JP2002256156A - ポリマー改質剤とその製造方法 - Google Patents

ポリマー改質剤とその製造方法

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JP2002256156A
JP2002256156A JP2001059501A JP2001059501A JP2002256156A JP 2002256156 A JP2002256156 A JP 2002256156A JP 2001059501 A JP2001059501 A JP 2001059501A JP 2001059501 A JP2001059501 A JP 2001059501A JP 2002256156 A JP2002256156 A JP 2002256156A
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polymer
polymerization
acrylate
low
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JP2001059501A
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English (en)
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Fumiko Nakano
史子 中野
Yutaka Moroishi
裕 諸石
Tetsuo Inoue
徹雄 井上
Tomoko Doi
知子 土井
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビニル系単量体を用いて、ラジカル重合法に
より分子量分布の狭い低分子量重合体を生成し、これを
有効成分として、成形品表面のマイグレーションなどの
問題のないポリマー改質剤を得ることを目的とする。 【解決手段】 スチレン系や(メタ)アクリレート系な
どのビニル系単量体を、遷移金属とその配位子の存在
下、重合開始剤を用いてリビングラジカル重合して、ガ
ラス転移温度が−70〜150℃で、数平均分子量が5
00〜15,000であり、さらに分子量分布が1.0
〜2.5である低分子量重合体を生成し、これを有効成
分とすることを特徴とするポリマー改質剤の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スチレン系、(メ
タ)アクリレート系などの各種のビニル系単量体の低分
子量重合体からなるポリマー改質剤に関する。
【0002】
【従来の技術】低分子量重合体は、その分子量の小ささ
のため、高分子量ポリマーに比べて、反応性が大きく、
ポリマーとの相溶性が良好であるという特徴を有してい
る。しかしながら、分子量分布や末端官能基をいかに規
制するか、特定の官能基をいかに導入するかなど、その
合成法は極めて多様であり、また多くの問題点があり、
大部分のオリゴマーは 分子量はもとより、ときには化
学構造も異なる分子の混合物であることから、魅力に欠
けるものである。
【0003】具体的には、2量体や3量体を多く含むよ
うな広い分子量分布を持つ低分子量重合体をポリマー改
質剤として使用する場合、ポリマー成形品の表面にこの
2量体や3量体物が偏析する現象、ブリーディングやマ
イグレーションと呼ばれる現象などがあり、成形品表面
に悪影響を与えることが問題となっている。
【0004】ところで、1956年のSzwarc〔N
ature 178,1169(1965),J.A
m.Chem.Soc.78,2656(1956)〕
によるポリスチレンのリビングアニオン重合の発見か
ら、リビング重合が分子量や構造制御に適した方法のひ
とつとみられるようになった。アニオン重合では、カチ
オン重合の場合と異なり、カルバニオンが安定であっ
て、十分精製した系では停止や移動反応が起こりにく
く、リビング重合が可能である。しかし、重合可能な単
量体の種類が少なく、官能基を有する単量体類の重合が
困難である。これは、生成するリビングポリマーの末端
カルバニオンの求核性が非常に高く、たとえば、活性水
素を有する水酸基やアミノ基、あるいはカルボニル基な
どの反応性の高い官能基はもちろんのこと、一般の官能
基でも共存が難しいためである。
【0005】これに対し、ラジカル重合は工業的に最も
広く利用されている重合法であり、重合可能な単量体の
多様さ、反応系の取り扱いの容易さとそれに基づく製造
コストの低廉化などが広く利用されている理由と考えら
れる。しかし、ラジカル重合で分子量の制御された低分
子量重合体を得ることは、重合開始剤の量の選択や重合
熱の制御が難しいことから、容易ではなかった。それゆ
え、ラジカル重合での生長末端の変換、制御による重合
反応の精密化が強く求められ、イオン重合では合成でき
ない単量体種をリビング重合する方法が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑み、スチレン系や(メタ)アクリレート系など
の各種のビニル系単量体を用いてラジカル重合法により
分子量分布の狭い低分子量重合体を生成し、これを有効
成分とすることにより、前記したマイグレーションなど
