JP2003338641A - 熱電素子 - Google Patents

熱電素子

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JP2003338641A
JP2003338641A JP2002147356A JP2002147356A JP2003338641A JP 2003338641 A JP2003338641 A JP 2003338641A JP 2002147356 A JP2002147356 A JP 2002147356A JP 2002147356 A JP2002147356 A JP 2002147356A JP 2003338641 A JP2003338641 A JP 2003338641A
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thermoelectric
thermoelectric element
thermal expansion
thermal
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Tomohisa Arai
智久 新井
Takashi Rokutanda
貴史 六反田
Masami Okamura
正己 岡村
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱電半導体を用いた熱電素子において、半田
層に起因する熱応力などを低減することによって、熱疲
労による素子機能の低下や素子破壊の発生などを抑制す
る。 【解決手段】 熱電素子1は、支持部材2上に交互に配
列されたN型熱電半導体とP型熱電半導体5を、これら
の端部にそれぞれ半田層8、9を介して接合された第1
の電極6と第2の電極7とで直列に接続することにより
構成されている。熱電半導体4、5と電極6、7とを接
合する半田層8、9は、25℃から100℃までの平均線膨
張率が半田母材より小さい熱膨張抑制材、例えば金属粉
末、金属繊維、セラミックス粉末、セラミックス繊維な
どを、体積比で5〜80%の範囲で含む複合半田により構
成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱電半導体を利用
した熱電素子に関する。
【0002】
【従来の技術】ビスマス(Bi)−テルル(Te)系、
鉄(Fe)−シリサイド(Si)系、コバルト(Co)
−アンチモン(Sb)系などの熱電半導体を利用した熱
電素子は、冷却もしくは加熱装置などとして利用されて
いる。熱電素子は小型・薄型で、かつ液体や気体などの
熱媒体(冷媒など)を使用することなく冷却の実施が可
能であることから、最近ではコンピュータのCPUやレ
ーザ素子などの高発熱半導体装置の冷却装置として注目
されている。また、これら以外の用途においても、各種
の分野で冷却装置や加熱装置として使用されている。
【0003】このような熱電素子は、例えば複数個のP
型熱電半導体とN型熱電半導体とを交互に配置し、これ
ら複数個の熱電半導体を一方の端部側に配置される吸熱
側電極と他方の端部側に配置される放熱側電極で直列に
接続した構造を有している。このような熱電素子におい
て、N型熱電半導体からP型熱電半導体の方向に直流電
流を流すと、ペルチェ効果により熱電半導体の一方の端
部側で吸熱が起こると共に、他方の端部側で放熱(発
熱)が起こるため、吸熱側に被冷却部材や装置などを配
置することで冷却を実施することができる。
【0004】熱電素子の具体的な構造としては、例えば
以下に示すようなπ型構造が知られている(例えば特開
平7-321379号公報、特開平11-340527号公報、特開2001-
332773公報、特開2001-352107公報など参照)。すなわ
ち、第1の金属電極群(放熱側電極群)が形成されたセ
ラミックス基板などの支持部材を用意し、第1の金属電
極群上にそれぞれ複数個のP型熱電半導体とN型熱電半
導体とを交互に配置する。P型熱電半導体とN型熱電半
導体の上端部側には第2の金属電極群(吸熱側電極群)
を配置し、最終的に全ての熱電半導体が電気的に直列に
接続されるように、各金属電極とP型およびN型熱電半
導体とを接合する。これら金属電極と熱電半導体との接
合には一般に半田が用いられている。
【0005】ところで、上記したようなπ型熱電素子の
動作時において、各構成部材(支持部材、金属電極、半
田層、熱電半導体など)は冷熱サイクルを繰返し受ける
ことになる。熱電素子は吸熱側と放熱側の熱膨張(伸
び)が異なることから、熱電素子全体にたわみが生じ
る。さらに、各構成部材間には熱膨張率に差があること
から、局所的には冷熱サイクルの印加時に熱応力が発生
する。特に、支持部材にセラミックス基板を用いた場
合、他の構成材料との熱膨張差が大きいため、冷熱サイ
クルの繰返しにより生じる熱応力が大きくなる。これら
素子全体のたわみや構成材料間の熱膨張差に起因する熱
応力によって、熱電素子は動作時に熱疲労を受けること
になり、この熱疲労により生じる亀裂や接合界面の剥離
などが素子性能の劣化、さらには素子破壊などの発生原
因となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の熱電素子においては冷熱サイクルの印加に伴う熱疲労
によって種々の問題が生じている。上述した各構成材料
