JP2001115234A - プリハードン熱間工具鋼 - Google Patents
プリハードン熱間工具鋼Info
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- JP2001115234A JP2001115234A JP29733899A JP29733899A JP2001115234A JP 2001115234 A JP2001115234 A JP 2001115234A JP 29733899 A JP29733899 A JP 29733899A JP 29733899 A JP29733899 A JP 29733899A JP 2001115234 A JP2001115234 A JP 2001115234A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 耐ヒートチェック性や靱性を改善したプリハ
ードン熱間工具鋼を提供する。 【解決手段】 重量で、C:0.30%以上0.50%
未満、Si:0.15〜0.40%、Mn:1.5%以
下、S:0.015〜0.050%、Cr:4.0〜
6.0%、MoおよびWの1種または2種をMo+0.
5W:0.8〜4.0%、V:1.70%未満、Te:
0.0010%以上0.0100%未満およびCa:
0.0002〜0.005%を含有し、残部がFeであ
る合金組成を有し、Sの一部は、Se:0.090%以
下で置き換えることができる。更に、任意添加元素とし
て、Ni及びBの1種または2種、Co及びCuの1種
または2種、Nb、Ti、Ta、Zr及びAlの1種ま
たは2種以上、及びREM:を含む事が出来る。
ードン熱間工具鋼を提供する。 【解決手段】 重量で、C:0.30%以上0.50%
未満、Si:0.15〜0.40%、Mn:1.5%以
下、S:0.015〜0.050%、Cr:4.0〜
6.0%、MoおよびWの1種または2種をMo+0.
5W:0.8〜4.0%、V:1.70%未満、Te:
0.0010%以上0.0100%未満およびCa:
0.0002〜0.005%を含有し、残部がFeであ
る合金組成を有し、Sの一部は、Se:0.090%以
下で置き換えることができる。更に、任意添加元素とし
て、Ni及びBの1種または2種、Co及びCuの1種
または2種、Nb、Ti、Ta、Zr及びAlの1種ま
たは2種以上、及びREM:を含む事が出来る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリハードン型の
熱間工具鋼に関する。本発明の熱間工具鋼は、熱間鍛造
金型、熱間プレス型、ダイカスト金型あるいはアルミニ
ウム押出加工用ダイスなどの材料として有用である。
熱間工具鋼に関する。本発明の熱間工具鋼は、熱間鍛造
金型、熱間プレス型、ダイカスト金型あるいはアルミニ
ウム押出加工用ダイスなどの材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】熱間工具鋼において、上に列挙したよう
な用途に向ける材料としては、JISのSKD61に代
表される5%Cr系熱間工具鋼が用いられることが多
い。この種の材料は焼なまし状態で供給されており、金
型への加工は、荒加工、所定の硬さへの焼入れ・焼戻
し、仕上げ加工の順でおこなわれるのが一般的である。
な用途に向ける材料としては、JISのSKD61に代
表される5%Cr系熱間工具鋼が用いられることが多
い。この種の材料は焼なまし状態で供給されており、金
型への加工は、荒加工、所定の硬さへの焼入れ・焼戻
し、仕上げ加工の順でおこなわれるのが一般的である。
【0003】一方、試作型や小ロットの製品の場合は、
SKD61の快削グレードの鋼をあらかじめ焼入れ・焼
戻しをしたプリハードン状態で供給し、それを直接加工
および仕上げ加工して製品にすることが多い。プリハー
ドン状態で供給する理由は、焼なまし状態のものから出
発すると工程間のリードタイムが必要であり、また焼入
れ・焼戻しによって生じた歪みを修正するための仕上げ
加工に、長い時間を要するからである。
SKD61の快削グレードの鋼をあらかじめ焼入れ・焼
戻しをしたプリハードン状態で供給し、それを直接加工
および仕上げ加工して製品にすることが多い。プリハー
ドン状態で供給する理由は、焼なまし状態のものから出
