JP2001055631A - 抗菌性ポリアミド潜在捲縮糸及びその製造方法 - Google Patents

抗菌性ポリアミド潜在捲縮糸及びその製造方法

Info

Publication number
JP2001055631A
JP2001055631A JP11225787A JP22578799A JP2001055631A JP 2001055631 A JP2001055631 A JP 2001055631A JP 11225787 A JP11225787 A JP 11225787A JP 22578799 A JP22578799 A JP 22578799A JP 2001055631 A JP2001055631 A JP 2001055631A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
viscosity
polyamide
yarn
antibacterial
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11225787A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaki Nishimura
雅樹 西村
Takeshi Nishiyama
武史 西山
Eiji Tsukamoto
栄治 塚本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP11225787A priority Critical patent/JP2001055631A/ja
Publication of JP2001055631A publication Critical patent/JP2001055631A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 布帛に十分な伸縮性と柔軟性を付与すること
が可能なポリアミド潜在捲縮糸であって、抗菌剤を含有
し、一連の加工工程における熱的及び化学的処理を行っ
ても着色や変色が生じることがなく、白度に優れている
ポリアミド繊維とその製造方法を提供する。 【解決手段】 粘度差を有する2種類のポリアミド樹脂
をサイドバイサイド型に貼り合わせた繊維であって、高
粘度ポリマーは相対粘度3.0〜3.5のナイロン6/
66共重合体、低粘度ポリマーは相対粘度2.0〜2.
9のナイロン6であり、粒子の表面をカップリング剤で
被覆処理した酸化亜鉛微粒子を繊維全体の0.1〜5.
0重量%含有し、初期ヤング率が15〜25g/d、捲
縮率が40%以上である、抗菌性ポリアミド潜在捲縮
糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘度の異なる2種
類のポリマーがサイドバイサイド型に貼り合わされ、潜
在捲縮性能と抗菌性能を併せ持つ、抗菌性ポリアミド潜
在捲縮糸及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からポリアミド繊維は衣料用途に広
く用いられている。衣料用ポリアミドの代表であるナイ
ロン6やナイロン66等で一種類のポリマーからなる単
一糸は、繊維自体に伸縮性が殆どないため、仮撚加工等
を行って伸縮性を付与し、伸縮性のある織編物用に使用
している。しかしながら、このような単一糸に加工を施
したものでは、十分に満足できる伸縮性を有する布帛を
得ることは困難であった。
【0003】そこで、異なる性質のポリマーを用い、染
色等の熱処理で捲縮を発現する潜在捲縮性能を有する複
合繊維とすることによって、伸縮性を有する布帛を得る
方法が多く提案されている。
【0004】このような潜在捲縮性能を有する複合繊維
としては、繊維断面形状をサイドバイサイド型として、
2種類の粘度差の異なるポリマーを用いたり、あるい
は、熱水収縮率の異なるポリマーを用いるものが一般的
である。
【0005】このような繊維は、後加工の必要がないた
め、製造するコスト面で有利であり、布帛にある程度の
伸縮を付与することはできたが、十分に満足できる程度
の伸縮を付与することはできなかった。さらには、この
ようなポリアミド繊維は、ポリウレタン等と比べて初期
ヤング率が高く、柔軟性に乏しく、布帛にしたときに風
