JP2002256381A - 快削性工具鋼 - Google Patents

快削性工具鋼

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JP2002256381A
JP2002256381A JP2001060809A JP2001060809A JP2002256381A JP 2002256381 A JP2002256381 A JP 2002256381A JP 2001060809 A JP2001060809 A JP 2001060809A JP 2001060809 A JP2001060809 A JP 2001060809A JP 2002256381 A JP2002256381 A JP 2002256381A
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cutting tool
tool steel
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JP2001060809A
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English (en)
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Kiyohito Ishida
清仁 石田
Masanari Oikawa
勝成 及川
Toshimitsu Fujii
利光 藤井
Yukinori Matsuda
幸紀 松田
Kozo Ozaki
公造 尾崎
Seiji Kurata
征児 倉田
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Daido Steel Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた被削性を有するとともに、素材の鍛伸
方向に関する機械的特性、特に靭性に異方性が生じにく
い快削性工具鋼を提供する。 【解決手段】 Tiの含有率をWTi(質量%)、Zrの
含有率をWZr(質量%)として、WTi+0.52WZrが
0.03〜3.5質量%となるように、Ti及び/又は
Zrを含有する。さらに、Sの含有率をWS(質量
%)、Seの含有率をWSe(質量%)、Teの含有率を
WTe(質量%)として、WS+0.4WSe+0.25WT
eが0.01〜1.0質量%となり、かつ、(WTi+
0.52WZr)/(WS+0.4WSe+0.25WTe)
が1〜4、となるようにS、Se及びTeの少なくとも
いずれかを含有する。さらに、Ti及び/又はZrを金
属元素成分の主成分とし、該金属元素成分との結合成分
として、Cを必須とし、S、Se及びTeの少なくとも
いずれかを含有する快削性付与化合物相が、断面におけ
る面積率にて0.1〜10%の範囲にて組織中に分散形
成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は工具や金型の素材
として使用される工具鋼、特に快削性を有する工具鋼に
関する。
【0002】
【従来の技術】金型や工具類は、焼なまし状態の鋼材を
用い、荒加工、焼入焼戻しによる所定の硬さへの調整
後、仕上げ加工されることが多い。また、納期短縮を目
的に、所定の硬さに焼入焼戻しを行った材料を用い、直
接、金型や工具類に最終加工する場合もある。これは、
最終的に金具や工具を製造するための、素材供給者と金
型あるいは工具の製造者であるユーザーとの工程分担に
関係する。つまり、前者では素材供給者は焼きなまし状
態でユーザーへ鋼材を供給し、ユーザー側では粗加工、
焼入焼戻し処理及び仕上げ加工を負担する形となるが、
後者では焼入焼戻し材の形で鋼材が供給され、ユーザー
側では最終加工のみを分担する形となる。ただし、この
最終加工は、粗加工を経ていないので加工量自体はやや
大きくなる。
【0003】上記いずれの場合においても、加工は切削
加工や研削加工などの除去加工を主体として行なわれる
ことになるが、工具鋼の場合、被加工材に十分打ち勝つ
だけの硬度や靭性が要求されるので、その工具鋼自体の
加工を行なうことは、他の鉄系材料と比較すれば容易で
はない。特に、焼入焼戻しを行なった後では、加工は一
層困難となる。近年では、金型や工具の製造コスト低減
を図るために、金型の納期短縮や無人加工を拡大する必
要性が高まってきており、これに対応するため、既存の
材料よりも被削性を改善した材料の提供が望まれてい
た。
【0004】鉄系材料の被削性向上元素としては、S、
Pb、Se、Bi、Te、Caなどが知られている。こ
のうち、Pbは、環境保護に対する関心が地球規模で高
まりつつある近年では次第に敬遠されるようになってお
り、その使用を制限する機器や部品も多くなりつつあ
る。そこで、SやTeを被削性向上元素の主体として用
いた材料が、代替材料として考えられている。これら
は、主にMnSやMnTeなどの介在物を生成させ、介
在物に対する切屑形成時の応力集中効果や、工具と切屑
間の潤滑作用により被削性や研削性を高めるようにして
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、SやTeを被
削性向上元素として用いた鋼材では、MnSやMnTe
