JP4890683B2 - 磁器組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミリ波周波数帯域で大きな誘電正接(tanδ)を有する誘電体材料に関し、特に、ミリ波用電子機器及びミリ波レーダ、建造物、道路舗装用材、車両,船舶、航空機、宇宙船、宇宙ステーション等に使用される電波吸収材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
電波吸収材料としては、導電損失材料、磁性損失材料、誘電損失材料の3種類がある。
導電損失材料は、電波により誘起される電流によるジュール損失により電波を吸収する材料であり、磁性損失材料は、電波の磁界と磁気双極子モーメントとの相互作用による磁性損失により電波を吸収する。誘電損失材料は、電波と材料の電気双極子モーメントとの相互作用による誘電損失により電波を吸収する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電波の周波数がマイクロ波からミリ波の領域に高まるに伴い、それぞれの電波吸収材料について以下のような問題が起こってきている。
まず、第1に、いずれの吸収体材料にも共通する課題は、吸収体の僅かな厚みの変化により吸収周波数のずれをもたらすために、吸収体の厚みを極めて正確にかつ精度よくコントロールしなければならないということである。
また、導電損失材料においては、広帯域な吸収特性が得られるが、特定の周波数で大きな吸収量を得るのが困難である。磁性損失材料では、磁性体の磁気双極子が電波の振動速度に追随できなくなり、磁性損失による電波吸収効果が低下してしまう。さらに、誘電損失材料では、カーボン粒子を混入したゴムシート、炭化ケイ素粒子とエポキシ樹脂とを混合したもの、あるいは炭化ケイ素繊維にエポキシ樹脂を含浸したものが誘電損失材料として使用されているが、これらのものは、複合化のためのコストアップや安定した特性が得られないという問題がある。
【0004】
そこで、本発明では、ミリ波域で大きい誘電正接(tanδ)を備える新規な誘電体材料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、酸化カルシウム(CaO)、酸化チタン(TiO2)、酸化ケイ素(SiO2)の3成分系のセラミックスにおいて、第4の成分を添加して、その組成と電気的性質、特に、誘電正接について検討したところ、当該3成分組成図における特定領域の組成において、TiO2の一部を、SnO2、MnO2、及びZrO2のいずれか1種以上によって置換することで、ミリ波周波数帯で大きな誘電正接を有していることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、タイタナイトを結晶組成として有するCaO、TiO2、及びSiO2の3成分組成において、TiO2の一部がSnO2 MnO2、及びZrO2からなる群から選択される1種あるいは2種以上の成分により置換されている組成を備える、磁器組成物が提供される。
【0006】
タイタナイト(CaTiSiO5)は、ミリ波(30GHz〜3000GHz)の周波数帯において高い誘電正接を備えるが、本発明によれば、当該周波数域においてタイタナイトと同等あるいはそれよりもさらに大きな誘電正接を備えるセラミックスが提供される。また、本発明によれば、これらのセラミックスを含有する誘電体や誘電性の組成物を提供することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の磁器組成物は、タイタナイトを結晶組成として有するCaO、TiO2、及びSiO2の3成分組成において、TiO2の一部がSnO2 MnO2、及びZrO2からなる群から選択される1種あるいは2種以上の成分により置換されている組成を備える。すなわち、本磁器組成物は、かかる原料組成を有して焼成されたセラミックスである。
【0008】
