JP2003173781A - 密着層用塗料並びに二次電池用電極及びこれらを用いた二次電池 - Google Patents

密着層用塗料並びに二次電池用電極及びこれらを用いた二次電池

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JP2003173781A JP2002109835A JP2002109835A JP2003173781A JP 2003173781 A JP2003173781 A JP 2003173781A JP 2002109835 A JP2002109835 A JP 2002109835A JP 2002109835 A JP2002109835 A JP 2002109835A JP 2003173781 A JP2003173781 A JP 2003173781A
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secondary battery
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Yusuke Watarai
祐介 渡会
Akio Mizuguchi
暁夫 水口
Akihiro Higami
晃裕 樋上
Shuhin Cho
守斌 張
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 集電体と活物質層との密着性及び導電性に優
れ、かつサイクル容量維持特性を向上させる。 【解決手段】 二次電池用電極は、ポリマー結着剤を有
する密着層19,21を介して集電体12,16の片面
又は両面に活物質層13,17が設けられる。ポリマー
結着剤の一部が粒子状態で密着層19,21に存在し、
その粒子状ポリマー結着剤であり、粒子状ポリマー結着
剤の平均体積粒径が1〜100μmである。ポリマー結
着剤の主成分がフッ素系樹脂であるか、ポリフッ化ビニ
リデンにアクリル酸又はメタクリル酸をモノマーとして
グラフト重合した化合物である。密着層19,21中の
密着層19,21の表面に平行な断面における粒子状ポ
リマー結着剤の面積密度が1〜100個/cm2であ
る。この二次電池用電極11,14を用いて二次電池を
得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二次電池の集電体
と活物質層の間に設けられる密着層に含まれるポリマー
結着剤、集電体の片面に密着層を介して活物質層が設け
られた二次電池用電極及びこれらを用いた二次電池に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年のビデオカメラやノート型パソコン
等のポータブル機器の普及により薄型の電池に対する需
要が高まっている。この薄型の電池として正極電極と負
極電極を積層して形成されたリチウムイオンポリマー二
次電池が知られている。この正極電極は、シート状の正
極集電体の表面に活物質層を形成することにより作ら
れ、負極電極は、シート状の負極集電体の表面に活物質
層を形成することにより作られる。正極電極の活物質層
と負極電極の活物質層の間には電解質層が介装される。
この電池では、それぞれの活物質における電位差を電流
として取出すための正極端子及び負極端子が正極集電体
及び負極集電体に設けられ、このように積層されたもの
をパッケージで密閉することによりリチウムイオンポリ
マー二次電池が形成されている。このリチウムイオンポ
リマー二次電池ではパッケージから引出された正極端子
及び負極端子を電池の端子として使用することにより所
望の電気が得られるようになっている。
【0003】このような構造を有するリチウムイオンポ
リマー二次電池は電池電圧が高く、エネルギー密度も大
きいため、非常に注目されている。このリチウムイオン
ポリマー二次電池の放電容量を更に増大させるためには
シート状の正極又は負極の面積を拡大させる必要があ
る。この正極又は負極の面積を単純に拡大するだけでは
広い面積のために、その取扱いが困難になる不具合があ
る。この点を解消するために、拡大したシート状の正極
又は負極を所望の大きさに折畳んだり、捲回したりする
ことも考えられる。しかし、シート状の正極又は負極を
積層した状態で折畳みや捲回を行うと、折目部分におけ
る正極又は負極に撓みが生じ、その部分におけるシート
が電解質層から剥離して電極と電解質界面の有効表面積
が減少して放電容量が減少するとともに、電池内部に抵
抗を生じさせて放電容量のサイクル特性を悪化させる不
具合がある。また同様に、折目部分に撓みが生じること
により正極又は負極をそれぞれ形成している活物質層が
集電体より剥離する問題もあった。更に、この電池は充
電及び放電過程において、正極及び負極活物質中へのリ
チウムイオンの吸蔵、放出によって正極及び負極活物質
層の膨張、収縮が起こり、これにより発生する応力によ
り、活物質層が集電体より剥離する問題もあった。
【0004】これらの点を解消するために、集電体と活
物質層との間に、ドット状、ストライプ状又は格子状の
いずれかの塗工パターンを有する接着層が設けられた電
池用電極が開示されている(特開平11−73947
号)。この電池用電極では、上記接着剤層を形成するた
めの塗料がスプレーにより或いは印刷により形成され
る。また集電体の活物質層保持面の面積に対する接着層
