JP2002118008A - ミリ波用電磁波吸収体 - Google Patents

ミリ波用電磁波吸収体

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JP2002118008A
JP2002118008A JP2000308538A JP2000308538A JP2002118008A JP 2002118008 A JP2002118008 A JP 2002118008A JP 2000308538 A JP2000308538 A JP 2000308538A JP 2000308538 A JP2000308538 A JP 2000308538A JP 2002118008 A JP2002118008 A JP 2002118008A
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wave absorber
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JP2000308538A
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Kazuhisa Tsutsui
和久 筒井
Nobuaki Tanaka
伸明 田中
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Daido Steel Co Ltd
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱的変化や接着によっても対象とするミリ波帯
において高く安定した吸収特性を発揮できるミリ波用電
磁波吸収体を提供する。 【解決手段】ゴムまたはプラスチックからなる耐熱性の
シート2と、係るゴムまたはプラスチックのマトリック
ス中に埋設される軟磁性金属粉末4と、上記シート2に
おける何れかの表面に被覆したアルミニウム箔(金属層)
6またはCuメッキ層(金属層)8およびNiメッキ層
(金属層)9と、を含む、ミリ波用電磁波吸収体1,1
a。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミリ波(30〜1
00GHz)の高周波帯域において用いられるミリ波用
電磁波吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車事故を防ぎ且つ安全性を高めるた
め、高度交通システムの研究が広く進められている。そ
の1つとして、先行車との車間距離や相対速度を測定す
るミリ波レーダと称されるセンサが挙げられる。現在、
一部の自動車に搭載され実用化されているミリ波レーダ
には、安価な点から赤外線レーザを用いたものが使用さ
れている。しかし、係る赤外線レーザを用いたミリ波レ
ーダは、雨、雪、霧、または塵埃によって、センシング
機能が劣化する、という欠点がある。このため、例えば
76GHzまたは60GHzの周波数の電磁波を用いる
ミリ波レーダも検討されている。
【0003】上記電磁波を用いるミリ波レーダは、電磁
波の干渉を利用したセンサであるため、上記レーダの筺
体や構造物から反射した不要な電磁波を除去すべく、例
えば76GHzの電磁波を効果的に吸収するミリ波用電
磁波吸収体をレーダの筺体における所要の位置に配置す
る必要がある。また、ミリ波レーダは、実際的には自動
車に搭載されて自動運転を可能にするものであるため、
その誤動作は事故に直結する。このため、ミリ波用電磁
波吸収体も高く安定した吸収特性および雰囲気温度など
の変化に耐える耐候性が求められている。
【0004】ところで、現在活用されている電磁波吸収
体には、例えば塩素化ポリエチレン(CPE)をベースと
するプラスチックのマトリックス中に軟磁性金属粉末を
埋設したシート状のものがある。係る電磁波吸収体をミ
リ波レーダと共に自動車に搭載した場合、例えば+12
5℃〜−40℃の雰囲気温度の変化に耐える耐候性が求
められる。しかし、上記塩素化ポリエチレンは、+12
5℃付近で熱変形を生じ電磁波吸収体の厚さが変化する
ため、吸収特性が本来対象とするミリ波帯から大きく外
れてしまう、という問題がある。また、車載用のミリ波
レーダに用いられる電磁波吸収体は、自動車の走行に伴
う振動に耐えるため、例えばレーダの筺体に接着剤を介
して強固に固定される。しかしながら、軟磁性金属粉末
を埋設したゴムシート・タイプの電磁波吸収体では、接
着剤層の内部にも電磁波が進入するため、その厚みによ
