JPH09188659A - 含ハロゲン芳香族ニトリル化合物の製造方法 - Google Patents

含ハロゲン芳香族ニトリル化合物の製造方法

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JPH09188659A
JPH09188659A JP257596A JP257596A JPH09188659A JP H09188659 A JPH09188659 A JP H09188659A JP 257596 A JP257596 A JP 257596A JP 257596 A JP257596 A JP 257596A JP H09188659 A JPH09188659 A JP H09188659A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、従来技術が有していた反応の制御
が困難である、純度が低くなる、製造工程が煩雑である
等の問題点を解決する工業的で簡便な含ハロゲン芳香族
ニトリル化合物の製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明は、一般式(I) 【化1】 (式中、Xは塩素または臭素を表し、j、k、lおよび
mは、jとkが0〜3、lが1〜5、mが1〜2で、か
つj+k+l+m=6を満足する整数である)で表され
る化合物を、水と2相状態になる溶媒と水との混合溶媒
中で、固体金属と反応させることを特徴とする一般式
(II) 【化2】 (式中、Xは塩素または臭素を表し、j、k、l、mお
よびnは、jとkが0〜3、lとnが1〜5、mが1〜
2で、かつl≧n、j+k+l+m=6、ただし、同時
にl=n、k=0ではない、を満足する整数である)で
表される含ハロゲン芳香族ニトリル化合物の製造方法に
よって達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下記一般式(II)
【0002】
【化4】
【0003】(式中、Xは塩素または臭素を表す。ま
た、j、k、l、mおよびnは、jとkが0〜3、lと
nが1〜5、mが1〜2で、かつl≧n、j+k+l+
m=6を満足する整数である。ただし、同時にl=n、
k=0ではない。)で表される含ハロゲン芳香族ニトリ
ル化合物(以下、単に下記一般式(II)の含ハロゲン芳
香族ニトリル化合物ともいう)および下記一般式(III)
【0004】
【化5】
【0005】(式中、Xは塩素または臭素を表す。ま
た、j、k、l、m、nおよびsは、jとkが0〜3、
lが2〜5、nとsが1〜4、mが1〜2で、かつ0<
l−n−s<3、j+k+l+m=6を満足する整数で
ある。)で表される含ハロゲン芳香族ニトリル化合物
(以下、単に下記一般式(III)の含ハロゲン芳香族ニト
リル化合物ともいう)の製造方法に関するものである。
【0006】本発明によって提供される上記一般式(I
I)の含ハロゲン芳香族ニトリル化合物および上記一般
式(III)の含ハロゲン芳香族ニトリル化合物は、高分子
材料、農薬、医薬などの出発原料として有用であり、特
に医薬品合成における出発原料として有用である。
【0007】
【従来の技術】本発明における含ハロゲン芳香族ニトリ
ル化合物の中で、例えば、3,5,6−トリフルオロフ
タロニトリルの製造方法について、米国特許5,15
3,350号に記載されている。その方法は、3,4,
5,6−テトラクロロフタロニトリルを、テトラヒドロ
フランと水の混合溶媒中、亜鉛と硫酸を用い、60℃で
5分間脱ハロゲン化反応を行い、3,5,6−トリクロ
ロフタロニトリルを単離した後、テトラメチレンスルホ
ン中フッ化カリウムと185℃で6時間ハロゲン交換反
