JP2003207497A - 溶離液と溶血試薬及びヘモグロビン類の測定方法 - Google Patents

溶離液と溶血試薬及びヘモグロビン類の測定方法

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JP2003207497A
JP2003207497A JP2002003545A JP2002003545A JP2003207497A JP 2003207497 A JP2003207497 A JP 2003207497A JP 2002003545 A JP2002003545 A JP 2002003545A JP 2002003545 A JP2002003545 A JP 2002003545A JP 2003207497 A JP2003207497 A JP 2003207497A
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Yuji Setoguchi
雄二 瀬戸口
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌性が低下することなく、安定型HbA1
cを測定可能な溶離液と溶血試薬及びそれを用いたヘモ
グロビン類の測定方法を提供する。 【解決手段】 液体クロマトグラフィーによるヘモグロ
ビン類の測定において用いられる、アミン系化合物、ア
ルコール系化合物、アルデヒド系化合物、カルボン酸系
化合物、フェノール系化合物、アミド系化合物、有機ハ
ロゲン系化合物、イソチアゾロン系化合物、有機金属化
合物、EDTA類及びホウ酸からなる群より選ばれた少
なくとも1種の保存剤(及び好ましくはさらにカオトロ
ピックイオン)が含有されてなる溶離液及び/または溶
血試薬、及びそれを用いたヘモグロビン類の測定方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体クロマトグラ
フィーによるヘモグロビン類の測定方法に好適な溶離液
と溶血試薬及びそれを用いたヘモグロビン類の測定方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ヘモグロビンA1c(以下、HbA1c
という)は、血液中の糖が赤血球に入った後に、ヘモグ
ロビンと不可逆的に結合して生成したものであり、過去
1〜2カ月間の血液中の平均的な血糖値(血液中のグル
コース濃度)を反映する。このため、HbA1cは、糖
尿病のスクリーニング検査や糖尿病患者の血糖管理状態
を把握する等の糖尿病診断の指標として広く利用されて
いる。
【0003】HbA1cは、血液中のグルコースとヘモ
グロビンA(以下、HbAという)とが、反応して生成
された糖化ヘモグロビン(以下、GHbという)であ
り、これが可逆的に反応したものを不安定型ヘモグロビ
ンA1c(unstableHbA1c:以下、不安定
型HbA1cという)と呼び、不安定型HbA1cを経
て不可逆的に反応したものを安定型ヘモグロビンA1c
(stable HbA1c:以下、安定型HbA1c
という)と呼んでいる。そして、上記糖尿病診断の指標
としては、安定型HbA1cを用いることが好ましく、
臨床検査分野では、高精度に安定型HbA1cの比率を
測定しうる方法の開発が望まれていた。
【0004】従来、このHbA1cの測定方法として
は、一般に液体クロマトグラフィー法や免疫法が用いら
れている。
【0005】液体クロマトグラフィー法によるHbA1
cの測定は、主にカチオン交換液体クロマトグラフィー
法により行われている(特公平8−7198号公報な
ど)。溶血液試料をカチオン交換液体クロマトグラフィ
ーにより分離すると、通常、ヘモグロビンA1a(以
下、HbA1aという)及びヘモグロビンA1b(以
下、HbA1bという)、ヘモグロビンF(以下、Hb
Fという)、不安定型HbA1c、安定型HbA1c並
びにヘモグロビンA0(以下、HbA0という)などの
ピークが出現する。また、HbA1a、HbA1b及び
HbA1cは、HbAが糖化されたGHbであり、ヘモ
グロビンF(以下、HbFという)は、α鎖とγ鎖から
なる胎児性ヘモグロビンで、該HbF値は、溶血性貧血
の診断指標としても用いられている。
【0006】なお、糖尿病の診断の指標として使用され
ているHbA1cは、最近では、上記したとおり安定型
HbA1cであり、全ヘモグロビンピークの面積に対す
る安定型HbA1cピークの面積の比率(%)として求
められている。
【0007】また、上記液体クロマトグラフィー法に用
いられる溶離液は、従来、溶離液の保存剤として、アジ
化ナトリウムを用いるのが一般的であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者等の検討によれば、保存剤としてアジ化ナトリウムを
用いた場合、溶離液のpHが低下することによって、ア
ジ化水素が発生しやすくなり、抗菌性が劣るという問題
があった。本発明の目的は、上記液体クロマトグラフィ
ーによるヘモグロビン類の測定における問題点に鑑み、
抗菌性が低下することなく、糖尿病の指標として用いら
れる安定型HbA1cなどを良好に分離可能な溶離液と
溶血試薬及びそれを用いたヘモグロビン類の測定方法を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の溶離液
は、液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測
定において用いられる溶離液であって、アミン系化合
物、アルコール系化合物、アルデヒド系化合物、カルボ
ン酸系化合物、フェノール系化合物、アミド系化合物、
有機ハロゲン系化合物、イソチアゾロン系化合物、有機
