JP3982221B2 - リチウムイオンポリマー二次電池及び該電池の密着層に用いる結着剤の合成方法 - Google Patents

リチウムイオンポリマー二次電池及び該電池の密着層に用いる結着剤の合成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密着層を有するリチウムイオンポリマー二次電池及び該電池の密着層に用いる結着剤の合成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のビデオカメラやノート型パソコン等のポータブル機器の普及により薄型の電池に対する需要が高まっている。この薄型の電池として正極と負極を積層して形成されたリチウムイオンポリマー二次電池が知られている。この正極は、シート状の正極集電体の表面に活物質層を形成することにより作られ、負極は、シート状の負極集電体の表面に活物質層を形成することにより作られる。正極の活物質層と負極の活物質層の間には電解質層が介装される。この電池では、それぞれの活物質における電位差を電流として取出すための正極端子及び負極端子が正極集電体及び負極集電体に設けられ、このように積層されたものをパッケージで密閉することによりリチウムイオンポリマー二次電池が形成されている。このリチウムイオンポリマー二次電池ではパッケージから引出された正極端子及び負極端子を電池の端子として使用することにより所望の電気が得られるようになっている。
【0003】
このような構造を有するリチウムイオンポリマー二次電池は電池電圧が高く、エネルギー密度も大きいため、非常に注目されている。このリチウムイオンポリマー二次電池の放電容量を更に増大させるためにはシート状の正極又は負極の面積を拡大させる必要がある。この正極又は負極の面積を単純に拡大するだけでは広い面積のために、その取扱いが困難になる不具合がある。この点を解消するために、拡大したシート状の正極又は負極を所望の大きさに折畳んだり、捲回したりすることも考えられる。しかし、シート状の正極又は負極を積層した状態で折畳みや捲回を行うと、折目部分における正極又は負極に撓みが生じ、その部分におけるシートが電解質層から剥離して電極と電解質界面の有効表面積が減少して放電容量が減少するとともに、電池内部に抵抗を生じさせて放電容量のサイクル特性を悪化させる不具合がある。また同様に、折目部分に撓みが生じることにより正極又は負極をそれぞれ形成している活物質層が集電体より剥離する問題もあった。更に、この電池は充電及び放電過程において、正極及び負極活物質中へのリチウムイオンの吸蔵、放出によって正極及び負極活物質層の膨張、収縮が起こり、これにより発生する応力により、活物質層が集電体より剥離する問題もあった。
【0004】
そこで上記諸問題を解決する技術として下記に示すように、活物質層の集電体からの剥離や密着性の低下を防止する技術がそれぞれ提案されている。(1)特公平7−70328号公報には、結着剤と導電性フィラーからなる導電性塗膜で被覆された集電体が提案されている。この発明では、結着剤の材質としてフェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ビニール系樹脂、アルキッド系樹脂、合成ゴム等が挙げられている。(2)特開平9−35707号公報では、負極集電体上に炭素粉末とポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidene Fluoride、以下、PVdFという。)からなる結着剤が含有した負極材層が形成され、負極集電体上に導電剤が混入されたアクリル系共重合体からなる接着層を形成することが記載されている。この発明では、負極集電体が銅箔により形成された負極板に銅との接着性が高いアクリル共重合体を用いることにより高い接着効果が得られる。(3)特開平10−149810号公報では、活物質層と集電体間にポリウレタン樹脂又はエポキシ樹脂を塗布した下塗層を形成している。この発明では、ポリウレタン樹脂又はエポキシ樹脂を塗布した下塗層を形成することにより電極における活物質塗膜層と集電体との間の密着性を向上させ、電池のサイクル容量維持特性を向上させることができる。
【0005】
(4)特開平10−144298号公報では、負極集電体と負極活物質層の間に黒鉛とバインダとからなる接着層を設けている。この発明では、接着層に含まれる黒鉛が負極の集電効率を高めるように機能している。(5)特開平9−213370号公報では、電池活物質層の電解質部及び電解質層のバインダとしてグラフト重合されたPVdFを用いている。この発明では、グラフト重合されたPVdFを電池活物質層の電解質部や電解質層のバインダとして用いることにより、集電体との接触効率が向上する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
密着層に要求される特性として、集電体材料に対する密着力、活物質層中に含まれるバインダとの結着力、電解液中の有機溶媒に対して安定で長期保存性に優れること、熱的に安定で高温下に晒されたときに剥がれ等が生じないこと、電気化学的に安定で繰返しの充放電に耐えられること等が挙げられる。
しかし、上記(1)に示す技術では、結着剤として用いられるブチルゴムやフェノール樹脂等は電解液に侵されてしまうため、剥離してしまう問題があった。また(2)に示す技術でも、アクリル系共重合体は負極材層に含有するPVdFや負極集電体との結着力が強いため、負極集電体と負極材層との間に導電材が混入されたアクリル系共重合体を主成分とする結着層を形成することにより負極集電体と負極材層との結着力を高めることができるが、このアクリル系共重合体は電解液に侵されてしまうため、剥離してしまう問題があった。更に(3)に示す技術でも、下塗層としてポリウレタン樹脂を用いた場合では、剥離強度、80%容量サイクル数はそれぞれ下塗層を形成しない電池に比べると向上しているが、実用上十分であるとは言えなかった。また、エポキシ樹脂を用いた場合、電解液に侵されてしまうため、剥離してしまうおそれがあった。
【0007】
(4)に示す技術では、接着層に活物質中に含まれる結着剤と同様の物質を用いているため活物質との密着力は良好であるが、集電体との密着性は活物質層を直接集電体に形成するものと大差なく、十分であるとは言えなかった。また、バインダに電解液が浸透してしまうため、集電体との接着強度が弱い問題もあった。(5)に示す技術では、集電体に対する密着力の高いグラフト重合したポリマーを活物質層のバインダに用いるため、密着層を設けることなく活物質層を集電体上に直接形成することができるが、このようなポリマーは難溶であるため使用する溶媒が限定されてしまう欠点があった。更に、電池内部よりこの溶媒を完全に除去するのは困難であり、溶媒が電池内部に残留すると電池性能に悪影響を及ぼすおそれもあった。
【0008】
本発明の第1の目的は、集電体と活物質層との密着性及び導電性に優れ、かつサイクル容量維持特性を向上し得るリチウムイオンポリマー電池を提供することにある。
本発明の第2の目的は、密着層が電解液中の有機溶媒に対して安定で長期保存性に優れるリチウムイオンポリマー電池を提供することにある。
