JP2002090588A - 光ファイバ着色心線及びその製造方法、並びに該光ファイバ着色心線を用いた光ファイバテープ心線 - Google Patents

光ファイバ着色心線及びその製造方法、並びに該光ファイバ着色心線を用いた光ファイバテープ心線

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JP2002090588A
JP2002090588A JP2000285546A JP2000285546A JP2002090588A JP 2002090588 A JP2002090588 A JP 2002090588A JP 2000285546 A JP2000285546 A JP 2000285546A JP 2000285546 A JP2000285546 A JP 2000285546A JP 2002090588 A JP2002090588 A JP 2002090588A
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optical fiber
resin composition
colored
coating layer
resin
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JP2000285546A
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English (en)
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Kazunori Tanaka
和典 田中
Tomoyuki Hattori
知之 服部
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光ファイバテープ心線などに用いた場合に有
用な、水中などでの伝送損失の増加と単心分離の際の色
剥がれとが十分にバランスよく防止された光ファイバ着
色心線、該光ファイバ着色心線を効率よく且つ確実に得
ることを可能とする光ファイバ着色心線の製造方法、並
びに該光ファイバ着色心線を用いた光ファイバテープ心
線を提供すること。 【解決手段】 光ファイバ素線6の外周面上に、第一の
硬化性樹脂を含有する第一の樹脂組成物を塗布し、硬化
させて被覆層7を形成させる第一のステップと、被覆層
7上に、第二の硬化性樹脂及び着色剤を含有する第二の
樹脂組成物を塗布し、硬化させて着色層8を形成させる
第二のステップと、を含む光ファイバ着色心線3の製造
方法であって、第一の樹脂組成物および第二の樹脂組成
物として、それぞれの樹脂組成物から得られる硬化物に
おいて相互の溶解パラメーター値の差が2.0以下であ
るものを用いることを特徴とする光ファイバ着色心線の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光ファイバ着色心線
及びその製造方法、並びに該光ファイバ着色心線を用い
た光ファイバテープ心線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、加入者系光ファイバケーブルの導
入が急速に進められており、このような分野において
は、光ファイバテープ心線の実用化が進められている。
【0003】光ファイバテープ心線としては、光ファイ
バ心線の複数本を並列に配置してこれらを樹脂からなる
一括被覆層で被覆して一体化したものが広く知られてい
る。また、このような光ファイバテープ心線において
は、敷設、接続、分岐などにおける各光ファイバの識別
を目的として、通常、光ファイバ心線として光ファイバ
素線を着色層で被覆した光ファイバ着色心線が用いられ
る。
【0004】ところで、上記の構成を有する光ファイバ
テープ心線にあっては、各光ファイバ心線を容易に分離
できるといった特性(単心分離性)が必要とされるが、
単心分離性を向上させるために着色層と一括被覆層との
間の密着性を弱めると、水中もしくは多湿環境下で使用
した場合に着色層と一括被覆層との界面が部分的に剥離
し、この剥離した部分に水が溜まって部分的膨れが生じ
やすくなり、その結果、光ファイバ素線がその永手方向
にマイクロベンドを受けて伝送損失が増加してしまう。
その反面、水中もしくは多湿環境下での伝送損失の増加
を防止するために着色層と一括被覆層との間の密着性を
高めると、光ファイバ着色心線から一括被覆層を剥がす
際に着色層が一括被覆層とともに剥がれてしまう現象
(色剥がれ)が問題となる。
【0005】そこで、かかる現象を回避すべく種々の提
案がなされており、その一つとして、光ファイバ素線の
最外層に粘着性を有する物質を含有させ、該最外層と着
色層との密着性を向上させた光ファイバ着色心線が特開
平3−67208号公報などに開示されている。
【0006】しかしながら、上記従来の光ファイバ着色
心線であっても、最外層に粘着性を付与されたことによ
って、その製造工程において光ファイバ素線がガイドロ
ーラーなどの装置にくっつき易くなり、その結果として
断線を生じてしまうなど、実用に供し得るものとしては
