JP2002096721A - 車両の制動装置 - Google Patents

車両の制動装置

Info

Publication number
JP2002096721A
JP2002096721A JP2000289211A JP2000289211A JP2002096721A JP 2002096721 A JP2002096721 A JP 2002096721A JP 2000289211 A JP2000289211 A JP 2000289211A JP 2000289211 A JP2000289211 A JP 2000289211A JP 2002096721 A JP2002096721 A JP 2002096721A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle
brake
electric
motor
drum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000289211A
Other languages
English (en)
Inventor
Takayuki Yamamoto
貴之 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2000289211A priority Critical patent/JP2002096721A/ja
Publication of JP2002096721A publication Critical patent/JP2002096721A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Regulating Braking Force (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動ドラムブレーキにおいて、前進時と後進
時におけるサービス用ブレーキの制動力の差、下り坂停
車時と登り坂停車時における駐車用ブレーキの制動力の
差をなくす。 【解決手段】 電動モータ41の駆動力によって一対の
ブレーキシュー202a,202bが拡開されて、ブレ
ーキライニング219a,219bが車輪と一体回転す
るドラム206に押し付けられることにより、車輪に制
動力が付与される。マイクロコンピュータ100は、車
速センサ51によって検出される車速に基づいて車両の
前進及び後進を判定し、ブレーキペダル11の同一踏み
込み操作力に対して、後進時に電動モータ41に流れる
電流を前進時に電動モータ41に流れる電流に比べて大
きくする。駐車ブレーキ時にも、傾斜センサ52によっ
て検出される下り坂と登り坂とで前記モータ電流を異な
らせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、電動モータの駆動
力によって車輪に制動力を付与する電動ドラムブレーキ
を備えた車両の制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、例えば特開平11−9993
4号公報に示されているように、電動ドラムブレーキを
備えた車両の制動装置は知られている。そして、この電
動ドラムブレーキにおいては、運転者のブレーキ操作に
応じたモータ電流を電動モータに流して、同モータの駆
動力によって互いに対向する円弧状の一対のブレーキシ
ューをアンカを支点として拡開することにより、各一対
のブレーキシューに固着されたブレーキライニングを車
輪と一体回転するドラムに押し付けて車輪に制動力を付
与するように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の電
動ドラムブレーキすなわちドラム式のブレーキにあって
は、車両の前進時と後進時とで、車輪制動時におけるブ
レーキライニングとドラムとの面圧が高い部分が異な
る。具体的には、デュオサーボ型(DS型)のドラムブ
レーキの場合、前進時には図9(A)のX1,X2の部分
の面圧が高く、後進時に図9(B)のY1,Y2の部分の
面圧が高い。また、リーディング・トレーリング型(L
T型)のドラムブレーキの場合、前進時には図10(A)
のX3の部分の面圧が高く、後進時に図10(B)のY3
の部分の面圧が高い。
【0004】一方、ブレーキライニングとドラムとの間
の摩擦係数は、最初小さく、ある限界時間に達するまで
は、使用するほど大きくなるという性質を有する。そし
て、前進する車両を停止させる頻度は後進する車両を停
止させる頻度に比べて非常に高いので、車両の前進時に
車輪を制動するために主に利用される前記面圧の高い部
分X1〜X3のブレーキライニングとドラムとの間の摩
擦係数は、車両の後進時に車輪を制動するために主に利
用される前記面圧の高い部分Y1〜Y3のブレーキライ
ニングとドラムとの間の摩擦係数よりも高くなる。した
がって、電動ドラムブレーキにおいて、電動モータに流
す電流が同じであれば、車両が後進する方向への車輪の
回転を制動する制動力は、車両が前進する方向への車輪
の回転を制動する制動力よりも小さくなってしまう。こ
のことは、運転者が同一のブレーキ操作をして電動モー
タに同操作に応じたモータ電流を流した場合に、車両の
前進時と後進時とで、車両に対する制動力に差が生じる
ことを意味する。
【0005】また、運転者が駐車用のブレーキ操作子を
操作して、車両を坂道に停車させる場合にも、一方向に
進行しようとする車輪の回転を制動する点では前記前進
及び後進の場合と同じであり、この場合も、車両が登り
坂にある場合と、下り坂にある場合とで、車両に対する
制動力に差が生じる。なお、下り坂とは車両の前方に向
かうにしたがって路面が低くなっていく坂道を指し、登
り坂とは車両の前方に向かうにしたがって路面が高くな
っていく坂道をいう。これらの理由により、上記従来の
装置によれば、運転者は違和感を感じることになるとと
もに、制動力の制御上も好ましいものではない。
【0006】
【発明の概要】本発明は、上記問題に対処するためにな
されたもので、その目的は、電動ドラムブレーキを備え
た車両の制動装置を改良することにあり、特に車両に対
する制動力が車両の走行状態、道路状態、環境状態など
の種々の状況に応じて異なることのないようにすること
にある。
【0007】上記目的を達成するために、本発明の特徴
は、車両が前進中であるか後進中であるかを判定し、車
両が後進中であるときのモータ電流を、車両が前進中で
あるときのモータ電流よりも大きくするようにしたこと
にある。これによれば、上述したブレーキライニングと
