JP2003200891A - ポッド型推進器及びこれを備えた船舶 - Google Patents

ポッド型推進器及びこれを備えた船舶

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JP2003200891A
JP2003200891A JP2002000147A JP2002000147A JP2003200891A JP 2003200891 A JP2003200891 A JP 2003200891A JP 2002000147 A JP2002000147 A JP 2002000147A JP 2002000147 A JP2002000147 A JP 2002000147A JP 2003200891 A JP2003200891 A JP 2003200891A
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axis
pod
edge
strut
propeller
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JP2002000147A
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Saburo Iwamoto
三郎 岩本
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 航行時における推進性能の向上を図ることが
可能なポッド型推進器及びこれを備えた船舶を提供す
る。 【解決手段】 ポッド型推進器は、プロペラと、ポッド
部と、ポッド部を支持するためのストラットと、を備え
る。ストラットは、第2の軸βに沿って延びプロペラが
設けられている側に位置する第1の縁部26と、第1の
縁部26との間で第2の軸βを挟むように第2の軸βに
沿って延びる第2の縁部28と、第1及び第2の縁部2
6,28を繋ぐ第1及び第2の側面部30,32と、を
有する。第2の軸βの第1の所定領域と直交するストラ
ットの断面は、第2の軸βに沿って見たとき、第1の縁
部26及び第2の縁部28を通る第3の軸γが第1の軸
αに対して所定角度θ1で傾斜し、かつ第1の縁部26
から第2の縁部28に至る第1及び第2の側面部30,
32上の距離がそれぞれ異なるような形状を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポッド型推進器及
びこれを備えた船舶に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、船舶用の推進器として、ポッド型
推進器が注目されている。ポッド型推進器は、プロペラ
と、該プロペラを駆動するためのモータを内蔵したポッ
ド部と、該ポッド部を支持するためのストラットと、を
備えている。
【0003】このポッド型推進器は、ストラットを介し
て船体内に設置される回転装置に取り付けられる。よっ
て、回転装置によりポッド型推進器をストラットの軸の
周りに回転させることで、任意の方向に推力を生じ得
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】発明者は、かかるポッ
ド型推進器を備える船舶の研究に携わっている。そし
て、ポッド型推進器が有する操縦性能等の種々の利点に
鑑み、船舶用の推進器としてポッド型推進器に対するニ
ーズが今後益々高まっていくものと考えている。これに
伴い、ポッド型推進器に対して推進性能の向上が益々要
求されるものと考えられるが、モータ自体の性能向上に
より推進性能の向上を図るのでは、限界があると発明者
は考えている。
【0005】そこで本発明は、航行時における推進性能
の向上を図ることが可能なポッド型推進器及びこれを備
えた船舶を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成するため、プロペラ後流のエネルギの回収に着目し、
これを可能とするポッド型推進器の形態について鋭意研
究を行った。そして、ストラットを所定形状に変形させ
ることで、プロペラ後流のエネルギの一部を推力に変換
することができ、これにより推進性能の向上を図ること
が可能となることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0007】すなわち、本発明に係るポッド型推進器
は、プロペラと、ポッド部と、ストラットと、を備え
る。プロペラは、第1の軸を中心として回転可能であ
る。ポッド部は、プロペラを駆動するためのモータを内
