JP2003515489A - 車両のリジッドアクスルのための車軸懸架装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 車両、特にエアサスペンション式の商用車のリジッドアクスルのための車軸懸架装置であって、車軸（３）の上位に一方を該車軸（３）に結合され他方をシャシー（１ａ，１ｂ）に枢着式で結合された捻れ可能な４点アーム（４）が設けられており、該４点アームが、車両横方向で互いに間隔をおいて位置する各２つのジョイント（５，６，７，８）を介して車軸（３）及びシャシー（１ａ，１ｂ）に結合されており、各車両側方に、軸をガイドするために車両長手方向で延びる、車軸（３）及びシャシー（１ａ，１ｂ）を垂直方向可動に結合する少なくとも１本の車軸支柱（１１，１２）及び車軸（３）とシャシー（１ａ，１ｂ）との間を懸架するために少なくとも各１つの空気ばね構成ユニット（１９，２０）が配置されており、車軸支柱（１１，１２）が、それぞれ分子ジョイント（１５，１６）を介して車軸（３）に結合されている。車軸のジョイント式支承により、車軸懸架装置のシステム全体に関して著しく好適な弾性及びあらゆる走行条件下で一義的な運動学的状況の対応が得られるので、軸のバウンド及びリバウンド並びに揺動特性は、車軸の押曲がり若しくは捻れによってはネガティブに影響されない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、車両、特にエアサスペンション式の商用車のリジッドアクスルのた
めの車軸懸架装置であって、車軸の上位に一方を該車軸に結合され他方をシャシ
ーに枢着式で結合された捻れ可能な４点アームが設けられており、該４点アーム
が、車両横方向で互いに間隔をおいて位置する各２つのジョイントを介して車軸
及びシャシーに結合されており、各車両側方に、軸をガイドするために車両長手
方向で延びる、車軸及びシャシーを垂直方向可動に結合する少なくとも１本の車
軸支柱及び車軸とシャシーとの間を懸架するために少なくとも１つのばね構成ユ
ニットが配置されている形式のものに関する。

【０００２】 このような形式の車軸懸架装置は、例えばドイツ連邦共和国特許第１９５２１
８７４号明細書に基づき公知である。このような公知の車軸懸架装置の構造は、
原則的に単純且つスペース・コスト節約型であり、実地において概ね有利である
ことが判っている。但し、冒頭で述べた形式の車軸懸架装置は、従来技術に基づ
き公知の別の構成と同様、車軸が隣接して配置された車軸支柱と固定的に結合さ
れているという欠点を有している。このような固定は、車軸構造全体との協働に
おいてシャシーの自由度の運動学的な過剰規定を生ぜしめる。このことはやはり
、車軸構造内部の運動学的なプロセスの、特定の状況において規定されない経過
をもたらす。このことは場合によってはシャシー調整若しくは垂直方向及び横方
向のシャシー動力学にネガティブに作用する。

【０００３】 更に、駆動される車軸における運動学的な過剰規定は、駆動軸振動、この駆動
軸振動により惹起される駆動軸摩耗の増大及び使用される車軸ケーシングの高負
荷をもたらす恐れがある。

【０００４】 本発明の技術的な課題は、冒頭で述べた形式の車軸懸架装置を改良して、走行
動力学を最適化し、より少ない振動と摩耗の減少、並びに車軸構造の高められた
横方向剛性を得るために、運動学的な特性を改善することである。更に、個別構
成部材の数を大幅に削減して修理しやすくし、用いられる非懸架重量を大幅に削
減することが望ましい。

【０００５】 この課題は、本発明では請求項１の特徴部に記載の構成により解決される。本
発明では、車軸支柱が車軸に分子ジョイントを介して結合されているのが望まし
い。従来技術に基づき公知の車軸構造とは異なり、車軸のジョイント式支承によ
り、車軸懸架装置のシステム全体に関して著しく好適な弾性及びあらゆる走行条
件下で一義的な運動学的状況の対応が得られるので、軸のバウンド及びリバウン
ド並びに揺動特性は、車軸の押曲がり（Verzwaengung)若しくは捻れによっては
ネガティブに影響されない。

