JP2003059642A - 有機エレクトロルミネッセンス素子、それを用いた照明装置、表示装置及び携帯端末 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、それを用いた照明装置、表示装置及び携帯端末

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JP2003059642A
JP2003059642A JP2001242893A JP2001242893A JP2003059642A JP 2003059642 A JP2003059642 A JP 2003059642A JP 2001242893 A JP2001242893 A JP 2001242893A JP 2001242893 A JP2001242893 A JP 2001242893A JP 2003059642 A JP2003059642 A JP 2003059642A
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light
organic electroluminescence
light emitting
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JP2001242893A
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Takashi Hamano
敬史 濱野
Shinichiro Kaneko
信一郎 金子
Takahiro Komatsu
隆宏 小松
Akira Gyotoku
明 行徳
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、取り出し効率向上に効果のある光
の屈折率を持つ媒質を基板材料として選択し、かつ、そ
の基板材料に適した施策を施すことにより、高効率な発
光性能を維持する事ができる有機エレクトロルミネッセ
ンス素子、それを用いた照明装置、表示装置及び携帯端
末を提供する事を目的とする。 【解決手段】 本発明の有機エレクトロルミネッセンス
素子は、基板上に、少なくとも正孔を注入する陽極と、
発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極を備
え、基板の素子形成面に対向する面に光の角度変換手段
を備え、基板の屈折率を1.2以上とした構成としたも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の表示装置や
表示装置の光源又はバックライト、若しくは光通信機器
に使用される発光素子等に用いられる有機エレクトロル
ミネッセンス素子、それを用いた照明装置、表示装置及
び携帯端末に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エレクトロルミネッセンス素子とは、固
体蛍光性物質の電界発光を利用した発光デバイスであ
り、現在無機系材料を発光体として用いた無機エレクト
ロルミネッセンス素子が実用化され、液晶ディスプレイ
のバックライトやフラットディスプレイ等への応用展開
が一部で図られている。しかし、無機エレクトロルミネ
ッセンス素子は発光させるために必要な電圧が100V
以上と高く、しかも青色発光が難しいため、RGBの三
原色によるフルカラー化が困難である。
【0003】一方、有機材料を用いたエレクトロルミネ
ッセンス素子に関する研究も古くから注目され、様々な
検討が行われてきたが、発光効率が非常に悪いことから
本格的な実用化研究へは進展しなかった。
【0004】しかし、1987年にコダック社のC.
W.Tangらにより、有機材料を正孔輸送層と発光層
の2層に分けた機能分離型の積層構造を有する有機エレ
クトロルミネッセンス素子が提案され、10V以下の低
電圧にもかかわらず1000cd/m2以上の高い発光
輝度が得られることが明らかとなった〔C.W.Tan
g and S.A.Vanslyke:Appl.P
hys.Lett、51(1987)913等参照〕。
これ以降、有機エレクトロルミネッセンス素子が俄然注
目され始め、現在も同様な機能分離型の積層構造を有す
る有機エレクトロルミネッセンス素子についての研究が
盛んに行われている。
【0005】ここで、従来の一般的な有機エレクトロル
ミネッセンス素子の構成について図8を用いて説明す
る。
【0006】図8は従来の有機エレクトロルミネッセン
ス素子の要部断面図である。
【0007】図8において、1はガラス基板、2は陽
極、3は正孔輸送層、4は発光層、5は陰極である。
【0008】図8に示すように有機エレクトロルミネッ
センス素子は、ガラス基板上にスパッタリング法や抵抗
加熱蒸着法等により形成されたITO等の透明な導電性
膜からなる陽極2と、陽極2上に同じく抵抗加熱蒸着法
等により形成されたN、N’−ジフェニル−N、N’−
ビス(3−メチルフェニル)−1、1’−ジフェニル−
4、4’−ジアミン(以下、TPDと略称する。)等か
らなる正孔輸送層3と、正孔輸送層3上に抵抗加熱蒸着
法等により形成された8−Hydroxyquinol
ine Aluminum(以下、Alq3と略称す
る。)等からなる発光層4と、発光層4上に抵抗加熱蒸
着法等により形成された100nm〜300nmの膜厚
の金属膜からなる陰極5とを備えている。
【0009】上記構成を有する有機エレクトロルミネッ
センス素子の陽極2をプラス極として、また陰極5をマ
イナス極として直流電圧又は直流電流を印加すると、陽
極2から正孔輸送層3を介して発光層4に正孔が注入さ
れ、陰極5から発光層4に電子が注入される。発光層4
では正孔と電子の再結合が生じ、これに伴って生成され
る励起子が励起状態から基底状態へ移行する際に発光現
象が起こる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような有機エレク
トロルミネッセンス素子において、通常、発光層中の蛍
光体から放射される光は、蛍光体を中心とした全方位に
出射され、正孔輸送層、陽極、ガラス基板を経由して、
あるいは、一旦光取り出し方向とは逆方向へ向かい、陰
極で反射され、発光層、正孔輸送層、陽極、ガラス基板
を経由して、空気中へ放射される。しかし、光が各媒質
の境界面を通過する際、入射側の媒質の屈折率が出射側
の屈折率より大きい場合には、屈折波の出射角が90と
なる角度、つまり臨界角、よりも大きな角度で入射する
光は、境界面を透過することができず、全反射され、光
は空気中へ取り出されない。
【0011】ここで、異なる媒質の境界面における、光
の屈折角と、媒質の屈折率の関係は、スネルの法則に従
う。スネルの法則によると、屈折率n1の媒質から屈折
率n2の媒質へ光が進行する場合、入射角θ1と屈折角θ
2の間に、n1sinθ1=n2sinθ2なる関係が成り
立つ。したがって、n1>n2が成り立つ場合、θ2=9
0°となる入射角θ1=sin-1(n2/n1)は、臨界
角としてよく知られており、入射角がこれよりも大きな
場合、光は媒質間の境界面において全反射されることと
なる。
【0012】したがって、等方的に光の放射される有機
エレクトロルミネッセンス素子において、この臨界角よ
りも大きな角度で放射される光は、境界面における全反
射を繰り返し、素子内部に閉じ込められ、空気中へ放射
されなくなる。
【0013】図9は従来の有機エレクトロルミネセンス
素子の要部断面における代表的な光線経路を示す模式図
である。なお、図9において、図8で説明した部分と同
じものには同一の符号を付している。
【0014】図9に示すように、発光層4中から放射さ
れた光は、陽極2とガラス基板1との界面(ITO/ガ
ラス界面)、および、ガラス基板1と空気との界面(ガ
ラス/空気界面)などの各境界面において全反射され
る。
【0015】このことは、発光層中で放射される光が素
子外部へ放射されず、有機エレクトロルミネッセンス素
子として、見かけ上の効率低下の原因となる。一般に、
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層で得られる
放射光は、大部分が全反射によって素子内部に閉じ込め
られ、有効な放射光として利用されるのは、17%から
20%程度であることが知られている〔Advance
d Material6(1994)491等参照〕。
【0016】そこで、有機エレクトロルミネッセンス素
子の基板に光の出射角度を変換する手段を設けること
で、上述した問題点の解決を図る事が提案されている。
【0017】例えば、特許2773720号公報には、
基板の光取り出し側にレンズ構造を形成することで光取
り出し効率を向上させる発明がなされている。
【0018】また、特許2991183号公報には、素
子界面の全反射を抑制する位置に回折格子等を形成する
ことで光取り出し効率を向上させる発明がなされ、特開
平9−129375号公報には、光取り出し側表面を乱
反射面あるいは反射・屈折角に乱れを生じさせることで
光取り出し効率を向上させる発明がなされている。
【0019】更に、特開平10−189251号公報に
は、透明基板内に光出射角度を変換する手段を形成する
ことで、あるいは、特開平10−308286号公報に
は、下部電極側面に光反射層を形成することで、光取り
出し効率を向上させる発明がなされている。このように
上記何れの発明においても取り出し効率の向上について
の発明がなされている。
【0020】しかしながら、上記いずれの施策において
も、光を反射・屈折あるいは回折・散乱などにより、光
の角度変換することでの光取出し効率の向上を図ってい
るが、基板の媒質と光の角度変換について検討は行われ
ていない。
【0021】また、特許2846571号公報には、基
板の媒質についての考察をおこない、光取出し面までの
光路長を設計し、光の干渉効果を利用することで、光取
出し効率を向上および色純度向上に関する発明がなされ
ている。しかし、前記発明においては、光の角度変換等
の積極的な施策は行われておらず、また、有機層の膜厚
により発光効率自体が変わるため、発光効率に起因する
膜厚と干渉効果に起因する膜厚とが必ずしも一致しない
ため、効率の良い光取出し施策はなされていない。
【0022】本発明は上記問題点に鑑み、取り出し効率
向上に効果のある光の屈折率を持つ媒質を基板材料とし
て選択し、かつ、その基板材料に適した施策を施すこと
により、高効率な発光性能を維持する事ができる有機エ
レクトロルミネッセンス素子、それを用いた照明装置、
表示装置及び携帯端末を提供する事を目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基
板上に、少なくとも正孔を注入する陽極と、発光領域を
有する発光層と、電子を注入する陰極を備え、基板の素
子形成面に対向する面に光の角度変換手段を備え、基板
の屈折率を1.2以上とした構成としたものである。
【0024】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、基板上
に、少なくとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有す
る発光層と、電子を注入する陰極を備えた有機エレクト
ロルミネッセンス素子であって、基板の素子形成面に対
向する面に光の角度変換手段を備え、基板の屈折率を
1.2以上としたことを特徴とする有機エレクトロルミ
