JP2002148465A - 光ファイバ、光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイバの製造方法 - Google Patents

光ファイバ、光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイバの製造方法

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JP2002148465A JP2001258549A JP2001258549A JP2002148465A JP 2002148465 A JP2002148465 A JP 2002148465A JP 2001258549 A JP2001258549 A JP 2001258549A JP 2001258549 A JP2001258549 A JP 2001258549A JP 2002148465 A JP2002148465 A JP 2002148465A
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layer
cladding
fluorine
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勝也 永山
Kiichiro Kawasaki
希一郎 川▼崎▲
Takatoshi Kato
考利 加藤
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 線引時の張力制御が容易化される光ファイ
バ、光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイバの製造
方法を提供する。 【解決手段】 屈折率を上げるClが添加されたコア領
域100と、コア領域100の外周に設けられ、屈折率
を下げるFが添加されたクラッド領域200のクラッド
層201とを備える光ファイバを形成する。そして、最
外クラッド層となるクラッド層201について、その外
周を含む外縁部205内において、クラッド層201内
でのFの最小添加量となる所定の添加量までFの添加量
が順次減少していくように構成する。これによって、粘
性が大きくされた外縁部205に光ファイバ内の応力が
分散されて、コアへの応力集中が抑制される。このと
き、線引時の好適な張力値範囲が広くなるので、張力制
御が容易化される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光を伝送する光フ
ァイバ、光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイバの
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光ファイバを用いた光の伝送において、
光ファイバ内でのレイリー散乱によって生じるレイリー
散乱損失や、光ファイバ内の構造の乱れによって生じる
構造不整損失などの伝送損失が問題となる。
【0003】これらの伝送損失は、光ファイバ母材を加
熱線引して光ファイバを作製するときに、光ファイバに
加えられる張力に大きく影響される。すなわち、線引時
に好適とされる張力値範囲に対して、光ファイバに加え
られる張力が小さすぎるか、または過度な張力が加えら
れると、それによって光ファイバ内でのレイリー散乱損
失や構造不整損失などが増大する場合がある。より具体
的には、低張力では、構造不整損失が増大する。一方、
高張力では、レイリー散乱損失及び構造不整損失がとも
に増大する。また、このような線引時の張力は、伝送損
失以外の光ファイバの伝送特性やその構造、機械的強度
などにも影響を与える。
【0004】この線引時に光ファイバに加わる張力は、
通常、光ファイバ母材の加熱線引時において、線引中の
時間経過とともに変化していく。したがって、そのまま
光ファイバ母材を線引していくと、光ファイバ母材の全
長にわたって加えられる張力が大きく変化してしまい、
長尺で低伝送損失の光ファイバを作製することができな
い。このため、光ファイバの線引工程においては、その
張力を好適な張力値範囲内に保持するための張力制御が
必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】光ファイバの線引時に
おける上記した好適な張力値範囲は、光ファイバ母材の
構造、材質や、具体的な線引条件などによって異なる。
ここで、好適な光ファイバが得られる線引条件として許
容可能な張力値範囲が狭い数値範囲となっていると、光
ファイバ母材の全長にわたって張力制御を充分な精度で
行うことが極めて困難となる。
【0006】例えば、純SiO2(純石英)のコアを有
する光ファイバ(光ファイバ母材)では、コア領域の粘
性が、Fなどが添加されているクラッド領域よりも大き
くなる(例えば、文献「塙 他、電子情報通信学会論文
誌 1989/3 Vol.J72-C-I No.3,pp.167-176」参照)。こ
のため、光ファイバ母材の線引時に、光ファイバ内に発
生する応力がコアに集中し、伝送損失が増大する原因と
なる。このような場合、コアへの応力集中による伝送損
失の増大を抑制するためには、高精度での厳しい張力制
御が必要となるか、あるいは、充分に伝送損失が低減さ
れるように張力制御を行うことができないなどの問題を
生じる。
【0007】また、文献「坂口、電子情報通信学会論文
誌 2000/1 Vol.J83-C No.1, pp.30-36」に、線引後の光
ファイバの徐冷によって、光ファイバでのレイリー散乱
損失を低減することが記載されている。すなわち、ガラ
ス内でのレイリー散乱強度は材料によって一定に定まる
ものではなく、ガラス内での原子の配列状態の乱雑さを
示す仮想的な温度である仮想温度Tf(Fictive Temper
ature)に依存する。具体的には、ガラス内の仮想温度
Tfが高く(乱雑さが大きく)なると、レイリー散乱強
度は増大する。
【0008】これに対して、光ファイバ母材を加熱線引
するときに、線引炉の後段に加熱炉を設置しておき、線
引後の光ファイバが加熱炉を通過するときに所定の温度
範囲内となるように加熱する。これによって、加熱炉を
用いた加熱で線引後の光ファイバの急激な冷却が防止さ
れ、光ファイバが徐冷される。このとき、原子の再配列
によるガラスの構造緩和によって、光ファイバ内の仮想
温度Tfが低下して、光ファイバ内でのレイリー散乱強
度が抑制される。
【0009】しかしながら、このようなレイリー散乱損
失の低減効果が得られる製造方法を用いた場合でも、光
ファイバ母材の線引時における張力が好適な張力値範囲
内にないと、コアへの応力集中によって構造不整損失が
増大するなど、全体として伝送損失を低減することがで
きないことを本願発明者は見出した。
【0010】本発明は、以上の問題点を解決するために
なされたものであり、線引時の張力制御が容易化される
光ファイバ、光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイ
バの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明による光ファイバは、コア領域と、コ
ア領域の外周に設けられ、屈折率を下げるフッ素が添加
された1層または複数層のクラッド層を有するクラッド
領域と、を備え、1層または複数層のクラッド層のうち
で最も外側に位置する最外クラッド層は、その外周を含
む外縁部内において、層内でのフッ素の最小添加量とな
る所定の添加量までフッ素の添加量が順次減少していく
ように構成されていることを特徴とする。
【0012】上記した光ファイバにおいては、F(フッ
素)が添加されて形成されたクラッド層のうち、最外ク
ラッド層内でのFの添加量分布について、最外クラッド
層の外縁部(外周及びその近傍部分)内で、内側から外
側に向かってFの添加量が徐々に減少していくように最
外クラッド層を構成している。このとき、Fの添加量が
少ない最外クラッド層の外縁部において、その粘性が大
きくなるので、光ファイバ内に加わる応力がこの最外ク
ラッド層の外縁部に分散されて、コアへの応力集中が抑
制される。また、この応力分散によって、光ファイバの
線引時に許容される好適な張力値範囲についても、広い
数値範囲とすることができる。
【0013】これにより、本発明による光ファイバは、
線引時における張力制御が容易化される構成の光ファイ
バとなる。同時に、コアへの過度の応力集中などによっ
て生じる伝送損失の増大や伝送特性の劣化が防止され
て、全長にわたって安定した伝送特性を有する光ファイ
バが実現される。
【0014】なお、上記したFの添加量分布について
は、Fの添加量を減少させる領域が最外クラッド層の外
縁部であるため、コア領域内及びその近傍のクラッド領
域内を伝送される光の伝送特性には影響を与えることが
ない。したがって、光ファイバの伝送特性等を好適に保
持しつつ、張力制御の容易化、あるいはそれによる伝送
損失の低減を達成することができる。
【0015】また、クラッド領域は、コア領域の外周に
設けられた内クラッド層と、内クラッド層の外周に設け
られて最外クラッド層となる外クラッド層との2層のク
ラッド層からなるとともに、外クラッド層でのフッ素の
平均添加量が、内クラッド層でのフッ素の平均添加量よ
りも小さいことを特徴とする。
【0016】上記した光ファイバは、伝送される光をコ
ア領域及びその近傍へと効率的に閉じ込めるための、F
の添加量が大きい(比屈折率差が小さい)内クラッド層
と、伝送特性を調整する効果やコアへの応力集中を低減
する効果などを有する、Fの添加量が小さい(比屈折率
差が大きい)外クラッド層との2層構造からなるクラッ
ド領域を備える。このような構成からなる光ファイバに
おいても、最外クラッド層となる外クラッド層の外縁部
でFの添加量を減少させることによって、1層構造のク
ラッド領域を備える光ファイバなどと同様に、光ファイ
バの張力制御を容易化することが可能である。
【0017】このとき、コア近傍への光の閉じ込めや、
コアへの応力集中の抑制効果を充分に得るため、外クラ
ッド層は、各部における比屈折率差を純SiO2での屈
折率を基準として%で表して定義したときに、その平均
比屈折率差Δn2が、条件 Δn2≧−0.26% を満たすことが好ましい。また、さらに、Δn2≧−
0.22%とすることが好ましい。
【0018】また、外クラッド層は、その内周近傍での
フッ素の添加量が層内でのフッ素の最大添加量よりも少
ないことを特徴としても良い。上記した2層構造のクラ
ッド領域の場合、外クラッド層(最外クラッド層)の形
成時に、その内周近傍でFの添加量がやや減少する場合
がある。このような添加量分布となった場合において
も、上記した光ファイバの構成を適用することによっ
て、外縁部への応力分散を実現することができる。
【0019】また、最外クラッド層は、各部における比
屈折率差を純SiO2での屈折率を基準として%で表し
て定義したときに、最小添加量でフッ素が添加された外
縁部内の部位での最大比屈折率差Δnaが、最大添加量
でフッ素が添加された外縁部より内側の部位での最小比
屈折率差Δnbに対して、条件 Δna≧Δnb+0.05% を満たすことを特徴とする。
【0020】このように、最外クラッド層の外縁部で
の、Fの添加量を減少させる減少量を比屈折率差で0.