未だ十分なものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の有する課題に鑑みてなされたものであり、光ファイ
バテープ心線などに用いた場合に有用な、水中もしくは
多湿環境下での伝送損失の増加と単心分離の際の色剥が
れとが十分にバランスよく防止された光ファイバ着色心
線、該光ファイバ着色心線を効率よく且つ確実に得るこ
とを可能とする光ファイバ着色心線の製造方法、並びに
該光ファイバ着色心線を用いた光ファイバテープ心線を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、光ファイバ着色心
線の製造方法において、光ファイバ素線を被覆する被覆
層及び着色層の材料として用いられる樹脂組成物が、そ
れぞれの樹脂組成物から得られる硬化物において相互の
溶解パラメーター値の差が2.0以下であるという条件
を満たす場合に上記課題が解決されることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明の光ファイバ着色心線の
製造方法は、光ファイバ素線の外周面上に、第一の硬化
性樹脂を含有する第一の樹脂組成物を塗布し、硬化させ
て被覆層を形成させる第一のステップと、前記第一のス
テップで得られる光ファイバ素線の前記被覆層上に、第
二の硬化性樹脂及び着色剤を含有する第二の樹脂組成物
を塗布し、硬化させて着色層を形成させる第二のステッ
プと、を含む光ファイバ着色心線の製造方法であって、
前記第一の樹脂組成物および前記第二の樹脂組成物とし
て、それぞれの樹脂組成物から得られる硬化物において
相互の溶解パラメーター値の差が2.0以下であるもの
を用いることを特徴とするものである。
【0010】また、本発明の光ファイバ着色心線は、光
ファイバ素線の外周面上に、第一の硬化性樹脂を含有す
る第一の樹脂組成物を塗布し、硬化させて被覆層を形成
させた後、前記被覆層上に、第二の硬化性樹脂及び着色
剤を含有する第二の樹脂組成物を塗布し、硬化させて着
色層を形成させてなる光ファイバ着色心線であって、前
記第一の樹脂組成物および前記第二の樹脂組成物が、そ
れぞれの樹脂組成物から得られる硬化物において相互の
溶解パラメーター値の差が2.0以下であることを特徴
とするものである。
【0011】さらに、本発明の光ファイバテープ心線
は、上記本発明の光ファイバ着色心線の複数本を一括被
覆層で被覆して一体化してなることを特徴とするもので
ある。
【0012】本発明によれば、光ファイバ着色心線の製
造方法において、光ファイバ素線を被覆する被覆層の材
料である第一の樹脂組成物及び着色層の材料である第二
の樹脂組成物として、それぞれの樹脂組成物から得られ
る硬化物において相互の溶解パラメーター値の差が2.
0以下であるという条件を満たすものを用いることによ
って、着色層を形成させる際に第二の樹脂組成物が被覆
層の内部に侵入しやすくなると共に、これらの樹脂組成
物を硬化させた場合に、被覆層を構成する樹脂の分子鎖
と着色層を構成する樹脂の分子鎖との間にはたらく分散
力、水素結合、双極子相互作用などの分子間力が高めら
れる。したがって、被覆層に過剰の粘着性を付与せずと
も被覆層と着色層との界面における密着性が高められる
ので、水中もしくは多湿環境下での伝送損失増加防止性
と単心分離の際の色剥がれ防止性とが十分にバランスよ
く両立された光ファイバ着色心線を効率よく且つ確実に
得ることが可能となる。さらには、このようにして得ら
れる本発明の光ファイバ着色心線を光ファイバテープ心
線に用いることによって、水中もしくは多湿環境下で使
用した場合であっても伝送損失の増加を十分に防止する
ことができるとともに、色剥がれを生じることなく十分
に高い単心分離性を得ることが可能となる。
【0013】本発明においては、前記第一の樹脂組成物
の硬化物上に前記第二の樹脂組成物の液滴を配置したと
きの接触角が25゜以上70゜未満であることが好まし
い。第一の樹脂組成物の硬化物と第二の樹脂組成物とが
上記の条件を満たすと、被覆層表面の微小の(サブミク
ロンオーダーの)凹凸に対しても第二の樹脂組成物が浸
透しやすくなり、第二の樹脂組成物をより斑なく均一に
塗布し硬化させることができる傾向にある。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、場合により図面を参照しつ
つ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】本発明の光ファイバ着色心線の製造方法
は、光ファイバ素線の外周面上に、第一の硬化性樹脂を
含有する第一の樹脂組成物を塗布し、硬化させて被覆層
を形成させる第一のステップと、前記第一のステップで
得られる光ファイバ素線の前記被覆層上に、第二の硬化
性樹脂及び着色剤を含有する第二の樹脂組成物を塗布
し、硬化させて着色層を形成させる第二のステップと、
を含む光ファイバ着色心線の製造方法であって、前記第
一の樹脂組成物および前記第二の樹脂組成物として、そ
れぞれの樹脂組成物から得られる硬化物において相互の
溶解パラメーター値の差が2.0以下、好ましくは1.