合の硬いものしか得られないという問題があった。
【0006】また、近年、消費者の価値観の多様化、衛
生に対する意識の高まりにより、種々の抗菌性繊維が実
用化されている。ナイロン6をはじめとするポリアミド
繊維等の合成繊維に抗菌性を有する粉体を含有させた抗
菌性繊維は、これまでに数多く提案されている。
【0007】中でも、銀系の無機抗菌剤は抗菌剤として
広く使用されており、銀イオンを担持させたリン酸塩系
抗菌剤、銀イオンを担持させたゼオライト系抗菌剤、銀
イオンを担持させたヒドロキシアパタイト焼成物系抗菌
剤等が使用されている。
【0008】このような銀系の無機抗菌剤を含有する繊
維は、抗菌性が良好でその耐久性も優れているが、整経
・製織・精練・染色加工等の一連の加工工程における熱
的及び化学的処理や衣料用途での着用時の発汗などによ
り、抗菌成分である銀の酸化が起こって着色や変色を起
こしやすく、抗菌性も低下するという欠点があった。
【0009】そこで、変色を防止し、繊維の白度を向上
させるために、過炭酸ナトリウムや次亜塩素酸ナトリウ
ム、あるいはメルカプト基を持たないアゾール化合物な
どの変色防止剤で処理した抗菌性繊維が、特開平4−5
0376号公報や特開平6−264360号公報、特開
平6−272173号公報に提案されている。しかしな
がら、これらの繊維は、変色防止剤による処理のみでは
一連の加工工程における各種の処理を行ったときの変色
(着色)を十分に回避することができず、処理も煩雑で
あり、衣料用などの白度が要求される用途には使用し難
いという問題があった。
【0010】以上のように、コスト面で有利に得ること
ができ、布帛に十分な伸縮性と柔軟性を付与することが
可能なポリアミド潜在捲縮糸であって、抗菌剤を含有
し、潜在捲縮性を発現させる際の熱処理のみならず、一
連の加工工程における熱的及び化学的処理を行っても着
色や変色が生じることがなく、白度に優れているポリア
ミド繊維は未だに提案されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した問題
を解決し、粘度の異なる2種類のポリマーがサイドバイ
サイド型に貼り合わされ、布帛に十分な伸縮性と柔軟性
を付与することが可能なポリアミド潜在捲縮糸であっ
て、抗菌剤を含有し、一連の加工工程における熱的及び
化学的処理を行っても着色や変色が生じることがなく、
白度に優れ、十分な抗菌性能を有する抗菌性ポリアミド
潜在捲縮糸及びその製造方法を提供することを技術的な
課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に到達
した。すなわち、本発明は、粘度差を有する2種類のポ
リアミド樹脂をサイドバイサイド型に貼り合わせた繊維
であって、高粘度ポリマーは相対粘度3.0〜3.5の
ナイロン6/66共重合体、低粘度ポリマーは相対粘度
2.0〜2.9のナイロン6であり、粒子の表面をカッ
プリング剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒子を繊維全体の
0.1〜5.0重量%含有し、初期ヤング率が15〜2
5g/d、捲縮率が40%以上であることを特徴とする
抗菌性ポリアミド潜在捲縮糸を要旨とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の潜在捲縮糸は、粘度差を有する2種類の
ポリアミド樹脂をサイドバイサイド型に貼り合わせた繊
維であって、高粘度ポリマーは相対粘度3.0〜3.5
のナイロン6/66共重合体、低粘度ポリマーは相対粘
度2.0〜2.9のナイロン6である。
【0014】高粘度ポリマーは、熱水収縮率が大きく、
さらに、高速紡糸が可能となるように相対粘度が3.0
〜3.5である必要がある。したがって、相対粘度がこ
の上限を超えると高速紡糸時の製糸性が劣り、低いと捲
縮性能が劣る。
【0015】そして、このような高粘度ポリマーとし
て、ナイロン6にナイロン66を共重合した共重合ポリ
マーとする。ナイロン66の共重合割合は、5〜20モ
ル%とすることが好ましい。
【0016】また、低粘度ポリマーは、高い捲縮性能を
得るために、熱水収縮率が小さく、安価なポリマーとし
て、ナイロン6を用い、その相対粘度は2.0〜2.
