JP2003335576A - 誘電体磁器組成物及び誘電体並びに電波吸収体 - Google Patents

誘電体磁器組成物及び誘電体並びに電波吸収体

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JP2003335576A
JP2003335576A JP2002142127A JP2002142127A JP2003335576A JP 2003335576 A JP2003335576 A JP 2003335576A JP 2002142127 A JP2002142127 A JP 2002142127A JP 2002142127 A JP2002142127 A JP 2002142127A JP 2003335576 A JP2003335576 A JP 2003335576A
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dielectric
mol
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dielectric ceramic
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Migiwa Ando
汀 安藤
Yutaka Higashida
豊 東田
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Japan Fine Ceramics Center
Niterra Co Ltd
Original Assignee
Japan Fine Ceramics Center
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きな誘電正接(tanδ)を有し、優れた
電波吸収効果が得られる誘電体磁器組成物及び誘電体並
びに電波吸収体を提供する。 【解決手段】 本発明の誘電体磁器組成物は、Ca、T
i、5A属元素及びSiを含有し、Zrを含有せず、酸
化物換算で、各元素の含有量の合計を100モル%とし
た場合に、Caの含有量は22.0〜57.0モル%、
Tiの含有量は6.0〜40.0モル%、5A属元素
(例えば、Nb等)の含有量は0.2〜16.0モル
%、Siの含有量は21.0〜59.0モル%であり、
且つタイタナイト固溶体を含む。本発明の誘電体は、上
記誘電体磁器組成物と、他の材料とが混合され、その
後、成形されてなる。或いは、上記誘電体磁器組成物か
らなる成形体と、他の素材とが複合化されてなる。本発
明の電波吸収体は、上記誘電体磁器組成物を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体磁器組成物
及び誘電体並びに電波吸収体に関する。更に詳しくは、
大きな誘電正接(tanδ)を有し、優れた電波吸収効
果が得られる誘電体磁器組成物及び誘電体並びに電波吸
収体に関する。本発明の誘電体磁器組成物及び誘電体並
びに電波吸収体は、電波吸収が要求される種々の分野に
おいて幅広く利用できる。例えば、建物内外壁、橋梁、
トンネル天井部、宇宙ステーション内壁等の建造物、レ
ーダ機器周辺部、電子機器筐体内外などにおいて用いら
れる。
【0002】
【従来の技術】従来より、電波吸収材料として、電波と
材料の電気双極子モーメントとの相互作用による誘電損
失により電波を吸収する誘電損失材料等が知られてい
る。このような誘電損失材料としては、例えば、主体結
晶としてタイタナイト(CaTiSiO)を有し、ミ
リ波周波数帯で大きな誘電正接を有するセラミックス誘
電体材料が開示されている(特開2002−20168
号公報)。このような誘電損失に基づく誘電損失材料
(以下、電波吸収材料とも言う。)を用いて建物内外壁
等の電波吸収体を作製する場合、マックスウェルの電磁
界方程式を解いて得られる複素誘電率の実部と虚部との
対応関係を示す「無反射曲線」(図1参照)が設計指針
となる。従って、この無反射曲線の線上、更には無反射
曲線よりも上方の複素誘電率を有する誘電損失材料を用
いて電波吸収体を作製すれば、優れた電波吸収効果を有
する電波吸収体が得られると言える。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の誘電
損失材料は、大きな誘電正接を有しているといっても、
無反射曲線の下方に位置する程度の複素誘電率であるた
め、十分な電波吸収効果が得られなかった。また、従来
の誘電損失材料を樹脂材料やガラス板等と混合、複合化
して、応用範囲の広い塗料、フィルム及びシート等の形
態の電波吸収体を作製した場合、樹脂材料等は一般的に
誘電正接が小さいので、作製された電波吸収体の複素誘
電率は無反射曲線から下方に大きく離れたものになって
しまい、十分な電波吸収効果が得られなかった。本発明
は、上記課題を解決するものであり、大きな誘電正接
(tanδ)を有し、優れた電波吸収効果が得られる誘
電体磁器組成物及び誘電体並びに電波吸収体を提供する
ことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、大きな誘
電正接を有するタイタナイトにおいて、更に誘電特性を
向上させるために鋭意検討した結果、特定の元素をTi
に置換させることで、誘電正接を更に大きくすることが
できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】本発明の誘電体磁器組成物は、Ca、T
i、5A族元素及びSiを含有し、Zrを含有せず、酸
化物換算で、該Ca、該Ti、該5A族元素及び該Si
の各含有量の合計を100モル%とした場合に、該Ca
の含有量は22.0〜57.0モル%、該Tiの含有量
は6.0〜40.0モル%、該5A族元素の含有量は
0.2〜16.0モル%、該Siの含有量は21.0〜
59.0モル%であり、且つタイタナイト固溶体を含む
ことを特徴とする。他の本発明の誘電体磁器組成物は、
Ca、Ti、5A族元素、Si及びZrを含有し、酸化
物換算で、該Ca、該Ti、該5A族元素、該Si及び
該Zrの各含有量の合計を100モル%とした場合に、
該Caの含有量は22.0〜57.0モル%、該Tiの
含有量は6.0〜40.0モル%、該5A族元素の含有
量は0.2〜16.0モル%、該Siの含有量は21.
