JP2003283046A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

半導体レーザ素子

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JP2003283046A
JP2003283046A JP2002081016A JP2002081016A JP2003283046A JP 2003283046 A JP2003283046 A JP 2003283046A JP 2002081016 A JP2002081016 A JP 2002081016A JP 2002081016 A JP2002081016 A JP 2002081016A JP 2003283046 A JP2003283046 A JP 2003283046A
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laser device
sch
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JP2002081016A
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Atsushi Miki
淳 三木
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラマンアンプの順方向励起光源に適した半導
体レーザ素子を提供する。 【解決手段】 本発明の半導体レーザ素子100は、多
重量子井戸構造の活性層45と、その上下に設けられた
分離閉じ込めヘテロ構造(SCH)層42、44、5
0、52を備えている。最も上に位置するSCH層52
の上面には下部中間層15aが被着されている。下部中
間層15aの上面には、上部中間層15bが被着されて
いる。上部中間層15bの上面には、上部クラッド層1
6が被着されている。上部中間層15bとクラッド層1
6との界面には、活性層45に沿って均一回折格子36
が設けられている。本発明の半導体レーザ素子は、マル
チモード発振をするので、その出力光は光ファイバ内で
散乱しにくい。また、本発明の半導体レーザ素子は、R
INが低く、波長安定性にも優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ発振を行う
半導体レーザ素子に関し、特に、ラマンアンプの励起光
源に適した半導体レーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】ラマンアンプの励起光源としては、外部
グレーティング共振器型の半導体レーザが知られてい
る。これは、ファブリペロー(FP)型レーザの一方の
ファセットを低反射コーティングし、他方のファセット
とFP型レーザの外部に配置されたグレーティング(回
折格子)とで外部共振器を構成するレーザである。最近
では、外部グレーティングとして、ファイバブラッググ
レーティング(FBG)がしばしば使用されている。こ
のような外部FBG共振器型レーザには、波長選択性が
よいという利点がある。また、外部FBG共振器型レー
ザには、FP型レーザに比べて発振波長の電流依存性・
温度依存性が小さいという利点もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ラマンアンプの高性能
化のためには、信号光に対して順方向と逆方向の双方か
ら励起光を加える双方向励起方式が望ましい。順方向励
起では、励起光源の雑音特性が信号光に強く影響する。
したがって、相対雑音強度(RIN)の極めて低い励起
光源が必要となる。外部FBG共振器型レーザは、優れ
た波長安定性を有するが、ラマンアンプの順方向励起に
十分なほどRINを低くすることは難しい。実際、その
ような低RINの外部FBG共振器型レーザは、いまだ
実現されていない。
【0004】そこで、本発明は、ラマンアンプの順方向
励起光源に適した半導体レーザ素子の提供を課題とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体レーザ素
子は、(a)第1の導電型の半導体からなる基板と、
(b)基板の上面側に設けられ、第1導電型の半導体か
らなる下部クラッド層と、(c)下部クラッド層の上に
設けられた下部分離閉じ込めヘテロ構造層と、(d)下
部分離閉じ込めヘテロ構造層の上に設けられ、多重量子
井戸構造を有する活性層と、(e)活性層の上に設けら
れた上部分離閉じ込めヘテロ構造層と、(f)上部分離
閉じ込めヘテロ構造層の上面に被着された下部中間層
と、(g)下部中間層の上面に被着された上部中間層
と、(h)上部中間層の上面に被着され、第1導電型と
異なる第2の導電型の半導体からなる上部クラッド層
と、(i)上部クラッド層の上に設けられた上部電極
と、(j)基板の下面側に設けられた下部電極とを備え
ている。
【0006】下部中間層は、上部分離閉じ込めヘテロ構
造層よりも低い屈折率を有している。上部中間層は、下
