JP2001357972A - 有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子

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JP2001357972A
JP2001357972A JP2000182305A JP2000182305A JP2001357972A JP 2001357972 A JP2001357972 A JP 2001357972A JP 2000182305 A JP2000182305 A JP 2000182305A JP 2000182305 A JP2000182305 A JP 2000182305A JP 2001357972 A JP2001357972 A JP 2001357972A
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organic electroluminescent
organic
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Yasuo Imanishi
泰雄 今西
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Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】再結合以前の注入電荷のスピンの制御について
は考慮されていないため、最初の段階で発生する一重項
励起子と三重項励起子の生成比率は1:3であり、注入
エネルギの25%しか最大利用することができない。ま
た、現材料では発光寿命が短く、或いは安定性に乏しい
という問題があった。このため、一般的な有機電界発光
材料自身での発光効率には限界があるとされ、素子構造
等による取り出し効率の向上によって、利用可能な光量
の向上が図られてきた。 【解決手段】素子の電極配置を、発光層平面に正射影し
た時に重ならないようにずらして配置する。磁極の向き
が反平行の1組の磁場印加層を素子近傍に設け、その配
置を電極配置と重ならないような構成とする。電極間で
の再結合時の電子と正孔のスピン方向を制御し、ランダ
ムな再結合ではなく、一重項励起子が生成しやすいよう
な条件とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な有機電界発光
素子に係り、薄膜,軽量,高精細にして、高効率な有機
電界発光素子、及びそれを用いた薄膜平面ディスプレ
イ,小型携帯投射型ディスプレイ,携帯電話表示素子,
携帯型パーソナルコンピュータ用ディスプレイ,リアル
タイム電子掲示板,光発光ダイオード,レーザ,2次元
光パターン発生素子,光コンピュータ,光クロスコネク
タ,光ルータ等の各種新規光電子素子及びそれを用いた
システム、サービスに関する。
【0002】
【従来の技術】昨今、各種携帯電話や移動体端末,モバ
イルコンピュータ,カーナビゲーション等の普及によ
り、軽量で、高精彩,高輝度でかつ安価な小型平面ディ
スプレイへの要求は高まっている。また、家庭内やオフ
ィスにおいても、省スペース型のデスクトップディプレ
イや壁掛けテレビ等の平面ディスプレイが、従来のCR
T管ディスプレイから置き換わりつつある。特に、高速
インターネットの普及やデジタル放送の進展により、数
百〜数ギガビット/秒級のデジタル信号伝送が有線,無
線の双方で実用化され、一般利用者が極めて大容量の情
報をリアルタイムにやり取りする時代に移りつつある。
このことから、これら平面ディプレイに対する要求は従
来以上の軽量性,高精彩,高輝度,低価格に加えて、デ
ジタル信号処理可能な高速表示性が求められている。
【0003】このような平面ディスプレイとしては、液
晶ディスプレイ(Liquid CrystalDisplay, LCD)やプ
ラズマディスプレイ(Plasma Display, PD)、フィー
ルドエミッションディスプレイ(Field Emission Displ
ay, FED)等が検討されているが、これら各種平面デ
ィスプレイに加えて、近年有機電界発光素子(Organic
Electroluminescense Device, OELD)または有機発
光ダイオード(Organic Light Emitted Diode, OLE
D)と呼ばれる新しい型の平面ディスプレイが着目され
つつある。有機電界発光素子とは、陰極と陽極の間に挟
んだ有機化合物に電流を流すことにより、その中に含ま
れる蛍光性または燐光性の有機分子を発光させることで
表示する素子である。文献(有機エレクトロニクス材料
研究会編、『有機LED素子の残された重要な課題と実
用化戦略』、ぶんしん出版、1999年中、第1〜11
頁、佐藤佳晴著、『序章 材料・デバイスの現状と課
題』)によると、有機電界発光素子の研究は古くはアン
トラセンやペリレン等の有機半導体単結晶を中心に検討
が進められていたが、1987年にTangらが発光性
の有機化合物薄膜と正孔輸送性の有機化合物薄膜とを積
層した2層型の有機電界発光素子を提案し(C. W. Tang
and S. A. VanSlyke, Appl. Phys.Lett. 51,91
3,1987年)、発光特性の大幅な向上が可能(発光
効率1.5lm/W,駆動電圧10V,輝度1000c
d/m2)になったことがその研究の出発点である。そ
の後、色素ドープ技術や、高分子OLED,低仕事関数
