機能の上昇(正常または望ましいレベルと比較)を伴う疾病または疾患
、例えばNogoタンパク質が過剰活性または過剰発現している患者に;または(2)i
n vitro(もしくはin vivo)アッセイ(上記参照)がNogoアンタゴニスト投与の有用
性を示す疾病または疾患に治療上(予防を含む)投与される。Nogoタンパク質のレ
ベルまたは機能における上昇は、例えば患者の組織サンプルを得(例えば生検か
ら)、RNAまたはタンパク質レベル、発現したNogo RNAまたはタンパク質の構造お
よび/または活性に関してin vitroでアッセイすることによりタンパク質および
/またはRNAを定量することによって容易に検出できる。このように、限定され
るものではないが、キナーゼアッセイ、Nogoタンパク質を検出および/または視
覚化する免疫アッセイ(例えば、ウエスタンブロット法、免疫沈降後のドデシル
硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動、免疫組織化学など)、および
/またはNogo mRNAをそれぞれ検出および/または視覚化することによってNogo
発現を検出するハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、
ドットブロット法、in situハイブリダイゼーションなど)をはじめとする当技術
分野で標準的な多くの方法が使用できる。 5.8.2.1 Nogo発現のアンチセンス調節 特定の実施形態では、Nogo機能はNogoアンチセンス核酸の使用によって阻害さ
れる。本発明はNogoもしくはその一部をコードする遺伝子またはcDNAに対してア
ンチセンスである少なくとも6個のヌクレオチドの核酸の治療または予防的使用
を提供する。本明細書においてNogo「アンチセンス」核酸とは、いくつかの配列
相補性によってNogo RNA(好ましくはmRNA)の一部とハイブリダイズし得る核酸を
いう。このアンチセンス核酸はNogo mRNAのコード領域および/または非コード
領域に相補的であり得る。かかるアンチセンス核酸はNogo機能を阻害する治療薬
としての有用性を持ち、上記の疾患の治療または予防に使用できる。
【0174】 本発明のアンチセンス核酸は、細胞に直接投与できるか、または外来の導入配
列の転写によって細胞内で産生され得る二本鎖または一本鎖RNAまたはDNAまたは
その修飾体もしくは誘導体であるオリゴヌクレオチドであってよい。
【0175】 特定の実施形態では、本発明によって提供されるNogoアンチセンス核酸は、特
に皮質脊髄路の再生、回復時の柔軟性、神経細胞の再増殖、ならびに外傷性損傷
、卒中および神経変性疾患に伴う障害の治癒をはじめとする中枢神経系の神経細
胞の再生を促進するために使用できる。
【0176】 本発明はさらに上記のような医薬上許容される担体中に本発明のNogoアンチセ
ンス核酸の有効量を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0177】 もう1つの実施形態では、本発明は、本発明のNogoアンチセンス核酸を含む有
効量の医薬組成物を細胞に与え、原核細胞または真核細胞におけるNogo核酸配列
の発現を阻害する方法に向けられる。
【0178】 Nogoアンチセンス核酸およびそれらの使用は以下に詳細に記載される。
【0179】5.8.2.1.1 Nogoアンチセンス核酸 Nogoアンチセンス核酸は少なくとも6個のヌクレオチドからなり、好ましくは
オリゴヌクレオチド(6〜約50個のオリゴヌクレオチドの範囲)である。特定の態
様では、このオリゴヌクレオチドは少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも
15個のヌクレオチド、少なくとも100個のヌクレオチド、または少なくとも200個
のヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドはDNAであってもRNAであっ
てよく、あるいはキメラ混合物、またはその誘導体もしくは修飾体であってもよ
く、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。このオリゴヌクレオチドは塩基部
分、糖部分またはリン酸骨格で修飾されていてもよい。オリゴヌクレオチドとし
てはペプチドなどのその他の付属の基、または細胞膜をわたる輸送(例えば、Let
singerら, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:6553-6556; Lemaitreら,
1987, Proc. Natl. Acad. Sci. 84:648-652; 1988年12月15日公開のPCT公開第WO
88/09810号参照)、もしくは血液脳関門(例えば、1988年4月25日公開のPCT公開第
WO89/10134号参照)をわたる輸送を助ける薬剤、ハイブリダイゼーションによっ
て誘発される切断剤(例えば、Krolら, 1988, BioTechniques 6:958-976参照)、
またはインターカレート剤(例えば、Zon, 1988, Pharm. Res. 5:539-549参照)が
挙げられる。
【0180】 本発明の好ましい態様では、Nogoアンチセンスオリゴヌクレオチド、好ましく
は一本鎖DNAのものが提供される。最も好ましい態様では、かかかるオリゴヌク
レオチドはNogo遺伝子の2つのプロモーター配列のうちの一方付近の配列、また
はNogo遺伝子のカルボキシ末端部分をコードする配列に対してアンチセンスであ
る配列を含んでいる。Nogoイソ型の一方の発現を選択的に阻害することが望まし
い。このオリゴヌクレオチドはそのいずれかの位置で当技術分野で一般に公知の
置換によって修飾されていてもよい。
【0181】 Nogoアンチセンスオリゴヌクレオチドは、限定されるものではないが、5-フル
オロウラシル、5-ブロモウラシル、5ークロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒ
ポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシメ
チル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキ
シメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルキュー
オシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチル
イノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メ
チルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチル
アミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノ
シルキューオシン、5'-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシ
ル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシルー5ーオキシ酢酸(v)
、ワイブトキソシン、シュードウラシル、キューオシン、2-チオシトシン、5-メ
チル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、
ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-
2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、
および2,6-ジアミノプリンからなる群より選択される少なくとも1つの修飾され
た塩基部分を含んでいてもよい。
【0182】 もう1つの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、限定されるものではないが
、アラビノース、2-フルオロアラビノース、キシルロース、およびヘキソースか
らなる群より選択される少なくとも1つの修飾された塩基部分を含む。
【0183】 なおもう1つの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート、
ホスホロジチオエート、ホスホルアミドチオエート、ホスホルアミデート、ホス
ホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、および
ホルムアセタールまたはその類似体からなる群より選択される少なくとも1つの
修飾されたリン酸骨格を含む。
【0184】 なおもう1つの実施形態では、オリゴヌクレオチドはαーアノマーオリゴヌク
レオチドである。α-アノマーオリゴヌクレオチドは相補的RNAと特異的な二本鎖
ハイブリッドを形成し、ここでは通常のβ-ユニットとは対照的に鎖は互いに並
行である(Gautierら, 1987, Nucl. Acids Res. 15:6625-6641)。
【0185】 このオリゴヌクレオチドは別の分子、例えばペプチド、ハイブリダイゼーショ
ンを誘発する架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーションを誘発する切断剤などと
共役し得る。
【0186】 本発明のオリゴヌクレオチドは例えば自動DNAシンセサイザー(Biosearch, App
lied Biosystemsなどから市販されているものなど)を使用するなど、当技術分野
で公知の標準法によって合成され得る。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌク
レオチドはSteinら(1988, Nucl. Acids Res. 16:3209)の方法によって合成でき
、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは調整多孔質グラスポリマー支持体の
使用(Sarinら, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:7448-7451)などによ
り製造できる。
【0187】 特定の実施形態では、Nogoアンチセンスオリゴヌクレオチドは触媒RNA、また
はリボザイムを含む(例えば、1990年10月4日公開のPCT国際公開WO90/11364; Sar
verら, 1990, Science 247:1222-1225参照)。もう1つの実施形態では、オリゴ
ヌクレオチドは2'-O-メチルリボヌクレオチド(Inoueら, 1987, Nucl. Acids Res
. 15:6131-6148)、またはキメラRNA-DNA類似体(Inoueら, 1897, FEBS Lett. 215
:327-330)である。
【0188】 別の実施形態では、本発明のNogoアンチセンス核酸は外来配列からの転写によ
って細胞内で産生される。例えば、ベクターが細胞に取り込まれ、その細胞内で
ベクターまたはその一部が転写されて本発明のアンチセンス核酸(RNA)を産生す
るようにベクターをin vivoで導入することができる。かかるベクターはNogoア
ンチセンス核酸をコードする配列を含む。かかるベクターは、転写されて所望の
アンチセンスRNAを産生する限りエピソームとして維持されてもよいし、あるい
は染色体に組み込まれてもよい。かかるベクターは当技術分野で標準的な組換え
DNA技術によって構築できる。ベクターはプラスミド、ウイルス、またはその他
当技術分野で公知の、哺乳類細胞において複製および発現に用いられるものであ
り得る。
【0189】 Nogoアンチセンス核酸をコードする配列の発現は哺乳類、好ましくはヒト細胞
で働くことが知られているプロモーターのいずれかによるものであり得る。かか
るプロモーターは誘導性のものでも構造性のものであってもよい。かかるプロモ
ーターとしては限定されるものではないが、SV40初期プロモーター領域(Bermois
tおよびChambon, 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスの長い3'末
端反復に含まれるプロモーター(Yamamotoら, 1980, Cell 22:787-797)、ヘルペ
スチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.
S.A. 78:1441-1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら, 1983, N
ature 296:39-42)などが挙げられる。
【0190】 本発明のアンチセンス核酸はNogo遺伝子、好ましくはヒトNogo遺伝子のRNA転
写物の少なくとも一部と相補的な配列を含む。しかしながら、絶対的な相補性は
好ましいが必ずしも必要ではない。本明細書において「RNAの少なくとも一部に
相補的な」配列とは、RNAとハイブリダイズして安定した二重らせんを形成でき
るに十分な相補性を有する配列を意味し、二本鎖Nogoアンチセンス核酸の場合に
は、二重らせんDNAの一本鎖をこのようにして試験してもよいし、または三重ら
せんの形成を分析してもよい。ハイブリダイズ力は相補性の程度とアンチセンス
核酸の長さの双方に依存する。一般に、ハイブリダイズする核酸が長いほどNogo
RNAとの塩基の誤対合が多くなり、それは安定した二重らせんを含み、しかも、
安定した二重らせん(またはあり得るケースとして三重らせん)を形成し得る。当
業者ならばハイブリダイズした複合体の融点を測定する標準的な手法を用いて誤
対合の許容度を確認することができる。
【0191】5.8.2.1.2. Nogoアンチセンス核酸の治療上の使用 Nogoアンチセンス核酸は、Nogoを発現、または好ましくは過剰発現する細胞型
の疾患を治療(または予防)するのに使用できる。特定の実施形態において、その
ような疾患は細胞増殖性疾患である。特定の実施形態では、一本鎖DNAアンチセ
ンスNogoオリゴヌクレオチドが用いられる。
【0192】 Nogo RNAを発現または過剰発現する細胞型は当技術分野で公知の種々の方法に
よって同定することができる。かかる方法としては、限定されるものではないが
、Nogo特異的核酸とのハイブリダイゼーション(例えば、ノーザンハイブリダイ
ゼーション、ドットブロットハイブリダイゼーション、in situハイブリダイゼ
ーション)、in vitroにおけるその細胞型由来RNAのNogoへの翻訳能力の観測、免
疫アッセイなどが挙げられる。好ましい態様では、治療に先立ち患者由来の一次
組織を、例えば免疫組織化学またはin situハイブリダイゼーションによってNog
o発現に関してアッセイすることができる。
【0193】 医薬上許容される担体中に有効量のNogoアンチセンス核酸を含んでなる本発明
の医薬組成物は、Nogo RNAまたはタンパク質を発現または過剰発現するタイプの
ものである疾病または疾患を有する患者へ投与することができる。
【0194】 特定の疾患または症状の治療に有効なNogoアンチセンス核酸量は疾患または症
状の性質によって異なり、標準的な臨床技術によって決定すことができる。可能
であれば、治療される腫瘍型のアンチセンス細胞傷害性をin vitroで、次いでヒ
トにおける試験および使用に先立って有用なモデル動物系で測定するのが望まし
い。
【0195】 特定の実施形態では、Nogoアンチセンス核酸を含んでなる医薬組成物はリポソ
ーム、微粒子、またはマイクロカプセルによって投与される。本発明の種々の実
施形態では、かかる組成物を用いてNogoアンチセンス核酸の徐放性を得ることが
有用であり得る。特定の実施形態では、抗体によって特異的に認識できる腫瘍抗
原にターゲッティングされたリポソームを利用することが望ましい(Leonettiら,
1990, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87:2448-2451; Renneisenら, 1990, J.
