JP2002264797A - ブレーキ装置 - Google Patents

ブレーキ装置

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JP2002264797A
JP2002264797A JP2001068468A JP2001068468A JP2002264797A JP 2002264797 A JP2002264797 A JP 2002264797A JP 2001068468 A JP2001068468 A JP 2001068468A JP 2001068468 A JP2001068468 A JP 2001068468A JP 2002264797 A JP2002264797 A JP 2002264797A
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hydraulic pressure
brake
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chamber
hydraulic
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Hiroshi Isono
宏 磯野
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】マスタシリンダの後方液圧に基づいて自動ブレ
ーキ作動中にブレーキペダルが踏み込まれたことを検出
する。 【解決手段】ブレーキペダル26の非操作状態におい
て、加圧ピストン22が定常状態にある場合には、加圧
室28の液圧に基づく作用力と後方液圧室54の液圧に
基づく作用力とが釣り合っている。この状態において、
ブレーキペダル26が踏み込まれると後方液圧室54の
液圧が低下する。したがって、後方液圧室54の液圧が
低下すれば、ブレーキペダル26が踏み込まれたとする
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は自動ブレーキ作動可
能なブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開2000−203413号公報に
は、(a)動力により液圧を発生し、その出力液圧が制御
可能な動力式液圧源と、(b)ブレーキ操作部材に連携さ
せられ、ハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合された加
圧ピストンを含み、その加圧ピストンの後方の液圧室に
前記動力式液圧源が接続されたマスタシリンダと、(c)
前記動力式液圧源を制御することによって後方液圧室の
液圧を制御する液圧制御装置とを含むブレーキ装置が記
載されている。このブレーキ装置において、加圧ピスト
ンには、ブレーキ操作部材の操作力と後方液圧室の液圧
に応じた助勢力とが加えられ、前方の加圧室には、これ
ら操作力と助勢力との和に応じた高さの液圧が発生させ
られる。前方加圧室の液圧が、ブレーキ操作力が予め定
められたサーボ比で倍力された大きさに対応する液圧と
なるように、後方液圧室の液圧が動力式液圧源の制御に
より制御される。また、ブレーキ操作部材の操作力が、
加圧室の液圧と後方液圧室の液圧とに基づいて推定され
る。ブレーキ操作部材の操作力、加圧室の液圧および後
方液圧室の液圧の間には予め定められた関係が成立する
ため、加圧室の液圧と後方液圧室の液圧とに基づけば操
作力を推定することができるのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効
果】以上の事情を背景として、本発明の課題は、後方液
圧室の液圧や加圧室の液圧に基づいて、自動ブレーキ作
動中のブレーキ操作部材の操作状態を検出可能とするこ
とである。この課題は、ブレーキ装置を下記各態様の構
成とすることによって解決される。各態様は、請求項と
同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて
他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あく
まで、本明細書に記載の技術の理解を容易にするためで
あり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組み
合わせが以下の各項に限定されると解釈されるべきでは
ない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場
合、常に、すべての事項を一緒に採用しなければならな
いものではなく、一部の事項のみを取り出して採用する
ことも可能である。
【0004】なお、以下の各項のうちの(1)項が請求項
1に対応し、(2)項が請求項2に対応し、(10)項が請求
項3に対応し、(11)項、(12)項がそれぞれ請求項4、5
に対応する。
【0005】(1)動力により液圧を発生し、出力液圧が
制御可能な動力式液圧源と、ブレーキ操作部材に連携さ
せられ、ハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合された加
圧ピストンを含み、その加圧ピストンの前方の加圧室と
後方の液圧室とに前記動力式液圧源が接続されたマスタ
シリンダと、そのマスタシリンダと前記動力式液圧源と
の間に設けられ、動力式液圧源の作動液が加圧室に供給
されないで後方の液圧室に供給される第1状態と、動力
式液圧源の作動液が加圧室へ供給されるとともに後方液
圧室からの作動液の流出が阻止される第2状態とに切り
換え可能な切換装置と、その切換装置の第2状態におい
て、前記動力式液圧源を、運転者による前記ブレーキ操
作部材の操作状態に関係なく、予め定められた条件に従
って制御することによって、前記加圧室の液圧を制御す
る液圧制御装置と、前記切換装置より後方液圧室側の液
圧を検出する後方液圧検出装置と、前記液圧制御装置に
よる前記加圧室の液圧の制御状態における前記後方液圧
検出装置による検出液圧に基づいて前記ブレーキ操作部
材の操作状態を検出する操作状態検出装置とを含むこと
を特徴とするブレーキ装置。
【0006】本項に記載のブレーキ装置においては、マ
スタシリンダの加圧室と後方液圧室との両方に動力式液
圧源が接続され、切換装置によって、動力式液圧源の作
動液が後方液圧室に供給される第1状態と加圧室に供給
される第2状態とに切り換えられる。例えば、第1状態
において、後方液圧室の液圧の制御により加圧室の液圧
が制御され、第2状態において、加圧室の液圧が直接制
御されるようにすることができる。この第2状態におい
て、後方液圧室からの作動液の流出が阻止されるように
すれば、加圧室の液圧に起因して加圧ピストンが後退さ
せられることを阻止することができる。第1状態におい
ては、後方液圧検出装置によって検出された検出液圧に
基づいて加圧室の液圧を取得することができる。また、
後方液圧室の液圧と動力式液圧源の液圧とは同じである
ため、動力式液圧源の出力液圧を取得することもでき
る。また、第1状態において、加圧ピストンが設定量前
進させられ、第2状態において、加圧室に液圧が発生さ
せられるようにすることができる。マスタシリンダにお
いて、加圧ピストンが後退端位置にある状態において、
加圧室がリザーバに連通させられるようになっている場
合には、加圧ピストンが後退端位置にある状態で加圧室
に動力式液圧源の作動液を供給しても液圧を発生させる
ことができない。それに対して、加圧ピストンが設定量
前進させられて、ハウジングのリザーバ通路に接続され
たポートが遮断されれば、加圧室に液圧を発生させるこ
とができる。また、第1状態においては、後方液圧室の
液圧に基づけば、加圧ピストンの前進量、すなわち、ハ
ウジングに対する相対位置を推定することができる。し
たがって、後方液圧室の液圧が、加圧ピストンが加圧室
をリザーバから遮断する位置まで前進したと推定し得る
高さになった場合に、第2状態に切り換えられるように
するのである。
【0007】動力式液圧源は、運転者によるブレーキ操
作部材の操作状態(広義の操作状態)とは関係なく、す
なわち、ブレーキ操作部材が運転者によって操作されな
い状態(非操作状態)にあっても操作された状態(狭義
の操作状態)にあっても、狭義の操作状態において操作
力が大きくても小さくても、操作力が増加傾向にあって
も減少傾向にあっても、予め定められた条件に従って制
御される。運転者によってブレーキ操作部材が操作され
ていなくても加圧室に液圧を発生させ得るのであり、自
動ブレーキが作動させられる。例えば、トラクション制
御、ビークルスタビリティ制御、停車時制動力保持制
御、追従走行時制動力制御、緊急時制動力制御等が該当
する。これら制御においては、動力式液圧源の出力液圧
が、予め定められた設定液圧に保持されたり、車両の車
輪のスリップ状態、車両が停止している路面の傾斜角
度、前方車両との相対位置関係等に基づいて制御された
りするのであり、運転者によるブレーキ操作部材の操作
状態に基づいて制御されるわけではない。このような自
動ブレーキ作動中においては、運転者によるブレーキ操
作部材の操作状態を早期に検出することが望まれてい
る。例えば、ブレーキ操作部材が非操作状態から操作状
態に変わった場合には、運転者によるブレーキ操作部材
の操作力に応じた制動力が得られるように通常ブレーキ
制御が行われるようにすることが望ましい。
【0008】自動ブレーキ作動時においては、運転者に
よってブレーキ操作部材が操作されなくても加圧ピスト
ンが少なくとも設定量(後方液圧室に動力液圧源の作動
液が供給されることにより加圧室の液圧が制御されるこ
とによって、自動ブレーキが作動させられる場合には設
定量より大きな量)前進させられ、加圧室に液圧が発生
させられるのであるが、加圧ピストンとブレーキ操作部
材との連携機構には、自動ブレーキ作動時に、加圧ピス
トンの前進に伴ってブレーキ操作部材が共に移動させら
れるタイプのもの、例えば、ブレーキ操作部材に接続さ
れた入力ロッドと加圧ピストンとが一体的に移動する状
態に連携させられたものと、加圧ピストンがブレーキ操
作部材とは独立に移動可能なタイプのもの、例えば、加
圧ピストンが入力ロッドから離間して前進し得る状態に
連携させられたものとがある。以下、本明細書におい
て、前者のタイプを、加圧ピストンがブレーキ操作部材
を引き込むタイプという意味で、引込みタイプの連携機
構と称し、後者のタイプを加圧ピストンがブレーキ操作
部材を残して前進するタイプという意味で残置タイプの
連携機構と称する。
【0009】ブレーキ操作部材の近傍には、それが操作
状態にあることを検出するブレーキスイッチが設けられ
るのが普通であるが、引込みタイプの連携機構において
は、自動ブレーキ作動中に、運転者によってブレーキ操
作部材が操作されても、ブレーキスイッチの状態に基づ