の塗工面積の割合が30〜80%である。このように構
成された電池用電極では、集電体と活物質層との間に所
定の塗工パターンを有する接着層が形成されているた
め、集電体と活物質層との間の電子の授受を妨げること
なく、両者の密着性を改善でき、サイクル特性を向上で
きる。具体的には、所定の塗工パターンを有する接着層
により集電体と活物質層との密着性が確保され、未塗工
部において集電体と活物質層との間の電子の授受が円滑
に行われ、電気抵抗を低く抑えることができる。
【0005】また、別の技術として、電池電極を構成す
る結着剤を電極材中に均一に分散させた電極が提案され
ている(特開平7−6752号)。この電極は、結着剤
が分散した電極材を集電体上に形成し、この電極材を乾
燥して加圧成形した後に熱処理することにより製造され
る。このように構成された電極を用いることにより、放
電容量特性、特にサイクル特性に優れた高性能二次電池
を作製できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開平1
1−73947号に記載された従来の電池用電極では、
接着層をドット状、ストライプ状又は格子状のいずれか
の塗工パターンに形成する必要があり、その接着層の形
成が非常に困難である問題点がある。また、集電体と活
物質層との間の電子の授受が行われる未塗工部における
面積が比較的大きい場合にはその部分における密着性が
十分に確保されずに剥離するという未だ解決すべき課題
が残存していた。また、上記特開平7−6752号に記
載された従来の電極では、結着剤としてのポリマー或い
は結着効果をもたらすポリマー電解質を完全に溶媒に溶
かし、他の材料カーボン、活物質などと均一に混合し
て、塗工用スラリーを調製するので、作成した活物質層
と集電体との密着強度が十分でなく、電池の充放電サイ
クル特性が低下するという未だ解決すべき課題が残存し
ていた。その原因は、塗工用スラリーに添加しているカ
ーボンなどの粉末材料が集電体と活物質層の界面に大量
に存在したためと考えられる。本発明の目的は、集電体
と活物質層との密着性及び導電性に優れ、かつサイクル
容量維持特性を向上し得るポリマー結着剤並びに二次電
池用電極及びこれらを用いた二次電池を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
図1に示すように、導電助剤とポリマー結着剤及び溶媒
を含む塗料であって、二次電池の集電体12,16上に
塗布乾燥されて密着層19,21を形成する密着層用塗
料の改良である。その特徴ある構成は、平均体積粒径が
1〜100μmの粒子状のポリマー結着剤が10個/m
l以上50000個/ml以下の平均濃度で含有された
ところにある。請求項4に係る発明は、ポリマー結着剤
を有する密着層19,21を介して集電体12,16の
片面又は両面に活物質層13,17が設けられた二次電
池用電極の改良である。その特徴ある構成は、ポリマー
結着剤の一部が粒子状態で密着層19,21に存在し、
その粒子状ポリマー結着剤の平均体積粒径が1〜100
μmであるところにある。
【0008】請求項4に係る発明では、密着層19,2
1に存在する粒子状ポリマー結着剤が、粒子状態で存在
する導電性物質とともに集電体12,16と密着層1
9,21との界面、及び活物質層13,17と密着層1
9,21との界面に存在してその密着性を向上させる。
粒子状ポリマー結着剤が存在しない集電体12,16と
密着層19,21との界面、及び活物質層13,17と
密着層19,21との界面には導電性物質が存在し、そ
の導電性物質の存在によりその界面における電子の授受
が円滑に行われ、電気抵抗が低く維持される。更に、密
着層19,21に粒子状ポリマー結着剤が存在すること
により、密着層19,21の内部の凝集力が向上し、電
池のサイクル容量維持特性が向上する。
【0009】請求項1に係る密着層用塗料では、この塗
料を集電体12,16上に塗布乾燥することにより、ポ
リマー結着剤の一部が粒子状態で存在する密着層19,
21を比較的容易に形成することができる。ここで、ポ
リマー結着剤が、ポリフッ化ビニリデンにアクリル酸又
はメタクリル酸をグラフト重合した化合物、又はポリフ
ッ化ビニリデンを含む共重合体にアクリル酸又はメタク
リル酸をグラフト重合した化合物であれば、平均体積粒
径が1〜100μmの粒子状のポリマー結着剤を10個
/ml以上50000個/ml以下の平均濃度で比較的
容易に含有させることができる。そのポリマー結着剤が
50000個/mlを越えると、塗布乾燥することによ
り得られた密着層19,21の界面における導電性が低
下し、10個/ml未満であると、その界面における密
着性が低下する。ここで、平均体積粒径が1〜100μ
mの粒子状のポリマー結着剤は20個/ml以上100
00個/ml以下の平均濃度で含有されることが好まし
く、150個/ml以上7500個/ml以下の平均濃
度で含有されることが更に好ましい。
【0010】また、ポリマー結着剤が溶媒の溶解度パラ
メータに対し0.5(cal/cc)0.5以上異なる溶解度パ
ラメータを持つようにすれば、ポリマー結着剤が溶媒に
溶解され難くなり、比較的長期にわたって粒子状ポリマ
ー結着剤の平均体積粒径を1〜100μmの範囲に維持
させることができる。
【0011】なお、「溶解度パラメータ」とは分子間の
相互作用を定量的に表した値であり、その内容は、J.D.