応を行い、3,5,6−トリフルオロフタロニトリルを
得る方法である。しかしながら、この方法の脱ハロゲン
化反応では、出発原料の3,4,5,6−テトラクロロ
フタロニトリルが溶媒に溶解していないこと、亜鉛を必
要量の3倍とかなりの過剰量を用いていることから反応
の制御が非常に難しいという問題点を有している。ま
た、後記の参考例1に記載したように脱ハロゲン化反応
が過剰に進んでしまった3,6−ジクロロフタロニトリ
ルがかなり大量に生成し、目的物の純度が低下してしま
うという問題点も有している。さらに、その後ハロゲン
交換反応を行うためには、一旦、3,5,6−トリクロ
ロニトリルを単離し再び溶媒に溶解させる必要があり、
製造工程が非常に煩雑になる問題点も有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術が有していた、反応の制御が困難である、純度が低
くなる、製造工程が煩雑である等の問題点を解決すべく
なされたものであり、工業的で簡便な上記一般式(II)
の含ハロゲン芳香族ニトリル化合物および上記一般式
(III)の含ハロゲン芳香族ニトリル化合物の製造方法を
提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記に示す脱
ハロゲン化反応、およびハロゲン交換反応により達成す
ることができる。
【0010】(1)脱ハロゲン化反応 すなわち、本発明の目的は、下記一般式(I)
【0011】
【化6】
【0012】(式中、Xは塩素または臭素を表す。ま
た、j、k、lおよびmは、jとkが0〜3、lが1〜
5、mが1または2であって、かつj+k+l+m=6
を満足する整数である。)で表される化合物(以下、単
に一般式(I)の化合物ともいう)を、水と2相状態に
なる溶媒と水との混合溶媒中で、固体金属と反応させ一
般式(II)の含ハロゲン芳香族ニトリル化合物の製造方
法により達成される。
【0013】また、本発明の目的は、前記一般式(I)
の化合物および前記一般式(II)の化合物のXが塩素、
mが2である一般式(II)の含ハロゲン芳香族ニトリル
化合物の製造方法により達成される。
【0014】さらに、本発明の目的は、前記一般式
(I)の化合物が、3,4,5,6−テトラクロロフタ
ロニトリルであり、一般式(II)の含ハロゲン芳香族ニ
トリル化合物が、3,5,6−トリクロロフタロニトリ
ルである一般式(II)の含ハロゲン芳香族ニトリル化合
物の製造方法によっても達成される。
【0015】さらにまた、本発明の目的は、水と2相状
態になる前記溶媒が、ベンゾニトリルである一般式(I
I)の含ハロゲン芳香族ニトリル化合物の製造方法によ
っても達成される。
【0016】(2)ハロゲン交換反応 また、本発明の目的は、上記(1)の脱ハロゲン化反応
で得られた一般式(II)の含ハロゲン芳香族ニトリル化
合物の中で塩素または臭素を含む化合物を、溶媒中でフ
ッ素化剤と加熱することで一般式(III)の含ハロゲン芳
香族ニトリル化合物の製造方法により達成される。
【0017】さらに、本発明の目的は、上記一般式(I
I)で表される含ハロゲン芳香族ニトリル化合物および
溶媒が、一般式(II)で表される含ハロゲン芳香族ニト
リル化合物を製造した反応混合物より水を分離したもの
である、一般式(III)の含ハロゲン芳香族ニトリル化合
物の製造方法によっても達成される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る含ハロゲン芳
香族ニトリル化合物の製造方法の実施の形態として、
(1)脱ハロゲン化反応による製造方法、(2)ハロゲ
ン交換反応による製造方法のそれぞれ別けて、その実施