05%以上とすることによって、この外縁部への応力分
散の効果を充分に向上することができる。また、このF
の添加量の減少量については、比屈折率差で0.1%以
上とすることがさらに好ましい。
【0021】また、最外クラッド層は、外縁部内におい
て、外縁部内の外周側の所定範囲で、フッ素の添加量が
最小添加量で略一定となるように構成されていることを
特徴とする。
【0022】このように、外縁部内の外側部分となる外
周近傍に、Fの添加量が最小添加量でほぼ一定となる領
域を設けることによって、その領域内での粘性を大きく
して、外縁部への応力分散をさらに効率的に実現するこ
とが可能となる。
【0023】また、コア領域は、純SiO2からなるこ
とを特徴とする。
【0024】純SiO2からなるコアを有し、クラッド
領域にFが添加された構成の光ファイバにおいては、コ
アへのGeの添加などによるレイリー散乱損失の増大を
防ぐことができるが、一方で、上述したように、粘性の
大きいコアへの過度の応力集中による伝送損失の増大が
問題となる。これに対して、最外クラッド層の外縁部に
応力が分散される上記した構成によれば、純SiO2
アの光ファイバにおいても、コアへの応力集中を充分に
低減することができる。
【0025】また、コア領域は、各部における比屈折率
差を純SiO2での屈折率を基準として%で表して定義
したときに、その平均比屈折率差Δn0が、条件 0.01%≦Δn0≦0.12% を満たすように、塩素が添加されていることを特徴とし
ても良い。
【0026】ここで、屈折率を上げる添加物であるCl
(塩素)は、Geに比べてレイリー散乱係数が小さいた
め、伝送損失などへの影響が少なく、純SiO2コアの
光ファイバと同様に扱える。また、Clの添加によっ
て、コアの粘性も小さくされる。なお、このとき、コア
領域は、領域内でグレーデッド型の屈折率分布を有する
ように構成されていても良い。
【0027】また、レイリー散乱係数Aが0.81dB
/km・μm4以下、または、波長1.00μmでの伝
送損失α1.00が0.82dB/km以下であることを特
徴とする。
【0028】レイリー散乱係数A及び伝送損失α
1.00は、通常の構成を有する純SiO2コア(または純
SiO2コアに準じるCl添加SiO2コア)の光ファイ
バでは、それぞれおよそ0.85dB/km・μm4
0.86dB/kmの値(基準値)である。これに対し
て、本発明による構成を有する光ファイバによれば、レ
イリー散乱係数Aまたは伝送損失α1.00を、これらの基
準値からそれぞれ約5%以上低減された上記の数値範囲
とすることが可能である。
【0029】また、本発明による光ファイバ母材の製造
方法は、(1)少なくともコア領域を含むコア母材の外
周上にガラス微粒子を堆積させて、コア領域の外周に設
けられるクラッド領域が有する1層または複数層のクラ
ッド層のうちで、最も外側に位置する最外クラッド層と
なるガラス微粒子層を合成する合成工程と、(2)合成
されたガラス微粒子層を加熱脱水する脱水工程と、
(3)脱水されたガラス微粒子層を加熱焼結して最外ク
ラッド層とし、コア領域と、1層または複数層のクラッ
ド層を有するクラッド領域と、を備える光ファイバ母材
を形成する焼結工程とを備え、(4)ガラス微粒子層を
加熱焼結する前に、ガラス微粒子層にフッ素を添加する
とともに、その外周を含む外縁部から、添加されている
フッ素の一部を除去することを特徴とする。
【0030】このような光ファイバ母材の製造方法によ
り得られた光ファイバ母材を線引することにより、クラ
ッド領域のクラッド層のうちで最も外側の最外クラッド
層の外縁部内において、層内でのFの最小添加量となる
所定の添加量までFの添加量が順次減少していくよう
に、Fが添加及び除去された光ファイバを得ることがで
きる。
【0031】具体的には、脱水工程と、焼結工程との間
に、フッ素を所定濃度で含むガス雰囲気中で、ガラス微
粒子層にフッ素を含浸させて添加する含浸工程をさらに
備えるとともに、焼結工程において、加熱焼結時のガス
雰囲気に含まれるフッ素の濃度を、含浸時の所定濃度よ
りも低い濃度として、ガラス微粒子層の外縁部から、添
加されているフッ素の一部を除去する方法がある。
【0032】あるいは、本発明による光ファイバ母材の
製造方法は、(1)少なくともコア領域を含むコア母材
の外周上にガラス微粒子を堆積させて、コア領域の外周
に設けられるクラッド領域が有する1層または複数層の
クラッド層のうちで、最も外側に位置する最外クラッド
層となるガラス微粒子層を合成する合成工程と、(2)
合成されたガラス微粒子層を加熱脱水する脱水工程と、
(3)脱水されたガラス微粒子層を加熱焼結して最外ク
ラッド層とし、コア領域と、1層または複数層のクラッ
ド層を有するクラッド領域と、を備える光ファイバ母材
を形成する焼結工程とを備え、(4)合成工程におい
て、フッ素を含む原料ガスを用いてガラス微粒子層にフ
ッ素を添加するとともに、その外周を含む外縁部内にお
いてフッ素の添加量が順次減少していくように、フッ素
を含む原料ガスを調整してガラス微粒子層の合成を行う
ことを特徴とする。
【0033】このような光ファイバ母材の製造方法によ
り得られた光ファイバ母材を線引することによっても、
同様に、最外クラッド層の外縁部内において、層内での
Fの最小添加量となる所定の添加量までFの添加量が順
次減少していくように、Fが添加された光ファイバを得
ることができる。
【0034】この場合、合成工程において、フッ素の代
わりに塩素を含む原料ガスを用いてガラス微粒子層に塩
素を添加した後、添加された塩素をフッ素に置換する方
法とすることも可能である。
【0035】また、本発明による光ファイバの製造方法
は、コア領域と、コア領域の外周に設けられ、屈折率を
下げるフッ素が添加された1層または複数層のクラッド
層を有するクラッド領域と、を備え、1層または複数層
のクラッド層のうちで最も外側に位置する最外クラッド
層が、その外周を含む外縁部内において、層内でのフッ
素の最小添加量となる所定の添加量までフッ素の添加量
が順次減少していくように構成されている光ファイバ母
材を作製するとともに、光ファイバ母材を加熱線引する
ときに、0.05〜0.20Nの範囲内の張力で光ファ
イバ母材の線引を行うことを特徴とする。
【0036】最外クラッド層の外縁部に応力が分散され
る光ファイバ母材(光ファイバ)の構成とするととも
に、線引時の張力が0.05〜0.20Nの好適な張力
値範囲内に保持されるように張力制御を行うことによっ
て、全長にわたって低伝送損失で好適な伝送特性を有す
る光ファイバが得られる。
【0037】あるいは、本発明による光ファイバの製造
方法は、コア領域と、コア領域の外周に設けられ、屈折
率を下げるフッ素が添加された1層または複数層のクラ
ッド層を有するクラッド領域と、を備え、1層または複
数層のクラッド層のうちで最も外側に位置する最外クラ
ッド層が、その外周を含む外縁部内において、層内での
フッ素の最小添加量となる所定の添加量までフッ素の添
加量が順次減少していくように構成されている光ファイ
バ母材を作製するとともに、光ファイバ母材を加熱線引
するときに、線引炉で線引された光ファイバを、線引炉
の後段に設けられた加熱炉によって所定の温度範囲内の
温度であるように加熱することを特徴とする。
【0038】このように、光ファイバ母材を加熱線引す
るときに、線引炉の後段に設けられた加熱炉を用いて光
ファイバの徐冷を行うことによって、上記した構造によ
る応力集中の抑制及び伝送損失の低減に加えて、光ファ
イバ内の仮想温度Tfを低くして、レイリー散乱損失を
低減することができる。
【0039】なお、上記した光ファイバの製造方法にお
いて、線引炉の後段に設けられる加熱炉については、線
引された光ファイバを樹脂によって被覆する樹脂被覆部
がある場合には、線引炉及び樹脂被覆部の間に設けられ
ていることが好ましい。
【0040】また、加熱炉は、線引された光ファイバ
を、光ファイバの温度が1100〜1700℃の範囲内
の温度であるように加熱することが好ましい。
【0041】このような温度範囲とすることによって、
線引後の光ファイバの徐冷による仮想温度Tfの低減を
好適に実現することができる。また、これらの温度範囲
などの条件については、線引速度などに応じて、適宜好
適な条件を設定することが好ましい。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、図面とともに本発明による
光ファイバ、光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイ
バの製造方法の好適な実施形態について詳細に説明す
る。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号
