JP2004314099A - ガスシールドアーク溶接用ワイヤ - Google Patents

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Koji Amaike
弘二 雨池
Masaki Abe
昌樹 阿部
Kimihiro Tsuji
公博 辻
Yasuo Kimiya
康雄 木宮
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Abstract

【課題】コンジットライナの屈曲等により送給抵抗が高くなる過酷な使用環境下においても、良好なワイヤ送給性を発揮することのできるガスシールドアーク溶接用ワイヤを提供する。
【解決手段】ワイヤ表面のワイヤ長手方向に溝を有したガスシールドアーク溶接用ワイヤであって、ワイヤ長手方向に対して30°方向を測定した表面粗度が負荷長さ率tp〔Cv30〕で40〜90%、算出平均粗さRaで0.08〜0.25μm、最大高さRyで1.1μm以下、かつ、ワイヤ表面の送給潤滑剤付着量がワイヤ10kg当たり0.1〜2.5gであることを特徴とする。
また、送給潤滑剤は潤滑油をベース油として0.3〜4.0質量%の二硫化モリブデンを含有させた防錆潤滑剤であることも特徴とする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤ送給性に優れた全自動および半自動溶接用フラックス入りワイヤ、ソリッドワイヤ等のガスシールドアーク溶接用ワイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にCOガスシールドアーク溶接、MIG溶接等には細径(0.8〜1.6mm径)のガスシールドアーク溶接用ワイヤが使用される。ガスシールドアーク溶接用ワイヤはスプールに巻かれた、あるいはペールパックに装填された形態で溶接に供せられる。このガスシールドアーク溶接用ワイヤの使用に際しては、ワイヤ送給機の送給ローラによりスプールあるいはペールパックからワイヤを引き出すとともに後続するコンジットケーブルに内包されたコンジットライナ内に押し込み、このコンジットライナを経由して、コンジットケーブル先端に取り付けられた溶接トーチ内の給電チップまで送給する方式が採用されている。ワイヤはこの給電チップと被溶接材間で電圧を印可されてアーク溶接が行われる。
【0003】
ここで使用されるコンジットライナは鋼線をスパイラル状に形成したフレキシブルなガイド管であり、その長さは通常3〜6m程度であるが広域の溶接を行う場合には10〜20mの長尺なものとなり、溶接箇所までの距離に合わせて選択使用される。この方式によれば、造船現場等の溶接箇所が狭隘な、あるいは高低差がある場所であっても、コンジットケーブルを沿わすことにより比較的容易に溶接が行える利点がある。ところが、使用時に、次のような問題が生じることがあり、その解決を求められている。
【0004】
安定した溶接を行うためには、ガスシールドアーク溶接用ワイヤを決められた一定の速度で溶接部に供給すること、つまりワイヤ送給性が良好であることが必要となる。ガスシールドアーク溶接用ワイヤは送給ローラの送給力によってコンジットライナ内に押し込まれ、一方コンジットライナ内面からは接触摩擦による送給抵抗を受ける。このとき、コンジットライナが直線状態に近い比較的優しい使用環境下の場合には、送給抵抗はそれ程大きくならずワイヤ送給性に問題は生じないが屈曲個所が多く、湾曲半径(曲率半径)が小さく、あるいはコンジットケーブルが長尺化した場合等の過酷な使用環境下の場合には、送給抵抗が増加し送給力とのバランスが崩れ、ワイヤ送給性が悪化する。
【0005】
ガスシールドアーク溶接用ワイヤの表面状態は、このワイヤ送給性の良否に大きく影響している。即ち、送給抵抗が増加したとき、ワイヤ表面の潤滑剤が少ないと、送給速度が不安定になりワイヤ送給性が悪化する。また、ガスシールドアーク溶接用ワイヤがコンジットライナ内で座屈する、送給ローラでワイヤ表面が削れ、この削れ滓がコンジットライナ内に進入、蓄積する状態を呈する等により、益々送給抵抗が増加するようになる。逆に、ワイヤ表面の潤滑剤が多いと、送給ローラが過剰にスリップするようになり、ガスシールドアーク溶接用ワイヤは所定の送給速度を維持できずワイヤ送給性が悪化する。その結果、溶接アークの不安定化、ビード形状の不揃い、融合不良、アンダーカットの発生等のトラブルが発生する。
