JP2002008207A - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法

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JP2002008207A
JP2002008207A JP2000186296A JP2000186296A JP2002008207A JP 2002008207 A JP2002008207 A JP 2002008207A JP 2000186296 A JP2000186296 A JP 2000186296A JP 2000186296 A JP2000186296 A JP 2000186296A JP 2002008207 A JP2002008207 A JP 2002008207A
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JP2000186296A
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English (en)
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Yoshitaka Sasaki
芳高 佐々木
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TDK Corp
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘導型電磁変換素子の磁極部分を精度よく形
成すると共に、記録すべき領域以外の領域へのデータの
書き込みを防止する。 【解決手段】 記録ヘッドは、下部磁極層10および上
部磁極層18と、磁極層10,18の各磁極部分の間に
設けられた記録ギャップ層17と、少なくとも一部が磁
極層10,18の間に、2つの磁極層10,18に対し
て絶縁された状態で配設された薄膜コイル13とを有し
ている。下部磁極層10は、磁極部分層10aとヨーク
部分層10bとを有している。ヨーク部分層10bのエ
アベアリング面30側の端部はエアベアリング面30か
ら離れた位置に配置されている。薄膜コイル13は、磁
極部分層10aの側方に配置されている。上部磁極層1
8は1つの層で構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも誘導型
電磁変換素子を有する薄膜磁気ヘッドおよびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ハードディスク装置の面記録密度
の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められ
ている。薄膜磁気ヘッドとしては、書き込み用の誘導型
電磁変換素子を有する記録ヘッドと読み出し用の磁気抵
抗(以下、MR(Magneto-resistive)とも記す。)素
子を有する再生ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁
気ヘッドが広く用いられている。
【0003】ところで、記録ヘッドの性能のうち、記録
密度を高めるには、磁気記録媒体におけるトラック密度
を上げる必要がある。このためには、記録ギャップ層を
挟んでその上下に形成された下部磁極および上部磁極の
エアベアリング面での幅を数ミクロンからサブミクロン
寸法まで狭くした狭トラック構造の記録ヘッドを実現す
る必要があり、これを達成するために半導体加工技術が
利用されている。
【0004】ここで、図9ないし図12を参照して、従
来の薄膜磁気ヘッドの製造方法の一例として、複合型薄
膜磁気ヘッドの製造方法の一例について説明する。な
お、図9ないし図12において、(a)はエアベアリン
グ面に垂直な断面を示し、(b)は磁極部分のエアベア
リング面に平行な断面を示している。
【0005】この製造方法では、まず、図9に示したよ
うに、例えばアルティック(Al23・TiC)よりな
る基板101の上に、例えばアルミナ(Al23)より
なる絶縁層102を、約5〜10μm程度の厚みで堆積
する。次に、絶縁層102の上に、磁性材料よりなる再
生ヘッド用の下部シールド層103を形成する。
【0006】次に、下部シールド層103の上に、例え
ばアルミナを100〜200nmの厚みにスパッタ堆積
し、絶縁層としての下部シールドギャップ膜104を形
成する。次に、下部シールドギャップ膜104の上に、
再生用のMR素子105を、数十nmの厚みに形成す
る。次に、下部シールドギャップ膜104の上に、MR
素子105に電気的に接続される一対の電極層106を
形成する。
【0007】次に、下部シールドギャップ膜104およ
びMR素子105の上に、絶縁層としての上部シールド
ギャップ膜107を形成し、MR素子105をシールド
ギャップ膜104,107内に埋設する。
【0008】次に、上部シールドギャップ膜107の上
に、磁性材料からなり、再生ヘッドと記録ヘッドの双方
に用いられる上部シールド層兼下部磁極層(以下、下部
磁極層と記す。)108を、約3μmの厚みに形成す
る。
【0009】次に、図10に示したように、下部磁極層
108の上に、絶縁膜、例えばアルミナ膜よりなる記録
ギャップ層109を0.2μmの厚みに形成する。次
に、磁路形成のために、記録ギャップ層109を部分的
にエッチングして、コンタクトホール109aを形成す
る。次に、磁極部分における記録ギャップ層109の上
に、記録ヘッド用の磁性材料よりなる上部磁極チップ1
10を、0.5〜1.0μmの厚みに形成する。このと
き同時に、磁路形成のためのコンタクトホール109a
の上に、磁路形成のための磁性材料からなる磁性層11
9を形成する。
【0010】次に、図11に示したように、上部磁極チ
ップ110をマスクとして、イオンミリングによって、
記録ギャップ層109と下部磁極層108をエッチング
する。図11(b)に示したように、上部磁極部分(上
部磁極チップ110)、記録ギャップ層109および下
部磁極層108の一部の各側壁が垂直に自己整合的に形
成された構造は、トリム(Trim)構造と呼ばれる。
【0011】次に、全面に、例えばアルミナ膜よりなる
絶縁層111を、約3μmの厚みに形成する。次に、こ
の絶縁層111を、上部磁極チップ110および磁性層
119の表面に至るまで研磨して平坦化する。
【0012】次に、平坦化された絶縁層111の上に、
