JP2001316324A - アリールカルボン酸化合物およびアリールアルデヒド化合物の製造方法 - Google Patents

アリールカルボン酸化合物およびアリールアルデヒド化合物の製造方法

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JP2001316324A
JP2001316324A JP2000136367A JP2000136367A JP2001316324A JP 2001316324 A JP2001316324 A JP 2001316324A JP 2000136367 A JP2000136367 A JP 2000136367A JP 2000136367 A JP2000136367 A JP 2000136367A JP 2001316324 A JP2001316324 A JP 2001316324A
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JP2000136367A
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Tetsuya Shintaku
哲也 新宅
Nobushige Itaya
信重 板谷
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Sumika Fine Chemicals Co Ltd
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Sumika Fine Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で、簡便で、かつ効率のよい、α,α,
α−トリフルオロメチルフェニル置換安息香酸化合物
(化合物[II])の工業的製造方法、および安価で、簡便
な、α,α,α−トリフルオロメチルフェニル置換ベン
ズアルデヒド化合物(化合物[III])の製造方法。 【解決手段】 酸化剤として安価な次亜ハロゲン酸塩を
用いることによる化合物[II]の製造方法、およびある特
定量の次亜ハロゲン酸塩を用いることによる化合物[II
I]の製造方法。 【化1】 (式中、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水
素残基を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬(WO98/
23593に記載のCP−467688、およびUSP
5919795に記載のCP−319340)や農薬と
して有用な後記式[II]で表されるアリールカルボン酸化
合物の新規製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】医薬や農薬として有用なアリールカルボ
ン酸化合物の製造方法としては以下の方法が挙げられ
る。 アリールアルデヒド化合物を酸化させる方法(KMn
4を用いる)EP59983A1およびOrganic Prepa
ration and Procedures Int.,27(3),367-372(1995))。 ハロアリール化合物をグリニャール試薬または有機リ
チウム化合物に変換後、二酸化炭素を反応させる方法
(Journal of Organic Chemistry, 24, 504(1959),Jour
nal of the American Chemical Society, 61, 1371(193
9)など)。 アリールアミド化合物を加水分解する方法(例えば、
KOH、HCl、H3PO 4、酸性イオン交換樹脂などを
用いる)(例えば、Journal of Organic Chemistry, 1
5, 617(1950); Journal of the American Chemical Soc
iety, 63, 2494(1941)など)。 ハロアルキルアリール化合物を酸化させる方法(例え
ば、Cu(NO32、KMnO4、SeO2などを用い
る)(例えば、Journal of the Chemical Society,1847
(1935); Journal of Pharmaceutical Society Japan, 7
0, 538,(1950); Journal of the American Chemical So
ciety, 88, 3318(1966)など)。 アリールアルキル化合物を酸化させる方法(例えば、
KMnO4、K3Fe(CN)6、CrO3、Na2Cr2
7、HNO3(場合によってHg併用)などを用いる)
(例えば、Organic Syntheses, Coll Vol 2,135(1943);
Helvetica ChimicaActa, 14, 233(1931); Journal of
the American Chemical Society, 78, 1689(1956); Jou
rnal of Organic Chemistry, 26, 1759(1961); Bericht
e Der Deutschen Chemischen Gesellschaft,94,834(196