発すると工程間のリードタイムが必要であり、また焼入
れ・焼戻しによって生じた歪みを修正するための仕上げ
加工に、長い時間を要するからである。
【0004】しかし、プリハードン熱間工具鋼を使用し
て製造した工具は、上記の問題はなくなるものの、金型
寿命は一般に短いという欠点がある。従来のプリハード
ン熱間工具鋼は、上記のようにSKD61鋼をベースと
し、被削性を高めるためにSを約0.1%添加した組成
を有し、従って当然にMnS介在物が多量に存在し、そ
れが耐ヒートチェック性や横方向の靭性を低くするから
である。このため、プリハードン熱間工具鋼は適用範囲
に限界があって、あまり多量に使用されていないのが実
情である。
て製造した工具は、上記の問題はなくなるものの、金型
寿命は一般に短いという欠点がある。従来のプリハード
ン熱間工具鋼は、上記のようにSKD61鋼をベースと
し、被削性を高めるためにSを約0.1%添加した組成
を有し、従って当然にMnS介在物が多量に存在し、そ
れが耐ヒートチェック性や横方向の靭性を低くするから
である。このため、プリハードン熱間工具鋼は適用範囲
に限界があって、あまり多量に使用されていないのが実
情である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プリ
ハードン熱間工具鋼がもつ上述の欠点を解消し、被削性
は従来品に実質上劣らない高いレベルに保った上で、耐
ヒートチェック性や横方向の靭性を改善したプリハード
ン熱間工具鋼を提供し、それによって寿命の長い金型を
実現することにある。
ハードン熱間工具鋼がもつ上述の欠点を解消し、被削性
は従来品に実質上劣らない高いレベルに保った上で、耐
ヒートチェック性や横方向の靭性を改善したプリハード
ン熱間工具鋼を提供し、それによって寿命の長い金型を
実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のプリハードン熱
間工具鋼は、基本的態様として、重量で、C:0.30
%以上0.50%未満、Si:0.15〜0.40%、
Mn:1.5%以下、S:0.015〜0.050%、
Cr:4.0〜6.0%、MoおよびWの1種または2
種をMo+0.5W:0.8〜4.0%、V:1.70
%未満、Te:0.0010%以上0.0100%未満
およびCa:0.0002〜0.005%を含有し、残
部が実質上Feである合金組成を有し、硬さをHRC4
0〜48に調質してなる。
間工具鋼は、基本的態様として、重量で、C:0.30
%以上0.50%未満、Si:0.15〜0.40%、
Mn:1.5%以下、S:0.015〜0.050%、
Cr:4.0〜6.0%、MoおよびWの1種または2
種をMo+0.5W:0.8〜4.0%、V:1.70
%未満、Te:0.0010%以上0.0100%未満
およびCa:0.0002〜0.005%を含有し、残
部が実質上Feである合金組成を有し、硬さをHRC4
0〜48に調質してなる。
【0007】上記の合金成分のうち、Sの一部は、S
e:0.090%以下で置き換えることができる。この
場合、S+0.4Se:0.015〜0.050%とす
る。
e:0.090%以下で置き換えることができる。この
場合、S+0.4Se:0.015〜0.050%とす
る。
【0008】
【発明の実施形態】それぞれ特定量のS(Se),Te
およびCaを複合して添加することにより、本発明のプ
リハードン熱間工具鋼においては、硫化物系セレン化物
系の介在物が、微細かつ球状になってマトリクス中に分
散して存在する。そのため、耐ヒートチェック性や横方
向の靭性の低下が抑制される。このことはまた、多量の
S(Se)の添加を許容し、被削性の維持向上を可能に
するが、本発明で実現した介在物の形態制御は、S(+
Se):0.015〜0.050%という、前記した従
来のSKD61快削グレードのS:0.1%にくらべて
少量の快削元素の添加で、充分な被削性改善を可能にし
たから、介在物の存在がひきおこす耐ヒートチェック性
や横方向の靭性の低下は、少なくて済む。
およびCaを複合して添加することにより、本発明のプ
リハードン熱間工具鋼においては、硫化物系セレン化物
系の介在物が、微細かつ球状になってマトリクス中に分
散して存在する。そのため、耐ヒートチェック性や横方
向の靭性の低下が抑制される。このことはまた、多量の
S(Se)の添加を許容し、被削性の維持向上を可能に
