JP2001349894A - ヘモグロビン類の測定方法 - Google Patents
ヘモグロビン類の測定方法Info
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Abstract
1cを、精度良く短時間で分離可能なヘモグロビン類の
測定方法を提供する。 【解決手段】 カチオン交換液体クロマトグラフィー
によるヘモグロビン類の測定方法において、カオトロピ
ックイオンを含有し、かつpH4.0〜6.8で緩衝能
を持つ無機酸、有機酸及び/またはこれらの塩を含有す
る溶離液を用い、カラム圧力を9.8×104Pa〜
3.9×106Paに設定して測定を行うことを特徴と
するヘモグロビン類の測定方法。
Description
クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法に
関する。
という)は、血液中の糖が赤血球に入った後に、ヘモグ
ロビンと不可逆的に結合して生成したものであり、過去
1〜2カ月間の血液中の平均的な血糖値(血液中のグル
コース濃度)を反映する。このため、HbA1cは、糖
尿病のスクリーニング検査や糖尿病患者の血糖管理状態
を把握する等の糖尿病診断の指標として広く利用されて
いる。
グロビンA(以下、HbAという)とが、反応して生成
された糖化ヘモグロビン(以下、GHbという)であ
り、これが可逆的に反応したものを不安定型ヘモグロビ
ンA1c(unstable HbA1c:以下、不安定型HbA1c
という)と呼び、不安定型HbA1cを経て不可逆的に
反応したものを安定型ヘモグロビンA1c(stable HbA
1c:以下、安定型HbA1cという)と呼んでいる。そ
して、上記糖尿病診断の指標としては、安定型HbA1
cを用いることが好ましく、臨床検査分野では、高精度
で、しかも、短時間に安定型HbA1cの比率を測定し
うる方法の開発が望まれていた。
般に液体クロマトグラフィー法や免疫法が用いられてお
り、液体クロマトグラフィー法によるHbA1cの測定
は、主にカチオン交換液体クロマトグラフィー法により
行われている(特公平8−7198号公報など)。溶血
液試料をカチオン交換液体クロマトグラフィーにより分
離すると、通常、ヘモグロビンA1a(以下、HbA1
aという)及びヘモグロビンA1b(以下、HbA1b
という)、ヘモグロビンF(以下、HbFという)、不
安定型HbA1c、安定型HbA1c並びにヘモグロビ
ンA0(以下、HbA0という)の順に溶出される。
されるのは、最近では、上記したとおり安定型HbA1
cであり、安定型HbA1c値は、全ヘモグロビンピー
クの面積に対する安定型HbA1cピークの面積の比率
(%)として求められている。
するためには、安定型HbA1cのピークのみを高精度
に分離する技術が必要であるが、従来においては、安定
型HbA1cのピークの近傍に出現する不安定型HbA
1cのピークやアセチル化ヘモグロビン(以下、AHb
という)、カルバミル化ヘモグロビン(以下CHbとい
う)などの修飾ヘモグロビンのピークと、安定型HbA
1cのピークとを高精度かつ短時間に分離するのは極め
て困難とされていた。
に記載があるように、赤血球および/または、ヘモグロ
ビンを含む試料を、リン酸縮合体および/またはリン酸
縮合体の塩を含む解離溶媒質と接触させて、不安定型ヘ
モグロビンをヘモグロビンとグルコースに解離して測定
する方法が従来より知られている。しかしながら、この
方法では、安定型HbA1cの分離が不十分となり、測
定精度が悪いという欠点があった。
ロビンと、安定型HbA1cとを測定時間2.2分とい
う短時間で分離できる方法も開発されている(全自動グ
リコヘモグロビン分析計HLC−723GHbV型の基
礎的検討:日本臨床自動化学会会誌 21 (199
6) 840−843)。
を用いずに、非多孔性充填剤を用い、しかも、充填剤の
粒径を2.5μmと非常に小さくして測定サンプルのカ
ラム内での拡散を小さくすることにより、安定型HbA
1cの分離を可能にしている。しかし、このような、粒
径の非常に小さい充填剤を充填したカラムをヘモグロビ
ン類の測定に用いると、測定初期のカラム圧力が非常に
高い(例えば、約9.8×106Pa)ため測定装置に
耐圧性が必要になりコストアップになるという欠点が存
在した。
いためカラム圧力上昇が高く、カラム耐久性が悪いとい
