JP2003320475A - ガスシールドアーク溶接用ワイヤ - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用ワイヤ

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JP2003320475A JP2002128139A JP2002128139A JP2003320475A JP 2003320475 A JP2003320475 A JP 2003320475A JP 2002128139 A JP2002128139 A JP 2002128139A JP 2002128139 A JP2002128139 A JP 2002128139A JP 2003320475 A JP2003320475 A JP 2003320475A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ライナの湾曲等により送給抵抗が高くなる過
酷な使用環境下においても、良好なワイヤ送給性を発揮
することのできるガスシールドアーク溶接用ワイヤを提
供する。 【解決手段】 ワイヤ表面のワイヤ長手方向にスジ状の
溝を有し、該表面に送給潤滑剤を付着した溶接ワイヤで
あって、ワイヤ長手方向に対して30°方向を測定した
表面粗度が付加長さ率tp[C/Cv30]で20〜7
0%、算出平均粗さRaで0.05〜0.30μm、か
つ、ワイヤ表面の送給性潤滑剤付着量がワイヤ10kg
当たり0.1〜2.5gであることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はワイヤ送給性に優れ
た全自動および半自動溶接用フラックス入りワイヤ、ソ
リッドワイヤ等のガスシールドアーク溶接用ワイヤに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にCO2ガスシールドアーク溶接、
MIG溶接等には細径(0.8〜1.6mm)のガスシ
ールドアーク溶接用ワイヤが使用される。ガスシールド
アーク溶接用ワイヤはスプールに巻かれた、あるいはペ
ールパックに装填された形態で溶接に供せられる。この
ガスシールドアーク溶接用ワイヤの使用に際しては、送
給機の送給ローラによりスプールあるいはペールパック
からワイヤを引き出すとともに後続するコンジットケー
ブルに内包されたライナ内に押し込み、このライナを経
由して、コンジットケーブル先端に取り付けられた溶接
トーチ内の給電チップまで送給する方式が採用されてい
る。ワイヤはこの給電チップと被溶接材間で電圧を印可
されてアーク溶接が行われる。
【0003】ここで使用されるライナは鋼線をスパイラ
ル状にして形成したフレキシブルなガイド管であり、そ
の長さは通常3〜6m程度であるが広域の溶接を行なう
場合には10〜20mの長尺なものとなり、溶接個所ま
での距離に合わせて選択使用される。この方式によれ
ば、例えば造船現場等の溶接個所が狭隘な、あるいは高
低差がある場所であっても、コンジットケーブル(ライ
ナ)を沿わすことにより比較的容易に溶接が行なえる利
点がある。ところが、使用時に、次のような問題が生じ
ることがあり、その解決を求められている。
【0004】安定した溶接を行なうためには、ガスシー
ルドアーク溶接用ワイヤを決められた一定の速度で溶接
部に供給すること、つまりワイヤ送給性が良好であるこ
とが必要となる。ワイヤは送給ローラの送給力によって
ライナ内に押し込まれ、一方ライナ内面からは接触摩擦
による送給抵抗を受ける。このとき、ライナが直線状態
に近い比較的優しい使用環境下の場合には、送給抵抗は
それ程大きくならずワイヤ送給性に問題は生じないが湾
曲個所が多く、湾曲半径(曲率半径)が小さく、あるい
はライナが長尺化した場合等の過酷な使用環境下の場合
には、送給抵抗が増加し送給力とのバランスが崩れ、ワ
イヤ送給性が悪化する。
【0005】ワイヤの表面状態は、このワイヤ送給性の
良否に大きく影響している。即ち、送給抵抗が増加した
とき、ワイヤ表面の潤滑剤が少ないと、送給速度が不安
定になりワイヤ送給性が悪化する。また、ワイヤがライ
