JP2003164420A - 内視鏡 - Google Patents

内視鏡

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JP2003164420A
JP2003164420A JP2001370530A JP2001370530A JP2003164420A JP 2003164420 A JP2003164420 A JP 2003164420A JP 2001370530 A JP2001370530 A JP 2001370530A JP 2001370530 A JP2001370530 A JP 2001370530A JP 2003164420 A JP2003164420 A JP 2003164420A
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lubricant
optical fiber
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JP2001370530A
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Sukenao Abe
祐尚 阿部
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Pentax Corp
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Pentax Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】湾曲抵抗が小さく、繰り返し使用しても損傷、
破損を生じにくい内視鏡を提供すること。 【解決手段】本発明の内視鏡は、可撓性(柔軟性)を有
する挿入部2と、挿入部2の基端側に設置された操作部
とを有している。挿入部2は、外皮382などで構成さ
れた管腔の内部に、チューブやワイヤーなどの長尺部材
が配設された構成となっている。管腔の内部には潤滑剤
5が配設され、管腔の内面および長尺部材の表面には、
主としてTiNで構成された被覆層4が形成されてい
る。被覆層4の厚さは、0.3〜8μmであるのが好ま
しい。相手材としてWC製のボールを用いたボールオン
ディスク法を、摺動速度:100mm/秒、荷重:3N
の条件で行ったときに測定される被覆層4の摩擦係数μ
は、0.05〜0.4であるのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内視鏡に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】医療の分野では、消化管等の検査、診断
などに、内視鏡が使用されている。この内視鏡は、体腔
内に挿入される挿入部と、この挿入部の基端側に設置さ
れ、挿入部の先端部を湾曲操作する操作部とを有してい
る。また、この内視鏡は、操作部から延設され、光源装
置や制御装置に接続される接続部を有する。
【0003】挿入部は、曲がった体腔内に挿入され、こ
れに追従できるよう、可撓性を有する可撓管と、その先
端側において湾曲操作される湾曲部とを有する。
【0004】ところで、この挿入部内には、先端方向に
存在する湾曲部を湾曲させる湾曲機構、前記光源装置か
らの光を先端部に伝達するライトガイド、被写体の画像
を操作部に伝達するイメージガイド、治療・細胞検査等
を行う鉗子を挿通するチューブ、薬液等を注入する送気
・送液チューブなどの長尺部材が必要に応じ長手方向に
配設されている。
【0005】そして、この可撓管や湾曲部を湾曲させる
と、湾曲させたことにより内蔵する各長尺部材に摩擦が
生じ、圧力が作用する。この摩擦や圧力から各長尺部材
を保護するため、従来、各長尺部材の周りに潤滑剤を配
していた。
【0006】ところで、このような内視鏡は、繰り返し
使用されるため、その都度、洗浄および滅菌を行う必要
がある。
【0007】従来用いられていた潤滑剤は、このような
滅菌処理により、変質、劣化するという問題点を有して
いた。このような潤滑剤の変質、劣化は、潤滑性の低下
や、内視鏡の故障の原因となる。
【0008】また、耐薬品性にすぐれ、このような滅菌
処理を施してもほとんど変質、劣化しない潤滑剤も知ら
れているが、このような潤滑剤を用いた場合、内視鏡の
用途等によっては、十分な潤滑性が得られず、摺動抵抗
が大きい。特に、ライトガイドやイメージガイドを構成
する光学繊維(光ファイバー)は、十分な潤滑性が得ら
れないと、損傷、破損することがあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、湾曲
抵抗が小さく、繰り返し使用しても損傷、破損を生じに
くい内視鏡を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(21)の本発明により達成される。
【0011】(1) 管腔と、その内部に配設された長
尺部材とを有する内視鏡であって、前記管腔の内面およ
び/または前記長尺部材の表面の少なくとも一部に、主
としてTiNで構成された被覆層が形成されていること
を特徴とする内視鏡。
【0012】これにより、湾曲抵抗が小さく、繰り返し
使用しても損傷、破損を生じにくい内視鏡を提供するこ
とができる。
【0013】(2) 前記被覆層は、少なくともその表
面付近に、塩素イオンを含むものである上記(1)に記
載の内視鏡。これにより、内視鏡の湾曲抵抗がさらに小
さくなる。
【0014】(3) 前記被覆層は、少なくともその表
面付近に、塩素イオンがイオン注入されたものである上
記(1)または(2)に記載の内視鏡。これにより、内
視鏡の湾曲抵抗がさらに小さくなる。
【0015】(4) 前記被覆層の表面における塩素イ
オン濃度は、2×1016〜1×1017[ions/cm2
である上記(2)または(3)に記載の内視鏡。これに
より、内視鏡の湾曲抵抗がさらに小さくなる。
【0016】(5) 前記被覆層は、気相成膜法により
形成されたものである上記(1)ないし(4)のいずれ
かに記載の内視鏡。これにより、被覆層と、該被覆層の
形成部位との密着性が向上する。
【0017】(6) 前記気相成膜法は、化学蒸着法
(CVD)、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレー
ティング、イオンビームミキシングの中から選択される
いずれかの方法である上記(5)に記載の内視鏡。これ
により、被覆層と、該被覆層の形成部位との密着性が向
上する。
【0018】(7) 前記被覆層の平均厚さは、0.0
1〜8μmである上記(1)ないし(6)のいずれかに
記載の内視鏡。これにより、内視鏡の湾曲抵抗がさらに
小さくなる。
【0019】(8) 相手材としてWC製のボールを用
いたボールオンディスク法を、摺動速度:100mm/
秒、荷重:3Nの条件で行ったときに測定される前記被
覆層の摩擦係数μは、0.05〜0.4である上記
(1)ないし(7)のいずれかに記載の内視鏡。これに
より、内視鏡の湾曲抵抗がさらに小さくなる。
【0020】(9) 前記長尺部材は、前記管腔に対し
相対的に移動可能である上記(1)ないし(8)のいず
れかに記載の内視鏡。これにより、内視鏡の湾曲抵抗が
さらに小さくなる。
【0021】(10) 前記管腔の内部には潤滑剤が配
されている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の
内視鏡。これにより、内視鏡の湾曲抵抗がさらに小さく
なる。
【0022】(11) 前記潤滑剤は、粉末潤滑剤を含
むものである上記(10)に記載の内視鏡。
