JP2003040882A - 1,1−ジ置換フタラン化合物の製造方法 - Google Patents

1,1−ジ置換フタラン化合物の製造方法

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JP2003040882A
JP2003040882A JP2001226650A JP2001226650A JP2003040882A JP 2003040882 A JP2003040882 A JP 2003040882A JP 2001226650 A JP2001226650 A JP 2001226650A JP 2001226650 A JP2001226650 A JP 2001226650A JP 2003040882 A JP2003040882 A JP 2003040882A
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Nobuhiro Arai
信宏 荒井
Tetsuya Ikemoto
哲哉 池本
Masami Iki
正己 伊木
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Sumika Fine Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応速度がコントロール可能であり、工業規
模でも安全で、かつ収率が向上した、式(3) 【化1】 (式中、各記号は明細書と同義である) 1,1−ジ置換フタラン化合物の製造方法。 【解決手段】 式(1) 【化2】 (式中、各記号は明細書と同義である)で表される1−
置換フタラン化合物、式(2):R−X(式中、各記号
は明細書と同義である)で表される化合物および水素化
ナトリウムを、連続的または断続的に添加し、かつ水素
化ナトリウムと式(1)の1−置換フタラン化合物およ
び式(2)の化合物とを別々に添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1,1−ジ置換フ
タラン化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】1,1−ジ置換フタラン(1,1−ジ置
換−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン)化合物は、医
薬品やその中間体として有用であり、例えば、1,1−
ジ置換フタラン化合物の1つである、1−(3−(ジメ
チルアミノ)プロピル)−1−(4−フルオロフェニ
ル)−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−カルボ
ニトリルは、抗うつ剤として有用な化合物である。1−
(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−1−(4−フル
オロフェニル)−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−
5−カルボニトリルに代表される1,1−ジ置換フタラ
ン化合物の製造方法の1つとして、1−置換フタラン化
合物の1位にさらに置換基を導入する方法が挙げられ
る。この方法についてはこれまで種々提案されており、
例えば、1−置換フタラン化合物をアルカリ金属水素化
物やアルカリ金属アルキル化物など(好ましくは、アル
カリ金属水素化物)でアニオン化した後、有機ハライド
や有機スルホネートを作用させる方法が挙げられる。一
般的には、水素化ナトリウムの存在下、1−置換フタラ
ン化合物を、有機ハライドまたは有機スルホネートと反
応させることにより、1,1−ジ置換フラタン化合物を
得ることができる。
【0003】この水素化ナトリウムを用いた一般的な方
法は、特公昭61−35986号公報等で詳細に報告さ
れているが、具体的には、水素化ナトリウムと溶媒を全
量仕込み、これにアニオン化すべき化合物(1−置換フ
タラン化合物)を滴下し、アニオン化させた後、有機ハ
ライドまたは有機スルホネートを添加して反応させる。
この操作方法では、有機ハライドまたは有機スルホネー
トを滴下する前に、アニオン化した化合物としていない
化合物とが自己縮合する副反応が生じてしまい、結果と
して収率の低下を招くことになる。この問題を避けるた
めには、有機ハライドや有機スルホネートを予め反応系
に仕込むか、あるいはアニオン化すべき化合物と同時に
滴下することが考えられる。しかしながら、これらの改
良方法では過剰の水素化ナトリウムが有機ハライドや有