0〜59.0モル%、該Zrの含有量は10.0モル%
以下であり、且つタイタナイト固溶体を含むことを特徴
とする。ここで、上記「5A属元素」とは、V、Nb及
びTaの3種類の元素を意味する。尚、この誘電体磁器
組成物に含有される元素は、通常、タイタナイト固溶体
等の複合酸化物、及び各元素の酸化物として含有され
る。また、「酸化物換算」する場合の各々の元素の酸化
物は、それぞれ「CaO」、「TiO」、「M
」(Mは5A族元素である。)、「SiO」、
「ZrO」とする。また、上記5A族元素がNbであ
る誘電体磁器組成物とすることができる。本発明の誘電
体は、上記誘電体磁器組成物と、他の材料とが混合さ
れ、その後、成形されてなることを特徴とする。他の本
発明の誘電体は、上記誘電体磁器組成物からなる成形体
と、他の素材とが複合化されてなることを特徴とする。
本発明の電波吸収体は、上記誘電体磁器組成物を含有す
ることを特徴とする。
【0006】
【発明の効果】本発明の誘電体磁器組成物は、大きな誘
電正接(tanδ)を有し、優れた電波吸収効果を有す
る。他の本発明の誘電体磁器組成物は、大きな誘電正接
を有しており、優れた電波吸収効果を有する。更に、Z
rを含有しているため、誘電率が大きく、厚み等の設計
の自由度に幅をもたせることができる。また、5A族元
素がNbである場合は、大きな誘電正接を有しており、
より優れた電波吸収効果を有する誘電体磁器組成物とす
ることができる。本発明及び他の本発明の誘電体は、上
記の優れた性能を有する誘電体磁器組成物を用いて形成
されているため、誘電正接の小さい樹脂材料等と混合、
又は他素材と複合化しても優れた電波吸収効果を有す
る。本発明の電波吸収体は、誘電正接の大きい誘電体磁
器組成物を含有するため、優れた電波吸収効果を有す
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 (1)Zrを必須成分としない本発明の誘電体磁器組成
物 Ca、Ti、5A族元素、及びSiを必須成分とする本
発明の誘電体磁器組成物において、上記「Ca」の含有
量は、酸化物換算で、Ca、Ti、5A族元素及びSi
の各含有量の合計を100モル%とした場合に、22.
0〜57.0モル%であり、好ましくは27.0〜4
8.0モル%、より好ましくは30.0〜38.0モル
%である。この含有量が22.0モル%未満の場合、タ
イタナイト固溶体の生成量が減少し、誘電正接が低下し
てしまう。一方、含有量が57.0モル%を超える場
合、タイタナイト固溶体の生成量が減少し、誘電正接が
低下すると共に、CaOとして遊離する量が増加し、誘
電体磁器組成物の誘電率が低下してしまう。
【0008】上記「Ti」の含有量は、酸化物換算で、
6.0〜40.0モル%、好ましくは10.0〜37.