電極,マスク蒸着法等々の要素技術が研究開発され、1
997年に単純マトリックス方式と呼ばれる電荷注入方
式での有機電界発光素子が一部実用化されている。更
に、アクティブマトリックス方式と呼ばれる新しい電荷
注入方式での有機電界発光素子の開発も検討されつつあ
る。
【0004】このような有機電界発光素子は、以下のよ
うな原理で駆動されている。すなわち、蛍光性または燐
光性の有機発光材料を一対の電極間に薄膜化させて、正
負の電極から電子と正孔を注入させる。有機発光材料中
において、注入電子は発光性分子の最低非占有分子軌道
(Lowest unoccupied molecular orbital, LUMO)に
入った1電子化有機分子(単に電子という)となり、ま
た注入正孔は発光性分子の最高占有分子軌道(Highest
occupied molecular orbital, HOMO)に入った1正
孔化有機分子(単にホールという)となって、有機材料
中をそれぞれ対向電極に向けて移動する。その途中で電
子とホールが出会うと発光性分子の一重項または三重項
励起状態が形成され、それが光を輻射しながら失活する
ことで、光を放出する。一般に有機発光材料には各種レ
ーザ色素のように光励起に対する量子効率の高い材料が
数多く知られているが、それらを電荷注入により発光さ
せようとすると、多くの有機化合物が絶縁体であるため
に電子とホールの電荷輸送性が低く、数百V級の高電圧
が初期の有機電界発光素子には必要であったが、複写機
の感光体として用いられている有機電子写真感光体の電
荷輸送性能の高さを利用し、電荷(ホール)を輸送する
薄膜と発光する薄膜とに機能分離することで発光特性を
向上させたものが、先に述べたTangの2層型の有機
電界発光素子であり、今日ではもう一つの電荷の電子の
輸送性を別の有機薄膜に担わせた3層型の有機電界発光
素子が報告されている。これ以外に、ホールと電子の有
機材料への注入特性を向上させるための電荷注入層や両
者の再結合確率を上げるためのホール停止層等、各種機
能を担わせた薄膜を追加することで、機能分離型,多層
膜型の有機電界発光素子が提案されている。しかしなが
ら、その発光のもととなる部分は、有機発光層に含まれ
る有機発光分子からの励起状態の失活過程における光輻
射であることには変わりがない。
【0005】文献(有機エレクトロニクス材料研究会
編、『有機LED素子の残された重要な課題と実用化戦
略』、ぶんしん出版、1999年中、第25〜38頁、
浜田裕次著、『第2節 発光材料の現状と課題』)によ
ると、蛍光または燐光を発する有機発光材料は、イン
キ,染料,シンチレータ等様々な用途で開発されたもの
が数多く知られており、有機電界発光素子にはこれらの
有機発光材料が利用されている。その種類は分子量で分
けると大きく、低分子系と高分子系に分類され、低分子
系は真空蒸着法等のドライプロセスで、高分子系はキャ
スト法で薄膜形成されている。Tang以前の初期の有
機電界発光素子で高効率な素子を得られなかった理由の
一つが良質な有機薄膜を形成することができなかったこ
とによると言われ、特に低分子系で必要な条件として、
(1)真空蒸着法にて、薄膜(100nmレベル)の作
製可能、(2)製膜後均一薄膜構造維持可能(結晶の析
出なし)、(3)固体状態での高蛍光量子収率、(4)
適度なキャリア輸送性、(5)耐熱性、(6)精製容
易、(7)電気化学的に安定、等が挙げられている。ま
た、発光過程の分類から、直接電子とホールの再結合に
よって発光する発光材料と発光材料から発生した光励起
によって発光する蛍光材料(またはドーパント材料)等
に分けられる場合もある。また、化学構造上の違いから
は、金属錯体型発光材料(配位子として8−キノリノー
ル,ベンゾオキサゾール,アゾメチン,フラボン等。中
心金属としてはAl,Be,Zn,Ga,Eu,Pt
等)と蛍光色素系発光材料(オキサジアゾール,ピラゾ
リン,ジスチリルアリレーン,シクロペンタジエン,テ
トラフェニルブタジエン,ビススチリルアントラセン,
ペリレン,フェナントレン,オリゴチオフェン,ピラゾ
ロキノリン,チアジアゾロピリジン,層状ペロプスカイ
ト,p−セキシフェニル,スピロ化合物等)等が知られ
ている。
【0006】このように有機電界発光素子の発光材料及
び素子化プロセスについては、多種多様な材料及び手法
が検討されてきた。このような有機電界発光素子から最
大でどの程度の効率で発光量を得ることができるかにつ
いては、未だ明確でないところが多い。文献(有機エレ
クトロニクス材料研究会編、『有機LED素子の残され
た重要な課題と実用化戦略』、ぶんしん出版、1999
年中、第105〜118頁、筒井哲夫著、『第1節 発光
効率の解釈と限界』)によると、有機電界発光素子の外
部に取り出される光エネルギは素子を流れる電子または
ホール1個当たりの放出光子数で与えられ、これを電界
発光の外部量子効率ηφ(ext)で表わすと、以下の関係
があることが知られている。
【0007】
【数1】 ηφ(ext)=ηext×ηφ(int)=ηext×[γ×ηr×ηf] …(1) ここで、ηφ(int)は素子内部での素子を流れる電子ま
たはホール1個当たりの放出光子数を表わす内部量子効
率、ηext は素子内部で発生した光が素子界面での反射
や吸収より減少させられた後の素子外部への光の取り出
し効率を示す。また、γは素子内部に注入される電子と
ホールの数の比率に相当するチャージバランス、ηr
注入された電荷から発光に寄与するi重項励起子を発生
