JP2003107069A - ヘモグロビン類の測定方法 - Google Patents

ヘモグロビン類の測定方法

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JP2003107069A
JP2003107069A JP2001303263A JP2001303263A JP2003107069A JP 2003107069 A JP2003107069 A JP 2003107069A JP 2001303263 A JP2001303263 A JP 2001303263A JP 2001303263 A JP2001303263 A JP 2001303263A JP 2003107069 A JP2003107069 A JP 2003107069A
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acid
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ion
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JP2001303263A
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Yuji Setoguchi
雄二 瀬戸口
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来法より安定的に安定型HbA1cを短時
間に精度良く分離することのできるヘモグロビン類の測
定方法を提供する。 【解決手段】 カチオン交換液体クロマトグラフィーに
よるヘモグロビン類の測定方法において、ヘモグロビン
A0よりも前に溶出するヘモグロビン類を溶出させるた
めの溶離液(以下「溶離液A」という)、ヘモグロビン
A0を溶出させるための溶離液(以下「溶離液B」とい
う)、溶離液Bの溶出力を低下させるための溶離液(以
下「溶離液C」という)の少なくとも3種の溶離液を用
い、溶離液BのpHがヘモグロビン類の等電点より高
く、溶離液CのpHが溶離液AのpHと同一またはそれ
以下であって、溶離液CのpHと溶離液AのpHとの差
が0〜1.0の範囲にあり、溶離液Cの塩濃度が溶離液
Aの塩濃度より1mM〜500mM低いことを特徴とす
るヘモグロビン類の測定方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体クロマトグラ
フィーによるヘモグロビン類の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ヘモグロビンA1c(以下、HbA1c
という)は、血液中の糖が赤血球に入った後に、ヘモグ
ロビンと不可逆的に結合して生成したものであり、過去
1〜2ヶ月間の血液中の平均的な血糖値(血液中のグル
コース濃度)を反映する。このため、HbA1cは、糖
尿病のスクリーニング検査や糖尿病患者の血糖管理状態
を把握する等の糖尿病診断の指標として広く利用されて
いる。
【0003】より詳細にはHbA1cは、血液中のグル
コースとヘモグロビンA(以下、HbAという)とが、
反応して生成された糖化ヘモグロビン(以下、GHbと
いう)であり、これが可逆的に反応したものを不安定型
ヘモグロビンA1c(unstable HbA1c:以下、不安定型
HbA1cという)と呼び、不安定型HbA1cを経て
不可逆的に反応したものを安定型ヘモグロビンA1c
(stable HbA1c:以下、安定型HbA1cという)と呼
んでいる。そして、上記糖尿病診断の指標としては、安
定型HbA1cを用いることが好ましく、臨床検査分野
では、高精度に安定型HbA1cの比率を測定しうる方
法の開発が望まれていた。
【0004】従来、このHbA1cの測定方法として
は、一般に液体クロマトグラフィー法や免疫法が用いら
れている。
【0005】液体クロマトグラフィー法によるHbA1
cの測定は、主にカチオン交換液体クロマトグラフィー
法により行われている(特公平8−7198号公報な
ど)。溶血液試料をカチオン交換液体クロマトグラフィ
ーにより分離すると、通常、ヘモグロビンA1a(以
下、HbA1aという)及びヘモグロビンA1b(以
下、HbA1bという)、ヘモグロビンF(以下、Hb
Fという)、不安定型HbA1c、安定型HbA1c並
びにヘモグロビンA0(以下、HbA0という)などの
ピークが出現する。
【0006】また、HbA1a、HbA1b及びHbA
1cは、HbAが糖化されたGHbであり、HbFは、
α鎖とγ鎖からなる胎児性ヘモグロビンで、該HbF値
は、溶血性貧血の診断指標としても用いられている。
【0007】糖尿病の診断の指標として使用されている
HbA1cは、最近では、上記したとおり安定型HbA
1cであり、全ヘモグロビンピークの面積に対する安定
型HbA1cピークの面積の比率(%)として求められ
ている。
【0008】しかし、安定型HbA1cピークと不安定
型HbA1cピークの分離が困難であるため、特開昭6
3−298063号公報には、赤血球および/または、
ヘモグロビンを含む試料を、リン酸縮合体および/また
はリン酸縮合体の塩を含む解離溶媒質と接触させて、不
安定型ヘモグロビンをヘモグロビンとグルコースに解離
して測定する方法が記載されている。しかしながら、こ
の方法では、安定型HbA1cの分離が不十分なため、
測定精度が悪いという欠点があった。
【0009】また、液体クロマトグラフィーによるヘモ
グロビン類の測定方法においては、アセチル化ヘモグロ
ビン(以下、AHbという)やカルバミル化ヘモグロビ
ン(以下CHbという)などの修飾ヘモグロビンの影響
を受けると言われ、AHbやCHbのピークも安定型H
bA1cピーク付近に出現するため、従来では安定型H
bA1cの分離を良くするために安定型A1cまでの分
離を2種類の溶離液を用いたグラディエント溶出法で行
う方法も存在した。しかしこの方法では、使用する溶離
液の経時的な濃縮による影響、カラムのロット間差、使
用によるカラムの劣化等により安定的にしかも精度良く
安定型HbA1cを分離出来ないこともあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来法によるヘモグロビン類の測定方法の問題点に鑑
み、従来法より安定的に安定型HbA1cを短時間に精
度良く分離することのできるヘモグロビン類の測定方法
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、カチオン交換
液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方
法において、ヘモグロビンA0よりも前に溶出するヘモ
グロビン類を溶出させるための溶離液(以下「溶離液
A」という)、ヘモグロビンA0を溶出させるための溶
離液(以下「溶離液B」という)、溶離液Bの溶出力を
低下させるための溶離液(以下「溶離液C」という)の
少なくとも3種の溶離液を用い、溶離液BのpHがヘモ
グロビン類の等電点より高く、溶離液CのpHが溶離液
AのpHと同一またはそれ以下であって、溶離液Cのp
Hと溶離液AのpHとの差が0〜1.0の範囲にあり、
溶離液Cの塩濃度が溶離液Aの塩濃度より1mM〜50
0mM低いことを特徴とするヘモグロビン類の測定方法
である。
【0012】また本発明では、さらに上記溶離液Aがカ
オトロピックイオンを含有し、かつ、pH4.0〜6.