の形態を詳述する。
【0019】(1) 脱ハロゲン化反応による製造方法
の場合の実施形態につき説明する。
【0020】脱ハロゲン化反応による製造方法では、一
般式(I)の化合物を、水と2相状態になる溶媒と水と
の混合溶媒中、固体金属と反応させ、一般式(II)の含
ハロゲン芳香族ニトリル化合物を得るとするものであ
る。
【0021】上記(1)の脱ハロゲン化反応に用いられ
る一般式(I)の化合物としては、例えば、3,4,
5,6−テトラクロロフタロニトリル、ペンタクロロベ
ンゾニトリル、3,5−ジクロロ−2,4,6−トリフ
ルオロベンゾニトリル、3,4,5,6−テトラブロモ
フタロニトリル、ペンタブロモベンゾニトリル、及び
3,5−ジブロモ−2,4,6−トリフルオロベンゾニ
トリルなどが挙げられる。そして、上記(1)の脱ハロ
ゲン化反応により得られる一般式(II)の含ハロゲン芳
香族ニトリル化合物としては、例えば、3,5,6−ト
リクロロフタロニトリル、2,3,5,6−テトラクロ
ロベンゾニトリル、2,4,6−トリフルオロベンゾニ
トリル、3,5,6−トリブロモフタロニトリル、及び
2,3,5,6−テトラブロモベンゾニトリルなどが挙
げられる。
【0022】また、上記(1)の脱ハロゲン化反応で使
用する溶媒は、常温あるいは反応温度において水と2相
状態になる溶媒と水との混合溶媒である。溶媒に、水と
2相状態になる溶媒を用いることで、上記一般式(I)
の化合物を完全に溶解させることができ、反応が均一に
進行するようになり、また、水相が存在するため温度制
御が容易となり、反応の制御が容易になる。そのため、
反応が過剰に進行せず反応の選択率がかなり向上するも
のである。
【0023】水と2相状態になる溶媒としては、常温あ
るいは反応温度で出発原料である上記一般式(I)の化
合物と上記一般式(II)の含ハロゲン芳香族ニトリル化
合物を溶解し得るものであれば問題ないが、ベンゾニト
リル、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、
ジイソプロピルエーテル、酢酸エチルなどが好ましく、
特にベンゾニトリルが好ましい。水と2相状態になる溶
媒の使用量は、出発原料を溶解する以上の量であれば特
に問題はないが、通常上記一般式(I)の化合物1重量
部に対して3〜50重量部、好ましくは5〜30重量部
を用いるのが良い。溶媒の使用量が少ない場合には反応
の制御が困難になり、溶媒の使用量が多い場合には生産
効率が低下し好ましくない。水の使用量は、特に制限さ
れるわけではないが、通常上記一般式(I)の化合物1
重量部に対して1〜50重量部、好ましくは5〜30重
量部用いるのがよい。水の使用量が少ない場合には反応
の制御が困難になり、水の使用量が多い場合には生産効
率が低下し好ましくない。なお、上記混合溶媒として用
いる場合には、水と2相状態になる溶媒と水の各成分を
それぞれ上述の範囲内で適当に配合したものであれば、
両成分の配合比率は特に制限されるものでない。
【0024】上記(1)の脱ハロゲン化反応で使用する
固体金属としては、亜鉛、錫、鉄、ニッケル、アルミニ
ウムなどの金属単体であっても良く、亜鉛アマルガム、
錫アマルガム、アルミニウムアマルガム、アルミニウム
・ニッケル合金などの合金であってもよい。これらの中
で、入手の容易性や反応性などから、金属単体を用いる
のが好ましく、特に亜鉛を用いるのが好ましい。
【0025】上記亜鉛の使用量は、理論的にはハロゲン
1分子を脱ハロゲン反応するために1分子の亜鉛が必要
となるため、上記一般式(I)の化合物中のハロゲン1
分子を脱ハロゲンするためには、1分子存在すればよい
が、通常0.8〜2.0分子、好ましくは0.9〜1.