0モル%であり、より好ましくは18.0〜33.0モ
ル%である。この含有量が6.0モル%未満の場合、タ
イタナイト固溶体の生成量が減少し、誘電正接が低下し
てしまう。一方、含有量が40.0モル%を超える場
合、タイタナイト固溶体の生成量が減少し、TiO
して遊離する量が増加して、誘電体磁器組成物の誘電率
が増加するが、静電正接が著しく低下してしまう。
【0009】この誘電体磁器組成物には、上記「5A族
元素」のうちの少なくとも1種が含有されている。これ
により、大きな誘電正接を有し、優れた電波吸収効果を
有する誘電体磁器組成物とすることができる。なかで
も、5A族元素がNbである場合、より大きな誘電正接
を有し、より優れた電波吸収効果を有する誘電体磁器組
成物とすることができるため好ましい。この5A族元素
の含有量は、酸化物換算で、0.2〜16.0モル%で
あり、好ましくは0.8〜14.0モル%、より好まし
くは1.5〜12.0モル%である。この含有量が0.
2モル%未満の場合、誘電正接の十分な増加が期待でき
ない。一方、含有量が16.0モル%を超える場合、M
として遊離する量が増加し、誘電体磁器組成物の
誘電率が低下してしまう。
【0010】上記「Si」の含有量は、酸化物換算で、
21.0〜59.0モル%、好ましくは30.0〜5
0.0モル%であり、より好ましくは33.0〜44.
0モル%である。この含有量が21.0モル%未満の場
合、タイタナイト固溶体の生成量が減少し、誘電体磁器
組成物の誘電正接を引き下げてしまう。一方、含有量が
59.0モル%を超える場合、タイタナイト固溶体の生
成量が減少し、誘電正接が低下すると共に、SiO
して遊離する量が増加し、誘電体磁器組成物の誘電率が
低下してしまう。
【0011】(2)Zrを必須成分とする他の本発明の
誘電体磁器組成物 Ca、Ti、5A族元素、Si及びZrを必須成分とす
る他の本発明の誘電体磁器組成物においては、上記「Z
r」を含有させることで、誘電体磁器組成物の誘電率を
大きくすることができ、電波吸収体とした場合に、厚み
等の設計の自由度を与えることができる。Zrの含有量
は、酸化物換算で、Ca、Ti、5A族元素、Si及び
Zrの各含有量の合計を100モル%とした場合に、1
0.0モル%以下であり、好ましくは7.0〜0.01
モル%、より好ましくは3.0〜0.01モル%であ
る。この含有量が10.0モル%を超えると、ZrO
として遊離する量が増加し、誘電体磁器組成物の誘電率
が低下してしまう。
【0012】Caの含有量は、酸化物換算で、22.0
〜57.0モル%であり、好ましくは27.0〜48.
0モル%、より好ましくは30.0〜38.0モル%で
ある。Tiの含有量は、酸化物換算で、6.0〜40.
0モル%であり、好ましくは10.0〜37.0モル
%、より好ましくは18.0〜33.0モル%である。
また、この誘電体磁器組成物には、5A族元素のうちの
少なくとも1種が含有されている。これにより、大きな
誘電正接を有し、優れた電波吸収効果を有する誘電体磁
器組成物とすることができる。なかでも、5A族元素が
Nbである場合、より大きな誘電正接を有し、より優れ
た電波吸収効果を有する誘電体磁器組成物とすることが
できるため好ましい。この5A族元素の含有量は、酸化
物換算で、0.2〜16.0モル%であり、好ましくは
0.8〜14.0モル%、より好ましくは1.5〜1
2.0モル%である。Siの含有量は、酸化物換算で、
21.0〜59.0モル%であり、好ましくは30.0
〜50.0モル%、より好ましくは33.0〜44.0
モル%である。尚、Ca、Ti、5A族元素及びSiの
含有量の限定理由は、Zrを必須成分としない上記本発
明の説明をそのまま適用することができる。
【0013】(3)タイタナイト固溶体 本発明の誘電体磁器組成物において、上記「タイタナイ
ト固溶体」は、理論量組成、即ち、CaTiSiO
表されるタイタナイトに含まれるTiの一部が5A族元
素により置換されたものである。特に、このタイタナイ
ト固溶体の割合は、タイタナイト固溶体と各元素の酸化
物との合計を100質量%とした場合に、50質量%以
上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以
上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは9
0質量%以上である。また、タイタナイト固溶体の存在
は、X線回折法等により確認することができる。更に、
誘電体磁器組成物の組成は、各元素の含有量を化学分析
法、蛍光X線法等により測定し、この含有量に基づい