9、さらに好ましくは2.3〜2.7とする。2.0未
満であると、高粘度ポリマーとの粘度差が大きくなりす
ぎ、糸曲がりが大きく製糸性が悪くなる。一方、2.9
を超えると高粘度ポリマーとの粘度差が小さくなり、捲
縮性能に劣るものとなる。
【0017】したがって、高粘度ポリマーと低粘度ポリ
マーとの相対粘度の差は、好ましくは0.4〜1.2、
さらに好ましくは0.5〜1.0である。
【0018】また、本発明の潜在捲縮糸は、高粘度ポリ
マーと低粘度ポリマーがサイドバイサイド型に貼り合わ
されたものであり、両成分の割合、貼り合わせ面の形状
は特に限定されるものではないが、重量比で高粘度ポリ
マー/低粘度ポリマーが2/1〜1/2程度とすること
が好ましい。
【0019】そして、本発明の潜在捲縮糸は、初期ヤン
グ率が15〜25g/d、さらに好ましくは15〜20
g/dである。初期ヤング率をこの範囲内にすることに
よって、布帛に適度の柔軟性を持たせることができる。
したがって、初期ヤング率が15g/d未満であると布
帛が柔軟になりすぎ、25g/dを超えると、柔軟性に
乏しく、硬い風合の布帛となる。
【0020】さらに、本発明の潜在捲縮糸は、伸縮性の
良好な布帛を得るために、潜在捲縮が発現したときの捲
縮率が40%以上であることが必要である。これよりも
小さいと伸縮性が劣り好ましくない。
【0021】ここで、捲縮率とは、本発明の潜在捲縮糸
を繊度測定用検尺器にて5回カセ取りを行い2重のルー
プにし、1/6000g/dの荷重をかけた状態で沸騰
水中に30分間浸漬した後取り出し、その状態で30分
間風乾し、その後、荷重を1/500g/dに変更して
長さAを測定し、次に荷重1/20g/dをかけて長さ
Bを求め、次の式で算出するものである。 捲縮率(%)=〔(B−A)/B〕×100
【0022】なお、高粘度ポリマーの相対粘度を前記範
囲内で変更すれば、ある程度、捲縮率を調整することが
できる。
【0023】そして、本発明の繊維は、抗菌剤として、
粒子の表面をカップリング剤で被覆処理した酸化亜鉛微
粒子を繊維全体の0.1〜5.0重量%含有している。
すなわち、高粘度ポリマーと低粘度ポリマーともに抗菌
剤を含有していても、どちらか一方のポリマーのみ含有
していてもよいが、繊維の表面付近に多く含有されるよ
うにすることが好ましい。
【0024】抗菌剤は粒子の表面をカップリング剤で被
覆処理した酸化亜鉛微粒子である。酸化亜鉛微粒子は、
紫外線吸収や脱臭という作用に加えて、殺菌、抗菌作用
を有しているが、光触媒活性を有するために、樹脂中に
含有させたときに光劣化を生じ、得られる繊維の物性が
劣ったものになるという欠点がある。
【0025】すなわち、酸化亜鉛微粒子の光触媒活性は
粒子表面における反応であり、粒子の表面を処理するこ
とにより活性を抑制しようとする試みは従来よりなされ
ている。例えば、酸素や水との接触を断つためのマイク
ロカプセル化表面処理がなされていたが、この処理を施
した酸化亜鉛微粒子は、光学的には酸化亜鉛の性質を有
しているが、化学的には酸化亜鉛の性質を失うという問
題があった。
【0026】そこで、本発明においては、酸化亜鉛微粒
子の欠点である光触媒活性を抑制し、かつ光学的にも化
学的にも酸化亜鉛の性質を有するようにするために、粒
子の表面をカップリング剤で被覆処理したものを用い
る。
【0027】カップリング剤としては、特に限定される
ものではないが、シランカップリング剤が好ましく、例
えば、信越化学社製のシランカップリング剤KBM−4
03、KBM−503が挙げられる。
【0028】また、シランカップリング剤以外のカップ
リング剤としては、チタン系、アルミニウム系、ジルコ
ニウム系、ジルコアルミネート系等のカップリング剤が
挙げられる。
【0029】そして、カップリング剤の被覆量は、酸化
亜鉛微粒子の表面積にもよるが、おおむね0.1〜20
重量%程度とすることが好ましい。このように酸化亜鉛
微粒子の表面がカップリング剤で被覆されていることに
よって、酸化亜鉛微粒子が有する光触媒活性を少量の被
覆量で無駄なく十分に抑制することができ、一方では、
紫外線吸収作用や抗菌、殺菌等の作用をそのまま維持す
ることができる。このため、このようなカップリング剤
で表面が被覆された酸化亜鉛微粒子を含有する繊維は、
紫外線による変色が防止され、同時に抗菌や殺菌等の効
果が達成される。
