JP2005200799A - 吸水性・速乾性を有するポリエステル繊維織編物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
ポリエステル繊維が本来有する機械的性質や染色堅牢性を損なうことなく、吸水性と速乾性を兼ね備え、快適な衣料を製造するに適したポリエステル繊維織編物、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】
ポリエステル繊維織編物に、アルカリ性物質を1〜10重量%含むアルカリ水溶液を、アルカリ性物質がポリエステル繊維に対し1〜10重量%となるように付与した後、乾熱処理または湿熱処理して、減量率が2〜10%のアルカリ減量加工を行うことにより、ポリエステル繊維表面に繊維軸方向に配向した多数の筋状孔を形成させる工程、前記筋状孔が形成されたポリエステル繊維織編物を、親水剤を含む処理液で処理することにより、ポリエステル繊維に親水剤を付与する工程、を経ることにより、吸水性・速乾性を有するポリエステル繊維織編物を製造する。
【選択図】 なし
ポリエステル繊維が本来有する機械的性質や染色堅牢性を損なうことなく、吸水性と速乾性を兼ね備え、快適な衣料を製造するに適したポリエステル繊維織編物、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】
ポリエステル繊維織編物に、アルカリ性物質を1〜10重量%含むアルカリ水溶液を、アルカリ性物質がポリエステル繊維に対し1〜10重量%となるように付与した後、乾熱処理または湿熱処理して、減量率が2〜10%のアルカリ減量加工を行うことにより、ポリエステル繊維表面に繊維軸方向に配向した多数の筋状孔を形成させる工程、前記筋状孔が形成されたポリエステル繊維織編物を、親水剤を含む処理液で処理することにより、ポリエステル繊維に親水剤を付与する工程、を経ることにより、吸水性・速乾性を有するポリエステル繊維織編物を製造する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリエステル繊維織編物およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、吸水性と速乾性を兼ね備え、快適な衣料を製造するに適したポリエステル繊維織編物およびその製造方法に関するものである。
ポリエステル繊維は、機械的性質や染色堅牢性に優れ、衣服としての丈夫さや、取り扱いの簡便さを有し、各種衣料用途に広く用いられている。しかしながら、綿、レーヨンなどのセルロース繊維に比べ吸水性が乏しいという欠点があり、これを改良するため、さまざまな試みがなされてきた。
ポリエステル繊維に吸水性を付与する方法としては、従来、(1)親水基を有するポリマーを、パディング法(マングル−パッド法)、浸漬法などにより繊維に付与する方法、(2)親水基を有するモノマーやポリマーを、グラフト重合により繊維表面に結合する方法など、後加工によるものが主流であった。しかしながら、これらの方法によるものは、水分保持能が強いため水分が蒸散し難く、乾燥性あるいは速乾性に問題があり、汗をかいたときにいつまでもベタツキ感があり、快適性に欠けるものであった。
また、繊維自体を化学的あるいは物理的構造を改変するものとして、(3)親水基を有するポリマーとポリエステルポリマーを複合紡糸する方法、(4)繊維断面を特殊な形状(例えばU字型、W字型、X字型、Y字型など)にして繊維間の毛細管現象を利用して吸水性を付与する方法、(5)繊維断面を中空にして繊維表面から中空部に達する微細孔を形成し、中空部と微細孔を利用して吸水性を付与する方法、などが知られている。しかしながら、(3)の方法は、異質のポリマーを組み合わせることによる製糸性の悪化や、染色工程での管理の困難さ、染色堅牢度低下、耐熱性低下などの問題があり、(4)の方法は、繊維の集合状態により吸水性が変動するため、安定した吸水性が得られないという問題があり、(5)の方法は、微細孔が中空部に達しているため力学的強度が乏しい上、中空部に水分が閉じ込められて蒸散性が損なわれるという問題があった。さらに、これらの方法は、特殊なポリマーや、特殊な紡糸口金を必要とするため、汎用性に欠け、コストが高くなるという問題もあった。
これらの問題に対し、例えば特許文献1には、繊維軸方向に対し直角方向にのびる微細溝を多数有する自己伸長性ポリエステルマルチフィラメント糸と、他のポリエステルマルチフィラメント延伸糸を組み合わせてなるポリエステルマルチフィラメント複合糸条を用いて織編物を構成することにより、実用的強度と吸水性を兼ね備えたポリエステル織編物が記載されている。しかしながら、このような織編物は、製造方法が複雑である上(すなわち、特定の紡糸引取速度で溶融紡糸したポリエスエルマルチフィラメント未延伸糸を、特定の弛緩率で弛緩熱処理し、次いで他のポリエステルマルチフィラメント延伸糸と複合、加撚し、製織編してポリエステルマルチフィラメント複合糸条よりなる織編物を得た後、特定の減量率でアルカリ減量加工を行う、という工程を要する)、得られた織編物の吸水性は十分とは言い難く、また、速乾性については何ら考慮されていなかった。
また、特許文献2には、繊維表面に繊維軸方向に対し直角方向にのびる多数の微細溝を有する太細(シックアンドシン)繊維に、好ましくは0.1〜1.0wt%の親水剤が付着されてなる吸水性ポリエステル繊維が記載されている。しかしながら、対象が太細繊維に限定される上、速乾性については何ら考慮されていなかった。
吸水性と速乾性を兼ね備えた繊維として、例えば特許文献3には、芯部が公定水分率3.5%以上の繊維(例えばレーヨン、キュプラなどの再生繊維)から構成され、鞘部が公定水分率1.0%以下の繊維(例えばポリエステルなどの合成繊維)から構成される芯鞘型複合糸を少なくとも一部に含む織編物が記載されている。しかしながら、この方法は、ポリエステル繊維そのものの吸水性や速乾性を改善するものでなく、また、対象が芯鞘型複合糸に限定されるという問題があった。
このように、ポリエステル繊維の吸水性および速乾性に関しては、満足のいく成果が得られていないのが現状である。