Crowley, J. Paint Technol., 38, 269(1966); 39, 19
(1967), C.M.Hansen, J.Paint Technol.,39,104(1967);
39, 505(1967); 39, 511(1967)等に記されている。具
体的に、溶解度パラメータが近いポリマー結着剤と溶媒
の組み合わせは良好な溶解性を示し、溶解度パラメータ
が離れた組み合わせでは殆ど溶解しない。各溶媒および
結着剤としてのポリマーについての溶解度パラメータ値
は、例えば、「高分子データハンドブック」(高分子学
会編、培風館、1986年)、A.F.M.Barton, Handbookof S
olubility Parameters and Other Cohesion Parameter
s, CRC Press,Inc,Boca Raton, Fla.,1983、等に解説と
共に掲載されている。
【0012】請求項5に係る発明は、請求項4に係る発
明であって、ポリマー結着剤の主成分がフッ素系樹脂で
ある二次電池用電極である。請求項5に係る発明では、
ポリマー結着剤の主成分をフッ素系樹脂とすることによ
り電解液への耐久性が高い二次電池用電極を得ることが
できる。請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明で
あって、ポリマー結着剤がポリフッ化ビニリデンにアク
リル酸又はメタクリル酸をモノマーとしてグラフト重合
した化合物である二次電池用電極である。請求項6に係
る発明では、変性物質としてアクリル酸又はメタクリル
酸を用いることにより集電体と良好な密着性を有する二
次電池用電極を得ることができる。
【0013】請求項7に係る発明は、請求項4ないし6
いずれかに係る発明であって、密着層19,21中の密
着層19,21の表面に平行な断面における粒子状ポリ
マー結着剤の面積密度が1〜100個/cm2である二
次電池用電極である。請求項7に係る発明では、粒子状
ポリマー結着剤の面積密度を1〜100個/cm2とす
ることにより、集電体12,16と密着層19,21と
の界面、及び活物質層13,17と密着層19,21と
の界面における粒子状ポリマー結着剤の分布の調和を図
り、その界面における密着性と導電性の双方を確保す
る。面積密度が100個/cm2を越えると、上述した
界面における導電性が低下し、1個/cm2未満である
と、上述した界面における密着性が低下する。更に好ま
しい面積密度は10〜80個/cm2である。請求項8
に係る発明は、請求項4ないし7いずれかに記載の二次
電池用電極11,14を用いた二次電池である。請求項
8に係る発明では、サイクル容量維持特性が向上した二
次電池を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について
説明する。図1に示すように、リチウムイオンポリマー
二次電池は、正極電極11と負極電極14を積層して形
成された電極体10を有する。この正極電極11は、シ
ート状の正極集電体12の表面に正極活物質層13を形
成することにより作られ、負極電極14は、シート状の
負極集電体16の表面に負極活物質層17を形成するこ
とにより作られる。正極活物質層13と負極活物質層1
7の間に電解質層18が介装された状態で正極電極11
と負極電極14が積層されて電極体10が形成される。
ここで、正極活物質層13にはLiCoO2等の活物質
の他に第1結着剤がこの活物質中に含まれてなり、負極
活物質層17にはグラファイト系の活物質の他に第2結
着剤がこの活物質中に含まれてなる。
【0015】正極集電体12と正極活物質層13との間
には第1密着層19が形成され、負極集電体16と負極
活物質層17との間には第2密着層21が形成される。
第1及び第2密着層19,21にはポリマー結着剤と導
電性物質の双方がそれぞれ含まれる。この実施の形態に
おけるポリマー結着剤は、第1結着剤又は第2結着剤を
変性物質により変性させた高分子化合物である。なお、
「変性」とは、性質が変わることを意味し、本明細書で
は、高分子化合物を変性物質により変性することによ
り、従来高分子化合物が持つ性質だけでなく、変性物質
が持つ性質も併せ持ったり、両者にない性質を新たに持
たせることを意味する。本発明の二次電池用電極は、こ
のポリマー結着剤の一部が粒子状態で密着層19,21
に存在する粒子状ポリマー結着剤であり、その粒子状ポ
リマー結着剤の平均体積粒径は1〜100μmであるこ
とを特徴とする。
【0016】このような構成の電池用電極11,14で
は、密着層19,21に存在する粒子状ポリマー結着剤
が、粒子状態で存在する導電性物質とともに集電体1
2,16と密着層19,21との界面、及び活物質層1
3,17と密着層19,21との界面に存在してその密
着性を向上させる。粒子状ポリマー結着剤が存在しない
集電体12,16と密着層19,21との界面、及び活
物質層13,17と密着層19,21との界面には導電
性物質が存在し、その導電性物質の存在によりその界面
における電子の授受が円滑に行われ、電気抵抗が低く維
持される。また、ポリマー結着剤の一部が粒子状態で密
