JP2003096670A - アレルゲン低減化繊維 - Google Patents
アレルゲン低減化繊維Info
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Abstract
繊維製品に付着したアレルゲンを自動的に低減化し、さ
らに簡便な操作によりアレルゲン低減化機能が回復する
ことができるアレルゲン低減化繊維を提供する。 【解決手段】 アレルゲン低減化成分が、グラフト化反
応または、溶剤及び/又はバインダーに溶解又は分散し
て、繊維に化学的に結合及び/又は繊維に後固着されて
いるアレルゲン低減化繊維。アレルゲン低減化成分は、
線状高分子の側鎖に一般式で示される官能基を有する化
合物、一般式に示される官能基を含む単量体又は1価の
フェノール基を有する単量体を重合又は共重合してなる
化合物、芳香族複素環式ヒドロキシ化合物等の芳香族ヒ
ドロキシ化合物;アルカリ金属の炭酸塩、明礬、ラウリ
ルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩、ポリオキシ
エチレンラウリルエーテル硫酸塩;リン酸塩と、硫酸亜
鉛及び/又は酢酸鉛;からなる群より選ばれる少なくと
も1つが好ましい。
Description
レルゲンを低減化する機能を有するアレルゲン低減化繊
維に関する。
アレルギー性鼻炎など多くのアレルギー疾患が問題とな
ってきている。その主な原因は、住居内性ダニ類、特に
室内塵中に多いチリダニのアレルゲン(Der1、Der2)
や、おもに春季に猛威を振るうスギ花粉アレルゲン(Cr
ij1,Crij2)等の多くのアレルゲンが生活空間内に増え
てきているためである。特にチリダニのアレルゲンはそ
の原因となるチリダニを駆除しても、その死虫が更にア
レルゲン性の高い物質を生活空間に供給することにな
り、アレルゲンが原因となるアレルギー疾患の根本的な
解決には至らない。また、スギ花粉アレルゲンであるC
rij1は分子量約40kDaの糖タンパク質、Cri
j2は分子量約37kDaの糖タンパク質であり、鼻粘
膜等に付着すると生体外異物として認識され炎症反応を
引き起こす。よって、アレルギー疾患の症状軽減あるい
は新たな感作を防ぐためには、生活空間から完全にアレ
ルゲンを取り除くか、アレルゲンを変性させるなどして
不活性化させることが必要となる。
め熱や強酸/強アルカリ等で変成しアレルゲン性を失う
と考えられるが、非常に安定性が高く、家庭で安全に使
用できる程度の酸化剤や還元剤、熱、アルカリや酸では
容易に分解されない(TheJournal of I
mmunology Vol.144:1353−13
60)。このような方法で無理にアレルゲンを変成させ
ようとすると、アレルゲンの汚染場所等が条件によって
は破損してしまう等の問題点があった。ここで、生活空
間におけるアレルゲンの存在が問題となるアレルゲンの
汚染場所や生活用品としては、例えば、畳、絨毯、床
(フローリング)、家具(ソファー、布ばり椅子、テー
ブル)、寝具(ベッド、布団、シーツ)、車内用品(シ
ート、チャイルドシート)、キッチン用品、赤ちゃん用
品、カーテン、壁紙、タオル、衣類、ぬいぐるみ、繊維
製品、空気清浄機・空気洗浄機(本体及びフィルター)
等が挙げられる。
比較的温和な条件で化学的に変成する方法が考えられて
きた。例えば、生皮などのなめし(タンニング)などに用
いられているタンニン酸を用いて(特公平2−1673
1号公報)、茶抽出物などを用いて(特開平6−279
273号公報)、ヒドロキシ安息香酸系化合物、または
その塩を用いて(特開平11−292714号公報)そ
れぞれアレルゲンを低減化する方法等が開示されてい
る。しかしながら、従来のアレルゲン低減化剤は、アレ
ルゲンにより汚染された場所に、低減化成分をスプレー
等で噴霧するなどの処理をしなければならず、手間が掛
かるだけでなく均一な処理を施すのは難しかった。さら
に、処理をするまではアレルゲンに汚染された場所は常
に人体に悪影響を及ぼす等の問題点もあった。
に鑑み、改めてアレルゲン低減化処理を施すことなく繊