部中間層および上部クラッド層よりも高い屈折率を有し
ている。上部中間層と上部クラッド層との界面には、活
性層に沿って回折格子が設けられている。この回折格子
は、活性層の全長に沿っていてもよいし、活性層の長さ
の一部分のみに沿っていてもよい。また、この回折格子
は、均一回折格子であってもよいし、チャープ回折格子
であってもよい。本発明の半導体レーザ素子は、発振縦
モードが2本以上の発光スペクトラムを有する。つま
り、本発明の半導体レーザ素子は、マルチモード(縦多
モード)のレーザ発振をする。
【0007】本発明の半導体レーザ素子は、0.8未満
の規格化結合係数を有していてもよい。また、本発明の
半導体レーザ素子は、低反射コートが施された前端面
と、前端面に対向し、高反射コートが施された後端面を
更に備えていてもよい。基板、下部クラッド層、下部中
間層および上部クラッド層がInPから構成され、下部
分離閉じ込めヘテロ構造層、活性層、上部分離閉じ込め
ヘテロ構造層および上部中間層がInGaAsPから構
成されていてもよい。下部分離閉じ込めヘテロ構造層、
活性層、上部分離閉じ込めヘテロ構造層、下部中間層お
よび上部中間層はメサ構造を有していてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を説明する前
に、本発明の概要を説明する。
【0009】分布帰還型(DFB)半導体レーザは、波
長安定性が高く、RINが低いという特性を有してい
る。この点は、ラマンアンプの順方向励起光源に適して
いる。しかし、既存のDFBレーザをラマンアンプの励
起光源として実際に使用すると、十分な励起光パワーを
維持できない。これは、DFBレーザ光が光ファイバの
内部でブルリアン散乱を起こすからである。
【0010】DFBレーザ光のブルリアン散乱が顕著な
のは、DFBレーザがシングルモード発振(縦単一モー
ド発振)するからである。そこで、本発明者は、DFB
レーザと同じように回折格子を有し、それでいてマルチ
モード発振(縦多モード発振)をする半導体レーザ素子
を考案した。これが、本発明の半導体レーザ素子であ
る。
【0011】本発明者は、既存のDFBレーザと同様の
構造を有する半導体レーザ素子であっても、低い規格化
結合係数を有するものはマルチモード発振することを見
出した。特に、規格化結合係数が0.8未満だと、マル
チモード発振しやすい。規格化結合係数はκLと表され
ることが多い。ここで、κは結合係数、Lは回折格子の
長さである。「半導体レーザ」(応用物理学会 編/伊
賀健一 編著、オーム社)によれば、結合係数κは、お
のおの反対方向に伝搬する光が回折格子により回折され
て単位長さ当たりに結合し合う程度を示す。
【0012】本発明の半導体レーザ素子は、分離閉じ込
めヘテロ(SCH)構造を有している。このとき、SC
H層とクラッド層との界面に回折格子を形成することが
考えられる。しかし、この場合、SCH構造への十分な
光閉じ込めを達成し、なおかつ規格化結合係数κLを小
さい値に制御することは容易ではない。SCH層とクラ
ッド層との屈折率差が小さいと、両者の界面に設けられ
た回折格子のκLは小さくなるが、同時に光閉じ込め率
も低下するからである。
【0013】そこで、本発明者は、光閉じ込めを劣化さ
せることなくκLを小さい値に容易に制御できる構造を
考案した。すなわち、本発明では、SCH層とクラッド
層との間に下部中間層および上部中間層を設け、上部中
間層とクラッド層との界面に回折格子を設ける。下部中
間層は、SCH層よりも屈折率が低い。このため、SC
H構造への光閉じ込めが強化される。上部中間層は、下
部中間層およびクラッド層よりも高い屈折率を有してい
る。このため、上部中間層に光の一部が閉じ込められ
る。ただし、SCH構造への光閉じ込めが強化されてい
るため、上部中間層への光結合は強くない。したがっ
て、上部中間層に回折格子を設けると、小さなκLが得
られる。このように、本発明は、SCH構造への良好な
光閉じ込めと小さなκLの双方を達成できる。
【0014】本発明の半導体レーザ素子では、活性層に
沿って回折格子が設けられている。このため、マルチモ
ードではあるが線幅(発光スペクトラム幅)の十分に狭
いレーザ光を生成できる。本発明の半導体レーザ素子
は、DFBレーザと同様に、波長安定性が高く、RIN
が低い。マルチモード発振するから、光ファイバ内のブ
ルリアン散乱も抑えられる。したがって、本発明の半導
体レーザ素子は、ラマンアンプの励起光源として好適で
ある。
【0015】以下、添付図面を参照しながら本発明の実
施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同
一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略す
る。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のもの
と必ずしも一致しない。
【0016】図1は、本実施形態の半導体レーザ素子1