本発明において、タイタナイトを結晶組成として有するとは、理論量組成、すなわち、組成式CaTiSiO5で表されるタイタナイトを結晶組成とする他、この組成式に含まれる金属原子の酸化物固溶体を結晶組成として有することを意味する。
かかる結晶組成を得るような3成分の原料組成は、CaO(0.50 1.77)SiO2(0.40 1.77)TiO2の組成範囲であることが好ましく、より好ましくは、CaO(0.63 1.42)SiO2(0.49 1.42)TiO2の式で表される組成範囲である。最も好ましくは、理論量組成(CaO、SiO2、TiO2の等モル組成)である。本発明においては、好ましくは、タイタナイトを主体結晶組成として有している。例えば、磁器組成物は、タイタナイト及びその固溶体の割合がセラミックス全体の70wt%以上であることが好ましく、より好ましくは80wt%以上であり、さらに好ましくは90wt%以上である。
なお、タイタナイトを結晶組成として有する場合、そのX線回折スペクトルにおいてタイタナイトあるいはその固溶体に相当するピークを有する。かかる各回折ピークは、単一ピークであることが好ましい。さらに、当該主体結晶に相当する回折ピークは、そのX線回折スペクトルにおいて最大のピーク強度を備えていることが好ましい。
【0009】
本磁器組成物は、上記したタイタナイトを生成する3成分の原料組成において、TiO2の一部に替えて第4成分として、SnO2、MnO2、及びZrO2のうちいずれか1種あるいは2種以上を有する原料組成を備えている。好ましくは、いずれか1種を有している。特に好ましくは、ZrO2である。
これらの成分は、TiO2の一部を置換している。また、これらの成分は、TiO2の全部を置換していない。
かかる磁器組成物は、主体結晶組成としてタイタナイトを有し、Tiの一部がSnMn、及びZrからなる群から選択される1種あるいは2種以上の原子により置換されている結晶格子構造を備える、磁器組成物である。理論的に拘束されるものではないが、かかる置換成分が、本来Tiが占める格子点において入りこむことにより、電場の変化に対する結晶格子の分極応答速度に遅れが生じ、それが誘電正接(tanδ)の増大に関連することが考えられる。
【0010】
本組成物は、かかる第4成分により、CaO、SiO2、TiO2の等モル組成の磁器組成物から得られるミリ波域の誘電正接と同じかよりも大きい誘電正接を備えることができる。特に50GHz〜110GHzの範囲において大きな誘電正接を備えることができる。
この場合、CaO、SiO2、TiO2の等モル組成において、TiO2の一部が上記いずれかの置換成分で置換されていることが好ましい。かかる組成範囲を有する材料を焼成して得られるセラミックスは、タイタナイトを主体結晶組成として有するとともに、ミリ波周波数帯において、大きい誘電正接が得られやすいからである。具体的には、50GHz以上、さらに好ましくは50GHz〜110GHzの範囲における少なくとも一つの周波数において、0.07以上(好ましくは0.09以上)のtanδを容易に得ることができるからである。
特に当該等モル組成において、上記成分置換量がTiO21モルに対して0.02〜0.6モルの場合には、50GHzにおいては、0.08以上(好ましくは、0.09以上)、80GHzでは0.10以上(好ましくは0.11、より好ましくは0.12以上)、110GHzでは0.12以上(好ましくは0.13以上)を備えている。
さらに、当該等モル組成において、TiO21モルに対して、上記成分置換量が0.03モル以上0.6モル以下の場合には、50GHzにおいて0.09以上、80GHzにおいて0.11以上、110GHzにおいて、0.13以上を備えている。
【0011】
特に、成分置換量が、TiO21モルに対して、0.03モル以上0.6以下であることが好ましい。この範囲であると、タイタナイトの誘電特性と、置換成分による誘電特性の相乗効果により、ミリ波域において大きな誘電正接が得られ、タイタナイトの理論組成よりも大きな誘電正接を得ることができる。
【0012】
なお、本発明の磁器組成物は、結晶としてタイタナイト及びその固溶体のみを有する場合の他、結晶としてタイタナイト及びその固溶体を有するとともに他の酸化物や窒化物等のセラミックス成分を含むこともできる。