本発明の第3の目的は、電池内に発生するフッ酸等の強酸による集電体の腐食を抑制し得るリチウムイオンポリマー電池を提供することにある。
本発明の第4の目的は、集電体と活物質層との密着性及び導電性に優れたリチウムイオンポリマー二次電池の密着層に用いる結着剤の合成方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、正極集電体12の表面に第1結着剤が活物質中に含まれてなる正極活物質層13が形成された正極11と、負極集電体16の表面に第1結着剤と同一又は異なる第2結着剤が活物質中に含まれてなる負極活物質層17が形成された負極14と、電解質18とを備えたリチウムイオンポリマー二次電池の改良である。
その特徴ある構成は、正極集電体12と正極活物質層13との間に第1密着層19を有し、負極集電体16と負極活物質層17との間に第2密着層21を有し、第1及び第2密着層19,21が第3結着剤と導電性物質の双方をそれぞれ含み、第3結着剤が、第1結着剤又は第2結着剤を変性物質により変性させた高分子化合物である。
請求項1に係る発明では、第1及び第2密着層に含まれる第3結着剤が、正極活物質層又は負極活物質層にそれぞれ含有する第1結着剤又は第2結着剤を変性物質により変性させた高分子化合物であるため、正極活物質層又は負極活物質層に対する密着力が高い。また、第1結着剤又は第2結着剤を変性させた高分子化合物を第3結着剤として用いることにより正極集電体又は負極集電体との密着性も従来の結着剤を用いるより大幅に向上する。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、第1又は第2結着剤のいずれか一方又は双方がポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、PVdF、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体又はポリフッ化ビニルから選ばれたフッ素含有高分子化合物であるリチウムイオンポリマー二次電池である。
請求項2に係る発明では、結着剤はポリテトラフルオロエチレン、PVdFが電解液への耐久性が高いため好ましい。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、変性物質がエチレン、スチレン、ブタジエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸メチル、メチルビニルケトン、アクリルアミド、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、メタクリル酸、メタクリル酸メチル又はイソプレンから選ばれた化合物であるリチウムイオンポリマー二次電池である。
請求項3に係る発明では、変性物質は、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸及びメタクリル酸メチルを用いることにより集電体と良好な密着性を得ることができるため好ましい。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明であって、第1及び第2密着層の厚さが0.5〜30μmであるリチウムイオンポリマー二次電池である。
請求項4に係る発明では、第1及び第2密着層の厚さが0.5〜30μmである。0.5μm未満であると、集電体を腐食から保護する機能が低下し、放電容量のサイクル特性が悪くなる。また、第1及び第2密着層形成時に導電性粉末を均一に分散させることが困難になるため、内部インピーダンスの上昇を招く。30μmを越えると、電池反応に寄与しない部分の体積及び質量が増加するため、体積及び質量エネルギー密度が低下する。密着層の厚さは1〜15μmが好ましい。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1又は4に係る発明であって、第1及び第2密着層中に分散剤を更に0.1〜20質量%含有するリチウムイオンポリマー二次電池である。
請求項5に係る発明では、分散剤を第1及び第2密着層中に0.1〜20質量%含有させることにより導電性物質を第1及び第2密着層中に均一に分散できる。分散剤としては酸性高分子系分散剤、塩基性高分子系分散剤又は中性高分子系分散剤等が挙げられる。0.1質量%未満であると、導電性粉末の分散が分散剤を添加しない場合と差がなく、添加した効果が得られない。20質量%を越えても、導電性粉末の分散状況は変わらず、電池反応に寄与するものでないため過剰に添加する必要がない。分散剤の含有量は2〜15質量%が好ましい。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項1に係る発明であって、導電性物質が粒径0.5〜30μm、黒鉛化度50%以上の炭素材を用い、第1及び第2密着層に含まれる第3結着剤と導電性物質との質量比(第3結着剤/導電性物質)が13/87〜50/50であるリチウムイオンポリマー二次電池である。
請求項6に係る発明では、第3結着剤と導電性物質との質量比は13/87〜50/50である。質量比が13/87未満であると、ポリマーの比率が少なく、十分な密着力を得ることができない。質量比が50/50を越えると、導電性物質が少なく、集電体と活物質層間の電子移動が十分に行えず、内部インピーダンスが上昇する。第3結着剤と導電性物質との質量比は14/86〜33/67が好ましい。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6いずれか記載のリチウムイオンポリマー二次電池の密着層に含まれる第3結着剤の合成方法であって、第3結着剤が第1結着剤又は第2結着剤のいずれか一方又は双方を変性物質により変性させることにより合成され、合成された第3結着剤を100質量%とするとき、第3結着剤に含まれる変性物質の割合が2〜50質量%であることを特徴とする結着剤の合成方法である。
請求項7に係る発明では、合成された第3結着剤を100質量%とするとき、第3結着剤に含まれる変性物質の割合を上記割合とすることにより密着性及び導電性に優れた第3結着剤が得られる。結着剤に含まれる変性物質の割合が下限値未満であると、溶媒に溶解しにくくなり、上限値を越えると、集電体への接着強度が減少する。結着剤に含まれる変性物質の割合は70〜90質量%が好ましい。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項7に係る発明であって、変性物質による変性は、第1又は第2結着剤のいずれか一方又は双方に放射線を照射した後で、被照射物に変性物質を混合してグラフト重合することにより行われる合成方法である。
請求項9に係る発明は、請求項7に係る発明であって、変性物質による変性は、第1又は第2結着剤のいずれか一方又は双方に変性物質を混合し、混合物に対して放射線を照射してグラフト重合することにより行われる合成方法である。
【0017】
請求項10に係る発明は、請求項8又は9に係る発明であって、第1又は第2結着剤のいずれか一方又は双方への放射線照射は、第1又は第2結着剤のいずれか一方又は双方への吸収線量が1〜120kGyになるようにγ線を照射することにより行われる合成方法である。