機スルホネートと反応するため、結果として収率の低下
を招くことになる。また、そもそも水素化ナトリウムを
予め大量に反応系に仕込んでおくことは暴走反応などが
起こったときに危険であり、工業規模となるとその危険
性は増大する。このため、反応速度がコントロール可能
であり、工業規模でも安全で、かつ収率が向上した、
1,1−ジ置換フタラン化合物の製造方法の開発が望ま
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、反応速度が
コントロール可能であり、工業規模でも安全で、かつ収
率が向上した、1,1−ジ置換フタラン化合物の製造方
法に関する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究した結果、下式(1)の1−置
換フタラン化合物、式(2):R−Xの化合物および水
素化ナトリウムを特定の方法で添加することにより、反
応速度をコントロールすることができ、工業規模でも安
全で、かつ収率が向上することを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0006】即ち、本発明は以下の通りである。 (1) 式(1)
【0007】
【化3】
【0008】(式中、R1は、置換基を有していてもよ
い炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜7のシクロ
アルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、
置換基を有していてもよいアリール基または複素環残基
であり、R2は、ハロゲン原子、炭素数2〜6のアルコ
キシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基または炭素数2
〜6のアシル基である)で表される1−置換フタラン化
合物、式(2):R−X(式中、Rは、置換基を有して
いてもよい炭素数1〜12のアルキル基または置換基を
有していてもよいアラルキル基であり、Xは、ハロゲン
原子、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニル
オキシ基またはp−トルエンスルホニルオキシ基であ
る)で表される化合物および水素化ナトリウムを、連続
的または断続的に添加し、かつ水素化ナトリウムと式
(1)の1−置換フタラン化合物および式(2)の化合
物とを別々に添加することを特徴とする、式(3)
【0009】
【化4】
【0010】(式中、R1、R2およびRは、前記と同義
である)で表される1,1−ジ置換フタラン化合物の製
造方法。 (2) 式(1)の1−置換フタラン化合物と式(2)の
化合物とを混合後、得られた混合物と水素化ナトリウム
とを別々に添加することを特徴とする、上記(1)の製造
方法。 (3) 式(1)の1−置換フタラン化合物、式(2)の
化合物および水素化ナトリウムを、単位時間当たりの平
均添加量が反応に使用する全量の0.03〜3重量%量
/分となるように添加することを特徴とする、上記(1)
の製造方法。 (4) 反応系中に、式(1)の1−置換フタラン化合
物、式(2)の化合物および水素化ナトリウムからなる
群より選ばれる少なくとも1つの化合物の一部をあらか
じめ仕込んでおくことを特徴とする、上記(1)または(2)
の製造方法。 (5) 式(2)の化合物の一部および水素化ナトリウム
の一部をあらかじめ仕込んでおくことを特徴とする、上
記(4)の製造方法。 (6) 式(1)の1−置換フタラン化合物の仕込量が、
反応に使用する全量の2〜30重量%量であることを特
徴とする、上記(4)の製造方法。 (7) 式(2)の化合物の仕込量が、反応に使用する全
量の2〜30重量%量であることを特徴とする、上記
(4)または(5)の製造方法。 (8) 水素化ナトリウムの仕込量が、反応に使用する全
量の0.5〜30重量%量であることを特徴とする、上
記(4)または(5)の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本明細書における各記号
の定義について説明する。ハロゲン原子としては、塩素
原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ま
しくは塩素原子、フッ素原子、特に好ましくは塩素原子
である。
【0012】アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であ
