JP3876182B2 - ガスシールドアーク溶接用ワイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤ送給性に優れた全自動および半自動溶接用フラックス入りワイヤ、ソリッドワイヤ等のガスシールドアーク溶接用ワイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にCO2 ガスシールドアーク溶接、MIG溶接等には細径(0.8〜1.6mm)のガスシールドアーク溶接用ワイヤが使用される。ガスシールドアーク溶接用ワイヤはスプールに巻かれた、あるいはペールパックに装填された形態で溶接に供せられる。このガスシールドアーク溶接用ワイヤの使用に際しては、送給機の送給ローラによりスプールあるいはペールパックからワイヤを引き出すとともに後続するコンジットケーブルに内包されたライナ内に押し込み、このライナを経由して、コンジットケーブル先端に取り付けられた溶接トーチ内の給電チップまで送給する方式が採用されている。ワイヤはこの給電チップと被溶接材間で電圧を印可されてアーク溶接が行われる。
【0003】
ここで使用されるライナは鋼線をスパイラル状にして形成したフレキシブルなガイド管であり、その長さは通常3〜6m程度であるが広域の溶接を行なう場合には10〜20mの長尺なものとなり、溶接個所までの距離に合わせて選択使用される。この方式によれば、例えば造船現場等の溶接個所が狭隘な、あるいは高低差がある場所であっても、コンジットケーブル(ライナ)を沿わすことにより比較的容易に溶接が行なえる利点がある。
【0004】
ところが、使用時に、次のような問題が生じることがあり、その解決を求められている。
安定した溶接を行なうためには、ガスシールドアーク溶接用ワイヤを決められた一定の速度で溶接部に供給すること、つまりワイヤ送給性が良好であることが必要となる。ワイヤは送給ローラの送給力によってライナ内に押し込まれ、一方ライナ内面からは接触摩擦による送給抵抗を受ける。このとき、ライナが直線状態に近い比較的優しい使用環境下の場合には、送給抵抗はそれ程大きくならず送給性に問題は生じないが湾曲個所が多く、湾曲半径(曲率半径)が小さく、あるいはライナが長尺化した場合等の過酷な使用環境下の場合には、送給抵抗が増加し送給力とのバランスが崩れ、ワイヤ送給性が悪化する。
【0005】
ワイヤの表面状態は、このワイヤ送給性の良否に大きく影響している。即ち、送給抵抗が増加したとき、ワイヤ表面の潤滑剤が少ないと、送給速度が不安定になりワイヤ送給性が悪化する。また、ワイヤがライナ内で座屈する、送給ローラでワイヤ表面が削れ、この削れ滓がライナ内に進入、蓄積する状態を呈する等により、益々送給抵抗が増加するようになる。逆に、ワイヤ表面の潤滑剤が多いと、送給ローラが過剰にスリップするようになり、ワイヤは所定の送給速度を維持できずワイヤ送給性が悪化する。その結果、溶接アークの不安定化、ビード形状の不揃い、融合不良、アンダーカットの発生等のトラブルが発生する。
【0006】
コンジットケーブルが直線状態で使われる溶接現場は殆どなく、複雑に入り組んだ場所でコンジットケーブルを湾曲させながらワークの溶接が行われるのが普通であるから、このような状況下においてもワイヤ送給性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤが強く要求されるようになった。
従来、ワイヤ送給性を確保するために、ガスシールドアーク溶接用ワイヤ表面にさまざまな潤滑処理が行われている。例えば特公昭51−30851号公報には、表面にリン酸塩皮膜を形成してなる鋼製溶接用電極ワイヤが開示されている。しかしながら、表面にリン酸塩皮膜を形成しただけでは、十分なワイヤ送給性を確保することはできない。
【0007】