Biol. Chem. 265:16337-16342)。
【0196】5.9 治療上または予防上の有用性の説明 本発明の治療薬はヒトに用いる前に所望の治療または予防活性に関してin vit
roで、次ぎにin vivoで試験するのが好ましい。例えば、特定の治療薬の投与が
指示されるかどうかを決めるのに使用できるin vitroアッセイとしては、患者の
組織サンプルを培養系で増殖させて治療薬にさらすか、あるいは治療薬を投与し
、かかる治療薬の組織サンプルに対する作用を観測するin vitro細胞培養アッセ
イが挙げられる。例えばNogo機能の阻害剤である治療薬は神経突起の再生または
患者における運動制御の機能回復を測定することによってアッセイできる。
【0197】 種々の特定の実施形態では、in vitroアッセイは患者の疾患に関わる細胞型の
代表的細胞を用いて行い、治療薬がかかる細胞種に所望の作用を有するかどうか
を調べることができる。
【0198】 治療に用いられる化合物はヒトでの試験に先立ち、限定されるものではないが
ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギなどをはじめとする好適なモデ
ル動物系で試験することができる。ヒトへの投与に先立つin vivo試験について
は、当技術分野で公知のモデル動物系を使用すればよい。
【0199】5.10 治療/予防投与および組成物 本発明は被験者への有効量の本発明の治療薬の投与による治療(および予防)
の方法を提供する。好ましい態様では、治療薬が実質的に精製される。被験者は
動物、例えばウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、ネコ、イヌ等を含むが、これらに限
定されない、動物であることが好ましく、哺乳類であることが好ましく、ヒトで
あることが最も好ましい。特定の実施形態では、非ヒト哺乳類が被験者である。
【0200】 治療薬が核酸を含む場合に使用し得る製剤化及び投与の方法は先に記載されて
いる;付加的な適当な製剤化及び投与の経路は以下に記載されるものから選択し
得る。
【0201】 種々の送達系が知られており、本発明の治療薬を投与するのに使用し得る。例
えば、リポソーム中のカプセル化、微粒子、マイクロカプセル、治療薬を発現す
ることができる組換え細胞、受容体介在性エンドサイトーシス(例えば、Wu and
Wu, 1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432)、レトロウイルス又はその他のベ
クターの一部としての治療用核酸の構築等である。導入の方法として、皮内経路
、筋肉内経路、腹腔内経路、静脈内経路、皮下経路、鼻内経路、硬膜外経路、お
よび経口経路が挙げられるが、これらに限定されない。化合物はあらゆる便利な
経路により、例えば注入もしくはボーラス注射、上皮内層もしくは粘膜皮膚内層
(例えば、口腔粘膜、直腸粘膜および腸粘膜等)からの吸収により投与されても
よく、その他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与されてもよい。投与は全身的
又は局所的であってもよい。加えて、本発明の医薬組成物を脳室内注射および鞘
内注射を含む、あらゆる好適な経路により中枢神経系に導入することが望ましい
かもしれない。脳室内注射は、例えば、オマヤレザバー(Ommaya reservoir)の
如き溜めに取り付けられた脳室内カテーテルにより促進し得る。また、肺投与は
、例えば、吸入器又はネブライザー、およびエーロゾル化剤による製剤化の使用
により採用し得る。
【0202】 特定の実施形態では、本発明の医薬組成物を治療を要する領域に局所投与する
ことが望ましいかもしれない。これは、例えば、手術中の局所注入、例えば、手
術後の傷包帯と連携しての局所適用、注射、カテーテルによって、又は移植片に
よって達成されうるが、これらに限定されない。前記移植片はシアラスチック(s
ialastic)膜の如き膜、又は繊維を含む、多孔性、非多孔性、又はゼラチン質の
材料のものである。1つの実施形態では、投与は悪性腫瘍又は腫瘍性組織もしく
は腫瘍発生前組織の部位(又は形成部位)における直接の注射によるものであっ
てもよい。
【0203】 別の実施形態では、治療薬は小胞、特にリポソーム中にて送達し得る(Langer
, Science 249:1527-1533 (1990); Treatら, Liposomes in the Therapy of Inf
ectious Disease and Cancer, Lopez-BeresteinおよびFidler(編), Liss, New Y
ork, pp.353-365 (1989); Lopez-Berestein,上記文献, pp.317-327を参照のこと
;一般に上記文献を参照のこと)。
【0204】 更に別の実施形態では、治療薬は除放系にて送達し得る。1つの実施形態では
、ポンプを使用し得る(Langer,上記文献;Sefton, CRC Crit. Ref. Biorned. E
ng. 14:201 (1987); Buchwaldら, Surgery 88:507 (1980); Saudekら, N. Engl.
J. Med. 321:574 (1989)を参照のこと)。別の実施形態では、ポリマー材料が
使用し得る(Medical Applications of Controlled Release, LangerおよびWise
(編), CRC Pres., Boca Raton, Florida (1974); Controlled Drug Bioavailabi
lity, Drug Product Design and Performance, Smolen及びBall(編), Wiley, Ne
w York (1984); RangerおよびPeppas, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem
. 23:61 (1983)を参照のこと;またLevyら, Science 228:190 (1985); Duringら,
Ann. Neurol. 25:351 (1989); Howardら, J. Neurosurg. 71:105 (1989)を参照
のこと)。更に別の実施形態では、除放系は治療標的、すなわち、脳に接近して
置いてもよく、従って全身投薬量の一部しか必要でない(例えば、Goodson, Med
ical Applications of Controlled Release,上記文献, Vol. 2, pp. 115-138 (1
984)を参照のこと)。
【0205】 その他の除放系がLanger(Science 249:1527-1533 (1990))により総説中に説
明されている。
【0206】 治療薬がタンパク質治療薬をコードする核酸である特定の実施形態では、該核
酸を適当な核酸発現ベクターの一部として構築し、それが細胞内に入るようにそ
れを投与することにより(例えば、レトロウイルスベクターの使用により(米国
特許第4,980,286号を参照のこと)、もしくは直接注射により、又は微粒子ボン
バードメント(例えば、遺伝子銃;Biolistic, Dupont)の使用により、または
脂質もしくは細胞表面受容体又で被覆して、トランスフェクト剤により、又は核
に侵入することが知られているホメオボックス様ペプチドに該構築物を結合して
投与すること(例えば、Joliotら, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:1864
-1868)等により)、該核酸をin vivo投与し、それがコードするタンパク質の発
現を促進し得る。また、核酸治療薬は細胞内に導入され、相同組換えにより、発
現のための宿主細胞DNA内にとり込まれうる。
【0207】 また、本発明は医薬組成物を提供する。このような組成物は治療上有効量の治
療薬、および医薬上許容されるキャリヤーを含んでなる。特定の実施形態では、
「医薬上許容される」という用語は連邦政府もしくは州政府の規制当局により認
可され、又は動物、更に特別にはヒトにおける使用についての米国薬局方もしく
はその他の一般に認められている薬局方に挙げられていることを意味する。「キ
ャリヤー」という用語は希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクル(これら
とともに、治療薬が投与される)を表す。このような医薬キャリヤーは無菌液体
、例えば、水および石油、動物、植物又は合成源の油を含む、油(例えば、落花
生油、大豆油、鉱油、ゴマ油等)であってもよい。医薬組成物が静脈内投与され
る場合、水が好ましいキャリヤーである。生理食塩水ならびにデキストロース水
溶液およびグリセロール溶液はまた、液体キャリヤーとして、特に注射液用に使
用し得る。好適な医薬賦形剤として、デンプン、グルコース、ラクトース、スク
ロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナ
トリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキ
ムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が挙げら
れる。組成物はまた、所望により、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、又はpH緩衝剤
を含みうる。これらの組成物は、溶液剤、懸濁液剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセ
ル剤、粉末剤、除放製剤等の形態をとり得る。経口製剤は標準的キャリヤー例え
ば医薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム
、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウム等を含んでもよい。好
適な医薬キャリヤーがE. W. Martin著“Remington’s Pharmaceutical Sciences
”に記載されている。このような組成物は、患者への適当な投与のための形態を
与えるのに適した量のキャリヤーと一緒に、好ましくは精製形態の治療上有効量
の治療薬を含む。製剤化は投与の様式に適すべきである。
【0208】 好ましい実施形態では、組成物はヒトへの静脈内投与に適した医薬組成物とし
て通常の工程に従って製剤化される。典型的には、静脈内投与のための組成物は
無菌の等張水性バッファー中の溶液である。必要な場合、組成物はまた、可溶化
剤および注射部位における痛みを和らげるためのリグノカインなどの局所麻酔薬
を含んでもよい。一般に、成分は別々に供給されるか、又は、例えば、凍結乾燥
粉末もしくは活性薬剤の量を示すアンプルもしくはサッシェの如き密封された容
器中の水を含まない濃縮液として、単位用量形態でに一緒に混合される。組成物
が注入により投与される場合、それは無菌医薬等級の水又は食塩水を含む注入び
んで調剤し得る。組成物が注射により投与される場合、注射用の無菌水又は食塩
水のアンプルを用意し、成分を投与の前に混合し得る。
【0209】 本発明の治療薬は中性形態又は塩形態として製剤化し得る。医薬上許容される
塩として、遊離アミノ基と形成される塩、例えば塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸
、酒石酸等から誘導された塩、および遊離カルボキシル基と形成される塩、例え
ばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロ
ピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロ
カイン等から誘導された塩が挙げられる。
【0210】 特定の障害又は症状の治療に有効である本発明の治療薬の量は、障害又は症状
の性質に依存し、通常の臨床技術により決定できる。加えて、場合により最適用
量範囲の同定を助けるのに、in vitroアッセイを使用してもよい。製剤化に使用
される正確な用量はまた、投与の経路、および疾患又は障害の重度に依存し、医
師の判断およびそれぞれの患者の状況に応じて決められるべきである。しかしな
がら、静脈内投与に適した用量範囲は一般に体重1kg当り約20-500μgの活性化合
物である。鼻内投与に適した用量範囲は一般に体重1kg当り約0.01pg〜1mgである
。有効用量はin vitro試験系又は動物モデル試験系から誘導された用量−応答曲
線から外挿し得る。
【0211】 本発明はまた、本発明の医薬組成物の1種以上の成分を入れた1つ以上の容器
を含んでなる医薬パック又はキットを提供する。医薬品又は生物学的製品の製造
、使用又は販売を規制する政府当局により規定された形態の注意がこのような1
つ以上の容器と必要により関連していてもよく、その注意はヒト投与についての
製造、使用又は販売の当局による認可を反映する。
【0212】5.11 診断およびスクリーニング Nogoタンパク質、それらの類似体、誘導体、および部分配列、Nogo核酸(およ
びそれらに相補的な配列)、抗Nogo抗体は診断に用途を有する。このような分子
はNogo発現に影響する種々の症状、疾患、および障害を検出し、予知し、診断し
、もしくは監視し、又はその治療を監視するためにイムノアッセイなどのアッセ
イに使用し得る。特に、このようなイムノアッセイは患者に由来するサンプルを
免疫特異的結合が生じうるような条件下で抗Nogo抗体と接触させ、該抗体による
免疫特異的結合の量を検出又は測定することを含んでなる方法により行なわれる
。特定の態様では、組織切片中の、抗体のこのような結合は異常なNogo局在化又
はNogoの異常な(例えば、低い、又は不在の)レベルを検出するのに使用し得る
。特定の実施形態では、Nogoの抗体はNogoの異常なレベルが症状の指示である場
合に、Nogoの存在について患者の組織又は血清サンプル中でアッセイするのに使
用し得る。「異常なレベル」、はその障害を有しない生体の一部又は被験者から
の類似のサンプル中に、存在するレベル、又は存在するレベルに相当する通常の
レベルと比較して増大した、又は減少したレベルを意味する。
【0213】 使用し得るイムノアッセイとして、例をいくつか挙げると、免疫組織化学、病
理学、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着
検定)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル
拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体固定アッセイ、イムノラ
ジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイ、免疫組織化学アッセイ、プロテ
インAイムノアッセイの如き技術を使用する競合アッセイ系および非競合アッセ
イ系が挙げられるが、これらに限定されない。
【0214】 Nogo遺伝子ならびに相補配列を含む、関連核酸配列および部分配列はまたハイ
ブリダイゼーションアッセイに使用し得る。Nogo核酸配列、又は少なくとも約8
ヌクレオチドを含むそれらの部分配列はハイブリダイゼーションプローブとして
使用し得る。ハイブリダイゼーションアッセイは前掲のNogoの発現および/又は
活性の異常な変化と関連する症状、障害、又は疾患を検出し、予知し、診断し、
又は監視するのに使用し得る。特に、このようなハイブリダイゼーションアッセ
イは、核酸を含むサンプルをハイブリダイゼーションが生じるような条件下でNo
go DNA又はRNAにハイブリダイズすることができる核酸プローブと接触させ、得
られるいずれのハイブリダイゼーションをも検出又は測定することを含んでなる
方法により行なわれる。
【0215】 特定の実施形態では、細胞の成長障害および発育障害にかかわる疾患および障
害が診断でき、又はそれらの推定の存在がスクリーニングでき、又はこのような
障害を発生する素因は、Nogoタンパク質、Nogo RNAまたはNogo機能活性の減少さ
れたレベルを実証された成長抑制として検出することにより、又はNogoの減少し