等の介在物は被削性を向上させはするものの、圧延や鍛
造時にその鍛伸方向に伸長しやすく、材料の機械的性質
に望まざる異方性を生じやすい欠点があった。具体的に
は、上記鍛伸方向と直角な向き(以下、T方向という)
の靭性が低下する結果、耐割れ性が損なわれる問題が生
ずる。また、工具や金型の使用形態に応じて、材料の使
用方向をいちいち考慮しなければならず、製造能率や、
材料活用の歩留まり低下などにもつながりやすい。
【0006】本発明の課題は、優れた被削性を有すると
ともに、素材の鍛伸方向に関する機械的特性、特に靭性
に異方性が生じにくい快削性工具鋼を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記の課
題を解決するために、本発明の快削性工具鋼は、0.1
〜2.5質量%のCを含有し、Tiの含有率をWTi(質
量%)、Zrの含有率をWZr(質量%)として、WTi+
0.52WZrが0.03〜3.5質量%となるように、
Ti及び/又はZrを含有し、Sの含有率をWS(質量
%)、Seの含有率をWSe(質量%)、Teの含有率を
WTe(質量%)として、WS+0.4WSe+0.25WT
eが0.01〜1.0質量%となり、かつ、(WTi+
0.52WZr)/(WS+0.4WSe+0.25WTe)
が1〜4、となるようにS、Se及びTeの少なくとも
いずれかを含有し、かつ、Ti及び/又はZrを金属元
素成分の主成分とし、該金属元素成分との結合成分とし
て、Cを必須とし、S、Se及びTeの少なくともいず
れかを含有する快削性付与化合物相が、断面における面
積率にて0.1〜10%の範囲にて組織中に分散形成さ
れていることを特徴とする。なお、本明細書にて、「主
成分」(「主体に」等も同様)とは、着目している材料
あるいは組織において、最も重量含有率の高い成分(相
も概念として含む)を意味する。
【0008】上記のような組成範囲のC、Ti、Zr、
S、Se及びTeを含有させることにより、鋼材組織中
にTi及び/又はZrを金属元素成分を主成分とし、該
金属元素成分との結合成分として、Cを必須とし、S、
Se及びTeの少なくともいずれかを含有する快削性付
与化合物相が分散形成される。この化合物の形成によ
り、鋼材に良好な被削性を付与することができる。本発
明者らは、切削や研削などの加工を施す際には、除去さ
れる材料部分が加工により切り離される際に、細かく分
散した粒状の快削性付与化合物相がいわばミシン目のよ
うに作用して、切断面の形成を促す結果、被削性が向上
するものと考えている。
【0009】そして、重要な点は、このような快削性付
与化合物相は、圧延や鍛造を経ても鍛伸方向に伸長せ
ず、粒状の状態を維持することにある。その結果、鍛伸
方向に延伸しやすいMnS等と異なり、前記T方向の靭
性低下を著しく抑制することが可能となる。また、本発
明の快削性工具鋼は、焼なまし状態のみならず焼入焼戻
し状態においても被削性が良好であり、前記した納期短
縮化に対応するための、焼入焼戻し状態での重加工にも
十分に対応できるようになる。
【0010】快削性付与化合物相は、上記の通り、断面
における面積率にて0.1〜10%の範囲にて組織中に
分散形成されている必要がある。該面積率が0.1%未
満では被削性向上効果に乏しく、10%を超えると靭性
低下を招く。該面積率は、より望ましくは0.2〜4%
とするのがよい。また、被削性向上効果を高めるために
は、研磨断面組織において観察される快削性付与化合物
相の寸法(観察される化合物粒子の外形線に位置を変え
ながら外接平行線を引いたときの、その外接平行線の最
大間隔にて表す)の平均値を、例えば、1〜5μm程度
とすることがましい。
【0011】快削性付与化合物相は、例えば組成式M
(ただし、MはTi及び/又はZrを主成分と
する金属元素成分、QはS、Se及びTeの少なくとも
いずれか)にて表される化合物相を主体とするものとす
ることができる。この化合物は、鍛伸方向への延伸が特
に生じにくく、また、組織中への分散性も良好で、材料
の機械的特性に極端な異方性を生ずることなく、被削性
を高める効果に優れている。なお、上記の化合物におけ
る成分Mについては、Tiを必須とするがZrが含有さ
れていてもよく、また、合金成分としてVが含有されて
いる場合には、その少なくとも一部がM成分に含まれて
いてもよい。また、Q成分についても、S、Se及びT
eのいずれか一種のみが含有されていても、2種以上含
有されていてもいずれでも良い。さらに、成分M及びQ
ともに、本発明の効果発現のため、上記快削性付与化合
物相が備えているべき難延伸性及び分散性が損なわれな
い範囲にて、上記以外の成分が副成分として含有されて
いることを妨げない。
【0012】なお、鋼中のM系化合物(以
下、本明細書では略称として「TICS」との表記を用
いる場合がある)の同定は、X線回折(例えば、ディフ
ラクトメータ法)や電子線プローブ微小分析(EPM
A)法により行うことができる。例えば、M
系化合物が存在しているか否かは、X線ディフラクトメ
ータ法による測定プロファイルに、対応する化合物のピ
ークが現れるか否かにより確認できる。また、組織中に
おける該化合物の形成領域は、鋼材の断面組織に対して
EPMAによる面分析を行い、Ti、Zr、S、Seあ
るいはCの特性X線強度の二次元マッピング結果を比較