8で緩衝能を持つ無機酸、有機酸及び/またはこれらの
塩を含有するのが好ましい。
【0013】さらに、本発明においては上記溶離液A、
B及びCのそれぞれがアジ化物イオンを含有するのがよ
り好ましい。以下に本発明について詳細に説明する。
【0014】通常カチオン交換液体クロマトグラフィー
によりヘモグロビン類の分離を行うと、HbA1a及び
HbA1b、HbF、不安定型HbA1c、安定型Hb
A1c、HbA0の順にピークが出現する。本発明のヘ
モグロビン類の測定方法では、溶離液AによりHbA0
よりも前に溶出するヘモグロビン類、すなわちHbA1
aから安定型HbA1cまでを溶出させ、次に溶離液B
によりHbA0を溶出させ、その後に、溶離液Cを流し
て溶離液Bの溶出力を弱めることを特徴とする。
【0015】本発明で用いられる上記溶離液Aとして
は、pH4.0〜6.8で緩衝能を持つ無機酸、有機酸
及び/またはこれらの塩を含有する溶液を用いるのがよ
い。
【0016】上記pH4.0〜6.8で緩衝能を持つ無
機酸、有機酸及び/またはこれらの塩としては、以下の
ものが挙げられる。
【0017】上記無機酸としては、例えば、リン酸等が
挙げられる。また、上記有機酸としては、例えば、カル
ボン酸、ジカルボン酸、カルボン酸誘導体、ヒドロキシ
カルボン酸、カコジル酸、アミノ酸等が挙げられる。
【0018】上記カルボン酸としては、例えば、酢酸、
プロピオン酸等が挙げられる。上記ジカルボン酸として
は、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピ
ン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等が挙げられ
る。上記カルボン酸誘導体としては、例えば、β、β−
ジメチルグルタル酸、バルビツール酸、アミノ酪酸等が
挙げられる。上記ヒドロキシカルボン酸としては、例え
ば、クエン酸、酒石酸、乳酸等が挙げられる。上記アミ
ノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、ヒスチジン等
が挙げられる。
【0019】上記無機酸または有機酸の塩としては、公
知のものでよく、例えばナトリウム塩、カリウム塩等が
挙げられる。
【0020】上記無機酸、有機酸またはこれらの塩は、
単独でも,また複数種混合して用いても良く、さらに、
無機酸と有機酸を混合して用いてもよい。
【0021】また、上記無機酸、有機酸等として、酸解
離定数(pKa)値が2.15〜6.39にある物質
と、pKa値が6.4〜10.5にある物質とを組み合
わせて用いるのも良い。このように2種以上の物質を組
み合わせて用いる代わりに、単一の物質でpKa値が
2.15〜6.39及び6.4〜10.5の両方にある
ものを用いても良い。なお、pKa値のより好ましい範
囲は、2.61〜6.39及び6.40〜10.50で
あり、さらに好ましい範囲は、2.80〜6.35及び
6.80〜10.00であり、特に好ましい範囲は、
3.50〜6.25及び7.00〜9.50である。
【0022】上記溶離液A中のこれら無機酸、有機酸等
の濃度は、水に溶解された状態で、溶離液AのpHを
4.0〜6.8にする緩衝作用がある範囲であればよ
く、好ましくは1mM〜1000mMであり、より好ま
しくは10mM〜500mMである。
【0023】上記溶離液AのpHは、pH4.0〜6.