【０００６】 更に、本発明の特別な構成は請求項２以下に記載されている。

【０００７】 車軸支柱が、使用されるばね構成ユニット及び／又はショックアブソーバ用の
取付け部を有しているのが特に有利であるということが判った。この目的のため
に車軸支柱は、シャシーに枢着されていない自由端部において、当該車軸支柱を
車軸に結合する端部のための枢着ポイントを越えて延長されており、しかも、前
記自由端部には、一般に従来技術に基づいた構造の場合、車軸とシャシーとの間
に別個に配置されたばね構成ユニットが取り付けられている。このばね構成ユニ
ットの取付け部は、本発明では不動に又はジョイント式で構成されていてよく、
この場合、ジョイント式の結合は、付加的にばね構成ユニットの摩耗を低下させ
る。更に、この機能組込みは、構成部材の削減延いては削減された組込み時間及
び比較的小さな保管場所に基づいて車軸懸架装置の構造全体のコスト低下をもた
らす。ばね構成ユニットは、本発明による極めて単純な軸構成に基づいて、使用
される軸に最適に結合され得る。この場合、車軸支柱を立体的に見てＶ字形で配
置することが考えられ、このことは、結果的に付加的な横方向安定化をもたらす
。勿論、これに関連して、車軸支柱にばね構成ユニット用の各１つの取付け部を
設けることだけでなく、車軸を緩衝するために、例えば４つ又はそれ以上のばね
構成ユニット、有利には空気ばね部材を設けることも考えられる。

【０００８】 更に、車軸懸架装置の運動学的状況を本発明による構造により一層良好に適合
できるようにするためには、車軸支柱がシャシーにやはり分子ジョイントを介し
て固定されていると有利である。この別の分子ジョイントは、有利には車軸支柱
の車軸側の分子ジョイントよりも剛性のジョイント特性を有しているのが望まし
い。それというのも、これによりカルダニックな角度変化が、特にばね部材とし
て使用されるエアベローズによって減少されるからである。

【０００９】 更に、上側の４点アーム及び２つのジョイントを備えた下側の車軸支柱の分子
軸受けの三次元の運動学に基づき、両構成部材の正確な平行四辺形ガイドが可能
であり、この平行四辺形ガイドもやはり軸運動学全体にポジティブに影響を及ぼ
し且つ車両製作者にとって理想的な組込み条件を可能にする。特に、理想的な台
形ガイドにより、プロペラシャフトの摩耗ができるだけ少なく保持されるという
ことが保証されている。

【００１０】 以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。

【００１１】 図１には、長手方向支持体１ａ，１ｂを備えた商用車シャシー（詳しくは図示
せず）に設けられた本発明による車軸懸架装置が示されている。前記長手方向支
持体１ａ，１ｂは、それぞれ横方向で互いに間隔をおいて配置されており且つ横
方向支持体２ａ，２ｂによって互いに不動に結合されている。長手方向支持体１
ａ，１ｂの下位には車軸３が配置されており、この車軸３は、長手方向支持体１
ａ，１ｂに４点アーム（Vierpunktlenker)４を介して結合されている。この４点
アーム４は合計４つのジョイント５，６，７，８を有しており、各２つのジョイ
ント５，６がシャシーに、２つのジョイント７，８が車軸に固定されている。こ
の場合、車軸及びボディに固着されたジョイントは、車両横方向で見て互いに間
隔をおいて配置されている。更に図１からは、両長手方向支持体１ａ，１ｂそれ
ぞれに各１つのサイドブラケット９；１０が固定されており、このサイドブラケ
ット９；１０の下側の自由端部には各１本の車軸支柱１１；１２が各１つの分子
ジョイント１３，１４を介して枢着されているということが明らかである。

