JP2002292449A - シリコン鋳造用鋳型およびその製造方法 - Google Patents

シリコン鋳造用鋳型およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳型内にシリコン融液を注湯する際、その後
の凝固の際、或いは鋳型に入れたシリコン原料を溶解す
る際に、離型材が剥離したり、離型材が鋳型に付着して
鋳型が再使用できなくなったり、鋳型材を黒鉛にした場
合の酸化消耗するという問題があった。 【解決手段】 鋳型の内表面に離型材を塗布したシリコ
ン鋳造用鋳型において、前記離型材として窒化シリコン
からなる下地材料と、窒化シリコンと二酸化シリコンを
28:72〜75:25の重量比率で混合した混合材料
とを重ねて塗布する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシリコン鋳造用鋳型
とその製造方法に関し、特に太陽電池などを形成するた
めの多結晶シリコン鋳造用鋳型とその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
から太陽電池を形成するための半導体基板の一種として
多結晶シリコンが用いられている。このような多結晶シ
リコンは、高温度で加熱溶融させたシリコン融液を鋳型
内に注湯して凝固させることによって形成したり、シリ
コン原料を鋳型内に入れて一旦溶解した後に再び凝固さ
せることによって形成している。
【0003】このような鋳型としては、通常、分割可能
な黒鉛製鋳型の内表面に離型材を塗布したものが用いら
れ、離型材としてはシリコンの窒化物である窒化シリコ
ン(Si34)が用いられる。一般に、窒化シリコン、
炭化珪素、酸化珪素等の粉末を適当なバインダーと溶剤
とから構成される溶液中に混合して攪拌してスラリーと
し、これを鋳型内壁に塗布若しくはスプレー等の手段で
コーティングすることが公知の技術として知られている
(例えば、15th Photovoltaic Specialists Conf. (198
1), P576〜P580, "A NEW DIRECTIONAL SOLIDIFICATION
TECHNIQUE FORPOLYCRYSTALLINE SOLAR GRADE SILICON"
を参照)。
【0004】ところが、窒化シリコンを黒鉛製鋳型の内
表面に塗布してシリコンを鋳造する場合、窒化シリコン
膜は脆弱であることから、シリコン融液を注湯する際
に、またその後の凝固の際に、窒化シリコン膜が破損し
て鋳型にシリコン融液が接触し、鋳型がシリコンの鋳塊
に付着して脱型する際にシリコンの鋳塊に欠けが発生す
るという問題があった。また、鋳型内に入れたシリコン
原料を溶解する際に、窒化シリコン膜が破損するという
問題があった。
【0005】また、二酸化シリコン(SiO2)を黒鉛
製鋳型の内表面に塗布してシリコンを鋳造することも提
案されているが、二酸化シリコンを離型材として用いる
場合、二酸化シリコンは黒鉛と付着性がよく、また二酸
化シリコンとシリコンの鋳塊も付着性がよいために、二
酸化シリコンが鋳型に付着して鋳型の再使用ができなく
なったり、鋳型が離型材を介してシリコンの鋳塊に付着
し、脱型するときにシリコンの鋳塊の一部に欠けが発生
するという問題があった。
【0006】このような問題を解決するために、特開平
7−206419号公報では、一層目に二酸化シリコン
を塗布し、二層目に二酸化シリコンと窒化シリコンの混
合物を塗布し、さらに三層目に窒化シリコンを塗布する
ことが提案されている。
【0007】ところが、このように離型材を三層構造に
塗布すると、それぞれの層に対応する離型材を調合して
塗布しなければならず、離型材の塗布と調合に手間が掛
かるという問題があった。
【0008】そこで、本発明者らは、二酸化シリコンと
窒化シリコンの混合比率を最適化した離型材を提案した
(特開平9−175809号公報)。
【0009】しかしながら、この技術によると離型材を
塗布する基材がグラファイト材である場合、離型材中の
二酸化シリコンと黒鉛が部分的に接触しているため、シ
リコンの融点である1420℃付近での使用中に黒鉛が
酸化されてしまい、基材の損傷を早めるという問題があ
