JP2001313206A - R−t−n系異方性磁粉およびその製造方法ならびにr−t−n系異方性ボンド磁石 - Google Patents

R−t−n系異方性磁粉およびその製造方法ならびにr−t−n系異方性ボンド磁石

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JP2001313206A JP2000129784A JP2000129784A JP2001313206A JP 2001313206 A JP2001313206 A JP 2001313206A JP 2000129784 A JP2000129784 A JP 2000129784A JP 2000129784 A JP2000129784 A JP 2000129784A JP 2001313206 A JP2001313206 A JP 2001313206A
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幹夫 新藤
Katsunori Iwasaki
克典 岩崎
Masahiro Tobise
飛世  正博
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気特性の耐熱性が優れており、かつ高い(B
H)max、さらには良好な着磁性を有するR−T−N系異
方性磁粉、製造方法およびR−T−N系異方性ボンド磁
石を提供する。 【解決手段】 主要成分組成が、重量百分率で、R(R
はYを含む希土類元素の少なくとも1種であり、Smを
必ず含む)20〜30%、N2.5〜3.5%、残部T(TはFe
またはFeとCoである)および不可避的不純物からな
る、平均粒径が5〜300μmのR−T−N系異方性磁粉
であって、前記R−T−N系異方性磁粉は微細な2−17
型硬質磁性相の再結晶粒の集合体から実質的になり、平
均再結晶粒径が0.02〜5μmでありかつ再結晶粒径が5
μm以下の再結晶粒の面積比率が90%以上であることを
特徴とするR−T−N系異方性磁粉。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、改良されたR−T
−N系異方性磁粉(RはYを含む希土類元素の少なくと
も1種でありSmを必ず含み、TはFeまたはFeとC
oである)およびその製造方法に関する。また本発明
は、前記R−T−N系異方性磁粉およびバインダーから
なる高性能のR−T−N系異方性ボンド磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】希土類元素(R)、Feおよび窒素から
なるR−T−N系永久磁石はNd−Fe−B系永久磁石
に匹敵する高い磁気特性を有するが、約700℃超の温度
域で熱分解するので焼結磁石としての実用化が困難であ
る。このため、近年ボンド磁石への実用化が進められて
いる。R−T−N系ボンド磁石はSrフェライト異方性
焼結磁石に比べてボンド磁石特有の形状自由度および加
工性に優れ、かつ高い磁気特性を有することから、今後
各種磁石応用製品分野へ採用されていくものと期待され
ている。
【0003】従来のSm−Fe−N系異方性ボンド磁石
は、例えば特許第2739860号公報に記載されるように、
窒化したSm−Fe−N系合金を平均粒径で約2μmの
単磁区微粒子に微粉砕し、次いで前記微粉とバインダー
とを混練してコンパウンドとし、次いでコンパウンドを
磁場中で圧縮または射出成形して異方性化したものであ
る。しかし、この異方性ボンド磁石に配合されるSm−
Fe−N系磁粉が平均粒径で約2μmの微粉粒子である
ため、急激に酸化されて磁気特性が大きく低下する他、
異方性ボンド磁石中への磁粉の充填性が低下し成形体密
度の顕著な低下を招き、最大エネルギー(BH)maxの向上
が困難であるという問題を有している。
【0004】特開平4−260302号公報には、Smを5〜
15原子%、M(MはZr,Hf,Nb、Ta、W、M
o、Ti、V、Cr、Ga、Al、Sn、PbおよびS
iの少なくとも1種である)を10原子%以下、Nを0.5
〜15原子%および残部がFeまたはFeおよびCoであ
り、複数の結晶粒を含み、平均結晶粒径が1μm以下の
Sm−Fe−N系異方性磁粉が開示されている。また、
特開平8−37122号公報には、R(RはYを含む希土類
元素の少なくとも1種でかつSmを50%以上含有)10〜
12at%、T(TはFeあるいはFeの一部を50at%以下
のCoで置換)80〜90at%、M(MはAl,Ti,V,
Cr,Ni,Ga,Zr,Nb,Mo,In,Sn,H
f,TaおよびWの少なくとも1種)10at%以下からな
る鋳塊を溶体化処理後、平均粒度が20μm〜10mmの少
なくとも80vol.%以上がThZn17型構造を有する
化合物からなる粗粉砕粉となした後、前記粗粉砕粉を1.