8が好ましく、より好ましくはpH4.5〜5.8であ
る。pHが4.0未満では、ヘモグロビンが変性する可
能性があり、pHが6.8を超えると、ヘモグロビン類
のプラス電荷が減少し、カチオン交換基に保持されにく
くなり、分離能が悪くなるためである。
【0024】上記溶離液Aには、カオトロピックイオン
をさらに含有させるのが好ましい。上記カオトロピック
イオンとは、水溶液に解離して生じたイオンにより、水
の構造が破壊され、疎水性物質と水が接触したときに起
こる、水のエントロピー減少を抑制するもので、具体的
には、陰イオンとしては、トリブロモ酢酸イオン、トリ
クロロ酢酸イオン、チオシアン酸イオン、ヨウ化物イオ
ン、過塩素酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、硝酸イオ
ン、臭化物イオン、塩化物イオン、酢酸イオン等が挙げ
られ、またその他に尿素等が挙げられる。また、陽イオ
ンとしては、バリウムイオン、カルシウムイオン、マグ
ネシウムイオン、リチウムイオン、セシウムイオン、カ
リウムイオン、グアニジンイオン等が挙げられる。
【0025】上記カオトロピックイオンの中でも、安定
型HbA1cの測定精度を向上させるためには、好まし
くは、陰イオンとしては、トリブロモ酢酸イオン、トリ
クロロ酢酸イオン、チオシアン酸イオン、ヨウ化物イオ
ン、過塩素酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、硝酸イオ
ン、臭化物イオン等が挙げられ、陽イオンとしては、バ
リウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオ
ン、リチウムイオン、セシウムイオン、グアニジンイオ
ン等であり、より好ましくは、トリブロモ酢酸イオン、
トリクロロ酢酸イオン、チオシアン酸イオン、ヨウ化物
イオン、過塩素酸イオン、硝酸イオン、グアニジンイオ
ン等が用いられる。
【0026】上記カオトロピックイオンの溶離液A中の
濃度は、0.1mM〜3000mMが好ましく、1mM
〜1000mMがより好ましい、さらに好ましくは、1
0mM〜500mMである。カオトロピックイオンの濃
度が0.1mMより低いとヘモグロビン類の測定におい
て、分離効果が低下し、測定精度が悪くなる。また、3
000mMよりも高くてもヘモグロビン類の分離効果は
それ以上向上しないので、測定精度は向上しない。ま
た、これらカオトロピックイオンは、単独でもまた、複
数種混合して用いてもよい。さらに、測定試料と接触す
る液、例えば、試料希釈液等に添加して用いることもで
きる。
【0027】上記溶離液Aには、アジ化物イオンを含有
させるのがより好ましい。上記アジ化物イオンとして
は、水溶液中で解離してアジ化物イオンを生成するので
あれば特に限定されず、例えば、公知のアジ化物塩等が
用いられ、好ましくは、アジ化ナトリウム、アジ化バリ
ウム等が挙げられる。
【0028】また、上記アジ化物の溶離液A中の濃度
は、0.15mM〜76.9mM(0.001重量%〜
0.5重量%)であることが好ましく、より好ましく
は、0.77mM〜61.5mM(0.005重量%〜
0.4重量%)である。上記濃度が、0.15mM
(0.001重量%)より少ないと、HbFの分離が悪
くなり、76.9mM(0.5重量%)より多くてもH
bFの分離は向上しないためである。
【0029】さらに上記溶離液Aには、以下に示した
(1)〜(6)の物質を添加してもよい。 (1)無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩
化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、リン酸ナ
トリウムなどが挙げられる。これらの塩類の濃度は、特
に限定されないが、好ましくは1〜1500mMであ
る。 (2)pH調節剤として、公知の酸、塩基を添加しても
よい。酸としては、例えば、塩酸、リン酸、硝酸、硫酸
等が挙げられ、また、塩基としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシ
ウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等が挙げられ
る。これらの酸、塩基の濃度は、特に限定されないが、
好ましくは、0.001〜500mMである。 (3)メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセ
トンなどの水溶性有機溶媒と混合してもよい。これらの
有機溶媒の濃度は、特に限定されないが、好ましくは8
0体積%以下であり、カオトロピックイオン、無機酸、
有機酸、これらの塩などが析出しない程度で用いるのが
好ましい。 (4)ヘモグロビンの安定剤として、公知の安定剤を添
加してもよい。該安定剤としては、例えば、エチレンジ
アミン四酢酸(EDTA)等のキレート剤、グルタチオ
ン等の還元剤・酸化防止剤等を添加してもよい。 (5)ヘモグロビンの非特異的吸着を少なくするため