た発現もしくは活性を生じるNogo RNA、DNAもしくはタンパク質における突然変
異(例えば、Nogo核酸中の転座、Nogo遺伝子もしくはタンパク質中のトランケー
ション、野生型Nogoに対するヌクレオチドもしくはアミノ酸配列の変化)を検出
することにより検出し得る。このような疾患および障害として、第3節および第
5.8.1.1節に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。例として
、Nogoタンパク質のレベルがイムノアッセイにより検出でき、Nogo RNAのレベル
がハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンブロット、ドットブロッ
ト)により検出でき、細胞成長インヒビタータンパク質受容体へのNogo結合が当
業界で一般に知られている結合アッセイにより行なわれ、Nogo核酸中の転座およ
び点突然変異がサザンブロッティング、RFLP分析、好ましくは少なくともNogo遺
伝子の殆どにわたる断片を生じるプライマーを使用するPCR、患者から得られたN
ogoゲノムDNAもしくはcDNAの配列決定等により検出し得る。
【0216】 1つ以上の容器中に抗Nogo抗体、および、場合により、抗体に対する標識され
た結合パートナーを含んでなる診断用キットがまた提供される。また、抗Nogo抗
体が標識し得る(検出可能なマーカー、例えば、ケミルミネセント部分、酵素部
分、蛍光部分、又は放射能部分を用いて)。また、1つ以上の容器中にNogo RNA
にハイブリダイズすることができる核酸プローブを含んでなるキットが提供され
る。特定の実施形態では、キットが1つ以上の容器中に、適当な反応条件下でNo
go核酸の少なくとも一部の増幅〔例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(例えば、Inni
sら, 1990, PCR Protocols, Academic Press, Inc., San Diego, CAを参照のこ
と)、リガーゼ連鎖反応(EP 320,308を参照のこと)、Qβレプリカーゼの使用
、環状プローブ反応、又は当業界で知られているその他の方法による〕を開始す
ることができる一対のプライマー(例えば、それぞれ6-30ヌクレオチドのサイズ
範囲)を含み得る。キットは場合により容器中に、例えば標準物質又は対照とし
て使用するための所定量の精製Nogoタンパク質又は核酸を更に含んでもよい。
【0217】5.12 Nogoアゴニストおよびアンタゴニストについてのスクリーニング Nogo核酸、タンパク質、および誘導体はまたNogo核酸、タンパク質、又は誘導
体に特異的に結合する分子を検出するためのスクリーニングアッセイに用途を有
し、従ってNogoのアゴニスト又はアンタゴニスト、特に、そうして細胞成長調節
に影響する分子としての潜在的な用途を有する。好ましい実施形態では、このよ
うなアッセイは薬物開発のために神経成長促進剤としての潜在的な用途を有する
分子についてスクリーニングするために行なわれる。こうして、本発明はNogo核
酸、タンパク質、又は誘導体に特異的に結合する分子を検出するためのアッセイ
を提供する。例えば、Nogo核酸を発現する組換え細胞を使用し、これらのアッセ
イにおいてNogoタンパク質を組換え産生し、Nogoタンパク質に結合する分子をス
クリーニングし得る。分子(例えば、Nogoの推定の結合パートナー)を、結合を
誘導する条件下でNogoタンパク質(又はその断片)と接触させ、次にNogoタンパ
ク質に特異的に結合する分子が同定される。同様の方法がNogo誘導体又は核酸に
結合する分子をスクリーニングするのに使用し得る。以上を行なうのに使用し得
る方法が当業界で一般的に知られている。
【0218】 例として、多様性ライブラリー、例えばランダム又はコンビナトリアルペプチ
ド又は非ペプチドライブラリーをNogoに特異的に結合する分子についてスクリー
ニングし得る。使用し得る多くのライブラリー、例えば、化学合成されたライブ
ラリー、組換え体(例えば、ファージディスプレイライブラリー)、およびin v
itro翻訳に基づくライブラリーが当業界で知られている。
【0219】 化学合成されたライブラリーの例がFodorら, 1991, Science 251:767-773; Ho
ughtenら, 1991, Nature 354:84-86; Lamら, 1991, Nature 354:82-84; Medynsk
i, 1994, Bio/Technology 12:709-710; Gallopら, 1994, J. Medicinal Chemist
ry 37(9):1233-1251; Ohlmeyerら, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:1092
2-10926; Erbら, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422-11426; Houghte
nら, 1992, Biotechniques 13:412; Jayawickremeら, 1994, Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 91:1614-1618; Salmonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:11708-11
712; PCT公開WO 93/20242;ならびにBrennerおよびLerner, 1992, Proc. Natl. A
cad. Sci. USA 89:5381-5383に記載されている。
【0220】 ファージディスプレイライブラリーの例がScottおよびSmith, 1990, Science
249:386-390; Devlinら, 1990, Science, 249:404-406; Christian, R.B.ら, 19
92, J. Mol. Biol. 227:711-718; Lenstra, 1992, J. Immunol. Meth. 152:149-
157; Kayら, 1993, Gene 128:59-65;および1994年8月18日付けのPCT公開WO94/1
8318に記載されている。
【0221】 in vitro翻訳に基づくライブラリーとして、1991年4月18日付けのPCT公開WO
91/05058;およびMattheakisら, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:9022-90
26に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0222】 非ペプチドライブラリーの例として、ベンゾジアゼピンライブラリー(例えば
、Buninら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:4708-4712を参照のこと)が使用に
適用し得る。ペプトイドライブラリー(Simonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA
89:9367-9371)がまた使用し得る。ペプチド中のアミド官能基が過メチル化され
て化学変換されたコンビナトリアルライブラリーを生成する、使用可能なライブ
ラリーの別の例がOstreshら(1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11138-111
42)により記載されている。
【0223】 ライブラリーのスクリーニングは種々の普通に知られている方法のいずれかに
より行ない得る。例えば、ペプチドライブラリーのスクリーニングを開示する、
下記の文献:ParmleyおよびSmith, 1989, Adv. Exp. Med. Biol. 251:215-218;
ScottおよびSmith, 1990, Science 249:386-390; Fowlkesら, 1992, Bio Techni
ques 13:422-427; Oldenburgら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:5393-5
397; Yuら, 1994, Cell 76:933-945; Staudtら, 1988, Science 241:577-580; B
ockら, 1992, Nature 355:564-566; Tuerkら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA 89:6988-6992; Ellingtonら, 1992, Nature 355:850-852;米国特許第5,096,8
15号、同第5,223,409号、および同第5,198,346号(全てLadnerらの特許);Peba
rおよびPabo, 1993, Science 263:671-673;ならびにPCT公開WO 94/18318を参照
のこと。
【0224】 特定の実施形態では、スクリーニングがライブラリーメンバーを固相に固定さ
れたNogoタンパク質(又は核酸もしくは誘導体)と接触させ、タンパク質(又は
核酸もしくは誘導体)に結合したこれらのライブラリーメンバーを回収すること
により行ない得る。「パニング」技術と称される、このようなスクリーニング方
法の例が、例えばParmleyおよびSmith, 1988, Gene 73:305-318; Fowlkesら, 19
92, Bio Techniques 13:422-427; PCT公開WO 94/18318;ならびに先に引用された
文献に記載されている。
【0225】 別の実施形態では、酵母中の相互作用タンパク質を選択するための2ハイブリ
ッド系(FieldsおよびSong, 1989, Nature 340:245-246; Chienら, Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 88:9578-9582)がNogoタンパク質又は誘導体に特異的に結合す
る分子を同定するのに使用し得る。
【0226】5.13 動物モデル 本発明はまた、マウス、ハムスター、ヒツジ、ブタ、ウシ、および好ましくは
非ヒト哺乳動物のモデルを含むが、これらに限定されない動物モデルを提供する
【0227】 1つの実施形態では、神経突起の伸長、成長および再生を伴う疾患および障害
に関する動物モデルが提供される。このような動物は、その染色体中のNogo遺伝
子と生物学的に不活性にされた外因性Nogo遺伝子との間の相同組換えを促進する
ことにより(好ましくは異種配列、例えば、抗生物質耐性遺伝子の挿入により)
最初に生産し得る。好ましい態様では、この相同組換えが胚性幹(ES)細胞を挿入
により不活性化されたNogo遺伝子を含むベクターを用いて形質転換し、その結果
相同組換えを生じさせ、続いてES細胞を芽細胞に注射し、そして芽細胞を養母に
移植し、続いてNogo遺伝子が不活性化されたキメラ動物(「ノックアウト動物」
)をさせる(Capecchi, 1989, Science 244:1288-1292を参照のこと)。キメラ
動物は、さらなるノックアウト動物を生産するために繁殖させ得る。このような
動物は、マウス、ハムスター、ヒツジ、ブタ、ウシ等であってよく、非ヒト哺乳
動物であることが好ましい。特定の実施形態では、ノックアウトマウスが生産さ
れる。
【0228】 このようなノックアウト動物は、中枢神経系を伴う疾患又は障害を発症するか
、又は発症する素因を有すると予想され、そのため、例えば、神経組織の腫瘍を
抑制し、それゆえ、このような疾患又は障害を治療又は予防する能力についてス
クリーニングするか、又はその能力について試験分子(例えば、潜在的な神経系
障害の治療薬)をスクリーニングするための、このような疾患および障害の動物
モデルとしての用途を有し得る。
【0229】 本発明は寄託された微生物又は本明細書に記載された特定の実施形態により範
囲を限定されるべきではない。実際に、当業者には、本明細書に記載されたもの
に加えて本発明の種々の変更が本明細書の記載および添付図面から明らかであろ
う。このような変更は、特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図されている。
【0230】 種々の参照文献が本明細書に引用されているが、これらの開示はその全文が参
照により本明細書に組み入れられる。
【0231】6. 実施例:Nogo遺伝子のヌクレオチドおよびタンパク質産物の特性決定 本明細書に記載された実施例は、クローン化された遺伝子Nogoが強力な神経細
胞増殖インヒビターでありかつまたSchwabらの米国特許第5,684,133号に記載さ
れたモノクローナル抗体により認識されるタンパク質をコードすることを示して
いる。
【0232】6.1 材料および方法 以下の分節は本発明で用いられる材料および方法について記載する。当業者は
、これらの材料および方法がここに特許請求されている本発明をただ例示するの
みであって、本発明者らによる改変が想定されることを認識しよう。かかる改変
は添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。
【0233】6.1.1 ミエリンからのウシNogoの精製 すべての精製工程は4℃で実施し、得られた画分の抑制性基質活性はNIH 3T3
伸展およびPC12神経突起成長アッセイ(6.1.10節)によりルーチンに測定した。
ウシ脊髄組織は髄膜を除去することにより注意深く清浄化し、小片に切断した。
次にミエリンを抽出バッファー(60 mM CHAPS, 100 mM トリス-HCl, pH 8.0, 10
mM EDTAバッファー, pH 8.0, 2.5 mMヨードアセトアミド, 1 mMフッ化フェニル
メチルスルホニル, 0.1 μg/mlアプロチニン,1 μg/mlロイペプチン, 1 μg/ml
ペプトスタチンA )中に抽出した。
【0234】 脊髄抽出物を得るには、組織を直接CHAPS抽出バッファー中1:1, w:vの比率で
ホモジナイズした。このホモジネートを100,000×g(Kontron 型、K50.13, 固定
角)で2回、4℃で1時間遠心した。透明な上清(抽出物)を直ちにバッファーA
(20 mMトリス-HCl, pH 8.0, 0.5%(w/v)CHAPS)で平衡化したQ セファロースカ
ラム(2.6 ×11.5 cm)にアプライした。結合したタンパク質をバッファーA 中の
0〜1M NaClの直線勾配(50分間で勾配100 ml)の5倍ベッドボリュームを用い
て溶出した。0.4 M NaCl付近で溶離したウシNI220を含有する活性画分をプール
し(q-プール1)、次にバッファーB (150 mM NaCl, 20 mM トリス-Cl, pH 8.0,
0.5%(w/v)CHAPS )で平衡化したスーパーデックス200(2.6×60 cm)カラムにア
プライした。
【0235】 ゲル濾過(s-プール1)後の活性画分は、還元条件下および一定の低電力(2
ワット/ ゲル)で合計2500ボルト時で6% SDS-PAGEにより分離した。クーマシー
ブルー染色(50% メタノールおよび10% 酢酸中の0.1% w/v R250)後にバンドおよ
びゲル領域を同定し、切り出し、ゲル溶出バッファー(0.5%(w/v)CHAPS, 20 mM
トリス-Cl, pH 8.0, 10 mM EDTA, pH 8.0, 2.5 mM ヨードアセトアミド, 1 mMフ
ッ化フェニルメチルスルホニル, 0.1 μg/mlアプロチニン,1 μg/mlロイペプチ
ン, 1 μg/mlペプトスタチンA)800 μl中に少なくとも48時間4℃で抽出した。
【0236】6.1.2 精製Nogoの微量配列決定 いくつかのゲルの、IN-1中和可能な活性ゲル-溶出物質を還元条件下に10% SDS
-ポリアクリルアミドゲル上で再泳動し、そして50% メタノールおよび10% 酢酸
中の0.1% (w/v)クーマシーブルー R250で染色した。220 KDaバンドを切り出し、
直接にゲル中でエンドプロテイナーゼLys-C 消化(モル比1:50)を行った。サン
プルを酸性化して逆相高速液体クロマトグラフィーカラムにかけ、ペプチドを0.