【0006】
コンジットケーブルが直線状態で使われる溶接現場は殆どなく、複雑に入り組んだ場所でコンジットケーブルを湾曲させながらワークの溶接が行われるのが普通であるから、このような状況下においてもワイヤ送給性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤが強く要求されるようになった。従来、ワイヤ送給性を確保するために、ガスシールドアーク溶接用ワイヤ表面にさまざまな潤滑処理が行われている。
【0007】
例えば特公昭50−3256号公報(特許文献1)には、緻密平滑な表面に潤滑油を塗布した溶接用ワイヤが開示されている。ところがワイヤ表面が緻密平滑であると所定量の潤滑油をむらなく安定して塗布することが困難であり、良好なワイヤ送給性を得ようとした場合、潤滑油を多く塗布せざるを得ない。しかし表面の潤滑油が多いワイヤは前述のように、送給抵抗の増加により送給ローラがスリップし易くなるからコンジットライナの湾曲等に対応でき難いこと、さらには溶接作業性の不良や拡散性水素量増加に起因する溶接金属の材質劣化を伴うという欠点がある。
【0008】
一方、固体潤滑剤を使用する例として特開昭50−146541号公報(特許文献2)には、二硫化モリブデン粉末、グラファイト粉末の単体あるいは混合体とフラックス成分の1種以上との混合物を主成分とする伸線剤によって伸線することを特徴とする溶接用複合ワイヤの製造方法が開示されている。また、特開昭58−135795号公報(特許文献3)には、アーク溶接用ワイヤとしてワイヤ表面にグラファイトあるいは二硫化モリブデンの何れか1種または両者および10〜60重量%のガラス粉末の混合物のみを塗布してなり、該潤滑剤の量がワイヤ重量の5×10−4〜5×10−2%であることを特徴とするアーク溶接用ワイヤが開示されている。
【0009】
しかしながら、上記の技術では潤滑剤付着量のコントロールが困難で、過剰に潤滑剤が付着した箇所が発生したり、伸線後に潤滑剤が不均一に付着するという問題がある。潤滑剤が過剰に付着していると、コンジットチューブ内で詰まりが生じ、ワイヤ送給が困難になることがある。また、不均一に潤滑剤が付着していると、安定したワイヤ送給が行われ難くなる。
【0010】
そこで、ワイヤ表面の粗度を大きくしてその凹に潤滑油を保持させることにより、潤滑油をワイヤ長手方向にむらなく、かつ安定して塗布する技術が提案された。例えば、特公平4−52197号公報(特許文献4)には特定のガス雰囲気下で焼鈍した後伸線加工することにより、また特公昭58−56677号公報(特許文献5)には潤滑油圧力を高めて強制潤滑しつつ孔ダイスにより伸線加工することにより、ワイヤ表面の粗度を大きくするための製造技術が開示されている。しかし、特許文献4のものは、ワイヤ円周方向に延びる横溝であり油溜めとしては有効であるが固体潤滑剤溜めとしては不適切で、特許文献5のものは、ワイヤ表面の平坦率は小さくできるものの深さ方向の粗度は得られ難い、そのため表面の潤滑油付着量がワイヤ10Kg当たり2.0g以上と多量でないとワイヤ送給性の改善は望めない。
【0011】
【引用文献】
(1)特許文献1(特公昭50−3256号公報)
(2)特許文献2(特開昭50−146541号公報)
(3)特許文献3(特開昭58−135795号公報)
(4)特許文献4(特公平4−52197号公報)
(5)特許文献5(特公昭58−56677号公報)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、コンジットケーブルの湾曲等により送給抵抗が高くなる過酷な使用環境下であっても潤滑切れを起さず良好なワイヤ送給性を発揮することのできるガスシールドアーク溶接用ワイヤを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、ワイヤ表面のワイヤ長手方向に溝を有したガスシールドアーク溶接用ワイヤであって、ワイヤ長手方向に対して30°方向を測定した表面粗度が負荷長さ率tp〔Cv30〕で40〜90%、算出平均粗さRaで0.08〜0.25μm、最大高さRyで1.1μm以下、かつ、ワイヤ表面の送給潤滑剤付着量がワイヤ10kg当たり0.1〜2.5gであることを特徴とする。