00の構造を示す斜視図である。半導体レーザ素子10
0は、基板10の上面に順次に被着された下部クラッド
層12、多重量子井戸−分離閉じ込め構造(MQW−S
CH)層14、下部中間層15a、上部中間層15bお
よび第1上部クラッド層16を備えている。これらは、
いずれもメサ型の半導体層である。基板10および下部
クラッド層12は、いずれもn−InPから構成されて
いる。MQW−SCH層14および上部中間層15b
は、4元化合物半導体のInGaAsPから構成されて
いる。下部中間層15aおよび第1上部クラッド層16
は、p−InPから構成されている。下部クラッド層1
2の厚さは5000Åであり、第1上部クラッド層16
の厚さは1000Åである。MQW−SCH層14、お
よび中間層15a、15bの詳細については、後述す
る。
【0017】下部クラッド層12、MQW−SCH層1
4、中間層15a、15bおよび第1上部クラッド層1
6の両側面は、埋め込み層18によって覆われている。
埋め込み層18はp−InPから構成されている。埋め
込み層18の上には、電流ブロック層20が設けられて
いる。電流ブロック層20は、n−InPから構成され
ている。第1上部クラッド層16、埋め込み層18、お
よび電流ブロック層20の上には、第2上部クラッド層
22が被着されている。第2上部クラッド層22の厚さ
は、約15000Åである。第2上部クラッド層22
は、p−InPから構成されている。このように、n型
の電流ブロック層20が、p型の第2上部クラッド層2
2とp型の埋め込み層18との間に介在している。
【0018】第2上部クラッド層22の上面には、コン
タクト層24が被着されている。コンタクト層24の厚
さは、約5000Åである。コンタクト層24は、p+
−InGaAsから構成されている。コンタクト層24
の上面には、上部電極層28が被着されている。基板1
0の下面には、下部電極層30が被着されている。コン
タクト層24に隣接する第2上部クラッド層22は、第
1上部クラッド層16よりも高いp型導電性を有してい
てもよい。下部電極層30に隣接する基板10は、下部
クラッド層12よりも高いn型導電性を有していてもよ
い。
【0019】第1上部クラッド層16、第2上部クラッ
ド層22および下部クラッド層12は、MQW−SCH
層14で発生した光をMQW−SCH層14および上部
中間層15b内に閉じ込めるためのものである。したが
って、これらのクラッド層は、MQW−SCH層14お
よび上部中間層15bよりも低い屈折率を有している。
【0020】以下では、図2を参照しながら、MQW−
SCH層14、下部中間層15a、および上部中間層1
5bの構造を詳細に説明する。図2は、MQW−SCH
層14および中間層15a、15bのバンドギャップ波
長の分布を示す図である。図2において、縦軸(x)は
半導体レーザ素子100の垂直方向(厚さ方向)距離を
示し、横軸(λg)はバンドギャップ波長を示してい
る。
【0021】図2に示されるように、MQW−SCH層
14は、下部クラッド層12から下部中間層15aへ向
かって、第1SCH層42、第2SCH層44、活性層
45、第3SCH層50および第4SCH層52が順次
に積層された多層半導体である。各層は、4元化合物半
導体のInGaAsPで構成されている。
【0022】第1SCH層42と第4SCH層52は、
対になって分離閉じ込めヘテロ構造を形成している。第
1SCH層42と第4SCH層52は、同じバンドギャ
ップを有する。本実施形態では、第1SCH層42と第
4SCH層52は、ともに1.05μmのバンドギャッ
プ波長を有している。
【0023】第2SCH層44と第3SCH層50も、
対になって分離閉じ込めヘテロ構造を形成している。第
2SCH層44と第3SCH層50は、同じバンドギャ
ップを有する。本実施形態では、第2SCH層44と第
3SCH層50は、ともに1.1μmのバンドギャップ
波長を有している。
【0024】活性層45は、複数のバリア層46および
複数の井戸層48が交互に積層された多重量子井戸(M
QW)構造を有している。各バリア層46は、1.2μ
mのバンドギャップ波長を有する。各井戸層48は、所
望の発振波長に応じたバンドギャップ波長を有する。本
実施形態では、各井戸層48は、1.48μmのバンド
ギャップ波長を有している。井戸層48の個数は、3〜
5であることが好ましい。井戸層48は、圧縮歪みを有
していてもよい。具体的には、井戸層48は、1%以上
1.5%以下の圧縮歪みを有していてもよい。
【0025】MQW−SCH層14は、バンドギャップ
波長分布と同様の屈折率分布を有している。すなわち、
井戸層48、バリア層46、SCH層44および50、
SCH層42および52の順に高い屈折率を有してい
る。第2SCH層44と第3SCH層50は同じ屈折率
を有する。また、第1SCH層42と第4SCH層52
は同じ屈折率を有する。このような屈折率分布により、
活性層45で生じた光は、MQW−SCH層14内に良
好に閉じ込められる。
【0026】具体的に述べると、各井戸層48は、3.