り、炭素数は1〜12、好ましくは1〜4のアルキル基
であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基などが挙
げられる。当該アルキル基は置換基を有していてもよ
く、ここでいう置換基としては、例えば、ジアルキルア
ミノ基(アルキル部が炭素数1〜3の直鎖状または分岐
鎖状アルキル基であり、好ましくはジメチルアミノ基、
ジエチルアミノ基等)などが挙げられ、好ましくはジメ
チルアミノ基である。当該置換基の置換位置および数は
特に限定はない。Rとしては3−(ジメチルアミノ)プ
ロピル基が好ましく、R1としてはメチル基が好まし
い。
【0013】アルコキシカルボニル基は、アルコキシ部
が直鎖状または分岐鎖状である炭素数2〜6のアルコキ
シカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル
基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、
イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、
tert−ブトキシカルボニル基が挙げられ、好ましく
はメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソ
プロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニ
ル基である。
【0014】アシル基は、炭素数2〜6、好ましくは2
〜5のアシル基であり、例えば、アセチル基、プロパノ
イル基、イソプロパノイル基、ピバロイル基などが挙げ
られ、好ましくはアセチル基である。
【0015】シクロアルキル基は、炭素数3〜7、好ま
しくは5または6のシクロアルキル基であり、例えば、
シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられ、好ま
しくはシクロヘキシル基である。
【0016】アラルキル基は、アリール部がフェニル
基、ナフチル基などであり、かつアルキル部が炭素数1
〜6、好ましくは1〜3の直鎖状または分岐鎖状アルキ
ル基であるアラルキル基である。アラルキル基は置換基
を有していてもよく、例えば、ハロゲン原子(前記と同
義、好ましくはフッ素原子)、シアノ基、ニトロ基など
が挙げられる。アラルキル基の具体例としては、例え
ば、ベンジル基、フェニルエチル基、フルオロフェニル
エチル基などが挙げられる。R1としては、好ましくは
フェニルエチル基であり、Rとしては、好ましくはベン
ジル基である。
【0017】複素環残基は、環を構成する原子として、
炭素原子以外に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などの
ヘテロ原子を少なくとも1以上、好ましくは1〜3含ん
でおり、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル
基、フラニル基、チエニル基などが挙げられ、好ましく
はピリジル基、フラニル基、チエニル基である。
【0018】アリール基としては、例えば、フェニル
基、ナフチル基などが挙げられ、アリール基は置換基を
有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン
原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、シアノ基、
ニトロ基などが挙げられ、好ましくはフッ素原子であ
る。置換基の置換位置および数は特に限定はない。好ま
しくはフルオロフェニル基である。
【0019】式(1)の1−置換フタラン化合物の好ま
しい態様としては、R1が置換基を有していてもよいア
リール基であり、かつR2がシアノ基である化合物が挙
げられる。
【0020】式(2)の化合物の好ましい態様として
は、Rが置換基を有していてもよいアルキル基であり、
Xがハロゲン原子である化合物が挙げられる。
【0021】本発明は、水素化ナトリウムの存在下、式
(1)の1−置換フタラン化合物と式(2)の化合物と
を反応させて式(3)の1,1−ジ置換フタラン化合物
を得る方法において、式(1)の1−置換フタラン化合
物、式(2)の化合物および水素化ナトリウムを以下の
特定の方法によって添加することを特徴としており、こ
れにより、反応速度がコントロールでき、工業規模でも
安全に行え、かつ式(3)の1,1−ジ置換フタラン化
合物の収率が向上する。
【0022】本発明においては、条件(A)連続的また