に、アミン類を添加してもよい。該アミン類としては、
公知のものが用いられ、好ましくは、分子量20〜50
0の第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンが挙
げられる。
【0030】(6)界面活性剤として、ノニオン性界面
活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤
等を添加してもよい。界面活性剤を用いることにより、
溶血を効率よく行うだけでなく、例えば高速液体クロマ
トグラフィー(HPLC)等で測定を行う場合、溶血試
薬の通過する流路等を洗浄する効果がある。上記界面活
性剤は、好ましくはノニオン性界面活性剤が使用され、
例えば、ポリオキシエチレン類(以下、ポリオキシエチ
レンをPOE、エチレンオキシド付加モル数を(n)で
表す。)、POE(7)デシルエーテル、POE(n)
ドデシルエーテル、POE(10)トリデシルエーテ
ル、POE(11)テトラデシルエーテル、POE
(n)セチルエーテル、POE(n)ステアリルエーテ
ル、POE(n)オレイルエーテル、POE(17)セ
チル−ステアリルエーテル、POE(n)オクチルフェ
ニルエーテル、POE(n)ノニルフェニルエーテル、
モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタ
ン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソル
ビタン、POE(n)モノラウリン酸ソルビタン、PO
E(n)モノパルミチン酸ソルビタン、POE(n)モ
ノステアリン酸ソルビタン、POE(n)モノオレイン
酸ソルビタン等が挙げられる。これらの界面活性剤は、
単独でもまた複数混合して用いてもよい。また、これら
の界面活性剤の添加量は、好ましくは0.01〜10重
量%である。
【0031】次に、溶離液Bについて説明する。本発明
において用いられる溶離液Bは、pHがヘモグロビン類
の等電点より高いことを特徴とする。カチオン交換液体
クロマトグラフィーで分離されるヘモグロビン類のう
ち、HbA0は、HbA等からなり、HbA1cより後
に溶出して強く充填剤に保持され、そのために測定時間
が長くなる傾向にある。そのため、溶離液Bとしては、
ヘモグロビン類の溶出力が高いものが用いられ、具体的
には溶離液のpHがへモグロビン類の等電点より高いも
のが用いられる。具体的には、pH7.0〜12のもの
が用いられ、より好ましくは7.1〜11.0のもので
あり、更に好ましくは8.0〜9.5のものが用いられ
る。
【0032】上記溶離液Bとしては、例えば、リン酸、
ホウ酸、炭酸などの無機酸又はその塩;クエン酸などの
ヒドロキシカルボン酸、β、β−ジメチルグルタル酸な
どのカルボン酸誘導体、マレイン酸などのジカルボン
酸、カコジル酸などの有機酸又は、その塩を含有する緩
衝液が用いられる。その他、2−(N−モリホリノ)エ
タンスルホン酸(MES)、N−2−ヒドロキシエチル
ピペラジン−N’−エタンスルホン酸(HEPES)、
ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス−(ヒドロ
キシメチル)メタン(Bistris)、Tris、A
DA、PIPES、Bistrispropane、A
CEA、MOPS、BES、TES、HEPPS、Tr
icine、Bicine、TAPS、CAPS等の一
般にグッド(Good)の緩衝液といわれるものも使用
できる。また、イミダゾール等のイミダゾール類;ジエ
タノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン
類;グリシンなどのアミノ酸類;などの有機物を含有す
る緩衝液も使用できる。また、無機酸、有機酸及び/ま
たはこれらの塩、及び有機物は、複数混合して用いても
良く、また、無機酸と有機物を混合して用いても良い。
【0033】また、より効果的にHbA0成分を溶出す
るためには、上記溶離液Bに、カオトロピックイオンを
添加することが好ましい。カオトロピックイオンは、前
述した溶離液Aと同様のものを用いることができる。カ
オトロピックイオンの溶離液B中の濃度は、1mM〜3
000mMが好ましく、10mM〜1000mMがより
好ましく、特に好ましくは50mM〜500mMであ
る。
【0034】また、溶離液Bには、上述のアジ化物イオ
ンを含有させるのがより好ましい。溶離液Bに含有され
るアジ化物イオンの濃度は、溶離液Aに含有されるアジ
化物イオンの濃度と同程度とするのがよい。
【0035】上記溶離液Bには、前述した溶離液Aに添
加される各種添加剤、例えば、(1)無機塩類(2)p
H調節剤(3)水溶性有機溶媒(4)安定剤(5)アミ
ン類(6)界面活性剤等の物質を添加してもよい。
【0036】次に、溶離液Cについて説明する。本発明
において用いられる溶離液Cは、pHが溶離液AのpH
と同一またはそれ以下であって、溶離液AのpHとの差
[=(溶離液AのpH)−(溶離液CのpH)]が0〜1.