1): Journal of Organic Chemistry,25, 668(1960)な
ど)。
【0003】また、上記の方法で用いるアリールアル
デヒド化合物である4’−トリフルオロメチル−2−ビ
フェニルカルバルデヒドは、例えば、2−ブロモベンズ
アルデヒドのジメチルアセタール誘導体から得られるグ
リニャール試薬と4−ヨードベンゾトリフルオライドと
をクロスカップリングすることによって得られるビフェ
ニル化合物を、触媒としてヨード(4−トリフルオロメ
チルフェニル)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジ
ウム(II)の存在下、加水分解(脱保護)することに
よって得られるが、ここで使用されている触媒や原料は
高価であり、また工程が多いといった問題がある。
【0004】また、上記の方法ではCu(NO32
KMnO4、SeO2などを用いて酸化しており、これら
の酸化剤は高価であったり、また有毒であったりする。
これらのうち、KMnO4を使用した場合、反応後に不
溶物が生成するため、それを取り除く操作(濾過など)
が必要となる。このため、上記の方法は工業的に適用
するのは困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、安価で、効率がよく、工業的に有用な、ハロメチル
アリール化合物からアリールカルボン酸化合物を製造す
る方法を提供することである。また、その他の本発明の
目的は、ハロメチルアリール化合物から、安価に、簡便
にアリールアルデヒド化合物を製造する方法を提供する
ことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究を行い、アリールアルキル化合
物から容易に調製可能なハロアルキルアリール化合物を
原料とした上記の方法について、種々の酸化条件を検
討した結果、酸化剤として安価な次亜ハロゲン酸塩を用
いることにより、安価に、効率よく、反応を進行させる
ことができることを見出した。また、上記方法におい
て、次亜ハロゲン酸塩の使用量をある特定量とすること
により、ハロアルキルアリール化合物からアリールアル
デヒド化合物を得ることができることも合わせて見出
し、本発明を完成するに至った。上記方法で得られたア
リールアルデヒド化合物は、さらに次亜ハロゲン酸塩と
反応させることにより、アリールカルボン酸化合物とす
ることができる。
【0007】即ち、本発明は、(1)式[I]
【0008】
【化8】
【0009】(式中、Arは置換基を有していてもよい
芳香族炭化水素残基を示し、Xはハロゲン原子を示す)
で表されるハロメチルアリール化合物(以下、化合物
[I]という)を、次亜ハロゲン酸塩を用いて酸化させる
ことを特徴とする、式[II]
【0010】
【化9】
【0011】(式中、Arは前記と同義である)で表さ
れるアリールカルボン酸化合物(以下、化合物[II]とい
う)の製造方法、(2)次亜ハロゲン酸塩が、次亜ハロ
ゲン酸ナトリウム塩、次亜ハロゲン酸カリウム塩および
次亜ハロゲン酸カルシウム塩からなる群より選ばれるこ
とを特徴とする、上記(1)の製造方法、(3)次亜ハ
ロゲン酸塩が、次亜塩素酸塩および次亜臭素酸塩からな
る群より選ばれることを特徴とする、上記(1)製造方
法、(4)化合物[I]を、化合物[I]1モルに対して1〜
4モルの量の次亜ハロゲン酸塩を用いて酸化させること
を特徴とする、式[III]
【0012】
【化10】
【0013】(式中、Arは前記と同義である)で表さ
れるアリールアルデヒド化合物(以下、化合物[III]と
いう)の製造方法、および(5)化合物[I]を、化合物
[I]1モルに対して1〜4モルの量の次亜ハロゲン酸塩
を用いて酸化させて化合物[III]を得、次にこれをさら
に次亜ハロゲン酸塩を用いて酸化させることを特徴とす
る化合物[II]の製造方法に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
Arにおける「置換基を有していてもよい芳香族炭化水
素残基」の「芳香族炭化水素残基」としては、フェニ
ル、ナフチル、アンスリルなどが挙げられ、好ましくは
フェニルである。また、当該「置換基」としては、本発
明の酸化反応により影響を受けない置換基であれば特に
限定はなく、例えばアルキル、アルコキシ、カルボキシ
ル、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子、アリールなど;お
よびこれらがさらに置換されている基などが挙げられ
る。当該「これらがさらに置換されている基」として
は、例えばフェニル、ナフチルなどの置換基により置換
されている、アルキル、アルコキシ、カルボキシル、シ
アノ、ニトロ、ハロゲン原子、アリールなどが挙げられ
る。置換基の具体例としては、メチル、エチル、プロピ
ル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子、シアノ、フェニルなどが挙げられ
る。
【0015】上記アルキルとしては、好ましくは炭素数