0×10〜1.0×Pa(0.1〜10atm)のHガスまたはそ
れに等しいH分圧を有する不活性ガス(Nガスを除
く、但し全圧力は1.0×Pa(10atm)以下)中で、750
〜900℃に30分〜8時間加熱保持し、さらにH 分圧1.3
Pa(1×10−2Torr)以下にて750〜900℃に30分〜8時
間加熱保持する脱H処理を行い、次いで冷却して平均
結晶粒径が0.05〜3μmであり、かつ個々の粉末を形成
する微細結晶の方位が一定の方向にそろった集合組織を
有する粉体となし、次に前記粉体をN圧力5×10
1.0×10Pa (0.5〜1000atm)のNガス中で300〜650
℃に30分〜50時間保持し、R8〜10at%、T65〜82at
%、M10at%以下、N8〜15at%を含有し、ThZn
17型構造を有する合金粉末を得た後、3〜500μmに
粉砕、整粒し、次いで樹脂を混合して磁場中で成形す
る、R−T−M−N系異方性ボンド磁石を製造する方法
が開示されている。しかし、特開平4−260302号公報お
よび特開平8−37122号公報のいずれにも、本発明の製
造方法の特徴である脱水素・再結合反応処理時の真空度
(水素分圧)をy(Pa)、脱水素時間をx(秒)とし
たとき、xが60〜1000秒のときにy=Ax(ただし−
0.5≦z≦−0.01であり、Aは脱水素条件により決定さ
れる定数である)で表される指数関数の条件下で脱水素
・再結合反応処理を行う旨の開示はない。また、この脱
水素条件を採用した場合に最終的に得られるR−T-N
系異方性磁粉が実質的に2−17型の硬質磁性相のシャー
プな粒径分布を有する微結晶粒からなり、同時に角形
(Hk)および最大エネルギー積(BH)maxを顕著に向上で
きる旨の開示はなく、示唆も認められない。
【0005】次に、着磁性は実用に供するSm−Fe−
N系異方性ボンド磁石において極めて重要な特性であ
る。通常、Sm−Fe−N系異方性ボンド磁石の着磁磁
場強度は着磁電源等の制限から室温の1989.5kA/m(25k
Oe)以下に制限される場合がほとんどであるので、本
発明では着磁性を、室温の1989.5kA/m (25kOe)で着
磁した場合の最大エネルギー積(BH)maxで評価した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の解決しようと
する課題は、従来の平均粒径が5μm未満のSm−Fe
−N系異方性磁粉に比べて磁気特性の耐熱性が優れてお
り、かつ高い(BH)max、さらには良好な着磁性を有する
R−T−N系異方性磁粉およびその製造方法を提供する
ことである。また本発明の課題は、前記R−T−N系異
方性磁粉を用いた高性能のR−T−N系異方性ボンド磁
石を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明のR−T−N系異方性磁粉は、主要成分組成が、重量
百分率で、R(RはYを含む希土類元素の少なくとも1
種であり、Smを必ず含む)20〜30%、N2.5〜3.5%、
残部T(TはFeまたはFeとCoである)および不可
避的不純物からなる、平均粒径が5〜300μmのR−T
−N系異方性磁粉であって、前記R−T−N系異方性磁
粉は微細な2−17型硬質磁性相の再結晶粒の集合体から
実質的になり、平均再結晶粒径が0.02〜5μmでありか
つ再結晶粒径が5μm以下の再結晶粒の面積比率が90%
以上のものである。このため、従来の平均粒径が5μm
未満のSm−Fe−N系異方性磁粉に比べて磁気特性の
耐熱性が良好であり、かつ角形(Hk)および(BH)maxを
高めることができる。Hkは4πI-H減磁曲線上において
0.7Brの位置におけるHの値であり、減磁曲線の矩形性
の尺度である。Brは残留磁束密度、Hは磁界の強さ、4
πIは磁化の強さである。
【0008】本発明のR−T−N系異方性磁粉におい
て、主要成分組成が、重量百分率で、R(RはYを含む
希土類元素の少なくとも2種であり、SmおよびLaを
必ず含み、La含有量が0.1〜3.5%である)20〜30%、
N2.5〜3.5%、残部T(TはFeまたはFeとCoであ
る)および不可避的不純物からなる場合に着磁性を向上
できる。本発明者らの検討により、本発明のR−T−N
系異方性磁粉のうち平均結晶粒径が0.02〜0.5μmのも
のはピンニング型と判断される磁化反転機構を示すこと
がわかった。これに対し、平均粒径が2μm程度の2−
17型Sm−Fe−N系異方性磁粉の磁化反転機構はニュ
ークリエーション型である。着磁性はニュークリエーシ
ョン型に比べてピンニング型が悪い。この着磁性の悪さ
を改善するために本発明者らが鋭意検討した結果、本発
明のR−T−N系異方性磁粉に所定量のLaを含有する
とき、平均粒径が約2μmのSm−Fe−N系異方性磁
粉に相当する着磁性が得られることがわかった。RがS
m、Laおよび不可避的不純物からなり、重量百分率
で、(Sm+La)含有量が20〜30%であり、かつLa
含有量が0.1〜3.5%のときに、着磁性を改善することが
できる。La含有量が0.1%未満では着磁性の改善効果
が認められず、3.5%超では角形(Hk)が逆に低下す
る。これは前記La含有量範囲のときに異方性磁界はや
や低下するが、室温の1989.5kA/m (25kOe)以下で着
磁した場合の(BH)maxおよびHkが高められるからであ
る。
【0009】R−T−N系異方性磁粉とバインダーとか
らなる本発明の異方性ボンド磁石は、良好な磁気特性の
耐熱性および高い(BH)max等を有し、さらに良好な着磁
性を具備することができるので、各種磁石応用製品分野
(回転機、アクチュエータまたはマグネットロール等)
において極めて有用である。
【0010】また本発明は、主要成分組成が、重量百分
率で、R(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種で