するが、本発明で実現した介在物の形態制御は、S(+
Se):0.015〜0.050%という、前記した従
来のSKD61快削グレードのS:0.1%にくらべて
少量の快削元素の添加で、充分な被削性改善を可能にし
たから、介在物の存在がひきおこす耐ヒートチェック性
や横方向の靭性の低下は、少なくて済む。
【0009】本発明のプリハードン熱間工具鋼には、そ
の合金組成に関してさまざまな変更態様が可能であっ
て、上記の基本組成に加えて、下記のA〜Dのグループ
に属する合金成分を1種類ないし5種類含有することが
できる。 A)Ni:2.0%以下およびB:0.010%以下の
1種または2種、 B)Co:5.0%以下およびCu:0.5%以下の1
種または2種、 C)Nb:0.5%以下、Ti:0.5%以下、Ta:
0.5%以下、Zr:0.5%以下およびAl:0.0
5%以下の1種または2種以上、および D)REM:0.01%以下。
の合金組成に関してさまざまな変更態様が可能であっ
て、上記の基本組成に加えて、下記のA〜Dのグループ
に属する合金成分を1種類ないし5種類含有することが
できる。 A)Ni:2.0%以下およびB:0.010%以下の
1種または2種、 B)Co:5.0%以下およびCu:0.5%以下の1
種または2種、 C)Nb:0.5%以下、Ti:0.5%以下、Ta:
0.5%以下、Zr:0.5%以下およびAl:0.0
5%以下の1種または2種以上、および D)REM:0.01%以下。
【0010】本発明のプリハードン熱間工具鋼におい
て、合金成分の作用と、組成範囲を上記のように限定し
た理由は、つぎのとおりである。
て、合金成分の作用と、組成範囲を上記のように限定し
た理由は、つぎのとおりである。
【0011】C:0.30%以上0.50%未満 Cは、鋼に硬さと耐摩耗性を与える。熱間工具鋼に要求
されるレベルを確保する上で、0.30%以上の含有が
必要である。多量に存在すると熱間強度を低下させるか
ら、0.50%未満の添加にとどめる。
されるレベルを確保する上で、0.30%以上の含有が
必要である。多量に存在すると熱間強度を低下させるか
ら、0.50%未満の添加にとどめる。
【0012】Si:0.15〜0.40% Siは、脱酸剤として必要な元素である。JISにおい
ては、SKD6,SKD61,SKD62などの5%C
r系熱間工具鋼のSi量は、0.80〜1.20%と規
格に定められている。本発明においては、この範囲より
も、はるか低い領域を採用した。上限を0.40%とす
ることにより、意図した耐ヒートチェック性と靭性とが
実現した。一方、あまりにSi量を減らすと、被削性が
著しく低下するので、下限0.15%を設けた。
ては、SKD6,SKD61,SKD62などの5%C
r系熱間工具鋼のSi量は、0.80〜1.20%と規
格に定められている。本発明においては、この範囲より
も、はるか低い領域を採用した。上限を0.40%とす
ることにより、意図した耐ヒートチェック性と靭性とが
実現した。一方、あまりにSi量を減らすと、被削性が
著しく低下するので、下限0.15%を設けた。
【0013】Mn:1.5%以下 Mnもまた鋼の脱酸剤であるが、そのほかに焼入れ性お
よび硬さの確保という点から、ある程度添加すべきであ
る。過大に添加すると加工性を損なうので、1.5%以
下の添加量をえらぶ。
よび硬さの確保という点から、ある程度添加すべきであ
る。過大に添加すると加工性を損なうので、1.5%以
下の添加量をえらぶ。
【0014】S:0.015〜0.050% よく知られているように、SはMnとともにMnSを形
成し、それが介在物として切削時の応力集中源となり、
被削性を高める。しかし、前記したSKD61系快削鋼
のように0.1%も添加すると、靭性および耐ヒートチ
ェック性の低下が著しい。本発明では、所定量のTeや
Caとの複合添加により、S量が最大0.050%まで
の範囲で、被削性をかなり改善できる。ただし、少なく
とも下限値0.015%のSが存在しないと、添加効果
が得られない。
成し、それが介在物として切削時の応力集中源となり、
被削性を高める。しかし、前記したSKD61系快削鋼
のように0.1%も添加すると、靭性および耐ヒートチ
ェック性の低下が著しい。本発明では、所定量のTeや
Caとの複合添加により、S量が最大0.050%まで
の範囲で、被削性をかなり改善できる。ただし、少なく