請求項10に係る発明では、吸収線量が1〜120kGyになるようにγ線を照射する。吸収線量が下限値未満、上限値を越える数値であると、得られる結着剤の接着強度が低くなる不具合を生じる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について説明する。
本発明のリチウムイオンポリマー二次電池は第1及び第2密着層が第3結着剤と導電性物質の双方をそれぞれ含み、第3結着剤が、第1結着剤又は第2結着剤を変性物質により変性させた高分子化合物であることを特徴とする。
「変性」とは、性質が変わることを意味し、本明細書では、高分子化合物を変性物質により変性することにより、従来高分子化合物が持つ性質だけでなく、変性物質が持つ性質も併せ持ったり、両者にない性質を新たに持たせることを意味する。
【0019】
この変性させた高分子化合物は活物質層中の第1結着剤又は第2結着剤を主基とするため、活物質層との密着性が高い。一方、集電体との密着性が高い変性物質により変性したことにより集電体との密着性も活物質層と同様の結着剤を用いる場合より大幅に向上する。このため、活物質層の集電体からの剥がれが抑制され、サイクル特性が向上する。
また、変性高分子化合物は活物質層に用いる結着剤に比べて変性させたことにより化学的に安定となり、電解液に対して溶解されることなく活物質層の集電体からの剥がれが抑制される。また同様の理由から密着層中に分散される導電性物質が崩落することなく保持されるため良好な電子伝導を維持し、長期保存性やサイクル特性に優れる。また、化学的に安定な層に集電体が被覆されるため、電池内部でフッ酸などが発生した場合でも密着層が保護層となり集電体の腐食を抑制できる。
更に、変性高分子化合物は活物質層に用いる結着剤に比べて変性させたことにより熱的に安定となり、電池が高温下におかれても電池内溶媒に溶解することがなく電池の劣化を抑制できる。変性高分子化合物は活物質層に用いる結着剤に比べて変性させたことにより電気化学的に安定となり、正極が満充電時に高電位下におかれても劣化することがなく、安定した密着力と導電性を保つ。また電解液が変性高分子化合物中に浸透するのが困難であるため、集電体への電解液の付着がほとんどなく、満充電時における正極集電体の溶出が抑制できる。
【0020】
次に、本発明のリチウムイオンポリマー二次電池の製造手順を説明する。
先ず、正極活物質層又は負極活物質層にそれぞれ含有する結着剤を変性物質により変性させ、この変性高分子化合物を第1及び第2密着層の第3結着剤とする。
第1及び第2密着層は化学的、電気化学的、熱的に安定であることが要求されるため、活物質に用いられる第1又は第2結着剤かつ変性高分子化合物の基体となる高分子化合物は、分子内にフッ素を含む高分子化合物であることが好ましい。このフッ素含有高分子化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、PVdF、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニル等が挙げられる。
【0021】
このフッ素含有高分子化合物を変性させる手法として、グラフト重合、架橋等が挙げられる。グラフト重合に用いられる変性物質としては、エチレン、スチレン、ブタジエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸メチル、メチルビニルケトン、アクリルアミド、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、メタクリル酸、メタクリル酸メチル等の化合物が挙げられる。特にアクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチルを用いた場合に集電体と良好な密着性を得ることができる。
架橋に用いられる変性物質としては、不飽和結合を2つ以上有する化合物、例えばブタジエン、イソプレン等が挙げられる。また、架橋は加硫することよって行ってもよい。
【0022】
この実施の形態ではグラフト重合について述べる。グラフト重合させる方法としては触媒法、連鎖移動法、放射線法、光重合法及び機械的切断法等がある。例えば放射線法では、高分子化合物とグラフト化材料となる化合物とを一緒にして、放射線を連続的又は間欠的に放射することにより重合でき、グラフト化材料と高分子化合物とを接触させる前に主基である高分子化合物を予備放射することが好ましい。具体的には、高分子化合物に放射線を照射した後で、前記被照射物にグラフト化材料となる変性物質を混合することにより、高分子化合物を主鎖とし変性物質を側鎖とした変性高分子化合物を得ることができる。グラフト重合に用いる放射線は、電子ビーム、X線又はγ線が挙げられる。高分子化合物への吸収線量が1〜120kGyになるようにγ線を照射する。主基である高分子化合物に放射線を照射することにより片末端にラジカルが形成され、グラフト化材料が重合しやすくなる。下記化学式(1)及び化学式(2)にPVdFとアクリル酸の放射線法によるグラフト重合を示す。
【0023】
【化1】
Figure 0003982221
【0024】
【化2】
Figure 0003982221
【0025】
化学式(1)に示すように、PVdFに放射線としてγ線を照射することによりPVdFの片末端にラジカルを形成する。化学式(2)に示すように、この片末端にラジカルを有するPVdFにアクリル酸を接触させて、PVdFのラジカルにアクリル酸の二重結合部分がグラフト重合される。
【0026】
また別の例として化学式(3)及び化学式(4)にPVdFとメタクリル酸のグラフト重合を示す。
【0027】
【化3】
Figure 0003982221
【0028】
【化4】
Figure 0003982221
【0029】
化学式(3)に示すように、PVdFが放射線としてγ線を照射することによりPVdFの片末端にラジカルを形成し、化学式(4)で片末端にラジカルを有するPVdFにメタクリル酸を接触させて、PVdFのラジカルにメタクリル酸の二重結合部分がグラフト重合される。
【0030】
グラフト重合は活性化した主基がグラフト化材料と接触している時間の長さ、放射線による主基の予備活性の程度、グラフト化材料が主基を透過できるまでの程度、主基及びグラフト化材料が接触しているときの温度等によりそれぞれ重合生成が異なる。グラフト化材料が酸である場合、グラフト化材料である化合物を含有する溶液をサンプリングして、アルカリにより滴定し、残留する酸化合物濃度を測定することにより、グラフト化の程度を観測することができる。得られた組成物中のグラフト化の割合は、最終質量の10〜30%が望ましい。
【0031】
このようにして得られたグラフト重合された変性高分子化合物を密着層の第3結着剤とし、この第3結着剤を溶媒に溶解してポリマー溶液を作製し、ポリマー溶液中に導電性物質を分散させて第1及び第2密着層スラリーを調製する。導電性物質には粒径0.5〜30μm、黒鉛化度50%以上の炭素材が用いられる。第3結着剤と導電性物質との質量比(第3結着剤/導電性物質)が13/87〜50/50になるように混合して密着層のスラリーを調製する。溶媒にはジメチルアセトアミド(DiMethylAcetamide、以下、DMAという。)、アセトン、ジメチルフォルムアミド、N-メチルピロリドンが用いられる。