ネッセンス素子であって、素子内部での光損失を減少さ
せることができるため、視認性に優れた、高効率の発光
性能を維持することができる。
【0025】請求項2に記載の発明は、基板上に、少な
くとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層
と、電子を注入する陰極を備えた有機エレクトロルミネ
ッセンス素子であって、基板の素子形成面に対向する面
に光の角度変換手段を備え、基板の屈折率を1.4以上
としたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス
素子であって、素子内部での光損失を減少させることが
できるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持
することができる。
【0026】請求項3に記載の発明は、基板上に、少な
くとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層
と、電子を注入する陰極を備えた有機エレクトロルミネ
ッセンス素子であって、基板の素子形成面に対向する面
に光の角度変換手段を備え、基板の屈折率を1.7以上
としたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス
素子であって、素子内部での光損失を減少させることが
できるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持
することができる。
【0027】請求項4に記載の発明は、基板上に、少な
くとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層
と、電子を注入する陰極を備えた有機エレクトロルミネ
ッセンス素子であって、基板の素子形成面に対向する面
に光の角度変換手段を備え、光の角度変換手段は基板よ
りも屈折率が高いことを特徴とする有機エレクトロルミ
ネッセンス素子であって、素子内部での光損失を減少さ
せることができるため、視認性に優れた、高効率の発光
性能を維持することができる。
【0028】請求項5に記載の発明は、基板上に、少な
くとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層
と、電子を注入する陰極を備えた有機エレクトロルミネ
ッセンス素子であって、基板の素子形成面及び素子形成
面に対向する面に光の角度変換手段を備えたことを特徴
とする有機エレクトロルミネッセンス素子であって、素
子内部での光損失を減少させることができるため、視認
性に優れた、高効率の発光性能を維持することができ
る。
【0029】請求項6に記載の発明は、基板上に、少な
くとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層
と、電子を注入する陰極を備えた有機エレクトロルミネ
ッセンス素子であって、基板の素子形成面に光の角度変
換手段を備え、基板の屈折率を1.7以下としたことを
特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子であっ
て、素子内部での光損失を減少させることができるた
め、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持すること
ができる。
【0030】請求項7に記載の発明は、基板上に、少な
くとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層
と、電子を注入する陰極を備えた有機エレクトロルミネ
ッセンス素子であって、基板の素子形成面に光の角度変
換手段を備え、基板の屈折率を1.5以下としたことを
特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子であっ
て、素子内部での光損失を減少させることができるた
め、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持すること
ができる。
【0031】請求項8に記載の発明は、請求項1〜7に
おいて、1光の角度変換手段は、面上に形成された微小
な凹凸からなる散乱面であることを特徴とする有機エレ
クトロルミネッセンス素子であって、光の角度変換手段
は、厳密な角度設計の必要がなく、容易な形成手段によ
り光の角度変換手段を形成することができ、高効率の発
光性能を維持することができる。
【0032】請求項9に記載の発明は、請求項1〜7に
おいて、光の角度変換手段は、面上に形成された光取出
し面とは非平行な関係にある面からなることを特徴とす
る有機エレクトロルミネッセンス素子であって、基板面
と、非平行な面を利用することにより、多彩な角度設計
することが可能なため、より好適な設計が可能である。
【0033】請求項10に記載の発明は、請求項1〜7
において、光の角度変換手段は、面上に形成された微小
レンズアレイからなることを特徴とする有機エレクトロ
ルミネッセンス素子であって、レンズ幅、曲率半径の選
択肢が多いのでより好適な設計が可能である。
【0034】請求項11に記載の発明は、請求項1〜7
において、光の角度変換手段は、面上に形成された微小
プリズムアレイからなることを特徴とする有機エレクト
ロルミネッセンス素子であって、高さを増やすことなく
非平行面と同様の効果を得られるため、より好適な設計
が可能である。
【0035】請求項12に記載の発明は、請求項8〜1
1において、光の角度変換手段は、基板の表面に形成さ
れたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素
子であって、その形成界面が基板の素子形成面に対向す
る面(空気/基板界面)であれば、有機エレクトロルミ
ネッセンス素子形成後に表面を加工すればよく作成行程
が簡単となり、形成界面が基板の素子形成面(基板/陽
極界面)であれば、光の角度変換手段としての微小レン
ズ等が剥き出しになることはない。
【0036】請求項13に記載の発明は、請求項8〜1
1において、光の角度変換手段は、基板の内部に形成さ
れたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素
子であって、その形成界面が基板の素子形成面に対向す
る面(空気/基板界面)であれば、有機エレクトロルミ
ネッセンス素子形成後に表面を加工すればよく作成行程
が簡単となる上、基板表面に凹凸等が無くなり、光の角
度変換手段の耐摩擦性が向上する。また、形成界面が基
板の素子形成面(基板/陽極界面)であれば、光の角度
変換手段としての微小レンズ等が剥き出しになることは
ない上、均一な面に対して陽極等を形成することが可能
となる。
【0037】請求項14に記載の発明は、請求項8〜1
1において、光の角度変換手段は、透明レジストからな
ることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子
であって、加工がしやすく安価である。
【0038】請求項15に記載の発明は、請求項8〜1
1において、光の角度変換手段は、酸化チタンからなる
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子で
あって、他の材料との屈折率差を大きくすることがで
き、蒸着などの簡単な方法で形成が可能である。
【0039】請求項16に記載の発明は、請求項1〜1
5において、基板と接する側の電極に対向する電極は、
可視光領域における光の反射率が50%以上であること
を特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子であっ
て、有効な光取出しが可能であり、陰極の材料、膜厚、
形成方法等の選択性を拡大することが可能となる。
【0040】請求項17に記載の発明は、請求項1〜1
6において、陽極がストライプ状に個々電気的に分離さ
れ、陰極がストライプ状に個々電気的に分離されて構成
されて、画像表示配列を有する事を特徴とする有機エレ
クトロルミネッセンス照明装置であって、素子内部での
光損失を減少させることができるため、高効率の発光性
能を維持することができ、単純マトリックス方式での良
好な照明を行うことができる。
【0041】請求項18に記載の発明は、請求項1〜1
6において、陽極、あるいは、陰極のいずれかが、個々
電気的に画素毎に分離されて構成されて、分離された電
極は、少なくとも1つ以上のスイッチング素子を介して
走査されることで、画像表示配列を有する事を特徴とす
る有機エレクトロルミネッセンス照明装置であって、素
子内部での光損失を減少させることができるため、高効
率の発光性能を維持することができ、アクティブマトリ
ックス方式での良好な照明を行うことができる。
【0042】請求項19に記載の発明は、請求項1〜1
6において、陽極がストライプ状に個々電気的に分離さ
れ、陰極がストライプ状に個々電気的に分離されて構成
されて、画像表示配列を有する事を特徴とする有機エレ
クトロルミネッセンス表示装置であって、素子内部での
光損失を減少させることができるため、高効率の発光性
能を維持することができ、単純マトリックス方式での良
好な表示を行うことができる。
【0043】請求項20に記載の発明は、請求項1〜1
6において、陽極、あるいは、陰極のいずれかが、個々
電気的に画素毎に分離されて構成されて、分離された電
極は、少なくとも1つ以上のスイッチング素子を介して
走査されることで、画像表示配列を有する事を特徴とす
る有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、素
子内部での光損失を減少させることができるため、高効
率の発光性能を維持することができ、アクティブマトリ
ックス方式での良好な表示を行うことができる。
【0044】請求項21に記載の発明は、音声を音声信
号に変換する音声信号変換手段と、電話番号等を入力す
る操作手段と、着信表示や電話番号等を表示する表示手
段と、音声信号を送信信号に変換する通信手段と、受信
信号を音声信号に変換する受信手段と、送信信号及び受
信信号を送受信するアンテナと、各部を制御する制御手
段を備えた携帯端末であって、表示手段が請求項19,
20いずれか1記載の表示装置から構成された事を特徴
とする携帯端末であって、素子内部での光損失を減少さ
せることができるため、高効率の発光性能を維持するこ
とができ、電池容量等の減量化による、軽量化あるいは
長使用時間化を図ることができる。
【0045】以下、本発明の有機エレクトロルミネッセ
ンス素子について、詳細に説明する。
【0046】まず、上述したように、異なる媒質の境界
面における、光の屈折角と、媒質の屈折率の関係はスネ
ルの法則に従い、等方的に光の放射される有機エレクト
ロルミネッセンス素子において、臨界角よりも大きな角
度で放射される光は、境界面における全反射を繰り返
し、素子内部に閉じ込められ、空気中へ放射されなくな
る。そして、光の経路は、経路を形成する媒質の屈折率
により決定されるため、媒質の屈折率を考慮した光取出
し効率向上施策は重要である。また、透明基板は、有機
物層や透明電極といった層に比べて十分に厚いこと、お
よび、一般に用いられている有機物層と透明電極の屈折
率が全反射を引き起こさない関係にあること、さらに
は、基板の膜厚を変化させても発光効率には影響を与え
ないなどの理由から、この透明基板の屈折率について考