いてブレーキ操作部材の状態を検出することができな
い。引込みタイプの連携機構においては、加圧ピストン
の前進に伴ってブレーキ操作部材が前進(移動ないし回
動)させられ、ブレーキスイッチが操作状態(例えば、
ON状態)に切り換わり、自動ブレーキ作動中はON状
態に保たれるため、運転者によりブレーキ操作部材が操
作されてもブレーキスイッチの状態が変わらないからで
ある。残置タイプの連携機構においては、加圧ピストン
のみが前進させられ、ブレーキ操作部材はその位置に保
たれる。そのため、自動ブレーキ作動中であっても、ブ
レーキスイッチの状態に基づいて運転者によってブレー
キ操作部材が操作されたことを検出することができるは
ずである。しかし、ブレーキ操作部材に連携させられた
加圧ピストンの前方の加圧室に接続されたブレーキシリ
ンダの液圧について、保持制御あるいは減圧制御が行わ
れる場合において、ブレーキ操作部材に加えられた操作
力が小さい場合には、ブレーキ操作部材が殆ど前進でき
ず、ブレーキスイッチが切り換わらない場合がある。
【0010】本項に記載のブレーキ装置においては、後
方液圧室の液圧に基づいてブレーキ操作部材の操作状態
が検出される。ブレーキ操作部材の移動に起因して作動
させられるブレーキスイッチの状態に基づくわけではな
いため、引込みタイプの連携機構であっても、残置タイ
プの連携機構であっても、自動ブレーキ作動中のブレー
キ操作部材の操作状態を検出することができる。マスタ
シリンダの加圧ピストンには、前方の加圧室の液圧によ
る作用力と、ブレーキ操作力および後方液圧室の液圧に
よる作用力とが互いに反対向きに作用し、加圧ピストン
の定常状態においてはこれらが釣り合っている。また、
後方液圧室からの作動液の流出が阻止された状態におい
ては、後方液圧室の液圧は加圧室の液圧とブレーキ操作
力とに基づいて変化させられる。さらに、自動ブレーキ
作動中において加圧室の液圧は、ブレーキ操作部材の操
作状態とは関係なく、予め定められた条件に従って制御
されるのであり、予め定められた一定の高さに制御され
る場合が多い。したがって、ブレーキ操作部材が操作状
態にある場合と非操作状態にある場合とで、あるいはブ
レーキ操作部材の操作力によって、後方液圧室の液圧が
異なるのであり、この事実に基づけばブレーキ操作部材
の操作状態を検出することができる。なお、ブレーキラ
ンプをブレーキスイッチの状態に連動して点滅させるの
ではなく、自動ブレーキ作動中においては、操作状態検
出装置によってブレーキ操作部材が運転者によって操作
されたことが検出された場合に点灯させられるようにす
ることも可能である。それに対して、ブレーキ操作部材
に加えられる操作力を検出する操作力検出装置を設けれ
ば、自動ブレーキ作動中にブレーキ操作部材が操作され
たことを検出することができるが、本項に記載のブレー
キ装置によれば、操作力検出装置が設けられていない場
合や、操作力検出装置は設けられているがその操作力検
出装置に異常が生じた場合にも、ブレーキ操作部材の操
作状態を検出することができる。また、ブレーキ装置
に、後方液圧検出装置と操作力検出装置との両方を設け
れば、自動ブレーキ作動中のブレーキ操作部材の操作状
態をより確実に検出することができる。
【0011】(2)前記操作状態検出装置が、前記液圧制
御装置による前記加圧室の液圧の制御状態において、前
記後方液圧検出装置による検出液圧が低下した場合に前
記ブレーキ操作部材の非操作状態から操作状態に切り換
わったとする(1)項に記載のブレーキ装置。図10に示
すように、ブレーキ操作部材の非操作状態においては、
加圧ピストンには、前方の加圧室の液圧による作用力と
後方液圧室の液圧による作用力とが互いに反対向きに作
用し、加圧ピストンの定常状態においてはこれらが釣り
合っている。後方液圧室からの作動液の流出が阻止され
た状態においては、後方液圧室の液圧は加圧室の液圧に
基づいて決まる高さになるのであり、自動ブレーキ作動
中においては、加圧室の液圧は、前述のように一定の高
さに制御される場合が多い。この加圧ピストンの定常状
態において、ブレーキ操作部材が操作状態に切り換えら
れると、加圧ピストンには、ブレーキ操作部材の操作力
が後方液圧室の液圧による作用力と同じ方向に作用す
る。その結果、加圧ピストンが前進させられて後方液圧
室の容積が増加する場合は勿論、実際には加圧ピストン
は前進させられない場合でも、後方液圧室の液圧が低く
なる。したがって、後方液圧室の液圧が低下した場合に
は、ブレーキ操作部材が非操作状態から操作状態に切り
換わったとすることができる。加圧ピストンが前進し、
それに伴って加圧室から流出させられる作動液がある場
合には、例えば、動力式液圧源を経て低圧源に戻され
る。また、本項に記載のブレーキ装置においては、加圧
ピストンに作用する力が釣り合っている状態、すなわ
ち、バランス状態において、そのバランスの変化に基づ
いて非操作状態から操作状態に切り換わったことが検出
されるため、非操作状態から操作状態に切り換わったこ
とを早期に、確実に検出することができる。 (3)前記液圧制御装置が、前記加圧室の液圧を一定の高
さに制御する一定液圧保持部を含む(1)項または(2)項に
記載のブレーキ装置。例えば、車両停止時に、車両を停
止状態に保持するために自動ブレーキが作動させられる
場合には、予め定められた設定圧あるいは車両が停止し
ている路面の傾斜状態等に基づいて決まる一定の高さに
制御される。
【0012】(4)前記加圧室に接続された1つ以上のブ
レーキシリンダと、これら1つ以上のブレーキシリンダ
を、前記加圧室に連通させる状態と加圧室から遮断する
状態とに切り換えることによって、ブレーキシリンダの
液圧をそれぞれ制御する個別液圧制御装置とを含む(1)
項ないし(3)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
【0013】本項に記載のブレーキ装置においては、加
圧室の液圧(動力式液圧源の液圧)を利用して、各ブレ
ーキシリンダの液圧が個別液圧制御装置によって制御さ
れる。そのため、加圧室の液圧は、その制御において決
められた一定の高さに制御されればよい。例えば、トラ
クション制御においては、加圧室の液圧がトラクション
制御に必要な最大液圧近傍の高さに保たれた状態で、駆
動輪のブレーキシリンダ各々の液圧が、駆動輪の駆動ス
リップ状態が適正状態に保たれるように、個別液圧制御
装置によって制御される。ビークルスタビリティ制御に
ついても同様で、加圧室の液圧がビークルスタビリティ
制御に必要な最大液圧近傍の高さに保たれた状態で、ス
ピン傾向やドリフトアウト傾向が抑制されるように、制
御対象輪のブレーキシリンダの液圧がそれぞれ個別液圧
制御装置によって制御される。個別液圧制御装置は、1
つ以上の電磁制御弁を含むものとしたり、ブレーキシリ
ンダに接続された容積変化室を含むものとしたりするこ
とができる。電磁制御弁は、供給電流のON・OFFに
より開閉させられる電磁開閉弁を含むものとしたり、前
後の差圧を供給電流に応じた大きさに制御する液圧制御
弁を含むものとしたりすることができる。容積変化室を
含む場合には、容積変化室の容積を増大させればブレー
キシリンダの液圧を減圧することができる。
【0014】(5)前記液圧制御装置が、前記切換装置
を、前記後方液圧検出装置による検出液圧が設定圧以上
になった場合に第1状態から第2状態に切り換える切換
装置制御部を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記
載のブレーキ装置。第1状態において、後方液圧室の液
圧の増加に伴って加圧ピストンが前進する。そして、後
方液圧室の液圧が設定圧になり、加圧ピストンが予め定
められた位置まで前進した場合に第2状態に切り換え
る。それ以降は、加圧室の液圧が動力式液圧源の制御に
より直接制御される。設定圧は、前述のように、加圧ピ
ストンが、ハウジングに設けられ、リザーバ通路に接続
されたポートを塞ぐ位置まで前進したと推定し得る高さ
にすることができる。
【0015】(6)前記切換装置が、後方液圧室と動力式
液圧源との間の液通路に設けられ、これらを遮断する遮
断状態と連通させる連通状態とに切換可能な制御弁を含
み、前記後方液圧検出装置が、前記液通路の前記制御弁
より後方液圧室側に設けられた(1)項ないし(5)項のいず
れか1つに記載のブレーキ装置。
【0016】制御弁は、第1状態において連通状態とさ
れ、第2状態において遮断状態とされる。連通状態にお
いて、動力式液圧源から後方液圧室への作動液の供給が
許容され、遮断状態において、後方液圧室から動力式液
圧源側への作動液の流出が阻止される。後方液圧検出装
置は、液通路の制御弁より後方液圧室側に設けられるた
め、制御弁の遮断状態においても後方液圧室の液圧を検
出する。また、液通路に制御弁と並列に動力式液圧源か
ら後方液圧室への作動液の流れを許容し、逆向きの流れ
を阻止する逆止弁を設けることができる。逆止弁を設け
れば、制御弁が遮断状態にあっても、動力式液圧源の液
圧の方が高くなれば、動力式液圧源から後方液圧室へ高
圧の作動液を供給することができる。
【0017】(7)前記操作状態検出装置が、前記液圧制
御装置による前記加圧室の液圧の制御状態における前記
後方液圧検出装置による検出液圧の変化状態に基づいて
前記ブレーキ操作部材の操作状態の変化を検出する(1)
項、(3)項ないし(6)項のいずれか1つに記載のブレーキ
装置。後方液圧室の液圧の変化状態に基づけば操作状態
の変化、すなわち、操作状態から非操作状態に切り換わ
ったこと、非操作状態から操作状態に切り換わったこ
と、操作力が増加したこと、その場合の増加量、操作力
が減少したこと、その場合の減少量等の少なくとも1つ
を検出することができる。
【0018】(8)前記操作状態検出装置が、前記液圧制
御装置による前記加圧室の液圧の制御状態における前記
後方液圧検出装置による検出液圧が、前記条件に基づい
て決まる液圧に対して低い場合に、前記ブレーキ操作部
材が操作状態にあるとする(1)項、(3)項ないし(6)項の
いずれか1つに記載のブレーキ装置。加圧室の液圧は予
め定められた条件に従って制御され、後方液圧室の液圧
は加圧室の液圧に対応する液圧になる。そのため、後方
液圧室の液圧は、条件に基づいて決まるのであり、その
条件に基づいて決まる液圧に対して低い場合にブレーキ
操作部材が操作状態にあるとすることができる。液圧制
御装置による加圧室の液圧の制御においては、加圧室の
液圧は一定の高さに保たれるとは限らない。加圧室の液
圧が変化すれば、それに応じて後方液圧室の液圧も変化
するが、後方液圧室の液圧がその条件に基づいて決まる
高さに対して低い場合に、操作状態にあるとすることが
できる。例えば、後方液圧室の液圧が条件に基づいて決
まる液圧より設定値以上低い場合、条件に基づいて決ま
る液圧に設定比率を乗じた値より低い場合等に操作状態