する割合を示す一重項励起子生成効率、ηf は一重項励
起子の中で光を発生して失活する割合を示す発光量子効
率を表わす。これら素子外部への発光量に相当する外部
量子効率ηφ(ext)は発光材料自身の性質によって決ま
るηr 及びηf と、素子への電子とホールの注入比によ
って決まるγ、及び素子の構造によって決まるηext
に大きく分けることができる。ηr 及びηf とは発光材
料自身の物性に関係する効率であり、用いる発光材料に
よって一義的に決定される。また、γは電極とそれに接
する有機層との電気的ポテンシャル差や界面ポテンシャ
ル、有機層中の電子とホールの易動度等によって決まる
量であり、電極材料と素子内部の有機材料の物性によっ
て一義的に決まる効率である。これら因子のうち、チャ
ージバランスγ≦1である。一重項励起子生成効率ηr
は電荷のスピンの関係からηr ≦0.25であると言わ
れる。発光量子効率ηf は超放射的過程以外はηf<1
である。従って、素子内部の有機材料及び電極材料によ
って決定される因子の部分(式(1)の[γ×ηr×
ηf]の部分)は0.25以下であると言われる。一方、
取り出し効率は文献(N. C. Greenham, R. H. Friend,
D. D. C. Bradley, Adv. Mater. ,491,1994
年)によると古典光学の反射と屈折の法則によって決定
され、発光層の屈折率をnとすると、
【0008】
【数2】 ηext =1/(2n2) …(2) で与えられる。多くの有機電界発光素子の発光層または
それらを保持するガラス基板の屈折率は1.6程度であ
り、これからηext =0.2とされている。これらのこ
とから、全体としての電界発光の外部量子効率ηφ(ex
t)≦0.2×0.25=0.05となり、その外部量子効
率は高々5%であると言われている。
【0009】有機電界発光素子を実用化する上で、この
外部量子効率を向上させることが必須ではあるが、上記
従来の有機電界発光素子の外部量子効率には上限がある
ため、これとは異なる機能を有する有機電界発光素子の
開発が進められつつある。その一つの方法は発光材料自
身の発光量子効率一重項励起子生成効率ηr を向上させ
ようとするものである。従来の電荷注入及び再結合の過
程では一重項励起子が0.25、三重項励起子が0.75
の割合で発生する。これに対して、重金属を含有する有
機発光材料のスピン−軌道角運動量相互作用による項間
交差によって三重項励起子を一重項励起子にスピン反転
させたり、ナノスケール領域に閉じ込められた三重項励
起子同士の衝突による一重項励起子への転換等によっ
て、発生した三重項励起子を一重項励起子に転化するこ
とで、発光に寄与する励起子の割合を増大させようとす
るものである。このような新しい励起子発生機構を有す
る材料としてfac tris(2-phenylpyridine)iridium [I
r(ppy)3]を用いた項効率発光可能な有機電界発光
素子が文献(M. A. Baldo, S. Lamansky, P. E.Burrows,
M. E. Thompson, S. R. Forrest, Appl. Phys. Lett.
75,4−6,1999年)に紹介されている。
【0010】以上のように、有機電界発光素子において
その発光効率を従来以上に向上させるための手法が検討
されているが、これら多数の因子が含まれるために、明
確な指針が出されていないのが実情である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このように有機電界発
光素子を実用化する上で、この外部量子効率を向上させ
ることが必須ではあるが、上記従来の有機電界発光素子
の外部量子効率には上限があり、その一つの方法は発光
材料自身の発光量子効率一重項励起子生成効率ηr を向
上させようとするもの、及び取り出し効率ηext を改善
することにより素子外部での外部量子効率を向上させよ
うとするものである。その中で、特に前者の一重項励起
子生成効率ηr を改善に関わるより広範な効率向上手段
を提供するものである。
【0012】すなわち、従来知られていた統計的な電荷
注入による一重項及び三重項生成確率では、1:3の割
合でしか、発光に寄与する一重項励起子は発生しなかっ
たために、注入した電荷の最大25%しか光に変換する
ことができなかった。このため、重金属効果等を用いて
三重項での発光現象を利用しようとする試みが検討され
てきたが、三重項発光は一重項発光に比べて発光寿命が
長く、マイクロ秒から数分にわたるものであり、ディス
プレイでの動画表示等高速発光性が求められるデバイス
に利用することができなかった。また、一般に三重項発
光性の有機分子は熱や酸素,水分に対する安定性が悪
く、素子化する際の耐性に問題があった。また、項間交
差によって、三重項同士の衝突により、一重項に再変換
する遅延型一重項励起子の利用が検討されたが、これは
三重項発生後に発生可能であるために、発光種生成の時
間的遅延が発生し、素子としての応答性に難があった。
また、静磁場の印加によって一重項及び三重項の生成比
や寿命の影響を検討された報告はあったが、一様な磁場
を印加していたために、発光種の励起状態のスピンが一
様に揃い、非発光性の三重項を増やす効果はあっても、
発光性の初期一重項を増やす効果はなかった。
【0013】本発明は、発光効率の良い有機電界発光素
子を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の有機発光素子の