【0032】
次いで、シート状の正極及び負極集電体をそれぞれ用意し、この正極及び負極集電体に調製した第1及び第2密着層スラリーをドクターブレード法によりそれぞれ塗工及び乾燥し、乾燥後の密着層厚さが0.5〜30μmの第1及び第2密着層を有する正極又は負極集電体を形成する。乾燥後の正極及び負極の密着層厚さは1〜15μmが好ましい。シート状の正極集電体としてはAl箔が、負極集電体としてはCu箔がそれぞれ挙げられる。ここでドクターブレード法とは、セラミックスをシート状に成型する方法の1つであり、キャリアフィルムやエンドレスベルト等のキャリア上に載せて運ばれるスリップの厚さをドクターブレードと呼ばれるナイフエッジとキャリアとの間隔を調整することによってシートの厚さを精密に制御する方法である。
【0033】
次に、正極活物質層、負極活物質層及び電解質層に必要な成分をそれぞれ混合して正極活物質層塗工用スラリー、負極活物質層塗工用スラリー及び電解質層塗工用スラリーをそれぞれ調製する。
得られた正極活物質層塗工用スラリーを第1密着層を有する正極集電体上にドクターブレード法により塗布して乾燥し、圧延することにより正極を形成する。また負極も同様にして、得られた負極活物質層塗工用スラリーを第2密着層を有する負極集電体上にドクターブレード法により塗布して乾燥し、圧延することにより負極を形成する。正極又は負極活物質層は乾燥後の厚さが、20〜250μmとなるように形成する。電解質層は得られた電解質層塗工用スラリーを剥離紙上に電解質層の乾燥厚さが10〜150μmとなるようにドクターブレード法により塗工及び乾燥し、剥離紙より剥がして形成する。また、電解質層塗工用スラリーを正極表面や負極表面に塗工及び乾燥して電解質層を形成してもよい。それぞれ形成した正極と電解質層と負極を順に積層し、積層物を熱圧着することにより、図1に示すように、シート状の電極体が形成される。
【0034】
最後に、この電極体にNiからなる正極リード及び負極リードをそれぞれ正極集電体及び負極集電体に溶接し、開口部を有する袋状に加工したラミネートパッケージ材に収納し、減圧条件下で熱圧着により開口部を封止して、シート状のリチウムイオンポリマー二次電池が作製できる。
【0035】
【実施例】
次に本発明の実施例を比較例とともに説明する。
<実施例1>
先ず、第1及び第2結着剤としてPVdF粉末50gを、変性物質として15質量%アクリル酸水溶液260gをそれぞれ用意した。次いで、PVdF粉末をポリエチレン製パックに入れて真空パックし、PVdFへの吸収線量が50kGyとなるようにコバルト60をγ線源としてγ線を照射した。次に、γ線照射したPVdF粉末をポリエチレン製パックより取出して窒素雰囲気に移し、15質量%アクリル酸水溶液260g中にPVdFを供給して80℃に保持し、アクリル酸水溶液と反応させて上記化学式(2)に示すグラフト重合により生成したアクリル酸グラフト化PVdF(Acrylic Acid grafting PolyVinylidene Fluoride、以下、AA-g-PVdFという。)を合成した。
反応溶液のサンプルを採取し、PVdFにグラフト重合反応したアクリル酸の減少量を滴定により逐次測定し、AA-g-PVdF中のグラフト化されたアクリル酸基の含有割合が17質量%になったら、反応を止めて得られた固体状生成物を純水で洗浄して乾燥させ、これを第3結着剤とした。
【0036】
<実施例2>
変性物質を15質量%メタクリル酸水溶液260gにした以外は実施例1と同様にして第3結着剤を得た。
<実施例3>
変性物質を15質量%アクリル酸メチル水溶液260gにした以外は実施例1と同様にして第3結着剤を得た。
<実施例4>
変性物質を15質量%メタクリル酸メチル水溶液260gにした以外は実施例1と同様にして第3結着剤を得た。
【0037】
<比較例1>
第3結着剤として市販されているアクリル酸エステル-メタクリル酸エステル共重合体を用意した。
<比較例2>
第3結着剤として市販されているPVdFのホモポリマーを用意した。
<比較例3>
第3結着剤として市販されているPVdFのコポリマーを用意した。
<比較例4>
変性物質を1質量%クロトン酸を含む水溶液2600gにした以外は実施例1と同様にして第3結着剤を得た。
【0038】
<比較評価1>
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた第3結着剤を用いて以下の評価試験を行った。
(1) ジメチルアセトアミドに対する溶解性試験
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた第3結着剤をそれぞれ4gづつ採取し、このサンプルにDMA56gを添加して60℃まで加熱しながら撹拌し、ポリマー溶液とした。この溶液をガラスビンに保存し、一日放置した後の溶液中の沈殿状況を確認した。
【0039】
(2) 銅箔及びアルミ箔に対する接着性試験
先ず、実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた第3結着剤を用いて前述した評価試験(1)のポリマー溶液と同様のポリマー溶液をそれぞれ調製した。次いで、これらの溶液をそれぞれ幅30mm、長さ200mm、厚さ14μmの表面を脱脂したCu箔に均一に塗布し、その上に、幅10mm、長さ100mm、厚さ20μmの表面を脱脂したAl箔を貼り付けて接着性試験用ピール試料を作製した。作製した試料を乾燥機により大気中で80℃、5日間の乾燥を行った。次に、乾燥した試料を剥離試験器によりCu箔及びAl箔に対する結着剤の評価を行った。剥離試験方法は、測定する際に試料のCu箔側を試験台に固定し、Cu箔に接着しているAl箔を垂直上方に100mm/分の速度で引っ張り上げて、Al箔がCu箔から引き剥がすのにかかる力を測定した。
【0040】
(3) 電池の密着層に用いられる場合の電池のサイクル容量維持特性試験
先ず、実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた第3結着剤をそれぞれ2gづつ採取し、このサンプルにDMA200gを添加して60℃まで加熱しながら撹拌し、ポリマー溶液とした。この溶液に比表面積150m2/gの黒鉛粉末8g及びこの黒鉛粉末を分散させるための分散剤1.2gをそれぞれ添加し、密着層スラリーを調製した。次いで、正極集電体として厚さ20μm、幅250μmのAl箔を用意し、このAl箔に調製した密着層スラリーをドクターブレード法により塗工及び乾燥し、乾燥後の密着層厚さを10±1μmの範囲内に制御した。また負極集電体として厚さ14μm、幅250μmのCu箔を用意し、このCu箔表面に調製した密着層スラリーをドクターブレード法により塗工及び乾燥し、乾燥後の密着層厚さを10±1μmの範囲内に制御した。次に、下記表1に示される各成分をボールミルで2時間混合することにより、正極活物質層塗工用スラリー、負極活物質層塗工用スラリー及び電解質層塗工用スラリーをそれぞれ調製した。