蔵し、第1の軸に沿って設けられている。ストラット
は、第1の軸と直交する第2の軸に沿って設けられてお
り、ポッド部を支持する。上記ストラットは、第1の縁
部と、第2の縁部と、第1及び第2の側面部と、を有し
ている。第1の縁部は、第2の軸に沿って延びプロペラ
が設けられている側に位置する。第2の縁部は、第1の
縁部との間で第2の軸を挟むように第2の軸に沿って延
びている。第1及び第2の側面部は、それぞれ第1及び
第2の縁部を繋いでいる。そして、第2の軸の第1の所
定領域と直交するストラットの断面は、第2の軸に沿っ
て見たとき、第1の縁部及び第2の縁部を通る第3の軸
が第1の軸に対して所定角度で傾斜し、かつ第1の縁部
から第2の縁部に至る第1及び第2の側面部上の距離が
それぞれ異なるような形状を有する。
【0008】このポッド型推進器では、プロペラが第1
の軸を中心として所定方向に回転することにより、スト
ラットには斜め前方からプロペラ後流が当たる。このと
き、第2の軸の第1の所定領域と直交するストラットの
断面は、第2の軸に沿って見たとき、第1の縁部及び第
2の縁部を通る第3の軸が第1の軸に対して所定角度で
傾斜し、かつ第1の縁部から第2の縁部に至る第1及び
第2の側面部上の距離がそれぞれ異なるような形状を有
する。すなわち、ストラットの第1の縁部付近は、所定
角度でプロペラ後流の流れ方向に向けられており、かつ
第1の縁部から第2の縁部に至る第1及び第2の側面部
上の長さがそれぞれ異なるように設計されている。従っ
て、第1及び第2の側面部のうち、一方の側面部上を流
れる流れの流速よりも、他方の側面部上を流れる流れの
流速の方が速くなり、他方の側面部側に負圧が生じる。
その結果、ストラットを他方の側面部の前方に引っ張る
ような揚力がストラットに働く。この揚力は、推進方向
の成分と、これと直交する方向の成分とに分解すること
ができ、この推進方向の成分を推進力として利用するこ
とで、推進性能の向上を図ることが可能となる。
【0009】本発明に係るポッド型推進器では、ポッド
部を挟んでストラットと反対側には、第2の軸に沿って
延びるフィンが設けられていると好ましい。ストラット
に作用する揚力の推進方向の成分と直交する方向の成分
により、舵効きがアンバランスになって操縦性能が悪化
するおそれがあるが、このようにポッド部を挟んでスト
ラットと反対側にフィンを設けることで、この影響が緩
和され、操縦性能の悪化が抑制される。
【0010】本発明に係るポッド型推進器では、フィン
は、第2の軸に沿って延びプロペラが設けられている側
に位置する第3の縁部と、第3の縁部との間で第2の軸
を挟むように第2の軸に沿って延びる第4の縁部と、第
3及び第4の縁部を繋ぐ第3及び第4の側面部と、を有
し、第2の軸の第2の所定領域と直交するフィンの断面
は、第2の軸に沿って見たとき、第3の縁部及び第4の
縁部を通る第4の軸が第1の軸に対して第3の軸とは反
対側に所定角度で傾斜し、かつ第3の縁部から第4の縁
部に至る第3及び第4の側面部上の距離がそれぞれ異な
るような形状を有していると好ましい。プロペラが第1
の軸を中心として所定方向に回転することにより、フィ
ンにも斜め前方からプロペラ後流が当たる。このとき、
第2の軸の第2の所定領域と直交するフィンの断面は、
第2の軸に沿って見たとき、第3の縁部及び第4の縁部
を通る第4の軸が第1の軸に対して所定角度で傾斜し、
かつ第3の縁部から第4の縁部に至る第3及び第4の側
面部上の距離がそれぞれ異なるような形状を有する。す
なわち、フィンの第3の縁部付近は、所定角度でプロペ
ラ後流の流れ方向に向けられており、かつ第3の縁部か
ら第4の縁部に至る第3及び第4の側面部上の長さがそ
れぞれ異なるように設計されている。従って、第3及び
第4の側面部のうち、一方の側面部上を流れる流れの流
速よりも、他方の側面部上を流れる流れの流速の方が速
くなり、他方の側面部側に負圧が生じる。その結果、フ
ィンを他方の側面部の前方に引っ張るような揚力がフィ
ンに働く。この揚力は、推進方向の成分と、これと直交
する方向の成分とに分解することができる。よって、推
進方向の成分を推進力として利用することで、推進性能
の向上をより一層図ることが可能となる。
【0011】本発明に係るポッド型推進器では、第2の
軸の第1の所定領域は、ポッド部とストラットとが接合
する点から第1の距離だけ離れた点までの領域として規
定され、第2の軸の第2の所定領域は、ポッド部とフィ
ンとが接合する点から第2の距離だけ離れた点までの領
域として規定され、第1の距離と第2の距離とは実質的