することにより特定できる。
【0013】以下、本発明の工具鋼における各成分の含
有範囲の限定理由について説明する。まず、Cは、工具
鋼としての耐摩耗性を確保するために必須の元素であ
り、また、本発明では、快削性付与化合物相の必須元素
でもある。ただし、含有量が0.1質量%未満では工具
鋼として十分な硬さ、耐摩耗性を確保できなくなる。他
方、過度の添加は靭性や熱間強度の低下を招くため上限
を2.5質量%とする。
【0014】TiとZrとは、本発明の快削性工具鋼に
おいて被削性向上効果発現の中心的役割を果たす快削性
付与化合物相の必須構成元素である。WTi+0.52W
Zrが0.03質量%未満では快削性付与化合物相の形成
量が不十分となり、十分な被削性向上効果が見込めなく
なる。他方、WTi+0.52WZrが過剰となった場合
も、被削性は却って低下するので、上限を3.5質量%
とする。
【0015】なお、前述のM化合物相のよう
に、快削性付与化合物相は、金属成分Mに対する結合成
分QあるいはCの結合化学量論比が略一定であり、快削
性付与の本質は、その化合物の形成面積率により支配さ
れることが、略経験的に判明している。従って、相形成
量を見積もる尺度としてのMやQの含有率は、重量含有
率よりも原子含有率を用いたほうが便利であることが多
い。本明細書では、M成分は、Tiを基準とした原子相
対含有率、つまり、同原子数のTi重量に換算した形に
て最適の含有率範囲を表示している。また、後述するQ
成分は、Sを基準とした原子相対含有率、つまり、同原
子数のS重量に換算した形にて最適の含有率範囲を表示
している。例えば、M成分の場合、上記においてWZrに
係数0.52を乗じているのは、この目的のためであ
り、他の副成分が含有される場合には、同原子数のTi
重量に換算するための係数を乗じた質量含有率の合計
が、0.03〜3.5質量%となっていることが望まし
い。
【0016】同様に、S、Se及びTe(Q成分)も快
削性付与化合物相の必須構成元素である。前記WS+
0.4WSe+0.25WTeが0.01質量%未満では、
快削性付与化合物相の形成量が不十分となり、十分な被
削性向上効果が見込めなくなる。他方、WS+0.4WS
e+0.25WTeが過剰になると靭性が低下するので、
上限を1.0質量%とする。なお、Q成分についても、
他の副成分が含有される場合には、同原子数のS重量に
換算するための係数を乗じた質量含有率の合計が、0.
01〜1.0質量%となっていることが望ましい。
【0017】快削性付与化合物相として前述のM
化合物相が主体的に形成される場合、該化合物中の
Mを全てTiとし、Qを全てSとした場合のMとQとの
重量比は3:1である。したがって、理想的には、Mと
Qとを過不足なく添加すること、つまり、Ti/S=
(WTi+0.52WZr)/(WS+0.4WSe+0.2
5WTe)が3であることが好ましい。ただし、過度の靭
性異方性を生ずることなく被削性向上させる本発明の効
果は、上記値が3の場合に限らず、1〜4の範囲でも十
分達成可能である。
【0018】次に、本発明の快削性工具鋼には、2.0
質量%以下のMn、2.5質量%以下のNi、17質量
%以下のCr、Mo+0.5Wが12質量%以下となる
Mo及び/又はW、及び6質量%以下のV、15.0質
量%以下のCoから選ばれる1種以上を含有。以下、そ
の理由について説明する。
【0019】Mn:焼入性向上及び硬さ向上の効果を有
する。また、SやSeとの共存により被削性に有効な化
合物を生成するため、被削性が特に重視される場合に添
加すると有効である。ただし、より顕著な効果を期待す
る場合は、含有量を0.1質量%以上とすることが望ま
しい。一方で、過度のMnSの形成は、前記した靭性の
過度の異方性化を招くので、2質量%を上限とする。な
お、Mnは、精錬時における脱酸元素としても有用であ
り、不可避的に含有されることがある。
【0020】Ni:焼入性の向上、基地の強化、あるい
は耐食性向上に有効である。より顕著な効果を期待する
場合は、含有量を0.1質量%以上とすることが望まし
い。他方、過度に添加すると加工性が低下するために、
上限を2.5質量%とする。
【0021】Cr:炭化物を形成して基地の強化や耐摩
耗性を向上させ、また、焼入性を向上させる効果を有す
る。ただし、より顕著な効果を期待する場合は、含有量
を0.1質量%以上とすることが望ましい。他方、過度
の添加は焼入性や熱間強度の添加を招くため、上限を1
7.0質量%とする。
【0022】Mo,W:炭化物を形成して基地の強化や
耐摩耗性を向上させ、また、焼入性を向上させる効果を
有する。MoとWは同等の効果を有する元素であり、W
はMoの約2倍の原子量であることからMo+0.5W
で規定する(当然、いずれか一方のみの添加としてもよ
いし、双方を共添加することもできる)。ただし、より
顕著な効果を期待する場合は、Mo+0.5Wを0.1
質量%以上とすることが望ましい。Mo及び/又はW過
度の添加は炭化物量を増加させ、靭性の添加を招くた
め、Mo+0.5Wの上限を12.0質量%とする。
【0023】V:炭化物を形成し、基地の強化や耐摩耗
性向上の効果を有する。また、微細な炭化物の形成によ
り、結晶粒の微細化ひいては靭性の向上にも有効であ
る。ただし、より顕著な効果を期待する場合は、含有量
