JP2002012735A - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物の製造方法

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JP2002012735A
JP2002012735A JP2000194762A JP2000194762A JP2002012735A JP 2002012735 A JP2002012735 A JP 2002012735A JP 2000194762 A JP2000194762 A JP 2000194762A JP 2000194762 A JP2000194762 A JP 2000194762A JP 2002012735 A JP2002012735 A JP 2002012735A
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monomer
weight
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graft copolymer
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JP2000194762A
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Hiroshi Shibata
博司 柴田
Ryota Kido
良太 城戸
Hajime Takamura
元 高村
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色調、耐衝撃性等の機械的特性、外観等の物
性バランスに優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ビニル系単量体を連続塊状重合してビニ
ル系共重合体(A)を製造し続いて溶融状態のビニル系
共重合体(A)にグラフト共重合体(B)を添加し溶融
混合して熱可塑性樹脂組成物を連続的に製造する方法に
おいて、ビニル系共重合体(A)とグラフト共重合体
(B)が溶融混合されつつ移送される溶融混合部分の装
置内実容積をV(m3)、温度をT(℃)とし、かつ、
最終的に吐出される樹脂組成物の移動速度をυ(kg/
h)としたとき、下記の条件を同時に満たす。 4.60×10-6≦V/υ≦11.50×10-6 T ≧230(℃)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色調および耐衝撃
性に優れた熱可塑性樹脂組成物を製造するために有効
な、ビニル系(共)重合体(A)とグラフト共重合体
(B)との混合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂で代表される、ビニル系共重
合体(A)とグラフト共重合体(B)とを混合させてな
る熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、一般に、ビ
ニル系単量体から重合されたビニル系共重合体(A)と
グラフト共重合体(B)とを、別々に重合して重合体と
した後に、両者を加熱溶融して混合する製造方法が知ら
れている。この混合方法としては、例えば、図3に示す
溶融混合装置のように、ビニル系共重合体(A)とグラ
フト重合体(B)とを混合した後に溶融し混合する方法
がある。
【0003】図3は、ビニル系共重合体(A)とグラフ
ト重合体(B)とを混合するための溶融二軸混合装置の
一例を示す装置縦断面概略図であり、ビニル系共重合体
(A)が供給ホッパー(7)から、また、グラフト重合
体(B)が供給ホッパー(8)から、混合ホッパー
(9)へと定量的に供給される。混合ホッパー(9)内
で混合された樹脂粉粒体は、溶融混合装置(4)に一定
速度で供給され、溶融混合に必要な所定温度(230℃
以上)に加熱された系内で、加熱溶融されつつ混練され
て移送され、所定時間経過後に吐出口(6)から一定速
度で吐出される。
【0004】この装置によると、加熱溶融混合時に、ビ
ニル系共重合体(A)もグラフト重合体(B)も温度、
時間の点から同じ熱履歴を受けるので、グラフト共重合
体(B)に過度な熱履歴が加えられてしまい、色が悪く
なる欠点がある。
【0005】これに対して、その熱履歴を低下させる方
法として、連続塊状重合によりビニル系共重合体(A)
を製造するプロセスにおいて、その重合したままの溶融
状態のビニル系共重合体(A)にグラフト共重合体を連
続的に添加して混合し、熱可塑性樹脂組成物を製造する
方法が提案されている(例えば、特開平7−29220
5号公報、特開平8−134298号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、それら公報に
開示された方法のみでは、色調と耐衝撃性とのバランス
をとることが難しく、品質が総合的に優れた樹脂組成物
を安定して製造するために、さらなる改良が切望されて
いた。
【0007】そこで、本発明は、上記した従来技術の欠
点を解消し、ビニル系共重合体(A)とグラフト重合体
(B)とからなる組成物であって、色調、及び耐衝撃性
などの機械的特性がともに優れた熱可塑性樹脂組成物を
安定して製造できる方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意検討した結果、連続塊状重合された
溶融状態のままのビニル系共重合体(A)に、グラフト
共重合体(B)を添加し溶融混合する際の条件などを特
定することが有効であることを見出し、本発明をなすに
至った。
【0009】すなわち本発明は、ビニル系単量体混合物
(a)を連続塊状重合して共重合体(A)を製造し、続
いて溶融状態の共重合体(A)にグラフト共重合体
(B)を添加し、溶融混合して熱可塑性樹脂組成物を連
続的に製造する方法において、共重合体(A)とグラフ
ト共重合体(B)が溶融混合されつつ移送される溶融混
合部分の装置内実容積をV(m3)、温度をT(℃)と
し、かつ、最終的に吐出される樹脂組成物の移動速度を