5分子存在させるのがよい。2分子のハロゲンを脱ハロ
ゲン反応するためには上記の量の2倍の亜鉛を使用すれ
ばよい。なお、ここでは、上記固体金属の好適な一態様
である亜鉛につき説明したが、他の固体金属においても
同様の原則が当てはまるものであり、それぞれの固体金
属に適した使用量を適宜選択すれば良い。
【0026】上記(1)の脱ハロゲン化反応では、特に
加えなくともよいが、触媒として無機酸、有機酸、無機
塩および有機塩などを加えて反応を行うことができる。
これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して
用いてもよい。これらを加えることで反応速度が速くな
り、反応を効率よく行うことができるようになる。加え
る触媒は、無機酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝
酸、リン酸などが挙げられ、有機酸としては、例えば、
酢酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸などが挙げられ、
無機塩としては、例えば、硫酸アンモニウム、硫酸ナト
リウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素
カリウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カ
リウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、硝酸アンモニ
ウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウ
ム、硝酸バリウム、リン酸アンモニウム、リン酸一水素
アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸ナト
リウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリ
ウム、リン酸カリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸
二水素カリウムなどが挙げられ、有機塩としては、例え
ば、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウ
ム、クエン酸アンモニウム、クエン酸水素アンモニウ
ム、クエン酸ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、ク
エン酸カリウム、クエン酸水素カリウム、酒石酸アンモ
ニウム、酒石酸水素アンモニウム、酒石酸ナトリウム、
酒石酸水素ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸水素カ
リウム、フタル酸アンモニウム、フタル酸水素アンモニ
ウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸水素ナトリウム、
フタル酸カリウム、フタル酸水素カリウムなどが挙げら
れる。これらの中で、無機酸を用いるのが好ましく、特
に硫酸を用いるのが好ましい。
【0027】上記触媒の使用量は、無機酸、有機酸、無
機塩および有機塩を合計した量で、一般式(I)の化合
物1モルに対して0.01〜10モル、特に0.1〜5
モルの範囲で用いるのが好ましい。
【0028】上記(1)の脱ハロゲン化反応では、反応
系に相間移動触媒を存在させてもよい。すなわち、相間
移動触媒を存在させると反応速度が速くなり、反応時間
を短縮できる利点がある。
【0029】相間移動触媒としては、例えば、ジベンゾ
−18−クラウン−6−エーテルなどのクラウン化合
物、テトラブチルアンモニウムブロマイドなどの4級ア
ンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムブロマイドな
どのホスホニウム塩が使用できる。
【0030】相間移動触媒の添加量としては、一般式
(I)の化合物1モルに対して0.01〜0.25モル
が適当である。
【0031】上記(1)の脱ハロゲン化反応での反応温
度は、通常40〜180℃の範囲で行うことができる
が、好ましくは60〜160℃の範囲で行うのがよい。
反応温度が高い場合には反応の制御が困難になることや
副生成物が生成するといった問題が生ずる。反応温度が
低い場合には反応速度が低下し生産性が悪くなってしま
う。
【0032】上記(1)の脱ハロゲン化反応での反応時
間は、使用する固体金属および触媒の種類や量、反応温
度などにより異なるが、通常0.25〜12時間で行う
ことができる。
【0033】反応終了後、反応混合物は、有機層と水層
の2層に分離している。上記一般式(II)の含ハロゲン
芳香族ニトリル化合物を単離する場合には、水層を除去
し、有機層を蒸発乾固することで行うことができる。
【0034】(2) ハロゲン交換反応による製造方法
の場合の実施形態につき説明する。
【0035】ハロゲン交換反応による製造方法では、上
記(1)の脱ハロゲン化反応による製造方法で得られた
一般式(II)の含ハロゲン芳香族ニトリル化合物のうち
で塩素および/または臭素を含む化合物を、溶媒中でフ
ッ素化剤と加熱することで一般式(III)の含ハロゲン芳