察し、全反射の緩和を考慮することは非常に重要であ
る。
【0047】ここで、図1は本発明の有機エレクトロル
ミネッセンス素子の層構成を説明する概念図である。図
1に示すように、基板、陽極であるITO、発光層、陰
極が順次積層された構成となっている。また、Aは空気
と基板との界面を示し、Bは基板とITOとの界面を示
してしる。
【0048】そして、図1に示す有機エレクトロルミネ
ッセンス素子の層構成に基づき、界面Aに光の角度変
換手段を設けた場合、界面Bに光の角度変換手段を設
けた場合、界面A,Bの両界面に光の角度変換手段を
設けた場合、光の角度変換手段を設けない場合におけ
る基板の屈折率を変化させた時の発光層からの光の取り
出し効率に関する光学シミュレーションを行った。
【0049】この光学シミュレーションの結果を図2,
3に示す。なお、図2,3は光学シミュレーションの結
果を示すグラフであり、図2はITOの屈折率を変化さ
せた場合(nITO=1.5,nITO=2.0,nITO
2.5,このときITOの膜厚dITO=150nm)、
図3はITOの膜厚を変化させた場合の結果(dITO
50nm,dITO=150nm,dITO=400nm,こ
のときITOの屈折率nIT O=2.0)である。
【0050】ここで、図2における各曲線−1.5〜
−2.5とその条件について説明する。
【0051】−1.5:界面Aに光の角度変換手段
を設け、ITOの屈折率nITO=1.5である。
【0052】−2.0:界面Aに光の角度変換手段
を設け、ITOの屈折率nITO=2.0である。
【0053】−2.5:界面Aに光の角度変換手段
を設け、ITOの屈折率nITO=2.5である。
【0054】−1.5:界面Bに光の角度変換手段
を設け、ITOの屈折率nITO=1.5である。
【0055】−2.0:界面Bに光の角度変換手段
を設け、ITOの屈折率nITO=2.0である。
【0056】−2.5:界面Bに光の角度変換手段
を設け、ITOの屈折率nITO=2.5である。
【0057】−1.5:界面A,Bの両界面に光の
角度変換手段を設け、ITOの屈折率nITO=1.5で
ある。
【0058】−2.0:界面A,Bの両界面に光の
角度変換手段を設け、ITOの屈折率nITO=2.0で
ある。
【0059】−2.5:界面A,Bの両界面に光の
角度変換手段を設け、ITOの屈折率nITO=2.5で
ある。
【0060】−1.5:光の角度変換手段を設け
ず、ITOの屈折率nITO=1.5である。
【0061】−2.0:光の角度変換手段を設け
ず、ITOの屈折率nITO=2.0である。
【0062】−2.5:光の角度変換手段を設け
ず、ITOの屈折率nITO=2.5である。
【0063】同様に、図3における各曲線−50〜
−400とその条件について説明する。
【0064】−50:界面Aに光の角度変換手段を
設け、ITOの膜厚dITO=50nmである。
【0065】−150:界面Aに光の角度変換手段
を設け、ITOの膜厚dITO=150nmである。
【0066】−400:界面Aに光の角度変換手段
を設け、ITOの膜厚dITO=400nmである。
【0067】−50:界面Bに光の角度変換手段を
設け、ITOの膜厚dITO=50nmである。
【0068】−150:界面Bに光の角度変換手段
を設け、ITOの膜厚dITO=150nmである。
【0069】−400:界面Bに光の角度変換手段
を設け、ITOの膜厚dITO=400nmである。
【0070】−50:界面A,Bの両界面に光の角
度変換手段を設け、ITOの膜厚d ITO=50nmであ
る。
【0071】−150:界面A,Bの両界面に光の
角度変換手段を設け、ITOの膜厚dITO=150nm
である。
【0072】−400:界面A,Bの両界面に光の
角度変換手段を設け、ITOの膜厚dITO=400nm
である。
【0073】−50:光の角度変換手段を設けず、
ITOの膜厚dITO=50nmである。
【0074】−150:光の角度変換手段を設け
ず、ITOの膜厚dITO=150nmである。
【0075】−400:光の角度変換手段を設け
ず、ITOの膜厚dITO=400nmである。
【0076】ここで、光学シミュレーションの条件につ
いて具体的に説明する。
【0077】各層の屈折率は、発光層=1.7,ITO
=1.5,2.0,2.5,基板=1.0〜3.0であ
り、空気=1.0とした。
【0078】また、各層の膜厚は、発光層=150n
m,ITO=50nm,150nm,400nm、基板
=1mmである。
【0079】なお、発光層からの光は、発光層と陰極と
の界面で全て反射されるものとし、発光層,ITOおよ
び基板における吸収のみを考慮した.即ち、陰極は反射
率100%、発光層,ITO,基板の透過率は,それぞ
れ80%,97%,97%である。
【0080】また、光の角度変換手段は、各界面A,B
において、界面に入射した光の反射および屈折する角度
を、スネルの法則により決定される方向とは異なる方向
へ進行させるための手段である。ここでは簡単のため、
完全拡散方向へランダムに光が進行する面、いわゆるラ
ンバート散乱面を光の角度変換手段として用いている。
【0081】そして、図2における、−1.5,2.
0,2.5或いは、図3における−50,150,4
00で示される結果から明らかなように、光の角度変換
手段を形成しない場合、基板の屈折率が変化しても光の
取出し効率は変化しない。これは良く知られた状況であ
り、光の角度変換を施さない場合、光の空気への取出し
効率は有機物の屈折率により一意的に決定される。
【0082】これに対し、図2における−1.5,
2.0,2.5、或いは、図3における−50,15
0,400で示すように、界面A(空気/基板界面)に
光の角度変換手段を形成した場合では、基板の屈折率が
大きいほど光の取出し効率は大きくなる。これは、基板
の屈折率が大きくなることで、界面B(基板/ITO界
面)における全反射が緩和されるようになり、かつ、光
の角度変換により、界面A(空気/基板界面)における
全反射が緩和されるためと考えられる。この事実から同
様に、基板の空気と接する側の面に、基板より高屈折率
な媒質からなる導光面を形成し、この空気/導光面界面
における光の角度変換手段を形成することでも、効果的
な光の取出し効率向上を図ることも可能である。
【0083】また、図2における−1.5,2.0,
2.5或いは、図3における−50,150,400
で示すように、界面B(基板/ITO界面)に光の角度
変換手段を形成した場合では、基板の屈折率が小さいほ
ど光の取出し効率は大きくなる。これは、光の角度変換
により、界面B(基板/ITO界面)における全反射が
緩和されるようになり、かつ、基板の屈折率が小さいこ
とで、界面A(空気/基板界面)における全反射が緩和
されるためと考えられる。
【0084】そして、図2における−1.5,2.
0,2.5或いは、図3における−50,150,4
00で示すように、界面A(空気/基板界面)および界
面B(基板/ITO界面)に光の角度変換手段を形成し
た場合、基板の屈折率に関わらず、一様に光の取出し効
率は大きくなる。これは、光の角度変換手段により、両
界面A,Bの全反射が緩和されるためであり、このと
き、光の取出し効率は基板の屈折率に依存しない。ただ
し、光のにじみ等を抑制する必要がある場合は、高屈折
率基板を用いることが好ましい。
【0085】以上のことから、光の角度変換手段を形成
しない場合に比べ、界面A(空気/基板界面)に光の角
度変換手段を形成した場合、界面B(基板/ITO界
面)に光の角度変換手段を形成した場合、界面A(空気
/基板界面)および界面B(基板/ITO界面)に光の
角度変換手段を形成した場合のいずれの場合において
も、光の取出し効率を向上させることが可能である。
【0086】また、界面A(空気/基板界面)に光の角
度変換手段を形成した場合、基板の屈折率は、1.2以
上であれば、光の角度変換手段を形成しない場合よりも
光の取出し効率を向上させることが可能であり、更に、
1.4以上であれば、界面A(空気/基板界面)および
界面B(基板/ITO界面)に光の角度変換手段を形成
した場合よりも光の取出し効率を向上させることが可能
となる。ここで、実用上、発光層である有機物の屈折率
は1.7程度、陽極であるITOの屈折率はn ITO
1.8〜2.1程度であるので、界面A(空気/基板界
面)に光の角度変換手段を形成して、基板の屈折率を
1.7以上とすることで、30%を超える光の取出し効
率を達成することができる。
【0087】更に、界面B(基板/ITO界面)に光の
角度変換手段を形成した場合、ITOの屈折率によって
差異が生じているが、基板の屈折率を少なくとも1.5
以下とすれば、光の角度変換手段を形成しない場合より
も光の取出し効率を向上させることが可能である。更
に、1.1以下であれば、界面A(空気/基板界面)お
よび界面B(基板/ITO界面)に光の角度変換手段を
形成した場合よりも光の取出し効率を向上させることが
可能となる。しかし、低屈折率材料は限られているの
で、ITOの屈折率を大きくし、光の取出し効率を向上
させるように基板の屈折率を選択することが好ましい。
そして、実用上、発光層である有機物の屈折率は1.7
程度、陽極であるITOの屈折率はnITO=1.8〜
2.1程度であるので、界面B(基板/ITO界面)に
光の角度変換手段を形成して、基板の屈折率を1.7以
下とすることで、20%を超える光の取出し効率を達成
することができる。
【0088】次に、本発明の有機エレクトロルミネッセ
ンス素子を構成する。
【0089】まず、基板について説明する。有機エレク
トロルミネッセンス素子の基板としては、透明あるいは
半透明基板を用いることができる。
【0090】なお、本発明において、透明または半透明
なる定義は、有機エレクトロルミネッセンス素子による
発光の視認を妨げない程度の透明性を示すものである。
【0091】基板材料としては、透明または半透明のソ
ーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラ
ス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラ
ス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英ガラス等の、無機
酸化物ガラス、無機フッ化物ガラス、等の無機ガラス、
あるいは、透明または半透明のポリエチレンテレフタレ
ート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、
ポリエーテルスルフォン、ポリフッ化ビニル、ポリプロ
ピレン、ポリエチレン、ポリアクリレート、非晶質ポリ
オレフィン、フッ素系樹脂等の高分子フィルム等、ある
いは、透明または半透明のAs23、As4010、S40
Ge10等のカルコゲノイドガラス、ZnO、Nb25
Ta25、SiO、Si34、HfO2、TiO2等の金
属酸化物および窒化物等の材料から適宜選択して用いる
ことができ、複数の基板材料を積層した積層基板を用い
ることもできる。また、この基板表面、あるいは、基板
内部には、有機エレクトロルミネッセンス素子を駆動す
るための抵抗・コンダクタ・インダクタ等からなる回路
を形成していても良い。
【0092】また、これら基板材料の中で、高屈折率材
料としては、BaF等のフッ化物ガラス、或いは、高屈
折樹脂等があげられ、例えば、LaSFは屈折率が1.
8、BaSFは屈折率が1.7、BaFは屈折率が1.