を0.1質量%以上とすることが望ましい。なお、V
は、前記したM化合物の形成成分ともなりう
る。他方、過度に添加すると靭性の低下を招くため、上
限を6.0質量%とする。
【0024】Co:マトリックスの強化に有効である。
より顕著な効果を得るためには0.3質量%以上は含有
させるのが良い。しかしながら、過剰に添加させると、
熱間加工性が低下するとともに、原料コストの上昇を招
くことから、上限を1.5質量%とする。
【0025】また、以下の元素は積極添加も可能である
が、製法上の理由により不可避的に混入することもあ
り、その許容上限値とともに以下に示す。Si:精錬時
に脱酸元素として使用され、不可避的に含有されること
が多い。他方、積極添加効果としては、軟化抵抗性を増
し、熱間金型や切削工具に用いる場合は、高温保持時の
軟化を抑制する効果がある。ただし、Si量の低減によ
り靭性が向上することから、Siを極力低減させる場合
もある。この場合は、Al、Mn、Caなど他の元素で
脱酸を行う。Si量の増加による靭性低下に配慮し、上
限を2.0質量%とする。
【0026】Al:精錬時に脱酸元素として使用され、
不可避的に含有されることが多い。また、積極添加効果
としては、AlNの形成により結晶粒の微細化ひいては
強度あるいは靭性の向上に寄与しうる。ただし、過度の
含有は靭性の低下を招くため、上限を0.1質量%とす
る。
【0027】N:鋼の製造上、不可避的に混入する元素
である。他方、Ti、Al、Vなどと窒化物を形成し、
結晶粒の微細化に有効であるため積極的に添加する場合
もある。ただし、本発明においては、過度に添加すると
TiNが多量に形成され、M相等の快削性付
与化合物相の形成量が減少するため、上限を0.040
質量%とする。
【0028】また、本発明の快削性工具鋼には、必要に
応じて以下のような元素を含有させることができる。 Ca:≦0.050質量% 熱間加工性の向上に有効な元素である。また、硫化物や
酸化物を形成し被削性の向上にも有効である。しかしな
がら、過剰に添加しても、これらの効果が飽和してしま
うため、その含有量を上限を0.050質量%とする。
【0029】Pb:≦0.2質量%、Bi:≦0.2質
量% いずれも鋼中に分散し、被削性を高める効果を有する。
ただし、過度に添加すると熱間加工性が低下するため、
上限を0.2質量%とする。また、顕著な効果を得るに
は、いずれも0.02質量%以上の添加とすることが望
ましい。
【0030】B:≦0.010質量% 焼入性を向上させるのに有効な元素である。ただし、過
度に添加すると熱間加工性や靭性が低下するので、上限
を0.010質量%とする。また、顕著な効果を得るに
は、0.001質量%以上の添加とすることが望まし
い。
【0031】Nb(質量%)+0.5Ta(質量%):
≦0.05質量% いずれも微細な炭化物を形成し、結晶粒の微細化ひいて
は靭性の向上に有効である。なお、TaはNbの約2倍
の原子量であり、Nb+0.5Taで規定する(Nb及
びTaの一方のみの添加としてもよいし、共添加しても
よい)。なお、過度に添加してもその効果が飽和するこ
とから、Nb+0.5Taの上限は0.05質量%に定
める。また、顕著な効果を得るには、Nb+0.5Ta
を0.005質量%以上の添加とすることが望ましい。
【0032】・希土類金属元素(REM):≦0.50
質量% O、P等の不純物を固定し、基地の清浄度を高め、靭性
を向上させる効果を有する。多量に添加すると地疵が発
生するため、上限を0.50質量%とする。なお、RE
Mとしては、放射活性の低い元素を主体的に用いること
が取り扱い上容易であり、この観点において、Sc、
Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、T
b、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選ばれ
る1種又は2種以上を使用することが有効である。特に
上記効果のより顕著な発現と価格上の観点から、軽希土
類、特にLaあるいはCeを使用することが望ましい。
ただし、希土類分離過程等にて不可避的に残留する微量
の放射性希土類元素(例えばThやUなど)が含有され
ていても差し支えない。また、原料コスト低減等の観点
から、ミッシュメタルやジジムなど、非分離希土類を使
用することもできる。
【0033】なお、本発明の快削性工具鋼は、工具鋼と
して使用されている種々の従来組成の鋼をベースとし
て、これに上記の快削性付与化合物相を組織中に分散形
成させることで、ベースとなる工具鋼の性能を大きく損
ねることなく、これに良好な被削性を付与することがで
きる。以下、その具体例について説明する。
【0034】Cを0.1〜0.6質量%含有し、2.
0質量%以下のMn、1.0質量%以下のNi、3質量
%以下のCr、Mo+0.5Wの合計が1.0質量%以
下となるMo及び/又はW、0.5質量%以下のV及び
1質量%以下のCoから選ばれる1種以上を含有する組
成。この組成の鋼材は、硬さや耐熱性がそれほど要求さ
れず、例えばプラスチック成型金型用素材など、キャビ
ティ形成等のための複雑な切削加工が容易であることが
要求される用途に適している。ベース組成の代表例とし
ては、JIS:S55C、AISI:P20等を例示で
きる。
【0035】Cを0.2〜0.6質量%含有し、0.