【0041】
【表1】
Figure 0003982221
【0042】
得られた正極活物質塗工用スラリーを密着層を有するAl箔表面に正極活物質層の乾燥厚さが80μmとなるようにドクターブレード法により塗工及び乾燥し、圧延することにより正極を形成した。同様に、負極活物質塗工用スラリーを密着層を有するCu箔表面に負極活物質層の乾燥厚さが80μmとなるようにドクターブレード法により塗工及び乾燥し、圧延することにより負極を形成した。更に電解質層塗工用スラリーを乾燥厚さが50μmとなるように正極及び負極にそれぞれドクターブレード法により塗工し、これらの電解質層を有する正極及び負極を積層して熱圧着することにより、シート状の電極体を作製した。作製した電極体にNiからなる正極リード及び負極リードをそれぞれ正極集電体、負極集電体に溶接し、開口部を有する袋状に加工したラミネートパッケージ材に収納し、減圧条件下で開口部を熱圧着して封止し、シート状電池を作製した。
次に、得られたシート状電池を最大充電電圧4V、充電電流0.5Aの条件で2.5時間の充電を行う充電工程と、0.5Aの定電流放電で放電電圧が最低放電電圧となる2.75Vとなるまで放電を行う放電工程とを1サイクルとして充放電サイクルを繰り返し、各サイクルの充放電容量をそれぞれ測定して初期放電容量の80%迄低下するサイクル数を測定した。
【0043】
(4) 電池の密着層に用いられる場合の密着層の集電体に対する密着性試験
先ず、実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた第3結着剤を用いて前述した評価試験(3)のシート状電池と同様のシート状電池をそれぞれ作製した。次いで、この電池を70℃環境下で、上記評価試験(3)と同様の条件での充放電サイクルを100サイクル行った。その後、100サイクルの充放電を終えたシート状電池の収納パッケージを除去し、電池の正極と負極を引き剥がしてそれぞれを分離し、分離した正極の密着層及び負極の密着層をピンセットでつまんで引っ張ったときに、密着層が集電体から剥離するか否かを確認した。
【0044】
上記評価試験(1)(4)における評価結果を表2にそれぞれ示す。なお、表2中の評価試験(1)欄における記号は、次の意味である。
◎:均一な無沈殿溶液。
【0045】
また、表2中の評価試験(4)欄における記号は、次の意味である。
◎:密着層が集電体への密着が極めて良好であり、剥離しない。
○:密着層が集電体から部分的に剥離する。
△:密着層が集電体から広い面積にわたって剥離する。
×:密着層が集電体から完全に剥離する。
【0046】
【表2】
Figure 0003982221
【0047】
表2から明らかなように、評価試験(1)のDMAに対する溶解特性は実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた第3結着剤はそれぞれDMAに完全に溶解することができ、更にこの溶液を一日放置しても沈殿は発生せず、塗工用スラリーとして適していることが判った。
評価試験(2)のCu箔及びAl箔に対する接着性試験では、比較例2〜4で得られた第3結着剤を用いた試験では、2N/cm以下となり、密着層材料として接着効果が不十分であることが判る。これに対して、実施例1〜4で得られた第3結着剤を用いてCu箔に接着したAl箔は、Cu箔からの剥離強度が全て10N/cm以上となり、電池の活物質と集電体を接着するのに十分な強度を示した。
【0048】
評価試験(3)のサイクル容量維持特性試験では、比較例1〜4の第3結着剤を用いた電池の80%容量サイクル数に比べて実施例1〜4の第3結着剤を用いた電池の80%容量サイクル数はそれぞれ高いサイクル数を示している。これは、実施例1〜4の第3結着剤が接着特性が優れており、電解液への耐久性が高いため、サイクル容量維持特性が向上されたと考えられる。
評価試験(4)の密着層の集電体に対する密着性試験では、実施例1〜4の第3結着剤を用いた密着層は、比較例1〜4の第3結着剤を用いた密着層に比べて集電体から剥離しにくく、集電体との接着が優れていることを示した。フッ素を含まない共重合体を第3結着剤とした比較例1はCu箔及びAl箔に対する密着特性が高いものの、耐電解液特性が不十分であり、充放電サイクルを繰り返した後では密着層が電池の集電体から剥離する現象が発生した。
【0049】
以上の評価試験より、変性物質、特にアクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチルがPVdFにグラフト化した変性高分子化合物が第1及び第2密着層の第3結着剤に適していることが判った。
【0050】
<実施例5〜11及び比較例5,6>
先ず、第1及び第2結着剤としてPVdF粉末50gを、変性物質として15質量%アクリル酸水溶液260gをそれぞれ用意した。次いで、PVdF粉末をポリエチレン製パックに入れて真空パックし、PVdFへの吸収線量が50kGyとなるようにコバルト60をγ線源としてγ線を照射した。次に、γ線照射したPVdF粉末をポリエチレン製パックより取出して窒素雰囲気に移し、15質量%アクリル酸水溶液260g中にPVdFを供給して80℃に保持し、アクリル酸水溶液と反応させてAA-g-PVdFを合成した。
反応溶液のサンプルを採取し、PVdFにグラフト重合反応したアクリル酸の減少量を滴定により逐次測定し、AA-g-PVdF中のグラフト化されたアクリル酸基の含有割合が2質量%(実施例5)、7質量%(実施例6)、10質量%(実施例7)、13質量%(実施例8)、17質量%(実施例9)、25質量%(実施例10)、40質量%(実施例11)、1質量%(比較例5)及び55質量%(比較例6)になったら、反応を止めて得られた固体状生成物を純水で洗浄して乾燥させ、これらをそれぞれ実施例5〜11及び比較例5,6の第3結着剤とした。
【0051】
<比較評価2>
実施例5〜11及び比較例5,6で得られた第3結着剤を用いて比較評価1の評価試験(1)〜評価試験(4)と同様の試験をそれぞれ行い、9種類のAA-g-PVdFにおけるアクリル酸基の含有割合による接着特性や電池の電気特性の影響について調査した。評価試験(1)及び評価試験(4)の結果を表3に、評価試験(2)の結果を図2に、評価試験(3)の結果を図3にそれぞれ示す。なお、表3中の評価試験(1)欄における記号は、次の意味である。
◎:均一な無沈殿溶液。
○:DMAへ溶解するが、溶液に沈殿が少量発生する。
×:DMAへ溶解できない。
【0052】
また、表3中の評価試験(4)欄における記号は、次の意味である。
◎:密着層が集電体への密着が極めて良好であり、剥離しない。
○:密着層が集電体から部分的に剥離する。
×:密着層が集電体から完全に剥離する。
【0053】
【表3】
Figure 0003982221
【0054】
