JP2003137554A - リチウム・遷移金属系複合酸化物粉体の製造方法、及びリチウム・遷移金属系複合酸化物粉体 - Google Patents

リチウム・遷移金属系複合酸化物粉体の製造方法、及びリチウム・遷移金属系複合酸化物粉体

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JP2003137554A
JP2003137554A JP2001334116A JP2001334116A JP2003137554A JP 2003137554 A JP2003137554 A JP 2003137554A JP 2001334116 A JP2001334116 A JP 2001334116A JP 2001334116 A JP2001334116 A JP 2001334116A JP 2003137554 A JP2003137554 A JP 2003137554A
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transition metal
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composite oxide
complex oxide
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Akira Utsunomiya
明 宇都宮
Kenji Shizuka
賢治 志塚
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高嵩密度を有し、リチウム二次電池の正極活
物質として用いるに好適なリチウム・遷移金属系複合酸
化物粉体の製造方法、及びリチウム・遷移金属系複合酸
化物粉体を提供する 【構成】 最大径〔La (μm)〕に対する該最大径方
向に直交する方向でその中点における小径〔Lb (μ
m)〕の比〔Lb /La 〕の平均値が0.8以上である
リチウム・遷移金属系複合酸化物粉体に、圧縮剪断応力
を加える後処理を施すリチウム・遷移金属系複合酸化物
粉体の製造方法、及び、二次粒子表面の50%以上が導
電性微粉末で被覆されており、それの前記粒径比〔Lb
/La 〕の平均値が0.8以上であり、タップ密度が
1.8g/cc以上であるリチウム・遷移金属系複合酸
化物粉体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム・遷移金
属系複合酸化物粉体の製造方法、及びリチウム・遷移金
属系複合酸化物粉体に関し、特に高嵩密度を有し、リチ
ウム二次電池の正極活物質として用いるに好適なリチウ
ム・遷移金属系複合酸化物粉体の製造方法、及びリチウ
ム・遷移金属系複合酸化物粉体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、リチウム二次電池は、高エネ
ルギー密度及び高出力密度等に優れ、小型化・軽量化で
きることから、ノート型パソコン、携帯電話、ハンディ
ビデオカメラ等の携帯機器の電源として急激な伸びを示
すと共に、電気自動車等の電源としても注目されてい
る。
【0003】そして、そのリチウム二次電池の正極活物
質としては、リチウムと、マンガン、コバルト、ニッケ
ル等の遷移金属との複合酸化物、例えば、リチウムマン
ガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウ
ムニッケル複合酸化物等が、高性能の電池特性が得られ
ることから注目され、一部実用化に到っている。更に、
複合酸化物としての安定化や、電池としての高容量化或
いは高温での電池特性の改良等を目的とし、経済性等も
勘案して、それらの遷移金属元素の一部を他の金属元素
で置換した各種の複合酸化物の研究も活発化している。
【0004】一方、近年におけるこれら機器等の高性能
化、小型化等の流れに対して、リチウム二次電池のエネ
ルギー容量の更なる向上が要求されており、それに対す
る単位容積当たりのエネルギー容量としてのエネルギー
密度の向上策として、集電体と、その表面に形成され
る、活物質としてのリチウム・遷移金属系複合酸化物粉
体と、導電性微粉末、及び結着材とからなる活物質含有
層とで構成される正極における電極密度を向上させるべ
く、その正極活物質としてのリチウム・遷移金属系複合
酸化物粉体の充填密度を高めることも検討されている。
【0005】ところで、これらのリチウム・遷移金属系
複合酸化物の製造方法としては、例えば、リチウム源化
合物と前記の如き遷移金属源化合物等を、粉砕及び混合
した後、焼成する等の乾式法、又は、リチウム源化合物
と前記の如き遷移金属源化合物等とを水等の媒体に分散
させ粉砕及び混合したスラリーを、或いは、リチウム源
化合物と前記の如き遷移金属源化合物等を粉砕した後、
水等の媒体に分散させ混合したスラリーを、噴霧乾燥等
により乾燥させた後、焼成する等の湿式法等の方法があ
るが、得られる複合酸化物粉体を球状に形成でき、高嵩
密度の粉体が得られ易いことから、後者湿式法の方が優
れる方法とされている(例えば、特開平10−1725
67号公報、特開2001−146426号公報等参
照。)。
【0006】しかしながら、従来知られているリチウム
・遷移金属系複合酸化物、特に、リチウム・マンガン系
複合酸化物の粉体においては、正極活物質として正極に
用いたときの充填密度をリチウム二次電池としてのエネ
ルギー密度を更に向上させ得る程には、その粉体嵩密度
を高めることは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術と
してのリチウム・遷移金属系複合酸化物粉体における前
記課題を解決すべくなされたものであって、従って、本
発明は、高嵩密度を有し、リチウム二次電池の正極活物
質として用いるに好適なリチウム・遷移金属系複合酸化
物粉体の製造方法、及びリチウム・遷移金属系複合酸化
物粉体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、(1)リチウム・遷移