υ(kg/h)としたとき、下記の条件及びを同時
に満たす、熱可塑性樹脂組成物の製造方法、にある。 4.60×10-6≦V/υ≦11.50×10-6 (m3・h/kg)・・・ T ≧230(℃) ・・・
【0010】
【発明の実施の形態】本発明法により製造する熱可塑性
樹脂組成物は、ビニル系(共)重合体(A)とグラフト
共重合体(B)とからなる。
【0011】そのビニル系(共)重合体(A)は、1種
又は2種以上のビニル系単量体(a)を連続塊状重合し
て得られるものであり、具体的には、ポリスチレン、ス
チレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−N−フ
ェニルマレイミド共重合体、スチレン−アクリロニトリ
ル−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリ
ル酸メチル共重合体が挙げられ、なかでもスチレン−ア
クリロニトリル共重合体が特に好ましく用いられる。
【0012】また、グラフト共重合体(B)としては、
ゴム質重合体(b)の存在下に1種又は2種以上のビニ
ル系単量体(c)をグラフト重合してなる共重合体が好
ましく、好ましい具体例としては、ポリブタジエンのス
チレングラフト共重合体、ポリ(ブタジエン−スチレ
ン)のスチレングラフト共重合体、ポリブタジエンのス
チレン−アクリロニトリルグラフト共重合体、ポリ(ブ
タジエン−スチレン)のスチレン−アクリロニトリルグ
ラフト共重合体、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリ
ル)のスチレン−アクリロニトリルグラフト共重合体、
ポリブタジエンのスチレン−アクリロニトリル−メタク
リル酸メチルグラフト共重合体、ポリ(エチレン−プロ
ピレン)のスチレン−アクリロニトリルグラフト共重合
体などが挙げられる。
【0013】上記したビニル系単量体(a)やビニル系
単量体(c)としては、芳香族ビニル系単量体、シアン
化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル
系単量体、およびこれらと共重合可能なその他のビニル
系単量体が挙げられ、特に、芳香族ビニル系単量体を必
須成分とする単量体混合物が好ましく用いられる。
【0014】芳香族ビニル系単量体とは重合可能な二重
結合を有する芳香族化合物であり、具体例として、スチ
レン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニ
ルトルエン、プロピルスチレン、ブチルスチレンおよび
シクロヘキシルスチレンなどが挙げられる。これらの芳
香族ビニル系単量体は、1種で、または2種以上の混合
物で使用される。これら芳香族ビニル系単量体のうち、
スチレンおよびα−メチルスチレンが特に好ましく用い
られる。
【0015】シアン化ビニル系単量体とは、重合可能な
二重結合およびシアノ基を有する化合物であり、具体例
として、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルな
どが挙げられる。これらのシアン化ビニル系単量体は、
1種または2種以上の混合物で使用される。これらシア
ン化ビニル系単量体のうち、アクリロニトリルが特に好
ましく用いられる。
【0016】不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量
体とは、重合可能な二重結合およびカルボキシル基を有
するビニル系カルボン酸のアルキルエステル化合物であ
り、一般的にはα、βー不飽和カルボン酸アルキルエス
テルが用いられることが多い。なかでもアクリル酸アル
キルエステル系単量体、メタクリル酸アルキルエステル
系単量体などが挙げられる。エステル結合しているアル
キル基はメチル基、エチル基、ブチル基などのほか、グ
リシジル基、ヒドロキシアルキル基等の官能基を有する
ものでもよい。具体例としては、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリ
ル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ヒ
ドロキシエチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルなどが挙げ
られる。これらの不飽和カルボン酸アルキルエステル系
単量体は、1種または2種以上の混合物で使用される。
これら不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体のう
ち、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、
具体的にはメタクリル酸メチルが特に好ましく用いられ
る。
【0017】さらに用いることのできる、その他の単量
体とは、たとえばN−フェニルマレイミド、N−シクロ
ヘキシルマレイミド、メチル置換N−フェニルマレイミ
ド、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが
挙げられる。なかでもN−フェニルマレイミドが特に好
ましく用いられる。
【0018】また、グラフト共重合体(B)で用いられ
るゴム質重合体(b)としては、ジエン系ゴム、アクリ
ル系ゴム、エチレン系ゴムなどであり、具体例として
は、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、
ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリイソプレ
ン、ポリ(ブタジエン−アクリル酸ブチル)、ポリ(ブ
タジエン−アクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−メ
タクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸エ
チル)、エチレン−プロピレンラバー、エチレン−プロ
ピレンージエンラバー、ポリ(エチレン−イソブチレ