6、ポリカーボネートは屈折率が1.6,アクリルは屈
折率が1.5であり、これらの中でもポリカーボネート
やアクリルは加工がしやすく安価であるという点から好
ましい。
【0093】低屈折率材料としては、Ti等のフッ化物
ガラス、或いは、波長以下の微小な気泡を含んだ低屈折
基材等があげられ、例えば、TiFは屈折率が1.4
5、TiKは屈折率が1.44、FKは屈折率が1.4
3、微小気泡含有のSiO2は屈折率が1.2であり、
これらの中でもTiFやTiK等が材料が安定している
という点から好ましい。
【0094】また、光の角度変換手段とは、2つの異な
る媒質からなる境界面において、入射する光が伝播し、
再び境界面に入射する際に、光の角度変換手段を経由す
ることで異なる入射角度で入射するような施策であり、
基板を形成する各面のいずれに対しても平行でないよう
な面および構造体である。
【0095】具体的には、基板の非平行面があげられ、
これは、例えば、三角柱や円柱、或いはそれらの複合体
等からなる、いわゆる平板とは異なる形状の基板におけ
る、素子形成面と平行・垂直な関係にない面である。
【0096】更に、光の角度変換手段の具体例として
は、基板の湾曲、基板表面の凹凸、微小レンズ、微小プ
リズム、微小ミラー構造、および、それらの集合体から
なる。
【0097】これら光の角度変換手段は、有機エレクト
ロルミネッセンス素子の積層構造体において、上述し
た、空気/基板界面、及び/又は、基板/陽極(例え
ば、ITO)界面であれば、いずれに形成しても良い
が、素子作成行程を考慮すると、基板自体を加工して形
成することが好ましい。
【0098】また、光の角度変換手段は、基板の表面、
或いは、基板の内部に形成することができる。
【0099】基板の表面に光の角度変換手段を形成する
場合、基板の表面を研磨して凹凸を形成する、或いは、
基板の表面に微小レンズ等を接合する。このように基板
の表面に光の角度変換手段を形成する場合において、そ
の形成界面が空気/基板界面であれば、有機エレクトロ
ルミネッセンス素子形成後に表面を加工すればよく作成
行程が簡単となり、形成界面が基板/陽極界面であれ
ば、光の角度変換手段としての微小レンズ等が剥き出し
になることはない。
【0100】基板の内部に光の角度変換手段を形成する
場合は、基板に凹凸や微小レンズを内包させて光の角度
変換手段を形成することができる。このように基板の内
部に光の角度変換手段を形成する場合において、その形
成界面が空気/基板界面であれば、有機エレクトロルミ
ネッセンス素子形成後に表面を加工すればよく作成行程
が簡単となる上、基板表面に凹凸等が無くなり、光の角
度変換手段の耐摩擦性が向上する。また、形成界面が基
板/陽極界面であれば、光の角度変換手段としての微小
レンズ等が剥き出しになることはない上、均一な面に対
して陽極等を形成することが可能となる。
【0101】光の角度変換手段の材料は、光透過性のも
のとして、前記透明基板材料として挙げた材料、あるい
は、それらを複合させてなる透明光の角度変換手段、あ
るいは、シート状に形成された光の角度変換シートおよ
び接着性透明樹脂等の複合手段等中から適宜選択して用
いることができる。また、光反射性のものとしては、金
属反射を利用した、Al(アルミニウム)、Ag
(銀)、Au(金)、Pt(白金)、Cu(銅)、Li
(リチウム)、Cr(クロム)、Ti(チタン)、Fe
(鉄)、Ge(ゲルマニウム)、In(インジウム)、
Mg(マグネシウム)、Ba(バリウム)、Ni(ニッ
ケル)、Si(シリコン)、Sn(錫)、W(タングス
テン)、Zn(亜鉛)、Mo(モリブデン)、Ta(タ
ンタル)等、1種類以上の金属または合金あるいはこれ
らの膜を積層してなる積層体といった金属反射を利用し
た金属反射材料、あるいは、少なくとも前記金属粉末等
の導電性微粒子を樹脂に分散させてできる導電性樹脂の
光反射を利用した樹脂等、あるいは、前記導電性樹脂に
白色顔料などを分散させてできる白色樹脂の白色反射を
利用した樹脂等などから、適宜選択して用いることがで
きる。
【0102】また特に、これら光の角度変換手段は、界
面を形成する材料との屈折率差の大きな透明材料で、か
つ、成形が容易な材料からなることが好ましく、透明レ
ジスト、或いは、酸化チタン等を用いて光の角度変換手
段を形成することが好ましい。
【0103】透明レジストは、可視光に対する透過率が
高く、熱あるいは紫外線により硬化させることで光の角
度変換手段として用いることが可能なため、非常に成形
が容易であり、微少な光の角度変換手段を形成する場合
特に有効である。
【0104】また、酸化チタンは、可視光に対する透過
率が高く、かつ、屈折率が非常に高いため、光の角度変
換手段として有効であり、高屈折率基板上に形成する場
合は更に好ましい。
【0105】そして、基板の表裏の少なくともいずれか
一方、即ち、空気/基板界面、及び/又は、基板/陽極
(例えば、ITO)界面に、光の角度変換手段を設け、
基板に高屈折率材料や低屈折率材料を用いる代わりに、
光の角度変換手段そのものを高屈折率材料や低屈折率材
料で構成することによっても、光の取出し効率を図る事
も可能であり、光の角度変換手段に用いる高屈折率材料
としては、BaF等のフッ化物ガラス、或いは、高屈折
樹脂等があげられ、例えば、LaSFは屈折率が1.
8、BaSFは屈折率が1.7、BaFは屈折率が1.
6、ポリカーボネートは屈折率が1.6、アクリルは屈
折率が1.5である。或いは、光の角度変換手段が微小
である場合、多少可視光領域の透過率が低くても良いた
め、TiO 2等の無機酸化物、或いは、透明レジスト等
があげられ、TiO2は屈折率が2.5、透明レジスト
は屈折率が1.5である。これらの中でも透明レジスト
は加工がしやすく安価であるという点から好ましく、T
iO2は他の材料との屈折率差を大きくすることができ
るという点から好ましい。低屈折率材料としては、Ti
等のフッ化物ガラス、或いは、波長以下の微小な気泡を
含んだ低屈折基材等があげられ、例えば、TiFは屈折
率が1.45、TiKは屈折率が1.44、FKは屈折
率が1.43、微小気泡含有のSiO2は屈折率が1.
2であり、これらの中でも微小気泡含有の低屈折基材
は、他の材料との屈折率差を大きくすることができると
いう点から好ましい。
【0106】陽極は、正孔を注入する電極であり、正孔
を効率良く発光層或いは正孔輸送層に注入することが必
要である。陽極としては、透明電極を用いることができ
る。透明電極の材料としては、インジウムスズ酸化物
(ITO)、酸化スズ(SnO 2)、酸化亜鉛(Zn
O)等の金属酸化物、あるいは、SnO:Sb(アンチ
モン)、ZnO:Al(アルミニウム)といった混合物
からなる透明導電膜や、あるいは、透明度を損なわない
程度の厚さのAl(アルミニウム)、Cu(銅)、Ti
(チタン)、Ag(銀)といった金属薄膜や、これら金
属の混合薄膜、積層薄膜といった金属薄膜や、あるい
は、ポリピロール等の導電性高分子等を用いる事ができ
る。また、複数の前述透明電極材料を積層することで透
明電極とすることも可能であり、抵抗加熱蒸着、電子ビ
ーム蒸着、スパッタ法または電界重合法等の各種の重合
法等により形成する。また、透明電極は、十分な導電性
を持たせるため、または、基板表面の凹凸による不均一
発光を防ぐために、1nm以上の厚さにすることが望ま
しい。また、十分な透明性を持たせるために500nm
以下の厚さにすることが望ましい。
【0107】更に、陽極としては、前記透明電極以外に
も、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、
Sn(錫)、W(タングステン)、Au(金)等の仕事
関数の大きな金属、あるいはその合金、酸化物等を用い
ることができ、これら陽極材料を用いた複数の材料によ
る積層構造も用いることができる。ただし、陽極として
透明電極を用いない場合、光の角度変換手段の効果を最
大限に利用するためには、陽極は光を反射する材料で形
成することが好ましい。なお、陽極として透明電極を用
いない場合には、陰極が透明電極であればよい。
【0108】また、陽極に非晶質炭素膜を設けても良
い。この場合には、共に正孔注入電極としての機能を有
する。即ち、陽極から非晶質炭素膜を介して発光層或い
は正孔輸送層に正孔が注入される。また、非晶質炭素膜
は、陽極と発光層或いは正孔輸送層との間にスパッタ法
により形成されてなる。スパッタリングによるカーボン
ターゲットとしては、等方性グラファイト、異方性グラ
ファイト、ガラス状カーボン等があり、特に限定するも
のではないが、純度の高い等方性グラファイトが適して
いる。非晶質炭素膜が優れている点を具体的に示すと、
理研計器製の表面分析装置AC−1を使って、非晶質炭
素膜の仕事関数を測定すると、非晶質炭素膜の仕事関数
は、Wc=5.40eVである。ここで、一般に陽極と
してよく用いられているITOの仕事関数は、WITO
5.05eVであるので、非晶質炭素膜を用いた方が発
光層或いは正孔輸送層に効率よく正孔を注入できる。ま
た、非晶質炭素膜をスパッタリング法にて形成する際、
非晶質炭素膜の電気抵抗値を制御するために、窒素ある
いは水素とアルゴンの混合ガス雰囲気下で反応性スパッ
タリングする。さらに、スパッタリング法などによる薄
膜形成技術では、膜厚を5nm以下にすると膜が島状構
造となり均質な膜が得られない。そのため、非晶質炭素
膜の膜厚が5nm以下では、効率の良い発光が得られ
ず、非晶質炭素膜の効果が期待できない。また、非晶質
炭素膜の膜厚を200nm以上とすると、膜の色が黒味
を帯び、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光が十
分に透過しなくなる。
【0109】また、発光層材料は、可視領域で蛍光特性
を有し、かつ成膜性の良い蛍光体からなるものが好まし
く、Alq3やBe−ベンゾキノリノール(BeBq2
の他に、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2
−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾー
ル、4,4’−ビス(5,7−ベンチル−2−ベンゾオ
キサゾリル)スチルベン、4,4’−ビス〔5,7−ジ
−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリ
ル〕スチルベン、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ベン
チル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフィン、2,5−
ビス(〔5−α,α−ジメチルベンジル〕−2−ベンゾ
オキサゾリル)チオフェン、2,5−ビス〔5,7−ジ
−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリ
ル〕−3,4−ジフェニルチオフェン、2,5−ビス
(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、
4,4’−ビス(2−ベンゾオキサイゾリル)ビフェニ