0の範囲にあることを特徴とする。また、溶離液Cはそ
の塩濃度が溶離液Aの塩濃度より1mM〜500mM低
いことを特徴とする。これは、溶離液CのpHが溶離液
AのpHより大きくなると溶離液Bの溶出力を十分に低
下させることができなくなり、安定型HbA1cの分離
性能が悪くなるためである。また、溶離液Cと溶離液A
のpHの差が1.0より大きくなると溶離液CのpHが
低くなりすぎてヘモグロビン類の変性が起こりやすくな
り、安定型HbA1cの分離性能が悪くなるためであ
る。なおより好ましくは、溶離液Cと溶離液AのpHの
差は、0〜0.5である。溶離液Cを流すタイミング
は、少なくとも溶離液Bの溶出力を弱めることができれ
ば良く、特に限定されるものではないが、基本的には溶
離液Bの後であって、溶離液Aの前に流すのがよい。溶
離液Cは、pHが溶離液Aと同一またはそれ以下であ
り、塩濃度が溶離液Aの塩濃度より1mM〜500mM
低いので、ヘモグロビン類の溶出力は溶離液Aよりも低
い。従って、溶出力の高い溶離液Bの後に、溶離液Aを
流すのに先だって、この溶離液Cを流すことにより、よ
り短時間かつ効率的にカラム内の液性を溶離液Aに近づ
けることが可能となり、結果として安定型HbA1cを
短時間に精度良く分離することができるようになるので
ある。
【0037】また溶離液Cの塩濃度は、溶離液Aの塩濃
度より1mM〜500mM低く設定される。ここでいう
塩濃度とは、溶離液中の総陰イオン濃度のことを意味す
る。溶離液Cの塩濃度と溶離液Aの塩濃度との差が、1
mM未満であると短時間に溶離液Bの溶出力を弱め、溶
離液Aにカラム内の液性を近づけることが出来ず、安定
化HbA1cの短時間測定ができない。逆に500mM
を超えると溶離液B、溶離液Aとの塩濃度差が大きくな
りカラム圧力変動が大きくなって安定化HbA1c測定
の再現性が悪くなる。
【0038】上記溶離液Cとしては、pH4.0〜6.
8で緩衝能を持つ無機酸、有機酸及び/またはこれらの
塩を含有する溶液を用いるのがよく、上述した溶離液A
に含有されるのと同様の物質を用いることができる。
【0039】また溶離液Cにも、カオトロピックイオン
を添加することが好ましい。カオトロピックイオンは、
前述した溶離液Aと同様のものを用いることができる。
カオトロピックイオンの溶離液C中の濃度は、0.1m
M〜400mMが好ましく、0.2mM〜300mMが
より好ましく、特に好ましくは0.5mM〜200mM
である。
【0040】また溶離液Cにも、上述のアジ化物イオン
を含有させるのがより好ましい。溶離液Cに含有される
アジ化物イオンの濃度は、0.15mM〜50mMが好
ましい。
【0041】上記溶離液Cにも、前述した溶離液Aに添
加される各種添加剤、例えば、(1)無機塩類(2)p
H調節剤(3)水溶性有機溶媒(4)安定剤(5)アミ
ン類(6)界面活性剤等の物質を添加してもよい。
【0042】本発明のヘモグロビン類の測定方法におい
て用いられる充填剤は、少なくとも1種以上のカチオン
交換基を有している粒子よりなるものであり、例えば、
高分子粒子にカチオン交換基を導入することで得られ
る。
【0043】該カチオン交換基は、公知のものでよく特
に制限はない。例えば、カルボキシル基、スルホン酸
基、リン酸基などのカチオン交換基等が挙げられる。ま
た、このカチオン交換基は、複数種導入しても良い。
【0044】上記粒子の直径は、好ましくは0.5〜2
0μm、より好ましくは1〜10μmである。また、粒
度分布は、変動係数値(CV値)(粒径の標準偏差÷平
均直径×100(%))として、好ましくは40%以
下、より好ましくは30%以下である。
【0045】上記高分子粒子としては、例えば、シリ
カ、ジルコニアなどの無機系粒子;セルロース、ポリア
ミノ酸、キトサンなどの天然高分子粒子;ポリスチレ
ン、ポリアクリル酸エステルなどの合成高分子粒子など
が挙げられる。また、公知の非多孔性粒子を用いること
もできる。上記高分子粒子は、導入されるイオン交換基
以外の構成成分は、より親水性であることが好ましい。
また耐圧性・耐膨潤性の点から架橋度の高いものが好ま
しい。
【0046】上記高分子粒子へのカチオン交換基の導入
は、公知の方法により行うことができるが、例えば、高
分子粒子を調製後、粒子が有する官能基(水酸基、アミ
ノ基、カルボキシル基、エポキシ基など)に、化学反応
でカチオン交換基を粒子に導入させる方法により行うこ
とができる。また、カチオン交換基を有する単量体を重
合して高分子粒子を調製する方法によってもカチオン交
換充填剤を調製できる。例えば、カチオン交換基含有単
量体と架橋性単量体等とを混合し、重合開始剤の存在下
に重合する方法などが挙げられる。また、(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの重合性
カチオン交換基含有エステルを架橋性単量体などと混合
し、重合開始剤存在下で重合した後、得られた粒子を加
水分解処理し、エステルをカチオン交換基に変換させて
もよい。更に、特公平8−7197号公報に記載のよう
に、架橋重合体粒子を調製した後、カチオン交換基を有
する単量体を添加して、重合体粒子の表面付近に、該単
量体を重合させても良い。
【0047】上記充填剤はカラムに充填されて液体クロ
マトグラフィー測定に用いられる。カラムのサイズは、
内径0.1〜50mm、長さ1〜300mmのものが好