すなわち、タイタナイト及びその固溶体の他、タイタナイト中に含まれる金属(Si、Ti、Ca)の単酸化物であるSiO2、TiO2、CaO等が含まれていてもよい。また、SnO2、MnO2、ZrO2の単酸化物、これらのうちの2種以上を含む副酸化物等を含んでいてもよい。さらに、これらと他の金属との複酸化物を含んでいてもよい。また、これらの金属(Si、Ti、Ca)の単窒化物や複窒化物、あるいは、これらの金属と他の金属との複窒化物を含んでいてもよい。
上記以外の金属の金属の単あるいは複窒化物を含んでいてもよい。
【0013】
本発明の磁器組成物中のタイタナイト及びその固溶体は、X線回折法等により、その存在を確認することができる。また、化学分析法、蛍光X線法等により、本磁器組成物材料中の各原子組成を得ることができる。この原子組成に基づいて、酸化物としての組成比を求めることができる。また、磁器組成物における原子組成及び酸化物組成は、使用した原料組成から求めることもできる。
【0014】
本発明の磁器組成物は、常誘電性を示し、好ましくは、ミリ波帯域(30〜3000GHz)、より好ましくは、50GHz以上、さらに好ましくは50GHz〜110GHzの範囲の少なくとも一つの周波数で、誘電正接(tanδ)が0.07以上、より好ましくは、0.09以上である。
磁器組成物の誘電正接は、インピーダンスアナライザ、LCRメータ、空洞共振器法(摂動法)等の各種公知の方法で測定することができるが、本発明においては、好ましくは、自由空間法により測定する。自由空間法は、橋本修著「電波吸収体入門」(森北出版(株)(1997))に記載される方法であり、具体的には、板状体に形成した試験片に平面波や集束させたビームを入射してその反射透過特性を求めることにより誘電正接、誘電率、電波吸収特性等を測定することができる。
【0015】
本発明の磁器組成物の形態としては、粉末、成形体、薄膜等の形態を採用することができる。また、粉末の懸濁液やペースト等の形態を採用することができる。好ましくは、粉末及び成形体である。
セラミックス粉末としては、球状粒子、ウイスカー、フレークやチップ等を含む不定形粒子のいかなる粒子形態の粉末であってもよい。好ましくは、球状粒子、ウイスカー、及びフレークのうちのいずれかの粒子形態の粉末である。
セラミックス成形体としては、各種公知のセラミックスの成形法によって得られるいずれかの成形体とすることができ、好ましくは、プレス成形による成形体である。また、含浸法やペースト法によって基板表面に形成される層状体あるいはプレート状体とすることもできる。
懸濁液やペーストは、主として、成形等の前駆材料用の形態である。
【0016】
本発明の磁器組成物はセラミックスであるため、耐熱、耐蝕性にすぐれ、屋外の暴露使用(紫外線を含む太陽光線暴露使用及び/又は雨水等の水分暴露使用及び/又は温度変化暴露使用を包含する)や高温及び/又は高湿雰囲気条件での使用に好適に用いられる。これにより、磁器組成物粒子を含有する塗料組成物においては、溶剤性塗料の塗布や酸化インジウム−酸化スズ系導電性塗料の焼き付けなどの処理が容易に実施できる。これにより被覆性の電波吸収体の製作時の自由度が増大する。
また、電気特性を含む各種特性の経時変化も小さく、劣化も抑制されるため、長期信頼性に優れる誘電体材料となっている。
また、特に、成形体に、所望の形状や寸法を付与することが容易である。すなわち、吸収周波数帯は、その固体の厚みによって異なり、厚みの制御が、周波数について高い選択性を付与するのに、ひいては大きな誘電正接を確保するのに非常に重要である。セラミックスは、各種精密成形も可能であるとともに、切削加工等の後加工によって、精度良く厚みを制御することができる。したがって、周波数に対して高い選択性を精度よく付与できる誘電体が提供される。
また、形状安定性や寸法安定性にも優れた誘電体が提供される。さらに、成形や焼成に際して、孔構造の制御、密度の制御も可能であるので、誘電体に所望の特性を付与することが容易である。