04% トリフルオロ酢酸および80%アセトニトリルの直線勾配(0-100%)を用いて分
離し、単一のペプチド種を含有する画分を自動エドマン分解にかけた。
【0237】6.1.3 精製Nogoの電気泳動 6%(w/v) SDS-ポリアクリルアミドゲル(10×24×0.01cm)を用い還元条件下(10
0 mMジチオトレイトール)に高分解能SDS-PAGEを行った。セミドライトランスフ
ァー装置(Bio-Rad, Trans Blot SD)を用い、20 mM トリス塩基, 192 mMグリシ
ン, pH 8.3, 0.037%(w/v)SDS, 20% メタノール中で、Immobilon-P メンブラン(M
illipore)への移行を行った。移行時間は0.8 mA/cm2で2時間であった。ブロッ
キング剤(室温で1時間)はPBS(リン酸緩衝食塩水、pH 7.2, 8g NaCl, 0.2g K
H2PO4, 2.8g Na2HPO4 12H2O,および0.2g KClを水1リットル中に溶解)中の3%ゼ
ラチンであり、洗浄溶液は20 mM トリス-HCl, pH 7.5, 150 mM NaCl,および0.4%
Tweenを含有した(室温で3×10分間)。(PBS中の1%ゼラチンで希釈するため
の)第1の抗体に対するインキュベーション時間は通常4℃で一夜であった。西
洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗マウスIgG 2次抗体(1:2000)は室温で1時間イ
ンキュベートした。検出にはECL 化学ルミネセンスシステム(Amersham Pharmac
ia Biotech) を用いた。
【0238】6.1.4 cDNAライブラリープロービング ウシ脊髄から白質を新たに切開し、そしてFastTrackキット(Invitrogen)を用
いてポリ(A)+ RNAを抽出した。cDNAライブラリーの構築は製造者の指示に従いU
ni-ZAPキット(Stratagene)を使用して行なった。ライブラリーの複雑度は全体で
4×106 プラーク形成単位より大きく、インサートの平均サイズは約1.8 キロベ
ースであった。
【0239】 bNI220ペプチド1配列から縮重オリゴヌクレオチドMSC5-8(MSC5: TCIGTIGGYAAIACIGCIGGYAARTC(配列番号47); MSC6: TCIGTIGGIAGIACIGCIGGYAAYTC(配列番号48); MSC7: TCIGTIGGYAAIACIGCIGGIAGRTC(配列番号49); MSC8: TCIGTIGGIAGIACIGCIGGIAGRTC(配列番号50))を設計し、MSC9 (GARATHGCIGAIATHCA
RGAYGGIGA(配列番号51)をbNI220ペプチド2配列から設計した。オリゴヌクレ
オチドはMWG Biotech (Munchenstein, Switzerland)により合成し、DIG DNA 3'
末端標識キットを用いて標識した。リボプローブはDIG RNA 標識キット(Boehri
nger Mannheim)を用いて合成した。
【0240】 プローブハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は製造者(MSC5-8およびMSC9
は57℃のハイブリダイゼーションおよび洗浄温度で使用した)により記載された
とおりであった。プローブ検出はCDP-スターシステム(Boehringer Mannheim)を
用いて行なった。cDNA ライブラリーの取扱いおよびスクリーニングはラムダZAP
cDNAライブラリー(Stratagene)のプロトコルに従って行なった。Genescreen(Du
Pont)ナイロンメンブランをプラークリフトに使用した。
【0241】6.1.5 DNA配列決定 CWP1-3, Oli18, Oli3,およびR1-3U21の両鎖をMicrosynth (Balgach, Switzerl
and) によるPerkin Elmer AB1377システムを用いて配列決定した。DNA 配列はDN
ASISプログラム(Hitachi)により分析した。データベース検索はBLASTプログラム
(NCBI)を用いて実施した。
【0242】6.1.6 RNA分析 総RNAおよびポリ(A)+ RNAはRNAgent (Promega) またはFastTrackキット(Invi
trogen)をそれぞれ用いて組織から抽出した。RNAは1%ホルムアルデヒドゲル上の
電気泳動により分離し、Genescreenメンブランに移した。ブロットを、適切なプ
ラスミドからDIG RNA標識キット(Boehringer Mannheim)を用いて生成させたアン
チセンスリボプローブとハイブリダイズさせた。ブロットハイブリダイゼーショ
ン、洗浄、およびCDP スター検出条件は製造者により記載されたとおりであった
。「共通」のプローブEST111410 (TIGR, ATCC, Rockville, MD, USA)はヌクレオ
チド2535-4678の間の転写物A 配列を含有し、エキソン1特異的プローブはヌク
レオチド65-769の間の転写物A 配列を含有し、そしてエキソン2特異的なプロー
ブはヌクレオチド815-3183の間の転写物A 配列を含有する。
【0243】6.1.7 抗血清の生産 抗血清472 (AS 472)は合成ペプチドP472, SYDSIKLEPENPPPYEEA(ウシ配列、配
列番号33)に対してResearch Genetics, Inc. (Huntsville AL, USA)により生成
され、このペプチドは配列番号2のラットNogoアミノ酸配列623-640に相当し、
ミスマッチ3個が存在する。
【0244】 抗血清Bruna (AS Bruna)は、融合タンパク質として大腸菌中に発現された組換
えNogoタンパク質のフラグメントに対して生成された。詳細には、配列番号2の
アミノ酸762-1163をコードするラットNogo Aヌクレオチド配列(Novagen pET系
を用いて大腸菌中に発現された)のカルボキシ末端を用いてAS Bruna抗Nogo抗血
清を生成させた。
【0245】6.1.8 電気泳動およびウエスタンブロッティング SDS-PAGEおよびウエスタンブロッティングは当業者に良く知られた標準的方法
を用いて実施した。抗体を以下のように希釈した。すなわち、AS Bruna 1:7,500
; AS 472 1:2,000; 抗myc (9E10) 1:5,000 (Invitrogen); 抗BiP 2μg/ml (Stre
ssgen); mAb IN-1ハイブリドーマ上清は未希釈のまま使用した。2次抗体は、HR
P結合抗ウサギ(Pierce; 1:20,000); 抗マウスIgM (1:50,000); およびアルカリ
ホスファターゼ結合抗マウス(Milan Analytica AG, La Roche, Switzerland; 1:
5,000)であった。
【0246】6.1.9 免疫組織化学 成体ラットの脊髄または小脳を素早く切開し、OTC 化合物中に包埋し、-40 ℃
で凍結させた。20個の死後切片を切り出し、40℃でエタノール/酢酸中で固定し
た。急冷工程を除外する以外はRubinら、1994、J. Neurocytol. 23:209-217 に
記載されたようにして免疫染色を行った。あるいは、組織切片をメタノールで固
定し(-20 ℃で2分間)、そして免疫染色を上記Rubin らに記載されるようにし
て実施した。使用した1次抗体(抗体:(希釈度))は、IN-1のハイブリドーマ上
清:(未希釈); AS Bruna:(1:5,000);またはアフィニティ精製AS 472: (1:50)
であった。
【0247】6.1.10 NIH 3T3繊維芽細胞伸展アッセイ 5 μg/ウエル(=1cm2)のq-プールで予め被覆した培養皿にNIH 3T3繊維芽細
胞をプレートした。q-プールとはQ セファロースカラム上に分離されたウシ脊髄
抽出物のプールされた活性画分である。IN-1は未希釈の培養上清として使用し(
1-10μg/ml)、AS Brunaおよび免疫前血清はPBS中1:1000に希釈し、そしてAS 47
2および免疫前血清はPBS中1:500に希釈した。異なるq-プール調製物における活
性変動を補うために、q-プール上にプレートした、阻害された丸細胞の数を100%
にノーマライズし、そしてバッファー対照上にプレートしたそれを0%とした(Sp
illmanら、1998, J. Biol. Chem. 273:19283-93)。
【0248】6.1.11 DRG神経突起成長アッセイ ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)中のE16 胚性ニワトリから後根神経節(DRG)を切
開し、2部分に分け、10% (FCS)および1%メタノールを含有するF12培地100 μl
中のq-プールで予め被覆した皿にプレートした。個々のDRGからの神経突起成長
を37℃で24時間インキュベート後に0(成長なし)から4(最大成長)までの尺度で
半定量的方法で評価した。
【0249】6.1.12 DRG/視神経同時培養アッセイ 視神経を成体ラットから切り出し、5500グレイを照射し、AS 472または相当す
る免疫前血清(1:10 希釈)のいずれかを注射した。神経の対は、各神経の一端が
シリコングリース/テフロン(登録商標)リングバリアを介して中央チャンバー
(ここにはPOラットからの解離した培養一次DRGニューロンが配置してある)中
に到達するように3チャンバー培養で培養した。培養2週間後、神経を当分野で
知られた標準的技術により固定し、電子顕微鏡(EM)用に包埋し、そしてDRG露出
基部から約3.5 mmの距離で超薄切片を取った。切片をZeiss EM 902を用いて再成
長中の軸索の存在に関して系統的に分析した。
【0250】6.1.13 COS細胞におけるNogo A発現 Nogo Aオープンリーディングフレームを当分野で知られた標準的なクローニン
グ技術を使用してpcDNA3.1mychisベクター(Invitrogen)中にサブクローニング
した。生成したプラスミド(Nogo-myc19)は、myc-his タグ(21アミノ酸)に融合
したNogo A配列を含有する組換えタンパク質をもたらした。Nogo-myc19 (35mmの
皿当たりDNA 2μg)または対照プラスミド(pcDNAmychisLacZ)を、製造者のプロト
コルに従いスーパーフェクト(superfect)(Qiagen)を用いてCOS 細胞中にトラン
スフェクトした。トランスフェクトした細胞をトランスフェクション36〜48時間
後に収穫した。抗myc抗体および酵素によるβガラクトシダーゼ発色反応を用い
る免疫蛍光染色に基づき、平均トランスフェクション率は約20%であると推定さ
れた。トランスフェクトされたCOS 細胞を95% エタノール/5% 酢酸を用いて固定
し(4℃、25分間)、PBS/10% FCS中でブロックし、そしてAS Bruna (1:200)ま
たはIN-1 (1:2)と室温でPBS/1% FCS中2時間インキュベートした。細胞をPBSで
洗い、蛍光2次抗体(AS Brunaに関してはヤギ抗ウサギFITC、IN-1検出に関して
はヤギ抗マウスTRITC, Jackson Immuno Research Lab. Inc., West Grove, PA)
と反応させた。
【0251】6.1.14 稀突起神経膠細胞培養 ラット新生児の脳から単離された稀突起神経膠細胞を75cmポリリジンフラス
コ(Sigma, St.Louis, MO) にプレートし、5% FCSを補添したDMEM中10-12 日間培
養した。富化され、混合された集団の稀突起神経膠細胞およびそれらの前駆細胞
を軌道シェーカー中210 rpm で1中夜振盪することにより星状細胞単層から放出
した。細胞をポリリジン被覆35cm皿上に1-2 × 10細胞の密度でプレートし
た。前駆細胞を化学的に規定された培地(CDM) 中3-4 日間分化せしめた。
【0252】6.1.15 細胞表面ビオチン化 P4ラット全脳培養物をvan der Haarら、(1998, J. Neurosci. Res. 51:371-81
) に記載されるようにして調製した。in vitroで7日目にそれらを、全ての工程
を15℃で実施し、細胞を溶解バッファー(0.05M NaHPO pH 8.0, 0.15 M NaC
l, 0.5% CHAPS (Sigma), 2.5 mM ヨードアセトアミド, 1 mMフェニルメチルスル
ホニルフルオライド, 0.1 μg/mlアプロチニン,1 μg/mlロイペプチン, 1 μg/
mlペプスタチンA )1 ml中に溶解させる以外は記載されるように、細胞非透過性
EZ-LINK スルホNHS-LC-Biotin (Pierce)を用いてビオチン化した。ビオチン化タ
ンパク質をDynabeads M-280 Streptavidin (Dynal)を用いて免疫沈降し、SDS-PA
GEにかけ、そしてニトロセルロースメンブランに転写し、これらをAS472,α-BiP
およびα- β- チューブリンを用いてプローブした。メンブランをRe-Blot West
ern Blot Recyclingキット(Chemicon)を用いてはがした。
【0253】6.1.16 免疫細胞化学 視神経稀突起神経膠細胞をSchwabおよびCaroni (1988, J. Neurosci. 8:2381-
2393) に記載されるようにして調製した。2日令培養物をAS 472 (1:200)または
mAb IN-1 (1:3)と、培地中室温(rt)で25分間インキュベートした。培養物を洗浄
し、PBS 中の4%パラホルムアルデヒド/5% スクロースを用いて固定し、そして0.
1 M マレイン酸/2% ブロッキング剤(Boehringer Mannheim) 中で1時間ブロック
した。2次アルカリホスファターゼコンジュゲート抗体(Milan Analytica) を0.
1M マレイン酸/1% ブロッキング剤(1時間、rt)中の1:7,500 で使用した。ト
ランスフェクションされたCOS 細胞を95% エタノール/5% 酢酸を用いて固定し(
4℃、25分間)、ブロックし、そしてAS Bruna (1:200)またはmAb IN-1と室温で
2時間インキュベートした。細胞をヤギ抗ウサギFITC、およびヤギ抗マウスTRIT
C(Jackson Immuno Research Lab) と反応させた。
【0254】6.1.17 視神経室 視神経の対をSchwabら (1988, J. Neurosci. 8:2381-2393) に記載されるよう
に3室培養系で培養し、AS 472または相当する免疫前血清(1:10)を注射およびそ
れにさらした。視神経を電子顕微鏡(EM)用に封埋し、DRG 露出断端から約3.5 mm
の距離で超薄切片をとった。切片をZeiss EM 902顕微鏡を用い再生中の軸索の存
在に関して組織的に分析した。
【0255】6.2 実験結果 以下の分節は6.1 節に示される方法分節およびサブ分節から得られた実験結果
を開示する。
【0256】6.2.1. Nogo cDNA の単離 ラットNI-250のウシ相同体を精製し、bNI220および精製タンパク質のペプチド
をプロテアーゼ消化により生成した。複数のジゴキシゲニン標識した縮重オリゴ
ヌクレオチドを6種の異なるbNI220ペプチド配列に従って設計した。これらオリ
ゴヌクレオチドを使用してウシ白質ライブラリーのスクリーニングから幾つかの
cDNAクローンを単離した。最長クローンのインサート(CWP1-3,図1a) を用いてラ
ットcDNAライブラリーの後続のスクリーニング用のプローブを合成した。かかる
スクリーニングから選択されたクローンを図1aに示す。これらcDNAクローンのDN
A 配列分析では、3種の異なる転写物が1つの遺伝子に由来することが示され、
この遺伝子をNogoと表示した。異なる転写物は、選択的プロモーターの使用およ
び選択的スプライシングの両方から生成するようである(Nogo A, Nogo Bおよび
NogoC,図1b)。図1Aに示されるクローンからDNA 配列を編集して転写物 Aを生
成し、そのDNA 配列を図2aに示す。
【0257】 3種の転写物を概念的に翻訳すると、Nogo A (1163アミノ酸), Nogo B (360ア