【0023】これにより、潤滑剤の取り扱いが容易にな
るとともに、内視鏡の湾曲抵抗がさらに小さくなる。
【0024】(12) 前記粉末潤滑剤の平均粒径は、
0.01〜20μmである上記(11)に記載の内視
鏡。これにより、内視鏡の湾曲抵抗がさらに小さくな
る。
【0025】(13) 前記潤滑剤は、フッ化炭素、窒
化ホウ素、黒鉛、フッ素系樹脂のうち少なくとも1種を
含むものである上記(10)ないし(12)のいずれか
に記載の内視鏡。
【0026】これにより、内視鏡の湾曲抵抗がさらに小
さくなり、また、耐薬品性が向上する。
【0027】(14) 前記潤滑剤は、シリコーンオイ
ル、グリースのうち少なくとも1種を含むものである上
記(10)ないし(13)のいずれかに記載の内視鏡。
【0028】これにより、潤滑剤の取り扱いが容易にな
るとともに、管腔の内部に配設された長尺部材を衝撃等
から保護することができる。
【0029】(15) 前記潤滑剤は、前記部材の周囲
に配されている上記(10)ないし(14)のいずれか
に記載の内視鏡。これにより、内視鏡の湾曲抵抗がさら
に小さくなる。
【0030】(16) 前記長尺部材は、ワイヤーであ
る上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の内視
鏡。
【0031】これにより、ワイヤーの牽引を円滑に行う
ことができるようになり、内視鏡の湾曲操作の操作性、
追従性が向上する。
【0032】(17) 前記長尺部材は、チューブであ
る上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の内視
鏡。
【0033】これにより、管腔内の長尺部材が損傷、破
損するのをより効果的に防止することができる。
【0034】(18) 前記長尺部材は、光学繊維束で
あり、前記潤滑剤が、前記光学繊維束の外表面の少なく
とも一部に配されている上記(10)ないし(17)の
いずれかに記載の内視鏡。
【0035】これにより、光学繊維束が損傷、破損する
のをより効果的に防止することができる。
【0036】(19) 前記長尺部材は、光学繊維束で
あり、前記潤滑剤が、前記光学繊維束を構成する各光学
繊維の外表面の少なくとも一部に配されている上記(1
0)ないし(18)のいずれかに記載の内視鏡。
【0037】これにより、光学繊維束が損傷、破損する
のをより効果的に防止することができる。
【0038】(20) 前記長尺部材は、光学繊維束で
あり、前記被覆層が、前記光学繊維束の外表面の少なく
とも一部に形成されている上記(1)ないし(19)の
いずれかに記載の内視鏡。
【0039】これにより、光学繊維束が損傷、破損する
のをより効果的に防止することができる。
【0040】(21) 前記長尺部材は、光学繊維束で
あり、前記被覆層が、前記光学繊維束を構成する各光学
繊維の外表面の少なくとも一部に形成されている上記
(1)ないし(20)のいずれかに記載の内視鏡。
【0041】これにより、光学繊維束が損傷、破損する
のをより効果的に防止することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内視鏡を添付図面
に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0043】図1は、本発明の内視鏡(ファイバースコ
ープタイプ)の実施形態を示す全体図、図2は、図1に
示す内視鏡における可撓管の横断面図、図3は、図1に
示す内視鏡における湾曲部の縦断面図、図4は、図2に
示す縦断面図の一部(ライトガイドを構成する光学繊維
束の中央部付近)を拡大して示す拡大断面図である。以
下、図1中、上方を「基端」、下方を「先端」という。
【0044】図1に示すように、本発明の内視鏡1は、
可撓性(柔軟性)を有する長尺物の挿入部2と、挿入部
2の基端側に設置された操作部7とを有している。操作
部7は、術者が把持して内視鏡1全体を操作する部分で
ある。
【0045】図1に示すように、操作部7は、その外壁
を形成する操作部本体71および操作部カバー72と、
後述する湾曲部21を遠隔的に湾曲操作(屈曲操作)す
るための湾曲操作機構と、挿入部2の先端部に供給する
流体を導入する送気・送液チャンネルとを有している。
操作部本体71には、その湾曲操作を行うための湾曲操
作レバー73が回動自在に支持されている。
【0046】操作部本体71の頭部(基端側)には、接
眼部8が設けられている。この接眼部8により、被写体
の画像を直接観察することができる。また、この接眼部
8は、CCD(撮像素子)および撮像光学系等を内蔵す
るカメラ(図示せず)に着脱自在に接続し得るようにな
っている。このため、被写体をモニター画像として観察
することもできる。
【0047】また、操作部本体71における湾曲操作レ
バー73の支持部と反対側には、後述するライトガイド
32が挿通されている可撓性の接続部可撓管9が接続さ
れている。この接続部可撓管9の先端部には、図示しな
い光源装置に接続されるコネクタ10が連結されてい
る。
【0048】挿入部2は、体腔内に挿入して使用され
る。図1に示すように、挿入部2は、手元(基端)側か
ら可撓管20、その先端側に、湾曲(屈曲)可能な湾曲
部21を有している。そして、この湾曲部21の先端
に、先端部22が形成され、さらにその先端には、最先
端部23が形成されている。
【0049】図2に示すように、挿入部2では、外管2
4の内部(管腔)に、イメージガイド31と、ライトガ
イド32と、鉗子挿通用チューブ33と、送気用チュー
ブ34と、送液用チューブ35とが、長手方向に沿って
配設されている。
【0050】これらの各長尺部材(イメージガイド31
と、ライトガイド32と、鉗子挿通用チューブ33と、
送気用チューブ34と、送液用チューブ35)は、外管
24により、外部から隔絶され、保護されている。さら
に、外管24は、挿入部2の表面に接触する物質、例え
ば、薬品や体液などが挿入部2の内部に浸透するのを防
止し、挿入部2内の各部材を保護する。この外管24
は、内側から順に、ワイヤー挿通構縁37と、内皮38
1と、外皮382とが積層された層構造をなしている。
【0051】外皮382は、摩擦により体腔内の組織に
損傷を与えることを防止するため、柔軟性(可撓性)を
有する材料で構成されているのが好ましい。外皮382
の構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレ
フタレート等のポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレ
ン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフ
ッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂等の各種可撓性を有する
樹脂や、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系
エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリア
ミド系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、フ
ッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム
等の各種エラストマーのうちの、1種または2種以上を
組み合わせて用いることができる。
【0052】外皮382の厚さは、挿入部2内の各種部
材を保護可能であり、かつ、挿入部2の可撓性・湾曲性
を妨げないものであれば特に限定されず、100〜30
