JP2003518937A - 単純多糖を含む動物飼料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 単純多糖を固形分に対して０．０４〜２重量％含有するものであって、動物の排便状態を改善し、下痢を防止し、成長を促進する動物飼料を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 〔発明の属する技術分野〕 本発明は、単純多糖を含む動物飼料に関し、さらに詳細には、単純多糖を適量含
むことにより動物の排便状態を改善し、下痢を防止し、動物の成長を促進する動
物飼料に関する。

【０００２】 〔従来の技術〕 動物では、離乳食、飼料または飼育環境の変化によるストレスによって下痢また
は緩い便などが発生し、発育が低下する場合が多い。特に、離乳期の幼い家畜で
は、環境の変化に敏感で、ストレスを受け、それによって下痢または緩い便とな
りやすい。結果的に、このような状況は、動物の全成長期間に影響を及ぼし成長
発育期間（飼育期間）の長期化をもたらし、飼育経費を増加させる要因となる。

【０００３】 このように畜産農家に経済的損失を引起こす動物の下痢または緩い便の発生を
防止し、治癒するために、従来から抗生物質、生菌剤（乳酸菌、ビフィズス菌）
、またはオリゴ糖の投与が行われてきた（韓国特許公開第９０−１７４９３号公
報、韓国特許公告第９５−４４２６号、日本特公昭５４−１５８２９号、韓国特
許公告第９４−９５７号、韓国特許第１７１，２４６号および韓国特許第１９８
，７２７号参照）。

【０００４】 しかし、抗生物質の長期間使用は、動物の抗生物質に対する耐性を増加させ、
動物の腸内に存在する有用細菌までも死滅させるだけでなく、長期間体内に残存
するため、動物の出荷時期を調節しなければならないという欠点がある。 また、生菌剤を投与する場合は、生菌剤が胃酸によって容易に死滅し、十分な量
の生菌剤が大腸まで到達しにくく、生菌剤が外部由来の菌であるため、該当家畜
の腸内に定着しにくく、期待する当初の効果が得られないという欠点がある。

【０００５】 なお、日本特公昭５４−１５８２９号に開示されたミルクホエーから製造した
ラクチュロース含有粉末を用いる方法、および韓国特許公告第９５−４４２６号
に開示された分枝オリゴ糖を用いる方法などは製造工程が複雑であるため安価に
製造することは困難であり、その投与効果が十分でないという問題がある。たと
えば、現在市販されている、マンノースオリゴ糖を主成分とするバイオモース（
Ｂｉｏ−Ｍｏｓ，アルテック（Ａｌｔｅｃｈ）社製）という商品名の製品は高価
であるため、農家で大量に使用できない実情である。

【０００６】 〔発明が解決しようとする課題〕 そこで、本発明者らは、前記のような従来技術の問題を解決すべく鋭意研究し
た結果、オリゴ糖よりサイズが大きい多糖を適量動物飼料に添加することにより
、得られた動物飼料により動物の排便状態を改善し、下痢を効率的に防止し、ま
た成長を促進することができることを発見し、本発明を完成するに至った。 したがって、本発明の目的は、動物の排便状態を改善し、下痢を防止し、成長
を促進する動物飼料を提供することである。

【０００７】 〔課題を解決するための手段〕 前記目的を達成するために、本発明では単純多糖を固形分に対して０．０４〜
２重量％含有する動物飼料が提供される。

【０００８】 〔発明の実施の形態〕 以下、本発明をさらに詳細に説明する。 本発明に用いられる単純多糖の具体的な例としては、レバン、デキストラン、ア
ルターナン（ａｌｔｅｒｎａｎ）、ムタンおよびイヌリン（微生物生成イヌリン
）などが挙げられ、これらの多糖は単独または混合して使用してもよい。 なお、本発明に係る前記多糖は精製されたものを購入するか、生物学的方法に
よって砂糖から誘導されたものを使用してもよい。生物学的製法に特に限定はな
く、たとえば、微生物を用いた醗酵法または微生物醗酵液中の酵素を用いた酵素
反応法を用いてもよい。この際、バッチ式、連続式および固定化法などを用いて
もよい。このような方法で得られた多糖溶液はグルコース、フルクトース、砂糖
または各種のオリゴ糖を含有していてもよく、必要に応じてイオン交換法または
ゲル濾過法または膜分離法などの処理によって精製して共存する糖類を除去し高
純度の多糖に得ることができる。