金属化合物、EDTA類及びホウ酸からなる群より選ば
れた少なくとも1種の保存剤が含有されてなることを特
徴とする。請求項2記載の溶血試薬は、液体クロマトグ
ラフィーによるヘモグロビン類の測定において血液検体
を溶血させる際に用いられる溶血試薬であって、アミン
系化合物、アルコール系化合物、アルデヒド系化合物、
カルボン酸系化合物、フェノール系化合物、アミド系化
合物、有機ハロゲン系化合物、イソチアゾロン系化合
物、有機金属化合物、EDTA類及びホウ酸からなる群
より選ばれた少なくとも1種の保存剤が含有されてなる
ことを特徴とする。請求項3記載の溶離液及または溶血
試薬は、請求項1記載の溶離液または請求項2記載の溶
血試薬であって、さらにカオトロピックイオンが含有さ
れてなることを特徴とする。請求項4記載のヘモグロビ
ン類の測定方法は、請求項1又は3記載の溶離液、及び
/または、請求項2又は3記載の溶血試薬を用いること
を特徴とする。
【0010】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本
発明においては、抗菌性の低下を抑制するため、アミン
系化合物、アルコール系化合物、アルデヒド系化合物、
カルボン酸系化合物、フェノール系化合物、アミド系化
合物、有機ハロゲン系化合物、イソチアゾロン系化合
物、有機金属化合物、EDTA類及びホウ酸からなる群
より選ばれた少なくとも1種の保存剤が用いられる。こ
れらの具体例としては、特に限定されず、例えば以下に
示すものが挙げられる。
【0011】アミン系化合物としては、例えば、2−
(4−チアゾリル)−ベンツイミダゾール等のイミダゾ
ール系化合物、2,3,5,6−テトラクロロメチルス
ルホニルピリジン、(2−ピリジルチオ−1−オキシ
ド)ナトリウム等のピリジン系化合物、トリアルキルト
リアミン等が挙げられる。アルコール系化合物として
は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルア
ルコール、イソプロパノール、2−フェノキシエタノー
ル、2−フェノキシプロパノール、2−フェニルエタノ
ール等が挙げられる。アルデヒド系化合物としては、例
えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等が挙げ
られる。カルボン酸系化合物としては、例えば、安息香
酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリ
ウム、プロピオン酸、プロピオン酸カリウム、プロピオ
ン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、サリチル
酸、サリチル酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、
10−ウンデシレン酸、ウンデシレン酸亜鉛、マグネシ
ウム2水素ビスモノペルオキシフタラート等が挙げられ
る。フェノール系化合物としては、例えば、チモール、
イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノ
ール、オルトフェニルフェノールナトリウム、p−ヒド
ロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチ
ル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ
安息香酸ブチル、m−クレゾール、p−クロロフェノー
ル等が挙げられる。アミド系化合物としては、例えば、
2−クロロアセタミド等が挙げられる。有機ハロゲン系
化合物としては、例えば、2,4,5,6−テトラクロ
ロイソフタロニトリル、N−(フルオロジクロロメチル
チオ)−フタルイミド、N,N−ジメチル−N’(フル
オロジクロロメチルチオ)−N’−フェニルスルファミ
ド等が挙げられる。イソチアゾロン系化合物としては、
例えば、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン等が挙げ
られる。有機金属化合物としては、例えば、10,10
−オキシビスフェノキシアルシン等が挙げられる。ED
TA類としてはEDTA、EDTAのナトリウム塩、E
DTAのカリウム塩などが挙げられる。
【0012】上記保存剤の含有量としては、特に限定さ
れないが、通常、溶離液または溶血試薬中、0.000
1重量%〜10重量%とされ、好ましくは、0.000
5重量%〜5重量%とされる。上記保存剤は単独で用い
られてもよいし、2種以上併用されてもよい。また、2
種以上併用される場合においても、含有量は、上記の範
囲であることが好ましい。含有量が0.0001重量%
に満たない場合は、十分な抗菌性が得られず、ヘモグロ
ビン類の測定系に悪影響がでる場合がある。また、含有
量が10重量%を越える場合は、保存剤の溶解性が悪く
なったり、ヘモグロビン類の測定系に影響が出て正確に
安定型HbA1cを測定出来なくなることがある。
【0013】本発明において、上記保存剤は溶離液に十
分溶解することが好ましく、単独で溶解性が悪い保存剤
を用いる場合は、ヘモグロビン類の測定系に悪影響がな
い量まで含有量を低く抑えるか、または保存剤を複数組
み合わせて用いる等の方法を採ることが好ましい。ま
た、溶解性を上げるために、メタノール、エタノール、
アセトニトリル、アセトンなどの水溶性有機溶媒が混合
されて用いられてもよい。この場合、これらの有機溶媒
の濃度は、ヘモグロビン類の測定系に悪影響を与えず、
しかも、カオトロピックイオン、無機酸、有機酸及びこ
れらの塩などが析出しない程度の濃度に調整されること
が好ましい。
【0014】液体クロマトグラフィー法によるヘモグロ
ビン類の測定において用いられる溶離液は、通常、pH