00μm程度が好ましく、200〜1000μm程度が
より好ましい。
【0053】次に、外管24の内部に配設された長尺部
材(イメージガイド31、ライトガイド32、鉗子挿通
用チューブ33、送気用チューブ34、送液用チューブ
35)について説明する。
【0054】イメージガイド31は、被写体の画像を接
眼部8へ伝達する。このイメージガイド31は、光学繊
維束と、該光学繊維束を保護するための保護チューブ
(第1保護チューブ311および第2保護チューブ31
2)とで構成されている。
【0055】光学繊維束は、複数本の光学繊維6(光フ
ァイバー)で構成されている。各光学繊維6は、接眼部
8と最先端部23の両端部において例えば接着剤により
束ねて固定され、他の部分では、各光学繊維6が個々に
移動可能な状態となっている。これにより、両端部以外
のイメージガイド31の横断面形状は、必要に応じ変形
することができる。
【0056】図3に示すように、挿入部2の最先端部2
3には、対物レンズ39が設置されている。イメージガ
イド31の先端(被写体光の入射端)は、この対物レン
ズ39に接続されている。
【0057】この対物レンズ39は、被写体の画像をイ
メージガイド31の入射端に結像させることができる。
【0058】ライトガイド32は、コネクタ10に接続
された図示しない光源装置の光源からの光を導き、最先
端部23の前方に照射する。これにより、被写体を観察
する際に必要な照明光を得ることができる。
【0059】このライトガイド32は、光学繊維束と、
該光学繊維束を保護するための保護チューブ321とで
構成されている。
【0060】光学繊維束は、複数本の光学繊維6(光フ
ァイバー)で構成されている。各光学繊維6は、コネク
タ10と最先端部23の両端部において例えば接着剤に
より束ねて固定され、他の部分では、各光学繊維6が個
々に移動可能な状態となっている。これにより、両端部
以外のライトガイド32の横断面形状は、必要に応じ変
形することができる。
【0061】イメージガイド31およびライトガイド3
2に用いられる光学繊維6は、石英、多成分ガラス、プ
ラスチック等により構成されている。
【0062】これら光学繊維束を構成する光学繊維6の
直径は、特に限定されないが、2〜40μm程度が好ま
しく、4〜10μm程度がより好ましい。直径が前記下
限値未満であると、光学繊維束の間隙への潤滑剤5の充
填性が悪くなる場合がある。一方、直径が前記上限値を
超えると、画素密度の低下や導光の効率が悪くなる場合
がある。
【0063】鉗子挿通用チューブ33は、中空構造であ
り、ここに鉗子が挿通される。この鉗子により、内視鏡
1は最先端部23の近傍で、種々の処置、治療等を行う
ことができる。
【0064】なお、この鉗子挿通用チューブ33には鉗
子以外の他の医療処置具、診断具などを挿通してもよ
い。
【0065】送気用チューブ34、送液用チューブ35
は、挿入部2の先端で開放しており、その先端開口によ
り体腔内に流体を注入し、あるいは、体腔内から流体を
吸引することができる。例えば、送液用チューブ35に
より、操作部7の前記送気・送液チャンネルから導入さ
れた洗浄水、薬液等を、体腔内に挿入・留置された最先
端部23の近傍に注入、あるいは最先端部23の近傍の
体液等を回収することができる。
【0066】また、図2に示すように、外管24の内側
には管腔が形成されており、この外管24の内面には、
主としてTiNで構成された被覆層4が形成されてい
る。被覆層4については、後に詳述する。さらに、この
管腔内に配設された各長尺部材(イメージガイド31、
ライトガイド32、鉗子挿通用チューブ33、送気用チ
ューブ34、送液用チューブ35)の表面にも被覆層4
が形成されており、外管24の内部(管腔)には、潤滑
剤5が配されている。
【0067】被覆層4は、後に詳述するように、優れた
潤滑性を有している。このため、各長尺部材が外管24
(管腔)に対し相対的に移動した場合(例えば、挿入部
2が湾曲した場合)における、長尺部材−長尺部材間お
よび外管−長尺部材間の摩擦抵抗は小さなものとなる。
したがって、各長尺部材が円滑に移動することが可能と
なり、挿入部2の湾曲抵抗が小さなものとなる。その結
果、各長尺部材の損傷、破損等を効果的に防止すること
が可能となる。
【0068】また、外管24の内部(管腔)に配された
潤滑剤5も、優れた潤滑性を有している。したがって、
潤滑剤5が配されることにより、前述した被覆層4によ
る効果と、潤滑剤5による効果とが相乗的に作用する。
その結果、挿入部2の湾曲抵抗はさらに小さなものとな
り、また、摩擦による損傷から各部材をより確実に保護
することができる。
【0069】また、図2に示すように、保護チューブ3
21の内側には管腔が形成されており、この保護チュー
ブ321の内面には、被覆層4が形成されている。ま
た、この管腔内には長尺部材として光学繊維束が配設さ
れている。さらに、図4に示すように、この光学繊維束
を構成する各光学繊維6の表面には被覆層4が形成され
ており、各光学繊維6の周囲には潤滑剤5が配されてい
る。
【0070】このように、ライトガイド32の光学繊維
束を構成する各光学繊維6の表面および光学繊維束を被
覆する保護チューブ321の内面に被覆層4が形成され
ることにより、光学繊維6が保護チューブ321に対し
相対的に移動した場合(例えば、挿入部2が湾曲した場
合)における、光学繊維6−光学繊維6間および光学繊
維6−保護チューブ321間の摩擦抵抗は小さなものと
なる。このため、各光学繊維6が円滑に移動することが
可能となり、挿入部2の湾曲抵抗が小さなものとなる。
したがって、挿入部2の湾曲時などにおける各光学繊維
への引張り、圧迫、挫屈が抑制され、結果として、ライ
トガイド32の損傷、破損等を効果的に防止することが
できる。
【0071】また、各光学繊維6の周囲に潤滑剤5が配
されることにより、被覆層4による効果と、潤滑剤5に
よる効果とが相乗的に作用し、ライトガイド32の損
傷、破損等を、より効果的に防止することが可能とな
る。
【0072】ライトガイド32と同様に、イメージガイ
ド31についても、保護チューブ311の内面と、保護
チューブ311内に配設された光学繊維束を構成する各
光学繊維6の表面とには、被覆層4が形成されており、
各光学繊維6の周囲には、潤滑剤5が配されている。
【0073】このように、イメージガイド31の光学繊
維束を構成する各光学繊維6の表面および光学繊維束を
被覆する保護チューブ311の内面に被覆層4が形成さ
れることにより、光学繊維6が保護チューブ311に対
し相対的に移動した場合(例えば、挿入部2が湾曲した
場合)における、光学繊維6−光学繊維6間および光学
繊維6−保護チューブ311間の摩擦抵抗は小さなもの
となる。このため、各光学繊維6が円滑に移動すること
が可能となり、挿入部2の湾曲抵抗が小さなものとな
る。したがって、挿入部2の湾曲時などにおける各光学
繊維への引張り、圧迫、挫屈が抑制され、結果として、
イメージガイド31の損傷、破損等を効果的に防止する
ことができる。
【0074】また、各光学繊維6の周囲に潤滑剤5が配
されることにより、被覆層4による効果と、潤滑剤5に
よる効果とが相乗的に作用し、イメージガイド31の損
傷、破損等を、より効果的に防止することが可能とな
る。
【0075】このような各長尺部材を内蔵した湾曲部2
1は、湾曲操作レバー73を回動させ、ワイヤー36を
牽引、弛緩することにより所定の方向に湾曲する(図3
参照)。
【0076】一対のワイヤー36は、挿入部2の中心軸
を介しておおむね対向するように配置されている。ま
た、ワイヤー36(長尺部材)は、ワイヤー挿通構縁3
7と内皮381との間(管腔内)に挿入されている。こ