にあるとする。
【0019】(9)前記操作状態検出装置が、前記液圧制
御装置による前記加圧室の液圧の制御状態における前記
後方液圧検出装置による検出液圧が、予め定められた設
定液圧より低い場合に前記ブレーキ操作部材が操作状態
にあるとする(1)項、(3)項ないし(6)項のいずれか1つ
に記載のブレーキ装置。設定液圧は、条件に基づいて決
定することができるが、自動ブレーキ制御の種類によっ
て加圧室の液圧が決まっている場合には、その予め決ま
っている加圧室の液圧に基づいて決まる値とすることが
できる。例えば、加圧室の液圧より設定値以上小さい
値、設定比率を乗じた値とすることができる。
【0020】(10)前記操作状態検出装置が、液圧制御
装置による前記加圧室の液圧の制御状態における前記後
方液圧検出装置による検出液圧と前記液圧制御装置の制
御に関連する情報である制御関連情報とに基づいて前記
ブレーキ操作部材の操作状態を検出する(1)項、(3)項な
いし(9)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
【0021】液圧制御装置の制御に関する制御関連情報
には、液圧制御装置の制御状態を表す情報である制御状
態情報、液圧制御装置の制御の基礎となる情報である制
御基礎情報、制御による結果を表す制御結果情報等が含
まれる。制御状態情報には、加圧室の目標液圧、動力式
液圧源の制御状態量(例えば、後述するように、ポンプ
モータへの供給電流量、電磁液圧制御弁への供給電流
量)等が該当する。制御結果情報には、加圧室の実際の
液圧、その加圧室に接続されたブレーキシリンダの液
圧、車両の減速度、旋回状態、車輪の駆動スリップ状
態、前方車両との相対位置関係(例えば、車間距離)等
が該当する。車両の旋回状態、車輪の駆動スリップ状
態、前方車両との相対位置関係(例えば、車間距離)等
は、液圧制御装置の制御の基礎となる情報という意味で
制御基礎情報に相当すると考えることもでき、あるいは
制御状態情報の一種と考えることもできる。
【0022】本項に記載のブレーキ装置においては、後
方液圧室の液圧と制御関連情報とに基づいてブレーキ操
作部材の操作状態(広義の操作状態)が検出される。前
述のように、後方液圧室の液圧は制御関連情報に基づい
て決まる。したがって、例えば、後方液圧室の液圧がそ
の制御関連情報に基づいて決まる高さと同じ高さである
場合には非操作状態にあり、その高さより低い場合には
ブレーキ操作部材が操作状態にあるとすることができ
る。また、制御関連情報に基づいて決まる高さから低下
した場合には非操作状態から操作状態に切り換わったと
することができ、対応する高さまで回復した場合には、
操作状態から非操作状態に切り換わったとすることがで
きる。さらに、制御関連情報に基づいて決まる高さから
の低下量に基づけばブレーキ操作力の大きさを検出する
ことも可能である。
【0023】(11)前記切換装置より加圧室側の液圧を
検出する前方液圧検出装置を含み、前記操作状態検出装
置が、前記前方液圧検出装置による検出液圧を前記制御
関連情報として、前記操作状態を検出する前方液圧依拠
操作状態検出部を含む(10)項に記載のブレーキ装置。本
項に記載のブレーキ装置においては、前方液圧検出装置
による検出液圧と後方液圧検出装置による検出液圧とに
基づいてブレーキ操作部材の操作状態が検出される。 (12)前記操作状態検出装置が、前記制御装置制御状態
を表す情報を前記制御関連情報として、前記操作状態を
検出する制御状態依拠操作状態検出部を含む(10)項また
は(11)項に記載のブレーキ装置。本項に記載のブレーキ
装置においては、制御関連情報と後方液圧検出装置によ
る検出液圧とに基づいてブレーキ操作部材の操作状態が
検出される。
【0024】(13)前記動力式液圧源が、低圧源の作動
液を汲み上げて加圧するポンプと、そのポンプを動力に
より駆動するポンプモータと、前記ポンプと並列に、ポ
ンプの吐出側と低圧源との間に設けられ、動力式液圧源
の出力液圧を制御する電磁液圧制御弁とを含む(1)項な
いし(12)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
【0025】本項に記載のブレーキ装置においては、電
磁液圧制御弁の制御により動力式液圧源の出力液圧が制
御される。動力式液圧源の出力液圧は、電磁液圧制御弁
への供給電流の制御によって制御される。電磁液圧制御
弁への供給電流は、その電流量で表したり、ON・OF
F制御が行われる場合のデューティ比で表したりする。
これらを表す量は液圧制御装置の制御状態量に該当す
る。なお、電磁液圧制御弁は不可欠ではない。ポンプモ
ータを制御することによって、ポンプから吐出される作
動液の液圧を制御することも可能である。この場合に
は、ポンプモータへの供給電流量が制御状態量に該当す
る。動力式液圧源は液圧制御装置によって制御されるの
であるが、切換装置が第1状態にある場合には、動力式
液圧源の出力液圧が最大となるように制御することが望
ましい。後方液圧室に動力式液圧源の最大の液圧の作動
液が供給されれば、加圧ピストンを直ちに前進させて、
早期に加圧室に液圧を発生させることが可能となる。
【0026】(14)前記液圧制御装置による前記加圧室
の液圧の制御状態における前記後方液圧検出装置による
検出液圧と前記液圧制御装置の制御に関連する情報であ
る制御関連情報との少なくとも一方に基づいて前記ブレ
ーキ操作部材の操作力を検出する操作力検出装置を含む
(1)項にないし(13)項のいずれか1つに記載のブレーキ
装置。前述のように、制御関連情報に基づいて決まる後
方液圧室の液圧と実際の後方液圧検出装置による検出液
圧との差に基づけば、操作力を検出することができる。
また、実際の加圧室の液圧と後方液圧室の液圧とに基づ
けば操作力の大きさを検出することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態であるブレー
キ装置を図面に基づいて説明する。図1において、10
は液圧シリンダとしてのマスタシリンダであり、12は
動力式液圧源であり、14は弁装置である。マスタシリ
ンダ10は、図2に示すように、ハウジング20に液密
かつ摺動可能に嵌合された2つの加圧ピストン22,2
4を含む。一方の加圧ピストン22はブレーキペダル2
6(図1参照)に連携させられ、他方の加圧ピストン2
4は、加圧ピストン22の前進に伴って前進させられ
る。加圧ピストン22,24の前方がそれぞれ加圧室2
8,30とされる。加圧室28,30には、同じ高さの
液圧が発生させられる。
【0028】本実施形態においては、加圧ピストン22
のピストンロッド32には、ブレーキペダル26にクレ
ビス34を介して連結されたプッシュロッド36がそれ
の頭部において圧入によって嵌合されている。加圧ピス
トン22の前進に伴ってプッシュロッド36も前進させ
られるのであり、これらが一体的に移動可能とされた引
込みタイプの連携機構37なのである。したがって、自
動ブレーキの作動により加圧ピストン22が前進させら
れると、それに伴ってプッシュロッド36が前進させら
れ、ブレーキペダル26がピン38の回りに回動させら
れ、ブレーキスイッチ40がON状態に切り換えられ
る。
【0029】加圧ピストン22は、中間部に大径部を有
する段付き形状を成したものであり、ピストンロッドと
しての入力側小径部32,中間大径部42,出力側小径
部44を有する。ハウジング20と出力側小径部44と
の間にはシール部材としてのカップシール46,47が
設けられ、中間大径部42との間にはシール部材として
のOリング48が設けられる。また、入力側小径部32
とハウジング20の後端部の閉塞部材50との間にはシ
ール部材としての一対のカップシール52が設けられて
いる。
【0030】加圧ピストン22の中間大径部42の後方
の閉塞部材50によって囲まれた液室が後方液圧室54
とされ、加圧ピストン22の中間大径部42の前方の出
力側小径部44の外周側の液室が中間環状室56とさ
れ、出力側小径部44の前方が前記加圧室28とされ
る。本実施形態においては、加圧室28が第1加圧室
で、中間環状室56が第2加圧室で、後方液圧室54が
制御圧室である。また、2つの加圧ピストン22,24
によって、加圧室28,30および後方液圧室54、中
間環状室56が、互いに独立に形成される。後述するよ
うに、後方液圧室54,中間環状室56にはそれぞれ動
力式液圧源12が接続されるのであり、動力式液圧源1
2の作動液が供給可能な液圧室が2つ設けられている。
【0031】加圧ピストン22の出力側小径部44に
は、中間環状室56と加圧室28とを接続する液通路6
0が形成され、液通路60の途中には中間環状室56か
ら加圧室28への作動液の流れを許容し、逆向きの流れ
を阻止する逆止弁62が設けられている。逆止弁62
は、図1には、便宜的にマスタシリンダ10のハウジン
グ20の外部に記載されているが、図2に示すように、
加圧ピストン22に設けても(ハウジング20の内部に
設けても)よい。逆止弁62は前記弁装置14の一構成
要素である。
【0032】ハウジング20には複数のポートが設けら
れている。ハウジング20の後方液圧室54に対応する
部分にはポート70が形成され、中間環状室56に対応
する部分にはポート72が形成され、加圧室28に対応
する部分にはポート74が形成され、加圧室30に対応
する部分にはポート78が形成される。図1には、ポー
ト74,78が2つずつ記載されているが、図2に示す
ように、これらは実質的には同じものである。また、ポ
ート82,84は、ハウジング20の、加圧ピストン2
2,24が後退端にある状態で、加圧ピストン22,2
4に設けられた連通路86,88に対向する位置に設け
られている。ポート82,84には、リザーバ通路9
0,91が接続され、リザーバ92に連通させられ、加
圧ピストン22,24の後退端位置において加圧室2
8,30からリザーバ92への作動液の流れが許容され
る。
【0033】加圧ピストン24とハウジング20の底部
との間、2つの加圧ピストン22,24の間には、それ
ぞれリターンスプリング93,94が設けられる。ま
た、加圧ピストン22、24の前端部にはそれぞれロッ
ド95a,95bが相対移動不能に設けられ、加圧ピス
トン24の後端部、ハウジング20の底部にそれぞれ設
けられたリテーナ96a,96bに相対移動可能に嵌合
されている。加圧ピストン22,24の移動により、ロ
ッド95a,bがそれぞれリテーナ96a,bに対して
相対移動させられる。加圧ピストン22の前進端はロッ
ド95aが加圧ピストン24の後端面に当接することに
よって規定され、後退端はロッド95aの頭部97がリ
テーナ96aに当接することによって規定される。加圧
ピストン24の前進端はロッド95bがハウジング20
の底部に当接することによって規定され、後退端は、リ