金属系複合酸化物粉体にメカノフュージョン等を発現さ
せる圧縮剪断応力を加える後処理を施すことが嵩密度の
向上に有効であること、(2)一般に、粉体に圧縮剪断
応力を加えたとき、例えば、一次粒子の凝集により形成
されていた二次粒子が一旦一次粒子レベルまで解砕さ
れ、再度、粒子の凝集が行われ、その際の解砕粉が粒子
表面に融着するという、各粒子の解砕及び再凝集によっ
て粒子形状が変化し嵩密度が向上する場合と、例えば、
二次粒子の表面で突起等を形成していた一次粒子が破砕
され、その破砕粉が粒子表面に再融着するという、各粒
子の基本的な形状は維持しつつ、粒子表面の突出部分の
みが破砕されて粒子形状が変化し嵩密度が向上する場合
とがあり得るが、リチウム・遷移金属系複合酸化物粉体
においては、後者の作用機構が主として起こること、
(3)従って、リチウム・遷移金属系複合酸化物粉体を
圧縮剪断応力下に供するにおいては、その粉体形状を球
状に近い形状としておくことが重要であること、等を知
見したことによりなされたもので、従って、本発明は、
最大径〔La (μm)〕に対する該最大径方向に直交す
る方向でその中点における小径〔Lb (μm)〕の比
〔Lb /La〕の平均値が0.8以上であるリチウム・
遷移金属系複合酸化物粉体に、圧縮剪断応力を加える後
処理を施すリチウム・遷移金属系複合酸化物粉体の製造
方法、を要旨とする。
【0009】又、本発明は、二次粒子表面の50%以上
が導電性微粉末で被覆されており、その最大径〔L
a (μm)〕に対する該最大径方向に直交する方向でそ
の中点における小径〔Lb (μm)〕の比〔Lb
a 〕の平均値が0.8以上であり、タップ密度が1.
8g/cc以上であるリチウム・遷移金属系複合酸化物
粉体、を要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のリチウム・遷移金属系複
合酸化物粉体の製造方法において、後述する後処理に供
するリチウム・遷移金属系複合酸化物粉体としては、最
大径〔La (μm)〕に対する該最大径方向に直交する
方向でその中点における小径〔Lb (μm)〕の比〔L
b /La 〕の平均値が0.8以上であることを必須と
し、この比〔Lb /La 〕が0.9以上であるのが好ま
しく、0.95以上であるのが更に好ましい。この比
〔Lb /La 〕が前記範囲未満では、高嵩密度のリチウ
ム・遷移金属系複合酸化物粉体を得ることが困難とな
る。
【0011】尚、ここで、粉体の最大径〔La (μ
m)〕に対する該最大径方向に直交する方向でその中点
における小径〔Lb (μm)〕の比〔Lb /La 〕の平
均値は、走査型電子顕微鏡写真で観察される粉体(後述
する二次粒子)の10個以上を任意に選択し、各々につ
いて、最大径〔La (μm)〕を測定すると共に、その
最大径方向に直交する方向でその中点における小径〔L
b (μm)〕を測定してその比〔Lb /La 〕を算出
し、測定個数の算術平均値を採ったものであり、従っ
て、この最大径と小径は同一平面内での測定値である。
【0012】本発明におけるリチウム・遷移金属系複合
酸化物粉体としては、少なくともリチウム源化合物と遷
移金属源化合物とを、粉砕及び混合した後、焼成する乾
式法により製造されたものであってもよいが、粉砕及び
混合された少なくともリチウム源化合物と遷移金属源化
合物とを含有するスラリーを、噴霧乾燥により乾燥さ
せ、焼成する湿式法により製造されたものであるのが、
得られる粉体の前記粒径比〔Lb /La 〕を前記範囲に
満足させるにおいて好ましい。
【0013】本発明におけるリチウム・遷移金属系複合
酸化物の遷移金属としては、マンガン、コバルト、及び
ニッケルからなる元素群から選択された1種以上を含有
するのが好ましく、それらのリチウム源化合物、マンガ
ン源化合物、コバルト源化合物、及びニッケル源化合物
としては、リチウム、マンガン、コバルト、及びニッケ
ルの各酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、蓚
酸塩、カルボン酸塩、アルキル化物、ハロゲン化物等が
挙げられ、これらの中から、スラリー化における媒体へ
の分散或いは溶解性、複合酸化物への反応性、及び、焼
成時におけるNOx 、SOx 等の非発生性等を考慮して
選択される。
【0014】そのリチウム源化合物としては、具体的に
は、例えば、Li2 O、LiOH、LiOH・H2 O、
Li2 CO3 、LiNO3 、LiOCOCH3 、Li3
(OCOC)3 4 OH(クエン酸リチウム)、LiC
3 、LiC2 5 、LiCl、LiI等が挙げられ、
中で、LiOH、LiOH・H2 O、Li2 CO3 、L
iNO3 、LiCH3 CO2 が好ましく、LiOH、L
iOH・H2 Oが特に好ましい。
【0015】又、マンガン源としては、具体的には、例
えば、MnO2 、Mn2 3 、Mn 3 4 、MnOO
H、MnCO3 、Mn(NO3 2 、MnSO4 、Mn
(OCOCH3 2 、Mn(OCOCH3 3 、MnC
2 、MnCi3 等が挙げられ、中で、MnO2 、Mn
2 3 、Mn3 4 、MnOOHが好ましく、Mn
2、Mn2 3 、Mn3 4 が特に好ましい。
【0016】又、コバルト源化合物としては、具体的に
は、例えば、CoO、Co2 3 、Co3 4 、Co
(OH)2 、Co(NO3 2 ・6H2 O、Co(SO
4 2・7H2 0、Co(OCOCH3 2 ・4H
2 O、CoCl2 等が挙げられ、中で、CoO、Co2
3 、Co3 4 、Co(OH)2 が好ましく、Co
(OH)2 が特に好ましい。
【0017】又、ニッケル源化合物としては、具体的に
は、例えば、NiO、Ni(OH) 2 、NiOOH、N
iCO3 ・2Ni(OH)2 ・4H2 O、Ni(N
3 2・6H2 O、NiSO4 、NiSO4 ・6H2
O、Ni(OCO)2 ・2H2 O、 Ni(OCOCH
3 2 、NiCl2 等が挙げられ、中で、NiO、Ni