第1の実施形態によれば、正負の両電荷の注入,輸送す
ることが可能で、正負の両電荷により生成された正孔と
電子の発光物質中での再結合により光を発生し、または
発光物質からの光を受けて二次的に光を発生する有機発
光層を含むものであり、少なくとも1つの磁場を印加さ
せることが可能な磁場印加層を有するというものであ
る。
【0015】尚、ここでいう有機電界発光素子とは、有
機発光分子を含む発光層に対して、陽極電極から正孔
を、陰極電極から電子を注入可能であって、発光層内部
で正孔と電子の再結合によって光を放出することが可能
な有機電界発光素子であり、発光層は単一層であって
も、または多層であってもよい。
【0016】また、発光層は正孔と電子の再結合により
光を放射する有機発光分子以外に、有機発光分子から発
生した光を吸収して別の光を発生することが可能な蛍光
物質(または燐光物質)を含んでいてもよい。
【0017】また、発光層は正孔または電子の発光層内
部での易動度を高めることが可能な正孔輸送物質または
電子輸送物質を含んでいてもよい。
【0018】また、発光層は特定の空間的位置に正孔ま
たは電子を補足するまたは輸送性を低下させるための正
孔捕捉物質または電子捕捉物質を含んでいてもよい。
【0019】更に、これら有機発光分子,蛍光物質(ま
たは燐光物質),正孔輸送物質,電子輸送物質,正孔捕
捉物質,電子捕捉物質は同一の層に含まれていてもよ
く、または別個の層に分離されていてもよい。複数の層
に分離されてこれらの構成物質を含む層が形成されてい
る場合も、本発明においては一括して発光層と呼ぶこと
にする。
【0020】また、本発明の発光層と、発光層に正孔ま
たは電子を注入する陽極または陰極との間には、正孔ま
たは電子の注入効率を向上させるための正孔注入層また
は電子注入層を設けていてもよい。
【0021】また、発光層や、陽極,陰極,正孔注入
層,電子注入層を保持するための基板を設けていてもよ
く、それら以外の中間層を適宜設けていてもよい。その
ような中間層としては光の反射特性を変調するための反
射鏡や部分透過鏡,特定光を透過するフィルタ,光の出
射タイミングを調整する光スイッチ,光の位相特性を調
整するための波長板,光の出射方向を拡散するための拡
散板,素子を構成する物質の外部光や熱,酸素,水分等
による劣化を防ぐための保護膜、等が挙げられる。これ
ら中間層は発光層,陽極,陰極,正孔注入層,電子注入
層,基板との間、またはその外部に素子特性を著しく劣
化させないような仕様で適宜設けることができる。
【0022】また、本発明の有機電界発光素子に磁場を
印加させるための磁場印加層には、既存の各種磁性体、
例えばFe,Co,Ni,Al等の金属元素を含む強磁
性体、反磁性体等を用いることが可能であり、または有
機電界発光素子を発光させるために用いられた回路とは
別の電流回路によって発生する誘導磁場、あるいは各種
薄膜磁気ヘッド等を用いることができる。
【0023】本発明の有機電界発光素子を作製する手段
としては、各種高分子延伸薄膜形成技術、例えば溶融射
出成形法,スピンコート法,スパッタ法,ラングミュア
ブロジェット法、等や各種真空蒸着法、例えば真空蒸着
法,分子線蒸着法,交互スパッタ法,イオンクラスタビ
ーム法,電子ビームスパッタ法,電界重合法等を用いる
ことができる。また、これらの媒体にその発光特性や電
荷輸送特性改善,磁場特性附与,光閉じこめ構造形成の
ために、電場や磁場等の外場印加,ポーリング,イオン
ビーム打ち込み,ドーピング,ガス拡散,液相拡散、等
の処理を施すことができる。また、素子構造形成のため
に、各種精密加工技術、例えば精密ダイアモンド切断加
工,レーザ加工,エッチング加工,フォトリソグラフ
ィ,反応性イオンエッチング,集束イオンビームエッチ
ング,ダイシング加工等を用いることができる。
【0024】また、本発明の有機電界発光素子は、製品
の形成後に、外観,特性の向上や長寿命化のための後処
理を行ってもよい。こうした後処理技術としては、熱ア
ニーリング,放射線照射,電子線照射,光照射,電波照
射,磁力線照射,超音波照射、等があげられる。更にそ
の素子を各種複合化、例えば接着,融着,電着,蒸着,
圧着,染着,熔融成形,混練,プレス成形,塗工等、そ
の用途または目的に応じた手段を用いて複合化させるこ
とができる。
【0025】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る有機電界発光
素子の実施例について、図面を用いて説明する。 (実施例1)まず最初に、本発明の有機電界発光素子の
基本構成の一例について説明する。
【0026】図1には、本発明の有機電界発光素子の基
本構成の配置関係(上面,正面,側面)の説明図を示し
た。通常、有機電界発光素子においては基板上に形成さ
れた厚さ数十ナノメートルの有機発光層薄膜を一対の電
極が対向した挟む構造をとっており、その一対の電極の
一方から電子を、他方から正孔を注入して、有機発光層
内部で電子と正孔が再結合した時に光が発生する機構と
なっている。
【0027】しかしながら、この機構では電極から注入
される電子または正孔のスピンを制御する手段がなかっ
たために、統計的にその向きはランダムであり、その電
子と正孔の再結合によって生成する一重項励起子と三重
項励起子の発生確率は1:3であると言われていた。ま
た、このような生成比が正しいことが近年実験的にも確
認された(文献:M. A. Baldo, D. F. O′Brien, M. E.