表3より明らかなように、評価試験(1)のDMAに対する溶解特性では、アクリル酸基の含有割合が25質量%以下である実施例5〜9の第3結着剤は、DMAに完全に溶解し、放置しても沈殿が発生しなかった。アクリル酸基の含有割合が25質量%の実施例10の第3結着剤は、DMAへの溶解が困難になり、溶解した溶液を一日放置すると少量の沈殿が現れた。この少量の沈殿は溶液を更にホモジナイザで長時間撹拌することにより再び溶解する程度であり、銅箔やアルミ箔に接着するには問題ないレベルである。これに対してアクリル酸基の含有割合が55質量%の比較例6ではDMAに殆ど溶解できず、銅箔やアルミ箔に接着するのには適していないことが判る。なお、アクリル酸基の含有割合が1質量%の比較例5はDMAに問題なく溶解した。
評価試験(2)のCu箔及びAl箔に対する接着性試験では、図2に示すように、AA-g-PVdFで接着したCu箔及びAl箔の接着強度は、AA-g-PVdF中に含まれるアクリル酸基の含有割合と相関する。比較例6の結果では含有割合が55質量%以上になると、接着効果が下がることが判る。これは評価試験(1)の結果からも明らかなように、AA-g-PVdFがDMAへの溶解が不十分であったためと考えられる。また、アクリル酸基の含有割合が1質量%の比較例5でも、接着強度が減少した。実施例5〜11の結果から十分な接着特性を得るためには、AA-g-PVdF中のアクリル酸基の含有割合は2〜50質量%が必要であり、10〜30質量%が好ましいことが判る。
【0055】
評価試験(3)のサイクル容量維持特性試験では、図3に示したように、評価試験(2)の接着強度の試験結果と同様な傾向を示していた。
評価試験(4)の密着層の集電体に対する密着性試験では、表3より明らかなように、充放電サイクルを行った後の電池密着層を解析した結果、密着層の密着特性が評価試験(2)及び評価試験(3)と同様に、AA-g-PVdF中のアクリル酸基の含有割合が2〜50質量%であるとき、電池の結着剤として適しており、10〜30質量%が好ましいことが判る。
【0056】
<実施例12〜16及び比較例7,8>
先ず、第1及び第2結着剤としてPVdF粉末50gを、変性物質として15質量%アクリル酸水溶液260gをそれぞれ用意した。次いで、PVdF粉末をポリエチレン製パックに入れて真空パックし、PVdFへの吸収線量がそれぞれ90kGy(実施例12)、70kGy(実施例13)、50kGy(実施例14)、20kGy(実施例15)、10kGy(実施例16)、130kGy(比較例7)及び0.5kGy(比較例8)となるようにコバルト60をγ線源としてγ線を照射した。次に、γ線照射したPVdF粉末をポリエチレン製パックより取出して窒素雰囲気に移し、15質量%アクリル酸水溶液260g中にPVdFを供給して80℃に保持し、アクリル酸水溶液と反応させてAA-g-PVdFを合成した。
反応溶液のサンプルを採取し、PVdFにグラフト重合反応したアクリル酸の減少量を滴定により逐次測定し、AA-g-PVdF中のアクリル酸基の含有割合が17質量%になったら、反応を止めて得られた固体状生成物を純水で洗浄して乾燥させ、これらをそれぞれ実施例12〜16及び比較例7,8の第3結着剤とした。
【0057】
<比較評価3>
実施例12〜16及び比較例7,8で得られた第3結着剤を用いて比較評価1の評価試験(1)〜評価試験(4)と同様の試験をそれぞれ行った。評価試験(1)及び評価試験(4)の結果を表4に、評価試験(2)の結果を図4に、評価試験(3)の結果を図5にそれぞれ示す。なお、表4中の評価試験(1)及び評価試験(4)欄における記号は、比較評価2で用いた記号と同様の意味を有する記号である。
【0058】
【表4】
Figure 0003982221
【0059】
表4より明らかなように、評価試験(1)のDMAに対する溶解特性では、吸収線量が70kGy未満の実施例13〜16では合成したAA-g-PVdFは室温でもDMAに溶解することができた。吸収線量が90kGyの実施例12では、合成したAA-g-PVdFは高温(85℃)状態に維持したDMAに溶解した。これに対して、吸収線量が130kGyの比較例7では、撹拌を加えてもDMAへの溶解はほぼ不可能となることが判った。
評価試験(2)のCu箔及びAl箔に対する接着性試験では、図4に示すように、AA-g-PVdFで接着したCu箔及びAl箔の接着強度は、AA-g-PVdF中に含まれるアクリル酸基の含有割合と相関する。比較例7及び8の結果では吸収線量が1kGy以下、120kGy以上になると、AA-g-PVdFの接着強度が低く、結着剤として適さないことが判る。この理由として、吸収線量が1kGy以下の場合、グラフトされるアクリル酸基が少なく、120kGy以上の場合は、AA-g-PVdFの溶解状況が悪いことが原因であると考えられる。
【0060】
評価試験(3)のサイクル容量維持特性試験では、図5に示したように、評価試験(2)の接着強度の試験結果と同様な傾向を示していた。この結果から、400サイクル以上で80%容量を維持できる電池を作製するために、吸収線量が1kGy〜120kGyの範囲内であることが好ましいことが判った。
評価試験(4)の密着層の集電体に対する密着性試験では、表4より明らかなように、充放電サイクルを行った後の電池密着層を解析した結果、吸収線量が1kGy〜120kGyのPVdFを用いて合成したAA-g-PVdFは電池の密着層結着剤として適していることが判る。安定した密着特性を得るために、γ線吸収線量が20〜100kGyのPVdFを原料として用いることが好ましい。
【0061】
<実施例17>
先ず、第3結着剤として17質量%のアクリル酸をPVdFにグラフト重合したAA-g-PVdFを2g用意した。このAA-g-PVdF2gに溶媒としてDMA98gを添加し、ホモジナイザにより溶解してポリマー溶液とした。導電性物質として比表面積150m2/gの黒鉛粉末8gを用意し、この黒鉛粉末をDMA80gに分散させて分散液を調製した。この分散液を上記ポリマー溶液に加えて密着層スラリーを調製した。
正極集電体として厚さ20μm、幅250mmのAl箔を用意し、このAl箔に調製した密着層スラリーをドクターブレード法により塗工及び乾燥し、乾燥後の密着層厚さが5μmの密着層を有するAl箔を得た。一方、負極集電体として厚さ10μm、幅250mmのCu箔を用意し、このCu箔にドクターブレード法により塗工及び乾燥し、乾燥後の密着層厚さが5μmの密着層を有するCu箔を得た。
次に、上記表1に示される各成分をボールミルで2時間混合することによりそれぞれ正極活物質層塗工用スラリー、負極活物質層塗工用スラリー及び電解質層塗工用スラリーを調製した。
【0062】
得られた正極活物質層塗工用スラリーを密着層を有するAl箔上に正極活物質層の乾燥厚さが80μmとなるようにドクターブレード法により塗工及び乾燥し、圧延することにより正極を形成した。得られた負極活物質層塗工用スラリーを密着層を有するCu箔上に負極活物質層の乾燥厚さが80μmとなるようにドクターブレード法により塗工及び乾燥し、圧延することにより負極を形成した。得られた電解質層塗工用スラリーを厚さ25μm、幅250mmの剥離紙上に電解質層の乾燥厚さが50μmとなるようにドクターブレード法により塗工及び乾燥し、剥離紙より剥がして電解質層シートを形成した。それぞれ形成した正極と電解質シートと負極を順に積層し、積層物を熱圧着することによりシート状の電極体を作製した。