1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルが挙げられ、例
えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピルが挙げら
れる。
【0016】上記アルコキシとしては、好ましくは炭素
数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシが挙げら
れ、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロ
ポキシが挙げられる。
【0017】上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、
塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられる。
【0018】上記アリールとしては、フェニル、ナフチ
ルなどが挙げられる。
【0019】Xにおけるハロゲン原子としては、塩素原
子、臭素原子またはヨウ素原子であり、反応性および調
製のし易さの点から臭素原子が特に好ましい。
【0020】本発明における化合物[I]の具体例として
は、臭化ベンジル、塩化ベンジル、3−クロロベンジル
クロライド、2−[4−(トリフルオロメチル)フェニ
ル]ベンジルブロミドなどが挙げられる。
【0021】本発明における化合物[II]の具体例として
は、安息香酸、3−クロロ安息香酸、2−[4−(トリ
フルオロメチル)フェニル]安息香酸などが挙げられ
る。
【0022】本発明における化合物[III]の具体例とし
ては、ベンズアルデヒド、3−クロロベンズアルデヒド
などが挙げられる。
【0023】次亜ハロゲン酸塩の1つであるNaOCl
は、27℃以上で徐々に分解し、また、pHが8未満に
なると不安定になり分解する(Journal of Organic Che
mistry, 1986, 51, 2880-2883)という性質を有してい
るため、本発明においてNaOClを使用する場合に
は、反応温度が25℃以下、pHが8以上、特に好まし
くは8〜10となる条件で行う必要がある。NaOCl
の添加は、反応が進行する限りどのように行ってもよ
い。例えば、本発明における化合物[I]から化合物[III]
の製造においてNaOClを用いる場合には、NaOC
l水溶液を添加または滴下するのが好ましい。また、N
aOClを用いて工業的に化合物[I]から化合物[II]を
製造する場合には、急激な発熱を防ぐため、NaOCl
は水溶液として滴下するのが好ましい。いずれの場合に
おいても、NaOClを分解させずに有効に使用するた
めには、反応系中に5〜20%程度のアルカリ水溶液
(例えば、NaOH、KOH、NaHCO3などの水溶
液)を添加して反応系のpHを上記範囲内に調整するこ
とが求められる。
【0024】本発明の方法においては、化合物[II]は、
化合物[I]を次亜ハロゲン酸塩で酸化させることによ
り、化合物[III]を経由して得られる。この方法では化
合物[II]を得ることは勿論のこと、次亜ハロゲン酸塩の
使用量を適宜調整することにより、化合物[III]を得る
ことも可能である。以下、化合物[II]の製造方法と化合
物[III]の製造方法とを別々に説明するが、これらは次
亜ハロゲン酸塩の使用量と添加方法以外は全て同じ条件
で行うことができる。
【0025】化合物[II]の製造方法 化合物[II]は、化合物[I]を次亜ハロゲン酸塩により酸
化させることにより得ることができる。具体的には、反
応溶媒中、化合物[II]を添加後、これに次亜ハロゲン酸
塩を添加、好ましくは水溶液として滴下することによ
り、化合物[II]を得ることができる。必要に応じて、反
応系に相間移動触媒をさらに添加してもよい。また、化
合物[I]を式[I']
【0026】
【化11】
【0027】(式中、Arは置換基を有していてもよい
芳香族炭化水素残基を示し、Xはハロゲン原子を示す)
で表される化合物[I']との混合物として本反応に付して
も特に問題はない。
【0028】化合物[II]の製造において、次亜ハロゲン
酸塩としては、次亜ハロゲン酸ナトリウム塩、次亜ハロ
ゲン酸カリウム塩および次亜ハロゲン酸カルシウム塩か
らなる群より選ばれるものであることが好ましい。ま
た、次亜ハロゲン酸塩が、次亜塩素酸塩および次亜臭素
酸塩からなる群より選ばれるものであることも好まし
い。好適な次亜ハロゲン酸塩の具体例としては、例えば
NaOCl、KOCl、NaOBr、Ca(OC
l)2、KOBr、Ca(OBr)2などが挙げられ、特
にNaOClが好ましい。NaOClは、通常12%水
溶液のものが市販されており、またNaOH水溶液中に
Cl2を吹き込むことにより調製することもできる。
【0029】次亜ハロゲン酸塩の使用量は、通常、化合
物[I]1モルに対して、好ましくは5〜10モル、より
好ましくは6〜8モルである。次亜ハロゲン酸塩の使用
量が上記範囲よりも少くなる程、生成物中に化合物[II
I] が存在するようになったり、生成物中の化合物[III]
の割合が増加するようになる。
【0030】化合物[II]の製造における相間移動触媒と
しては、例えばn−Bu4NBr、n−Bu4NHSO4