0以下であるという条件を満たすものを用いることを特
徴とするものであり、水中もしくは多湿環境下での伝送
損失増加防止性と色剥がれ防止性とが十分にバランスよ
く両立された光ファイバ着色心線を効率よく且つ確実に
得ることを可能とするものである。第一の樹脂組成物及
び第二の組成物のそれぞれから得られる硬化物の相互の
溶解パラメーター値の差が前記上限値を超えると、被覆
層と着色層との間の密着力が低下して色剥がれ防止性が
不十分となる。
【0016】なお、本発明でいう溶解パラメーター値と
は、スピンコーターを用いてPETシート上に樹脂組成
物の硬化物を縦6mm×横6mm、厚み20μmの試料
とし、この試料を予め溶解パラメーター値の得られてい
る所定の溶剤にそれぞれ浸漬して1日間放置した後、各
試料を取り出してその膨潤度(体積変化率)を測定した
ときの最大の膨潤度を与える溶剤の溶解パラメーター値
をいう。ここで、本発明にかかる溶解パラメータの測定
において使用される溶剤としては、下記表1に示すもの
が例示される。
【0017】
【表1】
【0018】また、本発明においては、上記第一の樹脂
組成物及び第二の樹脂組成物として、図2に示すよう
に、第一の樹脂組成物の硬化物1上に前記第二の樹脂組
成物の液滴2を配置したときの接触角θが25゜以上7
0゜未満であることが好ましい。第一の樹脂組成物の硬
化物と第二の樹脂組成物とが上記の条件を満たすと、被
覆層表面の微小の(サブミクロンオーダーの)凹凸に対
しても第二の樹脂組成物が浸透しやすくなり、第二の樹
脂組成物をより斑なく均一に塗布し硬化させることがで
きる傾向にある。なお、接触角が70゜以上の場合、第
二の樹脂組成物を被覆層上に斑なく塗布し、硬化させる
ことができなくなり、巨視的には被覆層と着色層とが密
着しているように見えても、微視的(分子レベル)には
密着性の不十分な箇所が生じる傾向にある。他方、接触
角が20゜未満の場合、第二の樹脂組成物を硬化させて
得られる着色層の表面が過剰に滑らかになる傾向にあ
る。このように過剰に滑らかな着色層上に一括被覆層を
設けて光ファイバテープ心線を作製すると、一括被覆層
を除去する際に着色層と一括被覆層との間に滑りが生
じ、その結果、被覆カスの残留が生じやすくなる。な
お、上記の接触角の測定は、市販の接触角計(例えば、
共和界面化学社製FACE CA−D)を用いて行うこ
とができる。
【0019】さらに、本発明においては、上記第一の樹
脂組成物の硬化物の弾性率は245〜1470N/mm
2、上記第二の樹脂組成物の硬化物の弾性率は245〜
1470N/mm2であることが好ましい。各硬化物の
弾性率が前記下限値未満の場合、得られる光ファイバ着
色心線の強度が不十分となり、少しの外力に対してもガ
ラスファイバの破損が起こりやすくなる傾向にある。他
方、各硬化物の弾性率が前記上限値を超えると、得られ
る光ファイバ着色心線が過剰に硬くなり、作業時の取り
扱い性が低下する傾向にある。なお、ここでいう弾性率
とは、JISK 7127に規定される方法に準拠して
行われる引張試験において測定される、25%伸び時の
抗張力をいい、下記式: (弾性率[N/mm2])=(25%伸び時の応力
[N])/(試料断面積[mm2])/0.025 に基づいて得ることができる。
【0020】本発明にかかる第一の樹脂組成物及び第二
の樹脂組成物としては、それぞれの硬化物の溶解パラメ
ーター値の差が上記の条件を満たすものである限り特に
制限はないが、これらの樹脂組成物に配合される硬化性
樹脂としては、ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂
を用いることが好ましく、中でも、下記の樹脂A又は
B: 樹脂A:ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、
トリレンジイソシアネート(TDI)及びヒドロキシエ
チルアクリレート(HEA)の共重合体 樹脂B:ポリプロピレングリコール(PPG)、トリレ
ンジイソシアネート(TDI)及びヒドロキシエチルア
クリレート(HEA)の共重合体 のうちの少なくとも一方を用いることが特に好ましい。
上記の硬化性樹脂を用いると、得られる硬化物の強度と
柔軟性とがより高水準で両立される傾向にある。
【0021】また、本発明にかかる第二の樹脂組成物に
配合される着色剤としては、第一の樹脂組成物及び第二