3〜7質量%の必須成分としてのCr、2.0質量%以
下のMn、2.5質量%以下のNi、Mo+0.5Wの
合計が4.0質量%以下となるMo及び/又はW、2質
量%以下のV及び5.0質量%以下のCoから選ばれる
1種以上を含有する組成。これは、上記の組成に加
え、一定量のCrを配合することにより高温強度を改善
した材質に相当し、例えば熱間金型用素材(例えば、熱
間プレス金型、熱間鍛造金型、ダイキャスト金型、熱間
押出成形用金型など)等として用いるのが有効である。
ベース組成の代表例としては、JIS:SKD6、SK
D8、SKD61、Cr−Mo鋼(例えば5質量%Cr
−3質量%Mo)等を例示できる。
【0036】Cを0.3〜1.8質量%含有し、4質
量%以下のCr、2.0質量%以下のMn、2.5質量
%以下のNi、Mo+0.5Wの合計が2.5質量%以
下となるMo及び/又はW、1質量%以下のV及び1.
0質量%以下のCoから選ばれる1種以上を含有する組
成。高炭素組成により一層の硬さの向上を図った材質に
相当し、冷間金型用素材(冷間プレス金型、プレスパン
チ、抜き型、ダイスなど)、切削工具用素材(ナイフ、
かみそり、のこ刃など)、耐衝撃工具用素材(たがねや
ポンチなど)として使用するのに適している。ベース組
成の代表例としては、JIS:SK3、SKS4、SK
S51等を例示できる。
【0037】Cを0.5〜2.5質量%含有し、4〜
17質量%の必須成分としてのCr、2.0質量%以下
のMn、1.0質量%以下のNi、Mo+0.5Wの合
計が1.5質量%以下となるMo及び/又はW、1質量
%以下のV及び1.0質量%以下のCoから選ばれる1
種以上を含有する組成。高炭素域でCr含有により耐磨
耗性や焼入れ性を改善した鋼種であり、例えば冷間金型
用素材(冷間プレス金型、プレスパンチ、抜き型、ダイ
スなど)として使用するのに適している。ベース組成の
代表例としては、JIS:SKD1、SKD11、SK
D12、Cr工具鋼(例えば8質量%Cr)等を例示で
きる。
【0038】Cを0.5〜2.0質量%含有し、3〜
7質量%の必須成分としてのCr、Mo+0.5Wの合
計が4〜12質量%以下となる必須成分としてのMo及
び/又はW、0.5〜6.0質量%の必須成分としての
V、2.0質量%以下のMn、1.0質量%以下のNi
及び15.0質量%以下のCoから選ばれる3種以上を
含有する組成。ベース組成は高速度工具鋼(いわゆるハ
イス)に相当する。高速度工具鋼の周知の適用分野、例
えば切削工具用素材(ドリル、エンドミル、バイト、ス
ローアウェイチップなど)、冷間金型用素材(冷間プレ
ス金型、プレスパンチ、抜き型、ダイスなど)、又は熱
間金型用素材(熱間プレス金型、熱間鍛造金型、熱間押
出成形用金型など)として使用するのに適している。な
お、高速度工具鋼は、晶出炭化物により耐磨耗性を確保
し、さらに、マトリックス(鉄系基質)中への炭化物の
析出により強化しているが、炭化物の晶出を抑制し、マ
トリックスのみ通常の高速度工具鋼と同程度に炭化物を
析出させて強化させた鋼材も、本明細書では高速度工具
鋼に属するものとして取り扱う(いわゆるマトリックス
ハイス)。
【0039】
【実施例】本発明の効果を確認するために、以下の実験
を行った。 (実施例1)前記に該当する組成の合金として、表2
及び表3に示す種々の合金(ベース組成の分類は表4の
備考欄に示す)を、真空誘導炉にて150kgインゴッ
トの形で溶製・鋳造した。得られたインゴットは、12
00℃で熱間鍛造することにより厚さ60mm、幅65
mmの鋼片とした。得られた鋼片は、870℃で5時間
保持した後15℃/hの条件で冷却することにより焼き
なまし処理した。
【0040】焼きなまし状態の鋼片から、シャルピー衝
撃試験片(JIS:Z2202に規定された3号試験片
(いわゆる2mmUノッチを有するもの))素材と、被
削性試験片素材(寸法:高さ55mm、幅60mm、長
さ200mmの直方体状)をそれぞれ切り出した。な
お、シャルピー衝撃試験片は、ノッチ方向が熱間鍛造の
鍛伸方向と平行となるT方向試験片と、同じく垂直とな
るL方向試験片との2種類を1組として作製した。ま
た、上記被削性試験片素材の1つを用い、その表面を仕
上げ加工して焼きなまし被削性試験片とした。
【0041】次に、シャルピー衝撃試験片素材及び被削
性試験片素材の一つを、表1に示すベース組成毎に一定
の条件にて焼きならしあるいは焼入れ焼戻し処理を行
い、さらに表面を仕上げ加工して最終的なシャルピー衝
撃試験片及び焼入焼戻し(S55Cをベース組成とする
もののみ焼きならし)被削性試験片とした。また、この
うちの被削性試験片素材を用いてJIS:Z2245に
規定された方法によりロックウェルCスケール硬さ(S
55CのみJIS:Z2246に規定されたショア硬
さ)を測定した。
【0042】
【表1】
【0043】そして、シャルピー衝撃試験片を用い、J
IS:Z2242に規定されたシャルピー衝撃試験を行
なうとともに、ノッチ方向が鍛伸方向と平行となるT方
向試験片と、同じく垂直となるL方向試験片との双方に
ついて試験を行なったときに、T方向試験片について得
られるシャルピー衝撃値をIT、L方向試験片について