間の熱膨張差に基づく熱応力のうち、半田は他の構成材
料に比べて熱膨張率が大きいことから、半田が接合され
る部材および半田自体にかかる熱応力は大きく、半田層
の厚さが厚い場合には熱応力による影響が顕著になる。
このような半田層に起因する熱応力は、熱電半導体と半
田層との接合界面に亀裂を生じさせたり、また半田層や
熱電半導体自体に亀裂を生じさせることになる。これら
が熱電素子の性能劣化や素子破壊の大きな要因となって
いる。
【0007】さらに、半田が接合される部材のうち熱電
半導体は脆性材料で機械的強度も低いため、熱電半導体
に疲労亀裂が生じやすい。また、半田自体も疲労強度が
低いことから、半田層自体にも疲労亀裂が生じやすい。
熱電素子は複数の熱電半導体を全て直列に接続して構成
されているため、熱電半導体や半田層、あるいはこれら
の接合界面に1箇所でも亀裂が生じると、素子全体とし
ての抵抗値が上昇するなどして、熱電素子の機能が損な
われることになる。
【0008】本発明はこのような課題に対処するために
なされたもので、半田層に起因する熱応力などを低減す
ることによって、熱疲労による素子機能の低下や素子破
壊の発生を抑制することを可能にした熱電素子を提供す
ることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の熱電素子は、請
求項1に記載したように、支持部材と、前記支持部材上
に交互に配列されたP型熱電半導体およびN型熱電半導
体と、前記支持部材の表面に設けられていると共に、前
記P型熱電半導体およびN型熱電半導体の一方の端部に
半田層を介して接合された第1の電極と、前記P型熱電
半導体およびN型熱電半導体が直列に接続されるように
他方の端部に半田層を介して接合された第2の電極とを
具備する熱電素子において、前記半田層は25℃から100
℃までの平均線膨張率が半田母材より小さい熱膨張抑制
材を体積比で5〜80%の範囲で含む複合半田からなるこ
とを特徴としている。
【0010】本発明の熱電素子において、複合半田は請
求項2に記載したように25℃から100℃までの平均線膨
張率が12×10-6〜21×10-6/℃の範囲であることが好ま
しい。また、平均線膨張率が半田母材より小さい熱膨張
抑制材としては請求項3に記載したように、例えば金属
粉末、金属繊維、セラミックス粉末、およびセラミック
ス繊維から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0011】本発明の熱電素子においては、上述したよ
うに熱膨張率が半田母材より小さい熱膨張抑制材を含む
複合半田で半田層を構成している。このような半田層に
よれば、熱膨張抑制材を含むことで半田層の熱膨張率自
体を低下させていることに加えて、半田層の熱膨張(伸
び)が熱膨張抑制材により機械的に拘束されるため、熱
電素子の冷熱動作に伴う半田層の熱変形を抑えることが
できる。従って、半田層に接合されている熱電半導体や
半田層自体に加わる熱応力が緩和され、熱電半導体や半
田層自体の熱疲労による亀裂発生などを抑制することが
できる。また半田層に亀裂が生じたとしても、熱膨張抑
制材は亀裂の伝播を阻止する機能を有するため、半田層
の信頼性を大幅に高めることができる。これらによっ
て、熱電素子の熱サイクルによる機能低下や素子破壊な
どを抑制することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。図1は本発明の一実施形態による
熱電素子の概略構造を示す断面図であり、図2はその要
部を拡大して示す断面図である。これらの図に示す熱電
素子1は上下に支持部材2、3を有しており、これら下
部支持部材2と上部支持部材3とは対向配置されてい
る。この実施形態の熱電素子1は下部支持部材2側が放
熱面、上部支持部材3側が吸熱面とされている。
【0013】これら支持部材2、3のうち、下部支持部
材(放熱側支持部材)2は熱電素子1の構造支持体とし
て機能するものであり、例えばアルミナ基板、窒化アル
ミニウム基板、窒化珪素基板などの絶縁性のセラミック
ス基板を用いることが好ましい。上部支持部材3(吸熱
側支持部材)には、下部支持部材2と同様に絶縁性基板
であるセラミックス基板を用いてもよいし、また下部支
持部材2で素子構造全体を十分に支持可能であれば、上
部支持部材3は絶縁性樹脂基板や絶縁性樹脂フィルムな
どで構成してもよい。
【0014】上述した下部支持部材2と上部支持部材3
との間には、複数のN型熱電半導体4とP型熱電半導体
5とが交互に配列されており、これらは素子全体として
はマトリックス状に配置されている。熱電半導体4、5
には各種公知の材料を使用することができ、その代表例
としてBi−Te系熱電半導体が挙げられる。Bi−T
e系熱電半導体としては、BiおよびSbから選ばれる
少なくとも1種の元素と、TeおよびSeから選ばれる
少なくとも1種の元素とを必須元素として含み、さらに
必要に応じてI、Cl、Br、Hg、Au、Cuなどの
添加元素を含む化合物半導体が知られている。熱電半導
体4、5はBi−Te系熱電半導体に限られるものでは
なく、例えばFe−Si系、Co−Sb系などの各種の
熱電半導体を適用することが可能である。
【0015】複数のN型熱電半導体4およびP型熱電半
導体5は、N型熱電半導体4からP型熱電半導体5の方
向に、すなわちN型熱電半導体4、P型熱電半導体5、