【0017】
また、本磁器組成物によって提供される誘電体は、セラミックスであるため、火災時の有害ガスが発生しない。したがって、建造物への適用に好ましく、また、各種電子機器内に使用する部品としても樹脂材料では得られない高い信頼性と安全性とが容易に確保できる誘電体(電波吸収体)が得られる。
【0018】
また、本磁器組成物はそれ自身純粋の誘電体である。すなわち、カーボン粒子や炭化珪素繊維などの導電性材料を樹脂内に分散させた見かけ上の誘電体ではない。したがって、基本的に絶縁体であり、電子機器内での装着時に短絡、磁気誘導などの恐れがない。
【0019】
本発明の磁器組成物は、他の誘電体材料、あるいはそれ以外の材料と組み合わされて新規な誘電体材料組成物を提供することもできる。他の誘電体材料としては、酸化チタン、アルミナ、シリカ等を挙げることができる。また、誘電体材料以外の材料としては、カーボン、炭化ケイ素等を挙げることができる。
このような組合せによって得られる誘電体材料組成物も、粉末、成形体、懸濁液、ペースト等の形態を採ることができる。
また、磁器組成物粒子を樹脂に分散させた複合組成物、この組成物を各種成形方法により成形した成形体も提供される。さらに、かかる樹脂組成物粒子を塗料組成物中に含有させた電波吸収性の塗料組成物及び塗膜も提供される。
【0020】
本発明の磁器組成物の成形体、あるいはこれに他のセラミックスを組み合わせたセラミックス組成物の成形体から誘電体(部品)として製造する場合には、所望の形状や特性を付与できるため、誘電体(部品)の構造を簡素化することができる。
【0021】
本発明の磁器組成物及び当該組成物を含む誘電体(材料)は、電波吸収体あるいは発熱体等の誘電体部品として使用することができる。電波吸収体としては、特に、ミリ波帯域の電波吸収体として使用することができる。電波吸収体は、具体的には、電波遮断材として使用される。電波遮断材は、電気機器からの電波の漏洩防止用、あるいは、外部から電波の浸入を遮断する遮断材として使用することができる。特に、外部からの電波浸入防止材としては、建物等の構築物や、航空・宇宙用の構築物、精密電子機器のケーシング等に使用することができる。
また、発熱体としては、各種加熱装置用の高周波(特にミリ波)加熱体等として使用できる。
【0022】
次に、本発明の磁器組成物を製造する方法について説明する。
本発明の磁器組成物は、当業者に公知のセラミックスの製造方法によって得ることができる。また磁器組成物の形態に応じて、各種製造方法を選択することができる。
粉末状の磁器組成物を得るには、滴下溶融分解法や、アトマイズ法等を採用することができる。
成形体の磁器組成物を得るには、プレス成形法、押出成形法、流し込み成形法等を採用できる。
本磁器組成物の製造方法としては、原料を成形し、焼成することにより、成形体としてセラミックスを得る方法が好ましい。誘電体部品としての所望の形状や特性を容易に付与できるからである。
また、薄膜状として磁器組成物を得るには、スパッタリング法、溶射法等を採用することができる。
【0023】
以下、本発明の磁器組成物の製造方法の一例について説明する。
本形態では、本発明の磁器組成物を成形体として得る方法について説明する。
図1に、本形態の製造手順を示す。
まず、得ようとするセラミックスにおけるCaO成分の原料として炭酸カルシウム(CaCO3)粉末、TiO2成分の原料としてTiO2粉末、SiO2成分の原料としてSiO2粉末、及びTiO2の置換成分であるSnO2、MnO2、及びZrO2粉末のいずれか一種を用い、さらに、脱イオン水を混合して、各原料粉末が均一に粉砕され混合されるようにボールミルで混合粉砕する。
次いで、かかる混合粉砕物を凍結乾燥して均一化し、1200℃程度で仮焼して、炭酸カルシウムを分解させる。
さらに、この仮焼粉末に脱イオン水を加えて、ボールミル粉砕し、次いで、ポリビニルアルコール等のバインダ成分を添加し、混合してバインダ成分を溶解させてセラミックススラリーを形成する。