て、各元素の酸化物としてのモル比として求めることが
できる。また、誘電体磁器組成物における組成は、使用
した原料組成から求めることもできる。
【0014】(4)タイタナイト固溶体以外の成分 本発明の誘電体磁器組成物には、所望の誘電特性(誘電
率、誘電正接)を損なわない範囲で、タイタナイト固溶
体以外に、前記各元素(Ca、Ti、5A族元素、Si
及びZr)の酸化物、タイタナイト固溶体以外の複合酸
化物が含有されていてもよい。また、前記各元素の窒化
物及び複合窒化物等、更には、前記元素以外の酸化物、
窒化物、複合酸化物及び複合窒化物等のセラミックス成
分が含有されていてもよい。尚、これらの成分は、1種
のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよ
い。
【0015】(5)誘電体磁器組成物の誘電特性 本発明の誘電体磁器組成物では、55〜110GHzの
周波数帯において、自由空間法により測定した誘電正接
(tanδ)の平均値を0.27以上、特に0.28以
上、更には0.30以上とすることができる。また、
0.33以上(通常、0.40以下である。)とするこ
ともできる。また、同様の方法により測定した誘電率の
平均値は、18以上、特に19以上、更には20以上
(通常、30以下である。)とすることができる。更
に、Zrを含有させることで、この誘電率の平均値は、
25以上、特に30以上(通常、40以下である。)と
することができ、電波吸収体とした場合の厚み等の設計
の自由度に幅をもたせることができる。
【0016】更に、誘電体磁器組成物における5A族元
素の含有量を、酸化物換算で、Ca、Ti、5A族元
素、Si及びZrの各含有量の合計を100モル%とし
た場合に、0.5モル%以上とすることで誘電正接の平
均値が0.27以上、誘電率の平均値が18以上の誘電
体磁器組成物とすることができる。特に、5A族元素の
含有量を5.0モル%以上とすることで誘電正接の平均
値が0.32以上、誘電率の平均値が18以上の誘電体
磁器組成物とすることができる。更には、5A族元素の
含有量を9.0モル%以上とすることで誘電正接の平均
値が0.34以上、誘電率の平均値が18以上の誘電体
磁器組成物とすることができる。尚、自由空間法は、橋
本修著「電波吸収体入門」[森北出版株式会社(199
7)]に記載される方法であり、具体的には、板状試験
片に平面波や集束させたビームを入射してその反射透過
特性を求めることにより、高周波帯域(300MHz〜
300GHz)の誘電正接、誘電率、電波吸収特性等を
測定することができる。また、誘電体材料の低周波帯域
(1kHz〜1MHz)の誘電正接は、インピーダンス
アナライザ、LCRメータ、及び空洞共振器法(摂動
法)等の各種公知の方法で測定することもできる。
【0017】(6)誘電体磁器組成物の製造 本発明の誘電体磁器組成物の製造方法は、特に限定され
ず、公知のセラミックスの製造方法と同様にして製造す
ることができる。また、誘電体磁器組成物の形態に応じ
て、各種製造方法を選択することができる。粉末状の誘
電体磁器組成物を得るには、滴下溶融分解法や、アトマ
イズ法等を採用することができる。成形体の誘電体磁器
組成物を得るには、プレス成形法、押出成形法、流し込
み成形法等を採用できる。また、薄膜状として誘電体磁
器組成物を得るには、スパッタリング法、溶射法等を採
用することができる。
【0018】(7)誘電体及びその製造 本発明の誘電体は、前記誘電体磁器組成物と、他の材料
とが混合され、その後、成形されてなるものである。こ
の際の誘電体磁器組成物の形態としては、粉体、造粒体
及び繊維等が挙げられる。また、上記「他の材料」とし
ては、特に限定されないが、例えば、チタニア、アルミ
ナ、シリカ及び炭化ケイ素等のセラミックス、カーボ
ン、エラストマー及び樹脂などが挙げられる。これら
は、粉末、粒子、繊維等の形態で用いることができる。
また、これらの各々の形態の材料と分散媒とからなる懸
濁液やペースト等であってもよい。誘電体磁器組成物
と、他の材料との混合手段、及び混合した後の成形手段
は、特に限定されず、一般的な方法を用いることがで
き、他の材料の種類等に応じて、適宜選択できる。
【0019】他の本発明の誘電体は、前記誘電体磁器組
成物からなる成形体と、他の素材とが複合化されてなる
ものである。この際の誘電体磁器組成物からなる成形体
としては、特に限定されないが、板状体、膜状体等が挙
げられる。尚、この成形体は誘電体磁器組成物のみから
なっている必要はなく、誘電体磁器組成物の誘電特性を
