JP2002088646A - 繊維構造物 - Google Patents

繊維構造物

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JP2002088646A
JP2002088646A JP2001059645A JP2001059645A JP2002088646A JP 2002088646 A JP2002088646 A JP 2002088646A JP 2001059645 A JP2001059645 A JP 2001059645A JP 2001059645 A JP2001059645 A JP 2001059645A JP 2002088646 A JP2002088646 A JP 2002088646A
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fiber
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resin
hydrophilic
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JP2001059645A
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Rumi Karasawa
留美 柄澤
Aya Taniguchi
彩 谷口
Masaki Ishii
正樹 石井
Hirotoshi Goto
裕利 後藤
Koichi Saito
公一 齋藤
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、汚れ付着後放置された汚れに対し
て、水洗濯により汚れが落ちやすいという防汚性に優れ
た繊維構造物を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明の繊維構造物は、燐およびフルオロ
基を含有する化合物とフッ素含有樹脂で構成される樹脂
組成物が繊維表面に付着していることを特徴とするもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた防汚性(汚
れ除去性)、特に汚れが付着したあと放置された汚れに
対して優れた汚れ除去性を有する繊維構造物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、防汚性を有する繊維構造物は数多
く提案されている。一般には、例えばポリエチレングリ
コールなどの親水基を有する親水性樹脂が付与された
り、ポリフルオロアルキル基を側鎖に有するいわゆるフ
ッ素系撥水剤を付与したもの、またポリフルオロアルキ
ル基と親水基を有するフッ素系SR剤が付与されたも
の、またこれら樹脂の両方が付与されたものが知られて
いる。
【0003】親水性樹脂が付与されたものは、洗濯中に
他の汚れを吸着しにくいという再汚染防止効果はあるも
のの、機械油などは逆に付きやすく、いったん汚れが付
着し、乾いてしまうと洗濯しても除去することが非常に
困難になってくるものである。
【0004】また、ポリフルオロアルキル基を有するフ
ッ素系撥水剤が付与されたものは、液体汚れをはじき付
きにくくするという効果はあるものの、押し込まれた汚
れについては洗濯での汚れ除去性が逆に悪くなるもので
ある。また、ポリフルオロアルキル基と親水基を有する
フッ素系SR剤が付与されたものは、ポリフルオロアル
キル基により水性、油性共に汚れをはじく効果はあり、
洗濯時には親水基の効果でポリフルオロアルキル基単独
のフッ素系撥水剤と比較すれば汚れは落ちやすいもの
の、効果は十分ではない。
【0005】燐およびポリフルオロ基含有化合物を使用
するものとして特許第2836249号明細書には、含
フッ素リン酸誘導体またはその塩と金属塩化物とを組合
せた繊維処理剤および加工方法、また、含フッ素リン酸
誘導体またはその塩と金属塩化物とで処理した後、フッ
素系撥水剤で処理する方法が開示されている。かかる含
フッ素リン酸誘導体またはその塩と金属塩化物とを組合
せた繊維処理剤での加工品は、撥油性は高いものの、い
ったん付着した油汚れを洗濯で除去することは非常に困
難であった。また、更にフッ素系撥水剤で処理された加
工品についても、工程が煩雑な上、汚れをはじくという
効果あるものの、付着した後放置された油汚れなどにつ
いては洗濯で除去することは非常に困難であった。
【0006】また繊維布帛の表面に親水化処理をした後
にSR性を阻害しない撥水剤で処理する手法が、特開昭
64−6178号公報などに見られるが、液体汚れをは
じき付きにくくするという効果はあるものの、撥水・撥
油効果は低く押し込まれた汚れについての洗浄効果は十
分なものではなかった。
【0007】また繊維表面にメラミン系樹脂を被膜させ
た後、パーフルオロ基含有ビニルモノマーとポリオキシ
レンアルキレン含有ビニルモノマーとの共重合体を付与
した防汚性布帛が、特開平2ー277887号公報で提
案されているが、油性汚れをはじく効果が十分でなく、
押し込まれた汚れについては洗濯での汚れ除去性が悪い
ものであった。
【0008】これらの繊維構造物はいずれも汚れが付着
して、すぐに洗濯すれば汚れはある程度落ちるものの、
汚れが付着した状態で長時間放置すると、洗濯してもほ
とんど落ちないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、汚れ付着後放置された汚れに対し
て、水洗濯により汚れが落ちやすいという防汚性に優れ
た繊維構造物を提供せんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の繊維構造物は、燐およびフルオ
ロ基を含有する化合物とフッ素含有樹脂で構成される樹
脂組成物が、繊維表面に付着していることを特徴とする
ものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり汚れ
付着後放置された汚れに対して、水洗濯により汚れが落
ちやすいという特定な防汚性に優れた繊維構造物につい
て、鋭意検討し、燐およびフルオロ基を含有する化合物
とフッ素含有樹脂という特定な物質を組合せて構成され
る樹脂組成物を繊維表面に付着させてみたところ、かか