ナ内で座屈する、送給ローラでワイヤ表面が削れ、この
削れ滓がライナ内に進入、蓄積する状態を呈する等によ
り、益々送給抵抗が増加するようになる。逆に、ワイヤ
表面の潤滑剤が多いと、送給ローラが過剰にスリップす
るようになり、ワイヤは所定の送給速度を維持できずワ
イヤ送給性が悪化する。その結果、溶接アークの不安定
化、ビード形状の不揃い、融合不良、アンダーカットの
発生等のトラブルが発生する。
【0006】コンジットケーブルが直線状態で使われる
溶接現場は殆どなく、複雑に入り組んだ場所でコンジッ
トケーブルを湾曲させながらワークの溶接が行われるの
が普通であるから、このような状況下においてもワイヤ
送給性が良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤが強く
要求されるようになった。従来、ワイヤ送給性を確保す
るために、ガスシールドアーク溶接用ワイヤ表面にさま
ざまな潤滑処理が行われている。
【0007】例えば特公昭50−3256号公報には、
緻密平滑な表面に潤滑油を塗布したガスシールドアーク
溶接用ワイヤが開示されている。ところがワイヤ表面が
緻密平滑であると所定量の潤滑油をむらなく安定して塗
布することが困難であり、送給性良好なワイヤを得よう
とした場合、潤滑油を多く塗布せざるを得ない。しか
し、ワイヤ表面の潤滑油が多いワイヤは前述のように、
送給抵抗の増加により送給ローラがスリップし易くなる
からコンジットライナの湾曲等に対応でき難いこと、さ
らには溶接作業性の不良や拡散性水素量増加に起因する
溶接金属の材質劣化を伴うという欠点がある。
【0008】一方、固体潤滑剤を使用する例として特開
昭50−146541号公報には、二硫化モリブデン粉
末、グラファイト粉末の単体あるいは混合体とフラック
ス成分の1種以上との混合物を主成分とする伸線剤によ
って伸線する溶接用複合ワイヤの製造方法が開示されて
いる。また、特開昭58−135795号公報には、ガ
スシールドアーク溶接用ワイヤとしてワイヤ表面にグラ
ファイトあるいは二硫化モリブデンの何れか1種または
両者および10〜60重量%のガラス粉末の混合物のみ
を塗布してなり、該潤滑剤の量がワイヤ重量の5×10
-2〜5×10-4%であるガスシールドアーク溶接用ワイ
ヤが開示されている。しかしながら、上記の技術では潤
滑剤付着量のコントロールが困難で、過剰に潤滑剤が付
着した箇所が発生したり、伸線後に潤滑剤が不均一に付
着するという問題がある。潤滑剤が過剰に付着している
と、ライナ内で詰まりが生じ、ワイヤ送給が困難になる
ことがある。また、不均一に潤滑剤が付着していると、
安定した送給が行われ難くなる。
【0009】そこで、ワイヤ表面の粗度を大きくしてそ
の凹に潤滑油を保持させることにより、潤滑油をワイヤ
長手方向にむらなく、かつ安定して塗布する技術が提案
された。例えば、特公平4−52197号公報には特定
のガス雰囲気下で焼鈍した後伸線加工することにより、
また特公昭58−56677号公報には潤滑油圧力を高
めて強制潤滑しつつ孔ダイスにより伸線加工することに
より、ワイヤ表面の粗度を大きくするための製造技術が
開示されている。しかし、特公平4−52197号公報
のものは、ワイヤ円周方向に延びる横溝であり油溜とし
ては有効であるが固体潤滑剤溜としては不適切で、特公
昭58−56677号公報のものは、ワイヤ表面の平坦
率は小さくできるものの深さ方向の粗度は得られ難い、
そのため表面の潤滑油付着量がワイヤ10kg当たり
2.0g以上と多量でないとワイヤ送給性の改善は望め
ない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、送給
潤滑剤溜りとして有効なワイヤ長手方向にすじ状の溝を
形成したワイヤ表面を有し、送給潤滑剤を安定して付着
することにより、ライナの湾曲等により送給抵抗が高く
なる過酷な使用環境下であっても潤滑切れを起さず良好
なワイヤ送給性を発揮することのできるガスシールドア
ーク溶接用ワイヤを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、 (1)ワイヤ表面にワイヤ長手方向にすじ状の溝を有し