【0030】また、酸化亜鉛微粒子の殺菌及び抗菌性能
は、酸化亜鉛の化学的な性質の一つである硫黄との高い
親和性により発現するものと考えられる。すなわち、菌
類の細胞膜内に存在する酵素のチオール基に酸化亜鉛微
粒子が何らかの形で作用し、菌類の活性を低下させるも
のと類推される。
【0031】本発明の繊維においては、上記の抗菌剤の
含有量が繊維全体の0.1〜5.0重量%、さらに好ま
しくは0.3〜3.5重量%とする。含有量が0.1重
量%未満であると、抗菌性が十分に付与された繊維とな
らず、含有量が5.0重量%を超えると、紡糸や延伸時
に糸切れが発生したり、製織時にガイド、筬、綜絖等の
摩耗による糸切れや毛羽等が多発し、操業性が悪化す
る。さらに、抗菌性能が飽和してコスト高となるばかり
か強伸度等の糸質性能が低下する。
【0032】そして、酸化亜鉛微粒子は、紡糸から巻き
取りまでの工程において、ガイド摩耗等の問題が生じな
いようにし、工程通過性をよくするために、また、ノズ
ルパック圧の上昇も防ぐために、直径0.1〜5.0μ
m程度のものとすることが好ましい。
【0033】そして、本発明の繊維は、上記のような抗
菌剤を含有することによって、変色(着色)防止効果と
抗菌効果の両方を有し、かつアルカリ処理後の着色色差
が2.0以下であることが好ましい。
【0034】本発明におけるアルカリ処理後の着色色差
について説明する。まず、本発明の繊維と抗菌剤を含有
させていないポリアミド繊維(標準繊維:他の性能は比
較する本発明の繊維と同等とする)を用い、丸編み機を
用いて筒編みにし、サンプルを作成する。そして、アル
カリ処理を、0.1%水酸化ナトリウム水溶液で30分
間煮沸して行う。その後、サンプルを水洗し、脱水、風
乾させ、JIS L0804変退色用グレースケールに
記載されている色差を基準とし、標準繊維(未処理サン
プル)の着色色差を1級とし、標準繊維より着色が濃く
なるにつれて着色色差が大きくなるものとして、目視に
て判定したものである。
【0035】このアルカリ処理後の着色色差が2.0を
超えると、精練処理等の一連の加工工程における熱的及
び化学的処理により繊維が着色する度合いが大きく、白
度が要求される用途には使用し難く、品位の低下した繊
維となり、また、アルカリとの反応により抗菌性が著し
く低下している場合もあり、好ましくない。
【0036】そして、本発明の抗菌性ポリアミド潜在捲
縮糸においては、高粘度ポリマーと低粘度ポリマーがサ
イドバイサイド型に貼り合わされていれば、繊維の横断
面形状は丸形でも各種の異形でもよいが、抗菌性の面か
らは異形とすることが好ましい。異形断面形状とするこ
とにより、フィラメントの表面積が増加し、酸化亜鉛微
粒子の効果が十分に発揮され、抗菌性が向上する。これ
により、酸化亜鉛微粒子の含有量を減少させることがで
きるので、コストを削減できる。
【0037】なお、高粘度ポリマー、低粘度ポリマーと
もに本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記の抗
菌剤の他に艶消剤、難燃剤、顔料等の種々の添加物を添
加してもよい。
【0038】さらに、本発明の繊維には、抗菌性の発現
を阻害しないものであれば、後加工により防ダニ剤、消
臭剤等を繊維に付与してもよいし、撥水加工、透湿防水
加工等を施してもよい。
【0039】また、本発明の繊維は、布帛としたときに
柔軟性、伸縮性に優れ、特に衣料用途に適したものであ
り、強度は3.0〜4.0g/d、伸度35〜45%、
熱水収縮率10〜25%、単糸繊度2.0〜6.0d程
度のものである。
【0040】次に、本発明の抗菌性ポリアミド潜在捲縮
糸の製造方法について説明する。まず、粒子の表面をカ
ップリング剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒子を含有する
ポリアミド樹脂チップを製造する。すなわち、高粘度ポ
リマーに含有させる場合は、相対粘度3.0〜3.5の
ナイロン6/66共重合体に、低粘度ポリマーに含有さ
せる場合は、相対粘度2.0〜2.9のナイロン6に含
有させてチップを製造する。
【0041】そして、少なくとも、上記の酸化亜鉛微粒
子を含有するチップの水分率が0.05〜2.0重量%
となるように調製する。どちらか一方のポリマーに含有