や塩濃度等の異なる複数種の溶離液を順番に用いて複数
種のヘモグロビン類を溶出する方法(いわゆる段階溶出
法)が用いられる。上記段階溶出法においては、本発明
における保存剤は、複数種の溶離液のうち、少なくとも
1種以上の溶離液に用いられればよい。
【0015】本発明の溶離液において、HbA0成分以
外のヘモグロビン類を溶出するために用いられる溶離液
は、pH4.0〜5.8で緩衝能を持つ無機酸、有機酸
及び/またはこれらの塩を含有するものが好ましい。こ
れらの具体例としては、例えば、以下のものを挙げるこ
とができる。無機酸としては、例えば、リン酸、炭酸等
が挙げられる。有機酸としては、例えば、カルボン酸、
ジカルボン酸、カルボン酸誘導体、ヒドロキシカルボン
酸、カコジル酸、アミノ酸等が挙げられる。
【0016】上記カルボン酸としては、例えば、酢酸、
プロピオン酸等が挙げられる。上記ジカルボン酸として
は、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピ
ン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等が挙げられ
る。上記カルボン酸誘導体としては、例えば、β、β−
ジメチルグルタル酸、バルビツール酸、アミノ酪酸等が
挙げられる。上記ヒドロキシカルボン酸としては、例え
ば、クエン酸、酒石酸、乳酸等が挙げられる。上記アミ
ノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、ヒスチジン等
が挙げられる。上記無機酸または有機酸の塩としては、
従来公知のものが用いられ、例えば、ナトリウム塩、カ
リウム塩等が挙げられる。
【0017】上記無機酸、有機酸及び/またはこれらの
塩は、単独で用いられてもよいし、2種以上併用されて
もよく、例えば、無機酸と有機酸が混合されて用いられ
てもよい。
【0018】また、上記無機酸、有機酸及び/またはこ
れらの塩は、酸解離定数(pKa)が2.15〜6.3
9にある物質と、pKaが6.4〜10.5にある物質
とが組み合わされて用いられることも好ましい。また、
2種以上の物質が組み合わされて用いられる代わりに、
単一の物質で、pKaが2.15〜6.39及び6.4
〜10.5の範囲に少なくともひとつずつ存在するもの
が用いられても良い。上記pKaのより好ましい範囲の
組合せは、2.61〜6.39及び6.40〜10.5
0であり、さらに好ましくは、2.80〜6.35及び
6.80〜10.00であり、特に好ましくは、3.5
0〜6.25及び7.00〜9.50である。
【0019】上記溶離液中の上記無機酸、有機酸及び/
またはこれらの塩の濃度は、溶離液のpHが4.0〜
5.8の範囲となる緩衝作用が得られ易い点で、好まし
くは1mM〜1000mMであり、より好ましくは10
mM〜500mMである。
【0020】上記溶離液のpHが4.0未満の場合に
は、ヘモグロビン類が変性する可能性があり、pHが
6.8を超えると、ヘモグロビン類のプラス電荷が減少
し、カチオン交換基に保持され難くなり、分離能が悪く
なることがある。より好ましくはpHが4.5〜5.8
である。
【0021】本発明の溶離液において、HbA0成分を
溶出するために用いられる溶離液は、ヘモグロビン類の
等電点よりアルカリ側であることが好ましい。これは、
液体クロマトグラフィーで分離されるヘモグロビン類の
うち、HbA0は、HbA等からなり、HbA1cより
後に溶出し強く充填剤に保持され、そのために測定時間
が長くなる傾向があるので、これを抑制するためであ
る。上記溶離液のpHは、具体的には、7.0〜12で
あることが好ましい。より好ましくは7.5〜11.0
であり、さらに好ましくは8.0〜9.5である。
【0022】上記HbA0成分を溶出するために用いら
れる溶離液に使用できる緩衝剤としては、例えば、リン
酸、ホウ酸、炭酸などの無機酸又はその塩;クエン酸な
どのヒドロキシカルボン酸、β、β−ジメチルグルタル
酸などのカルボン酸誘導体、マレイン酸などのジカルボ
ン酸、カコジル酸、などの有機酸又は、その塩からなる
緩衝液が挙げられる。その他、2−(N−モリホリノ)
エタンスルホン酸(MES)、N−2−ヒドロキシエチ
ルピペラジン−N’−エタンスルホン酸(HEPE
S)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス−
(ヒドロキシメチル)メタン(Bistris)、Tr
is、ADA、PIPES、Bistrispropa
ne、ACEA、MOPS、BES、TES、HEPP
S、Tricine、Bicine、TAPS、CAP
S等の一般にグッド(Good)の緩衝液といわれるも
のも使用できる。また、イミダゾール等のイミダゾール
類;ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの
アミン類;グリシンなどのアミノ酸類;などの有機物も
使用できる。また、無機酸、有機酸及び/またはこれら
の塩、及び有機物は、複数混合して用いても良く、例え
ば、無機酸と有機物を混合して用いても良い。
【0023】本発明における溶離液及び/または溶血試
薬にはカオトロピックイオンが含有されることが好まし
い。カオトロピックイオンとは、水溶液に解離して生じ
たイオンにより、水の構造が破壊され、疎水性物質と水
が接触したときに起こる、水のエントロピー減少を抑制
するもので、例えば、陰イオンとして、トリブロモ酢酸
イオン、トリクロロ酢酸イオン、チオシアン酸イオン、
ヨウ化物イオン、過塩素酸イオン、ジクロロ酢酸イオ
ン、硝酸イオン、臭化物イオン、塩化物イオン、酢酸イ
オン等が挙げられ、またその他に尿素等が挙げられる。
また、陽イオンとしては、バリウムイオン、カルシウム
