JP2003119673A - 透湿防水性コーティング布帛の製造方法 - Google Patents

透湿防水性コーティング布帛の製造方法

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JP2003119673A
JP2003119673A JP2001312725A JP2001312725A JP2003119673A JP 2003119673 A JP2003119673 A JP 2003119673A JP 2001312725 A JP2001312725 A JP 2001312725A JP 2001312725 A JP2001312725 A JP 2001312725A JP 2003119673 A JP2003119673 A JP 2003119673A
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moisture
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coating
permeable
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Yoshiaki Kijima
由明 來島
Kiyoshi Nakagawa
清 中川
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Unitika Fibers Ltd
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Unitika Fibers Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コーティング膜の視覚効果等に優れた透湿防
水性コーティング布帛の製造方法を提供する。 【解決手段】 繊維布帛上に、湿式コーティング法にて
ポリウレタン樹脂主体の合成重合体溶液を製膜する際、
樹脂凝固または湯洗の工程中にコーティング樹脂膜面に
凹凸形状を付与し、続いて乾燥することにより得られる
透湿防水性コーティング布帛の製造方法であって、高度
な透湿防水性能を必要とする時は、該ポリウレタン樹脂
主体の合成重合体中に、平均粒径が1μm以下で、かつ
N,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が200ミリリ
ットル/100g以上の無機微粉末を1〜30%含有させ
て製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スポーツ衣料、防
寒衣料等の各種衣料用として用いられる透湿防水性能と
コーティング膜の視覚効果に優れた透湿防水性コーティ
ング布帛の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】透湿性と防水性を併せ持つ透湿防水布帛
は、身体からの発汗による水蒸気を衣服外へ放出する機
能と、雨が衣服内に進入するのを防ぐ機能を有してお
り、これらの機能を付与するために、糸を高密度に織り
込んだ高密度織物や、ポリウレタン系樹脂、ポリアミノ
酸系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポ
リテトラフルオロエチレン樹脂等を布帛にコーティング
またはラミネートしたものが良く知られている。これら
は、スポーツ衣料や防寒衣料等に使用され、その中でも
運動に伴う発汗量の比較的多いスポーツやアウトドア衣
料分野に多く用いられており、スキー、アスレチック、
登山分野では必要不可欠な素材となっている。高密度織
物タイプは、その構成上透湿性能の面では有利であるが
防水性能の面では不利であり、コーティングタイプおよ
びラミネートタイプは、樹脂層が有孔のものは優れた透
湿性能は得やすいが、十分な防水性能を得にくく、また
樹脂層が無孔のものは反対に優れた防水性能は得やすい
が十分な透湿性能を得にくい等、各々の一般的な特徴を
有している。
【0003】またラミネートタイプは、広範囲な素材に
対応可能な利点を持っているが、極端な透湿性能の低下
を防ぐために通常は接着占有面積を50%以下にして接