って、吸収特性が対象とするミリ波帯から大きく外れて
しまう、という問題もある。
【0005】
【発明が解決すべき課題】本発明は、以上に説明した従
来の技術における問題点を解決し、熱的変化や接着によ
っても対象とするミリ波帯において高く安定した吸収特
性を発揮できるミリ波用電磁波吸収体を提供する、こと
を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、発明者らが研究および調査した結果、マト
リックスのシートに耐熱性ポリマーを用いたり、係るシ
ートの表面に金属層を設けることに着想して成されたも
のである。即ち、本発明のミリ波用電磁波吸収体は、ゴ
ムまたはプラスチックからなる耐熱性のシートと、上記
ゴムまたはプラスチックのマトリックス中に埋設される
軟磁性金属粉末と、上記シートにおける何れかの表面に
被覆した金属層と、を含む、ことを特徴とする。
【0007】これによれば、シートの何れかの表面に被
覆した金属層により、内部に進入したミリ波が反射する
ため、当該電磁波吸収体を機器に固定するための接着層
による吸収特性の劣化を防ぎ得る。この結果、対象とす
るミリ波の電磁波において所要の吸収特性を高く且つ安
定して発揮することができる。また、耐熱性のシートを
用いるので、熱的変化により厚さが変化しにくく安定し
た吸収特性を保有できる。従って、係るミリ波用電磁波
吸収体を例えば前記ミリ波レーダの筺体における所定の
位置に配置すると、不必要なミリ波を確実に吸収でき、
上記レーダが所定のミリ波のみを正確に受信することが
でき、誤動作のない正確な機能を果たすことができる。
尚、シートにおける上記耐熱性には、熱収縮や熱膨張し
にくい特性と共に、水分による体積変化を生じにくい特
性も含んでいる。
【0008】また、前記シートは、耐熱性ポリマーから
なるアクリルゴム、シリコーンゴムなどの合成ゴム、ま
たはPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、LCP
(液晶ポリマー)樹脂などのプラスチックである、ミリ波
用電磁波吸収体も含まれる。これによれば、例えば+1
25℃〜−40℃の雰囲気温度の変化に耐える耐候性
や、高湿度に確実に耐える耐湿性を有するため、車載用
の前記ミリ波レーダに用いた場合にも、上記シートの厚
みが変化しにくい。このため、所定のミリ波の電磁波に
対して所要の吸収特性を高く安定して得ることができ
る。
【0009】更に、前記金属層は、前記シートの表面に
接着した金属箔または金属薄板、あるいはメッキにより
形成した金属メッキ層である、ミリ波用電磁波吸収体も
含まれる。これによれば、シート内に進入したミリ波は
金属箔などにより反射するため、当該電磁波吸収体を機
器に固定するための接着剤層の影響を受けず、所定のミ
リ波の電磁波に対して所要の吸収特性を安定して得るこ
とができる。特に、上記シートに直にメッキした場合に
は、上記接着剤層の影響を考慮する必要がなく、電磁波
吸収体の設計が更に容易となる。また、金属箔や金属薄
板をシートに接着する場合でも、貼り付けに用いる極薄
または所定厚さに設定した接着剤の誘電率および厚みを
把握することにより、所定のミリ波に合致した電磁波吸
収体を容易に製作することができる。尚、上記金属箔や
金属薄板には、アルミニウムや銅などの箔や薄板が含ま
れ、金属メッキ層には、シートの表面に被覆可能な金属
メッキ層の全てが含まれ、例えば無電解銅メッキ、Cu
メッキ、Niメッキ、Crメッキ、あるいは無電解銅メ
ッキの上に電解銅メッキをする方法、更には同種または
異種金属メッキからなる複数層の金属メッキ層によって
形成することもできる。
【0010】加えて、76〜77GHzのミリ波の電磁
波を前記シートに垂直入射した際における反射減衰量
が、15dB以上である、ミリ波用電磁波吸収体も含ま
れる。これによれば、例えば前述したミリ波レーダにお
いて、不要なミリ波を吸収し、上記レーダにおいて76
〜77GHzの必要なミリ波をセンシングして所要の機
能を正確に成さしめることができる。尚、本発明のミリ
波用電磁波吸収体は、前記周波数帯域を除くミリ波帯域
においても適用でき、且つその用途も車載用の前記ミリ
波レーダに限らず、電子機器、制御機器、あるいは通信
機器などにも適用可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下において本発明の実施に好適
な形態を図面と共に説明する。図1(A)は、本発明のミ