(OH)2 、NiOOH、NiCO3 ・2Ni(OH)
2 ・4H2 O、NiC2 4 ・2H2 Oが好ましく、N
iO、Ni(OH)2 、NiOOHが特に好ましい。
【0018】尚、前記リチウム源、マンガン源、コバル
ト源、及びニッケル源の各化合物としては、好ましいと
する前記湿式法において、化合物の状態でスラリー媒体
中に存在する場合の外、スラリー媒体中でカチオンとア
ニオンとに解離し、リチウムカチオン、マンガンカチオ
ン、コバルトカチオン、或いはニッケルカチオンとして
存在する場合も含むものとする。
【0019】又、本発明における前記リチウム・(マン
ガン、コバルト、及びニッケルからなる元素群から選択
された1種以上を含有する遷移金属)系複合酸化物とし
ては、更に、ナトリウム、カリウム、銅、亜鉛、硼素、
アルミニウム、錫、チタン、クロム、及び鉄からなる元
素群から選択された1種以上を含有するのが好ましい。
【0020】ここで、ナトリウム源化合物、カリウム源
化合物、銅源化合物、亜鉛源化合物、硼素源化合物、ア
ルミニウム源化合物、錫源化合物、チタン源化合物、ク
ロム源化合物、及び鉄源化合物としては、ナトリウム、
カリウム、銅、亜鉛、硼素、アルミニウム、錫、チタ
ン、クロム、及び鉄の各酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝
酸塩、硫酸塩、蓚酸塩、タングステン酸塩、カルボン酸
塩、アルキル化物、ハロゲン化、炭化物等が挙げられる
が、これらの中から、スラリー化における媒体への分散
或いは溶解性、複合酸化物への反応性、及び、焼成時に
おけるNOx 、SOx 等の非発生性等を考慮して選択さ
れる。又、これらの各化合物としても、好ましいとする
前記湿式法において、化合物の状態でスラリー媒体中に
存在する場合の外、スラリー媒体中でカチオンとアニオ
ンとに解離し、これら各元素のカチオンとして存在する
場合も含むものとする。
【0021】以上の含有元素の中で、本発明において
は、アルミニウムが好ましく、そのアルミニウム源化合
物としては、具体的には、例えば、Al2 3 、Al
(OH) 3 、AlOOH、Al(NO3 3 ・9H
2 O、Ai2 (SO4 3 、Al(OCOCH3 3
AlCl3 等が挙げられ、中で、Al2 3 、Al(O
H)3、AlOOHが好ましく、AlOOHが特に好ま
しい。
【0022】尚、本発明において、前記各元素源化合物
としては、粉砕等の適宜の手段により、好ましくは10
μm以下、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは
2μm以下の平均粒子径の粉粒体として用いるのが好ま
しい。
【0023】又、本発明におけるリチウム・遷移金属系
複合酸化物として、層状構造の複合酸化物においては、
Li/遷移金属元素が、モル比で、好ましくは0.8〜
1.2、更に好ましくは0.9〜1.2となるような割
合で前記各元素源化合物を用い、又、スピネル構造の複
合酸化物においては、Li/遷移金属元素が、モル比
で、好ましくは0.4〜0.6、更に好ましくは0.4
5〜0.55となるような割合で前記各元素源化合物を
用いる。
【0024】又、好ましいとする前記湿式法において、
少なくとも前記リチウム源化合物と、前記遷移金属源化
合物とを含有し、必要に応じて、その他の前記含有元素
源化合物を含有するスラリーとしては、水等の媒体中に
これらの化合物を加え、媒体攪拌式粉砕機等の湿式粉砕
機を用いて粉砕及び混合するか、或いは、これらの化合
物をハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェット
ミル等の乾式粉砕機を用いて粉砕した後、水等の媒体中
に加え混合する等のいずれの方法が採られてもよいが、
水等の媒体中で粉砕及び混合する前者方法が、均一なス
ラリーが得られる上で好ましい。
【0025】その好ましいとする前記湿式法において、
スラリー中における化合物全体による固形分濃度として
は、後述する噴霧乾燥により形成される粉体粒子径を最
適な範囲に確保する上で、通常10重量%以上、好まし
くは12.5重量%以上とし、又、均一なスラリーを確
保する上で、通常50重量%以下、好ましくは35重量
%以下とする。
【0026】又、スラリー中における各化合物の平均粒
子径は、前述の粉砕混合方法及びその条件により制御す
ることができるが、レーザー回折/散乱式粒度分布測定
装置により測定した値として、後述する焼成における反
応性、及び高嵩密度を確保する上で、通常2μm以下、
好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.5μm以下
とし、又、経済性の面から、通常0.01μm以上、好
ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm
以上とする。
【0027】又、前記湿式法において、粉砕及び混合さ
れた少なくとも前記リチウム源化合物と前記遷移金属源
化合物とを含有する前記スラリーを乾燥させる手段とし
ては、噴霧乾燥、或いは転動乾燥によるのが好ましく、
噴霧乾燥によるのが特に好ましい。
【0028】ここで、噴霧乾燥とは、前記スラリーを液
滴化して加熱された気体流中へ噴霧飛散させ、該気体流
で搬送しながら急速に乾燥させて粉体を得る公知の乾燥
法であり、その装置としては、例えば、ロータリーアト
マイザー、二流体ノズル型或いは四流体ノズル型スプレ
ードライヤー等が挙げられる。又、スプレードライヤー
等における液滴化する際の加圧気体としては、空気、窒
素等が用いられ、そのガス線速は、通常100〜100
0m/秒の範囲で、スラリー濃度、目的とする粒子径等
により適宜選定される。又、加熱された気体流として
は、通常50℃以上、好ましくは70℃以上とし、通常
350℃以下、好ましくは300℃以下の温度とする。
【0029】この噴霧乾燥により、前記各化合物の粉砕
混合物としての球形状の粉体が得られる。その粉体の平