たガスシールドアーク溶接用ワイヤであって、表面粗度
ワイヤ長手に対して30°方向を測定した表面粗度が負
荷長さ率tp[C/Cv30]で20〜70%、算出平
均粗さRaで0.05〜0.30μm、かつ、ワイヤ表
面の送給性潤滑剤付着量がワイヤ10kg当たり0.1
〜2.5gであることを特徴とするガスシールドアーク
溶接用ワイヤ。
【0012】(2)送給性潤滑剤は、固体潤滑剤および
送給潤滑油の1種または2種であることを特徴とする前
記(1)記載のガスシールドアーク溶接用ワイヤ。 (3)ワイヤ表面色調の明度L値が40〜60、彩度C
値が1〜10である前記(1)または(2)記載のガス
シールドアーク溶接用ワイヤ。 (4)ワイヤ表面色調の明度L値が30〜70、彩度C
値が20〜50である前記(1)または(2)記載のガ
スシールドアーク溶接用ワイヤにある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
ガスシールドアーク溶接用ワイヤが良好なワイヤ送給性
能を具備するためには、ワイヤ送給性にとって有効な送
給潤滑剤(固体潤滑剤、送給潤滑油)がワイヤ長手方向
に均一かつ安定して付着していることが必要である、そ
のためには、ワイヤ表面長手方向に潤滑剤溜りとしての
すじ状の溝を有する表面粗度(凹凸)が形成されている
ことが必要となる。
【0014】この目的から、本発明では、JIS B0
601−1994で規定されるワイヤ表面長手方向に対
して30°方向を測定した表面粗度を負荷長さ率tp
[切断レベルCv=30%](以下、tp[C/Cv=
30]という。)と算術平均粗さRa(以下、Ra
[C]という。)で次のように規定する。 tp[C/Cv=30]=20〜70% Ra[C]=0.05〜0.30μm (測定条件;カットオフ値λc=0.25mm,基準長
さl=0.25mm,評価長さ1N=1.25mm)
【0015】このtp[C/Cv=30]とRa[C]
は、触針式粗度計(針先1μm)を使用し、ワイヤの円
周方向で45°間隔8ヶ所の位置におけるワイヤ表面長
手方向に対して30°方向を測定した値の平均値として
求めることができる。ここで負荷長さ率tpは、粗さ曲
線を平均線に平行な切断レベルCv(%)で切断したと
きに得られる切断長さの総和の基準長さに対する比
(%)で表される。図1は最大山頂からの切断レベルC
v(%)と負荷長さ率tp(%)との関係をグラフ化し
たベアリングカーブ(以下、BCという。)を示し、図
示するBC例は本発明例のワイヤ表面のBCで、切断レ
ベルCv=30%における負荷長さ率tpが78%であ
ることを示す。
【0016】負荷長さ率tpは、ワイヤ表面の粗度形状
を示す指標であり、本発明のワイヤ長手方向に対して3
0°方向を測定したtp[C/Cv=30%]を20〜
70%に限定した理由は、20%未満であるとすじ状の
溝の凹部が過大になり、送給潤滑剤(特に固体潤滑剤)
が付着過多になり易いこと、逆に70%を超えるとすじ
状の溝の凸部が過大になり、送給潤滑剤が付着過少にな
り易いことによる。送給潤滑剤が付着過多になると、送
給ローラが過剰にスリップするようになり、ワイヤは所
定の送給速度を維持できずワイヤ送給性が悪化する。ま
た、ライナ内部で送給潤滑剤の脱落が著しくなりライナ
の使用寿命を短くする原因になる。逆に送給潤滑剤が付
着過少になると、ワイヤ送給抵抗が増加したとき、送給
速度が不安定になってワイヤ送給性が悪化する。また、
送給ローラでワイヤ表面が削れ、この削れ滓がライナ内
に進入、蓄積し益々送給抵抗が増加するようになる。
【0017】次に、算術平均粗さRa[C]は粗度の深
さを示す指標であり、本発明のワイヤ長手方向に対して
30°方向を測定したRa[C]は、0.05〜0.3
0μmに限定した理由は、0.05μm未満であると凹
凸部の高低差が過小になり、送給潤滑剤の保持機能が乏
しくなること、逆に、0.30μmを超えるとすじ状溝
の凹凸部の高低差が過大になり、送給潤滑剤の付着が過
剰になり易いことによる。本発明では、ワイヤ表面の粗
さをワイヤ長手方向に対して30°方向を測定したtp
[C/Cv=30]を20〜70%とRa[C]を0.