る課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0012】本発明でいう燐およびフルオロ基を含有す
る化合物とは、下記一般式[I]で表されるものが好ま
しい。かかる化合物は撥油性が高いため、繊維表面に付
着していることにより、繊維束内部または繊維内部に浸
入しようとする機械油などの油成分をはじく効果が大き
く向上するものである。
【0013】
【化2】
【0014】かかる化合物の中でも、炭素数5〜10の
フルオロアルキル基を有するリン酸化合物が好ましく使
用される。
【0015】また本発明でいうフッ素含有樹脂として
は、炭素数6〜14の末端パーフルオロアルキル基を有
する(メタ)アクリル酸エステルの重合し得る単量体か
ら構成されていることを特徴とするものであり、好まし
くは次に示す一般式[II]で表される単量体を含むのが
よい。
【0016】
【化3】
【0017】本発明のフッ素含有樹脂は、かかる単量体
が繊維上で重合したものや、かかる単量体の重合体、さ
らにかかる単量体ならびに第3成分が重合した共重合体
などから選ばれた少なくとも1種を含むものであり、該
繊維上で、好ましくは燐およびフルオロ基を含有する化
合物と混在しているものが耐久性の上からよい。
【0018】本発明において、燐およびフルオロ基を含
有する化合物とフッ素含有樹脂で構成される樹脂組成物
が、繊維表面に付着していることで、大きく汚れ除去性
が向上するものであるが、かかる樹脂組成物のうち、該
燐およびフルオロ基を含有する化合物が、好ましくは2
0wt%以上、さらに好ましくは20〜80wt%の範
囲である組成であることが、撥油性を大きく向上させる
上からよい。20wt%未満であると、撥油性が大きく
低下し、また、80wt%を越えると、洗濯耐久性が劣
る傾向がでてくるので好ましくない。さらに好ましく
は、かかる樹脂組成物において、該フッ素含有樹脂の含
有割合が、該燐およびフルオロ基を含有する化合物の
0.5〜2.5倍の範囲であるのが洗濯耐久性の上から
よい。
【0019】本発明においては、かかる樹脂組成物が親
水性化合物を含んでもよく、かかる親水性化合物として
は、ポリアルキレングリコール、または、ポリアルキレ
ングリコールと合成樹脂とのブロック共重合体のいずれ
を好ましく使用するものである。
【0020】かかる親水性化合物を構成する合成樹脂と
しては、ポリエステル、ウレタン樹脂およびシリコーン
樹脂から選ばれた少なくとも1種が好ましく使用され
る。
【0021】かかるポリアルキレングリコールのポリエ
ステルブロック共重合体は、芳香族ジカルボン酸および
アルキレングリコールからなるポリエステルに、ポリア
ルキレングリコールをブロック共重合したものである。
ここでいうポリアルキレングリコールとは分子中に−C
n2nO−(n=2〜4)なる主鎖を有するもののこと
をいい、分子量が300〜40000の範囲にあるのが
好ましく、より好ましくは1000〜10000の範囲
のものである。かかるポリアルキレングリコールとして
は、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコールまたはこれらのブロックポリマ等を使用するこ
とができる。分子量が300に満たないと、耐久性が不
十分になる傾向があり、また分子量が4000を越える
と、分散性が低下する傾向がある。
【0022】次に、ポリアルキレングリコールのポリウ
レタンブロック共重合体としては、官能基としてポリア
ルキレングリコールを有するポリマまたはプレポリマで
あって、好ましくは熱によって解離するブロック化剤で
ブロック化されたイソシアネート基を有する熱反応型プ
レポリマのポリアルキレングリコールブロック化物が好
ましい。解離を促進させるために解離触媒が使用されて
いても何ら差し支えなく、ジブチルスズシオレート、ジ
ブチルスズテアレート、ステアリル亜鉛、有機アミン化
合物が好ましい。
【0023】また、ポリアルキレングリコールのシリコ
ーン樹脂ブロック共重合体としては、通常繊維の吸水柔
軟剤として使用されるものが好ましく使用され、中で
も、1分子中にアミノ基とポリアルキレングリコールの
両方を含有するオルガノポリシロキサンを主成分とする
アミノポリエーテル変性シリコーンが好ましく使用され
る。シリコーン樹脂は、一般に親油性であるため、油汚
れを寄せ付けやすく、親水基を有しないものは、洗濯で
の汚れ除去性が非常に困難である。このため、かかるポ
リアルキレングリコールのような親水基を有するものを
使用するのが好ましい。
【0024】これらの他にも、たとえばポリアルキレン
グリコールをブロック共重合する芳香族ジカルボン酸と
しては、例えば、テレフタル酸、テレフタル酸の低級ア
ルキルエステル、イソフタル酸およびイソフタル酸の低
級アルキルエステルから選ばれた少なくとも1種を好ま
しく用いることができる。また、アレキレングリコール
としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリ
コール、ブチレングリコールなどを好ましく用いること
ができる。
【0025】かかるポリアルキレングリコールのブロッ
ク共重合において、ポリアルキレングリコール:芳香族
ジカルボン酸: アレキレングリコールのモル比は、1
〜31:1:2〜3の範囲のものが、汚れ除去性の観点
から好ましく採用される。
【0026】本発明は、燐およびフルオロ基を含有する
化合物とフッ素含有樹脂との特定な組合せ構成の相乗効
果によって、はじめて撥油性と汚れ除去性が同時に達成
されるものである。すなわち、機械油等の油汚れをはじ
きやすく、また汚れが付着した状態で放置されたとして
も、洗濯により容易にかかる汚れを除去することができ
るという優れた効果を奏するものである。
【0027】本発明の燐およびフルオロ基を含有する化
合物は、該繊維構造物の繊維重量に対し、好ましくは
0.04〜2.5wt%、さらに好ましくは0.1〜2
wt%付着しているのがよい。0.04wt%未満であ
れば、十分な撥油性が得られず、また2.5wt%より
多いと、繊維構造物の風合いが硬くなる傾向にある。
【0028】また、フッ素含有樹脂は、該繊維構造物の
繊維重量に対し、好ましくは0.08〜3.5wt%、
さらに好ましくは0.1〜3wt%付着しているのがよ
い。0.08wt%未満であれば、十分な撥水性性が得