【０００９】 本発明の具体的な実施態様によれば、本発明に用いられるレバンはフルクトー
ス分子がβ−２，６結合されたもので、約５〜１５％のβ−１，２−結合の分枝
鎖を含む単純多糖であり、本発明ではザイモモナス・モビリス（Ｚｙｍｏｍｏｎ
ａｓ ｍｏｂｉｌｉｓ）、バチルス種（Ｂａｃｉｌｌｕｓ ｓｐ．）、ラネラ・
アクアチリス（Ｒａｈｎｅｌｌａ ａｑｕａｔｉｌｉｓ）、グラコノバクター種
（Ｇｌｕｃｏｎｏｂａｃｔｅｒ ｓｐ．）などのような微生物、または植物由来
のレバンスクラーゼ（ｌｅｖａｎｓｕｃｒａｓｅ）酵素を用いて砂糖から製造で
きる。それ以外にも、レバンスクラーゼをコードする遺伝子を精製した後大腸菌
、酵母または枯草菌などのような微生物にこの遺伝子を導入し大量に発現させた
レバンスクラーゼを用いてレバンを製造することができる。

【００１０】 多糖の生産のために本発明に用いられる砂糖としては、精製された砂糖、黄色
糖および輸入原料糖のような粗砂糖などを挙げることができる。また、前記方法
によって得られる多糖は通常シロップ状や、これを再度適切な手段を通じて粉末
状または顆粒状に剤形化することができる。

【００１１】 本発明による動物飼料は固形分に対して前記多糖を０．０４〜２重量％含有す
ることを特徴とし、その他通常の動物飼料の成分を含有してもよい。また、本発
明に係る動物飼料は前記多糖を合成する酵素をコードする遺伝子で形質転換され
多糖を含有する形質転換植物体を含んでもよい。通常の飼料製造方法にしたがっ
て、本発明における多糖を飼料原料中に添加および混合し、粉末状、メッシュ（
ｍｅｓｈ）状およびペレット状などの適切な形態の製品に加工するか、または飼
料製品に直接添加および混合することにより、本発明に係る動物飼料を製造する
ことができる。

【００１２】 本発明に係る飼料はウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ニワトリ、アヒルなどの家畜や
家禽、イヌ、ネコ、サル、ラットなどの動物に適するが、これらに限定されるも
のではなく、動物園で飼育されるライオン、トラ、サルなどのその他の禽獣類に
も適合であり、好ましくは哺乳期の哺乳動物および乳雛期の家禽などに適する。
本発明によって製造された動物飼料は動物の排便状態を改善し、下痢を防止し、
ビフィズス菌など腸内の有用細菌の増殖をはじめ種々の成長因子に対して影響を
与え成長を促進することができる。また、幼い家畜の抗病力を増加させて免疫体
系を強化し、腸内有害菌の成長を抑制することができ、腸内毒素の生成を抑制す
るか腸疾患を予防する効果がある。

【００１３】 〔実施例〕 以下、本発明を下記実施例によってさらに詳細に説明する。但し、下記実施例
は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらに限定されるもの
ではない。

【００１４】 製造例１ レバンスクラーゼが高発現されるように考案された組換え大腸菌ＢＬ２１（Ｄ
Ｅ３）／ｐＥＬ１２（ＫＣＴＣ８６６１Ｐ；韓国特許公告第１４５９４６号）を
Ｍ９−ＺＢ培地（１ｌ中、トリプトン１０ｇ、ＮａＣｌ ５ｇ、塩化アンモニウ
ム１ｇ、リン酸二水素カリウム３ｇ、リン酸二ナトリウム６ｇ、ブドウ糖４ｇ、
１Ｍ硫酸マグネシウム１ｍｌ）に接種して３７℃で振盪培養しながら６００ｎｍ
での吸光度が０．７に到達するとＩＰＴＧ（シグマ社製）を１ｍＭになるように
添加し、レバンスクラーゼの発現を誘導した。３時間後培養液を遠心分離して菌
体を回収した後超音波で破砕し、破砕液を遠心分離して上澄液を酵素液として用
いた。

【００１５】 製造例２ ２５％砂糖溶液２０リットルに前記製造例１で得られた２，０００ユニットの
レバンスクラーゼ酵素液を加え、４℃で７日間培養させた。反応液中に生成され
た糖の濃度は４３％であり、糖成分の組成を次の表１に示す。

【００１６】

【表１】

【００１７】 製造例３ ２５％砂糖溶液１０リットルに前記製造例１で得られた１，０００ユニットの
レバンスクラーゼ酵素液を加え、混合物を４℃で７日間反応させた。反応が終了
後、反応液１０リットルにエタノール３０リットルを加えて反応液中の糖を沈殿
させた後沈殿物を乾燥して乾燥粉末９７０ｇを得た。生成した乾燥粉末の糖の組
成を次の表２に示す。

【００１８】

【表２】

【００１９】 実施例１ 離乳後配合飼料を摂取した生後９０日齢のブタを用い、配合飼料に代えて「食
品副産物湿式醗酵飼料」を摂取させて実験を行った。各番号群当り１４匹ずつ１
〜２１番群のブタを設定することにより、総２９４匹のブタに対して実験を行っ
た。 ブタを対照群（１〜３番群）と試験群（４〜２１番群）に分け、対照群は「食
品副産物湿式醗酵飼料」のみを、試験群は「食品副産物湿式醗酵飼料」７ｋｇに
前記製造例２で得られた反応液２０ｍｌ（糖固形分２５％）を添加した飼料（試
験飼料）を摂取させた。特に、４〜１０番群ブタは１０日間試験飼料を、１１〜
１７番群ブタは２０日間試験飼料を、１８〜２１番群ブタは１１０日間試験飼料
を給餌し、これらを各々第１試験群、第２試験群および第３試験群にした。対照
群および試験群はすべて水を自由に摂取させ、試験飼育を始めてから１１０日、
すなわち生後２００日経過した後出荷した。対照群および試験群の体重の変化（
試験開始前および試験終了時）および***便の状態（試験開始前および試験２日
、７日および１５日後）を下記表３に示す。