また、送給潤滑剤は潤滑油をベース油として0.3〜4.0質量%の二硫化モリブデンを含有させた防錆潤滑剤であることも特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
ガスシールドアーク溶接用ワイヤが良好な送給性能を具備するためには、ワイヤ送給性にとって有効な潤滑剤がワイヤ長手方向に均一かつ安定して付着していることが必要である。そのためには、ワイヤ表面長手方向に潤滑剤溜りとしての溝をワイヤに有する表面粗度(凹凸)が形成されていることが必要となる。
この目的から、本発明では、JIS B0601で規定される表面粗度をワイヤ表面長手方向に対して30°の方向の負荷長さ率tp〔切断レベルCv=30%〕(以下、tp〔C/Cv=30〕という。)算術平均粗さRa(以下、Ra〔C〕という。)および最大高さRy(以下、Ry〔C〕という。)で次のように規定する。
tp〔C/Cv=30〕=40〜90%
Ra〔C〕=0.08〜0.25μm
Ry〔C〕=1.1μm以下
(測定条件:カットオフ値λc=0.25mm,基準長さ1=0.25mm,評価長さ1N=1.25mm)
【0015】
このtp〔C/Cv=30〕、Ra〔C〕およびRy〔C〕は、触針式粗度計(針先1μm)を使用し、ワイヤの円周方向で45°間隔8ヶ所の位置におけるワイヤ表面長手方向に対して30°方向の測定値の平均値として求めることができる。ここで負荷長さ率tpは、粗さ曲線を平均線に平行な切断レベルCv(%)で切断したときに得られる切断長さの総和の基準長さに対する比(%)で表される。図1は、最大山頂からの切断レベルCv(%)と負荷長さ率tp(%)との関係をグラフ化したベアリングカーブ(以下、BCという。)を示し、図示するBC例はワイヤ表面のBCで、切断レベルCv=30%における負荷長さ率tpが76%であることを示す。
【0016】
負荷長さ率tpは、ワイヤ表面の粗度形状を示す指標であり、本発明でワイヤ長手方向に対して30℃方向に測定したtp〔C/Cv=30%〕は40〜90%とする。tp〔C/Cv=30%〕が40%未満であるとワイヤ長手方向の溝の凹部(窪地部)が過大になり、潤滑剤が付着過多になり易く、送給ローラが過剰にスリップするようになり、ワイヤは所定の送給速度を維持できず送給性が悪化する。
【0017】
また、コンジットライナ内部で潤滑剤の脱落が著しくなりライナの使用寿命を短くする原因になる。tp〔C/Cv=30%〕が90%を超えるとワイヤ表面の平坦部が多くなり、潤滑剤が付着しづらくなり、送給抵抗が増加したとき、送給速度が不安定になってワイヤ送給性が悪化する。また、送給ローラでワイヤ表面が削れ、この削れ滓がライナ内に進入、蓄積し益々送給抵抗が増加するようになる。
【0018】
次に、算術平均粗さRa〔C〕は粗度の深さ平均値を示す指標であり、本発明では、ワイヤ長手方向に対して30°方向に測定したRa〔C〕を、0.08〜0.25μmとする。Ra〔C〕が0.08μm未満であると凹凸部の高低差が過小になり、潤滑剤の保持機能が乏しくなり、送給抵抗が増加したとき、送給速度が不安定になってワイヤ送給性が悪化する。
【0019】
また、送給ローラでワイヤ表面が削れ、この削れ滓がライナ内に進入、蓄積し益々送給抵抗が増加するようになる。逆に、Ra〔C〕が0.25μmを超えると溝の凹凸部の高低差が過大になり、潤滑剤の付着が過剰になり易く、送給ローラが過剰にスリップするようになり、ワイヤは所定の送給速度を維持できず送給性が悪化する。また、コンジットライナ内部で潤滑剤の脱落が著しくなりライナの使用寿命を短くする原因になる。
【0020】
最大高さRy〔C〕は、粗さの平均線から最も高い山頂までの高さと最も低い谷底までの深さとの和を示し、本発明においては、tp〔C/Cv=30〕が40〜90%であるのでワイヤ表面は平坦部が存在し、実質的にワイヤ表面からの最高深さを示している。したがって、ワイヤ長手方向に対して30°方向に測定したRy〔C〕が1.1μmを超えると部分的に潤滑剤がワイヤ表層部深く入り込み、溶接時にスパッタの発生量が多くなるのでRy〔C〕で1.1μm以下とする。
【0021】
本発明では、ワイヤ表面の粗さをワイヤ長手方向30℃に測定したtp〔C/Cv=30〕を40〜90%、Ra〔C〕を0.08〜0.25μmおよびRy〔C〕を1.1μm以下の組合せによるワイヤ表面長手方向の溝の凹凸バランスを特定した形状とし、これにより潤滑剤の適量安定付着を実現する。この意味において、更に望ましい粗度範囲としてtp〔C/Cv=30〕を60〜80%、Ra〔C〕を0.10〜0.20μmおよびRy〔C〕を0.9μm以下の組合せのワイヤ表面を推奨する。