N型熱電半導体4、P型熱電半導体5…の順に直流電流
が流れるように、下部支持部材2側に設けられた第1の
電極6と上部支持部材3側に設けられた第2の電極7に
より電気的に直列に接続されている。これら第1および
第2の電極6、7はそれぞれ複数個で電極群を構成して
いる。なお、各電極6、7は例えば銅板やアルミニウム
板などの金属板、もしくは金属の被着層などにより構成
される。
【0016】すなわち、下部支持部材2の表面には放熱
側電極となる第1の電極6が複数設けられている。一
方、上部支持部材3側には吸熱側電極となる第2の電極
7が複数配置されている。吸熱側の第2の電極7は、隣
り合うN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とをこの順
で電気的に接続する形状を有している。放熱側の第1の
電極6は、両端部の電極(リード引出し電極)を除い
て、隣り合うP型熱電半導体5とN型熱電半導体4とを
この順で電気的に接続する形状を有している。
【0017】N型熱電半導体4およびP型熱電半導体5
の下側端部(放熱側端部)は、図2に拡大して示すよう
に、それぞれ半田層8を介して第1の電極6に接合され
ている。また、N型熱電半導体4およびP型熱電半導体
5の上側端部(吸熱側端部)は、同様に半田層9を介し
て第2の電極7に接合されている。このように、隣り合
うN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とを、それぞれ
第1の電極6と第2の電極7で順に接続することによっ
て、熱電素子1全体として見た場合に、複数のN型熱電
半導体4と複数のP型熱電半導体5とが交互に直列接続
されている。
【0018】このような熱電素子1に直流電源10から
N型熱電半導体4からP型熱電半導体5の方向に直流電
流を流すと、ペルチェ効果によって熱電半導体4、5の
上端部側では吸熱が起こり、下端部側では放熱が起こ
る。従って、熱電素子1の吸熱側に相当する上部支持部
材3に被冷却体(冷却する部材や装置)を当接させるこ
とによって、被冷却体から熱を奪って冷却が行われる。
被冷却体から奪った熱は熱電素子1の放熱側に相当する
下部支持部材2側から放熱される。
【0019】上述した構造を有する熱電素子1におい
て、熱電半導体4、5と第1および第2の電極6、7と
の接合を担う半田層8、9は、それぞれ25℃から100℃
までの平均線膨張率が半田母材より小さい熱膨張抑制材
を、体積比で5〜80%の範囲で含む複合半田により構成
されている。ここで、半田層8、9の母材となる半田材
料(半田母材)には、一般的に電子部品の接合に用いら
れている各種の半田を適用することができる。具体的に
は、Sn−Pb系、Pb−Sn系、Sn−Pb−Bi
系、Sn−Pb−Ag系、Sn−Ag系、Sn−Sb
系、Pb−Ag系、Bi−Sn系、Bi−Pb−Sn系
などの各種の半田を使用することができ、半田材料自体
は特に限定されるものではない。
【0020】半田層8、9を構成する複合半田は、上記
したような各種の半田母材に、それより平均線膨張率
(25〜100℃)が小さい熱膨張抑制材を、複合半田全体
に対する体積比が5〜80%の範囲となるように添加した
ものであり、複合半田自体の平均線膨張率(25〜100
℃)は12×10-6〜21×10-6/℃の範囲であることが好ま
しい。このような複合半田を使用して半田層8、9を形
成することによって、熱電素子1の冷熱動作時における
半田層8、9の熱膨張(熱による伸び)を抑制し、これ
によって熱電素子1の熱サイクルによる機能低下や素子
破壊などを防ぐことを可能にしている。
【0021】すなわち、熱電素子においては、一般的に
通電して冷熱動作させた際の熱膨張量(伸び)が吸熱側
と放熱側とでは異なり、特に放熱側電極と熱電半導体と
の間に介在する半田層には基板面方向に大きな応力が加
わる。例えば図3に示すように、従来の通常の半田で形
成した半田層8′、9′を有する熱電素子1′において
は、冷熱動作時の熱膨張量(伸び)が吸熱側(図中矢印
Bで示す)に比べて放熱側(図中矢印Aで示す)の方が
大きいため、放熱側電極6と熱電半導体4、5との間に
介在する半田層8′の伸びが大きくなる。また、通常の
半田で形成した半田層8′、9′は熱電半導体4、5と
の間の熱膨張差も大きい。
【0022】これらによって、従来の熱電素子1′にお
いては熱電半導体4、5(特に放熱電極6側)に大きな
熱応力(図中矢印Cで示す)が作用する。このような熱
応力が熱電半導体4、5に亀裂X1を生じさせたり、さ
らに熱電半導体4、5と半田層8′、9′との接合界面
に亀裂X2を生じさせることになる。また、通常の半田
で形成した半田層8′、9′はそれ自体の疲労強度も低
いため、半田層8′、9′自体にも亀裂X3が生じやす
い。これら熱電半導体4、5や半田層8′、9′などの
亀裂Xは熱電素子1′の抵抗値の上昇原因などとなるこ
とから、素子性能の低下を招くことになる。さらに、亀
裂Xが進展すると熱電素子1′の破壊が生じてしまう。
【0023】上述したような従来の素子構造に対して、
この実施形態の熱電素子1は半田層8、9を半田母材よ
り平均線膨張率(25〜100℃)が小さい熱膨張抑制材を
含む複合半田で構成しているため、上述したような亀裂
の発生を抑制することができ、さらに亀裂が発生した場
合においてもその進展を防ぐことができる。すなわち、