させる場合、酸化亜鉛微粒子を含有していないポリマー
のチップについても水分率が0.05〜2.0重量とな
るように調製することが好ましい。
【0042】その後、この粘度差を有する2種類のポリ
アミドを紡糸口金を用いて溶融紡糸する。このとき、通
常の複合紡糸装置を用いて、常用のサイドバイサイド型
の紡糸口金で溶融紡糸することができる。
【0043】そして、紡出された糸条を冷却固化し、油
剤を付与した後、速度4000m/分以上で捲き取り、
高配向未延伸糸を得、得られた高配向未延伸糸に延伸、
熱処理を行うことが好ましい。
【0044】このとき、4000m/分以上の速度で捲
き取ることが好ましく、これよりも低いとその後の延伸
工程において延伸倍率が大きくなり、その結果、捲縮性
能が低下したり、初期ヤング率が高くなり、柔軟性に劣
るようになる。
【0045】得られた高配向未延伸糸に施す延伸と熱処
理については、延伸は、延伸倍率1.2〜1.5倍と
し、熱処理は120〜160℃で施すことが好ましい。
本発明の製造方法においては、熱処理と延伸の順序は、
延伸と熱処理を同時に行うか、もしくは延伸後に熱処理
を行うことが好ましい。
【0046】延伸倍率が1.2倍より小さいと強度が劣
るようになり、捲縮率も低くなりやすく、延伸倍率1.
5倍より大きいと初期ヤング率が高くなり、柔軟性に乏
しくなりやすい。
【0047】熱処理については、高粘度ポリマーは結晶
性が低く、適度の熱処理を行わないと熱水収縮率が大き
く、捲縮による収縮以外に繊維自体も収縮を起こすこと
があるので、これを防ぐために、120〜160℃で熱
処理することが好ましい。熱処理温度が120℃未満で
あると、繊維自体の収縮を防ぐことができず、一方、1
60℃を超えると、高粘度ポリマーの熱水収縮率が小さ
くなり、潜在捲縮性能が低下しやすくなる。
【0048】これらの熱処理と延伸は、常用の延伸ピン
やローラを用いた延伸装置で行うことができるが、仮撚
加工を同時に行う場合は、仮撚加工機で延伸と熱処理を
行ってもよい。
【0049】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、実施例における各物性値の測定、評価は次
のように行った。 (a)相対粘度 96%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dl、温度25℃で
測定した。 (b)強伸度、初期ヤング率 島津製作所製オートグラフAGSー5G型を用いて、J
IS L 1013に準じて測定した。 (C)熱水収縮率 糸条を50cmのループにし、1/30g/dの初荷重
をかけて長さAを求め、次いでフリーにして沸騰水中に
15分間浸漬した後、自然乾燥し、再び1/30g/d
の荷重をかけて長さBを求め、次の式で算出した。 熱水収縮率(%)=〔(A−B)/A〕×100 (d)捲縮率 前記の方法で測定した。 (e)抗菌性 得られた本発明の抗菌性繊維及び捲縮加工糸を筒編みし
た編物を用い、繊維製品新機能評価協議会(SEK)が
定める繊維製品の定量的抗菌性試験方法(統一試験法)
マニュアルに準じ、試験菌として黄色ブドウ状球菌(St
aphylococcus aureus ATCC 6538P) を用いて静菌活性値
を測定し、抗菌性の評価を行った。そして、サンプル
は、未処理、アルカリ処理、染色後、10洗後、耐候後
(未処理サンプルを直接耐候処理した)について評価し
た。なお、アルカリ処理は、0.1%水酸化ナトリウム
水溶液で30分間煮沸して行い、10洗は、アルカリ処
理、染色後のサンプルをJIS L 0217の103
の方法で行い、耐候処理は、JIS L 1013の方
法で行ったものである。 (f)アルカリ処理後の色差 前記の方法で行った。 (g)白度 アルカリ処理後の繊維を筒編みした編物を8枚重ねにし
て、分光光度計(マクベス、CE−3100)を用いて
色度座標値を求め、ASTME313の方法に従ってT
aube白度を測定した。
【0050】実施例1 低粘度ポリマーとして相対粘度(96%硫酸を溶媒とし
て、濃度1g/dl、温度25℃で測定)が2.50のナ
イロン6を用い、高粘度ポリマーには相対粘度3.10
のナイロン6/66共重合体(ナイロン66の共重合量
が15モル%)を用いた。両ポリマーに抗菌剤としてシ
ランカップリング剤で粒子表面が被覆処理された酸化亜