られず、また3.5wt%より多いと、繊維構造物の風
合いが硬くなる傾向がある。
【0029】また、親水性化合物は、該繊維構造物の繊
維重量に対し、好ましくは0.03〜1.2wt%、さ
らに好ましくは0.1〜1wt%付着しているのがよ
い。0.03wt%未満であれば、防汚性を更に向上さ
せる効果はなく、また1.2wt%より多いと、撥水、
撥油性を低下させる傾向がある。
【0030】本発明は、かかる樹脂組成物を繊維表面に
耐久性よく固着させるために、固着剤を使用してもよ
い。かかる固着剤としては、一般に繊維用撥水加工の固
着剤として使用されるものや、紙用撥水剤の固着剤とし
て使用されるものが好ましく使用される。繊維用撥水加
工の固着剤として使用されるものとしては、アミノプラ
スト樹脂や多官能ブロックイソシアネート含有ウレタン
樹脂を使用することができる。
【0031】アミノプラスト樹脂としては、トリメチロ
ールメラミン、ヘキサメチロールメラミンなどのメラミ
ン樹脂、ジメチロールプロピレン尿素、ジメチロールエ
チレン尿素などの尿素樹脂、ジメチロールウロン樹脂な
どのウロン樹脂などを用いることができる。かかるアミ
ノプラスト樹脂の中では、ヘキサメチロールメラミンが
好ましい。
【0032】かかるアミノプラスト樹脂は、繊維重量に
対し、0.05〜1.0wt%付着していることが好ま
しい。0.05wt%未満では、耐久性が向上せず、ま
た、1.0wt%以上になると、風合いが硬くなってし
まうため好ましくない。
【0033】アミノプラスト樹脂と共に、一般に用いら
れる触媒を用いてもよく、たとえばリン酸、硫酸、硝酸
などの無機酸のアンモニウム、アルミニウム、または亜
鉛あどの塩類、ギ酸、酢酸、アクリル酸、こはく酸など
の有機酸の塩類などを使用することができる。
【0034】また、多官能ブロックイソシアネート含有
ウレタン樹脂を使用してもよい。かかる多官能ブロック
イソシアネート含有ウレタン樹脂としては、分子中に2
個以上のブロックイソシアネート官能基を含む有機化合
物であれば、特に限定されるものではない。たとえば、
トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、ジイフェニールメタンジイソシアネートなど
に、70〜200℃の加熱時解離して活性なイソシアネ
ート基が再生できるブロッキング可能な化合物、たとえ
ばフェノール、重亜硫酸ソーダなどを反応させた多官能
ブロックイソシアネート含有ウレタン樹脂が好ましく使
用される。
【0035】多官能ブロックイソシアネート含有ウレタ
ン樹脂は、繊維重量に対し、0.05〜0.8wt%付
着していることが好ましい。0.05wt%未満では、
耐久性が向上せず、また、0.8wt%以上になると、
風合いが硬くなってしまうため好ましくない。また、か
かるブロックイソシアネートの熱分離速度の向上と熱解
離温度の低下を促進させるため、解離触媒を用いてもよ
く、たとえばジブチルスズジオレート、ジブチルスズス
テアレート、ステアリル亜鉛、有機アミン化合物などが
好ましく使用される。
【0036】また、紙用撥水剤の固着剤として使用され
るものとしては、少なくとも1つのビニル末端を有する
モノマーまたはオリゴマーが好ましく、より好ましくは
少なくとも1つの(メタ)アクリル酸エステルを含むモ
ノマーまたはオリゴマーを使用することができる。更に
好ましくは(メタ)アクリル酸エステルのアルコール残
基に窒素を含有するものが好まし使用される。かかるモ
ノマーまたはオリゴマーは、繊維重量に対し、0.05
〜0.5wt%付着していることが好ましい。0.05
wt%未満では、耐久性が向上せず、また、0.5wt
%を越えて付着させても、効果が向上するものではな
い。
【0037】本発明の繊維構造物の加工方法について
は、特に限定されるものではなく、パッディング法、ス
プレー法、コーティング法などを採用することができる
が、好ましくは、燐およびポリフルオロ基含有化合物と
パーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エ
ステルの重合し得る単量体モノマーやかかる単量体を含
む共重合体の分散液、または、さらにポリアルキレング
リコールを含有する親水性化合物を加えた分散液に、繊
維構造物を含浸させたのち、一定の絞り率によってマン
グルで絞り、熱処理することが好ましい。
【0038】熱処理については、乾熱処理または湿熱処
理のことをいう。湿熱処理にはスチーム処理が含まれ
る。スチーム処理には常圧飽和スチーム処理、加熱スチ
ーム処理、高圧スチーム処理などを採用することができ
る。
【0039】乾熱処理または湿熱処理の温度は、100
〜200℃が好ましい。熱処理温度が100℃未満であ
ると、洗濯耐久性の面で不十分であり、また、200℃
を越える、維の黄変、脆化が生じる傾向にある。
【0040】本発明は、親水基有する繊維の表面に、燐
およびフルオロ基を含有する化合物とフッ素樹脂で構成
される樹脂組成物を付着させてもよい。
【0041】かかる親水基を有する繊維としては、水酸
基、カルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、アミノ
基、アミド基、エーテル基、エステル基のうちの少なく
とも1つの親水基を有する繊維が好ましく用いられる。
なお、親水基を有する繊維としては、繊維構造物を構成
する繊維が、本来の性質として親水基をもっていてもよ
く、また、親水化のための前処理によって親水基をもっ
ていてもよい。
【0042】かかる親水化前処理の手段としては、繊維
表面改質や繊維内部改質による親水基の導入、繊維への
親水性有機化合物の付着、親水性ポリマーによる(少な
くとも一部の)繊維の被覆などの手段を採用することが
できる。
【0043】また、維表面改質処理法としては、好まし
くはプラズマ処理がある。
【0044】本発明でいうプラズマ処理とは、高電圧を
印加することによって発生するプラズマ放電に布帛をさ
らすことを意味するものである。かかる放電には火花放
電、コロナ放電、グロー放電など種々の形態のものがあ
り、布帛に損傷を与えないものであれば放電形態は問わ
ないが、放電が均一で活性化作用に優れたグロー放電が
特に好ましい。
【0045】かかるグロー放電は、好ましくは7000
Pa以下、より好ましくは3000Pa以下、特に好ま