均粒子径は、前述の噴霧方法、ノズル形状、加圧気体噴
射速度、スラリー供給速度、加熱気体流温度等によって
制御することができるが、レーザー回折/散乱式粒度分
布測定装置により測定した値として、1〜100μmの
範囲とするのが好ましい。
【0030】前記噴霧乾燥により得られた粉体は、例え
ば、箱型炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等
の装置内で、空気等、酸素濃度が、通常10容積%以
上、好ましくは20容積%以上の酸素含有ガス雰囲気
下、或いは酸素ガス雰囲気下で加熱処理し焼成される。
【0031】その際の焼成温度としては、通常500℃
以上、好ましくは550℃以上とし、又、通常1000
℃以下、好ましくは950℃以下とする。尚、その際の
加熱時間としては、1〜100時間程度とし、常温から
前記加熱温度までの昇温は、5℃/分以下の速度で徐々
に行うのが好ましく、その間に一定温度での保持時間を
設けてもよく、又、加熱処理後、通常800℃、好まし
くは600℃までは、5℃/分以下の速度で徐冷するの
が好ましい。
【0032】以上により得られる本発明におけるリチウ
ム・遷移金属系複合酸化物粉体は、通常、一次粒子が凝
集して二次粒子を形成してなるものであり、その一次粒
子の平均粒子径は、前記各化合物の粉砕条件、焼成温
度、焼成時間等により、又、その二次粒子の平均粒子径
は、前記各化合物の粉砕条件、湿式法における乾燥条
件、及び焼成後の粉砕や分級条件等により、それぞれ制
御することができる。本発明において、走査型電子顕微
鏡により観察、測定した値としての平均一次粒子径は、
好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.3μm
以上であり、好ましくは10μm以下、更に好ましくは
5μm以下のものであり、又、レーザー回折/散乱式粒
度分布測定装置により測定した値としての平均二次粒子
径は、好ましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以
上であり、好ましくは100μm以下、更に好ましくは
50μm以下のものである。又、BET法による比表面
積が、好ましくは0.1m2 /g以上、更に好ましくは
0.3m2 /g以上であり、好ましくは10m2 /g以
下、更に好ましくは5m2 /g以下のものである。
【0033】そして、本発明のリチウム・遷移金属系複
合酸化物粉体の製造方法は、以上の方法により得られた
リチウム・遷移金属系複合酸化物粉体に圧縮剪断応力を
加える後処理を施すことを必須とする。
【0034】ここで、圧縮剪断応力を加える後処理と
は、複合酸化物粉体粒子に圧縮及び剪断応力を負荷して
粉体粒子を圧縮すると共に、その負荷応力により粉体粒
子の表面の一部が削られることにより発生する微粉を粒
子表面に再融着させる作用を伴う、所謂、メカノフュー
ジョンを発現させる処理を言い、具体的には、例えば、
円筒回転ドラムと、このドラム内の中心軸に固定され、
先端にドラムの内周面に接する半球形状の押圧剪断ヘッ
ドを備えた第1アームと、回転ドラムの回転前方に所定
角度を隔てて中心軸に固定され、先端にドラムの内周面
に接する鋭角状の爪を備えた第2アームとで構成された
処理装置等を用いて処理がなされる。
【0035】尚、この圧縮剪断応力を加える後処理にお
いて、リチウム・遷移金属系複合酸化物粉体を正極活物
質として用いるにおいて併用される後述の導電性微粉末
の一部を共存させておくことにより、この後処理による
高嵩密度化の効果をより顕著に発現させることが可能と
なる。
【0036】この後処理において導電性微粉末を共存さ
せることにより、リチウム・遷移金属系複合酸化物粉体
の二次粒子表面は、その全表面の好ましくは50%以
上、更に好ましくは80%以上が該導電性微粉末で被覆
され、それの前記粒径比〔Lb/La 〕の平均値が前記
範囲を満足する中で真球に近いものとなって、タップ密
度が後述する範囲を容易に満足させることができると共
に、二次電池の正極の正極活物質として、正極の導電性
を向上させることが可能となる。
【0037】本発明において、この後処理に用いられる
処理方式としては、具体的には、例えば、ホソカワミク
ロン社の「メカノフュージョンシステム」、奈良機械製
作所社の「ハイブリダイゼーションシステム」等が挙げ
られる。
【0038】本発明のリチウム・遷移金属系複合酸化物
粉体の製造方法により得られるリチウム・遷移金属系複
合酸化物粉体は、粉体充填密度としての200回タップ
後のタップ密度が、好ましくは1.8g/cc以上、更
に好ましくは2.0g/cc以上のものである。そし
て、そのタップ密度の圧縮剪断処理前のタップ密度に対
する比が、好ましくは1.10以上、更に好ましくは
1.20以上となって、嵩密度における顕著な改良効果
を示すものとなる。
【0039】本発明のリチウム・遷移金属系複合酸化物
粉体の製造方法によるリチウム・遷移金属系複合酸化物
粉体は、高嵩密度を有することから、リチウム二次電池
の正極活物質として用いるに好適である。
【0040】本発明の製造方法により得られるリチウム
・遷移金属系複合酸化物粉体のリチウム二次電池の正極
活物質としての使用法は、従来公知の方法による。即
ち、正極活物質としての本発明により得られるリチウム
・遷移金属系複合酸化物粉体を、結着材と共に、必要に
応じて導電性微粉末を加え、溶媒に分散させた塗布液と
なし、該塗布液を集電体表面に塗布し、乾燥させた後、
好ましくは一軸プレスやロールプレス等により圧密化処
理を行うことにより、集電体表面に正極活物質含有層を
形成し、正極とされる。
【0041】ここで、用いられる結着材としては、例え
ば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロ
エチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン等
の樹脂、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブ
タジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、弗素ゴム等の
ゴム、その他、ポリ酢酸ビニル、セルロース等の高分子
物質が、又、導電性微粉末としては、天然黒鉛、人造黒
鉛等の黒鉛、アセチレンブラック、ファーネスブラッ
ク、特殊ファーネスブラック(ケッチェンブラック)等
のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素
等の各種炭素材料が、それぞれ挙げられる。
【0042】尚、その導電性微粉末としては、BET法
により比表面積が、好ましくは10〜2000m2
g、更に好ましくは50〜1500m2 /gで、平均粒
子径が、前記リチウム・遷移金属系複合酸化物粉体の平
均二次粒子径の、好ましくは1/5以下、更に好ましく
は1/20以下のものが好適である。
【0043】又、塗布に用いられる溶媒としては、例え
ば、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のエーテ
ル系溶媒、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の
ケトン系溶媒、酢酸メチル、アクリル酸メチル等のエス
テル系溶媒、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルア
ミノプロピルアミン等のアミン系溶媒、N−メチルピロ
リドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド
等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
【0044】又、集電体としては、アルミニウム、ステ
ンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の、厚みが、通常1〜1
000μm、好ましくは5〜500μmの箔が挙げら
れ、正極の集電体としてはアルミニウム箔が好ましい。
尚、正極活物質含有層の厚みは、通常1〜1000μ
m、好ましくは10〜200μmとされる。
【0045】又、正極活物質含有層における正極活物質
の含有割合は、電池容量等の電池特性を確保する上で、
通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、更に
好ましくは50重量%以上とし、電極としての機械的強
度等を確保する上で、通常99.9重量%以下、好まし
くは99重量%以下、更に好ましくは95重量%以下と
する。又、結着材の含有割合は、電極としての機械的強
度等を確保する上で、通常0.1重量%以上、好ましく
は1重量%以上、更に好ましくは5重量%以上とし、電
池容量や導電性等の電池特性を確保する上で、通常80
重量%以下、好ましくは60重量%以下、更に好ましく
は40重量%以下とする。又、導電性微粉末の含有割合
は、導電性等の電池特性を確保する上で、通常0.01
重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、更に好まし
くは1重量%以上とし、電池容量等の電池特性を確保す
る上で、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以
下、更に好ましくは15重量%以下とする。
【0046】又、負極は、負極活物質を、結着材と共に
溶媒に分散させた塗布液となし、該塗布液を集電体表面
に塗布し、乾燥させた後、好ましくは一軸プレスやロー
ルプレス等により圧密化処理を行うことにより、集電体
表面に負極活物質含有層を形成し、負極とされる。
【0047】ここで、用いられる負極活物質としては、
例えば、リチウム、リチウムアルミニウム合金、黒鉛、
石炭系や石油系コークスの炭化物、石炭系や石油系ピッ
チの炭化物、ニードルコークス、ピッチコークス、フェ
ノール樹脂や結晶セルロース等の炭化物、ファーネスブ
ラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、及
び、SnO、SnO2 、Sn1-x x O(MはHg、
P、B、Si、Ge、又はSbであり、xは0≦x<1
である。)、Sn3 2 (OH)2 、Sn3-x x 2
(OH)2 (MはMg、P、B、Si、Ge、Sb、又
はMnであり、xは0≦x<3である。)、LiSiO
2 、SiO2 、LiSnO2 等が挙げられ、又、結着
材、溶媒等は前記正極の形成におけると同様のものが挙
げられる。又、集電体としては、銅、ニッケル、ステン
レス鋼、ニッケルメッキ鋼等の箔が挙げられ、負極の集
電体としては銅箔が好ましい。
【0048】そして、集電体表面に正極活物質含有層を
有する正極と、集電体表面に負極活物質含有層を有する
負極と、電解質層と、必要に応じて正極と負極の間に介
在させるセパレータとから、リチウム二次電池が構成さ
れる。
【0049】ここで、電解質層としては、例えば、電解
質を溶媒に溶解させた有機電解液、又は、高分子固体電
解質、ゲル状電解質、無機固体電解質等が用いられ、中
で、有機電解液が好ましい。
【0050】その有機電解液における電解質としては、
例えば、LiCl、LiBr、LiClO4 、LiAs
6 、LiPF6 、LiBF4 、LiB(C
6 5 4 、LiCH3 SO3 、LiCF3 SO3 、L
iN(SO2 CF3 2 、LiN(SO 2
2 5 2 、LiN(SO3 CF3 2 、LiC(SO
2 CF3 3 等が挙げられ、又、溶媒としては、例え
ば、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、
1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−
メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,