イオン、マグネシウムイオン、リチウムイオン、セシウ
ムイオン、カリウムイオン、グアニジンイオン等が挙げ
られる。
【0024】上記カオトロピックイオンの中でも、安定
型HbA1cの測定精度を向上させるためには、陰イオ
ンとして、トリブロモ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオ
ン、チオシアン酸イオン、ヨウ化物イオン、過塩素酸イ
オン、ジクロロ酢酸イオン、硝酸イオン、臭化物イオン
等が用いられることが好ましく、陽イオンとしては、バ
リウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオ
ン、リチウムイオン、セシウムイオン、グアニジンイオ
ン等が用いられることが好ましい。より好ましくは、ト
リブロモ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、チオシア
ン酸イオン、ヨウ化物イオン、過塩素酸イオン、硝酸イ
オン、グアニジンイオン等が用いられる。
【0025】HbA0成分以外のヘモグロビン類を溶出
するために用いられる溶離液、または、溶血試薬中にお
ける上記カオトロピックイオンの濃度は、0.1mM〜
3000mMが好ましく、1mM〜1000mMがより
好ましい。さらに好ましくは、10mM〜500mMで
ある。上記カオトロピックイオンの濃度が0.1mMに
満たない場合は、ヘモグロビン類の測定において、分離
効果が低下し、測定精度が悪くなる。また、3000m
Mを越える場合には、ヘモグロビン類の分離効果はそれ
以上向上することはなく、測定精度の向上は期待できな
い。
【0026】また、HbA0成分を溶出するために用い
られる溶離液においては、上記カオトロピックイオンの
濃度は、1mM〜3000mMが好ましく、10mM〜
1000mMがより好ましい、より好ましくは、50m
M〜500mMである。
【0027】本発明において、これらカオトロピックイ
オンは、単独で用いられてもよく、2種以上併用されて
用いられてもよい。さらに、これらのカオトロピックイ
オンは、測定試料と接触する液(例えば、試料希釈液
等)に含有されて用いられてもよい。
【0028】本発明における溶離液及び/または溶血試
薬には、本発明の効果を損なわない限り、以下に示した
(1)〜(6)の物質が含有されてもよい。 (1)無機塩類;例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、リン酸ナトリウム
などが挙げられる。これらの塩類の濃度は、特に限定さ
れないが、好ましくは1〜1500mMである。 (2)pH調節剤;例えば、公知の酸、塩基が挙げられ
る。酸としては、例えば、塩酸、リン酸、硝酸、硫酸等
が挙げられ、また、塩基としては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウ
ム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等が挙げられ
る。これらの酸、塩基の濃度は、特に限定されないが、
好ましくは、0.001〜500mMである。 (3)水溶性有機溶媒;例えば、メタノール、エタノー
ル、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられる。これ
らの有機溶媒の濃度は、特に限定されないが、好ましく
は80体積%以下であり、カオトロピックイオン、無機
酸、有機酸、これらの塩などが析出しない程度の濃度で
用いられるのが好ましい。 (4)安定剤;例えばヘモグロビンの安定剤として、公
知の安定剤が含有されてもよい。該安定剤としては、例
えば、グルタチオン等の還元剤・酸化防止剤等が含有さ
れてもよい。 (5)アミン類;ヘモグロビンの非特異的吸着を少なく
するために、アミン類が含有されてもよい。該アミン類
としては、公知のものが用いられ、好ましくは、分子量
20〜500の第1級アミン、第2級アミン及び第3級
アミンが挙げられる。 (6)界面活性剤;ノニオン性界面活性剤、カチオン性
界面活性剤、アニオン性界面活性剤等が含有されてもよ
い。界面活性剤を用いることにより、溶血を効率よく行
うだけでなく、例えば高速液体クロマトグラフィー(H
PLC)等で測定を行う場合、溶血試薬の通過する流路
等を洗浄する効果がある。 上記界面活性剤は、好ましくはノニオン性界面活性剤が
使用され、例えば、ポリオキシエチレン類(以下、ポリ
オキシエチレンをPOE、エチレンオキシド付加モル数
を(n)で表す。)、POE(7)デシルエーテル、P
OE(n)ドデシルエーテル、POE(10)トリデシ
ルエーテル、POE(11)テトラデシルエーテル、P
OE(n)セチルエーテル、POE(n)ステアリルエ
ーテル、POE(n)オレイルエーテル、POE(1
7)セチル−ステアリルエーテル、POE(n)オクチ
ルフェニルエーテル、POE(n)ノニルフェニルエー
テル、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソ
ルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン
酸ソルビタン、POE(n)モノラウリン酸ソルビタ
ン、POE(n)モノパルミチン酸ソルビタン、POE
(n)モノステアリン酸ソルビタン、POE(n)モノ
オレイン酸ソルビタン等が挙げられる。これらの界面活
性剤は、単独でもまた複数混合して用いてもよい。ま
た、これらの界面活性剤の含有量は、好ましくは0.0
1〜10重量%である。
【0029】本発明のヘモグロビン類の測定方法は、上
記溶離液及び/または溶血試薬を用いるものであれば特
に限定されないが、例えば、イオン交換基を有する充填