しくは1〜1500Paの減圧下のガス雰囲気中で、高
電圧を印加して発生するもので、処理時間は、繊維の種
類や処理装置によって選択されるが、好ましくは数秒間
から数分間、より好ましくは1秒から5分間程度であ
る。
【0046】かかるプラズマ処理のガス雰囲気を構成す
るガスとしては、例えばAr、N2、He、CO2、C
O、O2、CF4、H2O、空気などが好ましく使用され
るが、特に好ましくはAr、Heならびに酸素原子を含
むガス、例えば、CO2、H2O、空気などからなるガス
が、親水性を向上させる上で好ましい。
【0047】繊維内部改質処理は、好ましくは親水性ビ
ニルモノマーをグラフト重合することによりなされる。
かかる親水性ビニルモノマーとは、少なくとも1コの重
合性不飽和基を含有する化合物であって、その重合体が
被処理繊維を構成する重合体よりも親水性であるものを
いい、このような化合物であれば分子量の大小に関わら
ず用い得る。一般には親水性基をもつビニルモノマーが
用いられる。かかるモノマーとしては、たとえばアクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸などの不飽和カルボン
酸類、アクリルアミド、N−ビニルピロリドンなどの不
飽和アミド類、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸
などの不飽和スルホン酸化合物など各種不飽和化合物、
さらにはこれらモノマーの誘導体が好ましく使用され
る。
【0048】例えば上記モノマーにエチレンオキサイイ
ドを付加した、ポリエチレングリコールモノアクリレー
ト、アクリルアミドエチレンオキサイド付加物など各種
のものが使用される。特に好ましい化合物は、アクリル
酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体である。これらは
単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0049】次に、繊維構造物を構成する繊維に、親水
性有機化合物を付着したものとしては、好ましくはポリ
アルキレンを含有する親水性有機化合物の付着した繊維
である。
【0050】かかるポリアルキレンを含有する親水性有
機化合物としては、例えばポリアルキレングリコール−
ポリエステルブロック共重合体が挙げられる。ポリアル
キレングリコール−ポリエスエルブロック共重合体と
は、芳香族ジカルボン酸およびアルキレングリコールか
らなるポリエステルにポリアルキレングリコールをブロ
ック共重合したものである。ここでいうポリアルキレン
グリコールとは分子中に−Cn2nO−(n=2〜4)
なる主鎖を有するもののことをいい、分子量が300〜
40000の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは
1000〜10000の範囲のものである。
【0051】かかるポリアルキレングリコールとして
は、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコールまたはこれらのブロックポリマ等を使用するこ
とができる。分子量が300に満たないと耐久性が不十
分になる傾向があり、また分子量が4000を越えると
分散性が低下する傾向にある。
【0052】つぎに、かかるポリアルキレングリコール
をブロック共重合する芳香族ジカルボン酸としては、例
えば、テレフタル酸またはテレフタル酸の低級アルキル
エステルおよびイソフタル酸ののうち少なくともいずれ
か、または、イソフタル酸の低級アルキルエステルを好
ましく用いることができる。また、アレキレングリコー
ルとしては、例えばエチレングリコール、プロピレング
リコール、ブチレングリコールなどを好ましく用いるこ
とができる。かかるポリアルキレングリコールをブロッ
ク共重合において、ポリアルキレングリコール:芳香族
ジカルボン酸:アレキレングリコールのモル比は1〜3
1:1:2〜3の範囲のものが汚れ除去性の観点から好
ましい。
【0053】また、繊維構造物を構成する繊維の少なく
とも一部が親水性ポリマーで被覆されたものとしては、
好ましくは少なくともビニル基を2つ持つ親水性モノマ
ーの共重合体で繊維が被覆されたものを使用することが
できる。
【0054】かかる少なくともビニル基を2つ持つ親水
性モノマーとしては、下記一般式(III)ならびに(I
V)で示される化合物の少なくとも一種と不飽和二重結
合を有する有機酸モノマー等が好ましく使用される。
【0055】
【化4】
【0056】
【化5】
【0057】前記一般式(III)又は(IV)で示される
化合物(以下、前者を化合物(III)、後者を化合物(I
V)という)は、いずれも重合可能なビニル基を2個有
するものであり、かつ、水溶性を有するものが選択して
使用される。かかる化合物(III)としては、例えばポ
リエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレング
リコールジメタクリレートなどが好ましく用いられる。
かかるポリエチレングリコールにおいて、ポリオキシエ
チレンセグメントが、n=25を越えると、該化合物の
合成、生成が難しく実用的でない。さらにXは、H、ア
ルキル、アルコキシ基のいずれであってもほぼ同等の効
果を得ることができる。
【0058】一方、化合物(IV)の例としては、ビスフ
ェノールAポリエチレングリコールジアクリレート、ビ
スフェノールAポリエチレングリコールジメタクリレー
ト、ビスフェノールFポリエチレングリコールメタクリ
レート、ビスフェノールSポリエチレングリコールジメ
タクリレートなどが好ましく用いられる。
【0059】一般式中で、n=5未満の場合には、モノ
マーの水に対する溶解性が不十分であり、また一方30
を上回ると、モノマーの製造上の困難となる場合がある
ので、5〜30の範囲が好ましい。
【0060】さらにXは、H、アルキル、アルコキシ基
を表すものであるが、好ましくはH、CH3である。Y
は、−CH2−、−C(CH32−、−SO2−を表す
が、好ましくは−CH2−、−C(CH32−である。
【0061】これら化合物(III)、(IV)を、それぞ
れ単独あるいは両者を適宜の配合比で混合して使用する
ことが可能であるが、混合して使う場合には、望ましく