例えば銅(Cu)よりなる誘導型の記録ヘッド用の第1
層目の薄膜コイル112を形成する。次に、絶縁層11
1およびコイル112の上に、フォトレジスト層113
を、所定のパターンに形成する。次に、フォトレジスト
層113の表面を平坦にするために所定の温度で熱処理
する。次に、フォトレジスト層113の上に、第2層目
の薄膜コイル114を形成する。次に、フォトレジスト
層113およびコイル114上に、フォトレジスト層1
15を、所定のパターンに形成する。次に、フォトレジ
スト層115の表面を平坦にするために所定の温度で熱
処理する。
【0013】次に、図12に示したように、上部磁極チ
ップ110、フォトレジスト層113,115および磁
性層119の上に、記録ヘッド用の磁性材料、例えばパ
ーマロイよりなる上部磁極層116を形成する。次に、
上部磁極層116の上に、例えばアルミナよりなるオー
バーコート層117を形成する。最後に、上記各層を含
むスライダの機械加工を行って、記録ヘッドおよび再生
ヘッドを含む薄膜磁気ヘッドのエアベアリング面118
を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0014】図13は、図12に示した薄膜磁気ヘッド
の平面図である。なお、この図では、オーバーコート層
117や、その他の絶縁層および絶縁膜を省略してい
る。
【0015】図12(a)において、THは、スロート
ハイトを表し、MR−Hは、MRハイトを表している。
なお、スロートハイトとは、2つの磁極層が記録ギャッ
プ層を介して対向する部分の、エアベアリング面側の端
部から反対側の端部までの長さ(高さ)をいう。また、
MRハイトとは、MR素子のエアベアリング面側の端部
から反対側の端部までの長さ(高さ)をいう。また、図
12(b)において、P2Wは、磁極幅すなわち記録ト
ラック幅を表している。薄膜磁気ヘッドの性能を決定す
る要因として、スロートハイトやMRハイト等の他に、
図12(a)においてθで示したようなエイペックスア
ングル(Apex Angle)がある。このエイペックスアン
グルは、フォトレジスト層113,115で覆われて山
状に盛り上がったコイル部分(以下、エイペックス部と
言う。)における磁極側の側面の角部を結ぶ直線と絶縁
層111の上面とのなす角度をいう。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】薄膜磁気ヘッドの性能
を向上させるには、図12に示したようなスロートハイ
トTH、MRハイトMR−H、エイペックスアングルθ
および記録トラック幅P2Wを正確に形成することが重
要である。
【0017】特に、近年は、高面密度記録を可能とする
ため、すなわち狭トラック構造の記録ヘッドを形成する
ために、トラック幅P2Wには1.0μm以下のサブミ
クロン寸法が要求されている。そのために半導体加工技
術を利用して上部磁極をサブミクロン寸法に加工する技
術が必要となる。
【0018】ここで、問題となるのは、エイペックス部
の上に形成される上部磁極層を微細に形成することが困
難なことである。
【0019】ところで、上部磁極層を形成する方法とし
ては、例えば、特開平7−262519号公報に示され
るように、フレームめっき法が用いられる。フレームめ
っき法を用いて上部磁極層を形成する場合は、まず、エ
イペックス部の上に全体的に、例えばパーマロイよりな
る薄い電極膜を、例えばスパッタリングによって形成す
る。次に、その上にフォトレジストを塗布し、フォトリ
ソグラフィ工程によりパターニングして、めっきのため
のフレーム(外枠)を形成する。そして、先に形成した
電極膜をシード層として、めっき法によって上部磁極層
を形成する。
【0020】ところが、エイペックス部と他の部分とで
は、例えば7〜10μm以上の高低差がある。このエイ
ペックス部上に、フォトレジストを3〜4μmの厚みで
塗布する。エイペックス部上のフォトレジストの膜厚が
最低3μm以上必要であるとすると、流動性のあるフォ
トレジストは低い方に集まることから、エイペックス部
の下方では、例えば8〜10μm以上の厚みのフォトレ
ジスト膜が形成される。
【0021】上述のようにサブミクロン寸法の記録トラ
ック幅を実現するには、フォトレジスト膜によってサブ
ミクロン寸法の幅のフレームパターンを形成する必要が
ある。従って、エイペックス部上で、8〜10μm以上
の厚みのあるフォトレジスト膜によって、サブミクロン
寸法の微細なパターンを形成しなければならない。とこ
ろが、このような厚い膜厚のフォトレジストパターンを
狭パターン幅で形成することは製造工程上極めて困難で
あった。
【0022】しかも、フォトリソグラフィの露光時に、
露光用の光が、シード層としての下地電極膜で反射し、
この反射光によってもフォトレジストが感光して、フォ
トレジストパターンのくずれ等が生じ、シャープかつ正
確なフォトレジストパターンが得られなくなる。
【0023】このように、従来は、磁極幅がサブミクロ
ン寸法になると、上部磁性層を精度よく形成することが
困難になるという問題点があった。
【0024】このようなことから、上述の従来例の図1
0ないし図12の工程でも示したように、記録ヘッドの
狭トラックの形成に有効な上部磁極チップ110によっ
て、1.0μm以下のトラック幅を形成した後、この上
部磁極チップ110と接続されるヨーク部分となる上部
磁極層116を形成する方法も採用されている(特開昭
62−245509号公報、特開昭60−10409号
公報参照)。このように、通常の上部磁極層を、上部磁
極チップ110とヨーク部分となる上部磁極層116と
に分割することにより、記録トラック幅を決定する上部
磁極チップ110を、記録ギャップ層109の上の平坦
な面の上に、ある程度微細に形成することが可能にな
る。
【0025】また、特開平6−314413号公報に
は、上部磁極層と下部磁極層の双方を、磁極部分を含む
層とヨーク部分となる層の2つの層で構成した薄膜磁気
ヘッドが開示されている。
【0026】しかしながら、図12に示した薄膜磁気ヘ
ッドにおいても、特開平6−314413号公報に開示
された薄膜磁気ヘッドにおいても、ヨーク部分となる層
の先端面はエアベアリング面に露出している。そのた
め、このような薄膜磁気ヘッドでは、磁極部分を含む層
のみならず、ヨーク部分となる層側でも書き込みが行わ
れ、記録媒体に対して、本来、記録すべき領域以外の領
域にもデータを書き込んでしまう、いわゆるサイドライ
トが発生するという問題点があった。