また、特公昭50−3256号公報には、緻密平滑な表面に潤滑油を塗布したガスシールドアーク溶接用ワイヤが開示されている。ところがワイヤ表面が緻密平滑であると所定量の潤滑油をむらなく安定して塗布することが困難であり、送給性良好なワイヤを得ようとした場合、潤滑油を多く塗布せざるを得ない。しかし、ワイヤ表面の潤滑油が多いワイヤは前述のように、送給抵抗の増加により送給ローラがスリップし易くなるからライナの湾曲等に対応でき難いこと、さらには溶接作業性の不良や拡散性水素量増加に起因する溶接金属の材質劣化を伴うという欠点がある。
【0008】
一方、固体潤滑剤を使用する例として特開昭50−146541号公報には、二硫化モリブデン粉末、グラファイト粉末の単体あるいは混合体とフラックス成分の1種以上との混合物を主成分とする伸線剤によって伸線する溶接用複合ワイヤの製造方法が開示されている。また、特開昭58−135795号公報には、ガスシールドアーク溶接用ワイヤとしてワイヤ表面にグラファイトあるいは二硫化モリブデンの何れか1種または両者および10〜60重量%のガラス粉末の混合物のみを塗布してなり、該潤滑剤の量がワイヤ重量の5×10-2〜5×10-4%であるガスシールドアーク溶接用ワイヤが開示されている。しかしながら、上記の技術では潤滑剤付着量のコントロールが困難で、過剰に潤滑剤が付着した箇所が発生したり、伸線後に潤滑剤が不均一に付着するという問題がある。潤滑剤が過剰に付着していると、コンジットケーブル内で詰まりが生じ、ワイヤ送給が困難になることがある。また、不均一に潤滑剤が付着していると、安定したワイヤ送給が行われ難くなる。
【0009】
そこで、ワイヤ表面の粗度を大きくしてその凹部に潤滑油を保持させることにより、潤滑油をワイヤ長手方向にむらなく、かつ安定して塗布する技術が提案された。例えば、特公平4−52197号公報には特定のガス雰囲気下で焼鈍した後伸線加工することにより、また特公昭58−56677号公報には潤滑油圧力を高めて強制潤滑しつつ孔ダイスにより伸線加工することにより、ワイヤ表面の粗度を大きくするための製造技術が開示されている。しかし、特公平4−52197号公報のものは、ワイヤ円周方向に延びる横溝であり油溜としては有効であるが固体潤滑剤溜としては不適切で、特公昭58−56677号公報のものは、ワイヤ表面の平坦率は小さくできるものの深さ方向の粗度は得られ難い、そのため表面の潤滑油付着量が多量でないとワイヤ送給性の改善は望めない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、ライナの湾曲等により送給抵抗が高くなる過酷な使用環境下であっても、潤滑切れを起こさず良好なワイヤ送給性を発揮することのできるガスシールドアーク溶接用ワイヤを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは、ガスシールドアーク溶接用ワイヤにおいて、ワイヤ表面に0.05〜0.42μmのリン酸塩皮膜を有し、ワイヤ表面粗度が負荷長さ率tp[L/Cv=30で40〜90%、算出平均粗さRa[L]で0.05〜0.20μm、かつ、ワイヤ表面の送給潤滑剤付着量がワイヤ10kg当り0.1〜4.0gであることを特徴とする。
また、ワイヤ表面色調の明度L値が40〜60、彩度C値が1〜10であることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
ガスシールドアーク溶接用ワイヤが良好な送給性能を具備するためには、ワイヤ送給性にとって有効な送給潤滑剤(固体潤滑剤、送給潤滑油)がワイヤ長手方向に均一かつ安定して付着していることが必要である、そのためには、ワイヤ表面に潤滑剤溜りとしての表面粗度(凹凸)が形成されていることが必要となる。この目的から、本発明ではワイヤ表面にリン酸塩皮膜を有している。リン酸塩皮膜自体が優れた潤滑性能を有しており、ワイヤ送給性能は高く、摩耗低減効果かあるので、ライナ内面からの接触摩擦による送給抵抗を低減することができ、ワイヤ送給性が改善される。