本発明はこのような現状に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ポリエステル繊維が本来有する機械的性質や染色堅牢性を損なうことなく、吸水性と速乾性を兼ね備え、快適な衣料を製造するに適したポリエステル繊維織編物を提供することであり、またかかるポリエステル繊維織編物を容易に製造できる方法を提供することである。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、巨視的および微視的に見た水の拡散面積が、速乾性と密接に関係することを見出し、これを増大させることにより、後加工により親水剤を付与した従来の吸水性ポリエステル繊維織編物において問題であった速乾性を改善することができることを見出して、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、第1に、ポリエステル繊維表面に繊維軸方向に配向した多数の筋状孔が形成されたポリエステル繊維糸条から構成される織編物であって、親水剤がポリエステル繊維に対し0.1〜5.0重量%付与されており、かつ下記(A)〜(C)の条件を満足することを特徴とする、吸水性・速乾性を有するポリエステル繊維織編物である。
(A)筋状孔の幅が繊維外周長の0.1〜15%である。
(B)筋状孔の長さが筋状孔の幅に対し5〜500倍である。
(C)筋状孔の数が繊維長10μmあたり2〜500個である。
(A)筋状孔の幅が繊維外周長の0.1〜15%である。
(B)筋状孔の長さが筋状孔の幅に対し5〜500倍である。
(C)筋状孔の数が繊維長10μmあたり2〜500個である。
第2に、ポリエステル繊維織編物に、アルカリ性物質を1〜10重量%含むアルカリ水溶液を、アルカリ性物質がポリエステル繊維に対し1〜10重量%となるように付与した後、乾熱処理または湿熱処理して、減量率が2〜10%のアルカリ減量加工を行うことにより、ポリエステル繊維表面に繊維軸方向に配向した多数の筋状孔を形成させる工程、前記筋状孔が形成されたポリエステル繊維織編物を、親水剤を含む処理液で処理することにより、ポリエステル繊維に親水剤を付与する工程、とよりなることを特徴とする、吸水性・速乾性を有するポリエステル繊維織編物の製造方法である。
本発明によれば、吸水性と速乾性を併せ持ったポリエステル繊維織編物を提供することができる。本発明のポリエステル繊維織編物は、ポリエステル繊維が本来有する機械的性質や染色堅牢性が大きく損なわれることなく、吸水性や速乾性が付与されているため、各種衣料用途に適用した場合、快適性に優れ、かつ実用に十分耐え得るものとなる。さらに、その製造は容易で、特殊なポリエステル繊維に限定されることもなく、汎用性に優れたものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明においてポリエステル繊維糸条とは、ポリエステル繊維を主体とする紡績糸およびフィラメント糸(モノフィラメント糸およびマルチフィラメント糸)を意味し、その物性に影響を及ぼさない範囲で、ポリエステル繊維以外の繊維を混紡、混繊などの手法により組み合わせたものであっても構わない。
また、本発明においてポリエステル繊維織編物とは、主として、上記ポリエステル繊維糸条から構成される織物および編物を意味し、その物性に影響を及ぼさない範囲で、ポリエステル繊維糸条以外の糸条を交織、交編などの手法により組み合わせたものであっても構わない。
本発明においてポリエステル繊維糸条とは、ポリエステル繊維を主体とする紡績糸およびフィラメント糸(モノフィラメント糸およびマルチフィラメント糸)を意味し、その物性に影響を及ぼさない範囲で、ポリエステル繊維以外の繊維を混紡、混繊などの手法により組み合わせたものであっても構わない。
また、本発明においてポリエステル繊維織編物とは、主として、上記ポリエステル繊維糸条から構成される織物および編物を意味し、その物性に影響を及ぼさない範囲で、ポリエステル繊維糸条以外の糸条を交織、交編などの手法により組み合わせたものであっても構わない。
本発明においてポリエステル繊維とは、何ら特殊なものでなく、ポリエチレンテレフタレート繊維、いわゆるレギュラーポリエステル繊維と呼ばれるものである。ポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体をジカルボン酸成分とし、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体をグリコール成分とするポリエステルであるが、これに限定されるものでなく、ジカルボン酸成分の一部が他のジカルボン酸成分で置換されたものでもよく、またグリコール成分の一部が他のグリコール成分で置換されたものでもよい。さらに、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリプロピレンテレフタレート繊維などのポリエステル繊維を組み合わせたものであってもよい。
ポリエステル繊維の断面形状として典型的には中実丸断面(レギュラー断面)を挙げることができるが、これに限定されるものでなく、中空断面であっても、また三角断面、四〜八角の多角断面、扁平断面、U字型断面、W字型断面、X字型断面、Y字型断面などのいずれであっても構わない。
ポリエステル繊維と組み合わせることができるポリエステル繊維以外の繊維は特に限定されるものでなく、合成繊維(ポリエステル繊維を除く)、半合成繊維、再生繊維、天然繊維などを挙げることができ、これらが2種類以上組み合わされていてもよい。なお、本発明の吸水性・速乾性を有するポリエステル繊維織編物を製造するに際しては、製織編後、織編物の状態でアルカリ減量加工を行うため、耐アルカリ性を有するものを選択する必要がある。
これらポリエステル繊維以外の繊維は、ポリエステル繊維に起因する織編物の物性を損なわない範囲、通常織編物に対し50重量%を越えない範囲で用いることが好ましい。
これらポリエステル繊維以外の繊維は、ポリエステル繊維に起因する織編物の物性を損なわない範囲、通常織編物に対し50重量%を越えない範囲で用いることが好ましい。