は断続的に添加し、かつ条件(B)水素化ナトリウムと
式(1)の1−置換フタラン化合物および式(2)の化
合物とを別々に添加することが必須である。以下に、こ
の必須条件について詳細に説明する。
【0023】条件(A):添加方法としては連続添加と
断続添加が挙げられ、式(1)の1−置換フタラン化合
物、式(2)の化合物および水素化ナトリウムの添加方
法は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。例
えば、式(1)の1−置換フタラン化合物と式(2)の
化合物とは連続添加し、水素化ナトリウムは断続添加し
てもよい。
【0024】条件(B):水素化ナトリウムの注ぎ口
が、式(1)の1−置換フタラン化合物と式(2)の化
合物の注ぎ口から独立していることは必須である。式
(1)の1−置換フタラン化合物と式(2)の化合物の
注ぎ口が独立していることは必須ではなく、これらの化
合物は独立した注ぎ口から添加しても、同一の注ぎ口か
ら添加してもどちらでもよい。同一の注ぎ口から添加す
る場合には、式(1)の1−置換フタラン化合物と式
(2)の化合物とを予め混合しておいても、混合しなく
てもどちらでもよいが、操作性の観点から予め混合して
混合物として添加するのが好ましい。もちろん、当該混
合物は水素化ナトリウムとは別の注ぎ口から添加するこ
とが必要である。
【0025】添加中の反応系内に存在する式(1)の1
−置換フタラン化合物、式(2)の化合物および水素化
ナトリウムの割合が、反応に使用する式(1)の1−置
換フタラン化合物、式(2)の化合物および水素化ナト
リウムの割合とほぼ同じにできるという点からは、単位
時間当たりの平均添加量が反応に使用する全量の0.0
3〜3重量%量/分、好ましくは0.05〜2重量%量
/分、より好ましくは0.1〜0.5重量%量/分とな
るように添加することが好ましい。
【0026】式(1)の1−置換フタラン化合物、式
(2)の化合物および水素化ナトリウムを全て断続的に
添加する場合は、反応系内に存在する式(1)の1−置
換フタラン化合物、式(2)の化合物および水素化ナト
リウムの割合が、反応に使用する式(1)の1−置換フ
タラン化合物、式(2)の化合物および水素化ナトリウ
ムの割合とほぼ同じにできる点から、式(1)の1−置
換フタラン化合物の分割数、式(2)の化合物の分割数
および水素化ナトリウムの分割数が同じであることが好
ましい。当該分割数は、反応スケールにもよるが、反応
熱が除熱され、後述の反応温度範囲内に保つことができ
る限り特に制限はなく、反応スケールが0.5m3〜2
0m3の場合、通常は使用する全量の4分割以上、好ま
しくは5分割〜12分割、より好ましくは6分割〜9分
割である。
【0027】本発明においては、滴下、流入のどちらの
添加方法でもかまわない。また、添加に要する時間は、
反応スケールにもよるが、反応熱が除熱され、後述の温
度範囲内に保つことができる限り特に制限はない。
【0028】本発明においては、式(2)の化合物の使
用量は、式(1)の1−置換フタラン化合物1モルに対
して、通常1〜2モル量、好ましくは1.1〜1.5モ
ル量である。
【0029】本発明においては、水素化ナトリウムの使
用量は、式(1)の1−置換フタラン化合物1モルに対
して、通常0.5〜2モル量、好ましくは1〜1.5モ
ル量である。
【0030】また、本発明においては、反応系中に、式
(1)の1−置換フタラン化合物、式(2)の化合物お
よび水素化ナトリウムからなる群より選ばれる少なくと
も1つの化合物の一部をあらかじめ仕込んでおいてもよ
い。例えば、水素化ナトリウムの一部および式(2)の
化合物の一部;水素化ナトリウムの一部;式(2)の化
合物の一部;式(1)の1−置換フタラン化合物の一部
および式(2)の化合物の一部;水素化ナトリウムの一
部、式(1)の1−置換フタラン化合物の一部および式
(2)の化合物の一部などの組み合わせで仕込むことが
でき、このうち、式(2)の化合物の一部と水素化ナト
リウムの一部とをあらかじめ仕込んでおくのが、反応に
伴う不純物の生成を抑制することができるため好まし
い。
【0031】式(1)の1−置換フタラン化合物の仕込
量は反応に使用する全量の2〜30重量%量、好ましく
は10〜25重量%量、式(2)の化合物の仕込量は反
応に使用する全量の2〜30重量%量、好ましくは10
〜25重量%量、水素化ナトリウムの仕込量は反応に使
用する全量の0.5〜30重量%量、好ましくは1〜2
0重量%量である。水素化ナトリウムの仕込み量が0.