ン)、ポリ(エチレン−アクリル酸メチル)、ポリ(エ
チレン−アクリル酸メチル)などが挙げられる。これら
のゴム質重合体は、1種または2種以上の混合物で使用
される。これらのゴム質重合体のうち、ポリブタジエ
ン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン
−アクリロニトリル)、エチレン−プロピレンラバーが
特に好ましく用いられる。
【0019】前記したビニル系単量体(a)から得られ
るビニル系(共)重合体(A)(以下、ビニル系共重合
体(A)と略記する。)の還元粘度に制限はないが、好
ましくは0.10〜0.70dl/g、より好ましくは
0.15〜0.60dl/gである場合が好適である。
【0020】本発明の樹脂組成物として、透明性を有す
る樹脂組成物を製造する場合には、特に限定されるもの
ではないが、透明性の指標であるヘイズ値が0〜15%
であることが好ましく、0〜13%であることがより好
ましい。この場合、ヘイズ値の測定方法は実施例に記載
の通りである。
【0021】また、透明性を有しかつ耐衝撃性に優れた
樹脂組成物を製造する場合には、ビニル系共重合体
(A)としてスチレン−アクリロニトリル−メタクリル
酸メチル共重合体が特に好ましく、グラフト共重合体
(B)としてポリブタジエンのスチレン−アクリロニト
リル−メタクリル酸メチルグラフト共重合体が特に好ま
しい。
【0022】ビニル系共重合体(A)を製造する際の各
単量体の使用割合は、得られる樹脂組成物の機械的強
度、色調および成形性の観点から、一般的に、芳香族ビ
ニル系単量体(a1)45〜85重量%、不飽和カルボ
ン酸アルキルエステル系単量体(a2)0〜30重量
%、シアン化ビニル系単量体(a3)15〜50重量%
およびこれらと共重合可能なその他の単量体(a4)0
〜35重量%とすることが好ましく、より好ましくは芳
香族ビニル系単量体60〜85重量%、不飽和カルボン
酸アルキルエステル系単量体0〜20重量%、シアン化
ビニル系単量体15〜40重量%およびこれらと共重合
可能なその他のビニル系単量体0〜20重量%である。
【0023】ただし、透明性を有する樹脂組成物を製造
する場合には、ビニル系共重合体(A)の屈折率が実質
的にゴム質重合体(b)の屈折率と合致するようにビニ
ル系共重合体(A)の各単量体の使用割合を調整するこ
とが好ましい。具体的な範囲としてはビニル系共重合体
(A)とゴム質重合体(b)の屈折率の差を0.03以
下に抑えることが好ましい。さらに0.01以下に抑え
ることがさらに好ましい。また、グラフト共重合体
(B)を構成するグラフト成分とゴム質重合体(b)と
の屈折率の差を0.03以内、特に0. 01以内とする
ことが好ましい。
【0024】具体的には透明性を有する樹脂組成物に用
いる場合のビニル系共重合体(A)の各単量体の使用割
合は、芳香族ビニル系単量体(a1)5〜70重量%、
不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(a2)3
0〜95重量%、シアン化ビニル系単量体(a3)0〜
35重量%およびこれらと共重合可能なその他の単量体
(a4)0〜50重量%とすることが好ましく、より好
ましくは芳香族ビニル系単量体(a1)5〜55重量
%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(a
2)45〜95重量%、シアン化ビニル系単量体(a
3)0〜25重量%およびこれらと共重合可能なその他
の単量体(a4)0〜40重量%である。
【0025】このビニル系共重合体(A)は、芳香族ビ
ニル系単量体、シアン化ビニル系単量体不飽和カルボン
酸アルキルエステル系単量体、その他のビニル系単量体
などからなるビニル系単量体(a)を連続塊状重合する
ことによって製造されるがその重合方法に制限はなく、
どのような連続塊状重合法も採用可能であり、例えば、
重合槽で重合した後、脱単量体(脱揮)する方法などに
より製造される。
【0026】この連続塊状重合は、開始剤を使用せずに
熱重合すること、開始剤を用いて開始剤重合すること、
また、熱重合と開始剤重合を併用すること、のいずれで
行ってもよい。開始剤としては、過酸化物またはアゾ系
化合物などが用いられる。
【0027】過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパ
ーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミ
ルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパ
ーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t
−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
アセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−
ブチルパーオキシイソプロピルカルボネート、ジ−t−
ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオクテート、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3、3、5−ト
リメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2
−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。なかでもク
メンハイドロパーオキサイドおよび1,1−ビス(t−
ブチルパーオキシ)3、3、5−トリメチルシクロヘキ
サンが特に好ましく用いられる。
【0028】アゾ系化合物の具体例として、アゾビスイ
ソブチロニトリル、アゾビス(2,4ジメチルバレロニ
トリル)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−
メトキシバレロニトリル、2−シアノ−2−プロピルア