とも下限値0.015%のSが存在しないと、添加効果
が得られない。
【0015】Cr:4.0〜6.0% Crは炭化物を生成して、マトリクスを強化し、耐摩耗
性を向上させる。そのほか、焼入性の確保のためにも役
立つ。こうした効果を得るためには、4.0%以上の添
加が必要である。適切な添加量の範囲は狭く、6.0%
を超えると焼入性がかえって低下し、熱間加工性の低下
も招く。
性を向上させる。そのほか、焼入性の確保のためにも役
立つ。こうした効果を得るためには、4.0%以上の添
加が必要である。適切な添加量の範囲は狭く、6.0%
を超えると焼入性がかえって低下し、熱間加工性の低下
も招く。
【0016】MoおよびWの1種または2種(Mo+
0.5Wとして):0.8〜4.0%MoもWも炭化物
を生成して、Crと同様にマトリクスを強化し、耐摩耗
性を向上させるとともに、焼入れ性を高める。こうした
効果に関して、Wは重量あたりの作用がMoの約半分で
ある。そこで、併用の場合はMo+0.5Wとして取り
扱い、少なくとも0.8%を添加する。過大な量を添加
すると靭性を損なうから、4.0%以内の添加にとどめ
る。
0.5Wとして):0.8〜4.0%MoもWも炭化物
を生成して、Crと同様にマトリクスを強化し、耐摩耗
性を向上させるとともに、焼入れ性を高める。こうした
効果に関して、Wは重量あたりの作用がMoの約半分で
ある。そこで、併用の場合はMo+0.5Wとして取り
扱い、少なくとも0.8%を添加する。過大な量を添加
すると靭性を損なうから、4.0%以内の添加にとどめ
る。
【0017】V:1.70%未満 Vもまた炭化物を生成し、マトリクスの強化と耐摩耗性
向上に寄与するから、適量を添加する。V量が過大であ
ると靭性にとって不利になるから、1.70%未満の範
囲に適量が見出される。
向上に寄与するから、適量を添加する。V量が過大であ
ると靭性にとって不利になるから、1.70%未満の範
囲に適量が見出される。
【0018】Te:0.0010%以上0.0100%
未満 Teは、Sとの複合添加により、硫化物系介在物を球状
化する働きがある。それにより、介在物の展伸がひきお
こす横方向の靭性および耐ヒートチェック性の低下が抑
制される。この効果は、0.0010%という少量の添
加で得られる。0.0100%またはそれ以上の多量の
添加は、製造時の熱間加工性を低くし、製品の耐ヒート
チェック性を悪くする。
未満 Teは、Sとの複合添加により、硫化物系介在物を球状
化する働きがある。それにより、介在物の展伸がひきお
こす横方向の靭性および耐ヒートチェック性の低下が抑
制される。この効果は、0.0010%という少量の添
加で得られる。0.0100%またはそれ以上の多量の
添加は、製造時の熱間加工性を低くし、製品の耐ヒート
チェック性を悪くする。
【0019】Ca:0.0002〜0.005% Caは微細な酸化物を生成し、それが硫化物系介在物形
成時に核となる。この作用が、SおよびTeと複合添加
したときに、硫化物の微細化をもたらす。加えて、製造
時の加工性をよくする働きもある。こうした効果は、
0.0002%の添加ですでに認められ、量の増大に伴
って高まるが、まもなく飽和するので、0.005%以
下の添加量が適切である。
成時に核となる。この作用が、SおよびTeと複合添加
したときに、硫化物の微細化をもたらす。加えて、製造
時の加工性をよくする働きもある。こうした効果は、
0.0002%の添加ですでに認められ、量の増大に伴
って高まるが、まもなく飽和するので、0.005%以
下の添加量が適切である。
【0020】硬さ:HRC40〜48 熱間金型として充分な強度と耐摩耗性とを確保するに
は、最低HRC40の硬さが必要である。硬くなるほど
被削性は悪くなり、実用的な限界はHRC48である。
は、最低HRC40の硬さが必要である。硬くなるほど
被削性は悪くなり、実用的な限界はHRC48である。
【0021】選択的に添加する任意添加元素のはたらき
と、組成範囲の限定理由はつぎのとおりである。
と、組成範囲の限定理由はつぎのとおりである。
【0022】Se:0.90%以下、ただしS+0.4
Se:0.015〜0.050% SeはSとほぼ同等な作用をするので、Sの一部を、
0.90%を限度としてSeで置き換えることができ
る。Seの原子量はSの約2.5倍であるから、被削性