熱膨張抑制材を添加することで半田層8、9の熱膨張率
自体を低下させているため、熱電半導体4、5などとの
熱膨張差が従来に比べて小さい。これは熱膨張差に起因
する熱応力の緩和に寄与する。
【0024】このような点から熱膨張抑制材を含む複合
半田の平均線膨張率(25〜100℃)は12×10-6〜21×10
-6/℃の範囲であることが好ましい。複合半田の平均線
膨張率が21×10-6/℃を超えると、熱膨張差の抑制効果
を十分に得ることができない。一方、複合半田の平均線
膨張率が12×10-6/℃未満の場合には、例えば半田付け
時に熱電半導体4、5に亀裂が生じやすくなり、逆に疲
労特性を低下させるおそれがある。複合半田の平均線膨
張率(25〜100℃)は13×10-6〜19×10-6/℃の範囲と
することがより好ましく、さらに好ましくは15×10-6
19×10-6/℃の範囲である。
【0025】また、熱膨張抑制材は半田層8、9の熱膨
張率を低下させるだけでなく、半田層8、9の熱膨張
(伸び)を機械的に拘束する機能を有し、さらに機械的
強度の向上にも効果を発揮する。すなわち、熱電素子1
の冷熱動作に伴う半田層8、9の伸びが熱膨張抑制材に
より拘束されるため、半田層8、9の熱変形量を低減す
ることができる。従って、半田層8、9と直接接してい
る熱電半導体4、5に加わる応力や半田層8、9自体に
加わる応力を緩和することができる。このようにして熱
応力を緩和することで、熱電半導体4、5や半田層8、
9自体の熱疲労による亀裂発生などを抑制することが可
能となる。
【0026】さらに、半田層8、9に亀裂が生じたとし
ても、熱膨張抑制材は亀裂の伝播を阻止する機能を有す
ることから、亀裂の進展による素子機能の低下や素子破
壊の発生を防ぐことができ、半田層8、9の信頼性を大
幅に高めることができる。熱膨張抑制材は半田層8、9
の機械的強度の向上に対しても効果を発揮するため、こ
の点からも亀裂の発生や進展を妨げることができる。こ
のように、熱電素子1においては熱電半導体4、5や半
田層8、9自体の熱疲労による亀裂の発生や進展が抑え
られ、これらによって熱電素子1の熱サイクルによる機
能低下や素子破壊などを抑制することが可能となる。す
なわち、熱電素子1の長期信頼性、特に冷熱サイクルが
頻繁に付加されるような条件下で使用される熱電素子1
の長期信頼性を大幅に高めることができる。
【0027】上述したような複合半田からなる半田層
8、9は、通常の半田ペーストに熱膨張抑制材を十分に
混練して複合半田ペーストを作製し、このような複合半
田ペーストを用いて電極6、7と熱電半導体4、5とを
半田付けすることで形成されるものであって、熱膨張抑
制材が分散された半田層8、9となる。熱膨張抑制材は
複合半田全体に対して体積比で5〜80%の範囲となるよ
うに添加するものとする。なお、熱膨張抑制材の体積比
は、半田の金属成分と熱膨張抑制材との質量比と各成分
の真密度から算出した値である。
【0028】熱膨張抑制材の添加量が5体積%未満であ
ると、半田層8、9の熱膨張率の低減効果や熱変形の抑
制効果などを十分に得ることができない。一方、熱膨張
抑制材の添加量が80体積%を超えると、半田層8、9に
空隙などが生じやすくなって逆に強度を低下させたり、
また熱伝導率や導電性などを低下させるなどの不具合が
生じる。さらに、過剰な熱膨張抑制材の添加は半田ペー
ストの流動性の低下原因となるため、半田付け時の作業
性なども悪化する。
【0029】熱膨張抑制材の添加量は、複合半田全体に
対して体積比で10〜60%の範囲(さらには20〜60%の範
囲)とすることがより好ましい。さらに、熱膨張抑制材
の添加量は構造支持体としての下部支持部材2や熱電半
導体4、5の平均線膨張率の値を考慮して、複合半田の
平均線膨張率(25〜100℃)が適切な値となるように制
御することが好ましい。ここで、複合半田の平均線膨張
率はおおよそ半田母材の線膨張率と熱膨張抑制材の線膨
張率および弾性率をそれぞれの体積比を基に複合則によ
り算出した値となるため、この複合半田の平均線膨張率
の値と下部支持部材2や熱電半導体4、5の平均線膨張
率の値とを考慮して、熱膨張抑制材の添加量を最適化す
ることが望ましい。
【0030】上述したような熱膨張抑制材には、半田母
材より小さい平均線膨張率(25〜100℃)を有する材料
であれば各種粉末や繊維を適用することができ、例えば
金属粉末、金属繊維、セラミックス粉末、セラミックス
繊維(ガラス繊維を含む)などから選ばれる少なくとも
1種を用いることができる。また、熱膨張抑制材には平
均線膨張率が小さいことに加えて、半田母材とその接合
温度以下では合金化もしくは反応しにくい材料を使用す
ることが好ましい。熱膨張抑制材自体が半田母材と合金
化もしくは反応してしまうと、熱膨張抑制材としての機
能が損なわれたり、また半田自体の特性が低下するおそ
れがある。
【0031】このようなことから、熱膨張抑制材に金属
粉末や金属繊維を適用する場合には、W、Mo、Cr、
Zr、Ti、V、Nb、低熱膨張Fe基合金などを使用
することが好ましい。これらの金属や合金はいずれも熱
膨張率が小さいと共に、半田材料との反応性が低いもの
である。なお、低熱膨張Fe基合金としては、インバー
合金(例えばFe−36質量%Ni)、スーパーインバー
合金(例えばFe−31質量%Ni−5質量%Co)、コ
バール合金(例えばFe−29質量%Ni−17質量%C