次に、この電極体にNiからなる正極リード及び負極リードをそれぞれ正極集電体及び負極集電体に溶接し、開口部を有する袋状に加工したラミネートパッケージ材に収納し、減圧条件下で熱圧着により開口部を封止し、シート状の電池を作製した。
【0063】
<実施例18>
密着層に用いる変性高分子を17質量%のメタクリル酸をポリフッ化ビニリデンにグラフト重合した上記化学式(2)に示す変性高分子(Methacrylic Acid grafting PolyVinylidene Fluoride、MA-g-PVdF)とした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
<実施例19>
密着層スラリーの調製において、導電性物質を溶媒に分散させるときに、分散剤を1.2g加えて酸性高分子系分散剤含有量を固形物質量中で10.7質量%とした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
<実施例20>
密着層スラリーの調製において、導電性物質を溶媒に分散させるときに、分散剤を1.2g加えて酸性高分子系分散剤含有量を固形物質量中で10.7質量%とした以外は実施例18と同様に電池を作製した。
【0064】
<実施例21>
正極集電体及び負極集電体上に設けた密着層の乾燥厚さをそれぞれ0.5μmとした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
<実施例22>
正極集電体及び負極集電体上に設けた密着層の乾燥厚さをそれぞれ1μmとした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
<実施例23>
正極集電体及び負極集電体上に設けた密着層の乾燥厚さをそれぞれ10μmとした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
<実施例24>
正極集電体及び負極集電体上に設けた密着層の乾燥厚さをそれぞれ15μmとした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
【0065】
<実施例25>
密着層塗工用スラリーの導電性物質である黒鉛粉末を2gとしてバインダと導電性物質との質量比を50/50とした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
<実施例26>
密着層塗工用スラリーの導電性物質である黒鉛粉末を4gとしてバインダと導電性物質との質量比を33/67とした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
<実施例27>
密着層塗工用スラリーの導電性物質である黒鉛粉末を12gとしてバインダと導電性物質との質量比を14/86とした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
<実施例28>
密着層塗工用スラリーの導電性物質である黒鉛粉末を14gとしてバインダと導電性物質との質量比を13/87とした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
【0066】
<比較例9>
密着層を正極集電体及び負極集電体上に設けない以外は実施例17と同様にして電池を作製した。
<比較例10>
密着層塗工用スラリーのバインダをAA-g-PVdFからブチルゴムに、溶媒をDMAからトルエンにした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
<比較例11>
密着層塗工用スラリーのバインダをAA-g-PVdFからアクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体に、溶媒をDMAから水にした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
<比較例12>
密着層塗工用スラリーのバインダをAA-g-PVdFからポリウレタン樹脂に、溶媒をDMAからメチルエチルケトン108gとメチルイソブチルケトン72gの混合溶媒にした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
<比較例13>
密着層塗工用スラリーのバインダをAA-g-PVdFからエポキシ樹脂に、溶媒をDMAからメチルエチルケトン108gとメチルイソブチルケトン72gの混合溶媒にした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
【0067】
<比較例14>
密着層スラリーの調製において、導電性物質を溶媒に分散させるときに、分散剤を3.5g加えて分散剤含有量を26質量%とした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
<比較例15>
正極集電体及び負極集電体上に設けた密着層の乾燥厚さをそれぞれ40μmとした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
<比較例16>
密着層塗工用スラリーの導電性物質である黒鉛粉末を20gとしてバインダと導電性物質との質量比を9/91とした以外は実施例17と同様に電池を作製した。
【0068】
<比較評価>
実施例17〜28及び比較例9〜16で得られた電池について以下の評価試験を行った。
(5) 密着層の電解液に対する耐性試験
実施例17〜28及び比較例9〜16で得られた密着層を有する負極集電体を炭酸プロピレン20質量部、炭酸エチレン40質量部及び炭酸ジエチル40質量部からなる電解液に1週間浸漬して、密着層を有する負極集電体の質量増加量を測定し、密着層の第3結着剤である変性高分子の電解液による膨潤の有無を確かめた。また、負極集電体Cu箔を指で擦り、密着層が剥離するか否かを確認した。
(6) 密着層のフッ化水素(HF)に対する集電体保護性能試験
実施例17〜28及び比較例9〜16において得られた密着層を有する負極集電体の表面に濃度5ppmのフッ化水素酸水溶液2mlを滴下し、24時間放置した後の集電体の状態を確認した。
【0069】
(7) 密着層の活物質層に対する密着性試験
実施例17〜28及び比較例9〜16において得られた正極集電体及び負極集電体の表面にそれぞれ粘着テープを貼付け、ゴムローラで押しつけた。この粘着テープを貼付けた正極集電体及び負極集電体をそれぞれ10mm幅に切取り、10mm幅の集電体を垂直上方に引っ張りあげて活物質層を引き剥がすのにかかる力を測定した。また、その剥がれ方を目視により確認した。
(8) サイクル容量維持特性試験
実施例17〜28及び比較例9〜16において得られたシート状の電池を充放電サイクル試験にかけ、最大充電電圧4.2V、充電0.5Aの条件で2.5時間の充電と、0.5Aの定電流で放電電圧が2.75V(最低放電電圧)となるまで放電を行う充放電サイクルを繰返し、各サイクルの放電容量を測定して初期放電容量の80%まで低下するサイクル数を測定した。
【0070】