る。これは離型材と鋳型基材の接触力を増加させる目的
で提案されている二酸化シリコン単独層を塗布する際に
もっとも顕著である。
【0010】また、スラリー状の離型材を作製して鋳型
に塗布するためには、水やアルコール等の溶剤と塗布成
形用バインダー、さらには流動性を高めるための添加材
等を適宜、混合して攪拌するのが普通である。成形用バ
インダーの中で最も利用されている物質としてPVA
(ポリビニルアルコール)がある。PVAは接着性に優
れることから、粉体の接着・結合に適してしている。
【0011】成形(塗布)後は、その後の加熱や融液と
の接触中に熱分解生成物が融液中に混入するのを防ぐた
めに、酸化雰囲気中で600℃程度の温度で脱脂するこ
とが通常行なわれている。PVAは300℃付近で急激
に熱分解を起こしてCO等にガス化する結果、90%程
度までは急速に除去することができるが、残り10%は
500℃以上の温度に加熱してもなかなか除去されず、
カーボン残渣として残ってしまうことが多い。
【0012】また、離型材をカーボン系離型材に塗布し
た場合、酸化雰囲気中で高温脱脂を行なうと、離型材が
酸化するため、消耗が進む結果、耐久性が落ち、結果的
にシリコン鋳塊の製作コストを増大させるという問題が
ある。
【0013】一方、脱脂を不活性雰囲気中で実施する
と、有機高分子の熱分解反応が急速に進行する結果、水
素原子が引き抜かれてCHが直線状に並び、それが環状
になってベンゼンその他環状化合物になる。さらに、脱
水素反応を繰り返して大きく縮合して炭素の多い煤へと
成長してしまう。一旦、煤として安定化してしまうと熱
分解で除去することは困難であるため、離型材中や離型
材表面に付着したままシリコン融液と接触することにな
る。融液と接触した煤あるいは融液中に溶け込んだ炭素
は、太陽電池特性を低下させるばかりでなく、析出して
鋳塊をスライスする際に加工不良を生む原因になる場合
が多い。PVAに変わる有機バインダーは種々存在する
が、塗布性や接着性を兼ね備えたものはない。また、離
型材としての充分な強度を有し、且つ有機バインダーを
使用することがなく、また離型材塗布時間を短縮する有
効な方法はない。
【0014】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたものであり、鋳型内にシリコン融液を注
湯する際、その後の凝固する際、或いは鋳型に入れたシ
リコン原料を溶解する際に、離型材が剥離したり、離型
材が鋳型に付着して鋳型が再使用できなくなったり、鋳
型材を黒鉛にした場合の酸化消耗を抑えたシリコン鋳造
用鋳型を提供することを目的とする。
【0015】また、鋳型の内表面に窒化シリコンと二酸
化シリコンを混合したものをプラズマ溶射機を用いてコ
ーティングすることにより、シリコンの鋳塊が鋳型に付
着することによって発生するシリコンの欠けを防止する
と共に、従来使用していた有機バインダーを除去する脱
バインダー工程を省略し、シリコン鋳塊の作製コストを
削減したシリコン鋳造方法を提供することを目的とす
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係るシリコン鋳造用鋳型では、鋳型の内
表面に離型材を塗布したシリコン鋳造用鋳型において、
前記離型材として窒化シリコンからなる下地材料と、窒
化シリコンと二酸化シリコンを28:72〜75:25
の重量比率で混合した混合材料とを重ねて塗布する。
【0017】上記シリコン鋳造用鋳型では、前記混合材
料を0.04g/cm2以上塗布することが望ましい。
【0018】また、上記シリコン鋳造用鋳型では、前記
下地材料を0.04g/cm2以上塗布することが望ま
しい。
【0019】また、上記シリコン鋳造用鋳型では、前記
鋳型の本体が黒鉛からなることが望ましい。
【0020】請求項5に係るシリコン鋳造用鋳型では、
鋳型の内表面に離型材を塗布したシリコン鋳造用鋳型に
おいて、前記離型材として窒化シリコンからなる下地材
料と、窒化シリコンと二酸化シリコンを28:72〜7
5:25の重量比率で混合した混合材料と、窒化シリコ
ンからなる表面材料とを重ねて塗布する。
【0021】上記シリコン鋳造用鋳型では、前記下地材
料を0.04g/cm2以上塗布することが望ましい。