ターンスプリング93,94によって規定される。
【0034】前記動力式液圧源12は、ポンプ装置10
0とリニア液圧制御弁102とを含む。ポンプ装置10
0は,ポンプ103、ポンプ103を駆動するポンプモ
ータ104,ポンプ103の吐出側に設けられ、ポンプ
103の吐出口への作動液の逆流を阻止する逆止弁10
6等を含む。ポンプ103はリザーバ92の作動液を汲
み上げて加圧して吐出するものであり、本実施形態にお
いては、ギヤポンプとされている。また、リニア液圧制
御弁102(NCリニア弁)がポンプ103と並列に設
けられている。
【0035】リニア液圧制御弁102は、ポンプ103
の吐出側とリザーバ92との間に設けられる。リニア液
圧制御弁102は、図3に示すように、コイル108に
電流が供給されない間、スプリング110の付勢力によ
って弁子112が弁座114に着座させられる常閉弁で
ある。リニア液圧制御弁102には、前後の差圧に起因
し、弁子112を弁座114から離間させる方向に作用
する差圧作用力F1と、スプリング110の付勢力F2
と、コイル108への供給電流によって発生させられ、
弁子112を弁座114から離間させる方向に作用する
電磁駆動力F3とが加えられ、これらの力の関係によっ
て、弁子112の弁座114に対する相対位置が決ま
る。リニア液圧制御弁102の前後の差圧は、ポンプ1
03の吐出側の液圧とリザーバ92の液圧との差圧であ
るが、リザーバ92の液圧はほぼ大気圧であるため、ポ
ンプ103の吐出側の圧力の大きさに対応する。スプリ
ング110の付勢力がほぼ一定であると仮定すれば、電
磁駆動力F3が大きい場合は小さい場合より差圧作用力
F1が小さくなり、動力式液圧源12の吐出圧が低くな
る。
【0036】弁装置14は、前述の逆止弁62,電磁制
御弁116(NC弁A),電磁制御弁118(NO弁
B),電磁制御弁120(NO弁C)等を含む。電磁制
御弁120(NO弁C)は後方液圧室54のポート70
と動力式液圧源12とを接続する液通路122に設けら
れる。電磁制御弁120は、コイルに電流が供給されな
い場合に開状態にある常開弁であり、供給電流のON・
OFFにより開状態と閉状態とに切り換えられる電磁開
閉弁である。また、電磁制御弁120と並列に動力式液
圧源側から後方液圧室側への作動液の流れを許容し、逆
向きの流れを阻止する逆止弁124が設けられている。
また、液通路122の電磁制御弁120より後方液圧室
54側の部分には、リザーバ92から伸び出させられた
液通路126も接続されている。液通路126には、リ
ザーバ92から後方液圧室54への作動液の流れを許容
し、逆向きの流れを阻止する逆止弁128が設けられて
いる。図2に示すように、液通路126はポート70と
は別のポートに接続されるようにしてもよい。
【0037】電磁制御弁(NO弁B)118は、中間環
状室56のポート72と動力式液圧源12とを接続する
液通路130に設けられる。液通路130には、電磁制
御弁118と直列に流通制限装置132が設けられてい
る。液通路130は、前記後方液圧室54に接続された
液通路122の電磁制御弁120より動力式液圧源側の
部分に接続されている。したがって、液通路122,1
30によって後方液圧室54と中間環状室56とが接続
されることになる。
【0038】電磁制御弁118は、コイルに電流が供給
されない状態で開状態にある常開弁であり、供給電流の
ON・OFFにより開閉させられる電磁開閉弁である。
電磁制御弁118と並列に、中間環状室56から流出す
る作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止する逆止
弁136が設けられている。流通制限装置132は、互
いに並列に設けられた逆止弁140,リリーフ弁14
2,オリフィス144を含む。逆止弁140は中間環状
室56への作動液の流入を許容し、中間環状室56から
の作動液の流出を阻止するものであり、リリーフ弁14
2は、前後の液圧差が設定圧以上になると、中間環状室
56からの作動液の流出を許容するものである。
【0039】電磁制御弁116(NO弁A)は、中間環
状室56と加圧室28との間、本実施形態においては、
一端部が加圧室28のポート74に接続され、他端部が
液通路130の流通制限装置132より中間液圧室側の
部分に接続された液通路152に設けられている。電磁
制御弁116は、コイルに電流が供給されない場合に閉
状態にある常閉弁であり、供給電流のON・OFFによ
り開閉させられる電磁開閉弁である。電磁制御弁116
は、中間環状室56と加圧室28との間の、前述の逆止
弁62と並列に位置することになる。なお、各電磁制御
弁116,118,120は、供給電流のON・OFF
で開閉させられるものではなく、供給電流に応じた開度
で作動液の流れを許容するものとすることができる。
【0040】2つの加圧室28,30の間には液圧調節
装置160が設けられている。液圧調節装置160は、
ハウジングに液密かつ摺動可能に配設された差動ピスト
ン162と、スプリング164とを含む。ハウジングの
内部は、差動ピストン162によって、加圧室30側の
第1液圧室166と加圧室28側の第2液圧室168と
に仕切られ、スプリング164は差動ピストン162に
第1液圧室166の容積が減少する方向の付勢力を加え
る。差動ピストン162には、第1液圧室166と第2
液圧室168との差圧に応じて移動させられる。差動ピ
ストン162は、一体的に移動可能なロッド167aが
設けられ、ハウジングに設けられたリテーナ167bに
摺動可能に嵌合されている。差動ピストン162は、ロ
ッド167aとリテーナ167bとによって案内されつつ
移動させられる。液圧調節装置160により、加圧室3
0,28の液圧が予め定められた関係を有する高さに保
たれる。本実施形態においては、差動ピストン162の
第1液圧室166に対向する受圧面積と第2液圧室16
8に対向する受圧面積とが同じであるため、スプリング
164の付勢力を無視すれば、第1液圧室166の液圧
と第2液圧室168の液圧とがほぼ同じ高さにされる。
また、差動ピストン162とハウジングとの間には軸方
向に隔たって2カ所にシール部材としてのOリング16
9,170が設けられ、これらの間がリザーバ92に接
続される。これらの間に液圧が発生して、ピストン16
2の摺動に影響が及ぼされることを回避するためであ
る。液圧調節装置160は、一端がポート78に接続さ
れ、他端が前記液通路152に接続された液通路172
に設けられる。
【0041】加圧室28,30に対応する前記ポート7
4,78には、それぞれ、ブレーキ通路180,182
が接続されている。ブレーキ通路180には後輪190
のブレーキ191のブレーキシリンダ192が接続さ
れ、ブレーキ通路182には前輪194のブレーキ19
5のブレーキシリンダ196が接続されている。ブレー
キシリンダ192,196に対応して、それぞれ、個別
液圧制御弁装置200,202が設けられている。個別
液圧制御弁装置200,202は、それぞれ、加圧室と
ブレーキシリンダとの間に設けられた保持弁210と、
ブレーキシリンダとリザーバ212との間に設けられた
減圧弁214とを含む。保持弁210,減圧弁214
は、コイルへの供給電流に応じて開閉させられる電磁制
御弁であり、保持弁210は常開弁であり、減圧弁21
4は常閉弁である。ブレーキシリンダの液圧は、それぞ
れ別個に、保持弁210,減圧弁214の開閉制御によ
り制御される。
【0042】ブレーキ通路180,182の保持弁21
0より加圧室側の部分にはリザーバ212から延び出さ
せられたポンプ通路216が接続されている。ポンプ通
路216には、ポンプ220,逆止弁222,224、
ダンパ226等が設けられ、ポンプ220から吐出され
た作動液はポンプ通路216を経て、ブレーキ通路18
0、182に戻される。ポンプ220はポンプモータ2
28によって作動させられる。
【0043】本ブレーキ装置には、図4に示すブレーキ
ECU300が設けられている。ブレーキECU300
は、コンピュータを主体とする制御部302と複数の駆
動回路304とを含む。制御部302は、CPU30
6,RAM308,ROM310,I/Oポート312
を含み、I/Oポート312には、ブレーキスイッチ4
00,踏力センサ322,マスタ圧センサ324,後方
液圧センサ326,車輪速センサ328,旋回状態検出
装置330,パーキングスイッチ332,アクセルスイ
ッチ334等が接続される。ブレーキスイッチ40はブ
レーキ操作部材としてのブレーキペダル26が操作状態
にあるか非操作状態にあるかを検出するものであり、踏
力センサ322は、ブレーキペダル26に加えられるブ
レーキ操作力としての踏力を検出するものである。マス
タ圧センサ324は、加圧室28の液圧を検出するもの
であるが、個別液圧制御弁装置200,202が原位置
にある状態ではブレーキシリンダ192,196の液圧
を検出する。後方液圧センサ326は後方液圧室54の
液圧を検出するものであるが、電磁制御弁120の開状
態においては、動力式液圧源12の出力液圧を検出す
る。車輪速センサ328は、後輪190、前輪194の
回転速度をそれぞれ検出する。車輪速センサ328によ
る検出値に基づいて各車輪190,194の制動スリッ
プ状態、駆動スリップ状態が検出される。旋回状態検出
装置330は、ヨーレイトセンサ、横Gセンサ等を含
み、これらの検出値に基づいて車両のスピン傾向,ドリ
フトアウト傾向の強さが検出される。旋回状態検出装置
330は、姿勢検出装置と称することもできる。パーキ
ングスイッチ332は、図示しないパーキングレバーが
操作状態にあるか否かを検出するものであり、アクセル
スイッチ334は図示しないアクセルペダルが操作状態
にあるか否かを検出するものである。
【0044】I/Oポート312には、駆動回路304
を介して、保持弁210,減圧弁214,電磁制御弁1
16(NC弁A),電磁制御弁118(NO弁B),電
磁制御弁120(NO弁C)、リニア液圧制御弁102
のコイルが接続されるとともに、ポンプモータ228,
103、ブレーキランプ336がリレー338を介して
接続されている。また、ROM310には、ブレーキ液
圧制御プログラム、踏込み検出プログラム、通常ブレー
キ作動時液圧制御テーブル、アンチロック制御プログラ
ム、自動ブレーキ作動時液圧制御テーブル、トラクショ
ン制御プログラム、ビークルスタビリティ制御プログラ
ム、イニシャルチェックプログラム等の複数のプログラ
ムやテーブル等が格納されている。
【0045】以上のように構成されたブレーキ装置にお
ける作動について説明する。通常ブレーキ作動時には、
個別液圧制御弁装置200,202が図示する原位置に
保たれた状態で、ブレーキシリンダ192,196の液
圧が動力式液圧源12の制御により制御される。ブレー
キランプ336は、ブレーキスイッチ40の状態の変化