着しているので、樹脂膜の接着強度や摩耗等の耐久性に
劣る欠点を有している。反対にコーティングタイプは、
素材に樹脂をダイレクトに塗布するために適用素材の制
限はあるものの、優れた樹脂膜の接着強度を得やすい利
点を有している。近年、素材の軽量化、コストダウン等
の背景から、これらの透湿防水布を裏地なしで縫製する
いわゆる一枚物として使用のニーズが強くあり、そのた
めに裏面である樹脂膜にも見栄え感に優れる視覚効果が
求められるようになり、平坦なコーティング面のままで
は受け入れられなくなってきている。そこでコーティン
グ法またはラミネート法で透湿防水布を作成後、該樹脂
膜上にドット状等のパターン状のグラビアコーティング
あるいはスクリーンプリント等を行い,これらの要求に
応えようとしているのが現状である。しかしながら、上
記方法では着用中の摩耗等により、グラビアコーティン
グやスクリーンプリントで得られた柄が脱落しやすく、
かつ工程が増えるためにかえってコストアップに繋がる
等の問題点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑みて行われたもので、樹脂膜の視覚効果等に優
れた透湿防水コーティング布帛を得ることを目的とする
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するもので、「繊維布帛の片面に、湿式コーティング
法にて製膜を行うに際し、ポリウレタン樹脂主体の合成
重合体溶液を塗布後、樹脂凝固工程あるいは湯洗工程の
何れかの工程中に、該樹脂膜面に凹凸形状を付与し、続
いて乾燥することを特徴とする透湿防水性コーティング
布帛の製造方法」及び「繊維布帛の片面に、湿式コーテ
ィング法にて製膜を行うに際し、ポリウレタン樹脂主体
の合成重合体溶液を塗布後、樹脂凝固工程あるいは湯洗
工程の何れかの工程中に、該樹脂膜面に凹凸形状を付与
し、続いて乾燥し、さらに得られた凹凸形状を有する樹
脂膜上にポリウレタン樹脂主体の合成重合体溶液を使用
した乾式コーティング法にて製膜を行うことを特徴とす
る透湿防水性コーティング布帛の製造方法」、ならびに
「湿式コーティング法にて製膜を行うポリウレタン樹脂
主体の合成重合体中に、平均粒径が1μm以下で、かつ
N,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が200ミリリ
ットル/100g以上である無機微粉末を1〜30%含
有していることを特徴とする上記の透湿防水性コーティ
ング布帛の製造方法」を要旨とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
を行う。本発明で用いられる繊維布帛としては、ナイロ
ン6やナイロン66で代表されるポリアミド系合成繊
維、ポリエチレンテレフタレートで代表されるポリエス
テル系合成繊維、ポリアクリルニトリル系合成繊維、ポ
リビニルアルコール系合成繊維、トリアセテート等の半
合成繊維、あるいはナイロン6/木綿、ポリエチレンテ
レフタレート/木綿等の合成繊維と天然繊維とを混用し
た糸条からなる織物や編物、及びこれらの繊維からなる
不織布等を挙げることができる。
【0007】本発明では、上記の繊維布帛に撥水剤処理
を施したものを用いてもよい。これは、透湿防水布の製
造時に樹脂溶液の布帛内部への浸透を防ぐための一手段
である。この場合の撥水剤としては、パラフィン系撥水
剤やポリシロキサン系撥水剤、フッ素系撥水剤等の公知
のものを使用すれば良く、その処理も、一般に行われて
いるパディング法、スプレー法等の公知の方法で行えば
よい。特に良好な撥水性を必要とする場合にはフッ素系
撥水剤を使用し、例えば、アサヒガード730(旭硝子
株式会社製、フッ素系撥水剤エマルジョン)を5%の水
分散液でパディング(絞り率35%)した後、160℃
で1分の熱処理を行う方法などによって行えばよい。
【0008】本発明では、上記の繊維布帛の片面に、湿
式コーティング法にてポリウレタン樹脂主体の合成重合
体溶液による製膜を行なう。本発明でいうポリウレタン
樹脂主体の合成重合体とは、ポリウレタン樹脂のみから
なるものやポリウレタン成分を50%以上含むものをい