【0013】
また、リン酸塩皮膜を有することで、送給潤滑剤の付着を強固なものにする作用を有する。もちろん伸線加工時においてはダイスとワイヤ間の摩擦係数低減機能を有する。ワイヤ表面のリン酸塩皮膜量は0.05〜0.42μmとする。0.05μm未満では付着した送給潤滑剤が脱落し易くなり摩擦低減効果がなく、ワイヤ送給性改善が望めない。逆に0.42μmを超えると摩擦低減効果はあるものの、スパッタ発生量やヒューム発生量が多くなるなど溶接作業性に悪影響をおよぼす。なお、本発明にいうリン酸塩とは、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸亜鉛等をいう。
【0014】
また、JIS B0601−1994で規定されるワイヤ長手方向(L方向)の表面粗度を負荷長さ率tp[切断レベルCv=30%](以下、tp[L/Cv=30]という。)と算術平均粗さRa(以下、Ra[L]という。)で次のように規定する。
tp[L/Cv=30]=40〜90%
Ra[L]=0.05〜0.20μm
(測定条件;カットオフ値λc =0.8mm、基準長さ]=0.80mm、評価
長さln =4.00mm)
このtp[L/Cv=30]とRa[L]は、触針式粗度計(針先5μm)を使用し、ワイヤの円周方向で45°間隔8ヶ所の位置における長手方向(L方向)の測定値の平均値として求めることができる。
【0015】
ここで負荷長さ率tpは、粗さ曲線を平均線に平行な切断レベルCv(%)で切断したときに得られる切断長さの総和の基準長さに対する比(%)で表される。図1は最大山頂からの切断レベルCv(%)と負荷長さ率tp(%)との関係をグラフ化したベアリングカーブ(以下BCという)を示し、図示するBC例は本発明例のワイヤ表面のBCで、切断レベルCv=30%における負荷長さ率tpが78%であることを示す。
【0016】
負荷長さ率tpは、ワイヤ表面の粗度形状を示す指標であり、本発明でtp[L/Cv=30]を40〜90%とした理由は、40%未満であると凹部(窪地部)が過大になり、送給潤滑剤(特に固体潤滑剤)の付着量が多くなり易いこと、逆に90%を超えると凸部が過大になり、送給潤滑剤の付着量が少なくなり易いことによる。固体潤滑剤の付着量が多くなると、送給ローラが過剰にスリップするようになり、ワイヤは所定の送給速度を維持できずワイヤ送給性が悪化する。また、ライナ内部で送給潤滑剤の脱落が著しくなりライナの使用寿命を短くする原因になる。逆に送給潤滑剤の付着量が少なくなると、送給抵抗が増加したとき、送給速度が不安定になってワイヤ送給性が悪化する。また、送給ローラでワイヤ表面が削れ、この削れ滓がライナ内に進入、蓄積し益々送給抵抗が増加するようになる。
【0017】
次に、算術平均粗さRa[L]は粗度の深さを示す指標であり、本発明でRa[L]を、0.05〜0.20μmに規定した理由は、0.05μm未満であると凹凸部の高低差が小さくなり、送給潤滑剤の保持機能が乏しくなること、逆に、0.20μmを超えると凹凸部の高低差が大きくなり、送給潤滑剤の付着が多くなり易いことによる。
本発明では、ワイヤ表面をtp[L/Cv=30]=40〜90%とRa[L]=0.05〜0.20μmの組合せによる凹凸バランスを特定した形状とし、これにより送給潤滑剤の適量安定付着を実現する。この意味において、更に望ましい粗度範囲としてtp[L/Cv=30]=60〜80%とRa[L]=0.10〜0.15μmの組合せの表面を推奨する。
【0018】