【0022】
図2は、本発明のワイヤ表面の好ましい実施例を示す説明図である。図2で(1)は、ワイヤ長手方向を示し、ワイヤ素地(2)上の表面は、平坦部(3)と長手溝(4)からなるワイヤ長手方向(1)の溝の凹凸形状を形成している。平坦部(3)は、主にワイヤ長手方向(1)に延びる大小の長手溝(4)を分散して形成している。長手溝(4)は、ワイヤ表面に分散して主にワイヤ長手方向(1)に連続して存在している。長手溝(4)のサイズは、C方向(円周方向)0.1〜10μm程度で、深さ0.2〜1.0μm程度である。このようにしてワイヤ表面に形成した長手溝(4)は、その内部に潤滑剤(5)を収納する機能を有する。
【0023】
また、平坦部(3)は送給潤滑油の被膜機能を有し、長手溝(4)は送給潤滑油を収納するとともに平坦部の被膜状態を安定化させる機能を持つ。なお、このような凹凸表面はワイヤ全面均等に形成されている必要はなく、上記した表面粗度の規定tp〔C/Cv=30〕が40〜90%、Ra〔C〕が0.08〜0.25μmおよびRy〔C〕が1.1μm以下を満足する程度にワイヤ表面に形成されていれば良い。
【0024】
本発明では、溶接用ワイヤ表面に送給潤滑剤を付着する。溶接用ワイヤ表面の送給潤滑剤の付着量は、ワイヤ10kg当り0.1〜2.5g(以下、g/10kgWという。)であることが望ましい。0.1g/10kgW未満ではワイヤ送給性改善は望めない。逆に2.5g/10kgWを超えると、送給ローラ部でワイヤがスリップし易くなる、さらに潤滑油が溶接熱で分解し多量の水素を発生するので拡散性水素量増加に起因する溶接金属の材質劣化を招き易い。望ましくは2.0g/10kgWを超えないようにするのが良い。
【0025】
また、送給潤滑剤は潤滑油をベースとして二硫化モリブデンを0.3〜4.0質量%含有する。二硫化モリブデンはワイヤ表面に付着してコンジットライナ内壁とワイヤとの摩擦係数を低減し、送給抵抗の増加を抑制する作用があり、良好なワイヤ送給性を確保する。送給潤滑剤中の二硫化モリブデンが0.3質量%未満であると、送給抵抗の増加抑制効果が認められずワイヤ送給性改善は望めない。逆に送給潤滑剤中の二硫化モリブデンが4.0質量%を超えると、送給ローラ部でワイヤがスリップし安定送給が困難となる。
【0026】
前記送給潤滑剤中の潤滑油は、ワイヤ表面に被膜を有し、ワイヤ送給時に二硫化モリブデンの潤滑作用を補完しワイヤ送給性を向上させる。潤滑油は、動植物油、鉱物油あるいは合成油の何れでも良い。動植物油としてはパーム油、菜種油、ひまし油、豚油、牛油、魚油等を、鉱物油としてはマシン油、タービン油、スピンドル油等を用いることができる。合成油としては炭化水素系、エステル系、ポリグリコール系、ポリフェノール系、シリコーン系、フロロカーボン系等を用いることができる。
【0027】
送給潤滑油中にはさらに潤滑性能を向上させるため、各種の脂肪酸をはじめとする油性剤やりん系、塩素系、イオウ系の極圧添加剤を加えても良く、また、潤滑油の酸化を防ぐための添加剤(酸化防止剤)を加えても良い。
本発明のガスシールドアーク溶接用ワイヤは、乾式孔ダイス伸線または湿式孔ダイス伸線でワイヤ長手方向の溝を付与コントロールし、送給潤滑剤を塗布して製造する。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の効果を実施例により具体的に説明する。
表1に示すワイヤ径1.2mmの各種ワイヤ表面性状のフラックス入りワイヤ(JIS Z3313 YFW−C50DR、フラックス充填率14%)とソリッドワイヤ(JIS Z3312 YGW11)を試作してスプール巻きワイヤとした。
【0029】
【表1】
Figure 2004314099
【0030】
各試験例につきワイヤの表面性状とワイヤ送給性能を調査した。ワイヤ表面性状のうち粗度は触針式粗度計(針先1μmR)で測定し、送給潤滑剤の付着量は化学分析により測定を行った。また、ワイヤ送給性評価試験は、図3に示す装置を用いて行った。図3において送給機(6)にセットされたスプール巻き溶接用ワイヤ(7)は、送給ローラ(8)により引き出され、コンジットケーブル(9)に内包したコンジットライナを経てその先端のトーチ(10)まで送給される。そして通電チップと鋼板(11)の間でビードオンプレート溶接を行う。コンジットケーブル(9)は6m長で、ワイヤ送給抵抗を与えるために75mm径のループを2つ形成した屈曲部(12)を設けた。送給機(6)には送給ローラの周速度Vr(=設定ワイヤ速度)の検出器(図示しない)、ワイヤの実速度(Vw)検出器(13)を備えている。