に伴って点滅させられる。ブレーキペダル26が操作さ
れると第1状態にされる。図5に示すように、電磁制御
弁(NC弁A)116、電磁制御弁120(NO弁C)
が開状態にされ、電磁制御弁(NO弁B)118が閉状
態にされる。動力式液圧源12から出力された作動液は
後方液圧室54に供給されるのであり、後方液圧室54
の液圧がリニア液圧制御弁102によって制御される。
後方液圧室54の液圧の制御により、加圧室28,30
の液圧がブレーキペダル26の踏力に応じた高さに制御
されるのであり、ブレーキシリンダ192,196の液
圧が制御される。
【0046】図2に示すように、後方液圧室54の液圧
をPrsとし、中間環状室56の液圧をPfとし、加圧室
28の液圧をPmcとするとともに、入力側小径部32、
中間大径部42、出力側小径部44の横断面積を、それ
ぞれ、Ai、Am、Aoとした場合には、これらの間に
は、式 Pmc・Ao+Pf・(Am−Ao)=Prs・(Am−Ai)+
F が成立する。Fはブレーキペダル26に加えられる操作
力である。
【0047】また、中間環状室56と加圧室28との間
の電磁制御弁116(NC弁A)が開状態にあるため、
中間環状室56の液圧と加圧室28の液圧とは同じにな
り(Pmc=Pf)、加圧室28の液圧は、式 Pmc={Prs・(Am−Ai)+F}/Am で表される高さに制御される。加圧室28の液圧は後方
液圧室54の液圧の制御によって制御されるのであり、
操作力Fに後方液圧室54の液圧に応じた助勢力が加え
られた高さに制御される。本実施形態においては、加圧
室28の液圧が、操作力Fが予め定められたサーボ比で
倍力された大きさに対応する液圧になるように、リニア
液圧制御弁102への供給電流が制御される。図5にお
いては、動力式液圧源12の出力液圧、すなわち、リニ
ア液圧制御弁102による制御圧をPsと記載した。
【0048】後方液圧室54には、逆止弁128を介し
てリザーバ92が接続されているため、加圧ピストン2
2の前進速度が早くても、後方液圧室54の液圧が負圧
になることが回避される。また、中間環状室56の液圧
が動力式液圧源12の液圧よりリリーフ弁142のリリ
ーフ圧以上になると、中間環状室56からリニア液圧制
御弁102を経てリザーバ92に作動液が流出させられ
ることになるが、中間環状室56の液圧が動力式液圧源
12の吐出側の液圧より高くなることは、当該ブレーキ
装置が正常である場合にはあり得ないことであり、中間
環状室56の作動液は、電磁制御弁116あるいは逆止
弁62を経て加圧室28に供給される。大径加圧(加圧
面積Am)が行われることになり、ブレーキシリンダ1
92,196に多量の作動液を供給することができる。
【0049】加圧室28の液圧が設定圧(例えば、10
MPa付近の値とすることができる)を越えると第2状
態に切り換えられる。電磁制御弁116は開状態のまま
で、電磁制御弁118が開状態にされ、電磁制御弁12
0が閉状態にされる。中間環状室56には動力式液圧源
12の作動液が供給される。前述の場合と同様に、中間
環状室56と加圧室28とは連通状態にあるため(Pmc
=Pf)、加圧室28の液圧がリニア液圧制御弁102
によって直接制御されることになる。加圧室28の液圧
が操作力が一定のサーボ比で倍力された大きさに対応す
る高さに直接制御される。
【0050】この場合には、電磁制御弁120は閉状態
にされるため、加圧室28,中間環状室56の液圧が高
くなっても、後方液圧室54からの作動液の流出が阻止
され、加圧ピストン22の後退が阻止される。後方液圧
室54の液圧が動力式液圧源12から吐出される作動液
の液圧以上になり、加圧室28の液圧を、動力式液圧源
12から吐出された作動液が後方液圧室54に供給され
る場合より高くすることができる。この状態において
は、ブレーキペダル26が前進させられることは殆どな
いが、前進しなくても、運転者によるブレーキ操作力は
踏力センサ322によって検出することができる。この
状態からさらに、ブレーキペダル26が踏み込まれた場
合には、後方液圧室54には、逆止弁124を経て動力
式液圧源12から、あるいは逆止弁128を経てリザー
バ92から作動液が供給されるのであり、加圧ピストン
22の前進が許容される。
【0051】ブレーキペダル26の操作が解除される
と、各電磁制御弁116,118,120への供給電流
がOFFにされて図示する原位置に戻され、リニア液圧
制御弁102への供給電流が0にされて閉状態にされ
る。電磁制御弁116が閉状態とされ、電磁制御弁11
8、電磁制御弁120が開状態にされる。後方液圧室5
4の作動液は、開状態にある電磁制御弁120、電磁制
御弁118、逆止弁140,中間環状室56,逆止弁6
2を経て加圧室28に供給され、中間環状室56の作動
液は逆止弁62を経て加圧室28に供給される。加圧室
28の作動液は連通路86,ポート82,リザーバ通路
90を経てリザーバ92に戻される。
【0052】ブレーキ作動中に、車輪190,194の
少なくとも1つの制動スリップが過大になるとアンチロ
ック制御が行われる。この場合には、車輪190,19
4の制動スリップ状態が適正状態になるように、各ブレ
ーキシリンダ192,196の液圧が、個別液圧制御弁
装置200,202の制御により制御される。動力式液
圧源12の制御は、通常ブレーキ作動時と同様に行われ
るようにしても、アンチロック制御が開始された時点の
液圧が保持されるようにしても、アンチロック制御が開
始された時点の液圧より低い液圧に保持されるようにし
てもよい。
【0053】運転者によってブレーキペダル26が操作
されていない状態でブレーキを作動させる必要が生じた
場合、例えば、トラクション制御、ビークルスタビリテ
ィ制御等が行われる場合等には、動力式液圧源12の作
動によってブレーキ191,195が作動させられる。
アクセルペダルの操作状態において、駆動輪としての前
輪194の駆動スリップが過大になった場合にはトラク
ション制御が行われる。動力式液圧源12の作動によっ
て加圧室28、30に液圧が発生させられ、ブレーキが
作動させられるのであるが、駆動輪のブレーキシリンダ
196の液圧は、駆動輪の駆動スリップ状態が適正状態
に保たれるように、個別液圧制御弁装置202の制御に
より制御される。後輪側の保持弁210が閉じられた状
態で、前輪側の保持弁210,減圧弁214が開閉制御
されるのである。トラクション制御は、車両の走行速度
が設定値以上になった場合、駆動スリップが設定値以下
になった場合等に終了させられる。
【0054】ブレーキペダル26の非操作状態において
ブレーキを作動させる場合、すなわち、自動ブレーキを
作動させる場合には、図6に示すように、まず、第1状
態にされる。電磁制御弁116、120が開状態とさ
れ、電磁制御弁118が閉状態にされるのであり、動力
式液圧源12の作動液が後方液圧室54に供給され、加
圧ピストン22が前進させられる。加圧ピストン22の
前進に伴ってポート86とポート82とが遮断される
と、第2状態に切り換えられる。電磁制御弁120が閉
状態とされて、電磁制御弁118が開状態にされるので
あり、加圧室28の液圧は、動力式液圧源12により直
接制御される。加圧室28の液圧の増加により加圧ピス
トン24が前進させられ、加圧室30に液圧が発生させ
られる。トラクション制御中においては、加圧室28の
液圧が予め定められた設定圧になるように、すなわち、
マスタ圧センサ324による出力液圧が設定圧になるよ
うに、リニア液圧制御弁102への供給電流が制御され
る。
【0055】本実施形態においては、後方液圧が予め定
められた設定圧(例えば、0.5MPa)になると、第
1状態から第2状態に切り換えられるのであるが、この
設定圧は、後方液圧室54の液圧に応じて加圧ピストン
22に加えられる力によって加圧ピストン22が前進さ
せられ、加圧室28をリザーバ92から遮断する位置に
至ったと推定し得る高さである。加圧ピストン22の前
進によって加圧室28からリザーバ92が遮断されたと
推定された後に、動力式液圧源12の作動液が加圧室2
8に供給される状態に切り換えられるのである。また、
後方液圧が設定圧に達する以前においては、リニア液圧
制御弁102への供給電流は最大とされる。それによっ
て、加圧ピストン22が速やかに前進させられ、早期に
加圧室28に液圧を発生させることができ、自動ブレー
キを作動させることができる。さらに、個別液圧制御弁
装置200,202の制御は、第2状態において行われ
る。第1状態においてはブレーキシリンダに液圧が発生
させられることがないからである。
【0056】車両のスピン傾向、ドリフトアウト傾向が
設定レベル以上になると、ビークルスタビリティ制御が
行われる。スピン抑制制御、ドリフトアウト抑制制御が
行われるのであり、スピン状態あるいはドリフトアウト
状態を抑制し得るヨーモーメントが生じるように、前後
あるいは左右の制動力差が制御される。トラクション制
御が行われる場合と同様に、動力式液圧源12の制御に
より加圧室28の液圧が制御された状態で、各車輪の液
圧が個別液圧制御弁装置200,202の制御により制
御される。ビークルスタビリティ制御は、スピン傾向、
ドリフトアウト傾向が設定レベル以下になると終了させ
られる。
【0057】また、車両が停止状態にあり、パーキング
スイッチ332がOFF状態にあり、かつ、アクセルス
イッチ334がOFF状態にある場合に、自動ブレーキ
が作動させられる。車両の停止状態において自動ブレー
キが作動させられるようにすれば、運転者はブレーキペ
ダル26を操作する必要がなくなる。坂道等に停止する
場合においても、確実に車両を停止状態に保持すること
ができる。この場合には、例えば、車両が30%の坂道
において停止可能な液圧が発生させられるように、自動
ブレーキを作動させることができる。また、アクセルス
イッチ334がON状態に切り換えられた場合に停止時
保持制御が終了させられる。
【0058】このように、自動ブレーキは予め定められ
た自動ブレーキ開始条件が満たされると開始され、予め
定められた終了条件が満たされると終了させられるので
あるが、本実施形態においては、自動ブレーキ作動中
に、ブレーキペダル26が踏み込まれると、通常ブレー
キ制御に切り換えられる。運転者によるブレーキペダル
26の操作力に応じた液圧が発生させられるのであり、
それによって、違和感を軽減することができ、安全性を
向上させることができる。自動ブレーキ作動中には、自
動ブレーキフラグがセットされる。
【0059】本実施形態においては、前述のように、連
携機構37が引込みタイプのものであるため、自動ブレ
ーキ作動中においても、ブレーキペダル26が運転者に
よって操作された状態と同様に、ブレーキスイッチ40
はON状態にある。したがって、自動ブレーキ作動中に
ブレーキスイッチ40の状態に基づいてブレーキペダル
26が操作状態にあるか非操作状態にあるかを検出する