維製品に付着したアレルゲンを自動的に低減化し、さら
に簡便な操作によりアレルゲン低減化機能が回復するこ
とができるアレルゲン低減化繊維を提供することにあ
る。
に、請求項1記載の本発明は、アレルゲン低減化成分
が、繊維に化学的に結合及び/又は繊維に後固着されて
いるアレルゲン低減化繊維を提供する。また、請求項2
記載の本発明は、グラフト化反応によりアレルゲン低減
化成分を繊維へ化学的に結合及び/又は繊維に後固着さ
せる請求項1記載のアレルゲン低減化繊維を提供する。
また、請求項3記載の本発明は、溶剤及び/又はバイン
ダーに溶解又は分散したアレルゲン低減化成分を繊維に
化学的に結合及び/又は繊維に後固着させてなる請求項
1記載のアレルゲン低減化繊維を提供する。また、請求
項4記載の本発明は、アレルゲン低減化成分が、芳香族
ヒドロキシ化合物であることを特徴とする請求項1〜3
項いずれか1項に記載のアレルゲン低減化繊維を提供す
る。また、請求項5記載の本発明は、芳香族ヒドロキシ
化合物が、線状高分子の側鎖に上記一般式(1)〜
(6)に示される少なくとも一つを有する化合物である
ことを特徴とする請求項1〜4項いずれか1項に記載の
アレルゲン低減化繊維を提供する。また、請求項6記載
の本発明は、芳香族ヒドロキシ化合物が、上記一般式
(1)〜(6)に示される少なくとも一つを含む単量体
及び/又は一価のフェノール基を有する単量体を重合又
は共重合してなることを特徴とする請求項1〜4項いず
れか1項に記載のアレルゲン低減化繊維を提供する。ま
た、請求項7記載の本発明は、芳香族ヒドロキシ化合物
が、芳香族複素環式ヒドロキシ化合物であることを特徴
とする請求項1〜4項いずれか1項に記載のアレルゲン
低減化繊維。また、請求項8記載の本発明は、アレルゲ
ン低減化成分が、アルカリ金属の炭酸塩、明礬、ラウリ
ルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩、ポリオキシ
エチレンラウリルエーテル硫酸塩からなる群より選ばれ
た少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜3
項いずれか1項に記載のアレルゲン低減化繊維を提供す
る。また、請求項9記載の本発明は、アレルゲン低減化
成分が、リン酸塩と、硫酸亜鉛及び/又は酢酸鉛からな
ることを特徴とする請求項1〜3項いずれか1項に記載
のアレルゲン低減化繊維。また、請求項10記載の本発
明は、アレルゲンがチリダニ由来であることを特徴とす
る請求項1〜9項いずれか1項に記載のアレルゲン低減
化繊維。また、請求項11記載の本発明は、液体で洗浄
することにより、アレルゲン低減化機能が回復すること
を特徴とする請求項1〜10項いずれか1項に記載のア
レルゲン低減化繊維。また、請求項12記載の本発明
は、加熱により、アレルゲン低減化機能が回復すること
を特徴とする請求項1〜11項いずれか1項に記載のア
レルゲン低減化繊維。また、請求項13記載の本発明
は、掃除機で吸引することにより、アレルゲン低減化機
能が回復することを特徴とする請求項1〜12項いずれ
か1項に記載のアレルゲン低減化繊維。
(以下、単に低減化成分と記す場合がある。)は、アレ
ルゲンを変性させるなどして不活性化し、抗原抗体反応
を抑制できる成分であれば、特に限定されるものではな
く、いかなる成分を用いてもよく、例えば、タンニン
酸、カテキンのような植物抽出物、2,5−ジヒドロキ
シ安息香酸のようなヒドロキシ安息香酸等が挙げられ
る。
族ヒドロキシ化合物であることが好ましい。
に限定されず、中でも、繊維等への着色の心配が少ない
という点から、線状高分子の側鎖に下記一般式(1)〜
(6)に示される少なくとも一つを有する化合物である
ことが好ましい。
し、nは0〜5を示す)
基を線状高分子の側鎖に有する化合物において、nの数
は0〜5である。5を越えると、線状高分子を使用する
効果がなくなることがある。また、Rの少なくとも1つ
は水酸基であり、水酸基がないと、アレルゲン低減化効