【0031】
送給性評価指標のスリップ率SLはSL=(Vr−Vw)/Vr×100%で表される。また、送給ローラ部分に設けられたロードセル(14)により送給時にワイヤがライナから受ける反力を送給抵抗Rとして検出した。溶接は、表2に示す溶接条件で20分間溶接し、送給抵抗Rとスリップ率SLを測定して平均値を求めた。送給抵抗Rが6kgf以下でスリップ率SLが10%以下の場合にワイヤ送給性良好と判定した。また、スパッタ発生状態の評価は小粒で少ないものを○、小粒または大粒で多いものを×として評価した。それらの結果を表1にまとめて示す。
【0032】
【表2】
Figure 2004314099
【0033】
表1中、No.1〜7は本発明例で、No.8〜14は比較例である。本発明例であるNo.1〜7は、ワイヤ長手方向に対して30°方向を測定したワイヤ表面粗度tp〔C/Cv=30〕、Ra〔C〕およびRy〔C〕が適正で、送給潤滑剤の付着量および送給潤滑剤中の二硫化モリブデンの量も適正であるので、送給抵抗Rおよびスリップ率SLともに低く良好なワイヤ送給性を示し、アークが安定で、スパッタ発生量も少なく、極めて満足な結果であった。
【0034】
比較例中No.8は、ワイヤ表面粗度のtp〔C/Cv=30〕が低いのでスリップ率が高く、また、送給潤滑剤中の二硫化モリブデンが少ないので送給抵抗も高くなって、ワイヤ送給性が不良でアークが不安定になった。
No.9は、ワイヤ表面粗度のtp〔C/Cv=30〕が高く、No.10は、ワイヤ表面粗度のRa〔C〕が低く、また、No.13は、送給潤滑剤の付着量が少ないので、いずれも送給抵抗Rが高くなり、ワイヤ送給性が不良でアークが不安定になった。
【0035】
No.11は、ワイヤ表面粗度のRa〔C〕が高く、また、No.14は、送給潤滑剤の付着量が多いので、いずれもスリップ率SLが高くなって、ワイヤ送給性が不良でアークが不安定になった。
No.12は、ワイヤ表面粗度のRy〔C〕が高いので、スパッタ発生量が多くなった。また、送給潤滑剤中の二硫化モリブデンが多いので、スリップ率SLも高くなって、ワイヤ送給性が不良でアークが不安定になった。
【0036】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明のガスシールドアーク溶接用ワイヤによれば、コンジットライナの湾曲等により送給抵抗が高くなる過酷な使用環境下であっても良好なワイヤ送給性を発揮するとともにスパッタ発生量を低減することのできるガスシールドアーク溶接用ワイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスシールドアーク溶接用ワイヤのベアリングカーブ例を示す図である。
【図2】本発明のガスシールドアーク溶接用ワイヤ表面の模式図である。
【図3】本発明の実施例における送給性試験の装置を示す図である。
【符号の説明】
1 ワイヤ長手方向
2 ワイヤ素地
3 平坦部
4 長手溝
5 潤滑剤
6 送給機
7 スプール巻き溶接用ワイヤ
8 送給ローラ
9 コンジットケーブル
10 トーチ
11 鋼板
12 コンジットケーブルの屈曲部
13 ワイヤの実速度検出器
14 ロードセル

Claims (2)

  1. ワイヤ表面のワイヤ長手方向に溝を有したガスシールドアーク溶接用ワイヤであって、ワイヤ長手方向に対して30°方向を測定した表面粗度が負荷長さ率tp〔Cv30〕で40〜90%、算出平均粗さRaで0.08〜0.25μm、最大高さRyで1.1μm以下、かつ、ワイヤ表面の送給潤滑剤付着量がワイヤ10kg当たり0.1〜2.5gであることを特徴とするガスシールドアーク溶接用ワイヤ。
  2. 送給潤滑剤は潤滑油をベース油として0.3〜4.0質量%の二硫化モリブデンを含有させた防錆潤滑剤であることを特徴とする請求項1記載のガスシールドアーク溶接用ワイヤ。
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