鉛微粒子(三井金属社製Z−NOUVE、直径0.5〜
1.0μm)を、各ポリマーの1.0重量%となるよう
に含有させ、チップを製造した。これらのチップの水分
率が1.0重量%となるように調整した。両ポリマーの
チップを常用の複合溶融紡糸装置に供給し、断面形状が
丸形のサイドバイサイド型複合紡糸口金を装着し、低粘
度ポリマーと高粘度ポリマーとの複合比(重量比)を
1:1として、ポリマー温度270℃で溶融紡糸した。
この複合繊維を冷却し、油剤を付与した後、速度436
0m/分の第1ローラに引き取り、引き続いて延伸する
ことなく速度4370m/分の第2ローラに引き取り、
速度4300m/分のワインダーに捲き取って65d/
12fの丸断面形状の高配向未延伸糸を得た。次に、得
られた高配向未延伸糸を延伸ゾーンで径が6mmの非加
熱延伸ピン(アルミナ製)に1回掛けて延伸倍率1.3
倍となるように延伸しながら、長さ30cm、温度16
0℃の加熱板に接触させて熱処理し、速度680m/分
で引き取り、スピンドル回転数7600rpmのパーン
にトラベラ32番を用いて捲き取り、50d/12fの
潜在捲縮糸を得た。
【0051】実施例2 低粘度ポリマー中の抗菌剤の含有量を低粘度ポリマー重
量の3.0重量%とし(全抗菌剤の含有量を繊維全体の
2.0重量%)とし、チップの水分率を0.05重量%
に調整して用いた以外は、実施例1と同様に行った。
【0052】実施例3 低粘度ポリマー中の抗菌剤の含有量を低粘度ポリマー重
量の2.0重量%とし、高粘度ポリマー中には抗菌剤を
含有させなかった(全抗菌剤の含有量は繊維全体の1.
0重量%)以外は、実施例1と同様に行った。
【0053】実施例4 断面が6葉断面形状となるサイドバイサイド型複合紡糸
口金を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
【0054】比較例1〜4 高粘度ポリマーと低粘度ポリマーの相対粘度を表1に示
すように変更した以外は、実施例1と同様に行った。
【0055】実施例1〜4、比較例1〜4で得られた繊
維について、抗菌剤の含有量、強度、伸度、熱水収縮
率、初期ヤング率、捲縮率、抗菌性、アルカリ処理後の
色差、白度の評価結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】表1から明らかなように、実施例1〜4で
得られた抗菌性ポリアミド潜在捲縮糸は、十分な捲縮性
能と低い初期ヤング率を有し、強度、伸度等にも優れ、
製糸性も良好であった。また、抗菌性の評価は、いずれ
も良好でアルカリ染色後の色差も小さく、白度の評価も
高く、白さが要求される分野や染色して使用される分野
にも良好に使用できるものであった。一方、比較例1
は、高粘度ポリマー相対粘度が低すぎたため、捲縮性の
低い繊維となった。比較例2は、高粘度ポリマーの相対
粘度が高すぎたため、糸切れが多発し、捲き取ることが
できなかった。比較例3は、低粘度ポリマーの相対粘度
が高すぎたため、高粘度ポリマーとの粘度差が小さくな
り、捲縮率の低い繊維となった。比較例4は、低粘度ポ
リマーの相対粘度が低すぎたため、高粘度ポリマーとの
粘度差が大きくなりすぎ、糸曲がりが激しく製糸が困難
となり、捲き取ることができなかった。
【0058】
【発明の効果】本発明の抗菌性ポリアミド潜在捲縮糸
は、潜在捲縮を発現させたときの捲縮率が高く、初期ヤ
ング率が低いため、製編織した後、熱処理を施すと十分
な伸縮性と柔軟性を有する布帛となる。さらには、良好
な抗菌性を発現し、潜在捲縮を発現させる際の熱処理の
みならず、整経・製織・精練・染色加工等の一連の加工
工程における熱的及び化学的処理や衣料用途での着用時
の発汗などによっても、変色(着色)や抗菌性の低下が
ほとんどなく、白さが要求される分野や染色して使用さ
れる分野にも好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 AA09 BB31 BB33 BB78 BB89 BB91 CC13 EE11 EE20 FF08 HH10 JJ05 KK01 4L041 AA07 AA08 AA20 BA02 BA05 BA09 BA38 BA59 BC04 BC10 BC20 BD20 CA21 CA29 CB05 CB24 CB25 DD01 DD04 DD21 DD22 EE20