い、ポリウレタン樹脂以外の合成重合体を含む場合の合
成重合体としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリ塩化
ビニル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアミノ酸
等やこれらの共重合体等が挙げられ、もちろん、フッ素
やシリコン等で変性した化合物も使用することができ
る。
【0009】ポリウレタン樹脂自体は、ポリイソシアネ
ートとポリオールを反応せしめて得られる共重合体であ
り、イソシアネート成分として芳香族ジイソシアネー
ト、脂肪族ジイソシアネートおよび脂環族ジイソシアネ
ートの単独またはこれらの混合物を用い、例えば、トリ
レン2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシア
ネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート等を
主成分として用い、必要に応じ3官能以上のイソシアネ
ートを使用してもよい。また、ポリオール成分として
は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール
を用い、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リテトラメチレングリコール等を用い、ポリエステルポ
リオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール等のジオールとアジピン酸、セバチン
酸等の2塩基酸との反応生成物やカプロラクトン等の開
環重合物を用いる。
【0010】本発明では、樹脂層と繊維布帛間の耐剥離
性能を向上させる目的で、樹脂および繊維布帛との親和
性の高い化合物を併用することが望ましく、その化合物
としてイソシアネート化合物が好適に使用できる。イソ
シアネート化合物としては、トリレン2,4−ジイソシ
アネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソフ
ォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ートまたは、これらのジイソシアネート類3モルと、活
性水素を含有する化合物(例えば、トリメチロールプロ
パン、グリセリン等)1モルとの付加反応によって得ら
れるトリイソシアネート類が使用できる。上記のイソシ
アネート類は、イソシアネート基が遊離した形のもので
あっても、あるいはフェノール、ラクタム、メチルケト
ンなどで付加ブロック体を形成させ、熱処理によって解
離させる形のものであっても良く、作業性や用途などに
より適宜使い分ければよい。
【0011】上記のイソシアネート類は、イソシアネー
ト基が遊離した形のものであっても、あるいはフェノー
ル、ラクタム、メチルケトンなどで付加ブロック体を形
成させ、熱処理によって解離させる形のものであっても
良く、作業性や用途などにより適宜使い分ければよい。
イソシアネート化合物を使用する際の使用量としては、
上記ポリウレタン樹脂主体の合成重合体に対して0.1
〜10%の割合で使用することが望ましく、使用量が
0.1%未満であれば、布帛に対する樹脂層の接着力が
あまり向上せず、また10%を超えると、風合いが硬化
する傾向が認められるようになるので好ましくない。
【0012】本発明において、湿式コーティング法に用
いるポリウレタン樹脂主体の合成重合体溶液は、上記の
ポリウレタン樹脂主体の合成重合体が、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N-メチルピロリドン等の極性有機溶
媒を主体とした溶媒に溶解されている樹脂溶液である。
この樹脂溶液に酸化チタン、炭酸カルシウム、アルミニ
ウム微粉末等の充填剤、色顔料、パール顔料等を併用す
れば、より一層樹脂膜の視覚効果、タッチ感に優れたも
のを得やすくなる。
【0013】また、このポリウレタン樹脂主体の合成重
合体溶液に平均粒径が1μm以下で、かつN,N−ジメ
チルホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/10