ましく、より好ましくは、内径0.2〜30mm、長さ
5〜200mmである。カラムサイズは、内径0.1m
m、長さ1mmより小さくなると作業性が悪く分離能も
悪くなる。また、内径50mm、長さ300mmより大
きくなると使用する充填剤量が多くなるだけでなく、分
離能も悪くなる。
【0048】充填剤のカラムへの充填方法は、公知の任
意の方法が使用できるが、スラリー充填法がより好まし
い。具体的には、例えば、充填剤粒子を溶離液などの緩
衝液に分散させたスラリーを送液ポンプなどによりカラ
ムに圧入することにより行う。
【0049】上記カラムの素材としては、公知のステン
レス等の金属、ガラス、PEEK(ポリエーテルエーテ
ルケトン)等の樹脂などが用いられる。また、充填剤と
カラム本体が接する部位を、不活性(イナート)な素材
で被覆してもよく、その素材としては、例えばPEE
K、ポリエチレン、テフロン(登録商標)、チタン化合
物、珪素化合物、シリコン膜等が挙げられる。
【0050】本発明で用いられるクロマトグラフィーに
おけるカラムフィルター、プレフィルターとしては、イ
ナートな素材からなるフィルター、または、そのフィル
ターの表面がイナートな素材で覆われているフィルター
を用いるのが好ましい。イナートな素材の例としては、
セルロースエステル、セルロースアセテート、セルロー
ストリアセテート、セルロース、セルロースナイトレー
ト、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンジフ
ロライド、ポリスルフォン、ポリエチレン、ポリエーテ
ルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホ
ン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリフッ化ビニリデ
ン、ガラス素材、アクリル共重合体、酸化物セラミッ
ク、炭化物セラミック、窒化物セラミック、珪化物セラ
ミック、硼化物セラミック、チタン等が挙げられる。ま
た、これらの素材を適宜組み合わせて用いることもでき
る。また、ステンレスなどのイナートでない素材を用い
た場合は、上記のイナートな素材で被覆する方法、シリ
コーン処理などのイナートな処理をする方法、牛血清ア
ルブミン、ゼラチン、カゼイン、グロブリン、ヘモグロ
ビンなどのブロッキング試薬でブロッキングする方法な
どを適宜使用するのが好ましい。
【0051】本発明方法に使用される液体クロマトグラ
フィー装置は、公知のものでよく、例えば、送液ポン
プ、試料注入装置(サンプラ)、カラム、検出器などか
ら構成される。また、他の付属装置(カラム恒温槽や溶
離液の脱気装置など)が適宜付属されてもよい。
【0052】ヘモグロビン類を測定する際のカラム温度
は、安定型HbA1cの分離を良くするために、25〜
60℃が良く、より好ましくは、35〜55℃である。
【0053】また、ヘモグロビン類を測定する際のカラ
ム圧力は、カラム耐久性及び装置の耐久性を良くするた
めに、9.8×104〜3.9×106Pa(1〜40k
gf/cm2)が良い。より好ましくは、2.0×105
〜3.4×106Pa(2〜35kgf/cm2)である。
【0054】本発明方法における、他の測定条件として
は、公知の条件でよく、溶離液の流速は、好ましくは
0.05〜5ml/分、より好ましくは0.2〜3ml
/分である。ヘモグロビン類の検出は、415nmの可
視光を用いるのが好ましいが、特にこれのみに限定され
るわけではない。測定試料は、公知の溶血試薬により溶
血された試料を用いる。液体クロマトグラフィー装置へ
の試料注入量は、希釈倍率により異なるが、好ましくは
0.1〜100μl程度である。
【0055】段階溶出法によって測定を行う場合の装置
の構成例を図1に示した。溶離液A,B,C,Dは、各
々溶出力の異なる(すなわち、pHあるいは塩濃度のい
ずれか、あるいは両方が異なる)溶離液であり、電磁弁
1によって設定時間ごとに各溶離液に切り替えられるよ
うに、構成されている。溶離液は、送液ポンプ2によ
り、試料注入部3から導入された試料とともにカラム4
に導かれ、各成分が検出器5により検出される。各ピー
ク面積、高さ等はインテグレータ6により算出される。
【0056】
【実施例】次に、実施例、比較例を挙げて本発明につい
てさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に
のみ限定されるものではない。
【0057】[実施例1] (充填剤の調製)テトラエチレングリコールジメタクリ
レート(新中村化学社製)450g及び2−ヒドロキシ
−1,3−ジメタクリロキシプロパン(和光純薬社製)
50gの混合物に過酸化ベンゾイル(和光純薬社製)2
gを溶解させた。これを4重量%ポリビニルアルコール
(日本合成化学社製)水溶液2500mlに分散させ、
撹拌しながら窒素雰囲気下で80℃に昇温し、1.5時
間重合した。次いで、反応系を35℃に冷却した後、2
−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(東
京化成社製)の50%水溶液400g、メタノール40
0mlを添加し1時間攪拌しながら再び80℃に昇温し
て1.3時間重合した。重合後、洗浄して乾燥させた
後、分級して平均粒径6.5μmの粒子を得た。
【0058】(カラムの充填)得られた充填剤をカラム
に以下のようにして充填した。充填剤粒子0.7gを、