ル、5−メチル−2−〔2−〔4−(5−メチル−2−
ベンゾオキサイゾリル)フェニル〕ビニル〕ベンゾオキ
サイゾリル、2−〔2−(4−クロロフェニル)ビニ
ル〕ナフト〔1,2−d〕オキサゾール等のベンゾオキ
サゾール系、2,2’−(p−フェニレンジビニレン)
−ビスベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール系、2−
〔2−〔4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル〕ビ
ニル〕ベンゾイミダゾール、2−〔2−(4−カルボキ
シフェニル)ビニル〕ベンゾイミダゾール等のベンゾイ
ミダゾール系等の蛍光増白剤や、ビス(8−キノリノー
ル)マグネシウム、ビス(ベンゾ−8−キノリノール)
亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミ
ニウムオキシド、トリス(8−キノリノール)インジウ
ム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニ
ウム、8−キノリノールリチウム、トリス(5−クロロ
−8−キノリノール)ガリウム、ビス(5−クロロ−8
−キノリノール)カルシウム、ポリ〔亜鉛−ビス(8−
ヒドロキシ−5−キノリノニル)メタン〕等の8−ヒド
ロキシキノリン系金属錯体やジリチウムエピンドリジオ
ン等の金属キレート化オキシノイド化合物や、1,4−
ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−(3−
メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチル
スチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビ
ス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3
−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチ
ルスチリル)2−メチルベンゼン等のスチリルベンゼン
系化合物や、2,5−ビス(4−メチルスチリル)ピラ
ジン、2,5−ビス(4−エチルスチリル)ピラジン、
2,5−ビス〔2−(1−ナフチル)ビニル〕ピラジ
ン、2,5−ビス(4−メトキシスチリル)ピラジン、
2,5−ビス〔2−(4−ビフェニル)ビニル〕ピラジ
ン、2,5−ビス〔2−(1−ピレニル)ビニル〕ピラ
ジン等のジスチルピラジン誘導体や、ナフタルイミド誘
導体や、ペリレン誘導体や、オキサジアゾール誘導体
や、アルダジン誘導体や、シクロペンタジエン誘導体
や、スチリルアミン誘導体や、クマリン系誘導体や、芳
香族ジメチリディン誘導体等が用いられる。さらに、ア
ントラセン、サリチル酸塩、ピレン、コロネン等も用い
られる。あるいは、ファク−トリス(2−フェニルピリ
ジン)イリジウム等の燐光発光材料を用いても良い。
【0110】また、発光層のみの単層構造の他に、正孔
輸送層と発光層又は発光層と電子輸送層の2層構造や、
正孔輸送層と発光層と電子輸送層の3層構造のいずれの
構造でもよい。但し、このような2層構造又は3層構造
の場合には、正孔輸送層と陽極が、又は電子輸送層と陰
極が接するように積層して形成される。
【0111】そして、正孔輸送層としては、正孔移動度
が高く、透明で成膜性の良いものが好ましい。TPDの
他に、ポルフィン、テトラフェニルポルフィン銅、フタ
ロシアニン、銅フタロシアニン、チタニウムフタロシア
ニンオキサイド等のポリフィリン化合物や、1,1−ビ
ス{4−(ジ−P−トリルアミノ)フェニル}シクロヘ
キサン、4,4’,4’’−トリメチルトリフェニルア
ミン、N,N,N’,N’−テトラキス(P−トリル)
−P−フェニレンジアミン、1−(N,N−ジ−P−ト
リルアミノ)ナフタレン、4,4’−ビス(ジメチルア
ミノ)−2−2’−ジメチルトリフェニルメタン、N,
N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノ
ビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ−m
−トリル−4,N,N−ジフェニル−N,N’−ビス
(3−メチルフェニル)−1,1’−4,4’−ジアミ
ン、4’−ジアミノビフェニル、N−フェニルカルバゾ
−ル等の芳香族第三級アミンや、4−ジ−P−トリルア
ミノスチルベン、4−(ジ−P−トリルアミノ)−4’
−〔4−(ジ−P−トリルアミノ)スチリル〕スチルベ
ン等のスチルベン化合物や、トリアゾール誘導体や、オ
キサジザゾール誘導体や、イミダゾール誘導体や、ポリ
アリールアルカン誘導体や、ピラゾリン誘導体や、ピラ
ゾロン誘導体や、フェニレンジアミン誘導体や、アニー
ルアミン誘導体や、アミノ置換カルコン誘導体や、オキ
サゾール誘導体や、スチリルアントラセン誘導体や、フ
ルオレノン誘導体や、ヒドラゾン誘導体や、シラザン誘
導体や、ポリシラン系アニリン系共重合体や、高分子オ
リゴマーや、スチリルアミン化合物や、芳香族ジメチリ
ディン系化合物や、ポリ3−メチルチオフェン等の有機
材料が用いられる。また、ポリカーボネート等の高分子
中に低分子の正孔輸送層用の有機材料を分散させた、高
分子分散系の正孔輸送層も用いられる。
【0112】また、電子輸送層としては、1,3−ビス
(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサ
ジアゾリル)フェニレン(OXD−7)等のオキサジア
ゾール誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニ
ルキノン誘導体等が用いられる。
【0113】陰極は、電子を注入する電極であり、電子
を効率良く発光層或いは電子輸送層に注入することが必
要であり、仕事関数の小さいAl(アルミニウム)、I
n(インジウム)、Mg(マグネシウム)、Ti(チタ
ン)、Ag(銀)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロ
ンチウム)等の金属、あるいは、これらの金属の酸化物
やフッ化物およびその合金、積層体等が一般に用いられ
る。そして、光の角度変換手段の効果を最大限に利用す
るためには、陰極は光を反射する材料で形成することが
好ましい。
【0114】光の角度変換手段を形成した場合、すべて
の光に対して有効な角度変換を行うことは困難であり、
そのため、一度の光の角度変換で取出されなかった光
は、空気との界面で全反射され、再び素子内部へと伝播
し陰極へと到達する。或いは、発光層において、光は等
方的に放射されるため、発光層で放射される光のうち半
分は、光取り出し面に到達する前に陰極へと到達する。
このとき、陰極が光を反射する材料で形成されていた場
合、この陰極へ到達した光は反射され、再び、光取出し
面方向へと伝播することが可能となり、有効な光として
利用される可能性がある。この効果を有効にするために
は,陰極は光を反射する材料で形成することが好まし
く、更に、光の反射率が50%以上であることが好まし
い。これは、光の角度変換による効率向上率が2倍程度
であることから、光の反射率が50%以上、つまり陰極
における光のロスが50%以下であれば有効な光取出し
が可能である。従来の有機エレクトロルミネッセンス素
子では、陰極の反射率は極めて高いことが要求された
が、光取り出し効率が向上することによって、陰極の材
料、膜厚、形成方法等の選択性を拡大することも可能で
ある。なお、以上のことは、陰極を透明電極として用い
た場合には、陽極に適用されるのは言うまでもない。
【0115】また、陰極としては、発光層或いは電子輸
送層と接する界面に、仕事関数の小さい金属を用いた光
透過性の高い超薄膜を形成し、その上部に透明電極を積
層することで、透明陰極を形成することも可能である。
特に仕事関数の小さなMg、Mg−Ag合金、特開平5
−121172号公報記載のAl−Li合金やSr−M
g合金あるいはAl−Sr合金、Al−Ba合金等ある
いはLiO2/AlやLiF/Al等の積層構造は陰極
材料として好適である。
【0116】更に、これら陰極の成膜方法としては抵抗
加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタ法が用いられる。
【0117】なお、陽極及び陰極は少なくとも一方が透
明電極であればよい。更に、共に透明電極であってもよ
いが、光の取り出し効率を向上させるためには、一方が
透明電極であれば、他方が光を反射する材料で形成する
ことが好ましい。
【0118】また、有機エレクトロルミネッセンス素子
を外気から遮断し、長時間安定性を保証するために素子
表面に保護膜を形成することもある。保護膜の材料とし
ては、SiON、SiO、SiN、SiO2、Al
23、LiF等の無機酸化物、無機窒化物、無機フッ化
物からなる薄膜、あるいは、無機酸化物、無機窒化物、
無機フッ化物等、あるいは、それらの混合物等からなる
ガラス膜、あるいは、熱硬化性、光硬化性の樹脂や封止
効果のあるシラン系の高分子材料等が挙げられ蒸着やス
パッタリング等もしくは塗布法により形成される。
【0119】また、本発明の有機エレクトロルミネッセ
ンス素子は、画像を表示する表示装置として用いること
ができ、これら表示装置は、携帯電話、PHS、PDA
等の携帯情報端末のディスプレイ、テレビジョン、パー
ソナルコンピュータ、カーナビゲーション等のディスプ
レイ、ステレオ、ラジオ等のAV機器のディスプレイ等
に用いることができる。
【0120】更に、レーザプリンタ、スキャナ等の光源
としての照明装置に用いることができる。或いは、室内
灯、ライトスタンド等の照明器具のような単なる光源と
しての照明装置として用いることもできる。
【0121】これらの中でも、有機エレクトロルミネッ
センス素子の低消費電力、軽量薄型化が容易、応答速度
が速い等の優位性を考慮すれば、様々な電子機器におい
て画像を表示するディスプレイとしての表示装置や、レ
ーザプリンタ、スキャナ等の光源としての照明装置に用
いることが好ましい。
【0122】以下に本発明の実施の形態について説明す
る。
【0123】(実施の形態1)本発明の実施の形態にお
ける有機エレクトロルミネッセンス素子について述べ
る。
【0124】図4は、本発明の実施の形態における有機
エレクトロルミネッセンス素子の要部断面図である。
【0125】図4において、陽極2、正孔輸送層3、発
光層4、陰極5は従来の技術で説明したものと同様のも
のであるので、同一の符号を付して説明を省略する。ま
た、6は微小レンズアレイ、7は高屈折率基板である。
【0126】本実施の形態における有機エレクトロルミ
ネッセンス素子は、高屈折率基板7の陽極と接する面に
対向する側の面に光の角度変換手段として微小レンズア
レイ6を備えている。そして、その微小レンズアレイ
が、発光層から放射される光の角度を、高屈折率基板と
空気との境界面において全反射を引き起こす臨界角より
も小さい角度に変換するようになっていることが好まし
い。光の角度変換手段の構成材料、形成方法は上述した
構成材料、形成方法や従来公知の材料の中から、発光層