は化合物(III)の使用量を、化合物(IV)のそれより
多く用いる方がよい。
【0062】また、かかる処理に用いられる不飽和二重
結合を有する有機酸モノマーとしては、アクリル酸、メ
タクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ブテントリカル
ボン酸、フマール酸、アクリルアミド、メタクリルアミ
ドなどの脂肪族系有機酸モノマーが好ましく用いられ
る。なお、これらのアルカリ金属塩も効果は劣るが採用
することができる。これらのモノマーは、単独または2
種以上混合して使用することができる。上記有機酸モノ
マーの中でも、特にアクリル酸、イタコン酸、メタクリ
ル酸が好ましく使用される。
【0063】かかるモノマーの重合物を繊維表面に被覆
させる方法としては、特に限定されるものではないが、
上記化合物の混合処理液を繊維構造物に付与したのち、
そのまま飽和蒸気による蒸熱処理を行うのが好ましい。
ここでいう飽和蒸気とは、蒸気含有率が、好ましくは9
0%以上、より好ましくは95%以上で、温度は、好ま
しくは90〜150℃の範囲であるのがよく、より好ま
しくは100〜130℃である。処理時間は、処理温度
により若干異なるが、10〜90秒が好ましく採用され
る。
【0064】かかる処理液には、触媒を存在させなくて
もよいが、必要に応じてラジカル重合開始剤を添加す
る。一方、ラジカル重合開始剤で前処理を施し、その後
に該処理液で処理してもよい。かかるラジカル重合開始
剤の例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ハイドロ
パーオキサイドなどの有機過酸化物、アゾビスブチロニ
トリル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化
水素などが好ましく用いられるが、これに限定されるも
のではない。
【0065】また、本発明は、樹脂被膜で被覆された繊
維の該被膜上に燐およびフルオロ基を含有する化合物と
フッ素樹脂で構成される樹脂組成物が付着していてもよ
い。
【0066】かかる樹脂被膜は、繊維を被覆してなるも
のである。中でも繊維を構成する繊維束の少なくとも一
部の単繊維を覆っていることが好ましい。ここで覆って
いるとは、個々の単繊維を筒状に完全に覆っていること
をいうが、本発明においては、部分的に繊維を覆ってい
てもよい。
【0067】かかる樹脂被膜には、尿素樹脂、メラミン
樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂が用
いられるが、繊維表面を均一な膜の形で被覆しやすいの
で、メラミン樹脂が好ましく採用される。
【0068】かかる樹脂被膜は、メラミン樹脂単独で形
成されていてもよいが、メラミン系樹脂に尿素、チオ尿
素などのジシアン誘導体化合物、ホルムアルデヒド、フ
ェノール化合物、トリアジン化合物、エチレン尿素、グ
リオキザール化合物、ウロン化合物などを共重合したも
のを用いたり、これら化合物とメラミン系樹脂とを併用
したりして形成されていてもよい。
【0069】かかるメラミン樹脂としては、好ましく
は、トリアジン環を含有し、かつ、少なくとも2個の重
合性官能基を有する化合物、すなわち、下記一般式
[V]で示される化合物を重合して得られるものが、好
ましく使用される。
【0070】
【化6】
【0071】式中、R1、R2およびR3は、それぞれ水
素、水酸基、フェニル基、炭素数1〜10のアルキル
基、アルキルエステル基(アルキル基の炭素数1〜2
0)、アミド基およびアミノ基[アミド基およびアミノ
基の各Nに結合している水素が、水酸基、アルキルオキ
サイド(アルコキシ)基(アルキル基の炭素数1〜2
0)、アルコキシメチル基(アルキル基の炭素数1〜2
0)、メチルアルキルエステル基(アルキル基の炭素数
1〜20)、メチロール基、エチロール基、N−メチロ
ールアミド基、重合度が1〜1500のアルキレングリ
コール基(アルキレン基の炭素数2〜4であり、末端の
水素がメチル、エチル、プロピルであってもよい)で置
換されたものであってもよい]からなる群の中から選ば
れた1価の基である。R1、R2、R3は、すべて同じで
あってもよく、1つまたは2つが異なっていてもよい。
【0072】上式[V]で表される化合物の中でも、R
1およびR2がアミノ基である化合物が好ましく、さらに
は、R3がアミド基である化合物が好ましい。同化合物
の中でも、アミノ基およびアミド基の各Nに結合してい
る水素がメチロール基、エチロール基およびN−メチロ
ールアミド基のいずれかで置換されたものが好ましい。
【0073】さらに、上式[V]で表される化合物の中
でも、R1、R2、R3がアミノ基であり、かつ、同アミ
ノ基のNに結合している水素が、アルキルオキサイド
基、アルコキシメチル基(アルキル基の炭素数1〜2
0)、メチロール基、エチロール基およびN−メチロー
ルアミド基のいずれかで置換されたものは、室温で湿潤
状態で放置することによって、十分に被膜形成が可能で
あり、省エネルギー対策に適している上に、柔軟性に優
れた被膜を形成するという特徴を有する。
【0074】かかる樹脂被膜で繊維を被覆する方法につ
いては、特に限定されるものではないが、たとえば、メ
ラミン系樹脂および重合触媒を含む水性媒体からなる溶
液または分散液の形で処理液を含浸法、スプレー法、泡
加工法、グラビアロールなどによるコーティング法など
の方法で繊維構造物にに付与することが好ましい。
【0075】前記メラミン系樹脂の被膜を形成するため
の条件として重要な点は、前記メラミン樹脂の付与方法
ではなく、水分の存在下で前記メラミン系樹脂を重合さ
せることである。たとえば、繊維重量の25%以上の重
量の水の存在下または相対湿度40%以上の雰囲気下で
重合反応することが好ましい。このように水分の存在下
で被膜形成を行うのは、被膜形成時に樹脂形成性成分を
繊維表面でマイグレーションさせないで、そのまま保持
した状態で重合させるためであり、その保持作用を水に
持たせるためである。
【0076】かかる被膜形成のための温度としては、室
温(または40℃)〜140℃程度の温度範囲が好まし
く採用される。
【0077】具体的には、樹脂を付与した後、樹脂形成
を別工程で行う場合には、加熱水蒸気(飽和または不飽
和)雰囲気下、30秒間〜180分間程度で被膜形成す