の確保のためには、S+0.4Seが少なくとも0.0
15%なければならない。過度の添加は耐ヒートチェッ
ク性と靭性を低くするので、S+0.4Se:0.05
0%を上限とする。
Se:0.015〜0.050% SeはSとほぼ同等な作用をするので、Sの一部を、
0.90%を限度としてSeで置き換えることができ
る。Seの原子量はSの約2.5倍であるから、被削性
の確保のためには、S+0.4Seが少なくとも0.0
15%なければならない。過度の添加は耐ヒートチェッ
ク性と靭性を低くするので、S+0.4Se:0.05
0%を上限とする。
【0023】Ni:2.0%以下 Niは焼入れ性を向上させ、かつマトリクスの強化に有
効であるから、所望により添加する。ただし、加工性を
低下させるので、2.0%以下の添加量とすべきであ
る。
効であるから、所望により添加する。ただし、加工性を
低下させるので、2.0%以下の添加量とすべきであ
る。
【0024】B:0.010%以下 Bも焼入れ性を向上させる。ただし、熱間加工性を低下
させ、靭性にも悪影響があるので、0.010%までの
添加量をえらぶ。
させ、靭性にも悪影響があるので、0.010%までの
添加量をえらぶ。
【0025】Co:5.0%以下 Coは、Niと同様にマトリクスの強化に有効である。
加工性を低下させる点も同様であるから、添加量の限度
を5.0%とする。
加工性を低下させる点も同様であるから、添加量の限度
を5.0%とする。
【0026】Cu:0.5%以下 Cuも、マトリクスの強化に役立つ。過大な添加は靭性
の低下を招き、適切な添加量の限度は0.5%である。
の低下を招き、適切な添加量の限度は0.5%である。
【0027】Nb:0.5%以下、Ti:0.5%以
下、Ta:0.5%以下 いずれも微細な炭化物を形成して、結晶粒の微細化、ひ
いては靭性の向上に寄与する。多量に添加しても効果が
飽和するので、いずれも0.5%の上限を設けた。
下、Ta:0.5%以下 いずれも微細な炭化物を形成して、結晶粒の微細化、ひ
いては靭性の向上に寄与する。多量に添加しても効果が
飽和するので、いずれも0.5%の上限を設けた。
【0028】Zr:0.5%以下、Al:0.05%以
下 ともに微細な窒化物を形成し、結晶粒の微細化を通じて
靭性の向上に寄与する点で、上記Nb、TiおよびTa
と共通である。効果が飽和する添加量、すなわちZrは
0.5%、Alは0.05%をもって上限とした。
下 ともに微細な窒化物を形成し、結晶粒の微細化を通じて
靭性の向上に寄与する点で、上記Nb、TiおよびTa
と共通である。効果が飽和する添加量、すなわちZrは
0.5%、Alは0.05%をもって上限とした。
【0029】REM:0.01%以下 REMは、鋼中の不純物とくにOやPを固定し、マトリ
クスの清浄度を高めることによって、靭性を向上させ
る。しかし、過大な添加は地きずを発生させて好ましく
ない。この観点から、0.01%を限度とする。
クスの清浄度を高めることによって、靭性を向上させ
る。しかし、過大な添加は地きずを発生させて好ましく
ない。この観点から、0.01%を限度とする。
【0030】
【実施例】表1に掲げた組成の鋼を真空誘導炉で溶製
し、150kgインゴットに鋳造した。比較のため、在
来のSKD61鋼およびSKD61系快削鋼のインゴッ
トも製造した。各インゴットを1200℃に加熱して鍛
造し、幅150mm、厚さ50mmのビレットにした。
これらを870℃に加熱し、徐冷して焼鈍した。
し、150kgインゴットに鋳造した。比較のため、在
来のSKD61鋼およびSKD61系快削鋼のインゴッ
トも製造した。各インゴットを1200℃に加熱して鍛
造し、幅150mm、厚さ50mmのビレットにした。
これらを870℃に加熱し、徐冷して焼鈍した。