50mMリン酸緩衝液(pH5.8)30mlに分散
し、5分間超音波処理した後、よく撹拌した。全量をス
テンレス製の空カラム(内径4.6×35mm)を接続
したパッカー(梅谷精機社製)に注入した。パッカーに
送液ポンプ(サヌキ工業社製)を接続し、圧力300k
gf/cm2(約3×107Pa)で定圧充填した。
【0059】(ヘモグロビン類の測定)得られたカラム
を用いて、以下の測定条件でヘモグロビン類の測定を行
った。 (測定条件) システム:送液ポンプ:LC−9A(島津製作所社製) オートサンプラ:ASU−420(積水化学工業社製) 検出器:SPD−6AV(島津製作所社製) 溶離液:溶離液A:50mMの過塩素酸を含有する、5
0mMリン酸緩衝液(pH5.3) 溶離液B:200mMの過塩素酸を含有する、50mM
リン酸緩衝液(pH8.4) 溶離液C:45mMの過塩素酸を含有する、50mMリ
ン酸緩衝液(pH5.3) 測定開始より0〜1.5分の間は溶離液Aを流し、1.
5〜1.6分の間は溶離液Bを流し、1.6〜1.9分
の間は溶離液Cを流し、1.9〜2.0分の間は溶離液
Aを流した。 流速:2.0ml/分 検出波長:415nm 試料注入量:10μl
【0060】(測定試料A)健常人血を採血し、抗血液
凝固剤としてフッ化ナトリウムを10mg/mlとなる
よう添加した。これに、150倍量の溶血試薬(界面活
性剤として0.1重量%ポリエチレングリコールモノ−
4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−100、
東京化成社製)とリン酸緩衝溶液(pH7))を添加し
て溶血し、測定試料Aとした。
【0061】(測定結果)上記測定条件により、試料A
を測定して得られたクロマトグラムを図2に示した。ピ
ーク7はHbA1a及びb、ピーク8はHbF、ピーク
9は不安定型HbA1c、ピーク10は安定型HbA1
c、ピーク11はHbA0を示す。図2より、ピーク8
と9及び10とが良好に分離されていることが分かる。
【0062】[実施例2]溶離液を以下の組成としたこ
と以外は、実施例1と同様の条件でヘモグロビン類の測
定を行った。 溶離液:溶離液A:50mMの過塩素酸を含有する、2
5mMコハク酸−20mMリン酸緩衝液(pH5.3) 溶離液B:250mMの過塩素酸を含有する、20mM
コハク酸−20mMリン酸緩衝液(pH8.4) 溶離液C:25mMの過塩素酸を含有する、25mMコ
ハク酸−20mMリン酸緩衝液(pH5.3) 得られたクロマトグラムは図2と同様で、各ピーク間の
分離は良好であった。
【0063】[実施例3]溶離液を以下の組成としたこ
と以外は、実施例1と同様の条件でヘモグロビン類の測
定を行った。 溶離液:溶離液A:50mMの過塩素酸を含有する、2
5mMコハク酸−20mMリン酸緩衝液(pH5.3) 溶離液B:250mMの過塩素酸を含有する、20mM
コハク酸−20mMリン酸緩衝液(pH8.4) 溶離液C:5mMの過塩素酸を含有する、3mMコハク
酸−5mMリン酸緩衝液(pH5.3) 得られたクロマトグラムは図2と同様で、各ピーク間の
分離は良好であった。
【0064】[実施例4]溶離液及び測定試料Bを以下
のようにしたこと以外は、実施例1と同様の条件でヘモ
グロビン類の測定を行った。 溶離液:溶離液A:50mMの過塩素酸、4.6mM
(0.03重量%)アジ化ナトリウムを含有する、25
mMコハク酸−20mMリン酸緩衝液(pH5.3) 溶離液B:250mMの過塩素酸、4.6mM(0.0
3重量%)アジ化ナトリウムを含有するを含有する、2
0mMコハク酸−20mMリン酸緩衝液(pH8.4) 溶離液C:5mMの過塩素酸、4.6mM(0.03重
量%)アジ化ナトリウムを含有するを含有する、3mM
コハク酸−5mMリン酸緩衝液(pH5.3)
【0065】(測定試料B)HbF高値血液検体を採血
し、抗血液凝固剤としてフッ化ナトリウムを10mg/
mlとなるよう添加した。これに、150倍量の溶血試
薬(界面活性剤として0.1重量%ポリエチレングリコ
ールモノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX
−100、東京化成社製)とリン酸緩衝溶液(pH
7))を添加して溶血し、測定試料Bとした。
【0066】(測定結果)上記測定条件により、試料B
を測定して得られたクロマトグラムを図3に示した。ピ
ーク7はHbA1a及びb、ピーク8はHbF、ピーク
9は不安定型HbA1c、ピーク10は安定型HbA1
c、ピーク11はHbA0を示す。図3より、ピーク8
と9及び10とが良好に分離されていることが分かる。
【0067】[実施例5]溶離液Cを以下のようにした
こと以外は、実施例2と同様の条件でヘモグロビン類の
測定を行った。 溶離液C:25mMの過塩素酸を含有する、25mMコ
ハク酸−20mMリン酸緩衝液(pH4.8) (測定結果)測定結果は、図2とほぼ同様で、良好な結
果が得られた。
【0068】[比較例1]溶離液を以下の組成としたこ
と以外は、実施例1と同様の条件でヘモグロビン類の測
定を行った。 溶離液:溶離液A:50mMの過塩素酸を含有する、2
5mMコハク酸−20mMリン酸緩衝液(pH5.3) 溶離液B:250mMの過塩素酸を含有する、20mM
コハク酸−20mMリン酸緩衝液(pH8.4) 測定開始より0〜1.5分の間は溶離液Aを流し、1.