着層19,21に存在することにより、密着層19,2
1自体の機械的強度は向上し、この密着層19,21に
密着して積層される活物質層13,17の強度も向上さ
せることができる。更に、本発明における密着層19,
21は、ドット状、ストライプ状又は格子状等の限定さ
れた塗工パターンに形成する必要がなく、このような所
定の渡航パターンで形成する必要がある場合に比較し
て、その密着層19,21の形成が容易になる。
【0017】次に、本発明の二次電池用電極の製造手順
を説明する。先ず、正極活物質層又は負極活物質層にそ
れぞれ含有する結着剤を変性物質により変性させ、この
変性高分子化合物を第1及び第2密着層のポリマー結着
剤とする。第1及び第2密着層19,21は化学的、電
気化学的、熱的に安定であることが要求されるため、活
物質に用いられる第1又は第2結着剤かつ変性高分子化
合物の基体となる高分子化合物は、分子内にフッ素を含
む高分子化合物であることが好ましい。このフッ素含有
高分子化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン、
ポリクロロトリフルオロエチレン、PVdF、フッ化ビ
ニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフ
ッ化ビニル等が挙げられる。
【0018】このフッ素含有高分子化合物を変性させる
手法として、グラフト重合、架橋等が挙げられる。グラ
フト重合に用いられる変性物質としては、エチレン、ス
チレン、ブタジエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリ
ル酸、アクリル酸メチル、メチルビニルケトン、アクリ
ルアミド、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、メタク
リル酸、メタクリル酸メチル等の化合物が挙げられる。
特にアクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メ
タクリル酸メチルを用いた場合に集電体と良好な密着性
を得ることができる。架橋に用いられる変性物質として
は、不飽和結合を2つ以上有する化合物、例えばブタジ
エン、イソプレン等が挙げられる。また、架橋は加硫す
ることよって行ってもよい。
【0019】このようにして得られた変性高分子化合物
を密着層のポリマー結着剤とし、このポリマー結着剤を
溶媒に溶解してポリマー溶液を作製し、ポリマー溶液中
に導電性物質を分散させて第1及び第2密着層用塗料を
調製する。導電性物質には粒径0.5〜30μm、黒鉛
化度50%以上の炭素材が用いられる。ポリマー結着剤
と導電性物質との重量比(ポリマー結着剤/導電性物
質)が13/87〜50/50になるように混合して密
着層用塗料を調製する。溶媒にはジメチルアセトアミド
(DiMethylAcetamide、以下、DMAという。)、ジメ
チルフォルムアミド、N-メチルピロリドンが用いられ
る。
【0020】ここで、密着層用塗料の調製に際して、得
られた密着層用塗料は平均体積粒径が1〜100μmの
粒子状のポリマー結着剤が10個/ml以上50000
個/ml以下の平均濃度で含有されるように調製され
る。この場合、ポリマー結着剤が、ポリフッ化ビニリデ
ンにアクリル酸又はメタクリル酸をグラフト重合した化
合物、又はポリフッ化ビニリデンを含む共重合体にアク
リル酸又はメタクリル酸をグラフト重合した化合物であ
れば、平均体積粒径が1〜100μmの粒子状のポリマ
ー結着剤をが10個/ml以上50000個/ml以下
の平均濃度で比較的容易に含有させることができる。ま
た、ポリマー結着剤が溶媒の溶解度パラメータに対し
0.5(cal/cc)0.5以上異なる溶解度パラメータを持
つようにすれば、ポリマー結着剤が溶媒に溶解され難く
なり、比較的長期にわたって粒子状ポリマー結着剤の平
均体積粒径を1〜100μmの範囲に維持させることが
できる。
【0021】次いで、シート状の正極及び負極集電体1
2,16をそれぞれ用意し、この正極及び負極集電体1
2,16に調製した第1及び第2密着層用塗料をドクタ
ーブレード法によりそれぞれ塗工及び乾燥し、乾燥後の
密着層厚さが0.5〜30μmの第1及び第2密着層1
9,21を有する正極又は負極集電体12,16を形成
する。乾燥後の密着層19,21の厚さは1〜15μm
が好ましい。シート状の正極集電体12としてはAl箔
が、負極集電体16としてはCu箔がそれぞれ挙げられ
る。ここでドクターブレード法とは、キャリアフィルム
やエンドレスベルト等のキャリア上に載せて運ばれるス
リップの厚さをドクターブレードと呼ばれるナイフエッ
ジとキャリアとの間隔を調整することによってシートの
厚さを精密に制御する方法である。そして、この実施の
形態では、塗料に平均体積粒径が1〜100μmの粒子
状のポリマー結着剤を10個/ml以上50000個/
ml以下の平均濃度で含有させたので、この塗料を塗布
乾燥することにより、ポリマー結着剤の一部が粒子状態
で存在する密着層19,21を比較的容易に形成するこ
とができる。
【0022】次に、正極活物質層13及び負極活物質層