に同じ長さであり、かつ第1の所定領域において第3の
軸と第1の軸とがなす角度の第2の軸の方向に沿った角
度分布と、第2の所定領域において第4の軸と第1の軸
とがなす角度の第2の軸の方向に沿った角度分布とは、
第1の軸に対して実質的に対称であると好ましい。この
ようにすれば、ストラットとフィンにおいて、揚力の推
進方向の成分と直交する方向に働く成分は互いに打ち消
されることとなり、操縦性能の悪化をほぼ完全に抑制す
ることが可能となる。
【0012】本発明に係る船舶は、上記したいずれかの
ポッド型推進器を備えたことを特徴とする。この船舶に
よれば、航行時における推進性能の向上が図られる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本
発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面の
説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複す
る説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のも
のと必ずしも一致していない。
【0014】図1は、第1実施形態に係るポッド型推進
器を備えた船舶を示す右側面図である。また図2は、ポ
ッド型推進器の構成を示す右側面図であり、図3は、ポ
ッド型推進器の構成を示す正面図である。
【0015】図1に示すように、この船舶10は、船体
12と、船体12に取り付けられたポッド型推進器(以
下、「推進器」ともいう)14と、を備えている。船体
12は、船舶10の用途によりあらゆる形態を採ること
ができる。すなわち、この船舶10は、例えば客船や貨
物船などの商船であっても、漁船や艦船であっても、あ
るいは砕氷船などの特殊船であってもよく、よって船体
12は、その用途によってあらゆる形態を採ることがで
きる。
【0016】推進器14は、図1に示すように、船体1
2の船尾において、図示しない回転装置により、第2の
軸βを中心として360度の範囲で回転可能に取り付け
られている。この推進器14は、図2及び図3に示すよ
うに、プロペラ16と、ポッド部18と、ポッド部18
を支持するためのストラット20と、フィン22と、を
備えている。
【0017】ポッド部18は、第1の軸αに沿って設け
られており、筐体の内部にプロペラ16を駆動するため
のモータ24を内蔵している。プロペラ16は、第1の
軸αを中心として回転可能なように、ポッド部18の前
部に取り付けられている。このように、プロペラ16が
ポッド部18の前部に取り付けられた推進器14は、い
わゆるトラクタータイプの推進器と呼ばれ、プロペラ1
6の回転によりストラット20の側にプロペラ後流を噴
出して推進力を生じる。
【0018】ストラット20は、第1の軸αと直交する
第2の軸βに沿って設けられている。このストラット2
0は、第2の軸βに沿って延びプロペラ16が設けられ
ている側に位置する前縁部(第1の縁部)26と、前縁
部26との間で第2の軸βを挟むように、第2の軸βに
沿って延びる後縁部(第2の縁部)28と、前縁部26
及び後縁部28を繋ぐ右側面部(第1の側面部)30及
び左側面部(第2の側面部)32と、を有している。
【0019】なお、ストラット20の前縁部26は、プ
ロペラ16が設けられている側でストラット20の曲率
が最も小さくなる点の集合として規定される。また、ス
トラット20の後縁部28は、プロペラ16が設けられ
ている側とは反対側でストラット20の曲率が最も小さ
くなる点の集合として規定される。
【0020】このストラット20は、船体12へ取り付
けるための取付部34と、推進力を生成するための推進
部36とを有している。ストラット20の取付部34で
は、図4(a)に示すように、第2の軸βに垂直な断面
は、第2の軸βに沿って見たとき、第1の軸αに対して
対称な笹の葉形状を有する。すなわち、ストラット20
の取付部34では、前縁部26と後縁部28とを通る第
3の軸γは、第2の軸βに沿って見たとき、第1の軸α
と重なり、かつ前縁部26から後縁部28に至る右側面
部30上の距離と左側面部32上の距離とが一致してい
る。
【0021】これに対し、ストラット20の推進部36
では、図4(b)に示すように、第2の軸βに垂直な断
面は、第2の軸βに沿って見たとき、第1の軸αに対し
て非対称な形状を有する。すなわち、ストラット20の
推進部36では、前縁部26と後縁部28とを通る第3
の軸γは、第2の軸βに沿って見たとき、第1の軸αに