う欠点があった。さらに、この方法においては、充填剤
の粒径を大きくすることによりカラム圧力を低くする
と、測定サンプルがカラム内で拡散し分離が不十分にな
ってしまう問題点があった。
従来におけるヘモグロビン類の測定方法の問題点に鑑
み、カラム耐久性が良く、しかも、安定型HbA1c
を、精度良く短時間で分離可能なヘモグロビン類の測定
方法を提供することにある。
カチオン交換液体クロマトグラフィーによるヘモグロ
ビン類の測定方法において、カオトロピックイオンを含
有し、かつpH4.0〜6.8で緩衝能を持つ無機酸、
有機酸及び/またはこれらの塩を含有する溶離液を用
い、カラム圧力を9.8×104Pa〜3.9×106P
aに設定して測定を行うことを特徴とするヘモグロビン
類の測定方法である。
モグロビン類の測定方法であって、グラディエント溶出
法を用いて上記溶離液の送液を行なうことを特徴とする
ヘモグロビン類の測定方法である。
ン、及び、pH4.0〜6.8で緩衝能を持つ無機酸、
有機酸及び/またはこれらの塩を含有する溶離液を用い
る。この溶離液は、単一種の溶離液であってもよいが、
好ましくは、溶出力が異なる、例えばカオトロピックイ
オンの濃度やpHが異なる、2種以上の溶離液を用い
る。
解離して生じたイオンにより水の構造が破壊され、疎水
性物質と水が接触したときに起こる、水のエントロピー
減少を抑制するものである。
オンとしては、トリブロモ酢酸イオン、トリクロロ酢酸
イオン、チオシアン酸イオン、ヨウ化物イオン、過塩素
酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、硝酸イオン、臭化物イ
オン、塩化物イオン、酢酸イオン等が挙げられ、またそ
の他に尿素等が挙げられる。
しては、バリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシ
ウムイオン、リチウムイオン、セシウムイオン、カリウ
ムイオン、グアニジンイオン等が挙げられる。
型HbA1cの測定精度をより向上させるために、好ま
しくは、陰イオンとしては、トリブロモ酢酸イオン、ト
リクロロ酢酸イオン、チオシアン酸イオン、ヨウ化物イ
オン、過塩素酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、硝酸イオ
ン、臭化物イオン等が挙げられ、陽イオンとしては、バ
リウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオ
ン、リチウムイオン、セシウムイオン、グアニジンイオ
ン等が用いられる。より好ましくは、トリブロモ酢酸イ
オン、トリクロロ酢酸イオン、チオシアン酸イオン、過
塩素酸イオン、硝酸イオン、グアニジンイオン等が用い
られる。
一種で用いても、また複数種混合して用いてもよい。
度は、0.1mM〜3000mMが好ましく、より好ま
しくは1mM〜1000mM、特に好ましくは10mM
〜500mMである。これは、濃度が0.1mM未満で
あると、ヘモグロビン類の測定において、分離効果が低
下し測定精度が悪くなるためであり、また、濃度が30
00mMを超えてもヘモグロビン類の分離効果はそれ以
上向上しないためである。
の測定試料と接触する液、例えば、試料希釈液、溶血液
等に添加して用いてもよい。
緩衝能を持つ無機酸、有機酸及び/またはこれらの塩と
しては、以下のものが挙げられる。
酸等が挙げられる。また、上記有機酸としては、例え
ば、カルボン酸、ジカルボン酸、カルボン酸誘導体、ヒ
ドロキシカルボン酸、カコジル酸、アミノ酸、ピロリン
酸等が挙げられる。
プロピオン酸等が挙げられる。上記ジカルボン酸として
は、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピ
ン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等が挙げられ
る。上記カルボン酸誘導体としては、例えば、β、β−
ジメチルグルタル酸、バルビツール酸、アミノ酪酸等が
挙げられる。上記ヒドロキシカルボン酸としては、例え
ば、クエン酸、酒石酸、乳酸等が挙げられる。上記アミ
ノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、アスパラギン
等が挙げられる。
知のものでよく、例えばナトリウム塩、カリウム塩等が
挙げられる。