からの発光の取出しを妨げないように適宜選択して用い
ることができる。
【0127】なお、基板1、陽極2、正孔輸送層3、発
光層4、陰極5の構成材料、形成方法も上述した構成材
料、形成方法や従来公知のものを用いることができる。
【0128】更に、本実施の形態においては、正孔輸送
層と発光層からなる二層構造の場合について説明した
が、その構造については前述のように特にこれに限定さ
れるものではない。
【0129】また、本実施の形態においては、基板上面
に陽極を形成する構造の場合について説明したが、その
構造については前述のように特にこれに限定されるもの
ではなく、基板上面に陰極を形成することも可能であ
る。
【0130】また、封止の形態については、保護膜を形
成して封止する等の適宜手段を採用することができる。
他に保護膜とシールド材等との組み合わせであっても何
等問題ない。
【0131】以上のように、本実施の形態によれば、従
来構成では無駄になっていた光を取り出すことができる
ため、光取り出し効率が向上し、高効率な発光性能を維
持する事ができる。
【0132】そして、本実施の形態における有機エレク
トロルミネッセンス素子は、照明装置や表示装置として
用いることができるのは言うまでもない。
【0133】(実施の形態2)次に、本発明の有機エレ
クトロルミネッセンス素子を用いた表示装置について説
明する。
【0134】図5は、本発明の実施の形態における有機
エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置の概略
斜視図である。
【0135】図5において、高屈折率基板7、陽極2、
正孔輸送層3、発光層4、陰極5、は実施の形態1と同
一の符号を付してここでは説明を省略する。また、8は
微小プリズムアレイである。
【0136】本実施の形態においては、図5に示すよう
に、陽極2は線状にパターニングされており、これに略
直交する形で陰極5も同様に線状にパターニングされて
いる。
【0137】そして、この表示装置の陽極2をプラス
側、陰極5をマイナス側とし、図示しない駆動手段とし
ての駆動回路(ドライバ)に接続し、選択した陽極2、
陰極5に直流電圧または直流電流を印加すれば、直交す
る部分の発光層4が発光し、単純マトリックス方式の表
示装置として使用することができる。
【0138】本実施の形態においては、高屈折率基板7
は、陽極と接する面に光の角度変換手段として微小プリ
ズムアレイ8を備えている。そして、その微小プリズム
アレイが、発光層から放射される光の角度を、高屈折率
基板と空気との境界面において全反射を引き起こす臨界
角よりも小さい角度に変換するようになっていることが
好ましく、また、微小プリズムアレイは各画素毎に周期
的に配置されていることが好ましい。
【0139】なお、陽極2、正孔輸送層3、発光層4、
陰極5の構成材料、形成方法も上述した構成材料、形成
方法や従来公知のものを用いることができる。
【0140】以上のように、本実施の形態の表示装置に
おいても、従来構成では無駄になっていた光を取り出す
ことができるため、光取り出し効率が向上し、高効率な
発光性能を維持する事ができる。また、本実施の形態の
表示装置においては、光取り出し面における光透過性基
板中における光伝播を抑制することができるため、高効
率な発光性能を維持する事ができるとともに、光にじみ
等のない、視認性のよい表示装置を実現することが可能
である。
【0141】また、本実施の形態においては、単純マト
リックス方式の表示装置について説明したが、アクティ
ブマトリックス方式の表示装置でもよく、高屈折率基板
の空気と接する面における光の全反射を抑制するような
角度変換手段を形成すればよい。
【0142】なお、本発明の有機エレクトロルミネッセ
ンス素子は、画像を表示する表示装置としてだけでな
く、レーザプリンタ、スキャナ等の光源等の照明装置と
しても用いることができる。更に、陽極2及び陰極5を
線状にパターニングさせずに、全面発光させて、単なる
照明装置として用いてもよい。
【0143】(実施の形態3)次に、本発明の有機エレ
クトロルミネッセンス素子を用いた携帯端末について説
明する。図6は本発明の有機エレクトロルミネッセンス
素子を用いた表示装置を備えた携帯端末を示す斜視図で
あり、図7は本発明の有機エレクトロルミネッセンス素
子を用いた表示装置を備えた携帯端末を示すブロック図
である。
【0144】図6及び図7において、9は音声を音声信
号に変換するマイク、10は音声信号を音声に変換する
スピーカー、11はダイヤルボタン等から構成される操
作部、12は着信等を表示する表示部であり本発明の有
機エレクトロルミネッセンスを用いた表示装置より構成
されている、13はアンテナ、14はマイク9からの音
声信号を送信信号に変換する送信部で、送信部14で作
製された送信信号は、アンテナ13を通して外部に放出
される。15はアンテナ13で受信した受信信号を音声
信号に変換する受信部で、受信部15で作成された音声
信号はスピーカー10にて音声に変換される。16は送
信部14、受信部15、操作部11、表示部12を制御
する制御部である。
【0145】マイク9は、使用者(発信者)の通話時の
音声等が入力され、スピーカー10からは相手側の音声
や告知音が出力されて使用者(受信者)に伝達される。
なお、携帯端末として、ページャーを用いる場合には、
マイクは特に設けなくてもよい。
【0146】更に、操作部11には、ダイヤルボタンと
してのテンキーや各種の機能キーを備えている。また、
テンキーや各種の機能キーだけでなく、文字キー等を備
えていてもよい。この操作部11から、電話番号、氏
名、時刻、各種機能の設定、Eメールアドレス、URL
等の所定のデータが入力される。更に操作部11は、こ
のようなキーボードによる操作だけでなく、ペン入力装
置、音声入力装置、磁気又は光学入力装置を用いてもよ
い。
【0147】表示部12は、操作部11から入力される
所定のデータやメモリに記憶された電話番号、Eメール
アドレス、URL等のデータ或いはキャラクタアイコン
等が表示される。
【0148】また、アンテナ13は、電波の送信か受信
の少なくとも一方を行う。なお、本実施の形態では、信
号の送信、受信を電波で行うので、アンテナ(ヘリカル
アンテナ、平面アンテナ等)を設けたが、光通信等を行
う場合には、発光素子や受光素子をアンテナ13の代わ
りに設けてもよい。この場合には、発光素子で信号を他
の通信機器などに送信し、受光素子で外部からの信号を
受信する。
【0149】送信部14、受信部15は、それぞれ、音
声信号を送信信号に変換し、受信した受信信号を音声信
号に変換する。
【0150】更に、制御部16は、図示されていないC
PUやメモリ等を用いた従来公知の手法により構成され
ており、送信部14、受信部15、及び、操作部11、
表示部12を制御する。より具体的には、これら各部に
設けられた図示しない各制御回路、駆動回路等に命令を
与える。例えば、制御部16からの表示命令を受けた表
示制御回路は、表示駆動回路を駆動し、表示部12に表
示が行われる。
【0151】以下その動作の一例について説明する。
【0152】先ず、着信があった場合には、受信部15
から制御部16に着信信号を送出し、制御部16は、そ
の着信信号に基づいて、表示部12に所定のキャラクタ
等を表示させ、更に操作部11から着信を受ける旨のボ
タン等が押されると、信号が制御部16に送出されて、
制御部16は、着信モードに各部を設定する。即ちアン
テナ13で受信した信号は、受信部15で音声信号に変
換され、音声信号はスピーカー10から音声として出力
されると共に、マイク9から入力された音声は、音声信
号に変換され、送信部14を介し、アンテナ13を通し
て外部に送出される。
【0153】次に、発信する場合について説明する。
【0154】まず、発信する場合には、操作部11から
発信する旨の信号が、制御部16に入力される。続いて
電話番号に相当する信号が操作部11から制御部16に
送られてくると、制御部16は送信部14を介して、電
話番号に対応する信号をアンテナ13から送出する。そ
の送出信号によって、相手方との通信が確立されたら、
その旨の信号がアンテナ13を介し受信部15を通して
制御部16に送られると、制御部16は発信モードに各
部を設定する。即ちアンテナ13で受信した信号は、受
信部15で音声信号に変換され、音声信号はスピーカー
10から音声として出力されると共に、マイク9から入
力された音声は、音声信号に変換され、送信部14を介
し、アンテナ13を通して外部に送出される。
【0155】なお、本実施の形態では、音声を送信受信
した例を示したが、音声に限らず、文字データ等の音声
以外のデータの送信もしくは受信の少なくとも一方を行
う携帯端末についても同様な効果を得ることができる。
【0156】このような本実施の形態による携帯端末に
おいては、高効率な発光性能を維持することができるた
め、バッテリー等の電力使用量を抑制することができ
る。これにより、携帯端末の長時間使用を可能にした
り、あるいは、バッテリーの小型化による軽量化を図る
ことが可能である。
【0157】特に近年、携帯端末に用いる表示素子はよ
り高画質で、かつ低消費電力であることが求められてお
り、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子の光取り
出しに比べて、高画質・高効率化は大きなメリットをも
たらす。そして、高効率化によって、電池容量の減量化
が可能となり、軽量化や長使用時間化を図ることができ
る。また、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板と
して、高分子フィルムを用いれば、飛躍的な軽量化をも
たらすことが可能となる。
【0158】
【実施例】(実施例1)高屈折率なLaSFガラス材料
(屈折率=1.8)からなる透明基板上にフィルム状の
散乱シートを、基板との間に空気が入らないように貼り
付けた。この散乱面をもった高屈折率基板の反対側の面
に膜厚160nmのITO膜を形成した後、ITO膜上
にレジスト材(東京応化社製、OFPR−800)をス
ピンコート法により塗布して厚さ10μmのレジスト膜
を形成し、マスク、露光、現像してレジスト膜を所定の
形状にパターニングした。次に、この基板を60℃で5
0%の塩酸中に浸漬して、レジスト膜が形成されていな
い部分のITO膜をエッチングした後、レジスト膜も除
去し、所定のパターンのITO膜からなる陽極が形成さ
れたパターニング基板を得た。
【0159】次に、このパターニング基板を、洗剤(フ
ルウチ化学社製、セミコクリーン)による5分間の超音
波洗浄、純水による10分間の超音波洗浄、アンモニア
水1(体積比)に対して過酸化水素水1と水5を混合し
た溶液による5分間の超音波洗浄、70℃の純水による
5分間の超音波洗浄の順に洗浄処理した後、窒素ブロア
ーで基板に付着した水分を除去し、さらに加熱して乾燥
した。
【0160】次に、パターニング基板の陽極側の表面
に、2×10-6Torr以下の真空度まで減圧した抵抗
加熱蒸着装置内にて、正孔輸送層としてTPDを約50
nmの膜厚で形成した。