かかるポリエステル繊維織編物は、着色されたものであってもよく、繊維とする前のポリマー原料に顔料を混練することにより着色されたもの、織編物とした後に染料で染色(捺染を含む)することにより着色されたものなど、着色方法は特に限定されないが、後者の場合、アルカリ剤により染料が分解する虞があるため、染色はアルカリ減量加工後に行う必要がある。
本発明の吸水性・速乾性を有するポリエステル繊維織編物(以下、本発明のポリエステル繊維織編物という場合もある)は、上記ポリエステル繊維織編物を構成するポリエステル繊維糸条のポリエステル繊維表面に、繊維軸方向に配向した多数の筋状孔が、下記(A)〜(C)の条件を満足するように形成され、かつ、親水剤がポリエステル繊維に対し0.1〜5.0重量%付与された構成のものである
(A)筋状孔の幅が繊維外周長の1.5〜15%である。
(B)筋状孔の長さが筋状孔の幅に対し5〜500倍である。
(C)筋状孔の数が繊維長10μmあたり2〜500個である。
(A)筋状孔の幅が繊維外周長の1.5〜15%である。
(B)筋状孔の長さが筋状孔の幅に対し5〜500倍である。
(C)筋状孔の数が繊維長10μmあたり2〜500個である。
前述のように、ポリエステル繊維に親水剤を付与するだけでも、吸水性を得ることができ、またポリエステル繊維表面に筋状孔を形成するだけでも、ある程度の吸水性を得ることができるが、これらは速乾性を満足するものではない。その理由として、前者は親水剤により水が強固に保持される結果、蒸散性が損なわれるためであり、後者は吸水性が不十分で、水が織編物上に十分な面積をもって拡がらない結果、局所的に多量の水を保持することとなって、蒸散性が損なわれるためである。
本発明は、親水剤と筋状孔を組み合わせ、巨視的に見た(織編物における)水の拡散面積と、微視的に見た(ポリエステル繊維における)水の拡散面積をともに増大させ、水の蒸散に寄与する面積を増大させることによって(蒸散性を向上させることによって)、速乾性を得たことを最大の特徴とするものである。
本発明において筋状孔は、繊維軸方向に配向して形成されることが重要であり、これによって、水と接触した場合、水は繊維軸方向に拡散されるため、微視的に見た拡散面積の増大に寄与するばかりか、巨視的に見た拡散面積の増大にも有効に寄与し、蒸散性を飛躍的に向上させることができるのである。仮に、筋状孔が繊維軸方向に対して直角方向(繊維径方向)に配向して形成された場合、水の拡散は繊維外周長によって限定され、十分な拡散面積を確保することができない。
また、筋状孔は、(A)〜(C)の条件を満足して形成されることが重要であり、これによって、繊維物性を損なわない範囲で、微視的に見た水の拡散面積(換言すれば、ポリエステル繊維体積当たりの比表面積)を増大させることができ、従って、蒸散性を向上させることができるのである。
なお、拡散面積の増大が、吸水性をも向上させることは言うまでもない。
形成される筋状孔は、その幅が、繊維外周長の0.1〜15%であることが要求され、その長さが、筋状孔の幅に対し5〜500倍であることが要求され、その数が、繊維長10μmあたり2〜500個であることが要求される。
筋状孔の幅が繊維外周長の0.1%未満であると、あるいは、筋状孔の長さが筋状孔の幅に対し5倍未満であると、あるいは、筋状孔の数が繊維長10μmあたり2個未満であると、蒸散性ならび速乾性を向上させるに十分な、微視的拡散面積を確保することができない。筋状孔の幅が繊維外周長の15%を越えると、あるいは、筋状孔の長さが筋状孔の幅に対し500倍を越えると、あるいは、筋状孔の数が繊維長10μmあたり500個を越えると、繊維物性が低下し、繊維が切断されたり、それに伴って織編物の外観が損なわれたりする虞がある。好ましくは、筋状孔の幅が繊維外周長の0.5〜10%であり、筋状孔の長さが筋状孔の幅に対し5〜300倍であり、筋状孔の数が繊維長10μmあたり50〜300個であることである。
本発明において用いられる親水剤としては、特に限定されるものでなく、従来公知の親水剤を用いることができる。具体的には、親水性ポリエステル樹脂、親水性ポリアミド樹脂、親水性ポリウレタン樹脂、親水性ポリアクリル樹脂などを挙げることができ、これらを2種類以上組み合わせて用いることもできる。なかでも耐久性の点から親水性ポリエステル樹脂が好ましく用いられ、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体がより好ましく用いられる。
本発明では、親水剤として市販のものを用いることもできる。このような市販品としては、ミガファーTG(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、SR−1000(高松油脂(株)製)、ナイスポールPR−86(日華化学(株)製)などを挙げることができる。これらは、水に溶解または乳化分散させた形で市販されている。
親水剤の付与量は、ポリエステル繊維に対し0.1〜5.0重量%であることが要求される。親水剤の付与量がポリエステル繊維に対し0.1重量%未満であると、十分な吸水性を得ることができず、また、蒸散性ならび速乾性を向上させるに十分な巨視的拡散面積を確保することができない。5.0重量%を越えて親水剤を付与しても、それを上回る吸水性は得られず不経済であるばかりか、染色堅牢性が損なわれるといった不具合が生じる。好ましい親水剤の付与量は、ポリエステル繊維に対し0.5〜3.0重量%である。
なお、ポリエステル繊維に対する親水剤の付与状態は特に限定されず、繊維表面に付着された状態であっても、繊維内部(非結晶部)に導入された状態であっても構わない。
本発明のポリエステル繊維織編物は、20℃、65%RHの雰囲気中、水平に置いた織編物に、10mmの高さから0.3mlの水滴を滴下したときの水滴拡散面積(巨視的拡散面積に相当する)をもって、吸水性ならび速乾性の指標とすることができる。すなわち、水滴拡散面積が大きいほど吸水性が高いことを示し、また、筋状孔が(A)〜(C)の条件を満足して形成される限り、速乾性も高いことが期待できる。本発明において水滴拡散面積は20〜90cm2であることが好ましく、より好ましくは30〜70cm2である。水滴拡散面積が20cm2未満であると、十分な吸水性および速乾性を得ることができない。90cm2を越えると、筋状孔が条件(A)〜(C)の上限を越えて形成されている虞があること、そしてそれに伴って繊維物性が低下している虞のあることを意味する。