【0027】また、特開平6−314413号公報に開
示された薄膜磁気ヘッドでは、磁極部分において、上部
磁極層の2つの層と下部磁極層の2つの層の合計4つの
層の幅が等しく形成されている。このように磁極部分に
おいて幅が等しくなるように4つの層を形成する方法と
しては、各層の形成時において各層の磁極部分の形状が
決まるように各層を形成する方法や、4つの層を形成し
た後に、磁極部分における4つの層の幅が等しくなるよ
うに4つの層を一括してエッチングする方法が考えられ
る。
【0028】しかしながら、各層の形成時において各層
の磁極部分の形状が決まるように各層を形成する方法で
は、特に記録トラック幅を小さくしていった場合には、
各層の磁極部分の形状を精度よく決定し、且つ各層の磁
極部分の位置合わせを精度よく行うことが難しいという
問題点がある。
【0029】また、4つの層を一括してエッチングする
方法では、エッチングに多くの時間を要すると共に、4
つの層の磁極部分の形状を精度よく決定することが難し
いという問題点がある。
【0030】また、従来の薄膜磁気ヘッドでは、磁路長
(Yoke Length)を短くすることが困難であるという問
題点があった。すなわち、コイルピッチが小さいほど、
磁路長の短いヘッドを実現することができ、特に高周波
特性に優れた記録ヘッドを形成することができるが、コ
イルピッチを限りなく小さくしていった場合、スロート
ハイトゼロ位置(スロートハイトを決定する絶縁層のエ
アベアリング面側の端部の位置)からコイルの外周端ま
での距離が、磁路長を短くすることを妨げる大きな要因
となっていた。磁路長は、1層のコイルよりは2層のコ
イルの方が短くできることから、多くの高周波用の記録
ヘッドでは2層コイルを採用している。しかしながら、
従来の磁気ヘッドでは、1層目のコイルを形成した後、
コイル間の絶縁膜を形成するために、フォトレジスト膜
を約2μmの厚みで形成している。そのため、1層目の
コイルの外周端には丸みを帯びた小さなエイペックス部
が形成される。次に、その上に2層目のコイルを形成す
るが、その際に、エイペックス部の傾斜部では、コイル
のシード層のエッチングができず、コイルがショートす
るため、2層目のコイルは平坦部に形成する必要があ
る。
【0031】従って、例えば、コイルの厚みを2〜3μ
mとし、コイル間絶縁膜の厚みを2μmとし、エイペッ
クスアングルを45°〜55°とすると、磁路長として
は、コイルに対応する部分の長さに加え、コイルの外周
端からスロートハイトゼロ位置の近傍までの距離である
3〜4μmの距離の2倍(上部磁極層と下部磁極層との
コンタクト部からコイル内周端までの距離も3〜4μm
必要。)の6〜8μmが必要である。このコイルに対応
する部分以外の長さが、磁路長の縮小を妨げる要因とな
っていた。
【0032】ここで、例えば、コイルの線幅が1.2μ
m、スペースが0.8μmの11巻コイルを2層で形成
する場合を考える。この場合、図12に示したように、
1層目を6巻、2層目を5巻とすると、磁路長のうち、
1層目のコイル112に対応する部分の長さは11.2
μmである。磁路長には、これに加え、1層目のコイル
112の外周端および内周端より、1層目のコイル11
2を絶縁するためのフォトレジスト層113の端部まで
の距離として、合計6〜8μmの長さが必要になる。従
って、磁路長は17.2〜19.2μmとなる。また、
もし11巻コイルを1層で形成するとなると、磁路長は
27.2〜29.2μmとなる。なお、本出願では、磁
路長を、図12において符号L0で示したように、磁極
層のうちの磁極部分およびコンタクト部分を除いた部分
の長さで表す。このように、従来は、磁路長の縮小が困
難であり、これが高周波特性の改善を妨げていた。
【0033】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その第1の目的は、誘導型電磁変換素子の磁極部
分を精度よく形成することができると共に、記録すべき
領域以外の領域へのデータの書き込みを防止することが
できるようにした薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を
提供することにある。
【0034】本発明の第2の目的は、上記第1の目的に
加え、磁路長の縮小を可能にした薄膜磁気ヘッドおよび
その製造方法を提供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】本発明の薄膜磁気ヘッド
は、記録媒体に対向する媒体対向面と、互いに磁気的に
連結され、媒体対向面側において互いに対向する磁極部
分を含み、それぞれ少なくとも1つの層を含む第1およ
び第2の磁性層と、第1の磁性層の磁極部分と第2の磁
性層の磁極部分との間に設けられたギャップ層と、少な
くとも一部が第1および第2の磁性層の間に、第1およ
び第2の磁性層に対して絶縁された状態で設けられた薄
膜コイルとを備えた薄膜磁気ヘッドであって、第1の磁
性層は、一方の面がギャップ層に隣接し、第1の磁性層
における磁極部分を含む磁極部分層と、磁極部分層の他
方の面に接続され、第1の磁性層におけるヨーク部分と
なるヨーク部分層とを有し、ヨーク部分層の媒体対向面
側の端部は媒体対向面から離れた位置に配置され、薄膜
コイルの少なくとも一部は磁極部分層の側方に配置さ
れ、第2の磁性層は、トラック幅を規定する部分を有す
る1つの層からなるものである。
【0036】本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法は、記
録媒体に対向する媒体対向面と、互いに磁気的に連結さ
れ、媒体対向面側において互いに対向する磁極部分を含
み、それぞれ少なくとも1つの層を含む第1および第2
の磁性層と、第1の磁性層の磁極部分と第2の磁性層の
磁極部分との間に設けられたギャップ層と、少なくとも
一部が第1および第2の磁性層の間に、第1および第2
の磁性層に対して絶縁された状態で設けられた薄膜コイ
ルとを備えた薄膜磁気ヘッドを製造する方法であって、
第1の磁性層を形成する工程と、第1の磁性層の上にギ
ャップ層を形成する工程と、ギャップ層の上に第2の磁
性層を形成する工程と、少なくとも一部が第1および第
2の磁性層の間に、この第1および第2の磁性層に対し
て絶縁された状態で配置されるように、薄膜コイルを形
成する工程とを備え、第1の磁性層を形成する工程は、
一方の面がギャップ層に隣接し、第1の磁性層における
磁極部分を含む磁極部分層と、磁極部分層の他方の面に