ゾホルムアミド、1,1′−アゾビスシクロヘキサン−
1−カーボニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4
−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2′−アゾ
ビスイソブチレート、1−t−ブチルアゾ−1−シアノ
シクロヘキサン、2−t−ブチルアゾ−2−シアノブタ
ン、2−t−ブチルアゾ−2−シアノ−4−メトキシ−
4−メチルペンタンなどが挙げられる。これらの開始剤
を使用する場合、1種または2種以上を併用して使用さ
れる。なかでも1,1′−アゾビスシクロヘキサン−1
−カーボニトリルが特に好ましく用いられる。
【0029】また、ビニル系共重合体(A)の重合度調
節を目的として、メルカプタン、テルペンなどの連鎖移
動剤を使用することも可能であり、その具体例として、
n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタ
ン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメル
カプタン、n−オクタデシルメルカプタン、テルピノレ
ンなどが挙げられる。これらの連鎖移動剤を使用する場
合、1種または2種以上を併用して使用される。なかで
も特にn−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカ
プタン、n−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられ
る。
【0030】本発明では、ビニル系共重合体(A)を連
続塊状重合法により製造するが、少量(例えば20重量
%以下)の溶媒を使用して重合する方法によって製造す
ることでもよい。
【0031】本発明で用いられるもう一方の構成成分で
あるグラフト共重合体(B)は、ゴム質重合体(b)
に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、
不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体およびこれ
らと共重合可能なその他のビニル系単量体からなる単量
体混合物を乳化グラフト重合反応せしめた共重合体であ
ることが好ましいが、通常は一部グラフトしている共重
合体と非グラフト共重合体との混合物として得られたも
のを使用すればよい。
【0032】グラフト共重合体(B)の還元粘度に制限
はないが、好ましくは0.10〜0.60dl/g、よ
り好ましくは0.15〜0.50dl/gのものが使用
される。グラフト共重合体(B)のグラフト率に制限は
ないが、好ましくは5〜150%、より好ましくは10
〜100%のものが使用される。
【0033】グラフト共重合体(B)中のゴム質重合体
(b)の割合は、得られる樹脂組成物の機械的強度、色
調および成形性の観点から、一般的に10〜80重量部
が好ましく、より好ましくは20〜70重量部である。
【0034】グラフト共重合体(B)における、ゴム質
重合体(b)以外の各単量体の使用割合は、一般的に、
芳香族ビニル系単量体(c1)50〜85重量%、不飽
和カルボン酸アルキルエステル系単量体(c2)0〜3
0重量%、シアン化ビニル系単量体(c3)15〜50
重量%およびこれらと共重合可能なその他の単量体(c
4)0〜35重量%が好ましく、さらに好ましくは芳香
族ビニル系単量体(c1)50〜80重量%、不飽和カ
ルボン酸アルキルエステル系単量体(c2)0〜20重
量%、シアン化ビニル系単量体20〜50重量%(c
3)である。
【0035】また、透明性と耐衝撃性とに優れた樹脂組
成物を製造する場合には、グラフト共重合体(B)中の
ゴム質重合体(b)の割合は、得られる樹脂組成物の機
械的強度、色調および成形性の観点から5〜80重量部
が好ましく、より好ましくは20〜70重量部である。
そして、ゴム質重合体(b)以外の各単量体の使用割合
は、芳香族ビニル系単量体(c1)5〜70重量%、不
飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(c2)30
〜95重量%、シアン化ビニル系単量体(c3)0〜3
5重量%およびこれらと共重合可能なその他の単量体
(c4)0〜50重量%が好ましく、より好ましくは、
芳香族ビニル系単量体(c1)5〜55重量%、不飽和
カルボン酸アルキルエステル系単量体(c2)50〜9
0重量%、及びシアン化ビニル系単量体(c3)0〜2
5重量%である。
【0036】このグラフト共重合体(B)の製造方法に
制限はないが、乳化重合または塊状重合で製造されるこ
とが好ましく、特に乳化重合で製造されることが好まし
い。乳化重合はゴム質重合体ラテックス(ゴム質重合体
(b))の存在化にビニル系単量体を乳化グラフト重合
させることにより行えばよい。この乳化グラフト重合に
用いられる乳化剤に特に制限はなく、各種の界面活性剤
が使用できるが、カルボン酸塩型、硫酸エステル塩型、
スルホン酸塩型などのアニオン系界面活性剤が特に好ま
しく使用される。
【0037】このような乳化剤の具体例としては、カプ
リル酸塩、カプリン酸塩、ラウリル酸塩、ミスチリン酸
塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、
リノール酸塩、リノレン酸塩、ロジン酸塩、ベヘン酸
塩、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸
エステル塩、その他高級アルコール硫酸エステル塩、ド
デシルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスル
ホン酸塩、アルキルジフェニールエーテルジスルホン酸
塩、ナフタレンスルホン酸塩縮合物、ジアルキルスルホ
コハク酸塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩などが挙げられ
る。ここでいう塩とはアルカリ金属塩、アンモニウム塩