塩は、単独種でもまた、複数種混合して用いても良い。
塩の溶離液中の濃度は、水に溶解された状態で、溶離液
のpHを4.0〜6.8にする緩衝作用がある範囲であ
ればよく、好ましくは1mM〜1000mMであり、よ
り好ましくは10mM〜500mMである。
6.8であり、より好ましくは4.5〜5.8である。
pHが4.0未満では、ヘモグロビンが変性する可能性
があり、pHが6.8を超えると、ヘモグロビン類のプ
ラス電荷が減少し、カチオン交換基に保持されにくくな
り、分離能が悪くなるためである。
類、(2)pH調節剤、(3)有機溶媒、(4)安定
剤、(5)アミン類、(6)界面活性剤、(7)防腐剤
等を添加してもよい。
トリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウ
ム、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの塩類
の溶離液中の濃度は、特に限定されないが、好ましくは
1〜1500mMである。
を添加してもよい。酸としては、例えば、塩酸、リン
酸、硝酸、硫酸等が挙げられ、また、塩基としては、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水
酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム
等が挙げられる。これらの酸、塩基の溶離液中の濃度
は、特に限定されないが、好ましくは、0.001〜5
00mMである。
トリル、アセトンなどの水溶性有機溶媒と混合してもよ
い。これらの有機溶媒の濃度は、特に限定されないが、
好ましくは0〜80体積%であり、カオトロピックイオ
ン、無機酸、有機酸、これらの塩などが析出しない程度
で用いるのが好ましい。
の安定剤を添加してもよい。該安定剤としては、例え
ば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート
剤、グルタチオン、アジ化ナトリウム等の還元剤・酸化
防止剤等が挙げられる。
くするために、アミン類を添加してもよい。該アミン類
としては、公知のものが用いられ、好ましくは、分子量
20〜500の第1級アミン、第2級アミン及び第3級
アミンが挙げられる。
活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤
等を添加してもよい。界面活性剤を用いることにより、
溶血を効率よく行うだけでなく、例えば高速液体クロマ
トグラフィー(HPLC)等で測定を行う場合、溶血試
薬の通過する流路等を洗浄する効果がある。上記界面活
性剤は、好ましくはノニオン性界面活性剤が使用され、
例えば、ポリオキシエチレン類(以下、ポリオキシエチ
レンをPOE、エチレンオキシド付加モル数を(n)で
表す。)、POE(7)デシルエーテル、POE(n)
ドデシルエーテル、POE(10)トリデシルエーテ
ル、POE(11)テトラデシルエーテル、POE
(n)セチルエーテル、POE(n)ステアリルエーテ
ル、POE(n)オレイルエーテル、POE(17)セ
チルステアリルエーテル、POE(n)オクチルフェニ
ルエーテル、POE(n)ノニルフェニルエーテル、モ
ノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタ
ン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソル
ビタン、POE(n)モノラウリン酸ソルビタン、PO
E(n)モノパルミチン酸ソルビタン、POE(n)モ
ノステアリン酸ソルビタン、POE(n)モノオレイン
酸ソルビタン等が挙げられる。これらの界面活性剤は、
単独種でもまた複数種混合して用いてもよい。これらの
界面活性剤の添加量は、好ましくは0.01〜10重量
%である。
チモールなどを添加しても良い。
離液を用いる場合、これらの溶離液をグラディエント溶
出法により送液を行うのがより好ましい。グラディエン
ト溶出法としては、例えば、段階溶出法(ステップアッ
プグラディエント溶出)、リニアグラディエント溶出
法、または、それらを組み合わす方法があり、いずれの
方法にも限定されるものではない。
クロマトグラフィー装置の構成例を図1に示した。溶離
液A,B,C,Dは、各々溶出力の異なる溶離液であ
り、電磁弁1によって設定時間ごとに各溶離液に切り替