次に、本発明のポリエステル繊維織編物の製造方法について説明する。
本発明のポリエステル繊維織編物は、第1工程として、ポリエステル繊維織編物に、アルカリ性物質を1〜10重量%含むアルカリ水溶液を、アルカリ性物質がポリエステル繊維に対し1〜10重量%となるように付与した後、乾熱処理または湿熱処理して、減量率が2〜10%のアルカリ減量加工を行うことにより、ポリエステル繊維表面に繊維軸方向に配向した多数の筋状孔を形成させる工程、第2工程として、前記筋状孔が形成されたポリエステル繊維織編物を、親水剤を含む処理液で処理することにより、ポリエステル繊維に親水剤を付与する工程、を経ることにより製造することができる。
本発明のポリエステル繊維織編物は、第1工程として、ポリエステル繊維織編物に、アルカリ性物質を1〜10重量%含むアルカリ水溶液を、アルカリ性物質がポリエステル繊維に対し1〜10重量%となるように付与した後、乾熱処理または湿熱処理して、減量率が2〜10%のアルカリ減量加工を行うことにより、ポリエステル繊維表面に繊維軸方向に配向した多数の筋状孔を形成させる工程、第2工程として、前記筋状孔が形成されたポリエステル繊維織編物を、親水剤を含む処理液で処理することにより、ポリエステル繊維に親水剤を付与する工程、を経ることにより製造することができる。
ポリエステル繊維織編物のアルカリ減量加工は、浸漬法、すなわち液流染色機などを使用し、アルカリ水溶液中、ポリエステル繊維織編物を攪拌しつつ行うのが一般的であるが、本発明では、パディング法(マングル−パッド法)などによりアルカリ水溶液を織編物に付与後、乾熱処理または湿熱処理することにより、アルカリ減量加工を行うことを特徴とする。乾熱処理または湿熱処理の初期の段階で、アルカリ水溶液は、水分の蒸発とともに、ポリエステル繊維表面に、繊維軸方向に配向した多数の筋状に凝集する。次いで、局所的に高濃度のアルカリ水溶液が繊維に作用することにより、その部分が加水分解により溶解除去されて、筋状の減量痕が形成されるのである。浸漬法による減量加工では、繊維表面から徐々に減量されるため、よく知られた、微細な楕円状の減量痕が形成されるのみで、本発明において必須の筋状孔を形成することはできない。
なお、乾熱処理または湿熱処理に先立ち、予備乾燥によりアルカリ水溶液を筋状に凝集させた後、乾熱処理または湿熱処理を行ってもよく、このような態様も本発明に含まれるものとする。
本発明において用いられるアルカリ性物質としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を挙げることができる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどを挙げることができ、これらを2種類以上組み合わせて用いることもできる。なかでも、水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
本発明において用いられるアルカリ水溶液は、用いるアルカリ性物質の種類によっても異なるが、アルカリ性物質を1〜10重量%含むことが要求される。アルカリ性物質の含有量が1重量%未満であると、(A)〜(C)の条件を満足する筋状孔を効率的に形成させることができない。10重量%を越えると、水溶液の粘性が高く、比較的小数の大きな楕円状に凝集するため、減量痕は著しく成長したクレーター状のものとなってしまう。そこには加水分解により生じた水酸基が多く存在し、ポリエステル繊維表面を親水化させるため、蒸散性を損なう結果となる。また、減量が進みすぎて繊維物性が損なわれる。好ましいアルカリ性物質の含有量は、1.5〜5重量%である。
アルカリ水溶液をポリエステル繊維織編物に付与する方法としては、従来公知の方法を採用することができ、パディング法(マングル−パッド法)、スプレー法、グラビア法、コーティング法などを挙げることができる。なかでもパディング法は、アルカリ水溶液を均一に付与することができるため、本発明において好ましく用いられる。
ポリエステル繊維に対するアルカリ性物質の付与量は、1〜10重量%であることが要求される。ポリエステル繊維に対するアルカリ性物質の付与量が1重量%未満であると、(A)〜(C)の条件を満足する筋状孔を効率的に形成させることができない。10重量%を越えると、減量が進みすぎて、形成される孔は(A)〜(C)の条件を満足することができず、繊維物性が損なわれる。好ましいアルカリ性物質の付与量は、ポリエステル繊維に対し1.5〜5重量%である。
ポリエステル繊維に対するアルカリ水溶液の付与量や、上述した、アルカリ水溶液におけるアルカリ性物質の含有量を調整することにより、目的量のアルカリ性物質をポリエステル繊維に付与することができる。
ポリエステル繊維に対するアルカリ水溶液の付与量や、上述した、アルカリ水溶液におけるアルカリ性物質の含有量を調整することにより、目的量のアルカリ性物質をポリエステル繊維に付与することができる。
次いで、アルカリ水溶液が付与されたポリエステル繊維を乾熱処理、または湿熱処理して加水分解を促進する。
処理条件は特に限定されるものでないが、例えば乾熱処理の場合、130〜180℃の乾熱雰囲気中で、30秒〜5分処理するのが一般的である。処理温度が130℃未満であると、あるいは、処理時間が30秒未満であると、減量が十分に進まず、(A)〜(C)の条件を満足する筋状孔を効率的に形成させることができない。処理温度が180℃を越えると、あるいは、処理時間が5分を越えると、減量が進みすぎて、形成される孔は(A)〜(C)の条件を満足することができず、繊維物性が損なわれる。より好ましい処理条件は、150〜170℃、1〜3分である。