などであり、アルカリ金属塩の具体例としてはカリウム
塩、ナトリウム塩、リチウム塩、などが挙げられる。こ
れらの乳化剤は、1種または2種以上を併用して使用さ
れる。
【0038】また、これら乳化グラフト重合で使用可能
な開始剤および連鎖移動剤としては、ビニル系共重合体
(A)の製造時に用いられる開始剤および連鎖移動剤
(後述)と同様の物が挙げられ、開始剤はレドックス系
でも使用される。
【0039】乳化グラフト重合で製造されたグラフト共
重合体(B)のラテックスは、次に凝固剤を添加し、凝
固してグラフト共重合体(B)を回収する。凝固剤とし
ては酸または水溶性塩が用いられ、その具体例として、
硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、塩化カルシウム、塩化マグ
ネシウム、塩化バリウム、塩化アルミニウム、硫酸マグ
ネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモ
ニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム
ナトリウムなどが挙げられる。これらの凝固剤は1種ま
たは2種以上の混合物で使用される。
【0040】本発明で製造する熱可塑性樹脂組成物は、
ビニル系共重合体(A)とグラフト共重合体(B)との
混合組成が、ビニル系共重合体(A)10〜95重量
部、グラフト共重合体(B)90〜5重量部であること
が好ましい。
【0041】この熱可塑性樹脂組成物を連続的に製造す
るため、本発明法は、ビニル系単量体混合物(a)を連
続塊状重合してビニル系共重合体(A)を製造し、続い
て溶融状態の共重合体(A)にグラフト共重合体(B)
を添加し、溶融混合する工程からなる。
【0042】この製造方法は、例えば図1、図2に示す
製造装置により実施される。
【0043】図1は本発明法を実施するための装置の一
実施態様を示す装置縦断面概略図であり、順に、ビニル
系単量体(a)を連続塊状重合してビニル系共重合体
(A)を製造する反応槽(1)、重合して得られたビニ
ル系共重合体(A)を所定温度の溶融状態に保つための
予熱機(2)、及び、脱モノマーのためのベント口を有
する二軸押出機型脱モノマー機(3)と二軸混練押出機
(4)とが連結された二軸押出機が配され、さらに、脱
モノマー機と二軸混練押出機の間に、グラフト共重合体
(B)添加用の二軸押出機型フィーダー(5)が接続さ
れている。図2は、二軸混練押出機(4)における装置
横断面概略図であり、その内部には、スクリュー(4
2、42′)が配置されている。
【0044】連続塊状重合用の反応槽(1)としては、
図1に示すようなヘリカルリボン翼(11)を有する完
全混合タイプの反応槽が好ましいが、他に、各種の撹拌
翼、たとえばパドル翼、タービン翼、プロペラ翼、ブル
マージン翼、多段翼、アンカー翼、マックスブレンド
翼、ダブルヘリカル翼、などを有する混合タイプの重合
槽、または各種の塔式の反応器などが使用できる。さら
にまた、多管反応器、ニーダー式反応器、二軸押出機な
どを重合反応器として使用することもできる(高分子製
造プロセスのアセスメント10「耐衝撃性ポリスチレン
のアセスメント」:高分子学会、1989年1月26日
発行、など)。これら重合槽類(反応器)は1基(槽)
の使用の他に、必要に応じて、2基(槽)以上の使用で
も、また、2種類以上の反応器の組合わせ使用でもよ
い。
【0045】これらの反応槽(1)や反応器で重合して
得られた反応生成物には、通常、ビニル系共重合体
(A)の他に、単量体その他の揮発成分が含まれている
ので、それら揮発成分を除去する必要がある。この揮発
成分除去は、ベント口を有する一軸または二軸の押出機
で加熱下常圧または減圧でベント口より揮発成分を除去
する方法をとることが好ましい。他に、押出し装置へ供
給する前に遠心型などのプレートフィン型加熱器をドラ
ムに内臓する蒸発器で揮発成分を除去する方法、遠心型
などの薄膜蒸発器で揮発成分を除去する方法、多管式熱
交換器を用いて余熱、発泡して真空槽へフラッシュして
揮発成分を除去する方法、などの方法をとることもでき
る。
【0046】図1においては、反応槽(1)から連続的
に供給される反応生成物は、予熱機(2)で150〜2
80℃程度の溶融状態に保持され、次いで、二軸押出機
型脱モノマー機(3)に供給され、150〜280℃程
度、常圧または減圧下で、ベント口(31)から単量体
などの揮発成分が系外に除去される。この揮発成分の除
去は、未反応単量体量が所定量、例えば10重量%以
下、より好ましくは5重量%以下になるまで行なわれ
る。
【0047】図1においては、脱モノマー機(3)の後
に、フィーダー(5)からの添加口が開口していて、所
定温度(100〜220℃程度)のグラフト共重合体
(B)が系内に添加される。このフィーダー(5)とし
ては、図1に示す二軸押出機型フィーダーをはじめ、各
種のフィーダー類、例えばベルト式フィーダー、スクリ
ュー式フィーダーが使用でき、樹脂が定量的に連続して
添加される。また、このフィーダー(5)には加熱装置
が配設されていて、添加されるグラフト共重合体(B)
を半溶融もしくは溶融状態の所定温度に加熱しておくこ
とが、混合状態を良くするために好ましい。例えば、ス
クリュー、シリンダー、スクリュー駆動部からなり、シ
リンダーは加熱・冷却機能を有する装置構造をとること
が好ましい。また、このフィーダーとして、加熱装置を
有する一軸又は二軸の押出機型のフィーダーを使用する
ことができる。
【0048】このグラフト共重合体(B)の供給口は、
脱モノマ部分(3)の途中に設けることもできるが、こ
の場合でも、その供給口は、未反応単量体量が10重量
%以下、より好ましくは5重量%以下まで低減した段階
で行うことが、その後の未反応単量体を除去する操作中
におけるゴム成分の熱劣化を防止し、得られる樹脂組成
物の色調や耐衝撃性をさらに向上させるために好まし
い。
【0049】図1においては、二軸混練押出機(4)
で、ビニル系共重合体(A)とグラフト共重合体(B)
が230℃以上の温度で溶融混合されつつ移送され、そ