るか、または、処理液浸漬品を密封して水分を逃さない
ようにして放置(一昼夜程度)するコールド・バッチ法
で被膜形成するかのいずれかの方法を採用することがで
きるが、少なくとも一部の単繊維をメラミン系樹脂被膜
で被覆できる方法であれば、方法に制限はない。
【0078】同処理液に占めるメラミン系樹脂の配合割
合は、特に限定されないが、0.01〜20重量%が好
ましく、0.1〜10重量%がより好ましい。この配合
割合の範囲は、被膜強度と粗硬性の上から選択して使用
される。
【0079】前記重合触媒としては、たとえば、無機
酸、有機酸などの酸類、それらの塩類が使用される。か
かる無機酸としては、たとえば、硫酸、亜硫酸、過硫
酸、リン酸、硝酸、炭酸、塩酸などが好ましく使用され
る。また、有機酸としては、たとえば、カルボキシル基
を有する化合物、たとえば、ギ酸、酢酸などの脂肪族カ
ルボン酸、アクリル酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ
酸、クエン酸、酒石酸、グルタミン酸、アスパラギン
酸、マレイン酸、イタコン酸、フタール酸、イソフター
ル酸などが好ましく使用される。
【0080】かかる重合触媒の添加量は、通常の使用量
でよく、たとえば、好ましくは0.01〜10重量%、
より好ましくは0.01〜3重量%の範囲で用いられ
る。
【0081】このようにして得られるメラミン系樹脂被
膜の重量は、繊維重量に対して、0.1%以上であるこ
とが好ましく、1〜10%の範囲であることがより好ま
しい。この範囲は、被膜の均一性と柔軟性の上から、適
宜選択して決定することができる。
【0082】本発明の繊維構造物を構成する繊維は、ポ
リエステル系繊維から構成されるのが好ましい。かかる
ポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレートやこれらを主成分と
した共重合ポリエステル系繊維が含まれ、さらにポリエ
ステル系繊維以外の合成繊維や再生繊維、天然繊維が混
紡もしくは混繊されていてもよい。
【0083】本発明でいう繊維構造物は、織物、編物ま
たは不織布などの布帛形態のものはもちろん、帯状物、
紐状物、糸状物などの形態、つまり繊維を含む製品であ
れば、その構造、形状を問わず使用することができる。
【0084】本発明の繊維構造物は、機械油等の油汚れ
をはじきやすく、また汚れが付着した状態で放置された
としても、洗濯により容易に汚れが除去できるため、ユ
ニフォーム、厨房衣、エプロンなどの用途に好適に使用
されるものである。
【0085】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。なお、実施例中での品質評価は次の方法を用い
た。 (洗濯耐久性評価用洗濯/商業洗濯20回)ドラム染色
機に水をはり、下記洗剤と45×45cmの試験片およ
び追加布を入れ60℃±2℃、浴比1:20で300分
洗濯する。
【0086】排液、脱水後、新たに水をはりためすすぎ
を60分間行う。この脱水、すすぎの操作を計3回繰り
返す。
【0087】試験片を脱水し、風乾し試験に供する。
【0088】 ネオサットA(ライオン(株)製) 0.5g/l 無リンダブルコーソ(ライオン(株)製)1.0g/l ニューブリーチ(ライオン(株)製) 0.7g/l (防汚性評価/重油除去性評価)試験片を10×10c
mに切り表を上にしてガラス板上に置き、B重油を試験
片の中央部分に0.1ml滴下し、その上に更に5×5
cmのガラス板を置き、更に200gの荷重を乗せて1
分間放置する。
【0089】荷重、5×5cmのガラス板を順次取り除
き、試験片を濾紙の上に移す。試験片のB重油付着部分
にティッシュペーパーをかぶせ、その上から宛名印刷用
ローラーでローラーがけをし、濾紙やティッシュペーパ
ーを汚れが付着していない場所に変えながら、濾紙やテ
ィッシュペーパーに汚れがつかなくなるまで繰り返す。
この試験片を恒温乾燥機に入れ70℃×1時間放置す
る。
【0090】試験片同士をオーバーロックミシンで縫い
合わせる。
【0091】その後、自動反転渦巻き式電気洗濯機(東
芝(株)VH−1150形と同性能のもの)の洗濯槽
に、60℃±2℃のお湯を25リットル入れ、下記洗剤
と共に汚染した試験片と追加布を合わせた1250gを
入れ、強条件で15分間洗濯する。
【0092】 (洗剤) ネオサットA(ライオン(株)製) 0.5g/l 無リンダブルコーソ(ライオン(株)製)1.0g/l ニューブリーチ(ライオン(株)製) 0.7g/l 次いで試験片と追加布を洗濯機付属の遠心脱水機に移
し、約30秒間脱水後、再び常温水を25リットル入れ
た洗濯槽に移し、ためすすぎを3分間行う。この脱水、
すすぎの操作を計3回繰り返す。
【0093】試験片を脱水し、風乾する。
【0094】洗濯後の試験片について汚染剤付着部分の
明度(L値)をミノルタ(株)製多光源分光測色計(c
m−3700d)を用いて測定した。
【0095】L値が大きい程、洗浄性が高く、防汚性が
良好であることを示す。 (撥油性)AATCC法で測定した。
【0096】数値が大きいほど、撥油性が高い。 (供試布)下記布帛を通常条件で精練、漂白、マーセラ
イズ、蛍光染色したものを供試布とする。 タテ糸;ポリエステル167dtex/2−48f ヨコ糸;ポリエステル167dtex−30f 密度;102×64本/in. ただし、実施例 では、上記布帛を通常条件で精錬した
ものを用いた。
【0097】(実施例1)表1記載のA、Bおよび固着
剤としてヘキサメチロールメラミン、触媒として過硫酸
アンモニウムからなる分散液を作製し、ピックアップ8
0%で絞り、繊維重量に対し固形分をA:1.92wt
%、B:1.28wt%、固着剤:0.42wt%付着
させた後、ピンテンターにおいて130℃で乾燥、18
0℃×40秒乾熱処理を行った。
【0098】得られた試験布の加工上がりと、商業洗濯
20回後について、防汚性評価と撥油性評価を行った。
結果を表2に示す。
【0099】加工上がり、商業洗濯20回後も優れた撥
油性と汚れ除去性を示した。
【0100】(実施例2)表1記載のA、B、C、およ
び、固着剤としてヘキサメチロールメラミン、触媒とし
て過硫酸アンモニウムからなる分散液を作製し、ピック
アップ80%で絞り、繊維重量に対し固形分をA:0.