o)、42アロイ(Fe−42質量%Ni)などが挙げられ
る。
【0032】一方、セラミックス材料は一般的に熱膨張
率が小さく、かつ金属材料との濡れが小さくて反応しに
くいことから、半田層8、9中に分散させる熱膨張抑制
材に好適な材料である。セラミックス粉末およびセラミ
ックス繊維の構成材料は特に限定されるものではなく、
例えばアルミナ、シリカ、炭化珪素、炭素、およびこれ
らの複合化合物などが使用され、またガラス繊維などを
使用してもよい。セラミックス繊維としては、ウィスカ
ー、短繊維、長繊維などの種々の繊維状物質を使用する
ことができる。
【0033】上述したように、熱膨張抑制材には半田母
材とその接合温度以下で合金化もしくは反応しにくい材
料を使用することが好ましいものの、熱膨張抑制材(粒
子や繊維)と半田基地(母材)との結合力が弱すぎて、
例えば粒子や繊維が半田基地から容易に抜け落ちるよう
な状態では、これらの間で十分に力を伝達することがで
きないことから、半田層8、9の熱膨張を拘束する効果
などが損なわれることになる。そこで、熱膨張抑制材に
半田母材との反応性が低い材料を使用する場合には、予
め粉末や繊維の表面に半田との濡れ性がよい材料を、例
えばめっき法や蒸着法などでコーティングしておくこと
が好ましい。熱膨張抑制材の表面コーティング材には、
Ni、Cu、Ag、Au、およびこれらの元素を含む合
金などを適用することが好ましい。
【0034】また、熱膨張抑制材として金属粉末やセラ
ミックス粉末を使用する場合には、平均粒径が32μm以
下の粉末を使用することが好ましい。粉末の平均粒径が
32μmを超えると、熱膨張抑制材(粒子)と半田基地
(母材)との結合力が弱まって十分に力の伝達がなされ
ず、半田層8、9の熱膨張を拘束する効果などが損なわ
れるおそれがある。金属粉末やセラミックス粉末の平均
粒径の下限値は特に限定されるものではないが、取扱い
やすさ(自然発火の抑制)などを考慮して、平均粒径が
0.1μm以上の粉末を使用することが好ましい。
【0035】熱膨張抑制材として金属繊維やセラミック
ス繊維を使用する場合には、繊維状物質による熱膨張の
拘束効果を十分に得る上で、平均アスペクト比(繊維の
長さ(長径)/繊維の直径(短径))が2以上の繊維を
使用することが好ましい。このような繊維をその長さ方
向が半田層8、9の面方向に配列するように分散させる
ことによって、半田層8、9の面方向への伸び(熱膨
張)をより効果的に抑制することができる。繊維の直径
(短径)については、粉末の平均粒径と同様な理由から
30μm以下であることが好ましい。すなわち、直径(太
さ)があまり大きい繊維では半田基地(母材)との間で
十分に力の伝達がなされず、半田層8、9の熱膨張を拘
束する効果などが損なわれるおそれがある。
【0036】上述したような構成を有する熱電素子1
は、コンピュータのCPUのような超高集積回路素子や
レーザ素子などの高発熱半導体装置の冷却装置をはじめ
として、各種分野における冷却装置に好適に用いられる
ものである。熱電素子1の吸熱面と被冷却体(各種装置
や部品)との接触は直接行ってもよいが、例えばシリコ
ーングリースなどを介して接触させることが好ましい。
この場合、シリコーングリースには黒鉛粉末や窒化硼素
粉末などの高熱伝導性の粉末を配合しておくことが好ま
しく、これによって熱伝達効率をより一層高めることが
できる。さらに、黒鉛粉末や窒化硼素粉末などを含むシ
リコーングリースは摩耗によるせん断応力の低減効果な
どを有することから、熱電素子を用いたモジュールの熱
サイクル疲労などを軽減することが可能となる。
【0037】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について述べ
る。
【0038】実施例1〜2、比較例1 まず、平均粒径が1.5μmの炭素粉末(平均線膨張率(25
〜100℃):3〜4×10- 6/℃)を用いて、その表面に予
めNiめっきで表面コーティングを施したもの(実施例
1)と表面コーティングを施していないもの(実施例
2)とを用意した。これら各炭素粉末をPb−Sn系半
田ペースト中に、半田金属と炭素粉末との体積比が70/
30となるように配合し、これらを十分に混練して複合半
田ペーストをそれぞれ作製した。
【0039】上述した各複合半田ペーストを用いて、図
4に示す試験用熱電素子を以下のようにして作製した。
まず、10mm×15mm×厚さ1.5mmのアルミナセラミックス
基板11と4mm×12mm×厚さ0.5mmの電気銅電極材12と
を、DBC法(銅と酸化銅の共晶温度以上で銅の融点以
下の温度に加熱して、ろう材を用いずに直接接合する方
法)で接合した後、電気銅電極材をエッチングでパター
ニングすることによって、放熱側電極12a、12bを
形成した。これら放熱側電極12a、12bと4mm×8mm
×厚さ0.5mmの電気銅電極材からなる吸熱側電極13と
で、3mm角の立方体に加工したBi−Te系のN型熱電
半導体14とP型熱電半導体15を挟み込むようにして
接合した。
【0040】各電極12a、12b、13とN型熱電半
導体14およびP型熱電半導体15との接合は、上記し
た2種類の複合半田ペーストをそれぞれ用い、接合面に
複合半田ペーストを塗布した後に昇温して半田を溶融さ
せることにより実施した。半田接合後に形成された各半
田層16、17は炭素粉末をそれぞれ含むものである。