得られるシャルピー衝撃値をILとして、IT/IL(T
/L)を求めた。また、焼きなまし被削性試験片(S
A)及び焼入焼戻被削性試験片(HT)を用いて、それ
ぞれ以下の条件にて被削性試験を行なった。すなわち、
焼なまし材、焼入焼戻し材ともに、被削性は超硬エンド
ミルで切削を行い、逃げ面摩耗幅が0.3mmとなるま
での切削長を測定し、被削性を評価する。なお、結果
は、従来鋼の切削長を100として相対的に表示する。
試験条件は、単一刃の超硬エンドミルにて切削幅を1m
m、切削深さを3mm、切削速度を50m/min、被
削材の送り量を0.05mm/刃として、切削油を用い
た湿式切削により行なった。
【0044】さらに、試験後のシャルピー衝撃試験片の
表面を鏡面研磨後、その表面にてSEM観察及びEPM
A面分析を行い、TICSの形成面積率を求めた。な
お、TICSの構造をX線回折により調べたところ、前
記したM化合物相が主体となっていることが
わかった。以上の結果を表4に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】この結果からも明らかな通り、同じベース
組成を有している合金同士において、本発明の組成を充
足するものは、焼きなまし及び焼入焼戻し(あるいは焼
きならし)のいずれの状態においても被削性に優れ、か
つT方向とL方向のシャルピー衝撃値の差も小さく、異
方性が改善されていることがわかる。
【0049】(実施例2)前記に該当する組成の合金
として、表5及び表6に示す種々の合金(ベース組成の
分類は表7の備考欄に示す)を、実施例1と同様に溶製
・鋳造した。得られたインゴットは、実施例1と同様の
条件で熱間鍛造することにより鋼片とし、さらに焼きな
まし処理した。その、焼きなまし鋼片から、実施例1と
同じシャルピー衝撃試験片素材と、被削性試験片素材を
それぞれ切り出した。また、上記被削性試験片素材の1
つを用い、その表面を仕上げ加工して焼きなまし被削性
試験片とした。次に、シャルピー衝撃試験片素材及び被
削性試験片素材の一つを、表1に示すベース組成毎に一
定の条件にて焼入れ焼戻し処理を行い、さらに表面を仕
上げ加工して最終的なシャルピー衝撃試験片及び焼入焼
戻し被削性試験片とした。そして、実施例1と同様に、
ロックウェルCスケール硬さ測定、シャルピー衝撃試験
及び被削性試験を行なった。また、試験後のシャルピー
衝撃試験片の表面を鏡面研磨後、その表面にてSEM観
察及びEPMA面分析を行い、TICSの形成面積率を
求めた。なお、TICSの構造をX線回折により調べた
ところ、前記したM化合物相が主体となって
いることがわかった。以上の結果を表7に示す。
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】
【表7】
【0053】この結果からも明らかな通り、同じベース
組成を有している合金同士において、本発明の組成を充
足するものは、焼きなまし及び焼入焼戻しのいずれの状
態においても被削性に優れ、かつT方向とL方向のシャ
ルピー衝撃値の差も小さく、異方性が改善されているこ
とがわかる。
【0054】(実施例3)前記に該当する組成の合金
として、表8及び表9に示す種々の合金(ベース組成の
分類は表10の備考欄に示す)を、実施例1と同様に溶
製・鋳造した。得られたインゴットは、実施例1と同様
の条件で熱間鍛造することにより鋼片とし、さらに焼き
なまし処理した。その、焼きなまし鋼片から、シャルピ
ー衝撃試験片素材(3号試験片に代えて10mmRノッ
チを有する試験片とした以外、実施例1と同じ)と、被
削性試験片素材をそれぞれ切り出した。また、上記被削
性試験片素材の1つを用い、その表面を仕上げ加工して
焼きなまし被削性試験片とした。次に、シャルピー衝撃
試験片素材及び被削性試験片素材の一つを、表1に示す
ベース組成毎に一定の条件にて焼入れ焼戻し処理を行
い、さらに表面を仕上げ加工して最終的なシャルピー衝
撃試験片及び焼入焼戻し被削性試験片とした。そして、
実施例1と同様に、ロックウェルCスケール硬さ測定、
シャルピー衝撃試験及び被削性試験を行なった。また、
試験後のシャルピー衝撃試験片の表面を鏡面研磨後、そ
の表面にてSEM観察及びEPMA面分析を行い、TI
CSの形成面積率を求めた。なお、TICSの構造をX
線回折により調べたところ、前記したM化合
物相が主体となっていることがわかった。以上の結果を
表10に示す。
【0055】
【表8】
【0056】
【表9】
【0057】
【表10】
【0058】この結果からも明らかな通り、同じベース
組成を有している合金同士において、本発明の組成を充
足するものは、焼きなまし及び焼入焼戻しのいずれの状
態においても被削性に優れ、かつT方向とL方向のシャ
ルピー衝撃値の差も小さく、異方性が改善されているこ
とがわかる。
【0059】(実施例4)前記に該当する組成の合金
として、表11及び表12に示す種々の合金(ベース組
成の分類は表13の備考欄に示す)を、実施例1と同様
に溶製・鋳造した。得られたインゴットは、実施例1と
同様の条件で熱間鍛造することにより鋼片とし、さらに
焼きなまし処理した。その、焼きなまし鋼片から、シャ
ルピー衝撃試験片素材(3号試験片に代えて10mmR