の樹脂組成物の硬化物の相互の溶解パラメーター値の差
が上記の条件を満たす限りにおいて特に制限されず、従
来より公知のものを使用することができるが、具体的に
は、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料などが例示され
る。
【0022】本発明にかかる第一の樹脂組成物及び第二
の樹脂組成物が紫外線硬化性樹脂を含有するものである
場合には、必要に応じて希釈モノマー、光重合開始剤な
どが配合される。ここで、本発明において用いられる希
釈モノマーとしては、N−ビニルカプロラクタム、N−
ビニルピロリドンなどの単官能アクリレートモノマー;
エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレー
ト、プロパンの(メタ)アクリル酸付加物などの2官能
アクリレートモノマー及びエポキシアクリレート;トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタ
エリスリトール(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロ
キシプロピル)イソシアヌレートなどの多官能アクリレ
ートモノマー;シリコンアクリレート、などが挙げられ
る。また、本発明において用いられる光重合開始剤とし
ては、従来より公知のものが使用可能であるが、具体的
には、イルガキュア651、イルガキュア369、イル
ガキュア907、イルガキュア184(以上、長瀬産業
社製)などの市販品や、ベンゾインエーテル、ベンゾフ
ェノンなどが挙げられる。
【0023】また、上記の第一の樹脂組成物及び第二の
樹脂組成物には、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化
防止剤、アミン系重合禁止剤、シリコーンオイルなどを
配合することもできる。
【0024】本発明においては、上記の構成を有する第
一の樹脂組成物及び第二の樹脂組成物を光ファイバ素線
の外周面上に塗布し、硬化させることによって、被覆層
及び着色層が順次積層されて目的の光ファイバ着色心線
が得られる。ここで、本発明にかかる光ファイバ素線と
は、少なくともコア及びクラッドからなるガラスファイ
バを備えるものを意味する。すなわち、本発明にかかる
第一のステップにおいて第一の樹脂組成物を塗布する前
の光ファイバ素線は、ガラスファイバのみで構成される
ものであってもよく、ガラスファイバの外周面上に、第
一の樹脂組成物を用いて得られる被覆層以外の被覆層
(以下、1次被覆層という)が設けられたものであって
もよい。以下、本発明にかかる光ファイバ素線が一次被
覆層を有する場合、第一の樹脂組成物を用いて得られる
被覆層を2次被覆層という。
【0025】本発明にかかる光ファイバ素線のガラスフ
ァイバとしては、従来より公知のものを使用することが
できるが、具体的には、石英系の単一モードファイバ若
しくはマルチモードファイバ等が挙げられる。
【0026】また、本発明にかかる光ファイバ素線にお
いて必要に応じて設けられる1次被覆層は、ガラスファ
イバに機械的な衝撃が加わらないようにするための緩衝
層としての機能を有するものであり、その材料としては
ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂などの従来より
公知の樹脂を使用することができる。
【0027】本発明において、光ファイバ素線の外周面
上に第一の樹脂組成物及び第二の組成物を塗布し、硬化
させる方法としては特に制限はないが、各樹脂組成物を
硬化させる際の雰囲気の酸素濃度は2容量%以下である
ことが好ましい。雰囲気の酸素濃度が増加すると各樹脂
組成物を用いて得られる硬化物表面の接着力は向上する
傾向にあるが、前記上限値を超えると被覆層又は着色層
内部の硬化が不十分であったりこれらの層表面の接着力
が不十分となったりして所望の特性が得られにくくなる
傾向にある。
【0028】上記本発明の製造方法により得られる本発
明の光ファイバ着色心線は、水中もしくは多湿環境下で
の伝送損失増加防止性と単心分離における色剥がれ防止
性とが十分にバランスよく両立されたものであり、光フ
ァイバテープ心線に用いた場合に特に優れた効果を奏す
るものである。
【0029】図1は本発明の光ファイバテープ心線の好