【0031】 表 1 合金組成No. C Si Mn S Se Cr Mo W V Te Ca他 比較例 1* 0.38 0.90 0.45 0.002 - 5.33 1.22 - 0.82 - - 2* 0.38 0.85 0.58 0.13 - 4.87 1.05 - 0.41 - - 3 0.32 0.06 0.59 0.027 - 5.55 2.93 - 0.84 0.0049 0.0009 4 0.35 0.50 0.57 0.026 - 5.51 2.93 - 0.83 0.0054 0.0014 5 0.32 0.25 0.60 0.002 - 5.50 3.00 - 0.84 0.0050 0.0018 6 0.33 0.27 0.61 0.062 - 5.54 2.99 - 0.84 0.0056 0.0016 7 0.33 0.26 0.57 0.025 - 5.53 2.93 - 0.85 - - 実施例 1 0.33 0.26 0.60 0.024 - 5.57 2.95 - 0.84 0.0053 0.0010 2 0.39 0.24 0.45 0.025 - 5.30 1.21 - 0.85 0.0045 0.0018 3 0.45 0.18 0.43 0.018 - 4.18 3.62 - 1.06 0.0014 0.0005 4 0.37 0.35 1.10 0.046 - 5.29 1.25 1.08 0.29 0.0077 0.0038 5 0.33 0.28 0.60 0.013 0.080 5.49 2.97 - 0.87 0.0051 0.0014 6 0.34 0.26 0.58 0.026 - 5.55 3.02 - 0.90 0.0048 0.0011 Ni 1.53 Co 3.94 7 0.33 0.26 0.57 0.025 0.034 5.59 2.89 0.88 0.83 0.0050 0.0012 Ni 0.46 Co 0.52 B 0.008 Cu 0.31 Nb 0.98 Ti 0.03 Ta 0.12 Zr 0.15 Al 0.03 REM 0.005 1* SKD61 2* SKD61系快削鋼 焼鈍し材料から、シャルピー試験、ヒートチェック試験
および被削性試験の各試験片を粗加工により取り出し
た。試験片に対して、1030℃−油冷の焼入れ、およ
び600〜640℃での焼戻しを行い、硬さをHRC4
0〜48に調整した。比較例(SKD61)の被削性試
験用の試験片だけは、HRC35に調整した。ついで、
調質した試験片を精加工して、つぎの寸法にした。
および被削性試験の各試験片を粗加工により取り出し
た。試験片に対して、1030℃−油冷の焼入れ、およ
び600〜640℃での焼戻しを行い、硬さをHRC4
0〜48に調整した。比較例(SKD61)の被削性試
験用の試験片だけは、HRC35に調整した。ついで、
調質した試験片を精加工して、つぎの寸法にした。
【0032】シャルピー試験片: JIS3号 ヒートチェック試験片: 径15mm×高さ5mmの円
柱 被削性試験片: 幅140mm×厚さ45mm×長さ2
00mm 試験法は、それぞれつぎのとおりである。 (シャルピー試験): 常温での靭性を測定 (ヒートチェック試験): 高周波加熱および水冷によ
り、室温と650℃との間を往復する加熱冷却を150
0回繰り返し、試験片に生じたクラックの平均長さで評
価 (被削性試験): 下記の条件で切削し、逃げ面摩耗幅
0.3mmとなるまでの切削長さを測定し、SKD61
焼入れ・焼戻し材(HRC35)の切削長さを100と
する相対値で評価 工具:超硬エンドミル、1刃 切削幅:0.5mm
切削深さ:3mm 切削速度:100m/min 送り:0.05mm/刃
切削油:乾式 上記試験の結果を、硬さとともに表2に示す。
柱 被削性試験片: 幅140mm×厚さ45mm×長さ2
00mm 試験法は、それぞれつぎのとおりである。 (シャルピー試験): 常温での靭性を測定 (ヒートチェック試験): 高周波加熱および水冷によ
り、室温と650℃との間を往復する加熱冷却を150
0回繰り返し、試験片に生じたクラックの平均長さで評
価 (被削性試験): 下記の条件で切削し、逃げ面摩耗幅
0.3mmとなるまでの切削長さを測定し、SKD61
焼入れ・焼戻し材(HRC35)の切削長さを100と
する相対値で評価 工具:超硬エンドミル、1刃 切削幅:0.5mm
切削深さ:3mm 切削速度:100m/min 送り:0.05mm/刃
切削油:乾式 上記試験の結果を、硬さとともに表2に示す。
【0033】 表 2 硬さおよび物性 No. 硬 さ シャルピー値 耐ヒートチェ 被削性 (HRC)(J/cm2 ) ック性(μm) 比較例 1* 45 24 25 − 35 − − 100 2* 41 10 80 230 3 44 35 10 50 4 44 22 18 165 5 44 39 11 30 6 44 12 23 195 7 44 23 15 120 実施例 1 44 36 15 115 2 47 33 16 115 3 48 37 13 105 4 47 26 22 160 5 47 27 20 155 6 40 36 21 115 7 41 35 23 110 実施例のプリハードン熱間工具鋼は、汎用されているS