506の屈折率を有している。各バリア層46は、3.
312の屈折率を有している。第2SCH層44および
第3SCH層50は、それぞれ3.244の屈折率を有
している。第1SCH層42および第4SCH層52
は、それぞれ3.206の屈折率を有している。下部ク
ラッド層12および第1上部クラッド層16は、それぞ
れ3.100の屈折率を有している。
【0027】下部中間層15aは、第4SCH層52の
上面に被着されている。下部中間層15aは、上部クラ
ッド層16と同じく、p−InPから構成されている。
下部中間層15aのバンドギャップは、第4SCH層5
2のバンドギャップよりも広い。下部中間層15aのバ
ンドギャップ波長は、1.0μmである。下部中間層1
5aの屈折率は、第4SCH層52の屈折率よりも低
い。下部中間層15aは、3.100の屈折率を有して
いる。
【0028】上部中間層15bは、下部中間層15aの
上面に被着されている。上部中間層15bは、MQW−
SCH層14と同様に、InGaAsPから構成されて
いる。上部中間層15bのバンドギャップは、下部中間
層15aおよび第1上部クラッド層16のバンドギャッ
プよりも狭い。上部中間層15bは、1.05μmのバ
ンドギャップ波長を有している。上部中間層15bの屈
折率は、下部中間層15aおよび第1上部クラッド層1
6の屈折率よりも高い。上部中間層15bは、3.20
6の屈折率を有している。
【0029】上記のようなバンドギャップ波長分布と屈
折率分布は、InPおよびInGaAsPの組成を調整
することにより実現できる。
【0030】以下では、図3および図4を参照しなが
ら、半導体レーザ素子100の構造について更に説明す
る。図3は、図1の3−3線に沿った、半導体レーザ素
子100の縦断面図である。図4は、図3の4−4線に
沿った、半導体レーザ素子100の平面断面図である。
【0031】半導体レーザ素子100の前端面32に
は、活性層45で発生した光に対する反射率が結晶へき
開面より小さくなるように、AR(Anti-Reflection:
低反射)コートが施されている。前端面32の反射率
(AR反射率)は、0%以上5%以下であることが好ま
しい。本実施形態では、AR反射率は0.5%である。
半導体レーザ素子100の後端面34には、活性層で発
生した光に対する反射率が結晶へき開面より大きくなる
ように、HR(High Reflection:高反射)コートが施
されている。後端面34の反射率(HR反射率)は、8
0%以上95%以下であることが好ましい。本実施形態
では、HR反射率は90%である。半導体レーザ素子1
00で生成されたレーザ光は、矢印60で示されるよう
に、前端面32から出射する。
【0032】上部中間層15bと第1上部クラッド層1
6との界面には、回折格子36が設けられている。回折
格子36は、半導体レーザ素子1の縦方向(図1のz方
向)に沿って中間層15bの上面に設けられた周期的構
造である。本実施形態では、回折格子36は正弦波形状
を有している。図4に示されるように、回折格子36の
形状は、水平方向(図1のy方向)に沿って一様であ
る。
【0033】回折格子36は、活性層45の全長に沿っ
て形成されている。また、回折格子36は、均一の周期
(図3の符号Λ)と均一の深さ(図3の符号a)を有す
る均一回折格子である。つまり、回折格子36は、位相
シフトを有さない。回折格子36の深さa(回折格子3
6の最上部と最下部との距離)は、300Åである。
【0034】回折格子36はレーザ共振器を構成する。
したがって、回折格子36の長さは共振器長に等しい。
回折格子36の長さは、900μmである。半導体レー
ザ素子100の組成では、共振器長が600μmを超え
ることが好ましく、特に共振器長が900〜1800μ
mであることが好ましい。
【0035】再び図2を参照し、MQW−SCH層14
を構成する各層、下部中間層15aおよび上部中間層1
5bの寸法について説明する。第1〜第4SCH層4
2、44、50、52の厚さは、それぞれ150Åであ