適な一実施形態を示す模式断面図である。図1におい
て、光ファイバ着色心線3は、ガラスファイバ4及び1
次被覆層5からなる光ファイバ素線6、2次被覆層7、
並びに着色層8を備えている。ここで、2次被覆層7は
上記の第一の樹脂組成物の硬化物、着色層8は上記第二
の樹脂組成物の硬化物からなるものである。そして、こ
のような構成を有する光ファイバ着色心線3の4本は互
いに並列に配置されており、一括被覆層9により被覆さ
れて一体化されて光ファイバテープ心線7を構成してい
る。
【0030】本発明にかかる一括被覆層9の材料として
は特に制限はないが、ウレタンアクリレート系樹脂を用
いることが好ましく、上記の第一の樹脂組成物及び第二
の樹脂組成物の説明において例示された樹脂A又は樹脂
Bのうちの少なくとも一方を含有する樹脂組成物を硬化
させて得られる硬化樹脂を用いることがより好ましい。
さらに、一括被覆層の材料となる樹脂組成物が第二の樹
脂組成物と同一の硬化性樹脂を含有すると、着色層と一
括被覆層との間に過剰の粘着力を付与することなく両層
間の密着性を向上させることができるので特に好まし
い。
【0031】なお、図1には4本の光ファイバ着色心線
を備える光ファイバテープ心線(4心型テープ心線)を
示したが、本発明においては、光ファイバテープ心線が
有する光ファイバ着色心線の本数に特に制限はなく、2
心型、6心型、8心型などしてもよい。
【0032】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を
より具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら
限定されるものではない。
【0033】実施例1 外径125μmのガラスファイバの外周面をウレタンア
クリレート系樹脂からなる1次被覆層(膜厚:200μ
m)で被覆した光ファイバ素線の外周面上に、以下に示
す組成: 硬化性樹脂:ウレタンアクリレート系樹脂1 60重量
部 希釈性モノマー:単官能アクリレートモノマー 35重
量部 光重合開始剤:イルガキュア651 3重量部 添加剤:フェノール系酸化防止剤 0.05重量部、硫
黄系酸化防止剤 0.01重量部、アミン系重合禁止剤
0.01重量部 を有する樹脂組成物Aを塗布し、UV光の照射により硬
化させて2次被覆層を作製した(照射線量:100mJ
/cm2)。
【0034】次に、上記の2次被覆層上に、以下に示す
組成: 硬化性樹脂:ウレタンアクリレート系樹脂2 70重量
部 着色剤:有機顔料 6重量部 希釈性モノマー:2官能アクリレートモノマーと多官能
アクリレートモノマーとの混合物(配合比:4/6)
20重量部 光重合開始剤:イルガキュア907 3重量部 添加剤:フェノール系酸化防止剤 0.03重量部、硫
黄系酸化防止剤 0.01重量部、アミン系重合禁止剤
0.01重量部、シリコーンオイル 0.1重量部 を有する樹脂組成物Bを塗布し、UV光の照射により硬
化させて着色層を作製し(照射線量:100mJ/cm
2)、目的の光ファイバ着色心線を得た。
【0035】実施例2 実施例1における樹脂組成物Aの希釈性モノマーの配合
量を39重量部とし、光重合開始剤の配合量を2重量部
としたこと以外は実施例1と同様にして、2次被覆層を
作製した。
【0036】次に、実施例1と同様にして着色層を作製
し、目的の光ファイバ着色心線を得た。
【0037】実施例3 実施例1と同様にして2次被覆層を作製し、さらに、実
施例1における樹脂組成物Bの希釈性モノマーの配合量
を13重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、
着色層を作製して目的の光ファイバ着色心線を得た。
【0038】実施例4 実施例1における樹脂組成物Aの希釈性モノマーの配合
量を37重量部とし、光重合開始剤の配合量を3.6重
量部とし、添加剤として粘着性物質をさらに配合したこ
と以外は実施例1と同様にして、2次被覆層を作製し
た。
【0039】次に、実施例1と同様にして着色層を作製
し、目的の光ファイバ着色心線を得た。
【0040】比較例1 実施例1における樹脂組成物Aの希釈性モノマーの配合
量を40重量部とし、光重合開始剤の配合量を5重量部
としたこと以外は実施例1と同様にして、2次被覆層を
作製した。
【0041】次に、実施例1における樹脂組成物Bの希
釈性モノマーの配合量を2重量部としたこと以外は実施