【0022】また、上記シリコン鋳造用鋳型では、前記
混合材料を0.04g/cm2以上塗布することが望ま
しい。
【0023】また、上記シリコン鋳造用鋳型では、前記
表面材料を0.04g/cm2以上塗布することが望ま
しい。
【0024】また、上記シリコン鋳造用鋳型では、前記
鋳型の本体が黒鉛からなることが望ましい。
【0025】請求項10に係るシリコン鋳造鋳型の製造
方法では、鋳型の内表面に離型材を塗布したシリコン鋳
造用鋳型において、前記材として、窒化シリコンと二酸
化シリコンを混合したものをプラズマ溶射法で塗布する 上記シリコン鋳造用鋳型の製造方法では、前記窒化シリ
コンと二酸化シリコンの混合比が1:9から9:1であ
ることが望ましい。
【0026】また、上記シリコン鋳造用鋳型の製造方法
では、前記窒化シリコンと二酸化シリコンの混合材料の
厚みが20μm以上であることが望ましい。
【0027】また、上記シリコン鋳造用鋳型の製造方法
では、前記鋳型の本体が黒鉛からなることが望ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、各請求項に係る発明を添付
図面に基づき詳細に説明する。図1は、請求項1および
請求項5に係るシリコン鋳造用鋳型に用いられる鋳型の
一例を示す図である。
【0029】鋳型1は例えば黒鉛などから成り、一つの
底部材1aと四つの側部材1bを組み合わせた分割と組
み立てが可能な分割型鋳型などで構成される。なお、底
部材1aと側部材1bは、ボルト(不図示)などで固定
することによって分割可能に組み立てられたり、底部材
1aと側部材1bが丁度嵌まる枠部材(不図示)で固定
することによって分割可能に組み立てられる。
【0030】鋳型1の内表面には、底部材1aや側部材
1bを何回も繰り返して使用することができるように離
型材2が塗布される。このような離型材2としては、窒
化シリコン(Si34)からなる下地材料を塗布した上
に窒化シリコン(Si34)と二酸化シリコン(SiO
2)を28:72〜75:25の重量比率で混合した混
合材料を塗布する。窒化シリコンの粉体、および窒化シ
リコンと二酸化シリコンの粉体をポリビニルアルコール
水溶液で混ぜ合わせて鋳型1の内面に塗布する。窒化シ
リコンと二酸化シリコンをポリビニルアルコール水溶液
などで混合することによって、粉体である窒化シリコン
と二酸化シリコンがスラリー状となり、黒鉛製の鋳型1
に塗布しやすくなる。
【0031】窒化シリコンの粉体としては、0.4〜
0.6μm程度の平均粒径を有するものが用いられる。
また、二酸化シリコンの粉体としては、20μm程度の
平均粒径を有するものが用いられる。このような窒化シ
リコンと二酸化シリコンを濃度が5〜15重量%程度の
ポリビニルアルコール水溶液に混合してスラリー状と
し、へらや刷毛などで鋳型1の内表面に塗布する。その
状態で自然乾燥又はホットプレートに載せて乾燥させて
鋳型1内にシリコン融液を注湯する。
【0032】離型材2中の窒化シリコンと二酸化シリコ
ンとの混合材料の混合比率は、重量比率で28:72〜
75:25の間に調整したものを使用する。しかしなが
ら、窒化シリコンの重量比率が28%に近づく程、離型
材2と鋳型1の反応が顕著になるため、鋳型材1の上に
窒化シリコンからなる下地材料を0.04g/cm2以上
塗布して耐酸化層とし、その上に窒化シリコンと二酸化
シリコンとの混合材料を0.04g/cm2以上塗布す
る。下地材料と混合材料との単位面積当りの塗布重量が
0.04g/cm2未満である場合には離型材層2として
の強度が保てなくなったり、混合材料中の二酸化シリコ
ン(SiO2)と鋳型1中の黒鉛とが部分的に融着した
りする。
【0033】シリコン融液の注湯と凝固は、例えば鋳型
1の内面に離型材2を塗布して乾燥させた後に、鋳型1
を7.0〜9.0Torrに減圧したアルゴン(Ar)
雰囲気中に置き、鋳型1をシリコン融液と同程度か若干
低い温度で加熱してシリコン融液を注湯する。また鋳型
1内にシリコン原料を入れ、直接溶解してもよい。しか
る後、鋳型1の底部から徐々に降温させてシリコン融液
を鋳型の底部から徐々に凝固させる。最後に鋳型1を分
割してシリコンの鋳塊を取り出すことにより完成する。