対して所定角度θ1で傾斜し、かつ前縁部26から後縁
部28に至る右側面部30上の距離が、左側面部32上
の距離よりも長くなっている。よって、ストラット20
の推進部36は、図4(b)に示すように、第2の軸β
に垂直な断面において、飛行機の翼断面と同様の形状を
有している。この第3の軸γと第1の軸αとがなす角度
θ1は、図3に示すように、推進部36の上端から下端
に向かって連続的かつ直線的に増加しており、推進部3
6の上端においてゼロで下端において最大となってい
る。
【0022】なお、ストラット20の前縁部26のねじ
れ方向、すなわち第3の軸γと第1の軸αとにより生成
される所定角度θ1の角度方向は、プロペラ後流の流れ
方向に設定される。すなわち、図5に示すように、推進
器14のプロペラ16が第1の軸αを中心としてT方向
に回転することにより、プロペラ16の後方には複数の
流線により示されるようなプロペラ後流が生じる。よっ
て、角度θ1の角度方向は、ストラット20の推進部3
6における前縁部26がプロペラ後流の流れ方向に向く
ように設定される。
【0023】ここで、第1実施形態では、ストラット2
0の推進部36は、図3に示すように、ストラット20
とポッド部18とが接合する位置から第2の軸βに沿っ
て所定距離L1(第1の距離)だけ離れた位置までの部
分により規定され、ストラット20の取付部34は、所
定距離L1以上離れた部分により規定される。この所定
距離L1は、プロペラ後流が生じる範囲を考慮して決定
され、少なくともプロペラ後流が当たる部分が含まれる
ような長さに決定すると好ましい。ここでは、図2に示
すように、第1の軸αから第2の軸βに沿ってプロペラ
16の半径Rだけ離れた位置に、ストラット20の推進
部36の上端がくるように、所定距離L1が決定されて
いる。
【0024】フィン22は、ポッド部18を挟んでスト
ラット20と反対側において、第2の軸βに沿うように
設けられている。このフィン22は、第2の軸βに沿っ
て延びプロペラ16が設けられている側に位置する前縁
部(第3の縁部)38と、前縁部38との間で第2の軸
βを挟むように第2の軸βに沿って延びる後縁部(第4
の縁部)40と、前縁部38及び後縁部40を繋ぐ右側
面部(第3の側面部)42及び左側面部(第4の側面
部)44と、を有している。
【0025】なお、フィン22の前縁部38は、プロペ
ラ16が設けられている側でフィン22の曲率が最も小
さくなる点の集合として規定される。また、フィン22
の後縁部44は、プロペラ16が設けられている側とは
反対側でフィン22の曲率が最も小さくなる点の集合と
して規定される。
【0026】このフィン22では、図4(c)に示すよ
うに、第2の軸βに垂直な断面は、第2の軸βに沿って
見たとき、第1の軸αに対して非対称な形状を有する。
すなわち、前縁部38と後縁部40とを通る第4の軸η
は、第2の軸βに沿って見たとき、第1の軸αに対して
第3の軸γとは反対側に所定角度θ2で傾斜し、かつ前
縁部38から後縁部40に至る左側面部44上の距離
が、右側面部42上の距離よりも長くなっている。よっ
て、このフィン22は、図4(c)に示すように、第2
の軸βに垂直な断面において、飛行機の翼断面と同様の
形状を有している。この第4の軸ηと第1の軸αとがな
す角度θ2は、図3に示すように、フィン22の上端か
ら下端に向かって連続的かつ直線的に減少しており、フ
ィン22の上端において最大で下端においてゼロとなっ
ている。
【0027】ここで、フィン22の前縁部28のねじれ
方向、すなわち第4の軸ηと第1の軸αとにより生成さ
れる所定角度θ2の角度方向は、プロペラ後流の流れ方
向に設定される。すなわち、角度θ2の角度方向は、フ
ィン22の前縁部38付近がプロペラ後流の流れ方向に
向くように設定される。なお、ポッド部18を挟んでス
トラット20の側とフィン22の側とでは、プロペラ後
流の流れ方向が逆であるため、角度θ2の角度方向は、
角度θ1の角度方向とは逆方向に設定されている。
【0028】ここで、第1実施形態では、フィン22
は、図2に示すように、ポッド部18と接合する位置か
ら第2の軸βに沿って所定距離L2(第2の距離)の長
さを有している。この所定距離L2(すなわちフィン2
2の長さ)は、プロペラ後流が生じる範囲を考慮して決
定され、少なくともプロペラ後流が生じる範囲の長さを
有すると好ましい。ここでは、第1の軸αから第2の軸
βに沿ってプロペラの半径Rだけ離れた位置に、フィン
22の下端が来るような長さに決定されている。
【0029】このように、ストラット20の推進部26
の長さL1とフィン22の長さL2とは、実質的に等し