Thompson, S. R.Forrest, "Excitonic siglet-triplet
ration in a semiconductiong organicthin film",Ph
ys. Rev. B, Vol.60,p.14422〜14428,
1999年)。
【0028】しかしながら、本発明においては、従来全
く制御されていなかった注入電荷のスピン状態を外部磁
場によって制御し、有機電界発光層中での発光性の励起
子の生成比率を増大させる方法を提案するものである。
【0029】本発明の有機電界発光素子においては、ま
ず透明基板(9)上に、ITO(=Indium tin oxide,
In23−SnO2)やIZO(=Indium zinc oxide,
In23−ZnO2)等の透明電極が陽極(4)として、
その一部に形成されている。理想的な平坦性を実現する
ために、ここでは陽極(4)と同じ膜厚の陽極緩衝層
(8,8′)が設けてある。従って、基板上に等厚で陽
極(4)と陽極緩衝層(8,8′)が一つの層を形成し
ている。
【0030】次に、その上に有機電界発光層(7)が一
様に形成されている。ここにいう有機電界発光層には、
純然たる電子と正孔の再結合による光発生層以外に、発
生した光を受けて二次的な蛍光を発生する層や、電子輸
送層,正孔輸送層,電子注入層,正孔注入層,正孔阻止
層,電子阻止層等の既に知られている各種機能層を一括
して、ここでは有機電界発光層と呼ぶことにする。従っ
て、そこに含まれる化合物や層の数、種類等は適宜選択
することができるが、ここではまず一般的な本発明の素
子基本構造を説明するために、特には有機電界発光層内
部の構成については限定しない。
【0031】この層の上に陰極(3)が形成されてお
り、陽極層の場合と同様に、理想的な平坦性を実現する
ために、陰極緩衝層(6,6′)が設けてあり、陰極と
陰極緩衝層で陰極層と為している。これら陰極(3)と
陽極(4)とは通常の有機電界発光素子においては有機
電界発光層(7)を挟んで正対向する位置に形成されて
いる。このため、陰極と陽極を該発光層に正射影したも
のは重なりあう位置となる。
【0032】しかしながら、本発明の有機電界発光素子
では、後に述べる磁場印加の効果を有効に引き出すため
に、電極はその正射影が完全には重ならないような位置
に形成されている。このような電極の形成配置を取るこ
とにより、通常は電子または正孔が各電極より発光層に
対して垂直に侵入透過させられるのに対して、本発明の
有機電界発光素子においては発光層面内にも伝播する成
分を有することができる。そして、大部分の電荷は重な
らないように配置された陰極と陽極の間の発光層内部を
なるべく最短距離となるように、すなわち陰極と陽極を
結ぶ経路を通って、伝播される。
【0033】このような陰極及び陽極にはその線抵抗が
余り大きくならない程度の材質と幅が求められる。ま
た、陰極と陽極の正射影面上での横ずれの度合いは、発
光層中での材質や膜厚に応じた電荷の易動度や抵抗等に
よって、本発明の有機電界発光素子としての最適値が存
在する。また、ここでは一例として、発光層の上側に陰
極、下側に陽極を設けた構造としたが、逆に上側に陽
極、下側に陰極を設けたり、或いは後の実施例で示すよ
うに上下どちらかの層に陰極と陽極の双方を形成するこ
とも可能である。
【0034】これに対して、陰極層の上に、磁気印加層
A(1),磁気印加層B(2)が形成され、両者は磁気
層離間部(5)によって物理的に隔てられている。この
磁場印加層A及びBは共に等しい磁束密度を有している
磁石としての機能を果たしており、同じ幾何学的形状を
有している。ここでは単純な長方体として表示している
が、一般にはこの形状に特定されるものではない。この
2つの磁場印加層はただ一つその磁気的極性の向きが反
平行となっており、図1に示されているようにそのN極
とS極が反転した向きとなっている。そして、その磁気
印加層のN極からS極に到る方向の中点を結ぶ線によっ
て、対称にその下部にある陰極と陽極が隔てられてい
る。このような配置を取ることにより、その中点を結ぶ
線と陰極と陽極の中点を結ぶ線は直交関係となってい
る。この時、陰極から陽極への電荷の流れを考えると、
その経路の中間点までに磁気印加層から受ける磁場の向
きと中間点を通過後の経路で受ける磁場の向きとは反平
行となり、その大きさは磁気層の極端部に近い程強くな
る。
【0035】このように磁気を印加した状況で電流を流
すと、そのスピンは対抗する磁場印加層の間のN極から
S極に到る向きの磁場を受けて、その方向にスピンが揃
う。従って陰極から注入される電子と、陽極から引き抜
かれる電子(つまり正孔)とは、反対のスピンを持って
その中間点で再結合する確率が、磁場を印加しない場合
に比べて高くなる。このため、生成する一重項励起子と
三重項励起子とは1:3の比率で発生するのではなく、
そのほとんどが一重項励起子として生成することが期待
できる。このようにして発生する一重項励起子は正孔−
電子の再結合直後に発生する初期励起子であるために、
該有機発光材料を光励起した時の励起子と同種のものが
生成し、その量子収率に従った蛍光発光が期待できる。
すなわち、非発光性の三重項励起子の生成が著しく阻害