例1と同様にして、着色層を作製して目的の光ファイバ
着色心線を得た。
【0042】比較例2 実施例1における樹脂組成物Aの希釈性モノマーの配合
量を33重量部とし、光重合開始剤の配合量を3.8重
量部としたこと以外は実施例1と同様にして、2次被覆
層を作製した。
【0043】次に、実施例1における樹脂組成物Bの希
釈性モノマーの配合量を13重量部としたこと以外は実
施例1と同様にして、着色層を作製して目的の光ファイ
バ着色心線を得た。
【0044】上記の実施例1〜4及び比較例1〜2にお
いて、2次被覆層及び着色層の形成に用いた樹脂組成物
の硬化物の相互の溶解パラメーター値の差、並びに2次
被覆層の形成に用いた樹脂組成物の硬化物と着色層の形
成に用いた樹脂組成物の液滴との間の接触角を表2に示
す。なお、溶解パラメータ値の測定には、上記表1に示
す溶剤を用いた。また、接触角の測定には、共和界面化
学社製接触角計FACE CA−Dを用いた。
【0045】次に、実施例1〜4及び比較例1〜2の各
光ファイバ着色心線を用いて、以下に示す試験を行っ
た。
【0046】(色剥がれ試験)実施例1〜4及び比較例
1〜2の各光ファイバ着色心線について、長さ50mm
に切断したサンプルを15本用意し、各サンプルの間隔
が数cmとなるように並列に配置した。次に、これらの
サンプルの上にウレタンアクリレート系樹脂を含む樹脂
組成物を塗布し、UV光を照射して硬化させて一括被覆
層を作製した(照射光量:1000mJ/cm2、一括
被覆層の膜厚:100μm)。
【0047】これらのサンプルを25℃、50%RHで
1日間放置した後、一括被覆層を手で剥がしたときの一
括被覆層に付着した着色層の長さを計測し、下記式: (色剥がれ率[%])=(一括被覆層に付着した着色層
の長さの総和/サンプルの長さの総和)×100 に基づいて色剥がれ率を求めた。得られた結果を表2に
示す。
【0048】(一括被覆層除去試験)先ず、実施例1〜
4及び比較例1〜2の各光ファイバ着色心線を用い、図
1に示す4心型光ファイバテープ心線を作製した。な
お、一括被覆層の作製には色剥がれ試験で用いたものと
同様の樹脂組成物を用いた。
【0049】次に、加熱リムーバ(住友電気工業製JR
−4A)を用いて、各光ファイバテープ心線の一括被覆
層を全て除去した。このときのリムーバの加熱温度は9
0℃、一括被覆層除去長は約3cmとした。
【0050】一括被覆層除去後の光ファイバ着色心線に
ついて目視観察を行い、以下の基準: ○:光ファイバ着色心線上に被覆カスの残留が認められ
なかった ×:光ファイバ着色心線上に被覆カスの残留色剥がれが
認められた に基づいて一括被覆層の除去容易性を評価した。得られ
た結果を表2に示す。
【0051】(温水特性試験)実施例1〜4及び比較例
1〜2の各光ファイバ着色心線2000mをそれぞれコ
イル状に束ねて60℃温水中に14日間浸漬させた後の
伝送損失を測定した。なお、伝送損失の測定には、光パ
ルス試験機(OTDR、波長:1.55μm)を用い
た。得られた結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】表2に示すように、実施例1〜4の光ファ
イバ着色心線においては、いずれも色剥がれ防止性と温
水中での伝送損失増加防止性とがバランスよく両立され
ていることが確認された。さらに、実施例1〜2の光フ
ァイバ着色心線は、一括被覆層を除去したときに被覆カ
スの残留が認められず、非常に高い単心分離性を有する
ものであった。
【0054】これに対して、比較例1〜2の光ファイバ
着色心線においては、色剥がれ防止性、温水中での伝送
損失増加増加防止性ともに不十分であった。
【0055】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の光ファイ
バ着色心線の製造方法によれば、水中もしくは多湿環境
下での伝送損失の増加と単心分離の際の色剥がれとが十
分にバランスよく防止された光ファイバ着色心線を効率
よく且つ確実に得ることを可能とする。さらには、上記
本発明の製造方法によって得られる本発明の光ファイバ
着色心線を用いることによって、水中もしくは多湿環境
下で使用した場合であっても伝送損失の増加を十分に防
止することができるとともに、色剥がれを生じることな
く十分に高い単心分離性を得ることが可能な光ファイバ