のバレル内の内壁(43)の形状は図2に示すように、
2つの円が一部重なって連結した形状となっている。そ
れぞれの円の中央を軸心として回転するスクリュー(4
2、42′)が、内部に配設されていて、2つのスクリ
ュー(42、42′)は所定の位相差をもって同速度で
回転しているので、このスクリューの回転により、樹脂
組成物は混合されつつ吐出口(6)へと移送される。
【0050】本発明においては、ビニル系共重合体
(A)とグラフト共重合体(B)が溶融混合されつつ移
送される溶融混合部分(41)の装置内実容積V、移動
速度υ、及び温度Tを所定条件(下記の条件及び)
とすることが重要である。ここで、溶融混合部分(4
1)は、二軸押出機型フィーダー(5)からの添加口が
開口している位置(その中央)から吐出孔(6)までの
部分である。
【0051】溶融混合部分(41)の装置内実容積(V
3)は、溶融混合部分(4)におけるバレル内の容積
から、その溶融混合部分(4)内に存在するスクリュー
体積を、減じた値である。また、移動速度(υ kg/
h)は、この溶融混合部分(4)から系外へ吐出される
樹脂組成物の吐出速度である。さらにまた、温度(T
℃)は、溶融混合部分(4)内部の設定温度である。
【0052】 4.60×10-6≦V/υ≦11.50×10-6 (m3・h/kg)・・・ T ≧230(℃) ・・・ さらに好ましくは、 6.15×10-6≦V/υ≦9.40×10-6 (m3・h/kg) ・・・′ にすることが良い。
【0053】V/υの値が上記条件の下限値未満で
は、グラフト共重合体(B)とビニル系共重合体(A)
の混合状態が悪く耐衝撃性を悪化させる。逆に、上記条
件の上限値を超えると得られる熱可塑性樹脂の色調を
悪化させる問題が生じる。
【0054】また、溶融混合部分(4)の温度(T℃)
は、230℃以上が必要であり、好ましくは、235〜
250℃がよい。この溶融混合部分(4)に添加される
前のグラフト共重合体(B)の樹脂温度は100〜22
0℃が好ましく、特に、溶融または半溶融状態で220
℃以下が好ましい。この溶融混合部分(4)に至る前で
のビニル系共重合体(A)の温度は特に限定されない
が、150℃〜280℃程度が好ましい。
【0055】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するため、以下
に実施例および比較例を挙げて説明するが、これら実施
例は本発明を何ら制限するものではない。なお、ここで
特に断りのない限り「%」は重量%、「部」は重量部を
示す。ゴム強化スチレン系樹脂組成物の樹脂特性の分析
方法を下記する。耐衝撃性、引張強度、色調等の一般的
な樹脂特性については、下記試験法に準拠し、射出成形
によるテストピースを製造し測定した。
【0056】(1)還元粘度 メチルエチルケトン(以下、MEKという)可溶分を3
0℃で測定した値であり以下の式で求める。 比粘度=(ビニル系共重合体MEK溶液の規定範囲落下
時間/MEK溶媒の規定範囲落下時間)−1 還元粘度(dl/g)=比粘度/ビニル系重合体MEK
溶液の濃度 (2)グラフト率 グラフト共重合体の非グラフト成分をアセトンで溶解
し、グラフト成分(c)とゴム質重合体(b)とを不溶
物として単離し、秤量し、以下の式で求める。 グラフト率(%)=[(不溶物重量−ゴム質重合体
(b)重量)/ゴム質重合体(b)重量]×100 (3)共重合体(A)およびゴム質重合体(b)の屈折
率 測定するサンプルに1−ブロモナフタレンを少量滴下
し、アッベ屈折計を用いて以下の条件で屈折率を測定し
た。 光源 :ナトリウムランプD線 測定温度:20℃ (4)グラフト成分(c)の屈折率 上記(3)と同様の屈折率測定方法で、前記(2)の方
法で単離した不溶物の屈折率を測定した。
【0057】(5)色調(YI値) JIS K7103に準拠して測定した。 (6)透明性(ヘイズ値) 80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥した樹脂組成物のペレ
ットを、シリンダー温度250℃に設定した東芝(株)
製IS50A成形機内に充填し、即時に成形した角板成
形品(厚さ3mm)のヘイズ値[%]を東洋精機(株)
製直読ヘイズメーターを使用して測定した。 (7)アイゾット衝撃強度 ASTM D256(23℃,Vノッチ付き)に準拠し
て測定した。 (8)引張強度 ASTM 638に準拠して測定した。 (9)溶融混合部分の装置内実容積、V(m3) 溶融混合装置における溶融混合部分は、図1に示す装置
の場合は、二軸押出機型フィーダー(5)からの添加口
の中央から吐出孔(6)までの部分である。また、図3
に示す装置の場合は、溶融混合装置(4)全体が溶融混
合部分に相当する。これら溶融混合部分におけるバレル
内の容積を求め、この容積から、その溶融混合部分内の
スクリュー体積を引くことにより、装置内実容積[V
(m3)]を求めた。 (10)最終的に吐出される樹脂組成物の移動速度、υ
(kg/h) 一定時間内に吐出されるポリマーを乾燥させて重さを測
定し、重さ/時間からポリマ移動速度υ(kg/h)を
求めた。
【0058】[参考例1](グラフト共重合体(B−
1)の製造法) ポリブタジエンラテックス(ゴム粒子系0.3μm、ゲ
ル含率85%)50部(固形分換算)、純水200部、
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4
部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、硫酸
第一鉄(0.01部)およびリン酸ナトリウム0.1部
を反応容器に仕込み、窒素置換後65℃に温調し、撹拌
下、スチレン35部、アクリロニトリル15部およびn
−ドデシルメルカプタン0.3部の混合物を4時間かけ
て連続滴下した。同時に並行してクメンハイドロパーオ
キサイド0.25部、乳化剤であるラウリン酸ナトリウ
ム2.5部および純水25部の混合物を5時間かけて連
続滴下し、滴下終了後さらに1時間保持して重合を終了
させた。
【0059】重合を終了して得られたラテックスを1.