処理条件は特に限定されるものでないが、例えば乾熱処理の場合、130〜180℃の乾熱雰囲気中で、30秒〜5分処理するのが一般的である。処理温度が130℃未満であると、あるいは、処理時間が30秒未満であると、減量が十分に進まず、(A)〜(C)の条件を満足する筋状孔を効率的に形成させることができない。処理温度が180℃を越えると、あるいは、処理時間が5分を越えると、減量が進みすぎて、形成される孔は(A)〜(C)の条件を満足することができず、繊維物性が損なわれる。より好ましい処理条件は、150〜170℃、1〜3分である。
湿熱処理の場合は、100〜180℃の湿熱雰囲気中で、30秒〜60分処理するのが一般的である。処理温度が100℃未満であると、あるいは、処理時間が30秒未満であると、減量が十分に進まず、(A)〜(C)の条件を満足する筋状孔を効率的に形成させることができない。処理温度が180℃を越えると、あるいは、処理時間が60分を越えると、減量が進みすぎて、形成される孔は(A)〜(C)の条件を満足することができず、繊維物性が損なわれる。より好ましい処理条件は、110〜170℃、5〜20分である。
減量率は、2〜10%であることが要求される。減量率が2%未満であると、(A)〜(C)の条件を満足する筋状孔を形成することができない。10%を越えると、形成される孔は(A)〜(C)の条件を満足することができず、繊維物性が損なわれる。好ましい減量率は2〜8%である。
アルカリ水溶液におけるアルカリ性物質の含有量や、ポリエステル繊維に対するアルカリ性物質の付与量、乾熱処理条件または湿熱処理条件などを総合的に調整して、目的とする減量率とすることは言うまでもない。
アルカリ水溶液におけるアルカリ性物質の含有量や、ポリエステル繊維に対するアルカリ性物質の付与量、乾熱処理条件または湿熱処理条件などを総合的に調整して、目的とする減量率とすることは言うまでもない。
かくして、ポリエステル繊維表面に、繊維軸方向に配向した多数の筋状孔を形成させることができる。
このように処理されたポリエステル繊維織編物は、通常の湯洗、水洗、必要に応じて、中和を目的とした酸処理などを行った後、第2工程の親水加工に供される。なお、ポリエステル繊維織編物を染色する場合は、後述するように、一部の例外を除いて、減量加工後、親水加工前に行うものとする。
本発明において用いられる親水剤の種類は前述の通りであり、これを含む処理液は、親水剤を水に溶解または分散させることにより調製することができる。
かかる処理液を用いて、前記筋状孔が形成されたポリエステル繊維織編物を処理する方法としては、従来公知の方法を採用することができ、浸漬法、パディング法(マングル−パッド法)、スプレー法、グラビア法、コーティング法など、特に限定されない。なかでも浸漬法は、繊維表面のみならず、繊維内部にまで親水剤を導入することができ、耐久性の点から好ましく用いられる。さらに、浸漬法によれば、染色液(この場合、浸漬法(吸尽法)における染色液を意味する)に親水剤を添加して、染色と親水加工を同時に行うことが可能であり、工程の合理化、エネルギーおよび労力の節減などの面からも、好ましい方法といえる。
かかる処理液を用いて、前記筋状孔が形成されたポリエステル繊維織編物を処理する方法としては、従来公知の方法を採用することができ、浸漬法、パディング法(マングル−パッド法)、スプレー法、グラビア法、コーティング法など、特に限定されない。なかでも浸漬法は、繊維表面のみならず、繊維内部にまで親水剤を導入することができ、耐久性の点から好ましく用いられる。さらに、浸漬法によれば、染色液(この場合、浸漬法(吸尽法)における染色液を意味する)に親水剤を添加して、染色と親水加工を同時に行うことが可能であり、工程の合理化、エネルギーおよび労力の節減などの面からも、好ましい方法といえる。
ポリエステル繊維に対する親水剤の付与量は前述の通りであり、処理液における親水剤の含有量や、ポリエステル繊維に対する処理液の付与量を調整することにより、目的量の親水剤をポリエステル繊維に付与することができる。
処理条件は特に限定されるものではないが、例えば浸漬法による場合、浴比(ポリエステル繊維織編物に対する処理液の重量)3〜100倍、120〜140℃の処理液中、10〜60分処理するのが一般的である。
浴比が3倍未満であると、ポリエステル繊維に親水剤を均一に付与することができず、付着斑が生じてしまう。100倍を越えると、吸尽率が低下し、目的量の親水剤をポリエステル繊維に付与することができない。また、処理温度が120℃未満であると、あるいは、処理時間が10分未満であると、目的量の親水剤を効率的に付与することができない。140℃を越えて、あるいは、60分を越えて処理しても、吸尽率は頭打ちとなって過剰に処理するばかりで、エネルギーおよびコストなどの面から好ましくない。より好ましい処理条件は、浴比10〜30倍、130〜135℃、15〜30分である。
染色と同時に行う場合は、染色性を考慮し、適宜条件を設定すればよい。
染色と同時に行う場合は、染色性を考慮し、適宜条件を設定すればよい。
かくして、吸水性と速乾性を兼ね備えたポリエステル繊維織編物を製造することができる。
以下本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでない。なお、実施例中の各特性値は、以下の方法により測定したものである。
(1)ポリエステル繊維表面に形成されている孔の状態
走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、型式S−2300)を用いて試料のポリエステル繊維表面を800倍に拡大し、適宜に3箇所を写真撮影した。スケールゲージをもとに、ポリエステル繊維径、および繊維表面に形成されている孔の幅、長さ、及び数を測定し、繊維外周長に対する幅の割合(%)、幅に対する長さの割合(倍)、繊維長10μmあたりの数(個)を算出して、平均値を求めた。
(2)破裂強さ
JIS L 1018の8.17.1 A法(ミューレン形法)により測定した。試料毎に測定を3回行い、平均値を求めた。
(3)水滴拡散面積
20℃、65%RHの雰囲気中、水平に置いた試料に、10mmの高さから、反応染料(C.I.Reactive Red 158)の0.1%水溶液を0.3ml滴下し、同雰囲気中に放置して乾燥後、着色した部分の面積を測定した。試料毎に測定を3回行い、平均値を求めた。