香族ニトリル化合物を得ることができる。
【0036】上記(2)のハロゲン交換反応に用いられ
る一般式(II)の含ハロゲン芳香族ニトリル化合物は、
上記(1)の脱ハロゲン化反応による製造方法で得られ
た一般式(II)の含ハロゲン芳香族ニトリル化合物のう
ち、塩素または臭素を含む化合物であればよく、例え
ば、3,5,6−トリクロロフタロニトリル、2,3,
5,6−テトラクロロベンゾニトリル、3,5,6−ト
リブロモフタロニトリル、及び2,3,5,6−テトラ
ブロモベンゾニトリルなどが挙げられる。そして、
(2)のハロゲン交換反応により得られる一般式(III)
の含ハロゲン芳香族ニトリル化合物としては、例えば、
3,5,6−トリフルオロフタロニトリル、及び2,
3,5,6−テトラフルオロベンゾニトリルなどが挙げ
られる。
【0037】また、上記(2)のハロゲン交換反応で使
用される溶媒としては、一般式(II)の含ハロゲン芳香
族ニトリル化合物を溶解する溶媒であれば特に限定され
ないが、ベンゾニトリル、スルホラン、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシドなどが好ましく、中でも
(1)の脱ハロゲン化反応後一般式(II)の含ハロゲン
芳香族ニトリル化合物のうちで塩素および/または臭素
を含む化合物を反応混合物から単離することなく、水を
分離するといった簡便な反応操作を行うだけで、ハロゲ
ン交換反応に用いることが可能となり、工程が簡略化さ
れることから、一般式(II)の含ハロゲン芳香族ニトリ
ル化合物のうちで塩素および/または臭素を含む化合物
を含む水と2相状態になる溶媒と水との混合溶媒から水
を分離した水と2相状態になる溶媒、具体的にはベンゾ
ニトリルが特に好ましい。
【0038】上記溶媒の使用量は、出発原料を溶解する
以上の量であれば特に問題はないが、通常上記一般式
(II)の含ハロゲン芳香族ニトリル化合物1重量部に対
して3〜60重量部、好ましくは6〜35重量部の範囲
で用いるのがよい。該溶媒の使用量が少ない場合には反
応の制御が困難になり、溶媒の使用量が多い場合には生
産効率が低下し好ましくない。
【0039】上記(2)のハロゲン交換反応で使用する
フッ素化剤としては、ハロゲン交換反応できるものであ
れば特に限定はないが、例えば、フッ化ナトリウム、フ
ッ化カリウムなどのアルカリ金属のフッ化物、フッ化カ
ルシウム、フッ化バリウムなどのアルカリ土類金属のフ
ッ化物が用いられる。これらの中で、アルカリ金属のフ
ッ化物を用いるのが好ましく、特にフッ化カリウムを用
いるのが好ましい。該フッ素化剤の使用量は、フッ化カ
リウムの場合、交換すべき塩素および/または臭素1分
子に対してフッ化カリウムが1分子必要となるため、上
記一般式(II)の含ハロゲン芳香族ニトリル化合物1モ
ルに対して、1〜12モルの範囲で使用するのが好まし
く、特に1〜8モルの範囲で使用するのが好ましい。な
お、ここでは、上記フッ素化剤の特に好適な一態様であ
るフッ化カリウムにつき説明したが、他のフッ素化剤に
おいても同様の原則が当てはまるものであり、それぞれ
のフッ素化剤に適した使用量を適宜選択すれば良い。
【0040】上記(2)のハロゲン交換反応の際の加熱
温度は、通常120〜400℃の範囲で行うことができ
るが、好ましくは150〜300℃の範囲で行うのがよ
い。加熱温度が高い場合には炭化物が生成し収率が低下
する。加熱温度が低い場合には反応速度が低下し生産性
が悪くなり、また交換すべき塩素および/または臭素が
完全にフッ素に置換されていない化合物が生成し易くな
り収率が低下してしまう。
【0041】上記(2)のハロゲン交換反応では、反応
系に相間移動触媒を存在させてもよい。すなわち、相間
移動触媒を存在させると反応速度が速くなり、反応時間
を短縮できる利点がある。上記相間移動触媒としては、
例えば、ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテルなど
のクラウン化合物、分子量300〜600のポリエチレ
ングリコール、テトラブチルアンモニウムブロマイドな
どのアンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムブロマ
イドなどのホスホニウム塩などが使用できる。
【0042】上記相間移動触媒の添加量としては、上記
一般式(II)の含ハロゲン芳香族ニトリル化合物1モル
に対して、0.01〜0.25モルが適当である。
【0043】上記(2)のハロゲン交換反応の反応時間
は、フッ素化剤の種類や量、加熱温度、相間移動触媒の
有無などにより異なるが、通常2〜48時間で行うこと
ができる。
【0044】上記(2)のハロゲン交換反応の反応終了
後、反応で副生した塩化カリウムや塩化ナトリウムの無
機塩などを瀘過により分離し、その後蒸発乾固、蒸留な
どにより上記一般式(III)の含ハロゲン芳香族ニトリル
化合物を得ることができる。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。
【0046】実施例1 撹拌装置、冷却還流管、温度計を備えた500ml三ツ
口フラスコに、3,4,5,6−テトラクロロフタロニ
トリル10g(37.6mmol)をベンゾニトリル2
00mlで溶解した。そこへ、亜鉛3.18g(48.