5%硫酸で凝固し、次いで水酸化ナトリウムで中和、洗
浄、遠心分離、乾燥して、パウダー状のグラフト共重合
体(B−1)を調整した。
【0060】[参考例2〜6](グラフト共重合体(B
−2〜B−6)の製造法) 参考例1と同様にして、表1、2に示したゴム質重合体
(b)の存在下にスチレンおよび他のビニル系単量体と
の混合物を重合して表1、2に示した組成を有するグラ
フト共重合体(B−2〜B−6)を製造した。なお表
1、2中のPBDとは参考例1で使用したのと同じポリ
ブタジエンゴムを表す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】[実施例1]図1のように、ヘリカルリボ
ン翼を有する完全混合タイプの反応槽(1)、予熱機
(2)、二軸押出機型脱モノマー機(3)、及び、二軸
混練押出機(4)が順に配列され、この二軸混練押出機
(4)の先端の吐出孔から川上側に約0.7mの位置の
バレル部に、加熱装置を有する二軸押出機型フィーダー
(5)が開口している、連続式塊状重合、脱モノマー、
及び溶融混合を行う装置を用いた。この反応槽(1)
で、スチレン70部、アクリロニトリル30部およびn
−オクチルメルカプタン0.15部からなる単量体混合
物を135kg/hで連続的に供給し連続塊状重合させ
た。反応槽から出た反応生成物における重合率は75〜
76%であった。得られた重合反応生成物は、二軸押出
機型脱モノマー機(3)により未反応単量体などの揮発
成分をベント口より減圧蒸発回収し、見掛け上の重合率
を99%以上まで上昇させ、スチレン/アクリロニトリ
ル共重合体とした。
【0064】このスチレン/アクリロニトリル共重合体
に、二軸押出機型フィーダー(5)より、フェノール系
の安定剤であるt−ブチルヒドロキシトルエン0.15
kg/hおよびリン系の安定剤であるトリ(ノニルフェ
ニル)ホスファイト0.15kg/hと共に、参考例1
で製造したグラフト共重合体(B−1)を66kg/h
で連続供給し、樹脂温度240℃で所定時間溶融混練
し、連続的にストランド状に吐出させカッターによりス
チレン系樹脂組成物ペレットを得た。この溶融混合時に
おけるV、υの値は表3のとおりであった。また、得ら
れたスチレン系樹脂組成物の特性を表3に示したとお
り、色調、衝撃強度、引張強度ともに優れたものであっ
た。
【0065】[実施例2〜8]塊状重合に供給したビニ
ル系単量体混合物の組成、添加したグラフト共重合体の
種類、混合組成、及び、混合条件を、表3、表4に示す
とおりに変更した以外は実施例1と同様の装置、条件
で、連続式塊状重合、脱モノマー、及び溶融混合を行っ
た。なお、実施例5において連続塊状重合への単量体混
合物の供給量は150kg/hとした。モノマ供給量は得
られたスチレン系樹脂組成物の特性を表3、表4に示し
たとおり、色調、衝撃強度、引張強度ともに優れたもの
であった。
【0066】[比較例1]ヘリカルリボン翼を有する完
全混合タイプの反応槽(第1重合槽)と多段式多孔板と
かき取り翼を有する栓流タイプの反応槽(第2重合槽)
と予熱機、脱モノマ機からなる連続式塊状重合装置を用
い、スチレン70部、アクリロニトリル30部およびn
−オクチルメルカプタン0.15部からなる単量体混合
物を135kg/hで連続的に供給し連続塊状重合させ
た。第1重合槽出における重合率は58〜61%、第2
重合槽出における重合率は90〜91%であった。得ら
れた重合反応生成物を、二軸押出機型脱モノマ機により
未反応モノマをベント口より減圧蒸留回収して、見かけ
の重合率を99%以上にしてストランド状に吐出してカ
ッターによりペレット化した。
【0067】得られたスチレン/アクリロニトリル共重
合体を63.3kg/hで供給し、このスチレン/アク
リロニトリル共重合体と参考例1で製造したグラフト共
重合体(B−1)を67/33の割合で図3の混合ホッ
パーでドライブレンドした後、表3に示した溶融混合条
件で溶融混合し、押出してペレタイズしてスチレン系樹
脂組成物ペレットを得た。得られたスチレン系樹脂組成
物の特性を表3に示した。
【0068】[比較例2]二軸押出機型フィーダー
(5)の開口位置を、二軸混練押出機(4)の吐出孔側
先端から川上側に約1.4mの位置のバレル部に変更し
た以外は、実施例1と同様にして、図1に示す構造の装
置で連続式塊状重合、脱モノマー、及び溶融混合を行っ
た。得られたスチレン系樹脂組成物の特性を表3に示し
た。
【0069】[比較例3]二軸押出機型フィーダー
(5)の開口位置を、二軸混練押出機(4)の吐出孔側
先端から川上側に約0.35mの位置のバレル部に変更
した以外は、実施例1と同様にして、図1に示す構造の
装置で連続式塊状重合、脱モノマー、及び溶融混合を行
った。得られたスチレン系樹脂組成物の特性を表3に示
した。
【0070】[比較例4]塊状重合に供給したビニル系
単量体混合物の組成、添加したグラフト共重合体の種
類、混合組成、及び、混合条件を、表4に示すとおりに
変更し、ビニル系共重合体の供給量を70kg/hと変
更した以外は比較例1と同様の装置、条件で、連続式塊
状重合、脱モノマー、及び溶融混合を行った。得られた
スチレン系樹脂組成物の特性を表4に示した。
【0071】[比較例5]塊状重合に供給したビニル系
単量体混合物の組成、添加したグラフト共重合体の種
類、混合組成、及び、混合条件を、表4に示すとおりに
変更した以外は比較例2と同様の装置、条件で、連続式
塊状重合、脱モノマー、及び溶融混合を行った。得られ
たスチレン系樹脂組成物の特性を表4に示した。
【0072】[比較例6]塊状重合に供給したビニル系
単量体混合物の組成、添加したグラフト共重合体の種
類、混合組成、及び、混合条件を、表4に示すとおりに
変更した以外は比較例3と同様の装置、条件で、連続式
塊状重合、脱モノマー、及び溶融混合を行った。得られ
たスチレン系樹脂組成物の特性を表4に示した。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】 表3、表4からわかるとおり、本発明法により製造した
スチレン系樹脂組成物は色調、耐衝撃性、引張強度とも
に優れたものであったが、本発明外の条件で実施した比
較例の場合は、それら特性をともに満足させることはで
きなかった。
【0075】
【発明の効果】本発明法によると、ビニル系共重合体
(A)とグラフト重合体(B)とからなる組成物であっ
て、色調、及び耐衝撃性などの機械的特性、外観などが
ともに優れた熱可塑性樹脂組成物が安定して製造でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明法を実施するための装置の一実施態様
を示す装置縦断面概略図である。
【図2】 図1に示す装置の二軸混練押出機における装
置横断面概略図である。
【図3】 従来の溶融二軸混合装置の一例を示す装置縦
断面概略図である。