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘度差を有する2種類のポリアミド樹脂
    をサイドバイサイド型に貼り合わせた繊維であって、高
    粘度ポリマーは相対粘度3.0〜3.5のナイロン6/
    66共重合体、低粘度ポリマーは相対粘度2.0〜2.
    9のナイロン6であり、粒子の表面をカップリング剤で
    被覆処理した酸化亜鉛微粒子を繊維全体の0.1〜5.
    0重量%含有し、初期ヤング率が15〜25g/d、捲
    縮率が40%以上であることを特徴とする抗菌性ポリア
    ミド潜在捲縮糸。
  2. 【請求項2】 アルカリ処理後の着色色差が2.0以下
    である、請求項1記載の抗菌性ポリアミド潜在捲縮糸。
  3. 【請求項3】 粒子の表面をカップリング剤で被覆処理
    した酸化亜鉛微粒子を含有するポリアミド樹脂チップ
    を、水分率が0.05〜2.0重量%となるように調整
    した後にサイドバイサイド型の紡糸口金より溶融紡糸す
    る、請求項1又は2記載の抗菌性ポリアミド潜在捲縮糸
    の製造方法。
JP11225787A 1999-08-09 1999-08-09 抗菌性ポリアミド潜在捲縮糸及びその製造方法 Pending JP2001055631A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11225787A JP2001055631A (ja) 1999-08-09 1999-08-09 抗菌性ポリアミド潜在捲縮糸及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11225787A JP2001055631A (ja) 1999-08-09 1999-08-09 抗菌性ポリアミド潜在捲縮糸及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001055631A true JP2001055631A (ja) 2001-02-27

Family

ID=16834781

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11225787A Pending JP2001055631A (ja) 1999-08-09 1999-08-09 抗菌性ポリアミド潜在捲縮糸及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001055631A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1270776A1 (en) * 2000-02-28 2003-01-02 Unitika Fibers Ltd. Antibacterial polyamide fiber and method for producing the same
KR20040046695A (ko) * 2002-11-28 2004-06-05 주식회사 효성 양방향 신축성 및 소프트 스트레치성 신축 직물의제조방법 및 그에 의한 직물
KR100474963B1 (ko) * 2002-11-12 2005-03-11 주식회사 효성 항균성 및 잠재권축성 복합사와 그 제조방법
KR100493508B1 (ko) * 2001-12-28 2005-06-07 주식회사 효성 나이론 잠재권축사의 제조방법
WO2017024512A1 (zh) * 2015-08-11 2017-02-16 福建省百凯弹性织造有限公司 一种用于女性内衣的肩带和围带一体成型的织带
WO2020153375A1 (ja) * 2019-01-22 2020-07-30 旭化成株式会社 ポリウレタン弾性繊維及びそれを含有する布帛
CN113862826A (zh) * 2021-11-17 2021-12-31 台州康怡丝新材料科技有限责任公司 并列型多维卷曲pa66和pa6双组分抗菌纤维的制备方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1270776A1 (en) * 2000-02-28 2003-01-02 Unitika Fibers Ltd. Antibacterial polyamide fiber and method for producing the same