0g以上である無機微粉末を1%以上含有させると、よ
り一層優れた透湿防水性能を得ることができるようにな
る。ここでいうN,N−ジメチルホルムアミド吸着量と
は、JIS K−5101の煮あまに油の代わりにN,
N−ジメチルホルムアミドを用い、無機微粉末5gをガ
ラス平板状の上に置き、N,N−ジメチルホルムアミド
を1滴滴下するごとにステンレス製のへらを用いて練り
合わせる作業を繰り返し、N,N−ジメチルホルムアミ
ドの1滴で急激に軟らかくなる直前までに要したN,N
−ジメチルホルムアミドの体積(単位:ミリリットル)
を、無機微粉末100g当りに換算した数値である。
【0014】このような無機微粉末としては、通常の湿
式粉砕法やボールミル粉砕法で微粉化された無機微粉末
や、ハロゲン化金属の気相酸化法、燃焼加水分解法、電
弧法等の乾式法によって得られる金属酸化物微粉末を挙
げることができ、中でもこれらの方法により製造される
二酸化ケイ素微粉末を代表として挙げることができる。
無機微粉末の使用量としては、ポリウレタン樹脂主体の
合成重合体に対し1%以上用いるのが好ましく、3%以
上用いるのがさらに好ましい。1%未満では、得られる
コーティング布帛の微細空洞部の孔数が少なくなり、高
透湿性能が得にくくなる。また、無機微粉末は必ずしも
高純度の必要はなく、他の無機物質等を含んでいても何
ら差し支えない。
【0015】繊維布帛にポリウレタン樹脂主体の合成重
合体溶液を塗布する方法としては、コンマコータ、ナイ
フコータ、リバースコータ等が挙げられる。塗布量は、
優れた透湿防水性および立体的な視覚効果を得るため
に、樹脂乾燥皮膜重量が10g/m2以上、好ましくは15
g/m2以上になるように塗布量を調節して行えばよい。
【0016】本発明では、湿式コーティング法により製
膜を行うに際し、ポリウレタン樹脂主体の合成重合体溶
液を繊維布帛の片面に塗布後、樹脂凝固工程あるいは湯
洗工程の何れかの工程中に、該樹脂膜面に凹凸形状を付
与し、続いて乾燥する。通常の湿式コーティング法によ
る製膜は、樹脂溶液を塗布して10〜30℃の水中に導
入して30秒間〜2分間滞留させ樹脂分を凝固させた後
に、完全に脱溶媒するために40〜80℃の温度で5〜
10分間湯洗し、乾燥することにより樹脂層を形成する
が、本発明においては、乾燥する前の工程、すなわち凝
固工程から湯洗工程の間でコーティング樹脂膜がまだウ
エット状態のときに、該樹脂膜面に凹凸形状を付与す
る。
【0017】本発明でいう凹凸形状とは、点状,線状あ
るいは格子型,斜線型,ピラミッド型,亀甲型,パター
ン状の文字、図柄等での形状のことをいい、凹凸形状を
付与する方法としては、凹凸形状を付与できる通常のも
の例えばスクリーンメッシュ、型枠等何れでもよいが、
所望の形状に彫刻したグラビアロールや彫刻ロールを用
いる方法が、操業上好ましい。
【0018】樹脂膜に凹凸形状を付与するには、上述の
通り樹脂膜を乾燥により形成させる前に行えばよいが、
本発明では、樹脂溶液を塗布後樹脂皮膜化する凝固過程
中に行うことが好ましく、例えば凝固水浴中にて、所望
の形状に彫刻したロールに樹脂塗工面を回転接触させな
がら行うことで、樹脂膜に対する大きな圧力、熱エネル
ギーを必要とせずに、凹凸形状を簡単に付与できる。乾
燥後に凹凸形状を付与しようとすると多大な圧力とエネ
ルギーを要すると共に、凹凸形状の耐久性に乏しく、さ
らに樹脂膜の損傷等も生じやすい。
【0019】本発明においては、上記のようにして凹凸
形状を付与した樹脂膜の上に、さらにポリウレタン樹脂
主体の合成重合体溶液を乾式法によって製膜しておいて
もよい。ここで用いるポリウレタン樹脂主体の合成重合
体は、前記の湿式法にて用いるものと同様でよいが、重
合体溶液はN,N−ジメチルホルムアミド、N-メチル
ピロリドン等の極性有機溶媒を主体とした溶媒に溶解さ
れている樹脂溶液ではなく、トルエン、メチルエチルケ
トン、酢酸エチル、水等のような極性のない溶剤を主体
とした溶液である。極性有機溶剤を多く使用すると、湿
式法にて製膜した微多孔質膜表面が極性有機溶剤により
溶解し、透湿性を低下させるので好ましくない。樹脂溶
液の形態としては、溶剤型、油中水型エマルジョン、水