KD61焼入れ・焼戻し材にくらべ、シャルピー値が高
く(24J/cm2に対して、26〜37J/cm2)、
かつ耐ヒートチェック性がすぐれている(25μmに対
し23〜15μm)。被削性は、SKD61系快削鋼
(相対値230)には及ばないが、SKD61を焼入れ
・焼戻ししたものであって、切削加工が容易なHRC3
5材(基準値100)よりすぐれている(相対値105
〜160)。
KD61焼入れ・焼戻し材にくらべ、シャルピー値が高
く(24J/cm2に対して、26〜37J/cm2)、
かつ耐ヒートチェック性がすぐれている(25μmに対
し23〜15μm)。被削性は、SKD61系快削鋼
(相対値230)には及ばないが、SKD61を焼入れ
・焼戻ししたものであって、切削加工が容易なHRC3
5材(基準値100)よりすぐれている(相対値105
〜160)。
【0034】
【発明の効果】本発明のプリハードン熱間工具鋼は、在
来のSKD61焼入れ・焼戻し材よりも高い靭性と耐ヒ
ートチェック性を有し、かつ、それよりもすぐれた被削
性を有している。本発明で実現した被削性レベルは、S
KD61系快削鋼の被削性には及ばないが、靭性や耐ヒ
ートチェック性に関しては、SKD61系快削鋼に大差
をつけている。このように、加工性をあまり犠牲にせず
に、高い靭性と耐ヒートチェック性とをもったプリハー
ドン熱間工具鋼が得られたので、プリハードン鋼を材料
とする熱間工具の寿命を、延長することができる。
来のSKD61焼入れ・焼戻し材よりも高い靭性と耐ヒ
ートチェック性を有し、かつ、それよりもすぐれた被削
性を有している。本発明で実現した被削性レベルは、S
KD61系快削鋼の被削性には及ばないが、靭性や耐ヒ
ートチェック性に関しては、SKD61系快削鋼に大差
をつけている。このように、加工性をあまり犠牲にせず
に、高い靭性と耐ヒートチェック性とをもったプリハー
ドン熱間工具鋼が得られたので、プリハードン鋼を材料
とする熱間工具の寿命を、延長することができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 重量で、C:0.30%以上0.50%
未満、Si:0.15〜0.40%、Mn:1.5%以
下、S:0.015〜0.050%、Cr:4.0〜
6.0%、MoおよびWの1種または2種を、Mo+
0.5W:0.8〜4.0%、V:1.70%未満、T
e:0.0010%以上0.0100%未満およびC
a:0.0002〜0.005%を含有し、残部が実質
上Feである合金組成を有し、硬さをHRC40〜48
に調質してなるプリハードン熱間工具鋼。 - 【請求項2】 請求項1に記載の合金成分のうち、Sの
一部をSe:0.090%以下で置き換え、S+0.4
Se:0.015〜0.050%とした合金組成のプリ
ハードン熱間工具鋼。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の合金成分に加
え、Ni:2.0%以下およびB:0.010%以下の
1種または2種を含有する合金組成としたプリハードン
熱間工具鋼。 - 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の合
金成分に加え、Co:5.0%以下およびCu:0.5
%以下の1種または2種を含有する合金組成としたプリ
ハードン熱間工具鋼。 - 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の合
金成分に加え、Nb:0.5%以下、Ti:0.5%以
下、Ta:0.5%以下、Zr:0.5%以下およびA
l:0.05%以下の1種または2種以上を含有する合
金組成としたプリハードン熱間工具鋼。 - 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の合
金成分に加え、REM:0.01%以下を含有する合金