【００２０】

【表３】

【００２１】 前記表３から分かるように、本発明によって製造された多糖含有反応液を摂取
した試験群においてはブタの***便の状態が短い投与期間内に確実に改善され、
また対照群に比べて２．９〜３．６％の体重増加の効果があった。

【００２２】 実施例２ 生後７日齢の仔ブタに離乳後「クレムブル飼料」（ドドラム飼料（株）、韓国
）に代替給餌して実験を行った。各番号群当り５匹ずつ１〜１０番群のブタを設
定することにより、総５０匹のブタに対して実験を行った。 対照群（１〜２番群）と試験群（３〜１０番群）に分け、対照群は「クレムブ
ル飼料」のみを、試験群は「クレムブル飼料」５ｋｇに前記製造例２で得られた
乾燥粉末を２ｇ（０．０４％）（３〜４番群）、４ｇ（０．０８％）（５〜６番
群）、６ｇ（０．１２％）（７〜８番群）および１０ｇ（０．２％）（９〜１０
番群）添加した飼料（試験飼料）を摂取させ、各々の試験群を第１試験群、第２
試験群、第３試験群および第４試験群にした。対照群および試験群はすべて水を
自由に摂取させ、試験を始めてから１日後下痢頭数を測定して次の表４に示す。

【００２３】

【表４】

【００２４】 前記表４から分かるように、多糖粉末を添加した試験群においては仔ブタの排
泄便の状態が短い投与期間内に確実に改善され、配合飼料に糖乾燥粉末を０．０
８％以上仕込んだ試験飼料を摂取させた第２〜第４試験群においては下痢が発生
しなかった。

【００２５】 〔発明の効果〕 本発明によって製造された動物飼料は、動物の排便状態を改善し、下痢を防止
し、ビフィズス菌など腸内有用細菌の増殖をはじめ種々の成長因子に対して影響
を与え成長を促進することができる。また、幼い家畜の病気に対する抵抗力を増
加させて免疫体系を強化し、腸内有害菌の成長を抑制でき、腸内毒素の生成を抑
制するか腸疾患を予防する効果がある。 さらに、家畜の便が適当な固さに改善されるので、飼育場における***便の処
理および掃除などが容易になり、結果として家畜の衛生状態が良好となり、パッ
トにおいても***便の悪臭を軽減する効果が期待できる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ，ＴＲ)，ＯＡ(ＢＦ ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ， ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，Ｇ Ｍ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＭＺ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ， ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＧ，ＡＬ，ＡＭ， ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，Ｂ Ｚ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＲ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ ，ＤＭ，ＤＺ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ， ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，Ｊ Ｐ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ， ＭＷ，ＭＸ，ＭＺ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，Ｒ Ｕ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ ，ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ， ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ (72)発明者 リー サンキ 大韓民国 ソウル 143−751 グワンジン −グ グワンジャン−ドン ゴクドン ヴ ィラ ガドン ナン バー101 (72)発明者 ソン キバン 大韓民国 テジョン 305−755 ユソン− グ オ ウン−ドン ナンバー99 ハンビ ット アパートメン ト 110−802 (72)発明者 キム チョルホ 大韓民国 テジョン 300−766 ドン−グ ヨン ジェオン−ドン シンドンガ ア パートメント ２−１ 102 (72)発明者 ユーン ビョンデ 大韓民国 テジョン 305−390 ユソン− グ ジョンミン−ドン エクスポ アパー トメント 212− 1504 Ｆターム(参考） 2B150 BC01 BE04 DA61 DC14 DC15 DC16

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 単純多糖を固形分に対して０．０４〜２重量％含有する動物飼料
   。
2. 【請求項２】 単純多糖が単純多糖合成酵素をコードする遺伝子で形質転換され
   た形質転換植物体に含有された形態であることを特徴とする請求項１記載の動物
   飼料。
3. 【請求項３】 前記単純多糖がレバン、デキストラン、アルターナン（ａｌｔｅ
   ｒｎａｎ）、ムタン、イヌリンまたはこれらの混合物であるか、これらとグルコ
   ース、フルクトースまたは砂糖との混合物であることを特徴とする請求項１また
   は２記載の動物飼料。
4. 【請求項４】 前記レバンがレバンスクラーゼを用いて砂糖から誘導されたもの
   であることを特徴とする請求項３記載の動物飼料。