る。各バリア層46の厚さは、100Åである。各井戸
層48の厚さは50Åである。
【0036】下部中間層15aの厚さは、3000Åで
ある。上部中間層15bの基本厚は、150Åである。
上述のように、上部中間層15bの上面には、周期的な
構造を有する回折格子36(深さ300Å)が設けられ
ている。したがって、上部中間層15bの厚さは縦方向
(z方向)に沿って周期的に変動する。本明細書におい
て「基本厚」は、上部中間層15bのうち回折格子36
を除いた部分の厚さをいう。これは、上部中間層15b
の下面から回折格子36の最下部(最深部)までの距離
に当たる。基本厚は、縦方向の位置によらず一定であ
る。基本厚をd、回折格子36の深さをaとすると、上
部中間層15bの厚さは、縦方向に沿ってdとd+aの
間で周期的に変動する。
【0037】活性層45の幅を調整すると、横モードを
単一にできる。横方向のシングルモード化のためには、
活性層45の幅は約1〜約5μmであることが好まし
い。本実施形態では、活性層45の幅は約4μmであ
る。横モードが単一であると、ファーフィールドパター
ン(FFP)が安定するので、半導体レーザ素子100
と光ファイバと結合が容易になる。これは、半導体レー
ザ素子100をラマンアンプの励起光源として使用する
うえで有益である。
【0038】本実施形態の半導体レーザ素子100の規
格化結合係数は、0.8未満である。規格化結合係数
は、理論的にはκLで表される。ここで、κは結合係数
であり、Lは回折格子36の長さである。上述のように
回折格子36は共振器を構成するので、Lは共振器長に
等しい。
【0039】規格化結合係数κLは、半導体レーザ素子
100の出力光のスペクトラムを測定することにより求
められる。具体的には、スペクトラムからストップバン
ド(「禁止帯」とも呼ばれる)の幅を求め、そのストッ
プバンド幅と、モード結合方程式に基づく発振条件とを
用いれば、κLの値を求められる。発振条件を表す式
は、DFBレーザと同じである。なお、規格化結合係数
および発振条件は、「半導体レーザの基礎」(栖原 利
明著、共立出版)や「半導体レーザ」(応用物理学会
編/伊賀健一 編著、オーム社)に説明されている。
【0040】上部電極層28および下部電極層30を介
して半導体レーザ素子100に順方向電圧を印加する
と、半導体レーザ素子100はレーザ発振をする。レー
ザ発振の原理は、DFBレーザと同様である。すなわ
ち、回折格子36がレーザ共振器として機能することに
より誘導放出が促され、レーザ発振が起こる。
【0041】図5は、半導体レーザ素子100の出力レ
ーザ光のスペクトラムを示している。図5に示されるよ
うに、半導体レーザ素子100はマルチモード発振(縦
多モード発振)する。これは、κLが0.8未満と小さ
いことに起因する。
【0042】なお、本発明の半導体レーザ素子の発光ス
ペクトラムに含まれる縦モードの数は任意であり、特に
上限を定める必要はない。また、発光スペクトラム幅
は、約10nm以下であることが好ましい。ここで、
「発光スペクトラム幅」は、発光スペクトラムに含まれ
る複数の縦モードの包絡線の幅を指す。本発明の半導体
レーザ素子では、規格化結合係数κLが小さいほど発光
スペクトラム幅が広がる。
【0043】以下では、小さなκLが得られる理由を説
明する。第4SCH層52よりも屈折率の低い下部中間
層15aを第4SCH層52の上に設けることで、光は
MQW−SCH層14に強く閉じ込められる。上部中間
層15bは、下部中間層15aおよび上部クラッド層1
6よりも高い屈折率を有しているので、第2の導波路と
して機能する。しかし、上部中間層15bの光閉じ込め
率は低い。これは、MQW−SCH層14(第1の導波
路)への光閉じ込めが強いこと、および上部中間層15
bが活性層45から比較的遠く離れていることに起因す
る。上部中間層15bの光閉じ込め率が低いと、上部中
間層15bに設けられた回折格子36のκLも小さくな
る。
【0044】活性層45と回折格子36との垂直方向