このセラミックススラリーを、例えば60メッシュ程度の篩いを通過させた後、凍結乾燥して均一化し、この原料粉末を所定の形状の成形型に注入し、成形する。成形は、例えば、金型プレス成形、あるいは静水圧成形等を用いることができる。金型プレス成形と静水圧成形とを順次行ってもよい。
その後、成形型から成形体(焼成前)を取り出して、脱脂、焼成して、セラミックス成形体を得る。必要に応じて、得られた焼成成形体を切削加工等を行うことができる。また、粉砕して粉末を得ることもできる。
【0024】
なお、本磁器組成物材料の製造工程においては、原料粉末の純度を初めとして、製造工程から、最終のセラミックス組成物に混入する可能性のある不純物量を高度に制御することが好ましい。
【0025】
本発明の磁器組成物に、他のセラミックスを組み合わせて誘電体材料を提供しようとする場合、セラミックスの製造工程において複合化することもできる。また、本発明の磁器組成物に、セラミックス以外の他の材料を含めて誘電体材料を提供する場合には、当該他の材料の種類に応じて、各種方法を採用することができる。例えば、カーボン粒子や繊維、炭化珪素粒子や繊維、エラストマー、及び樹脂等のいずれか1種以上を複合化する場合には、デイップコート法、スプレー塗布法、積層法等の方法を採用することができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の具体例につき詳細に説明する。
(調製例1)
CaO、TiO 2 、及びSiO 2 の等モル組成において、TiO 2 をSnO 2 により置換した組成を備える磁器組成物の調製
本実施例では、焼成して得られる磁器組成物材料中の成分元素の酸化物換算値が、表1に示す試料1〜11の組成となるように各酸化物CaO,SiO2、及びTiO2、SnO2各原料粉末の配合量を決定した。なお、この組成は、CaTi1-xxSiO5(A:Sn)において、xを0〜1.0の範囲で変化させたものである。試料1は対照試料であって、等モル組成のタイタナイト組成であり、試料2〜試料10は、本発明の実施例試料であって、xが0.01〜0.8であり、試料11は、比較例であってxが1.0である。
【0027】
【表1】
Figure 0004890683
【0028】
各種原料粉末としては、CaOの原料として炭酸カルシウム(CaCO3)粉末を用い、SiO2の原料としてSiO2粉末を用い、TiO2の原料としてTiO2粉末、SnO2原料としてSnO2粉末を用いた。
これらの原料粉末を、それぞれ、表1の各組成に示すような酸化物比となるように、全体の重量が100gになるように採取し、さらに、脱イオン水200mlを加えて、ジルコニア磁器の球石(直径10ミリ、全重量1040g)を用いてボールミル(32rpm)で24時間混合粉砕した。
【0029】
このスラリーを凍結乾燥後、1150〜1200℃で仮焼し、炭酸カルシウムのCO2を脱離させた。さらに、この仮焼粉末に、脱イオン水200mlを加え、ジルコニア磁器の球石(直径10ミリ、全重量1040g)を用いてボールミル粉砕し、さらに、バインダーとしてポリビニルアルコール1gをこの混合物に添加し、1時間混合し溶解させた。
このスラリーを、凍結乾燥し、粉末とした後、60メッシュの篩いを通過させ、得られた粉末を成形型(70mm×70mm×6mm)にて、まず30MPで金型プレス成形し、さらに、300MPで静水圧成形した。
得られた各種原料組成の成形体を、それぞれ表1に示す焼成温度で、十分な時間焼成した。
焼成後、成形体の両面を研削加工して、55mm×55mm×4mmのセラミックス焼成体(磁器組成物)1〜11を得た。
【0030】
(調製例2)
CaO、TiO 2 、及びSiO 2 の等モル組成において、TiO 2 をMnO 2 により置換した組成を備える磁器組成物の調製
本実施例では、焼成して得られる磁器組成物材料中の成分元素の酸化物換算値が、表2に示す試料12〜22の組成となるように各酸化物、CaO、SiO2、及びTiO2、MnO2各原料粉末の配合量を決定した。なお、この組成は、CaTi1-xxSiO5(A:Mn)において、xを0〜1.0の範囲で変化させたものである。試料12は対照試料であって、等モル組成のタイタナイト組成であり、試料13〜試料21は本発明の実施例試料であって、xが0.01〜0.8であり、試料22は比較例であってxが1.0である。