ドラムとの間の摩擦係数の部分的な違いによる車両の前
進時と後進時との制動力の差をなくす又は小さくするよ
うに修正できる。
【0008】また、本発明の他の特徴は、車両が登り坂
に停車しているか下り坂に停車しているかを判定し、車
両が登り坂に停車しているときのモータ電流を、車両が
下り坂に停車しているときのモータ電流よりも大きくす
るようにしたことにある。これによれば、車両を登り坂
に停車させる場合と、下り坂に停車させる場合とにおけ
る上記ブレーキライニングとドラムとの間の摩擦係数の
部分的な違いに起因した制動力の差をなくす又は小さく
するように修正できる。
【0009】また、本発明の他の特徴は、車両の位置す
る路面状況を検出して、前記検出された路面状況に応じ
て電動モータに流れる電流を補正制御することにある。
この場合、路面状況としては、路面摩擦係数、悪路・良
路などの状況を検出するとよい。これによれば、車両の
走行又は停止路面の状況が変化しても、ブレーキ操作に
よる制動力の差をなくす又は小さくするように修正でき
る。
【0010】また、本発明の他の特徴は、電動ブレーキ
の環境温度を検出して、前記検出された環境温度に応じ
て電動モータに流れる電流を補正制御することにある。
この場合、環境温度としては、外気温度、電動ブレーキ
の温度などを検出するとよい。これによれば、電動ブレ
ーキの環境温度が変化しても、ブレーキ操作による制動
力の差をなくす又は小さくするように修正できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態に係る
車両の制動装置について図面を用いて説明すると、図1
は、同車両の制動装置の全体を概略的に示している。
【0012】この車両の制動装置は、サービスブレーキ
ペダル装置10、パーキングブレーキ操作子20、前輪
FL,FRにそれぞれ設けられた電動ディスクブレーキ
30,30、後輪RL,RRにそれぞれ設けられた電動
ドラムブレーキ40,40、及び電気制御装置50を備
えている。
【0013】サービスブレーキペダル装置10は、運転
者によって踏み込み操作されるブレーキ操作部材として
のブレーキペダル11を有する。ブレーキペダル11
は、ストロークシミュレータ12に組み付けられてい
る。ストロークシミュレータ12は、ブレーキペダル1
1と連動する運動部材12aと、運動部材12aをガイ
ドするガイド部材12bと、ガイド部材12bに収容さ
れて運動部材12aの移動によって伸縮させられて弾性
力が増減させられる弾性部材としてのスプリング12c
とからなる。そして、このスプリング12cにより、ブ
レーキペダル11は、運転者によって踏み込み操作され
ていない状態では所定の位置に静止している。
【0014】このブレーキペダル11及びストロークシ
ミュレータ12には、電気制御装置50の一部を構成す
るブレーキペダルスイッチ13及び操作力センサ14も
組み付けられている。ブレーキペダルスイッチ13は、
ブレーキペダル11の非踏み込み操作時にオフしてい
て、踏み込み操作によりオンするものである。操作力セ
ンサ14は、ブレーキペダル11の踏み込み操作力Fを
検出するものである。なお、この踏み込み操作力Fは、
スプリング12cの弾性力に抗した力に等しく、踏み込
み量(踏み込みストローク)に等しいものであり、操作
力センサ14をブレーキペダル11の踏み込み量を検出
するストロークセンサで構成できる。
【0015】パーキングブレーキ操作子20は、運転席
近傍の車室内に設けれて運転者によって手動操作される
もので、駐車用ブレーキの作動及び作動解除を指示する
2位置切替えタイプのスイッチで構成されている。な
お、このパーキングブレーキ操作子20は、駐車用のブ
レーキ装置を作動させるための操作部材を構成する。
【0016】電動ディスクブレーキ30,30は、電動
モータ31,31と、ブレーキパッド32,32と、前
輪FL,FRと一体回転するディスク33,33とをそ
れぞれ備えている。ブレーキパッド32,32は、電動
モータ31,31により駆動されてディスク33,33
に押し付けられ、ディスク33,33との摩擦力により
前輪FL,FRに制動力を付与する。なお、本実施形態
では、電動モータ31,31は直流モータで構成されて
いるが、交流モータ、超音波モータなどの他のモータを
採用するようにしてもよい。
【0017】電動ドラムブレーキ40,40は、図2に
示すようなデュオサーボ型のドラムブレーキでそれぞれ
構成されている。各電動ドラムブレーキ40は、ほぼ円
板状のバッキングプレート200と、そのバッキングプ
レート200に設けられ、ほぼ円弧状の一対のブレーキ
シュー202a,202bと、内周面に摩擦面204を
備えて車輪と共に回転するドラム206と、一対のシュ
ー202a,202bの一端部同士を拡開させる電動ア
クチュエータ207とを含む。バッキングプレート20
0は図示しない車体側部材に回転不能に取り付けられ
る。
【0018】一対のブレーキシュー202a,202b
は、それぞれ、互いに対向する一端部において、バッキ
ングプレート200に固定されたアンカピン208に係
合させられることによって、ドラム206と共に回転す
ることを防止された状態で回動可能に保持される。ま
た、他端部同士がストラット210によって連結され
る。ストラット210によって一方のシューに作用する
力が他方のシューに伝達されるのである。なお、一対の
ブレーキシュー202a,202bは、シューホールド
ダウン装置212a,212bによってバッキングプレ
ート200にそれの面に沿って移動可能とされている。
【0019】一対のブレーキシュー202a,202b
の他端部同士は、図に示すように、スプリング214に
より互いに接近する向きに付勢されており、一端部は各
シューリターンスプリング215a,215bによりア
ンカピン208に向かって付勢されている。また、一端
部には、ストラット216、リターンスプリング218
も設けられている。
【0020】各ブレーキシュー202a,202bの外
周面には、それぞれ、摩擦係合部材としてのブレーキラ
イニング219a,219bが保持され、それら一対の
ブレーキライニング219a,219bがドラム206
の内周面204に摩擦係合させられることにより、ブレ
ーキライニング219a,219bとドラム206との
間に摩擦力が発生する。本実施形態においては、ストラ
ット210がアジャスト機構を備えたものであり、ブレ
ーキライニング219a,219bの摩耗に応じてブレ
ーキライニング219a,219bとドラム内周面20
4との隙間を調整する。
【0021】各ブレーキシュー202a,202bは、