(x方向)に沿った距離は、下部および上部中間層15
a、15bの厚みに応じて変化する。κLは、この距離
に応じて決まる。したがって、下部および上部中間層1
5a、15bの厚みを調整することにより、κLを精度
良く制御できる。
【0045】半導体レーザ素子100は、ラマンアンプ
の順方向励起光源として好適に使用できる。これには、
四つの理由がある。第1に、半導体レーザ素子100の
レーザ発振光は光ファイバ内で散乱しにくい。これは、
半導体レーザ素子100がマルチモード発振するからで
ある。第2に、半導体レーザ素子100は、外部ファイ
バブラッググレーティング共振器型レーザに比べて、相
対雑音強度(RIN)が小さい。これは、半導体レーザ
素子100は内部共振器型であるため、共振器内に外乱
が入り込みにくいからである。第3に、半導体レーザ素
子100は優れた波長安定性を有する。半導体レーザ素
子100のレーザ発振波長は、回折格子36の周期によ
って実質的に定まる。したがって、既存のDFBレーザ
と同様に、波長の電流依存性・温度依存性が小さい。第
4に、半導体レーザ素子100は、ラマンアンプの順方
向励起光源として十分に狭い線幅を有する。これは、回
折格子36の回折作用により、発振波長が限定されるか
らである。
【0046】半導体レーザ素子100は、製造が容易と
いう利点も有している。これは、低κLを達成するため
に浅い回折格子を形成する必要がないからである。回折
格子36を浅く(薄く)することによってもκLを小さ
くできるが、浅い回折格子を広い面積に均一に形成する
ことは難しい。また、κLの制御も困難であり、歩留ま
りが悪い。本実施形態では、下部および上部中間層15
a、bの厚さを調整すれば低κLを達成できる。したが
って、回折格子36には、製造が困難にならない程度に
十分な深さを与えられる。一般に膜厚は精度よく制御で
きるので、中間層15a、bの厚みを調整する方が、浅
い回折格子36の深さを制御するよりも容易である。し
たがって、本実施形態の半導体レーザ素子100は、規
格化結合係数κLを小さな値に精度良く制御しながら製
造できる。
【0047】半導体レーザ素子100は、その電気抵抗
および熱抵抗を低く抑えることができるという利点も有
している。電気抵抗および熱抵抗は、活性層45および
回折格子36間の距離が大きくなるにつれて大きくな
る。本実施形態では、活性層45と回折格子36との距
離が比較的短くても、十分に低いκLとマルチモード発
振を達成できる。これにより、電気抵抗および熱抵抗を
抑えられる。本実施形態では、MQW−SCH層14上
に、これよりも屈折率の低い下部中間層15aが設けら
れている。これにより、MQW−SCH層14への光閉
じ込めが強くなる。これに応じて、回折格子36への光
結合が弱くなる。このため、活性層45および回折格子
36間の距離が比較的短くても、十分にκLが低くな
り、マルチモード発振を達成できる。この結果、活性層
45および回折格子36間の距離を短くできるので、半
導体レーザ素子1の電気抵抗および熱抵抗を抑えられ
る。
【0048】対照的に、中間層15a、15bを設けず
に、第4SCH層52の上面に回折格子36を設けるこ
とも考えられる。この場合、低いκLを得るためには、
活性層45および回折格子36間の距離を大きくして、
回折格子36への光結合を弱めないといけない。そのた
めには、第3、第4SCH層50、52の少なくとも一
方を厚くする必要がある。しかし、活性層45および回
折格子36間の距離が大きくなるにつれて、半導体レー
ザ素子の電気抵抗および熱抵抗も大きくなる。これは好
ましくない。
【0049】以上、本発明をその実施形態に基づいて詳
細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定さ
れるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範
囲で様々な変形が可能である。
【0050】上記の実施形態では、回折格子36は、活