17に必要な成分をそれぞれ混合して正極活物質層塗工
用スラリー及び負極活物質層塗工用スラリーをそれぞれ
調製する。得られた正極活物質層塗工用スラリーを第1
密着層19を有する正極集電体12上にドクターブレー
ド法により塗布して乾燥し、圧延する。また負極電極1
4も同様にして、得られた負極活物質層塗工用スラリー
を第2密着層21を有する負極集電体16上にドクター
ブレード法により塗布して乾燥し、圧延する。ここで、
正極又は負極活物質層13,17は乾燥後の厚さが、2
0〜250μmとなるように形成する。このようにして
本発明の二次電池用正極電極11及び本発明の二次電池
用負極電極14を形成する。
【0023】次に、本発明の二次電池を説明する。本発
明の二次電池は上述した二次電池用正極電極11及び二
次電池用負極電極14を用いたことを特徴とする。具体
的な製造手順は、先ず、上述した二次電池用正極電極1
1及び二次電池用負極電極14を準備する。そして電解
質層18に必要な成分を混合して電解質層塗工用スラリ
ーを調製する。得られた電解質層塗工用スラリーを剥離
紙上に電解質層18の乾燥厚さが10〜150μmとな
るようにドクターブレード法により塗工及び乾燥し、剥
離紙より剥がして形成する。また、電解質層塗工用スラ
リーを正極電極11表面や負極電極14の表面に塗工及
び乾燥して電解質層18を形成してもよい。そして正極
電極11と電解質層18と負極電極14を順に積層し、
この積層物を熱圧着することにより、図1に示すシート
状の電極体10を形成する。図示しないが、その後、こ
の電極体10にNiからなる正極リード及び負極リード
をそれぞれ正極集電体12及び負極集電体16に溶接
し、開口部を有する袋状に加工したラミネートパッケー
ジ材に収納し、減圧条件下で熱圧着により開口部を封止
することにより本発明のリチウムイオンポリマー二次電
池が作製できる。
【0024】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく
説明する。 <実施例1>結着剤として平均体積粒径200μmの粒
状のアクリル酸グラフト化ポリフッ化ビニリデン((Ac
rylic Acid grafting PolyVinylidene Fluoride、以
下、AA−g−PVdFという)2gを用意し、溶媒と
してジメチルアセトアミド(DiMethylAcetamide、以
下、DMAという)98gを用意し、両者を混合した。
この混合溶液を85℃まで加熱するとともにホモジナイ
ザにより撹拌し続けた。撹拌中の溶液を時々採取し、透
明ガラス基板に液膜厚さが200μm前後となるように
塗布し、光学顕微鏡によりポリマー結着剤粒子(未溶解
粒子)の平均体積粒径と、粒径1μm以上のポリマー結
着剤粒子(未溶解粒子)の個数とを測定した。
【0025】ここで、粒子の粒径の測定は、等影円相当
径の定義とその測定方法を用いた。即ち、粒子径は粒子
の投影面積に等しい円の直径として測定し、その測定方
法は光学顕微鏡、電子顕微鏡、接写など、平面上に並ん
だ粒子を真上から観察し、その粒子の投影図によって粒
子径を決定した。そして、上述した測定方法により得ら
れた粒子径をd、その粒子の個数をnとして、重み付け
により平均体積粒径Dを次の式により求めた。D=[Σ
nd3/Σn]1/3そして、ポリマー結着剤粒子の平均体
積粒径が30±10μmになり、粒径1μm以上のポリ
マー結着剤粒子の数が20±10個/cm2になったと
きに、撹拌を中止した。この混合溶液を実施例1のポリ
マー溶液とした。
【0026】<実施例2>結着剤として平均体積粒径2
00μmの粒状のAA−g−PVdFを1.5g用意
し、98gのDMAと混合した。この混合溶液を85℃
まで加熱するとともにホモジナイザにより撹拌し続け
た。このAA−g−PVdFが完全に溶解した後、平均
体積粒径100μmの粒状のAA−g−PVdFを0.
5g更に添加し、ホモジナイザにより更に5分間撹拌し
てポリマー溶液とした。得られた溶液を採取し、透明ガ
ラス基板に液膜厚さが200μm前後となるように塗布
し、光学顕微鏡によりポリマー結着剤粒子(未溶解粒
子)の平均体積粒径と、粒径1μm以上のポリマー結着
剤粒子(未溶解粒子)の個数とを測定した。その結果、
ポリマー結着剤粒子の平均体積粒径が20±10μmに
なり、粒径1μm以上のポリマー結着剤粒子の数が20
±10個/cm2であった。この混合溶液を実施例2の
ポリマー溶液とした。
【0027】<実施例3>実施例1と同様に平均体積粒
径200μmのAA−g−PVdFを2gと、DMAを
98g用意し、両者を実施例1と同一の条件で撹拌し続
けた。撹拌中の溶液を時々採取し、実施例一の条件で光
学顕微鏡によりポリマー結着剤粒子(未溶解粒子)の平
均体積粒径と、粒径1μm以上のポリマー結着剤粒子
(未溶解粒子)の個数とを測定した。ポリマー結着剤粒
子の平均体積粒径が10±5μmになり、粒径1μm以
上のポリマー結着剤粒子の数が10±5個/cm2にな
ったときに、撹拌を中止した。この混合溶液を実施例3
のポリマー溶液とした。
【0028】<実施例4>結着剤として平均体積粒径2
00μmの粒状のメタクリル酸グラフト化ポリフッ化ビ