リ波用電磁波吸収体1の断面を示し、耐熱性ポリマーの
プラスチックからなり且つ絶縁性のシート2と、このシ
ート2にほぼ均一に埋設した軟磁性金属粉末4と、上記
シート2の一方の表面に厚さ約100μmの接着剤層7
を介して被覆した厚さ約50μmのアルミニウム箔(金
属層)6と、から構成されている。尚、接着剤層7は、
その厚さと誘電率とを基にし、これらとシート2の厚さ
tと併せて、電磁波吸収体1が所定のミリ波に対応する
減衰ピークを持つように設定される。軟磁性金属粉末4
には、例えばFe−13wt%Crや、Fe−7wt%Cr
−9wt%Alなどの軟磁性合金を溶解してアトマイズ法
で噴霧した後、篩い分けにより平均粒径6〜10μmの
微細な粒径のものが使用される。係る金属粉末4をPP
S樹脂やLCP樹脂などの耐熱性ポリマーからなるマト
リックス材料に対して、10〜50vol%程度の割合で
配合し且つ混練した後、例えばロール成形機により、図
1(A)に示すように、厚さt約0.8mmの柔軟なシー
ト2に成形する。最後に、シート2の一方の表面に接着
剤層7を介してアルミニウム箔6を接着することによ
り、シート状のミリ波電磁波吸収体1としたものであ
る。
【0012】図1(B)は、異なる形態のミリ波用電磁波
吸収体1aの断面を示し、前記電磁波吸収体1と同様に
軟磁性金属粉末4を埋設した厚さt約0.9mmのシー
ト2と、このシート2の一方の表面に被覆した厚さ約2
μmのCuメッキ層(金属層)8および厚さ約0.2μm
のNiメッキ層(金属層)9と、から構成されている。シ
ート2に対し、その表面にメッキ触媒を塗布したり、あ
るいは粗面化処理した後、無電解銅メッキによりCuメ
ッキ層8を直に被覆することができる。図1(A),(B)
中の矢印で示すように、ミリ波用電磁波吸収体1,1a
に対し、アルミニウム箔6やCuメッキ層8およびNi
メッキ層9が被覆されていないシート2の表面から、例
えば76GHzのミリ波の電磁波(平面波)Wを垂直に入
射する。すると、上記電磁波Wは電磁波吸収体1,1a
のシート2内に進入する。この際、電磁波吸収体1,1
aは、その反射係数が対象とする周波数に対し、限りな
く0(ゼロ)に近付くように設計されている。このため、
電磁波Wは進入しつつ吸収されると共に、反対側のアル
ミニウム箔6またはCuメッキ層8の金属層に反射し且
つ新たに入射した電磁波Wと互いに干渉してエネルギを
打ち消し合う。即ち、電磁波Wは外部に戻らず反射減衰
(リフレクションロス)されるので、対象とするミリ波の
電磁波Wを確実に吸収して減衰させることが可能とな
る。
【0013】上記のような電磁波吸収体1,1aによれ
ば、シート2の反射係数が可及的に小さくなるように設
計されているので、例えば76GHzのミリ波において
少なくとも15dB以上、具体的には約20dBの減衰
量を確実に確保することが可能となる。また、シート2
の片方の表面に被覆したアルミニウム箔6やCuメッキ
層8の金属層により、電磁波は全て反射されるため、係
る表面側を機器に貼り付けることにより、これに用いる
接着剤による吸収特性のずれを確実に防止することがで
きる。しかも、シート2には耐熱性ポリマーからなるP
PS樹脂などのプラスチックが用いられているため、例
えば自動車内の発熱環境、厳冬期の寒気、または高湿度
下においても、熱変形や体積変形しにくく安定した電磁
波吸収特性を長期間に渉って保つことも可能となる。従
って、ミリ波域の電磁波に対して反射減衰のピークを容
易に合致できると共に、確実に且つ安定してミリ波域の
電磁波を吸収して遮蔽することが可能となる。尚、シー
ト2には、耐熱性ポリマーからなるアクリルゴムまたは
シリコーンゴムなどの合成ゴムを用いても良い。
【0014】
【実施例1,2】ここで、本発明の具体的な実施例につ
いて説明する。耐熱性ポリマーからなるアクリルゴムの
マトリックスに対し、Fe−13wt%Crからなり平均
粒径8μmの軟磁性金属粉末4を25vol%の割合で配
合し、混練およびロール成形により、基準厚さtが0.
8mmで100mm×100mmのシート2を得た。こ
のシート2の一方の表面に、厚さ約100μm±10μ
mのアクリル系接着剤(住友スリーエム社製:Y−94
79)7を介して厚さ50μmのアルミニウム箔6を接
着することにより、全体の厚さが0.9mmである実施
例1のミリ波用電磁波吸収体1を製作した。この電磁波
吸収体1は、76GHzが対象とするミリ波である。
【0015】また、前記と同じように製作した軟磁性金
属粉末4を含むアクリルゴムからなり基準厚さtが0.