損なわない範囲で、前記他の材料等を含有していてもよ
い。上記「他の素材」としては、金属板、板ガラス、樹
脂板、木材、セメント板及び織布等が挙げられる。ま
た、これらの表面に、釉薬、ワックス等による表面層が
形成されているものであってもよい。上記複合化する手
段としては、特に限定されず、接着剤で貼り付けたり、
焼成により焼き付けたり、溶射により吹付けたりするな
どの一般的な方法を用いることができ、他の素材の種類
等に応じて、適宜選択できる。
【0020】本発明の誘電体磁器組成物及びこれを用い
た誘電体は、電気絶縁体であるため、漏電、感電のおそ
れがなく、使用場所の制約を受けにくく、応用分野が広
い。例えば、電波吸収体として使用することができる。
このような電波吸収体は、特に、ミリ波帯域(30〜3
00GHz)の電波吸収体として使用することができ
る。電波吸収体は、具体的には、電波遮断材として使用
される。電波遮断材は、電気機器からの電波の漏洩防止
用、或いは、外部から電波の進入を遮断する遮断材とし
て使用することができる。特に、外部からの電波進入防
止材として、建物等の構築物や、航空用、宇宙用の構築
物、精密電子機器のケーシング等に使用することができ
る。また、電波吸収体には、反射層を配設することがで
きる。この場合、電波吸収性をより高めることができ、
電波が完全に吸収される必要がある用途に好適である。
反射層は、電波を十分に反射することができるものであ
ればよく、その材質、形状、厚さ等は特に制限されな
い。この反射層としては、アルミニウム板、ステンレス
鋼板、銅板等の金属板、アルミニウム箔、ステンレス鋼
箔、銅箔、金箔等の金属箔を使用することができる。ま
た、金属粉末を含有する樹脂板或いは樹脂シート、表面
に金属が蒸着等された樹脂板或いは樹脂シートなどを用
いることもできる。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
する。 (1)誘電体磁器組成物 誘電体磁器組成物の製造 原料粉末として、CaCO(試薬特級)、TiO
(試薬特級)、Nb (試薬特級)、SiO
(純度99.8%)、ZrO(試薬特級)の各々の
粉末を用いて、得られる誘電体磁器組成物に含まれる各
元素の酸化物換算値で、表1に示す値となるように原料
を配合した。尚、ZrO粉末は、実験例15のみに配
合した。また、実験例16のみ、Nb粉末を配合
しなかった。次いで、これらの原料粉末(100g)
と、純水(180ml)とをジルコニア球石(直径10
mm、1000g)を用いて、ボールミルにより40r
pmの速度で24時間混合した。その後、凍結乾燥し、
1100℃にて3時間仮焼して、仮焼粉末を得た。次い
で、得られた仮焼粉末と、純水(160ml)とを前記
ジルコニア球石を用いて、ボールミルにより40rpm
で48時間混合した。その後、バインダとしてポリビニ
ルアルコールを1質量%添加して、更に混合し、溶解さ
せて、スラリーを調製した。次いで、得られたスラリー
を、凍結乾燥し、60メッシュの篩いを通して造粒した
後、25MPaの一軸成形法及び250MPaの冷間静
水圧プレス(CIP)法により成形し、成形体(縦75
mm×横75mm×厚さ5mm)を得た。その後、得ら
れた成形体を、表1に示す各焼成温度で焼成し、焼結体
を得、この焼結体を研削加工し、縦55mm×横55m
m×厚さ2.3mmの誘電体磁器組成物からなる試験片
(実験例1〜16)を得た。
【0022】誘電体磁器組成物の組成の確認 得られた各磁器組成物の組成を、X線回折法(X線回折
装置;理学電気工業社製、型式「RU−200T」)に
より確認した。その結果、各磁器組成物においてタイタ
ナイト固溶体が含まれていることが確認できた。また、
実験例5のX線回折チャートによる説明図を図2に示
す。尚、図2中の「+」はタイタナイト固溶体の回折ピ
ークを示す。
【0023】誘電特性試験 得られた実験例1〜16の各試験片において、それぞれ
誘電率、誘電正接(tanδ)、及び磁器密度(g/c
)を以下の方法により測定し、これらの結果を表1
に併記した。尚、表1中の組成欄における「*」は発明
の範囲から外れていることを示す。 (誘電率及び誘電正接の測定)誘電率及び誘電正接は、
自由空間法により測定し、55〜110GHzの平均値
にて示した。 (磁器密度の測定)磁器密度は、体積と質量とにより算
出した。
【0024】また、図3に示すように、実験例1〜16
の各誘電体磁器組成物の複素誘電率をプロットし、無反
射曲線に対する位置関係(上方又は下方)を調べ、その
結果を表1に併記した。尚、図3中の数字は実験例の各