接続され、第1の磁性層におけるヨーク部分となるヨー
ク部分層とを形成し、且つヨーク部分層の媒体対向面側
の端部を媒体対向面から離れた位置に配置し、薄膜コイ
ルを形成する工程は、薄膜コイルの少なくとも一部を磁
極部分層の側方に配置し、第2の磁性層は、トラック幅
を規定する部分を有する1つの層からなるものである。
【0037】本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその製造方
法では、第1の磁性層が磁極部分層とヨーク部分層とを
有し、且つヨーク部分層の媒体対向面側の端部は媒体対
向面から離れた位置に配置されるので、第1の磁性層の
磁極部分層を精度よく形成することが可能である。ま
た、本発明では、薄膜コイルの少なくとも一部が磁極部
分層の側方に配置されるので、1つの層からなる第2の
磁性層を平坦または平坦に近い状態で形成することがで
きる。これらのことから、本発明では、磁極部分を精度
よく形成することが可能になる。また、本発明では、ヨ
ーク部分層の媒体対向面側の端部は媒体対向面から離れ
た位置に配置されるので、記録すべき領域以外の領域へ
のデータの書き込みが防止される。
【0038】本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその製造方
法において、磁極部分層は、一端が媒体対向面に配置さ
れた、トラック幅に等しい幅を有する部分を含んでいて
もよい。
【0039】また、本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその
製造方法において、磁極部分層は、一端が媒体対向面に
配置され、トラック幅に等しい幅を有する第1の部分
と、第1の部分よりも媒体対向面とは反対側に配置さ
れ、トラック幅よりも大きい幅を有する第2の部分とを
含んでいてもよい。
【0040】また、本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその
製造方法において、磁極部分層の側方に配置された薄膜
コイルの少なくとも一部を覆い、ギャップ層側の面が磁
極部分層におけるギャップ層側の面と共に平坦化された
コイル絶縁層を設けてもよい。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。 [第1の実施の形態]まず、図1ないし図7を参照し
て、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドお
よびその製造方法について説明する。なお、図1ないし
図6において、(a)はエアベアリング面に垂直な断面
を示し、(b)は磁極部分のエアベアリング面に平行な
断面を示している。
【0042】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法では、まず、図1に示したように、例えばアルティ
ック(Al23・TiC)よりなる基板1の上に、例え
ばアルミナ(Al23)よりなる絶縁層2を、約5μm
の厚みで堆積する。次に、絶縁層2の上に、磁性材料、
例えばパーマロイよりなる再生ヘッド用の下部シールド
層3を、約3μmの厚みに形成する。下部シールド層3
は、例えば、フォトレジスト膜をマスクにして、めっき
法によって、絶縁層2の上に選択的に形成する。次に、
全体に、例えばアルミナよりなる絶縁層31を、例えば
4〜5μmの厚みに形成し、例えば化学機械研磨(以
下、CMPと記す。)によって、下部シールド層3が露
出するまで研磨して、表面を平坦化処理する。
【0043】次に、下部シールド層3の上に、絶縁膜と
しての下部シールドギャップ膜4を、例えば約20〜4
0nmの厚みに形成する。次に、下部シールドギャップ
膜4の上に、再生用のMR素子5を、数十nmの厚みに
形成する。MR素子5は、例えば、スパッタによって形
成したMR膜を選択的にエッチングすることによって形
成する。なお、MR素子5には、AMR素子、GMR素
子、あるいはTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子等の
磁気抵抗効果を示す感磁膜を用いた素子を用いることが
できる。次に、下部シールドギャップ膜4の上に、MR
素子5に電気的に接続される一対の電極層6を、数十n
mの厚みに形成する。次に、下部シールドギャップ膜4
およびMR素子5の上に、絶縁膜としての上部シールド
ギャップ膜7を、例えば約20〜40nmの厚みに形成
し、MR素子5をシールドギャップ膜4,7内に埋設す
る。シールドギャップ膜4,7に使用する絶縁材料とし
ては、アルミナ、窒化アルミニウム、ダイヤモンドライ
クカーボン(DLC)等がある。また、シールドギャッ
プ膜4,7は、スパッタ法によって形成してもよいし、
化学的気相成長(CVD)法によって形成してもよい。
アルミナ膜よりなるシールドギャップ膜4,7をCVD
法によって形成する場合には、材料としては例えばトリ
メチルアルミニウム(Al(CH33)およびH2Oを
用いる。CVD法を用いると、薄く、且つ緻密でピンホ
ールの少ないシールドギャップ膜4,7を形成すること
が可能となる。
【0044】次に、上部シールドギャップ膜7の上に、
磁性材料、例えばパーマロイよりなる、再生ヘッド用の
上部シールド層8を、例えば1.0μmの厚みで、選択
的に形成する。次に、全体に、例えばアルミナよりなる
絶縁層32を、約2〜3μmの厚みに形成し、例えばC
MPによって、上部シールド層8が露出するまで研磨し
て、表面を平坦化処理する。
【0045】次に、上部シールド層8および絶縁層32
の上に、再生ヘッドと記録ヘッドとを磁気的に絶縁する
ための、例えばアルミナよりなる絶縁膜9を、例えば
0.1〜0.2μmの厚みに形成する。
【0046】次に、図2に示したように、絶縁膜9の上
に、磁性材料によって、記録ヘッド用の下部磁極層10
におけるヨーク部分となるヨーク部分層10bを、例え
ば1.0〜1.5μmの厚みで、選択的に形成する。な
お、下部磁極層10は、このヨーク部分層10bと、後
述する磁極部分層10aおよび接続部分層10cとで構
成される。ヨーク部分層10bのエアベアリング面30
側の端部は、エアベアリング面30から離れた位置に配
置されている。
【0047】ヨーク部分層10bは、NiFe(Ni:
80重量%,Fe:20重量%)や、高飽和磁束密度材
料であるNiFe(Ni:45重量%,Fe:55重量
%)等を用い、めっき法によって形成してもよいし、高