9mmのシート2における一方の表面に対し、無電解銅
メッキにより厚さ2μmのCuメッキ層8を直に被覆
し、その上に厚さ0.2μmのNiメッキ層9を被覆し
て、実施例2のミリ波用電磁波吸収体1aを製作した。
この電磁波吸収体1aも、76GHzが対象とするミリ
波である。前記図1(A),(B)に示したように、実施例
1,2の電磁波吸収体1,1aにおけるシート2の中央
付近を自由空間に置き、図示しないホーンアンテナか
ら、70〜80GHzのミリ波帯域(高周波数)の電磁波
(平面波)Wを、電磁波吸収体1,1aのシート2におけ
るアルミニウム箔6などがない表面に対し、垂直にそれ
ぞれ入射した。この際、各周波数ごとにおける反射減衰
量を、図示しないネットワークアナライザによって測定
した。その結果を、図2(A),(B)のグラフに示した。
【0016】図2(A),(B)のグラフによれば、実施例
1,2の電磁波吸収体1,1aは、何れも76GHz付
近において、反射減衰のピークPを有し、且つ約20d
Bの反射減衰量を示した。これにより、所定厚さの接着
剤層7を介してアルミニウム箔6を貼り付けたり、Cu
メッキ層8およびNiメッキ層9を被覆することによ
り、各例のシート2内に進入したミリ波Wは、アルミニ
ウム箔6などの金属層で反射する。このため、金属層を
被覆した表面側を機器に貼り付けることにより、係る際
に用いる接着剤層による吸収特性のずれを防げると共
に、設定通りの76GHz付近のミリ波域において、電
磁波を確実に吸収できることが確認できた。
【0017】
【実施例3】前記実施例1と同じように製作し且つ同じ
サイズを有する実施例3のミリ波用電磁波吸収体1を5
枚製作した。これらも76GHzのミリ波を対象とす
る。1枚のミリ波用電磁波吸収体1には、125℃に加
熱し且つ1000時間に渉って保持する高温保持を行っ
た。また、別の電磁波吸収体1には、−40℃に冷却し
且つ1000時間に渉って保持する低温保持を行った。
更に別の電磁波吸収体1には、125℃と−40℃とに
加熱および冷却を10分間ずつ保持し且つ交互に500
サイクルで行う熱衝撃試験を行った。加えて、別の電磁
波吸収体1に対しては、80℃で且つ相対湿度(RH)8
0%の条件下で、1000時間に渉り保持する高温高湿
試験を行った。
【0018】以上の処理を個別に施した実施例3の4枚
の電磁波吸収体1と残った1枚の未処理の電磁波吸収体
1について、前記と同じ方法で70〜80GHzのミリ
波帯域の電磁波Wを垂直にそれぞれ入射し、各周波数ご
とにおける反射減衰量を測定した。その結果を図3(A)
のグラフに示す。図3(A)のグラフによれば、実施例3
の5枚の電磁波吸収体1は、未処理のものと前記4種類
の処理を施したものとが、何れも76GHz付近におい
て、反射減衰のピークPを有し、且つ約20dBの反射
減衰量を示した。これらは、耐熱性ポリマーからなるア
クリルゴムのシート2を用いたことにより、種々の加
熱、冷却、および高湿度の環境に置かれても、進入した
ミリ波を吸収するシート2の吸収特性が実質的に変化し
なかったものと思われる。
【0019】一方、塩素化ポリエチレン(CPE)のマト
リックスに対し、前記と同じ軟磁性金属粉末4をおなじ
割合で配合した後、混練およびロール成形により、実施
例3と同じサイズを有する比較例1の電磁波吸収体を2
枚製作した。これらも76GHzのミリ波を対象とす
る。このうちの1枚につき、125℃に加熱し且つ1時
間保持した。係る処理後のものと未処理のものとについ
て、上記と同じ方法で電磁波Wを入射し、反射減衰量を
測定した。その結果を図3(B)のグラフに示す。図3
(B)のグラフによれば、実線で示す未処理のものは、7
6GHz付近において、反射減衰のピークPを有し且つ
約20dBの反射減衰量を示した。しかし、図3(B)中
の破線で示す125℃に1時間加熱・保持したものは、
塩素化ポリエチレンからなるシートが熱変形して、その
厚みが厚くなったことにより、反射減衰のピークが低周
波数寄りに著しくずれていた。この結果、対象とする7
6GHz付近では、殆ど反射減衰が得られなかったもの
と推定される。以上の実施例3および比較例1の結果か
ら、本発明の電磁波吸収体1は、熱的変化においても、
優れていることが判明した。
【0020】
【実施例4】前記と同じように製作した軟磁性金属粉末
4を埋設する厚さtが0.9mmのアクリルゴムのシー