のワイヤー36の先端は、挿入部2の先端部22の閉塞
された部分に接着、固定されている。
【0077】このため、湾曲操作レバー73を回動さ
せ、一方のワイヤー36を牽引し、他方のワイヤー36
を弛緩すると、図3に示すように、湾曲部21は、その
牽引したワイヤー36の先端のある側へ湾曲する。
【0078】また、操作部7を操作して、挿入部2を軸
を中心に回転させ、これと前記湾曲を組み合わせること
により、360°全方向を観察することができる。
【0079】ワイヤー36には、頻回の牽引操作により
断線を生じることがない程度の強度および耐久性を有
し、また、伸びの少ないものが用いられる。このような
ワイヤーとしては、例えば、ステンレス鋼等の金属線、
ポリアミド、ポリエステル等の樹脂繊維による単線や繊
維束が挙げられる。
【0080】また、ワイヤー36の外径は、その構成材
料や挿入部2の横断面形状、寸法、構成材料等の諸条件
により異なるが、ワイヤー36が例えばポリアクリレー
ト製撚り糸またはステンレス鋼の単線で構成されている
場合、その外径は、30〜3000μm程度が好まし
く、100〜1000μm程度がより好ましい。
【0081】ワイヤー挿通構縁37は、内皮381とと
もにワイヤー36を支持する。両者が、ワイヤー36を
支持することにより、ワイヤー36は定められた方向に
円滑に湾曲できる。
【0082】ワイヤー挿通構縁37および内皮381
は、ワイヤー36を支持可能であり、ワイヤー36を牽
引した場合に、破損の生じない強度および耐久性を有す
る材料(例えばステンレスなど)で構成されている。
【0083】ワイヤー挿通構縁37および内皮381の
厚さは、ワイヤー36を支持可能であり、かつ挿入部2
の可撓性・湾曲性を妨げるものでなければ特に限定され
ず、100〜3000μm程度が好ましく、100〜2
00μm程度がより好ましい。
【0084】ワイヤー36が挿入された管腔(ワイヤー
挿通構縁37と内皮381とで形成された空間)の内面
およびワイヤー36の表面には被覆層4が形成されてい
る。また、この管腔の内部には潤滑剤5が配されてい
る。
【0085】このように、ワイヤー36が挿入された管
腔(ワイヤー挿通構縁37と内皮381とで形成された
空間)の内面およびワイヤー36の表面に、被覆層4が
形成されることにより、ワイヤー36(長尺部材)がこ
の管腔に対し相対的に移動した場合(例えば、ワイヤー
36を牽引した場合)における、管腔の内面−ワイヤー
間の摩擦抵抗は小さなものとなる。このため、挿入部2
の湾曲抵抗が小さくなり、結果として、ワイヤー36の
牽引を円滑に行うことが可能となり、内視鏡1の湾曲操
作の操作性、追従性が向上する。
【0086】また、ワイヤー36が挿入された管腔の内
部に潤滑剤5が配されることにより、被覆層4による効
果と、潤滑剤5による効果とが相乗的に作用し、内視鏡
1の湾曲操作の操作性、追従性がさらに向上する。
【0087】以上説明したように、本発明は、主として
TiNで構成された被覆層4を有する点に特徴を有す
る。
【0088】以下、被覆層4について詳述する。被覆層
4は、主としてTiNで構成されている。このような被
覆層4は、以下に示すような利点を有する。
【0089】1.潤滑性 主としてTiNで構成された被覆層4は、優れた潤滑性
を有する。したがって、被覆層4が形成されることによ
り、挿入部2の湾曲抵抗を有効に低減させることがで
き、しかも、摩擦による損傷から各部材を保護すること
ができる。
【0090】潤滑性を示す指標としては、例えば、JI
S R 1613に準じて測定されるボールオンディス
ク法での摩擦係数μ等が挙げられる。相手材としてWC
製のボールを用いたボールオンディスク法を、摺動速
度:100mm/秒、荷重:3Nの条件で行ったときに
測定される被覆層4の摩擦係数μは、0.05〜0.4
程度であるのが好ましく、0.05〜0.3程度である
のがより好ましく、0.05〜0.2程度であるのがさ
らに好ましい。被覆層4の摩擦係数μがこのような範囲
の値であると、挿入部2の湾曲抵抗をより効果的に低減
させることができ、しかも、摩擦による損傷から各部材
をより確実に保護することができる。
【0091】2.耐薬品性 挿入部2は、使用前後に消毒薬等の薬品に浸漬すること
がある。従来の潤滑剤には、このような薬品と反応して
しまい、劣化しまたは腐食され、長期の使用に耐えられ
ないものもあった。
【0092】これに対し、主としてTiNで構成された
被覆層4は、耐薬品性に優れている。このため、被覆層
4は、そのような薬品に接触しても、変質、劣化しにく
い。
【0093】したがって、主としてTiNで構成された
被覆層4を有する内視鏡1は、消毒薬等の薬品に日常的
に接触する環境下でも、劣化することなく長期にわたっ
て使用することが可能になる。
【0094】3.撥水性・ガスバリヤ性 挿入部2は、過酸化水素系消毒液等を用いた高度な滅菌
に供される。この過酸化水素系消毒液は、挿入部2の内
部に浸透し易く、ゴムや樹脂などに吸着され易い。この
ため、挿入部2を、このような滅菌に繰り返し供する
と、挿入部2内の部材が徐々に劣化していくという問題
があった。
【0095】しかし、主としてTiNで構成された被覆
層4は、撥水性・ガスバリヤ性に優れている。このた
め、このような被覆層が形成されることにより、過酸化
水素系消毒液等が内部に浸透しにくくなり、各部材の劣
化を防止することができる。
【0096】したがって、このような挿入部2は、高度
な滅菌を繰り返し行っても劣化しにくくなり、このよう
な滅菌に繰り返し供することができる。
【0097】4.耐摩耗性 主としてTiNで構成された被覆層4は、耐摩耗性に優
れる。このため、内視鏡1を繰り返し用いても、潤滑性
が低下し難い。
【0098】したがって、主としてTiNで構成された
被覆層4を有する内視鏡1は、極めて優れた耐久性を有
するものとなる。
【0099】このように、主としてTiNで構成された
被覆層4は、前記4つの優れた利点を有し、これらの相
乗効果により、後述するような優れた内視鏡1が提供さ
れる。
【0100】このような被覆層4は、いかなる方法で形
成されたものであってもよいが、気相成膜法で形成され
たものであるのが好ましく、この中でも特に、熱CV
D、プラズマCVD(RFプラズマCVD、ECRプラ
ズマCVD等)、レーザーCVDなどの化学蒸着法(C
VD)、化学スパッタリング、物理スパッタリングなど
のスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング、
イオンビームミキシングのうちいずれかの方法で形成さ
れたものであるのが好ましい。これらの方法を用いるこ
とにより、ムラの少ない均質な被覆層4を比較的容易に
得ることができる。
【0101】以下、イオンプレーティング(アークイオ
ンプレーティング法)による被覆層4の形成方法の一例
について説明する。
【0102】まず、被覆層4を被覆すべき部材を、イオ
ンプレーティング装置の炉内にセットする。
【0103】次に、イオンプレーティング装置の炉内を
減圧し、前記部材を加熱する。このとき、イオンプレー
ティング装置の炉内の圧力は、5×10−3〜10
Torr程度であるのが好ましい。また、前記部材の温
度は、前記部材の構成材料等により若干異なるが、20
0〜600℃程度であるのが好ましい。
【0104】その後、前記部材にバイアス電圧を印加
し、陰極のTiターゲットと陽極との間で真空アーク放
電を発生させることによりTiを蒸気化、イオン化させ
るとともに、プロセスガスである窒素ガスを導入して、
メタルボンバードを所定時間行うことにより、被覆層4
を形成する。