飽和磁束密度材料であるFeN,FeZrN等の材料を
用い、スパッタによって形成してもよい。この他にも、
高飽和磁束密度材料であるCoFe,Co系アモルファ
ス材等を用いてもよい。
【0048】次に、全体に、例えばアルミナよりなる絶
縁層を、約2〜3μmの厚みに形成し、例えばCMPに
よって、ヨーク部分層10bが露出するまで研磨して、
表面を平坦化処理する。これにより、図2に示したよう
に、ヨーク部分層10bのエアベアリング面30側の端
部からエアベアリング面30までの部分において、絶縁
膜9の上に絶縁層11が形成される。
【0049】次に、図3に示したように、絶縁層11と
ヨーク部分層10bの上に下部磁極層10の磁極部分層
10aを形成すると共に、ヨーク部分層10bの上に接
続部分層10cを形成する。磁極部分層10aは、下部
磁極層10における磁極部分を含む。接続部分層10c
は、後述する薄膜コイルの中心の近傍の位置に配置され
る。磁極部分層10aと接続部分層10cの厚みは、例
えば1.0〜1.5μmとする。
【0050】下部磁極層10の磁極部分層10aおよび
接続部分層10cは、NiFe(Ni:80重量%,F
e:20重量%)や、高飽和磁束密度材料であるNiF
e(Ni:45重量%,Fe:55重量%)等を用い、
めっき法によって形成してもよいし、高飽和磁束密度材
料であるFeN,FeZrN等の材料を用い、スパッタ
によって形成してもよい。この他にも、高飽和磁束密度
材料であるCoFe,Co系アモルファス材等を用いて
もよい。
【0051】次に、図4に示したように全体に、例えば
アルミナよりなる絶縁膜12を、約0.3〜0.5μm
の厚みに形成する。次に、絶縁膜12の上に、フレーム
めっき法によって、例えば銅よりなる薄膜コイル13
を、例えば0.8〜1.0μmの厚みに形成する。薄膜
コイル13は、接続部分層10cを中心にして巻回され
るように形成される。なお、図中、符号13aは、薄膜
コイル13を後述するリード層19に接続するための接
続部を示している。次に、薄膜コイル13を囲うように
フォトレジスト層14を形成する。
【0052】次に、全体に、例えばアルミナよりなるコ
イル絶縁層15を、約3〜4μmの厚みで形成する。次
に、例えばCMPによって、下部磁極層10の磁極部分
層10aおよび接続部分層10cが露出するまで、コイ
ル絶縁層15を研磨して、表面を平坦化処理する。ここ
で、図4は、薄膜コイル13は露出していないが、薄膜
コイル13が露出するようにしてもよい。
【0053】次に、図5に示したように、エアベアリン
グ面30より所定の距離だけ離れた位置からエアベアリ
ング面30までの部分を除く全体の上に、スロートハイ
トを規定するための、例えばアルミナよりなる絶縁層1
6を、例えば0.8μmの厚みに形成する。
【0054】次に、全体に、絶縁材料よりなる記録ギャ
ップ層17を、例えば0.1〜0.15μmの厚みに形
成する。記録ギャップ層17に使用する絶縁材料として
は、一般的に、アルミナ、窒化アルミニウム、シリコン
酸化物系材料、シリコン窒化物系材料、ダイヤモンドラ
イクカーボン(DLC)等がある。また、記録ギャップ
層17は、スパッタ法によって形成してもよいし、化学
的気相成長(CVD)法によって形成してもよい。アル
ミナ膜よりなる記録ギャップ層17をCVD法によって
形成する場合には、材料としては例えばトリメチルアル
ミニウム(Al(CH33)およびH2Oを用いる。C
VD法を用いると、薄く、且つ緻密でピンホールの少な
い記録ギャップ層17を形成することが可能となる。
【0055】次に、下部磁極層10の接続部分層10c
の上の部分と薄膜コイル13の接続部13aの上の部分
において、記録ギャップ層17および絶縁層16を部分
的にエッチングしてコンタクトホールを形成する。
【0056】次に、図6に示したように、記録ギャップ
層17の上において、エアベアリング面30から下部磁
極層10の接続部分層10cの上の部分にかけて上部磁
極層18を例えば2.0〜3.0μmの厚みに形成する
と共に、薄膜コイル13の接続部13aに接続されるよ
うにリード層19を例えば3〜4μmの厚みに形成す
る。上部磁極層18は、下部磁極層10の接続部分層1
0cに接続される。
【0057】上部磁極層18は、NiFe(Ni:80
重量%,Fe:20重量%)や、高飽和磁束密度材料で
あるNiFe(Ni:45重量%,Fe:55重量%)
等を用い、めっき法によって形成してもよいし、高飽和
磁束密度材料であるFeN,FeZrN等の材料を用
い、スパッタによって形成してもよい。この他にも、高
飽和磁束密度材料であるCoFe,Co系アモルファス
材等を用いてもよい。また、高周波特性の改善のため、
上部磁極層18を、無機系の絶縁膜とパーマロイ等の磁
性層とを何層にも重ね合わせた構造としてもよい。
【0058】次に、上部磁極層18の磁極部分の周辺に
おいて、上部磁極層18をマスクとして、ドライエッチ
ングにより、記録ギャップ層17を選択的にエッチング
する。このときのドライエッチングには、例えば、BC
2,Cl2等の塩素系ガスや、CF4,SF6等のフッ素
系ガス等のガスを用いた反応性イオンエッチング(以
下、RIEと記す。)が用いられる。次に、上部磁極層
18の磁極部分の周辺にいて、上部磁極層18をマスク
として、例えばアルゴン系ガスを用いたイオンミリング
によって、下部磁極層10の磁極部分層10aを選択的
に約0.3〜0.6μm程度エッチングして、図6
(b)に示したようなトリム構造とする。このトリム構
造によれば、狭トラックの書き込み時に発生する磁束の
広がりによる実効トラック幅の増加を防止することがで
きる。
【0059】次に、全体に、例えばアルミナよりなるオ
ーバーコート層20を、例えば20〜40μmの厚みに
形成し、その表面を平坦化して、その上に、図示しない
電極用パッドを形成する。最後に、上記各層を含むスラ
イダの研磨加工を行って、記録ヘッドおよび再生ヘッド
を含む薄膜磁気ヘッドのエアベアリング面30を形成し
て、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0060】図7は、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドにおける下部磁極層10および上部磁極層18の磁極
部分の近傍を示す斜視図である。
【0061】本実施の形態では、下部磁極層10が本発
明における第1の磁性層に対応し、上部磁極層18が本
発明における第2の磁性層に対応する。