5〜1.6分の間は溶離液Bを流し、1.6〜2分の間
は溶離液Aを流した。
【0069】(測定結果)得られたクロマトグラムを図
4に示した。ピーク7はHbA1a及びb、ピーク8は
HbF、ピーク9は不安定型HbA1c、ピーク10は
安定型HbA1c、ピーク11はHbA0を示す。比較
例1では、実施例に比べてピーク7、ピーク8及びピー
ク9はブロードで各ピーク間の分離も悪かった。
【0070】[比較例2]溶離液Cを以下の組成とした
こと以外は、実施例2と同様の条件でヘモグロビン類の
測定を行った。 溶離液C:25mMの過塩素酸を含有する、25mMコ
ハク酸−20mMリン酸緩衝液(pH4.0) (測定結果)測定結果は、溶離液CのpHが4.0と低
いために、測定試料中のヘモグロビン類が変性しやすく
なって、クロマトグラムの悪化が起こり良好な結果が得
られなかった。
【0071】
【発明の効果】本発明は以上の構成からなるため、安定
型HbA1cのピークをシャープに分離し、しかも溶離
液が経時的に濃縮した場合でも分離パターンが影響を受
け難く、安定的にしかも短時間に精度良く安定型HbA
1cを分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で用いられるカチオン交換液体クロマ
トグラフィー装置の一例を示す図。
【図2】 実施例1の測定条件により、ヘモグロビン類
の測定(試料A)を行った際に得られたクロマトグラム
を示す図。
【図3】 実施例4の測定条件により、ヘモグロビン類
の測定(試料B)を行った際に得られたクロマトグラム
を示す図。
【図4】 比較例1の測定条件により、ヘモグロビン類
の測定(試料A)を行った際に得られたクロマトグラム
を示す図。
【符号の説明】
A,B,C,D 溶離液 1 電磁弁 2 送液ポンプ 3 試料注入部 4 カラム 5 検出器 6 インテグレータ 7 HbA1a及びbのピーク 8 HbFのピーク 9 不安定型HbA1cのピーク 10 安定型HbA1cのピーク 11 HbA0のピーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 30/54 G01N 30/54 F 30/56 30/56 A 30/74 30/74 E

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カチオン交換液体クロマトグラフィーに
    よるヘモグロビン類の測定方法において、ヘモグロビン
    A0よりも前に溶出するヘモグロビン類を溶出させるた
    めの溶離液(以下「溶離液A」という)、ヘモグロビン
    A0を溶出させるための溶離液(以下「溶離液B」とい
    う)、溶離液Bの溶出力を低下させるための溶離液(以
    下「溶離液C」という)の少なくとも3種の溶離液を用
    い、 溶離液BのpHがヘモグロビン類の等電点より高く、溶
    離液CのpHが溶離液AのpHと同一またはそれ以下で
    あって、溶離液CのpHと溶離液AのpHとの差が0〜
    1.0の範囲にあり、溶離液Cの塩濃度が溶離液Aの塩
    濃度より1mM〜500mM低いことを特徴とするヘモ
    グロビン類の測定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のヘモグロビン類の測定方
    法であって、溶離液Aがカオトロピックイオンを含有
    し、かつ、pH4.0〜6.8で緩衝能を持つ無機酸、
    有機酸及び/またはこれらの塩を含有することを特徴と
    するヘモグロビン類の測定方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のヘモグロビン類の測定方
    法において、溶離液A、B及びCのそれぞれがアジ化物
    イオンを含有することを特徴とするヘモグロビン類の測
    定方法。
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