各半田層16、17の厚さは0.1mmとした。炭素粉末を3
0体積%含む複合半田の平均線膨張率(25〜100℃)は14
×10-6/℃である。この複合半田の平均線膨張率は、直
径5mmのグラファイト型で複合半田をホットプレスし、
丸棒状試料を作製して測定した。
【0041】また、Bi−Te系のN型熱電半導体14
にはBi28at.%−Te57at.%−Sb12at.%−Se3a
t.%の組成のものを使用し、Bi−Te系のP型熱電半
導体15にはBi10at.%−Te57at.%−Sb10at.%
−Se3at.%の組成のものを使用した。これらBi−T
e系熱電半導体14、15の平均線膨張率(25〜100
℃)は約13×10-6/℃である。各熱電半導体14、15
は接合面に予めニッケルめっきが施されている。この
後、吸熱側電極13上にフッ素系絶縁樹脂フィルム18
を張り付けると共に、通電用のリード線19を取り付け
て、それぞれ試験用熱電素子20とした。
【0042】一方、本発明との比較例1として、炭素粉
末を含まないPb−Sn系半田ペースト(通常の半田ペ
ースト)を用いる以外は、上記実施例1と同様にした試
験用熱電素子20を作製した。ちなみに、Pb−Sn系
半田ペーストのみによる半田層の平均線膨張率(25〜10
0℃)は23×10-6/℃である。
【0043】このようにして得た実施例1、実施例2お
よび比較例1の各試験用熱電素子20に通電を繰り返し
て熱疲労試験を行った。熱疲労試験の具体的な条件は以
下の通りである。試験用熱電素子20はセラミックス基
板11側が放熱側であり、水冷した銅製ブロックを押し
付けて強制冷却して常に25℃とした。通電する電流は吸
熱側の絶縁樹脂フィルム18の中央部分の温度が10℃/
分の昇温速度となるように調整し、最大80℃となった時
に電流を零にした。吸熱側絶縁樹脂フィルム18の中央
部分の温度が30℃まで低下した時点で再度通電を行っ
た。この通電パターンを1サイクルとして熱疲労試験を
実施した。疲労の進行状況については放熱側電極12
a、12b間の抵抗値の変化を測定して判断した。図5
に各試験用熱電素子20の熱サイクル数(通電サイクル
数)と抵抗値変化との関係をそれぞれ示す。
【0044】図5から明らかなように、炭素粉末を含ま
ないPb−Sn系半田ペーストを用いた比較例1の試験
用熱電素子は抵抗値の上昇が早く、100サイクル程度で
通電不良となっているのに対して、実施例1および実施
例2の試験用熱電素子はいずれも300サイクル以上の熱
サイクル後においても十分な通電状態が保たれており、
耐熱疲労特性に優れていることが分かる。特に、Niめ
っきを施した炭素粉末を用いた実施例1においては、50
0サイクル以上の耐熱サイクル性を示しており、熱電素
子の長期信頼性を大幅に高めることが可能となる。
【0045】なお、熱疲労試験後の各素子の状態を詳細
に観察したところ、比較例1の試験用熱電素子では半田
層に亀裂が生じていると共に、熱電半導体にへき開破壊
が認められた。一方、実施例1の試験用熱電素子におい
ては、半田層および熱電半導体のいずれにも異常は認め
られなかった。ただし、実施例2の試験用熱電素子につ
いては、熱電半導体にわずかなへき開亀裂が認められ
た。このことからは、炭素粉末の表面には半田濡れ性の
高い金属などをコーティングすることが有効であること
が分かる。
【0046】実施例3、比較例2 まず、平均粒径が3μmのMo粉末(平均線膨張率(25〜
100℃):5.1×10-6/℃)を用意した。このMo粉末を
Pb−Sn系半田ペースト中に、半田金属とMo粉末と
の体積比がそれぞれ表1に示す混練比となるように配合
し、これらを十分に混練して複合半田ペーストをそれぞ
れ作製した。これら各複合半田ペーストを用いる以外
は、上記した実施例1と同様にして試験用熱電素子をそ
れぞれ作製した。Mo粉末を含む各複合半田の平均線膨
張率(25〜100℃)は表1に示すとおりである。これら
複合半田の平均線膨張率は、直径5mmのグラファイト型
で複合半田をホットプレスし、それぞれ丸棒状試料を作
製して測定した。以下の実施例についても同様である。
【0047】このようにして得た各試験用熱電素子の熱
疲労試験を実施例1と同様にして実施した。各素子の疲
労寿命は表1に示す通りである。なお、疲労寿命は放熱
側電極12a、12b間の抵抗値変化が初期値の70%に
なった時点とし、その際の熱サイクル数で疲労寿命を示
した。
【0048】
【表1】
【0049】表1から明らかなように、Mo粉末(熱膨
張抑制材)の体積比で5%、また複合半田の平均線膨張
率(25〜100℃)で21×10-6/℃を境にして、熱電素子
の疲労寿命の顕著な向上効果が認められた。また、Mo
粉末(熱膨張抑制材)の体積比が80%を超える場合に
は、平均線膨張率は十分に小さい値となるものの、疲労
寿命の向上効果は激減した。これは半田ペーストの流動
性が著しく悪化して熱電半導体との接合力が低下したこ
と、また半田層中の半田金属とMo粒子との結合が不十
分になったことによる。試料No.9の素子では、これらに
起因するものと考えられる亀裂が半田層や熱電半導体に
生じていることが認められた。
【0050】実施例4 熱膨張抑制材として各種金属粉末や合金粉末を使用し
て、それらの効果を確認した。具体的には、表2に示す
平均粒径を有する各金属粉末を用意し、これら各金属粉
末をPb−Sn系半田ペースト中に、半田金属と金属粉