【0062】以上説明したように、本実施の形態に係る
薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面(エ
アベアリング面30)と、再生ヘッドと、記録ヘッド
(誘導型電磁変換素子)とを備えている。再生ヘッドと
記録ヘッドは、絶縁膜9によって磁気的に絶縁されてい
る。
【0063】再生ヘッドは、MR素子5と、エアベアリ
ング面30側の一部がMR素子5を挟んで対向するよう
に配置され、MR素子5をシールドする下部シールド層
3および上部シールド層8とを有している。
【0064】記録ヘッドは、互いに磁気的に連結され、
エアベアリング面30側において互いに対向する磁極部
分を含み、それぞれ少なくとも1つの層を含む下部磁極
層10および上部磁極層18と、これら2つの磁極層1
0,18の各磁極部分の間に設けられた記録ギャップ層
17と、少なくとも一部がこれら2つの磁極層10,1
8の間に、2つの磁極層10,18に対して絶縁された
状態で配設された薄膜コイル13とを有している。
【0065】下部磁極層10は、一方の面(上面)が記
録ギャップ層17に隣接し、下部磁極層10における磁
極部分を含む磁極部分層10aと、磁極部分層10aの
他方の面(下面)に接続され、下部磁極層10における
ヨーク部分となるヨーク部分層10bとを有している。
ヨーク部分層10bのエアベアリング面30側の端部は
エアベアリング面30から離れた位置に配置されてい
る。ヨーク部分層10bのエアベアリング面30側の端
部からエアベアリング面30までの部分には、絶縁層1
1が配置されている。上部磁極層18は、トラック幅を
規定する部分を有する1つの層からなる。
【0066】また、図7に示したように、下部磁極層1
0における磁極部分層10aは、一端がエアベアリング
面30に配置され、少なくとも一部が記録トラック幅に
等しい幅を有する第1の部分10a1と、第1の部分1
0a1よりもエアベアリング面30とは反対側に配置さ
れ、記録トラック幅よりも大きい幅を有する第2の部分
10a2とを含んでいる。
【0067】上部磁極層18は、エアベアリング面30
側から順に配置された第1の部分18A、第2の部分1
8Bおよび第3の部分18Cを有している。第1の部分
18Aの幅は記録トラック幅に等しく、第2の部分18
Bの幅は第1の部分18Aの幅よりも大きく、第3の部
分18Cの幅は第2の部分18Bの幅よりも大きくなっ
ている。第3の部分18Cの幅は、エアベアリング面3
0に近づく従って徐々に小さくなっている。
【0068】また、薄膜コイル13は、下部磁極層10
の磁極部分層10aの側方に配置されている。薄膜コイ
ル13は、フォトレジスト層14とコイル絶縁層15と
によって覆われ、コイル絶縁層15の上面は、磁極部分
層10aの上面と共に平坦化されている。
【0069】以上説明したように、本実施の形態では、
下部磁極層10は磁極部分層10aとヨーク部分層10
bとを有している。従って、本実施の形態によれば、磁
極部分を含む磁極部分層10aを微細に精度よく形成す
ることが可能になる。また、本実施の形態では、薄膜コ
イル13を、下部磁極層10の磁極部分層10aの側方
に配置し、薄膜コイル13を覆うコイル絶縁層15の上
面を下部磁極層10の磁極部分層10aの上面と共に平
坦化し、この平坦化された面の上に絶縁層16および記
録ギャップ層17を介して、上部磁極層18を形成して
いる。従って、本実施の形態によれば、1つの層からな
る上部磁極層18を平坦または平坦に近い状態で形成す
ることができ、その結果、磁極部分を含む上部磁極層1
8を微細に精度よく形成することが可能になる。
【0070】また、本実施の形態では、下部磁極層10
のヨーク部分層10bのエアベアリング面30側の端部
はエアベアリング面30から離れた位置に配置されてい
る。そのため、本実施の形態では、エアベアリング面3
0における上部磁極層18の磁極部分の幅と下部磁極層
10の磁極部分の幅を等しくする場合、上部磁極層18
と下部磁極層の磁極部分層10aおよびヨーク部分層1
0bの3つの層についてではなく、上部磁極層18と磁
極部分層10aとの2つの層のみについて磁極部分の幅
を等しくすればよい。従って、本実施の形態によれば、
上部磁極層18の磁極部分の幅と下部磁極層10の磁極
部分の幅を等しくすることを、容易に且つ精度よく行う
ことができる。
【0071】以上のことから、本実施の形態によれば、
記録ヘッド(誘導型電磁変換素子)の磁極部分を精度よ
く形成することが可能になる。
【0072】また、本実施の形態によれば、ヨーク部分
層10bのエアベアリング面30側の端部をエアベアリ
ング面30から離れた位置に配置したので、記録すべき
領域以外の領域へのデータの書き込み、すなわちサイド
ライトを防止することができる。
【0073】ところで、従来、記録ヘッドの下部磁極層
が再生ヘッドの上部シールド層を兼ねた構造の複合型薄
膜磁気ヘッドでは、記録ヘッドにおける記録動作の直後
に、再生ヘッドにおける再生信号にノイズが発生した
り、再生信号の変動が大きくなるという問題点があっ
た。その原因の一つは、記録ヘッドの記録動作に伴って
記録ヘッド側で発生する残留磁気およびその変動である
と考えられる。
【0074】これに対し、本実施の形態では、再生ヘッ
ドの上部シールド層8と記録ヘッドの下部磁極層10と
を分離すると共に、これらの間に絶縁膜9を配置してい
る。これにより、記録ヘッド側で発生する残留磁気のM
R素子5に対する影響を低減することができる。更に、
本実施の形態では、下部磁極層10のヨーク部分層10
bのエアベアリング面30側の端部をエアベアリング面
30から離れた位置に配置し、ヨーク部分層10bのエ
アベアリング面30側の端部からエアベアリング面30
までの部分に絶縁層11を配置しているため、記録ヘッ
ドの磁極部分と再生ヘッドのMR素子5との間を絶縁層
11によって磁気的に分離することができる。その結
果、本実施の形態によれば、絶縁層11によって、記録
ヘッド側で発生する残留磁気のMR素子5に対する影響
をより一層低減することができる。従って、本実施の形
態によれば、記録ヘッドの記録動作に起因して再生ヘッ
ドにおける再生信号に発生するノイズや変動を低減する
ことができる。
【0075】また、本実施の形態では、薄膜コイル13
を下部磁極層10の磁極部分層10aの側方に配置し、
平坦な絶縁膜12の上に形成している。そのため、本実
施の形態によれば、薄膜コイル13を微細に精度よく形