果を十分発揮できないことがある。水酸基が多すぎると
着色性が強くなることがあるため、水酸基は一つが好ま
しい。また、水酸基の位置は、立体障害が最も少ない箇
所に結合していることが好ましく、例えば一般式(1)
ではパラ位にあるのが好ましい。
ではビニル重合体、ポリエステル、ポリアミドなどのこ
とをいう。また、上記一般式(1)〜(6)で示される
官能基と線状高分子との化学結合については、特に限定
されず、炭素−炭素結合、エステル結合、エーテル結
合、アミド結合等が挙げられる。上記一般式(1)〜
(6)で示される官能基を線状高分子の側鎖に有する化
合物としては、安全性や入手しやすさから、例えば、ポ
リ3,4,5−ヒドロキシ安息香酸ビニル、ポリビニル
フェノール、ポリチロシン、ポリ(1−ビニル−5−ヒ
ドロキシナフタレン)、ポリ(1−ビニル−6−ヒドロキ
シナフタレン)、ポリ(1−ビニル−5−ヒドロキシアン
トラセン)が好ましい。
は、上記一般式(1)〜(6)に示される少なくとも一
つを含む単量体及び/又は一価のフェノール基を有する
単量体を重合又は共重合してなるものが好ましい。
単量体としては、ベンゼン環に一個の水酸基を有する単
量体が一個以上結合している化合物であれば特に限定さ
れず、例えば、ビニルフェノール、チロシン、下記一般
式7に示される1,2−ジ(4-ヒドロキシフェニル)エ
テン等が挙げられる。有効成分が、1価のフェノール基
を有すると多価フェノールに比べて変色しにくいといっ
た効果がある。
単量体に共重合される他の単量体としては、エチレン、
アクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレー
ト、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチ
ルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒ
ドロキシプロピルメタクリレート、スチレン等が挙げら
れる。
は、芳香族複素環式ヒドロキシ化合物であることが好ま
しい。
特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシフラン、2−
ヒドロキシチオフェン、ヒドロキシベンゾフラン、3−
ヒドロキシピリジン等が挙げられる。また、線状高分子
の側鎖に芳香族複素環式ヒドロキシ基を含有する化合
物、芳香族複素環式ヒドロキシ基を有する単量体を重合
又は共重合してなる化合物等であってもよい。
は、例えば、下記一般式8、9に示されるチオフェンや
フラン等の複素環骨格にヒドロキシ基が結合したもの
や、下記一般式10に示される複素環と芳香族環とを持
つ骨格にヒドロキシ基が結合したもの、複素環骨格にヒ
ドロキシ基とアルキル基(炭素数5以下)とを有するも
の、複素環と芳香族とを持つ骨格にヒドロキシ基とアル
キル基(炭素数5以下)とを有するもの等が挙げられ
る。
アルカリ金属の炭酸塩、明礬、ラウリルベンゼンスルホ
ン酸塩、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリル
エーテル硫酸塩、また、リン酸塩と、硫酸亜鉛及び/又
は酢酸鉛が、繊維等への着色の心配が少ないという点か
ら好ましく用いられる。
ウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、
フランシウムのアルカリ金属の炭酸塩が挙げられ、好ま
しくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウムである。
アルカリ金属やタリウム、アンモニウム等の1価イオン
の硫酸塩とからなる複塩が挙げられる。また、アルミニ
ウムをクロム、鉄、等に置き換えた複塩も同様に挙げら
れる。好ましくは硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アル
ミニウムナトリウムである。特にアレルゲン低減化能力
の高い硫酸アルミニウムカリウムは、主に十二水和物
(AlK(SO4)2・12H2O)あるいは無水物(A