性層45の全長に沿って設けられている。しかし、回折
格子36は、活性層45の長さの一部分のみに沿って設
けられていてもよい。上記の実施形態では、回折格子3
6は、均一の周期を有している。しかし、回折格子36
は、長手方向に沿って連続的に変化する周期を有するチ
ャープ回折格子であってもよい。
【0051】
【発明の効果】本発明の半導体レーザ素子は、マルチモ
ード発振をするので、光ファイバ内で散乱しにくいレー
ザ光を発する。また、本発明の半導体レーザ素子は、そ
の内部に設けられた回折格子によってレーザ共振器が構
成されているので、RINが低く、波長安定性に優れて
いる。したがって、本発明の半導体レーザ素子は、ラマ
ンアンプの順方向励起光源として好適に使用できる。ま
た、SCH層の上に下部中間層を設けることでSCH構
造への光閉じ込めが強化される。このため、本発明の半
導体レーザ素子は、製造が容易であり、電気抵抗および
熱抵抗を抑えやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の半導体レーザ素子100の構造を示
す斜視図である。
【図2】MQW−SCH層14および中間層15a、b
のバンドギャップ波長の分布を示す図である。
【図3】半導体レーザ素子100の縦断面図である。
【図4】半導体レーザ素子100の平面断面図である。
【図5】半導体レーザ素子100の発光スペクトラムを
示す図である。
【符号の説明】
10…基板、12…下部クラッド層、14…MQW−S
CH層、15…中間層、16…第1上部クラッド層、1
8…埋め込み層、20…電流ブロック層、22…第2上
部クラッド層、24…コンタクト層、28…上部電極
層、30…下部電極層、42…第1SCH層、44…第
2SCH層、45…活性層、46…バリア層、48…井
戸層、50…第3SCH層、52…第4SCH層、10
0…半導体レーザ素子。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の導電型の半導体からなる基板と、 前記基板の上面側に設けられ、第1の導電型の半導体か
    らなる下部クラッド層と、 前記下部クラッド層の上に設けられた下部分離閉じ込め
    ヘテロ構造層と、 前記下部分離閉じ込めヘテロ構造層の上に設けられ、多
    重量子井戸構造を有する活性層と、 前記活性層の上に設けられた上部分離閉じ込めヘテロ構
    造層と、 前記上部分離閉じ込めヘテロ構造層の上面に被着された
    下部中間層と、 前記下部中間層の上面に被着された上部中間層と、 前記上部中間層の上面に被着され、前記第1導電型と異
    なる第2の導電型の半導体からなる上部クラッド層と、 前記上部クラッド層の上に設けられた上部電極と、 前記基板の下面側に設けられた下部電極と、を備え、 前記下部中間層は、前記上部分離閉じ込めヘテロ構造層
    よりも低い屈折率を有し、 前記上部中間層は、前記下部中間層および前記上部クラ
    ッド層よりも高い屈折率を有し、 前記上部中間層と前記上部クラッド層との界面には、前
    記活性層に沿って回折格子が設けられており、 発振縦モードが2本以上の発光スペクトラムを有する半
    導体レーザ素子。
  2. 【請求項2】 規格化結合係数が0.8未満である請求
    項1記載の半導体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 低反射コートが施された前端面と、 前記前端面に対向し、高反射コートが施された後端面と
    を更に備える請求項1記載の半導体レーザ素子。
  4. 【請求項4】 前記基板、下部クラッド層、下部中間層
    および上部クラッド層はInPから構成され、 前記下部分離閉じ込めヘテロ構造層、活性層、上部分離
    閉じ込めヘテロ構造層および前記上部中間層はInGa
    AsPから構成されている請求項1記載の半導体レーザ
    素子。
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