剤をカラムに充填して用いる液体クロマトグラフィー法
等が好適である。上記充填剤としては、少なくとも1種
以上のカチオン交換基を有している粒子よりなるものが
好ましく、例えば、高分子粒子にカチオン交換基を導入
することで得ることができる。
【0030】上記カチオン交換基としては、公知のもの
が使用可能であり、特に限定されない。例えば、カルボ
キシル基、スルホン酸基、リン酸基などのカチオン交換
基が好適に用いられる。これらのカチオン交換基は、単
独で用いられてもよいし、2種以上併用して用いられて
もよい。
【0031】上記粒子の直径は、好ましくは0.5〜2
0μm、より好ましくは1〜10μmである。また、粒
度分布は、変動係数値(CV値:粒径の標準偏差÷平均
直径×100(%))として、好ましくは40%以下、
より好ましくは30%以下である
【0032】上記高分子粒子としては、例えば、シリ
カ、ジルコニアなどの無機系高分子粒子;セルロース、
ポリアミノ酸、キトサンなどの天然高分子粒子;ポリス
チレン、ポリアクリル酸エステルなどの合成高分子粒子
などが挙げられる。また、公知の非多孔性高分子粒子を
用いることもできる。上記高分子粒子において導入され
るイオン交換基以外の構成成分は、親水性であることが
好ましい。また耐圧性・耐膨潤性の点から架橋度の高い
ものが好ましい。
【0033】上記高分子粒子へのカチオン交換基の導入
方法としては、公知の方法により行うことができ、例え
ば、高分子粒子を調製後、粒子が有する官能基(水酸
基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基など)に、
カチオン交換基を化学反応させる方法などが採られる。
また、カチオン交換基を有する単量体を重合して高分子
粒子を調製する方法を用いてもよく、例えば、カチオン
交換基含有単量体と架橋性単量体等とを混合し、重合開
始剤の存在下で重合する方法などが挙げられる。また、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル
などの重合性カチオン交換基含有エステルを架橋性単量
体などと混合し、重合開始剤存在下で重合した後、得ら
れた粒子を加水分解処理し、エステルをカチオン交換基
に変換させる方法でもよい。更に、特公平8−7197
号公報に記載のように、架橋重合体粒子を調製した後、
カチオン交換基を有する単量体を添加して、重合体粒子
の表面付近に、該単量体を重合させる方法でも良い。
【0034】上記カラムのサイズとしては、内径0.1
〜50mm、長さ1〜300mmのものが好ましく、よ
り好ましくは、内径0.2〜30mm、長さ5〜200
mmである。カラムサイズが内径0.1mm、長さ1m
mに満たない場合は、作業性が悪くなり分離能も悪くな
り易い。また、内径50mm、長さ300mmを越える
場合は、使用する充填剤量が多くなるだけでなく、分離
能も悪くなることがある。
【0035】充填剤のカラムへの充填方法は、公知の任
意の方法が使用できるが、例えばスラリー充填法が好ま
しい。スラリー充填法の具体例としては、例えば、充填
剤粒子を溶離液などの緩衝液に分散させたスラリーを送
液ポンプなどによりカラムに圧入し充填する方法が挙げ
られる。
【0036】上記カラムの素材としては、例えば、ステ
ンレス等の金属、ガラス、PEEK(ポリエーテルエー
テルケトン)等の樹脂が用いられる。また、充填剤とカ
ラム本体が接する部位が、不活性(イナート)な素材で
被覆されたものでもよく、被覆素材としては、例えば、
PEEK、ポリエチレン、テフロン(登録商標)、チタ
ン化合物、珪素化合物、シリコン等が挙げられる。
【0037】上記カラムに用いられるカラムフィルター
及び/またはプレフィルターとしては、特に限定されな
いが、イナートな素材からなるフィルター、または、そ
のフィルターの表面がイナートな素材で覆われているフ
ィルターを用いるのが好ましい。イナートな素材の例と
しては、セルロースエステル、セルロースアセテート、
セルローストリアセテート、セルロース、セルロースナ
イトレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリ
デンジフロライド、ポリスルフォン、ポリエチレン、ポ
リエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテル
スルホン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリフッ化ビニ
リデン、ガラス素材、アクリル共重合体、酸化物セラミ
ック、炭化物セラミック、窒化物セラミック、珪化物セ
ラミック、硼化物セラミック、チタン等が挙げられる。
また、これらの素材を適宜組み合わせて用いることもで
きる。一方、ステンレスなどのイナートでない素材を用
いた場合は、上記のイナートな素材で被覆する方法、シ
リコーン処理などのイナートな処理をする方法、又は牛
血清アルブミン、ゼラチン、カゼイン、グロブリン、ヘ
モグロビンなどのブロッキング試薬でブロッキングする
方法などを適宜使用することが好ましい。
【0038】本発明方法に使用される液体クロマトグラ
フィー装置は、公知のものが使用可能であり、例えば、
送液ポンプ、試料注入装置(サンプラ)、カラム、検出
器などから構成されるものが用いられる。また、他の付
属装置(カラム恒温槽や溶離液の脱気装置など)が適宜
付属されたものであってもよい。
【0039】ヘモグロビン類を測定する際のカラム温度
は、安定型HbA1cの分離を良くするために、25〜
60℃であることが好ましく、より好ましくは、35〜
55℃である。
【0040】また、ヘモグロビン類を測定する際のカラ
ム圧力は、カラム耐久性及び装置の耐久性の点で、9.