を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比
率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0043】ここで、以下において、各部における屈折
率の値を示す比屈折率差は、純SiO2(純石英)での
屈折率を基準(比屈折率差=0)とし、純SiO2から
の屈折率差を%で表して定義するものとする。また、各
領域、各層におけるF(フッ素)の平均添加量または平
均比屈折率差については、それぞれ、その領域内(層
内)で、Fの添加量または比屈折率差を面積によって重
み付けして平均した値によって定義する。
【0044】まず、光ファイバの構成について説明す
る。図1は、本発明による光ファイバの第1の実施形態
について、その断面構造、及びファイバ径方向(図中の
線Lで示された方向)の屈折率プロファイルを模式的に
示す図である。なお、図1に示した屈折率プロファイル
(比屈折率差分布)の横軸は、スケールは異なるが、図
中の断面構造に示された線Lに沿った、光ファイバの中
心軸に対して垂直な断面上の各位置に対応している。
【0045】この光ファイバは、SiO2ガラス(石英
ガラス)系の光ファイバであり、光ファイバの中心軸を
含むコア領域100と、コア領域100の外周に設けら
れたクラッド領域200とを有して構成されている。こ
のような構成において、光ファイバ内を伝送される光
は、コア領域100内、及びクラッド領域200の内周
側でコア領域100近傍の部位内を伝送される。
【0046】コア領域100は、その外周の半径をr0
として形成されている。このコア領域100には、純S
iO2ガラスに屈折率を上げる添加物としてCl(塩
素)が所定量添加されている。これにより、コア領域1
00内の平均比屈折率差は、Δn0(ただし、Δn0
0)となっている。ここで、本実施形態においては、図
1に示すように、光ファイバの中心軸近傍でClの添加
量及び比屈折率差が最大となるグレーデッド型の屈折率
分布を有するように、コア領域100が形成されてい
る。
【0047】一方、クラッド領域200は、本実施形態
においては、単一のクラッド層201を有して構成され
ている。クラッド層201は、その外周の半径をr1
して形成されている。このクラッド層201には、純S
iO2ガラスに屈折率を下げる添加物としてF(フッ
素)が所定量添加されている。これにより、クラッド層
201内の平均比屈折率差は、Δn1(ただし、Δn1
0)となっている。
【0048】また、このクラッド層201は、本実施形
態の構成において、クラッド領域200内で最も外側に
位置する最外クラッド層となっている。そして、その外
周(半径r1の部位)を含む領域であって、半径ra(た
だし、r0<ra<r1)から半径r1までの領域範囲を外
縁部205として、この外縁部205内において、Fの
添加量及び比屈折率差が所定の分布となるように構成さ
れている。
【0049】すなわち、最外クラッド層であるクラッド
層201のうち、外縁部205より内側となる半径r0
からraまでの領域範囲では、クラッド層内でのFの最
大添加量となる略一定の添加量でFが添加されている。
これにより、外縁部205の内側部分は、その比屈折率
差が、層内でのFの最小比屈折率差(Fの最大添加量に
相当し、絶対値は最大)となるΔnbとされている。
【0050】一方、外縁部205では、上記したFの最
大添加量から、層内でのFの最小添加量となる所定の添
加量まで、内側から外側へ向かって添加量が順次減少し
ていくようにFが添加されている。これにより、外縁部
205は、その比屈折率差が、上記した最小比屈折率差
Δnbから、層内での最大比屈折率差(Fの最小添加量
に相当し、絶対値は最小)となるΔnaまで、内側から
外側へ向かって変化していくように構成されている。
【0051】本実施形態の光ファイバにおいては、上述
したように、クラッド領域200の最外クラッド層とな
るクラッド層201内でのFの添加量分布について、図
1に示すように、その外縁部205でFの添加量が徐々
に減少していくように、クラッド層201を構成してい
る。
【0052】本光ファイバのコア領域100は、Cl添
加SiO2コアからなる。このコア領域100では、C
lの添加によって粘性がやや小さくされているものの、
その添加量などから、クラッド領域200に比べてコア
領域100が大きい粘性を有する構成となっている。し
たがって、その外周に設けられるクラッド層201を、
ほぼ一定の添加量でFが添加された通常の構成とする
と、コアへの過度の応力集中を生じる。
【0053】これに対して、上記のようにクラッド層2
01の外縁部205においてFの添加量を減少させるこ
とによって、外縁部205の粘性が大きくなり、応力が
この外縁部205へと分散して、コアへの応力集中が抑
制される。
【0054】このコアへの応力集中の抑制により、光フ
ァイバの線引時において許容される好適な張力値範囲が
より広い数値範囲となり、線引時の張力制御が容易化さ
れる。また、コアへの過度の応力集中や、不充分な張力
制御などによって生じる伝送損失の増大や伝送特性の劣
化が防止されて、全長にわたって安定した伝送特性を有
する光ファイバが実現される。
【0055】ここで、外縁部205より内側の部位での
最小比屈折率差Δnbと、外縁部205の外周近傍での
最大比屈折率差Δnaとについて、比屈折率差ΔnaがΔ
bよりも0.05%以上高くされている(Δna≧Δn
b+0.05%)ことが好ましい。あるいはさらに、
0.1%以上高くされている(Δna≧Δnb+0.1
%)ことが好ましい。
【0056】このように、クラッド層201の外縁部2
05での、Fの添加量を減少させる減少量を比屈折率差
で0.05%以上、あるいはさらに0.1%以上とする
ことによって、外縁部205の外周近傍での粘性をコア
領域100の粘性と同等程度とすることが可能となるな
ど、外縁部205への応力分散の効果を充分に向上する
ことができる。
【0057】また、コア領域100へのCl添加につい
ては、コア領域100への光の閉じ込めの効果などを充
分に確保するため、その平均比屈折率差を0.01%≦
Δn 0≦0.12%の範囲内とすることが好ましい。な
お、このCl添加については、伝送損失などへの影響が
少ないために純SiO2コアと同様に扱うことができ、
また、コア領域100の粘性を小さくする効果もある。
また、コア領域100内の屈折率分布については、図1
のようにグレーデッド型にしても良いし、あるいは、コ
ア領域100内で略一定の屈折率分布としても良い。
【0058】また、コアへの応力集中の抑制、あるいは
それによる製造時(線引時)の張力制御の容易化などに
よる伝送損失の低減については、具体的には、レイリー
散乱係数Aが0.81dB/km・μm4以下、また
は、波長1.00μmでの伝送損失α1.00が0.82d
B/km以下とすることが好ましい。
【0059】レイリー散乱係数A及び伝送損失α
1.00は、通常の構成を有する純SiO2コア(または純
SiO2コアに準じるCl添加SiO2コア)の光ファイ
バでは、それぞれおよそ0.85dB/km・μm4
0.86dB/kmの値(基準値)である。これに対し
て、本実施形態の光ファイバによれば、レイリー散乱係
数Aまたは伝送損失α1.00を、これらの基準値からそれ
ぞれ約5%低減された上記の数値範囲とすることが可能
である。
【0060】なお、このようなレイリー散乱係数Aまた
は伝送損失α1.00の低減は、上記した光ファイバの構
成、あるいはさらにレイリー散乱損失などによる伝送損
失を低減可能な製造方法との組合せなどによって実現さ
れる。製造方法による伝送損失の低減については、後述
する。
【0061】ここで、レイリー散乱係数Aについて説明
しておく。レイリー散乱係数Aは、光ファイバの伝送損
失に含まれるレイリー散乱損失の指標となる量である。
光ファイバでの波長λにおける伝送損失αλ(dB/k
m)は、レイリー散乱損失と、それ以外の構造不整損失
などの伝送損失成分により、一般に次式 αλ=A/λ4+B+C(λ) で表される。このうち、第1項A/λ4(dB/km)
がレイリー散乱損失を示しており、その係数Aがレイリ
ー散乱係数(dB/km・μm4)である。上式より、
レイリー散乱損失はレイリー散乱係数Aに比例してお
り、したがって、レイリー散乱損失の低減の指標として
レイリー散乱係数Aを用いることができる。なお、この
レイリー散乱係数Aについては、上式より、伝送損失の
波長依存性のデータ(例えば1/λ4プロットでの傾
き)から求めることができる。
【0062】また、本発明の光ファイバの伝送損失につ
いては、上記した条件では波長1.00μmでの伝送損
失α1.00に対して数値範囲を与えている。これは、1.