(4)吸水性
JIS L 1907の5.1.2 バイレック法により、たて方向の吸水高さを測定した。試料毎に測定を3回行い、平均値を求めた。
(5)速乾性
20℃、65%RHの雰囲気中、水平に置いた試料に、10mmの高さから、0.3mlの水滴を滴下し、重量を測定した。引き続き、試料の重量を5分ごとに最長60分まで測定し、残存水分率が0%となった時点を乾燥とみなし、乾燥時間とした。試料毎に測定を3回行い、平均値を求めた。
走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、型式S−2300)を用いて試料のポリエステル繊維表面を800倍に拡大し、適宜に3箇所を写真撮影した。スケールゲージをもとに、ポリエステル繊維径、および繊維表面に形成されている孔の幅、長さ、及び数を測定し、繊維外周長に対する幅の割合(%)、幅に対する長さの割合(倍)、繊維長10μmあたりの数(個)を算出して、平均値を求めた。
(2)破裂強さ
JIS L 1018の8.17.1 A法(ミューレン形法)により測定した。試料毎に測定を3回行い、平均値を求めた。
(3)水滴拡散面積
20℃、65%RHの雰囲気中、水平に置いた試料に、10mmの高さから、反応染料(C.I.Reactive Red 158)の0.1%水溶液を0.3ml滴下し、同雰囲気中に放置して乾燥後、着色した部分の面積を測定した。試料毎に測定を3回行い、平均値を求めた。
(4)吸水性
JIS L 1907の5.1.2 バイレック法により、たて方向の吸水高さを測定した。試料毎に測定を3回行い、平均値を求めた。
(5)速乾性
20℃、65%RHの雰囲気中、水平に置いた試料に、10mmの高さから、0.3mlの水滴を滴下し、重量を測定した。引き続き、試料の重量を5分ごとに最長60分まで測定し、残存水分率が0%となった時点を乾燥とみなし、乾燥時間とした。試料毎に測定を3回行い、平均値を求めた。
[実施例1]
84dtex/36f(交編率47.8%)および110dtex/24f(交編率52.2%)から構成されたポリエステル繊維丸編物を常法にて精練後、185℃で1分間乾熱処理(プレセット)した。
次いで、水酸化ナトリウムを1.9重量%含む水溶液にポリエステル繊維丸編物を含浸し、マングルにてピックアップ率100%(ポリエステル繊維に対する水酸化ナトリウムの付与量は1.9重量%)に絞った後、130℃で1分間予備乾燥し、さらに170℃で1分間乾熱処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は2.4%であった。
引き続き、ポリエステル繊維に対して固形分として0.3重量%の親水剤を含む、下記処方1の蛍光染料染色液(浴比30倍)を用いて、液流染色機で20℃から3.6℃/分の速度で昇温し、130℃で15分間の高温高圧染色を行った後、水洗し、さらに常法による還元洗浄を行った後、乾燥して、本発明のポリエステル繊維丸編物を得た。
84dtex/36f(交編率47.8%)および110dtex/24f(交編率52.2%)から構成されたポリエステル繊維丸編物を常法にて精練後、185℃で1分間乾熱処理(プレセット)した。
次いで、水酸化ナトリウムを1.9重量%含む水溶液にポリエステル繊維丸編物を含浸し、マングルにてピックアップ率100%(ポリエステル繊維に対する水酸化ナトリウムの付与量は1.9重量%)に絞った後、130℃で1分間予備乾燥し、さらに170℃で1分間乾熱処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は2.4%であった。
引き続き、ポリエステル繊維に対して固形分として0.3重量%の親水剤を含む、下記処方1の蛍光染料染色液(浴比30倍)を用いて、液流染色機で20℃から3.6℃/分の速度で昇温し、130℃で15分間の高温高圧染色を行った後、水洗し、さらに常法による還元洗浄を行った後、乾燥して、本発明のポリエステル繊維丸編物を得た。
処方1
ミガファーTG 2重量%(対ポリエステル繊維)
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、親水剤、固形分15%)
HOSTALUX EF liq. 0.2重量%(対ポリエステル繊維)
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、蛍光染料、固形分30%)
トーホーソルトSR8 0.14cc/l
(東邦化学工業(株)製、ポリエステル繊維用均染剤、固形分80%)
80%酢酸 0.4cc/l
(pH調整剤)
ミガファーTG 2重量%(対ポリエステル繊維)
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、親水剤、固形分15%)
HOSTALUX EF liq. 0.2重量%(対ポリエステル繊維)
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、蛍光染料、固形分30%)
トーホーソルトSR8 0.14cc/l
(東邦化学工業(株)製、ポリエステル繊維用均染剤、固形分80%)
80%酢酸 0.4cc/l
(pH調整剤)
[実施例2]
実施例1と同様にして精練、乾熱処理したポリエステル繊維丸編物を、水酸化ナトリウムを3.2重量%含む水溶液に含浸し、マングルにてピックアップ率100%(ポリエステル繊維に対する水酸化ナトリウムの付与量は3.2重量%)に絞った後、130℃で1分間予備乾燥し、さらに170℃で1分間乾熱処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は4.5%であった。
これ以降は、実施例1と同様にして染色および親水加工を行った。
実施例1と同様にして精練、乾熱処理したポリエステル繊維丸編物を、水酸化ナトリウムを3.2重量%含む水溶液に含浸し、マングルにてピックアップ率100%(ポリエステル繊維に対する水酸化ナトリウムの付与量は3.2重量%)に絞った後、130℃で1分間予備乾燥し、さらに170℃で1分間乾熱処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は4.5%であった。