あり、Smを必ず含む)が20〜30%、残部T(TはFe
またはFeとCoである)および不可避的不純物からな
るR−T系母合金を平均粒径5〜300μmに粉砕し、次
いで水素化・分解反応処理、脱水素・再結合反応処理お
よび窒化を行うR−T−N系異方性磁粉の製造方法にお
いて、脱水素・再結合反応処理時の真空度(水素分圧)
をy(Pa)、脱水素時間をx(秒)としたとき、xが
60〜1000秒のときにy=Ax(ただし−0.5≦z≦−
0.01、Aは脱水素条件により決定される定数)で表され
る指数関数の条件下で脱水素処理を行う、R−T−N系
異方性磁粉の製造方法である。本発明者らは窒化用のR
−T系母合金に対し、脱水素時の相変態速度が磁気異方
性化度に顕著な影響を与えると考え、種々の脱水素条件
下で実験を繰り返した。その結果、脱水素工程に規則性
があることを発見した。つまり脱水素工程を脱水素・再
結合反応処理の開始後60〜1000秒の間における一次脱水
素工程とそれ以降の二次脱水素工程に分けられること、
および最終的に得られるR−T−N系異方性磁粉の磁気
特性が一次脱水素工程の脱水素速度によりほぼ決定され
ることがわかった。二次脱水素工程は一次脱水素工程を
終了後、格子間に残った余分な水素を放出させるための
工程であるので、不可避ではあるが一次脱水素工程に比
べて磁気特性への影響度は小さい。一次脱水素工程にお
ける真空度(水素分圧)をy(Pa)、xを脱水素時間
(秒)とした場合、x=60〜1000秒ではyとxとの関係が
対数グラフ上でほぼ直線に近似でき、y=Axなる指
数関数(Aは脱水素条件により決定される定数)で表せ
ることがわかった。また、二次脱水素工程では急激に真
空度が高まることがわかった。ここでxを前記範囲に特
定した理由は、xが60秒未満ではR−T系母合金以外の
炉内水素雰囲気分を脱気するための時間を含んでおり、
正味のSm 17生成のための相変態状態に至らない
からである。xの上限の1000秒はR−T系母合金の入炉
量(処理量)、真空排気装置の性能によって変動するも
のの、x=1000秒が一次脱水素工程がほぼ完了する目安
となるからである。本発明者らはR−T系母合金の入炉
量を調整し、zを意図的に変化させる検討を行った。そ
の結果、zが−0.5未満では保磁力iHcは高いが、残留磁
束密度Brおよび最大エネルギー積(BH)maxが顕著に低下
した。この現象を詳細に説明すると、一次脱水素工程を
高速で行うため再結晶粒の成長に必要な核の生成方向が
ランダムになり、ランダムな配向状態で再結晶粒が成長
するために磁気的にほぼ等方性になると判断される。し
たがってBr、(BH)maxは等方性磁粉相当の値になる。一
方、zが−0.01を超えると再結晶化速度が極めて遅くな
るので、脱水素処理時間が非常に長くなり工業生産効率
が大きく低下する。したがって脱水素速度を−0.5≦z
≦−0.01 の速度勾配に調整することにより、再結晶化
の相変態が異方性が十分付与される好適な速度で進行す
るため、従来にない高いBr、(BH)maxを有し、かつシャ
ープな再結晶粒径分布を有する微細な2−17型硬質磁性
相から実質的になるR−T−N系異方性磁粉を得られる
と判断される。一次脱水素工程における脱水素速度の制
御は容易である。例えば炉内容積および真空排気ポンプ
の排気能力が決まれば、窒化用のR−T系母合金の入炉
量を調整することにより自在に制御できる。あるいは炉
内と真空排気ポンプを接続する配管中に圧力コントロー
ラを設置することにより制御することができる。あるい
はバルブの開閉により所定の真空度y(Pa)で所定時
間x(秒)保持する一次脱水素工程を1ステップとし
て、次第に真空度y(Pa)を低下させるようにして段
階的に複数のステップの一次脱水素工程を行い、平均的
な一次脱水素工程における脱水素速度がx=60〜1000秒
でかつy=Axなる指数関数で表されるように行って
もよい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明のR−T−N系異方
性磁粉の組成限定理由を説明するが、%と単に記してい
るのは重量%を意味している。
【0012】R含有量は20〜30%が好ましく、22〜28が
より好ましい。R含有量が20%未満ではiHcが397.9kA/m
(5kOe)未満になり、30%超では(BH)maxが大きく低
下する。RにはSmを必ず含み、SmおよびLa以外に
Y、Ce、Pr、Nd、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、YbおよびLuの少なくとも1種を含
むことが許容される。Smミッシュメタルやジジム等の
2種以上の希土類元素の混合物を用いてもよい。Rとし
て、より好ましくはSmまたはSmおよびLaとY、C
e、Pr、Nd、Gd、DyおよびErの少なくとも1
種の組み合わせ、さらに好ましくはSmまたはSmおよ
びLaとY、Ce、PrおよびNdの少なくとも1種と
の組み合わせ、特にRがSmまたはSmおよびLaから
なることが好ましい。Smの純度でいえば、iHc≧397.9
kA/m(5kOe)とするために、Rに占めるSm比率を、
好ましくは50原子%以上、さらに好ましくは70原子%以
上とすることがよい。Rには、製造上混入が避けられな
いO、H、C、Al、Si、Na、MgおよびCa等の
不可避的不純物を合計でRのうちの10原子%以下含有す
ることが許容される。
【0013】本発明のR−T−N系異方性磁粉にM元素
(MはB、Ti、NbおよびGaの少なくとも1種)を
0.1〜5%含有するとき、iHcが高められて磁気特性の耐
熱性が向上する。M元素の含有量が0.1%未満では磁気
特性の耐熱性を向上する効果が認められず、5%超では
(BH)maxが大きく低下する。
【0014】窒素の含有量は2.5〜3.5%が好ましく、2.