00μmでの伝送損失の値が、光伝送に用いられる1.
55μm帯などに比べて大きく、1〜10km程度の比
較的短い光ファイバサンプルで、充分な精度で評価でき
るためである。
【0063】また、波長1.00μmでの伝送損失α
1.00と、波長1.55μmでの伝送損失α1.55とは一定
の関係を有して対応しており、伝送損失α1.00が低減さ
れることにより、伝送損失α1.55についても、同様にそ
の低減を確認することができる。具体的には、伝送損失
α1.00及びα1.55は、上式よりそれぞれ α1.00=A+B+C(1.00) α1.55=A×0.17325+B+C(1.55) となり、その関係は、 α1.00=α1.55+A×0.82675+C(1.00)
−C(1.55) となる。
【0064】図2は、本発明による光ファイバの第2の
実施形態について、その断面構造、及びファイバ径方向
の屈折率プロファイルを模式的に示す図である。
【0065】この光ファイバは、第1の実施形態と同様
に、SiO2ガラス(石英ガラス)系の光ファイバであ
り、光ファイバの中心軸を含むコア領域100と、コア
領域100の外周に設けられたクラッド領域200とを
有して構成されている。このうち、コア領域100の構
成については、図1に示した光ファイバにおけるコア領
域100とほぼ同様である。
【0066】一方、クラッド領域200は、本実施形態
においては、コア領域100の外周に設けられた内クラ
ッド層201と、内クラッド層201の外周にさらに設
けられた外クラッド層202との2層のクラッド層を有
して構成されている。
【0067】内クラッド層201は、その外周の半径を
1として形成されている。この内クラッド層201に
は、純SiO2ガラスに屈折率を下げる添加物としてF
(フッ素)が所定量添加されている。これにより、内ク
ラッド層201内の平均比屈折率差は、Δn1(ただ
し、Δn1<0)となっている。
【0068】また、外クラッド層202は、その外周の
半径をr2として形成されている。この外クラッド層2
02には、純SiO2ガラスにF(フッ素)が所定量添
加されている。これにより、外クラッド層202内の平
均比屈折率差は、Δn2(ただし、Δn2<0)となって
いる。ただし、外クラッド層202でのFの平均添加量
は、内クラッド層201でのFの平均添加量よりも小さ
くされており、したがって、クラッド層201及び20
2の平均比屈折率差は、0>Δn2>Δn1の関係を有し
ている。
【0069】また、この外クラッド層202は、本実施
形態の構成において、クラッド領域200内で最も外側
に位置する最外クラッド層となっている。そして、その
外周を含む領域であって、半径ra(ただし、r1<ra
<r2)から半径r2までの領域範囲を外縁部205とし
て、外縁部205内において、Fの添加量及び比屈折率
差が所定の分布となるように構成されている。
【0070】すなわち、最外クラッド層である外クラッ
ド層202のうち、外縁部205より内側となる半径r
1からraまでの領域範囲では、層内でのFの最大添加量
となる略一定の添加量でFが添加されている。これによ
り、外縁部205の内側部分は、その比屈折率差が、層
内での最小比屈折率差となるΔnbとされている。
【0071】一方、外縁部205では、上記したFの最
大添加量から、層内でのFの最小添加量となる所定の添
加量まで、内側から外側へ向かって添加量が順次減少し
ていくようにFが添加されている。これにより、外縁部
205は、その比屈折率差が、上記した最小比屈折率差
Δnbから、層内での最大比屈折率差となるΔnaまで、
内側から外側へ向かって変化していくように構成されて
いる。
【0072】本実施形態の光ファイバにおいても、第1
の実施形態と同様に、クラッド領域200の最外クラッ
ド層となる外クラッド層202内の外縁部205で、F
の添加量が徐々に減少するFの添加量分布となってい
る。したがって、外縁部205の粘性が大きくなり、応
力がこの外縁部205へと分散して、コアへの応力集中
が抑制される。
【0073】このコアへの応力集中の抑制により、光フ
ァイバの線引時において許容される好適な張力値範囲が
より広い数値範囲となり、線引時の張力制御が容易化さ
れる。また、コアへの過度の応力集中や、不充分な張力
制御などによって生じる伝送損失の増大や伝送特性の劣
化が防止されて、全長にわたって安定した伝送特性を有
する光ファイバが実現される。
【0074】また、本実施形態の光ファイバは、第1の
実施形態の光ファイバでのクラッド領域200が単一の
クラッド層201から構成されているのに対して、Fの
添加量が大きい(比屈折率差が小さい)内クラッド層2
01と、Fの添加量が小さい(比屈折率差が大きい)外
クラッド層202との2層のクラッド層を有してクラッ
ド領域200が構成されている。
【0075】このような2層構造のクラッド領域200
によれば、コア領域100の外周に位置する内クラッド
層201によって、伝送される光をコア領域100及び
その近傍へと効率的に閉じ込めることができる。また、
外クラッド層202は、光ファイバの伝送特性を調整す
る効果、及びコアへの応力集中を低減する効果などを有
する。そして、この外クラッド層202及びその内部で
の外縁部205の構成によって、コア領域100への応
力集中を確実に抑制することができる。
【0076】ここで、外クラッド層202の平均比屈折
率差Δn2については、コア領域100への応力集中の
抑制効果などを充分に得るため、Δn2≧−0.26%
を満たすように設定することが好ましい。あるいは、さ
らに、Δn2≧−0.22%を満たすように設定するこ
とが好ましい。
【0077】次に、光ファイバ母材及び光ファイバの製
造方法について説明する。図3は、上記した構成を有す
る光ファイバ母材及び光ファイバが得られる光ファイバ
の製造方法を、光ファイバ母材の製造方法を含めて概略
的に示すフローチャートである。
【0078】図3に示した製造方法においては、第1及
び第2の実施形態の光ファイバにおいてその例を示した
ように、最外クラッド層の外縁部205内において、最
外クラッド層内でのFの最小添加量となる所定の添加量
までFの添加量が順次減少(比屈折率差が順次増大)し
ていく構成を有する光ファイバ母材を作製する(ステッ
プS100:ステップS101〜S106を含む)。そ
して、得られた光ファイバ母材を加熱線引して(S10
7)、図1及び図2に示したような構成を有する光ファ
イバを得る(S108)。
【0079】最初に、光ファイバ母材の作製(S10
0)について説明する。まず、少なくともコア領域を含
むコア母材を作製する(S101)。コア母材として
は、通常のコア母材を用いることができ、例えば、コア
領域、あるいはさらにクラッド領域の一部が形成された
母材を所定の長さに延伸したものを用いることができ
る。また、コア領域については、例えば、純SiO2
ア、またはCl添加SiO2コアとすることができる。
【0080】ここで、コア母材(コア延伸体)にクラッ
ド領域の一部を形成する場合には、図1のように1層の
クラッド層201を有する構成では、その一部をコア母
材で形成する方法がある。ただし、この場合、少なくと
も外縁部205を含む領域範囲はコア母材に含まれない
ようにする必要がある。また、図2のように2層のクラ
ッド層201、202を有する構成では、内クラッド層
201をコア母材で形成する方法がある。なお、コア母
材に形成されるクラッド領域の一部については、後述す
る最外クラッド層と同様に合成、脱水、焼結によって形
成しても良いし、あるいは、ロッドインコラプス法を用
いても良い。
【0081】このようなコア母材に対して、VAD法ま
たはOVD法などの合成方法を用いて、その外周上にガ
ラス微粒子層を合成する(S102、合成工程)。具体
的には、所定のガス組成からなる原料ガスが供給されて
いるガラス合成用バーナからの火炎によってガラス微粒
子を生成し、コア母材の外周上にこのガラス微粒子を堆
積させて、ガラス微粒子層を合成する。このガラス微粒
子層は、加熱焼結後に最外クラッド層(あるいは、その
外縁部を少なくとも含む最外クラッド層の外側の所定部
分)となる層である。
【0082】続いて、合成されたガラス微粒子層を加熱
脱水し(S103、脱水工程)、さらに、脱水されたガ
ラス微粒子層を加熱焼結して(S105、焼結工程)、
ガラス微粒子層から最外クラッド層が形成された光ファ
イバ母材を作製する(S106)。
【0083】なお、必要があれば、脱水工程(S10
3)と焼結工程(S105)との間の工程において、ガ
ラス微粒子層にFを含浸させて添加しても良い(S10