テープ心線を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバテープ心線の好適な一実施
形態を示す模式断面図である。
【図2】本発明にかかる接触角の概念を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1…第一の樹脂組成物の硬化物、2…第二の樹脂組成物
の液滴、3…光ファイバ着色心線、4…ガラスファイ
バ、5…1次被覆層、6…光ファイバ素線、7…2次被
覆層、8…着色層、9…一括被覆層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 6/44 391 G02B 6/44 391 H01B 7/36 H01B 7/36 Z 11/00 11/00 L Fターム(参考) 2H001 BB19 DD23 DD35 KK17 KK22 MM01 PP01 2H050 BA03 BD02 5G315 JA02 JB03 JC02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバ素線の外周面上に、第一の硬
    化性樹脂を含有する第一の樹脂組成物を塗布し、硬化さ
    せて被覆層を形成させる第一のステップと、前記第一の
    ステップで得られる光ファイバ素線の前記被覆層上に、
    第二の硬化性樹脂及び着色剤を含有する第二の樹脂組成
    物を塗布し、硬化させて着色層を形成させる第二のステ
    ップと、を含む光ファイバ着色心線の製造方法であっ
    て、 前記第一の樹脂組成物および前記第二の樹脂組成物とし
    て、それぞれの樹脂組成物から得られる硬化物において
    相互の溶解パラメーター値の差が2.0以下であるもの
    を用いることを特徴とする光ファイバ着色心線の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記第一の樹脂組成物の硬化物上に前記
    第二の樹脂組成物の液滴を配置したときの接触角が25
    ゜以上70゜未満であることを特徴とする、請求項1に
    記載の光ファイバ着色心線の製造方法。
  3. 【請求項3】 光ファイバ素線の外周面上に、第一の硬
    化性樹脂を含有する第一の樹脂組成物を塗布し、硬化さ
    せて被覆層を形成させた後、前記被覆層上に、第二の硬
    化性樹脂及び着色剤を含有する第二の樹脂組成物を塗布
    し、硬化させて着色層を形成させてなる光ファイバ着色
    心線であって、 前記第一の樹脂組成物および前記第二の樹脂組成物が、
    それぞれの樹脂組成物から得られる硬化物において相互
    の溶解パラメーター値の差が2.0以下であることを特
    徴とする光ファイバ着色心線。
  4. 【請求項4】 前記第一の樹脂組成物の硬化物上に前記
    第二の樹脂組成物の液滴を配置したときの接触角が25
    ゜以上70゜未満であることを特徴とする、請求項3に
    記載の光ファイバ着色心線。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4に記載の光ファイバ着色
    心線の複数本を一括被覆層で被覆して一体化してなるこ
    とを特徴とする光ファイバテープ心線。
JP2000285546A 2000-09-20 2000-09-20 光ファイバ着色心線及びその製造方法、並びに該光ファイバ着色心線を用いた光ファイバテープ心線 Pending JP2002090588A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012042751A (ja) * 2010-08-19 2012-03-01 Fujikura Ltd 光ファイバテープ心線の製造方法及びこの製造方法により製造された光ファイバテープ心線

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JP2012042751A (ja) * 2010-08-19 2012-03-01 Fujikura Ltd 光ファイバテープ心線の製造方法及びこの製造方法により製造された光ファイバテープ心線

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