えられるように、構成されている。溶離液は、送液ポン
プ2により、試料注入部3から導入された試料とともに
カラム4に導かれ、各成分が検出器5により検出され
る。各ピーク面積、高さ等はインテグレータ6により算
出される。
ロビン類のうち、HbA等からなるHbA0は、HbA
1cより後に溶出し、強く充填剤に保持されるため、測
定時間を長くさせる傾向にある。このため、HbA0の
溶出には、上述の溶離液よりも溶出力の強い溶離液、す
なわちpHがヘモグロビン等電点(ヘモグロビンの等電
点については、理化学事典(第4版、1987年9月、
岩波書店、久保亮五ら編集)、1178頁に記載あるよ
うに、pH6.8〜7である)よりアルカリ側にある溶
離液を用いるのが好ましい。
の等電点より酸性側からアルカリ性側に変わることによ
って、ヘモグロビンの表面の総電荷がプラスからマイナ
スに変わり、これによって充填剤表面のカチオン交換基
との電気的反発がおこり、HbA0成分を迅速に溶出す
ることができるのである。
溶離液としては、カラム耐久性の向上と測定時間短縮の
ため、カラムに流入する際のpHがヘモグロビンの等電
点よりアルカリ側になるように、pHを6.8以上に設
定した少なくとも1種以上の緩衝液を用いるのが好まし
い。
であり、さらに好ましくは、7.5〜11、またさらに
好ましくは8〜9.5である。これは、溶離液のpHが
6.8以下になるとHbA0成分の溶出が不十分となり
易く、pHが12より高いと充填剤の分解が考えられる
ためである。また、充填剤の分解が測定に影響ない場合
は、溶離液のpHを12以上にするのが好ましく、より
好ましくは、10〜13.5である。但し、溶離液のp
Hを12以上にした時、充填剤の分解が測定に影響する
場合であっても、溶離液を流す時間を短くすることによ
り、充填剤の分解を最小限に抑えることができる。
pHが6.8以上で緩衝能をもつ溶離液としては、例え
ば、リン酸、ホウ酸、炭酸等の無機酸または、その塩;
クエン酸等のヒドロキシカルボン酸、β、β−ジメチル
グルタル酸等のカルボン酸誘導体、マレイン酸等のジカ
ルボン酸、カコジル酸、等の有機酸または、その塩から
なる緩衝液が挙げられる。その他、2−(N−モリホリ
ノ)エタンスルホン酸(MES)、N−2−ヒドロキシ
エチルピペラジン−N’−エタンスルホン酸(HEPE
S)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス−
(ヒドロキシメチル)メタン(Bistris)、Tr
is、ADA、PIPES、Bistrispropa
ne、ACES、MOPS、BES、TES、HEPE
S、HEPPS、Tricine、Bicine、グリ
シルグリシン、TAPS、CAPS等の一般にグッド
(Good)の緩衝液といわれるものも使用できる。ま
た、BrittonとRobinsonの緩衝液;GT
A緩衝液も使用できる。また、イミダゾール等のイミダ
ゾール類;エチレンジアミン、メチルアミン、エチルア
ミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエ
タノールアミン等のアミン類;グリシン、β−アラニ
ン、アスパラギン酸、アスパラギン等のアミノ酸類;等
の有機物も使用できる。
たは有機物等の濃度は、水に溶解された状態で溶離液の
pHを6.8以上にする緩衝作用がある範囲であればよ
く、好ましくは、1mM〜1000mMであり、より好
ましくは10〜500mMである。
するためには、上記HbA0の溶出に好適に用いられる
溶離液に、カオトロピックイオンを添加することが好ま
しい。上記カオトロピックイオンは、前述したのと同様
のものを用いることができる。カオトロピックイオンの
溶離液中の濃度は、1mM〜3000mMが好ましく、
より好ましくは10mM〜1000mM、特に好ましく
は、50mM〜500mMである。
れるのと同様の各種添加剤、例えば、(1)無機塩類、
(2)pH調節剤、(3)有機溶媒、(4)安定剤、
(5)アミン類、(6)界面活性剤、(7)防腐剤等を
添加してもよい。
104Pa〜3.9×106Pa(1kgf/cm2〜4
0kgf/cm2)に設定して測定を行う。カラム圧力
のより好ましい範囲は、2.0×105Pa〜3.4×
106Pa(2kgf/cm2〜35kgf/cm2)で
あり、更に好ましい範囲は、4.9×105Pa〜2.