ミノ酸) およびNogo C (199 アミノ酸) で示されるタンパク質産物を産生する。
Nogo Aは精製bNI220から得られる全6種のペプチド配列を含有するので(図2b)
、精製タンパク質ラットNI250 と恐らく同等である。Nogo A, B および Cは共通
のカルボキシ末端188 アミノ酸(共通ドメイン)を有し、そしてNogo AおよびB
はアミノ末端172 アミノ酸を共有する。Nogo Aは選択的スプライシングゆえにNo
go Bより803 アミノ酸長い。
【0258】 Nogoイソ型のいずれも、慣用のシグナルペプチドとして使用できるN 末端での
アミノ酸の疎水性の伸長を有しない。しかしながら、慣用のシグナルペプチドに
欠けるがなお膜を通って移行するタンパク質、例えば繊維芽細胞増殖因子(Flor
kiewicz ら、1995, J. Cell. Physiology 162:388-399 )、毛様神経栄養因子(
Sendtnerら、1994, J. Neurobiology 25:1436-1353)およびインターロイキン-1
(Rubartelliら、1990, EMBO J.9:1503-1510)が記載されている。無横連合(Te
arら、1996, Neuron 16:501-51)のような膜タンパク質もまた慣用のシグナルペ
プチドを欠くが、しかしながら膜中に挿入される。
【0259】 開始コドンを明確に限定するであろう読み枠内終止コドンは推定の5'未翻訳領
域には何ら存在しないが、以下の証拠では図2aに示すメチオニンがNogo Aおよび
Nogo Bの開始コドンであることが示唆される。すなわち(1) この想定された開始
コドンの周りの配列が翻訳開始部位のコンセンサス配列(GCCGCC A/G CCATGG; 配
列番号39)と良く適合する;(2)ライブラリースクリーニングおよび5'-RACE両方
によるさらなる上流の配列を探索する広範な努力が払われた。これら探索のいず
れもさらなる上流の配列の同定には至らなかった;および(3) 前記メチオニンか
ら発現する真核生物性組換えNogo AはSDS-PAGEにより判断して見かけの分子量約
200 kDを有し、これはラット稀突起神経膠細胞からの内因性Nogo Aとは区別がつ
かない(図11a )。
【0260】6.2.2. Nogo配列決定分析 Nogo Aは7個の有力なN-グリコシル化部位を有するが、しかしながら生化学的
証拠ではNogo Aが主要多糖類成分を有しないことが示される。またNogo AはPKC
の認識部位を19個およびカゼインキナーゼIIの認識部位を7個有する(図2a)。
3種のNogo全ては2種の共通の、それぞれ35および36アミノ酸からなるカルボキ
シ末端疎水性ドメインを有する。それらドメインの一方または両方は膜貫通性ま
たは膜内ドメインとして使用でき、これは内在性膜タンパク質としてのbNI220の
特性と一致する。Nogo A(Nogo Bおよび Cも)は何ら公知の細胞接着分子、細胞
外マトリックスタンパク質、もしくは他のガイダンス分子のモチーフを含有しな
い。
【0261】 Nogo配列は相同の遺伝子について異なるデータベースを探索するのに使用され
、3種のNogo産物のカルボキシ末端共通ドメインは同定されたヒトの遺伝子 nsp
(ラットでcll3およびs-rex,そしてニワトリでchs-rex)(図3)と類似している
(62.5%)。C. elegansからの ESTおよびDrosophila melanogaster EST もまた、
Nogoおよび nspの両方に対してこの同じ領域で有意な類似性(それぞれ、16.6%
および13.6%)を有する。Nogoおよび nspの両方の180 アミノ酸カルボキシ末端ド
メインは哺乳動物種にわたり高度に保存されており(それぞれ、98.3% および97
.3%)、このことはそれらが同様の機能および必須的機能を果たすことを示唆して
いる。この領域の外側で、種内の所定のタンパク質に関する類似性も高い(ラッ
トとウシのNogo A間で73%; NSP-AとS-rexbとの間で76.2%; Chs-rexb とNSP-A も
しくはS-rexbとの間で50%)。しかしながら、NSP類とNogo類との間の類似性はそ
れらのカルボキシ末端疎水性共通ドメイン(図3a)、およびこの保存された領域
の外側のタンパク質の酸性性質に限定される。NSP 類(NSP-A, -B および-C)は
未知の機能を有する神経内分泌特異的な産物として以前に記載されている。in s
ituハイブリダイゼーションおよび免疫組織学では神経系におけるNSP 類のニュ
ーロン局在が示された。さらにNsp およびNogoの両方に対して50% の類似性を有
するカルボキシ末端疎水性領域を有するもうひとつのヒト遺伝子nsp-like-1が最
近同定された。
【0262】6.2.3. NOGO組織発現 Nogoの発現パターンがノーザンブロッティングおよびin situ ハイブリダイゼ
ーションにより検査された。「共通」プローブ(6.1.6 節)が使用された場合、
視神経、脊髄および大脳皮質において3種の主要なNogo転写物(表示:A, 4.6kb
; B, 2.6kb; そしてC, 1.7kb)が検出された(図4a)。後根神経節では、2種の
より大きい方の転写物しか検出されなかった。 2.6kbの主要転写物はPC12細胞中
で検出されたが、 4.6kbバンドは長期露出後にしか検出できない(図4a)。座骨
神経では、転写物の検出レベルが低く 2.6kbバンドが主要転写物である。脊髄お
よびPC12細胞ポリ(A) + RNA をエキソン1に特異的なプローブとハイブリダイズ
させた場合、4.6kb および 2.6kb転写物しか検出されなかった。後脳および骨格
筋ポリ(A) + RNA をエキソン2に特異的なプローブとハイブリダイズさせた場合
、後脳に4.6kb 転写物のみが検出された(図4b)。これらの結果は図1Bに示され
る転写マップを証明している。しかしながらノーザンブロッティング結果はまた
、Nogo発現が神経系に限定されないこと(図4c); Nogo転写物が骨格筋(1.7kb
)、腎臓(2.6kb および1.7kb)、軟骨(胸骨から、1.7kb)、皮膚(1.7kb)、
肺(2.6kb)、および脾臓(2.6kb)でも検出されたことも示している。Nogo C転
写物を高レベルで発現する骨格筋を除き、神経系の外のNogo転写物レベルは神経
系のそれより低い。従って、4.6kb Nogo A転写物は神経系において特有に転写さ
れると見られる。
【0263】 通常のプローブを使用する成体ラットCNS 組織切片でのin situ ハイブリダイ
ゼーションでは、脳および脊髄の種々の部分の白質中における細胞体の列の中程
度の標識化が示された。この配置は維管束間の稀突起神経膠細胞の典型である(
図5a, d)。稀突起神経膠細胞に加え、数種類のニューロンもNogo転写物を高レ
ベルで発現する(図5c, e)。小脳では、抗GFAP抗体を用いる切片の2重染色お
よびin situ ハイブリダイゼーションでNogoプローブによるプルキンエ細胞の強
い標識化が明瞭に示されるが、星状細胞は標識されなかった(図5e, f)。発達
中の視神経では、Nogo転写物が出生0日目(P0)という早期に検出された。すなわ
ち、主要ミエリンタンパク質であるプロテオリピドタンパク質(PLP) およびミエ
リン塩基性タンパク質(MBP)のm RNAが検出されうる数日前である(図6)。この
タイミングは、IN-1により中和されうる、神経突起増殖阻害活性の発現および第
1のガラクトセレブロシド陽性稀突起神経膠細胞の出現と一致する。
【0264】 ウシNogo A特異的配列(AS 472)に基づく合成ペプチドに対して、および45 kD
の組換え、部分的ラットNogo A (AS Bruna)に対して抗血清を生成させた(6.1.7
節)。AS 472およびAS Brunaそれぞれは、ウシミエリン中の約200 kDタンパク質
を認識し、そしてAS Brunaはさらに200 kDラットミエリンタンパク質をウエスタ
ンブロットで認識する(図7)。成体ラット脊髄および小脳の切片をAS 472、AS
BrunaおよびIN-1で染色した。切片をエタノール/酢酸で固定すると(IN-1抗原
の保存および入手可能性に必要であると先に示された操作)、3種の抗体全てに
ついて白質/ミエリンの強い染色が見られた(図8)。稀突起神経膠細胞の細胞
体の染色はAS Brunaで特に顕著であった。エタノール/酢酸の代わりにメタノー
ルを用いて新鮮凍結切片を処理すると、稀突起神経膠細胞の細胞体を除きミエリ
ン染色が消失した。
【0265】 AS BrunaおよびAS 472はまた、脊髄の運動ニューロンおよび小脳の顆粒状およ
び分子状層を含むいくつかの種類のニューロンも染色した。プルキンエ細胞はAS
472およびAS Brunaで強く染色したが、IN-1では何ら検出可能な染色は見られな
かった。
【0266】6.2.4 Nogo抗体はin vitroでNogo誘導成長阻害を抑制する 半精製されたウシ脊髄NI-220調製物(q-プール)は、NIH 3T3繊維芽細胞の伸
展(spreading)と神経突起の成長を妨げることが可能である。Nogo抗血清(AS B
runa(AS 472)またはIN-1のいずれか)の存在下で、q−プール阻害活性が減
少した。ここでq−プール阻害活性は、NIH 3T3繊維芽細胞の伸展を示し、また
胚性ニワトリ後根神経節(DRG)がq−プールをコートした皿上で神経突起を伸
ばす活性をいう(図9)。特異性はP472ペプチドの添加によって示された。この
ペプチドは、AS 472を誘発させるために使用されたペプチドである(6.1.7節
)。P472はうまく、AS 472の阻害作用を阻止したが、一方、対照ペプチドは該
阻害に対し全く作用しなかった。
【0267】 さらにまた、稀突起神経膠細胞の細胞表面上のNogo Aの存在が、AS 472を用
いて免疫細胞化学的に、機能的に、および生化学的に実証された。初代培養の、
生きた稀突起神経膠細胞がmAb IN-1またはAS 472のいずれかを用いて染色され
たときには、比較的弱い(ガラクトセレブロシドについての免疫細胞化学との比
較)が明瞭な表面染色が、分化した稀突起神経膠細胞上で認められた(図15a、1
5c)。AS 472に対する競合性ペプチド(P472)を添加するか、または第一抗体
を省略すると、特異的な染色が見られなかった(図15b、15d)。細胞表面をビオ
チニル化した後、ストレプトアビジンで沈殿させると、稀突起神経膠細胞の形質
膜上におけるNogo Aの存在がさらに証明された。沈殿物中には、AS 472により
、細胞内の、おそらく切断されていない、かつグリコシル化されていないAS 47
2免疫陽性バンドの上の約40kDに移動するバンドが検出された。ERタンパク質で
あるBipは、ビオチニル化画分中に検出できなかった(図15e)。
【0268】 稀突起神経膠細胞表面分子であるNogo Aもまた、機能性分析が行われた。稀
突起神経膠細胞とNIH 3T3繊維芽細胞、あるいは稀突起神経膠細胞とDRGニュー
ロン、を同時培養すると、成熟した稀突起神経膠細胞の阻害特性が明確に示され
た。これらのアッセイによって、NIH 3T3繊維芽細胞およびDRG神経突起が、稀
突起神経膠細胞のテリトリーであるmAb IN-1により中和される作用を強く回避す
ることが示された。AS 472の存在下で、この阻害は等しく低減した(図16a,bお
よび16e,f)が、AS 472をP472と前もってインキュベートすると、稀突起神経膠
細胞仲介の阻害が回復した(図16c,dおよび16g,h)。定量分析により、両方の種
類のアッセイにおいてmAb IN-1とAS 472の高度に有意の中和能が示された(図16
i,j)。
【0269】 安定にトランスフェクトされたCHO細胞系によって産生されたrecNogo-A(図17
a)を、NIH 3T3繊維芽細胞の伸展とDRG神経突起の成長に対する、その活性につ
いて試験した。安定なCHO細胞系(CHO-LacZ)から単離された組換え的に産生さ
れたβ-ガラクトシダーゼは、recNogo-Aと並行して富化され、両アッセイにおい
て内因性CHOタンパク質の阻害活性の対照として使用された。NIH 3T3繊維芽細胞
の伸展アッセイでは、recNogo-A含有CHO抽出物(Nogo-A;総タンパク質の約1〜
5%;図9a)は、10μg/cm2の伸展をもつ細胞に対して明らかな阻害作用を示し
た(図17b)。この作用は用量依存的であり、即ち、20μg/cm2で阻害活性はより
高まったが、5μg/cm2で阻害は全くなかった(データを示さず)。この阻害活
性は、前記コートしたタンパク質をmAb IN-1またはAS Brunaと一緒に前もって
インキュベートすることによって背景レベルまで中和可能であったが、一方、ガ
ラクトセレブロシドに対する対照抗体(mAb O1)またはAS Bruna前免疫血清は全
く作用を示さなかった(図17b)。
【0270】 NIH 3T3繊維芽細胞の伸展に対するその強力な作用に加えて、recNogo-A含有CH
O抽出物(ただしCHO-LacZ抽出物ではない)は、初代培養ニューロンからの神経
突起成長に対し、強力な阻害作用を有していた。即ち、解離したDRGニューロン
は、recNogo-Aによって用量依存的に阻害された(図17c)。この阻害活性は、mA
b IN-1によって中和可能であったが、対照mAb O1では中和されなかった(図17c-
e)。CHO-LacZから単離された組換えタンパク質は、1および5μgで阻害しなか
ったし、またmAb O1またはIN-1の添加は神経突起の成長に影響を与えなかった。
【0271】6.2.5 in vitroでの神経突起の再成長 成体CNS組織を介しての新生仔ラットDRG神経突起の再生および成長能を調べた
。視神経の対を、成体ラットから切り分けて、DRG神経突起が各神経の一端に近
づくように特殊なチャンバー培養システム内で培養した(図10a)。各培養にお
いて、2つの神経のうち1つに前免疫ウサギ血清を注入して該血清に露呈し、他
方の神経にはAS 472を注入した。AS 472もまた、前記チャンバー内の該神経の
まわりに存在させた。NGFの存在中in vitroで2週間後に、電子顕微鏡(EM)観
察のために、該培養物を固定し、取りくずし、そして包埋した。EM切片をDRGニ
ューロンと接触する該神経の端から約3.5mm取った。前免疫血清を注入した神経
は軸索を全く含まないか、または、わずか数個の軸索を含んでいるにすぎなかっ
た(図10b)。後者は、該神経表面で、基底膜および星状神経膠細胞と結合する
ことが専ら見出された。これに反して、AS 472が注入された視神経の大部分が
しばしば、最高数百個の、かなりの数の軸索を含んでいた。ミエリンとの接触を
頻繁に認めることができた(図10c,d)。
【0272】6.2.6 IN-1による組換えNogo A認識 Nogo Aが、トランスフェクトされたCOS細胞内で、カルボキシ末端のmyc-hisタ
グ化組換えタンパク質として発現されると、抗myc抗体およびAS Brunaの両方を
用いるウエスタンブロッティングにより、組換えNogo Aが変性SDSゲル上で約200
kDの見かけ分子量をもつことが示された(図11a)。同じブロット上で、類似の
移動度のバンドが、ラット初代培養稀突起神経膠細胞においてAS Brunaによって
検出されたが、このことから、組換えNogo Aが稀突起神経膠細胞由来の内因性No
go Aとほぼ同一の分子量をもつことが示唆された(図1a)。トランスフェクトさ
れたCOS細胞がIN-1およびAS Brunaを用いた免疫蛍光法によって染色されたとき
には、IN-1およびAS Brunaは同一の、トランスフェクトされた細胞を認識した(
図11b,c)。免疫反応性の大部分は、細胞内に局在し、また透過(permeabilizati
on)後にのみアクセス可能であった。
【0273】6.2.7 Nogo活性領域のマッピング Nogoの一連の欠失変異体を作製して、Nogoの阻害ドメインまたは領域をマッピ
ングした。Nogo遺伝子の欠失構築物は、内部の制限部位、エキソヌクレアーゼII
I-ヤエナリ(mung bean)消化、およびポリメラーゼ連鎖反応によって作製された
。該変異体の説明は図18とその簡単な説明に与えられている。構築物の大部分は
、抗T7モノクローナル抗体を使用する同定のためのN末端T7タグと、固定化Co(II