の問題のないポリマー改質剤を得ることを目的としてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため、鋭意検討した結果、ビニル系単量体
を特定の重合活性化剤と重合開始剤を用いてリビングラ
ジカル重合させる方法によると、無溶剤または少量の溶
剤の存在下、重合熱の制御などの問題を生じることな
く、分子量分布の狭い低分子量重合体を容易に生成で
き、これを有効成分とすることにより、前記したマイグ
レーションなどの問題のないポリマー改質剤が得られる
ことを知り、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、ガラス転移温度が−
70〜150℃、数平均分子量が500〜15,00
0、分子量分布が1.0〜2.5であるビニル系単量体
の低分子量重合体を有効成分とすることを特徴とするポ
リマー改質剤、とくに、上記の低分子量重合体が分子鎖
末端に水酸基またはエポキシ基を少なくとも1個有する
上記構成のポリマー改質剤に係るものである。
【0009】また、本発明は、ビニル系単量体を、遷移
金属とその配位子の存在下、重合開始剤を用いてリビン
グラジカル重合して、ガラス転移温度が−70〜150
℃、数平均分子量が500〜15,000、分子量分布
が1.0〜2.5である低分子量重合体を生成し、これ
を有効成分とすることを特徴とするポリマー改質剤の製
造方法、とくに、上記の遷移金属と配位子の組み合わせ
がCu+1−ビピリジン錯体である上記構成のポリマー改
質剤の製造方法に係るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】リビングラジカル重合法に関して
は、たとえば、(1)Pattenらによる報告、“Radical
Polymerization Yielding Polymers with Mw/Mn 〜 1.0
5 by Homogeneous Atom Transfer Radical Polymerizat
ion ”Polymer Preprinted,pp 575-6,No37(March 199
6)、(2)Matyjasewskiらによる報告、“Controlled
/LivingRadical Polymerization. Halogen Atom Trans
fer Radical Polymerization Promoted by a Cu(I)/Cu
(II)Redox Process ”Macromolecules 1995,28,7901-10
(October 15,1995)、(3)同著PCT/US96/0330
2,International Publication No.WO96/30421 (Oc
tober 3,1996)、(4)M.Sawamotoらの報告、“Ruthen
ium-mediated Living Radical polymerization of Meth
yl Methacrylate ”Macromolecules,1996,29,1070.など
が知られている。
【0011】本発明者らは、このリビングラジカル重合
法に着目して、活性化剤として遷移金属とその配位子を
使用し、これらの存在下、重合開始剤を使用して、各種
のビニル系単量体をリビングラジカル重合させることに
より、分子量分布の狭い低分子量重合体を、容易に生成
できることを見い出したものである。
【0012】遷移金属としては、Cu、Ru、Fe、R
h、VまたはNiがあり、通常、これら金属のハロゲン
化物(塩化物、臭化物など)の中から、用いられる。ま
た、配位子は、遷移金属を中心にして配位して錯体を形
成するものであつて、ビピリジン誘導体、メルカプタン
誘導体、トリフルオレ―ト誘導体などが好ましく用いら
れる。遷移金属とその配位子の組み合わせの中でも、C
+1−ビピリジン錯体が、重合の安定性や重合速度の面
で、最も好ましい。
【0013】重合開始剤としては、α−位にハロゲンを
含有するエステル系またはスチレン系誘導体が好まし
く、とくに2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸誘
導体、塩化(または臭化)1−フエニル誘導体が好まし
く用いられる。具体的には、2−ブロモ(またはクロ
ロ)プロピオン酸メチル、2−ブロモ(またはクロロ)
プロピオン酸エチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2
−メチルプロピオン酸メチル、2−ブロモ(またはクロ
ロ)−2−メチルプロピオン酸エチル、塩化(または臭
化)1−フエニルエチルなどが挙げられる。
【0014】ビニル系単量体としては、ポリマーのガラ
ス転移温度が−70〜150℃となるものであればよ
く、その種類はとくに限定されず、各種のものを使用で
きる。具体的には、ガラス転移温度が20℃以上のポリ
マーを付与する単量体として、スチレン、α−メチルス
チレン、2,4−ジメチルスチレン、4−メトキシスチ
レンなどのスチレン系単量体や、イソボルニルアクリレ
ート、ジシクロペンタニルアクリレートなどのスチレン
系以外の単量体などを使用できる。
【0015】また、ガラス転移温度が室温以下のポリマ
ーを付与する単量体として、一般式:CH2 =CR1
OOR2 (式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2