本発明ではガスシールドアーク溶接用ワイヤ表面に送給潤滑剤を付着する。本発明でいう送給潤滑剤とは、送給潤滑油と固体潤滑剤をいう。これらの送給潤滑剤はワイヤ表面に付着してライナ内壁とワイヤとの摩擦係数を低減し、送給抵抗の増加を抑制する作用があり、ガスシールドアーク溶接用ワイヤの良好なワイヤ送給性を確保する。送給潤滑剤の付着量はワイヤ10kg当り0.1〜4.0g(g/10kgW)であることが望ましい。0.1g/10kgW未満では、送給抵抗の増加抑制効果が認められず、ワイヤ送給性改善は望めない。逆に4.0g/10kgWを超えるとワイヤ表面に過剰付着することになり、送給ローラが大きくスリップし安定送給が困難になる。また、ライナ内を汚し潤滑剤詰まりによる送給不良が発生するようになる。送給潤滑油の場合、溶解熱で分解し多量の水素を発生するので、拡散性水素量増加に起因する溶接金属の材質劣化を招き易い。
【0019】
なお、送給潤滑油は動植物油、鉱物油あるいは合成油の何れでも良い。動植物油としてはパーム油、菜種油、ひまし油、豚油、牛油、魚油等を、鉱物油としてはマシン油、タービン油、スピンドル油等を用いることができる。合成油としては炭化水素系、エステル系、ポリグリコール系、ポリフェノール系、シリコーン系、フロロカーボン系等を用いることができる。送給潤滑油中にはさらに潤滑性能を向上させるため、各種の脂肪酸をはじめとする油性剤やりん系、塩素系、イオウ系の極圧添加剤を加えても良く、また、潤滑油の酸化を防ぐための添加剤(酸化防止剤)を加えても良い。ここで望ましい送給潤滑油の付着量は、0.05〜2.0g(g/10kgW)とするのが良い。もちろん伸線加工時においてはダイスとワイヤ間の摩擦係数低減機能を有する。
【0020】
固体潤滑剤とはMoS2 、WS2 の1種または2種を含む固体潤滑剤であり、その他の成分としてポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)、グラファイト、乾式潤滑剤等が上げられる。固体潤滑剤の付着量は、上記効果を発揮するためにワイヤ10kg当り0.05〜1.0g(g/10kgW)とするのが良い。なお、送給潤滑剤の付着量は化学分析(トルエン・エーテル抽出法)により測定できる。
【0021】
次に、本発明では、ワイヤ表面の表面色調をJIS Z 8729で規定される表面色調の明度L値と彩度C値で次のように規定する。
明度 L値 40〜60
彩度 C値 1〜10
ワイヤ表面色調の明度L値を40〜60、彩度C値を1〜10の範囲とすることによってワイヤ送給性が良好となる。ワイヤ表面色調の明度L値が40未満、彩度C値が1未満であると、送給潤滑剤付着量が多く、送給ローラが過剰にスリップするようになり、ワイヤは所定の送給速度を維持できず、ワイヤ送給性が悪化する。また、ワイヤ表面色調の明度L値が60超、彩度C値が10を超えると、送給潤滑剤付着量が少なく、送給抵抗が増加して、ワイヤ送給速度が不安定となってワイヤ送給性が悪くなる。
【0022】
なお、ワイヤ表面色調の明度L値および彩度C値の測定はスプール巻ワイヤ最外巻表面を略均等間隔8ヶ所測定の値平均として求めることができる。また、ワイヤ表面明度L値および彩度C値は色彩色差計で測定することができる。本発明においては、ミノルタ製CR−300、測定径8mmを使用した。
本発明は中実状のソリッドワイヤ、ワイヤ中にフラックスを内包したフラックス入りワイヤ(合わせ目有りタイプ、無しタイプ)の何れの溶接用ワイヤも対象とする。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の効果を実施例により具体的に説明する。
ワイヤ径1.2mmのフラックス入りワイヤ(JIS Z3313 YFW−C50DR、フラックス充填率14%)とソリッドワイヤ(JIS Z3312YGW11)を各種試作し、スプール巻きワイヤとした。