96wt%、B:0.64wt%、C:0.85wt
%、固着剤:0.42wt%付着させた後、ピンテンタ
ーにおいて130℃で乾燥し、次いで180℃×40秒
乾熱処理を行った。
【0101】得られた試験布の加工上がりと、商業洗濯
20回後について、防汚性評価と撥油性評価を行った。
結果を表2に示す。
【0102】加工上がり、商業洗濯20回後も優れた撥
油性と汚れ除去性を示した。
【0103】(実施例3)表1記載のA、B、Dおよび
固着剤として、ヘキサメチロールメラミン、触媒とし
て、過硫酸アンモニウムからなる分散液を作製し、ピッ
クアップ80%で絞り、繊維重量に対し、固形分をA:
0.96wt%、B:0.64wt%、D:0.92w
t%、固着剤:0.42wt%付着させた後、ピンテン
ターにおいて130℃で乾燥し、次いで180℃×40
秒乾熱処理を行った。
【0104】得られた試験布の加工上がりと、商業洗濯
20回後について、防汚性評価と撥油性評価を行った。
結果を表2に示す。
【0105】加工上がり、商業洗濯20回後も優れた撥
油性と汚れ除去性を示した。
【0106】(実施例4)表1記載のA、B、E、およ
び、固着剤としてヘキサメチロールメラミン、触媒とし
て過硫酸アンモニウムからなる分散液を作製し、ピック
アップ80%で絞り、繊維重量に対し、固形分をA:
0.96wt%、B:0.64wt%、E:0.83w
t%、固着剤:0.42wt%付着させた後、ピンテン
ターにおいて、130℃で乾燥し、次いで180℃×4
0秒乾熱処理を行った。得られた試験布の加工上がり
と、商業洗濯20回後について、防汚性評価と撥油性評
価を行った。結果を表2に示す。
【0107】加工上がり、商業洗濯20回後において
も、優れた撥油性と汚れ除去性を示した。
【0108】(実施例5)第1工程として、試供布に次
のプラズマ条件で、繊維表面にカルボキシル基、水酸
基、アミノ基を導入し、繊維表面改質された繊維布帛を
得た。 <低温プラズマ処理条件> ガス : Ar 30ml/分 減圧度 : 80Pa 印加電圧 : 3kV 処理速度 : 20cm/分 次に、かかる上記処理布に第2工程として実施例1と同
様の処理を行った。
【0109】得られた試験布の洗濯0回後と、商業洗濯
20回後について、防汚性評価と撥油性評価を行った。
結果を表2に示す。
【0110】洗濯0回後、商業洗濯20回後においても
優れた撥油性と汚れ除去性を示した。
【0111】(実施例6)第1工程として、次のように
して、繊維内部にカルボキシル基を導入し、繊維内部改
質された繊維布帛を得た。 <親水性モノマーのグラフト重合>グラフト重合開始剤
として有機過酸化物(日本油脂(株)製ナイパ−MT−
80)1g、親水性ビニルモノマーとしてメタクリル酸
30g、第4級アンモニウム塩型界面活性剤(第一工業
(株)カチオーゲンANスーパー)5gを水で希釈し、
100gの水系混合液を調整した。
【0112】試供布を前記の水系混合液中に浸漬後、マ
ングルで絞り、ロールに巻き取った後、塩化ビニリデン
フィルムでシールした。このシールされた試供布をマイ
クロ波処理装置(市金(株)製アポロペット)に入れ、
100℃スチームとマイクロ波で10分間加熱照射後、
湯水洗、乾燥後、初期の乾燥布重量に対する重量増加率
を求めたところ、15.5%重量増加していた。
【0113】ついで、乾熱処理機(述井染色工業(株)
製、熱風式試験用ピンテンター)にて180℃で30秒
乾熱処理をした。
【0114】第2工程として、実施例1と同様の処理を
行った。
【0115】得られた試験布の洗濯0回後と、商業洗濯
20回後について、防汚性評価と撥油性評価を行った。
結果を表2に示す。
【0116】洗濯0回後、商業洗濯20回後も優れた撥
油性と汚れ除去性を示した。
【0117】(実施例7)第1工程として、次のように
して、繊維表面に水酸基を有する有機化合物を付着さ
せ、親水基を有する繊維布帛を得た。
【0118】試供布を液流染色機で染色するに際し、テ
レフタル酸ーイソフタル酸ーエチレングリコールーポリ
エチレングリコールのブロック共重合体(テレフタレー
ト単位:イソフタレート単位:ポリエチレングリコール
単位=2.1:0.9:7.0(重量比)ポリエチレン
グリコール分子量1400)の10%水性分散液を、被
処理物に対し10重量%に相当する量、染浴中に添加
し、130℃で20分間染色同時処理をした。
【0119】第2工程として、実施例1と同様の処理を
行った。
【0120】得られた試験布の洗濯0回後と、商業洗濯
20回後について、防汚性評価と撥油性評価を行った。
結果を表2に示す。
【0121】洗濯0回後、商業洗濯20回後も優れた撥
油性と汚れ除去性を示した。
【0122】(実施例8)第1工程として、繊維表面に
水酸基を有する重合物を被覆させ、親水性ポリマーで被
覆された繊維布帛を得た。 <親水性ジビニルモノマーの飽和水蒸気処理>まず、化
合物IIIを15g、化合物IVを5g、アクリル酸10
g、過硫酸アンモニウム5gを含む水溶液を1リットル
調整した。化合物III、化合物IVを下に示す。
【0123】化合物(III) CH2=C(CH3)−COO−(C24O)23−CO−
C(CH3)=CH2 化合物(IV) CH2=C(CH3)−COO−(C24O)15−C64
−C(CH32− C64−(C24O)15−CO−C(CH3)=CH2 試供布を上述の処理液に浸漬しマングルで均一に絞っ
た。
【0124】これを湿潤状態のまま飽和蒸気で満たされ
た100℃のスチーマーに入れ2分間処理した。熱処理
後、湯水洗し、未反応モノマーを除去し、乾燥した。
【0125】第2工程として、実施例1と同様の処理を
行った。
【0126】得られた試験布の洗濯0回後と、商業洗濯
20回後について、防汚性評価と撥油性評価を行った。
結果を表2に示す。
【0127】洗濯0回後、商業洗濯20回後も優れた撥
油性と汚れ除去性を示した。
【0128】(実施例9)第1工程として、次のような
組成の処理液、すなわち”スミテックスレジンM−3”
(住友化学工業(株)製メラミン系樹脂、固形分80
%)7.0重量%、過硫酸アンモニウム0.3重量%、
浸透剤”CB−01”(コスモ化学(株)製)0.2重
量%、水92.5重量%の処理液に試供布を浸漬し、ピ
ックアップ率80%で絞り、直ちにハンギング型スチー
マーで、湿度100%RH、温度105℃で3分間蒸熱
処理した。その後ソーピング、水洗し、乾燥した。
【0129】次に、かかる上記処理布に、第2工程とし
て、実施例1と同様の処理を行った。
【0130】得られた試験布の洗濯0回後と、商業洗濯
20回後について、防汚性評価と撥油性評価を行った。
結果を表2に示す。
【0131】洗濯0回後、商業洗濯20回後のいずれに
おいても、優れた撥油性と汚れ除去性を示した。
【0132】(比較例1)表1記載のAからなる分散液
を作製し、ピックアップ80%で絞り、繊維重量に対し
固形分をA:0.96wt%付着させた後、ピンテンタ
ーにおいて130℃で乾燥、180℃×40秒乾熱処理
を行った。
【0133】得られた試験布の加工上がりと、商業洗濯
20回後について、防汚性評価と撥油性評価を行った。