7mmol)、水50mlおよび濃硫酸3.84g(3
7.6mmol)を加えた。その後、100℃まで加熱
し4時間反応を行った。反応終了後、冷却し、分液によ
り水層を分離した。得られた有機層を蒸発乾固すること
で生成物7.8gを得た。ガスクロマトグラフィーで分
析を行ったところ、3,4,5,6−テトラクロロフタ
ロニトリルが3.0%、3,5,6−トリクロロフタロ
ニトリルが79.1%、3,6−ジクロロフタロニトリ
ルが17.9%であることがわかった。
【0047】実施例2 撹拌装置、冷却還流管、温度計を備えた500ml三ツ
口フラスコに、3,4,5,6−テトラクロロフタロニ
トリル10g(37.6mmol)をベンゾニトリル2
00mlで溶解した。そこへ、亜鉛2.7g(41.3
mmol)、水50mlおよび濃硫酸7.68g(7
5.2mmol)を加えた。その後、100℃まで加熱
し4時間反応を行った。反応終了後、冷却し、分液によ
り水層を分離した。得られた有機層をガスクロマトグラ
フィーで分析を行ったところ、3,4,5,6−テトラ
クロロフタロニトリルが12.8%、3,5,6−トリ
クロロフタロニトリルが79.4%、3,6−ジクロロ
フタロニトリルが7.8%であることがわかった。
【0048】撹拌装置を備えた300mlオートクレー
ブに、得られた有機層とフッ化カリウム13g(224
mmol)を加え、250℃で10時間反応を行った。
反応終了後、冷却し、得られた溶液を瀘過し、蒸留する
ことで純度99.0%の3,5,6−トリフルオロフタ
ロニトリル4.9gを得た。
【0049】実施例3 撹拌装置、冷却還流管、温度計を備えた500ml三ツ
口フラスコに、ペンタクロロベンゾニトリル10g(3
6mmol)をベンゾニトリル150mlで溶解した。
そこへ、亜鉛2.62g(40mmol)、水10ml
および濃硫酸3.53g(36mmol)を加えた。そ
の後、80℃まで加熱し6時間反応を行った。反応終了
後、冷却し、分液により水層を分離した。得られた有機
層をガスクロマトグラフィーで分析を行ったところ、
2,3,5,6−テトラクロロベンゾニトリルが83.
5%、2,3,4,5−テトラクロロベンゾニトリルが
5.0%であることがわかった。
【0050】撹拌装置を備えた300mlオートクレー
ブに、得られた有機層とフッ化カリウム16.73g
(288mmol)を加え、200℃で8時間反応を行
った。反応終了後、冷却し、得られた溶液を瀘過し、蒸
留することで純度99.0%の2,3,5,6−テトラ
フルオロベンゾニトリル4.72gを得た。
【0051】実施例4 撹拌装置、冷却還流管、温度計を備えた500ml三ツ
口フラスコに、3,5−ジクロロ−2,4,6−トリフ
ルオロベンゾニトリル10g(44mmol)をベンゾ
ニトリル100mlで溶解した。そこへ、亜鉛6.54
g(100mmol)、水20mlおよび濃硫酸11.