【００１２】 分子ジョイントとは原則的に、例えばボールジョイントとして図４に示したよ
うなジョイントである。この場合、分子ジョイントは内部に位置するジョイント
ボール３０，このジョイントボールを取り囲むケーシング３２及びジョイントボ
ール３０とケーシング３２との間に配置されたエラストマ３１から成っている。
図４の実施例では、ジョイントボール３０は２部分から構成されており、このジ
ョイントボール３０は内側の金属のジョイント軸３３と、このジョイント軸３３
に一体成形されたエラストマ製のアウタボール３４とから成っている。分子ジョ
イントの別の構成は、全体が金属から成るジョイントボール３０の構成を規定す
るか、又はボールの代わりに円筒形の内部構成部材を有していてよい。このよう
な分子ジョイントは、ジョイントボール３０とケーシング３２との間に配置され
たエラストマの選択に基づいて、ジョイントに作用する負荷に対応して適合され
得る。更に、エラストマ及び／又はケーシングの内部若しくはジョイントの内部
構成部材には少なくとも部分的に、ジョイント特性の所望の影響を生ぜしめる切
欠きが設けられていてよい。これにより、分子ジョイントは例えば１方向で比較
的小さな緩衝部を有しており且つこれに対応して前記方向に対してずらされた少
なくとも１方向で比較的大きな緩衝部を有している。

【００１３】 サイドブラケット９，１０に分子ジョイント１３，１４を介して枢着された車
軸支柱１１，１２は、それぞれほぼ水平方向で配置されており且つ分子ジョイン
ト１３，１４とは反対の側の端部において、本発明に基づき車軸３とそれぞれ別
の分子ジョイント１５，１６を介して結合されている。これらの分子ジョイント
１５，１６は原則的に上で説明した構成を有しており、車軸の運動により惹起さ
れてシャシーに導入される長手方向力の吸収も、垂直方向力及び角度変化（カル
ダニック）の吸収も可能にする。分子ジョイントを使用することにより、運動学
的な自由度の過剰規定が防止されるので、垂直方向及び横方向でのシャシー動力
学に関して最適な前進調整がもたらされる。

【００１４】 図２からは、車軸支柱１１，１２が分子ジョイント１５，１６用の枢着ポイン
トを越えて延長されており且つ自由端部にばね構成ユニット１９，２０のための
各１つの取付け部１７；１８を有しているということが明らかである。更に、車
軸支柱１１，１２とシャシー１ａ，１ｂとは、それぞれ各１つのショックアブソ
ーバ３５，３６を介して結合されている。取付け部１７，１８の組込みを伴う車
軸支柱１１，１２の延長は、一般に従来の車軸構造において使用される構成部材
の削減をもたらし、これにより、本発明による車軸構造のための保管場所及び組
込み時間を減少させる。

【００１５】 本発明による車軸構造の別の実施例を示した図３からは、車軸支柱１１；１２
が、前側の枢着部から分子ジョイント１３，１４を介して車両端部に向かって、
平面図で見て車両中心に向かって延びる方向を有していてよいということが明ら
かである。更に、この平面図からは、４点アーム４の位置及びこの４点アームの
車両ボディ若しくは車軸における枢着ポイントを看取することができる。

【００１６】 勿論、本発明に基づいて車軸を車軸支柱に枢着することは、図示の２つのばね
構成ユニットの代わりに３つ、４つ又はそれ以上のこのようなばね部材を使用す
るような構造、若しくはばね構成ユニット１９，２０が車両方向で見て車軸３の
前方又は後方に配置されているような構造に用いることも可能である。

【００１７】 車軸３の前方に取り付けられたばね構成ユニット１９，２０を有する実施例が
図５に示されている。この実施例では、ショックアブソーバ３５（３６）は取付
け部１８（１７）に固定され、エアベローズを備えたばね構成ユニット１９（２
０）は車軸支柱１２（１１）に組み付けられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による車軸懸架装置の第１実施例を車両方向で見て斜め前から見た斜視
図である。