末との体積比がそれぞれ表1に示す混練比となるように
配合し、これらを十分に混練して複合半田ペーストをそ
れぞれ作製した。これら各複合半田ペーストを用いる以
外は、上記した実施例1と同様にして試験用熱電素子を
それぞれ作製した。各複合半田の平均線膨張率(25〜10
0℃)は表2に示す通りである。これら各試験用熱電素
子の熱疲労試験を実施例3と同様にして実施し、疲労寿
命を測定した。各素子の疲労寿命は表2に示す通りであ
る。
【0051】
【表2】
【0052】表2から明らかなように、熱膨張率が小さ
いW、Cr、Zr、Ti、V、Nbなどの金属粉末、あ
るいは低熱膨張Fe基合金(インバー合金や42アロイな
ど)の粉末を、熱膨張抑制材として使用して半田層に分
散させることによって、熱電素子の熱疲労を軽減して疲
労寿命を改善し得ることが分かる。なお、実施例4で用
いた各金属粉末の25〜100℃の平均線膨張率は、Wが4.5
×10-6/℃、Crが6.5×10-6/℃、Zrが5.0×10-6
℃、Tiが8.9×10-6/℃、Vが8.3×10-6/℃、Nbが
7.2×10-6/℃、インバー合金が1.2×10-6/℃、42アロ
イが5.3×10-6/℃である。
【0053】実施例5、比較例3 まず、平均アスペクト比が10、平均短径が0.5μmの炭化
珪素ウィスカー(平均線膨張率(25〜100℃):5.0×10
-6/℃)を用意し、その表面に予めNiめっきで表面コ
ーティングを施した。この炭化珪素ウィスカーをPb−
Sn系半田ペースト中に、半田金属と炭化珪素ウィスカ
ーとの体積比が25/75(=炭化珪素ウィスカー/半田金
属)となるように配合し、これらを十分に混練して複合
半田ペーストを作製した。この複合半田ペーストを用い
る以外は、上記した実施例1と同様にして試験用熱電素
子を作製した。炭化珪素ウィスカーを25体積%含む複合
半田の平均線膨張率(25〜100℃)は14×10-6/℃であ
る。
【0054】一方、本発明との比較例3として、炭化珪
素ウィスカーを含まないPb−Sn系半田ペースト(通
常の半田ペースト)を用いる以外は、上記実施例5と同
様にして試験用熱電素子を作製した。ちなみに、Pb−
Sn系半田ペーストのみによる半田層の平均線膨張率
(25〜100℃)は23×10-6/℃である。
【0055】このようにして得た実施例5および比較例
3の各試験用熱電素子について、実施例1と同様にして
熱疲労試験を実施した。図6に各試験用熱電素子の熱サ
イクル数(通電サイクル数)と抵抗値変化との関係をそ
れぞれ示す。図6から明らかなように、炭化珪素ウィス
カーを含む半田ペーストを用いた実施例5の試験用熱電
素子は500サイクル以上の熱サイクル後においても十分
な通電状態が保たれており、耐熱疲労特性に優れている
ことが分かる。すなわち、熱電素子の長期信頼性を大幅
に高めることが可能となる。
【0056】実施例6、比較例4 まず、Niめっきを施した炭素短繊維(平均線膨張率
(25〜100℃):3〜4×10-6/℃、平均アスペクト比:2
0、平均短径:5μm)を用意し、この炭素短繊維をPb
−Sn系半田ペースト中に、半田金属と炭素短繊維との
体積比が表3に示す混練比となるように配合し、これら
を十分に混練して複合半田ペーストをそれぞれ作製し
た。これら各複合半田ペーストを用いる以外は、上記し
た実施例1と同様にして試験用熱電素子をそれぞれ作製
した。炭素短繊維を含む各複合半田の平均線膨張率(25
〜100℃)は表3に示す通りである。これら各試験用熱
電素子の熱疲労試験を実施例3と同様にして実施し、疲
労寿命を測定した。各素子の疲労寿命は表3に示す通り
である。
【0057】
【表3】
【0058】表3から明らかなように、炭素短繊維(熱
膨張抑制材)の体積比で5%、また複合半田の平均線膨
張率(25〜100℃)で21×10-6/℃を境にして、熱電素
子の疲労寿命の顕著な向上効果が認められた。
【0059】実施例7 上記した実施例6において、炭素短繊維のアスペクト比
を表4に示す値となるように調整したものをそれぞれ用
いる以外は、実施例6の試料No.3と同様にして複合半田
ペーストをそれぞれ作製し、さらにこれら各複合半田ペ
ーストを用いて試験用熱電素子をそれぞれ作製した。こ
れら各試験用熱電素子の熱疲労試験を実施例3と同様に
して実施し、疲労寿命を測定した。各素子の疲労寿命は
表4に示す通りである。
【0060】
【表4】
【0061】表4から明らかなように、アスペクト比が
2以上の炭素短繊維(熱膨張抑制材)を使用することに
よって、熱電素子の疲労寿命をより顕著に向上させるこ
とが可能となる。なお、アスペクト比が2以上の炭素短
繊維を用いた場合、各炭素短繊維はその長さ方向が半田
層の面方向に配列していることが確認された。
【0062】実施例8 熱膨張抑制材として各種繊維を使用して、それらの効果
を確認した。具体的には、まず表5に示す各繊維を用意
し、これら各繊維をPb−Sn系半田ペースト中に、半
田金属と繊維との体積比がそれぞれ20/80(=繊維/半
田金属(ただしEガラス繊維のみは40/60))となるよ
うに配合し、これらを十分に混練して複合半田ペースト
をそれぞれ作製した。なお、各繊維のアスペクト比はそ
れぞれ25〜50程度に調製した。これら各複合半田ペース
トを用いて試験用熱電素子をそれぞれ作製して疲労寿命
を測定した。その測定結果を表5に示す。
【0063】
【表5】
【0064】表5から明らかなように、熱膨張率が小さ