ノッチを有する試験片とした以外、実施例1と同じ)
と、被削性試験片素材をそれぞれ切り出した。また、上
記被削性試験片素材の1つを用い、その表面を仕上げ加
工して焼きなまし被削性試験片とした。次に、シャルピ
ー衝撃試験片素材及び被削性試験片素材の一つを、表1
に示すベース組成毎に一定の条件にて焼入れ焼戻し処理
を行い、さらに表面を仕上げ加工して最終的なシャルピ
ー衝撃試験片及び焼入焼戻し被削性試験片とした。そし
て、実施例1と同様に、ロックウェルCスケール硬さ測
定、シャルピー衝撃試験及び被削性試験を行なった。ま
た、試験後のシャルピー衝撃試験片の表面を鏡面研磨
後、その表面にてSEM観察及びEPMA面分析を行
い、TICSの形成面積率を求めた。なお、TICSの
構造をX線回折により調べたところ、前記したM
化合物相が主体となっていることがわかった。以上
の結果を表13に示す。
【0060】
【表11】
【0061】
【表12】
【0062】
【表13】
【0063】この結果からも明らかな通り、同じベース
組成を有している合金同士において、本発明の組成を充
足するものは、焼きなまし及び焼入焼戻しのいずれの状
態においても被削性に優れ、かつT方向とL方向のシャ
ルピー衝撃値の差も小さく、異方性が改善されているこ
とがわかる。
【0064】(実施例5)前記に該当する組成の合金
として、表14及び表15に示す種々の合金(ベース組
成の分類は表16の備考欄に示す)を、実施例1と同様
に溶製・鋳造した。得られたインゴットは、実施例1と
同様の条件で熱間鍛造することにより鋼片とし、さらに
焼きなまし処理した。その、焼きなまし鋼片から、抗折
試験片素材(寸法:3mm×5mm×35mm)と、実
施例1と同じ被削性試験片素材をそれぞれ切り出した。
なお、抗折試験片素材は、長手方向に鍛伸方向を一致さ
せた試験片(L方向試験片)と、同じく厚さ方向に一致
させた試験片(T方向試験片)とを一組として作製して
いる。また、上記被削性試験片素材の1つを用い、その
表面を仕上げ加工して焼きなまし被削性試験片とした。
次に、抗折試験片素材及び被削性試験片素材の一つを、
表1に示すベース組成毎に一定の条件にて焼入れ焼戻し
処理を行い、さらに表面を仕上げ加工して最終的な抗折
試験片及び焼入焼戻し被削性試験片とした。そして、実
施例1と同様に、ロックウェルCスケール硬さ測定及び
被削性試験を行なった。他方、また、抗折試験片を用
い、スパン長30mmの3点曲げ抗折試験を行ない、T
方向試験片について得られる抗折力をPT、L方向試験
片について得られる抗折力をPLとして、PT/PL(T
/L)を求めた。さらに、試験後の抗折試験片の表面を
鏡面研磨後、その表面にてSEM観察及びEPMA面分
析を行い、TICSの形成面積率を求めた。なお、TI
CSの構造をX線回折により調べたところ、前記したM
化合物相が主体となっていることがわかっ
た。以上の結果を表16に示す。
【0065】
【表14】
【0066】
【表15】
【0067】
【表16】
【0068】この結果からも明らかな通り、同じベース
組成を有している合金同士において、本発明の組成を充
足するものは、焼きなまし及び焼入焼戻しのいずれの状
態においても被削性に優れ、かつT方向とL方向のシャ
ルピー衝撃値の差も小さく、異方性が改善されているこ
とがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 000003713 大同特殊鋼株式会社 愛知県名古屋市中区錦一丁目11番18号 (72)発明者 石田 清仁 宮城県仙台市青葉区上杉3−5−20 (72)発明者 及川 勝成 宮城県柴田郡柴田町西船迫4−1−34 (72)発明者 藤井 利光 愛知県名古屋市南区大同町2丁目30番地 大同特殊鋼株式会社技術開発研究所内 (72)発明者 松田 幸紀 愛知県名古屋市南区大同町2丁目30番地 大同特殊鋼株式会社技術開発研究所内 (72)発明者 尾崎 公造 愛知県名古屋市南区大同町2丁目30番地 大同特殊鋼株式会社技術開発研究所内 (72)発明者 倉田 征児 愛知県名古屋市南区大同町2丁目30番地 大同特殊鋼株式会社技術開発研究所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.1〜2.5質量%のCを含有し、 Tiの含有率をWTi(質量%)、Zrの含有率をWZr
    (質量%)として、 WTi+0.52WZrが0.03〜3.5質量%となるよ
    うに、Ti及び/又はZrを含有し、 Sの含有率をWS(質量%)、Seの含有率をWSe(質
    量%)、Teの含有率をWTe(質量%)として、 WS+0.4WSe+0.25WTeが0.01〜1.0質
    量%となり、かつ、 (WTi+0.52WZr)/(WS+0.4WSe+0.2
    5WTe)が1〜4、 となるようにS、Se及びTeの少なくともいずれかを
    含有し、 かつ、Ti及び/又はZrを金属元素成分の主成分と
    し、該金属元素成分との結合成分として、Cを必須と
    し、S、Se及びTeの少なくともいずれかを含有する
    快削性付与化合物相が、断面における面積率にて0.1
    〜10%の範囲にて組織中に分散形成されていることを