ニリデンを2gと、DMAを98g用意し、両者を実施
例1と同一の条件で撹拌し続けた。撹拌中の溶液を時々
採取し、実施例1と同一の条件で光学顕微鏡によりポリ
マー結着剤粒子(未溶解粒子)の平均体積粒径と、粒径
1μm以上のポリマー結着剤粒子(未溶解粒子)の個数
とを測定した。ポリマー結着剤粒子の平均体積粒径が3
0±10μmになり、粒径1μm以上のポリマー結着剤
粒子の数が20±10個/cm2になったときに、撹拌
を中止した。この混合溶液を実施例4のポリマー溶液と
した。
【0029】<比較例1>実施例1と同様に、結着剤と
して平均体積粒径200μmの粒状のAA−g−PVd
Fを2gを用意し、溶媒として98gのDMAに混合し
た。この混合溶液を85℃まで加熱するとともにAA−
g−PVdFが完全に溶解するまでホモジナイザにより
撹拌し続け、溶液が完全に透明になった状態で攪拌を停
止した。得られたポリマー溶液を採取し、透明ガラス基
板に液膜厚さが200μm前後となるように塗布し、光
学顕微鏡により粒径1μm以上のポリマー結着剤粒子
(未溶解粒子)がないことを確認した。この混合溶液を
比較例1のポリマー溶液とした。
【0030】<比較例2>実施例2と同様に、結着剤と
して平均体積粒径200μmの粒状のAA−g−PVd
Fを1.5g用意し、98gのDMAと混合した。この
混合溶液を85℃まで加熱するとともにホモジナイザに
より撹拌し続けた。このAA−g−PVdFが完全に溶
解した後、平均体積粒径200μmの粒状のAA−g−
PVdFを0.5g更に添加し、ホモジナイザにより更
に1分間撹拌してポリマー溶液とした。得られた溶液を
採取し、透明ガラス基板に液膜厚さが200μm前後と
なるように塗布し、光学顕微鏡によりポリマー結着剤粒
子(未溶解粒子)の平均体積粒径と、粒径1μm以上の
ポリマー結着剤粒子(未溶解粒子)の個数とを測定し
た。その結果、ポリマー結着剤粒子の平均体積粒径が1
20±10μmになり、粒径1μm以上のポリマー結着
剤粒子の数が80±10個/cm2であった。この混合
溶液を比較例2のポリマー溶液とした。
【0031】<比較例3>実施例2と同様に、結着剤と
して平均体積粒径200μmの粒状のAA−g−PVd
Fを1g用意し、98gのDMAと混合した。この混合
溶液を85℃まで加熱するとともにホモジナイザにより
撹拌し続けた。このAA−g−PVdFが完全に溶解し
た後、平均体積粒径100μmの粒状のAA−g−PV
dFを1g更に添加し、ホモジナイザにより更に2分間
撹拌してポリマー溶液とした。得られた溶液を採取し、
透明ガラス基板に液膜厚さが200μm前後となるよう
に塗布し、光学顕微鏡によりポリマー結着剤粒子(未溶
解粒子)の平均体積粒径と、粒径1μm以上のポリマー
結着剤粒子(未溶解粒子)の個数とを測定した。その結
果、ポリマー結着剤粒子の平均体積粒径が60±10μ
mになり、粒径1μm以上のポリマー結着剤粒子の数が
150±10個/cm2であった。この混合溶液を比較
例3のポリマー溶液とした。
【0032】<比較例4>実施例4と同様に、結着剤と
して平均体積粒径200μmの粒状のメタクリル酸グラ
フト化ポリフッ化ビニリデン2gを98gのDMAに混
合し、この混合溶液を85℃まで加熱するとともにポリ
テトラフルオロエチレンが完全に溶解するまでホモジナ
イザにより撹拌した。得られたポリマー溶液を採取し、
透明ガラス基板に液膜厚さが200μm前後となるよう
に塗布し、光学顕微鏡により粒径1μm以上のポリマー
結着剤粒子(未溶解粒子)がないことを確認した。この
混合溶液を比較例4のポリマー溶液とした。
【0033】<比較試験及び評価> 銅箔及びアルミ箔に対する接着性試験 先ず、実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたポリマ
ー溶液をそれぞれ幅30mm、長さ200mm、厚さ1
4μmの表面を脱脂したCu箔に均一に塗布し、その上
に、幅10mm、長さ100mm、厚さ20μmの表面
を脱脂したAl箔を貼り付けて接着性試験用ピール試料
を作製した。作製した試料を乾燥機により大気中で80
℃、5日間の乾燥を行った。次に、乾燥した試料を剥離
試験器によりCu箔及びAl箔に対する結着剤の評価を
行った。剥離試験方法は、測定する際に試料のCu箔側
を試験台に固定し、Cu箔に接着しているAl箔を垂直
上方に100mm/分の速度で引っ張り上げて、Al箔
がCu箔から引き剥がすのにかかる力を測定した。な
お、実施例1のポリマー溶液を用いて塗布した銅箔を乾
燥した後、結着剤粒子の電子顕微鏡写真を図2に示す。
【0034】 電池の密着層に用いられる場合の電池
のサイクル容量維持特性試験 先ず、実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたポリマ
ー溶液100gに、比表面積150m2/gの黒鉛粉末
8g及びDMA80gを加えて攪拌し、密着層用塗料を
調製した。次いで、正極集電体として厚さ20μm、幅
250μmのAl箔を用意し、このAl箔に調製した密
着層用塗料をドクターブレード法により塗工及び乾燥
し、乾燥後の密着層厚さを20±1μmの範囲内に制御
した。また負極集電体として厚さ14μm、幅250μ