lK(SO4)2)が用いられるが、水和物が水分子を段
階的に失う過程で存在する部分的な水和物であってもよ
い。明礬の一部は、カリミョウバンとして食品添加物お
よび化粧品原料にも指定されているため安全性が高く、
繊維等に好適に用いられうる。
リル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸
塩の塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マ
グネシウムなどの金属塩、アンモニウム塩、トリエタノ
ールアミンなどのアミン塩が挙げられ、特に好ましくは
ナトリウム塩、トリエタノールアミン塩である。
たときPO4 3-イオンを生成する塩類を指し、例えば、
実施例に用いたようなリン酸二水素ナトリウム(リン酸
一ナトリウム)、リン酸水素二ナトリウム(リン酸二ナ
トリウム)の他に、リン酸二水素カリウム等が挙げられ
る。
和物)あるいは無水物が用いられるが、水和物が水分子
を段階的に失う過程で存在する部分的な水和物であって
もよい。硫酸亜鉛は古来より、白ばんあるいは亜鉛華な
どとして知られており日本薬局方にも収載されている。
また、食品添加物であり、人の成長、健康維持に必須の
微量金属元素であるZnの供給を目的として、母乳代替
食品に添加されているため安全性が高く、繊維等に好適
に用いられうる。
るいは無水物が用いられるが、水和物が水分子を段階的
に失う過程で存在する部分的な水和物であっても良い。
上記酢酸鉛は、古来より、鉛糖として知られており日本
薬局方にも収載されている。
は、上記化合物が少なくとも1つが有効成分として含ま
れていればよく、2つ以上を組み合わせることも可能で
ある。
ゲン低減化繊維に含有される量としては、繊維に対して
0.1〜300重量%で含有されることが好ましい。さ
らに好ましくは、0.2〜100重量%、特に好ましく
は0.5〜50重量%である。0.1重量%未満であれ
ば、アレルゲン低減化効果が得られない場合があり、3
00重量%を超えると、表面層が固く脆くなって、物性
上の低下を招いたり、繊維からの脱落等が容易となり、
予想される効果が期待できなかったり、脱落物による周
辺の汚損が見られ清掃の必要性が出てくる場合がある。
成分を化学的に結合及び/又は繊維に後固着できるもの
であれば、いかなる素材、形態のものも用いてもよく、
例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル系繊維、ポ
リアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維等の合成繊維、
アセテート等の半合成繊維、キュプラ、レーヨン等の再
生繊維、木綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維あるいは、こ
れら各繊維の複合化繊維、混綿などが使用できる。また
繊維の形態としては、繊維製品に使用されうるものであ
ればいかなる形態のものでも使用でき、例えば、糸、織
布、不織布等のいずれを使用しても良い。
維へ化学的に結合及び/又は繊維に後固着させる方法と
しては、特に限定されず、例えば、グラフト化反応によ
り繊維に化学的に結合させる方法、溶剤及び/又はバイ
ンダーを用いて繊維表面に固着させる方法等が挙げられ
る。尚、下記するアレルゲン低減化成分が化学的に結合
及び/又は繊維に後固着させる方法は、一種類でなく複
数行ってもよい。
れず、例えば、以下の方法が挙げられる。1)グラフト
重合法;繊維となる幹ポリマーに重合開始点をつくり、
アレルゲン低減化成分である枝ポリマーを形成するモノ
マーを重合させる方法。2)カップリング法(高分子反
応);先に準備したアレルゲン低減化成分である枝ポリ
マーを高分子反応によって幹ポリマーに結合させる方
法。
れず、例えば、以下の方法が挙げられる。 (1)繊維への連鎖移動反応を利用し、ラジカルを生成
し重合する方法。 (2)第2セリウム塩や硫酸銀塩等をアルコール、チオ