【0161】次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、正
孔輸送層上に発光層としてAlq3を約60nmの膜厚
で形成した。なお、TPDとAlq3の蒸着速度は、共
に0.2nm/sであった。
【0162】次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、発
光層上に15at%のLiを含むAl−Li合金を蒸着
源として、陰極を150nmの膜厚で成膜した。
【0163】(実施例2)高屈折率なLaSFガラス材
料(屈折率=1.8)からなる透明基板上に透明樹脂を
アレイ状に塗布し、これをオーブンで加熱することで基
板表面にレンズアレイを形成した。このレンズアレイを
もった高屈折率基板の反対側の面に膜厚160nmのI
TO膜を形成した後、ITO膜上にレジスト材(東京応
化社製、OFPR−800)をスピンコート法により塗
布して厚さ10μmのレジスト膜を形成し、マスク、露
光、現像してレジスト膜を所定の形状にパターニングし
た。次に、この基板を60℃で50%の塩酸中に浸漬し
て、レジスト膜が形成されていない部分のITO膜をエ
ッチングした後、レジスト膜も除去し、所定のパターン
のITO膜からなる陽極が形成されたパターニング基板
を得た。
【0164】次に、このパターニング基板を、洗剤(フ
ルウチ化学社製、セミコクリーン)による5分間の超音
波洗浄、純水による10分間の超音波洗浄、アンモニア
水1(体積比)に対して過酸化水素水1と水5を混合し
た溶液による5分間の超音波洗浄、70℃の純水による
5分間の超音波洗浄の順に洗浄処理した後、窒素ブロア
ーで基板に付着した水分を除去し、さらに加熱して乾燥
した。
【0165】次に、パターニング基板の陽極側の表面
に、2×10-6Torr以下の真空度まで減圧した抵抗
加熱蒸着装置内にて、正孔輸送層としてTPDを約50
nmの膜厚で形成した。
【0166】次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、正
孔輸送層上に発光層としてAlq3を約60nmの膜厚
で形成した。なお、TPDとAlq3の蒸着速度は、共
に0.2nm/sであった。
【0167】次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、発
光層上に15at%のLiを含むAl−Li合金を蒸着
源として、陰極を150nmの膜厚で成膜した。
【0168】(実施例3)低屈折率なTiKガラス材料
(屈折率=1.44)からなる透明基板の片面だけを濃
塩酸に浸漬してエッチングを施すことで、基板表面に微
小な凹凸を形成した。この低屈折基板の凹凸の形成され
た面に膜厚160nmのITO膜を形成した後、ITO
膜上にレジスト材(東京応化社製、OFPR−800)
をスピンコート法により塗布して厚さ10μmのレジス
ト膜を形成し、マスク、露光、現像してレジスト膜を所
定の形状にパターニングした。次に、この基板を60℃
で50%の塩酸中に浸漬して、レジスト膜が形成されて
いない部分のITO膜をエッチングした後、レジスト膜
も除去し、所定のパターンのITO膜からなる陽極が形
成されたパターニング基板を得た。
【0169】次に、このパターニング基板を、洗剤(フ
ルウチ化学社製、セミコクリーン)による5分間の超音
波洗浄、純水による10分間の超音波洗浄、アンモニア
水1(体積比)に対して過酸化水素水1と水5を混合し
た溶液による5分間の超音波洗浄、70℃の純水による
5分間の超音波洗浄の順に洗浄処理した後、窒素ブロア
ーで基板に付着した水分を除去し、さらに加熱して乾燥
した。
【0170】次に、パターニング基板の陽極側の表面
に、2×10-6Torr以下の真空度まで減圧した抵抗
加熱蒸着装置内にて、正孔輸送層としてTPDを約50
nmの膜厚で形成した。
【0171】次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、正
孔輸送層上に発光層としてAlq3を約60nmの膜厚
で形成した。なお、TPDとAlq3の蒸着速度は、共
に0.2nm/sであった。
【0172】次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、発
光層上に15at%のLiを含むAl−Li合金を蒸着
源として、陰極を150nmの膜厚で成膜した。
【0173】(実施例4)低屈折率なTiKガラス材料
(屈折率=1.44)からなる透明基板上を濃塩酸に浸
漬してエッチングを施すことで、基板両面に微小な凹凸
を形成した。この低屈折基板の片方の面に膜厚160n
mのITO膜を形成した後、ITO膜上にレジスト材
(東京応化社製、OFPR−800)をスピンコート法
により塗布して厚さ10μmのレジスト膜を形成し、マ
スク、露光、現像してレジスト膜を所定の形状にパター
ニングした。次に、この基板を60℃で50%の塩酸中
に浸漬して、レジスト膜が形成されていない部分のIT
O膜をエッチングした後、レジスト膜も除去し、所定の
パターンのITO膜からなる陽極が形成されたパターニ
ング基板を得た。
【0174】次に、このパターニング基板を、洗剤(フ
ルウチ化学社製、セミコクリーン)による5分間の超音
波洗浄、純水による10分間の超音波洗浄、アンモニア
水1(体積比)に対して過酸化水素水1と水5を混合し
た溶液による5分間の超音波洗浄、70℃の純水による
5分間の超音波洗浄の順に洗浄処理した後、窒素ブロア
ーで基板に付着した水分を除去し、さらに加熱して乾燥
した。
【0175】次に、パターニング基板の陽極側の表面
に、2×10-6Torr以下の真空度まで減圧した抵抗
加熱蒸着装置内にて、正孔輸送層としてTPDを約50
nmの膜厚で形成した。
【0176】次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、正
孔輸送層上に発光層としてAlq3を約60nmの膜厚
で形成した。なお、TPDとAlq3の蒸着速度は、共
に0.2nm/sであった。
【0177】次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、発
光層上に15at%のLiを含むAl−Li合金を蒸着
源として、陰極を150nmの膜厚で成膜した。
【0178】(実施例5)ガラス基板を2×10-6To
rr以下の真空度まで減圧した抵抗加熱蒸着装置内に
て、導光層としてTiO2を約1000nmの膜厚で形
成した。この導光層を形成した基板のTiO2層をフッ
酸に浸漬してエッチングを施すことで、導光層表面に微
小な凹凸を形成した。この基板のTiO2と逆側の面に
膜厚160nmのITO膜を形成した後、ITO膜上に
レジスト材(東京応化社製、OFPR−800)をスピ
ンコート法により塗布して厚さ10μmのレジスト膜を
形成し、マスク、露光、現像してレジスト膜を所定の形
状にパターニングした。次に、この基板を60℃で50
%の塩酸中に浸漬して、レジスト膜が形成されていない
部分のITO膜をエッチングした後、レジスト膜も除去
し、所定のパターンのITO膜からなる陽極が形成され
たパターニング基板を得た。
【0179】次に、このパターニング基板を、洗剤(フ
ルウチ化学社製、セミコクリーン)による5分間の超音
波洗浄、純水による10分間の超音波洗浄、アンモニア
水1(体積比)に対して過酸化水素水1と水5を混合し
た溶液による5分間の超音波洗浄、70℃の純水による
5分間の超音波洗浄の順に洗浄処理した後、窒素ブロア
ーで基板に付着した水分を除去し、さらに加熱して乾燥
した。
【0180】次に、パターニング基板の陽極側の表面
に、2×10-6Torr以下の真空度まで減圧した抵抗
加熱蒸着装置内にて、正孔輸送層としてTPDを約50
nmの膜厚で形成した。
【0181】次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、正
孔輸送層上に発光層としてAlq3を約60nmの膜厚
で形成した。なお、TPDとAlq3の蒸着速度は、共
に0.2nm/sであった。
【0182】次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、発
光層上に15at%のLiを含むAl−Li合金を蒸着
源として、陰極を150nmの膜厚で成膜した。
【0183】(比較例1)実施例1と同様に、ガラスか
らなる透明基板上に膜厚160nmのITO膜を形成し
た後、ITO膜上にレジスト材(東京応化社製、OFP
R−800)をスピンコート法により塗布して厚さ10
μmのレジスト膜を形成し、マスク、露光、現像してレ
ジスト膜を所定の形状にパターニングした。次に、この
基板を60℃で50%の塩酸中に浸漬して、レジスト膜
が形成されていない部分のITO膜をエッチングした
後、レジスト膜も除去し、所定のパターンのITO膜か
らなる陽極が形成されたパターニング基板を得た。
【0184】次に、このパターニング基板を、洗剤(フ
ルウチ化学社製、セミコクリーン)による5分間の超音
波洗浄、純水による10分間の超音波洗浄、アンモニア
水1(体積比)に対して過酸化水素水1と水5を混合し
た溶液による5分間の超音波洗浄、70℃の純水による
5分間の超音波洗浄の順に洗浄処理した後、窒素ブロア
ーで基板に付着した水分を除去し、さらに加熱して乾燥
した。
【0185】次に、パターニング基板の陽極側の表面
に、2×10-6Torr以下の真空度まで減圧した抵抗
加熱蒸着装置内にて、正孔輸送層としてTPDを約50
nmの膜厚で形成した。
【0186】次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、正
孔輸送層上に発光層としてAlq3を約60nmの膜厚
で形成した。なお、TPDとAlq3の蒸着速度は、共
に0.2nm/sであった。
【0187】次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、発
光層上に15at%のLiを含むAl−Li合金を蒸着
源として、陰極を150nmの膜厚で成膜した。
【0188】
【表1】
【0189】ここで、(表1)の評価項目における評価
方法及びその評価基準について説明する。
【0190】素子の発光効率は、有機エレクトロルミネ
ッセンス素子に一定電流を流したときの発光輝度を評価
した。その評価基準は、比較例1の発光輝度に対して、
◎:非常に優れている、○:優れている、△:許容でき
るである。
【0191】発光面の視認性は、有機エレクトロルミネ
ッセンス素子を一辺が300μmの正方形の画素からな
る表示装置としたときの、光のにじみ、ぼけについて、
視認性の程度を目視にて評価した。評価は、◎、○、△
の三段階評価であり、その評価基準は、◎:非常に優れ
ている、○:優れている、△:許容できるである。
【0192】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、有機エ
レクトロルミネッセンス素子の基板の媒質を適当に選択
し、その基板の屈折率に適した光の角度変換手段を施す
構成とすることで、高効率の発光輝度特性を有する有機
エレクトロルミネッセンス素子、それを用いた表示装置