05〜0.30μmの組合せによるすじ状溝の凹凸バラ
ンスの特定を行なった形状とし、これにより送給潤滑剤
の適量安定付着を実現する。この意味において、更に望
ましい粗度範囲としてtp[C/Cv=30]を30〜
60%とRa[C]を0.10〜0.15μmの組合せ
の表面を推奨する。
【0018】図2は、本発明のワイヤ表面の例を示す模
式図である。図2で符号1はワイヤ長手方向(L方向)
を示し、ワイヤ素地2上の表面は、平坦部3とすじ状の
溝4からなるすじ状の凹凸部を形成している。このよう
にしてワイヤ表面に形成されたすじ状の溝4は、その内
部に送給潤滑剤を収納する機能を有する。また、平坦部
3は送給潤滑油の被膜機能を有し、すじ状の溝4は固体
潤滑剤を収納するとともに平坦部3の被膜状態を安定化
させる機能を持つ。なお、本発明における表面粗さの測
定方向は、図2に符号Cとして示すようにワイヤ長手方
向1に対して30°方向を測定した値をいい、すじ状の
溝はワイヤ全面均等に形成されている必要はなく、上記
した表面粗度のtp[C/Cv=30]が20〜70%
とRa[C]が0.05〜0.30μmを満足する程度
にワイヤ表面に形成されていれば良い。
【0019】また、ガスシールドアーク溶接用ワイヤ表
面に送給潤滑剤を、ワイヤ10kg当たり0.1〜2.
5g(g/10kgW)付着する。ワイヤ表面の送給潤
滑剤付着量が、ワイヤ10kg当たり0.1g未満であ
ると、ライナ内のワイヤ送給抵抗の増加抑制効果が認め
られず、ワイヤ送給性改善は望めない。逆に送給潤滑剤
付着量が、ワイヤ10kg当たり2.5gを超えると、
ワイヤ表面に過剰に付着して、送給ローラがスリップし
て安定送給が困難となる。
【0020】送給潤滑剤とは、固体潤滑剤および送給潤
滑油の1種または2種をいい、固体潤滑剤としては、M
oS2、WS2、ポリテトラフルオロエチレン(以下、P
TEEという。)、グラファイト等の乾式潤滑剤が上げ
られる。これらの固体潤滑剤はワイヤ表面に付着してラ
イナ内壁とワイヤとの摩擦係数を低減し、送給抵抗の増
加を抑制する作用があり、ガスシールドアーク溶接用ワ
イヤの良好なワイヤ送給性を確保する。固体潤滑剤の付
着量は、上記効果を発揮するためにワイヤ10kg当り
0.05〜1.5gとするのが好ましい。
【0021】送給潤滑油とは、動植物油、鉱物油あるい
は合成油の何れでも良い。動植物油としてはパーム油、
菜種油、ひまし油、ラード、牛脂、魚油等を、鉱物油と
してはマシン油、タービン油、スピンドル油等を用いる
ことができる。合成油としては炭化水素系、エステル
系、ポリグリコール系、ポリフェノール系、シリコーン
系、フロロカーボン系等を用いることができる。送給潤
滑油中にはさらに潤滑性能を向上させるため、各種の脂
肪酸をはじめとする油性剤やりん系、ハロゲン系、イオ
ウ系の極圧添加剤を加えても良く、また、潤滑油の酸化
を防ぐための添加剤(酸化防止剤)を加えても良い。ガ
スシールドアーク溶接用ワイヤ表面の送給潤滑油の付着
量は、ワイヤ10kg当り0.1〜1.5g(g/10
kgW)であることが望ましい。送給潤滑油はワイヤ表
面全体に付着することにより、ワイヤ送給時にガスシー
ルドアーク溶接用ワイヤの送給性を向上させる役目を担
う。
【0022】次に、ノーめっきワイヤ表面色調の明度を
JIS Z 8729で規定される明度L値が40〜6
0で、彩度C値を1〜10の範囲とすることによってワ
イヤ送給性が良好となる。ワイヤ表面色調の明度L値が
40、彩度C値が1未満であると送給潤滑剤付着量が多
くなるので、送給ローラがスリップするようになり、ワ
イヤは所定の送給速度を維持できずワイヤ送給性が悪化