くされており、かつ推進部36において第3の軸γと第
1の軸αとがなす角度θ1の第2の軸βの方向に沿った
角度分布と、フィン22において第4の軸ηと第1の軸
αとがなす角度θ2の第2の軸βの方向に沿った角度分
布とは、図3に示すように、第1の軸αに対して実質的
に対称とされている。
【0030】次に、第1実施形態に係るポッド型推進器
14及びこれを備えた船舶10の作用効果について説明
する。
【0031】推進器14のプロペラ16が第1の軸αを
中心としてT方向(図5参照)に回転することにより、
図6(a)に示すように、ストラット20には左前方か
らプロペラ後流Pが当たる。このとき、ストラット20
の推進部36の前縁部26は、所定角度θ1でプロペラ
後流Pの流れ方向に向けられており、かつ前縁部26か
ら後縁部28に至る右側面部30上の長さが、左側面部
32上の長さよりも長く設計されている。従って、左側
面部32上を流れる流れの流速よりも、右側面部30上
を流れる流れの流速の方が速くなり、右側面部30側に
負圧が生じる。その結果、ストラット20を右前方に引
っ張るような揚力F0が、ストラット20の推進部36
に働く。
【0032】この揚力F0は、推進方向の成分F1と、
これと直交する方向の成分F2とに分解することができ
る。よって、成分F1を推進力として利用することが可
能となり、その結果、推進器14の推進性能の向上を図
ることが可能となる。なお、この推進性能の向上の効果
は、推進器14が第2の軸βを中心としてどの方向を向
いているときにも得られるため、船舶10がどの方向に
航行しているときでも推進性能の向上が図られる。
【0033】ここで、揚力F0の成分F2により、左右
の舵効きがアンバランスになって操縦性能が悪化するお
それがあるが、第1実施形態に係る船舶10では、ポッ
ド部18の底部にフィン22が設けられているため、成
分F2と反対方向の力がフィン22に作用し、これによ
り成分F2の影響が緩和され、操縦性能の悪化が抑制さ
れる。
【0034】また、推進器14のプロペラ16が第1の
軸αを中心としてT方向(図5参照)に回転することに
より、図6(b)に示すように、フィン22には右前方
からプロペラ後流Pが当たる。このとき、フィン22の
前縁部38は、所定角度θ2でプロペラ後流Pの流れ方
向に向けられており、かつ前縁部38から後縁部40に
至る左側面部44上の長さが、右側面部42上の長さよ
りも長く設計されている。従って、右側面部42上を流
れる流れの流速よりも、左側面部44上を流れる流れの
流速の方が速くなり、左側面部44側に負圧が生じる。
その結果、フィン22を左前方に引っ張るような揚力G
0がフィン22に働く。
【0035】この揚力G0は、推進方向の成分G1と、
これに直交する方向の成分G2とに分けることができ
る。よって、揚力G0の推進方向の成分G1を推進力と
して利用することが可能となり、その結果、推進器14
の推進性能の向上をより一層図ることが可能となる。な
お、この推進性能の向上の効果は、推進器14が第2の
軸βを中心としてどの方向を向いているときにも得られ
るため、船舶10がどの方向に航行しているときでも推
進性能の向上がより一層図られる。
【0036】また、ストラット20の推進部36の長さ
L1とフィン22の長さL2とは、実質的に等しくされ
ており、かつ推進部36において第3の軸γと第1の軸
αとがなす角度θ1の第2の軸βの方向に沿った角度分
布と、フィン22において第4の軸ηと第1の軸αとが
なす角度θ2の第2の軸βの方向に沿った角度分布と
は、図3に示すように、第1の軸αに対して実質的に対
称とされている。従って、成分F2とG2とは互いに打
ち消されることとなり、操縦性能の悪化をほぼ完全に抑
制することが可能となる。
【0037】次に、図7を参照して、ポッド型推進器の
他の実施形態について説明する。なお、上記した第1実
施形態に係る推進器と同一の要素には同一の符号を附
し、重複する説明を省略する。
【0038】図7(a)は、第2実施形態に係るポッド
型推進器の構成を示す正面図である。また、図7(b)
は、第3実施形態に係るポッド型推進器の構成を示す正
面図である。また、図7(c)は、第4実施形態に係る
ポッド型推進器の構成を示す正面図である。第2〜第4
実施形態に係る推進器14では、ストラット20の前縁
部26の捩れ、すなわち第3の軸γと第1の軸αとのな
す角度θ1の第2の軸βに沿う方向の角度分布、及びフ
ィン22の前縁部38の捩れ、すなわち第4の軸ηと第
1の軸αとのなす角度θ2の第2の軸βに沿う方向の角