中油型エマルジョン、水溶性タイプのいずれでもよい
が、前述と同様の充填剤、顔料のほか樹脂膜にマット感
を与え、耐摩耗性を向上させる目的でシリカ粉末を併用
すれば一層効果的である。この場合の樹脂塗布量は、乾
燥樹脂量が0.5〜10g/m2であるのが好ましく、
1〜5g/m2であるのがさらに好ましい。この乾式法
による製膜は、ナイフコータ、リバースコータ等のコー
ティング装置やグラビアロールにより行なう。グラビア
ロールとしては、ドット状で深度が100μm以下と小
さく、80メッシュ以上の高メッシュとした全面塗布用
を用いるのが好ましい。
【0020】本発明において、防水性と撥水性の耐久性
をさらに向上させる目的で、湿式コーティング後にコー
ティング布帛に撥水処理を行ってもよい。撥水処理に際
しては、前述のような一般に実施されている公知の撥水
処理法を採用すればよい。
【0021】
【作用】本発明では、一般的なポリウレタン樹脂を主体
とする合成重合体溶液を湿式製膜するに際し、樹脂膜を
ドライの状態にする前の工程即ち凝固工程から湯洗工程
間にあって樹脂膜がウエット状態のときに、点状,線
状,格子型,斜線型,ピラミッド型,亀甲型等の凹凸形
状を付与するので、樹脂面に圧力差により凹凸形状を簡
単に付与でき、加工コスト上非常に有利であり、かつ得
られる樹脂膜は視覚効果等に優れた外観を呈することに
なる。また、アルミニウム微粉末と色顔料あるいはパー
ル顔料等を前記樹脂に均一分散させておけば、形成され
た凹凸形状が多彩な反射色を生じるために、より立体的
な視覚効果のある樹脂膜を得ることが可能となる。
【0022】本発明において高度な透湿防水性能を要す
るとき、上記樹脂溶液に平均粒径1μm以下で、かつ
N,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が200ミリリ
ットル/100g以上の無機微粉末を均一に分散させて
湿式凝固を行うと、凝固液である水と樹脂溶剤である
N,N−ジメチルホルムアミドが混和し、樹脂液から溶
剤が速やかに離脱していくことにより樹脂の凝固が始ま
るが、その際、平均粒径1μm以下で、かつN,N−ジ
メチルホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/1
00g以上である無機微粉末が均一に分散していると、
該微粉末の表面は他の部分に比べて樹脂溶液中における
N,N−ジメチルホルムアミドの濃度が高く、いいかえ
れば、ポリウレタン樹脂主体の合成重合体のN,N−ジ
メチルホルムアミドの濃度が低い状態にあり、このた
め、湿式凝固過程において、凝固液である水がまず該微
粉末表面のN,N−ジメチルホルムアミドと置き換わ
り、その周囲で速やかに凝固が始まり、その後にウレタ
ン樹脂特有のハニカムスキンコア構造の空洞部の他に、
均一に分散している微粉末の周囲で、無数に1μm以下
の微細孔が発現することで、非常にポーラスな形態とな
るので、防水性能を高く保持しながら透湿性能を向上さ
せることができる。また、樹脂膜が超微多孔層となるこ
とで、樹脂膜の白度とボリューム感が向上することにな
るので、より一層立体的でかつマイルドな視覚効果の優
れた樹脂膜外観を得ることができる。
【0023】凹凸形状を付与した湿式樹脂膜の上にさら
に乾式樹脂膜を形成させておくと、湿式樹脂膜に付与し
た凹凸形状が一段と固定化され、着用時や洗濯時等の摩
擦に対する耐久性を向上せさることができ、さらに湿式
樹脂膜と乾式樹脂膜を異なる色に着色したり、濃淡差を
設けたり、異なる光沢感を持たせたりすることにより、
一層視覚効果の優れたものとすることができる。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、実施例における布帛の性能の測定、評価
は、次の方法で行った。 (1)耐水圧 JIS L−1092 高水圧法 (2)透湿度 JIS L−1099 A−1法 (3)コーティング膜外観 加工上がりとJIS L−1096のD法(アクセレロ
ータ形法)に準じて摩擦処理を行なった後の試料につい
て、視感と触感にて、コーティング膜の視覚効果とタッ
チ感を評価した。
【0025】実施例1 経糸、緯糸の双方にナイロン6マルチフィラメント78