5重量%量未満であると反応系中の水分が除去されにく
く、水による副反応が生じ易くなって、結果として収率
の低下を招く恐れがある。
【0032】反応系中に、水素化ナトリウム、式(1)
の1−置換フタラン化合物および式(2)の化合物から
なる群より選ばれる少なくとも1つの化合物の一部をあ
らかじめ仕込んでおく場合には、上記した「単位時間当
たりの平均添加量」および「分割数」は、その基準を
「使用する全量」から「(使用する全量)−(仕込み
量)」としたものとなる。
【0033】本発明における式(1)の1−置換フタラ
ン化合物と式(2)の化合物との反応に用いることがで
きる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,
3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジオキ
ソラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン等、および
これらの溶媒と炭化水素系溶媒(例えば、トルエン、キ
シレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘキ
サン、ヘプタン等)との混合溶媒が挙げられ、1,3−
ジメチル−2−イミダゾリジノンとトルエンとの混合溶
媒が好ましい。溶媒の使用量は、撹拌が可能である限り
特に制限はないが、通常は式(1)の1−置換フタラン
化合物に対して2〜20重量倍量使用され、好ましくは
4〜10重量倍量である。
【0034】本発明は、通常0℃〜100℃、好ましく
は45℃〜70℃の範囲内で、式(1)の1−置換フタ
ラン化合物、式(2)の化合物および水素化ナトリウム
を添加しながら撹拌する。添加終了後、反応が完結して
いるかどうかは、発生する水素ガスの量で確認すること
ができ、反応が完結していない場合には、水素化ナトリ
ウムまたは式(2)の化合物のいずれかを追加する。
【0035】式(3)の1,1−ジ置換フタラン化合物
の単離および精製は、常法によって行うことができる。
【0036】本発明で用いる式(1)の1−置換フタラ
ン化合物は、例えば特公昭61−35986号公報に記
載の方法によって製造することができる。また、本発明
で用いる式(2)の化合物は、市販のものや、公知の方
法で製造したものを用いることができ、例えば3−(ジ
メチルアミノ)プロピルクロリドは塩酸塩が市販されて
いる。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明
するが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(18.4k
g)に、3−(ジメチルアミノ)プロピルクロリド(9
00g)のトルエン溶液(2.89kg)を加えた。こ
れに、62.8% パラフィン懸濁水素化ナトリウム
(14g)を窒素雰囲気下で加え、12〜13℃で30
分撹拌した。さらに、62.8% パラフィン懸濁水素
化ナトリウム(14g)を加え、60〜63℃まで昇温
した。
【0038】別途、1−(4−フルオロフェニル)−
1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−カルボニトリ
ル(8.59kg)の1,3−ジメチル−2−イミダゾ
リジノン(23.05kg)溶液に、3−(ジメチルア
ミノ)プロピルクロリド(5.16kg)のトルエン溶
液(16.59kg)を加えた溶液(A)を調製した。
【0039】先に調製・加温した溶液に、溶液(A)
(2.5kg)と62.8% パラフィン懸濁水素化ナ
トリウム(35g)とを、それぞれ、別々の注ぎ口から
60〜70℃で添加した(但し、溶液(A)は流入(流
入時間:約5分)、パラフィン懸濁水素化ナトリウムは
一括添加)。30分間撹拌後、62.8% パラフィン
懸濁水素化ナトリウム(35g)を一括添加して30分
間撹拌した。次に、62.8% パラフィン懸濁水素化
ナトリウム(142g)を一括添加後、溶液(A)
(2.5kg)を滴下し(滴下時間:30分)、2時間
保温撹拌した。理論水素発生量が約45Lであり、添加
量に応じた水素発生が確認できた。その後、55〜65
℃で溶液(A)の残りを13時間50分かけて滴下する
間、62.8%パラフィン懸濁水素化ナトリウム(1.