7〜3.3%がより好ましい。窒素含有量が2.5%未満およ
び3.5%超ではiHcおよび(BH)maxが大きく低下する。
【0015】Feの一部を0.1〜25のCoで置換するこ
とが好ましく、1〜15原子%のCoで置換することがよ
り好ましい。所定量のCoを含有することによりキュリ
ー温度およびiHcの温度係数が向上するが、Co含有量
が25%超では(BH)maxおよびiHcが顕著に低下し、0.1%
未満では添加による磁気特性の改善効果が認められな
い。
【0016】窒化に供するR−T系母合金として、還元
/拡散法、高周波溶解法またはアーク溶解法等によるR
−T系母合金溶湯を鋳型鋳造法またはストリップキャス
ト法により凝固せしめたものを使用することができる。
ストリップキャスト法による場合、R−T系母合金溶湯
の急冷凝固に用いる冷却用ロールの周速を、好ましくは
0.05〜10m/秒、より好ましくは0.1〜8m/秒とする
ことが急冷凝固したR−T系母合金のαFeの発生量を
低減し、かつ最終的に得られるR−T−N系磁粉のαF
e量の低減を実現し、丸みを帯び、充填性に富んだ粒子
形態にするためによい。
【0017】還元/拡散法によるR−T系母合金を用い
て、本発明のR−T−N系異方性磁粉を作製する場合の
好ましい製造条件を以下に説明する。まず、Rの酸化物
とTまたはTの酸化物を用いて、R−T−N系磁粉に対
応したR−T系母合金の主要成分組成に配合する。さら
にRの酸化物および必要に応じてTの酸化物が化学反応
式上100%還元される量(これを化学量論的必要量とい
う)の0.5〜2倍に相当する量の還元剤(Ca、Mg、
CaHおよびMgH の少なくとも1種)を前記配合
物に添加後、混合する。続いて、混合物を不活性ガス雰
囲気中で1000〜1300℃×1〜20時間加熱してRの酸化物
等を還元し、続いて還元したRとTとを十分に相互拡散
させた後室温まで冷却する。還元剤の添加量が化学量論
的必要量の0.5倍未満では工業生産上有益な還元反応が
実現されず、2倍超では最終的にR−T−N系磁粉に残
留する還元剤量が増大して磁気特性の低下を招く。ま
た、不活性ガス雰囲気中での加熱条件が1000℃×1時間
未満では工業生産上有益な還元/拡散反応が進行せず、
1300℃×20時間超では還元/拡散反応炉の劣化が顕著に
なる。次に、反応物を洗浄液中に投入してCaO等の反
応副生成物を洗い流した後、脱水および真空乾燥を行っ
て還元/拡散法によるR−T系母合金が得られる。次
に、必要に応じて前記R−T系母合金を、窒素を含まな
い不活性ガス雰囲気中で1010〜1280℃×1〜40時間加熱
する均質化熱処理を行い、αFe等の偏析相を固溶させ
た後、室温まで冷却する。均質化熱処理の条件が1010℃
×1時間未満ではαFeやSmFe等の偏析相の固溶
が進まず、1280℃×40時間超では均質化熱処理の効果が
飽和し、Sm等の蒸発による組成ずれが顕著になる。こ
うして得られたR−T系母合金は、Ca含有量が好まし
くは0.4重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下、特
に好ましくは0.1重量%以下であり、酸素含有量が好ま
しくは0.8重量%以下、より好ましくは0.4重量%以下、
特に好ましくは0.2重量%以下であり、炭素含有量が好
ましくは0.3重量%以下、より好ましくは0.2重量%以
下、特に好ましくは0.1重量%以下のものである。次
に、0.005Pa〜1.0×10Pa(4.9×10−8〜10atm)の水
素ガス中または水素ガス分圧を有する不活性ガス(窒素
ガスを除く)中で500〜900℃に加熱する水素化・分解反
応処理、および続いて650〜900℃でかつ後述の脱水素条
件下で脱水素・再結合反応処理を行う。水素化・分解反
応によりR−T系母合金は希土類元素Rの水素化物RH
x、αFe、FeCo相などに分解する。続いて、脱水
素・再結合反応により、R 17相に再結晶させて平
均再結晶粒径が0.02〜5μmでありかつ再結晶粒径が5
μm以下の再結晶粒の面積比率が90%以上のR−T系母
合金粒子が得られる。各R−T系母合金粒子を構成する
個々の再結晶粒はほぼ一致した磁化容易軸を有するの
で、窒化後のものは良好な磁場配向性を示す。水素化・
分解反応処理の水素分圧が0.005Pa(4.9×10−8atm)
未満では分解反応が起こらず、1.0×10Pa(10atm)超
では高圧設備を必要とするのでコスト増を招く。また水
素化・分解反応処理の加熱条件が500℃未満ではR−T
系母合金が水素を吸収するのみでRHx相などへの分解
が起こらず、900℃超では脱水素後のR−T系母合金が
粗大粒化し、R−T−N系異方性ボンド磁石のiHc、Hk
が大きく低下する。脱水素・再結合反応処理の加熱温度
が650℃未満ではRHx等の分解が進行せず、900℃超で
は再結晶組織が粗大粒化してiHc、Hkが大きく低下す
る。次に必要に応じて粉砕を行い、その後窒化すること
により本発明のR−T−N系異方性磁粉が得られる。窒
化前に必要に応じて分級または篩分し、粒径分布を調整
することが均一な窒化組織を実現し、かつR−T−N系
異方性ボンド磁石の成形容易性および密度を向上するた