組成としたプリハードン熱間工具鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29733899A JP2001115234A (ja) | 1999-10-19 | 1999-10-19 | プリハードン熱間工具鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29733899A JP2001115234A (ja) | 1999-10-19 | 1999-10-19 | プリハードン熱間工具鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001115234A true JP2001115234A (ja) | 2001-04-24 |
Family
ID=17845238
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29733899A Pending JP2001115234A (ja) | 1999-10-19 | 1999-10-19 | プリハードン熱間工具鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001115234A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2870546A1 (fr) * | 2004-05-21 | 2005-11-25 | Industeel Creusot | Acier a haute resistance mecanique et a l'usure |
JP2013007098A (ja) * | 2011-06-24 | 2013-01-10 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | 熱間鍛造用鋼 |
CN105568154A (zh) * | 2016-03-25 | 2016-05-11 | 叶斌 | 螺柱焊导电夹持器 |
CN107523758A (zh) * | 2017-06-30 | 2017-12-29 | 太仓旺美模具有限公司 | 一种高耐磨热作模具钢 |
-
1999
- 1999-10-19 JP JP29733899A patent/JP2001115234A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2870546A1 (fr) * | 2004-05-21 | 2005-11-25 | Industeel Creusot | Acier a haute resistance mecanique et a l'usure |
WO2005123975A2 (fr) * | 2004-05-21 | 2005-12-29 | Industeel Creusot | Acier a haute resistance mecanique et a l'usure |
WO2005123975A3 (fr) * | 2004-05-21 | 2006-12-21 | Industeel Creusot | Acier a haute resistance mecanique et a l'usure |
US7794651B2 (en) | 2004-05-21 | 2010-09-14 | Industeel Creusot | Steel having high mechanical strength and wear resistance |
US8097207B2 (en) | 2004-05-21 | 2012-01-17 | Industeel Creusot | Steel having high mechanical strength and wear resistance |
JP2013007098A (ja) * | 2011-06-24 | 2013-01-10 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | 熱間鍛造用鋼 |
CN105568154A (zh) * | 2016-03-25 | 2016-05-11 | 叶斌 | 螺柱焊导电夹持器 |
CN107523758A (zh) * | 2017-06-30 | 2017-12-29 | 太仓旺美模具有限公司 | 一种高耐磨热作模具钢 |
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