は炭素数2〜14のアルキル基である)で表される(メ
タ)アクリレート系単量体を使用でき、とくに、n−ブ
チル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレー
ト、イソノニル(メタ)アクリレートなどの炭素数4〜
12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ま
しく用いられる。その他のビニル系単量体として、無水
マレイン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステ
ル、マレイミド系単量体、アクリロニトリルなどのニト
リル基含有単量体なども使用することができる。
【0016】本発明においては、上記のビニル系単量体
の中から、その1種だけを選択使用して単独重合体を生
成してもよいし、2種以上を組み合わせ使用して共重合
体を生成してもよい。また、共重合体を生成する場合、
2種以上の単量体を同時にリビングラジカル重合してラ
ンダム共重合体を生成してもよいし、2種以上の単量体
を逐次的にリビングラジカル重合してブロック共重合体
を生成してもよい。ブロック共重合体を生成すると、ミ
クロ相分離構造などを発現させたり、2種以上のべース
ポリマーに対して両ポリマー間の相溶性を向上させる相
溶化剤的な役割を担わせるなど、新規な機能を発現させ
ることができる。
【0017】リビングラジカル重合において、重合開始
剤としては、ビニル系単量体に対し、通常0.01〜5
モル%の割合で用いられる。また、遷移金属の使用量
は、ハロゲン化物などの形態として、上記重合開始剤1
モルに対して、通常0.01〜1モルの割合で用いられ
る。さらに、その配位子は、上記の遷移金属(ハロゲン
化物などの形態)1モルに対して、通常1〜3モルの割
合で用いられる。重合開始剤と活性化剤とをこのような
使用割合にすると、リビングラジカル重合の反応性、生
成ポリマ―の分子量などに好結果が得られる。
【0018】このようなリビングラジカル重合は、無溶
剤でも進行させることができるし、酢酸ブチル、トルエ
ン、キシレンなどの溶剤の存在下で進行させてもよい。
溶剤を用いる場合、重合速度の低下を防ぐため、重合終
了後の溶剤濃度が50重量%以下となる少量の使用量と
するのがよい。無溶剤または少量の溶剤量でも、重合熱
の制御などに関する問題はなく、むしろ溶剤削減によっ
て経済性や環境対策などの面で好ましい結果が得られ
る。また、重合条件としては、重合速度や触媒の失活の
点より、50〜130℃の重合温度で、最終的な分子量
や重合温度にも依存するが、約1〜24時間の重合時間
とすればよい。
【0019】このようにして生成される低分子量重合体
は、既述のとおり、単独重合体、ランダム共重合体また
はブロック共重合体からなり、そのガラス転移温度が−
70〜150℃の範囲、数平均分子量が500〜15,
000、好適には1,000〜10,000の範囲にあ
るとともに、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子
量)が1.0〜2.5の範囲にあることを大きな特徴と
しており、このような狭い分子量分布を有しているため
に、ポリマー改質剤として利用したときにマイグレーシ
ョンなどの問題が起こらないという利点を有している。
【0020】上記の数平均分子量は、GPC(ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー)法によるポリスチレ
ン換算にて求められる値である。生成重合体の数平均分
子量〔Mn〕は、Mn(計算値)=〔(モノマ―の分子
量)×(モノマ―のモル比)〕/(重合開始剤のモル
比)にて与えられることが知られている。このため、理
論的には、ビニル系単量体と重合開始剤の仕込み比率を
調節することで、重合体の数平均分子量を意図的に制御
することができる。
【0021】数平均分子量およびガラス転移温度が前記
の範囲外になると、ポリマー改質剤としての利用性に劣
るようになり、とくに数平均分子量が15,000を超
えるとベースポリマーへの相溶性などに問題を生じやす
く、また500未満となるとこれを配合したポリマー成
形品の表面性の悪化などの問題を生じやすい。
【0022】本発明においては、上記の低分子量重合体
として、分子鎖末端に水酸基またはエポキシ基を少なく
とも1個有するものを生成することができる。このよう
な低分子量重合体は、重合開始剤として分子内に水酸基
またはエポキシ基を有するものを使用したり、重合後期
にビニル系単量体の1種として分子内に水酸基またはエ
ポキシ基を有するものを添加したり、さらにはこれらを
組み合わせることにより、容易に生成できる。とくに、
上記の組み合わせにより、分子鎖両末端に上記官能基を
有するテレケリック型の低分子量重合体を生成できる。
【0023】分子内に水酸基またはエポキシ基を有する
重合開始剤を使用すると、ポリマ―分子鎖の開始末端に
上記官能基を導入させることができる。このような重合
開始剤としては、α−位にハロゲンを含有するエステル
系またはスチレン系誘導体であって、その分子内に上記
官能基を有するもので、リビングラジカル重合の進行を
妨げないものでない限り、使用することができる。
【0024】具体的には、分子内に水酸基を有する重合