ト2における一方の表面に対し、無電解銅メッキにより
厚さ2μmのCuメッキ層8を直に被覆し、その上に厚
さ0.2μmのNiメッキ層9を被覆して、前記実施例
2と同じサイズを有する実施例4のミリ波用電磁波吸収
体1aを4枚製作した。これらも76GHzのミリ波を
対象とする。また、上記と同じ軟磁性金属粉末4を埋設
し且つ同じ厚さtのアクリルゴムのシート2のみからな
る比較例2のミリ波用電磁波吸収体を4枚製作した。こ
れらも76GHzのミリ波を対象とする。
【0021】実施例4のうち、1枚のミリ波用電磁波吸
収体1aには、そのシート2の前記メッキ層8,9が被
覆された表面に厚さ50μmのアクリル系粘着剤(住友
スリーエム社製:9460PC)を接着した。一方、比
較例2のうち、1枚のミリ波用電磁波吸収体のシート2
の表面にも上記と同じ厚さの同じ粘着剤を接着した。ま
た、実施例4のうち、別の1枚のシート2における前記
メッキ層8,9が被覆された表面には、厚さ125μm
のアクリル系粘着剤(同上:9469PC)を接着した。
一方、比較例2のうち、別の1枚のシート2の表面にも
上記と同じ厚さの同じ粘着剤を接着した。更に、実施例
4のうち、更に別の1枚のシート2における前記メッキ
層8,9が被覆された表面には、厚さ255μmのアク
リル系粘着剤(同上:9473PC)を接着した。一方、
比較例2のうち、更に別の1枚のシート2の表面にも上
記と同じ厚さの同じ粘着剤を接着した。尚、これらの粘
着剤は、ミリ波用電磁波吸収体(1a)を例えば前記ミリ
波レーダの筺体における所定に位置に貼り付ける際に用
いる接着剤に相当する。また、実施例4では、シート2
に被覆されたCuメッキ層8とNiメッキ層9の表面上
に粘着剤を接着した。
【0022】未接着のものを含む実施例4の4枚のミリ
波用電磁波吸収体1aについて、前記と同じ方法で60
〜90GHzのミリ波帯域の電磁波Wを垂直にそれぞれ
入射し、各周波数ごとにおける反射減衰量を測定した。
その結果を図4(A)のグラフに示した。また、未接着の
ものを含む比較例2の4枚のミリ波用電磁波吸収体も、
上記と同様に反射減衰量を測定した。その結果を図4
(B)のグラフに示した。図4(A)のグラフによれば、実
施例4の4枚のミリ波電磁波吸収体1aは、未処理のも
のと前記3種類の粘着剤を個別に接着したもの何れも
が、76GHz付近において、反射減衰のピークPを有
し且つ約20dBの反射減衰量を示した。これは、アク
リルゴムのシート2の表面にCuメッキ層8およびNi
メッキ層9を被覆したことにより、その上に種々の厚さ
の粘着剤を接着しても、ミリ波が上記メッキ層8で全て
反射するため、前記粘着剤の影響を受けることなく、反
射減衰のピークを76GHz付近において固定化できた
ものと思われる。
【0023】一方、図4(B)のグラフによれば、実線で
示す未接着の電磁波吸収体は、76GHz付近におい
て、反射減衰のピークPを有し且つ約20dBの反射減
衰量を示した。しかし、図4(B)中の破線、一点鎖線、
および二点鎖線で示す前記粘着剤を接着した3枚の電磁
波吸収体は、粘着剤が厚くなるにつれて反射減衰のピー
クpが低周波数寄りにずれると共に、反射減衰量も少し
ずつ低減していた。これは、比較例2ではシート2の表
面に直に前記粘着剤を接着したため、ミリ波が粘着剤の
内部まで進入し吸収特性が変化した結果、反射減衰のピ
ークpが図4(B)のグラフのようにずれていったものと
推定される。以上の実施例4および比較例2の結果か
ら、本発明の電磁波吸収体1aは、前記メッキ層8,9
を被覆した表面側を機器に接着することにより、係る接
着に粘着剤を用いた場合でも、電磁波吸収特性が変化し
ないということが判明した。
【0024】本発明は、以上に説明した形態や実施例に
限定されるものではない。例えば、前記金属層には、鋼
板、ステンレス鋼板、アルミニウム合金薄板、チタン合
金薄板などの金属薄板を用いることもできる。且つ、金
属層の材質はミリ波が反射可能であれば特に限定され
ず、その被覆方法も前記接着、または無電解メッキや電
解メッキ、電気メッキに限らず、化学メッキなどにても
可能である。また、前記シート2には、耐熱性ポリマー
からなるポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリ
スルホン、ポリエーテルケトンなどのプラスチックや、
スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソブチレン・イソ