【0034】次ぎに、請求項5に係るシリコン鋳造用鋳
型の一実施形態を説明する。この発明では、離型材2と
して窒化シリコンからなる下地材料と、窒化シリコンと
二酸化シリコンを28:72〜75:25の重量比率で
混合した混合材料と、窒化シリコンからなる表面材料と
を重ねて塗布する 下地材料と混合材料との上に、さらに窒化シリコンから
なる表面材料を0.04g/cm2以上塗布して耐酸素
溶出層とする。表面材料の塗布量が少ないとシリコン融
液と混合材料中の二酸化シリコンとの接触が盛んになっ
て融液中の酸素濃度が増加する。融液中の酸素はウエハ
ーにした後のデバイス工程における種々の処理工程にお
いて析出物として顕在化して品質に影響を及ぼすことか
ら、酸素濃度を適度に最適化する。
【0035】次ぎに、請求項10に係るシリコン鋳造用
鋳型の製造方法を説明する。鋳型1の内表面には、離型
材2がプラズマ溶射法を用いてコーティングされる。プ
ラズマ溶射機は、プラズマ流中に各種粉末材料を送って
溶融噴射して皮膜を形成する装置である。溶射温度は3
2000°Kに及ぶプラズマ気流中の10000℃前後
の温度帯を使用して溶射粒子の噴射速度はマッハ1に達
しており、この結果極めて高品質で緻密な皮膜層が形成
される。
【0036】しかしながら、窒化シリコンは約1900
℃(1atm、in N2)で昇華分解してしまうた
め、単体では液相を作らずに溶射による皮膜層を形成す
ることができない。そこで、比較的低温でガラス層を形
成する二酸化シリコンを焼結助剤として混合することに
より、窒化シリコン粉体は溶融した二酸化シリコン中に
溶け込んだ状態で鋳型1の基材に融着して急速に冷却さ
れることにより固着する。
【0037】シリコン融液の注湯と凝固は、例えば鋳型
の内面に離型材2を塗布して乾燥させた後に、鋳型1を
7.0〜9.0Torrに減圧したアルゴン(Ar)雰
囲気中に置き、鋳型1をシリコン融液と同程度か若干低
い温度で加熱してシリコン融液を注湯する。また、鋳型
1内にシリコン原料を入れ、直接溶解してもよい。しか
る後、鋳型1の底部から徐々に降温させてシリコン融液
を鋳型1の底部から徐々に凝固させる。最後に鋳型1を
分割してシリコンの鋳塊を取り出すことにより完成す
る。
【0038】
【実施例1】平均粒径0.5μmの窒化シリコン粉末を
秤量して8.7%のポリビニルアルコール水溶液で攪拌
混合してスラリー状にした離型材を得た。その離型材を
黒鉛製鋳型の内表面に刷毛で塗布してホットプレートに
載せて乾燥した(下地材料)。単位面積当りの塗布重量
は0、0.02、0.04、0.2g/cm2と変化さ
せた。その後下地材料の上に平均粒径0.5μmの窒化
シリコン粉末と平均粒径20μmの二酸化シリコン粉末
を秤量して8.7%のポリビニルアルコール水溶液で攪
拌混合してスラリー状にして得た離型材を刷毛で塗布し
てホットプレートに載せて乾燥した(混合材料)。乾燥
終了後、鋳型を8.0Torrに減圧したアルゴン雰囲
気中に置き、黒鉛ヒータを使って1000℃に加熱した
状態で鋳型内にシリコン融液68kgを注湯して7時間
かけて徐々に凝固させた。冷却後固化したシリコンの鋳
塊を鋳型から取り出し、離型材と鋳型の付着の有無、シ
リコンの鋳塊と鋳型の付着の有無について調べた。その
結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1に示すように、下地材料の単位面積当
り塗布重量がない場合(条件No.1、5、9、13、1
7、21、25、29)には全ての条件で鋳型材表面酸
化が観察された。また、下地材料、混合材料共に単位面
積当り塗布重量が少ない場合には(条件No.1、5、
9、13)では、融液の鋳型材への融着が見られ離型材
としての機能を有していないことが判った。また、混合
材料の単位面積当り塗布重量が少ない場合(条件No.1
〜16)には、離型材が鋳型から剥離してしまい離型材
強度そのものに問題があることが判った。結論として請
求項1〜3に記載した条件(No.19、20、23、2
4、27、28、31、32)で使用することが望まし
いことが判った。
【0041】
【実施例2】平均粒径0.5μmの窒化シリコン粉末を