開始剤として、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン
酸2−ヒドロキシエチル、2−ブロモ(またはクロロ)
プロピオン酸4−ヒドロキシブチル、2−ブロモ(また
はクロロ)−2−メチルプロピオン酸2−ヒドロキシエ
チル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピ
オン酸4−ヒドロキシブチルなどが挙げられる。
【0025】また、分子内にエポキシ基を有する重合開
始剤としては、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン
酸グリシジル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチ
ルプロピオン酸グリシジル、2−ブロモ(またはクロ
ロ)プロピオン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチ
ル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオ
ン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルなどが挙げ
られる。
【0026】分子内に水酸基またはエポキシ基を有する
単量体を使用し、これを重合後期に添加すると、ポリマ
ー分子鎖の停止末端に上記官能基を導入できる。分子内
に水酸基を有する単量体としては、一般式:CH2 =C
3 COOR4 (式中、R3は水素原子またはメチル
基、R4 は水酸基を少なくとも1個有する炭素数2〜6
のアルキル基である)で表されるヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレ―トが用いられる。具体的には、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ―ト、3−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレ―ト、4−ヒドロキシブチ
ル(メタ)アクリレ―ト、6−ヒドロキシヘキシル(メ
タ)アクリレ―トなどがある。
【0027】また、分子内にエポキシ基を有する単量体
としては、一般式:CH2 =CR5COOR6 (式中、
5 は水素原子またはメチル基、R6 はエポキシ基を少
なくとも1個有する炭素数2〜6のアルキル基である)
で表されるエポキシ基含有の(メタ)アクリレ―トが用
いられる。具体的には、グリシジル(メタ)アクリレ―
ト、メチルグリシジル(メタ)アクリレ―ト、3,4−
エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ―ト、
6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
(メタ)アクリレ―トなどが挙げられる。
【0028】このようにして得られる本発明の低分子量
重合体は、そのガラス転移温度などに応じて、ポリマー
改質剤としての種々の用途に利用できる。たとえば、ガ
ラス転移温度が30〜150℃の低分子量重合体は、粘
着剤のベースポリマーに配合して粘着性を付与する粘着
付与剤として使用できる。その際、ベースポリマーに
は、天然ゴム、合成ゴム、合成イソプレンゴム、スチレ
ン−ブタジェン共重合ゴムなどのゴム系のもの、ポリ
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体などの(メタ)
アクリル系のものが用いられる。これらのベースポリマ
ー、とくに(メタ)アクリル系のポリマーは、リビング
ラジカル重合法により合成したものであっても、通常の
ラジカル重合法により合成したものであってもよい。
【0029】また、ガラス転移温度が−70〜30℃の
低分子量重合体は、ゴム系のべースポリマーを使用した
粘着剤に配合して低温時の流動性を高め、タックを高め
るための軟化剤として使用できる。その他、流動性を高
める目的で、塗料やフィルムのレベリング剤としても使
用できる。また、このような低分子量重合体と前記のガ
ラス転移温度が30〜150℃の低分子量重合体を粘着
剤に一緒に添加して、粘着付与剤と軟化剤との両役割を
果たさせることもできる。
【0030】さらに、本発明の低分子量重合体は、種々
の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂に配合してこれらの
樹脂に高度の耐衝撃性を付与する耐衝撃性改良剤として
利用できる。また、加工性改良剤、相溶化剤などとして
も利用できる。そのほかに、分子鎖末端に水酸基または
エポキシ基を少なくとも1個有する低分子量重合体にあ
っては、これが熱や紫外線などによりベースポリマーと
反応するため、反応性ポリマ―改質剤として利用するこ
とができる。この利用に際し、市販される公知の架橋剤
と組み合わせて使用することもできる。
【0031】また、本発明の低分子量重合体は、リビン
グラジカル重合法を用いて合成したものであるため、そ
れ自体ラジカル反応を阻害しないという特徴を有してい
る。そこで、この低分子量重合体をベースポリマー生成
用の単量体中に添加して、これを溶液重合、紫外線重
合、エマルジョン重合などの種々のラジカル重合に供す