する。また、ワイヤ表面色調の明度L値が60、彩度C
値が10を超えると、潤滑剤付着量が少なくなるので、
ワイヤ送給抵抗が増加したとき、ワイヤ送給速度が不安
定となってワイヤ送給性が悪くなる。
【0023】一方、めっきワイヤ表面色調の明度L値を
30〜70、彩度C値を20〜50の範囲とすることに
よってワイヤ送給性が良好で、ワイヤ表面色調の明度L
値が30、彩度C値が20未満の場合送給潤滑剤付着量
が多くなるので、送給ローラがスリップするようにな
り、ワイヤは所定の送給速度を維持できずワイヤ送給性
が悪化する。また、ワイヤ表面色調の明度L値が70、
彩度Cが50を超えると、送給潤滑剤付着量が少なくな
るので、ワイヤ送給抵抗が増加したとき、ワイヤ送給速
度が不安定になってワイヤ送給性が悪くなる。
【0024】したがって、本発明では、ワイヤ表面色調
の明度L値および彩度C値を、次のように規定する。 上記の測定は、スプール巻ワイヤ最外層表面を略均等間
隔8ヶ所測定した値の平均として求めることができる。
なお、明度Lおよび彩度Cは色彩色差計で測定すること
ができ本発明においては、ミノルタ(株)製のCR−3
00、測定径;8mmを使用した。
【0025】本発明は中実状のソリッドワイヤ、ワイヤ
中にフラックスを内包したフラックス入りワイヤ(合わ
せ目有りタイプ、無しタイプ)の何れのガスシールドア
ーク溶接用ワイヤも対象とする。本発明のガスシールド
アーク溶接用ワイヤの製造方法例として、ワイヤ素線を
湿式孔ダイスで伸線して、最終伸線後強制的に長手方向
に溝を付与し、送給潤滑剤を塗布して、スプール巻ワイ
ヤまたはペールパック入りワイヤとする。
【0026】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例により具体的に
説明する。ワイヤ径1.2mmのフラックス入りワイヤ
(JIS Z3313 YFW−C50DR、フラック
ス充填率14%)とソリッドワイヤ(JIS Z331
2 YGW11)表面にワイヤ長手方向にすじ状の溝を
付与し、送給性潤滑剤を付着されたスプール巻ガスシー
ルドアーク溶接用ワイヤを各種試作した。ワイヤ送給性
の評価試験は、図3に示す装置を用いて行なった。図3
において送給機5にセットされたスプール巻き溶接用ワ
イヤ6は、送給ローラ9により引き出され、コンジット
ケーブル8に内包したライナを経てその先端の溶接トー
チ9まで送給される。そして通電チップと鋼板10の間
でビードオンプレート溶接を行った。コンジットケーブ
ル8は6m長さで、ワイヤに送給抵抗を与えるために直
径75mmのループを2つ形成した湾曲部11を設け
た。送給機5には送給ローラの周速度Vr(=設定ワイ
ヤ速度)の検出器(図示しない)、ワイヤ速度(Vw)
検出器12を備えている。
【0027】ワイヤ送給性評価指標のスリップ率Slは
Sl=(Vr−Vw)/Vr×100%で表される。ま
た、送給ローラ部分に設けられたロードセル13により
送給時にワイヤがライナから受ける反力を送給抵抗Rと
して検出した。溶接は、表1に示す溶接条件で20分間
溶接し、送給抵抗Rとスリップ率Slを測定して平均値
を求めた。送給抵抗Rが6kgf以下でスリップ率Sl
が10%以下の場合にワイヤ送給性良好と判定した。そ
れらの結果を表2にノーめっきワイヤの例および表3に
めっきワイヤの例を示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】表2および表3中、No.1〜6およびN
o.13〜18は本発明例で、No.7〜12およびN
o.19〜24は比較例である。本発明例であるノーめ
っきワイヤのNo.1〜6およびめっきワイヤのNo.