ール、アミンのような還元性物質を作用させて酸化還元
系(レドックス系)を形成し、繊維にフリーラジカルを
生成して重合を行う方法。 (3)γ線や加速電子線を用い、繊維とモノマーを共存
させて照射を行う方法、または繊維だけに照射し、後に
モノマーを加えて重合を行う方法。 (4)幹ポリマーを酸化しペルオキシ基を導入、或いは
側差のアミノ基からジアゾ導入しこれを重合開始点とし
て重合する方法。 (5)水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の側鎖の活
性基によるエポキシ、ラクタム、極性ビニルモノマー等
の重合開始反応を利用する方法。
a)ビニルモノマー中でセルロースを磨砕することによ
ってフリーラジカルを生成させグラフト重合を行う方
法。b)ビニルモノマーと、繊維として連鎖移動を受け
やすい基を持つセルロース誘導体(例えば、メルカプト
エチルセルロースなど)を用いてグラフト重合を行う方
法。c)オゾンや過酸化物を酸化し、ラジカルを生成さ
せる方法でグラフト重合を行う方法。d)アリルエーテ
ル、ビニルエーテルまたはメタクリル酸エステル等の二
重結合を、セルロースの側鎖に導入してグラフト重合を
行う方法。e)アンスラキノン-2,7-ジスルホン酸ナト
リウムなどを光増感剤として用い紫外線を照射してグラ
フト重合を行う方法。f)カソードの周りに繊維を巻
き、希硫酸中にモノマーを加え外部電圧を加えることに
より電気化学的にグラフト重合を行う方法。中でも繊維
へのグラフト重合であることを勘案すれば、好ましく
は、g)メタクリル酸グリシジル(GMA)と過酸化ベ
ンゾイルを塗った繊維をモノマー溶液中で加熱すること
によりグラフト重合する方法。h)過酸化ベンゾイル、
ノニオン-アニオン型界面活性剤及びモノクロルベンゼ
ンを水へ分散させた液にモノマーを加え、繊維として例
えばポリエステル系繊維を浸漬して、加熱してグラフト
重合を行う方法等が用いられる。
されず、一般的な方法が使用できる。例えば、(1)C
−Hに対する連鎖移動反応、酸化反応、置換反応(2)
二重結合に対する付加反応、酸化反応(3)水酸基のエ
ステル化、エーテル化、アセタール化、エステル基やア
ミド基に対する置換反応、付加反応、加水分解反応、ハ
ロゲン基に対する置換反応、脱離反応(4)芳香環に対
する置換反応(ハロゲン化、ニトロ化、スルホン化、ク
ロルメチル化)等が挙げられる。
ン低減化成分は、上記アレルゲン低減化成分に反応性あ
るいは重合性を付加した単量体であれば特に限定され
ず、使用することができる。中でも、線状高分子の側鎖
に上記一般式(1)〜(6)に示される少なくとも一つ
を有する化合物、上記一般式(1)〜(6)に示される
少なくとも一つを含む単量体及び/又は一価のフェノー
ル基を有する単量体を重合又は共重合してなる化合物を
形成しうるモノマーあるいはオリゴマーが好ましく用い
られる。
溶剤及び/又はバインダーに、溶解又は分散したアレル
ゲン低減化成分を繊維に化学的に結合及び/又は繊維に
後固着る方法によっても得られる。上記溶剤としては、
アレルゲン低減化成分を溶解又は分散できるもの、或い
はバインダーを溶解できるものであれば、特に限定され
ず、例えば、水、アルコール類(メチルアルコール、エ
チルアルコール、プロピルアルコール等)、炭化水素類
(トルエン、キシレン、メチルナフタレン、ケロセン、
シクロヘキサン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ケトン類(アセ
トン、メチルエチルケトン等)、アミド類(N,N-ジメ
チルホルムアミド等)等が挙げられる。
化剤を繊維表面に固着できるものであれば、特に限定さ
れず、例えば、合成樹脂からなるバインダーとしては、
1液型ウレタン樹脂、2液型ウレタン樹脂、アクリル樹
脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、不
飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、酢酸ビニル樹
脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレ
ート樹脂等が挙げられる。バインダーは、液体状態の場
合はそのままの状態で使用しても、また上記溶剤を添加
してもよい。固体状態の場合には上記溶剤に溶解又は分
散した状態で使用してもよい。また、上記溶剤及びバイ
ンダーは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用して
もよい。
はバインダーに溶解又は分散されている溶液(以下、低
減化成分含有溶液と記す場合がある。)を繊維に対し化
学的に結合及び/又は繊維に後固着させる方法として
は、特に限定されず、繊維を低減化成分含有溶液に浸漬
しても、低減化成分含有溶液を繊維に塗布・塗工して
も、低減化成分含有溶液を繊維にスプレーにより塗布し
ても構わない。
は、種々の方法によりアレルゲン低減化機能を回復させ
ることができる。アレルゲン低減化機能の回復とは、繊
維に化学的に結合及び/又は繊維に後固着したアレルゲ
ン低減化成分が、度重なるアレルゲンとの接触によりそ
の低減化機能を失った場合、再びアレルゲン低減化機能
を発揮できるようにすることをいう。アレルゲンの不活
性化は、使用する低減化成分の種類により、アレルゲン
と低減化成分との反応により低減化成分が消費される場
合と、低減化成分が触媒的に作用しアレルゲンを不活性
化する場合があると考えられる。このため、低減化成分
の機能回復(低減化成分を繊維表面に出す)させるため
には、繊維内部に存在する低減化成分を表面にブリード
アウトさせる、或いは、低減化繊維の表面に堆積した不
活性化アレルゲンを除去する方法等が挙げられる。
えば、繊維を液体で洗浄する方法、繊維を加熱する方
法、繊維を掃除機で吸引する方法等が挙げられる。上記
繊維の洗浄に使用されうる液体としては、繊維自体に損
傷を与えるものでなければ、特に限定されず、例えば
水、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコー
ル、プロピルアルコール等)、炭化水素類(トルエン、
キシレン、メチルナフタレン、ケロセン、シクロヘキサ
ン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン等)、ケトン類(アセトン、メチル
エチルケトン等)、アミド類(N,N-ジメチルホルムア
ミド等)等が挙げられる。中でも簡便に、また過程でも
手軽に処理できると言う点から、水、アルコールが好ま
しく用いられる。また、上記洗浄効果を高めるために、
一般に使用される界面活性剤を使用してもよい。
傷を与えるものでなければ、特に限定されず、また、上
記加熱方法としては、いかなる方法も使用でき、例え
ば、繊維自体を加熱する方法、上記溶剤を加熱し洗浄す
る方法、太陽光で加熱する方法等が挙げられる。
ゲンに対して円滑に作用し低減化効果を高めるために、
繊維に親水性成分を含有していることが好ましい。上記
方法としては、低減化成分として線状高分子の側鎖に上
記一般式(1)〜(6)に示される少なくとも一つを有
する化合物、上記一般式(1)〜(6)に示される少な
くとも一つを含む単量体及び/又は一価のフェノール基
を有する単量体を重合又は共重合してなる化合物を形成
しうるモノマーあるいはオリゴマー等の重合性成分を用
いる場合には、例えば、重合する際に親水性モノマーを
共重合する方法等を用いる方法が挙げられる。このよう
な親水性モノマーは、特に限定されず、例えば、酢酸ビ
ニル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEM
A)等が挙げられる。また、溶剤やバインダーを用いて
繊維に固着する場合には、紡糸する際に親水性物質を添
加して使用する方法が挙げられる。このような親水性物
質としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコー
ル等が挙げられる。また、繊維に吸湿性・吸水性の高い
繊維を使用する方法等も挙げられる。