プレンゴム(IIR)、ポリブタジエンゴム(BR)などの
耐熱性を有する合成ゴムも適用可能である。更に、シー
ト2に埋設する前記軟磁性金属粉末4の材質は、前記F
e基合金に限らず、NiやCo、あるいはこれをベース
とする合金も含まれる。尚、本発明のミリ波電磁波吸収
体は、ミリ波帯域(30〜100GHz)であれば何れの
ミリ波にも適用でき、且つその用途も前述したものに限
定されない。
【0025】
【発明の効果】以上に説明した本発明のミリ波電磁波吸
収体によれば、シートの表面に被覆した金属層により内
部に進入したミリ波が全て反射し、機器に貼り付けるた
めの接着剤による吸収特性のずれを生じることなく、対
象とするミリ波の電磁波において所要の吸収特性を高く
且つ安定して発揮することができる。また、耐熱性のシ
ートを用いるので、熱的変化などにより厚さが変化しに
くく安定した吸収特性を保有できる。従って、例えばミ
リ波レーダの筺体における所定の位置にミリ波用電磁波
吸収体を配置すると、不必要なミリ波を確実に吸収で
き、上記レーダが所定のミリ波のみを正確に受信するこ
とができ、誤動作のない正確な機能を果たすことができ
る。また、請求項2のミリ波電磁波吸収体によれば、雰
囲気温度の変化に耐える耐候性や、高湿度に確実に耐え
ること耐湿性を有するため、種々の環境下で用いた場合
にも、前記シートの厚みも変化しないため、所定のミリ
波の電磁波に対して所要の吸収特性を高く安定して得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A),(B)は共に本発明のミリ波電磁波吸収体
を示す断面図。
【図2】(A),(B)は共に本発明の実施例におけるミリ
波の減衰特性を示すグラフ。
【図3】(A),(B)は異なる実施例または比較例のミリ
波の減衰特性を示すグラフ。
【図4】(A),(B)は更に異なる実施例または比較例に
おけるミリ波の減衰特性を示すグラフ。
【符号の説明】
1,1a…ミリ波電磁波吸収体 2…………シート 4…………軟磁性金属粉末 6…………アルミニウム箔(金属層) 8…………Cuメッキ層(金属層) 9…………Niメッキ層(金属層) W…………ミリ波(電磁波)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AB01 AB01A AB01B AB01C AB02 AB02H AB10 AB13 AB13H AB16 AB17 AB33B AB33C AK01A AK25A AK25G AK52A AK57A AN00A AN02A BA02 BA03 BA06 BA07 BA10B BA10C DE01A EC18 EC183 EH71B EH71C EJ19 EJ192 GB32 GB41 JD08 JD14 JJ03A 5E040 CA13 5E321 BB23 BB25 BB32 BB44 BB53 CC16 GG05 GG07 GG11

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゴムまたはプラスチックからなる耐熱性の
    シートと、 上記ゴムまたはプラスチックのマトリックス中に埋設さ
    れる軟磁性金属粉末と、上記シートにおける何れかの表
    面に被覆した金属層と、を含む、 ことを特徴とするミリ波用電磁波吸収体。
  2. 【請求項2】前記シートは、耐熱性ポリマーからなるア
    クリルゴム、シリコーンゴムなどの合成ゴム、またはP
    PS樹脂、LCP樹脂などのプラスチックである、こと
    を特徴とする請求項1に記載のミリ波用電磁波吸収体。
  3. 【請求項3】前記金属層は、前記シートの表面に接着し
    た金属箔または金属薄板、あるいはメッキにより形成し
    た金属メッキ層である、 ことを特徴とする請求項1または2に記載のミリ波用電
    磁波吸収体。
  4. 【請求項4】76〜77GHzのミリ波の電磁波を前記
    シートに垂直入射した際における反射減衰量が、15d
    B以上である、 ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のミリ
    波用電磁波吸収体。
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