秤量して8.7%のポリビニルアルコール水溶液で攪拌
混合してスラリー状にした離型材を得た。その離型材を
黒鉛製鋳型の内表面に刷毛で塗布してホットプレートに
載せて乾燥した(下地材料)。単位面積当りの塗布重量
は0.04g/cm2とした。その後、下地材料の上に
平均粒径0.5μmの窒化シリコン粉末と平均粒径20
μmの二酸化シリコン粉末を秤量して8.7%のポリビ
ニルアルコール水溶液で攪拌混合してスラリー状にして
得た離型材を刷毛で塗布してホットプレートに載せて乾
燥した(混合材料)。さらに1、2層の上に平均粒径
0.5μmの窒化シリコン粉末を秤量して8.7%のポ
リビニルアルコール水溶液で攪拌混合してスラリー状に
して得た離型材を刷毛で塗布してホットプレートに載せ
て乾燥した(表面材料)。表面材料の単位面積当りの塗
布重量を0、0.04、0.1、0.2g/cm2と変
化させた。乾燥終了後、鋳型を8.0Torrに減圧し
たアルゴン雰囲気中に置き、黒鉛ヒータを使って100
0℃に加熱した状態で鋳型内にシリコン融液68kgを
注湯して7時間かけて徐々に凝固させた。冷却後固化し
たシリコンの鋳塊を鋳型から取り出し、離型材と鋳型の
付着の有無、シリコンの鋳塊と鋳型の付着の有無につい
て調べた後、太陽電池を作製して変換効率を調べた。そ
の結果を図2と表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】図2と表2から明らかなように、表面材料
の単位面積当りの塗布重量が0g/cm2の場合には明
らかに変換効率が低下するが、0.04g/cm2以上
の塗布条件にすると変換効率の低下は殆ど見られない。
結論として請求項5〜8に記載した条件で使用すること
が望ましいことが判った。
【0044】
【実施例3】平均粒径0.5μmの窒化シリコン粉末と
平均粒径20μmの二酸化シリコン粉末を秤量し混合重
量比にして1:9〜9:1の比率で作製した粉末をプラ
ズマ溶射機で黒鉛製の鋳型材にコーティングした。皮膜
厚みは10、25、40、75μmになるように調整し
た。鋳型を8.0Torrに減圧したアルゴン雰囲気中
に置き、黒鉛ヒータを使って1000℃に加熱した状態
で鋳型内にシリコン融液70kgを注湯して7時間かけ
て徐々に凝固させた。冷却後固化したシリコンの鋳塊を
鋳型から取り出し、離型材と鋳型の付着の有無、シリコ
ンの鋳塊と鋳型の付着の有無について調べた。その結果
を表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】二酸化シリコンの混合比に拘わらず、コー
ト層の厚みが10μmのものは鋳型材とシリコンが融着
してしまうために使用できない。しかしながら、25μ
m以上の厚みがあれば、窒化シリコンと二酸化シリコン
を1:9から9:1の割合で混合したものを溶射コーテ
ィングすることで充分離型材としての機能を有すること
が分かった。コート層と離型材の付着力の観点からは窒
化シリコン:二酸化シリコンの比率が7:3で最も付着
性が良い結果が得られているが、二酸化シリコン比率が
10%以上あれば充分な付着力を有することが分かっ
た。
【0047】
【発明の効果】以上のように、請求項1に係るシリコン
鋳造用鋳型によれば、離型材として窒化シリコンからな
る下地材料と、窒化シリコンと二酸化シリコンを28:
72〜75:25の重量比率で混合した混合材料とを重
ねて塗布したことから、離型材が鋳型に付着したり、鋳
型がシリコンの鋳塊に付着することによって発生するシ
リコンの欠けを防止することができると共に、鋳型材の
消耗を抑制することができる。
【0048】また、請求項5に係るシリコン鋳造用鋳型
によれば、離型材として窒化シリコンからなる下地材料
と、窒化シリコンと二酸化シリコンを28:72〜7
5:25の重量比率で混合した混合材料と、窒化シリコ
ンからなる表面材料とを重ねて塗布したことから、混合
材料中の二酸化シリコンとシリコン融液との接触に起因
する太陽電池の変換効率の低下を防ぎ、離型材が鋳型に
付着したり、鋳型がシリコンの鋳塊に付着することによ
って発生するシリコンの欠けを防止することができる。
【0049】また、請求項10に係るシリコン鋳造用鋳
型の製造方法によれば、離型材として、窒化シリコンと