めに好ましい。窒化は、2.0×10〜1.0×10Pa (0.2
〜10atm)の窒素ガス、水素が1〜95モル%で残部が窒素
からなる(水素+窒素)の混合ガス、NHのモル%が
1〜50%で残部水素からなる(NH+水素)の混合ガ
スのいずれかの雰囲気中で300〜650℃×0.1〜30時間加
熱するガス窒化が実用性に富んでいる。ガス窒化の加熱
条件は300〜650℃×0.1〜30時間が好ましく、400〜550
℃×0.5〜20時間がより好ましい。300℃×0.1時間未満
では窒化が進行せず、650℃×30時間超では逆にRN相
を生成しiHcが低下する。窒化における窒素単独ガスま
たは窒素含有ガスの圧力は2.0×10〜1.0×10Pa
(0.2〜10atm)が好ましく、5.0×10〜5.0×10Pa
(0.5〜5atm)がより好ましい。2.0×10Pa(0.2at
m)未満では窒化反応が非常に遅くなり、1.0×10Pa
(10atm)超では高圧ガス設備によるコスト増を招く。
窒化後に、真空中あるいは不活性ガス中(窒素ガスを除
く)で300〜600℃×0.5〜50時間の熱処理を行うとiHcを
さらに高めることができる。こうして得られたR−T−
N系磁粉には10〜500ppm(重量比)の水素の含有が許容
される。水素含有量が10ppm未満のものは工業生産上製
造が困難であり、500ppm超では実用に耐える有用な磁気
特性を実現することが困難である。
【0018】本発明のR−T−N系異方性磁粉の平均粒
径は5〜300μmが好ましく、5〜100μmがより好まし
く、10〜50μmが特に好ましい。平均粒径が5μm未満
では酸化が顕著になり、磁気特性の耐熱性および(BH)ma
x等が大きく低下し、平均粒径が300μm超では表面性が
悪化して磁気回路のギャップの小さい用途への適用が困
難になる。
【0019】R−T−N系異方性磁粉の主相は2-17型
結晶構造の硬質磁性相であり、高い(BH)maxおよび良好
なHkを具備するために、前記硬質磁性相の平均再結晶粒
径が0.02〜5μmのときは面積比率で90%以上の前記硬
質磁性相の再結晶粒の粒径を5μm以下にすることが好
ましく、前記硬質磁性相の平均再結晶粒径が0.02〜1μ
mのときは面積比率で90%以上の前記硬質磁性相の再結
晶粒の粒径を1μm以下にすることがさらに好ましく、
前記硬質磁性相の平均再結晶粒径が0.02〜0.5μmのと
きは面積比率で90%以上の前記硬質磁性相の再結晶粒の
粒径を0.5μm以下にすることが特に好ましい。磁気特
性を高めるために、R−T−N系異方性磁粉のαFeの
含有比率を、面積比率の平均値で5%以下にすることが
好ましく、3%以下がより好ましく、1%以下が特に好
ましい。硬質磁性相、αFeの同定および各相の面積比
率の算出は、電子顕微鏡、光学顕微鏡等により撮影した
断面組織写真、電子回折結果およびx線回折結果等を考
慮して求める。例えば、対象とするR−T−N系磁粉粒
子の断面を撮影した透過型電子顕微鏡写真およびその断
面組織の同定結果を符合させて求めることができる。
【0020】本発明のR−T−N系異方性ボンド磁石の
バインダーとして熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂またはゴ
ム材料が好適である。圧縮成形法、射出成形法またはカ
レンダーロール法による場合はバインダーとして熱可塑
性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、それら実施例により本発明が限定されるものではな
い。 (実施例1)表1の実施例1の窒化磁粉組成に対応する
主要成分組成に調整したSm−Fe系母合金を高周波溶
解し、鋳型鋳造した。次いで、αFe等の偏析相を固溶
させるために、鋳造したSm−Fe系母合金をアルゴン
ガス雰囲気中で1100℃×10時間加熱後、室温まで冷却す
る均質化熱処理を行った。次いで、水素化・分解反応処
理および続いて脱水素・再結合反応処理を以下の条件で
行った。まず、640dm/分(640リットル/分)の排気能力を
有する真空ポンプを備えた所定容積の雰囲気制御炉に、
均質化熱処理済みのR−Fe系母合金を10kg入炉した。
次いで、室温で85kPa(0.85atm)の水素雰囲気とし、こ
の水素雰囲気を保ちながら室温から5℃/分の昇温速度
で820℃まで加熱し、次いで820℃で3時間保持した。続
いて820℃で到達真空度が10Pa(7.5×10−2Torr)以
下になるまで排気する脱水素・再結合反応処理を行っ
た。脱水素・再結合反応処理後、炉内をアルゴンガス雰
囲気に置換し、その後室温まで冷却した。前記脱水素・
再結合反応処理の開始後60秒を経過した時点から炉内の
真空度(水素分圧)を測定し、対数グラフ上にプロット
した。結果を図1に示す。図1において、10kgと記した
ものがこの実施例のデータである。図1より、脱水素を
開始後60〜1000秒までの一次脱水素工程の真空度は直線
に近似でき、1000秒超の二次脱水素工程で急激に真空度
が高くなる(水素分圧が低くなる)ことがわかる。次
に、水素化・分解反応処理および脱水素・再結合反応処
理を完了したSm−Fe系母合金をアルゴンガス雰囲気