9×106Pa(5kgf/cm2〜30kgf/c
m2)である。これは、カラム圧力が9.8×104Pa
より小さいと圧力変動が大きいため、安定型HbA1c
を精度良く測定できなくなるためである。また、カラム
圧力が3.9×106Paより高くなると短時間測定で
連続測定したとき、カラム圧力上昇が大きくなり、カラ
ム耐久性が悪化してしまうためである。
ムに流入する溶離液の液圧を意味するものであり、液体
クロマトグラフィー装置において、分離用カラムに流入
する溶離液の流路上に設けられた圧力計により計測され
るものである。このカラム圧力を計測する圧力計は、液
体クロマトグラフィー装置において一般的に用いられて
いるものであれば、特に限定されるものではないが、例
えばJIS B 7505−1980に規格が定められて
いるプルドン管圧力計が好適に用いられる。
きさに影響を与える諸条件を調節することにより行な
う。具体的には、溶離液の流速、カラムに充填される充
填剤の粒径の大きさ、カラム内径及びカラム長などを適
宜調節することにより、上記範囲内となるように設定す
る。また、粒径の小さい充填剤(例えば、粒径3μm以
下の充填剤:多孔性充填剤及び非多孔性充填剤を含む)
を用いる場合、上記カラム圧力範囲内になるように、溶
離液の流速を調節しても良いし、また、粒径の小さい充
填剤を充填するカラムサイズを適宜小さくしても良い
(例えば、カラム内径0.1mm〜4mm、カラム長さ
5mm〜200mm程度)。
速のみを変化させる場合、カラム圧力を高めるために
は、溶離液の流速を上げればよいし、カラム圧力を低め
るためには、溶離液の流速を下げればよい。また、充填
剤の粒径の大きさのみを変化させる場合は、カラム圧力
を高めるためには、充填剤の粒径を小さくすればよい
し、カラム圧力を低めるためには、充填剤の粒径を大き
くすればよい。
公知の条件でよく、溶離液の流速は、好ましくは0.0
01〜5ml/分、より好ましくは0.01〜4ml/
分、特に好ましくは0.1〜3ml/分である。
て用いられる充填剤は、少なくとも1種以上のカチオン
交換基を有している粒子よりなるものであり、例えば、
高分子粒子にカチオン交換基を導入することで得られる
ものである。
特に制限はない。例えば、カルボキシル基、スルホン酸
基、リン酸基などのカチオン交換基等が挙げられる。ま
た、このカチオン交換基は、複数種導入しても良い。
5〜20μm、より好ましくは1〜10μmである。ま
た、粒度分布は、変動係数値(CV値)(粒径の標準偏
差÷平均直径×100(%))として、好ましくは40
%以下、より好ましくは30%以下である。
た範囲の充填剤を複数種混合して用いても良い。
カ、ジルコニアなどの無機系粒子;セルロース、ポリア
ミノ酸、キトサンなどの天然高分子粒子;ポリスチレ
ン、ポリアクリル酸エステルなどの合成高分子粒子など
が挙げられる。
基以外の構成成分は、より親水性であることが好まし
い。また耐圧性・耐膨潤性の点から架橋度の高いものが
好ましい。
は、公知の方法により行うことができ、例えば、高分子
粒子を調製後、粒子が有する官能基(水酸基、アミノ
基、カルボキシル基、エポキシ基など)に、化学反応で
カチオン交換基を粒子に導入させる方法により行うこと
ができる。
合して高分子粒子を調製する方法によってもカチオン交
換充填剤を調製できる。例えば、カチオン交換基含有単
量体と架橋性単量体等とを混合し、重合開始剤の存在下
に重合する方法などが挙げられる。
タ)アクリル酸エチルなどの重合性カチオン交換基含有
エステルを架橋性単量体などと混合し、重合開始剤存在
下で重合した後、得られた粒子を加水分解処理し、エス
テルをカチオン交換基に変換させてもよい。
ように、架橋重合体粒子を調製した後、カチオン交換基
を有する単量体を添加して、重合体粒子の表面付近に、
該単量体を重合させても良い。
の任意の方法が使用できるが、スラリー充填法を用いる
のがより好ましい。具体的には、例えば、充填剤粒子を
溶離液などの緩衝液に分散させたスラリーを送液ポンプ
などによりカラムに圧入することにより行う。
る液体クロマトグラフィー装置は、公知のものでよく、
例えば、送液ポンプ、試料注入装置(サンプラ)、カラ
ム、検出器などから構成される。また、他の付属装置
(カラム恒温槽や溶離液の脱気装置など)が適宜付属さ
れてもよい。
良い。その1例としては、資生堂社製のNANOSPA
CEシリーズがあり、送液ポンプ:イナートポンプ20
01NANOSPACE SI-1、オートサンプラー
2003、検出器UV-VIS検出器2002などで構
成される。
例えば、ガラス、ステンレス、PEEK(ポリエーテル
エーテルケトン)等の樹脂が挙げられる。
材も公知のもので良い。カラムの両端に設けられるフィ
ルターは、ヘモグロビン類の吸着を少なくするために、
不活性(イナート)な素材のものが好ましい。例えば、
ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、テフロン
(登録商標)、チタンなどがある。また、ステンレス製
のフィルターのように、ヘモグロビン類の吸着が大きい
ものは、表面をシリコーン処理、または、公知のブロッ
キング試薬(アルブミン、牛血清アルブミン、カゼイ
ン、ゼラチンなど)でブロッキングしても良い。上記の
フィルターは、プレフィルターとして用いても良い。
位を、不活性な素材で被覆してもよく、その素材として
は、例えばPEEK、ポリエチレン、テフロン、チタン
化合物、珪素化合物、シリコン膜等が挙げられる。
は公知の条件でよく、特に限定されないが、好ましくは
以下の条件を用いる。ヘモグロビン類の検出について
は、415nmの可視光を用いるのが好ましい。測定試
料は、通常、界面活性剤など溶血活性を有する物質を含
む溶液により溶血された溶血液を希釈したものを用いる
のが好ましい。液体クロマトグラフィー装置への試料注
入量は、希釈倍率により異なるが、好ましくは0.1〜
100μL程度である。
の1実施態様を以下に示す。溶血液試料をカチオン交換
液体クロマトグラフィーにより分離すると、通常、Hb
A1a及びHbA1b、HbF、不安定型HbA1c、
安定型HbA1c並びにHbA0などのピークが出現す
る。
〜C(溶離液A<溶離液B<溶離液Cの順に溶出力が高
くなるよう設定したもの)を用い、まず、溶離液Aで、
HbA1a〜HbFまで溶出させ、不安定型HbA1c
と安定型HbA1cをカラムに強く保持させて分離す
る。次に、より溶出力の強い溶離液Bをステップグラデ
ィエント溶出法で流し、カラムに強く保持させて分離し
た不安定型HbA1cピークと安定型HbA1cピーク
をシャープに溶出させる。最後に、カラムに最も強く保
持しているHbA0を、最も溶出力の強い溶離液Cをス
テップグラディエント溶出法で流して溶出させ、その
後、次の測定に備えて溶離液Aをカラムへ流し、測定系
に悪影響が無い程度に溶離液Aでカラム内を平衡化させ
る。
したカラムでは、カラム内での測定サンプルの拡散が大
きいために、不安定型HbA1cと安定型HbA1cを
分離できなかったが、本発明では、溶離液にカオトロピ
ックイオンを添加することにより、分離溶出挙動が非常
に近い不安定型HbA1cと安定型HbA1cのカラム
との相互作用の差を拡大させ、従来法で安定型HbA1
cを分離測定できなかった粒径の大きな充填剤でも、安
定型HbA1cを分離測定することができる。また、粒
径の大きな充填剤を充填したカラムは、カラム圧力が非
常に低いので、測定試料がカラムに目詰まりしづらく、
そのため、連続測定してもカラム圧力上昇が小さく、カ
ラム耐久性に優れている。さらに、グラディェント溶出
法を組み合わすことにより、より高精度に安定型HbA
1cを分離測定できる。
く説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定され
るものではない。
学社製)450g及び2−ヒドロキシ−1,3−ジメタ
クリロキシプロパン(和光純薬社製)50gの混合物に
過酸化ベンゾイル(和光純薬社製)2gを溶解させた。
これを4重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社
製)水溶液2500mLに分散させ、撹拌しながら窒素
雰囲気下で80℃に昇温し、1.5時間重合させた。次
いで、反応系を35℃に冷却させた後、2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東京化成社製)
の50%水溶液400g、メタノール400mLを添加
し、1時間攪拌しながら再び80℃に昇温して1.3時
間重合した。重合後、洗浄して乾燥し、分級して平均粒
径9μmの粒子を得た。
填した。充填剤粒子0.7gを、50mMリン酸緩衝液
(pH5.8)30mLに分散し、5分間超音波処理し
た後、よく撹拌した。全量をステンレス製の空カラム
(内径4.6mm×長さ35mm)を接続したパッカー
(梅谷精機社製)に注入した。パッカーに送液ポンプ
(サヌキ工業社製)を接続し、圧力300kg/cm2
で定圧充填した。
モグロビン類の測定を行った。 (測定条件) システム:送液ポンプ:LC−9A(島津製作所社製) オートサンプラ:ASU−420(積水化学工業社製) 検出器:SPD−6AV(島津製作所社製) 圧力計:ストレンゲージ式圧力変換器 溶離液:溶離液A:56mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50m Mリン酸緩衝液(pH5.3) 溶離液B:275mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50 mMリン酸緩衝液(pH8.40) 送液パターン:測定開始より0〜1.2分の間は溶離液Aを送液し、1.2〜 1.3分の間は溶離液Bを送液し、1.3〜1.9分の間は溶離 液Aを送液した。 流速:2.2mL/分 検出波長:415nm 試料注入量:10μL カラム圧力:2.9×106Pa(30kgf/cm2)