されるため、より効率的に電界発光を起こすことができ
る。
【0036】次に、このような特殊な磁場印加による発
光効率の向上の効果を確認するために行った実験結果に
ついて、図面を用いて説明する。
【0037】図2には原理確認用の有機電界発光素子の
作製手順を示した。 (図2の1)まず、基板(10)を用意した。基板には
硼珪ガラス基板(松浪ガラス製,30mm×30mm×1m
m,屈折率1.51)を用いた。基板は石鹸水にて洗浄
し、次にアセトン超音波洗浄,純水超音波洗浄を行っ
た。
【0038】(図2の2)次に、この基板上にITO透
明電極(ITO=indium tin oxide)(11)をスッパタ装
置(日立製,DCマグネトロンインライン型IS−15
15)を用いてスパッタ法にて薄膜形成した。(厚さ1
50nm)。
【0039】(図2の3)次に、フォトレジスト法に
て、1mm×20mm電極パターン(12)を形成した(IT
Oの線抵抗は300μΩ・cm)。簡単のためにこの電極
に外部から電気を通すための接点部分のパターンは図示
を省略する。
【0040】(図2の4)次に、この上に、正孔注入層
としてPoly(3-octylthiophene)(Aldrich製、重量平
均分子量142,000、図4参照、略号PT)をスピ
ンコートし(厚さ5nm)、自然乾燥後、更に真空乾燥
した。スピンコートにはエイブル製マニュアルスピンナ
ーASS−301を用いた。次に発光層としてはPolyvi
nylcarbazole (Aldrich製、重量平均分子量1,100,
000、図4参照、略号PVC)をスピンコートし(厚
さ50nm)、自然乾燥後、更に真空乾燥した。これら
両層を合わせて、発光層(13)と呼ぶ。
【0041】(図2の5)このような手順で、発光層ま
で形成した後、次にスピンコートされた薄膜試料を真空
蒸着装置(アネルバ製、MBE−620−OR)内に装
着し、ベース圧力1×10-9Torr下にて、電子注入層と
してフッ化リチウム(LiF,レアメタリクス製、純度
5N)を真空蒸着し(膜厚2nm)、次に陰極として金
属アルミニウム(Al、レアメタリクス製、純度6N)
を真空蒸着した(膜厚200nm)。このフッ化リチウ
ム及び金属アルミニウムを蒸着する際には1mm×20mm
のようにパターン部分を覆うような窓が空いたステンレ
ス製の金属マスク (厚さ0.5mm)を取り付けた状態で
蒸着を行った。この両者を併せて陰極(14)と呼ぶ。
【0042】(図2の6)次に、蒸着後、試料を装置外
部に取り出し、再びスピンコートにて緩衝層(15)を
形成した。緩衝層の材料にはポリメタクリル酸メチル
(Aldrich製)を用いた。このようにして、素子表面を
平坦化した後、陰極が蒸着されていないITOの端部に
陽極用電線を超音波はんだごてで接続し、陰極部分でI
TOパターン部分と重ならない端部に銀ペースト(アー
ルデック製、5063−AB)を介して陰極用電線を接触さ
せて、UV樹脂にて紫外線硬化させた。
【0043】(図2の7)その電極部分を挟むようにし
て、2本一組の棒磁石(井内盛栄堂製、アルニコ磁石、
アルミニウム・ニッケル・コバルト鋳造、残留磁束密度
12700ガウス)を10mm×50mm×10mmの形状と
し、これらを磁気印加層A(16)及び磁気印加層B
(17)とし、機械的に反平行状態に固定した磁場を印
加する台を形成した。この上に先に作製した素子を固定
し、その向きや位置を微調節しながら最適な磁場印加状
態を形成した。このようにして、磁場を印加したり、も
しくは素子を磁気印加層から離した状態において、電極
間に電流を流し、基板側から発光強度を顕微鏡で測定ス
ポットを選択して、その観測光を分光放射照度計(ウシ
オ電機製、スペクトロラディオメータUSR−40V)
を用いて、波長分光と各波長での光強度を一括測定し
た。なお、これらスピンコートや電極への電線はんだ付
け、磁場印加層への素子固定、電界発光強度の測定はす
べて乾燥窒素ガス置換したグローブボックス(美和製作
所製)の中で行った。従って、この素子作製やその後の
測定の間における大気中の水分や酸素による素子劣化の
影響はなるべく小さくした環境で実施した。
【0044】次に、このようにして作製した原理確認用
素子による最適条件決定の過程を図面を用いて説明す
る。
【0045】図3には、最適条件決定の素子測定配置を
示した。実際にどのような電極間距離を取ればよいか
は、用いた電極や発光層、或いはその間に介在させた正
孔輸送層等の各種中間層等の材質,膜厚等複雑な因子が
作用している。このため、最適条件はその素子組成,構
造によって異なってくる。ここでは、それらの複雑な因
子をまとめて、簡便な手法で最適な電極間距離を決定す
る手順について説明する。透明基板(24)上に順次形
成された透明陽極(18),発光層(22)の次に、陰
極(19)を形成するが、その際、最適位置決定用には
図3に示したような斜めの配置で陰極(19)を形成す
る。そして、磁気印加層A(20)と磁気印加層B(2
1)の中心線を結んだ方向W〜W′が陰極と陽極の為す
角を2等分する方向に素子を固定する。ここで、陽極の
方向をy方向、それに垂直な膜面内方向をx方向とし