度分布が、第1実施形態に係る推進器14と相違してい
る。
【0039】すなわち、第1実施形態に係る推進器14
では、ストラット20の推進部36の第2の軸βに直交
する断面において、第3の軸γと第1の軸αとがなす角
度θ1(図4(b)参照)は、図3に示すように、推進
部36の上端から下端に向かって連続的かつ直線的に増
加しており、推進部36の上端においてゼロで下端にお
いて最大となっている。
【0040】これに対し、第2実施形態に係る推進器1
4では、角度θ1は、図7(a)に示すように、推進部
36の上端から真中位置に向かって連続的に増加すると
共に、再び下端へ向かって連続的に減少している。よっ
て、角度θ1は、推進部36の上端及び下端においてゼ
ロで、真中位置において最大となっている。また第3実
施形態に係る推進器14では、角度θ1は、図7(b)
に示すように、推進部36の上端付近で所定値まで急激
に増加し、その後下端へ向かって所定値が保持される。
よって、角度θ1は、推進部36の上端においてゼロ
で、広い範囲で上記所定値(最大値)となっている。ま
た第4実施形態に係る推進器14では、ストラット20
の前縁部26の全てがプロペラ後流の流れ方向に向けら
れており、角度θ1は、図7(c)に示すように、スト
ラット20の上端から下端へ向かって所定値で保持され
ている。
【0041】また、第1実施形態に係る推進器14で
は、フィン22の第2の軸βに直交する断面において、
第4の軸ηと第1の軸αとがなす角度θ2(図4(c)
参照)は、図3に示すように、フィン22の上端から下
端に向かって連続的かつ直線的に減少しており、フィン
22の上端において最大で下端においてゼロとなってい
る。
【0042】これに対し、第2実施形態に係る推進器1
4では、角度θ2は、図7(a)に示すように、フィン
22の上端から真中位置に向かって連続的に増加すると
共に、再び下端へ向かって連続的に減少している。よっ
て、角度θ2は、フィン22の上端及び下端においてゼ
ロで、真中位置において最大となっている。また第3実
施形態に係る推進器14では、角度θ2は、図7(b)
に示すように、フィン22の上端から下端付近へ向かっ
て所定値が保持され、下端付近で急激に減少している。
よって、角度θ2は、フィン22の下端においてゼロ
で、広い範囲で上記所定値(最大値)となっている。ま
た第4実施形態に係る推進器14では、角度θ2は、図
7(c)に示すように、フィン22の上端から下端へ向
かって所定値で保持されている。
【0043】そして、これら第2及び第3実施形態に係
る推進器14のいずれにおいても、第2の軸βに沿う方
向における角度θ1の角度分布と、角度θ2の角度分布
とは、第1の軸αに対して実質的に対称とされている。
また、第4実施形態に係る推進器14では、フィン22
の長さと同じ長さ分のストラット20の部分における角
度分布を見れば、第1の軸αに対して実質的に対称であ
る。
【0044】上記した構成の第2〜第4実施形態に係る
推進器14においても、第1実施形態に係る推進器14
と同様の作用効果を奏し得る。特に、第4実施形態に係
る推進器14では、第2の軸β方向に沿う方向の角度θ
1及びθ2の角度分布が一定であるため、ストラット2
0及びフィン22の製造が容易となり、ひいては推進器
14の製造が容易となる。
【0045】なお、本発明は上記した実施形態に限定さ
れることなく、種々の変形が可能である。
【0046】例えば、図1に示す船舶10では、推進器
14は船尾に取り付けられていたが、推進器14は船体
12の船首や船体中央など、いずれの部位に取り付けら
れていてもよい。また、推進器14の数は1個に限定さ
れず、船体12に複数取り付けられていてもよい。
【0047】また、ストラット20における角度θ1の
第2の軸βに沿う方向の角度分布、及びフィン22にお
ける角度θ2の第2の軸βに沿う方向の角度分布は、上
記した第1〜第4実施形態のものに限定されることな
く、プロペラ後流のエネルギーを推進力として回収可能
であれば、本発明の範囲から逸脱しない範囲で任意の分
布とすることができる。
【0048】
【発明の効果】本発明に係るポッド型推進器及びこれを
備えた船舶によれば、航行時における推進性能の向上を
図ることが可能となる。その結果、省エネルギー化が図
られ、運航費の低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るポッド型推進器を備えた船
舶を示す右側面図である。
【図2】第1実施形態に係るポッド型推進器の構成を示
す右側面図である。