それぞれリム224a,224bとウェブ222a,2
22bとを含み、一方のブレーキシュー202aのウェ
ブ222aには、レバー230aの一端部がピン232
aを介して回動可能に設けられている。レバー230a
とウェブ222a,222bとの互いに対向する部分に
は、それぞれ、切欠が設けられており、これら切欠に、
前記ストラット216が、両端がレバー230a、ウェ
ブ222a,222bに係合させられた状態で設けられ
ている。
【0022】レバー230aの他端部には、電動モータ
41を含む電動アクチュエータ207が連結されてい
る。より具体的には、電動アクチュエータ207は、上
記電動モータ41の他に、減速機,運動変換機構を含
む。電動モータ41の出力軸の回転が減速機によって減
速させられ、その回転運動がボールねじ機構によって直
線運動に変換されて、同ボールねじ機構の出力部材にレ
バー230aの他端部が連結されている。そして、電動
モータ41(電動アクチュエータ207)の駆動によっ
てレバー230aが回動させられ、ストラット216に
より、一対のブレーキシュー202a,202bが拡開
させられる。なお、本実施形態では、電動モータ41は
直流モータで構成されているが、交流モータ、超音波モ
ータなどの他のモータを採用するようにしてもよい。
【0023】電気制御装置50は、前記ブレーキペダル
スイッチ13及び操作力センサ14の他に、車速センサ
51及び傾斜センサ52を備えている。車速センサ51
は、変速機の出力軸の回転を計測することにより、車速
Vを検出するものである。なお、この車速Vは、正によ
って前進時の車速を表し、負によって後進時の車速を表
している。傾斜センサ52は、前後方向の車体傾斜角θ
すなわち車両が位置する路面の車体前後方向の傾斜角θ
を検出するものである。これらのスイッチ13及びセン
サ14,51,52は、パーキングブレーキ操作子20
と共にコントローラ53に接続されている。
【0024】コントローラ53は、CPU,ROMおよ
びRAMを含むマイクロコンピュータ100を主体とし
て構成されている。マイクロコンピュータ100は、所
定の短時間ごとに図示しないプログラムを繰り返し実行
して前輪FL,FR用の電動ディスクブレーキ30,3
0の作動を制御するとともに、所定の短時間ごとに図3
のプログラムを繰り返し実行して後輪RL,RR用の電
動ドラムブレーキ40,40の作動を制御する。なお、
マイクロコンピュータ100のROMには、図3のプロ
グラム及び他の図示しないプログラムに加えて、図4〜
6に示す特性の各種制御値もテーブルなどの形で記憶さ
れている。
【0025】コントローラ53の出力側には、バッテリ
54に接続されたドライバ55が接続されている。ドラ
イバ55は、コントローラ50(マイクロコンピュータ
100)に制御されて、マイクロコンピュータ100に
よって指示された大きさの電流をバッテリ54から電動
モータ31,41に流す。本実施形態においては、ドラ
イバ55にはデューティ比を表す指令信号が出力され、
電動モータ31,41にはデューティ比に従った電流が
供給されることになる。
【0026】上記のように構成した実施形態の動作を説
明する。ブレーキペダル11が踏み込み操作されていな
いとともに、パーキングブレーキ操作子20による駐車
ブレーキの作動要求がない状態では、マイクロコンピュ
ータ100は、図示しない前輪用プログラムの実行によ
り、前輪FL,FR用の電動ディスクブレーキ30,3
0を制御するためのデューティ比「0」を表す信号をド
ライバ55に出力する。これにより、ドライバ55は、
バッテリ54からの電流を電動ディスクブレーキ30,
30の電動モータ31,31に供給することもなく、同
モータ31,31は作動しないので、この場合には、同
ブレーキ30,30は前輪FL,FRに制動力を付与し
ない。
【0027】また、マイクロコンピュータ100は、前
記図示しない前輪用プログラムと並行して図3の後輪用
プログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行してい
る。このプログラムの実行はステップS10にて開始さ
れ、ステップS12にて、ブレーキペダルスイッチ13
からの信号を入力して、同信号に基づいてブレーキペダ
ル11が踏み込み操作中であるかを判定する。この場
合、前記のようにブレーキペダル11は踏み込み操作さ
れていないので、ステップS12にて「NO」と判定
し、ステップS14にて、パーキングブレーキ操作子2
0からの信号を入力して、同操作子20によって駐車ブ
レーキの作動要求がなされているかを判定する。この場
合も、前記のようにパーキングブレーキ操作子20によ
る駐車ブレーキの作動要求はなされていないので、ステ
ップS14にて「NO」と判定し、ステップS32にて
後輪RL,RR用の電動ドラムブレーキ40,40を制
御するためのデューティ比DRを「0」に設定してプロ
グラムをステップS34に進める。
【0028】ステップS34においては、前記「0」に
設定されたデューティ比DRを表す制御信号をドライバ
55に出力する。これにより、ドライバ55は、バッテ
リ54からの電流を電動ドラムブレーキ40,40の電
動モータ41,41に供給することもなく、同モータ4
1,41は作動しないので、この場合には、同ブレーキ
40,40は後輪RL,RRに制動力を付与しない。そ
して、前記ステップS34の処理後、ステップS36に
てこのプログラムの実行を一旦終了する。
【0029】次に、ブレーキペダル11が踏み込み操作
された場合について説明する。この場合も、前記図示し
ない前輪用プログラムが実行されて、操作力センサ14
によって検出された操作力Fに応じた目標電流値に対応
したデューティ比を表す制御信号であって、前輪FL,
FR用の電動ディスクブレーキ30,30を制御するた
めの制御信号がコントローラ53からドライバ55に出
力される。ドライバ55は、この制御信号に応じた大き
さの電流をバッテリ54から電動ディスクブレーキ3
0,30の電動モータ31,31に流す。したがって、
電動ディスクブレーキ30,30は、前記操作力Fに対
応した制動力を前輪FL,FRに付与する。ただし、こ
の前輪FL,FRに対する制動力の制御は、本発明に直
接関係しないので、詳しい説明は省略する。
【0030】一方、図3の後輪用のプログラムにおいて
は、前述したステップS12にて、「YES」すなわち
ブレーキペダル11が踏み込み操作されていると判定し
て、プログラムをステップS16に進める。ステップS
16においては、車速センサ51から検出車速Vを入力