【0031】
各種原料粉末としては、CaOの原料として炭酸カルシウム(CaCO3)粉末を用い、SiO2の原料としてSiO2粉末を用い、TiO2の原料としてTiO2粉末、MnO2原料としては、MnO2粉末を用いた。
これらの原料粉末を、それぞれ、表2の各原料組成に示すような酸化物比となるように、全体の重量が100gになるように採取し、以下、調製例1と同様に操作して、11種類の焼成体(磁器組成物)を得た。
【0032】
【表2】
Figure 0004890683
【0033】
(調製例3)
CaO、TiO 2 、及びSiO 2 の等モル組成において、TiO 2 をZrO 2 により置換した組成を備える磁器組成物の調製
本実施例では、焼成して得られる磁器組成物材料中の成分元素の酸化物換算値が、表3に示す試料23〜33の組成となるように各酸化物、CaO、SiO2、及びTiO2、ZrO2各原料粉末の配合量を決定した。なお、この組成は、CaTi1-xxSiO5(A:Zr)において、xを0〜1.0の範囲で変化させたものである。試料23は対照試料であって、等モル組成のタイタナイト組成であり、試料24〜試料32は本発明の実施例試料であって、xが0.01〜0.8であり、試料33は比較例であってxが1.0である。
【0034】
各種原料粉末としては、CaOの原料としては、炭酸カルシウム(CaCO3)粉末を用い、SiO2の原料としては、SiO2粉末を用い、TiO2の原料としては、TiO2粉末、ZrO2原料としては、ZrO2粉末を用いた。
これらの原料粉末を、それぞれ、表3の各原料組成に示すような酸化物比となるように、全体の重量が100gになるように採取し、以下、調製例1と同様に操作して、11種類の焼成体(磁器組成物)を得た。
【0035】
【表3】
Figure 0004890683
【0036】
(試験例1)
磁器組成物(焼成体)の誘電特性等の評価
調製例1〜3において得た合計33種の焼成体につき、密度とミリ波帯域の特定の周波数で誘電特性を測定した。密度は、寸法と重量とから測定した。誘電特性は自由空間法により測定した。すなわち、図2に示すように、自由空間に置かれた測定試料にホーンアンテナから誘電体レンズを用いて直径20mm以内に集束させたビームを試料に照射しその時の誘電特性(tanδ、誘電率)を測定した。また、X線回折により、タイタナイトの結晶ピークを確認した。
密度、誘電特性及びX線回折観察結果を表1〜3に併せて示す。
【0037】
表1に示すように、これらの実施例試料2〜10の焼成体は、いずれも、50GHz以上のミリ波帯域、特に、110GHz以下の範囲において、0.05以上の誘電正接を備えていた。特に、試料3〜9においては、50GHzで0.09以上、80GHzでは0.11以上、110GHzでは0.12以上の誘電正接を備えていた。これに対し、比較例試料11では、50GHz〜110GHzで0.01〜0.02の誘電正接であった。
特に、実施例試料2〜8では、タイタナイトを主体結晶組成としていた。また、いずれの実施例試料においても、50GHzから110GHzに周波数が高くなるに応じて、誘電正接も大きくなっていた。
特に、試料4〜9の焼成体については、50GHzにおいて誘電正接が0.11以上であり、80GHzでは0.13以上であり、110GHzでは0.14以上であった。
【0038】
表2に示すように、これらの実施例試料13〜21の焼成体は、いずれも、50GHz以上のミリ波帯域、特に、110GHz以下の範囲において、0.07以上の誘電正接を備えていた。特に、試料14〜20においては、50GHzで0.08以上、80GHzでは0.10以上、110GHzでは0.12以上の誘電正接を備えていた。さらに、試料15〜20の焼成体については、50GHzにおいて誘電正接が0.09以上であり、80GHzでは0.11以上であり、110GHzでは0.13以上であった。