て、陰極と陽極の交差点を原点にW〜W′上に測光スポ
ット(25)をマイクロステージで移動させる。この時
の各yの位置におけるx方向の陰極と陽極の正射影上で
の距離と電極間の面内距離とし、これに対する測定光量
をプロットして、外部磁場の影響が最も効果的となる位
置を検出した。ここでは顕微鏡を介して、直径1μmの
領域のみを測定スポットとした。
【0046】図5にはこのようにして測定した相対発光
強度の位置xと印加電圧との関係を示した。今回の素子
では、印加電圧15V以上で電界発光が観測されはじ
め、そのスペクトルは波長420nmをピークとしたブ
ロードなものであった。強度のプロットにはこのピーク
波長での強度を用いた。印加電圧15Vではx=0〜1
μmまでで発光が観測されたが、印加電圧を上昇させる
と、徐々により長い電極間距離にわたってまで、発光が
観測された。しかしながら、その最大強度を与える位置
は2〜3μmの位置であり、高い印加電圧時でもその相
対的ピーク位置は変化しなかった。このことから今回の
素子においては、この位置が電極間距離としては最適で
あると判定された。ちなみに、磁場印加層を取り外し
て、同様に電場発光特性を測定したところ、同様に印加
電圧15Vから発光が始まり、そのスペクトルは同じく
420nmにピークを有するブロードなものであった。
しかしながら、発光は図5の15Vの場合とほとんど同
じで、印加電圧を上げてもx=2μm以上では発光は見
られなかった。
【0047】以上のような作製手順、及び測定手順によ
って最適な素子条件を決定することができた。 (実施例2)次に、実施例1で用いた材料を用いて、別
の形状の電極配置を有する有機電界発光素子の一例を示
す。
【0048】図6には、その素子構造を示した。素子の
素材や発光層の構成等は実施例1と同じであるが、今回
は実施例1において最適電極間距離が2〜3μmであっ
たことから、図6のように正射影面上で平行となるよう
に陽極(27)と陰極(29)を配置し、その間隔をQy
で示すと、Qy=2〜3μmとなるように陰極(29)を
形成した。従って、対になった陽極及び陰極の該有機発
光層面への正射影像を結ぶ線と、該対になった磁気印加
層の極性方向の該有機発光層面への正射影像とが、ここ
ではちょうど直角となっている。また、電極の長さをQ
xとすると、その長さを少しずつ長くした時に素子から
取り出される光量がQxに比例して増大するかどうかを
検証した。
【0049】図7には、このようにして形成された素子
からの取り出し光量のQx依存性を示した。ここではQ
x=1〜7mmまでの7種類の素子を形成した。印加電圧
は25Vとし、波長420nmのピーク値に対して、基
板側から観測される発光を積分球で集めた。光量計は同
じものを用いた。その結果が図7のグラフである。その
結果、Qxに比例した相対発光量が観測され、素子ディ
メンジョンの効果が得られた。実際、発光した素子を目
視したところ、電極方向のストライプの発光が見られ
た。ちなみに、磁場印加層を付与せずに同一電圧で発光
を試みたが、今回の測定では発光は確認されなかった。 (実施例3)次に、発光層の屈折率調整によって発光の
出射方向を制御した素子を形成した例について説明す
る。
【0050】図8にはそのための素子作製手順を示し
た。用いた素材は実施例1と同じものであり、先に図2
で示した(3)までの作製手順は全く同じであるため、
ここでは図示を省略した。(図8の4)基板(34)上
に陽極(35)まで形成した段階から、ここでは発光層
ではなく、陰極(33)を同様にマスク蒸着によって形
成する。電極間距離は2〜3μmとなるように調整す
る。電極エッジの鋭さをつけるために、フォトレジスト
や形成後のドライエッチング等も利用可能であるが、こ
こでは原理確認の段階のため、単純にマスク蒸着に留め
た。最終的に陰極と陽極にショートが発生していないか
どうかは完成した素子の電気特性から明らかとなる。つ
まり、短絡している場合は抵抗値が著しく小さくなり、
全く発光しない。ここではそのように作製に失敗した素
子は試験対象から除いている。(図8の5)次に、同じ
マスクのまま、電子注入層のLiFを形成し、その上か
らスピンコートで発光層のポリフルオレン層を形成し
た。従って、ここではポリチオフェン層の形成は省略し
た。ここではLiFとポリフルオレン層をまとめて発光
層(36)とした。(図8の6)次に、この上にフォト
レジスト(37)をスピンコートした。(図8の7)こ
れに対して、電極間の中心部のところに窓が開くように
パターニングを行った。(図8の8)次に、40%のフ
ッ化沃素のメタノール溶液をこの溝に滴下し、60℃で
30分間放置して沃素イオンをドープ(38)した。(図
8の9)次に、余分な溶液を手早く吸い取り、乾燥窒素
ガンで表面を乾燥し、さらにUV樹脂(39)を滴下し
て、紫外線硬化した。(図8の10)最後に、同様にし
て磁場印加層A(40)と磁場印加層B(41)を形成
した。
【0051】このようにして形成された素子に対して、
印加電圧30Vで発光させたところ、実施例2に比べて
素子の基板側からの光が著しく低下していたが、観察す
る位置を電極の断面方向にしたところ、ちょうど電極間
の位置にあたる付近から1点発光スポットが認められ
た。