して、同検出車速Vに基づいて車両が前進中又は停止中
であるかを判定する。本実施形態においては、車速Vは
正によって前進を表し、負によって後進を表しているの
で、車速Vが「0」又は正であれば車両は前進又は停止
中であると判定され、車速Vが負であれば車両は後進中
であると判定される。
【0031】車両が前進又は停止中であれば、ステップ
S16にて「YES」と判定して、ステップS18にて
操作力センサ14から検出操作力Fを入力して、同検出
操作力Fに対応した目標加圧力P*を決定する。この目
標加圧力P*の決定においては、マイクロコンピュータ
100内のROMに設けた操作力−加圧力テーブルを参
照して、図4の実線で示す操作力−加圧力特性に従うと
ともに前記検出操作力Fに対応した加圧力P1aを決定し
て、同加圧力P1aを目標加圧力P*として設定する。な
お、加圧力P1aは、操作力Fの増加に従って増加するも
のである。
【0032】また、車両が後進中であれば、ステップS
16にて「NO」と判定して、ステップS20にて操作
力センサ14から検出操作力Fを入力して、同検出操作
力Fに対応した目標加圧力P*を決定する。この目標加
圧力P*の決定においては、前記と同様な操作力−加圧
力テーブルを参照して、図4の破線で示す操作力−加圧
力特性に従うとともに前記検出操作力Fに対応した加圧
力P2aを決定して、同加圧力P2aを目標加圧力P*とし
て設定する。なお、加圧力P2aも、操作力Fの増加に従
って増加するものであるが、同一の操作力Fに対して前
記加圧力P1aよりも大きな値に設定されている。
【0033】前記ステップS18又はステップS20の
処理後、ステップS28にて、マイクロコンピュータ1
00のROM内に設けられるとともに図5に示す特性を
有する目標加圧力−目標電流テーブルを参照して、前記
決定した目標加圧力P*を前記特性に従って目標電流I
*に変換する。次に、ステップS30にて、マイクロコ
ンピュータ100のROM内に設けられるとともに図6
に示す特性を有する目標電流−デューティ比テーブルを
参照して、前記決定した目標電流I*を前記特性に従っ
てデューティ比DRに変換する。なお、目標電流I*及
びデューティ比DRは、目標加圧力P*及び目標電流I
*の増加に従ってそれぞれ増加するものである。
【0034】前記ステップS30の処理後、ステップS
34にて、前述した場合と同様に、デューティ比DRを
表す制御信号をドライバ55に出力して、ステップS3
6にてこのプログラムの実行を一旦終了する。ドライバ
55は、前記デューティ比DRに基づいて、同デューテ
ィ比DRに対応した大きさの電流をバッテリ54から電
動ドラムブレーキ40,40の電動モータ41,41に
流す。
【0035】これにより、各電動モータ41は、作動開
始して前記電流の大きさにほぼ比例した駆動力を発生す
る。すなわち、ブレーキペダル11の踏み込み操作力F
(又は目標加圧力P*及び目標電流I*)にほぼ比例し
た駆動力を発生する。この電動モータ41の作動によ
り、電動アクチュエータ207は、前記駆動力に対応し
た力でレバー230aを回動させる。ストラット216
により、一対のシュー202a,202bが拡開させら
れ、ブレーキライニング219a,219b(摩擦係合
部材)がドラム206の内周面204に押し付けられ
る。摩擦係合部材はドラム内周面204に摩擦係合させ
られ、これらの間に摩擦力が発生させられる。その結
果、後輪RL,RRには、操作力F(又は目標加圧力P
*及び目標電流I*)にほぼ比例する制動力が付与され
る。
【0036】この場合、一方のシュー202bにおいて
生じた摩擦力に基づくつれまわり力と、電動アクチュエ
ータ207による駆動力とが他端部からストラット21
0を介して他方のシュー202aの他端部に伝達され
る。他方のシュー202aは、このつれまわり力と拡開
力との和によりドラム内周面204に押し付けられ、一
方のシュー202bより大きな摩擦力が生じる。このよ
うに、一方のシュー202bの出力が他方のシュー20
2aの入力となり、しかも、二重のサーボ効果が得られ
るため、このデュオサーボ型の電動ドラムブレーキ40
においては、大きな制動トルクを得ることができる。
【0037】次に、前記のように動作するデュオサーボ
型の電動ドラムブレーキ40において、車両の前進時と
後進時との作動の相違について説明する。図9(A)(B)
は、車両の前進時及び後進時における電動ドラムブレー
キ40の作動を説明するための同ブレーキ40の概略図
である。
【0038】車両が前進状態にあるときには、ドラム
(車輪)の回転方向におけるアンカピン208及びスト
ラット210の手前位置において、ブレーキライニング
219a,219bとドラム206との間の面圧が高く
なる。したがって、車両の前進時には図9(A)のX1,
X2の部分の面圧が他の部分の面圧よりも高く、車両の
後進時には図9(B)のY1,Y2の部分の面圧が他の部
分の面圧よりも高くなる。
【0039】一方、ブレーキライニング219a,21
9bとドラム206との間の摩擦係数は、最初小さく、
ある限界時間に達するまでは、使用するほど大きくなる
という性質を有する。そして、前進する車両を停止させ
る頻度は後進する車両を停止させる頻度に比べて非常に
高いので、車両の前進時に車輪を制動するために主に利
用される前記面圧の高い部分X1,X2のブレーキライ
ニング219a,219bとドラム206との間の摩擦
係数は、車両の後進時に車輪を制動するために主に利用
される前記面圧の高い部分Y1,Y2のブレーキライニ
ング219a,219bとドラム206との間の摩擦係
数よりも高くなる。したがって、電動モータ41,41
に流す電流が同じであれば、車両が後進する方向への後
輪RL,RRの回転を制動する制動力は、車両が前進す
る方向への後輪RL,RRの回転を制動する制動力より
も小さくなってしまう。
【0040】しかし、前述のように本実施形態によれ
ば、ステップS16〜S20の処理により、ブレーキペ
ダル11の同一の踏み込み操作力Fに対して、車両の後
進時における目標加圧力P*(=P1b)は、車両の前進時
又は停車時における目標加圧力P*(=P1a)に比べて大
きな値に設定される。これにより、同一の踏み込み操作
力Fに対して、車両の後進時には、車両の前進時に比べ
て、電動モータ41,41に流れる電流が大きくなっ
て、同モータ41,41による駆動力が大きくなるよう
に制御される。
【0041】その結果、前記車両の前進時と後進時にお
ける前記ブレーキライニング219a,219bとドラ
ム206と間の摩擦係数の相違による後輪RL,RRに