【0105】前記部材に印加するバイアス電圧は、特に
限定されないが、−0.5〜−5V程度であるのが好ま
しい。また、このときのイオンプレーティング装置の炉
内の圧力は、5×10−3〜10−2Torr程度であ
るのが好ましい。
【0106】被覆層4の成膜速度は、特に限定されない
が、0.1〜50μm/hであるのが好ましく、0.1
〜30μm/hであるのがより好ましい。被覆層4の成
膜速度が前記下限値未満であると、成膜に時間がかか
り、内視鏡1の生産性が低下する。一方、被覆層4の成
膜速度が前記上限値を超えると、被覆層4の厚さのバラ
ツキが大きくなり易い。
【0107】以上のようにして形成される被覆層4の厚
さは、特に限定されないが、0.01〜8μmであるの
が好ましく、0.01〜5μmであるのがより好まし
く、0.5〜4μmであるのがさらに好ましい。被覆層
4の厚さが前記下限値未満であると、本発明の効果が十
分に得られない可能性がある。一方、被覆層4の厚さが
前記上限値を超えると、挿入部2の柔軟性が低下する場
合がある。
【0108】以上説明したように本発明では、被覆層4
は、主としてTiNで構成されているものであればいか
なるものであってもよいが、少なくとも、その表面付近
に塩素イオンを含むものであるのが好ましい。これによ
り、上述したような効果がさらに顕著なものとなる。
【0109】塩素イオンは、いかなる方法で導入された
ものであってもよいが、上記のようにして形成された、
主としてTiNで構成された膜に対し、イオン注入を施
すことにより導入されたものであるのが好ましい。これ
により、被覆層4の各部位でのイオン濃度を容易に制御
することが可能となる。その結果、特に潤滑性に優れた
被覆層4を、容易に形成することが可能となる。
【0110】イオン注入に用いるイオン源は、塩素イオ
ンを発生するものであればいかなるものであってもよい
が、例えば、塩素ガス、三塩化アルミニウム等が挙げら
れる。
【0111】また、イオン注入時の加速エネルギーは、
イオン源等により若干異なるが、10000〜1000
000eVであるのが好ましく、50000〜2000
00eVであるのがより好ましい。
【0112】被覆層4が塩素イオンを含むものである場
合、被覆層4の表面における塩素イオン濃度は、特に限
定されないが、2×1016〜1×1017[ions/c
m2]であるのが好ましく、5×1016〜1×1017
[ions/cm2]であるのがより好ましい。
【0113】被覆層4の表面における塩素イオン濃度が
前記範囲内の値であると、上述した効果(特に、潤滑
性)がより顕著なものとなる。
【0114】なお、本実施形態では、塩素イオンは、イ
オン注入により導入されるものとして説明したが、塩素
イオンの導入方法はいかなるものであってもよい。被覆
層4に含まれる塩素イオンは、例えば、上記のような気
相成膜法を、塩素イオン源の存在下で行うことにより、
導入されるものであってもよい。
【0115】前述したように、管腔内に潤滑剤5を配す
ることにより、潤滑性は、さらに優れたものとなる。そ
の結果、挿入部2の湾曲抵抗をより効果的に低減させる
ことができ、摩擦による損傷から各部材をより確実に保
護することができる。次に、潤滑剤5について説明す
る。
【0116】潤滑剤5としては、例えば、二硫化モリブ
デン(MoS2)、窒化ホウ素(BN)、黒鉛、フッ化
炭素((CF)n)、フッ素系樹脂等を含むものが挙げ
られるが、窒化ホウ素(BN)、黒鉛、フッ化炭素
((CF)n)、フッ素系樹脂のうち少なくとも1種を
含むものであるのが好ましい。これらの潤滑剤は、特に
耐薬品性に優れている。
【0117】潤滑剤の形状は、特に限定されないが、粉
末を含むものであるのが好ましい。潤滑剤5が粉末潤滑
剤を含むものであると、潤滑剤5が狭い間隙にも入り込
むことができ、潤滑をより円滑に行うことができるよう
になるとともに、潤滑剤5の取り扱いも容易となる。
【0118】粉末潤滑剤の平均粒径は、特に限定されな
いが、0.01〜20μm程度が好ましく、0.1〜1
6μm程度がより好ましく、1〜14μm程度がさらに
好ましい。平均粒径が、この範囲の上限値を超えると、
潤滑剤5の充填性が悪くなり、十分な潤滑性が得られな
くなる場合がある。一方、この下限値を下回る平均粒径
の潤滑剤は、製造上困難であるとともに、取り扱い性も
低下する。
【0119】潤滑剤5は、前述したような粉末潤滑剤の
中でも、フッ化炭素を含むものであるのが特に好まし
い。潤滑剤5としてフッ化炭素を含むものを用いた場
合、以下に示すような利点が得られる。
【0120】1.潤滑性 フッ化炭素を含有する潤滑剤5は、特に優れた潤滑性を
有する。したがって、このような潤滑剤5を用いること
により、湾曲抵抗を有効に低減させることができ、しか
も、摩擦による損傷から各部材を保護することができ
る。
【0121】2.耐薬品性 挿入部2は、使用前後に消毒薬等の薬品に浸漬すること
がある。従来の潤滑剤には、このような薬品と反応して
しまい、劣化しまたは腐食され、長期の使用に耐えられ
ないものもあった。
【0122】これに対し、フッ化炭素を含有する潤滑剤
5は耐薬品性に優れている。このため、潤滑剤5は、そ
のような薬品に接触しても変質、劣化しにくい。
【0123】したがって、このような潤滑剤5を有する
内視鏡1は、消毒薬等の薬品に日常的に接触する環境下
でも、劣化することなく長期にわたって使用することが
可能になる。
【0124】3.撥水性 挿入部2は、過酸化水素系消毒液等を用いた高度な滅菌
に供される。この過酸化水素系消毒液は、挿入部2の内
部に浸透し易く、ゴムや樹脂などに吸着され易い。この
ため、挿入部2を、このような滅菌に繰り返し供する
と、挿入部2内の部材が徐々に劣化していくという問題
があった。
【0125】しかし、フッ化炭素を含有する潤滑剤5
は、優れた撥水性を有している。このため、このような
潤滑剤5を挿入部2に用いると、過酸化水素系消毒液等
が内部に浸透しにくくなり、各部材の劣化を防止するこ
とができる。
【0126】したがって、このような挿入部2は、高度
な滅菌を繰り返し行っても劣化しにくくなり、このよう
な滅菌に繰り返し供することができる。
【0127】4.絶縁性 フッ化炭素を含有する潤滑剤5は電気絶縁性を有するの
で、挿入部2中で使用できる場所に制限がなく、広く用
いることができる。しかも、これにより挿入部2全体の
絶縁性を高めることができる。
【0128】特に、潤滑剤5を電子内視鏡に使用した場
合、例えばリード線やリード線とCCDとの接続部など
の周辺に潤滑剤5が存在していても短絡等を引き起こす
ことはない。しかも、漏電、感電等を防止することもで
きる。
【0129】このように、フッ化炭素を含有する潤滑剤
5は、前記4つの優れた利点を有し、その相乗効果によ
り、後述するような優れた内視鏡1が提供される。
【0130】フッ化炭素((CF)n)のnの値は、特
に限定されないが、10〜100程度が好ましく、20
〜70程度がより好ましく、30〜40程度がさらに好
ましい。nの値がこの範囲の上限値を超えると、十分な
潤滑性を得られない場合があり、下限値未満だと、撥水
性の点で不十分となる場合があるからである。
【0131】また、フッ化炭素の平均分子量は、特に限
定されないが、前記と同様の理由から、300〜350
0程度が好ましく、600〜2500程度がより好まし
く、900〜1200程度がさらに好ましい。
【0132】なお、潤滑剤5は、シリコーンオイル、グ
リース等のオイル状潤滑剤等を含むものであってもよ
い。このように、潤滑剤5がオイル状潤滑剤を含むもの
であると、潤滑性が向上するだけでなく、潤滑剤の取扱
いが容易となる。さらには、挿入部2の各長尺部材を衝
撃等から保護することも可能になる。