これ以降は、実施例1と同様にして染色および親水加工を行った。
[実施例3]
実施例1と同様にして精練、乾熱処理したポリエステル繊維丸編物を、水酸化ナトリウムを4.5重量%含む水溶液に含浸し、マングルにてピックアップ率100%(ポリエステル繊維に対する水酸化ナトリウムの付与量は4.5重量%)に絞った後、130℃で1分間予備乾燥し、さらに170℃で1分間乾熱処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は7.3%であった。
これ以降は、実施例1と同様にして染色および親水加工を行った。
実施例1と同様にして精練、乾熱処理したポリエステル繊維丸編物を、水酸化ナトリウムを4.5重量%含む水溶液に含浸し、マングルにてピックアップ率100%(ポリエステル繊維に対する水酸化ナトリウムの付与量は4.5重量%)に絞った後、130℃で1分間予備乾燥し、さらに170℃で1分間乾熱処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は7.3%であった。
これ以降は、実施例1と同様にして染色および親水加工を行った。
[実施例4]
実施例1と同様にして精練、乾熱処理したポリエステル繊維丸編物を、水酸化ナトリウムを3.2重量%含む水溶液に含浸し、マングルにてピックアップ率100%(ポリエステル繊維に対する水酸化ナトリウムの付与量は3.2重量%)に絞った後、120℃で1分間予備乾燥し、さらに115℃の湿熱雰囲気中で5分間湿熱処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は4.8%であった。
これ以降は、実施例1と同様にして染色および親水加工を行った。
実施例1と同様にして精練、乾熱処理したポリエステル繊維丸編物を、水酸化ナトリウムを3.2重量%含む水溶液に含浸し、マングルにてピックアップ率100%(ポリエステル繊維に対する水酸化ナトリウムの付与量は3.2重量%)に絞った後、120℃で1分間予備乾燥し、さらに115℃の湿熱雰囲気中で5分間湿熱処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は4.8%であった。
これ以降は、実施例1と同様にして染色および親水加工を行った。
[実施例5]
40dtex/48f(交編率50.2%)および42dtex/48f(交編率49.8%)から構成されたポリエステル繊維丸編物を常法にて精練後、185℃で1分間乾熱処理(プレセット)した。
次いで、水酸化ナトリウムを1.9重量%含む水溶液にポリエステル繊維丸編物を含浸し、マングルにてピックアップ率100%(ポリエステル繊維に対する水酸化ナトリウムの付与量は1.9重量%)に絞った後、130℃で1分間予備乾燥し、さらに170℃で1分間乾熱処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は2.1%であった。
これ以降は、実施例1と同様にして染色および親水加工を行った。
40dtex/48f(交編率50.2%)および42dtex/48f(交編率49.8%)から構成されたポリエステル繊維丸編物を常法にて精練後、185℃で1分間乾熱処理(プレセット)した。
次いで、水酸化ナトリウムを1.9重量%含む水溶液にポリエステル繊維丸編物を含浸し、マングルにてピックアップ率100%(ポリエステル繊維に対する水酸化ナトリウムの付与量は1.9重量%)に絞った後、130℃で1分間予備乾燥し、さらに170℃で1分間乾熱処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は2.1%であった。
これ以降は、実施例1と同様にして染色および親水加工を行った。
[比較例1]
実施例1と同様にして精練、乾熱処理したポリエステル繊維丸編物を、水酸化ナトリウムを0.6重量%含む水溶液に含浸し、マングルにてピックアップ率100%(ポリエステル繊維に対する水酸化ナトリウムの付与量は0.6重量%)に絞った後、130℃で1分間予備乾燥し、さらに170℃で1分間乾熱処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は0.4%であった。
これ以降は、実施例1と同様にして染色および親水加工を行った。
実施例1と同様にして精練、乾熱処理したポリエステル繊維丸編物を、水酸化ナトリウムを0.6重量%含む水溶液に含浸し、マングルにてピックアップ率100%(ポリエステル繊維に対する水酸化ナトリウムの付与量は0.6重量%)に絞った後、130℃で1分間予備乾燥し、さらに170℃で1分間乾熱処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は0.4%であった。
これ以降は、実施例1と同様にして染色および親水加工を行った。
[比較例2]
実施例1と同様にして精練、乾熱処理したポリエステル繊維丸編物を、水酸化ナトリウムを10.4重量%含む水溶液に含浸し、マングルにてピックアップ率100%(ポリエステル繊維に対する水酸化ナトリウムの付与量は10.4重量%)に絞った後、130℃で1分間予備乾燥し、さらに170℃で1分間乾熱処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は30.4%であった。
これ以降は、実施例1と同様にして染色および親水加工を行った。
実施例1と同様にして精練、乾熱処理したポリエステル繊維丸編物を、水酸化ナトリウムを10.4重量%含む水溶液に含浸し、マングルにてピックアップ率100%(ポリエステル繊維に対する水酸化ナトリウムの付与量は10.4重量%)に絞った後、130℃で1分間予備乾燥し、さらに170℃で1分間乾熱処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は30.4%であった。
これ以降は、実施例1と同様にして染色および親水加工を行った。
[比較例3]