対する制動力の相違が修正され、同一の操作力Fに対し
て車両をほぼ同じ制動力で制動できるようになる。した
がって、車両の前進時と後進時における電動ドラムブレ
ーキ40,40の制御が適切になるとともに、運転者も
違和感を受けることがなくなる。
【0042】次に、車両の停止中に、運転者によってパ
ーキングブレーキ操作子20が操作されて、駐車用ブレ
ーキの要求がなされた場合について説明する。この場
合、図3のステップS14にて、「YES」と判定して
プログラムをステップS22に進める。ステップS22
においては、傾斜センサ52から検出された路面の傾斜
角θを入力して、同検出傾斜角θに基づいて車両が平坦
路又は下り坂に停止中であるかを判定する。なお、下り
坂とは、車両の前方に向かうにしたがって路面が低くな
っていく坂道をいう。
【0043】車両が平坦路又は下り坂に停止中であれ
ば、ステップS22にて「YES」と判定して、ステッ
プS24にて目標加圧力P*を予め決めた所定値P2a
(図4参照)に設定する。また、車両が登り坂に停止中
であれば、ステップS22にて「NO」と判定して、ス
テップS26にて目標加圧力P*を前記所定値P2aより
も大きな予め決めた所定値P2b(図4参照)に設定す
る。なお、登り坂とは、車両の前方に向かうにしたがっ
て路面が高くなっていく坂道をいう。
【0044】前記ステップS24又はステップS26の
処理後、前述したステップS28〜34の処理を実行し
て、前記目標加圧力P*に対応した大きさの電流を電動
モータ41,41に流す。これにより、電動モータ4
1,41は前記目標加圧力P*に対応した大きさの駆動
力を発生して、ブレーキライニング219a,219b
をドラム206に前記駆動力で押し付ける。
【0045】このように車両に駐車ブレーキを作用させ
る場合でも、車両が下り坂に停車している場合には、車
両の前進を禁止することになるので、前述した車両の前
進時の場合と同様に、図9(A)のX1,X2の部分の面
圧が他の部分の面圧よりも高くなる。また、車両が登り
坂に停車している場合には、車両の後進を禁止すること
になるので、前述した車両の後進時の場合と同様に、図
9(B)のY1,Y2の部分の面圧が他の部分の面圧より
も高くなる。
【0046】しかしながら、本実施形態によれば、前記
ステップS22〜S26の処理により、車両が登り坂に
停車している場合における目標加圧力P*(=P2b)は、
車両が下り坂又は平坦路に停車している場合における目
標加圧力P*(=P2a)に比べて大きな値に設定される。
したがって、車両が登り坂に停車している場合には、車
両が下り坂又は平坦路に停車している場合に比べて、電
動モータ41,41に流れる電流が大きくなって、同モ
ータ41,41による駆動力が大きく制御される。
【0047】その結果、車両が登り坂に停車している場
合と、車両が下り坂に停車している場合とにおける前記
ブレーキライニング219a,219bとドラム206
と間の摩擦係数の相違による後輪RL,RRに対する制
動力の相違が修正され、車両を常にほぼ同じ制動力で制
動できるようになる。したがって、車両が登り坂に停車
している場合と、車両が下り坂に停車している場合とに
おける電動ドラムブレーキ40,40の制御が適切にな
るとともに、運転者も違和感を受けることがなくなる。
【0048】次に、車両の位置する路面状況及び電動ブ
レーキの置かれる環境に応じて、電動モータ41,41
の駆動力を補正するようにした上記実施形態の変形例に
ついて説明する。、
【0049】この変形例において、電子制御装置50
は、図1に破線で示すように、コントローラ53に接続
された路面摩擦係数センサ56及び温度センサ57も備
えている。路面摩擦係数センサ56は、タイヤと路面と
の間の摩擦係数μを検出するものである。この路面摩擦
係数センサ56としては、タイヤのスリップ状況などか
ら検出するセンサを利用することもできるが、気象情
報、交通情報などの情報を外部から入手して路面の状況
(凍結路、ウェット路、ドライ路など)から推定する方
法など種々の方法を採用できる。温度センサ57は、外
気温度Tpを検出するものである。また、この温度セン
サ57を、外気温度Tpに代えて、電動ドラムブレーキ
40,40に組み付けられて同ブレーキ40,40の温
度を検出するセンサとすることもできる。
【0050】また、この変形例においては、マイクロコ
ンピュータ100は、後輪用のプログラムとして、図3
のプログラムのステップS18、S20,S24,S2
6の処理とステップS28との処理との間に、図7に示
すステップS40〜S48の処理を追加したプログラム
を所定の短時間ごとに繰り返し実行する。
【0051】マイクロコンピュータ100は、上述した
ステップS10〜26の処理後、ステップS40にて路
面摩擦係数センサ56から路面摩擦係数μを入力し、ス
テップS42にて、同コンピュータ100に内蔵された
路面摩擦係数テーブルを参照して、路面摩擦係数μに対
応した補正係数K1を決定する。この補正係数K1は、図
8(A)に示すように、路面摩擦係数μの増加に従って減
少するものである。
【0052】前記ステップS42の処理後、ステップS
44にて温度センサ57から検出温度Tpを入力し、ス
テップS46にて、同コンピュータ100に内蔵された
温度テーブルを参照して、検出温度Tpに対応した補正
係数K2を決定する。この補正係数K2は、図8(B)に示
すように、温度Tpの増加に従って増加するものであ
る。
【0053】次に、ステップS48にて、上記ステップ
S18、S20,S24,S26の処理によって設定し
た目標加圧力P*に前記補正係数K1,K2を乗算するこ
とにより、補正目標加圧力P*(=K1・K2・P*)を計
算する。そして、この補正目標加圧力P*を用いた上記
ステップS28,S30,S34の処理が実行されて、
電動モータ41,41に流れる電流が制御される。その
結果、この変形例によれば、電動モータ41,41によ
るブレーキライニング219a,219bをドラム20
6に押し付ける駆動力が前記前記補正係数K1,K2に応
じて補正されることになる。
【0054】この補正によれば、路面摩擦係数μの増加
に従って電動モータ41,41による前記押し付け力は
減少するように補正される。これは、路面摩擦係数μが
小さくなるに従って大きな制動力を必要とするためであ
り、前記補正により、車両の走行又は停止路面の状況が
変化しても、ブレーキ操作による制動力の差をなくす又
は小さくするように修正できる。
【0055】なお、このように路面摩擦係数μが小さく
なった場合に制動力を高めることは、タイヤのスリップ