ルゲン低減化効果の有効性を阻害しない範囲において、
湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の製剤用補助剤が
配合されていてもよく、また、殺ダニ剤、殺菌剤、防黴
剤、消臭剤等が含有されていてもよい。
るアレルゲンとしては、動物性アレルゲン、花粉等の植
物性アレルゲンが挙げられる。本発明のアレルゲン低減
化成分は、これらのアレルゲンの特異抗体との反応を抑
えることにより、本発明の繊維に接触したアレルゲンを
低減化する。特に効果のある動物性アレルゲンとして
は、ダニ類のアレルゲン(ダニ類、節足動物一蛛形綱−
ダニ目の生物で、主に7つの亜目に分かれている。アシ
ナガダニに代表される背気門、カタダニに代表される四
気門、ヤマトマダニ、ツバメヒメダニに代表される後気
門、イエダニ、スズメサシダニ代表される中気門、クワ
ガタツメダニ、ナミホコリダニに代表される前気門、ケ
ナガコナダニ、コナヒョウヒダニに代表される無気門、
イエササラダニ、カザリヒワダニに代表される隠気門
等)のいずれの種類でも対象となり得るが、室内塵中、
特に寝具類に多くアレルギー疾患の原因となるチリダニ
科、ヒョウヒダニ類に効果がある。
に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限
定されるものではない。
ルドリッチ社製試薬:純度75%一級規格)1重量部、
アニオン性界面活性剤「エマール2Fニードル」(花王
社製:有効成分または固形分90%)1重量部、クロロ
ベンゼン(シグマアルドリッチ社製試薬:純度99.5
%特級規格)10重量部、精製水1000重量部の水性
乳化分散液に、4-ビニルフェノール(ランカスター社
製:純度10%プロピレングリコール溶液)100重量
部を添加し繊維処理液を調整した。処理液中にPET
(ポリエチレンテレフタレート)製の布20重量部を浸
漬し、100℃で60分間加熱しグラフト重合を行っ
た。その後、100℃精製水中にて該PET製布を30
分間抽出を行い、更に0.5%炭酸ナトリウム水溶液
で、50℃で30分中和処理後、水洗し乾燥してアレル
ゲン低減化繊維を得た。
ケミカルズ社製:重量平均分子量(Mw)18000〜
36000)2重量部、バインダーとしてアクリル酸エ
チルとメタクリル酸メチル共重合体「オイドラギットN
E30D」(Rohm Pharma社製:固形分30
%)2重量部、ノニオン系界面活性剤「エマルゲン91
1」(花王社製)0.3重量部、及び溶媒として精製水
100重量部を混合攪拌し繊維処理液を調製した。処理
液をポリエステル不織布(目付100g/m2)に20
μl/cm2となるように均一にスプレーし、室温で8
時間放置して乾燥させ、アレルゲン低減化繊維を得た。
(和光純薬製試薬:一級規格)10重量部を、溶媒とし
てエチルアルコール(ナカライテスク社製:一級規格)
45重量部、精製水45重量部に溶解し繊維処理液を調
製した。処理液をポリエステル不織布(目付100g/
m2)に10μl/cm2となるように均一にスプレー
し、室温で8時間放置して乾燥させ、アレルゲン低減化
繊維を得た。
じPET製布を、アレルゲン低減化処理を行わずに使用
した。
じポリエステル不織布(目付100g/m2)を、アレ
ルゲン低減化処理を行わずに使用した。
て得られたのアレルゲン低減化繊維布、および比較例
1、2の布、各10g分使用して評価布片(33cm×3
0cm)を作製した。評価布片に、エチルアルコール50
重量部、精製水50重量部に、塵ゴミ(アレルゲン2m
g/g)5重量部を分散させた調製アレルゲンを1ml
振り撒いて評価用布片を調整した。 [評価方法(1)]室温で8時間放置後、上記評価用布
片をアレルゲン判定キット「ダニスキャン」(アサヒビ
ール薬品社製)を用いてアレルゲン性を測定した。判定
は「ダニスキャン」の使用説明書に従った。結果を表1
に示す。ダニスキャンの判定基準は以下の通り、 1・・・ダニアレルゲンの汚染はない(テストラインT
=0) 2・・・ややダニアレルゲンで汚染されている(T<C