これに対し、比較例試料22では、50GHz〜110GHzで0.04〜0.07の誘電正接であった。
特に、実施例試料13〜18では、タイタナイトを主体結晶組成としていた。また、いずれの実施例試料においても、50GHzから110GHzに周波数が高くなるに応じて、誘電正接も大きくなっていた。
【0039】
表3に示すように、これらの実施例試料24〜32の焼成体は、いずれも、50GHz以上のミリ波帯域、特に、110GHz以下の範囲において、0.08以上の誘電正接を備えていた。試料25〜31においては、50GHzで0.0.09以上、80GHzでは0.12以上、110GHzでは0.13以上の誘正接を備えていた。さらに、試料26〜31の焼成体については、50GHzにおいて誘電正接が0.10以上であり、80GHzでは0.13以上であり、110GHzでは0.15以上であった。
これに対し、比較例試料33では、50GHz〜110GHzで0.06、0.09、0.11の誘電正接であった。
特に、実施例試料24〜31では、タイタナイトを主体結晶組成としていた。
また、いずれの実施例試料においても、50GHzから110GHzに周波数が高くなるに応じて、誘電正接も大きくなっていた。
【0040】
(試験例2)
電波吸収体の試作例
原料組成が試料28と同一であり、先の調製例と同様の操作で焼成体を得、この焼成体を、60mm×60mm×6mmの板状体の試験片を作製した。この試験片の両面を平面研削加工して厚みを正確に5mmとした。別に、加工磁器板の型面に電波反射抑制膜を形成するための被覆用スラリーを以下の配合に従い、この配合物にジルコニア製の球石(ジルコニア10mm径)1000gを混合して、容量1000mlのポリエチレン容器を用いて43rpmで20時間混合して、調製した。
被覆用スラリーの配合
エタノール 120ml
メチルエチルケトン 120ml
ポリエチレングリコール(#400) 1g
アルミナ(市販品、純度99.9%、粒径0.3μm) 20g
ポリビニルブチラール樹脂 19.6g
【0041】
この被覆用スラリーを、研削後の試験片の片面にのみ付与して、当該片面に平均膜厚0.52mmの被覆膜を形成し、電波反射抑制面を形成した。一方、この試験片の他方面には、アルミ箔を貼着して電波反射面を形成した。
この試験片を、図3に示す配置により、自由空間法で電波吸収特性を評価した。その結果を図4に示す。周波数60GHzから90GHzの広い範囲で−20dB以上の高い反射減衰量が得られた。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、ミリ波域で大きい誘電正接(tanδ)を備える新規な磁器組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁器組成物をセラミックス成形体として得る場合の製造工程の一例を示す図である。
【図2】自由空間法により、試験片の誘電特性を測定する際のセット状態を示す図である。
【図3】自由空間法により、試験片の電波吸収特性を測定する際のセット状態を示す図である。
【図4】試験例2において評価した電波吸収体としての試験片のミリ波周波数帯域での、反射減衰量を示す図である。

Claims (2)

  1. タイタナイトを結晶組成として有するCaO、TiO2、及びSiO2の3成分組成において、TiO2の一部がSnO2、MnO2、及びZrO2からなる群から選択される1種あるいは2種以上の成分により置換されている組成を備え、
    前記3成分組成は、CaO、TiO 2 、及びSiO 2 の等モル組成であり、
    TiO 2 1モルに対する前記成分置換量が0.03モル以上0.6モル以下である、磁器組成物。
  2. 主体結晶組成としてタイタナイトを有し、Tiの一部がSn、Mn、及びZrからなる群から選択される1種あるいは2種以上の原子により置換されている結晶格子構造を備える、磁器組成物。
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