の原因になるものであるが、このスリップの発生時に
は、図示しないアンチロック制御によってタイヤのスリ
ップが回避される。
【0056】また、前記補正によれば、外気温度、電動
ドラムブレーキ40,40の温度などの検出温度Tpの
増加に従って電動モータ41,41による前記押し付け
力は増加するように補正される。これは、外気温度、電
動ドラムブレーキ40,40の温度などが上昇すると、
ブレーキライニング219a,219bとドラム206
との間の摩擦係数が低下するので、前記温度の上昇に従
って大きな制動力を必要とするためである。したがっ
て、前記補正により、電動ブレーキの環境温度が変化し
ても、ブレーキ操作による制動力の差をなくす又は小さ
くするように修正できる。
【0057】なお、上記実施形態及び変形例において
は、ステップS16の判定処理において、車両の停止中
を前進側(目標加圧力P*を小さく設定する側)に含め
るようにした。これは、車両が停止中又はほぼ停止中に
あっては、大きな制動力を必要としないためである。こ
の点を考慮すると、上記実施形態及び変形例の処理に加
えて、車両が前進する場合でも、車両が後進する場合で
も、車両の絶対速度が小さくなるに従って目標加圧力P
*を小さくする制御処理を加えるようにするとよい。
【0058】また、前記ステップS16の処理において
は、車速センサ51によって検出された車速Vに基づい
て車両の前進又は後進を検出するようにしたが、各車輪
に同車輪の回転を検出する車輪速センサが設けれている
場合には、同車輪速センサによる車輪の回転方向に応じ
て前進及び後進を判定するようにしてもよい。
【0059】また、上記実施形態及び変形例において
は、ステップS22の判定処理において、平坦路を下り
坂(目標加圧力P*を小さく設定する側)に含めるよう
にした。これは、車両が平坦路に停止中の場合には、大
きな制動力を必要としないためである。この点を考慮す
ると、上記実施形態及び変形例の処理に加えて、車両が
登り坂に停止中の場合でも、車両が下り坂に停止中の場
合でも、路面の絶対傾斜角が小さくなるに従って目標加
圧力P*を小さくする制御処理を加えるようにするとよ
い。
【0060】また、上記実施形態及び変形例において
は、ブレーキペダル11の踏み込み操作力Fに応じて電
動モータ41,41に流れる電流を車両の前進時よりも
後進時に大きくするために、ステップS18,S20に
て、操作力−加圧力テーブルの値を車両の前進時と後進
時とで異ならせるようにした。しかし、車両の前進時及
び後進時の一方の目標加圧力P*を前記テーブルを用い
て決定した後、同決定した目標加圧力P*に所定値を加
算したり、同決定した目標加圧力P*から所定値を減算
したり、同決定した目標加圧力P*に所定値を乗算した
りして、目標加圧力P*を車両の前進時よりも後進時に
大きくするようにしてもよい。また、前記テーブルに代
えて、予め用意された関数により、車両の前進時及び後
進時の一方又は両方の目標加圧力P*を決定するように
してもよい。
【0061】また、パーキングブレーキ操作子20の操
作による駐車ブレーキの要求の場合も、下り坂及び登り
坂のいずれか一方の目標加圧力P*を決定した後、同決
定した目標加圧力P*に所定値を加算したり、同決定し
た目標加圧力P*から所定値を減算したり、同決定した
目標加圧力P*に所定値を乗算したりして、他方の目標
加圧力P*を決定して、登り坂に関する目標加圧力P*
を下り坂に関する目標加圧力P*よりも大きくするよう
にしてもよい。
【0062】また、前記前進時と後進時とで目標加圧力
P*を異ならせたり、前記下り坂と登り坂の場合とで目
標加圧力P*を異ならせたりするのに代えて、ステップ
S28の変換処理によって導出される目標電流I*又は
ステップS30の変換処理によって導出されるデューテ
ィ比DRをそれぞれ異ならせるようにしてもよい。この
場合、同一の目標加圧力P*に対して、目標電流I*又
はデューティ比DRを、前進時に比べて後進時に大きく
するとともに、下り坂の場合に比べて登り坂の場合を大
きくする。
【0063】また、上記実施形態及び変形例において
は、パーキングブレーキ操作子20として手動で操作さ
れるスイッチを採用するようにしたが、これに代え、手
動で操作されるダイアル操作子、スライド操作子などを
採用することもできる。この場合、ダイアル操作子、ス
ライド操作子などの操作位置に応じて目標加圧力P*を
連続的に変化させることもできる。そして、この場合
も、ダイアル操作子、スライド操作子などの操作位置が
同じ場合には、車両が登り坂に停止中の場合における目
標加圧力P*を、車両が下り坂に停止中の場合における
目標加圧力P*よりも所定量だけ大きく設定するように
することはもちろんである。さらに、手動操作ではな
く、足により操作されるスイッチ操作子、ダイアル操作
子、スライド操作子などの各種操作子を利用することも
できる。
【0064】また、上記実施形態及び変形例において
は、電動ドラムブレーキ40,40としてデュオサーボ
型(DS型)を採用したが、リーディング・トレーディ
ング型(LT型)を採用することもできる。このリーデ
ィング・トレーディング型の電動ドラムブレーキについ
ては、その構成を図9に合わせて図10に示している。
このリーディング・トレーディング型の電動ドラムブレ
ーキにあっては、上記図9のストラット210の位置に
アンカピン208が設けられて、ストラット210は省
略されており、車両の前進時には図10(A)のX3の部
分の面圧が高く、後進時には図10(B)のY3の部分の
面圧が高くなる。そして、ブレーキライニングとドラム
との間の摩擦係数に関する性質は上記デュオサーボ型の
場合と同じである。
【0065】したがって、リーディング・トレーディン
グ型の電動ドラムブレーキにあっても、上記実施形態及
び各種変形例で採用した方法により、同一の操作力F*
に対して電動モータ41に流れる電流を、車両の前進時
に比べて後進時に大きくする。また、パーキングブレー
キ操作子20の操作による駐車ブレーキの要求時にも、
上記実施形態及び各種変形例で採用した方法により、電
動モータ41に流れる電流を、車両が下り坂に停止中で
ある場合に比べて登り坂に停止中である場合に大きくす
る。これにより、この場合も、上記ブレーキライニング
とドラムとの間の摩擦係数に関係した制動力の差を修正
できる。
【0066】また、リーディング・トレーディング型の
電動ドラムブレーキにあっては、電動モータ41によっ
て駆動されるレバー230aのレバー比の影響も大きく
受ける。すなわち、電動モータ41による駆動点からス