46kg)を10回に均等に分割して断続的に添加し
た。
【0040】トルエン(3.8kg)で溶液(A)の容
器を洗浄し、その洗液を反応液に加え、60〜65℃で
4時間撹拌した。HPLCで確認すると、原料である1
−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジヒドロイソベ
ンゾフラン−5−カルボニトリルの残存量は0.1モル
%であった。反応液を20〜30℃に冷却し、5.2%
塩酸水溶液(51.9kg)中に、10〜30℃で滴下
した。トルエン(7.7kg)で反応容器を洗浄し、洗
液を水解液に加えた。30〜50℃で有機層を分液し、
水層にトルエン(38.4kg)を流入した。25%苛
性ソーダ水溶液(11.8kg)を滴下し、30〜40
℃で抽出した。水層をさらにトルエン(38.4kg)
で抽出し、有機層を合一した。
【0041】有機層は水(44.2kg)で2回洗浄
し、撹拌下、粉末無水炭酸カリウム(3.5kg)、次
いでシリカゲル(メルク9385、1.3kg)を加え
た。濾過後、トルエン(7.7kg)で濾過物を洗浄
し、得られた濾液を減圧濃縮した。分析した結果、濃縮
残渣には1−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−1
−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジヒドロイソベ
ンゾフラン−5−カルボニトリルが10.19kg含ま
れていた(収率87.5%)。
【0042】1H−NMR(CDCl3、400MHz)
δ:1.26−1.52(2H,m),2.11−2.
26(4H,m),2.13(6H,s),5.15
(d,J=13Hz,1H),5.19(d,J=13
Hz,1H),7.00(t,J=9Hz,2H),
7.41(d,J=8Hz,1H),7.43(dd,
J=9Hz,J=5Hz,2H),7.50(1H,
s),7.59(1H,d,J=8Hz)ppm
【0043】
【発明の効果】本発明の1,1−ジ置換フタラン化合物
の製造方法は、反応速度がコントロール可能であり、工
業規模でも安全で、かつ収率が向上する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊木 正己 大阪市西淀川区歌島3丁目1番21号 住化 ファインケム株式会社総合研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1) 【化1】 (式中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜
    12のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、
    置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有し
    ていてもよいアリール基または複素環残基であり、R2
    は、ハロゲン原子、炭素数2〜6のアルコキシカルボニ
    ル基、シアノ基、ニトロ基または炭素数2〜6のアシル
    基である)で表される1−置換フタラン化合物、式
    (2):R−X(式中、Rは、置換基を有していてもよ
    い炭素数1〜12のアルキル基または置換基を有してい
    てもよいアラルキル基であり、Xは、ハロゲン原子、メ
    タンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基
    またはp−トルエンスルホニルオキシ基である)で表さ
    れる化合物および水素化ナトリウムを、連続的または断
    続的に添加し、かつ水素化ナトリウムと式(1)の1−
    置換フタラン化合物および式(2)の化合物とを別々に
    添加することを特徴とする、式(3) 【化2】 (式中、R1、R2およびRは、前記と同義である)で表
    される1,1−ジ置換フタラン化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 式(1)の1−置換フタラン化合物と式
    (2)の化合物とを混合後、得られた混合物と水素化ナ
    トリウムとを別々に添加することを特徴とする、請求項
    1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 式(1)の1−置換フタラン化合物、式
    (2)の化合物および水素化ナトリウムを、単位時間当
    たりの平均添加量が反応に使用する全量の0.03〜3
    重量%量/分となるように添加することを特徴とする、
    請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 反応系中に、式(1)の1−置換フタラ
    ン化合物、式(2)の化合物および水素化ナトリウムか
    らなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物の一部を
    あらかじめ仕込んでおくことを特徴とする、請求項1ま
    たは2に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 式(2)の化合物の一部および水素化ナ
    トリウムの一部をあらかじめ仕込んでおくことを特徴と
    する、請求項4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 式(1)の1−置換フタラン化合物の仕
    込量が、反応に使用する全量の2〜30重量%量である
    ことを特徴とする、請求項4記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 式(2)の化合物の仕込量が、反応に使
    用する全量の2〜30重量%量であることを特徴とす
    る、請求項4または5記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 水素化ナトリウムの仕込量が、反応に使
    用する全量の0.5〜30重量%量であることを特徴と
    する、請求項4または5記載の製造方法。
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