8×104〜3.9×106Pa(1〜40kgf/cm
2)であることが好ましく、より好ましくは、2.0×
105〜3.4×106Pa(2〜35kgf/cm2
である。
【0041】本発明方法における、他の測定条件として
は、公知の条件でよく、溶離液の流速は、好ましくは
0.05〜5mL/分、より好ましくは0.2〜3mL
/分である。ヘモグロビン類の検出は、415nmの可
視光を用いるのが好ましいが、特にこれのみに限定され
るわけではない。測定試料は、上述の溶血試薬により溶
血された試料が好適である。液体クロマトグラフィー装
置への試料注入量は、希釈倍率により異なるが、好まし
くは0.1〜100μL程度である。
【0042】上記測定方法において、段階溶出法によっ
て測定を行う場合の装置の構成例を図1に示した。溶離
液A,B,C,Dは、各々溶出力の異なる(すなわち、
pHあるいは塩濃度のいずれか、あるいは両方が異な
る)溶離液であり、電磁弁1によって設定時間ごとに各
溶離液に切り替えられるように、構成されている。溶離
液は、送液ポンプ2により、試料注入部3から導入され
た試料とともにカラム4に導かれ、各成分が検出器5に
より検出される。各ピーク面積、高さ等はインテグレー
タ6により算出される。
【0043】(作用)本発明の溶離液及び溶血試薬は、
保存剤として、特定の化合物が含有されてなるので、ヘ
モグロビン類の測定において抗菌性が低下することな
く、安定型HbA1cなどを良好に分離することが可能
となる。上記溶離液及び/または溶血試薬にカオトロピ
ックイオンが含有されてなる場合は、上記効果は更に確
実なものとなる。
【0044】
【実施例】以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を詳
しく説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定さ
れるものではない。
【0045】[実施例1] (充填剤の調製)テトラエチレングリコールジメタクリ
レート(新中村化学社製)450g及び2−ヒドロキシ
−1,3−ジメタクリロキシプロパン(和光純薬社製)
50gの混合物に過酸化ベンゾイル(和光純薬社製)2
gを溶解した。これを4重量%ポリビニルアルコール
(日本合成化学社製)水溶液2500mLに分散させ、
撹拌しながら窒素雰囲気下で80℃に昇温し、1.5時
間重合した。次いで、反応系を35℃に冷却した後、2
−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東
京化成社製)の50%水溶液400g、メタノール40
0mLを添加し1時間攪拌しながら再び80℃に昇温し
1.3時間重合した。重合後、洗浄し乾燥した後、分級
して平均粒径6.5μmのカチオン交換基としてスルホ
ン酸基を有する粒子を得た。
【0046】(カラムの充填)得られた充填剤をカラム
に以下のようにして充填した。粒子0.7gを、50m
Mリン酸緩衝液(pH5.8)30mLに分散し、5分
間超音波処理した後、よく撹拌した。全量をステンレス
製の空カラム(内径4.6mm×長さ35mm)を接続
したパッカー(梅谷精機社製)に注入した。パッカーに
送液ポンプ(サヌキ工業社製)を接続し、圧力約3×1
7Pa(300kgf/cm2)で定圧充填した。
【0047】(ヘモグロビン類の測定)得られたカラム
を用いて、以下の方法で液体クロマトグラフィーによる
ヘモグロビン類の測定を行った。 (測定条件) システム: ・送液ポンプ:LC−9A(島津製作所社製) ・オートサンプラ:ASU−420(積水化学工業社
製) ・検出器:SPD−6AV(島津製作所社製) 溶離液: ・溶離液A:45mMの過塩素酸、安息香酸ナトリウム
0.01重量%を含有する50mMリン酸緩衝液(pH
5.3) ・溶離液B:200mMの過塩素酸、アジ化ナトリウム
0.05重量%、EDTA0.01重量%を含有する5
0mMリン酸緩衝液(pH8.4) ・溶離液C:60mMの過塩素酸、安息香酸ナトリウム
0.01重量%を含有する50mMリン酸緩衝液(pH
5.3) 溶離液送液法:測定開始より0〜1.5分の間は溶離液
Cを流し、1.5〜1.6分の間は溶離液Bを流し、
1.6〜1.9分の間は溶離液Aを流した。 流速:2.0mL/分 検出波長:415nm 試料注入量:10μL
【0048】(測定試料)健常人血を採血し、抗血液凝
固剤としてフッ化ナトリウムを10mg/mLとなるよ
う添加した。これに、150倍量の溶血試薬(界面活性
剤として0.1重量%ポリエチレングリコールモノ−4