)アフィニティクロマトグラフィーを使用する精製のためのN末端またはC末端ヘ
キサヒスチジンタグ(「Hisタグ」)とを有している。Nogo欠失変異体(NiG-D1,Ni
G-D2からNiG-D20と称する)の全てを、NIH 3T3繊維芽細胞の伸展アッセイを用い
て試験し、阻害活性を測定した。いくつかの変異体を、PC12神経突起の成長アッ
セイ、解離されたラットDRG神経突起の成長アッセイ、または網膜神経節線(reti
nal ganglion stripe)のアッセイで試験した。この結果を下記の表2に示す。
【0274】
【表2】 Nogo欠失変異体の機能的活性 繊維芽細胞またはPC12細胞が、欠失変異体から得られたNogo調製物でコートし
た平板上でのその伸展について阻害される場合に、NIH 3T3繊維芽細胞アッセイ(
3T3)またはPC12アッセイにおける陽性結果が評点付けされる。胚性ニワトリ後根
神経節神経突起成長アッセイ(DRG)または神経節成長錐状体衰退(ganglion gro
wth cone collapse;RGC)アッセイにおける陽性結果から、神経突起成長が阻害さ
れること、あるいは、成長錐状体が欠失変異体から得られるNogo調製物の存在下
で衰退させられることが示される。
【0275】 これらのデータは、主要な阻害ドメインがアミノ酸番号172〜974、特にアミノ
酸番号542〜722、のNogo-A特定領域中に同定されたことを示している。さらに、
Nogo-AおよびNogo-BのN末端配列(アミノ酸番号1〜171)もまた、3T3の伸展を
阻害した。この結果に基いて、アミノ酸番号172〜259、およびアミノ酸番号975
〜1162のNogo領域は、必須ではないように思われるし、また阻害活性を失うこと
なく除去可能である。
【0276】7.実施例:ヒトNogo核酸ならびにタンパク質、誘導体および断片 本発明は、ヒトNogoタンパク質およびヒトNogoタンパク質断片(ラットNogo
A、Nogo B、およびNogo Cの一部に対するヒト等価物)をコードするヌクレオ
チド配列を提供する。ヒトNogoアミノ酸配列は図13に示されており、配列番号30
として割当てられている。
【0277】 本発明はまた、ヒトNogo遺伝子断片のヌクレオチド配列を提供する。ヒトNogo
ヌクレオチド配列は、ラットまたはウシcDNA配列と相同であるヒト発現配列タグ
(EST)とともに、ラットNogo A転写物をアラインメントおよびスプライシング
の助けとして用いて、決定されうる。
【0278】 例えばESTであるAA081783およびAA333267(5.1節)は、互いに重複し、ラット
Nogo A(図2a;配列番号1)核酸位置765〜1272に相当する。ESTであるAA322592、
AA092565およびAA081525(5.1節)もまた互いに重複しており、重複配列はラッ
トNogo核酸1642〜2131に相当している。本発明のラットまたはウシNogo核酸配列
と直接コンピュータ比較することなしには、重複するESTのこれら2つの独立し
た組をアラインメントさせて該ヒト配列を得ることは不可能である。最初のコン
ピュータアラインメントのためには、ENTREZ Nucleotide QUERY が好ましい。
その代替例として他のコンピュータアラインメントプログラムを5.1節に列挙し
たが、これは、使用可能なコンピュータプログラムの範囲を限定することを意味
したものではない。
【0279】8. 考察 8.1 神経突起成長インヒビターNogoのクローニング Nogo Aは、以前に記載のあるラットNI-250が、CNSミエリンの主たる神経突起
成長抑制タンパク質であり、IN-1の抗原であることを支持する、多くの特質を有
している。分子レベルでは、Nogo Aは、元々はウシの脊髄ミエリンの主たる抑制
性成分であるbNI-220の配列決定によって得られた、6つのペプチドを全て含む
。発現レベルでは、稀突起神経膠細胞は成体CNSにおいてNogo Aを発現する主た
る細胞型であり、視神経におけるNogo発現のタイミングは、神経突起の伸長に対
するミエリン抑制活性がIN-1により中和されるという以前の記載と一致する。さ
らに、ウェスタンブロッティングは活性q-プール画分におけるNogo Aの存在を示
し、また様々なCNS領域に由来する白質は、AS BrunaおよびAS 472(Nogo Aに特
異的)によって、IN-1を用いた場合と同じパターンで染色された。これらの事実
はどちらも、Nogo AがNI-250であるという説明に合致している。
【0280】 Nogo A配列に対して産生された2種の抗血清、AS BrunaおよびAS 472は、部分
精製したウシ脊髄調製物(q-プール)の前記抑制活性を大きく低減させた。AS 4
72はまた、多数の脊髄神経節軸索を成体視神経外植体中へ数ミリメートルにわた
り内方向伸長させたが、これはIN-1の場合と非常によく似ている。
【0281】 Nogo Aの算出した分子量は約140kDであるが、変性SDSゲル上では明らかに約20
0kDの分子量を有し、これは約250kDという以前の算出の範囲内である。SDSゲル
中のNogo Aの異常な移動度は、おそらく翻訳後の修飾よりはむしろその酸性の性
質に起因するものであろう。SDS-PAGEでのタンパク質の異常な移動度は、他の高
度に酸性のタンパク質、例えば増殖関連タンパク質GAP-43、およびNSP-A等では
自明のこととみなされている。さらに、細菌で発現された組換えNogo Aは、ラッ
ト稀突起神経膠細胞により発現された内在性Nogo Aと明らかに同じ分子量を有す
る。このことは、グリコシル化等の機構によるNogo Aの主たる修飾とは反する結
果である。
【0282】8.2 Nogoは再生を妨げ、成体CNSの塑性を制限する P0由来のラット視神経稀突起神経膠細胞におけるNogoの発現は、先の神経突起
成長抑制活性を中和し得るIN-1の発見とよく一致する。興味深いことに、この発
現は主要ミエリンタンパク質の発現に先立って起こり、数日のうちにミエリン形
成に至る。おそらく軸索のシグナルに応答したNogoの出現は、対応する神経線維
路におけるさらなる軸索の成長を妨げることが可能であった(ラット視神経にお
いてE20が軸索数のピーク)。Nogoはまた、二次形成を抑制することによって分
化したCNSの全体的構造を安定化することができた。異なるCNS領域の灰白質にお
いて、ミエリン含量およびIN-1免疫反応性は、GAP-43のレベルおよび所定領域が
有し得る塑性と逆相関している。実際、成体CNSへ適用したIN-1抗体は、脳幹お
よび脊髄において、以前は発生初期のCNSでしか知られていなかった程度まで出
芽および塑性を生じさせる。この塑性に対応した大幅な機能的回復は、出芽軸索
が機能的に適切な接続を形成することが可能であることを示唆している。
【0283】 抑制性Nogoに対するニューロンの応答が異なる年齢のニューロンの間で違うこ
とは、以前から示されていた。おそらく、これは受容体の示差的な発現によるも
のであり、それらは近いうちに特徴付けされることが期待される。ネトリンおよ
び多くの成長因子と同様に、異なる応答を引き起こす各種のNogo受容体の存在が
可能性として残っている。Nogoもまたニューロンのいくつかのタイプで発現され
るという事実は、同一のおよび/または異なるNogoアイソフォーム間で起こりう
る相互作用を指し示している。
【0284】8.3 Nogoは神経突起調節分子の新規ファミリーに属する Nogoの配列解析からは、軸索誘導(反発性または誘引性)に関わる細胞表面も
しくは基質タンパク質の既知のモチーフは示されなかった。すなわち、免疫グロ
ブリン、フィブロネクチンIII型、またはEGFドメインは同定できなかった。記載
のある神経突起成長インヒビターの、セマフォリン、ネトリン、またはエフリン
に対する相同性は、いずれも存在しなかった。
【0285】 Nogoは、カルボキシ末端の180アミノ酸の類似性に基づき、近年記載されたタ
ンパク質の一群であるNSP/s-rexおよびNSP-like1タンパク質と共に新規ファミ
リーを形成する。Nogoの場合と同様に、複式プロモーター使用(NspおよびNsp-l
ke1遺伝子の両方)および複式スプライシング(Nspのみ)のいずれもが、疎水性
アミノ酸のストレッチを2つ含む共通カルボキシ末端を有する複式タンパク質産
物の産生の原因となる。名称によって示される通り、NSP(神経内分泌特異的タ
ンパク質)は、ニューロンおよびいくつかの内分泌細胞型において優位に発現さ
れる。それらは小胞体と共同して主に細胞内に局在する。NSP-like1遺伝子は脳
および筋肉において優位に発現される。NSPファミリーもNSP-like1ファミリー
も、機能は知られていない。潜在的オーソログ体が線虫およびキイロショウジョ
ウバエの両方に存在するという事実は、神経再生および出芽抑制活性を有するNo
goが、新たに進化した、NSPファミリーのこれまで未記載のメンバーであり得る
ことを示唆している。
【0286】8.4 非ニューロン組織におけるNogo Nogo C転写物は、神経系に匹敵するレベルで骨格筋にて発現される。筋肉のNo
go Cについて考えられる機能の1つは、運動軸索を拒絶し、それらを運動終板領
域に限定することである。また低レベルのNogo発現は他の非神経組織でも検出さ
れ得る。ミエリン抽出物およびNI-250による繊維芽細胞および星状膠細胞の伸展
に対する抑制が観察されたことから、これらの細胞におけるNogoタンパク質の受
容体および応答機構の存在が示される。このことは、細胞運動の接触抑制におけ
るNogoのあり得る一般的機能を示している。
【0287】 本発明は本明細書に記載の特定の実施形態の範囲に限定されるべきものではな
い。実際、本明細書の記載以外の本発明の様々な改変が、上記記載および添付図
面から当業者には明らかになるであろう。そのような改変は本発明の特許請求の
範囲内にあることが意図されている。
【0288】 様々な引用文献を本明細書中に引用したが、それらの開示内容はその全体を参
照により組み入れるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1a-1b: (a)Nogo cDNAクローン:CWP1-3は、ウシ脊髄白質のcDNAライブラリ
ーに対する縮重オリゴヌクレオチドMSC5-8(プールされたもの)およびMSC9によ
るスクリーニングから単離されたウシcDNAクローンである。このクローンから得
た相補RNAは、この後のラットcDNAライブラリースクリーニングに使用した。Oli
3およびOli18はオリゴd(T)開始型ラット稀突起神経膠細胞ライブラリーから単離
される。R1-3U21、RO18U1およびRO18U37-3はヘキサヌクレオチド開始型ラット脳
幹/脊髄ライブラリー(Stratagene)から単離される。6種のウシNI220(bNI22
0)ペプチド配列の位置をCWP1-3およびR13U21上に示している。各種エキソンの
結合部の配列は各クローンの先端に印を付けて示している。RO18U1上に示した疑
問符は、このクローン上の、他のどのNogoクローン由来の配列とも一致しなかっ
た配列を表す。RO18U37-3は、5'末端からのみ配列決定されており、未配列決定
部分はドットで示している。(b)3種のNogo転写物の生成の仮説的機構を示す概
略図。P1およびP2は複式プロモーターの推定上の位置を示す。可能性としては各
エキソンが複数のエキソンに分割されることもありうるが、概略図に示すように
3種の転写物を生成するためには、最低数として3つのエキソンが必要である。
【図2】 図2a-2b: (a)Nogo転写物Aのヌクレオチド(配列番号1)およびアミノ酸配列
(配列番号2)(配列はRO18U37-3、Oli18、およびR1-3U21のcDNA配列を結合す
ることにより作製した)。長円形の囲み:推定上の開始コドン、ドットの下線:
酸性ストレッチ、□:可能性としてのPKC部位、△:可能性としてのカゼインキ
ナーゼII部位、太い下線:カルボキシ末端疎水性領域および可能性としての膜貫
通ドメイン、細い下線:可能性としてのN-グリコシル化部位。(b)精製され配列
決定されたウシNI220(bNI220; 配列番号3〜8)と、ウシおよびラットのcDNA
から翻訳される対応するウシの配列(配列番号9〜14)およびラットの配列(配
列番号15〜20)との間のペプチド配列の比較。bNI220ペプチド配列と一致しない
ラットおよびウシのアミノ酸配列は、小文字で示した。
【図3】 図3a-3b: (a)NSP(ヒト; 配列番号21)、S-REX(ラット)(配列番号22)、CHS-
REX(ニワトリ; 配列番号23)、NOGOBOV(ウシ; 配列番号24)、NOGORAT(ラッ
ト; 配列番号25)、線虫(C.elegans)ESTクローンの1つ(WO6A7A; 配列番号26)
、およびキイロショウジョウバエ(D.melanogaster)ESTクローンの1つ(US51048
; 配列番号27)のカルボキシ末端の180アミノ酸共通領域のアミノ酸配列の比較
。(b)2つの疎水性領域の進化的保存。共通疎水性領域の種内および種間の類似
性パーセンテージを示す。網かけ文字:保存されたアミノ酸。
【図4】 図4a-4c: (a)Nogo共通プローブを用いた様々な組織についてのノーザンハイブ
リダイゼーション。共通プローブはヌクレオチド2583-4678間の転写物Aの配列を
含む。ONは視神経、SCは脊髄、Cは大脳皮質、DRGは脊髄神経節、SNは坐骨神経、
PC12はPC12細胞系である。(b)エキソン1特異的プローブを用いた脊髄およびPC1
2細胞のRNAについてのノーザンハイブリダイゼーション(左のパネル)、および
エキソン2特異的プローブを用いた後脳(HB)および骨格筋(M)のRNAについてのノ
ーザンハイブリダイゼーション(右のパネル)。(c)Nogo共通プローブを用いた
ノーザンハイブリダイゼーション。Kは腎臓、Bは軟骨(胸骨由来)、Skは皮膚、
Mは骨格筋、Luは肺、Liは肝臓、Spは脾臓である。3種の主な転写物は印を付け
て示している(4.6キロベース(kb)、2.6kb、および1.7kb)。△:サイズ約1.3kb
の拡散しているが合致しているバンド。
【図5】 図5a-5f: 成体ラットの脊髄および小脳の切片のin situハイブリダイゼーショ
ン。(a,d)脊髄および小脳の白質それぞれにおける稀突起神経膠細胞(OL)の並び
を、Nogoアンチセンス「共通」リボプローブにより標識して見ることができる。
これは、脊髄連続切片をアンチセンスplopリボプローブに対してハイブリダイズ
した場合(b)に検出されるシグナルと非常によく似ている。(c)灰白質(GM)中のニ
ューロンもまたNogoアンチセンス「共通」リボプローブにより標識した。WMは白
質である。明視野および蛍光視野はそれぞれ、Nogoアンチセンス「共通」リボプ
ローブを用いて二重標識した小脳切片(e)、および抗GFAP抗体を用いたもの(f)で
ある。プルキンエ細胞(二重矢じり印)はNogoプローブにより強く標識されるが
、星状膠細胞(矢じり印、黒および白)は標識されない。顆粒細胞層(Gr)中に少
数含まれる細胞もまたNogoプローブを用いて標識される。mは分子層である。ス
ケールバー:a,b,d〜f: 50p.m、c: 280p.m。
【図6】 図6a-6i; Nogoまたはplp(アンチセンスまたはセンス)プローブのいずれかを
用いた、出生後様々な日齢(a,f: P0、b,g: P3、c,h: P7、d,e,i: P22)の視神
経についてのin situハイブリダイゼーション。(a〜d)Nogoアンチセンスプロー
ブ、(e)Nogoセンスプローブ、(g〜i)plpアンチセンスプローブ、(f)plpセンスプ
ローブ。稀突起神経膠細胞前駆細胞におけるNogo発現は早くもP0には検出するこ
とができるが、plp発現は視交叉に近接するP3の視神経にてようやく検出され始
めた(g)。
【図7】 図7: AS BrunaおよびAS 472はどちらも約200kDのミエリンタンパク質を認識す
る。ラットミエリン抽出物およびウシq-プールは、Spillmannら, 1998, J. Biol
. Chem., 273(30):19283-19293にしたがって調製した。AS BrunaおよびAS 472は