い各種のセラミックス繊維を熱膨張抑制材として使用す
ることによって、熱電素子の熱疲労を軽減して疲労寿命
を改善し得ることが分かる。
【0065】実施例9 熱膨張抑制材としての繊維に対する金属コーティングの
効果を確認するために、実施例5と同一の炭化珪素ウィ
スカーに銅めっき、金めっき、銀めっき、ニッケル−燐
めっきをそれぞれ施す以外は、実施例5と同様にして試
験用熱電素子を作製して疲労寿命を測定した。その結
果、金属コーティングを施していない炭化珪素ウィスカ
ーを用いた場合の疲労寿命は105回であったのに対し
て、金属コーティングを施した炭化珪素ウィスカーを用
いた場合にはいずれも500回以上の疲労寿命を示すこと
が確認された。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の熱電素子
によれば、冷熱動作時の半田層に起因する熱応力などが
低減され、これによって熱疲労による素子機能の低下や
素子破壊の発生を大幅に抑制することができる。すなわ
ち、長期信頼性に優れた熱電素子を提供することが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による熱電素子の概略構
造を示す図である。
【図2】 図1に示す熱電素子の要部を拡大して示す断
面図である。
【図3】 従来構造の熱電素子における亀裂の発生状態
を説明するための図である。
【図4】 本発明の実施例で作製した熱疲労試験用熱電
素子の構成を示す図である。
【図5】 本発明の実施例1、2による熱電素子の熱サ
イクル数と抵抗値変化との関係を示す図である。
【図6】 本発明の実施例5による熱電素子の熱サイク
ル数と抵抗値変化との関係を示す図である。
【符号の説明】
1……熱電素子、2……下部支持部材、3……上部支持
部材、4……N型熱電半導体、5……P型熱電半導体、
6……第1の電極(放電側電極)、7……第2の電極
(吸熱側電極)、8,9……半田層,10……直流電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡村 正己 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 Fターム(参考) 5F036 AA01 BA23 BA33 BB21 BC06 BD01 BD13

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持部材と、前記支持部材上に交互に配
    列されたP型熱電半導体およびN型熱電半導体と、前記
    支持部材の表面に設けられていると共に、前記P型熱電
    半導体およびN型熱電半導体の一方の端部に半田層を介
    して接合された第1の電極と、前記P型熱電半導体およ
    びN型熱電半導体が直列に接続されるように他方の端部
    に半田層を介して接合された第2の電極とを具備する熱
    電素子において、 前記半田層は、25℃から100℃までの平均線膨張率が半
    田母材より小さい熱膨張抑制材を、体積比で5〜80%の
    範囲で含む複合半田からなることを特徴とする熱電素
    子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の熱電素子において、 前記複合半田は25℃から100℃までの平均線膨張率が12
    ×10-6〜21×10-6/℃の範囲であることを特徴とする熱
    電素子。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の熱電素子
    において、 前記熱膨張抑制材は、金属粉末、金属繊維、セラミック
    ス粉末、およびセラミックス繊維から選ばれる少なくと
    も1種からなることを特徴とする熱電素子。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の熱電素子において、 前記金属粉末および金属繊維は、W、Mo、Cr、Z
    r、Ti、V、Nb、および低熱膨張Fe基合金から選
    ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする熱電素
    子。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の熱電素子において、 前記セラミックス粉末およびセラミックス繊維は、アル
    ミナ、シリカ、炭化珪素、炭素、およびこれらの複合化
    合物から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴と
    する熱電素子。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
    記載の熱電素子において、 前記熱膨張抑制材は表面に金属コーティングが施されて
    いることを特徴とする熱電素子。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の熱電素子において、 前記金属コーティングは、Ni、Cu、Ag、Au、ま
    たはこれらの元素を含む合金からなることを特徴とする
    熱電素子。
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