トラット216との接触点までの距離をL1とするとと
もに、同接触点からピン232aまでの距離をL2と
し、電動モータ41による駆動力をFmとすると、ブレ
ーキシュー202bは、(L1+L2)・Fm/L2に比
例した力でドラム206に押し付けられる。一方、ブレ
ーキシュー202aは、L1・Fm/L2に比例した力
でドラム206に押し付けられる。これにより、この図
10(A)(B)の構成によれば、前記車両の前進時に面圧
の高いX3の部分は、後進時に面圧の高いY3の部分に
比べて、レバー比の影響も受けてより高くなる。
【0067】したがって、この図10(A)(B)の構成の
リーディング・トレーディング型の電動ドラムブレーキ
を採用する場合には、ブレーキペダル11の同一の踏み
込み操作力Fに対して、車両の後進時に電動モータ41
に流す電流を、前記目標加圧力P*、目標電流I*、デ
ューティ比DRなどを調整することにより、車両の前進
時に電動モータ41に流す電流よりも前記レバー比によ
る影響を打ち消す分だけさらに大きく制御するようにす
るとよい。また、パーキングブレーキ操作子20の操作
による駐車ブレーキの要求の場合も同様であり、登り坂
の場合に電動モータ41に流す電流を、下り坂の場合に
電動モータ41に流す電流よりも前記レバー比による影
響を打ち消す分だけさらに大きく制御するようにすると
よい。
【0068】また、電動ドラムブレーキ40,40とし
ては、デュオサーボ型及びリーディング・トレーディン
グ型のものに限らず、ツーリーディング型、ユニサーボ
型等のドラムブレーキを採用することもできる。そし
て、この場合も、ブレーキペダル11の同一の踏み込み
操作力Fに対して、車両の後進時に電動モータに流す電
流を、車両の前進時に電動モータに流す電流よりも大き
く制御するようにするとよい。また、パーキングブレー
キ操作子20の操作による駐車ブレーキの要求の場合も
同様であり、登り坂の場合に電動モータに流す電流を、
下り坂の場合に電動モータに流す電流よりも大きく制御
するようにするとよい。
【0069】また、上記実施形態及び変形例において
は、後輪RL,RRにのみ電動ドラムブレーキ40,4
0を採用したが、この電動ドラムブレーキ40,40を
前輪FL,FRに適用してもよい。そして、この場合
も、前記と同様に、電動モータに流す電流を制御するよ
うにするとよい。
【0070】さらに、本発明は、上述した実施形態及び
変形例の他、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良
を施した形態で実施することができる。したがって、本
発明の技術的範囲は、これらの点を考慮して解釈される
べきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る車両の制動装置の全
体を示す概略図である。
【図2】 図1の電動ドラムブレーキを示す断面図であ
る。
【図3】 図1のマイクロコンピュータによって実行さ
れるプログラムのフローチャートである。
【図4】 操作力に対する加圧力の変化特性を示すグラ
フである。
【図5】 目標加圧力に対する目標電流の変化特性を示
すグラフである。
【図6】 目標電流に対するデューティ比の変化特性を
示すグラフである。
【図7】 前記実施形態の変形例に係り、図1のマイク
ロコンピュータにて実行されるプログラムの一部を示す
フローチャートである。
【図8】 (A)は路面摩擦係数に対する補正係数の変化
特性を示すグラフであり、(B)は温度に対する補正係数
の変化特性を示すグラフである。
【図9】 (A)は車両の前進時におけるデュオサーボ型
の電動ドラムブレーキの作動を説明するための同ブレー
キの概略図であり、(B)は車両の後進時における同型の
電動ドラムブレーキの作動を説明するための同ブレーキ
の概略図である。
【図10】 (A)は車両の前進時におけるリーディング
・トレーディング型の電動ドラムブレーキの作動を説明
するための同ブレーキの概略図であり、(B)は車両の後
進時における同型の電動ドラムブレーキの作動を説明す
るための同ブレーキの概略図である。
【符号の説明】
10…サービスブレーキペダル装置、11…ブレーキペ
ダル、13…ブレーキペダルスイッチ、14…操作力セ
ンサ、20…パーキングブレーキ操作子、30…電動デ
ィスクブレーキ、31…電動モータ、40…電動ドラム
ブレーキ、41…電動モータ、51…車速センサ、52
…傾斜センサ、53…コントローラ、55…ドライバ、
56…路面摩擦係数センサ、57…温度センサ、100
…マイクロコンピュータ、200…バッキングプレー
ト、202a,202b…ブレーキシュー、206…ブ
レーキドラム、207…電動アクチュエータ、208…
アンカピン、219a,219b…ブレーキライニン
グ。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電動モータの駆動力によって一対のブレー
    キライニングを車輪と一体回転するドラムに押し付けて
    車輪に制動力を付与する電動ドラムブレーキと、 ブレーキ操作部材の操作に応じたモータ電流を前記電動
    モータに流して前記ブレーキライニングの前記ドラムに
    対する押し付け力を制御するモータ制御手段とを備えた
    車両の制動装置において、 車両が前進中であるか後進中であるかを判定する判定手
    段と、 前記判定手段による判定結果に応じて前記モータ制御手
    段を制御して、車両が後進中であるときのモータ電流
    を、車両が前進中であるときのモータ電流よりも大きく
    するモータ電流変更手段とを設けたことを特徴とする車
    両の制動装置。
  2. 【請求項2】電動モータの駆動力によって一対のブレー
    キライニングを車輪と一体回転するドラムに押し付けて
    車輪に制動力を付与する電動ドラムブレーキと、 駐車用の制動要求に応答して所定のモータ電流を前記電
    動モータに流して車輪を制動するモータ制御手段とを備
    えた車両の制動装置において、 車両が登り坂に停車しているか下り坂に停車しているか
    を判定する判定手段と、 前記判定手段による判定結果に応じて前記モータ制御手
    段を制御して、車両が登り坂に停車しているときのモー
    タ電流を、車両が下り坂に停車しているときのモータ電
    流よりも大きくするモータ電流変更手段とを設けたこと
    を特徴とする車両の制動装置。
  3. 【請求項3】前記請求項1又は2に記載した車両の制動
    装置において、 車両の位置する路面状況を検出する路面状況検出手段