上記評価試験(5)〜評価試験(8)における結果を表5に示す。なお表5中の評価試験(5)欄における記号は、次の意味である。
◎:極めて良好であり、剥離しない。
○:良好であり、剥離しない。
△:一部剥離する、
×:完全に剥離する。
【0071】
また、表5中の評価試験(6)欄における記号は、次の意味である。
◎:極めて良好であり、腐食しない。
○:良好であり、腐食しない。
△:一部腐食する。
×:腐食する。
【0072】
【表5】
Figure 0003982221
【0073】
(5) 密着層の電解液に対する耐性試験
比較例10〜13では密着層を有する負極集電体の増加量が大きく、電解液によって密着層を形成しているバインダにより膨潤していることが判る。これに対して実施例17〜28では、電解液に1週間浸漬したにもかかわらず密着層を有する負極集電体の増加量は僅かであり、電解液に対する耐性が示されている。
(6) 密着層のフッ化水素(HF)に対する集電体保護性能試験
比較例9及び11の集電体はHFにより腐食されていた。また、比較例10,12及び13では一部分が腐食されていた。これに対して実施例17〜28の集電体はHFによる腐食されておらず、密着層による保護機能が働いていることが判る。
【0074】
(7) 密着層の活物質層に対する密着性試験
比較例9〜13の密着力に比べ、実施例17〜28では活物質層を引き剥がすのにかかる力が大きい。また、剥がれ方は比較例9〜13は面内にむらがあり、剥がれた部分と剥がれない部分がそれぞれできていた。これに対して実施例17〜28は面内が均一で全面で剥がれていた。
(8) サイクル容量維持特性試験
比較例9〜13の80%容量サイクル数に比べると実施例17〜28ではそれぞれ高いサイクル数を示しており、充放電によるサイクル維持特性が優れることが判る。
【0075】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、正極集電体と正極活物質層との間に第1密着層を有し、及び負極集電体と負極活物質層との間に第2密着層を有し、第1及び第2密着層が第3結着剤と導電性物質の双方をそれぞれ含み、この第3結着剤が第1結着剤又は第2結着剤を変性物質により変性させた高分子化合物であるため、第1結着剤又は第2結着剤を基にした変性高分子は、正極活物質層又は負極活物質層に対する密着力が高く、変性したことにより集電体との密着性も従来の結着剤を用いるより大幅に向上する。その結果、活物質層の集電体からの剥がれを抑制でき、集電体と活物質層との導電性が大幅に向上するため、サイクル容量維持特性も向上させることができる。また、電解液が変性高分子化合物中に浸漬しにくいため、密着層が電解液中の有機溶媒に対して安定で長期保存性に優れる。電池内にフッ酸等の強酸が発生する場合でも変性高分子化合物が保護層となるため、集電体の腐食を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のリチウムイオンポリマー二次電池の電極体を示す部分断面構成図。
【図2】 実施例5〜11及び比較例5,6で得られた第3結着剤の評価試験(2)の結果を示す図。
【図3】 実施例5〜11及び比較例5,6で得られた第3結着剤の評価試験(4)の結果を示す図。
【図4】 実施例12〜16及び比較例7,8で得られた第3結着剤の評価試験(2)の結果を示す図。
【図5】 実施例12〜16及び比較例7,8で得られた第3結着剤の評価試験(4)の結果を示す図。
【符号の説明】
11 正極
12 正極集電体
13 正極活物質層
14 負極
16 負極集電体
17 負極活物質層
18 ポリマー電解質層
19 第1密着層
21 第2密着層

Claims (10)

  1. 正極集電体(12)の表面に第1結着剤が活物質中に含まれてなる正極活物質層(13)が形成された正極(11)と、
    負極集電体(16)の表面に前記第1結着剤と同一又は異なる第2結着剤が活物質中に含まれてなる負極活物質層(17)が形成された負極(14)と、
    電解質(18)とを備えたリチウムイオンポリマー二次電池において、
    前記正極集電体(12)と前記正極活物質層(13)との間に第1密着層(19)を有し、前記負極集電体(16)と前記負極活物質層(17)との間に第2密着層(21)を有し、
    前記第1及び第2密着層(19,21)が第3結着剤と導電性物質の双方をそれぞれ含み、
    前記第3結着剤が、前記第1結着剤又は前記第2結着剤を変性物質により変性させた高分子化合物である
    ことを特徴とするリチウムイオンポリマー二次電池。
  2. 第1又は第2結着剤のいずれか一方又は双方がポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体又はポリフッ化ビニルから選ばれたフッ素含有高分子化合物である請求項1記載のリチウムイオンポリマー二次電池。
  3. 変性物質がエチレン、スチレン、ブタジエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸メチル、メチルビニルケトン、アクリルアミド、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、メタクリル酸、メタクリル酸メチル又はイソプレンから選ばれた化合物である請求項1記載のリチウムイオンポリマー二次電池。
  4. 第1及び第2密着層の厚さがそれぞれ0.5〜30μmである請求項1記載のリチウムイオンポリマー二次電池。
  5. 第1及び第2密着層中に分散剤を更に0.1〜20質量%含有する請求項1又は4記載のリチウムイオンポリマー二次電池。
  6. 導電性物質が粒径0.5〜30μm、黒鉛化度50%以上の炭素材を用い、第1及び第2密着層に含まれる第3結着剤と前記導電性物質との質量比(第3結着剤/導電性物質)が13/87〜50/50である請求項1記載のリチウムイオンポリマー二次電池。
  7. 請求項1ないし6いずれか記載のリチウムイオンポリマー二次電池の密着層に含まれる第3結着剤の合成方法であって、
    前記第3結着剤が第1結着剤又は第2結着剤のいずれか一方又は双方を変性物質により変性させることにより合成され、
    前記合成された第3結着剤を100質量%とするとき、前記第3結着剤に含まれる変性物質の割合が2〜50質量%であることを特徴とする結着剤の合成方法。
  8. 変性物質による変性は、第1又は第2結着剤のいずれか一方又は双方に放射線を照射した後で、前記被照射物に変性物質を混合してグラフト重合することにより行われる請求項7記載の合成方法。
  9. 変性物質による変性は、第1又は第2結着剤のいずれか一方又は双方に変性物質を混合し、前記混合物に対して放射線を照射してグラフト重合することにより行われる請求項7記載の合成方法。
  10. 第1又は第2結着剤のいずれか一方又は双方への放射線照射は、前記第1又は第2結着剤のいずれか一方又は双方への吸収線量が1〜120kGyになるようにγ線を照射することにより行われる請求項8又は9記載の合成方法。
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