などが挙げられ、反応性の点からn−Bu4NBrが好
ましい。相間移動触媒の使用量は、化合物[I]1モルに
対して、好ましくは0.04〜0.07モル、より好ま
しくは0.05〜0.06モルである。
【0031】化合物[II]の製造における反応溶媒として
は、t−ブタノール、水、アセトニトリル、ハロゲン化
炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、エ
チレンクロリド、クロロベンゼンなど)、炭化水素類
(例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンな
ど)またはこれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましく
はt−ブタノールを含む混合溶媒が挙げられる。反応溶
媒の使用量は、化合物[I]1gに対して、好ましくは1
〜6ml、特に好ましくは1.5〜4mlである。
【0032】化合物[II]の製造における反応温度は、好
ましくは25℃以下、より好ましくは15〜25℃であ
り、反応時間は、好ましくは3〜24時間、より好まし
くは5〜16時間である。
【0033】化合物[II]の単離は、反応終了後、残存す
る次亜ハロゲン酸塩を還元剤(例えば、重亜硫酸ナトリ
ウム、チオ硫酸ナトリウムなど)で処理し、得られた反
応液を常法、例えばカラムクロマトグラフィーに付した
り、結晶化させることによって行うことができる。化合
物[II]の精製は、常法に従って行うことができる。化合
物[II]は単離することなく、次の工程に使用することも
できる。
【0034】化合物[III]の製造方法 化合物[III]は、次亜ハロゲン酸塩の使用量および添加
方法以外は、前記化合物[II]の製造方法と同様にするこ
とにより得ることができる。即ち、化合物[III]は、化
合物[I]を、化合物[I]1モルに対して1〜4モルの量の
次亜ハロゲン酸塩を用いて酸化させることにより得るこ
とができる。具体的には、反応溶媒中、化合物[I]を添
加後、これに上記特定量の次亜ハロゲン酸塩を添加、好
ましくは水溶液として添加または滴下することにより化
合物[III]を得ることができる。必要に応じて、反応系
に相間移動触媒をさらに添加してもよい。また、化合物
[I]を化合物[I']との混合物として本反応に付しても特
に問題はない。
【0035】化合物[III]の製造における次亜ハロゲン
酸塩としては、化合物[II]の製造における次亜ハロゲン
酸塩と同じものが挙げられ、好ましくはNaOClが挙
げられる。NaOClは、通常12%水溶液のものが市
販されており、またNaOH水溶液中にCl2を吹き込
むことにより調製することもできる。次亜ハロゲン酸塩
の使用量は、化合物[I]1モルに対して、通常1〜4モ
ル、好ましくは2〜3モルである。
【0036】化合物[III]の製造における相間移動触媒
としては、化合物[II]の製造において使用するものと同
じものが挙げられ、反応性の点からn−Bu4NBrが
好ましい。相間移動触媒の使用量は、化合物[I]1モル
に対して、好ましくは0.04〜0.07モル、より好
ましくは0.05〜0.06モルである。
【0037】化合物[III]の製造における反応溶媒とし
ては、化合物[II]の製造において使用するものと同じも
のが挙げられ、好ましくはt−ブタノールを含む混合溶
媒が挙げられる。反応溶媒の使用量としては、化合物
[I]1gに対して、好ましくは1.5ml〜6ml、よ
り好ましくは2ml〜4mlである。
【0038】化合物[III]の製造における反応温度は、
25℃以下、好ましくは15〜25℃であり、反応時間
は30分〜7時間、好ましくは1時間〜5時間である。
【0039】化合物[III]の単離および精製は、化合物
[II]の単離および精製と同様な方法により行うことがで
きる。
【0040】化合物[III]からの化合物[II]の製造 また、次亜ハロゲン酸塩を用いて、得られた化合物[II
I]を酸化させることにより、化合物[II]を得ることがで
きる。具体的には、反応溶媒中、化合物[III]を添加
後、これに次亜ハロゲン酸塩を添加、好ましくは水溶液
として滴下することにより、化合物[II]を得ることがで
きる。また、必要に応じて、反応系に相間移動触媒をさ
らに添加してもよい。
【0041】化合物[III]からの化合物[II]の製造にお
ける次亜ハロゲン酸塩としては、例えば化合物[I]から
化合物[II]を製造する際に使用するものと同様なものが
挙げられ、特に好ましくはNaOClである。NaOC
lは、通常12%水溶液のものが市販されており、また
NaOH水溶液中にCl2を吹き込むことにより調製す
ることもできる。次亜ハロゲン酸塩の使用量は、化合物
[III]1モルに対して、1モル〜6モル、好ましくは2
モル〜4モルである。
【0042】化合物[III]からの化合物[II]の製造にお
ける相間移動触媒としては、例えば化合物[I]から化合
物[II]を製造する際に使用するものと同様なものが挙げ
られ、特に好ましくはn−Bu4NBrである。相間移
動触媒の使用量は、化合物[III] 1モルに対して、0.