    特徴とする快削性工具鋼。
  2. 【請求項2】 前記快削性付与化合物相は、組成式M
    (ただし、MはTi及び/又はZrを主成分と
    する金属元素成分、QはS、Se及びTeの少なくとも
    いずれか)にて表される化合物相を主体とするものであ
    る請求項1記載の快削性工具鋼。
  3. 【請求項3】 2.0質量%以下のMn、2.5質量%
    以下のNi、17質量%以下のCr、Mo+0.5Wが
    12質量%以下となるMo及び/又はW、及び6質量%
    以下のV、15.0質量%以下のCoから選ばれる1種
    以上を含有する請求項1又は2に記載の快削性工具鋼。
  4. 【請求項4】 Si含有量が2.0質量%以下、Al含
    有量が0.1質量%及びN含有量が0.040質量%以
    下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の快削
    性工具鋼。
  5. 【請求項5】 0.0050質量%以下のCa、0.2
    質量以下のPb、0.2質量%以下のBi、及びNb+
    0.5Taの合計が0.05質量%以下となるNb及び
    /又はTa、及び0.50質量%以下の希土類金属元素
    の1種以上を含有する請求項1ないし4のいずれか1項
    に記載の快削性工具鋼。
  6. 【請求項6】 Cを0.1〜0.6質量%含有し、 2.0質量%以下のMn、1.0質量%以下のNi、3
    質量%以下のCr、Mo+0.5Wの合計が1.0質量
    %以下となるMo及び/又はW、0.5質量%以下のV
    及び1.0質量%以下のCoから選ばれる1種以上を含
    有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の快削性
    工具鋼。
  7. 【請求項7】 プラスチック成型金型用素材として使用
    される請求項6記載の快削性工具鋼。
  8. 【請求項8】 Cを0.2〜0.6質量%含有し、 0.3〜7質量%の必須成分としてのCr、2.0質量
    %以下のMn、2.5質量%以下のNi、Mo+0.5
    Wの合計が4.0質量%以下となるMo及び/又はW、
    2質量%以下のV及び5.0質量%以下のCoから選ば
    れる1種以上を含有する請求項1ないし5のいずれか1
    項に記載の快削性工具鋼。
  9. 【請求項9】 熱間金型用素材として使用される請求項
    8記載の快削性工具鋼。
  10. 【請求項10】 Cを0.3〜1.8質量%含有し、 4質量%以下のCr、2.0質量%以下のMn、2.5
    質量%以下のNi、Mo+0.5Wの合計が2.5質量
    %以下となるMo及び/又はW、1質量%以下のV及び
    1.0質量%以下のCoから選ばれる1種以上を含有す
    る請求項1ないし5のいずれか1項に記載の快削性工具
    鋼。
  11. 【請求項11】 冷間金型用素材、切削工具用素材、又
    は耐衝撃工具用素材として使用される請求項10記載の
    快削性工具鋼。
  12. 【請求項12】 Cを0.5〜2.5質量%含有し、 4〜17質量%の必須成分としてのCr、2.0質量%
    以下のMn、1.0質量%以下のNi、Mo+0.5W
    の合計が1.5質量%以下となるMo及び/又はW、1
    質量%以下のV及び1.0質量%以下のCoから選ばれ
    る1種以上を含有する請求項1ないし5のいずれか1項
    に記載の快削性工具鋼。
  13. 【請求項13】 冷間金型用素材として使用される請求
    項12記載の快削性工具鋼。
  14. 【請求項14】 Cを0.5〜2.0質量%含有し、 3〜7質量%の必須成分としてのCr、Mo+0.5W
    の合計が4〜12質量%以下となる必須成分としてのM
    o及び/又はW、0.5〜6.0質量%の必須成分とし
    てのV、2.0質量%以下のMn、1.0質量%以下の
    Ni及び15.0質量%以下のCoから選ばれる3種以
    上を含有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の
    快削性工具鋼。
  15. 【請求項15】 切削工具用素材、冷間金型用素材、又
    は熱間金型用素材として使用される請求項14記載の快
    削性工具鋼。
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JP2010516898A (ja) * 2007-01-26 2010-05-20 サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ 無鉛快削鋼およびその使用
JP2011042849A (ja) * 2009-08-24 2011-03-03 Daido Steel Co Ltd 金型用鋼
CN114289715A (zh) * 2021-03-22 2022-04-08 武汉钜能科技有限责任公司 增材制造刀具

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