二酸化シリコンを混合したものをプラズマ溶射法で塗布
することから、鋳型がシリコンの鋳塊に付着することに
よって発生するシリコンの欠けを防止することができる
と共に、従来使用していた有機バインダーを除去する脱
バインダー工程を省略することができ、シリコン鋳塊の
製作コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係るシリコン鋳造用鋳型の一例を示
す図である。
【図2】請求項5に係るシリコン鋳造用鋳型の実験結果
を示す図である。
【符号の説明】
1・・・鋳型、2・・・離型材
フロントページの続き (72)発明者 川村 聡 滋賀県八日市市蛇溝町長谷野1166番地の6 京セラ株式会社滋賀八日市工場内 Fターム(参考) 4E092 AA01 AA02 AA05 DA03 FA01 GA01 4E093 NB08

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳型の内表面に離型材を塗布したシリコ
    ン鋳造用鋳型において、前記離型材として窒化シリコン
    からなる下地材料と、窒化シリコンと二酸化シリコンを
    28:72〜75:25の重量比率で混合した混合材料
    とを重ねて塗布したことを特徴とするシリコン鋳造用鋳
    型。
  2. 【請求項2】 前記混合材料を0.04g/cm2以上
    塗布したことを特徴とする請求項1に記載のシリコン鋳
    造用鋳型。
  3. 【請求項3】 前記下地材料を0.04g/cm2以上
    塗布したことを特徴とする請求項1に記載のシリコン鋳
    造用鋳型。
  4. 【請求項4】 前記鋳型の本体が黒鉛からなることを特
    徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のシ
    リコン鋳造用鋳型。
  5. 【請求項5】 鋳型の内表面に離型材を塗布したシリコ
    ン鋳造用鋳型において、前記離型材として窒化シリコン
    からなる下地材料と、窒化シリコンと二酸化シリコンを
    28:72〜75:25の重量比率で混合した混合材料
    と、窒化シリコンからなる表面材料とを重ねて塗布した
    ことを特徴とするシリコン鋳造用鋳型。
  6. 【請求項6】 前記下地材料を0.04g/cm2以上
    塗布したことを特徴とする請求項5に記載のシリコン鋳
    造用鋳型。
  7. 【請求項7】 前記混合材料を0.04g/cm2以上
    塗布したことを特徴とする請求項5に記載のシリコン鋳
    造用鋳型。
  8. 【請求項8】 前記表面材料を0.04g/cm2以上
    塗布したことを特徴とする請求項5に記載のシリコン鋳
    造用鋳型。
  9. 【請求項9】 前記鋳型の本体が黒鉛からなることを特
    徴とする請求項5、請求項6、請求項7、又は請求項8
    に記載のシリコン鋳造用鋳型。
  10. 【請求項10】 鋳型の内表面に離型材を塗布するシリ
    コン鋳造用鋳型の製造方法において、前記離型材とし
    て、窒化シリコンと二酸化シリコンを混合したものをプ
    ラズマ溶射法で塗布することを特徴とするシリコン鋳造
    用鋳型の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記窒化シリコンと二酸化シリコンの
    混合比が1:9から9:1であることを特徴とする請求
    項10に記載のシリコン鋳造用鋳型の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記窒化シリコンと二酸化シリコンの
    混合材料の厚みが20μm以上であることを特徴とする
    請求項10又は請求項11に記載のシリコン鋳造用鋳型
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記鋳型の本体が黒鉛からなることを
    特徴とする請求項10、請求項11、又は請求項12に
    記載のシリコン鋳造用鋳型の製造方法。
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