コントロールライン) 3・・・ダニアレルゲンで汚染されている(T=C) 4・・・非常に汚染されている(T>C)
評価用布片を「マイティーチェッカー」(シントーファ
イン社製)のキットに従って、アレルゲン成分を抽出
し、アレルゲン量を測定した。結果を表1に示す。 マイティーチェッカーの判定基準は以下のとおり、 ++・・・ダニアレルゲンレベル>35μg/m2 + ・・・ダニアレルゲンレベル 10μg/m2 ± ・・・ダニアレルゲンレベル 5μg/m2 − ・・・ダニアレルゲンレべル <1μg/m2
ルゲン低減化成分を繊維に対し化学的に結合及び/又は
繊維に後固着してなるので、この繊維を用いた糸、織
布、不織布、更にこれを用いて製造された製品は、全て
に良好なアレルゲン低減化効果を示す。このように繊維
自体にアレルゲン低減化処理が施されているため、従来
のようにアレルゲンにより汚染された繊維に低減化成分
を後処理する等の手間をかけることもない。さらに、ア
レルゲン低減化機能が低下した場合であっても、簡便な
操作により低減化機能が回復することから、半永久的に
アレルゲン低減化機能を発揮することができる。
Claims (13)
- 【請求項1】 アレルゲン低減化成分が、繊維に化学的
に結合及び/又は繊維に後固着されていることを特徴と
するアレルゲン低減化繊維。 - 【請求項2】 グラフト化反応によりアレルゲン低減化
成分を繊維へ化学的に結合及び/又は繊維に後固着させ
ることを特徴とする請求項1記載のアレルゲン低減化繊
維。 - 【請求項3】 溶剤及び/又はバインダーに溶解又は分
散したアレルゲン低減化成分を繊維に化学的に結合及び
/又は繊維に後固着させてなることを特徴とする請求項
1記載のアレルゲン低減化繊維。 - 【請求項4】 アレルゲン低減化成分が、芳香族ヒドロ
キシ化合物であることを特徴とする請求項1〜3項いず
れか1項に記載のアレルゲン低減化繊維。 - 【請求項5】 芳香族ヒドロキシ化合物が、線状高分子
の側鎖に下記一般式(1)〜(6)に示される少なくと
も一つを有する化合物であることを特徴とする請求項1
〜4項いずれか1項に記載のアレルゲン低減化繊維。 【化1】 (Rは水素又は水酸基で、少なくとも1つは水酸基を示
し、nは0〜5を示す) - 【請求項6】 芳香族ヒドロキシ化合物が、上記一般式
(1)〜(6)に示される少なくとも一つを含む単量体
及び/又は一価のフェノール基を有する単量体を重合又
は共重合してなることを特徴とする請求項1〜4項いず
れか1項に記載のアレルゲン低減化繊維。 - 【請求項7】 芳香族ヒドロキシ化合物が、芳香族複素
環式ヒドロキシ化合物であることを特徴とする請求項1
〜4項いずれか1項に記載のアレルゲン低減化繊維。 - 【請求項8】 アレルゲン低減化成分が、アルカリ金属
の炭酸塩、明礬、ラウリルベンゼンスルホン酸塩、ラウ
リル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸
塩からなる群より選ばれた少なくとも1つであることを
特徴とする請求項1〜3項いずれか1項に記載のアレル
ゲン低減化繊維。 - 【請求項9】 アレルゲン低減化成分が、リン酸塩と、
硫酸亜鉛及び/又は酢酸鉛からなることを特徴とする請
求項1〜3項いずれか1項に記載のアレルゲン低減化繊
維。 - 【請求項10】 アレルゲンがチリダニ由来であること
を特徴とする請求項1〜9項いずれか1項に記載のアレ
ルゲン低減化繊維。 - 【請求項11】 液体で洗浄することにより、アレルゲ
ン低減化機能が回復することを特徴とする請求項1〜1
0項いずれか1項に記載のアレルゲン低減化繊維。 - 【請求項12】 加熱により、アレルゲン低減化機能が
回復することを特徴とする請求項1〜11項いずれか1
項に記載のアレルゲン低減化繊維。 - 【請求項13】 掃除機で吸引することにより、アレル
ゲン低減化機能が回復することを特徴とする請求項1〜
12項いずれか1項に記載のアレルゲン低減化繊維。
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