ワイヤ送給性の評価試験は、図2に示す装置を用いて行なった。図2において送給機1にセットされたスプール巻き溶接用ワイヤ2は、送給ローラ3により引き出され、コンジットケーブル4に内包したライナを経てその先端の溶接トーチ5まで送給される。そして通電チップと鋼板6の間でビードオンプレート溶接を行なった。コンジットケーブル4は6m長で、ワイヤに送給抵抗を与えるために75mm直径のループを2つ形成した湾曲部7を設けた。送給機1には送給ローラの周速度Vr(=設定ワイヤ速度)の検出器(図示しない)、ワイヤの実速度(Vw)検出器8を備えている。送給性評価指標のスリップ率S1はS1=(Vr−Vw)/Vr×100%で表される。また、送給ローラ部分に設けられたロードセル9により送給時にワイヤがライナから受ける反力をを送給抵抗Rとして検出した。送給抵抗Rが6kgf以下でスリップ率S1が10%以下の場合に送給性良好と判定する。
ワイヤ送給性試験は、表1に示す溶接条件で20分間溶接し、送給抵抗Rとスリップ率S1を測定して平均値を求めた。それらの結果を表2に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0003876182
【0025】
【表2】
Figure 0003876182
【0026】
表2中、No.1〜7は本発明例で、No.8〜15は比較例である。
本発明例であるNo.1〜7は、ワイヤ表面のリン酸塩皮膜量、表面粗度の負荷長さ率tpおよび算出平均粗さRaが適性範囲にあり、かつ送給潤滑剤(固体潤滑剤、送給潤滑油)も適性付着量であることから、送給抵抗、スリップ率ともに低く良好な送給性を示し、アークは安定していた。
比較例中No.8は、リン酸塩皮膜量が少なく、No.10は、ワイヤ表面粗度の負荷長さ率tpが低く、No.12は、ワイヤ表面粗度の算出平均粗さRaが低く、さらに、No.14は、送給潤滑剤の付着量が少なく、色調の明度Lおよび彩度C共に低いので、何れの実施例もワイヤ送給抵抗Rが高くなり、アークが不安定となった。
【0027】
No.9は、リン酸塩皮膜量が多いので、スパッタ発生量が多くなった。No.11は、ワイヤ表面粗度の負荷長さ率tpが高く、No.13は、ワイヤ表面粗度の算出平均粗さRaが高く、さらに、No.15は、送給潤滑剤の付着量が多く、色調の明度Lおよび彩度C共に高いので、何れの場合もスリップ率S1が高くなり、アークが不安定となった。
【0028】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のガスシールドアーク溶接用ワイヤによれば、ライナの湾曲等により送給抵抗が高くなる過酷な使用環境下であっても、潤滑切れを起こさず良好なワイヤ送給性を発揮することのできるガスシールドアーク溶接用ワイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明例ワイヤのベアリングカーブ例である。
【図2】本発明の実施例に用いたワイヤ送給性試験装置を示す図である。
【符号の説明】
1 送給機
2 溶接用ワイヤ
3 送給ローラ
4 コンジットケーブル
5 トーチ
6 鋼板
7 コンジットケーブルの屈曲部
8 ワイヤ速度検出器
9 ロードセル

Claims (2)

  1. ガスシールドアーク溶接用ワイヤにおいて、ワイヤ表面に0.05〜0.42μmのリン酸塩皮膜を有し、ワイヤ表面粗度が負荷長さ率tp[L/Cv=30で40〜90%、算出平均粗さRa[L]で0.05〜0.20μm、かつ、ワイヤ表面の送給潤滑剤付着量がワイヤ10kg当り0.1〜4.0gであることを特徴とするガスシールドアーク溶接用ワイヤ。
  2. ワイヤ表面色調の明度L値が40〜60、彩度C値が1〜10であることを特徴とする請求項1記載のガスシールドアーク溶接用ワイヤ。
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