−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−100、東
京化成社製)、保存剤としてソルビン酸カリウム0.0
5重量%を含有するリン酸緩衝溶液(pH7))を添加
して溶血し、測定試料とした。
【0049】(緑膿菌の培養)尚、上記溶離液(溶離液
A,B,C)及び溶血試薬については、保存性を評価す
るため、以下の方法で緑膿菌を培養して用いた。培養方
法としては、まず、上記の溶離液を調製後、緑膿菌(P
seudomonas aeruginosa)を第十
三改正 日本薬局方 B−408ページ記載のソイビー
ン・カゼイン・ダイジェスト培地で培養し、その緑膿菌
をフレッシュな状態にした。次に、遠心分離して緑膿菌
を集菌した後、生理食塩水で菌濃度が約10万個/mL
になるように菌接種液を調製した。次に、上記溶離液
A、溶離液B、溶離液C及び溶血試薬をそれぞれ2.8
Lづつ、ポリエチレン製3Lボトルに入れ、上記菌接種
液を100μL添加し良く攪拌した後、30℃で20日
間培養した。
【0050】(測定結果)上記の方法によりヘモグロビ
ン類の測定を行った結果、得られたクロマトグラムを図
2に示した。ピーク7はHbA1a及びb、ピーク8は
HbF、ピーク9は不安定型HbA1c、ピーク10は
安定型HbA1c、ピーク11はHbA0を示す。図2
よりピーク8、9及び10が良好に分離されることが判
明した。
【0051】[実施例2]溶離液、溶血試薬及び溶離液
送液法を以下のようにしたこと以外は、実施例1と同様
にしてヘモグロビン類の測定を行った。 溶離液: ・溶離液A:40mMの過塩素酸、2−フェノキシエタ
ノール0.1重量%を含有する、25mMコハク酸−2
0mMリン酸緩衝液(pH5.3) ・溶離液B:250mMの過塩素酸、2−フェノキシエ
タノール0.1重量%を含有する、20mMコハク酸−
20mMリン酸緩衝液(pH8.4) ・溶離液C:60mMの過塩素酸、2−フェノキシエタ
ノール0.1重量%を含有する、25mMコハク酸−2
0mMリン酸緩衝液(pH5.3) 溶血試薬:実施例1の保存剤(ソルビン酸カリウム)の
代わりに、デヒドロ酢酸ナトリウム0.05重量%を含
有するリン酸緩衝溶液(pH7)。 溶離液送液法:測定開始より0〜0.7分の間は溶離液
Aを流し、0.7〜1.4分の間は溶離液Cを流し、
1.4〜1.5分の間は溶離液Bを流し、1.5〜1.
9分の間は溶離液Aを流した。 (測定結果)得られたクロマトグラムは実施例1と同様
で、HbF、不安定型HbA1c、安定型HbA1cの
各ピークが良好に分離されることが判明した。
【0052】[実施例3]溶離液を以下の組成としたこ
と以外は、実施例1と同様の条件でヘモグロビン類の測
定を行った。 溶離液: ・溶離液A:50mMの過塩素酸、サリチル酸ナトリウ
ム0.05重量%を含有する、25mMコハク酸−20
mMリン酸緩衝液(pH5.3) ・溶離液B:250mMの過塩素酸、アジ化ナトリウム
0.05重量%を含有する、20mMコハク酸−20m
Mリン酸緩衝液(pH8.4) ・溶離液C:35mMの過塩素酸、サリチル酸ナトリウ
ム0.05重量%を含有する、10mMコハク酸−35
mMリン酸緩衝液(pH5.3) (測定結果)得られたクロマトグラムは実施例1と同様
で、HbF、不安定型HbA1c、安定型HbA1cの
各ピークが良好に分離されることが判明した。
【0053】[実施例4]溶離液を以下のようにしたこ
と以外は、実施例1と同様の条件でヘモグロビン類の測
定を行った。 溶離液: ・溶離液A:60mMの過塩素酸、m−クレゾール0.
01重量%を含有する、25mMコハク酸−20mMリ
ン酸緩衝液(pH5.3) ・溶離液B:250mMの過塩素酸、4.6mM(0.
03重量%)アジ化ナトリウムを含有する、20mMコ
ハク酸−20mMリン酸緩衝液(pH8.4) ・溶離液C:40mMの過塩素酸、m−クレゾール0.
01重量%を含有する、10mMコハク酸−35mMリ
ン酸緩衝液(pH5.3) (測定結果)得られたクロマトグラムは実施例1と同様
で、HbF、不安定型HbA1c、安定型HbA1cの
各ピークが良好に分離されることが判明した。
【0054】[実施例5]溶離液を以下のようにしたこ
と以外は、実施例1と同様の条件でヘモグロビン類の測
定を行った。 溶離液: ・溶離液A:60mMの過塩素酸、サリチル酸ナトリウ
ム0.02重量%、2−フェノキシエタノール0.06
重量%を含有する、25mMコハク酸−20mMリン酸
緩衝液(pH5.3) ・溶離液B:250mMの過塩素酸、4.6mM(0.