13〜18は、ワイヤ長手方向に対して30°方向を測
定したワイヤ表面粗度tp[C/Cv=30]をよびR
a[C]が適正で、送給潤滑剤付着量およびワイヤ表面
色調の明度Lおよび彩度Cも適正であるので、送給抵抗
Rおよびスリップ率Slともに低く良好なワイヤ送給性
を示し、アークは安定しており、極めて満足な結果であ
った。
【0032】比較例中No.7およびNo.22は、ワ
イヤ表面粗度のtp[C/Cv=30]が低く、No.
9およびNo.21は、ワイヤ表面粗度のRa[C]が
高く、さらにワイヤ表面色調の明度Lおよび彩度Cが低
く、また、No.11およびNo.24は、送給潤滑剤
付着量が多いので、いずれもスリップ率が高くまた長時
間溶接でライナ内への送給潤滑剤が脱落して送給抵抗も
高くなり、ワイヤ送給性が不良となって、アークが不安
定となった。
【0033】No.8およびNo.20は、ワイヤ表面
粗度のtp[C/Cv=30]が高く、No.10およ
びNo.19は、ワイヤ表面粗度のRa[C]が低く、
さらにNo.10は、色調明度Lおよび彩度Cが高く、
また、No.12およびNo.23は、送給潤滑剤の付
着量が少なく、さらにNo.23は、ワイヤ表面色調の
明度Lおよび彩度Cが高いので、いずれも送給抵抗が高
くなって、ワイヤ送給性が不良となった。
【0034】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明のガスシー
ルドアーク溶接用ワイヤによれば、ライナの湾曲等によ
り送給抵抗が高くなる過酷な使用環境下であっても良好
なワイヤ送給性を発揮することのできるガスシールドア
ーク溶接用ワイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスシールドアーク溶接用ワイヤのベ
アリングカーブ例を示す図である。
【図2】本発明のガスシールドアーク溶接用ワイヤ表面
の模式図である。
【図3】本発明の実施例におけるワイヤ送給性試験の装
置を示す図である。
【符号の説明】
1 ワイヤ長手方向 2 ワイヤ素地 3 平坦部 4 スジ状の溝 5 送給機 6 溶接用ワイヤ 7 送給ローラ 8 コンジットケーブル 9 溶接トーチ 10 鋼板 11 コンジットケーブルの湾曲部 12 ワイヤ速度検出器 13 ロードセル C 表面粗さ測定方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤原 行雄 千葉県習志野市東習志野7丁目6番1号 日鐵溶接工業株式会社技術センター内 (72)発明者 雨池 弘二 千葉県習志野市東習志野7丁目6番1号 日鐵溶接工業株式会社技術センター内 Fターム(参考) 4E084 CA24 CA25 CA27 DA10 DA34 GA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワイヤ表面のワイヤ長手方向にすじ状の
    溝を有したガスシールドアーク溶接用ワイヤであって、
    ワイヤ長手方向に対して30°方向を測定した表面粗度
    が負荷長さ率tp[C/Cv30]で20〜70%、算
    出平均粗さRaで0.05〜0.30μm、かつ、ワイ
    ヤ表面の送給性潤滑剤付着量がワイヤ10kg当たり
    0.1〜2.5gであることを特徴とするガスシールド
    アーク溶接用ワイヤ。
  2. 【請求項2】 送給性潤滑剤は、固体潤滑剤および送給
    潤滑油の1種または2種であることを特徴とする請求項
    1記載のガスシールドアーク溶接用ワイヤ。
  3. 【請求項3】 ワイヤ表面色調の明度L値が40〜6
    0、彩度C値が1〜10である請求項1または請求項2
    記載のガスシールドアーク溶接用ワイヤ。
  4. 【請求項4】 ワイヤ表面色調の明度L値が30〜7
    0、彩度C値が20〜50であることを特徴とする請求
    項1または請求項2記載のガスシールドアーク溶接用ワ
    イヤ。
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