【図3】第1実施形態に係るポッド型推進器の構成を示
す正面図である。
【図4】図2及び図3のA−A線、B−B線、及びC−
C線における断面図である。
【図5】プロペラ後流を説明するための図である。
【図6】ストラット及びフィンに働く力関係を説明する
ための図である。
【図7】第2〜第4実施形態に係るポッド型推進器の構
成を示す正面図である。
【符号の説明】
10…船舶、14…ポッド型推進器、16…プロペラ、
18…ポッド部、20…ストラット、22…フィン、2
4…モータ、26…前縁部、28…後縁部、30…右側
面部、32…左側面部、38…前縁部、40…後縁部、
42…右側面部、44…左側面部、α…第1の軸、β…
第2の軸、γ…第3の軸、η…第4の軸。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の軸を中心として回転可能なプロペ
    ラと、該プロペラを駆動するためのモータを内蔵し該第
    1の軸に沿って設けられたポッド部と、該第1の軸と直
    交する第2の軸に沿って設けられており該ポッド部を支
    持するためのストラットと、を備えるポッド型推進器で
    あって、 前記ストラットは、前記第2の軸に沿って延び前記プロ
    ペラが設けられている側に位置する第1の縁部と、該第
    1の縁部との間で該第2の軸を挟むように該第2の軸に
    沿って延びる第2の縁部と、該第1及び第2の縁部を繋
    ぐ第1及び第2の側面部と、を有し、 前記第2の軸の第1の所定領域と直交する前記ストラッ
    トの断面は、該第2の軸に沿って見たとき、前記第1の
    縁部及び前記第2の縁部を通る第3の軸が前記第1の軸
    に対して所定角度で傾斜し、かつ該第1の縁部から該第
    2の縁部に至る前記第1及び第2の側面部上の距離がそ
    れぞれ異なるような形状を有することを特徴とするポッ
    ド型推進器。
  2. 【請求項2】 前記ポッド部を挟んで前記ストラットと
    反対側には、前記第2の軸に沿って延びるフィンが設け
    られていることを特徴とする請求項1に記載のポッド型
    推進器。
  3. 【請求項3】 前記フィンは、前記第2の軸に沿って延
    び前記プロペラが設けられている側に位置する第3の縁
    部と、該第3の縁部との間で該第2の軸を挟むように該
    第2の軸に沿って延びる第4の縁部と、該第3及び第4
    の縁部を繋ぐ第3及び第4の側面部と、を有し、 前記第2の軸の第2の所定領域と直交する前記フィンの
    断面は、該第2の軸に沿って見たとき、前記第3の縁部
    及び前記第4の縁部を通る第4の軸が前記第1の軸に対
    して前記第3の軸とは反対側に所定角度で傾斜し、かつ
    該第3の縁部から該第4の縁部に至る前記第3及び第4
    の側面部上の距離がそれぞれ異なるような形状を有する
    ことを特徴とする請求項2に記載のポッド型推進器。
  4. 【請求項4】 前記第2の軸の前記第1の所定領域は、
    前記ポッド部と前記ストラットとが接合する点から第1
    の距離だけ離れた点までの領域として規定され、 前記第2の軸の前記第2の所定領域は、前記ポッド部と
    前記フィンとが接合する点から第2の距離だけ離れた点
    までの領域として規定され、 前記第1の距離と前記第2の距離とは実質的に同じ長さ
    であり、かつ前記第1の所定領域において前記第3の軸
    と前記第1の軸とがなす角度の該第2の軸の方向に沿っ
    た角度分布と、前記第2の所定領域において前記第4の
    軸と前記第1の軸とがなす角度の該第2の軸の方向に沿
    った角度分布とは、該第1の軸に対して実質的に対称で
    あることを特徴とする請求項3に記載のポッド型推進
    器。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のポッド
    型推進器を備えたことを特徴とする船舶。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100915041B1 (ko) * 2007-08-23 2009-09-02 삼성중공업 주식회사 선박용 스트럿 단면 형상
JP2010064740A (ja) * 2008-09-12 2010-03-25 Waertsilae Propulsion Netherlands Bv 推進舵取り装置

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