中で粉砕後、75μmアンダーに篩分した。次いで、窒化
ガス雰囲気中で450℃×10時間加熱する窒化処理を施
し、その後室温まで冷却し、平均粒径が38μmの本発明
のSm−Fe−N系異方性磁粉を得た。この異方性磁粉
は平均再結晶粒径が0.15μmでありかつ0.3μm以下の
再結晶粒が面積比率で96%である硬質磁性相(Th
17型)とごく少量のαFeとからなっており、αF
eは面積比率の平均値で1%未満であり非常に少なかっ
た。平均再結晶粒径は、前記Sm−Fe−N系磁粉粒子
を顕微鏡観察用樹脂中に埋め込み、研磨後、前記Sm−
Fe−N系磁粉粒子の研磨断面を電子顕微鏡により撮影
した。次いで、撮影した断面写真の代表的な視野におい
て30個の結晶粒を貫通する直線を引き、(30個分の結晶
粒が貫通する線分長さ)を(貫通する結晶粒の数:30
個)で除して求めた。また、平均再結晶粒の粒径分布は
測定した前記30個の結晶粒径値の分布から求めた。次
に、前記Sm−Fe−N系磁粉:95.3重量部、シランカ
ップリング剤:0.5重量部、液状エポキシ樹脂:3.5重量
部、硬化剤DDS(ジアミノジフェニルスルフォン):0.7
重量部を配合し、混合した。次いで混合物を約90℃に加
熱した二軸混練機に投入して混練し、コンパウンドを作
製した。次いで、コンパウンドを所定の成形機に投入
し、磁場中で圧縮成形した。次いで加熱硬化後、室温ま
で冷却して本発明のSm−Fe−N系異方性ボンド磁石
を得た。表1にSm−Fe系母合金の入炉量、脱水素時
間x=10〜1000秒におけるz値およびA値、作製したS
m−Fe−N系異方性ボンド磁石の密度および室温にお
ける磁気特性((BH)max、iHc)を示す。次に、前記コン
パウンドを用いて磁場中で圧縮成形し、パーミアンス係
数(Pc)が2;(厚み)/(直径)=0.7 の中実円筒状
の異方性ボンド磁石(試料)を得た。次いで加熱硬化を
行い、その後室温まで冷却した。次に、前記試料を、20
℃、2387.4kA/m(30kOe)で着磁後、総磁束量(Φ)を
測定した。次いで、大気中で120℃×1時間加熱後室温
まで冷却し、総磁束量(Φ1)を測定した。磁気特性の
耐熱性の指標として、下記式で定義した不可逆減磁率
(総磁束量の変化率)を用いて評価した。 (不可逆減磁率)=(Φ−Φ1)/(Φ)×100(%) その結果、この異方性ボンド磁石の磁気特性の耐熱性
(不可逆減磁率)は2.1%であり、十分実用に耐えるこ
とがわかった。また、この異方性ボンド磁石の減磁曲線
の角形性は良好であった。 (比較例1)実施例1において作製したコンパウンドを
成形機に投入し、磁場を印加せずに無磁場で圧縮成形し
て等方性のSm−Fe−N系ボンド磁石を得た。この等
方性ボンド磁石の評価結果を表1に示す。 (実施例2〜4、比較例2、3)入炉量を表1の値に変
えた以外は実施例1と同様にして実施例2〜4、比較例
2、3の各Sm−Fe−N系磁粉を作製し、Sm−Fe
−N系異方性ボンド磁石を作製した。なお、図1におけ
る3kg〜65gは実施例2〜4および比較例2、3のそ
れぞれにおける入炉量を示している。実施例2〜4のS
m−Fe−N系異方性磁粉は平均粒径が35〜53μmおよ
び平均再結晶粒径が0.15〜0.3μmでありかつ0.3μm以
下の再結晶粒が面積比率で90〜96%である硬質磁性相
(ThZn17型)とごく少量のαFeとからなって
いた。αFeは面積比率の平均値で1%未満であり非常
に少なかった。また、実施例2〜4の異方性ボンド磁石
の不可逆減磁率は2.1〜2.3%であり良好であった。ま
た、これらの異方性ボンド磁石の減磁曲線の角形性は良
好であった。 (比較例4)実施例1の均質化熱処理済みのSm−Fe
系母合金に対し、水素化・分解反応処理および脱水素・
再結合反応処理を施さずに、そのままアルゴンガス雰囲
気中で粉砕し、75μmアンダーに篩分した。次いで、窒
化ガス雰囲気中で450℃×10時間加熱する窒化処理を施
し、その後室温まで冷却した。次に、窒素ガスを粉砕媒
体とするジェットミルで微粉砕し、平均粒径1.9μmの
Sm−Fe−N系異方性磁粉を得た。以降は、この磁粉
を用いた以外は実施例1と同様にして異方性ボンド磁石
を作製し、不可逆減磁率を求めた。その結果、不可逆減
磁率は8.3%であり、磁気特性の耐熱性が非常に悪いこ
とがわかった。また、この異方性ボンド磁石の減磁曲線
の角形性は悪く、上記実施例のものに比べてHkは2.3〜
4%低かった。
【0022】
【表1】
【0023】図1より、脱水素を開始後60〜1000秒まで
の一次脱水素工程の真空度はいずれも直線に近似でき、
1000秒超の二次脱水素工程において入炉するR−Fe系
母合金量が減少するほど急激に真空度が高くなることが
わかる。また一次脱水素工程における各近似直線から求
めた勾配(z値)は入炉量が多いほど増大しており、入
炉量が多いほど脱水素速度が遅くなることがわかる。ま
た表1より、脱水素速度が早いほど(BH)maxは小さくな
り、脱水素速度が遅いほど(BH)maxが大きくなることが
わかる。特に、実施例1、2のSm−Fe−N系異方性
ボンド磁石は非常に高い(BH)maxを有している。
【0024】(実施例5)Sm23.7Febal.