【図２】 図１に示した車軸懸架装置を斜め後ろから見た斜視図である。

【図３】 本発明による車軸懸架装置の別の実施例の平面図である。

【図４】 本発明による車軸懸架装置に使用される分子ジョイントの断面図である。

【図５】 本発明による車軸懸架装置の更に別の実施例を車両方向で見て斜め前から見
た斜視図である。

【図６】 図５に示した矢印方向ＶＩで見た図を、車両ホイール無しで示したものである
。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ 長手方向支持体、 ２ａ，２ｂ 横方向支持体、 ３ 車軸、
４ ４点アーム、 ５，６，７，８ ジョイント、 ９，１０ サイドブラケッ
ト、 １１，１２ 車軸支柱、 １３，１４，１５，１６ 分子ジョイント、
１７，１８ 取付け部、 １９，２０ ばね構成ユニット、 ３０ ジョイント
ボール、 ３１ エラストマ、 ３２ ケーシング、 ３３ ジョイント軸、
３４ アウタボール、 ３５，３６ ショックアブソーバ

───────────────────────────────────────────────────── 【要約の続き】 は、車軸の押曲がり若しくは捻れによってはネガティブ に影響されない。

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両、特にエアサスペンション式の商用車のリジッドアクス
   ルのための車軸懸架装置であって、車軸（３）の上位に一方を該車軸（３）に結
   合され他方をシャシー（１ａ，１ｂ）に枢着式で結合された捻れ可能な４点アー
   ム（４）が設けられており、該４点アームが、車両横方向で互いに間隔をおいて
   位置する各２つのジョイント（５，６，７，８）を介して車軸（３）及びシャシ
   ー（１ａ，１ｂ）に結合されており、各車両側方に、軸をガイドするために車両
   長手方向で延びる、車軸（３）をシャシー（１ａ，１ｂ）と垂直方向可動に結合
   する少なくとも１本の車軸支柱（１１，１２）及び車軸（３）とシャシー（１ａ
   ，１ｂ）との間を懸架するために少なくとも各１つのばね構成ユニット（１９，
   ２０）が配置されている形式のものにおいて、 車軸支柱（１１，１２）が、それぞれ分子ジョイント（１５，１６）を介して
   車軸（３）に結合されていることを特徴とする、車両のリジッドアクスルのため
   の車軸懸架装置。
2. 【請求項２】 車軸支柱（１１，１２）が、ばね構成ユニット（１９，２０
   ）又はショックアブソーバ（３５，３６）のための取付け部（１７，１８）を有
   している、請求項１記載の車軸懸架装置。
3. 【請求項３】 ばね構成ユニット（１９，２０）又はショックアブソーバ（
   ３５，３６）のための取付け部（１７，１８）がジョイントとして構成されてい
   る、請求項２記載の車軸懸架装置。
4. 【請求項４】 前記ジョイントがボールジョイントである、請求項３記載の
   車軸懸架装置。
5. 【請求項５】 車軸支柱（１１，１２）が、それぞれ付加的に少なくとも１
   つのショックアブソーバ（３５，３６）を介してシャシー（１ａ，１ｂ）に結合
   されている、請求項１から４までのいずれか１項記載の車軸懸架装置。
6. 【請求項６】 車軸支柱（１１，１２）が、それぞれ分子ジョイント（１３
   ，１４）を介してシャシー（１ａ，１ｂ）に結合されている、請求項１から５ま
   でのいずれか１項記載の車軸懸架装置。
7. 【請求項７】 車軸支柱（１１，１２）のシャシー側の分子ジョイント（１
   ３，１４）が、当該車軸支柱（１１，１２）の車軸側の分子ジョイント（１５，
   １６）よりも剛性のジョイント特性を有している、請求項６記載の車軸懸架装置
   。
8. 【請求項８】 ばね構成ユニット（１９，２０）が車軸（３）の前方又は後
   方に配置されている、請求項１から７までのいずれか１項記載の車軸懸架装置。
9. 【請求項９】 車軸（３）の前後に各１つのばね構成ユニット（１９，２０
   ）が配置されている、請求項１から７までのいずれか１項記載の車軸懸架装置。