04モル〜0.07モル、好ましくは0.05モル〜
0.06モルである。
【0043】化合物[III]からの化合物[II]の製造にお
ける反応溶媒としては、例えば化合物[I]から化合物[I
I]を製造する際に使用するものと同様なものが挙げら
れ、好ましくはt−ブタノールが挙げられる。反応溶媒
の使用量は、化合物[III]1gに対して、好ましくは1
ml〜6ml、特に好ましくは1.5ml〜4mlであ
る。
【0044】化合物[III]からの化合物[II]の製造にお
ける反応温度は、化合物[I]から化合物[II]を製造する
場合と同様であり、反応時間は、好ましくは1時間〜1
5時間、より好ましくは2時間〜12時間である。
【0045】また、原料である化合物[III]は化合物[I]
から製造することができ、化合物[I]から化合物[III]を
製造後、化合物[III]を単離することなく、化合物[II]
の製造に使用することができる。この場合の上記各試薬
や溶媒の使用量は、上記各使用量における基準化合物を
化合物[III]の製造に使用する化合物[I]に変更すればよ
い。
【0046】化合物[III]から化合物[II]を製造した場
合の化合物[II]の単離および精製は、化合物[I]から化
合物[II]を製造した場合の化合物[II]の単離および精製
方法と同様に行うことができる。
【0047】化合物[I]の製造方法 原料化合物である化合物[I]は、式[IV]
【0048】
【化12】
【0049】(式中、Arは前記と同義である)で表さ
れる化合物(以下、化合物[IV]という)を、ハロゲン化
剤を用いてハロゲン化することにより製造することがで
きる。当該ハロゲン化に際しては、ラジカル開始剤(ア
ゾイソブチロニトリル(AIBN)など)を触媒量添加
するのが好ましい。このハロゲン化により、化合物[I]
は勿論のこと、化合物[I']も得ることができる。
【0050】ハロゲン化剤としては、反応が進行するも
のであれば特に限定はなく、通常使用されるハロゲン化
剤を使用することができ、例えば塩化スルフリル、リン
塩素化物(例えば、五塩化リンなど)、N−ブロモスク
シンイミド(NBS)、臭素、1,3−ジブロモ−5,
5−ジメチルヒダントインなどが挙げられ、好ましくは
経済性および操作性の面から臭素が特に好ましい。
【0051】ハロゲン化剤の使用量は、ハロゲン化剤の
種類などによって異なる。例えば、ハロゲン化剤として
臭素を用いる場合、ハロゲン化剤の使用量は、化合物[I
V]1モルに対して、好ましくは1モル〜1.7モル、よ
り好ましくは1.1モル〜1.5モルである。
【0052】ハロゲン化に使用する反応溶媒としては、
本発明のハロゲン化を阻害しない溶媒であれば特に限定
はなく、好ましくはクロロベンゼンである。
【0053】当該反応溶媒の使用量は、化合物[IV]1g
に対して、好ましくは2g〜15g、より好ましくは3
g〜10gである。
【0054】ハロゲン化における反応温度は、好ましく
は20〜90℃、より好ましくは40〜70℃であり、
反応時間は好ましくは3時間〜15時間、より好ましく
は5時間〜10時間である。
【0055】化合物[I]の単離および精製は常法で行う
ことができ、例えば反応終了後、減圧濃縮に付し、結晶
化に付すことにより行うことができる。化合物[I]の精
製は、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの常法で
行うことができる。また、化合物[I]と併せて化合物
[I']が得られている場合には、これらを分離することな
く化合物[II]および化合物[III]の製造に用いることが
できる。
【0056】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。以下の実施例において、特に断りのない限り、10
%NaOH水溶液を用いて、反応液のpHを8〜10に
調整した。参考例1(化合物[II]の製造) 500mlの4つ口フラスコに、2−メチルフェニル−
α,α,α−トリフルオロトルエン(40g、169.