mのCu箔を用意し、このCu箔表面に調製した密着層
用塗料をドクターブレード法により塗工及び乾燥し、乾
燥後の密着層厚さを20±1μmの範囲内に制御した。
次に、下記表1に示される各成分をボールミルで2時間
混合することにより、正極活物質層塗工用スラリー、負
極活物質層塗工用スラリー及び電解質層塗工用スラリー
をそれぞれ調製した。
【0035】
【表1】
【0036】得られた正極活物質塗工用スラリーを密着
層を有するAl箔表面に正極活物質層の乾燥厚さが80
μmとなるようにドクターブレード法により塗工及び乾
燥し、圧延することにより正極を形成した。同様に、負
極活物質塗工用スラリーを密着層を有するCu箔表面に
負極活物質層の乾燥厚さが80μmとなるようにドクタ
ーブレード法により塗工及び乾燥し、圧延することによ
り負極を形成した。更に電解質層塗工用スラリーを乾燥
厚さが50μmとなるように正極及び負極にそれぞれド
クターブレード法により塗工し、これらの電解質層を有
する正極及び負極を積層して熱圧着することにより、シ
ート状の電極体を作製した。作製した電極体にNiから
なる正極リード及び負極リードをそれぞれ正極集電体、
負極集電体に溶接し、開口部を有する袋状に加工したラ
ミネートパッケージ材に収納し、減圧条件下で開口部を
熱圧着して封止し、シート状電池を作製した。
【0037】次に、得られたシート状電池を最大充電電
圧4V、充電電流0.5Aの条件で2.5時間の充電を
行う充電工程と、0.5Aの定電流放電で放電電圧が最
低放電電圧となる2.75Vとなるまで放電を行う放電
工程とを1サイクルとして充放電サイクルを繰り返し、
各サイクルの充放電容量をそれぞれ測定して初期放電容
量の80%迄低下するサイクル数を測定した。
【0038】 電池の密着層に用いられる場合の密着
層の集電体に対する密着性試験 先ず、実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたポリマ
ー溶液を用いて前述した評価試験のシート状電池と同
様のシート状電池をそれぞれ作製した。次いで、この電
池を70℃環境下で、上記評価試験と同様の条件での
充放電サイクルを100サイクル行った。その後、10
0サイクルの充放電を終えたシート状電池の収納パッケ
ージを除去し、電池の正極と負極を引き剥がしてそれぞ
れを分離し、分離した正極の密着層及び負極の密着層を
ピンセットでつまんで引っ張ったときに、密着層が集電
体から剥離するか否かを確認した。上記評価試験〜
における評価結果を表2にそれぞれ示す。なお、表2中
の評価試験欄における記号は、次の意味である。 ◎:密着層が集電体への密着が極めて良好であり、剥離
しない。 ○:密着層が集電体から部分的に剥離する。 ×:密着層が集電体から完全に剥離する。
【0039】
【表2】
【0040】表2から明らかなように、評価試験のC
u箔及びAl箔に対する接着性試験では、実施例1〜4
のポリマー溶液を用いてCu箔に接着したAl箔は、そ
のCu箔からの剥離強度が全て9.8N/cm以上であ
ることを示した。これに対して、比較例1〜4のポリマ
ー溶液を用いた場合の剥離強度は、実施例1〜4の剥離
強度に対してそれぞれ2.94〜4.90N/cm低く
なっている。これは粒子状ポリマー結着剤の有無に起因
するものと考えられ、その粒子状ポリマー結着剤の存在
により接着性が向上したことが原因と考えられる。 次
に、評価試験のサイクル容量維持特性試験では、比較
例1〜4のポリマー溶液を用いた電池の80%容量サイ
クル数に比べて実施例1〜4のポリマー結着剤を用いた
電池の80%容量サイクル数はそれぞれ高いサイクル数
を示している。これは、実施例1〜4のポリマー結着剤
が接着特性が優れており、電解液への耐久性が高いた
め、サイクル容量維持特性が向上されたと考えられる。
【0041】また、ポリマー溶液に存在する粒子の平均
体積粒径が100μm以下であって、粒径1μm以上の
粒子数が100個/cm2以下である実施例1〜3は、
平均体積粒径が100μm以上であって、粒径1μm以
上の粒子数が100個/cm 2以上の比較例2及び3に
比較してそれぞれ高いサイクル数を示している。更に、
評価試験の密着層の集電体に対する密着性試験では、
実施例1及び2並びに比較例1及び2が同じレベルの高
い密着性を示した。一方、実施例1〜3と実施例4を比
較すると、メタクリル酸グラフト化ポリフッ化ビニリデ
ンを結着剤として用いる場合、接着特性がAA−g−P
VdFを用いた場合より落ちているが、密着特性が不良
なメタクリル酸グラフト化ポリフッ化ビニリデンをポリ
マー結着剤として用いた比較例4であっても、そのポリ
マー結着剤の一部を粒子状態で密着層に存在させた実施
例4ではその密着特性を改善できることが判る。
【0042】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ポ
リマー結着剤を有する密着層を介して集電体の片面又は
両面に活物質層が設けられた二次電池用電極の、そのポ
リマー結着剤の一部を粒子状態で密着層に存在させ、そ
の粒子状ポリマー結着剤の平均体積粒径を1〜100μ
mとしたので、密着層に存在する粒子状ポリマー結着剤