ることにより、生成ベースポリマーと上記の低分子量重
合体とが混在一体化したポリマー組成物を得ることもで
きる。この場合、べースポリマーの一部が上記の低分子
量重合体にグラフトすることが予測されるため、べース
ポリマーと上記の低分子量重合体との相溶性にさらに好
結果が得られる。
【0032】
【実施例】以下に、本発明の実施例を記載して、より具
体的に説明する。なお、以下の実施例において、製造原
料は、大部分は市販の原料を用いたが、重合開始剤に
は、市販の2−ブロモイソ酪酸エチル(以下、2−IL
Eという)およびα,α′−アゾビスイソブチロニトリ
ル(以下、AIBNという)のほかに、下記の方法で合
成した2−ブロモプロピオン酸2−ヒドロキシエチル
(以下、2−H2PNという)、2−ブロモ−2−メチ
ルプロピオン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
(以下、2−MPEという)を使用した。
【0033】<2−H2PNの合成>ジシクロヘキシル
カルボジイミド4.1g(20ミリモル)と無水エチレ
ングリコール5g(81ミリモル)とピリジン1ミリリ
ットル(12ミリモル)を反応容器に入れ、これにアセ
トン14ミリリットルおよび2−ブロモプロピオン酸
2.5g(16.7ミリモル)を発熱反応を抑えるため
に氷浴で冷却しながら、添加した。16時間反応後、析
出物をろ去し、これに酢酸エチル20ミリリットルと飽
和食塩水15ミリリットルを加え、よく振とうした。し
ばらく静置したのち、上層の酢酸エチル層を希塩酸で2
回、飽和食塩水15ミリリットルでも3回洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを除去
したのち、酢酸エチルを減圧留去して、粗生成物を得
た。このようにして得られた粗生成物をシリカゲルクロ
マトグラフィー法(展開溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=
1/1混合溶剤)で精製して、目的物である2−H2P
Nを得た。その収量は1.5g(収率46重量%)であ
った。
【0034】<2−MPEの合成>3,4−エポキシシ
クロヘキシルメチルアルコール41.7g(326ミリ
モル)、トリエチルアミン50ミリリットル(359ミ
リモル)、ピリジン10ミリリットル(124ミリモ
ル)およびアセトン350ミリリットルを反応容器に入
れ、これにアセトン150ミリリットルおよび2−ブロ
モ−2−メチルプロピオン酸プロミド75g(326ミ
リモル)を発熱反応を抑えるために氷浴で冷却しなが
ら、添加した。16時間反応後、析出物をろ去し、こか
らアセトンを減圧留去して、粗生成物を得た。このよう
にして得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィ
ー法(展開溶剤:アセトン/ヘキサン=2/1混合溶
剤)で精製して、目的物である2−MPEを得た。その
収量は38g(収率42重量%)であった。
【0035】実施例1 メカニカルスタ―ラ、窒素導入口、冷却管およびラバ―
セプタムを備えた4つ口フラスコに、スチレン50g
(478ミリモル)を加え、これに2,2′−ビピリジ
ン1.872g(12ミリモル)を加えて、系内を窒素
置換した。これに窒素気流下、臭化銅0.715g(5
ミリモル)を加えて、反応系を90℃に加熱し、重合開
始剤として2−ILEを1,950mg(10ミリモ
ル)加えて重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下、
90℃で8時間重合した。このようにして得られた重合
物を、酢酸エチルで20重量%程度に希釈して、触媒を
ろ去した。最後に、酢酸エチルを留去し、減圧加熱(6
0℃)して、低分子量重合体(1) を得た。
【0036】実施例2 スチレンの使用量を100g(956ミリモル)に変更
した以外は、実施例1と同様にして、低分子量重合体
(2) を得た。
【0037】実施例3 メカニカルスタ―ラ、窒素導入口、冷却管およびラバ―
セプタムを備えた4つ口フラスコに、スチレン50g
(478ミリモル)を加え、これに2,2′−ビピリジ
ン1.872g(12ミリモル)を加えて、系内を窒素
置換した。これに窒素気流下、臭化銅0.715g(5
ミリモル)を加えて、反応系を90℃に加熱し、重合開
始剤として2−H2PNを2,110mg(10ミリモ
ル)加えて重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下、
90℃で8時間重合した。重合率が80重量%以上であ
ることを確認したのち、重合系に6−ヒドロキシヘキシ
ルアクリレート1.72g(10ミリモル)を加え、1
6時間重合した。このようにして得られた重合物を、酢
酸エチルで20重量%程度に希釈して、触媒をろ去し
た。最後に、酢酸エチルを留去し、減圧加熱(60℃)
して、分子両末端に水酸基を有する低分子量重合体(3)
を得た。
【0038】実施例4〜13 ビニル系単量体、重合開始剤および官能基含有単量体の
種類と量を、表1のように変更した以外は、実施例1ま
たは3と同様の手法にて、分子両末端に水酸基ないしエ
ポキシ基を有するかまたは有しない低分子量重合体(4)
〜(13)を得た。各重合に際し、臭化銅の使用量は重合開