3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン
等のエーテル類、4−メチル−2−ペンタノン等のケト
ン類、メチルホルメート、メチルアセテート、メチルプ
ロピオネート等のエステル類、ジメチルカーボネート、
ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エ
チレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレ
ンカーボネート、ビニレンカーボネート等のカーボネー
ト類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラ
クトン類、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化
水素類、スルホラン、メチルスルホラン等のスルホラン
系化合物類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチ
ロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル等のニト
リル類、ジエチルアミン、エチレンジアミン、トリエタ
ノールアミン等のアミン類、リン酸トリメチル、リン酸
トリエチル等のリン酸エステル類、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキ
シド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
【0051】又、セパレータとしては、ポリエチレン、
ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリビニリデンフ
ルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリアクリロニトリ
ル、セルロース、セルロースアセテート等の高分子の微
多孔性フィルム、これら高分子やガラス繊維等の不織布
等が用いられる。
【0052】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施
例に限定されるものではない。
【0053】比較例1 リチウム源化合物としての水酸化リチウム〔LiOH〕
と、マンガン源化合物としての三二酸化マンガン〔Mn
2 3 〕と、アルミニウム源化合物としてのベーマイト
〔AlOOH〕を、最終的に得られるスピネル構造のリ
チウム・マンガン・アルミニウム複合酸化物における各
原子のモル比が、リチウム原子〔Li〕:マンガン原子
〔Mn〕:アルミニウム原子〔Al〕=1.04:1.
84:0.12となる量で、純水に加えて固形分濃度3
0重量%のスラリーを調製し、このスラリーを、循環式
媒体攪拌型湿式粉砕機(シンマルエンタープライゼス社
製「ダイノーミルKD−20B型」)を用いて混合する
と共に、スラリー中の各化合物の平均粒子径が、レーザ
ー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定した値とし
て0.5μmになるまで湿式粉砕した。次いで、得られ
たスラリーを、四流体ノズル噴霧型スプレードライヤー
(藤崎電機社製)を用いてノズルから噴出させ、噴霧乾
燥により乾燥させた後、得られた粉体粒子を空気中で9
00℃で10時間焼成することにより、モル比で、リチ
ウム原子〔Li〕:マンガン原子〔Mn〕:アルミニウ
ム原子〔Al〕=1.04:1.84:0.12のリチ
ウム・マンガン・アルミニウム複合酸化物粉体を製造し
た。
【0054】得られたリチウム・マンガン・アルミニウ
ム複合酸化物粉体は、ほゞ球形を有する粒子であり、粉
末X線回折を測定したところ、立方晶のスピネル構造の
リチウム・マンガン・アルミニウム複合酸化物であるこ
とが確認された。又、目開き53μmのSUS304製
篩を通過させて解砕したところ、走査型電子顕微鏡によ
り観察、測定した値としての平均粒子径が0.5〜1μ
m程度の一次粒子が凝集して、レーザー回折/散乱式粒
度分布測定装置(堀場社製「LA910」)により測定
した値としての平均粒子径が約8μmの二次粒子を形成
したものであった。又、全自動粉体比表面積測定装置
(大倉理研製「AMS8000型」)を用いてBET法
による比表面積を測定したところ、0.9m2 /gであ
った。
【0055】又、得られた複合酸化物粉体を走査型電子
顕微鏡により観察し、その二次粒子の20個を任意に選
択し、各々について、最大径〔La (μm)〕を測定す
ると共に、その最大径方向に直交する方向でその中点に
おける小径〔Lb (μm)〕をそれぞれ測定してその比
〔Lb /La 〕を算出したところ、その算術平均値は
0.97であった。又、得られた複合酸化物粉体の10
gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、200
回タップした後の粉体充填密度をタップ密度として測定
したところ、1.7g/ccであった。
【0056】又、得られたリチウム・マンガン・アルミ
ニウム複合酸化物粉体、導電性微粉末としてのアセチレ
ンブラック、及び、結着材としてのポリテトラフルオロ
エチレン粉末を、75重量%:20重量%:5重量%の
割合となる量で乳鉢中で混合した後、直径12mmの円
形に打ち抜いたときの重量が17.0mgとなる厚さで
シートに成形し、該シートから直径12mmの円形に打
ち抜き、直径16mmのアルミニウム製エキスパンドメ
タルの片面にハンドプレス機にて圧着することにより正
極を作製した。一方、金属リチウムシートから直径13
mmの円形に打ち抜いて負極を作製し、両電極をポリエ
チレン製セパレータを介して配置し、電解液として、エ
チレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒
(容積比3:7)に電解質として1モル/リットルの六
弗化燐酸リチウム(LiPF6 )を溶解させた有機電解
液を用いて、CR2032型(直径20mm、厚さ3.