及び携帯端末,および照明装置を提供することができ
る。また、基板の屈折率を適宜選択することにより、に
じみや光ぼけの少ない有機エレクトロルミネッセンス素
子、それを用いた照明装置、表示装置及び携帯端末を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の
層構成を説明する概念図
【図2】光学シミュレーションの結果を示すグラフ
【図3】光学シミュレーションの結果を示すグラフ
【図4】本発明の実施の形態における有機エレクトロル
ミネッセンス素子の要部断面図
【図5】本発明の実施の形態における有機エレクトロル
ミネッセンス素子を用いた表示装置の概略斜視図
【図6】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を
用いた表示装置を備えた携帯端末を示す斜視図
【図7】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を
用いた表示装置を備えた携帯端末を示すブロック図
【図8】従来の有機エレクトロルミネッセンス素子の要
部断面図
【図9】従来の有機エレクトロルミネセンス素子の要部
断面における代表的な光線経路を示す模式図
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 陽極 3 正孔輸送層 4 発光層 5 陰極 6 微小レンズアレイ 7 高屈折率基板 8 微小プリズムアレイ 9 マイク 10 スピーカー 11 操作部 12 表示部 13 アンテナ 14 送信部 15 受信部 16 制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G09F 9/30 349 G09F 9/30 349Z 365 365Z 27/00 27/00 Q Z H04Q 7/38 H05B 33/14 A H05B 33/14 H04B 7/26 109T (72)発明者 小松 隆宏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 行徳 明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB02 AB17 BA06 BB06 CA00 CB01 DA01 DB03 EA01 EB00 5C094 AA10 BA03 BA27 CA19 EA04 EA05 EB02 ED01 FA01 FA02 FB01 FB20 JA01 JA11 JA13 5G435 AA03 BB05 CC09 EE26 FF06 GG02 GG03 HH01 HH04 HH20 5K067 AA33 BB04 EE02 FF07 FF23

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、少なくとも正孔を注入する陽極
    と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極を
    備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前
    記基板の素子形成面に対向する面に光の角度変換手段を
    備え、前記基板の屈折率を1.2以上としたことを特徴
    とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 【請求項2】基板上に、少なくとも正孔を注入する陽極
    と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極を
    備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前
    記基板の素子形成面に対向する面に光の角度変換手段を
    備え、前記基板の屈折率を1.4以上としたことを特徴
    とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 【請求項3】基板上に、少なくとも正孔を注入する陽極
    と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極を
    備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前
    記基板の素子形成面に対向する面に光の角度変換手段を
    備え、前記基板の屈折率を1.7以上としたことを特徴
    とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 【請求項4】基板上に、少なくとも正孔を注入する陽極
    と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極を
    備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前
    記基板の素子形成面に対向する面に光の角度変換手段を
    備え、前記光の角度変換手段は前記基板よりも屈折率が
    高いことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素
    子。
  5. 【請求項5】基板上に、少なくとも正孔を注入する陽極
    と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極を
    備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前
    記基板の素子形成面及び素子形成面に対向する面に光の
    角度変換手段を備えたことを特徴とする有機エレクトロ
    ルミネッセンス素子。
  6. 【請求項6】基板上に、少なくとも正孔を注入する陽極
    と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極を
    備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前
    記基板の素子形成面に光の角度変換手段を備え、前記基
    板の屈折率を1.7以下としたことを特徴とする有機エ
    レクトロルミネッセンス素子。
  7. 【請求項7】基板上に、少なくとも正孔を注入する陽極
    と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極を
    備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前
    記基板の素子形成面に光の角度変換手段を備え、前記基
    板の屈折率を1.5以下としたことを特徴とする有機エ
    レクトロルミネッセンス素子。
  8. 【請求項8】前記光の角度変換手段は、面上に形成され
    た微小な凹凸からなる散乱面であることを特徴とする請
    求項1〜7いずれか1記載の有機エレクトロルミネッセ
    ンス素子。
  9. 【請求項9】前記光の角度変換手段は、面上に形成され
    た光取出し面とは非平行な関係にある面からなることを
    特徴とする請求項1〜7いずれか1記載の有機エレクト
    ロルミネッセンス素子。
  10. 【請求項10】前記光の角度変換手段は、面上に形成さ
    れた微小レンズアレイからなることを特徴とする請求項
    1〜7いずれか1記載の有機エレクトロルミネッセンス
    素子。
  11. 【請求項11】前記光の角度変換手段は、面上に形成さ
    れた微小プリズムアレイからなることを特徴とする請求
    項1〜7いずれか1記載の有機エレクトロルミネッセン
    ス素子。
  12. 【請求項12】前記光の角度変換手段は、前記基板の表
    面に形成されたことを特徴とする請求項8〜11いずれ
    か1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  13. 【請求項13】前記光の角度変換手段は、前記基板の内
    部に形成されたことを特徴とする請求項8〜11いずれ
    か1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  14. 【請求項14】前記光の角度変換手段は、透明レジスト
    からなることを特徴とする請求項8〜11いずれか1記
    載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  15. 【請求項15】前記光の角度変換手段は、酸化チタンか
    らなることを特徴とする請求項8〜11いずれか1記載
    の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  16. 【請求項16】前記基板と接する側の電極に対向する電
    極は、可視光領域における光の反射率が50%以上であ
    ることを特徴とする請求項1〜15いずれか1記載の有
    機エレクトロルミネッセンス素子。
  17. 【請求項17】前記陽極がストライプ状に個々電気的に
    分離され、前記陰極がストライプ状に個々電気的に分離
    されて構成されて、画像表示配列を有する事を特徴とす
    る請求項1〜16いずれか1記載の有機エレクトロルミ
    ネッセンス照明装置。
  18. 【請求項18】前記陽極、あるいは、前記陰極のいずれ
    かが、個々電気的に画素毎に分離されて構成されて、前
    記分離された電極は、少なくとも1つ以上のスイッチン
    グ素子を介して走査されることで、画像表示配列を有す
    る事を特徴とする請求項1〜16いずれか1記載の有機
    エレクトロルミネッセンス照明装置。
  19. 【請求項19】前記陽極がストライプ状に個々電気的に
    分離され、前記陰極がストライプ状に個々電気的に分離
    されて構成されて、画像表示配列を有する事を特徴とす
    る請求項1〜16いずれか1記載の有機エレクトロルミ
    ネッセンス表示装置。
  20. 【請求項20】前記陽極、あるいは、前記陰極のいずれ
    かが、個々電気的に画素毎に分離されて構成されて、前
    記分離された電極は、少なくとも1つ以上のスイッチン
    グ素子を介して走査されることで、画像表示配列を有す
    る事を特徴とする請求項1〜16いずれか1記載の有機
    エレクトロルミネッセンス表示装置。
  21. 【請求項21】音声を音声信号に変換する音声信号変換
    手段と、電話番号等を入力する操作手段と、着信表示や
    電話番号等を表示する表示手段と、音声信号を送信信号
    に変換する通信手段と、受信信号を音声信号に変換する
    受信手段と、前記送信信号及び前記受信信号を送受信す
    るアンテナと、各部を制御する制御手段を備えた携帯端
    末であって、前記表示手段が請求項19,20いずれか
    1記載の表示装置から構成された事を特徴とする携帯端
    末。
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