デシテックス/68フィラメントを用いて、経糸密度12
0本/2.5cm、緯糸密度95本/2.5cmのタフタを製織
し、通常の方法により精練を及び染色(日本化薬株式会
社製,Kyanol Navy Blue R 3% omf)を行った後、
エマルジョンタイプのフッ素系撥水剤のアサヒガードA
G−970(旭硝子株式会社製)6%水分散液でパディング
(絞り率35%)し、乾燥後、170℃で30秒間の熱処理
を行った。次に、鏡面ロールを持つカレンダー加工機を
用いて、温度170℃、圧力250kPa、速度30m/分の
条件でカレンダー加工を行い、コーティング用の基布を
得た。ここで、下記処方1に示す組成で、固形分濃度22
%,粘度13000mPa・s(25℃)のポリウレタン樹
脂溶液を、コンマコータを用いて上述のカレンダー面
に、塗布量120g/m2にて塗布後直ちに15℃の水中にて4
0秒間浸漬して樹脂分を凝固する際、10秒間経過後にコ
ーティング樹脂面とドット状グラビアロール(14.5メッ
シュ,ドット径0.75mm,ドット間隔1mm、深度100μ
m)を回転接触させ、続いて50℃で5分間の湯洗を行な
った後乾燥することにより樹脂膜を形成し、樹脂膜面に
ドット状の凹凸を有する本発明による実施例1の透湿防
水性コーティング布帛を得た。
【0026】<処方1> ・1740-29B 100部 (セイコー化成株式会社製湿式用ポリウレタン樹脂) ・レザミンX 1部 (大日精化工業株式会社製イソシアネート化合物) ・セイカセブンBS-7692ブルー 3部 (大日精化工業株式会社製シアニン系着色剤) ・Sap210EA 2部 (昭和アルミパウダー株式会社製アルミニウムペース
ト) ・N,N−ジメチルホルムアミド 35部
【0027】比較例1 実施例1において、樹脂分凝固中でのコーティング樹脂
膜とグラビアロールの回転接触を省いて通常の湿式コー
ティングを行う他は、実施例1と全く同一の方法により
比較例1の透湿防水性コーティング布帛を得た。
【0028】比較例2 比較例1の透湿防水性コーティング布帛樹脂膜上に、下
記処方2に示す組成のポリウレタン樹脂溶液を、ドット
状グラビアロール(14.5メッシュ,ドット径0.75mm,
ドット間隔1mm、深度100μm)にてドットプリント加
工後、80℃で2分間の乾燥を行ない、樹脂膜面にドット
状の凸感を有する比較例2の透湿防水性コーティング布
帛を得た。
【0029】<処方2> ・ラックスキンU2524 50部 (セイコー化成株式会社製溶剤型ポリウレタン樹脂) ・ラックスキンU2525M 50部 (セイコー化成株式会社製ラックスキンU2525用ポリウ
レタン系マット剤) ・セイカセブンBS-7692ブルー 3部 (大日精化工業株式会社製シアニン系着色剤) ・Sap210EA 2部 (昭和アルミパウダー株式会社製アルミニウムペース
ト) ・イソプロピルアルコール 5部 ・トルエン 5部 ・N,N−ジメチルホルムアミド 5部
【0030】実施例2 実施例1の透湿防水性コーティング布帛の樹脂面上に、
さらに下記処方3に示す組成で、固形分濃度22%で粘度
5000mPa・s(25℃)のポリウレタン樹脂溶液を、
ナイフコータを用いて塗布量20g/m2にて塗布後80℃
で3分間の乾燥を行ない樹脂膜を形成して、本発明によ
る透湿防水性コーティング布帛を得た。
【0031】<処方3> ・ラックスキンU2524 50部 (セイコー化成株式会社製溶剤型ポリウレタン樹脂) ・ラックスキンU2525M 50部 (セイコー化成株式会社製ラックスキンU2525用ポリウ
レタン系マット剤) ・イソプロピルアルコール 10部 ・トルエン 10部 実施例1〜2および比較例1〜2のコーティング布帛の
性能を測定し、その結果を併せて表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】表1より明らかなごとく、湿式法にて製膜
中に凹凸を付与した本発明による実施例1の透湿防水コ
ーティング布帛は、透湿防水性能を損なわずに、良好な
膜外観等を有していて、摩擦に対しても変化は見られな
い。実施例1で得られた樹脂膜上にさらに製膜した実施
例2は、摩擦後の状態がより安定していた。これに対し
て、製膜後に凸形状を付与した比較例2は、摩擦により