2mm)のコイン電池を組み立てた。得られたコイン電
池は、25℃の恒温槽中において、3.2〜4.35V
の範囲で0.5Cの充放電を行うことにより電池容量を
測定したところ、充電容量118mAh/g、放電容量
115mAh/gであった。以上の結果を表1に示し
た。
【0057】実施例1 前記比較例1におけると同様にして製造したリチウム・
マンガン・アルミニウム複合酸化物粉体に、ホソカワミ
クロン社製メカノフュージョンシステム「AM−20F
S」を用いて、回転数を2000rpmとして10分
間、圧縮剪断応力を加えることにより後処理を施した。
後処理後に得られたリチウム・マンガン・アルミニウム
複合酸化物粉体について、前記と同様にしてタップ密度
を測定し、更に、コイン電池を組み立ててその充電容量
及び放電容量を測定し、結果を表1に示した。
【0058】実施例2 前記実施例1おける圧縮剪断応力を加える後処理時に、
ケッチェンブラック(BET法による比表面積1270
2 /g、三菱化学社製「EC600JD」)を、複合
酸化物粉体100重量部に対して1重量部共存させた外
は、実施例1と同様にして後処理を施した。後処理後に
得られたリチウム・マンガン・アルミニウム複合酸化物
粉体は、走査型電子顕微鏡で観察したところ、その二次
粒子表面の95%以上がケッチェンブラックにより被覆
されたものであった。そのリチウム・マンガン・アルミ
ニウム複合酸化物粉体について、前記と同様にしてタッ
プ密度を測定し、更に、コイン電池を組み立てて測定し
たその充電容量及び放電容量を測定し、結果を表1に示
した。
【0059】実施例3 前記と同様の方法で測定した粒径比〔Lb /La 〕が
0.98、タップ密度が2.4g/ccである市販のリ
チウム・ニッケル複合酸化物粉体を用い、実施例1と同
様にして後処理を施した。後処理後に得られたリチウム
・ニッケル複合酸化物粉体について、前記と同様にして
タップ密度を測定し、結果を表1に示した。
【0060】比較例2 リチウム源化合物としての水酸化リチウム〔LiOH〕
と、マンガン源化合物としての三二酸化マンガン〔Mn
2 3 〕と、アルミニウム源化合物としてのベーマイト
〔AlOOH〕を、最終的に得られるスピネル構造のリ
チウム・マンガン・アルミニウム複合酸化物における各
原子のモル比が、リチウム原子〔Li〕:マンガン原子
〔Mn〕:アルミニウム原子〔Al〕=1.04:1.
84:0.12となる量で、ボールミルにて粉砕、混合
した後、空気中で900℃で24時間焼成することによ
り、モル比で、リチウム原子〔Li〕:マンガン原子
〔Mn〕:アルミニウム原子〔Al〕=1.04:1.