々の番号に対応している。ここで、無反射曲線とは、マ
ックスウェルの電磁界方程式を解いて得られる複素誘電
率の実部と虚部との対応関係を示す曲線であり、この曲
線上の複素誘電率を有する材料は、十分に有効な電波吸
収効果を有している。
【0025】
【表1】
【0026】実施例の効果 表1によれば、Nbを含有していない実験例16におい
ては、誘電率が22、誘電正接が0.09と両者とも小
さく、無反射曲線との位置関係も下方であった。また、
Tiの含有量が4.07モル%と過少である実験例6、
Caの含有量が13.39モル%と過少であり、Siの
含有量が73.63モル%と過多である実験例10、C
aの含有量が63.81モル%と過多であり、Tiの含
有量が5.26モル%と過少である実験例11において
は、誘電率が12〜16、誘電正接が0.18〜0.2
6と両者とも小さく、無反射曲線との位置関係も全て下
方であった。更に、Nbの含有量が18.37モル%と
過多である実験例9、Siの含有量が19.72モル%
と過少である実験例12、Caの含有量が21.55モ
ル%と過少であり、Tiの含有量が51.73モル%と
過多である実験例13、Nbの含有量が0.13モル%
と過少である実験例14においては、誘電率は19〜2
5と問題はなかったが、誘電正接が0.13〜0.26
と小さく、無反射曲線との位置関係も全て下方であっ
た。
【0027】これに対して、Ca、Ti、Nb及びSi
の含有量が、発明の範囲内である実験例1〜5、及び実
験例7、8においては、誘電率が19〜23、誘電正接
が0.28〜0.36と両者とも十分に大きく、無反射
曲線との位置関係も全て上方であった。また、Zrを含
有する実験例15においては、誘電率が33とより大き
く、誘電正接も0.30と十分に大きく、無反射曲線と
の位置関係も上方であった。このため、これらの誘電体
磁器組成物は、優れた誘電特性を有しており、誘電正接
の小さい他の材料等と混合又は複合化させても、十分な
電波吸収効果を得ることができる。
【0028】(2)誘電体(混合シート) 混合シートの作製 (1)で用いたものと同様の原料粉末を用いて、得られ
る誘電体磁器組成物に含まれる各元素の含有量が、酸化
物換算値で、表1に示す実験例2と同様の組成となるよ
うに原料を配合した。次いで、これらの原料粉末(12
0g)と、純水(180ml)とをジルコニア球石(直
径10mm、1000g)を用いて、ボールミルにより
40rpmで24時間混合した。その後、凍結乾燥した
ものを高アルミナ磁器坩堝に入れ、1185℃にて3時
間仮焼して、仮焼粉末を得た。次いで、得られた仮焼粉
末と、純水(160ml)とを前記ジルコニア球石を用
いて、ボールミルにより40rpmで48時間混合し
た。その後、凍結乾燥して粉末化した。次いで、得られ
た粉末(94.6g)と、ポリビニルブチラール樹脂
(6.4g)と、エタノール(30ml)と、メチルエ
チルケトン(53ml)とをジルコニア球石(直径10
mm、500g)を用いて、ボールミルにより40rp
mで24時間混合した。その後、ドクターブレード法に
よりシートを作製し、乾燥した後、厚さ1.9mmの混
合シートを得た。
【0029】混合シートの誘電特性 得られた混合シートを70mm×70mmの大きさに切
り取り、前記と同様に自由空間法により誘電特性を測定
した。その結果、誘電率が20、誘電正接が0.285
であり、図1に示す無反射曲線との位置関係は線上であ
った。そこで、再度、同様にドクターブレード法で厚さ
0.24mmのシートを作成し、70mm×70mmの
大きさに切り取った混合シートの背後に金属板(金属の
種類;アルミニウム、厚さ;0.5mm)をあてがい、
自由空間法で電波吸収特性を測定した。その結果、周波
数70GHzで反射減衰が生じ、反射減衰量は32dB
と実用レベル(25〜30dB)を満たすことができ
た。上記のことより、誘電体磁器組成物を粉末の形態
で、電波吸収効果の低い樹脂と複合化させて得られた誘
電体であっても、優れた誘電特性を有するものとし得る
ことが分かった。更に、それを用いることで、優れた電
波吸収特性を有する誘電体が得られることが分かった。
【0030】(3)誘電体(複合板) 複合板の作成 実験例4で得られた試験片を、厚さ2.0mmに研削加
工したものの上に、市販の板ガラス(50〜110GH
zにおいて、誘電率:5.8、誘電正接:0.03)を
0.8mmの厚さに研削加工したものを載せ、500℃
にて30分間電気炉で加熱して板ガラスを誘電体磁器組