4、含浸工程)。含浸工程においては、焼結炉中の雰囲
気を、Fを所定濃度で含むガス雰囲気とし、このガス雰
囲気中でガラス微粒子層にFを含浸させて添加する。
【0084】このような光ファイバ母材の製造方法にお
いて、図1及び図2に示したように、ガラス微粒子層
(最外クラッド層)の外縁部で添加量が徐々に減少する
構成のFの添加量分布を得る方法としては、例えば、ガ
ラス微粒子層を加熱焼結する前に、ガラス微粒子層にF
を添加するとともに、その添加後に、ガラス微粒子層の
外周を含む外縁部(最外クラッド層の外縁部に相当)か
ら、添加されているFの一部を除去する方法がある。
【0085】具体的には、例えば、コア母材の外周上
に、SiO2からなるガラス微粒子層をジャケット層と
して合成(スス付け、合成工程)する。そして、SiC
4雰囲気・1200℃加熱で脱水(脱水工程)した
後、SiF4雰囲気・1200℃加熱でガラス微粒子層
にFを含浸させて添加する(含浸工程)。
【0086】続いて、このガラス微粒子層(ガラス微粒
子体)を1500℃加熱で焼結する(焼結工程)が、こ
こで、加熱焼結時のガス雰囲気からF(SiF4)を除
くか、あるいは含浸時の濃度よりも低い濃度(例えば微
量な濃度)としておく。このとき、上記したガス雰囲気
と接しているガラス微粒子層(最外クラッド層)の外縁
部から、添加されているFの一部が加熱焼結中に除去さ
れて、外縁部においてFの添加量が徐々に減少する構成
の添加量分布が形成される。
【0087】このように、Fを添加した後に外縁部のF
の一部を除去する方法によれば、上記した例のように加
熱焼結時にFの除去を行うことができるなど、新たな工
程を追加せずに、外縁部においてFの添加量が徐々に減
少する添加量分布を得ることができる。したがって、製
造コストを高くすることなく、上述した構成の光ファイ
バを得ることができる。
【0088】なお、このような方法は、Fの添加方法に
よらず、例えばFの含浸を行わずにガラス微粒子層の合
成時にFを添加した場合にも、同様に適用することが可
能である。また、Fの除去については、焼結工程で行う
方法に限らず、脱水工程、含浸工程、及び焼結工程のそ
れぞれでの設定温度やガス組成、ガス流量、処理時間な
どの組合せを利用して、様々な方法でFの除去を実現す
ることができる。また、それらの諸条件の設定によっ
て、Fの除去量や添加量分布の減少の傾き等についても
調整することができる。
【0089】また、同様にガラス微粒子層(最外クラッ
ド層)の外縁部で添加量が徐々に減少するFの添加量分
布を得る方法として、Fの添加後に除去するのではな
く、ガラス微粒子層へのFの添加時に、添加するFの添
加量を徐々に減少させる方法も可能である。
【0090】具体的には、例えば、コア母材の外周上に
ガラス微粒子層をジャケット層として合成(合成工程)
するときに、ガラス合成用バーナにFを含む原料ガスを
供給して、堆積されるガラス微粒子にFを添加する。こ
のとき、供給される原料ガスに含まれるFの量を、ガラ
ス微粒子が堆積されるにしたがって減少させていけば、
外縁部においてFの添加量が徐々に減少する構成の添加
量分布を形成することができる。
【0091】また、ガラス微粒子層の合成時にClを添
加した後、ClをFに置換することも可能である。この
場合には、同様に原料ガスに含まれるClの量を減少さ
せていけば良い。
【0092】次に、作製された光ファイバ母材の加熱線
引(図3のステップS107)について説明する。図4
は、本発明による光ファイバの製造方法、及び光ファイ
バの製造に用いられる線引装置の一実施形態を概略的に
示す構成図である。
【0093】図4に示す線引装置1は、石英ガラス系光
ファイバを線引するための線引装置であって、線引炉1
1、徐冷用の加熱炉21及び樹脂硬化部31を有して構
成されている。これらの線引炉11、加熱炉21及び樹
脂硬化部31は、光ファイバ母材2を線引する方向(図
4における上下方向)に、線引炉11、加熱炉21、樹
脂硬化部31の順で設置されている。
【0094】まず、母材供給装置(図示していない)に
保持された光ファイバ母材2を線引炉11に供給し、線
引炉11内のヒータ12で光ファイバ母材2の下端を加
熱して軟化させ、光ファイバ3を線引する。線引炉11
の炉心管13には、不活性ガス供給部14からの不活性
ガス供給通路15が接続されており、線引炉11の炉心
管13内が不活性ガス雰囲気となるように構成されてい
る。
【0095】ここで、母材供給装置から供給される光フ
ァイバ母材2については、上述したように、最外クラッ
ド層の外縁部内において、最外クラッド層内でのFの最
小添加量となる所定の添加量までFの添加量が順次減少
していく構成に作製されたものを用いている。
【0096】加熱線引された光ファイバ3は炉心管13
内にて、1700℃程度にまで不活性ガスにより急激に
冷却される。その後、光ファイバ3は、炉心管13の下
部から線引炉11外に出され、線引炉11と加熱炉21
との間にて空冷される。不活性ガスとしては、例えばN
2ガスを用いることができ、このN2ガスの熱伝導係数λ
(T=300K)は26mW/(m・K)である。空気
の熱伝導係数λ(T=300K)は26mW/(m・
K)である。
【0097】次に、空冷された光ファイバ3を、線引炉
11の後段であって、線引炉11と樹脂硬化部31との
間に設けられた徐冷用の加熱炉21に送る。そして、光
ファイバ3の所定区間を所定の温度範囲内の温度である
ように加熱して、所定の冷却速度にて徐冷する。この加
熱炉21は、その中を光ファイバ3が通る炉心管23を
有する。この炉心管23は、光ファイバ母材2の線引方
向(図4における上下方向)での全長L2(m)が、L
2≧V/8を満足するように設定するのが好ましい。こ
こで、Vは線引速度(m/s)である。
【0098】また、加熱炉21は、炉心管23の位置
が、炉心管23に入る直前の光ファイバ3の温度(入線
温度)が1400〜1800℃の範囲となる位置に設定
されており、線引炉11に対して、 L1≦0.2×V を満足するように設けられるのが好ましい。ここで、L
1は線引炉11のヒータ12の下端から炉心管23の上
端までの距離(m)、Vは線引速度(m/s)である。
また、加熱炉21のヒータ22の温度は、炉中心(光フ
ァイバ3が通る部分)の温度が1100〜1600℃、
好ましくは1200〜1600℃の範囲内の温度、特
に、1250〜1500℃、さらに好ましくは1300
〜1500℃の範囲内の温度となるように設定されてい
る。
【0099】上述した加熱炉21(炉心管23)の位置
及び長さの設定により、徐冷用の加熱炉21において、
加熱線引された光ファイバ3が、その温度が1100〜
1700℃、好ましくは1200〜1700℃の範囲内
の温度であるように加熱される。特に、光ファイバ3の
温度が1100〜1700℃となる部分のうち、光ファ
イバ3の温度差が50℃以上となる区間、例えば、光フ
ァイバ3の温度が1250〜1500℃、好ましくは1
300〜1500℃となる部分(温度差が200℃とな
る区間)が1000℃/秒以下の冷却速度で徐冷される
ことになる。
【0100】なお、炉中心の温度を1100〜1600
℃、好ましくは1200〜1600℃の範囲内の温度に
設定することにより、加熱線引された光ファイバ3にお
いて温度が1100〜1700℃、好ましくは1200
〜1700℃となる部分のうち、光ファイバ3の温度差
が50℃以上となる区間が1000℃/秒以下の冷却速
度で徐冷されることになる。
【0101】加熱炉21の炉心管23には、N2ガス供
給部24からのN2ガス供給通路25が接続されてお
り、加熱炉21の炉心管23内がN2ガス雰囲気となる
ように構成されている。N2ガスを用いる代わりに、空
気あるいはArなどの分子量の比較的大きいガス等を用
いることも可能である。ただし、カーボンヒータを用い
る場合には、不活性ガスを用いる必要がある。
【0102】加熱炉21を出た光ファイバ3は、外径測
定手段としての外径測定器41により外径がオンライン
測定され、その測定値がドラム42を回転駆動する駆動
モータ43にフィードバックされて外径が一定となるよ
うに制御される。外径測定器41からの出力信号は、制
御手段としての制御ユニット44に送られ、光ファイバ
3の外径が予め設定された所定値となるように、ドラム
42(駆動モータ43)の回転速度を演算により求め
る。
【0103】制御ユニット44からは、演算により求め
たドラム42(駆動モータ43)の回転速度を示す出力
信号が駆動モータ用ドライバ(図示していない)に出力
され、この駆動モータ用ドライバは制御ユニット44か
らの出力信号に基づいて、駆動モータ43の回転速度を