【0133】特に、オイル状潤滑剤としてシリコーンオ
イルを含むものを用い、かつ前記粉末潤滑剤を併用した
場合、以下のような効果が得られる。
【0134】シリコーンオイルは、前記粉末潤滑剤に対
する濡れ性に優れ、また、化学的安定性にも優れてい
る。このため、潤滑剤5中において、シリコーンオイル
は、粉末潤滑剤の周囲を覆うような状態となり、粉末潤
滑剤の経時劣化(例えば、化学変化、粉砕等)を効果的
に防止する。したがって、粉末潤滑剤は、長期間にわた
って安定した潤滑性を維持することができる。その結
果、内視鏡1は、優れた耐久性を有し、長期間にわたっ
て優れた潤滑性を有するものとなる。
【0135】また、シリコーンオイルは、撥水性にも優
れている。このように、シリコーンオイルが優れた撥水
性を有することにより、例えば、内視鏡1を、過酸化水
素系消毒液を用いた高度な滅菌に供した場合であって
も、前記過酸化水素系消毒液が挿入部2の内部等に侵入
するのを効果的に防止することができる。したがって、
例えば、粉末潤滑剤として、耐薬品性が比較的低いもの
を用いた場合であっても、当該粉末潤滑剤を過酸化水素
系消毒液から保護し、変質、劣化するのを効果的に防止
することができる。
【0136】このように、潤滑剤5がシリコーンオイル
を含むことにより、高度な滅菌を繰り返し行っても、優
れた潤滑性を有する粉末潤滑剤が劣化するのを効果的に
防止することができる。
【0137】また、シリコーンオイルは、被覆層4に対
する濡れ性にも優れる。このため、挿入部2の湾曲操作
を繰り返し行っても、潤滑剤5(シリコーンオイルおよ
び粉末潤滑剤)は、被覆層4の表面に保持される。した
がって、特に優れた潤滑性を、長期間にわたって維持す
ることが可能となる。
【0138】また、上述したように、シリコーンオイル
は、被覆層4に対して、優れた濡れ性を有する。このた
め、シリコーンオイルを含む潤滑剤5を用いることによ
り、内視鏡1の製造時における組立作業(例えば、光学
繊維束の外周に保護チューブを被覆する操作)等を、容
易に行うことができる。
【0139】このように、潤滑剤5が粉末潤滑剤とシリ
コーンオイルとを組み合わせることにより、各々の効果
の和を上回る相乗効果が発揮される。
【0140】シリコーンオイルとしては、例えば、ジメ
チルシリコーンオイル(ポリシロキサン)、メチルフェ
ニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンポリシロ
キサン等のストレートシリコーンオイルや、エポキシ変
性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、
アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコ
ーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、フッ素
変性シリコーンオイル、アルキルアラルキルポリエーテ
ル変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性
シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル
等の変性シリコーンオイル等が挙げられ、これらのうち
少なくとも1種を含むものを用いることができる。
【0141】これらのうちでも、特に優れた耐熱性、潤
滑性を有することから、変性シリコーンオイルを主とす
るものであるのが好ましい。
【0142】また、シリコーンオイルは、25℃におけ
る動粘度が100〜500cstであるのが好ましく、
100〜350cstであるのがより好ましい。シリコ
ーンオイルが前記範囲内の動粘度を有することにより、
特に優れた潤滑性が得られる。その結果、光学繊維束等
の損傷、破損等を、より効果的に防止することができ
る。
【0143】また、シリコーンオイルは、耐熱向上剤、
着色剤、金属石鹸等の添加剤を含むものであってもよ
い。
【0144】また、潤滑剤5中には、粉末潤滑剤、オイ
ル状潤滑剤以外の成分(材料)が含まれていてもよい。
例えば、潤滑剤5中には、炭酸カルシウム、シリカ等の
各種添加剤等が含まれていてもよい。
【0145】以上述べたような被覆層4と、潤滑剤5と
を併存させることにより、被覆層4の効果と、潤滑剤5
の効果とが相乗的に作用し、特に優れた効果が得られ
る。すなわち、被覆層4と、潤滑剤5とを併存させるこ
とにより、特に優れた潤滑性が得られるため、挿入部2
を湾曲させたときに生じる各長尺部材間の摩擦が抑制さ
れ、各長尺部材の損傷、破損をより確実に防止すること
ができる。
【0146】しかも、耐薬品性に優れた挿入部2を得る
ことができる。したがって、挿入部2は、消毒薬等の薬
品にさらされても劣化しにくく、薬品等を用いた殺菌・
滅菌等に繰り返し供することが可能となる。
【0147】さらに、被覆層4が高い撥水性・ガスバリ
ヤ性を有するため、酸化エチレンガス等の内部に浸透し
易い物質で滅菌・殺菌等を行った場合でも、かかる物質
が内部に浸透しにくくなる。このため、挿入部2は、酸
化エチレンガス等を用いた高度な滅菌を繰り返し行って
も劣化しにくくなる。
【0148】また、被覆層4が耐薬品性および撥水性・
ガスバリヤ性を有しているため、外部から薬品等が挿入
部2に浸透するのを防止する外皮382および内皮38
1を薄くすることが可能となる。これにより、内視鏡を
細径化することが可能となる。
【0149】このような効果は、被覆層4、潤滑剤5の
組成等を適宜選択することにより、さらに顕著なものと
なる。
【0150】以上、本発明の内視鏡について説明した
が、本発明は、これに限定されるものではない。
【0151】例えば、被覆層4、潤滑剤5を配する部位
は前述した部位に限られない。例えば、接続部可撓管9
や操作部7内の摺動部のような他の部位に、被覆層4、
潤滑剤5を配することができる。また、鉗子挿通用チュ
ーブ33の内面、送気用チューブ34の内面、送液用チ
ューブ35の内面等に被覆層を形成してもよい。また、
被覆層4、潤滑剤5を前述した各部位のうちの特定の部
分にのみ限定して配することもできる。さらに、各部位
で、被覆層4の条件(例えば、構成材料の組成、厚さ
等)や潤滑剤5の条件(例えば、構成材料の組成、粉末
潤滑剤の粒径等)が異なっていてもよい。
【0152】また、ワイヤー36の本数は、前述したよ
うに一対すなわち2本でなくてもよい。例えば、ワイヤ
ー36の本数は、1本でもよく、3本以上であってもよ
い。
【0153】また、各部材の構成は、同様の機能を有す
る任意のものに置換することができる。
【0154】例えば、前述した実施形態は、光学繊維束
をイメージガイドとして用いた光学内視鏡であるが、本
発明は、これに限られず、挿入部の先端部にCCD(撮
像素子)等を内蔵する電子内視鏡であってもよい。
【0155】また、前述した実施形態は、医療用に用い
られる内視鏡であるが、本発明は、これに限られず、工
業用等に用いられる内視鏡であってもよい。
【0156】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0157】1.内視鏡の作製 (実施例1)旭光学工業社製の気管支用ファイバー内視
鏡「FB−15X型」を用いて、図1〜図4に示すよう
な内視鏡を作製した。
【0158】潤滑剤としては、フッ化炭素((C
F)n)の粉末(粉末潤滑剤)を用いた。このフッ化炭
素は、nが30〜40であり、平均粒径が5〜6μmで
あった。
【0159】被覆層は、TiNで構成されたものとし
た。被覆層の形成は、イオンプレーティングにより行っ
た。
【0160】このイオンプレーティングは、日本真空技