84:0.12のリチウム・マンガン・アルミニウム複
合酸化物粉体を製造した。
【0061】得られたリチウム・マンガン・アルミニウ
ム複合酸化物粉体は、粉末X線回折を測定したところ、
立方晶のスピネル構造のリチウム・マンガン・アルミニ
ウム複合酸化物であることが確認された。又、目開き5
3μmのSUS304製篩を通過させて解砕したとこ
ろ、平均粒子径が0.5〜1μm程度の一次粒子が凝集
して、平均粒子径が約6μmの二次粒子を形成したもの
であった。又、得られた複合酸化物粉体について、前記
と同様の方法で粒径比〔Lb /La 〕を測定し、更に、
前記と同様にしてタップ密度を測定し、コイン電池を組
み立ててその充電容量及び放電容量を測定し、結果を表
1に示した。
【0062】引き続いて、実施例1におけると同様にし
て圧縮剪断応力を加えることによる後処理を施し、後処
理後に得られたリチウム・ニッケル複合酸化物粉体につ
いて、前記と同様にしてタップ密度を測定し、更に、コ
イン電池を組み立ててその充電容量及び放電容量を測定
し、結果を表1に示した。
【0063】
【表1】
【0064】以上の比較例と実施例の結果から、本発明
の製造方法により得られる実施例のリチウム・遷移金属
系複合酸化物粉体は、比較例の複合酸化物粉体に対する
嵩密度の向上効果が大きく、高嵩密度を有することが明
らかであり、更に、本発明の製造方法により得られる実
施例のリチウム・遷移金属系複合酸化物粉体を正極活物
質として用いたリチウム二次電池は、比較例の複合酸化
物粉体を正極活物質として用いた場合に比して、単位重
量当たりで同等の電池特性を有し、圧縮剪断処理による
電池特性上の劣化等を生じてはいないことが明らかであ
り、従って、単位容積当たりの電池特性において優れる
ことが明らかである。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、高嵩密度を有し、リチ
ウム二次電池の正極活物質として用いるに好適なリチウ
ム・遷移金属系複合酸化物粉体の製造方法、及びリチウ
ム・遷移金属系複合酸化物粉体を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G048 AA04 AB01 AB05 AC06 AD04 AE05 5H029 AJ03 AJ14 AK03 AL02 AL03 AL06 AL07 AL12 AM03 AM04 AM05 AM07 CJ02 CJ03 CJ08 DJ16 HJ01 HJ05 HJ07 HJ08 5H050 AA08 AA19 BA15 CA08 CA09 CB07 CB08 CB09 CB12 FA17 GA02 GA03 GA05 GA10 HA01 HA05 HA07 HA08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最大径〔La (μm)〕に対する該最大
    径方向に直交する方向でその中点における小径〔L
    b (μm)〕の比〔Lb /La 〕の平均値が0.8以上
    であるリチウム・遷移金属系複合酸化物粉体に、圧縮剪
    断応力を加える後処理を施すことを特徴とするリチウム
    ・遷移金属系複合酸化物粉体の製造方法。
  2. 【請求項2】 リチウム・遷移金属系複合酸化物が、そ
    の遷移金属として、マンガン、コバルト、及びニッケル
    からなる元素群から選択された1種以上を含有する請求
    項1に記載のリチウム・遷移金属系複合酸化物粉体の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 リチウム・遷移金属系複合酸化物が、更
    に、ナトリウム、カリウム、銅、亜鉛、硼素、アルミニ
    ウム、錫、チタン、クロム、及び鉄からなる元素群から
    選択された1種以上を含有する請求項2に記載のリチウ
    ム・遷移金属系複合酸化物粉体の製造方法。
  4. 【請求項4】 後処理を施すリチウム・遷移金属系複合
    酸化物粉体が、平均粒子径0.1〜10μmの一次粒子
    が凝集した、平均粒子径1〜100μmの二次粒子から
    なる請求項1乃至3のいずれかに記載のリチウム・遷移
    金属系複合酸化物粉体の製造方法。
  5. 【請求項5】 後処理を施すリチウム・遷移金属系複合
    酸化物粉体が、粉砕及び混合された少なくともリチウム
    源化合物と遷移金属源化合物とを含有するスラリーを噴
    霧乾燥により乾燥させた後、焼成することにより製造さ
    れたものである請求項1乃至4のいずれかに記載のリチ
    ウム・遷移金属系複合酸化物粉体の製造方法。
  6. 【請求項6】 リチウム・遷移金属系複合酸化物粉体に
    後処理を施すにおいて、導電性微粉末を共存させる請求
    項1乃至5のいずれかに記載のリチウム・遷移金属系複
    合酸化物粉体の製造方法。
  7. 【請求項7】 後処理後のリチウム・遷移金属系複合酸
    化物粉体が、タップ密度1.8g/cc以上のものであ
    る請求項1乃至6のいずれかに記載のリチウム・遷移金
    属系複合酸化物粉体の製造方法。
  8. 【請求項8】 二次粒子表面の50%以上が導電性微粉
    末で被覆されており、その最大径〔La (μm)〕に対
    する該最大径方向に直交する方向でその中点における小
    径〔Lb (μm)〕の比〔Lb /La 〕の平均値が0.
    8以上であり、タップ密度が1.8g/cc以上である
    ことを特徴とするリチウム・遷移金属系複合酸化物粉
    体。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005123180A (ja) * 2003-09-26 2005-05-12 Mitsubishi Chemicals Corp リチウム二次電池正極材用リチウム複合酸化物粒子及びその製造方法、並びにそれを用いたリチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池
JP2005347134A (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 Sumitomo Metal Mining Co Ltd リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法
JP2008159300A (ja) * 2006-12-21 2008-07-10 Sumitomo Chemical Co Ltd 非水二次電池用正極活物質の製造方法
JP2013004403A (ja) * 2011-06-20 2013-01-07 Hitachi Vehicle Energy Ltd リチウムイオン二次電池
WO2021060576A1 (ko) * 2019-09-25 2021-04-01 주식회사 엘 앤 에프 리튬 이차전지용 양극 활물질

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