それぞれ、200kDのバンドだけでなく、ウシミエリンにおいていくつかのより低
分子量のバンドも認識した。それらはbNI220の破砕産物であろう。AS Brunaはラ
ットミエリンにおいて200kDのバンドを染色した。I:AS Bruna、P:AS Bruna(
免疫前血清)、E:アフィニティー精製AS 472。
【図8】 図8a-8i: IN-1(a〜e)、AS Bruna(d〜f)、およびAS 472(g〜i)(各パネルの左
側に表示)を使用した、ラット脊髄および小脳に対する免疫組織化学。凍結切片
をエタノール/酢酸で固定した場合、3種の抗体全てについて両方の組織に強い
ミエリン染色が観察された(a,b,d,e,g,h)。切片のメタノール処理によって、稀
突起神経膠細胞細胞体を除き、ミエリン染色は起こらなくなった(矢印;c,f,i
)。矢じり印:プルキンエ細胞、WM:白質、GM:灰白質、DR:後根、Gr:顆粒細
胞層、m:分子層。スケールバー:a,d,g: 415μm、b,c,e,f,h,i: 143m。
【図9】 図9a-9d: 各種バイオアッセイでのAS 472およびAS Brunaの中和活性。(a)q-プ
ールで被覆し、IN-1、AS Bruna、AS 472、または対応する免疫前血清で前処理し
た細胞培養皿に、NIH 3T3繊維芽細胞を播いた。どちらのポリクローナル血清もI
N-1よりも少し高く抑制性基質の中和を示した。免疫前血清は、NIH 3T3細胞の伸
展に対しては有意な効果を有しなかった。AS 472を増加させるために用いるペプ
チド(P472)を過剰量添加すると中和活性を競争したが、非特異的ペプチド(Px
)はその効果を有しなかった。(b)AS BrunaまたはAS 472を用いた抑制性基質の
前処理は、ラミニン基質に対して観察され得るものに匹敵するDRG神経突起成長
をもたらした。PBSを用いて前処理したq-プール(c; スコア = 0)およびAS Bru
naを用いて前処理したq-プール(d; スコア = 4)上での、DRGからの神経突起成
長の例。
【図10】 図10a-10d: AS 472を添加した視神経外植片の注入は軸索の内方向伸長をもた
らす。(a)成体ラット視神経対を切り出し、AS 472または免疫前血清を注入し、
チャンバー培養中に置いて、この神経の片方の末端を、分離したP0のラットDRG
ニューロンと接触させた。(b)in vitroで2週間置いた後、前記神経のEM切片を
切断部から3.5mmのところで切り出し(Aの矢印)、無傷の軸索を体系的にスクリ
ーニングした(3回の実験にて)。(c)再生軸索路(矢印)は、退化したAS 472
を注入した視神経を通り抜けて成長する。(d)ミエリンと接触している再生軸索
。倍率:cは12,000倍、dは35,000倍。
【図11】 図11a-11c: トランスフェクトしたCOS細胞中での組換えNogo Aの発現。(a)組
換えNogo A(レーン2)、および一次培養ラット稀突起神経膠細胞由来の内在性
Nogo A(レーン3)に対するAS Brunaの免疫反応性を示すウェスタンブロット。
これら2種のタンパク質の移動度は、5%変性SDSゲルで約200kDであり、肉眼で
は同じである。対照としてLacZ構築物でトランスフェクトしたサンプル(レーン
1)はAS Brunaによる免疫反応性を示さなかった。同ブロットはまた、示した通
り抗myc抗体の9E10でプローブした。AS Brunaと反応したバンドは、抗mycタグ抗
体9E10とも反応したが(レーン5)、内在性Nogo Aは反応しなかった(レーン6
)。LacZ対照トランスフェクションサンプルは、約118kDにて予想されたバンド
を示した(レーン4)。Nogo A構築物により一過性にトランスフェクトしたCOS
細胞は、AS Bruna(b)およびIN-1(c)により二重染色された。AS Brunaにより陽性
染色された細胞はまた、IN-1でも陽性であった。
【図12】 図12: ウシNogo cDNAのヌクレオチド配列(配列番号28)。
【図13】 図13: ヒトNogoの理論上のアミノ酸配列(配列番号30)とアラインしたラット
Nogo Aのアミノ酸配列(配列番号2)。ラットNogo配列にエクスプレスド・シー
ケンス・タグ(EST)をアラインさせ、ラットNogoを指標鋳型として用いてアライ
ンしたヒトESTを翻訳することにより、ヒトNogoアミノ酸配列を推論した。
【図14】 図14: ラットNogo C核酸配列(配列番号31)およびそれに対応するアミノ酸配
列(配列番号32)。
【図15】 図15a-15e: Nogo Aは稀突起神経膠細胞膜上に存在し、それは培養物中の稀突
起神経膠細胞の免疫細胞化学および細胞表面のビオチン化により示される。 免疫細胞化学(a〜d): P10ラットの視神経由来の稀突起神経膠細胞を切り出し
、2日間培養した。mAb IN-1(a)またはAS 472(c)による生存細胞の染色により、
稀突起神経膠細胞細胞体および突起に対する免疫反応性が示された。競合ペプチ
ドP472の存在下では、AS 472はバックグラウンド標識のみを示す(全ての細胞型
で)(d)。一次抗体が排除されると、同様の非特異的染色が見られた(b)。評価:
番号を付した皿は、3人の独立した観察者によって無作為に混ぜられ、さらに分
類された。8/10皿が、AS 472陽性、mAb IN-1陽性、または対照へと、3人の観
察者全員によって正しく分類された。 ビオチン化(e): 稀突起神経膠細胞中で富化されたラットP4全脳培養物につい
て、7日間培養した後に膜不浸透性試薬により細胞表面をビオチン化した。続い
て、細胞のホモジネートをストレプトアビジン-Dynabeadsで処理した。沈殿物(P
pt)および上清(sup)をAS472でブロットした。これらは別々のタンパク質パター
ンを示した。沈殿物に見られる細胞表面Nogo Aは、細胞内Nogo Aよりも明らかに
高い分子量を示した。このずれは、おそらくグリコシル化によるものである。ル
ミナールERタンパク質BiPおよびβ-チューブリンのほとんどは細胞内画分にしか
見られなかった。
【図16】 図16a-16j: 機能アッセイは、稀突起神経膠細胞の細胞膜上のNogo Aの存在を
示している。AS 472を添加した視神経培養物のプレインキュベーション(a,b)に
より、NIH 3T3繊維芽細胞は高度に分枝した稀突起神経膠細胞上へと伸展した。
これはGalC(O1 抗体)に対する免疫蛍光染色によって輪郭が示される(a)。対応
する時期の対比像(b)中の矢印は、稀突起神経膠細胞の先端に伸展するNIH 3T3繊
維芽細胞を示している。(c,d): AS 472をP472と共に添加した場合、NIH 3T3繊維
芽細胞は、GalC陽性稀突起神経膠細胞の領域を厳密に避けた(矢じり印)(Caro
niおよびSchwab, 1988 Neuron 1:85-96)。(e,f): AS 472の存在下で、P0ラット
から分離したDRGニューロンは高度に分枝した稀突起神経膠細胞の領域に神経突
起を伸ばすことができた(f中の矢印)。(g,h): ペプチドP472はAS 472の中和活
性と効果的に競争した。神経突起は完全に稀突起神経膠細胞を避けた。この実験
で用いられたAS 472は、ラット472ペプチド配列に対して作製された。(i,j): こ
れらの結果の定量化(方法に記載の通り)により、どちらのタイプのアッセイで
もAS 472の強力な中和活性を示した。スケールバー:40μm。
【図17】 図17a-17e: 組換えNogo Aは抑制性基質であり、その抑制活性はmAb IN-1によ
り中和される。安定CHO-Nogo A細胞系由来のRecNogo A富化抽出物、または安定C
HO-LacZ細胞系から並行して単離されたβガラクトシダーゼを用いて、NIH 3T3繊
維芽細胞伸展アッセイおよびDRG神経突起成長アッセイ用に被覆した。(a)myc-hi
s-タグ付加recLacZ(レーン1)およびRecNogo A(レーン2)の銀ゲルにより、
Nogo Aバンドが180kDに示される。Nogo Aバンドの正体は、AS Bruna(レーン3
)および抗myc抗体9E10(レーン4)と共にインキュベートしたウェスタンブロ
ットによって確認された。(b)RecNogo Aで被覆した皿は、NIH 3T3伸展を明らか
に抑制した。mAb IN-1またはAS Brunaとのプレインキュベーションは、抑制活性
の中和を高い有意性(p<0.01)でもたらす。対照IgM mAb O1および免疫前血清は
有効でなかった。CHO-LacZ抽出物はNIH 3T3細胞に対し不十分な抑制作用を有す
る。これはおそらく、内在性CHOタンパク質が原因である。この抑制活性は抗体
とのプレインキュベーションにより影響を受けなかった。 (c)DRG神経突起成長アッセイについては、(b)に記載のものと同じタンパク質
材料をラミニンと混合して被覆した。RecNogo Aは、投与量依存的に、分離したD
RGの神経突起成長に対する非常に強い抑制作用を有する。その活性はmAb IN-1で
中和されるが(p<0.001)、対照mAb O1では中和されない。CHO-LacZ細胞から単
離したタンパク質材料はいかなる濃度を用いても抑制性ではなく、抗体とのイン
キュベーションも神経突起成長に対するいかなる効果も有しなかった。スコアリ
ングの例は、(d): 1μg recNogo A、神経突起が無いか短いもの(矢印)をスコ
ア2、および(e): 1μg CHO-LacZ、神経突起が長く分枝しているもの(矢じり
印)をスコア5〜6、のように示す。両側スチューデント検定を用いて統計解析
を行った。スケールバー:280μm。
【図18】 図18: Nogo欠失突然変異体の機能解析。Nogoの断片、またはNogoの末端切詰型
部分(以下に記載)を含む融合タンパク質をコードする以下の欠失構築物は、本
明細書下記の節6.2.7に記載される通りに作製された。 Nogo-A: His-タグ/T7-タグ/ベクター/Nogo-A配列aa1-1162 Nogo-B: His-タグ/T7-タグ/ベクター/Nogo-A配列aa1-171+975-1162 Nogo-C: His-タグ/T7-タグ/Nogo-C N末端(11aa)+Nogo-A配列aa975-1162 NiAext: His-タグ/T7-タグ/ベクター/Nogo-A配列aa1-974/T7-タグ NiR: His-タグ/T7-タグ/ベクター/Nogo-A配列aa1-171/ベクター NiG: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa172-974/His-タグ EST: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa760-1162 NiG-D1: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa172-908/ベクター NiG-D2: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa172-866/His-タグ NiG-D3: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa172-723/His-タグ NiG-D4: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa172-646/ベクター NiG-D5: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa291-646/His-タグ NiG-D7: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa172-234+292-974/His-タグ NiG-D8: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa172-628 NiG-D9: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa172-259+646-974/His-タグ NiG-D10: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa291-974/His-タグ NiG-D14: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa172-259 NiG-D15: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa172-189+491-974/His-タグ NiG-D16: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa172-189+619-974/His-タグ NiG-D17: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa172-189+257-974/His-タグ NiG-D18: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa172-189+261-974/His-タグ NiG-D20: His-タグ/T7-タグ/Nogo-A配列aa542-722/His-タグ アミノ酸(aa)数は、第1メチオニンから開始するラットNogo Aアミノ酸配列のナ
ンバリング(配列番号2)に基づいている。His-タグおよびT7-タグは34アミノ
酸からなる。N末端およびC末端のベクター配列は発現ベクターpET28から得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 25/28 C07K 14/435 4H045 35/00 14/82 C07K 14/435 19/00 14/82 C12N 1/15 19/00 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12R 1:91 5/10 C12N 15/00 ZNAA C12P 21/02 5/00 A //(C12P 21/02 B C12R 1:91) A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL, IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,L C,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 チェン,マイオ,エス. スイス国 ツェーハー−8044 チューリッ ヒ グロリア シュトラーセ 62 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA80 CA04 CA07 DA02 EA04 GA11 HA01 HA17 4B064 AG01 CA10 CA19 CC24 DA01 4B065 AA90X AA90Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA44 4C084 AA02 AA06 AA07 AA13 BA22 NA14 ZA02 ZB26 4C086 AA01 EA16 NA14 ZA02 ZB26 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 BA41 CA45 CA50 DA86 EA21 FA72 FA73 FA74 【要約の続き】

Claims (62)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然では結合している全ての中枢神経系ミエリン物質が存在
    しない、Nogoタンパク質。
  2. 【請求項2】 Nogo AおよびNogo Bからなる群より選択される、請求項1に
    記載のタンパク質。
  3. 【請求項3】 図2a(配列番号2)のアミノ酸配列を含む、請求項2に記載
    のタンパク質。
  4. 【請求項4】 図2a(配列番号2)に示した残基1-1163、および図2(配列
    番号2)に示した残基975-1163に融合された残基1-172からなる群より選択され
    るアミノ酸配列からなる、請求項2に記載のタンパク質。
  5. 【請求項5】 精製されたNogo Cタンパク質。