成することが可能になる。また、本実施の形態によれ
ば、磁極部分層10aのエアベアリング面30とは反対
側の端部の近くに、薄膜コイル13の端部を配置するこ
とができる。これらのことから、本実施の形態によれ
ば、従来に比べて磁路長の縮小が可能となる。更に、薄
膜コイル13で発生した起磁力が途中で飽和することを
防止でき、薄膜コイル13で発生した起磁力を効率よく
記録に利用することができる。従って、本実施の形態に
よれば、記録ヘッドの高周波特性や、非線形トランジシ
ョンシフト(Non-linear Transition Shift;NLT
S)や、重ね書きする場合の特性であるオーバーライト
特性の優れた薄膜磁気ヘッドを提供することが可能とな
る。
【0076】また、本実施の形態では、薄膜コイル13
を下部磁極層10の磁極部分層10aの側方に配置し、
薄膜コイル13を覆うコイル絶縁層15の上面を、磁極
部分層10aの上面と共に平坦化している。そのため、
本実施の形態によれば、コイル絶縁層15に隣接する層
を精度よく形成することが可能になる。
【0077】また、本実施の形態では、薄膜コイル13
を下部磁極層10の磁極部分層10aの側方に配置した
ことから、上部磁極層18をほぼ平坦な1つの層で構成
することができる。従って、本実施の形態によれば、上
部磁極層を複数の層で構成する場合に比べて、工数を減
らすことができる。
【0078】[第2の実施の形態]次に、図8を参照し
て、本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドお
よびその製造方法について説明する。図8は本実施の形
態に係る薄膜磁気ヘッドの構成を示し、(a)はエアベ
アリング面に垂直な断面を示し、(b)は磁極部分のエ
アベアリング面に平行な断面を示している。
【0079】本実施の形態では、図8(b)に示したよ
うに、エアベアリング面30における上部磁極層18の
幅と磁極部分層10aの幅を、厚み方向の全体にわたっ
て等しくしたものである。このように両者の幅を等しく
する方法としては、上部磁極層18をマスクとして記録
ギャップ層17と磁極部分層10aとをエッチングする
方法でもよいし、上部磁極層18の上に形成したマスク
層をマスクとして、上部磁極層18、記録ギャップ層1
7および磁極部分層10aをエッチングする方法でもよ
い。エッチング方法としては、例えばRIEが用いられ
る。また、マスク層は、例えば、アルミナ層の上に、パ
ターニングされた金属層を形成し、この金属層をマスク
として、RIEによってアルミナ層をエッチングするこ
とによって形成される。
【0080】また、本実施の形態において、上部磁極層
18、記録ギャップ層17および下部磁極層10の磁極
部分層10aを集束イオンビームによってエッチングす
るようにしてもよい。
【0081】本実施の形態におけるその他の構成、作用
および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0082】本発明は、上記各実施の形態に限定され
ず、種々の変更が可能である。例えば上記各実施の形態
では、基体側に読み取り用のMR素子を形成し、その上
に、書き込み用の誘導型電磁変換素子を積層した構造の
薄膜磁気ヘッドについて説明したが、この積層順序を逆
にしてもよい。
【0083】つまり、基体側に書き込み用の誘導型電磁
変換素子を形成し、その上に、読み取り用のMR素子を
形成してもよい。このような構造は、例えば、上記実施
の形態に示した上部磁極層の機能を有する磁性膜を下部
磁極層として基体側に形成し、記録ギャップ膜を介し
て、それに対向するように上記実施の形態に示した下部
磁極層の機能を有する磁性膜を上部磁極層として形成す
ることにより実現できる。
【0084】また、本発明は、誘導型電磁変換素子のみ
を備えた記録専用の薄膜磁気ヘッドや、誘導型電磁変換
素子によって記録と再生を行う薄膜磁気ヘッドにも適用
することができる。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように請求項1ないし4の
いずれかに記載の薄膜磁気ヘッドまたは請求項5ないし
8のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれ
ば、第1の磁性層が磁極部分層とヨーク部分層とを有
し、且つヨーク部分層の媒体対向面側の端部は媒体対向
面から離れた位置に配置されるので、第1の磁性層の磁
極部分層を精度よく形成することが可能である。また、
本発明によれば、薄膜コイルの少なくとも一部が磁極部
分層の側方に配置されるので、1つの層からなる第2の
磁性層を平坦または平坦に近い状態で形成することがで
きる。これらのことから、本発明によれば、誘導型電磁
変換素子の磁極部分を精度よく形成することが可能にな
るという効果を奏する。また、本発明によれば、ヨーク
部分層の媒体対向面側の端部は媒体対向面から離れた位
置に配置されるので、記録すべき領域以外の領域へのデ
ータの書き込みを防止することができるという効果を奏
する。
【0086】また、請求項4記載の薄膜磁気ヘッドまた
は請求項8記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、
磁極部分層の側方に配置された薄膜コイルの少なくとも
一部を覆い、ギャップ層側の面が磁極部分層におけるギ
ャップ層側の面と共に平坦化されたコイル絶縁層を設け
たので、コイル絶縁層に隣接する層を精度よく形成する
ことが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドの製造方法における一工程を説明するための断面図で
ある。
【図2】図1に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図3】図2に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図4】図3に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図5】図4に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドの断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドにおける下部磁極層および上部磁極層の磁極部分の近
傍を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッ
ドの断面図である。
【図9】従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法における一工
程を説明するための断面図である。
【図10】図9に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図11】図10に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図12】図11に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図13】従来の磁気ヘッドの平面図である。
【符号の説明】
1…基板、2…絶縁層、3…下部シールド層、5…MR
素子、8…上部シールド層、9…絶縁膜、10…下部磁
極層、10a…磁極部分層、10b…ヨーク部分層、1
1…絶縁層、13…薄膜コイル、15…コイル絶縁層、
16…絶縁層、17…記録ギャップ層、18…上部磁極
層、20…オーバーコート層、30…エアベアリング
面。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録媒体に対向する媒体対向面と、互い
    に磁気的に連結され、前記媒体対向面側において互いに
    対向する磁極部分を含み、それぞれ少なくとも1つの層
    を含む第1および第2の磁性層と、前記第1の磁性層の
    磁極部分と前記第2の磁性層の磁極部分との間に設けら
    れたギャップ層と、少なくとも一部が前記第1および第
    2の磁性層の間に、前記第1および第2の磁性層に対し
    て絶縁された状態で設けられた薄膜コイルとを備えた薄
    膜磁気ヘッドであって、 前記第1の磁性層は、一方の面が前記ギャップ層に隣接
    し、第1の磁性層における磁極部分を含む磁極部分層
    と、前記磁極部分層の他方の面に接続され、第1の磁性
    層におけるヨーク部分となるヨーク部分層とを有し、 前記ヨーク部分層の媒体対向面側の端部は媒体対向面か
    ら離れた位置に配置され、 前記薄膜コイルの少なくとも一部は前記磁極部分層の側
    方に配置され、 前記第2の磁性層は、トラック幅を規定する部分を有す
    る1つの層からなることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記磁極部分層は、一端が媒体対向面に
    配置された、トラック幅に等しい幅を有する部分を含む
    ことを特徴とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記磁極部分層は、一端が媒体対向面に
    配置され、トラック幅に等しい幅を有する第1の部分
    と、前記第1の部分よりも媒体対向面とは反対側に配置
    され、トラック幅よりも大きい幅を有する第2の部分と
    を含むことを特徴とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッ
    ド。
  4. 【請求項4】 更に、前記磁極部分層の側方に配置され
    た薄膜コイルの少なくとも一部を覆い、前記ギャップ層
    側の面が前記磁極部分層におけるギャップ層側の面と共
    に平坦化されたコイル絶縁層を備えたことを特徴とする
    請求項1ないし3のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 記録媒体に対向する媒体対向面と、互い
    に磁気的に連結され、前記媒体対向面側において互いに
    対向する磁極部分を含み、それぞれ少なくとも1つの層
    を含む第1および第2の磁性層と、前記第1の磁性層の
    磁極部分と前記第2の磁性層の磁極部分との間に設けら
    れたギャップ層と、少なくとも一部が前記第1および第
    2の磁性層の間に、前記第1および第2の磁性層に対し
    て絶縁された状態で設けられた薄膜コイルとを備えた薄
    膜磁気ヘッドの製造方法であって、 前記第1の磁性層を形成する工程と、 前記第1の磁性層の上に前記ギャップ層を形成する工程
    と、 前記ギャップ層の上に前記第2の磁性層を形成する工程
    と、 少なくとも一部が前記第1および第2の磁性層の間に、
    この第1および第2の磁性層に対して絶縁された状態で
    配置されるように、前記薄膜コイルを形成する工程とを
    備え、 前記第1の磁性層を形成する工程は、一方の面が前記ギ
    ャップ層に隣接し、第1の磁性層における磁極部分を含
    む磁極部分層と、前記磁極部分層の他方の面に接続さ
    れ、第1の磁性層におけるヨーク部分となるヨーク部分
    層とを形成し、且つ前記ヨーク部分層の媒体対向面側の
    端部を媒体対向面から離れた位置に配置し、 前記薄膜コイルを形成する工程は、前記薄膜コイルの少
    なくとも一部を前記磁極部分層の側方に配置し、 前記第2の磁性層は、トラック幅を規定する部分を有す
    る1つの層からなることを特徴とする薄膜磁気ヘッドの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記磁極部分層は、一端が媒体対向面に
    配置された、トラック幅に等しい幅を有する部分を含む
    ことを特徴とする請求項5記載の薄膜磁気ヘッドの製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記磁極部分層は、一端が媒体対向面に
    配置され、トラック幅に等しい幅を有する第1の部分
    と、前記第1の部分よりも媒体対向面とは反対側に配置
    され、トラック幅よりも大きい幅を有する第2の部分と
    を含むことを特徴とする請求項5記載の薄膜磁気ヘッド
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 更に、前記磁極部分層の側方に配置され
    た薄膜コイルの少なくとも一部を覆い、前記ギャップ層
    側の面が前記磁極部分層におけるギャップ層側の面と共
    に平坦化されたコイル絶縁層を形成する工程を備えたこ
    とを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の薄
    膜磁気ヘッドの製造方法。
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