    と、 前記検出された路面状況に応じて前記電動モータに流れ
    る電流を補正制御する電流補正制御手段とを設けたこと
    を特徴とする車両の制動装置。
  4. 【請求項4】前記請求項1又は2に記載した車両の制動
    装置において、 電動ブレーキの環境温度を検出する温度検出手段と、 前記検出された環境温度に応じて前記電動モータに流れ
    る電流を補正制御する電流補正制御手段とを設けたこと
    を特徴とする車両の制動装置。
JP2000289211A 2000-09-22 2000-09-22 車両の制動装置 Pending JP2002096721A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000289211A JP2002096721A (ja) 2000-09-22 2000-09-22 車両の制動装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000289211A JP2002096721A (ja) 2000-09-22 2000-09-22 車両の制動装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002096721A true JP2002096721A (ja) 2002-04-02

Family

ID=18772646

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000289211A Pending JP2002096721A (ja) 2000-09-22 2000-09-22 車両の制動装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002096721A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7734408B2 (en) * 2006-09-15 2010-06-08 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Electric parking brake system and method for controlling the electric parking brake system
FR3136529A1 (fr) * 2022-06-14 2023-12-15 Hitachi Astemo France Frein à tambour comprenant des moyens de détermination de température et procédé de contrôle d’une force de serrage d’un frein à tambour

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7734408B2 (en) * 2006-09-15 2010-06-08 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Electric parking brake system and method for controlling the electric parking brake system
DE102007043620B4 (de) 2006-09-15 2024-03-28 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Elektrisches Parkbremssystem und Verfahren zum Steuern des elektrischen Parkbremssystems
FR3136529A1 (fr) * 2022-06-14 2023-12-15 Hitachi Astemo France Frein à tambour comprenant des moyens de détermination de température et procédé de contrôle d’une force de serrage d’un frein à tambour

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3740005B2 (ja) 制動トルク制御装置
JP3797077B2 (ja) 車両用ブレーキの制御装置
EP1324904B1 (en) Vehicular brake control apparatus
US6270172B1 (en) Electrically operated braking system having a device for operating electric motor of brake to obtain relationship between motor power and braking torque
KR20100016652A (ko) 자동차를 위한 경사로 출발 보조 방법
US10801620B2 (en) Vehicle brake control apparatus
US10308229B2 (en) Electronic control brake system and method for controlling the same
JP2000033864A (ja) ブレ―キ装置の制御方法および装置
CN112776599A (zh) 踏板反作用力控制装置
JPH1199933A (ja) 電動ブレーキ装置
JP3708011B2 (ja) 車両用ブレーキの制御装置
JP5062431B2 (ja) ブレーキ装置
JP2002096721A (ja) 車両の制動装置
JP7218487B2 (ja) 電動パーキングブレーキシステム
JP3740800B2 (ja) 電動式ブレーキ装置
JP3951597B2 (ja) 制動装置
JP4109741B2 (ja) 電動式ブレーキ
JP2016043845A (ja) 車両の制動システム
JPH11303909A (ja) ドラムブレーキ装置
JP2009208713A (ja) 電動パーキングブレーキ制御装置
JP4333433B2 (ja) 電動式ブレーキ
JP2002067914A (ja) 回転制動装置
JPS5855936B2 (ja) ブレ−キペダル組立体
JPH07223532A (ja) 電気自動車の制動制御装置
JP2002147506A (ja) シュー間隙自動調節機構付きドラムブレーキ