03重量%)アジ化ナトリウム、EDTA0.02重量
%を含有する、20mMコハク酸−20mMリン酸緩衝
液(pH8.4) ・溶離液C:40mMの過塩素酸、サリチル酸ナトリウ
ム0.02重量%、2−フェノキシエタノール0.06
重量%を含有する、10mMコハク酸−35mMリン酸
緩衝液(pH5.3) (測定結果)得られたクロマトグラムは実施例1と同様
で、HbF、不安定型HbA1c、安定型HbA1cの
各ピークが良好に分離されることが判明した。
【0055】[実施例6]溶離液を以下のようにしたこ
と以外は、実施例1と同様の条件でヘモグロビン類の測
定を行った。 溶離液: ・溶離液A:60mMの過塩素酸、サリチル酸ナトリウ
ム0.02重量%、2−フェノキシエタノール0.06
重量%、EDTA0.05重量%を含有する、25mM
コハク酸−20mMリン酸緩衝液(pH5.3) ・溶離液B:250mMの過塩素酸、4.6mM(0.
03重量%)アジ化ナトリウム、EDTA0.02重量
%を含有する、60mMリン酸緩衝液(pH8.4) ・溶離液C:40mMの過塩素酸、サリチル酸ナトリウ
ム0.02重量%、2−フェノキシエタノール0.06
重量%、EDTA0.05重量%を含有する、10mM
コハク酸−35mMリン酸緩衝液(pH5.3) (測定結果)得られたクロマトグラムは実施例1と同様
で、HbF、不安定型HbA1c、安定型HbA1cの
各ピークが良好に分離されることが判明した。
【0056】[比較例1]本発明における保存剤を用い
ず、溶離液及び溶血試薬を以下のようにしたこと以外
は、実施例1と同様にしてヘモグロビン類の測定を行っ
た。 溶離液: ・溶離液A:45mMの過塩素酸を含有する50mMリ
ン酸緩衝液(pH5.3) ・溶離液B:200mMの過塩素酸、アジ化ナトリウム
0.05重量%を含有する50mMリン酸緩衝液(pH
8.4) ・溶離液C:60mMの過塩素酸を含有する50mMリ
ン酸緩衝液(pH5.3) 溶血試薬:0.1重量%ポリエチレングリコールモノ−
4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−100、
東京化成社製)を含有するリン酸緩衝溶液(pH7) (測定結果)溶離液A、溶離液C、溶離液B及び溶血試
薬とも菌の増殖がひどいため、各溶離液及び溶血試薬を
ろ過処理して、ヘモグロビン類の測定を行ったがベース
ライン変動が大きく、安定型HbA1cを分離すること
が出来なかった。
【0057】
【発明の効果】本発明の溶離液及び溶血試薬は、保存剤
として、特定の化合物が含有されてなるので、液体クロ
マトグラフィーによるヘモグロビン類の測定において抗
菌性が低下することなく、糖尿病の指標として用いられ
る安定型HbA1cなどを良好に分離し測定することが
可能となる。上記溶離液及び/または溶血試薬にカオト
ロピックイオンが含有されてなる場合は、上記効果は更
に確実なものとなる。本発明のヘモグロビン類の測定方
法は、上記溶離液及び/または溶血試薬を用いることを
特徴とするので、上記同様、抗菌性が低下することな
く、安定型HbA1cを良好に分離し測定することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヘモグロビン類の測定方法についての
構成例を示す模式図。
【図2】実施例1のヘモグロビン類の測定により得られ
たクロマトグラムを示す図。
【符号の説明】
A,B,C,D 溶離液 1 電磁弁 2 送液ポンプ 3 試料注入部 4 カラム 5 検出器 6 インテグレータ 7 HbA1a及びbのピーク 8 HbFのピーク 9 不安定型HbA1cのピーク 10 安定型HbA1cのピーク 11 HbA0のピーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 30/56 G01N 30/56 A

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体クロマトグラフィーによるヘモグロ
    ビン類の測定において用いられる溶離液であって、アミ
    ン系化合物、アルコール系化合物、アルデヒド系化合
    物、カルボン酸系化合物、フェノール系化合物、アミド
    系化合物、有機ハロゲン系化合物、イソチアゾロン系化
    合物、有機金属化合物、EDTA類及びホウ酸からなる
    群より選ばれた少なくとも1種の保存剤が含有されてな
    ることを特徴とする溶離液。
  2. 【請求項2】 液体クロマトグラフィーによるヘモグロ
    ビン類の測定において血液検体を溶血させる際に用いら
    れる溶血試薬であって、アミン系化合物、アルコール系
    化合物、アルデヒド系化合物、カルボン酸系化合物、フ
    ェノール系化合物、アミド系化合物、有機ハロゲン系化
    合物、イソチアゾロン系化合物、有機金属化合物、ED
    TA類及びホウ酸からなる群より選ばれた少なくとも1
    種の保存剤が含有されてなることを特徴とする溶血試
    薬。
  3. 【請求項3】 さらにカオトロピックイオンが含有され
    てなることを特徴とする請求項1記載の溶離液または請
    求項2記載の溶血試薬。
  4. 【請求項4】 請求項1又は3記載の溶離液、及び/ま
    たは、請求項2又は3記載の溶血試薬を用いることを特
    徴とするヘモグロビン類の測定方法。
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