0.23.1, Sm23.7Feba l.
3.1,Sm23.7Febal.Ga3.1
およびSm23. Febal.Nb3.1(いず
れもx=0〜7%)で示される主要成分組成の各窒化磁
粉に対応するSm−Fe−M系母合金を作製した。次い
で、実施例1と同様の均質化熱処理および水素化・分解
反応処理を施した。続いて各水素化・分解反応処理後の
ものに対し、それぞれ脱水素・再結合反応処理における
入炉量(処理量)を10kgとした以外は実施例1と同様に
して、脱水素・再結合反応処理を行った。各々の一次脱
水素工程におけるz値は−0.20〜−0.28であった。以降
は実施例1と同様にして前記の各Sm−Fe―M−N系
異方性磁粉を作製した。これらの異方性磁粉は平均粒径
が33〜55μmであり、平均再結晶粒径は0.2〜0.35μm
でありかつ0.35μm以下の再結晶粒が面積比率で91〜95
%である硬質磁性相(ThZn17型)とごく少量の
αFeとからなっていた。αFeは面積比率の平均値で
1%未満であり非常に少なかった。前記各Sm−Fe−
M−N系異方性磁粉をそれぞれ用いた以外は実施例1と
同様にして異方性ボンド磁石を作製した。これらの異方
性ボンド磁石の室温における(BH)maxと配合した各磁粉
のM元素(TiB、B、GaまたはNb)含有量x(w
t%)との関係を図2に示す。図2より、高い(BH)max
を保持するために、B含有量は3%以下、Ti、Gaま
たはNb含有量は5%以下が望ましいことがわかる。ま
た、実施例1と同様にして評価した不可逆減磁率は、B
含有量が0.1〜3%のもの、Ti含有量が0.1〜5%のも
の、Ga含有量が0.1〜5%のものおよびNb含有量が
0.1〜5%のものでいずれもが1.7%以下であり、磁気特
性の耐熱性が向上していた。
【0025】(実施例6)Sm23.7−xLaFe
bal.3.1(x=0〜7%)で示される主要成分
組成の窒化磁粉に対応するSm−La−Fe系母合金を
作製後、実施例1と同様の均質化熱処理および水素化・
分解反応処理を施した。続いて、入炉量を10kgとした以
外は実施例1と同様にして脱水素・再結合反応処理を行
った。これらの一次脱水素工程におけるz値は−0.24〜
−0.28であった。次いで実施例1と同様にして粉砕、窒
化を行い本発明のSm−La−Fe−N系異方性磁粉を
得た。これら磁粉は平均粒径が33〜52μmであり、平均
再結晶粒径は0.18〜0.31μmでありかつ0.31μm以下の
再結晶粒が面積比率で90〜94%である硬質磁性相(Th
Zn17型)とごく少量のαFeとからなっていた。
αFeは面積比率の平均値で1%未満であり非常に少な
かった。以降は各Sm−La−Fe−N系異方性磁粉を
用いた以外は実施例1と同様にして異方性ボンド磁石を
作製し、室温の1989.5kA/m (25kOe)で着磁し、室温
の(BH)maxを測定した。これら異方性ボンド磁石の(BH)m
axと配合した各Sm−La−Fe−N系異方性磁粉のL
a含有量x(wt%)との関係を図3に示す。図3よ
り、La含有量が0.1〜3.5%のときにx=0に比べて(B
H)maxが高められる(着磁性が改善される)ことがわか
る。また、このLa含有量が0.1〜3.5%のときの着磁性
は比較例4のものと同等以上であり良好であった。
【0026】(実施例7)Sm23.7Febal.