制御する。
【0104】その後、光ファイバ3に、コーティングダ
イス51によりUV樹脂52が塗布される。塗布された
UV樹脂52は、樹脂硬化部31のUVランプ32によ
り硬化されて、光ファイバ素線4が形成される。そし
て、光ファイバ素線4は、ガイドローラ61を経て、ド
ラム42により巻き取られる。ドラム42は、回転駆動
軸45に支持されており、この回転駆動軸45の端部は
駆動モータ43に接続されている。
【0105】ここで、本実施形態においては、コーティ
ングダイス51及び樹脂硬化部31によって、光ファイ
バを樹脂によって被覆する樹脂被覆部が構成されてい
る。この樹脂被覆部としては、上記した構成に限らず、
熱硬化樹脂を塗布し、加熱炉により硬化させるように構
成してもよい。
【0106】なお、線引炉11の炉心管13には、上記
したように不活性ガス供給部14からの不活性ガス供給
通路15が接続されており、線引炉11の炉心管13内
が不活性ガス雰囲気となるように構成されているが、不
活性ガス供給部14としてN 2ガス供給部を設け、炉心
管13内にN2ガスを供給してN2ガス雰囲気となるよう
に構成してもよい。
【0107】線引速度が低速、例えば100m/min
の場合には、光ファイバ3がHeガス雰囲気では線引炉
11(炉心管13)内で1000℃程度まで冷却されて
しまうことがあるため、この場合、炉心管13内をN2
ガス雰囲気として、線引炉11(炉心管13)出口での
光ファイバ3の温度を1700℃程度とすることが好ま
しい。また、Heガス供給部とN2ガス供給部とを設
け、線引速度に対応して、炉心管13内にHeガスまた
はN2ガスを供給するように構成してもよい。実際に
は、一旦冷却後の再加熱により1100〜1700℃、
好ましくは1200〜1700℃としても、構造緩和は
可能である。ただし、この場合には、再加熱するのにヒ
ータ長のロスが出ることとなる。
【0108】上記した光ファイバの製造方法において
は、光ファイバ母材2として、最外クラッド層の外縁部
においてFの添加量が順次減少していく構成に作製され
た光ファイバ母材を用いている。このような構成の光フ
ァイバ母材及び光ファイバによれば、外縁部への応力分
散によってコアへの応力集中が抑制される。このとき、
線引炉11での加熱線引に対する張力制御において、好
適な光ファイバを得るために許容される張力値範囲が広
くなり、張力制御が容易化される。また、線引後に得ら
れる光ファイバについても、その伝送損失や伝送特性の
優れた(例えば低伝送損失の)光ファイバとすることが
可能となる。
【0109】すなわち、線引時の張力が好適な張力値範
囲から逸脱すると、低張力では構造不整損失が増大し、
逆に高張力ではレイリー散乱損失が増大するなど、光フ
ァイバの伝送損失が増大する原因となる。これに対し
て、上記のように張力制御が容易化された製造方法によ
れば、伝送損失の張力依存性が小さくなるので、張力変
化による伝送損失の増大や、伝送損失以外の伝送特性な
どの劣化が抑制される。また、張力制御に対して高精度
が必要とされなくなるので、製造工程が簡単化されると
ともに、その製造歩留りも向上される。なお、好適な張
力値範囲としては、張力が0.05〜0.20N(5〜
20gw)の範囲内となるように張力制御を行うことが
好ましい。
【0110】なお、このFの添加量分布については、F
の添加量を減少させる領域が最外クラッド層の外縁部で
あるため、コア領域及びその近傍を伝送される光の伝送
特性には影響を与えることがない。したがって、光ファ
イバの伝送特性等を好適に保持しつつ、張力制御の容易
化を達成することができる。
【0111】また、図4に示した製造方法及び線引装置
1においては、光ファイバ母材2の線引後に、線引炉1
1の後段に設けられた徐冷用の加熱炉21を用いて、光
ファイバ3を徐冷することとしている。これによって、
光ファイバ内の仮想温度Tfを低くして、レイリー散乱
損失を低減することができる。
【0112】このように、レイリー散乱損失の低減効果
を有する製造方法を適用した場合でも、全体の伝送損失
としては、必ずしも伝送損失が低減されない。これは、
レイリー散乱損失が低減される一方で、コアへの過度の
応力集中によって構造不整損失などの他の伝送損失成分
が増大してしまい、全体として伝送損失の低減効果が得
られないためと考えられる。また、構造不整損失などの
発生を抑制しようとすると、逆にレイリー散乱損失の低
減効果を充分に得られないこととなる。
【0113】これに対して、最外クラッド層の外縁部で
Fの添加量が減少する上記の構成による光ファイバ母材
及び光ファイバを適用することにより、レイリー散乱損
失を低減(例えば、レイリー散乱係数Aが0.81dB
/km・μm4以下)すると同時に、コアへの応力集中
による構造不整損失などの発生をも抑制して、全体とし
て低伝送損失(例えば、波長1.00μmでの伝送損失
α1.00が0.82dB/km以下)の光ファイバを実現
することが可能となる。
【0114】上記した光ファイバ及びその製造方法につ
いて、具体的な実施例及び比較例を示す。なお、以下の
実施例及び比較例での光ファイバは、いずれも図4に示
した加熱炉21での徐冷なし及び徐冷ありの両方の製造
方法によって作製を行った。また、徐冷用の加熱炉21
での加熱条件については、約1300℃、線速25m/
分で加熱炉の炉長を約1.5mとした。
【0115】第1の実施例となる光ファイバは、図1に
示した屈折率プロファイルによって作製した。また、各
半径r0、ra、r1は、それぞれ2r0=10μm、2r
a=110μm、2r1=125μmとした。
【0116】また、各領域での屈折率については、コア
領域100には、平均比屈折率差がΔn0=+0.08
%となるようにClを添加した。一方、クラッド領域2
00のクラッド層201には、最小比屈折率差がΔnb
=−0.35%、外縁部205での最大比屈折率差がお
よそΔna=−0.05%となる添加量分布でFを添加
した。このとき、平均でおよそΔn1=−0.28%程
度となる。
【0117】第2の実施例となる光ファイバは、図2に
示した屈折率プロファイルによって作製した。また、各
半径r0、r1、ra、r2は、それぞれ2r0=10μ
m、2r1=55μm、2ra=110μm、2r2=1
25μmとした。
【0118】また、各領域での屈折率については、コア
領域100には、平均比屈折率差がΔn0=+0.08
%となるようにClを添加した。一方、クラッド領域2
00の内クラッド層201には、平均比屈折率差がΔn
1=−0.28%となるようにFを添加した。また、外
クラッド層202には、Fの含浸工程におけるSiF 4
の量を1/3として、最小比屈折率差がΔnb=−0.
20%、外縁部205での最大比屈折率差がおよそΔn
a=−0.05%となる添加量分布でFを添加した。
【0119】さらに、光ファイバの第3の実施例とし
て、第2の実施例と同様の構成の光ファイバについて、
徐冷用の加熱炉での加熱条件を1100℃に設定して、
光ファイバの作製を行った。
【0120】図5は、光ファイバの第1の比較例につい
て、その屈折率プロファイルを示す図である。本比較例
の光ファイバの構成は、Fの添加量が減少する外縁部が
形成されていないことを除けば、上記した第1の実施例
と同様であり、コア領域300、及びクラッド領域40
0のクラッド層401の各半径r0、r1は、それぞれ2
0=10μm、2r1=125μmとなっている。
【0121】また、各領域での屈折率については、コア
領域300には、平均比屈折率差がΔn0=+0.08
%となるようにClを添加した。一方、クラッド領域4
00のクラッド層401には、平均比屈折率差がΔn1
=−0.35%となるようにFを添加した。
【0122】図6は、光ファイバの第2の比較例につい
て、その屈折率プロファイルを示す図である。本比較例
の光ファイバの構成は、Fの添加量が減少する外縁部が
形成されていないことを除けば、上記した第2の実施例
と同様であり、コア領域300、クラッド領域400の
内クラッド層401、及び外クラッド層402の各半径
0、r1、r2は、それぞれ2r0=10μm、2r1
55μm、2r2=125μmとなっている。
【0123】また、各領域での屈折率については、コア
領域300には、平均比屈折率差がΔn0=+0.08
%となるようにClを添加した。一方、クラッド領域4
00の内クラッド層401には、平均比屈折率差がΔn
1=−0.28%となるようにFを添加した。また、外
クラッド層402には、Fの含浸工程におけるSiF 4
の量を1/3として、平均比屈折率差がΔn2=−0.