3mmol)およびクロロベンゼン(200g)を加
え、60℃に加熱した。AIBN(0.28g、1.7
mmol)を添加し、60〜65℃の範囲で、臭素(3
1.2g、195.2mmol)を5時間かけて滴下し
た。滴下終了後、さらに1時間攪拌し、減圧濃縮した。
その後、n−ヘプタンから結晶化させて白色結晶として
2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンジル
ブロミド(16.2g、51.4mmol、液体クロマ
トグラフィー(LC)純度99.8%、収率30%)を
得た。
【0057】1H−NMR(400MHs,CDCl3
δ:7.72(d,J=7.8Hz,2H),7.57
(d,J=7.8Hz,2H),7.55(dd,J=
7.3,1.5Hz,1H),7.39(ddt,J=
7.3,7.3,1.5Hz,2H),7.23(d
d,J=7.3,1.5Hz,1H),4.40(s,
2H)
【0058】実施例1(化合物[I]からの化合物[II]の
製造) t−ブタノール(3ml)中、臭化ベンジル(1.0
g、5.9mmol)、およびn−Bu4NBr(0.
09g、0.3mmol)を順次加え、これに、12%
NaOCl水溶液(14.51g、23.4mmol)
を滴下し、内温25℃以下で攪拌した。2時間後、さら
に12%NaOCl水溶液(7.26g、11.7mm
ol)を滴下し、内温25℃以下で攪拌した。8時間攪
拌後、液体クロマトグラフィー(LC)分析した結果、
安息香酸が収率86.3%で生成しているのを確認し
た。
【0059】実施例2(化合物[I]からの化合物[II]の
製造) t−ブタノール(2ml)中、塩化ベンジル(1.0
g、7.9mmol)、およびn−Bu4NBr(0.
13g、0.4mmol)を順次加え、これに、12%
NaOCl水溶液(19.6g、31.6mmol)を
滴下し、内温25度以下で攪拌した。2時間後、さら
に、12%NaOCl水溶液(9.8g、15.8mm
ol)を滴下し、内温25℃以下で攪拌した。10時間
攪拌後、LC分析した結果、安息香酸が収率81.6%
で生成しているのを確認した。
【0060】実施例3(化合物[I]からの化合物[II]の
製造) t−ブタノール(2ml)中、3−クロロベンジルクロ
ライド(1.0g、5.9mmol)、およびn−Bu
4NBr(0.09g、0.3mmol)を順次加え、
これに、12%NaOCl水溶液(14.51g、2
3.4mmol)を滴下し、内温25℃以下で攪拌し
た。2時間後、さらに、12%NaOCl水溶液(7.
26g、11.7mmol)を滴下し、内温25℃以下
で攪拌した。10時間攪拌後、LC分析した結果、安息
香酸が収率64.4%で生成しているのを確認した。
【0061】実施例4(化合物[III]の製造) t−ブタノール(3ml)中、臭化ベンジル(1.0
g、5.9mmol)、およびn−Bu4NBr(0.
09g、0.3mmol)を順次加え、これに、12%
NaOCl水溶液(11.0g、17.73mmol)
を滴下し、内温25℃以下で攪拌した。2時間後、液体
クロマトグラフィー(LC)分析した結果、ベンズアル
デヒドが収率75%で生成しているのを確認した。確認
後、過剰のNaOClを重亜硫酸ナトリウム水溶液で処
理し、5NHCl水溶液を加えてpHを約1にした。そ
の後、これを酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マ
グネシウムで乾燥した。これをろ過して減圧濃縮後、I
R分析することにより、ベンズアルデヒドであることが
確認できた。 IR(液膜):1700、1205、827cm-1
【0062】実施例5(化合物[III]を経由した化合物
[I]からの化合物[II]の製造) t−BuOH(3ml)中に臭化ベンジル(1.0g、
5.9mmol)およびn−Bu4NBr(0.09
g、0.3mmol)を順次加え、12%NaOCl水
溶液(11.0g、17.7mmol)を滴下し、内温
25℃以下で攪拌した。3時間後、LC分析した結果、
ベンズアルデヒドが収率74%で得られているのを確認
した。更に、12%NaOCl水溶液(11.0g、1
7.7mmol)を滴下し、内温25℃以下で10時間
攪拌した。LC分析した結果、安息香酸がベンズアルデ
ヒドから収率86.3%で得られているのを確認した。
確認後、過剰のNaOClを重亜硫酸ナトリウム水溶液
で処理し、5NHCl水溶液を加えてpHを約1にし
た。その後、これを酢酸エチルで抽出し、有機層を無水
硫酸マグネシウムで乾燥した。これをろ過して減圧濃縮
することにより、安息香酸590mgが得られた。 IR(ヌジョール):1675、935、707cm-1
【0063】実施例6(化合物[I]からの化合物[II]の
製造) 50mlの4つ口フラスコに、参考例1で得られた2−
[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンジルブロ
ミド(化合物[i]、2g、6.3mmol)、t−ブタ
ノール(3ml)、n−Bu4NBr(0.10g、
0.3mmol)および12%NaOCl水溶液(1
5.56g、25.2mmol)を順次加え、25℃以
下で攪拌した。2時間後、さらに12%NaOCl水溶
液(7.26g、11.7mmol)を滴下した。滴下