3.1(x=0〜35%)で示される主要成分組成
の窒化磁粉に対応するSm−Fe−Co系母合金を作製
後、実施例1と同様の均質化熱処理および水素化・分解
反応処理を施した。続いて、入炉量を10kgとした以外は
実施例1と同様にして脱水素・再結合反応処理を行っ
た。これらの一次脱水素工程におけるz値は−0.21〜−
0.27であった。次いで実施例1と同様にして粉砕、 窒
化を行い本発明のSm−Fe−Co−N系異方性磁粉を
得た。これら磁粉は平均粒径が30〜46μmであり、平均
再結晶粒径は0.19〜0.33μmでありかつ0.33μm以下の
再結晶粒が面積比率で90〜95%である硬質磁性相(Th
Zn17型)とごく少量のαFeとからなっていた。
αFeは面積比率の平均値で1%未満であり非常に少な
かった。以降は各Sm−Fe−Co−N系異方性磁粉を
用いた以外は実施例1と同様にして異方性ボンド磁石を
作製し、室温の(BH)maxを測定した。これら異方性ボン
ド磁石の(BH)maxと配合した各異方性磁粉のCo含有量
x(wt%)との関係を図4に示す。図4より、高い(B
H)maxを有するために、Co含有量は25%以下が好まし
く、20%以下がより好ましく、10%以下が特に好ましい
ことがわかる。
【0027】
【発明の効果】以上記述の通り、本発明によれば、従来
に比べて、磁気特性の耐熱性に優れ、かつ高い(BH)max
を有するR−T−N系異方性ボンド磁石およびそれに用
いるR−T−N系異方性磁粉ならびにその製造方法を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱水素時間と炉内真空度の関係の一例を示すグ
ラフである。
【図2】Sm−Fe−M−N系異方性磁粉のM元素の含
有量と異方性ボンド磁石の(BH)maxの相関の一例を示す
グラフである。
【図3】Sm−La−Fe−N系異方性磁粉のLa含有
量と異方性ボンド磁石の(BH)maxの相関の一例を示すグ
ラフである。
【図4】Sm−Fe−Co−N系異方性磁粉のCo含有
量と異方性ボンド磁石の(BH)maxの相関の一例を示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E040 AA03 AA19 CA01 HB17 HB19 NN17 5E062 CD05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主要成分組成が、重量百分率で、R(R
    はYを含む希土類元素の少なくとも1種であり、Smを
    必ず含む)20〜30%、N2.5〜3.5%、残部T(TはFe
    またはFeとCoである)および不可避的不純物からな
    る、平均粒径が5〜300μmのR−T−N系異方性磁粉
    であって、 前記R−T−N系異方性磁粉は微細な2−17型硬質磁性
    相の再結晶粒の集合体から実質的になり、平均再結晶粒
    径が0.02〜5μmでありかつ再結晶粒径が5μm以下の
    再結晶粒の面積比率が90%以上であることを特徴とする
    R−T−N系異方性磁粉。
  2. 【請求項2】 主要成分組成が、重量百分率で、R(R
    はYを含む希土類元素の少なくとも2種であり、Smお
    よびLaを必ず含み、La含有量が0.1〜3.5%である)
    20〜30%、N2.5〜3.5%、残部T(TはFeまたはFe
    とCoである)および不可避的不純物からなる請求項1
    に記載のR−T−N系異方性磁粉。
  3. 【請求項3】 主要成分組成が、重量百分率で、R(R
    はYを含む希土類元素の少なくとも1種であり、Smを
    必ず含む)20〜30%、残部T(TはFeまたはFeとC
    oである)および不可避的不純物からなるR−T系母合
    金を平均粒径5〜300μmに粉砕し、次いで水素化・分
    解反応処理、脱水素・再結合反応処理および窒化を行う
    R−T−N系異方性磁粉の製造方法において、 脱水素・再結合反応処理時の真空度(水素分圧)をy
    (Pa)、脱水素時間をx(秒)としたとき、xが60〜
    1000秒のときにy=Ax(ただし−0.5≦z≦−0.01
    であり、Aは脱水素条件により決定される定数である)
    で表される指数関数の条件下で脱水素を行うことを特徴
    とするR−T−N系異方性磁粉の製造方法。
  4. 【請求項4】 主要成分組成が、重量百分率で、R(R
    はYを含む希土類元素の少なくとも1種であり、Smを
    必ず含む)20〜30%、N2.5〜3.5%、残部T(TはFe
    またはFeとCoである)および不可避的不純物からな
    るとともに、微細な2−17型硬質磁性相の再結晶粒の集
    合体から実質的になり、平均再結晶粒径が0.02〜5μm
    でありかつ再結晶粒径が5μm以下の再結晶粒の面積比
    率が90%以上である、平均粒径が5〜300μmのR−T
    −N系異方性磁粉と、バインダーとからなることを特徴
    とするR−T−N系異方性ボンド磁石。
  5. 【請求項5】 前記R−T−N系異方性磁粉の主要成分
    組成が、重量百分率で、R(RはYを含む希土類元素の
    少なくとも2種であり、SmおよびLaを必ず含み、L
    a含有量が0.1〜3.5%である)20〜30%、N2.5〜3.5
    %、残部T(TはFeまたはFeとCoである)および
    不可避的不純物からなる請求項4に記載のR−T−N系
    異方性ボンド磁石。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005243883A (ja) * 2004-02-26 2005-09-08 Shin Etsu Chem Co Ltd 希土類永久磁石
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CN103328134A (zh) * 2011-01-21 2013-09-25 户田工业株式会社 强磁性颗粒粉末及其制造方法、以及各向异性磁铁、粘结磁铁和压粉磁铁
US11676748B2 (en) * 2015-12-24 2023-06-13 Nichia Corporation Anisotropic magnetic powders and method of producing the same
US11685654B2 (en) 2017-05-17 2023-06-27 Nichia Corporation Secondary particles for anisotropic magnetic powder

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