結果を表2に示す。
【0134】この比較例のものは、加工上がりでは撥油
性は高く汚れにくいものの、付着した汚れの除去性は悪
く、また洗濯耐久性にも劣るものであった。
【0135】(比較例2)表1記載のBからなる分散液
を作製し、ピックアップ80%で絞り、繊維重量に対し
固形分をB:0.64wt%付着させた後、ピンテンタ
ーにおいて130℃で乾燥、180℃×40秒乾熱処理
を行った。
【0136】得られた試験布の加工上がりと、商業洗濯
20回後について、防汚性評価と撥油性評価を行った。
結果を表2に示す。
【0137】この比較例のものは、撥油性が低く汚れや
すく、付着した汚れの除去性のレベルが低く、落ちにく
いものであった。
【0138】
【表1】
【0139】
【表2】
【0140】
【発明の効果】本発明は、従来になかった防汚性を有す
る繊維構造物を提供することができ、特にユニフォー
ム、厨房衣、エプロンなど幅広い用途に好適な素材を提
供することができるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A41D 31/00 503 D06M 10/02 D06M 10/02 13/298 13/298 14/32 14/32 15/277 15/277 15/423 15/423 101:32 // D06M 101:32 11/08 (72)発明者 後藤 裕利 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 (72)発明者 齋藤 公一 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 Fターム(参考) 3B011 BA01 BA02 3B031 AA20 AB00 4L031 AA18 AB01 AB31 BA18 BA33 BA34 CB01 CB05 DA19 4L033 AA07 AB01 AB04 AC03 AC04 AC15 BA41 CA22 CA36 CA45 CA48 CA50 CA58 DA04

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燐およびフルオロ基を含有する化合物とフ
    ッ素含有樹脂で構成される樹脂組成物が、繊維表面に付
    着していることを特徴とする繊維構造物。
  2. 【請求項2】該燐およびフルオロ基を含有する化合物
    が、下記一般式[I]であることを特徴とする請求項1
    記載の繊維構造物。 【化1】
  3. 【請求項3】該燐およびフルオロ基を含有する化合物
    が、炭素数5〜10のフルオロアルキル基を有するリン
    酸化合物である請求項1および2のいずれかに記載の繊
    維構造物。
  4. 【請求項4】該フッ素含有樹脂が、炭素数6〜14の末
    端パーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸
    エステルの重合し得る単量体および/または重合体から
    構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の繊維構造物。
  5. 【請求項5】該燐およびフルオロ基を含有する化合物
    が、該樹脂組成物の20wt%以上を占めることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載の繊維構造物。
  6. 【請求項6】該樹脂組成物において、該フッ素含有樹脂
    の含有割合が、該燐およびフルオロ基を含有する化合物
    の0.5〜2.5倍の範囲である請求項1〜5のいずれ
    かに記載の繊維構造物。
  7. 【請求項7】該樹脂組成物が、親水性化合物を含むこと
    を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の繊維構造
    物。
  8. 【請求項8】該親水性化合物が、ポリアルキレングリコ
    ール、または、ポリアルキレングリコールと合成樹脂と
    のブロック共重合体であることを特徴とする請求項7記
    載の繊維構造物。
  9. 【請求項9】該合成樹脂が、ポリエステル、ウレタン樹
    脂またはシリコーン樹脂である請求項8記載の繊維構造
    物。
  10. 【請求項10】該樹脂組成物が、樹脂被膜で被覆された
    繊維の該樹脂被膜上に付着したものであることを特徴と
    する請求項1〜7のいずれかに記載の繊維構造物。
  11. 【請求項11】該樹脂被膜が、メラミン樹脂であること
    を特徴とする請求項10記載の繊維構造物。
  12. 【請求項12】該繊維が、親水基を有する繊維であるこ
    とを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の繊維
    構造物。
  13. 【請求項13】該親水基を有する繊維が、水酸基、カル
    ボキシル基、スルホン基、スルホニル基、アミノ基、ア
    ミド基、エーテル基およびエステル基から選ばれた少な
    くとも1種の親水基を有するものであることを特徴とす
    る請求項12記載の繊維構造物。
  14. 【請求項14】該親水基を有する繊維が、プラズマ処理
    されてなる繊維であることを特徴とする請求項12およ
    び13のいずれかに記載の繊維構造物。
  15. 【請求項15】該親水基を有する繊維が、親水性ビニル
    モノマーがグラフト重合されたものであることを特徴と
    する請求項12〜14のいずれかに記載の繊維構造物。
  16. 【請求項16】該親水基を有する繊維が、親水性有機化
    合物の付着によって親水基を付与されたものであること
    を特徴とする請求項12および13のいずれかに記載の
    繊維構造物。
  17. 【請求項17】該繊維構造物を構成する繊維が、ポリエ
    ステル系繊維であることを特徴とする請求項1〜16の
    いずれかに記載の繊維構造物。
  18. 【請求項18】該繊維構造物が、ユニフォーム、厨房衣
    またはエプロン用である請求項1〜17のいずれかに記
    載の繊維構造物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003105319A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Shikibo Ltd 吸水撥油性防汚加工剤、該防汚加工剤で処理された繊維又は繊維製品及びその製造方法並びにスプレー容器
JP2019126571A (ja) * 2018-01-25 2019-08-01 日本絨氈株式会社 タイルカーペット
CN111335021A (zh) * 2020-03-18 2020-06-26 浙江康洁丝新材料科技有限公司 一种等离子改性防水防油防污三防高弹纤维及其制备方法、应用

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