採血した全血検体から以下の試料を調製した。なお、溶
血試薬として、0.1重量%ポリエチレングリコールモ
ノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−10
0)(東京化成社製)を含有させたリン酸緩衝溶液(p
H7.0)を用いた。
示した。ピーク11はHbA1a及びb、ピーク12は
HbF、ピーク13は不安定型HbA1c、ピーク14
は安定型HbA1c、ピーク15はHbA0を示す。図
2より、測定時間1.9分で安定型A1cを分離測定で
きたことが分かる。
学社製)450g及び2−ヒドロキシ−1,3−ジメタ
クリロキシプロパン(和光純薬社製)50gの混合物に
過酸化ベンゾイル(和光純薬社製)2gを溶解させた。
これを4重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社
製)水溶液2500mLに分散させ、撹拌しながら窒素
雰囲気下で80℃に昇温し、1.5時間重合させた。次
いで、反応系を35℃に冷却した後、2−アクリルアミ
ド−2−メチルプロパンスルホン酸(東京化成社製)の
50%水溶液400g、メタノール400mLを添加し
1時間攪拌しながら再び80℃に昇温し1.3時間重合
した。重合後、洗浄して乾燥し、分級して平均粒径11
μmの粒子を得た。
示した。ピーク11はHbA1a及びb、ピーク12は
HbF、ピーク13は不安定型HbA1c、ピーク14
は安定型HbA1c、ピーク15はHbA0を示す。図
3より、測定時間1.6分で安定型A1cを分離測定で
きた。
学社製)450g及び2−ヒドロキシ−1,3−ジメタ
クリロキシプロパン(和光純薬社製)50gの混合物に
過酸化ベンゾイル(和光純薬社製)2gを溶解させた。
これを4重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社
製)水溶液2500mLに分散させ、撹拌しながら窒素
雰囲気下で80℃に昇温し、1.5時間重合させた。次
いで、反応系を35℃に冷却した後、2−アクリルアミ
ド−2−メチルプロパンスルホン酸(東京化成社製)の
50%水溶液400g、メタノール400mLを添加し
1時間攪拌しながら再び80℃に昇温し、1.3時間重
合させた。重合後、洗浄して乾燥し、分級して平均粒径
3μmの粒子を得た。
た。カラム圧力:7.8×106Pa(80kgf/c
m2)
あった。
学社製)450g及び2−ヒドロキシ−1,3−ジメタ
クリロキシプロパン(和光純薬社製)50gの混合物に
過酸化ベンゾイル(和光純薬社製)2gを溶解させた。
これを4重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社
製)水溶液2500mLに分散させ、撹拌しながら窒素
雰囲気下で80℃に昇温し、1.5時間重合させた。次
いで、反応系を35℃に冷却した後、2−アクリルアミ
ド−2−メチルプロパンスルホン酸(東京化成社製)の
50%水溶液400g、メタノール400mLを添加し
1時間攪拌しながら再び80℃に昇温し1.3時間重合
させた。重合後、洗浄して乾燥し、分級して平均粒径3
0μmの粒子を得た。
ラム圧力:4.9×104Pa(0.5kgf/cm2)
測定出来なかった。
モグロビン類の測定を行った。 (測定条件) システム:送液ポンプ:LC−9A(島津製作所社製) オートサンプラ:ASU−420(積水化学工業社製) 検出器:SPD−6AV(島津製作所社製) 圧力計:ストレンゲージ式圧力変換器 溶離液:溶離液A:62mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50m Mリン酸緩衝液(pH5.40) 溶離液B:70mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50m Mリン酸緩衝液(pH5.40) 溶離液C:275mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50 mMリン酸緩衝液(pH8.40) 送液パターン:測定開始より0〜0.6分の間は溶離液Aを送液し、0.6 〜1.2分の間は溶離液Bを送液し、1.2〜1.3分の間 は溶離液Cを送液し、1.3〜1.6分の間は溶離液Aを送 液した。 流速:1.0ml/分 検出波長:415nm 試料注入量:10μl カラム圧力:3.8×106Pa(39kgf/cm2)
同様であり、測定時間1.6分で安定型A1cを分離測
定できた。
填した。充填剤粒子0.7gを、50mMリン酸緩衝液