【符号の説明】
1:反応槽 11:ヘリカルリボン翼 2:予熱機 3:脱モノマー機 31: ベント口 4:二軸混練押出機 41:溶融混合部分 42、42′:スクリュー 43:バレル内の内壁 44:装置内実容積の空間 5:フィーダー 6:吐出口 7、8:供給ホッパー 9:混合ホッパー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA08 AA18 AA30 AA32 AA34 AB08 AB09 AB11 FA03 FB06 FC04 FC05 4J002 BC03W BC06W BC07W BH01W BN14X BN15X BN16X

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニル系単量体(a)を連続塊状重合し
    てビニル系(共)重合体(A)を製造し、続いて溶融状
    態のビニル系(共)重合体(A)にグラフト共重合体
    (B)を添加し、溶融混合して熱可塑性樹脂組成物を連
    続的に製造する方法において、ビニル系(共)重合体
    (A)とグラフト共重合体(B)が溶融混合されつつ移
    送される溶融混合部分の装置内実容積をV(m3)、温
    度をT(℃)とし、かつ、最終的に吐出される樹脂組成
    物の移動速度をυ(kg/h)としたとき、下記の条件
    及びを同時に満たすことを特徴とする熱可塑性樹脂
    組成物の製造方法。 4.60×10-6≦V/υ≦11.50×10-6 (m3・h/kg)・・・ T ≧230(℃) ・・・
  2. 【請求項2】 溶融混合装置部分に供給される時のグラ
    フト共重合体(B)の温度が100〜220℃である請
    求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 溶融混合装置部分に供給される時のグラ
    フト共重合体(B)が半溶融もしくは溶融状態である請
    求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 グラフト共重合体(B)がゴム質重合体
    (b)の存在下にビニル系単量体(c)をグラフト重合
    してなる共重合体であり、溶融混合して得られる熱可塑
    性樹脂組成物はビニル系(共)重合体(A)10〜95
    重量部とグラフト共重合体(B)90〜5重量部の組成
    からなり、かつ、ビニル系単量体(a)を連続塊状重合
    して得られた溶融状態のビニル系(共)重合体(A)に
    対し、グラフト共重合体(B)を添加し溶融混合する請
    求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 グラフト共重合体(B)が添加される時
    のビニル系(共)重合体(A)の未反応単量体量が10
    重量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の熱可
    塑性樹脂組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 ビニル系単量体(a)を連続塊状重合さ
    せ続いて脱モノマーを行うビニル系(共)重合体(A)
    の製造工程において、脱モノマー工程途中もしくは脱モ
    ノマー工程の後のビニル系(共)重合体(A)に対し、
    グラフト共重合体(B)を添加し溶融混合する請求項1
    〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 ビニル系(共)重合体(A)が、芳香族
    ビニル系単量体(a1)45〜85重量%、不飽和カル
    ボン酸アルキルエステル系単量体(a2)0〜30重量
    %、シアン化ビニル系単量体(a3)15〜50重量%
    およびこれらと共重合可能な他の単量体(a4)0〜3
    5重量%からなるビニル系単量体混合物(a′)を連続
    塊状重合してなるビニル系共重合体(A′)であり、か
    つ、グラフト共重合体(B)が、ゴム質重合体(b)の
    存在下に、芳香族ビニル系単量体(c1)45〜85重
    量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(c
    2)0〜30重量%、シアン化ビニル系単量体(c3)
    15〜50重量%およびこれらと共重合可能な他の単量
    体(c4)0〜35重量%からなるビニル系単量体混合
    物(c′)をグラフト重合してなるグラフト共重合体
    (B′)である請求項4〜6のいずれかに記載の熱可塑
    性樹脂組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 ビニル系(共)重合体(A)が、芳香族
    ビニル系単量体(a1)5〜70重量%、不飽和カルボ
    ン酸アルキルエステル系単量体(a2)30〜95重量
    %、シアン化ビニル系単量体(a3)0〜35重量%お
    よびこれらと共重合可能な他の単量体(a4)0〜50
    重量%からなるビニル系単量体混合物(a″)を連続塊
    状重合してなるビニル系共重合体(A″)であり、か
    つ、グラフト共重合体(B)が、ゴム質重合体(b)の
    存在下に、芳香族ビニル系単量体(c1)5〜70重量
    %、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(c
    2)30〜95重量%、シアン化ビニル系単量体(c
    3)0〜35重量%およびこれらと共重合可能な他の単
    量体(c4)0〜50重量%からなるビニル系単量体混
    合物(c″)をグラフト重合してなるグラフト共重合体
    (B″)である請求項4〜6のいずれかに記載の熱可塑
    性樹脂組成物の製造方法。
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WO2018220961A1 (ja) * 2017-06-01 2018-12-06 東レ株式会社 熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物の製造方法、成形品及び成形品の製造方法
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JP2022517928A (ja) * 2019-10-23 2022-03-11 エルジー・ケム・リミテッド 熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを含む成形品

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