が、粒子状態で存在する導電性物質とともに集電体と密
着層との界面、及び活物質層と密着層との界面に存在し
てその密着性を向上させることができる。一方、粒子状
ポリマー結着剤が存在しない集電体と密着層との界面、
及び活物質層と密着層との界面には導電性物質が存在
し、その導電性物質の存在によりその界面における電子
の授受が円滑に行われ、電気抵抗を低く維持することが
できる。
【0043】この場合、ポリマー結着剤の主成分をフッ
素系樹脂とすれば、電解液への耐久性が高い二次電池用
電極を得ることができ、ポリマー結着剤がポリフッ化ビ
ニリデンにアクリル酸又はメタクリル酸をモノマーとし
てグラフト重合した化合物であれば、集電体と良好な密
着性を有する二次電池用電極を得ることができる。ま
た、密着層中の密着層の表面に平行な断面における粒子
状ポリマー結着剤の面積密度が1〜100個/cm2
あれば、集電体と密着層との界面、及び活物質層と密着
層との界面における粒子状ポリマー結着剤の分布の調和
を図り、その界面における密着性と導電性の双方を確保
することができる。そして、この二次電池用電極を用い
た二次電池は、サイクル容量維持特性が向上したものに
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウムイオンポリマー二次電池の電
極体を示す部分断面構成図。
【図2】実施例1のポリマー溶液を塗布乾燥した結着剤
粒子の電子顕微鏡写真図。
【符号の説明】
11 正極電極 12 正極集電体 13 正極活物質層 14 負極電極 16 負極集電体 17 負極活物質層 18 ポリマー電解質層 19 第1密着層 21 第2密着層
【手続補正書】
【提出日】平成14年4月12日(2002.4.1
2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水口 暁夫 茨城県那珂郡那珂町向山1002番地14 三菱 マテリアル株式会社総合研究所那珂研究セ ンター内 (72)発明者 樋上 晃裕 茨城県那珂郡那珂町向山1002番地14 三菱 マテリアル株式会社総合研究所那珂研究セ ンター内 (72)発明者 張 守斌 茨城県那珂郡那珂町向山1002番地14 三菱 マテリアル株式会社総合研究所那珂研究セ ンター内 Fターム(参考) 5H017 AA03 AS01 BB08 BB12 BB14 CC01 DD05 EE10 HH00 HH03 HH04 HH06 5H029 AJ03 AJ05 AK03 AL07 AM03 BJ04 BJ12 CJ06 CJ22 DJ07 DJ08 EJ12 HJ02 HJ05 HJ07 5H050 AA07 BA17 CA08 CB08 DA02 DA03 DA04 DA09 EA24 FA02 FA18 GA02 GA10 GA22 HA05 HA07 HA10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電助剤とポリマー結着剤及び溶媒を含
    む塗料であって、二次電池の集電体(12,16)上に塗布乾
    燥されて密着層(19,21)を形成する密着層用塗料におい
    て、 平均体積粒径が1〜100μmの粒子状の前記ポリマー
    結着剤が10個/ml以上50000個/ml以下の平
    均濃度で含有されたことを特徴とする密着層用塗料。
  2. 【請求項2】 ポリマー結着剤が、ポリフッ化ビニリデ
    ンにアクリル酸又はメタクリル酸をグラフト重合した化
    合物、又はポリフッ化ビニリデンを含む共重合体にアク
    リル酸又はメタクリル酸をグラフト重合した化合物であ
    る請求項1記載の密着層用塗料。
  3. 【請求項3】 ポリマー結着剤が溶媒の溶解度パラメー
    タに対し0.5(cal/cc)0.5以上異なる溶解度パラメ
    ータを持つ請求項1又は2記載の密着層用塗料。
  4. 【請求項4】 ポリマー結着剤を有する密着層(19,21)
    を介して集電体(12,16)の片面又は両面に活物質層(13,1
    7)が設けられた二次電池用電極において、 前記ポリマー結着剤の一部が粒子状態で前記密着層(19,
    21)に存在し、 粒子状ポリマー結着剤の平均体積粒径が1〜100μm
    であることを特徴とする二次電池用電極。
  5. 【請求項5】 ポリマー結着剤の主成分がフッ素系樹脂
    である請求項4記載の二次電池用電極。
  6. 【請求項6】 ポリマー結着剤がポリフッ化ビニリデン
    にアクリル酸又はメタクリル酸をモノマーとしてグラフ
    ト重合した化合物である請求項5記載の二次電池用電
    極。
  7. 【請求項7】 密着層(19,21)中の前記密着層(19,21)の
    表面に平行な断面における粒子状ポリマー結着剤の面積
    密度が1〜100個/cm2である請求項4ないし6い
    ずれか記載の二次電池用電極。
  8. 【請求項8】 請求項4ないし7いずれかに記載の二次
    電池用電極(11,14)を用いた二次電池。
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