術(株)社製のイオンプレーティング装置を用いて以下
のようにして行った。
【0161】まず、被覆層を被覆すべき部材を、イオン
プレーティング装置の炉内にセットした。
【0162】次に、イオンプレーティング装置の炉内を
減圧し、前記部材を加熱した。このとき、イオンプレー
ティング装置の炉内の圧力は、5×10−3Torrで
あった。また、被覆層を被覆すべき部材の温度は、40
0℃であった。
【0163】その後、被覆層を被覆すべき部材にバイア
ス電圧を印加し、陰極のTiターゲットと陽極との間で
真空アーク放電を発生させることによりTiを蒸気化、
イオン化させるとともに、プロセスガスである窒素ガス
を導入して、メタルボンバードを所定時間行うことによ
り、被覆層を形成した。
【0164】前記部材に印加したバイアス電圧は、−2
Vであった。また、このときのイオンプレーティング装
置の炉内の圧力は、5×10−3Torrであった。
【0165】また、被覆層の成膜速度は、1μm/hで
あった。このようにして形成された被覆層の平均厚さ
は、1μmであった。
【0166】(実施例2)潤滑剤として、フッ化炭素
((CF)n)の粉末(粉末潤滑剤)50重量部をシリ
コーンオイル100重量部に分散させたものを用いた以
外は、前記実施例1と同様にして内視鏡を作製した。フ
ッ化炭素は、nが30〜40であり、平均粒径が5〜6
μmであった。また、シリコーンオイルとしては、フッ
素変性シリコーンオイル(25℃における動粘度:20
0cst)を用いた。
【0167】(実施例3)イオンプレーティングにより
形成したTiN膜に塩素イオン注入を行ったものを、被
覆層とした以外は、前記実施例1と同様にして内視鏡を
作製した。
【0168】塩素イオン注入は、日本真空技術(株)社
製のイオン注入装置を用いて以下のようにして行った。
【0169】まず、イオン源として、純度99.99%
の三塩化アルミニウムを用意した。この三塩化アルミニ
ウムをイオン注入装置内で気化させた。この気化した三
塩化アルミニウムをイオン化させ、質量分離し、一価の
塩化イオンのみ選択し、これをTiN膜に注入し、塩素
イオンが注入されたTiN膜で構成された被覆層を得
た。
【0170】このときの加速エネルギーは、10000
0eV、平均イオンビーム電流密度は、4μA/cm
であった。
【0171】このようにして形成された被覆層の表面に
おける塩素イオン濃度は、1×10 17[ions/cm2]で
あった。
【0172】(実施例4)被覆層の平均厚さを0.01
μmとした以外は、前記実施例3と同様にして内視鏡を
作製した。
【0173】(実施例5)被覆層の平均厚さを0.1μ
mとした以外は、前記実施例3と同様にして内視鏡を作
製した。
【0174】(実施例6)被覆層の平均厚さを3μmと
した以外は、前記実施例3と同様にして内視鏡を作製し
た。
【0175】(実施例7)被覆層の平均厚さを8μmと
した以外は、前記実施例3と同様にして内視鏡を作製し
た。
【0176】(実施例8)潤滑剤として、フッ化炭素
((CF)n)の粉末(粉末潤滑剤)50重量部をシリ
コーンオイル100重量部に分散させたものを用いた以
外は、前記実施例3と同様にして内視鏡を作製した。フ
ッ化炭素は、nが30〜40であり、平均粒径が5〜6
μmであった。また、シリコーンオイルとしては、フッ
素変性シリコーンオイル(25℃における動粘度:20
0cst)を用いた。
【0177】(実施例9)被覆層の平均厚さを0.01
μmとした以外は、前記実施例8と同様にして内視鏡を
作製した。
【0178】(実施例10)被覆層の平均厚さを0.1
μmとした以外は、前記実施例8と同様にして内視鏡を
作製した。
【0179】(実施例11)被覆層の平均厚さを3μm
とした以外は、前記実施例8と同様にして内視鏡を作製
した。
【0180】(実施例12)被覆層の平均厚さを8μm
とした以外は、前記実施例8と同様にして内視鏡を作製
した。
【0181】(実施例13〜15)被覆層の表面におけ
る塩素イオン濃度を、それぞれ、表1に示す通りにした
以外は、前記実施例8と同様にして、内視鏡を作製し
た。
【0182】(実施例16)潤滑剤として窒化ホウ素
(BN)の粉末(粉末潤滑剤)を用いた以外は、前記実
施例3と同様にして内視鏡を作製した。このBNの平均
粒径は、5〜6μmであった。
【0183】(実施例17)被覆層の平均厚さを0.1
μmとした以外は、前記実施例16と同様にして内視鏡
を作製した。
【0184】(実施例18)被覆層の平均厚さを8μm
とした以外は、前記実施例16と同様にして内視鏡を作
製した。
【0185】(実施例19)潤滑剤として窒化ホウ素
(BN)の粉末(粉末潤滑剤)50重量部をシリコーン
オイル100重量部に分散させたものを用いた以外は、
前記実施例3と同様にして内視鏡を作製した。BNの平
均粒径は、5〜6μmであった。また、シリコーンオイ
ルとしては、フッ素変性シリコーンオイル(25℃にお
ける動粘度:200cst)を用いた。
【0186】(実施例20)被覆層の平均厚さを0.1
μmとした以外は、前記実施例19と同様にして内視鏡
を作製した。
【0187】(実施例21)被覆層の平均厚さを8μm
とした以外は、前記実施例19と同様にして内視鏡を作
製した。
【0188】(実施例22)潤滑剤としてシリコーンオ
イルを用いた以外は、前記実施例3と同様にして内視鏡
を作製した。なお、シリコーンオイルとしては、フッ素
変性シリコーンオイル(25℃における動粘度:200
cst)を用いた。
【0189】(比較例1)被覆層を形成しなかった以外
は、前記実施例16と同様にして内視鏡を作製した。
【0190】(比較例2)潤滑剤として二硫化モリブデ
ン(MoS2)を用いた以外は、前記比較例1と同様に
して内視鏡を作製した。この二硫化モリブデンの平均粒
径は5μmであった。
【0191】(比較例3)被覆層を二硫化モリブデン
(MoS2)で構成されたものとした以外は、前記実施
例16と同様にして内視鏡を作製した。
【0192】2.評価 <摩擦係数の評価>まず、TiN膜、および塩素イオン
注入されたTiN膜の摩擦係数についての評価を行っ
た。
【0193】摩擦係数を評価する指標としては、JIS
R 1613に準じて測定されるボールオンディスク
法での摩擦係数μを用いた。
【0194】ボールオンディスク法での摩擦係数の測定
は、以下のような条件で行った。まず、複数枚のSUS
304製のディスクを用意し、これらのディスクの上面
に、それぞれ、実施例1〜実施例6と同様な条件で、T
i膜または塩素イオン注入されたTiN膜(以下、単に
「TiN膜」という)を形成した。TiN膜が形成され
たディスク(直径40mm×厚さ5mm)と、WC製の
ボール(直径10mm)とを用い、摺動速度:100m
m/秒、荷重:3Nの条件で、摩擦係数μ(初期、中期
および終期における摩擦係数μ)の測定を行った。ボー
ルオンディスク型摩擦摩耗試験機としては、Centre Su
isse D'Electronique et de Microtechnique SA社
製「CSEM TRIBOMETER」を用いた。
【0195】その結果、TiN膜の摩擦係数μの測定値
は、いずれも0.05〜0.4の範囲の値であった。
【0196】<アングル力量の評価>各実施例および各
比較例で得られた各内視鏡を用いて、以下のような評価
を行った。
【0197】まず、各内視鏡の湾曲操作レバーを操作す
ることにより、湾曲部を湾曲させた。この操作を100
0回繰り返し行った。1000回目の湾曲操作における
アングル力量を以下の4段階の基準に従って評価した。 ◎:最適なアングル力量を有し、内視鏡としての使用に
最適。 ○:適度なアングル力量を有し、内視鏡としての使用に