  6. 【請求項6】 図14に示した配列番号32のアミノ酸配列を含む、請求項5に
    記載のタンパク質。
  7. 【請求項7】 図14に示した配列番号32のアミノ酸配列からなる、請求項5
    に記載のタンパク質。
  8. 【請求項8】 組換え法で産生される、請求項2または5に記載のタンパク
    質。
  9. 【請求項9】 哺乳動物タンパク質の配列を有する、請求項2または5に記
    載のタンパク質。
  10. 【請求項10】 ヒトタンパク質の配列を有する、請求項1、2または5に
    記載のタンパク質。
  11. 【請求項11】 図2a(配列番号2)に示したアミノ酸配列、図13(配列番
    号30)に示したアミノ酸配列、または図14(配列番号32)に示したアミノ酸配列
    中に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含み、かつ、
    配列番号2の残基1-1163、配列番号2の残基975-1163に融合された残基1-172、
    および配列番号32の残基1-199からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するN
    ogoタンパク質に対して誘導された抗体と結合することができるタンパク質。
  12. 【請求項12】 BLASTコンピュータアルゴリズムで測定したとき、配列番
    号2のアミノ酸配列に対して50%より高い相同性を示すアミノ酸配列を含む、請
    求項1に記載のタンパク質。
  13. 【請求項13】 図2a(配列番号1)に示したヌクレオチド配列または図12
    (配列番号28)に示したヌクレオチド配列を有する第2の核酸とハイブリダイズ
    可能な第1の核酸によりコードされる、請求項1に記載のタンパク質。
  14. 【請求項14】 Nogoタンパク質に対する抗体と結合することができる請求
    項1に記載のタンパク質の精製された断片であって、全ての中枢神経系ミエリン
    物質が存在しない、該断片。
  15. 【請求項15】 Nogoタンパク質に対する抗体と結合することができる請求
    項5または11に記載のタンパク質の精製された断片。
  16. 【請求項16】 図2a(配列番号2)に示した残基31-57、図14(配列番号3
    2)に示した残基11-191、図2a(配列番号2)に示した残基988-1023、図2a(配
    列番号2)に示した残基1090-1125、図13(配列番号30)に示した残基994-1174
    、図13(配列番号30)に示した残基977-1012、および図13(配列番号30)に示し
    た残基1079-1114からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むNogoタンパク質
    の断片を含んでなる、精製されたタンパク質。
  17. 【請求項17】 Nogo A、Nogo BおよびNogo Cからなる群より選択される、
    精製された非グリコシル化タンパク質。
  18. 【請求項18】 全ての中枢神経系ミエリン物質が存在せず、かつ、図2a(
    配列番号1)に示したヌクレオチド配列または図12(配列番号28)に示したヌク
    レオチド配列を有する第2の核酸とハイブリダイズ可能な第1のヌクレオチド配
    列によりコードされる精製されたタンパク質であって、図2a(配列番号2)に示
    したアミノ酸配列を有する第2のタンパク質に対して誘導された抗体と結合する
    ことができる、該タンパク質。
  19. 【請求項19】 Nogoタンパク質に対する抗体と結合することができる請求
    項2、5または11に記載のタンパク質の断片が、請求項2、5または11に記
    載のタンパク質の該断片とは異なる第2のタンパク質の少なくとも一部に、共有
    結合で融合されている、キメラタンパク質。
  20. 【請求項20】 Nogoタンパク質に対する抗体と結合することができる請求
    項1に記載のタンパク質の断片を含む精製された分子であって、全ての中枢神経
    系ミエリン物質が存在しない、該分子。
  21. 【請求項21】 Nogoタンパク質に対する抗体と結合することができる請求
    項5または11に記載のタンパク質の断片を含む精製された分子。
  22. 【請求項22】 配列番号2および配列番号33からなる群より選択されるヌ
    クレオチド配列を含む、単離された核酸。
  23. 【請求項23】 下記のヌクレオチド配列: (a) 図2a(配列番号2)に示した残基1-1163、図2a(配列番号2)に示した残
    基975-1163に融合された残基1-172、および図14(配列番号32)に示した残基1-1
    99からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌ
    クレオチド配列;または (b) (a)のヌクレオチド配列の相補体; を含んでなる、単離された核酸。
  24. 【請求項24】 図2a(配列番号2)に示した残基1-1163、図2a(配列番号
    2)に示した残基975-1163に融合された残基1-172、および図14(配列番号32)
    に示した残基1-199からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチ
    ドをコードするヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する第2の核
    酸にハイブリダイズすることができ、かつ、配列番号2のアミノ酸配列を有する
    タンパク質に対する抗体と結合することができる天然のタンパク質をコードする
    、単離された第1の核酸。
  25. 【請求項25】 天然のヒトNogoタンパク質をコードする、請求項24に記
    載の単離された核酸。
  26. 【請求項26】 図2a(配列番号1)に示したヌクレオチド配列または図12
    (配列番号28)に示したヌクレオチド配列を有する第2の核酸とハイブリダイズ
    することができる単離された第1の核酸であって、図2a(配列番号2)に示した
    アミノ酸配列を有する第2のタンパク質に対する抗体と結合することができる第
    1のタンパク質をコードする、該第1の核酸。
  27. 【請求項27】 配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質に対する抗
    体と結合することができる天然のタンパク質をコードし、かつ、配列番号2の残
    基1-1163、配列番号2の残基975-1163に融合された残基1-172、および配列番号3
    2の残基1-199からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコ
    ードするヌクレオチド配列に対して、BLASTコンピュータアルゴリズムで測定し
    たとき、70%より高いヌクレオチド配列相同性を有する、単離された核酸。
  28. 【請求項28】 天然のタンパク質がヒトタンパク質である、請求項27に
    記載の核酸。
  29. 【請求項29】 Nogoタンパク質の1以上の機能活性を示すNogoタンパク質
    の断片をコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離された核酸であって、該
    Nogoタンパク質がヒトNogoタンパク質、ショウジョウバエNogoタンパク質または
    線虫Caenorhabditis elegansのNogoタンパク質ではない、該核酸。
  30. 【請求項30】 BLASTコンピュータアルゴリズムで測定したとき、配列番
    号30のアミノ酸配列に対して50%より高い相同性を有するアミノ酸配列を含むタ
    ンパク質をコードするヌクレオチド配列を含んでなる、単離された核酸。
  31. 【請求項31】 配列番号2のアミノ酸配列の少なくとも220個連続したア
    ミノ酸残基をコードする、単離された核酸。
  32. 【請求項32】 AA158636(配列番号35)、AA333267(配列番号36)、AA08
    1783(配列番号37)、AA167765(配列番号38)、AA322918(配列番号39)、AA09
    2565(配列番号40)、AA081525(配列番号41)、およびAA081840(配列番号42)
    からなる群より選択される、少なくとも2つの重複しないヒト発現配列タグ(EST
    )のヌクレオチド配列を含んでなる、単離された核酸。
  33. 【請求項33】 固有のものでないプロモーターに機能的に連結された請求
    項22、23、24または25に記載の核酸を含むベクター。
  34. 【請求項34】 請求項22、23、24または25に記載の核酸を含む発
    現ベクター。
  35. 【請求項35】 請求項22、23、24または25に記載の核酸により形
    質転換された組換え細胞。
  36. 【請求項36】 原核組換え細胞である、請求項35に記載の組換え細胞。
  37. 【請求項37】 真核組換え細胞である、請求項35に記載の組換え細胞。
  38. 【請求項38】 請求項22、23、24または25に記載の核酸により形
    質転換された組換え細胞を培養して、該核酸によりコードされたタンパク質を該
    細胞において発現させ、発現したタンパク質を回収することを含んでなる、組換
    えタンパク質の産生方法。
  39. 【請求項39】 組換え細胞が原核組換え細胞である、請求項38に記載の
    方法。
  40. 【請求項40】 組換え細胞が真核組換え細胞である、請求項38に記載の
    方法。
  41. 【請求項41】 中枢神経系の腫瘍性疾患をもつ被験者の治療方法であって
    、治療に有効な量のNogoタンパク質またはその断片を該被験者に投与することを
    含んでなり、該Nogoタンパク質またはその断片はNogoタンパク質が天然では結合
    している全ての中枢神経系ミエリン物質を含まず、該断片は細胞増殖抑制活性を
    もつものである、該方法。
  42. 【請求項42】 腫瘍性疾患が神経膠腫、神経膠芽細胞腫、髄芽細胞腫、頭
    蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、稀突起神経膠腫、
    髄膜腫、神経芽細胞腫または網膜芽細胞腫である、請求項42に記載の方法。
  43. 【請求項43】 被験者がヒトである、請求項42に記載の方法。
  44. 【請求項44】 中枢神経系に損傷がある被験者の治療方法であって、治療
    に有効な量の、該被験者においてNogoの産生を抑制するリボザイムまたはアンチ
    センスNogo核酸を該被験者に投与することを含んでなる、該方法。
  45. 【請求項45】 被験者におけるニューロンの再生または出芽の誘導方法で
    あって、治療に有効な量の、該被験者においてNogoの産生を抑制するリボザイム
    またはアンチセンスNogo核酸を該被験者に投与することを含んでなる、該方法。
  46. 【請求項46】 被験者の中枢神経系の構造塑性を促進する方法であって、
    中枢神経系の構造塑性が望まれる被験者に、治療に有効な量の、該被験者におい
    てNogoの産生を抑制するリボザイムまたはアンチセンスNogo核酸を投与すること
    を含んでなる、該方法。
  47. 【請求項47】 非ヒト動物のゲノムにNogoタンパク質の少なくとも1つの
    ドメインをコードする核酸を導入することを含む方法により作製された産物であ
    る組換え非ヒト動物またはその子孫。
  48. 【請求項48】 Nogo遺伝子が不活性化または欠失されている組換え非ヒト
    動物。
  49. 【請求項49】 Nogo遺伝子が該動物またはその祖先に核酸を導入すること
    を含む方法により不活性化されており、該核酸が相同的組換えを促進するNogo遺
    伝子配列で挟まれた非Nogo遺伝子配列を含む、請求項48に記載の動物。
  50. 【請求項50】 配列番号2のアミノ酸残基1-171、172-974、259-542、542
    -722、172-259、722-974、および975-1162からなる群より選択されるアミノ酸配
    列を含むNogoタンパク質の精製された断片であって、全ての中枢神経系ミエリン
    物質が存在しない該断片。
  51. 【請求項51】 配列番号2のアミノ酸残基172-259、アミノ酸残基974-116
    2、またはアミノ酸残基172-259および974-1162を欠失しているが、ほかには配列
    番号2の残りを含むNogoタンパク質の精製された断片であって、全ての中枢神経
    系ミエリン物質が存在しない該断片。
  52. 【請求項52】 配列番号30のアミノ酸残基1-131、132-939、206-501、501
    -680、132-206、680-939、および940-1127からなる群より選択されるアミノ酸を
    含むNogoタンパク質の精製された断片であって、全ての中枢神経系ミエリン物質
    が存在しない該断片。
  53. 【請求項53】 配列番号30のアミノ酸残基132-206、アミノ酸残基939-112
    7、またはアミノ酸残基132-206および939-1127を欠失しているが、ほかには配列
    番号30の残りを含むNogoタンパク質の精製された断片であって、全ての中枢神経
    系ミエリン物質が存在しない該断片。
  54. 【請求項54】 (a) 配列番号2のアミノ酸残基172-259、アミノ酸残基974
    -1162、またはアミノ酸残基172-259および974-1162を欠失しており、かつ、(b)
    Nogoタンパク質の神経突起成長抑制活性を示す、Nogoタンパク質の断片を含む精
    製されたタンパク質であって、全ての中枢神経系ミエリン物質が存在しない該タ
    ンパク質。
  55. 【請求項55】 (a) 配列番号30のアミノ酸残基132-206、アミノ酸残基939
    -1127、またはアミノ酸残基132-206および939-1127を欠失しており、かつ、(b)
    Nogoタンパク質の神経突起成長抑制活性を示す、Nogoタンパク質の断片を含む精
    製されたタンパク質であって、全ての中枢神経系ミエリン物質が存在しない該タ
    ンパク質。
  56. 【請求項56】 配列番号2のアミノ酸残基1-171、172-974、259-542、542
    -722、172-259、722-974、および975-1162からなる群より選択されるアミノ酸配
    列を含むタンパク質をコードする、単離された核酸。
  57. 【請求項57】 配列番号2のアミノ酸残基172-259、アミノ酸残基974-116
    2、またはアミノ酸残基172-259および974-1162を欠失しているが、ほかには配列
    番号2の残りを含むタンパク質をコードする、単離された核酸。
  58. 【請求項58】 配列番号30のアミノ酸残基1-131、132-939、206-501、501
    -680、132-206、680-939、および940-1127からなる群より選択されるアミノ酸を
    含むタンパク質をコードする、単離された核酸。
  59. 【請求項59】 配列番号30のアミノ酸残基132-206、アミノ酸残基939-112
    7、またはアミノ酸残基132-206および939-1127を欠失しているが、ほかには配列
    番号30の残りを含むタンパク質をコードする、単離された核酸。
  60. 【請求項60】 請求項56、57、58または59に記載の核酸を含むベ
    クター。
  61. 【請求項61】 請求項56、57、58または59に記載の核酸により形
    質転換された組換え細胞。
  62. 【請求項62】 非Nogoタンパク質のアミノ酸配列に融合された請求項52
    、53または55に記載の断片を含んでなる融合タンパク質。
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