EP1270776A4 (en) * 2000-02-28 2005-07-20 Unitika Fibers Ltd ANTIBACTERIAL POLYAMIDE FIBER AND METHOD OF MANUFACTURE
KR100493508B1 (ko) * 2001-12-28 2005-06-07 주식회사 효성 나이론 잠재권축사의 제조방법
KR100474963B1 (ko) * 2002-11-12 2005-03-11 주식회사 효성 항균성 및 잠재권축성 복합사와 그 제조방법
KR20040046695A (ko) * 2002-11-28 2004-06-05 주식회사 효성 양방향 신축성 및 소프트 스트레치성 신축 직물의제조방법 및 그에 의한 직물
WO2017024512A1 (zh) * 2015-08-11 2017-02-16 福建省百凯弹性织造有限公司 一种用于女性内衣的肩带和围带一体成型的织带
WO2020153375A1 (ja) * 2019-01-22 2020-07-30 旭化成株式会社 ポリウレタン弾性繊維及びそれを含有する布帛
JPWO2020153375A1 (ja) * 2019-01-22 2021-09-30 旭化成株式会社 ポリウレタン弾性繊維及びそれを含有する布帛
JP7102555B2 (ja) 2019-01-22 2022-07-19 旭化成株式会社 ポリウレタン弾性繊維及びそれを含有する布帛
CN113862826A (zh) * 2021-11-17 2021-12-31 台州康怡丝新材料科技有限责任公司 并列型多维卷曲pa66和pa6双组分抗菌纤维的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007177350A (ja) 抗菌性繊維混用品
WO2001064981A1 (fr) Fibre polyamide antibacterienne et procede de fabrication
JP2001055631A (ja) 抗菌性ポリアミド潜在捲縮糸及びその製造方法
JP5865647B2 (ja) 防汚制菌性布帛およびその製造方法
JP4258881B2 (ja) 拭取布帛およびその製法
JP4461365B2 (ja) エア交絡紡績糸及びそれを含む布帛
JPH10317230A (ja) 芯鞘複合繊維
JP2008111221A (ja) 抗菌性染色布帛
JP5127098B2 (ja) 耐洗濯性に優れた抗菌性ポリアミド繊維、抗菌性ポリアミド捲縮加工糸、抗菌性ポリアミド織編物及び抗菌性ポリアミド繊維の製造方法
JP2003073922A (ja) 染色性、耐洗濯性に優れた抗菌性ポリアミド繊維、抗菌性ポリアミド捲縮加工糸、抗菌性ポリアミド織編物及び抗菌性ポリアミド繊維の製造方法
TWI739033B (zh) 吸濕性丙烯腈系纖維、該纖維之製造方法及含有該纖維之纖維結構體
JP4866103B2 (ja) 複合繊維
JPH11293521A (ja) 抗菌性ポリアミド繊維、抗菌性ポリアミド捲縮加工糸、抗菌性ポリアミド織編物及び抗菌性ポリアミド繊維の製造方法
JP4143904B2 (ja) ポリエステル繊維含有布帛及びその製造方法
JP5339926B2 (ja) 衣料用織編物
JP2001055630A (ja) 抗菌性を有する制電性複合繊維
CN114657654A (zh) 芯鞘复合纤维及其应用、异形纤维
JP2001055633A (ja) 抗菌性を有する吸放湿性複合繊維
JP2001055632A (ja) ポリアミド弾性糸及び抗菌性ポリアミド弾性糸
JP2002339163A (ja) 耐洗濯性に優れた抗菌性ポリアミド繊維及びその製造方法
Palaniappan Study on the antimicrobial efficacy of fabrics finished with nano zinc oxide particles
JP2008150728A (ja) 吸水速乾性織編物
JP2001055624A (ja) 抗菌性ポリアミド異繊度混繊糸及びその製造方法
JP2003328247A (ja) ポリエステル布帛
JP4866109B2 (ja) 仮撚加工糸