始剤の0.5倍モル量とし、2,2′−ビピリジンはそ
の1.2倍モル量使用した。
【0039】なお、表1中、「St」はスチレン、「I
BXA」はイソボルニルアクリレート、「FEA」はフ
エノキシエチルアクリレート、「EA」はエチルアクリ
レート、「BA」はn−ブチルアクリレート、「6−H
HA」は6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、「3,
4−ECMA」は3,4−エポキシシクロヘキシルメチ
ルアクリレート、である。また、表1中に記載される
( )内の数値は、各原料成分のモル数(ミリモル)
を示したものである。
【0040】
【0041】比較例1 攪拌装置および冷却管を備えたフラスコに、n−ブチル
アクリレート100g(780ミリモル)をトルエン4
00gに溶解して投入し、これに重合開始剤としてAI
BN0.1gと連鎖移動剤として2−メルカプトエタノ
ール2gを加え、窒素ガス気流下で反応系を60℃に加
熱して、重合させた。このようにして、低分子量重合体
(14)を製造した。
【0042】上記の実施例1〜13および比較例1で得
られた低分子量重合体 (1)〜(14)について、DSC(示
差走査熱量)分析により、ガラス転移温度を調べたとこ
ろ、表2に示されるとおりであった。また、数平均分子
量〔Mn〕、重量平均分子量〔Mw〕およびポリマー分
散度〔Mw/Mn〕を測定した結果は、表3に示される
とおりであった。なお、分子量の測定は、本文中に記載
したGPC法により、行ったものである。
【0043】
【0044】
【0045】上記の表2および表3の結果から明らかな
ように、リビングラジカル重合法で合成した本発明の実
施例1〜13の各低分子量重合体は、ガラス転移温度が
−70〜150℃で、数平均分子量が500〜15,0
00の範囲にあって、かつ分子量分布が1.0〜2.5
の範囲内にあり、上記分子量分布幅が狭いという特徴が
あることから、これをポリマー改質剤としたときに、従
来のようにポリマー成形品表面におけるブリーディング
やマイグレーションなどの問題を生じないという利点を
有している。
【0046】実際、実施例1〜13の各低分子量重合体
を、通常のラジカル重合法で得た(メタ)アクリル系ポ
リマーに配合し、これを支持体上に塗布し、架橋処理し
て、粘着シートを作製したところ、いずれも、上記のよ
うな問題を起こすことなく、粘着力およず凝集力の大き
い、すぐれた粘着特性を発揮できた。これに対して、比
較例1の低分子量重合体を用いると、上記のような問題
を起こしやすく、また凝集力が大きく低下したり、粘着
力も低下することがわかった。また、実施例1〜13の
各低分子量重合体を、市販されるポリスチレン系樹脂に
配合してフィルム化すると、延びの良好なフィルムが得
られることがわかった。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、ビニ
ル系単量体を特定の活性化剤および重合開始剤を用いて
リビングラジカル重合させることにより、分子量分布の
狭い低分子量重合体を生成でき、これをポリマー改質剤
の有効成分としたことにより、従来のような成形品表面
のマイグレーションなどの問題が回避されたポリマー改
質剤を提供できるという格別の効果が奏されるものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 徹雄 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 土井 知子 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 4J002 AC011 AC061 AC081 BG041 BG042 BG051 BG102 BH022 FD202 4J015 CA15 4J100 AJ09P AK32P AL03P AL04P AL36P AM02P AM43P BA03H BC54H CA27 CA31 FA03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス転移温度が−70〜150℃、数
    平均分子量が500〜15,000、分子量分布が1.
    0〜2.5であるビニル系単量体の低分子量重合体を有
    効成分とすることを特徴とするポリマー改質剤。
  2. 【請求項2】 低分子量重合体は、分子鎖末端に水酸基
    またはエポキシ基を少なくとも1個有する請求項1に記
    載のポリマー改質剤。
  3. 【請求項3】 ビニル系単量体を、遷移金属とその配位
    子の存在下、重合開始剤を用いてリビングラジカル重合
    して、ガラス転移温度が−70〜150℃、数平均分子
    量が500〜15,000、分子量分布が1.0〜2.
    5である低分子量重合体を生成し、これを有効成分とす
    ることを特徴とするポリマー改質剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 遷移金属と配位子の組み合わせがCu+1
    −ビピリジン錯体である請求項3に記載のポリマー改質
    剤の製造方法。
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