ことはできない。そこで、本実施形態においては、後方
液圧室54の液圧に基づいて検出される。
【0060】第2状態においては、前述のように、加圧
室28の液圧Pmcと後方液圧室54の液圧Prsとの間に
は、式 Pmc=Prs・(Am−Ai)/Am で、表される関係が成立する。また、加圧室28の液圧
Pmcは一定の高さに制御されるため、ブレーキペダル2
6に操作力Fが加えられると、その分、後方液圧Prsが
低くなる。したがって、後方液圧Prsが低下した場合に
は、ブレーキペダル26の非操作状態から操作状態に切
りかわったとすることができる。また、後方液圧Prsが
設定値以下の場合には、加圧ピストン22が踏み込まれ
た状態にあるとすることができる。ブレーキペダル26
が踏み込まれることによって加圧ピストン22が前進さ
せられた場合には、加圧室28から流出させられた作動
液はリニア液圧制御弁102を経てリザーバ92に戻さ
れる。
【0061】設定値は、その自動ブレーキ作動時の加圧
室の液圧(制御値)に基づいて決まる後方液圧の本来の
値より設定量以上小さい値とすることができる。加圧室
28の液圧の値は、トラクション制御、ビークルスタビ
リティ制御、停止時車両保持制御等の制御毎で決まるた
め、制御の種類と対応して、予め決定しておくことがで
きる。なお、設定値は後方液圧の本来の値としたり、本
来の値に設定比率を乗じた値としたりすることができ
る。
【0062】図9のフローチャートで表されるブレーキ
踏込み検出プログラムは予め定められた設定時間毎に実
行される。ステップ1(以下、S1と略称する。他のス
テップについても同様とする)において、自動ブレーキ
作動中であるか否かが判定され、自動ブレーキ作動中で
ある場合には、S2において、後方液圧Prsが検出され
る。S3において、後方液圧Prsが設定圧以下であるか
否かが判定される。設定圧以下である場合には、S4に
おいて、踏込みフラグがセットされ、設定圧より高い場
合には、S5においてリセットされる。
【0063】図7に示すように、引込みタイプの連携機
構37においては、ブレーキスイッチ40はON状態に
あり、かつ、踏込みフラグがセット状態にある場合に
は、自動ブレーキ作動中に運転者によってブレーキペダ
ル26が操作された状態にあるとされる。また、ブレー
キスイッチ40がON状態にあり、踏込みフラグがリセ
ット状態にある場合において、自動ブレーキフラグがセ
ット状態にある場合には、自動ブレーキ作動中で、自動
ブレーキフラグがリセット状態にある場合には運転者に
よってブレーキペダル26が操作された状態にあること
がわかる。さらに、ブレーキスイッチ40がOFF状態
にあり、かつ、踏込みフラグがリセット状態にある場合
には、ブレーキが非作動状態にあることがわかる。
【0064】このブレーキ装置におけるブレーキ液圧制
御は、図8のフローチャートで表されるブレーキ液圧制
御プログラムの実行に従って行われる。S11におい
て、ブレーキスイッチ40がON状態にあるか否かが判
定され、S12において、踏込みフラグがセット状態に
あるか否かが判定される。ブレーキスイッチ40がON
状態にあり、踏込みフラグがセット状態にある場合には
S13において通常ブレーキ制御が行われる。ブレーキ
スイッチ40がON状態にあり、踏込みフラグがリセッ
ト状態にある場合には、S14において、自動ブレーキ
フラグがセット状態にあるか否かが判定され、自動ブレ
ーキフラグがセット状態にある場合には、S15におい
て自動ブレーキ制御が行われ、リセット状態にある場合
には、S13において通常ブレーキ制御が行われる。ま
た、ブレーキスイッチ40がOFF状態にある場合に
は、S16において、自動ブレーキ開始条件が満たされ
るか否かが判定される。自動ブレーキ開始条件が満たさ
れる場合には、S17において、自動ブレーキフラグが
セットされる。前述のように、通常ブレーキ制御は図5
のマップで表されるテーブルに従って行われ、自動ブレ
ーキ制御は図6のマップで表されるテーブルに従って行
われる。なお、自動ブレーキフラグは、S15の自動ブ
レーキ制御において終了条件が満たされた場合にリセッ
トされる。
【0065】以上のように、本実施形態においては、ブ
レーキペダル26が踏み込まれたか否かが、後方液圧室
54の液圧に基づいて検出されるため、自動ブレーキ作
動中にブレーキペダル26が操作されたことを確実に早
期に検出することができる、また、ブレーキペダル26
が操作されたことが検出された場合には、通常ブレーキ
制御に切り換えられるため、運転者によるブレーキ操作
に応じた制動力を発生させることができ、運転者による
ブレーキ操作フィーリングの低下を抑制することができ
る。さらに、自動ブレーキ作動中はリレー338の切り
換えにより、ブレーキランプ336がブレーキスイッチ
40の状態の変化に伴って点滅させられるのではなく、
踏込みフラグの状態の変化に伴って点滅させられるよう
にすることができる。しかし、後続車にブレーキ作動状
態を知らせるためには、自動ブレーキ作動中にブレーキ
ランプ336が点灯していても差し支えない。
【0066】なお、上記各実施形態においては、後方液
圧が設定値以下の場合にブレーキペダル26が操作状態
にあるとされたが、低下量が設定量以下である場合に操
作状態に変わったとすることができる。また、後方液圧
の低下量に基づけば、運転者によって加えられたブレー
キ操作力の大きさを検出することも可能である。低下量
が大きいほど、操作力が大きいことがわかる。
【0067】さらに、加圧室28の液圧と後方液圧室5
4の液圧との両方に基づいて、ブレーキペダル26の操
作状態を検出することができる、加圧室28の液圧と後
方液圧室54の液圧との間には、前述のように予め定め
られた関係が成立するため、加圧室28の液圧の検出値
と関係とに基づいて決まる後方液圧より実際の後方液圧
の方が低い場合には、加圧ピストン22に操作力が加え
られた状態にあるとすることができるのである。このよ
うにすれば、自動ブレーキ制御において、加圧室28の
液圧が変化させられる場合にも適用することができる。
例えば、前方物体との接近状態の程度に応じた高さの液
圧を発生させる緊急時ブレーキ制御、前方車両との間の
車間距離(相対位置関係)に応じた高さの液圧を発生さ
せる追従走行時ブレーキ制御中等にブレーキペダル26
の操作状態を検出することができるのである。前方物体
との接近状態、車間距離等はレーザレーダ装置等によっ
て検出することができる。
【0068】また、リニア液圧制御弁102への供給電
流等と後方液圧とに基づいて、ブレーキペダル26の操
作状態を検出することもできる。加圧室28の液圧はリ
ニア液圧制御弁102への供給電流に対応する高さに制
御されるのである。この場合には加圧室28の液圧を検
出する必要がなくなる。
【0069】当該ブレーキ装置に異常が検出された場合
には、ポンプ装置100が非作動状態とされ、リニア液
圧制御弁102が閉状態にされ、各電磁制御弁(NC弁
A)116、電磁制御弁(NO弁B)118、電磁制御
弁(NO弁C)120が図示する原位置に戻される。異
常は、例えば、後述するイニシャルチェックにおいて検
出される。また、断線等の電気系統の異常に起因して当
該ブレーキ装置に電流を供給できなくなった場合にも、
上述の場合と同様の状態にされる。電磁制御弁116が
閉状態にされるため、加圧室28から中間環状室側への
作動液の流出が阻止される。また、リニア液圧制御弁1
02が閉状態にされるため、中間環状室56,後方液圧
室54側からリザーバ92への作動液の流出が阻止され
る。さらに、電磁制御弁118,120が開状態にされ
るため、中間環状室56と後方液圧室54とが連通させ
られる。後方液圧室54から中間環状室56への作動液
の流れが電磁制御弁120,118および逆止弁140
を経て許容され、逆向きの大流量の流れがリリーフ弁1
42および電磁制御弁118,120を経て許容され、
小流量の流れがオリフィス144および電磁制御弁11
8,120を経て許容されるのである。
【0070】この状態においてブレーキペダル26が操
作されると、中間環状室56,加圧室28に液圧が発生
させられる。中間環状室56の液圧がリリーフ弁142
のリリーフ圧より低い間は加圧室28の液圧より高くな
るため、中間環状室56の作動液は逆止弁62を経て加
圧室28に供給される。また、後方液圧室54には、加
圧ピストン22の前進に伴ってリザーバ92から作動液
が供給されるため、後方液圧室54の液圧は大気圧にな
る。その結果、加圧室28の液圧Pmcは、式 Pmc=F/Am で表される高さになる。
【0071】ブレーキペダル26に加えられる操作力の
増加に伴って中間環状室56の液圧が増加し、リリーフ
圧以上になると、中間環状室56の作動液はリリーフ弁
142,開状態にある電磁制御弁118または逆止弁1
36,開状態にある電磁制御弁120または逆止弁12
4を経て後方液圧室54に供給される。また、定常状態
においては、中間環状室56と方向液圧室54との間に
はオリフィス144が設けられているため、中間環状室
56の液圧と後方液圧室54の液圧とは同じ高さにな
る。この場合には、中間環状室56の液圧も後方液圧室
54の液圧も大気圧になる。その結果、加圧室28の液
圧Pmcは、式 Pmc=F/Ao で表される高さになる。
【0072】このように、本実施形態においては、動力
式液圧源12の液圧によって加圧ピストン22に助勢力
が加えられなくなる異常が生じても、加圧室28に踏力
に応じた液圧を発生させることができる。また、前輪
側、後輪側の2系統において液圧を発生させることがで
きる。一方の系統が失陥することはないのである。さら
に、加圧面積が操作初期時には面積Amであり、ファー
ストフィルが終了すると面積Aoとなる。操作初期時
に、ブレーキシリンダに多量の作動液を供給することが
できるため、ファーストフィルを速やかに終了させるこ
とができ、踏力が大きくなった場合には小径化を図るこ
とができるため(Am>Ao)、加圧室28に踏力が同じ
である場合により高い液圧を発生させることができる。
【0073】異常時に小径加圧される場合には、加圧ピ
ストン22が前進端位置まで移動させられるおそれがあ
る。ブレーキシリンダに供給される作動液量が同じ場合
には大径加圧が行われる場合より小径加圧が行われる方
が加圧ピストン22のストロークが大きくなる。そのた
め、加圧ピストン22が前進端位置まで移動し、加圧室
28の液圧が低下するおそれがある。それに対して、本
実施形態においては、2つの加圧室28,30の間に液
圧調節装置160が設けられているため、加圧ピストン
22がボトミングを起こしても、加圧室28の液圧が加
圧室30の液圧より低くなることを回避することがで
き、加圧室28に接続されたブレーキシリンダ192の
液圧が低下することを回避することができる。
【0074】また、本実施形態によれば、電磁制御弁1