適する。 △:アングル力量がやや大きく、内視鏡としての使用に
問題あり。 ×:アングル力量が非常に大きく、内視鏡としての使用
に適さない。または破損により、内視鏡としての使用不
可。
【0198】さらに、ガスプラズマ滅菌装置(ジョンソ
ン・エンド・ジョンソンメディカル社製「STERRA
D」)を用いて、これらの内視鏡に対して、過酸化水素
プラズマ滅菌を約75分間かけて行った。この滅菌処理
を100回繰り返し行った後、各内視鏡の湾曲操作レバ
ーを操作することにより、湾曲部を湾曲させた。このと
きのアングル力量を前記と同様にして評価した。
【0199】これらの結果を表1に示す。なお、表1に
は、各内視鏡の被覆層、潤滑剤の条件も併せて示す。
【0200】
【表1】
【0201】表1から明らかなように、本発明の内視鏡
は、いずれも優れた湾曲性を有しており、滅菌処理を繰
り返し行った後も優れた湾曲性が維持されていた。
【0202】これに対し、比較例1の内視鏡は、湾曲性
に劣っていた。また、比較例2および比較例3の内視鏡
は、滅菌処理を行う前においては、優れた湾曲性を有し
ていたが、滅菌処理を繰り返し行うことにより、挿入部
の外皮および内皮に裂け目を生じた。
【0203】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、湾
曲抵抗が小さく、繰り返し使用しても損傷、破損を生じ
にくい内視鏡を得ることができる。
【0204】また、被覆層と、潤滑剤とを併存させるこ
とにより、湾曲抵抗は、さらに小さなものとなる。その
結果、内視鏡の損傷、破損をより確実に防止することが
可能となる。このような効果は、潤滑剤として、粉末潤
滑剤とシリコーンオイルとを含むものを用いることによ
り、さらに顕著なものとなる。
【0205】また、耐薬品性にも優れるため、高度の滅
菌などが繰り返し可能な内視鏡を得ることができる。
【0206】また、被覆層が優れた耐薬品性および撥水
性・ガスバリヤ性を有しているため、外部から薬品等が
挿入部に浸透するのを防止する外皮および内皮を薄くす
ることが可能となる。これにより、内視鏡を細径化する
ことが可能となる。
【0207】このような効果は、潤滑剤、被覆層の組成
等を適宜選択することにより、さらに顕著なものとな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内視鏡の実施形態を示す全体図であ
る。
【図2】図1に示す内視鏡における挿入部の横断面図で
ある。
【図3】図1に示す内視鏡の挿入部における湾曲部の縦
断面図である。
【図4】図2に示す縦断面図の一部(ライトガイドを構
成する光学繊維束の中央部付近)を拡大して示す拡大断
面図である。
【符号の説明】
1 内視鏡 2 挿入部 20 可撓管 21 湾曲部 22 先端部 23 最先端部 24 外管 31 イメージガイド 311 第1保護チューブ 312 第2保護チューブ 32 ライトガイド 321 保護チューブ 33 鉗子挿通用チューブ 34 送気用チューブ 35 送液用チューブ 36 ワイヤー 37 ワイヤー挿通構縁 381 内皮 382 外皮 39 対物レンズ 4 被覆層 5 潤滑剤 6 光学繊維 7 操作部 71 操作部本体 72 操作部カバー 73 湾曲操作レバー 8 接眼部 9 接続部可撓管 10 コネクタ

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管腔と、その内部に配設された長尺部材
    とを有する内視鏡であって、 前記管腔の内面および/または前記長尺部材の表面の少
    なくとも一部に、主としてTiNで構成された被覆層が
    形成されていることを特徴とする内視鏡。
  2. 【請求項2】 前記被覆層は、少なくともその表面付近
    に、塩素イオンを含むものである請求項1に記載の内視
    鏡。
  3. 【請求項3】 前記被覆層は、少なくともその表面付近
    に、塩素イオンがイオン注入されたものである請求項1
    または2に記載の内視鏡。
  4. 【請求項4】 前記被覆層の表面における塩素イオン濃
    度は、2×1016〜1×1017[ions/cm2]である
    請求項2または3に記載の内視鏡。
  5. 【請求項5】 前記被覆層は、気相成膜法により形成さ
    れたものである請求項1ないし4のいずれかに記載の内
    視鏡。
  6. 【請求項6】 前記気相成膜法は、化学蒸着法(CV
    D)、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティン
    グ、イオンビームミキシングの中から選択されるいずれ
    かの方法である請求項5に記載の内視鏡。
  7. 【請求項7】 前記被覆層の平均厚さは、0.01〜8
    μmである請求項1ないし6のいずれかに記載の内視
    鏡。
  8. 【請求項8】 相手材としてWC製のボールを用いたボ
    ールオンディスク法を、摺動速度:100mm/秒、荷
    重:3Nの条件で行ったときに測定される前記被覆層の
    摩擦係数μは、0.05〜0.4である請求項1ないし
    7のいずれかに記載の内視鏡。
  9. 【請求項9】 前記長尺部材は、前記管腔に対し相対的
    に移動可能である請求項1ないし8のいずれかに記載の
    内視鏡。
  10. 【請求項10】 前記管腔の内部には潤滑剤が配されて
    いる請求項1ないし9のいずれかに記載の内視鏡。
  11. 【請求項11】 前記潤滑剤は、粉末潤滑剤を含むもの
    である請求項10に記載の内視鏡。
  12. 【請求項12】 前記粉末潤滑剤の平均粒径は、0.0
    1〜20μmである請求項11に記載の内視鏡。
  13. 【請求項13】 前記潤滑剤は、フッ化炭素、窒化ホウ
    素、黒鉛、フッ素系樹脂のうち少なくとも1種を含むも
    のである請求項10ないし12のいずれかに記載の内視
    鏡。
  14. 【請求項14】 前記潤滑剤は、シリコーンオイル、グ
    リースのうち少なくとも1種を含むものである請求項1
    0ないし13のいずれかに記載の内視鏡。
  15. 【請求項15】 前記潤滑剤は、前記部材の周囲に配さ
    れている請求項10ないし14のいずれかに記載の内視
    鏡。
  16. 【請求項16】 前記長尺部材は、ワイヤーである請求
    項1ないし15のいずれかに記載の内視鏡。
  17. 【請求項17】 前記長尺部材は、チューブである請求
    項1ないし16のいずれかに記載の内視鏡。
  18. 【請求項18】 前記長尺部材は、光学繊維束であり、 前記潤滑剤が、前記光学繊維束の外表面の少なくとも一
    部に配されている請求項10ないし17のいずれかに記
    載の内視鏡。
  19. 【請求項19】 前記長尺部材は、光学繊維束であり、 前記潤滑剤が、前記光学繊維束を構成する各光学繊維の
    外表面の少なくとも一部に配されている請求項10ない
    し18のいずれかに記載の内視鏡。
  20. 【請求項20】 前記長尺部材は、光学繊維束であり、 前記被覆層が、前記光学繊維束の外表面の少なくとも一
    部に形成されている請求項1ないし19のいずれかに記
    載の内視鏡。
  21. 【請求項21】 前記長尺部材は、光学繊維束であり、 前記被覆層が、前記光学繊維束を構成する各光学繊維の
    外表面の少なくとも一部に形成されている請求項1ない
    し20のいずれかに記載の内視鏡。
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