凸部に変形を生じ、外観が乱れていた。
【0034】実施例3 実施例1における処方1に、AEROSIL R-974
(日本アエロジル株式会社製,平均粒径が約0.012μ
m,N,N-ジメチルホルムアミド吸着量が350ミリリッ
トル/100gの二酸化珪素微末)3部を均一分散させて
(樹脂固形分は24%)、実施例1で用いたグラビアロー
ルを斜線型彫刻ロール(角度60度、30線数/2.5cm、断
面が山切状で深度100μm、凹部体積56cm3/m2)に替
える他は、実施例1と全く同一の方法により、本発明に
よる実施例3の透湿防水コーティング布帛を得た。
【0035】比較例3 実施例3における樹脂分凝固工程中でのコーティング樹
脂膜と彫刻ロールの回転接触を省いて通常の湿式コーテ
ィングを行う他は、実施例3と同一の方法により比較例
3の透湿防水性コーティング布帛を得た。
【0036】比較例4 比較例3の透湿防水性コーティング布帛樹脂膜上に、比
較例2で用いた処方2に示す組成のポリウレタン溶液
を、実施例3で用いた斜線型彫刻ロールにてプリント加
工後、80℃で2分間の乾燥を行ない、樹脂膜面に斜線状
の凸部を有する比較例4の透湿防水性コーティング布帛
を得た。実施例3および比較例3〜4のコーティング布
帛の性能を測定し、その結果を合わせて表2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】表2より明らかなごとく、本発明による実
施例3の透湿防水コーティング布帛は、高度の透湿防水
性能を有していながら、良好な膜外観等を有している。
これに対して、製膜後に凸形状を付与した比較例4は、
摩擦により凸部に変形を生じ、外観が乱れていた。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、透湿防水性能とコーテ
ィング膜の視覚効果等に優れた透湿防水性コーティング
布帛を得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維布帛の片面に、湿式コーティング法
    にて製膜を行うに際し、ポリウレタン樹脂主体の合成重
    合体溶液を塗布後、樹脂凝固工程あるいは湯洗工程の何
    れかの工程中に、該樹脂膜面に凹凸形状を付与し、続い
    て乾燥することを特徴とする透湿防水性コーティング布
    帛の製造方法。
  2. 【請求項2】 繊維布帛の片面に、湿式コーティング法
    にて製膜を行うに際し、ポリウレタン樹脂主体の合成重
    合体溶液を塗布後、樹脂凝固工程あるいは湯洗工程の何
    れかの工程中に、該樹脂膜面に凹凸形状を付与し、続い
    て乾燥し、さらに得られた凹凸形状を有する樹脂膜上に
    ポリウレタン樹脂主体の合成重合体溶液を使用した乾式
    コーティング法にて製膜を行うことを特徴とする透湿防
    水性コーティング布帛の製造方法。
  3. 【請求項3】 湿式コーティング法にて製膜を行うポリ
    ウレタン樹脂主体の合成重合体中に、平均粒径が1μm
    以下で、かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が
    200ミリリットル/100g以上である無機微粉末を
    1〜30%含有していることを特徴とする請求項1また
    は請求項2記載の透湿防水性コーティング布帛の製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100686197B1 (ko) * 2005-04-11 2007-02-22 박명수 건조감이 우수한 패커블 내마모성 투습방수포의 제조방법및 그에 의해 제조된 투습방수포
CN104040068A (zh) * 2011-12-30 2014-09-10 朴喜大 涂层原丝用热塑性聚氨酯配混料组合物及利用该热塑性聚氨酯配混料制造涂层原丝的方法
WO2021172483A1 (ja) 2020-02-26 2021-09-02 タツタ電線株式会社 アタッチメント、固相粒子回収装置、及び固相粒子回収システム

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