20%となるようにFを添加した。
【0124】以上の第1、第2の実施例、及び第1、第
2の比較例について、加熱炉による徐冷なしとした製造
方法によって線引を行った場合での、波長1.55μm
における伝送損失α1.55の張力依存性を図7に示す。こ
のグラフより、1層のクラッド層を有する構成での第1
の実施例と第1の比較例、及び2層のクラッド層を有す
る構成での第2の実施例と第2の比較例とにおける伝送
損失α1.55の張力依存性をそれぞれ比較すると、いずれ
の場合も、Fの添加量が減少する外縁部を設けた第1、
第2の実施例の場合に、伝送損失の値が低減されている
とともに、その張力依存性も小さくなっていることがわ
かる。
【0125】また、加熱炉による徐冷ありとした製造方
法によって線引を行った場合での、伝送損失α1.55の張
力依存性を図8に示す。このグラフより、1層のクラッ
ド層を有する構成での第1の実施例と第1の比較例、及
び2層のクラッド層を有する構成での第2の実施例と第
2の比較例とにおける伝送損失α1.55の張力依存性をそ
れぞれ比較すると、図7に示した徐冷なしの場合と同様
に、いずれの場合も、Fの添加量が減少する外縁部を設
けた第1、第2の実施例の場合に、伝送損失の値が低減
されているとともに、その張力依存性も小さくなってい
ることがわかる。
【0126】例えば、この徐冷ありの場合について、張
力0.10Nでの伝送損失α1.55の値を比較すると、1
層のクラッド層の場合では、第1の比較例が0.166
dB/kmに対して、第1の実施例では0.161dB
/kmとなっている。また、2層のクラッド層の場合で
は、第2の比較例が0.160dB/kmに対して、第
2の実施例では0.158dB/kmとなっている。
【0127】また、第3の実施例については、張力を
0.10Nとして光ファイバを作製したが、そのときの
伝送損失α1.55は0.162dB/kmであった。
【0128】ここで、この図8のグラフにおいては、比
較例に対する実施例での伝送損失α 1.55の低減が、図7
のグラフに比べて大きくなっている。これは、加熱炉に
よる徐冷の効果によるものと考えられる。
【0129】すなわち、徐冷ありの場合であっても、F
の添加量が減少する外縁部を有しない構成の光ファイバ
では、徐冷によってレイリー散乱損失が低減される一方
で、コアへの応力集中によって構造不整損失が増大して
しまい、全体として伝送損失が充分に低減されない。こ
れに対して、徐冷を行うとともに、Fの添加量が減少す
る外縁部を設ける光ファイバの構成とすることによっ
て、レイリー散乱損失の低減とともに、コアへの応力集
中による構造不整損失の発生についても抑制されるの
で、全体として低伝送損失の光ファイバを得ることがで
きる。
【0130】また、1層のクラッド層を有する第1の実
施例と、2層のクラッド層を有する第2の実施例とを比
較すると、第2の実施例の方が、伝送損失が低くなって
いる。これは、2層のクラッド層のうちで外側の外クラ
ッド層は、Fの添加量が比較的少なく、この外クラッド
層自体が、ある程度の応力分散の機能を有するためであ
る。
【0131】また、張力を0.10Nとした第1、第
2、第3の実施例の光ファイバについて、それぞれレイ
リー散乱係数A及び波長1.00μmでの伝送損失α
1.00の値を求めたところ、いずれの場合も、レイリー散
乱損失Aが0.81dB/km・μm4以下、伝送損失
α1.00が0.82dB/km以下であることが確認され
た。
【0132】以上より、最外クラッド層の外縁部でFの
添加量を減少させる構成とすることによって、コアへの
応力集中が抑制されて、線引時における張力制御が容易
化されるとともに、全長にわたって伝送損失が安定的に
低減される光ファイバが実現される。
【0133】なお、内クラッド層及び外クラッド層の2
層のクラッド層を有する構成の場合、外クラッド層(図
2に示した外クラッド層202)の全体でFの添加量を
少なくする構成によっても、外クラッド層への応力分散
によって、コアへの応力集中を抑制することが可能であ
る。しかしながら、外クラッド層全体のFの添加量を少
なくした場合、応力分散の効果が得られる一方で、光フ
ァイバの伝送特性に対しても影響を与えてしまう。
【0134】図9に、徐冷なしの場合での各実施例、比
較例の光ファイバについて、その曲げ特性を求めた結果
を示す。このグラフより、1層のクラッド層を有する第
1の実施例(または第1の比較例)と、2層のクラッド
層を有する第2の実施例(または第2の比較例)とで
は、その曲げ損失の値が大きく異なっていることがわか
る。
【0135】これに対して、外縁部以外については同様
の構成を有する第1の実施例と第1の比較例(または第
2の実施例と第2の比較例)とを比較すると、その曲げ
特性はほとんど変化していない。このような傾向は、徐
冷ありの場合での各実施例、比較例の光ファイバでも同
様であった。
【0136】すなわち、クラッド層の全体でFの添加量
を減少させると、上記した曲げ特性、あるいはそれ以外
のカットオフ波長や分散特性などの諸特性が変化してし
まう。これに対して、最外クラッド層の外縁部のみにつ
いてFの添加量を減少させる構成とすることによって、
光ファイバの伝送特性を劣化させることなく、コアへの
応力集中を効率的に抑制することが可能となる。
【0137】また、クラッド領域の外縁部への応力分散
については、例えば、クラッド領域の最も外側に純Si
2などからなる粘性の大きい層を形成することも可能
である(例えば、特開昭64−87528号公報、及び
特開平2−113205号公報参照)。しかしながら、
このような構成では、新たな純SiO2層を最外層とし
て形成するための合成、脱水、焼結工程がさらに必要と
なるため、製造工程が複雑化し、製造コスト高となる。
【0138】これに対して、最外クラッド層の外縁部の
みについてFの添加量を減少させた添加量分布によっ
て、最外クラッド層内に粘性の大きい部位を形成する本
発明の構成によれば、製造工程に新たな工程を付加する
ことなく、コアへの応力集中が抑制される構成の光ファ
イバ母材及び光ファイバを実現することが可能である。
【0139】本発明による光ファイバ、光ファイバ母材
の製造方法、及び光ファイバの製造方法は、上記した各
実施形態及び実施例に限られるものではなく、様々な変
形及び構成の変更が可能である。例えば、クラッド領域
の構成については、図1及び図2に示した構成例に限ら
ず、様々な構成を用いることができる。また、コア領域
については、図1及び図2ではClが添加された構成と
されていたが、純SiO2からなるコアとしても良い。
【0140】また、最外クラッド層の外縁部でのFの添
加量分布についても、その製造方法などに応じて、図1
及び図2に示した構成以外の添加量分布としても良い。
例えば、外縁部内の外周側の所定範囲で、Fの添加量が
最小添加量で略一定とし、その内側(外縁部内の内周
側)でFの添加量が変化する構成としても良い。このよ
うに、外縁部内の外側部分となる外周近傍に、Fの添加
量が最小添加量でほぼ一定となる領域を設けることによ
って、その領域内での粘性を大きくして、外縁部への応
力分散をさらに効率的に実現することが可能となる。
【0141】また、外クラッド層などの最外クラッド層
において、その内周近傍でのFの添加量が層内でのFの
最大添加量よりも少ない構成であっても良い。すなわ
ち、最外クラッド層を形成するときに、その内周近傍で
Fの添加量がやや減少する場合がある。このような添加
量分布となった場合においても、上記した光ファイバの
構成を適用することによって、外縁部への応力分散を実
現することができる。
【0142】
【発明の効果】本発明による光ファイバ、光ファイバ母
材の製造方法、及び光ファイバの製造方法は、以上詳細
に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、
コア領域と、コア領域の外周に設けられたクラッド領域
とを備える光ファイバにおいて、クラッド領域の最外ク
ラッド層で、その外縁部内でFの添加量が順次減少して
いく構成とすることによって、外縁部の粘性が大きくな
り、応力がこの外縁部へと分散して、コアへの応力集中
が抑制される。
【0143】このコアへの応力集中の抑制により、光フ
ァイバの線引時において許容される好適な張力値範囲が
より広い数値範囲となり、線引時の張力制御が容易化さ
れる。また、コアへの過度の応力集中や、不充分な張力
制御などによって生じる伝送損失の増大や伝送特性の劣
化が防止されて、全長にわたって安定した伝送特性を有
する光ファイバが実現される。
【0144】線引炉で線引された光ファイバを、線引炉
の後段に設けられた加熱炉によって、所定の温度範囲で
あるように加熱された光ファイバは、非常に低伝送損失
となるなど優れた伝送特性を有している。したがって、
長距離の光伝送システムに適用したときに、光増幅器な
どが設置された中継器の数を減らすことができるなど、
効率的な光伝送システムを構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ファイバの第1の実施形態の断面構造及び屈
折率プロファイルを模式的に示す図である。
【図2】光ファイバの第2の実施形態の断面構造及び屈
折率プロファイルを模式的に示す図である。
【図3】光ファイバの製造方法を概略的に示すフローチ
ャートである。
【図4】光ファイバの製造方法、及び光ファイバの製造
に用いられる線引装置の一実施形態を概略的に示す構成
図である。
【図5】光ファイバの第1の比較例での屈折率プロファ
イルを示す図である。
【図6】光ファイバの第2の比較例での屈折率プロファ
イルを示す図である。
【図7】光ファイバにおける伝送損失の張力依存性を示
すグラフである。
【図8】光ファイバにおける伝送損失の張力依存性を示
すグラフである。
【図9】光ファイバにおける伝送損失の曲げ直径依存性
を示すグラフである。
【符号の説明】
1…線引装置、11…線引炉、12…ヒータ、13…炉