18に閉故障が生じた場合であっても、逆止弁136に
よって中間環状室56から後方液圧室54への作動液の
流れが許容される。そのため、中間環状室56の液圧が
過大になって、加圧ピストン22の前進が不能になるこ
とを良好に回避することができる。また、フィルアップ
効果を得ることができる。同様に、電磁制御弁120に
閉故障が生じても、逆止弁124によって中間環状室5
6からの作動液の流れが許容される。
【0075】さらに、電磁制御弁116に開故障が生じ
た場合、あるいは、逆止弁62に開故障が生じた場合に
も有効である。この場合には、加圧室28から中間環状
室側に作動液が流出するが、中間環状室56と後方液圧
室54とが連通させられ、かつ、中間環状室56,後方
液圧室54からリザーバ92への作動液の流出が阻止さ
れた状態にある。その結果、加圧室28,中間環状室5
6,後方液圧室54の液圧が同じになり、 Pmc=Pf=Prs 加圧室28の液圧Pmcは、式 Pmc=F/Ai で表される高さになる。この場合においても、加圧室2
8,30に、踏力に応じた液圧を発生させることができ
るのであり、前輪側および後輪側の2系統のブレーキを
作動させることができる。加圧面積はAiである。
【0076】本実施形態においては、出力側小径部44
の断面積Aoが入力側小径部32の断面積Aiより大きく
されている(Ao>Ai)。その結果、加圧面積がAoの
場合より、さらに小径化を図ることができ、踏力が同じ
である場合の加圧室28の液圧を高くすることができ
る。また、中間環状室56、後方液圧室54、加圧室2
8に同じ高さの液圧が発生させられる場合には、シール
部材46,47,52が高圧シール部材となる。正常な
場合には、シール部材46,52のみが高圧シール部材
なのであり、異常時には高圧シール部材の個数が増え
る。高圧シール部材の個数が多くなると摩擦抵抗が増加
して加圧ピストン22の機械効率が低下する。それに対
して、本実施形態においては、加圧室28の液圧が加圧
面積Aiとなるため、その分、必要な操作力の増加を抑
制することができる。なお、通常ブレーキ制御中におい
て、電磁制御弁116が開状態、電磁制御弁120が開
状態にある場合に、電磁制御弁118に開故障が生じた
場合にも同様の効果を得ることができる。換言すれば、
動力式液圧源12が正常であり、制御圧室54や中間環
状室56に適正な液圧を発生させることができる場合で
あって、電磁制御弁118に開故障が生じた場合にも同
様な効果を得ることができるのである。
【0077】さらに、逆止弁106に開故障が検出され
た場合、リニア液圧制御弁102に開故障が検出された
場合にも有効である。この場合には、後方液圧室54、
中間環状室56からリザーバ92への作動液の流出が許
容されるため、液圧を発生させることができなくなり、
大気圧になるが、 Pf=Prs=0 この場合においても、電磁制御弁116が閉状態にある
ため、加圧室28から液通路152を経て作動液が流出
させられることが回避され、加圧室28には式 Pmc=F/Ao で表される高さの液圧を発生させることができる。加圧
室28には、踏力Fに応じた液圧が発生させられるので
あり、2系統のブレーキを作動させることができる。
【0078】シール部材52、47等の不良にも、同様
の効果を得ることができる。中間環状室56と後方液圧
室54とは連通状態にあるため、シール部材52,47
の少なくとも一方に不良が生ずれば、両方の液圧が大気
圧になる。この場合においても、電磁制御弁116が閉
状態にあるため、加圧室28には踏力に応じた液圧を発
生させることができる。また、上述のいずれの場合にお
いても、小径加圧が行われるため、大径加圧が行われる
場合に比較して、踏力が同じ場合の加圧室28の液圧を
高くすることができる。
【0079】次に、イニシャルチェックについて説明す
る。イニシャルチェックにおいては、動力式液圧源12
の異常(ポンプ装置100の異常、リニア液圧制御弁1
02の異常),各電磁制御弁116,118,120,
逆止弁62の異常が点検される。イニシャルチェック
は、イニシャルチェックプログラムに従って行われる。
予め定められたパターンに従って、ポンプモータ10
4、リニア液圧制御弁102、各電磁制御弁116,1
18,120が作動させられ、それぞれの状態のマスタ
圧、後方液圧に基づいてチェックが行われる。また、イ
ニシャルチェック中においては保持弁210が閉状態に
される。イニシャルチェック中にブレーキ191、19
5が作動させられることは望ましくないからである。
【0080】イニシャルチェックが図11のパターン従
って行われる場合について説明する。これは、通常ブレ
ーキ作動を想定して行われるチェックである。時点T0
において、電磁制御弁116,118,120がブレー
キペダル26が操作された場合の状態と同様な状態にさ
れるとともに、ポンプ103が作動させられる。また、
リニア液圧制御弁102のコイル108への供給電流
が、後方液圧Prsが予め定められたパターンに従って変
化するように制御される。予め定められた設定時間Ts1
が経過すると、ポンプモータ104の作動が停止させら
れ、設定時間Ts2が経過すると、電磁制御弁116が閉
状態に切り換えられ、電磁制御弁118が開状態に、電
磁制御弁120が閉状態に切り換えられる。その後、設
定時間Ts3が経過すると、リニア液圧制御弁102への
供給電流が0にされ、設定時間Ts4が経過すると、電磁
制御弁120が開状態に戻される。イニシャルチェック
が終了し、後方液圧室54,中間環状室56,加圧室2
8,30の作動液がリザーバ92に戻されたと推定され
る時間が経過した後に、保持弁210が開状態に戻され
る。
【0081】ブレーキ装置が正常な場合には、マスタ圧
Pmc、後方液圧Prsは、実線に沿って変化する。動力式
液圧源12の作動によって後方液圧Prsが増圧させられ
る。加圧ピストン22が前進させられ、それに伴ってマ
スタ圧Pmcも増圧させられる。マスタ圧Pmc はリター
ンスプリング93,94のセット荷重、加圧ピストン2
2,24のハウジング20に対する摺動抵抗等に起因し
て、後方液圧Prsに遅れて増加するが、マスタ圧Pmcの
変化量に比較して、遅れの程度は非常に小さいため、こ
の図においては表されていない。また、後方液圧室5
4,中間環状室56の作動液は、加圧室28に戻された
後にリザーバ92に戻されるため、マスタ圧Pmcは後方
液圧Prsに遅れて低下する。この遅れもこの図において
は表されていない。
【0082】設定時間Ts1経過後にポンプモータ104
の作動が停止させられるが、その後、本実施形態におい
ては、後方液圧rsが一定に保たれるようにリニア液圧制
御弁102が制御される(閉状態)。設定時間Ts2経過
後に、電磁制御弁116,120が閉状態にされれば、
後方液圧Prs、マスタ圧Pmcは保持される。また、設定
時間Ts3が経過するまでの間、電磁制御弁118は開状
態にあるため、中間環状室56の液圧がリニア液圧制御
弁102の制御によって制御される。ここでは、減圧さ
せられることになる。設定時間Ts4の経過後に、電磁制
御弁120が開状態にされると、後方液圧室54の作動
液が中間環状室56、逆止弁62,加圧室28を経てリ
ザーバ92に流出させられ、液圧が低下させられる。
【0083】時点T1のマスタ圧Pm1が設定圧より低い
場合には、動力式液圧源12の異常であると判定され
る。高圧の作動液が後方液圧室54に供給されないた
め、マスタ圧が十分に高くならないのである。例えば、
ポンプ103の作動異常、ポンプモータ104の作動異
常、リニア液圧制御弁102の開故障等が該当する。こ
の異常は、後方液圧Prsに基づいて直接検出することも
可能である。また、マスタ圧Pm1と後方液圧Pr1との比
率(Pm1/Pr1)が設定値以上の場合、すなわち、マス
タ圧Pm1が後方液圧Pr1に対して過大である場合には、
電磁制御弁118の開故障であると判定される。閉状態
にあるはずの電磁制御弁118が開状態にあり、動力式
液圧源12から吐出された作動液が電磁制御弁118、
逆止弁140、電磁制御弁116を経て加圧室28に供
給されると考えられる。
【0084】時点T2、すなわち、ポンプモータ104
の作動が停止させられてから予め定められた設定時間T
saが経過した時点に、後方液圧Pr2が設定圧以下の場
合、または、後方液圧Pr2が設定勾配以上で減圧した場
合には、ポンプ103の吐出側に設けられた逆止弁10
6の開故障であると判定される。リニア液圧制御弁10
2はほぼ閉状態あるため、後方液圧室54の作動液が開
状態にある電磁制御弁120,逆止弁106,非作動状
態にあるギヤポンプ103を経てリザーバ92に戻され
ると考えられる。
【0085】時点T3、すなわち、リニア液圧制御弁1
02が閉状態に切り換えられてから設定時間Tsb経過し
た時点の後方液圧Pr3が設定圧以下、あるいはマスタ圧
Pm3が設定圧以下である場合には、電磁制御弁116の
開故障あるいは電磁制御弁120の開故障であると判定
される。中間環状室56の液圧が低くされているため、
電磁制御弁116や120が開状態にある場合には、加
圧室28や後方液圧室54から中間環状室56に作動液
が流出させられると考えられる。以上のように、図11
のパターンに従ってイニシャルチェックが行われれば、
動力式液圧源12、電磁制御弁116,118,120
の異常をチェックすることができる。なお、保持弁21
0はイニシャルチェックに要する時間に対して長めに閉
状態に保たれるため、イニシャルチェックに起因してブ
レーキ191,195が作動させられることを確実に阻
止することができる。
【0086】イニシャルチェックは、図12に示すパタ
ーンに従って行うこともできる。このチェックは、簡略
的に行われるチェックであるが、この場合においても、
時点T1´におけるマスタ圧Pm1、後方液圧Pr1、時点
T2´における後方液圧Pr2に基づいて動力式液圧源1
2の異常を検出することができる。
【0087】また、自動ブレーキ(トラクション制御、
ビークルスタビリティ制御等運転者がブレーキペダル2
6を操作していない状態でブレーキを作動させる場合)
を想定したイニシャルチェックが図13のパターンに従
って行われる。まず、動力式液圧源12が作動させら
れ、電磁制御弁116,118,120が上述の場合と
同様の状態に切り換えられる。その後、後方液圧Prsが
設定圧(加圧ピストン22の前進によってポート86と
ポート82とが遮断されたと推定し得る高さ)以上にな
ると、電磁制御弁118が開状態、電磁制御弁120が
閉状態に切り換えられる。加圧室28の液圧はリニア液
圧制御弁102の制御により直接制御され、後方液圧室
54の液圧はそれに応じて変化する。
【0088】後方液圧Prsが設定圧以上になった時点T
0から設定時間Ts5が経過すると、電磁制御弁116
、118、120が図示する原位置に戻され、設定時