実施例1と同様にして精練、乾熱処理したポリエステル繊維丸編物を、水酸化ナトリウムを10.4重量%含む水溶液に含浸し、マングルにてピックアップ率50%(ポリエステル繊維に対する水酸化ナトリウムの付与量は5.2重量%)に絞った後、130℃で1分間予備乾燥し、さらに170℃で1分間乾熱処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は11.2%であった。
これ以降は、実施例1と同様にして染色および親水加工を行った。
実施例1と同様にして精練、乾熱処理したポリエステル繊維丸編物を、水酸化ナトリウムを10.4重量%含む水溶液に含浸し、マングルにてピックアップ率50%(ポリエステル繊維に対する水酸化ナトリウムの付与量は5.2重量%)に絞った後、130℃で1分間予備乾燥し、さらに170℃で1分間乾熱処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は11.2%であった。
これ以降は、実施例1と同様にして染色および親水加工を行った。
[比較例4]
実施例1と同様にして精練、乾熱処理したポリエステル繊維丸編物を、浴比20倍、水酸化ナトリウムを0.3重量%含む水溶液を用いて、液流染色機で130℃、30分間処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は5.3%であった。
これ以降は、実施例1と同様にして染色および親水加工を行った。
実施例1と同様にして精練、乾熱処理したポリエステル繊維丸編物を、浴比20倍、水酸化ナトリウムを0.3重量%含む水溶液を用いて、液流染色機で130℃、30分間処理して減量加工を行った後、水洗、酸処理を行った。このときの減量率は5.3%であった。
これ以降は、実施例1と同様にして染色および親水加工を行った。
[比較例5]
減量加工を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、ポリエステル繊維丸編物を得た。
減量加工を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、ポリエステル繊維丸編物を得た。
[比較例6]
親水加工を行わなかった(処方1より親水剤を除いた蛍光染料染色液を使用した)以外は、実施例1と同様にして、ポリエステル繊維丸編物を得た。
親水加工を行わなかった(処方1より親水剤を除いた蛍光染料染色液を使用した)以外は、実施例1と同様にして、ポリエステル繊維丸編物を得た。
上記実施例および比較例について特性値を測定した結果を、表1および表2に示す。
表1および表2から明らかなように、実施例1〜5によれば、吸水性と速乾性を兼ね備え、かつ実用的強度に優れたポリエステル繊維丸編物を得ることができた。
一方、適正でない条件で減量加工を行った比較例1〜4は、(A)〜(C)の条件を満足する筋状孔を形成することができず、十分な速乾性を得ることができなかった。そればかりか、比較例2では減量が進みすぎて、強度を維持することができなかった。また、減量加工を行わなかった比較例5では、水の蒸散に寄与する面積が小さく、速乾性が不十分であり、親水加工を行わなかった比較例6では、吸水性が不十分で水滴拡散面積が小さいため、速乾性が劣ったものであった。
一方、適正でない条件で減量加工を行った比較例1〜4は、(A)〜(C)の条件を満足する筋状孔を形成することができず、十分な速乾性を得ることができなかった。そればかりか、比較例2では減量が進みすぎて、強度を維持することができなかった。また、減量加工を行わなかった比較例5では、水の蒸散に寄与する面積が小さく、速乾性が不十分であり、親水加工を行わなかった比較例6では、吸水性が不十分で水滴拡散面積が小さいため、速乾性が劣ったものであった。
Claims (2)
- ポリエステル繊維表面に繊維軸方向に配向した多数の筋状孔が形成されたポリエステル繊維糸条から構成される織編物であって、親水剤がポリエステル繊維に対し0.1〜5.0重量%付与されており、かつ下記(A)〜(C)の条件を満足することを特徴とする、吸水性・速乾性を有するポリエステル繊維織編物。
(A)筋状孔の幅が繊維外周長の0.1〜15%である。
(B)筋状孔の長さが筋状孔の幅に対し5〜500倍である。
(C)筋状孔の数が繊維長10μmあたり2〜500個である。 - ポリエステル繊維織編物に、アルカリ性物質を1〜10重量%含むアルカリ水溶液を、アルカリ性物質がポリエステル繊維に対し1〜10重量%となるように付与した後、乾熱処理または湿熱処理して、減量率が2〜10%のアルカリ減量加工を行うことにより、ポリエステル繊維表面に繊維軸方向に配向した多数の筋状孔を形成させる工程、前記筋状孔が形成されたポリエステル繊維織編物を、親水剤を含む処理液で処理することにより、ポリエステル繊維に親水剤を付与する工程、とよりなることを特徴とする、吸水性・速乾性を有するポリエステル繊維織編物の製造方法。
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WO2011048888A1 (ja) * | 2009-10-20 | 2011-04-28 | 帝人ファイバー株式会社 | ポリエステル繊維およびその製造方法および布帛および繊維製品およびポリエステル成形品 |
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JP2016180693A (ja) * | 2015-03-24 | 2016-10-13 | セーレン株式会社 | 評価装置 |
WO2018123043A1 (ja) | 2016-12-28 | 2018-07-05 | 旭化成株式会社 | 吸水性ポリエステル繊維の巻糸体及びその製法 |
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-
2004
- 2004-01-19 JP JP2004010152A patent/JP2005200799A/ja active Pending
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