後、25℃以下で10時間攪拌し、得られた反応液につ
いてLC分析を行った結果、86.3%の化合物[i]が
2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]安息香酸
に変換されたことが分かった。
【0064】実施例7(化合物[I]からの化合物[II]の
製造) 2−メチルフェニル−α,α,α−トリフルオロトルエ
ン(20g、84.7mmol)、AIBN(0.15
g、0.9mmol)および臭素(17.7g、11
0.7mmol)を用いて参考例1と同様な方法により
得られた2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]
ベンジルブロミドおよび2−[4−(トリフルオロメチ
ル)フェニル]ベンジルジブロミドを含む反応液を濃縮
後、これにt−ブタノール(20ml)およびn−Bu
4NBr(1.36g、4.2mmol)を順次加え、
25℃以下で攪拌した。その後、反応系のpHが8〜1
0の範囲内で、12%NaOCl水溶液(351.7
g、567.0mmol)を滴下した。滴下後、25℃
以下で10時間攪拌した。反応終了後、過剰のNaOC
lを重亜硫酸ナトリウム水溶液で処理し、5NHCl水
溶液を加え、pHを約1にした後、トルエン(50ml
×2)で抽出した。抽出液の溶媒を除去し、イソプロピ
ルアルコール−水の混合溶媒から結晶化させることによ
り、2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]安息
香酸18.4g(収率82%)を得た。
【0065】
【発明の効果】本発明の方法により、ハロメチルアリー
ル化合物からアリールカルボン酸化合物を、安価に、効
率よく、工業的に有用に製造することができ、また、ハ
ロメチルアリール化合物からアリールアルデヒド化合物
を、安価に、簡便に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 63/06 C07C 63/06 63/10 63/10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式[I] 【化1】 (式中、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水
    素残基を示し、Xはハロゲン原子を示す)で表されるハ
    ロメチルアリール化合物を、次亜ハロゲン酸塩を用いて
    酸化させることを特徴とする、式[II] 【化2】 (式中、Arは前記と同義である)で表されるアリール
    カルボン酸化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 次亜ハロゲン酸塩が、次亜ハロゲン酸ナ
    トリウム塩、次亜ハロゲン酸カリウム塩および次亜ハロ
    ゲン酸カルシウム塩からなる群より選ばれることを特徴
    とする、請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 次亜ハロゲン酸塩が、次亜塩素酸塩およ
    び次亜臭素酸塩からなる群より選ばれることを特徴とす
    る、請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 式[I] 【化3】 (式中、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水
    素残基を示し、Xはハロゲン原子を示す)で表されるハ
    ロメチルアリール化合物を、当該式[I]の化合物1モル
    に対して1〜4モルの量の次亜ハロゲン酸塩を用いて酸
    化させることを特徴とする、式[III] 【化4】 (式中、Arは前記と同義である)で表されるアリール
    アルデヒド化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 式[I] 【化5】 (式中、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水
    素残基を示し、Xはハロゲン原子を示す)で表されるハ
    ロメチルアリール化合物を、当該式[I]の化合物1モル
    に対して1〜4モルの量の次亜ハロゲン酸塩を用いて酸
    化させて、式[III] 【化6】 (式中、Arは前記と同義である)で表されるアリール
    アルデヒド化合物を得、次にこれをさらに次亜ハロゲン
    酸塩を用いて酸化させることを特徴とする、式[II] 【化7】 (式中、Arは前記と同義である)で表されるアリール
    カルボン酸化合物の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100508684B1 (ko) * 2002-04-12 2005-08-17 한국화학연구원 방향족 카르복시산의 제조방법
WO2008143265A1 (ja) * 2007-05-22 2008-11-27 Sumitomo Chemical Company, Limited ベンズアルデヒド化合物の製造法

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