間Ts6が経過すると、動力式液圧源12が非作動状態に
される。ブレーキ装置が正常な場合には、マスタ圧Pm
c、後方液圧Prsは実線に沿って変化するはずである。
この図においては、マスタ圧Pmcが後方液圧Prsの変化
に遅れて増圧、減圧する状態が表されている。電磁制御
弁118,120を切り換える以前にマスタ圧が僅かに
増加するのであり、加圧室28がリザーバ92から遮断
された状態にあることがわかる。
【0089】時点T4(時点T0から設定時間Tsc経過し
た時点)におけるマスタ圧Pm1が設定圧以下である場合
には、上述の場合と同様に、ポンプ装置100の作動異
常、リニア液圧制御弁102の開故障であると判定さ
れ、設定圧以上である場合には、リニア液圧制御弁10
2の閉故障であると判定される。また、動力式液圧源1
2が非作動状態に切り換えられてから設定時間Tsd経過
した時点T5における後方液圧Pr1が設定圧以上である
場合には、電磁制御弁120の閉故障であると判定され
る。後方液圧室54の液圧の方が加圧室28の液圧より
高いのが普通であるため、電磁制御弁120が開状態に
あれば、動力式液圧源12の作動が停止させられた後に
後方液圧室54から作動液が加圧室側へ流出させられる
はずである。
【0090】さらに、イニシャルチェックは図14のパ
ターンに従って行うこともできる。図13のパターンと
の比較において、電磁制御弁116が開状態にある場合
においてポンプモータ104が停止させられること、リ
ニア液圧制御弁102の制御がポンプモータ104が停
止してから設定時間Tseの間続けられることとが異な
る。この場合には、電磁開閉弁116、118が開状態
にあるため、リニア液圧制御弁102の減圧制御に伴っ
て、加圧室28の液圧、中間環状室56の液圧が減圧さ
れる。したがって、時点T5´におけるマスタ圧Pmcが
設定圧以上である場合には、電磁制御弁116の閉故障
であると判定される。
【0091】次に、連携機構が残置タイプのものである
場合について説明する。本実施形態においては、図15
に示すように、連携機構400において、加圧ピストン
22のピストンロッド402がブレーキペダル26にク
レビス404を介して連結されたプッシュロッド406
に対して相対移動可能に係合させられている。加圧ピス
トン22はブッシュロッド406の前進に伴って前進さ
せられるが、プッシュロッド406に対して相対移動可
能なものであり、後方液圧室54の液圧に基づく作用力
によって、プッシュロッド406から離間して前進可能
なものである。したがって、加圧ピストン22が前進さ
せられても、それに伴って、ブレーキペダル26がピン
408の回りに回動することはなく、ブレーキスイッチ
40がON状態に切り換わることはない。
【0092】残置タイプの連携機構400においては、
自動ブレーキ作動中にブレーキペダル26が操作されれ
ば、ブレーキスイッチ40はON状態に切り換えられる
はずである。しかし、トラクション制御においては、駆
動輪である前輪側のブレーキシリンダ196の液圧は制
御されるが、非駆動輪である後輪側のブレーキシリンダ
192へは作動液の供給が阻止される。したがって、後
輪側の個別液圧制御弁装置200においては保持弁21
0が遮断状態にされる。この状態において、前輪側のブ
レーキシリンダ196の液圧に対して保持制御あるいは
減圧制御が行われると、前輪側の個別液圧制御弁装置2
02においても保持弁210が遮断状態にされる。その
結果、加圧ピストン22を前進させるのに大きな力が必
要となり、運転者によって加えられる操作力の大きさに
よっては、ブレーキスイッチ40がON状態に切りかわ
らないことがある。
【0093】そこで、残置タイプの連携機構400を備
えたブレーキ装置においても、上記実施形態における場
合と同様に、自動ブレーキ作動中にブレーキペダル26
が踏み込まれた状態にあるか否かが判定されるのであ
る。図16、17に示すように、踏込みフラグがセット
状態にある場合には、S31の判定がYESとなり、ブ
レーキスイッチ40がON状態にあってもなくても、自
動ブレーキ中に運転者によってブレーキ操作が行われた
とされて、S33において、通常ブレーキ制御が行われ
る。ブレーキスイッチ40がON状態にあり、かつ、踏
込みフラグがリセット状態にある場合には、S32にお
ける判定がYESとなり、通常ブレーキ作動状態である
とされて、S33において通常ブレーキ制御が行われ
る。また、踏込みフラグがリセット状態にあり、かつ、
ブレーキスイッチ40がOFF状態にある場合において
は、自動ブレーキフラグがセット状態にあれば、自動ブ
レーキ制御状態にある(S35)。自動ブレーキフラグ
がリセット状態にあれば、自動ブレーキ開始条件が満た
されるか否かが判定され(S36)、満たされた場合に
は、自動ブレーキフラグがセットされる(S37)が、
満たされない場合には、ブレーキは非作動状態のままで
ある。
【0094】このように、本実施形態においては、連携
機構が残置タイプのものであっても、自動ブレーキ作動
中にブレーキペダル26が操作状態に切り換えられたこ
とを確実に早期に検出することができる。なお、ブレー
キスイッチは、プッシュロッドの前進によってON状態
とOFF状態とに切り換えられるものとすることもでき
る。
【0095】その他、本発明は、〔発明が解決しようと
する課題、課題解決手段および効果〕に記載の態様を始
めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を
施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるブレーキ装置を表す
回路図である。
【図2】上記ブレーキ装置に含まれるマスタシリンダの
断面図である。
【図3】上記ブレーキ装置に含まれるリニア液圧制御弁
を表す概念図である。
【図4】上記ブレーキ装置に含まれるブレーキECUの
構造を概念的に表す図である。
【図5】上記ブレーキECUのROMに格納された通常
時ブレーキ液圧制御テーブルを表すマップである。
【図6】上記ブレーキECUのROMに格納された自動
ブレーキ作動時液圧制御テーブルを表すマップである。
【図7】上記ブレーキ装置におけるブレーキ制御状態の
判定結果を概念的に示す図である。
【図8】上記ブレーキECUのROMに格納されたブレ
ーキ液圧制御プログラムを表すフローチャートである。
【図9】上記ブレーキECUのROMに格納された踏込
検出プログラムを表すフローチャートである。
【図10】上記ブレーキ装置における自動ブレーキ作動
中の後方液圧室の液圧、加圧室の液圧およびブレーキ操
作力の関係を示す図である。
【図11】上記ブレーキECUのROMに格納されたイ
ニシャルチェックプログラムの実行に従ってブレーキ装
置が制御された場合の各制御弁等の作動状態を表す図で
ある。
【図12】上記ブレーキECUのROMに格納されたイ
ニシャルチェックプログラムの実行に従ってブレーキ装
置が制御された場合の各制御弁等の作動状態を表す図で
ある。
【図13】上記ブレーキECUのROMに格納されたイ
ニシャルチェックプログラムの実行に従ってブレーキ装
置が制御された場合の各制御弁等の作動状態を表す図で
ある。
【図14】上記ブレーキECUのROMに格納されたイ
ニシャルチェックプログラムの実行に従ってブレーキ装
置が制御された場合の各制御弁等の作動状態を表す図で
ある。
【図15】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置
を表す回路図である。
【図16】上記ブレーキ装置におけるブレーキ作動状態
の判定結果を概念的に示す図である。
【図17】上記ブレーキECUのROMに格納されたブ
レーキ液圧制御プログラムを表すフローチャートであ
る。
【符号の説明】
10マスタシリンダ 12ポンプ装置 22,24加圧ピストン 26ブレーキペダル 28加圧室 37,400 連携機構 54後方液圧室 120電磁制御弁 300ブレーキECU 324マスタ圧センサ 326後方液圧センサ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】動力により液圧を発生し、出力液圧が制御
    可能な動力式液圧源と、 ブレーキ操作部材に連携させられ、ハウジングに液密か
    つ摺動可能に嵌合された加圧ピストンを含み、その加圧
    ピストンの前方の加圧室と後方の液圧室とに前記動力式
    液圧源が接続されたマスタシリンダと、 そのマスタシリンダと前記動力式液圧源との間に設けら
    れ、動力式液圧源の作動液が加圧室に供給されないで後
    方の液圧室に供給される第1状態と、動力式液圧源の作
    動液が加圧室へ供給されるとともに後方液圧室からの作
    動液の流出が阻止される第2状態とに切り換え可能な切
    換装置と、 その切換装置の第2状態において、前記動力式液圧源
    を、運転者による前記ブレーキ操作部材の操作状態に関
    係なく、予め定められた条件に従って制御することによ
    って、前記加圧室の液圧を制御する液圧制御装置と、 前記切換装置より後方液圧室側の液圧を検出する後方液
    圧検出装置と、 前記液圧制御装置による前記加圧室の液圧の制御状態に
    おける前記後方液圧検出装置による検出液圧に基づいて
    前記ブレーキ操作部材の操作状態を検出する操作状態検
    出装置とを含むことを特徴とするブレーキ装置。
  2. 【請求項2】前記操作状態検出装置が、前記液圧制御装
    置による前記加圧室の液圧の制御状態において、前記後
    方液圧検出装置による検出液圧が低下した場合に前記ブ
    レーキ操作部材の非操作状態から操作状態に切り換わっ
    たとする請求項1に記載のブレーキ装置。
  3. 【請求項3】前記操作状態検出装置が、前記液圧制御装
    置による前記加圧室の液圧の制御状態における前記後方
    液圧検出装置による検出液圧と前記液圧制御装置の制御
    に関連する情報である制御関連情報とに基づいて前記ブ
    レーキ操作部材の操作状態を検出する請求項1に記載の
    ブレーキ装置。
  4. 【請求項4】前記切換装置より加圧室側の液圧を検出す
    る前方液圧検出装置を含み、 前記操作状態検出装置が、前記前方液圧検出装置による
    検出液圧を前記制御関連情報として、前記操作状態を検
    出する前方液圧依拠操作状態検出部を含む請求項3に記
    載のブレーキ装置。
  5. 【請求項5】前記操作状態検出装置が、前記制御装置制
    御状態を表す情報を前記制御関連情報として、前記操作
    状態を検出する制御状態依拠操作状態検出部を含む請求
    項3または4に記載のブレーキ装置。
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