成物に焼き付け、複合板を作製した。 複合板の誘電特性 得られた複合板の一方の面に金属板(金属の種類;銅、
厚さ;1mm)をあてがい、自由空間法で電波吸収特性
を測定した。その結果、周波数82GHzで反射減衰が
生じ、反射減衰量は33dBと実用レベルを満たすこと
ができた。上記のことより、誘電体磁器組成物を板状の
形態で、電波吸収効果の低い板ガラスと複合化させて得
られた誘電体であっても、優れた誘電特性を有するもの
とすることができることが分かった。更に、それを用い
ることで、優れた電波吸収特性を有する誘電体が得られ
ることが分かった。
【0031】尚、本発明においては、上記の具体的な実
施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明
の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例
えば、本発明の誘電体磁器組成物は、発熱体等の誘電体
部品としても使用することができる。この発熱体として
は、各種加熱装置用の高周波(特にミリ波)加熱体等が
挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】無反射曲線を示す説明図である。
【図2】実験例5のX線回折結果を示すチャートによる
説明図である。
【図3】実験例1〜16の各誘電体磁器組成物の複素誘
電率をプロットした説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東田 豊 名古屋市熱田区六野二丁目4番1号 財団 法人ファインセラミックスセンター内 Fターム(参考) 4G030 AA08 AA15 AA16 AA20 AA37 BA09 CA01 CA08 4G031 AA04 AA10 AA11 AA14 AA30 BA09 CA01 CA08 5E321 AA01 AA41 AA44 BB21 BB31 GG11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ca、Ti、5A族元素及びSiを含有
    し、Zrを含有せず、酸化物換算で、該Ca、該Ti、
    該5A族元素及び該Siの各含有量の合計を100モル
    %とした場合に、該Caの含有量は22.0〜57.0
    モル%、該Tiの含有量は6.0〜40.0モル%、該
    5A族元素の含有量は0.2〜16.0モル%、該Si
    の含有量は21.0〜59.0モル%であり、且つタイ
    タナイト固溶体を含むことを特徴とする誘電体磁器組成
    物。
  2. 【請求項2】 Ca、Ti、5A族元素、Si及びZr
    を含有し、酸化物換算で、該Ca、該Ti、該5A族元
    素、該Si及び該Zrの各含有量の合計を100モル%
    とした場合に、該Caの含有量は22.0〜57.0モ
    ル%、該Tiの含有量は6.0〜40.0モル%、該5
    A族元素の含有量は0.2〜16.0モル%、該Siの
    含有量は21.0〜59.0モル%、該Zrの含有量は
    10.0モル%以下であり、且つタイタナイト固溶体を
    含むことを特徴とする誘電体磁器組成物。
  3. 【請求項3】 上記5A族元素がNbである請求項1又
    は2に記載の誘電体磁器組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のうちのいずれか1項に
    記載の誘電体磁器組成物と、他の材料とが混合され、そ
    の後、成形されてなることを特徴とする誘電体。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のうちのいずれか1項に
    記載の誘電体磁器組成物からなる成形体と、他の素材と
    が複合化されてなることを特徴とする誘電体。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至3のうちのいずれか1項に
    記載の誘電体磁器組成物を含有することを特徴とする電
    波吸収体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014017424A (ja) * 2012-07-10 2014-01-30 Riken Corp 電波吸収体
JP2015180587A (ja) * 2014-03-04 2015-10-15 Tdk株式会社 誘電体組成物

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