【0052】本発明の有機電界発光素子を用いると、外
部磁場の局所的印加手段を兼備することでその近傍の電
子のスピンを平行に揃え、発光層に注入される電子とホ
ールが反対称になりやすくすることで、一重項励起子が
発生しやすくなる。さらに、有機発光層の層内への電荷
移動が可能となるために、面内制御可能な発光素子が形
成できる。また、その発光方向を面内に制御すること
で、より長い距離にわたって発光領域をもつ有機電界発
光素子を形成することができる。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、発光効率の良い有機電
界発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機電界発光素子の電極、磁場印加層
の配置関係の説明図である。
【図2】本発明の有機電界発光素子の実施例1での原理
確認素子の作製手順の説明図である。
【図3】本発明の有機電界発光素子の実施例1での原理
確認素子の測定手順の説明図である。
【図4】本発明の有機電界発光素子の実施例1での素子
構成素材の構造式である。
【図5】本発明の有機電界発光素子の実施例1での原理
確認の測定結果である。
【図6】本発明の有機電界発光素子の実施例2での原理
確認素子の構成図である。
【図7】本発明の有機電界発光素子の実施例2での原理
確認の測定結果である。
【図8】本発明の有機電界発光素子の実施例3での原理
確認素子の作製手順の説明図である。
【符号の説明】
1,16,20,31…磁気印加層A、2,17,2
1,32…磁気印加層B、3,14,19,29,33
…陰極、4,35…陽極、5…磁気層離間部、6,6′
…陰極緩衝層、7…有機電界発光層、8,8′…陽極緩
衝層、9,10,24,26…透明基板、11,18,
27…透明陽極、12…透明陽極(パターン化後)、1
3,22,28,36…発光層、15,23,30…緩
衝層、25…測光スポット、34…基板、37…フォト
レジスト、38…イオンドープ層、39…UV樹脂、4
0…磁場印加層A、41…磁場印加層B。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】正負の両電荷の注入,輸送することが可能
    で、該正負の両電荷により生成された正孔と電子の発光
    物質中での再結合により光を発生し、または該発光物質
    からの光を受けて二次的に光を発生する有機発光層を含
    む有機電界発光素子において、 少なくとも1つの磁場を印加させることが可能な磁場印
    加層を有する有機電界発光素子。
  2. 【請求項2】前記磁場印加層は少なくとも1対以上あ
    り、かつ対になった磁場印加層の磁気的極性が反平行に
    向いていることを特徴とする請求項1の有機電界発光素
    子。
  3. 【請求項3】電荷の注入する陽極及び陰極を少なくとも
    1対以上有し、かつ対になった陽極及び陰極が、該有機
    発光層の上下に分かれて保持されているか、または上下
    の片側に保持されていることを特徴とする請求項1又は
    2の有機電界発光素子。
  4. 【請求項4】前記対になった陽極及び陰極は、前記有機
    発光層面に正射影した時に、陽極及び陰極が重なり合わ
    ないことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載
    の有機電界発光素子。
  5. 【請求項5】前記対になった陽極及び陰極は、前記有機
    発光層面への正射影像を結ぶ線と、該対になった磁気印
    加層の極性方向の該有機発光層面への正射影像とが、平
    行でないことを特徴とする請求項1から4のいずれかに
    記載の有機電界発光素子。
  6. 【請求項6】前記有機発光層の一部に屈折率を局所的に
    高めることにより光閉じこめ構造を付与したことを特徴
    とする請求項1から5のいずれかに記載の有機電界発光
    素子。
  7. 【請求項7】前記有機発光層は、電界発光性の高分子物
    質からなることを特徴とする請求項1から6のいずれか
    に記載の有機電界発光素子。
  8. 【請求項8】前記電界発光性高分子物質は、ポリビニル
    カルバゾール,ポリチオフェン,ポリパラフェニレンビ
    ニレン,ポリフルオレンを含むことを特徴とする請求項
    1から7のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  9. 【請求項9】正負の両電荷の注入,輸送することが可能
    で、該正負の両電荷により生成された正孔と電子の発光
    物質中での再結合により光を発生し、または該発光物質
    からの光を受けて二次的に光を発生する有機発光層を含
    む有機電界発光素子において、 強磁性体、又は反磁性体層を有する有機電界発光素子。
  10. 【請求項10】前記強磁性体、又は反磁性体は、Fe,
    Co,Ni,Al等の金属元素を含むものである請求項
    9の有機電界発光素子。
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