(pH5.8)30mlに分散させ、5分間超音波処理
した後、よく撹拌した。全量をステンレス製の空カラム
(内径40mm×長さ30mm)を接続したパッカー
(梅谷精機社製)に注入した。パッカーに送液ポンプ
(サヌキ工業社製)を接続し、圧力300kg/cm2
で定圧充填した。(3)ヘモグロビン類の測定 (2)で得られたカラムを用いて、以下の測定条件でヘ
モグロビン類の測定を行った。 (測定条件) システム:送液ポンプ:LC−9A(島津製作所社製) オートサンプラ:ASU−420(積水化学工業社製) 検出器:SPD−6AV(島津製作所社製) 圧力計:ストレンゲージ式圧力変換器 溶離液:溶離液A:58mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50m Mリン酸緩衝液(pH5.40) 溶離液B:68mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50m Mリン酸緩衝液(pH5.40) 溶離液C:275mMの過塩素酸を含む10mMアジピン酸−50 mMリン酸緩衝液(pH8.40) 送液パターン:測定開始より0〜0.6分の間は溶離液Aを送液し、0.6 〜1.2分の間は溶離液Bを送液し、1.2〜1.3分の間 は溶離液Cを送液し、1.3〜1.6分の間は溶離液Aを送 液した 流速:1.1ml/分 検出波長:415nm 試料注入量:10μl カラム圧力:3.5×106Pa(36kgf/cm2)
同様であり、測定時間1.6分で安定型A1cを分離測
定できた。
径1.5mm×長さ35mm)に充填した以外は、実施
例4と同様に行った。(3)ヘモグロビン類の測定 (2)で得られたカラムを用いて、以下の測定条件でヘ
モグロビン類の測定を行った。 (測定条件) システム:送液ポンプ:イナートポンプ2001:NANOSPACE SI-1(資生 堂社製) オートサンプラ:オートサンプラー2003(資生堂社製) 検出器:UV−VIS検出器2002(資生堂社製) 溶離液:溶離液A:49mMの過塩素酸を含む10mMコハク酸−47mM リン酸緩衝液(pH5.30) 溶離液B:60mMの過塩素酸を含む10mMコハク酸−47mM リン酸緩衝液(pH5.30) 溶離液C:250mMの過塩素酸を含む10mMコハク酸−47 mMリン酸緩衝液(pH8.40) 送液パターン:測定開始より0〜0.6分の間は溶離液Aを送液し、0.6 〜1.2分の間は溶離液Bを送液し、1.2〜1.3分の間 は溶離液Cを送液し、1.3〜1.6分の間は溶離液Aを送 液した。 流速:0.18ml/分 検出波長:415nm 試料注入量:2μl カラム圧力:2.2×106Pa(22kgf/cm2)(4)測定結果 上記測定条件により得られたクロマトグラムは図3と同
様であり、測定時間1.6分で安定型A1cを分離測定
できた。
較例1〜2のカラムについて、上記に示したそれぞれの
測定条件で500検体連続測定してカラム耐久性を評価
した。測定試料としては、健常人血をフッ化ナトリウム
採血した全血検体から以下の試料を調製した。なお、溶
血試薬として、0.1重量%ポリエチレングリコールモ
ノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−10
0)(東京化成社製)を含有させたリン酸緩衝溶液(p
H7.0)を用いた。
1cの測定値の変動を指標として、カラム耐久性を評価
し、図4に示した。その結果、実施例1〜4では、50
0検体連続測定しても、安定型HbA1c値の変動は、
ほとんど無かった。しかし、比較例1では、100検体
連続測定した後から、安定型HbA1c値が次第に高く
なった。これは、カラム圧力を高く設定すると、カラム
内に測定試料の一部が詰まり、カラム洗浄が不十分にな
る結果カラムが劣化し、安定型HbA1cと不安定型H
bA1cの分離が不十分になったのが原因であると考え
られた。尚、比較例2では、カラム圧力が低すぎて安定
型HbA1c値を測定出来なかった。
述の構成からなるので、カラム耐久性に優れ、しかも、
安定型HbA1cを、精度良く短時間で分離、測定する
ことができる。
図
Claims (2)
- 【請求項1】カチオン交換液体クロマトグラフィーによ
るヘモグロビン類の測定方法において、カオトロピック
イオンを含有し、かつpH4.0〜6.8で緩衝能を持
つ無機酸、有機酸及び/またはこれらの塩を含有する溶
離液を用い、カラム圧力を9.8×104Pa〜3.9
×106Paに設定して測定を行うことを特徴とするヘ
モグロビン類の測定方法。 - 【請求項2】請求項1記載のヘモグロビン類の測定方法
であって、グラディエント溶出法を用いて上記溶離液の
送液を行なうことを特徴とするヘモグロビン類の測定方
法。
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