心管、14…不活性ガス供給部、15…不活性ガス供給
通路、21…加熱炉、22…ヒータ、23…炉心管、2
4…N2ガス供給部、25…N2ガス供給通路、31…樹
脂硬化部、32…UVランプ、41…外径測定器、42
…ドラム、43…駆動モータ、44…制御ユニット、4
5…回転駆動軸、51…コーティングダイス、52…U
V樹脂、61…ガイドローラ、2…光ファイバ母材、3
…光ファイバ、4…光ファイバ素線。100…コア領
域、200…クラッド領域、201…内クラッド層、2
02…外クラッド層、205…外縁部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 考利 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 Fターム(参考) 2H050 AB04X AB10Y AB18X AC35 AC38 AC71 AC73 AD00 4G021 EB05 EB06 EB19 EB21

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コア領域と、前記コア領域の外周に設け
    られ、屈折率を下げるフッ素が添加された1層または複
    数層のクラッド層を有するクラッド領域と、を備え、 前記1層または複数層のクラッド層のうちで最も外側に
    位置する最外クラッド層は、その外周を含む外縁部内に
    おいて、層内でのフッ素の最小添加量となる所定の添加
    量までフッ素の添加量が順次減少していくように構成さ
    れていることを特徴とする光ファイバ。
  2. 【請求項2】 前記クラッド領域は、前記コア領域の外
    周に設けられた内クラッド層と、前記内クラッド層の外
    周に設けられて前記最外クラッド層となる外クラッド層
    との2層のクラッド層からなるとともに、 前記外クラッド層でのフッ素の平均添加量が、前記内ク
    ラッド層でのフッ素の平均添加量よりも小さいことを特
    徴とする請求項1記載の光ファイバ。
  3. 【請求項3】 前記外クラッド層は、各部における比屈
    折率差を純SiO2での屈折率を基準として%で表して
    定義したときに、その平均比屈折率差Δn2が、条件 Δn2≧−0.26% を満たすことを特徴とする請求項2記載の光ファイバ。
  4. 【請求項4】 前記外クラッド層は、その内周近傍での
    フッ素の添加量が層内でのフッ素の最大添加量よりも少
    ないことを特徴とする請求項2記載の光ファイバ。
  5. 【請求項5】 前記最外クラッド層は、各部における比
    屈折率差を純SiO 2での屈折率を基準として%で表し
    て定義したときに、前記最小添加量でフッ素が添加され
    た前記外縁部内の部位での最大比屈折率差Δnaが、最
    大添加量でフッ素が添加された前記外縁部より内側の部
    位での最小比屈折率差Δnbに対して、条件Δna≧Δn
    b+0.05% を満たすことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ。
  6. 【請求項6】 前記最外クラッド層は、前記外縁部内に
    おいて、前記外縁部内の外周側の所定範囲で、フッ素の
    添加量が前記最小添加量で略一定となるように構成され
    ていることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ。
  7. 【請求項7】 前記コア領域は、各部における比屈折率
    差を純SiO2での屈折率を基準として%で表して定義
    したときに、その平均比屈折率差Δn0が、条件 0.01%≦Δn0≦0.12% を満たすように、塩素が添加されていることを特徴とす
    る請求項1記載の光ファイバ。
  8. 【請求項8】 前記コア領域は、領域内でグレーデッド
    型の屈折率分布を有することを特徴とする請求項7記載
    の光ファイバ。
  9. 【請求項9】 前記コア領域は、純SiO2からなるこ
    とを特徴とする請求項1記載の光ファイバ。
  10. 【請求項10】 レイリー散乱係数Aが0.81dB/
    km・μm4以下、または、波長1.00μmでの伝送
    損失α1.00が0.82dB/km以下であることを特徴
    とする請求項1記載の光ファイバ。
  11. 【請求項11】 少なくともコア領域を含むコア母材の
    外周上にガラス微粒子を堆積させて、前記コア領域の外
    周に設けられるクラッド領域が有する1層または複数層
    のクラッド層のうちで、最も外側に位置する最外クラッ
    ド層となるガラス微粒子層を合成する合成工程と、 合成された前記ガラス微粒子層を加熱脱水する脱水工程
    と、 脱水された前記ガラス微粒子層を加熱焼結して前記最外
    クラッド層とし、前記コア領域と、前記1層または複数
    層のクラッド層を有するクラッド領域と、を備える光フ
    ァイバ母材を形成する焼結工程とを備え、 前記ガラス微粒子層を加熱焼結する前に、前記ガラス微
    粒子層にフッ素を添加するとともに、その外周を含む外
    縁部から、添加されているフッ素の一部を除去すること
    を特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記脱水工程と、前記焼結工程との間
    に、フッ素を所定濃度で含むガス雰囲気中で、前記ガラ
    ス微粒子層にフッ素を含浸させて添加する含浸工程をさ
    らに備えるとともに、 前記焼結工程において、加熱焼結時のガス雰囲気に含ま
    れるフッ素の濃度を、含浸時の前記所定濃度よりも低い
    濃度として、前記ガラス微粒子層の前記外縁部から、添
    加されているフッ素の一部を除去することを特徴とする
    請求項11記載の光ファイバ母材の製造方法。
  13. 【請求項13】 少なくともコア領域を含むコア母材の
    外周上にガラス微粒子を堆積させて、前記コア領域の外
    周に設けられるクラッド領域が有する1層または複数層
    のクラッド層のうちで、最も外側に位置する最外クラッ
    ド層となるガラス微粒子層を合成する合成工程と、 合成された前記ガラス微粒子層を加熱脱水する脱水工程
    と、 脱水された前記ガラス微粒子層を加熱焼結して前記最外
    クラッド層とし、前記コア領域と、前記1層または複数
    層のクラッド層を有するクラッド領域と、を備える光フ
    ァイバ母材を形成する焼結工程とを備え、 前記合成工程において、フッ素を含む原料ガスを用いて
    前記ガラス微粒子層にフッ素を添加するとともに、その
    外周を含む外縁部内においてフッ素の添加量が順次減少
    していくように、前記フッ素を含む原料ガスを調整して
    前記ガラス微粒子層の合成を行うことを特徴とする光フ
    ァイバ母材の製造方法。
  14. 【請求項14】 少なくともコア領域を含むコア母材の
    外周上にガラス微粒子を堆積させて、前記コア領域の外
    周に設けられるクラッド領域が有する1層または複数層
    のクラッド層のうちで、最も外側に位置する最外クラッ
    ド層となるガラス微粒子層を合成する合成工程と、 合成された前記ガラス微粒子層を加熱脱水する脱水工程
    と、 脱水された前記ガラス微粒子層を加熱焼結して前記最外
    クラッド層とし、前記コア領域と、前記1層または複数
    層のクラッド層を有するクラッド領域と、を備える光フ
    ァイバ母材を形成する焼結工程とを備え、 前記合成工程において、塩素を含む原料ガスを用いて前
    記ガラス微粒子層に塩素を添加するとともに、その外周
    を含む外縁部内において塩素の添加量が順次減少してい
    くように、前記塩素を含む原料ガスを調整して前記ガラ
    ス微粒子層の合成を行った後、添加された塩素をフッ素
    に置換することを特徴とする光ファイバ母材の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 コア領域と、前記コア領域の外周に設
    けられ、屈折率を下げるフッ素が添加された1層または
    複数層のクラッド層を有するクラッド領域と、を備え、
    前記1層または複数層のクラッド層のうちで最も外側に
    位置する最外クラッド層が、その外周を含む外縁部内に
    おいて、層内でのフッ素の最小添加量となる所定の添加
    量までフッ素の添加量が順次減少していくように構成さ
    れている光ファイバ母材を作製するとともに、 前記光ファイバ母材を加熱線引するときに、0.05〜
    0.20Nの範囲内の張力で前記光ファイバ母材の線引
    を行うことを特徴とする光ファイバの製造方法。
  16. 【請求項16】 コア領域と、前記コア領域の外周に設
    けられ、屈折率を下げるフッ素が添加された1層または
    複数層のクラッド層を有するクラッド領域と、を備え、
    前記1層または複数層のクラッド層のうちで最も外側に
    位置する最外クラッド層が、その外周を含む外縁部内に
    おいて、層内でのフッ素の最小添加量となる所定の添加
    量までフッ素の添加量が順次減少していくように構成さ
    れている光ファイバ母材を作製するとともに、 前記光ファイバ母材を加熱線引するときに、線引炉で線
    引された光ファイバを、前記線引炉の後段に設けられた
    加熱炉によって所定の温度範囲内の温度であるように加
    熱することを特徴とする光ファイバの製造方法。
  17. 【請求項17】 前記加熱炉は、前記線引された光ファ
    イバを、前記光ファイバの温度が1100〜1700℃
    の範囲内の温度であるように加熱することを特徴とする
    請求項16記載の光ファイバの製造方法。
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