77g(120mmol)を加えた。その後、130℃
まで加熱し3時間反応を行った。反応終了後、冷却し、
分液により水層を分離した。得られた有機層をガスクロ
マトグラフィーで分析を行ったところ、2,4,6−ト
リフルオロベンゾニトリルが95%であることがわかっ
た。
【0052】参考例1 撹拌装置、冷却還流管、温度計を備えた500ml三ツ
口フラスコに、3,4,5,6−テトラクロロフタロニ
トリル10g(37.6mmol)、水250ml、テ
トラヒドロフラン60mlを加え混合した。そこへ、亜
鉛7.4g(112.8mmol)、濃硫酸7.5ml
を加えた。その後、溶液が均一になるまで撹拌し、さら
に50℃で5分間反応を行った。反応終了後、瀘過し、
テトラヒドロフランを減圧下除去した。得られた水溶液
よりジクロロメタン120mlで2回抽出を行った。得
られた有機層をガスクロマトグラフィーで分析を行った
ところ、3,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル
が0%、3,5,6−トリクロロフタロニトリルが6
0.3%、3,6−ジクロロフタロニトリルが35.6
%であることがわかった。
【0053】
【発明の効果】本発明の含ハロゲン芳香族ニトリル化合
物の製造方法では、従来技術が有していた、反応の制御
が困難である、純度が低くなる、製造工程が煩雑である
等の問題点を解決し得たものであり、これにより、工業
的で簡便な上記一般式(II)の含ハロゲン芳香族ニトリ
ル化合物および上記一般式(III)の含ハロゲン芳香族ニ
トリル化合物の製造方法を提供できるものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (式中、Xは塩素または臭素を表す。また、j、k、l
    およびmは、jとkが0〜3、lが1〜5、mが1また
    は2であって、かつj+k+l+m=6を満足する整数
    である。)で表される化合物を、水と2相状態になる溶
    媒と水との混合溶媒中で、固体金属と反応させることを
    特徴とする下記一般式(II) 【化2】 (式中、Xは塩素または臭素を表す。また、j、k、
    l、mおよびnは、jとkが0〜3、lとnが1〜5、
    mが1〜2で、かつl≧n、j+k+l+m=6を満足
    する整数である。ただし、同時にl=n、k=0ではな
    い。)で表される含ハロゲン芳香族ニトリル化合物の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記一般式(I)の化合物および前記一
    般式(II)の化合物のXが塩素、mが2である請求項1
    に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記一般式(I)の化合物が、3,4,
    5,6−テトラクロロフタロニトリルであり、前記一般
    式(II)の化合物が、3,5,6−トリクロロフタロニ
    トリルである請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 水と2相状態になる前記溶媒が、ベンゾ
    ニトリルである請求項1〜3のいずれか1項に記載の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかで得られた前記
    一般式(II)で表される含ハロゲン芳香族ニトリル化合
    物のうちで塩素および/または臭素を含む化合物を、溶
    媒中でフッ素化剤と加熱することを特徴とする下記一般
    式(III) 【化3】 (式中、Xは塩素または臭素を表す。また、j、k、
    l、m、nおよびsは、jとkが0〜3、lが2〜5、
    nとsが1〜4、mが1〜2で、かつ0<l−n−s<
    3、j+k+l+m=6を満足する整数である。)で表
    される含ハロゲン芳香族ニトリル化合物の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記一般式(II)で表される含ハロゲン
    芳香族ニトリル化合物および溶媒が、一般式(II)で表
    される含ハロゲン芳香族ニトリル化合物を製造した反応
    混合物より水を分離したものである、請求項5に記載の
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020152711A1 (en) * 2019-01-25 2020-07-30 Srf Limited Process for preparation of halogenated benzylamine and intermediates therof
CN112457197A (zh) * 2020-11-26 2021-03-09 浙江丽晶化学有限公司 一种化合物2,4,6-三氟苄胺的制备方法

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